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技術 エポキシ樹脂組成物、エポキシ樹脂半硬化組成物、半導体装置、及び複合材

出願人 旭化成株式会社学校法人関西大学
発明者 山本久尚倉谷美由紀
出願日 2016年3月8日 (4年0ヶ月経過) 出願番号 2016-044748
公開日 2017年9月14日 (2年6ヶ月経過) 公開番号 2017-160306
状態 未査定
技術分野 強化プラスチック材料 高分子組成物 エポキシ樹脂 半導体又は固体装置の封緘,被覆構造と材料
主要キーワード アルミナ複合材 レーザー回折式粒子径分布測定装置 配合段階 自転公転ミキサー 液晶性エポキシ樹脂 カテコールノボラック 変位振幅 トゥルー
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重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2017年9月14日)のものです。
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課題

流動性に優れ、熱伝導率の高い硬化物が得られる、エポキシ樹脂組成物、その半硬化組成物、これらを用いた半導体装置、及び複合材を提供する。

解決手段

所定の構造を有し、融点が110℃以下であるエポキシ樹脂と、硬化剤と、 α−アルミナと、を、含有する、エポキシ樹脂組成物。

概要

背景

ダイオードトランジスタ集積回路等の電気電子部品や、半導体装置等の絶縁材料としては、従来から、エポキシ樹脂が広く使用されている。
近年、これらの機器の小型化に伴って発熱量が増大しているため、絶縁材料の熱放散を高めること、すなわち熱伝導率を高めることが重要な課題となっている。
一般に、エポキシ樹脂は、熱伝導率が無機材料に比較して低いため、熱伝導率を向上するために熱伝導率の大きい結晶シリカ窒化珪素窒化アルミニウム球状アルミナ粉末等の無機充填材をエポキシ樹脂に含有させるなどの技術が開示されている(例えば、特許文献1、2参照)。

しかしながら、エポキシ樹脂に対する無機充填材の含有率を上げていくと、成形時に粘度が上昇し、それとともに流動性が低下し、成形性が損なわれるという問題が生じる。
そこで、熱伝導率の高い液晶性エポキシ樹脂を用いる試みがなされており、無機充填材としてα−アルミナを用いた場合に高い熱伝導率が発現されることが報告されている(例えば、特許文献3、4参照)。
これは、α−アルミナの表面と液晶性エポキシ樹脂との相互作用の結果、α−アルミナの表面において液晶性エポキシ樹脂の分子骨格が高度に配向するという機構によるものである(例えば、特許文献4参照)。
しかしながら、一般に液晶性エポキシ樹脂は融点が高いため、エポキシ基硬化反応が進行するような高温条件下で無機充填材と配合する必要があるので、無機充填材の配合段階でエポキシ樹脂が硬化してしまい、均一な硬化物が得られないという問題がある。たとえ巨視的に均一な硬化物が得られる場合であっても、溶融時の粘度が高く流動性に乏しいために、無機充填材との界面が充分に密着しなかったり、高温で硬化してしまったりするため、硬化段階でのエポキシ樹脂の分子運動激しく無機充填材による分子の配列促進効果が十分に発揮されず、その結果、十分な高熱伝導率化が達成されていないという問題がある。
一方、液晶性エポキシ樹脂のエポキシ基の硬化反応が進行しない温和な温度で無機充填材を配合した場合、液晶性エポキシ樹脂が固化あるいは結晶化してしまい、流動性が低下して工業的に使用することができないという問題を生じる。
また、エポキシ樹脂組成物有機溶媒を加えることでエポキシ樹脂組成物の粘度を低下させたり、さらに低温で硬化させたりすることにより、高い熱伝導率を有するエポキシ樹脂硬化物を得る技術も開示されている(例えば、特許文献4参照)。

概要

流動性に優れ、熱伝導率の高い硬化物が得られる、エポキシ樹脂組成物、その半硬化組成物、これらを用いた半導体装置、及び複合材を提供する。所定の構造を有し、融点が110℃以下であるエポキシ樹脂と、硬化剤と、 α−アルミナと、を、含有する、エポキシ樹脂組成物。なし

目的

本発明においては、上述した従来技術の問題点に鑑み、融点が低く、有機溶媒に対する溶解度の高い液晶性エポキシ樹脂と、α−アルミナとを含み、エポキシ樹脂とα−アルミナとの相互作用がより顕著に発現され、流動性が高く加工性に優れ、高熱伝導率化が図られた硬化物が得られるエポキシ樹脂組成物、その半硬化組成物、これらを用いた半導体装置、及び複合材を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

下記一般式(1)で表され、融点が110℃以下であるエポキシ樹脂と、硬化剤と、α−アルミナと、を、含有する、エポキシ樹脂組成物。(一般式(1)中、MSは下記一般式(2)を示す。Gは、それぞれ独立して下記一般式(5)で示される1価の有機基を表す。SP1及びSP2はそれぞれ独立して下記一般式(3)又は一般式(4)で示される2価の有機基を表す。)(一般式(2)中、R1及びR2は、それぞれ独立して水素原子又は炭素数1以上4以下の飽和若しくは不飽和の炭化水素基を表す。)(一般式(3)中、pは1以上10以下の整数である。)(一般式(4)中、R3はそれぞれ独立して炭素数1以上4以下の飽和若しくは不飽和の炭化水素基を表し、qは1以上10以下の整数である。)(一般式(5)中、R4は、水素原子又は炭素数1以上3以下の炭化水素基を表す。)

請求項2

前記α−アルミナの粒子比表面積が0.1m2/g以上3.0m2/g以下であり、平均粒子径(D50)が0.1μm〜100μmである、請求項1に記載のエポキシ樹脂組成物。

請求項3

前記エポキシ樹脂が、下記式(6)で表される化合物である、請求項1又は2に記載のエポキシ樹脂組成物。

請求項4

前記硬化剤が、アミン化合物である、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のエポキシ樹脂組成物。

請求項5

前記硬化剤が、隣接水酸基を有するフェノール系硬化剤である、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のエポキシ樹脂組成物。

請求項6

前記エポキシ樹脂中のエポキシ基と、前記硬化剤の官能基とが、エポキシ基基準で5%〜80%反応しているエポキシ樹脂半硬化組成物に、前記α−アルミナが配合されている、請求項1に記載のエポキシ樹脂組成物。

請求項7

請求項1乃至5のいずれか一項に記載のエポキシ樹脂組成物中の前記エポキシ樹脂と前記硬化剤とが、エポキシ基基準で5%〜80%反応しているエポキシ樹脂半硬化組成物。

請求項8

請求項1乃至6のいずれか一項に記載のエポキシ樹脂組成物、又は請求項7に記載のエポキシ樹脂半硬化組成物によって封止されている、半導体装置

請求項9

請求項1乃至6のいずれか一項に記載のエポキシ樹脂組成物、又は請求項7に記載のエポキシ樹脂半硬化組成物が、繊維状基材含浸されている、複合材

技術分野

背景技術

0002

ダイオードトランジスタ集積回路等の電気電子部品や、半導体装置等の絶縁材料としては、従来から、エポキシ樹脂が広く使用されている。
近年、これらの機器の小型化に伴って発熱量が増大しているため、絶縁材料の熱放散を高めること、すなわち熱伝導率を高めることが重要な課題となっている。
一般に、エポキシ樹脂は、熱伝導率が無機材料に比較して低いため、熱伝導率を向上するために熱伝導率の大きい結晶シリカ窒化珪素窒化アルミニウム球状アルミナ粉末等の無機充填材をエポキシ樹脂に含有させるなどの技術が開示されている(例えば、特許文献1、2参照)。

0003

しかしながら、エポキシ樹脂に対する無機充填材の含有率を上げていくと、成形時に粘度が上昇し、それとともに流動性が低下し、成形性が損なわれるという問題が生じる。
そこで、熱伝導率の高い液晶性エポキシ樹脂を用いる試みがなされており、無機充填材としてα−アルミナを用いた場合に高い熱伝導率が発現されることが報告されている(例えば、特許文献3、4参照)。
これは、α−アルミナの表面と液晶性エポキシ樹脂との相互作用の結果、α−アルミナの表面において液晶性エポキシ樹脂の分子骨格が高度に配向するという機構によるものである(例えば、特許文献4参照)。
しかしながら、一般に液晶性エポキシ樹脂は融点が高いため、エポキシ基硬化反応が進行するような高温条件下で無機充填材と配合する必要があるので、無機充填材の配合段階でエポキシ樹脂が硬化してしまい、均一な硬化物が得られないという問題がある。たとえ巨視的に均一な硬化物が得られる場合であっても、溶融時の粘度が高く流動性に乏しいために、無機充填材との界面が充分に密着しなかったり、高温で硬化してしまったりするため、硬化段階でのエポキシ樹脂の分子運動激しく無機充填材による分子の配列促進効果が十分に発揮されず、その結果、十分な高熱伝導率化が達成されていないという問題がある。
一方、液晶性エポキシ樹脂のエポキシ基の硬化反応が進行しない温和な温度で無機充填材を配合した場合、液晶性エポキシ樹脂が固化あるいは結晶化してしまい、流動性が低下して工業的に使用することができないという問題を生じる。
また、エポキシ樹脂組成物に有機溶媒を加えることでエポキシ樹脂組成物の粘度を低下させたり、さらに低温で硬化させたりすることにより、高い熱伝導率を有するエポキシ樹脂硬化物を得る技術も開示されている(例えば、特許文献4参照)。

先行技術

0004

特開平11−147936号公報
特開2002−309067号公報
特開2008−13759号公報
国際公開第2013−65159号

発明が解決しようとする課題

0005

しかしながら、一般的に、液晶性エポキシ樹脂は、有機溶媒に対する溶解性が低い傾向にあり、使用できる溶媒が限られていたり、その溶解度が低い傾向にあり、未だ、十分な高熱伝導率化の効果が得られていないのが現状である。

0006

そこで本発明においては、上述した従来技術の問題点に鑑み、融点が低く、有機溶媒に対する溶解度の高い液晶性エポキシ樹脂と、α−アルミナとを含み、エポキシ樹脂とα−アルミナとの相互作用がより顕著に発現され、流動性が高く加工性に優れ、高熱伝導率化が図られた硬化物が得られるエポキシ樹脂組成物、その半硬化組成物、これらを用いた半導体装置、及び複合材を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0007

本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を行った結果、所定の構造を有するエポキシ樹脂と、硬化剤と、α−アルミナとを含有するエポキシ樹脂組成物が、上述した従来技術の課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下の通りである。

0008

〔1〕
下記一般式(1)で表され、融点が110℃以下であるエポキシ樹脂と、
硬化剤と、
α−アルミナと、
を、含有する、
エポキシ樹脂組成物。

0009

0010

(一般式(1)中、MSは下記一般式(2)を示す。
Gは、それぞれ独立して下記一般式(5)で示される1価の有機基を表す。
SP1及びSP2はそれぞれ独立して下記一般式(3)又は一般式(4)で示される2価の有機基を表す。)

0011

0012

(一般式(2)中、R1及びR2は、それぞれ独立して水素原子又は炭素数1以上4以下の飽和若しくは不飽和の炭化水素基を表す。)

0013

0014

(一般式(3)中、pは1以上10以下の整数である。)

0015

0016

(一般式(4)中、R3はそれぞれ独立して炭素数1以上4以下の飽和若しくは不飽和の炭化水素基を表し、qは1以上10以下の整数である。)

0017

0018

(一般式(5)中、R4は、水素原子又は炭素数1以上3以下の炭化水素基を表す。)

0019

〔2〕
前記α−アルミナの粒子比表面積が0.1m2/g以上3.0m2/g以下であり、平均粒子径(D50)が0.1μm〜100μmである、
前記〔1〕に記載のエポキシ樹脂組成物。
〔3〕
前記エポキシ樹脂が、下記式(6)で表される化合物である、前記〔1〕又は〔2〕に記載のエポキシ樹脂組成物。

0020

0021

〔4〕
前記硬化剤が、アミン化合物である、
前記〔1〕乃至〔3〕のいずれか一に記載のエポキシ樹脂組成物。
〔5〕
前記硬化剤が、隣接水酸基を有するフェノール系硬化剤である、
前記〔1〕乃至〔3〕のいずれか一に記載のエポキシ樹脂組成物。
〔6〕
前記エポキシ樹脂中のエポキシ基と、前記硬化剤の官能基とが、エポキシ基基準で5%〜80%反応しているエポキシ樹脂半硬化組成物に、
前記α−アルミナが配合されている、
前記〔1〕に記載のエポキシ樹脂組成物。
〔7〕
前記〔1〕乃至〔5〕のいずれか一に記載のエポキシ樹脂組成物中の前記エポキシ樹脂と前記硬化剤とが、エポキシ基基準で5%〜80%反応しているエポキシ樹脂半硬化組成物。
〔8〕
前記〔1〕乃至〔6〕のいずれか一に記載のエポキシ樹脂組成物、又は前記〔7〕に記載のエポキシ樹脂半硬化組成物によって封止されている、半導体装置。
〔9〕
前記〔1〕乃至〔6〕のいずれか一に記載のエポキシ樹脂組成物、又は前記〔7〕に記載のエポキシ樹脂半硬化組成物が、繊維状基材含浸されている、複合材。

発明の効果

0022

本発明によれば、流動性に優れ、熱伝導率の高い硬化物が得られる、エポキシ樹脂組成物、その半硬化組成物、これらを用いた半導体装置、及び複合材を提供することができる。

0023

以下、本発明を実施するための形態(以下、単に「本実施形態」という。)について詳細に説明する。
以下の本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明を以下の内容に限定する趣旨ではない。本発明は、その要旨の範囲内で適宜変形して実施することができる。

0024

〔エポキシ樹脂組成物〕
本実施形態のエポキシ樹脂組成物は、
下記一般式(1)で表され、融点が110℃以下であるエポキシ樹脂と、
硬化剤と、
α−アルミナと、
を、含有する、
エポキシ樹脂組成物である。

0025

0026

一般式(1)中、MSは下記一般式(2)を示す。
Gは、それぞれ独立して下記一般式(5)で示される1価の有機基を表す。
SP1及びSP2はそれぞれ独立して下記一般式(3)又は一般式(4)で示される2価の有機基を表す。)

0027

0028

一般式(2)中、R1及びR2は、それぞれ独立して水素原子又は炭素数1以上4以下の飽和若しくは不飽和の炭化水素基を表す。

0029

0030

一般式(3)中、pは1以上10以下の整数である。

0031

0032

一般式(4)中、R3はそれぞれ独立して炭素数1以上4以下の飽和若しくは不飽和の炭化水素基を表し、qは1以上10以下の整数である。

0033

0034

一般式(5)中、R4は、水素原子又は炭素数1以上3以下の炭化水素基を表す。

0035

前記一般式(2)中のR1及びR2は、それぞれ独立して水素原子又は炭素数1以上4以下の飽和若しくは不飽和の炭化水素基を表す。
R1及びR2は、その炭素数が小さいほど、本実施形態において用いるエポキシ樹脂の硬化物を構成する分子鎖規則性が高まる傾向にあり、その結果、熱伝導率の高い硬化物が得られる傾向にあるので好ましく、水素が最も好ましい。

0036

前記一般式(3)中のpは1以上10以下の整数である。
pの値が10以下であることにより、本実施形態のエポキシ樹脂組成物の硬化物を構成する分子鎖の配列性とメチルスチルベン骨格の配置の規則性が高くなる傾向にあり、十分に熱伝導率の高い硬化物が得られる。
pが1以上であることにより、融点が高くなることを抑制でき、本実施形態のエポキシ樹脂組成物において、良好な加工性が得られる。
そのような観点からpは、1以上5以下が好ましく、より好ましくは1である。

0037

前記一般式(4)中のR3は、それぞれ独立して炭素数1以上4以下の飽和若しくは不飽和の炭化水素基を表す。
R3の炭素数が4以下であることにより、本実施形態のエポキシ樹脂組成物の硬化物の硬化物を構成する分子鎖の配列性とメチルスチルベン骨格の配置の規則性が高まる傾向にあり、熱伝導率が高い硬化物が得られる。
一般式(4)中のqは1以上10以下の整数である。
qの値が10以下であることにより、本実施形態のエポキシ樹脂組成物の硬化物硬化物を構成する分子鎖の配列性が高まる傾向にある。
qが1以上であることにより、融点が高くなることを抑制でき、優れた加工性のエポキシ樹脂組成物が得られる。そのような観点からqは1以上3以下が好ましく、より好ましくは1である。

0038

前記一般式(5)中のR4は、水素原子又は炭素数1以上3以下の炭化水素基を表す。
R4が、炭化水素基である場合、当該炭化水素基の炭素数が大きいほど本実施形態のエポキシ樹脂組成物を硬化して得られる硬化物の耐水性が向上するが、エポキシ樹脂の融点が比較的上昇する傾向にある。
そのような観点から、前記式(5)中のR4は、水素原子又は炭素数が1の炭化水素基であることが好ましく、より好ましくは水素原子である。

0039

(融点)
本実施形態のエポキシ樹脂組成物に使用されるエポキシ樹脂は、融点が110℃以下である。
エポキシ樹脂の融点が低いほど、後述する硬化剤と加熱混合する際に、低温で混合することが可能となり、反応中の分子鎖の配向性と規則性が高まるとともに、エポキシ樹脂とα−アルミナを混合した際、α−アルミナの表面が十分に濡れるため好ましい。
このような観点から、本実施形態のエポキシ樹脂組成物に用いるエポキシ樹脂の融点は、好ましくは100℃以下、より好ましくは80℃以下である。
本実施形態のエポキシ樹脂組成物に用いるエポキシ樹脂の融点は、後述の実施例に記載の方法により測定することができる。
上記のような観点から、下記式(6)に示すエポキシ樹脂が好ましい。

0040

0041

(α−アルミナ)
本実施形態のエポキシ樹脂組成物に使用されるα−アルミナは、比表面積が0.1m2/g以上3.0m2/g以下であることが好ましい。
α−アルミナの比表面積が0.1m2/g以上であると、エポキシ樹脂中の分子鎖の配向性と規則性が十分に高まり、3.0m2/g以下であると、エポキシ樹脂組成物の粘度が高くなり過ぎず、良好な加工性が得られる傾向にある。
このような観点から、α−アルミナのより好ましい比表面積は、0.4m2/g以上2.0m2/g以下であり、さらに好ましくは1.0m2/g以上1.5m2/g以下である。
また、本実施形態のエポキシ樹脂組成物に使用されるα−アルミナは、レーザー回折法を用いて測定される粒子径分布において、重量累積分布小粒径側からの累積50%に対応する平均粒子径(D50)が0.1μm〜100μmであることが好ましい。
前記平均粒子径(D50)が0.1μm以上の場合は、本実施形態のエポキシ樹脂組成物の粘度が高くなることを抑制でき、良好な加工性が得られる傾向にあり、100μm以下であると、本実施形態のエポキシ樹脂組成物で封止する基材にエポキシ樹脂組成物が十分浸透する。
このような観点から、より好ましいα−アルミナのD50は1.0μm〜50μmであり、さらに好ましくは10μm〜20μmである。

0042

(硬化剤)
本実施形態のエポキシ樹脂組成物に用いる硬化剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、アミン系硬化剤、フェノール系硬化剤、酸無水物系硬化剤触媒系硬化剤、光触媒系硬化剤等が挙げられる。

0043

<アミン系硬化剤>
アミン系硬化剤としては、アミン化合物が好ましいものとして挙げられる。
アミン化合物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、脂肪族アミン芳香族アミンが挙げられる。
芳香族アミンは剛直なフェニル基を有するため、ネットワーク分子鎖の運動性が低く、耐熱性が高い傾向にあるのでより好ましい。
芳香族アミンとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、o−キシレンジアミンm−キシレンジアミンp−キシレンジアミン、2,4−ジアミノジフェニルメタン、4,4'−ジアミノジフェニルメタン、4,4'−ジアミノジフェニルエタン、4,4'−ジアミノジフェニルスルホン、4,4'−ジアミノジフェニルエーテル、4,4'−ジアミノジフェニルエステルモノアリルジアミノジフェニルメタン、ジアリルジアミノジフェニルメタン、スルファニルアミド等が挙げられる。
これらの中で、4,4'−ジアミノジフェニルメタン、4,4'−ジアミノジフェニルエタン、p−キシリレンジアミンが、上述のエポキシ樹脂との相溶性が高いため、均一な硬化物が得られるので好ましく、特に、4,4'−ジアミノジフェニルエタンは2つのフェニル基がほぼ平面状になるため、より配向性が高く熱伝導率と耐熱性の高い硬化物が得られる傾向にあるのでより好ましい。

0044

脂肪族アミンは粘度が低い傾向にあるため、α−アルミナの充填率を高めることができる傾向にあり、また反応性が高く低温で硬化でき配向性の高い硬化物が得られる傾向にあるため、好ましい。
脂肪族アミンとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、エチレンジアミンジアミノプロパンジアミノブタンジアミノペンタンヘキサメチレンジアミン、1,2−シクロヘキサンジアミン、1,3−シクロヘキサンジアミン、1,4−シクロヘキサンジアミン、トリエチレンテトラミン、o−キシリレンジアミン、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン等が挙げられる。
脂肪族アミンとしては、ジアミノプロパン、1,4−シクロヘキサンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、p−キシリレンジアミンが上述のエポキシ樹脂との相溶性が高いため均一な硬化物を与えるので好ましい。特にジアミノプロパン及び1,4−シクロヘキサンジアミンが、配向強度が高く、その結果、機械的強度と熱伝導率が高い硬化物が得られるので好ましい。
本実施形態のエポキシ樹脂組成物における、上述したアミン系硬化剤の含有量は特に制限されないが、エポキシ樹脂中のエポキシ基1モルに対して窒素原子に結合した活性水素比率が0.7〜1.5モルであることが好ましく、より好ましくは0.9〜1.2モルである。

0045

<フェノール系硬化剤>
フェノール系硬化剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、フェノールノボラッククレゾールノボラックカテコールノボラックレゾルシノールノボラックピロガロール、及びピロガロール誘導体等が挙げられる。
フェノール系硬化剤としては、オルト位又はメタ位に隣接する水酸基を有するフェノール系硬化剤が好ましい。
前記オルト位又はメタ位に隣接する水酸基を有するフェノール系硬化剤としては、例えば、カテコールノボラック、レゾルシノールノボラック、ピロガロール、ピロガロール誘導体が挙げられ、レゾルシノールノボラックは軟化点が低い傾向にあるので取扱い性に優れており、より配向度と熱伝導率の高い硬化物となる傾向にあるため好ましい。
本実施形態のエポキシ樹脂組成物において、上記フェノール系硬化剤の配合量は、耐熱性が高く、吸水率が低くなるという観点から、エポキシ樹脂中のエポキシ基1モルに対してフェノール性水酸基が0.8〜1.3モルであることが好ましく、より好ましくは0.9〜1.2モル、さらに好ましくは1.0〜1.1モルである。

0046

<酸無水物系硬化剤>
酸無水物系硬化剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、メチルテトラヒドロ無水フタル酸メチルヘキサヒドロ無水フタル酸ヘキサヒドロ無水フタル酸無水トリメリット酸無水ピロメリット酸等が挙げられる。
酸無水物系硬化剤としては、粘度が低く、耐熱性が高い硬化物が得られる観点から、メチルテトラヒドロ無水フタル酸が特に好ましい。
本実施形態のエポキシ樹脂組成物において、酸無水物系硬化剤の配合量は、耐熱性が高く吸水率が低くなるという観点から、エポキシ樹脂中のエポキシ基1モルに対して酸無水物が0.7〜1.2モルであることが好ましく、より好ましくは0.75〜1.1モル、さらに好ましくは0.8〜1.0モルである。

0047

<触媒系硬化剤>
触媒系硬化剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、三フッ化ほう素、三フッ化ほう素−アミン錯体芳香族スルホニウム塩ジアゾニウム塩芳香族ヨードニウム塩等のカチオン系硬化触媒;1−メチルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール系触媒ジアザビシクロウンデセン(DBU)、ジアザビシクロオクタン(DABCO)、キヌクリジントリブチルアミンベンジルジメチルアミンジメチルアミノピリジン等の三級アミン化合物が挙げられる。
本実施形態のエポキシ樹脂組成物において、これらの触媒系硬化剤の含有量は、エポキシ樹脂100質量部に対して0.0001〜10質量部であることが好ましく、0.01〜1質量部であることがより好ましい。

0048

〔エポキシ樹脂半硬化組成物〕
本実施形態のエポキシ樹脂半硬化組成物は、エポキシ樹脂が硬化剤と、エポキシ基基準で5%〜80%反応したものである。
本実施形態のエポキシ樹脂半硬化組成物は、上述したエポキシ樹脂と硬化剤とを、後述する有機溶媒存在下又は不存在下で、エポキシ基基準で5%〜80%反応させることにより得られる。
本実施形態のエポキシ樹脂組成物は、前記エポキシ樹脂半硬化組成物に、α−アルミナを配合することにより得ることもできる。

0049

本実施形態のエポキシ樹脂組成物を構成するエポキシ樹脂と硬化剤は、通常、反応の前後及び反応の過程において、均一な組成を形成しているが、反応過程において生成する中間体が結晶化して不均一となることがある。そのようなケースにおいては、必要に応じて溶媒で希釈した後、エポキシ基の一部を反応させ半硬化させた後に有機溶媒を除去することで、実質的に有機溶媒を含まないエポキシ樹脂組成物を調製することができる。
そのような観点から、本実施形態のエポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂と硬化剤とを、必要に応じて有機溶媒で希釈した後、エポキシ基基準で5%〜80%、好ましくは10%〜60%、より好ましくは20%〜50%反応させた後に、有機溶媒を蒸発等により除去し、その後、さらに硬化させることにより、より熱伝導率の高い硬化物が形成される傾向にある。
また上述した観点から、エポキシ樹脂と硬化剤とを有機溶媒の存在下でエポキシ基基準で5%〜80%、好ましくは10%〜60%、より好ましくは20%〜50%反応させた後に、有機溶媒を蒸発等により除去し、α−アルミナを配合し、その後硬化させることにより、より熱伝導率の高い硬化物が形成される傾向にある。

0050

また、エポキシ樹脂、硬化剤、及びα−アルミナを、必要に応じて溶媒で希釈した後、所定の繊維状基材に塗布、若しくは含浸させた後、塗布もしくは含浸された基材を加熱して半硬化させることにより、本実施形態のエポキシ樹脂組成物又はエポキシ樹脂半硬化組成物が繊維状基材に含浸された、プリプレグ等の複合材を製造することができる。
前記繊維状基材としては、例えば、ガラス繊維織布等の無機質繊維の織布、若しくは不織布、ポリエステル等の有機質繊維の織布、若しくは不織布等が挙げられる。
かかるプリプレグ等の複合材を用い、通常の方法により、積層板等を容易に製造することができる。

0051

上記の半硬化過程で使用される有機溶媒としては、エポキシ樹脂組成物の硬化反応を阻害しないものであればよく、特に限定されるものではないが、例えば、ベンゼントルエンキシレン等の炭化水素系溶媒メタノールエタノールプロパノールブタノールエチレングリコールプロピレングリコール2−ブタノール2−ペンタノール、3−ペンタノール、2−ヘキサノール、3−ヘキサノール、2−ヘプタノール3−ヘプタノール、2−オクタノール、4−デカノール、2−ドデカノール、3−メチル−2−ブタノール、3,3−ジメチル-2−ブタノール、3−メチル−2−ペンタノール、5−メチル−2−ヘキサノール、4−メチル−3−ヘプタノール、2−メチル−2−プロパノール、2−メチル−2−ブタノール、2,3−ジメチル−2−ブタノール、2−メチル−2−ペンタノール、3−メチル−3−ペンタノール、3−エチル−3−ペンタノール、2,3−ジメチル−3−ペンタノール、3−エチル−2,2−ジメチル−3−ペンタノール、2−メチル−2−ヘキサノール、3,7−ジメチル−3−オクタノール等のアルコール溶媒アセトンメチルエチルケトンメチルイソブチルケトンペンタノン等のケトン溶媒;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンアセトニトリルベンゾニトリルジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶媒ジエチルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、1,4−ジオキサンテトラヒドロフランアニソール等のエーテル溶媒が挙げられる。
これらの有機溶媒の中でも、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、N,N−ジメチルホルムアミドが結晶性中間体の析出抑制効果が顕著であるとともに、該有機溶媒を蒸発により容易に除去できる観点から特に好ましい。

0052

〔その他の材料〕
添加剤
本実施形態のエポキシ樹脂組成物は、本発明の目的を損なわない範囲で、さらに、所定の添加剤を含有してもよい、
添加剤としては、例えば、硬化促進剤、α−アルミナと異なる無機充填剤カップリング剤着色剤シリコーンオイルシリコーンゴム天然ワックス合成ワックス高級脂肪酸又はその金属塩離型剤酸化防止剤等が挙げられる。
硬化促進剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、触媒系硬化剤として上記に例示した化合物;トリフェニルホスフィントリブチルホスフィントリエチルホスフィン等のホスフィン類n−ブチルトリフェニルホスホニウムブロマイド等のホスホニウム塩が挙げられる。
また、本実施形態のエポキシ樹脂組成物において、硬化促進剤の含有量はエポキシ樹脂100質量部に対して、0.01〜10質量部であることが好ましく、0.05〜6質量部であることがより好ましい。
α−アルミナと異なる無機充填剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、球状あるいは破砕状溶融シリカ、結晶シリカ等のシリカ粉末マイカタルク炭酸カルシウムアルミニウム、アルミナ、水和アルミナアスベスト酸化マグネシウム珪藻土グラファイト窒化ホウ素、窒化アルミニウム、炭化ケイ素窒化ケイ素等が挙げられる。

0053

<その他のエポキシ樹脂>
本実施形態のエポキシ樹脂組成物には、目的を損なわない範囲において、必要に応じて上述の一般式(1)で表されるエポキシ樹脂以外の他のエポキシ樹脂、又はエポキシ化合物を含有することができる。
このような一般式(1)で表されるエポキシ基以外の他のエポキシ樹脂又はエポキシ化合物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールS、ビスフェノールFハイドロキノンレゾルシン等の2価のフェノール類トリス−(4−ヒドロキシフェニルエタン、1,1,2,2−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、フェノールノボラック、o−クレゾールノボラック等の3価以上のフェノール類;テトラブロモビスフェノールA等のハロゲン化ビスフェノール類、2価又は3価以上のフェノール類から誘導されるグリシジルエーテル化物;アリサイクリックジエポキシカルボキシレート、アリサイクリックジエポキシアセタール、アリサイクリックジエポキシアジペートビニルシクロヘキセンエポキサイド等の環式脂肪族エポキシ樹脂グリセリンポリグリシジル化合物トリメチロールプロパンのポリグリシジル化合物等の脂肪族エポキシ化合物等が挙げられる。
さらには、フェニルグリシジルエーテルクレジルグリシジルエーテル、p−tert−ブチルフェノールグリシジルエーテル、o−tert−ブチルフェノールグリシジルエーテル、m−tert−ブチルフェノールグリシジルエーテル、o−ブロモフェニルグリシジルエーテル等のモノグリシジル化合物が挙げられる。

0054

〔エポキシ樹脂組成物の製造方法〕
本実施形態のエポキシ樹脂組成物は、常法に従い、上述したエポキシ樹脂と、硬化剤と、α−アルミナと、必要に応じて所定の添加剤、その他のエポキシ樹脂を十分に混合、混練し、その後、減圧脱泡することにより製造することができる。
本実施形態のエポキシ樹脂組成物の製造方法において、混合、混練方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、攪拌翼つき反応器プラネタリミキサーニーダーロールホモディスパー、イクストゥルーダー等を用いる方法が挙げられ、特に、2本ないし3本ロール、ホモディスパー等を用いる方法が、均一な組成のエポキシ樹脂組成物が得られる観点から好ましい。
なお、本実施形態のエポキシ樹脂組成物は、上述したように、エポキシ樹脂と硬化剤とを反応させ、エポキシ樹脂半硬化組成物を得ておき、これに、α−アルミナを配合することにより得ることもできる。

0055

〔エポキシ樹脂硬化物〕
本実施形態のエポキシ樹脂組成物又はエポキシ樹脂半硬化組成物を硬化することにより、硬化物が得られる。

また、本実施形態のエポキシ樹脂組成物の硬化物は、高配向性であるという特徴を有する。

0056

〔用途〕
本実施形態のエポキシ樹脂組成物は、固形又は液状の半導体装置用封止材樹脂シート、プリプレグ等の複合材、積層板、金属基板プリント配線板に好適に使用することができる。
すなわち、半導体装置は、本実施形態のエポキシ樹脂組成物又はエポキシ樹脂半硬化組成物によって封止されており、当該封止材は、高流動性で加工性に優れており、かつ熱伝導率が高い、という特徴を有している。

0057

以下、具体的な実施例及び比較例を挙げて本実施形態について詳細に説明するが、本実施形態は以下の実施例に限定されるものではない。

0058

実施例及び比較例中の「%」は、特記しない限り質量基準である。
また、各実施例及び比較例における各種物性の評価は、下記の方法で実施した。

0059

((1)エポキシ樹脂のエポキシ価
エポキシ樹脂(試料)を、ベンジルアルコール及び1−プロパノールに溶解させて溶液を得た。
この溶液にヨウ化カリウム水溶液及びブロモフェノールブルー指示薬を添加した後、この溶液について1規定塩酸にて滴定を実施した。
この溶液中の反応系内が青色から黄色になった点を当量点とした。
この当量点より、エポキシ樹脂のエポキシ価を以下の式に従って算出した。
エポキシ価(当量/100g)=(V×N×F)/(10×W)
W:試料の重量(g)
V:当量点までの滴定量(mL)
N:滴定に使用した塩酸規定度(N)
F:滴定に使用した塩酸のファクター

0060

((2)エポキシ樹脂の融点)
エポキシ樹脂の融点は、示差走査熱量測定装置エスアイアイナノテクノロジー社製7020)を使用して昇温速度5℃/分の条件で測定した。
この測定において、吸熱ピークピーク温度を融点とし、複数の吸熱ピークが存在するときは最も高い温度領域吸熱ピーク温度を融点とした。

0061

((3)α−アルミナの比表面積)
α−アルミナ粒子の比表面積を、JISZ8830に従い、BET法により求めた。

0062

((4)α−アルミナの平均粒子径)
α−アルミナ粒子の平均粒子径を、日本レーザー社製のレーザー回折式粒子径分布測定装置HELOS/BF−Mを使用して乾式法にて測定し、重量累積分布の小粒径側からの累積50%に対応する平均粒子径(D50)を求めた。

0063

((5)エポキシ樹脂の硬化反応率
エポキシ樹脂の硬化反応率を、FT−IR測定における1510cm-1のベンゼン環に起因するピークを内部基準とし、915cm-1のエポキシ基に起因するピークの高さの比を用いて算出した。

0064

((6)エポキシ樹脂組成物の硬化物の熱伝導率)
エポキシ樹脂組成物の硬化物の熱伝導率を、以下のとおり測定した熱拡散率比熱及び密度の値から算出した。
<熱拡散率>
硬化物の熱拡散率をASTME1461に従い、キセノンフラッシュ法により測定した。
この熱拡散率の測定にはフラッシュ法熱定数測定装置(キセノンフラッシュ法熱定数測定装置(LFA447 NanoFlash, NETZSCH 社製))を用いた。
測定条件は以下のとおりとした。
[測定条件]
サンプルサイズ:直径10mm、厚さ0.5mmの円盤
レーザー照射波長:694.3nm
パルス幅:1ms
測定温度常温
<比熱>
比熱を示差走査熱量測定装置(DSC)により測定した。
<密度>
密度はJISK7112に従い測定した。
<熱伝導率>
熱伝導率は、下記式により求めた。
λ=α・Cp・ρ
(λ:熱伝導率(W/m・K)、α:熱拡散率(cm2/s)、Cp:比熱(J/g・K)、ρ:密度(g・cm3))

0065

((7)α−アルミナを含有するエポキシ樹脂組成物の硬化物の熱伝導率からマトリックス部分の熱伝導率の算出)
α−アルミナを含有するエポキシ樹脂組成物の硬化物の熱伝導率から、マトリックス部分の熱伝導率の熱伝導率を、下記式を用いて換算して求めた。
1−φ=(λc−λf)/(λm−λf)×(λm/λc)(1/3)
φ:フィラー体積充填率
λc:コンパウンドの熱伝導率(W/mK)
λf:フィラーの熱伝導率(W/mK)
λm:マトリックスの熱伝導率(W/mK)
α−アルミナの熱伝導率:30(W/mK)

0066

((8)体積充填率)
体積充填率、すなわち、α−アルミナの充填率は、エポキシ樹脂組成物の硬化物の熱重量測定(TG/DTA6200セイコー電子工業(株)製)により求めた。
粉体にしたα−アルミナを含有するエポキシ樹脂組成物の硬化物10.0mgを測定試料とした。
測定領域は30℃〜700℃、昇温速度は10℃/minの条件で加熱減量を測定した。
700℃の残存量から、α−アルミナとマトリックスの比重を、それぞれ3.9g/cm3、1.2g/cm3として、α−アルミナの体積分率を求めた。

0067

((9)動的粘弾性測定、及びガラス転移温度(Tg)測定)
エポキシ樹脂組成物の硬化物のガラス転移温度を、動的粘弾性測定にて下記の条件で測定した。
測定は、非共振強制振動粘弾性測定解析装置(Rheogel−E4000、UBM社製)を用い、引張りモードで行った。
この測定においてtanδのピーク温度を硬化物のガラス転移温度(Tg)とした。
〔測定条件〕
サンプルサイズ:30mm×4.0mm×0.4mm
波形正弦波
周波数:10Hz
変位振幅:5μm
測定温度:−150℃〜250℃
昇温速度:2℃/min

0068

原料
以下、エポキシ樹脂組成物の製造に用いた材料を示す。
(エポキシ樹脂)

<エポキシ樹脂A(特開2014−122337号公報参照)>
エポキシ樹脂Aとして、下記式に示すものを用いた。

0069

0070

エポキシ樹脂Aのエポキシ価は0.457[当量/100g]であり、融点は72℃であった。
また、エポキシ樹脂Aは80℃において同量のメチルエチルケトンに完全溶解し、50質量%の溶液を形成した。
また、エポキシ樹脂Aの65℃におけるメチルイソブチルケトンに対する溶解度は50%であった。

0071

<エポキシ樹脂B>

0072

0073

エポキシ樹脂Bのエポキシ価は0.540[当量/100g]であり、融点は128℃であった。

0074

(α−アルミナ)
α‐アルミナとして、AS−400(比表面積1.2m2/g平均粒子径(D50)13μm、昭和電工(株)製)を用いた。

0075

〔実施例1〕
エポキシ樹脂A100質量部と、硬化剤として4,4’−ジアミノジフェニルエタン(東京化成工業株式会社製)24質量部と、α−アルミナ粉末400質量部を、80℃にて自転公転ミキサーで混合し、α−アルミナを含有するエポキシ樹脂組成物を調製した。
30mm×70mm×2mmの鋼板の上に、スペーサーとして直径10mmの穴を開けたブチルゴム(30mm×70mm×1mm)を載せ、前記直径10mmのブチルゴムの穴部に、上記α−アルミナを含有するエポキシ樹脂組成物を載せた。
さらに、前記と同サイズの鋼板を載せて、Wクリップにて挟んだところ、エポキシ樹脂組成物には、流動性があり圧縮できたことを確認した。
オーブン中で、90℃で4時間、その後170℃で30分、加熱処理を行い、硬化してα−アルミナを含有するエポキシ樹脂組成物の硬化物を得た。
得られたα−アルミナを含有するエポキシ樹脂組成物の硬化物のα−アルミナ充填率は0.56であった。
また、その熱伝導率を測定したところ3.1W/(m・K)であった。
この結果から、この硬化物中のマトリックス部位の熱伝導率を算出したところ、0.35W/(m・K)であった。
また、Tgは110℃であった。
一方、〔参考例1〕として、エポキシ樹脂A100質量部と、4,4’−ジアミノジフェニルエタン24質量部を試験管に加え、オイルバス中で90℃で4時間、その後170℃で30分加熱硬化した。
得られたエポキシ樹脂組成物の硬化物の熱伝導率を測定したところ0.24W/(m・K)であった。
従って、液晶性エポキシ樹脂組成物にα−アルミナを配合することによってマトリックス部位の熱伝導率が、α−アルミナ無配合の場合の0.24W/(m・K)からα−アルミナ複合材料の0.35W/(m・K)に、約1.5倍に高まった。
これは、エポキシ樹脂の融点が低いため、低温でα−アルミナ表面と接触する時間が長く、また硬化過程での分子の運動性が低いため、α−アルミナ表面との相互作用が効果的に発現され、その結果、ネットワーク分子鎖の配向性とメチルスチルベン骨格の秩序性が高まったことによるものである。
溶剤を使用すると比較的低温でα−アルミナとマトリックス成分を分子運動が抑制された状況で接触させることができるため、マトリックス成分の熱伝導率向上を発現させることができるが、本発明のように融点の低いエポキシ樹脂を使用すると、〔実施例1〕のように溶剤を使用しなくてもマトリックス部位の熱伝導率を高めることができる。

0076

〔実施例2〕
エポキシ樹脂A100質量部と、4,4’−ジアミノジフェニルエタン(東京化成工業株式会社製)24質量部と、メチルエチルケトン100質量部を、サンプル容器に加え、70℃にて6時間反応した後に減圧下メチルエチルケトンを留去し、エポキシ樹脂半硬化組成物を得た。
この時点での硬化反応率は33%であった。
次に、得られたエポキシ樹脂半硬化組成物124質量部に対し、α−アルミナ粉末400質量部を加え、80℃にて自転公転ミキサーで混合し、α−アルミナを含有するエポキシ樹脂組成物を得た。
30mm×70mm×2mmの鋼板の上に、スペーサーとして直径10mmの穴を開けたブチルゴム(30mm×70mm×1mm)を載せ、前記直径10mmのブチルゴムの穴部に、上記α−アルミナを含有するエポキシ樹脂組成物を載せた。
さらに、前記と同サイズの鋼板を載せて、Wクリップにて挟んだところ、エポキシ樹脂組成物には、流動性があり、圧縮できたことを確認した。
その後、70℃にて12時間硬化させ、その後、さらに170℃で30分、加熱処理を行い、硬化させて、α−アルミナを含有するエポキシ樹脂組成物の硬化物を得た。
得られたα−アルミナを含有するエポキシ樹脂組成物の硬化物のα−アルミナ充填率は0.52であり、その熱伝導率を測定したところ3.7W/(m・K)であった。
この結果から、この硬化物中のマトリックス部位の熱伝導率を算出したところ、0.56W/(m・K)であった。
このα−アルミナを含有するエポキシ樹脂組成物の硬化物の動的粘弾性を測定したところ、115℃付近ブロードなピークを示した。
また、〔参考例2〕として、α−アルミナを配合しなかったこと以外は上記と同様にしてエポキシ樹脂組成物の硬化物を製造し、その熱伝導率を測定したところ、0.28W/(m・K)であった。
従って、液晶性エポキシ樹脂組成物にα−アルミナ及び溶剤を配合することによってマトリックス部位の熱伝導率が、α−アルミナ無配合の場合の0.28W/(m・K)からアルミナ複合材料の0.56W/(m・K)に、約2倍に高まった。
これは、エポキシ樹脂の沸点の低い溶媒への溶解性が高く、低温でα−アルミナ表面と接触することができ、また硬化過程での分子の運動性が低いため、α−アルミナ表面との相互作用が効果的に発現され、その結果、ネットワーク分子鎖の配向性とメチルスチルベン骨格の秩序性が高まったことによるものである。従って〔実施例2〕は、〔実施例1〕のように溶剤を使用しない場合に比較してさらにマトリックス部位の熱伝導率を高めることができる。

0077

〔実施例3〕
エポキシ樹脂A100質量部、4,4’−ジアミノジフェニルエタン(東京化成工業株式会社製)24質量部、α−アルミナ粉末1240質量部、メチルエチルケトン100質量部を、サンプル容器に加え、60℃で30分間撹拌した。
その後、80℃にて減圧下メチルエチルケトンを留去し、エポキシ樹脂半硬化組成物を得た。
その時点での組成物は均一で透明でありエポキシ基に基づく反応率は10%であった。
その後、上述した〔実施例1〕と同様にしてα−アルミナを含有するエポキシ樹脂組成物の硬化物を得た。
得られたα−アルミナを含有するエポキシ樹脂組成物の硬化物のα−アルミナ充填率は0.76であり、その熱伝導率を測定したところ11.2 W/(m・K)であった。
この結果から、この硬化物中のマトリックス部位の熱伝導率を算出したところ、0.58W/(m・K)であった。
このα−アルミナ含有硬化物の動的粘弾性を測定したところ、明瞭なTgを示さなかった。
また、〔参考例3〕として、α−アルミナを配合しなかったこと以外は上記と同様にしてエポキシ樹脂組成物の硬化物を製造し、その熱伝導率を測定したところ、0.25W/(m・K)であった。
従って、液晶性エポキシ樹脂組成物にα−アルミナ及び溶剤を配合することによってマトリックス部位の熱伝導率が、α−アルミナ無配合の場合の0.25W/(m・K)からアルミナ複合材料の0.58W/(m・K)に、約2.3倍に高まった。
これは、エポキシ樹脂の沸点の低い溶媒への溶解性が高く、低温でα−アルミナ表面と接触することができ、またエポキシ樹脂の溶融粘度が低いので成型が可能であり、さらには硬化過程での分子の運動性が低いのでα−アルミナ表面との相互作用が効果的に発現され、その結果ネットワーク分子鎖の配向性とメチルスチルベン骨格の秩序性が高まったことによるものである。
従って〔実施例3〕は、〔実施例1〕のように溶剤を使用しない場合に比較してさらにマトリックス部位の熱伝導率を高めることができるのである。

0078

〔実施例4〕
エポキシ樹脂半硬化組成物124質量部に対し、α−アルミナ粉末300質量部に変更した以外は、上述した〔実施例2〕と同様にしてα−アルミナを含有するエポキシ樹脂組成物の硬化物を得た。
得られたα−アルミナを含有するエポキシ樹脂組成物の硬化物のα−アルミナ充填率は0.43であり、その熱伝導率を測定したところ2.3W/(m・K)であった。
この結果から、この硬化物中のマトリックス部位の熱伝導率を算出したところ、0.53W/(m・K)であった。
また、〔参考例4〕として、α−アルミナを配合しなかったこと以外は上記と同様にしてエポキシ樹脂組成物の硬化物を製造し、その熱伝導率を測定したところ、0.28W/(m・K)であった。
従って、液晶性エポキシ樹脂組成物にα−アルミナ及び溶剤を配合することによってマトリックス部位の熱伝導率が、α−アルミナ無配合の場合の0.28W/(m・K)からアルミナ複合材料の0.53W/(m・K)に、約2倍に高まった。
これは、エポキシ樹脂の沸点の低い溶媒への溶解性が高く、低温でα−アルミナ表面と接触することができ、また硬化過程での分子の運動性が低いため、α−アルミナ表面との相互作用が効果的に発現され、その結果、ネットワーク分子鎖の配向性とメチルスチルベン骨格の秩序性が高まったことによるものである。

0079

〔比較例1〕
エポキシ樹脂B100質量部と、硬化剤として4,4’−ジアミノジフェニルエタン28質量部と、α−アルミナ粉末420質量部を、150℃にて混合し、アルミナを含有するエポキシ樹脂組成物を調製した。
30mm×70mm×2mmの鋼板の上に、スペーサーとして直径10mmの穴を開けたブチルゴム(30mm×70mm×1mm)を載せ、前記直径10mmのブチルゴムの穴部に、上記α−アルミナを含有するエポキシ樹脂組成物を載せた。
さらに前記と同サイズの鋼板を載せて、Wクリップにて挟んだところ、エポキシ樹脂組成物の流動性が低く、エポキシ樹脂組成物を十分圧縮できなかったことを確認した。
オーブン中で150℃で4時間、さらにその後180℃で1時間、加熱処理を行い、硬化して、α−アルミナを含有するエポキシ樹脂組成物の硬化物を得た。
得られたα−アルミナを含有するエポキシ樹脂組成物の硬化物は、空隙を含み、不均一な外観であった。
そのα−アルミナ充填率は0.49であり、その熱伝導率を測定したところ2.0W/(m・K)であった。
この結果から、この硬化物中のマトリックス部位の熱伝導率を算出したところ、0.32 W/(m・K)であった。
一方、〔比較参考例1〕として、エポキシ樹脂B100質量部と、4,4’−ジアミノジフェニルエタン28質量部を試験管に加え、オイルバス中で150℃で4時間、その後180℃で1時間、加熱処理を行い、硬化し、エポキシ樹脂組成物の硬化物を製造した。
得られた硬化物の熱伝導率を測定したところ0.30W/(m・K)であった。
〔比較例1〕では液晶性エポキシ樹脂組成物にα−アルミナを配合することによってマトリックス部位の熱伝導率が高まってはいるが、その比率は、α−アルミナ無配合の場合の0.30W/(m・K)からアルミナ複合材料の0.32W/(m・K)まで、約1.1倍と低かった。
これは、スチルベン型エポキシ樹脂の融点が高いため、高温で硬化剤とα−アルミナを混合しなければならず、その結果、α−アルミナ表面とマトリックスが十分に濡れる前に硬化反応が進行し、空隙を含有する複合材料となってしまったこと、さらには、α−アルミナ表面とマトリックスの相互作用を効果的に作用させることができないため、ネットワーク分子鎖の配向性とメチルスチルベン骨格の秩序性が効果的には高まらなかったことを示している。

実施例

0080

〔比較例2〕
エポキシ樹脂B100質量部、4,4’−ジアミノジフェニルエタン(東京化成工業株式会社製)28質量部、α−アルミナ粉末1250質量部、メチルエチルケトン100質量部をサンプル容器に加え、60℃で30分間撹拌した。
その後、80℃にて減圧下メチルエチルケトンを留去し、エポキシ樹脂半硬化組成物を得た。
その時点で、組成物は不透明でありエポキシ基に基づく反応率は10%であった。
30mm×70mm×2mmの鋼板の上に、スペーサーとして直径10mmの穴を開けたブチルゴム(30mm×70mm×1mm)を載せ、前記直径10mmのブチルゴムの穴部に上記α−アルミナを含有するエポキシ樹脂半硬化組成物を載せた。
さらに前記と同サイズの鋼板を載せて、Wクリップにて挟んだところ、エポキシ樹脂半硬化組成物には流動性がなく圧縮できなかったことを確認した。
オーブン中で150℃で4時間、その後180℃で1時間、加熱処理を行い硬化した。
得られたα−アルミナを含有するエポキシ樹脂組成物の硬化物は、ボイドを含み目視で不均一であった。
そのα−アルミナ充填率は0.72であり、熱伝導率を測定したところ9.0W/(m・K)であった。
この結果から、この硬化物中のマトリックス部位の熱伝導率を算出したところ、0.35W/(m・K)であった。
また、〔比較参考例2〕として、α−アルミナを配合しなかったこと以外は上記と同様にして、エポキシ樹脂組成物の硬化物を製造した。
得られた硬化物の熱伝導率を測定したところ、0.30W/(m・K)であった。
〔比較例2〕では、液晶性エポキシ樹脂組成物にα−アルミナを配合することによってマトリックス部位の熱伝導率が高まってはいるが、その比率は、α−アルミナ無配合の場合の0.30W/(m・K)からアルミナ複合材料の0.35W/(m・K)まで、約1.2倍と低かった。
これは、スチルベン型エポキシ樹脂の融点が高い上、溶媒への溶解性が低いため、溶媒を除去した時点でのα−アルミナ含有組成物の粘度が高く流動性が低いため、空隙を含む複合材料となってしまった上、α−アルミナ表面とマトリックスの相互作用を効果的に作用させることができないので、ネットワーク分子鎖の配向性とメチルスチルベン骨格の秩序性が効果的には高まらなかったことを示している。

0081

本発明のエポキシ樹脂組成物は、半導体素子に代表される電気電子部品等の絶縁材料、導電性材料封止材料あるいは注型材料積層材料、各種放熱材料有機EL用封止材、各種塗料接着剤等の材料として、産業上の利用可能性がある。

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