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技術 燃料タンク用表面処理鋼板

出願人 日本製鉄株式会社
発明者 森下敦司布田雅裕莊司浩雅石塚清和
出願日 2016年3月10日 (4年8ヶ月経過) 出願番号 2016-047181
公開日 2017年9月14日 (3年2ヶ月経過) 公開番号 2017-160499
状態 特許登録済
技術分野 その他の表面処理
主要キーワード 連続作業性 分散めっき法 専用ライン カット数 真空めっき法 フィルター目詰まり 保安部品 焼付け乾燥後
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課題

従来の燃料タンク防錆鋼板に対し、優れた抵抗溶接性加工性塗装性耐食性、及び耐ガソリン性を有し、かつ低コストで、汎用設備めっき工程+1層コーティング)で製造可能な新しい燃料タンク用表面処理鋼板を提供すること。

解決手段

Zn−Ni合金めっき鋼板の少なくとも片面に、有機樹脂(A)と特定の有機ケイ素化合物(B)からなる造膜成分と、リン酸化合物(C)、Ti化合物(D)とを含んでなる塗膜(α)を有するクロメートフリー表面処理鋼板であって、 前記めっき層の付着量が2〜50g/m2であり、前記有機樹脂(A)1に対する前記有機ケイ素化合物(B)の固形分質量比が0.1〜0.6であり、前記塗膜(α)の付着量が0.2〜1.5g/m2であることを特徴とする、燃料タンク用クロメートフリー表面処理鋼板

概要

背景

自動車および二輪車燃料タンクは、深絞り加工や複雑な形状を有する場合が多いことから優れた加工性(深絞り特性)が要求される。また、自動車の重要保安部品であるため、その使用材料は、フィルター目詰まりにつながるような腐食生成物の生成が無く、穴あき腐食の懸念のない材料で、しかも容易に安定して溶接できる材料であることが重要である。

これら様々な特性を有する材料として,Pb−Sn合金めっき鋼板特公昭57−61833号公報)が、自動車燃料タンク素材として幅広く使用されてきた。この材料はガソリンに対して安定な化学的性質を有し,かつPb−Sn合金めっきが潤滑性に優れるためプレス成形性に優れ、またスポット溶接シーム溶接等の抵抗溶接性にも優れている。しかし、近年環境への負荷という意味から鉛を使用しない材料が求められている。

この様なPbを使用せず、良好な耐食性及び加工性を有する素材の一つがZn系のめっき鋼板である。Znは安定した犠牲防食作用を有するため、ガソリンを始めとして、アルコールや、ガソリンが劣化した際に生じる有機酸に対し、鋼板を保護し良好な耐食性を示す。従来、このZn系めっきを施した燃料タンク用材料として、さまざまな技術が開示されている。例えば、特開2011−021279号公報、特開2008−248360号公報に開示されているように、Zn系めっき鋼板に耐食性を向上させる目的でクロム酸シリカ主体とするクロメート処理を施して用いる例が開示されている。しかし、これらに開示されている燃料タンク用材料は、クロメート主体の皮膜から構成され環境負荷の高い6価Crを含有するため好ましくない。特開2006−291246号公報にはCrとPbを含有しない1層コーティングによる技術が開示されているが、樹脂を主体とする皮膜であり、良好な加工性は期待できるものの、溶接時に皮膜の抵抗発熱によるばらつきが大きくなり、連続作業性の低下が懸念される。特開2001−279470号公報では、有機樹脂皮膜中に金属顔料を含む溶接可能な材料が開示されているが、有機皮膜が施されているため抵抗溶接に負荷がかかり、溶接可能であるものの生産性は低いこと、かつ耐食性は良好であるもののコストが高いこと、などといった問題を有している。特開2015−63713号公報にはケイ素化合物およびリン酸化合物などを含有する皮膜とリン酸化合物を主体とする皮膜の無機化合物を主体とする2層コーティングによる技術が開示されているが、抵抗溶接性と耐食性は良好であるものの、耐ガソリン性に課題が残されていた。また、2層コーティングが必要なため、工業的に連続生産が可能な設備が限定的であり、製造コストが高いといった課題も有していた。このように、これら従来技術では燃料タンク素材として要求される抵抗溶接性、加工性、塗装性、耐食性、及び耐ガソリン性すべてをバランス良く満足することが困難であり、且つ低コストで且つ汎用設備(めっき工程+1層コーティング)で製造することも困難であった。

概要

従来の燃料タンク用防錆鋼板に対し、優れた抵抗溶接性、加工性、塗装性、耐食性、及び耐ガソリン性を有し、かつ低コストで、汎用設備(めっき工程+1層コーティング)で製造可能な新しい燃料タンク用表面処理鋼板を提供すること。Zn−Ni合金めっき鋼板の少なくとも片面に、有機樹脂(A)と特定の有機ケイ素化合物(B)からなる造膜成分と、リン酸化合物(C)、Ti化合物(D)とを含んでなる塗膜(α)を有するクロメートフリー表面処理鋼板であって、 前記めっき層の付着量が2〜50g/m2であり、前記有機樹脂(A)1に対する前記有機ケイ素化合物(B)の固形分質量比が0.1〜0.6であり、前記塗膜(α)の付着量が0.2〜1.5g/m2であることを特徴とする、燃料タンク用クロメートフリー表面処理鋼板なし

目的

本発明は、従来の燃料タンク用表面処理鋼板に対し、課題である

効果

実績

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請求項1

めっき層中にNiを5〜15質量%含有するZn−Ni合金めっき鋼板の少なくとも片面に、有機樹脂(A)及びアルキレン基シロキサン結合及び下記一般式〔X〕で表される架橋性官能基を有する有機ケイ素化合物(B)からなる造膜成分と、リン酸化合物(C)と、Ti化合物(D)とを含んでなる塗膜(α)を有するクロメートフリー表面処理鋼板であって、前記めっき層の付着量が2〜50g/m2であり、前記有機樹脂(A)1に対する前記有機ケイ素化合物(B)の固形分質量比が0.1〜0.6であり、前記塗膜(α)の付着量が0.2〜1.5g/m2であることを特徴とする、燃料タンク用クロメートフリー表面処理鋼板。−SiR1R2R3〔X〕(式中、R1、R2及びR3は、互いに独立に、アルコキシ基又はヒドロキシ基を表し、R1、R2及びR3のいずれか1つがメチル基置換されていてもよい)

請求項2

前記有機樹脂(A)1に対する前記有機ケイ素化合物(B)の固形分質量比が0.1〜0.3であることを特徴とする、請求項1に記載の燃料タンク用クロメートフリー表面処理鋼板。

請求項3

前記有機樹脂(A)がアクリル樹脂またはウレタン樹脂を含有することを特徴とする、請求項1または2に記載の燃料タンク用クロメートフリー表面処理鋼板。

請求項4

前記有機ケイ素化合物(B)がシランカップリング剤加水分解縮合物であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の燃料タンク用クロメートフリー表面処理鋼板。

請求項5

前記有機ケイ素化合物(B)がアミノ基を有するシランカップリング剤(B1)とエポキシ基を有するシランカップリング剤(B2)との反応により得られるものであることを特徴とする、請求項4に記載の燃料タンク用クロメートフリー表面処理鋼板。

請求項6

前記塗膜(α)に更にV化合物(E)を含有することを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の燃料タンク用クロメートフリー表面処理鋼板。

請求項7

前記塗膜(α)に更にパーフルオロアルキル基を有する(メタアクリレートに基づく重合単位を含む重合体(F)を含有することを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の燃料タンク用クロメートフリー表面処理鋼板。

請求項8

前記塗膜(α)に更に潤滑剤(G)を含有することを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の燃料タンク用クロメートフリー表面処理鋼板。

技術分野

0001

本発明は、自動車及び二輪車燃料タンク用素材として優れた抵抗溶接性加工性塗装性耐食性、及び耐ガソリン性兼備する表面処理鋼板に関する。

背景技術

0002

自動車および二輪車の燃料タンクは、深絞り加工や複雑な形状を有する場合が多いことから優れた加工性(深絞り特性)が要求される。また、自動車の重要保安部品であるため、その使用材料は、フィルター目詰まりにつながるような腐食生成物の生成が無く、穴あき腐食の懸念のない材料で、しかも容易に安定して溶接できる材料であることが重要である。

0003

これら様々な特性を有する材料として,Pb−Sn合金めっき鋼板特公昭57−61833号公報)が、自動車燃料タンク素材として幅広く使用されてきた。この材料はガソリンに対して安定な化学的性質を有し,かつPb−Sn合金めっきが潤滑性に優れるためプレス成形性に優れ、またスポット溶接シーム溶接等の抵抗溶接性にも優れている。しかし、近年環境への負荷という意味から鉛を使用しない材料が求められている。

0004

この様なPbを使用せず、良好な耐食性及び加工性を有する素材の一つがZn系のめっき鋼板である。Znは安定した犠牲防食作用を有するため、ガソリンを始めとして、アルコールや、ガソリンが劣化した際に生じる有機酸に対し、鋼板を保護し良好な耐食性を示す。従来、このZn系めっきを施した燃料タンク用材料として、さまざまな技術が開示されている。例えば、特開2011−021279号公報、特開2008−248360号公報に開示されているように、Zn系めっき鋼板に耐食性を向上させる目的でクロム酸シリカ主体とするクロメート処理を施して用いる例が開示されている。しかし、これらに開示されている燃料タンク用材料は、クロメート主体の皮膜から構成され環境負荷の高い6価Crを含有するため好ましくない。特開2006−291246号公報にはCrとPbを含有しない1層コーティングによる技術が開示されているが、樹脂を主体とする皮膜であり、良好な加工性は期待できるものの、溶接時に皮膜の抵抗発熱によるばらつきが大きくなり、連続作業性の低下が懸念される。特開2001−279470号公報では、有機樹脂皮膜中に金属顔料を含む溶接可能な材料が開示されているが、有機皮膜が施されているため抵抗溶接に負荷がかかり、溶接可能であるものの生産性は低いこと、かつ耐食性は良好であるもののコストが高いこと、などといった問題を有している。特開2015−63713号公報にはケイ素化合物およびリン酸化合物などを含有する皮膜とリン酸化合物を主体とする皮膜の無機化合物を主体とする2層コーティングによる技術が開示されているが、抵抗溶接性と耐食性は良好であるものの、耐ガソリン性に課題が残されていた。また、2層コーティングが必要なため、工業的に連続生産が可能な設備が限定的であり、製造コストが高いといった課題も有していた。このように、これら従来技術では燃料タンク素材として要求される抵抗溶接性、加工性、塗装性、耐食性、及び耐ガソリン性すべてをバランス良く満足することが困難であり、且つ低コストで且つ汎用設備(めっき工程+1層コーティング)で製造することも困難であった。

先行技術

0005

特公昭57−61833号公報
特開2011−021279号公報
特開2008−248360号公報
特開2006−291246号公報
特開2001−279470号公報
特開2015−63713号公報

発明が解決しようとする課題

0006

本発明は、従来の燃料タンク用表面処理鋼板に対し、課題である抵抗溶接性、加工性、塗装性、耐食性、及び耐ガソリン性をバランスよく発現し、低コストで且つ汎用設備(めっき工程+1層コーティング)で製造可能な新しい燃料タンク用表面処理鋼板を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0007

本発明者らは、抵抗溶接性、加工性、塗装性、耐食性、及び耐ガソリン性に優れる表面処理鋼板の構成を種々検討し、Zn−Ni合金めっき鋼板の上層に、特定の造膜成分と特定の防錆剤を含有する塗膜を適量形成することにより、前述した抵抗溶接時の連続作業性や耐ガソリン性の課題を解決するとともに、燃料タンク素材として優れた特性を有する表面処理鋼板が得られることを見出した。

0008

特に、塗膜の造膜成分として有機樹脂(A)と特定の有機ケイ素化合物(B)とを特定の質量比で混合したものを適用することで、ガソリンが劣化した際に生じる有機酸を含む劣化ガソリンに対する防錆剤の溶出挙動を制御し、長期にわたって劣化ガソリン中における腐食を抑制することに成功した。

0009

すなわち、本発明の主旨とするところは、以下のとおりである。
(1)めっき層中にNiを5〜15質量%含有するZn−Ni合金めっき鋼板の少なくとも片面に、有機樹脂(A)及びアルキレン基シロキサン結合及び下記一般式〔X〕で表される架橋性官能基を有する有機ケイ素化合物(B)からなる造膜成分と、リン酸化合物(C)、Ti化合物(D)とを含んでなる塗膜(α)を有するクロメートフリー表面処理鋼板であって、
前記めっき層の付着量が2〜50g/m2であり、
前記有機樹脂(A)1に対する前記有機ケイ素化合物(B)の固形分質量比が0.1〜0.6であり、
前記塗膜(α)の付着量が0.2〜1.5g/m2であることを特徴とする、燃料タンク用クロメートフリー表面処理鋼板。
−SiR1R2R3 〔X〕
(式中、R1、R2及びR3は、互いに独立に、アルコキシ基又はヒドロキシ基を表し、R1、R2及びR3のいずれか1つがメチル基置換されていてもよい)
(2)前記有機樹脂(A)1に対する前記有機ケイ素化合物(B)の固形分質量比が0.1〜0.3であることを特徴とする、(1)に記載の燃料タンク用クロメートフリー表面処理鋼板。
(3)前記有機樹脂(A)がアクリル樹脂またはウレタン樹脂を含有することを特徴とする、(1)または(2)に記載の燃料タンク用クロメートフリー表面処理鋼板。
(4)前記有機ケイ素化合物(B)がシランカップリング剤加水分解縮合物であることを特徴とする、(1)〜(3)のいずれか1つに記載の燃料タンク用クロメートフリー表面処理鋼板。
(5)前記有機ケイ素化合物(B)がアミノ基を有するシランカップリング剤(B1)とエポキシ基を有するシランカップリング剤(B2)との反応により得られるものであることを特徴とする、(4)に記載の燃料タンク用クロメートフリー表面処理鋼板。
(6)前記塗膜(α)に更にV化合物(E)を含有することを特徴とする、(1)〜(5)のいずれか1つに記載の燃料タンク用クロメートフリー表面処理鋼板。
(7)前記塗膜(α)に更にパーフルオロアルキル基を有する(メタアクリレートに基づく重合単位を含む重合体(F)を含有することを特徴とする、(1)〜(6)のいずれか1つに記載の燃料タンク用クロメートフリー表面処理鋼板。
(8)前記塗膜(α)に更に潤滑剤(G)を含有することを特徴とする、(1)〜(7)のいずれか1つに記載の燃料タンク用クロメートフリー表面処理鋼板。

発明の効果

0010

本発明は、環境負荷の高い6価Crを含まず、抵抗溶接性、加工性、塗装性、耐食性、及び耐ガソリン性をバランスよく発現し、低コストで且つ汎用設備(めっき工程+1層コーティング)で製造可能な新しい燃料タンク用表面処理鋼板を提供するもので、この表面処理鋼板は燃料タンク用に限らず汎用性を有する環境対応材料としても非常に有望であり、各産業分野への寄与も大きい。

0011

<鋼板について>
本発明において適用可能な鋼板は特に限定されるものではなく、普通鋼低炭素鋼高強度鋼などが挙げられ、任意に適用可能である。ただ、燃料タンクは高度な加工性を要求されるだけに、加工性に優れたIF鋼の適用が望ましく、さらには溶接後の気密性二次加工性等を確保するためにBを数ppm以上添加した鋼板が望ましい。

0012

<めっき層について>
本発明において鋼板上の少なくとも片面に施すめっき層は、抵抗溶接性、加工性、耐食性、耐ガソリン性の観点から、Zn−Ni合金めっきに限定される。Zn−Ni合金めっき層中のNi含有率は5〜15質量%である。Ni含有率が5質量%未満では抵抗溶接性や加工性が低下し、Niが15質量%超ではめっき層に大きなクラック入りやすく剥離しやすくなる。より好ましいNi含有率は8質量%〜13質量%である。前記めっき層の付着量はZnとNiを含めたトータルの付着量で、2g/m2以上50g/m2以下が好ましい。2g/m2未満では耐食性、耐ガソリン性が不十分であるし、50g/m2超では耐食性や耐ガソリン性は向上するものの加工時のめっき密着性、抵抗溶接性が低下する。好ましくは5g/m2〜40g/m2である。

0013

めっき方法は特に限定されるものではなく、公知の電気めっき法溶融めっき法蒸着めっき法、分散めっき法真空めっき法等のいずれの方法でもよいが、電気めっき法が好ましい。

0014

<塗膜(α)について>
めっき層の上に形成されている塗膜(α)は、有機樹脂(A)とアルキレン基、シロキサン結合及び−SiR1R2R3(式中、R1、R2及びR3は、互いに独立に、アルコキシ基又はヒドロキシ基を表し、R1、R2及びR3のいずれか1つがメチル基で置換されていてもよい)で表される架橋性官能基を有する有機ケイ素化合物(B)を必須の造膜成分とする。前記有機樹脂(A)は腐食因子や劣化ガソリン(ガソリン、水、有機酸などで構成)に対する耐性膨潤、分解、溶解などが起こりにくい性質)に優れているため、高いバリア性を有し、且つ後述する防錆剤の保持性を高める(過度溶出を抑制する)効果を有している。一方、前記有機ケイ素化合物(B)は優れた造膜性を有しておりながら、劣化ガソリンと接触することでシロキサン結合部位の分解等によりそれ自身が劣化ガソリン中に少しずつ溶出する。その溶出に引きずられる形で後述する防錆剤の塗膜(α)からの溶出性が高まり、溶出した防錆剤が塗膜(α)欠陥部や疵入り部に作用し、修復防食)する作用を有している。両者を特定の割合で混合することにより、高い耐食性、耐ガソリン性が発現される。

0015

前記有機樹脂(A)1に対する前記有機ケイ素化合物(B)の固形分質量比は0.1〜0.6である。0.1未満であると、塗膜のバリア性や防錆剤の保持性が不足し、耐食性、耐ガソリン性が低下する。0.6超であると、防錆剤の溶出性が低下し、耐食性、耐ガソリン性が低下するだけでなく、抵抗溶接性も低下する。

0016

前記塗膜(α)の付着量は0.2〜1.5g/m2である。0.3〜1.0g/m2であることが好ましく、0.4〜0.8g/m2であることが更に好ましい。付着量が0.2g/m2未満であると、前記めっき層の表面を十分に被覆できないため耐食性が著しく低下する。1.5g/m2より大きいと、抵抗溶接性、加工性が低下する。

0017

<有機樹脂(A)について>
前記有機樹脂(A)としては、特定の種類に限定されず、例えば、ポリエステル樹脂ポリウレタン樹脂エポキシ樹脂フェノール樹脂、アクリル樹脂、ポリオレフィン樹脂、又はこれらの樹脂の変性体等を挙げることができる。ここで「変性体」とは、これらの樹脂の構造中に含まれる反応性官能基に、その官能基と反応し得る官能基を構造中に含む他の化合物(モノマー架橋剤など)を反応させた樹脂のことを指す。このような有機樹脂(A)としては、1種又は2種以上の有機樹脂(変性していないもの)を混合して用いてもよいし、少なくとも1種の有機樹脂の存在下で、少なくとも1種のその他の有機樹脂を変性することによって得られる有機樹脂を1種又は2種以上混合して用いてもよい。加工性、耐食性、耐ガソリン性の観点からは、アクリル樹脂、ウレタン樹脂であることが好ましい。

0018

上記アクリル樹脂としては、特に限定されず、例えば、エチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレートや、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートや、アルコキシシラン(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステルを、(メタ)アクリル酸と共に水中で重合開始剤を用いてラジカル重合することにより得られるものを挙げることができる。上記重合開始剤としては特に限定されず、例えば、過硫酸カリウム過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩アゾビスシア吉草酸アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物等を使用することができる。ここで、「(メタ)アクリレート」とはアクリレートとメタクリレートを意味し、「(メタ)アクリル酸」とはアクリル酸とメタクリル酸を意味する。

0019

上記ポリウレタン樹脂としては、特に限定されず、例えば、ポリオール化合物とポリイソシアネート化合物とを反応させ、その後に更に鎖伸長剤によって鎖伸長して得られるもの等を挙げることができる。上記ポリオール化合物としては、1分子当たり2個以上の水酸基を含有する化合物であれば特に限定されず、例えば、エチレングリコールプロピレングリコールジエチレングリコール、1,6−へキサンジオールネオペンチルグリコールトリエチレングリコールグリセリントリメチロールエタントリメチロールプロパンポリカーボネートポリオールポリエステルポリオールビスフェノールヒドロキシプロピルエーテル等のポリエーテルポリオールポリエステルアミドポリオール、アクリルポリオールポリウレタンポリオール、又はこれらの混合物が挙げられる。上記ポリイソシアネート化合物としては、1分子当たり2個以上のイソシアネート基を含有する化合物であれば特に限定されず、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)等の脂肪族イソシアネートイソホロンジイソシアネート(IPDI)等の脂環族ジイソシアネートトリレンジイソシアネート(TDI)等の芳香族ジイソシアネートジフェニルメタンジイソシアネートMDI)等の芳香脂肪族ジイソシアネート、又はこれらの混合物が挙げられる。上記鎖伸長剤としては、分子内に1個以上の活性水素を含有する化合物であれば特に限定されず、例えば、エチレンジアミンプロピレンジアミンヘキサメチレンジアミンジエチレントリアミン、ジプロピレントリアミントリエチレンテトラミンテトラエチレンペンタミン等の脂肪族ポリアミンや、トリレンジアミンキシリレンジアミンジアミノジフェニルメタン等の芳香族ポリアミンや、ジアミノシクロヘキシルメタンピペラジン、2,5−ジメチルピペラジンイソホロンジアミン等の脂環式ポリアミンや、ヒドラジンコハク酸ジヒドラジドアジピン酸ジヒドラジドフタル酸ジヒドラジド等のヒドラジン類や、ヒドロキシエチルジエチレントリアミン、2−[(2−アミノエチル)アミノ]エタノール、3−アミノプロパンジオール等のアルカノールアミン等が挙げられる。これらの化合物は、単独で、又は2種類以上を混合して使用することができる。

0020

<有機ケイ素化合物(B)について>
前記有機ケイ素化合物(B)としては、アルキレン基、シロキサン結合及び下記一般式〔X〕で表される架橋性官能基を含有していれば、特に制限はない。
−SiR1R2R3 〔X〕
(式中、R1、R2及びR3は互いに独立に、アルコキシ基又はヒドロキシ基を表し、R1、R2及びR3のいずれか1つがメチル基で置換されていてもよい。)
また、アルキレン基、シロキサン結合及び下記一般式〔X〕で表される架橋性官能基を含有し、且つ、水を主成分とする水性媒体中で安定に存在でき得るものであることが好ましい。
アルキレン基としては特に制限はないが、エチレン基プロピレン基ブチレン基等を例示することができる。アルコキシ基としては特に制限はないが、メトキシ基エトキシ基プロキシ基等を例示することができる。
更に、有機ケイ素化合物(B)としては、アミノ基、エポキシ基、及びヒドロキシ基(前記一般式〔X〕に含まれ得るものとは別個のもの)から選ばれる少なくとも1種の架橋性官能基を含有することが、より架橋密度の高い緻密な皮膜を形成し、耐食性、耐ガソリン性を高める上で好ましい。加えて、これらの架橋性官能基は親水性を示すため、塗膜(α)を形成するための塗料組成物水系塗料である場合、アミノ基、エポキシ基、及びヒドロキシ基から選ばれる少なくとも1種の架橋性官能基を含有することは、有機ケイ素化合物(B)の水系溶媒中での安定性を高める上でも有利である。なお、本明細書における水系溶媒中での安定性とは、経時により水系溶媒中で凝集物沈降物を発生しにくいことや、増粘やゲル化の現象が起こりにくいことを示す。

0021

このような有機ケイ素化合物(B)としては、シランカップリング剤の加水分解縮合物等を例示することができる。具体的なシランカップリング剤の例としては、ビニルトリメトキシシランビニルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシルエチルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、ビストリメトキシシリルプロピルアミン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチルブチリデンプロピルアミン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、ビス(トリメトキシシリルヘキサン等を挙げることができる。上記シランカップリング剤は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。

0022

また、有機ケイ素化合物(B)は、アミノ基を含有するシランカップリング剤(B1)と、エポキシ基を含有するシランカップリング剤(B2)との反応により得られるものであることが特に好ましい。アミノ基とエポキシ基との反応、及び、シランカップリング剤(B1)とシランカップリング剤(B2)の各々に含有されるアルコキシシリル基又はその部分加水分解生成物同士の反応により、架橋密度の高い緻密な皮膜を形成することが可能となり、これにより表面処理溶融めっき鋼材の耐食性、耐傷付き性耐汚染性を更に向上させることができる。アミノ基を含有するシランカップリング剤(B1)としては、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、ビス(トリメトキシシリルプロピル)アミンが例示でき、エポキシ基を含有するシランカップリング剤(B2)としては、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシランが例示できる。

0023

アミノ基を含有するシランカップリング剤(B1)とエポキシ基を含有するシランカップリング剤(B2)とのモル比〔(B1)/(B2)〕は、0.5以上、且つ2.5以下であることが好ましく、より好ましくは0.7以上、且つ1.6以下である。モル比〔(B1)/(B2)〕が0.5よりも小さいと、造膜性が低下し、耐食性が低下する場合があり、2.5よりも大きいと、耐水性が低下し、耐食性が低下する場合がある。

0024

有機ケイ素化合物(B)の数平均分子量は、1000以上10000以下であることが好ましく、より好ましくは2000以上10000以下である。ここでいう分子量の測定方法は特に限定するものではないが、TOF−MS法による直接測定およびクロマトグラフィ−法による換算測定のいずれを用いてもよい。数平均分子量が1000未満であると、形成された皮膜の耐水性が低下し、耐アルカリ性や耐食性が低下する場合がある。一方、数平均分子量が10000より大きいと、有機ケイ素化合物(B)を、水を主成分とする水性媒体中に安定に溶解または分散させることが困難となり、貯蔵安定性が低下する場合がある。

0025

有機ケイ素化合物(B)の製造方法としては、特に制限はないが、例えば、水中にシランカップリング剤を溶解又は分散し、所定の温度で所定時間攪拌し、加水分解縮合物の水性液を得る方法、シランカップリング剤加水分解縮合物等の有機ケイ素化合物を水中に溶解又は分散して水性液を得る方法、シランカップリング剤加水分解縮合物等の有機ケイ素化合物をメタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール系有機溶剤中に溶解してアルコール系液を得る方法等が挙げられる。シランカップリング剤やその加水分解縮合物を水系媒体中に溶解又は分散させるために、適宜、酸、アルカリ有機溶剤界面活性剤等を添加してもよく、特に有機酸を添加し、pHを3〜6に調整することが貯蔵安定性の観点から好ましい。有機ケイ素化合物(B)の水性液又はアルコール系液の固形分濃度は25質量%以下であることが好ましい。有機ケイ素化合物(B)の固形分濃度が25質量%を超えると、その水性液又はアルコール系液の貯蔵安定性が低下する場合がある。

0026

<防錆剤について>
上記塗膜(α)には、防錆剤としてリン酸化合物(C)とTi化合物(D)を必須成分として含有する。めっき層がZn−Ni合金めっきの場合、リン酸化合物(C)とTi化合物(D)を組み合せて適用すると、飛躍的に耐食性、耐ガソリン性が向上する。

0027

<リン酸化合物(C)について>
リン酸化合物(C)はリン酸イオンを放出する化合物であることが好ましい。リン酸化合物(C)としては、特に限定されないが、例えば、オルトリン酸メタリン酸ピロリン酸三リン酸四リン酸等のリン酸類及びこれらの塩や、アミノトリメチレンホスホン酸)、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)等のホスホン酸類及びこれらの塩や、フィチン酸等の有機リン酸類及びこれらの塩等を挙げることができる。塩類カチオン種としては特に制限されず、例えば、Cu、Co、Fe、Mn、Sn、V、Mg、Ba、Al、Ca、Sr、Nb、Y、Ni及びZn等が挙げられる。これらのリン酸化合物(C)は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。

0028

リン酸化合物(C)の含有量は、塗膜(α)中に0.1質量%以上、且つ10質量%以下であることが好ましく、より好ましくは0.5質量%以上、且つ5質量%以下である。リン酸化合物(C)の含有量が0.1質量%未満であると、耐食性や耐ガソリン性の向上効果が得られない場合があり、5質量%超であると、耐食性が低下したり、塗膜を形成するための塗料安定性が低下する(より具体的には、ゲル化や凝集物の沈殿等の不具合が発生する)場合がある。

0029

<Ti化合物(D)について>
Ti化合物(D)としては、特に限定されないが、フルオロ錯化合物由来の化合物であることが好ましい。例えば、ヘキサフルオロチタン酸あるいはその塩、例えばアンモニウム塩カリウム塩ナトリウム塩などを例示することができる。

0030

Ti化合物(D)の含有量は、塗膜(α)中に0.1質量%以上、且つ5質量%以下であることが好ましく、より好ましくは0.5質量%以上、且つ3質量%以下である。Ti化合物(D)の含有量が0.1質量%未満であると、耐食性や耐ガソリン性の向上効果が得られない場合があり、3質量%超であると、耐食性が低下したり、塗膜を形成するための塗料安定性が低下する(より具体的には、ゲル化や凝集物の沈殿等の不具合が発生する)場合がある。

0031

<V化合物(E)について>
上記塗膜(α)には防錆剤として更にV化合物(E)を含有してもよい。V化合物(E)としては、特に限定するものではないが、例えば、五酸化バナジウム、メタバナジン酸メタバナジン酸アンモニウムメタバナジン酸ナトリウムオキシ三塩化バナジウム三酸化バナジウム二酸化バナジウムオキシ硫酸バナジウムバナジウムオキシアセチルアセトネート、バナジウムアセチルアセトネート、三塩化バナジウムリンバナドモリブデン酸等を使用することができる。また、バナジウム化合物(E)としては、5価のバナジウム化合物を水酸基、カルボニル基カルボキシル基、1〜3級アミノ基、アミド基リン酸基及びホスホン酸基よりなる群から選ばれる少なくとも1種の官能基を有する有機化合物により、4価〜2価に還元したものも使用可能である。これらのバナジウム化合物(E)は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。

0032

V化合物(E)の含有量は、塗膜(α)中に0.1質量%以上、且つ10質量%以下であることが好ましく、より好ましくは0.5質量%以上、且つ5質量%以下である。V化合物(E)の含有量が0.1質量%未満であると、耐食性や耐ガソリン性の向上効果が得られない場合があり、5質量%超であると、耐食性が低下したり、塗膜を形成するための塗料安定性が低下する(より具体的には、ゲル化や凝集物の沈殿等の不具合が発生する)場合がある。

0033

<重合体(F)について>
前記塗膜(α)は、更にパーフルオロアルキル基を有する(メタ)アクリレートに基づく重合単位を含む重合体(F)を含有することが好ましい。パーフルオロアルキル基は、ガソリンに対する耐性を高める効果があり、(メタ)アクリレートに基づく重合単位を含む重合体は、塗膜(α)中における上記重合体(F)の保持性を高める効果を有している。すなわち、パーフルオロアルキル基を有する(メタ)アクリレートに基づく重合単位を含む重合体(F)を含有することで、高度で耐久力のある耐ガソリン性を付与することができる。

0034

パーフルオロアルキル基を含有する(メタ)アクリレートは、下記一般式〔Y〕で表される構造であることがより好ましい。
CH2=C(R4)COO(CH2)nR5 〔Y〕
(式〔Y〕中、R4はH又はCH3を示し、R5はパーフルオロアルキル基を示し、nは0〜4の整数を表す。)

0035

上記一般式〔Y〕で表される構造が、パーフルオロアルキル基を優先的に塗膜(α)表面に配向させる上で特に効果的であると共に、塗膜(α)の造膜成分の一つである有機ケイ素化合物(B)との親和性も高いため、上記重合体(F)の塗膜(α)中における保持性も高まる。すなわち、重合体(F)を用いることにより、高度な耐ガソリン性が得られると共に、長期にわたって耐ガソリン性が低下しない耐久力のある塗膜を得ることができる。

0036

上記一般式〔Y〕で表される構造を持つパーフルオロアルキル基を含有する(メタ)アクリレートとしては、例えば、CH2=CHCOOC2H4C4F9、CH2=C(CH3)COOC2H4C4F9、CH2=CHCOOC2H4C6F13、CH2=C(CH3)COOC2H4C6F13、CH2=C(CH3)COOC3H6C6F13、CH2=CHCOOC2H4C8F17、CH2=C(CH3)COOC2H4C8F17、CH2=C(CH3)COOC8F17が挙げられる。好ましくは、CH2=CHCOOC2H4C4F9、CH2=C(CH3)COOC2H4C4F9、CH2=CHCOOC2H4C6F13、CH2=C(CH3)COOC2H4C6F13、CH2=C(CH3)COOC3H6C6F13がある。これらの(メタ)アクリレートは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。

0037

また、上記重合体(F)は、パーフルオロアルキル基を含有する(メタ)アクリレートに基づく重合単位を60質量%〜98質量%含有することが好ましい。上記重合単位が60質量%未満であると、耐ガソリン性の向上効果が得られない場合がある。一方、上記重合単位が98質量%超であると、重合体(F)の皮膜保持性が低下し、耐ガソリン性の向上効果が得られなかったり、水系溶媒中での安定性が低下したりする場合もある。

0038

上記重合体(F)はパーフルオロアルキル基を含有する(メタ)アクリレートに基づく重合単位の他に、アミノ基、イソシアネート基、エポキシ基、ヒドロキシ基などの架橋性官能基を含有する(メタ)アクリレートに基づく重合単位、アルキル基を含有する(メタ)アクリレートに基づく重合単位、アルキレンオキサイド基を含有する(メタ)アクリレートに基づく重合単位、塩化ビニル酢酸ビニルプロピオン酸ビニル塩化ビニリデン等の単量体由来の重合単位を含有してもよい。

0039

上記重合体(F)の含有量は、塗膜(α)中に1質量%以上、且つ10質量%以下であることが好ましく、より好ましくは2質量%以上、且つ7質量%以下である。上記重合体(F)の含有量が1質量%未満であると、耐ガソリン性の向上効果が得られない場合があり、10質量%超であると、塗膜(α)の造膜性が低下し、耐食性や耐ガソリン性が低下する場合がある。

0040

<潤滑剤(G)について>
上記塗膜(α)は、更に潤滑剤(G)を含有することが、耐食性、耐ガソリン性、加工性を向上させる上で好ましい。潤滑剤(G)を含有することにより、上記塗膜(α)の潤滑性が高まり、言い換えると、プレス金型等との接触の際に受ける摩擦抵抗を低減する効果が高まり、加工部における塗膜(α)の損傷や取り扱い時の傷入りを防止することができる。

0041

潤滑剤(G)としては、特に制限されず、公知の潤滑剤を使用できるが、フッ素樹脂系潤滑剤、及びポリオレフィン樹脂系潤滑剤から選ばれる少なくとも一種を使用することが好ましい。

0042

上記フッ素樹脂系潤滑剤としては、特に限定されず、例えば、ポリテトラフルオロエチレンPTFE)、テトラフルオロエチレンヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、ポリフッ化ビニリデンPVDF)、ポリフッ化ビニル(PVF)、エチレンテトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、エチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)等を挙げることができる。これらのフッ素樹脂系潤滑剤は、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用しても良い。

0043

上記ポリオレフィン樹脂系潤滑剤としては、特に限定されず、例えば、パラフィンマイクロクリスタリンポリエチレンポリプロピレン等の炭化水素系のワックス、及びこれらの誘導体等を挙げることができる。また、炭化水素系のワックスの誘導体としては、特に限定されず、例えば、カルボキシル化ポリオレフィン塩素化ポリオレフィン等を挙げることができる。これらのポリオレフィン系潤滑剤は、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用しても良い。

0044

潤滑剤(G)の含有量は、塗膜(α)中に1質量%以上、且つ10質量%以下であることが好ましく、より好ましくは2質量%以上、且つ7質量%以下である。潤滑剤(G)の含有量が1質量%未満であると、耐食性、耐ガソリン性、加工性の向上効果が得られない場合があり、10質量%超であると、塗膜(α)の造膜性が低下し、耐食性や耐ガソリン性が低下する場合がある。

0045

<塗膜(α)の形成方法
塗膜(α)の形成方法としては、特に限定されないが、例えば、水系溶媒又は有機溶剤系溶媒中に塗膜(α)の構成成分を含有する塗料組成物をめっき鋼材上に塗布し、加熱乾燥することで形成することができる。水系溶媒を用いた塗料組成物(以後、「水系塗料」と略す。)を用いると、有機溶剤系溶媒を用いた塗料組成物(以後、「有機溶剤系塗料」と略す。)を使用するための塗装専用ラインを余分に通板する必要がなくなるため、製造コストを大幅に削減することが可能である上に、揮発性有機化合物(VOC)の排出も大幅に抑制できる等の環境面におけるメリットもあるため、水系塗料を用いることが好ましい。ここで、水系塗料において用いられる水系溶媒とは、水が溶媒の主成分である溶媒であることを意味する。溶媒中に占める水の量は50質量%以上であることが好ましい。水以外の溶媒は有機溶剤系溶媒でもよいが、労働安全衛生法有機溶剤中毒予防規則で定義される有機溶剤含有物(労働安全衛生法施行令の別表第六の二に掲げられた有機溶剤を重量の5%を超えて含有するもの)には該当しないものであることがより好ましい。また、有機溶剤系溶媒とは、有機溶剤が溶媒の主成分である溶媒であることを意味する。

0046

塗膜(α)を形成するための塗料組成物は、特定の方法に限定されず、任意の方法で得ることができる。一例として、好ましい塗料組成物を例に説明すれば、分散媒である水系溶媒又は有機溶剤系溶媒中に塗膜(α)の構成成分を添加し、ディスパー攪拌し、溶解又は分散する方法が挙げられる。分散媒が水系溶媒の場合、各構成成分の溶解性又は分散性を向上させるために、必要に応じて、公知の親水性溶剤等、例えば、エタノール、イソプロピルアルコールt−ブチルアルコール及びプロピレングリコールなどのアルコール類や、エチレングリコールモノブチルエーテルエチレングリコールモノエチルエーテルなどのセロソルブ類や、酢酸エチル酢酸ブチルなどのエステル類や、アセトンメチルエチルケトン及びメチルイソブチルケトンなどのケトン類を添加してもよい。

0047

上記塗料組成物のめっき鋼材への塗布方法としては、特に制限されることなく、公知の任意の方法を用いることができる。例えば、塗布方法として、ロールコート、カーテン塗装スプレー塗布、バーコート、浸漬、静電塗布などを利用可能である。

0048

塗料組成物から塗膜(α)を形成する際の加熱乾燥方法としては、特に制限されることなく、任意の方法で行うことができる。例えば、塗料組成物を塗布する前に予めめっき鋼材を加熱しておくか、塗布後にめっき鋼材を加熱するか、あるいはこれらを組み合わせて乾燥を行うことができる。加熱方法にも特に制限はなく、熱風誘導加熱近赤外線直火等を単独又は組み合わせて使用して、塗料組成物を乾燥させて焼付けることができる。乾燥焼付温度は、到達板温で100℃〜250℃であることが好ましく、120℃〜230℃であることが更に好ましく、130℃〜220℃であることが最も好ましい。到達板温が100℃未満であると、塗膜の造膜が不十分で、耐食性、耐傷付き性、耐汚染性が低下することがあり、250℃超であると、焼付硬化が過剰になり、耐食性が低下することがある。乾燥焼付時間(加熱時間)は1秒〜60秒であることが好ましく、3秒〜20秒であることが更に好ましい。乾燥焼付時間が1秒未満であると、塗膜の造膜が不十分で、耐食性、耐傷付き性、耐汚染性が低下することがあり、60秒超であると、生産性が低下する。

0049

次に実施例により本発明をさらに詳細に説明する。
(実施例I)
表1に示す成分の鋼を通常の転炉真空脱ガス処理により溶製し、鋼片とした後、通常の条件で熱間圧延冷延を行い、冷延鋼板1(板厚0.8mm)を得た。また、一部1240℃に加熱保持した後、熱延仕上げ温度860℃、巻き取り温度650℃の条件で熱間圧延し、その後酸洗した後冷間圧延を行い、冷延鋼板a2(板厚0.8mm)を得た。これらを材料として、脱脂、酸洗の後、両面に電気Zn−Niめっき(Ni含有率:11質量%、付着量:20g/m2)を行った。こうして製造しためっき鋼板に、表7に示す組成クロメートフリー処理液ロールコーターにより所定の付着量塗布し、150℃の温風にて焼付乾燥を行うことで塗膜を形成した。クロメートフリー処理液は、表2に示す有機樹脂(A)と表3に示す有機ケイ素化合物(B)と、表4に示すリン酸化合物(C)と、表5に示すTi化合物(D)と、表6に示すV化合物(E)と、表7及び下記製造例1に示すパーフルオロアルキル基を有する(メタ)アクリレートに基づく重合単位を含む重合体(F)と、表8に示す潤滑剤(G)を、表9に示す配合量(固形分の質量%)で配合し、塗料用分散機を用いて攪拌することで調製した。こうして製造した各種表面処理鋼板の燃料タンクとしての適性を、下記に示す方法により評価した。

0050

表3の有機ケイ素化合物(B)は、同表に示した原料シランカップリング剤B1とB2の加水分解縮合により調製した。

0051

〔パーフルオロアルキル基を有する(メタ)アクリレートに基づく重合単位を含む重合体(F)の製造(製造例1)〕
各単量体(C6FMA:75質量%、DEAEMA:15質量%、MAEO9:10質量%)、重合開始剤AIP、及び有機溶剤MIBKを混合し、窒素置換した後、65℃で16時間攪拌しながら重合反応を行い、固形分濃度20質量%の重合体溶液を得た。得られた重合体溶液に水及び酢酸を添加し、15分間攪拌し、乳化分散させた。次いで、減圧条件下にて65℃で有機溶剤を留去した後、固形分濃度20質量%になるよう水を加え、パーフルオロアルキル基を有する(メタ)アクリレートに基づく重合単位を含む重合体の水分散液を得た。上記略号は以下の意味を示す。
C6FMA:CH2=C(CH3)COOC2H4C6F13
DEAEMA:N,N−ジエチルアミノエチルメタクリレート
MAEO9:CH2=C(CH3)COO(C2H4O)nCH3(nの平均値は9)
AIP:2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イルプロパン
MIBK:メチルイソブチルケトン

0052

0053

0054

0055

0056

0057

0058

0059

0060

0061

(1)耐ガソリン性
ガソリンに対する耐食性を評価した。方法は油圧成型試験機によりフランジ幅20mm、直径50mm、深さ25mmの平底円筒深絞りした試料に、試験液を入れて、シリコンゴム製リングを介してガラスで蓋をした。この試験後の腐食状況目視観察した。
(試験条件)
試験液:ガソリン+蒸留水10%+ギ酸100ppm
試験期間:40℃で3ヶ月放置
(評価基準)
4:変化無し
3:白錆発生0.1%以下
2:赤錆発生5%以下、または白錆発生0.1%超、50%以下
1:赤錆発生5%超または白錆顕著

0062

(2)耐食性
外面側を模擬した促進試験として、塩水噴霧に対する耐食性を評価した。70×150mmの試験片をJIS Z 2274に準じる試験機で評価し、5%塩水を120h噴霧した後の錆発生率で評価した。
(評価基準)
4:錆発生3%未満
3:錆発生3%以上10%未満
2:錆発生10%以上30%未満
1:錆発生30%以上

0063

(3)加工性
油圧成形試験機により、直径50mmの円筒ポンチを用いて、絞り比2.3で成形試験を行った。このときのしわ抑え圧は500kgで行い、成形性の評価は次の指標によった。
(評価基準)
4:成形可能で、めっき層の欠陥なし。
3:成形可能で、めっき層にわずかに疵発生。
2:成形可能で、めっき層に剥離発生
1:成形不可。

0064

(4)溶接性
溶接性はスポット溶接連続打点性シーム溶接性により評価した。
(スポット溶接)
径6mmの電極を用い、溶接電流10kA、加圧力200kg、溶接時間2サイクルでスポット溶接を行い、ナゲット径が4√tを切った時点までの連続打点数を評価した。
(評価基準)
4:連続打点1000点以上
3:連続打点500〜1000点未満
2:連続打点250〜500点未満
1:連続打点250点未満
(シーム溶接)
R6mm−φ250mmの電極輪を用い、溶接電流13kA、加圧力400kg、通電2on−2offで10mのシーム溶接を行った後、JIS Z 3141に示す試験片を作製し、漏れ試験を実施した。
(評価基準)
評点4:漏れ無し
評点3:漏れ無いが、溶接部表面がやや荒れているもの
評点2:漏れ無いが、溶接部表面に割れなどの欠陥が発生しているもの
評点1:漏れ発生

0065

(5)塗装性
メラミンアルキッド系塗料を焼付け乾燥後膜厚が25μmとなるようにバーコートで塗布し、120℃で20分焼付けた後、1mm碁盤目にカットし、密着性の評価を残個数割合(残個数カット数:100個)にて行った。
(評価基準)
4=100%
3=95%以上
2=90%以上95%未満
1=90%未満

0066

評価試験の結果を表10に示す。

0067

0068

表10に示すように、本発明の実施例は、いずれも良好な抵抗溶接性、加工性、塗装性、耐食性、耐ガソリン性を示し、燃料タンク素材として十分使用に耐えうる性能を示す。

0069

(実施例II)
表10に示す実施例1〜25について、めっきを片面とし、他は実施例Iと同様に処理して性能評価を実施した。試験はめっき面側を内面側として評価した耐ガソリン性)、耐食性、塗装性を評価した結果、表10に示す性能と同様の結果が得られた。また、めっき面の向きによらず、加工性は表10と同等の結果であった。また、スポット溶接性、シーム溶接性については、板の組合せをめっき面を内面側と仮定して溶接試験を行った結果、いずれも評点4の良好な結果が得られた。

実施例

0070

以上、片面の場合でも、両面の場合と同様、良好な耐食性、加工性、溶接性、塗装性を示し、燃料タンク素材として十分使用に耐えうる性能を示す。

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