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技術 操舵制御装置

出願人 株式会社ジェイテクト
発明者 野澤哲也松尾成人
出願日 2016年3月10日 (4年8ヶ月経過) 出願番号 2016-047400
公開日 2017年9月14日 (3年2ヶ月経過) 公開番号 2017-159833
状態 特許登録済
技術分野 パワーステアリング機構 走行状態に応じる操向制御
主要キーワード 偏差処理 理想モデル 位相補償制御 補助処理 慣性係数 補償成分 回転角指令値 基礎成分
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (6)

課題

車速値の異常時であっても、ユーザーステアリングの操作を良好に行えること。

解決手段

操舵ECUは、モータの駆動を制御するマイコンを備えている。マイコンは、車速値V及び操舵トルクThに基づき第1アシスト成分Ta1*を算出し、車速値Vと第1アシスト成分Ta1*とを少なくとも用いて、回転角指令値θp*を算出し、さらに回転角度θpを回転角指令値θp*にフィードバック制御することによって、第2アシスト成分Ta2*を算出する。また、マイコンは、車両が停車中の場合に、第2アシスト成分Ta2*を無効化する制限状態1を設定する。そして、マイコンは、車速値Vが異常と判定される異常判定の間、車速値Vとして暫定車速値を設定し、さらに車両が停車中に設定される制限状態2の設定中、暫定車速値を用いて第1アシスト成分Ta1*を算出し、第2アシスト成分Ta2*を無効化するようにしている。

概要

背景

ユーザーステアリングの操作を補助するようにした操舵装置として、例えば、特許文献1に記載の操舵装置がある。
特許文献1には、車両の操舵機構のステアリングと転舵輪との間を機械的に連結するラックアンドピニオン機構ピニオン軸回転角度ピニオン角指令値フィードバック制御(以下、「回転角フィードバック制御」という)するようにした操舵装置が開示されている。これにより、特許文献1の操舵装置では、ユーザーのステアリングの操作を補助する際、転舵輪からの逆入力振動を抑制しつつ、優れた操舵特性を実現している。さらに、特許文献1の操舵装置では、車速センサ検出値である車速値に応じて、回転角フィードバック制御の制御量を増減させる補償成分として、ロードインフォメーション制御量を演算するようにもしている。なお、上記回転角フィードバック制御は、転舵輪の逆入力振動を抑制するために、ステアリングに加えられる負荷操舵トルク)により回転する回転軸理想モデルに基づき演算されるピニオン角指令値となるように、ピニオン軸の回転角度を制御するものである。そのため、特許文献1の操舵装置では、例えば、車両の停車時、回転角フィードバック制御の制御量をロードインフォメーション制御量によって相殺し、回転角フィードバック制御を実質的に無効化して、ユーザーがステアリングの操作(所謂、据え切り)を良好に行うことができるようにしている。

概要

車速値の異常時であっても、ユーザーがステアリングの操作を良好に行えること。操舵ECUは、モータの駆動を制御するマイコンを備えている。マイコンは、車速値V及び操舵トルクThに基づき第1アシスト成分Ta1*を算出し、車速値Vと第1アシスト成分Ta1*とを少なくとも用いて、回転角指令値θp*を算出し、さらに回転角度θpを回転角指令値θp*にフィードバック制御することによって、第2アシスト成分Ta2*を算出する。また、マイコンは、車両が停車中の場合に、第2アシスト成分Ta2*を無効化する制限状態1を設定する。そして、マイコンは、車速値Vが異常と判定される異常判定の間、車速値Vとして暫定車速値を設定し、さらに車両が停車中に設定される制限状態2の設定中、暫定車速値を用いて第1アシスト成分Ta1*を算出し、第2アシスト成分Ta2*を無効化するようにしている。

目的

本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、車速値の異常時であっても、ユーザーがステアリングの操作を良好に行うことができる操舵制御装置を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

ステアリングの操作に応じて操舵装置に対して転舵輪転舵させる転舵力を付与するようにモータの制御量を制御する転舵処理部を備え、前記転舵処理部は、車両の走行速度の検出値である車速値と前記ステアリングに加えられる負荷の検出値である操舵トルクとに基づき、前記モータの制御量のうちの基礎成分である第1成分を算出する基礎制御量演算部と、前記車速値と前記第1成分とを少なくとも用いて、前記転舵輪の舵角換算可能な回転軸回転角指令値を算出する回転角指令値演算部と、前記回転軸の検出値である回転角度を、前記回転角指令値にフィードバック制御することによって、前記モータの制御量のうちの第2成分を算出するフィードバック演算処理部と、前記第1成分と前記第2成分とを含む前記モータの制御量に基づき、前記モータの作動を制御する制御処理部と、前記車速値に基づき、車両が走行中でない旨が判定される基準となる基準車速値以下の場合、前記第2成分の変化範囲を前記車速値が前記基準車速値よりも大きい場合と比較して制限する制限状態を設定する制限状態設定部と、を有している操舵制御装置において、前記転舵処理部は、前記車速値が異常と判定される異常判定の間、前記車速値を前記基準車速値よりも大きい値である暫定車速値に設定し、前記基礎制御量演算部は、前記異常判定の間、前記暫定車速値を用いて前記第1成分を算出し、前記制限状態設定部は、前記異常判定の間、前記第2成分の変化範囲を前記車速値が異常でない場合と比較して制限する制限状態を設定する操舵制御装置。

請求項2

前記第2成分は、前記異常判定の間、無効化されることによって制限されるものである請求項1に記載の操舵制御装置。

請求項3

前記制限状態設定部は、前記異常判定の間、前記車速値以外の車両に関わる物理量の検出値に基づき、車両が前記基準車速値以下である旨判定される場合、前記第2成分を制限するように構成されている請求項2に記載の操舵制御装置。

請求項4

前記制限状態設定部は、前記異常判定の間であることから前記第2成分を制限した後、前記車速値が異常でないことを判定することができれば前記第2成分の制限を解除するように構成されている請求項2又は請求項3に記載の操舵制御装置。

請求項5

前記第2成分は、前記異常判定の間、とされることによって無効化されるものである請求項2〜請求項4のうちいずれか一項に記載の操舵制御装置。

技術分野

0001

本発明は、操舵制御装置に関する。

背景技術

0002

ユーザーステアリングの操作を補助するようにした操舵装置として、例えば、特許文献1に記載の操舵装置がある。
特許文献1には、車両の操舵機構のステアリングと転舵輪との間を機械的に連結するラックアンドピニオン機構ピニオン軸回転角度ピニオン角指令値フィードバック制御(以下、「回転角フィードバック制御」という)するようにした操舵装置が開示されている。これにより、特許文献1の操舵装置では、ユーザーのステアリングの操作を補助する際、転舵輪からの逆入力振動を抑制しつつ、優れた操舵特性を実現している。さらに、特許文献1の操舵装置では、車速センサ検出値である車速値に応じて、回転角フィードバック制御の制御量を増減させる補償成分として、ロードインフォメーション制御量を演算するようにもしている。なお、上記回転角フィードバック制御は、転舵輪の逆入力振動を抑制するために、ステアリングに加えられる負荷操舵トルク)により回転する回転軸理想モデルに基づき演算されるピニオン角指令値となるように、ピニオン軸の回転角度を制御するものである。そのため、特許文献1の操舵装置では、例えば、車両の停車時、回転角フィードバック制御の制御量をロードインフォメーション制御量によって相殺し、回転角フィードバック制御を実質的に無効化して、ユーザーがステアリングの操作(所謂、据え切り)を良好に行うことができるようにしている。

先行技術

0003

国際公開WO2012/133590号公報

発明が解決しようとする課題

0004

特許文献1に記載の操舵装置では、車速値に異常が生じる場合、回転角フィードバック制御の制御量の補償成分の精度が低下する可能性がある。例えば、車速値に異常があることによって、実際は車両が停車中であるにもかかわらず、車両が走行中であるとして、上記回転角フィードバック制御を実質的に無効化することができなくなってしまう。すなわち、車速値の異常時には、ユーザーがステアリングの操作を良好に行うことができなくなる可能性がある。

0005

本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、車速値の異常時であっても、ユーザーがステアリングの操作を良好に行うことができる操舵制御装置を提供することにある。

課題を解決するための手段

0006

上記課題を解決する操舵制御装置は、ステアリングの操作に応じて操舵装置に対して転舵輪を転舵させる転舵力を付与するようにモータの制御量を制御する転舵処理部を備えている。この操舵制御装置において、転舵処理部は、車両の走行速度の検出値である車速値とステアリングに加えられる負荷の検出値である操舵トルクとに基づき、モータの制御量のうちの基礎成分である第1成分を算出する基礎制御量演算部と、車速値と第1成分とを少なくとも用いて、転舵輪の舵角換算可能な回転軸の回転角指令値を算出する回転角指令値演算部と、回転軸の検出値である回転角度を、回転角指令値にフィードバック制御することによって、モータの制御量のうちの第2成分を算出するフィードバック演算処理部と、第1成分と第2成分とを含むモータの制御量に基づき、モータの作動を制御する制御処理部と、車速値に基づき、車両が走行中でない旨が判定される基準となる基準車速値以下の場合、第2成分の変化範囲を車速値が基準車速値よりも大きい場合と比較して制限する制限状態を設定する制限状態設定部とを有している。そして、転舵処理部は、車速値が異常と判定される異常判定の間、車速値を基準車速値よりも大きい値である暫定車速値に設定し、基礎制御量演算部は、異常判定の間、暫定車速値を用いて第1成分を算出し、制限状態設定部は、異常判定の間、第2成分の変化範囲を前記車速値が異常でない場合と比較して制限する制限状態を設定するようにしている。

0007

上記構成によれば、車速値に基づき、車両が走行中でない旨が判定される基準となる基準車速値以下の場合、第2成分、すなわち回転角度についてのフィードバック制御(以下、「回転角フィードバック制御」という)によるステアリングの操作への影響を制限するようにしている。すなわち、例えば、車両の停車時、回転角フィードバック制御のユーザーのステアリングの操作への影響を制限して、ユーザーがステアリングの操作を良好に行うことができるようにしている。

0008

一方、上記構成では、車速値が異常と判定される異常判定の間、暫定車速値を設定する構成によって、当該暫定車速値を用いて第1成分の算出を可能とするようにしている。これにより、車速値が異常と判定される異常判定の間においても、第1成分による転舵力を操舵装置に対して付与することができるようにしている。ただし、この場合、第2成分についても第1成分と同様、暫定車速値を用いて算出を可能にしてしまうと、実際は車両が停車中であっても回転角フィードバック制御によるステアリングの操作への影響によって、ユーザーがステアリングの操作を良好に行うことができなくなってしまう。その点、上記構成では、異常判定の間、第2成分の変化範囲を前記車速値が異常でない場合と比較して制限するようにしている。これにより、車速値が異常と判定される異常判定の間、第1成分による転舵力を操舵装置に対して付与しつつ、第2成分、すなわち回転角フィードバック制御によるステアリングの操作への影響を制限することができるようになる。したがって、車速値の異常時であっても、ユーザーがステアリングの操作を良好に行うことができる。

0009

具体的には、第2成分は、異常判定の間、無効化されることによって制限されるものである。
上記構成によれば、異常判定の間、車両が停車中であれば少なくとも回転角フィードバック制御のユーザーのステアリングの操作への影響を実質的に無効化できるようになる。したがって、車速値の異常時には、車両の停車時にユーザーがステアリングの操作をより良好に行うことができる。

0010

また、上記操舵制御装置において、制限状態設定部は、異常判定の間、車速値以外の車両に関わる物理量の検出値に基づき、車両が基準車速値以下である旨判定される場合、第2成分を制限するように構成されていることが望ましい。

0011

上記構成によれば、異常判定の間、第2成分が無効化される状況を、車両が基準車速値以下である旨判定される状況、例えば、車両が停車中に限るようにすることができる。この場合、異常判定の間であっても、車両が走行中の場合には、第2成分のユーザーのステアリングの操作への影響が暫定車速値の特性の範囲内で有効化されるようになる。したがって、車速値の異常時であっても、操舵装置に対して転舵力を好適に付与することができる。

0012

ところで、車速値が異常であったとしても、その異常が一時的なものである可能性もある。すなわち、車速値に異常が生じたとしても、その後に車速値が異常でなくなっている可能性もある。このように、車速値が異常でなくなっている場合においてまで第2成分を無効化してしまうと、操舵装置に対して転舵力を付与する本来の機能を低下させるだけである。

0013

そこで、上記操舵制御装置において、制限状態設定部は、異常判定の間であることから第2成分を制限した後、車速値が異常でないことを判定することができれば第2成分の制限を解除するように構成されていることが望ましい。

0014

上記構成によれば、第2成分を無効化する状況が、必要最低限に止められるようになる。これにより、車速値が異常である場合に、第2成分を無効化するように構成したとしても、操舵装置に対して転舵力を付与する本来の機能の低下を最小限に抑えることができる。

0015

なお、第2成分は、異常判定の間、とされることによって無効化されるものである。この構成によれば、第2成分の無効化を容易に実現することができる。

発明の効果

0016

本発明によれば、車速値の異常時であっても、ユーザーがステアリングの操作を良好に行うことができる。

図面の簡単な説明

0017

電動パワーステアリング装置についてその概略を示す図。
電動パワーステアリング装置についてその電気的構成を示すブロック図。
マイコンについてその回転角F/B制御部の構成を示すブロック図。
制限状態設定処理を示すフローチャート
車速値及び車両の走行状態に応じた第1アシスト成分及び第2アシスト成分の内容を説明する図。

実施例

0018

以下、操舵制御装置の一実施形態を説明する。
図1に示すように、例えば、車両には、操舵機構2に対して転舵輪15を転舵させる転舵力としてアシストトルクを付与する電動パワーステアリング装置(以下、「EPS」という)1が搭載されている。EPS1は、ユーザーのステアリングの操作に応じてアシストトルクを付与し、ユーザーのステアリングの操作を補助する。

0019

EPS1は、ユーザーのステアリングホイール10の操作に基づき転舵輪15を転舵させる操舵機構2、及びユーザーのステアリングの操作を補助するアシスト機構3を備えている。

0020

操舵機構2は、ステアリングホイール10と、ステアリングホイール10に連動して回転するステアリングシャフト11とを備えている。ステアリングシャフト11は、ステアリングホイール10と連結されたコラムシャフト11aと、コラムシャフト11aの下端部に連結されたインターミディエイトシャフト11bと、インターミディエイトシャフト11bの下端部に連結されたピニオンシャフト11cとを有している。ピニオンシャフト11cの下端部は、ラックアンドピニオン機構13を介してラックシャフト12に連結されている。したがって、ステアリングシャフト11の回転運動は、ピニオンシャフト11c及びラックシャフト12からなるラックアンドピニオン機構13を介してラックシャフト12の軸方向(図1の左右方向)の往復直線運動に変換される。当該往復直線運動が、ラックシャフト12の両端にそれぞれ連結されたタイロッド14を介して、左右の転舵輪15にそれぞれ伝達されることにより、転舵輪15の転舵角が変化する。

0021

アシスト機構3は、アシストトルクの発生源であるモータ20を備えている。例えば、モータ20は、3相(U,V,W)の駆動電力に基づき回転する3相ブラシレスモータである。モータ20の回転軸21は、減速機構22を介してコラムシャフト11aに連結されている。アシスト機構3は、モータ20の回転軸21の回転力を減速機構22を介して、ラックシャフト12を軸方向に往復直線運動させる力に変換する。このラックシャフト12に付与される軸方向の力がアシスト力となり、ユーザーのステアリングの操作を補助する。

0022

モータ20には、モータ20の駆動を制御する操舵ECU30が接続されている。操舵ECU30は、車両に設けられる各種のセンサの検出結果に基づき、モータ20の駆動を制御する。各種のセンサとしては、例えば、トルクセンサ40、回転角センサ41、車速センサ42、及びヨーレートセンサ43がある。トルクセンサ40はコラムシャフト11aに設けられ、回転角センサ41はモータ20に設けられている。トルクセンサ40は、ユーザーのステアリングの操作によりステアリングシャフト11に加えられる負荷である操舵トルクThを検出する。回転角センサ41は、モータ20の回転軸21のモータ角度θmを検出する。車速センサ42は、車両の走行速度である車速値Vを検出する。ヨーレートセンサ43は、車両の重心点を通る鉛直軸回りの回転角速度、すなわちヨーレートYrを検出する。操舵ECU30は、各センサの出力に基づき目標のアシストトルクを設定し、実際のアシストトルクが目標のアシストトルクとなるように、モータ20に供給される電流を制御する。なお、操舵ECU30は操舵制御装置の一例である。

0023

操舵ECU30には、車載される車両ECU50が接続されている。車両ECU50は、車両に生じる異常を判定(検出)して、操舵ECU30に対して指示するものである。車両ECU50には、車速センサ42から車速値Vが入力される。そして、車両ECU50は、車両に生じる異常のうち、特に車速センサ42の異常、すなわち車速値Vの異常を判定する。例えば、車両ECU50は、車速値Vの値が特定の値に固着した場合に、車速値Vの異常を判定する。

0024

次に、操舵ECU30の電気的構成について説明する。
図2に示すように、操舵ECU30は、モータ制御信号を生成するマイコン(マイクロコンピュータ)31と、そのモータ制御信号に基づきモータ20に駆動電力として電流を供給する駆動回路32とを備えている。

0025

マイコン31は、アシスト指令値演算部33と、電流指令値演算部34と、モータ制御信号生成部35とを有している。アシスト指令値演算部33は、トルクセンサ40及び車速センサ42から得られる操舵トルクTh及び車速値Vに基づき、モータ20に発生させるべきアシストトルクに対応したアシスト成分であるアシスト指令値Ta*を演算する。電流指令値演算部34は、アシスト指令値Ta*に基づき、モータ20の制御量である電流値を指示する電流指令値I*を演算する。モータ制御信号生成部35は、駆動回路32とアシスト機構3との間の給電経路に設けられた電流センサ36により検出される実電流値Iと、回転角センサ41により検出されるモータ角度θmとに基づき、電流指令値I*に実電流値Iを追従させるように電流フィードバック制御を実行することにより、モータ制御信号を生成する。なお、マイコン31は補助処理部の一例である。また、電流指令値演算部34及びモータ制御信号生成部35は制御処理部の一例である。

0026

アシスト指令値演算部33は、アシスト指令値Ta*の基礎成分として基本アシスト制御量Tas*を演算する基本アシスト制御部60を有している。アシスト指令値演算部33は、操舵トルクThの位相を遅らせるように位相補償位相遅れ補償)して補償成分としての操舵トルクTh´を演算する位相補償制御部61を有している。基本アシスト制御部60は、位相補償制御部61による位相補償後の操舵トルクTh´及び車速値Vに基づき、基本アシスト制御量Tas*を演算する。なお、基本アシスト制御部60は、操舵トルクTh´の絶対値が大きいほど、車速値Vが小さいほど、より大きな絶対値となる基本アシスト制御量Tas*を演算する。特に操舵トルクTh´との関係では、操舵トルクTh´が大きいほど、操舵トルクTh´の変化に対する基本アシスト制御量Tas*の変化率が大きくなる。すなわち、操舵トルクTh´が大きいほど、操舵トルクTh´の変化に対する基本アシスト制御量Tas*の変化率であるアシスト勾配Ragが大きくなる。そして、基本アシスト制御部60は、操舵トルクTh´及び車速値Vに応じたアシスト勾配Ragを位相補償制御部61に出力する。位相補償制御部61は、アシスト勾配Ragに基づき位相補償後の操舵トルクTh´を演算し、その操舵トルクTh´を基本アシスト制御部60に出力する。位相補償制御部61は、例えば、アシスト勾配Ragの上昇に応じて、操舵トルクThに対する位相補償時の操舵トルクTh´のゲイン(dB)を低減させるように特性を変更する。なお、基本アシスト制御部60は基礎制御量演算部の一例である。

0027

また、アシスト指令値演算部33は、基本アシスト制御量Tas*の位相を進ませるように位相補償(位相進み補償)する補償成分としてのトルク微分制御量Tdt*を演算するトルク微分制御部62を有している。トルク微分制御部62には、トルク微分値演算部62aで演算される操舵トルクThの微分値であるトルク微分値dThが入力される。トルク微分制御部62は、トルク微分値dThに基づき、トルク微分制御量Tdt*の基礎成分としてトルク微分基礎制御量εdtを演算する。また、トルク微分制御部62には、アシスト勾配Ragも入力される。トルク微分制御部62は、アシスト勾配Ragに基づきシステム安定化ゲインKsgを演算し、そのシステム安定化ゲインKsgとトルク微分基礎制御量εdtとに基づきトルク微分制御量Tdt*を演算する。

0028

また、基本アシスト制御部60で演算される基本アシスト制御量Tas*と、トルク微分制御部62で演算されるトルク微分制御量Tdt*とは、加算処理部63にそれぞれ入力される。アシスト指令値演算部33は、基本アシスト制御量Tas*及びトルク微分制御量Tdt*を加算した値に基づき、第1アシスト成分Ta1*を生成する。なお、第1アシスト成分Ta1*は第1成分の一例である。

0029

また、マイコン31は、モータ20の回転軸21のモータ角度θmに基づき、ピニオンシャフト11cの回転角である回転角度θpを演算するピニオン角演算部37を有している。回転角度θpは、転舵輪15の舵角に換算可能な回転軸の回転角として用いられる。アシスト指令値演算部33は、回転角度θpに基づくフィードバック制御を実行して第2アシスト成分Ta2*を演算する回転角フィードバック制御部(以下、「回転角F/B制御部」という)64を有している。

0030

図3に示すように、回転角F/B制御部64は、回転角指令値演算部70及びフィードバック演算処理部(以下、「F/B演算処理部」)71を有している。
回転角指令値演算部70には、加算処理部70aで演算される第1アシスト成分Ta1*及び操舵トルクThの加算値であるトルク指令値Tp*が入力される。トルク指令値Tp*は、ピニオンシャフト11cに伝達される入力トルクと見なせる。回転角指令値演算部70は、トルク指令値Tp*に基づき、回転角指令値θp*を演算する。ここでは、トルク指令値Tp*と、回転角指令値θp*とを関係づける以下の式(c1)にて表現されるモデル式を利用する。

0031

Tp*=K・θp*+C・θp*’+J・θp*’’ …(c1)
上記の式(c1)にて表現されるモデルは、ステアリングホイール10の回転に伴って回転するピニオンシャフトのトルクとその回転角度(ピニオン角)との関係を定めるモデルである。上記の式(c1)において、粘性係数Cは、EPSの摩擦等をモデル化したものであり、慣性係数Jは、EPSの慣性をモデル化したものであり、バネ係数Kは、EPSが搭載される車両のサスペンションホールアライメント等の仕様をモデル化したものである。ここで、粘性係数C、慣性係数J、及びバネ係数Kは、車速値Vに応じて可変設定される。

0032

F/B演算処理部71には、偏差処理部71aで演算される回転角指令値θp*及び回転角度θpの減算値である偏差Δθが入力される。F/B演算処理部71は、回転角度θpを回転角指令値θp*にフィードバック制御するための制御量として、第2アシスト成分Ta2*を演算する。F/B演算処理部71は、偏差Δθを入力とする比例要素積分要素、及び微分要素のそれぞれの出力値の和を、第2アシスト成分Ta2*として演算する。なお、第2アシスト成分Ta2*は第2成分の一例である。

0033

図2の説明に戻り、F/B演算処理部71で演算される第2アシスト成分Ta2*は、加算処理部63で演算される第1アシスト成分Ta1*とともに、加算処理部65に入力される。アシスト指令値演算部33は、加算処理部65で演算される第1アシスト成分Ta1*及び第2アシスト成分Ta2*の加算値に基づき、アシスト指令値Ta*を生成する。このように、本実施形態では、第1アシスト成分Ta1*に対して、第2アシスト成分Ta2*の加算値に基づき、モータ20の駆動を制御することによって、ユーザーのステアリングの操作を補助する際、転舵輪からの逆入力振動を抑制しつつ、優れた操舵特性を実現している。

0034

また、図3に示すように、回転角F/B制御部64は、F/B演算処理部71で演算される第2アシスト成分Ta2*を制限する制限状態を設定及び解除する制限状態設定部72を有している。上述のように、車速センサ42においては、車速値Vの値が特定の値に固着する等、車速値Vに異常が生じる場合がある。このような車速センサ42、すなわち車速値Vの異常は、操舵ECU30とは別に設けられている車両ECU50によって判定される。車両ECU50は、車速値Vの異常を判定する場合、その旨を示す異常信号Stを制限状態設定部72(すなわち、操舵ECU30(マイコン31の回転角F/B制御部64))に対して出力する。なお、車両ECU50は、車速値Vが異常であるか否かを所定周期毎に判定する。

0035

本実施形態では、車速値Vが異常と判定された異常判定の間、車速センサ42で検出される車速値Vとして、予め定めた暫定車速値V0が設定される。暫定車速値V0は、例えば、アシスト機構3によってユーザーのステアリングの操作を補助可能な最高車速を時速100km(キロメートル)とした場合、車両の停車状態又は極低速状態であることを示す車速である基準車速値Vth(例えば、約時速0(零)km(キロメートル))との中間値よりも高い時速60km(キロメートル)に設定される。すなわち、暫定車速値V0は、基準車速値Vthよりも大きい値である。この暫定車速値V0は、異常判定の間、操舵ECU30に車速値Vの替わりに入力されるものである。なお、暫定車速値V0は、例えば、車両ECU50等、操舵ECU30の外部から操舵ECU30に入力されるものであってもよいし、操舵ECU30のマイコン31が生成して必要な制御部及び処理部にそれぞれ入力されるものであってもよい。

0036

制限状態設定部72には、車両ECU50によって出力される異常信号Stと、ヨーレートセンサ43で検出されるヨーレートYrとが入力される。制限状態設定部72は、異常信号St及びヨーレートYrに基づき、第2アシスト成分Ta2*の演算に関係づけられる制限状態の設定及び解除を示す制限状態フラFLGをF/B演算処理部71に対して出力する。

0037

F/B演算処理部71は、制限状態設定部72から入力される制限状態フラグFLGによって制限状態が解除されている状態である通常状態が設定される場合、回転角度θpを回転角指令値θp*にフィードバック制御するための制御量として、第2アシスト成分Ta2*を演算する。一方、F/B演算処理部71は、制限状態設定部72から入力される制限状態フラグFLGによって制限状態が設定される場合、第2アシスト成分Ta2*として「0(零)」を演算し、第2アシスト成分Ta2*を無効化する。すなわち、本実施形態において、制限状態が設定される場合には、第2アシスト成分Ta2*の変化範囲(変化幅)が零となる。

0038

ここで、制限状態設定部72が実行する制限状態設定処理について説明する。なお、制限状態設定部72は、所定周期毎に以下の処理を繰り返し実行する。
図4に示すように、制限状態設定部72は、異常信号Stに基づき、車速値Vが正常であるか否かを判定する(S10)。

0039

制限状態設定部72は、異常信号Stが入力されず、車速値Vが正常である場合(S10:YES)、車速値Vに基づき、車両が走行中であるか否かを判定する(S20)。S20にて、制限状態設定部72は、車速値Vに基づいて、当該車速値Vが基準車速値Vthを超えているか否かを判定する。基準車速値Vthは、車両の停車状態又は極低速状態である旨が判定される基準となる車速であり、車両が走行中でない、すなわち停車中であることを判断できるとして経験的に求められる値に設定される。

0040

そして、制限状態設定部72は、車速値Vが基準車速値Vthよりも大きく車両が走行中である場合(S20:YES)、通常状態の設定を示す制限状態フラグFLGをF/B演算処理部71に対して出力し(S30)、制限状態設定処理を終了する。この場合、F/B演算処理部71は、回転角度θpを回転角指令値θp*にフィードバック制御するための制御量として、第2アシスト成分Ta2*を演算することとなる。この場合、基本アシスト制御部60は、正常な車速値Vに基づいて、基本アシスト制御量Tas*を算出している。すなわち、第1アシスト成分Ta1*は、正常な車速値Vに基づき算出された基本アシスト制御量Tas*を用いて算出されている。なお、この場合には、回転角指令値演算部70も正常な車速値Vに基づいて、回転角指令値θp*を算出している。そしてこの場合、第2アシスト成分Ta2*は、正常な車速値Vに基づき算出された第1アシスト成分Ta1*(回転角指定値θp*)を用いて算出される。

0041

一方、制限状態設定部72は、車速値Vが基準車速値Vth以下であり車両が停車中である場合(S20:NO)、制限状態として、制限状態1の設定を示す制限状態フラグFLGをF/B演算処理部71に対して出力し(S40)、制限状態設定処理を終了する。この制限状態1の場合、F/B演算処理部71は、第2アシスト成分Ta2*として「0(零)」を演算する。また、制限状態1の場合、基本アシスト制御部60は、正常な車速値Vに基づいて、基本アシスト制御量Tas*を算出している。すなわち、第1アシスト成分Ta1*は、正常な車速値Vに基づき算出された基本アシスト制御量Tas*を用いて算出されている。なお、制限状態1の場合には、回転角指令値演算部70も正常な車速値Vに基づいて、回転角指令値θp*を算出している。そして、制限状態1の場合、第2アシスト成分Ta2*は、第1アシスト成分Ta1*(回転角指令値θp*)に関係なく「0」が算出される。

0042

また、制限状態設定部72は、異常信号Stが入力され、車速値Vが異常である場合(S10:NO)、ヨーレートYrに基づき、車両が走行中であるか否かを判定する(S50)。S50にて、制限状態設定部72は、ヨーレートYrに基づき、当該ヨーレートYrが閾値Yrthを超えているか否かを判定する。閾値Yrthは、車両が基準車速値Vth以下、すなわち停車中であることを判断できるとして経験的に求められる値に設定される。なお、車速値Vが異常である場合、S20の処理のように車速値Vを用いて車両が走行中であるか否か判定することができないところ、車速値Vに替えてヨーレートYrを用いることによって、車両が走行中であるか否か判定することができる。

0043

そして、制限状態設定部72は、ヨーレートYrが閾値Yrthを超えており、車両が走行中である場合(S50:YES)、通常状態の設定を示す制限状態フラグFLGをF/B演算処理部71に対して出力し(S60)、制御状態設定処理を終了する。この場合、F/B演算処理部71は、回転角度θpを回転角指令値θp*にフィードバック制御するための制御量として、第2アシスト成分Ta2*を演算することとなる。ただし、この場合には、先のS10にて、車速値Vが異常であると判定されているため、車速値Vとして実際の車両の走行速度の替わりに暫定車速値V0が入力されている。そのため、基本アシスト制御部60は、暫定車速値V0に基づいて、基本アシスト制御量Tas*を算出している。すなわち、第1アシスト成分Ta1*は、暫定車速値V0に基づき算出された基本アシスト制御量Tas*を用いて算出されている。なお、この場合には、回転角指令値演算部70も暫定車速値V0に基づいて、回転角指令値θp*を算出している。そしてこの場合、第2アシスト成分Ta2*は、暫定車速値V0に基づき算出された第1アシスト成分Ta1*(回転角指令値θp*)を用いて算出されている。

0044

一方、制限状態設定部72は、ヨーレートYrが閾値Yrth以下であり、車両が停車中である場合(S50:NO)、制限状態として、制限状態2の設定を示す制限状態フラグFLGをF/B演算処理部71に対して出力し(S70)、制限状態設定処理を終了する。この制限状態2の場合、F/B演算処理部71は、第2アシスト成分Ta2*として「0(零)」を演算する。また、制限状態2の場合、基本アシスト制御部60は、暫定車速値V0に基づいて、基本アシスト制御量Tas*を算出している。すなわち、第1アシスト成分Ta1*は、暫定車速値V0に基づき算出された基本アシスト制御量Tas*を用いて算出されている。なお、制限状態2の場合には、回転角指令値演算部70も暫定車速値V0に基づいて、回転角指令値θp*を算出している。そして、制限状態2の場合、第2アシスト成分Ta2*は、第1アシスト成分Ta1*(回転角指令値θp*)に関係なく「0」が算出されている。

0045

以上に説明した本実施形態によれば、以下に示す作用及び効果を奏する。
(1)図5に示すように、制限状態設定処理の結果、車速値Vが正常(S10:YES)且つ走行状態が走行中(S20:YES)である場合、正常な車速値Vに基づき第1アシスト成分Ta1*が算出される。さらにこの場合、この正常な車速値Vに基づき算出された第1アシスト成分Ta1*及び回転角指令値θp*を用いて、第2アシスト成分Ta2*が算出されて有効化される。

0046

一方、同図に示すように、制限状態設定処理の結果、車速値Vが正常(S10:YES)且つ走行状態が停車中(S20:NO)である場合、正常な車速値Vに基づき第1アシスト成分Ta1*が算出される。さらにこの場合、この正常な車速値Vに基づき算出された第1アシスト成分Ta1*及び回転角指令値θp*に関係なく、第2アシスト成分Ta2*として「0」が演算されて無効化される制限状態1が設定される。

0047

これに対して、図5に示すように、制限状態設定処理の結果、車速値Vが異常(S10:NO)且つ走行状態が走行中(S50:YES)である場合、暫定車速値V0に基づき第1アシスト成分Ta1*が算出される。さらにこの場合、この暫定車速値V0に基づき算出された第1アシスト成分Ta1*及び回転角指令値θp*を用いて、第2アシスト成分Ta2*が算出されて有効化される。

0048

一方、同図に示すように、制限状態設定処理の結果、車速値Vが異常(S10:NO)且つ走行状態が停車中(S50:NO)である場合、暫定車速値V0に基づき第1アシスト成分Ta1*が算出される。さらにこの場合、この暫定車速値V0に基づき算出された第1アシスト成分Ta1*及び回転角指令値θp*に関係なく、第2アシスト成分Ta2*として「0」が演算されて無効化される制限状態2が設定される。

0049

このように、車速値Vが正常である場合、この正常な車速値に基づき、車両の停車時にF/B演算処理部71、すなわち第2アシスト成分Ta2*のユーザーのステアリングの操作への影響が実質的に無効化されるようになる(制限状態1)。すなわち、車両の停車時、第2アシスト成分Ta2*のユーザーのステアリングの操作への影響を実質的に無効化して、ユーザーがステアリングの操作を良好に行うことができるようにしている。

0050

一方、本実施形態では、車速値Vが異常と判定される異常判定の間、暫定車速値V0を設定する構成によって、当該暫定車速値V0を用いて第1アシスト成分Ta1*の算出を可能とするようにしている。これにより、車速値が異常と判定される異常判定の間においても、ユーザーのステアリングの操作に応じて第1アシスト成分Ta1*によるアシストトルクを付与することができるようにしている。

0051

ただし、この場合、第2アシスト成分Ta2*についても第1アシスト成分Ta1*と同様、暫定車速値V0を用いて算出を可能にしてしまうと、実際は車両が停車中であっても第2アシスト成分Ta2*によるステアリングの操作への影響によって、ユーザーがステアリングの操作を良好に行うことができなくなってしまう。

0052

その点、上記図5に示したように、車速値Vが異常(S10:NO)且つ走行状態が停車中(S50:NO)である場合、第2アシスト成分Ta2*のユーザーのステアリングの操作への影響が実質的に無効化されるようにしている(制限状態2)。これにより、異常判定の間、ユーザーのステアリングの操作に応じて第1アシスト成分Ta1*によるアシストトルクを付与しつつ、第2アシスト成分Ta2*のステアリングの操作への影響を制限することができるようになる。したがって、車速値Vの異常時であっても、ユーザーがステアリングの操作を良好に行うことができる。

0053

(2)異常判定の間、第2アシスト成分Ta2*が無効化される状況を、車両が走行中でない停車中に限るようにしている。この場合、異常判定の間であっても、車両が走行中の場合には、第2アシスト成分Ta2*のユーザーのステアリングの操作への影響が暫定車速値V0の特性の範囲内で有効化されるようになる。したがって、車速値Vの異常時であっても、ユーザーのステアリングの操作を好適に補助することができる。

0054

(3)ところで、車速値Vが異常であったとしても、その異常が一時的なものである可能性もある。すなわち、車速値Vに異常が生じたとしても、その後に車速値Vが異常でなくなっている可能性もある。このように、車速値Vが異常でなくなっている場合においてまで第2アシスト成分Ta2*を無効化してしまうと、ステアリングの操作を補助する本来の機能を低下させるだけである。

0055

その点、本実施形態では、制限状態設定処理が所定周期毎に繰り返し実行されることで、車速値が異常である(S10:NO)ことから制限状態2(S70)を設定した後、車速値が異常でないことを判定する(S10:YES)ことができれば制限状態2を解除する(S30)ように構成されている。

0056

そのため、第2アシスト成分Ta2*を無効化する状況が、必要最低限に止められるようになる。これにより、車速値Vが異常である場合に、第2アシスト成分Ta2*を無効化するように構成したとしても、ステアリングの操作を補助する本来の機能の低下を最小限に抑えることができる。

0057

なお、上記実施形態は、以下の形態にて実施することもできる。
・第2アシスト成分Ta2*の無効化は、F/B演算処理部71が演算を停止することによって実現したり、偏差Δθとして「0(零)」をF/B演算処理部71に入力することによって実現したりしてもよい。また、第2アシスト成分Ta2*の無効化は、F/B演算処理部71によって演算された第2アシスト成分Ta2*にゲインを乗算して無効化してもよい。

0058

・制限状態2を設定した後は、整備場等で特定の処置、例えば、操舵ECU30の記憶情報クリアリセットしなければ制限状態2が解除されないようにしてもよい。また、制限状態2を設定した後は、時間経過によって制限状態2を一旦解除し、その後再び、車速値Vが正常であるか否かを判定して制限状態2を設定及び解除するようにしてもよい。

0059

・制限状態設定処理のS50の判定では、ヨーレートYrの替わりに、車両が旋回した際に、当該車両の前後方向に作用する加速度を用いるようにしてもよい。この場合、車両には、加速度センサ、所謂、Gセンサを設けるようにすればよい。また、制限状態設定処理のS50の処理では、ヨーレートYr及び加速度の何れも考慮するようにしてもよい。また、制限状態設定処理のS50の判定では、カーナビ等のGPSやカメラ距離センサレーザー等の各種センサ車路間通信により認識される車両の周辺環境を含む車両の走行状態を示す各種情報を用いるようにしてもよい。特に、カーナビ等のGPSやカメラを用いる場合には、車速値Vが異常であっても、車両の走行速度を検出することができれば、検出される走行速度に基づき第2アシスト成分Ta2*を演算するようにしてもよい。

0060

・制限状態設定処理では、S50の処理を省くこともできる。この場合、車速値Vが異常であれば、とにかく制限状態2を設定することとなるので、車両の停車時であれば少なくとも第2アシスト成分Ta2*が無効化されるようになる。本変形例によれば、車速値Vの異常時であっても、車両の停車時にユーザーがステアリングの操作をより良好に行うことができる。

0061

・制限状態2では、第2アシスト成分Ta2*として、車速値Vが正常の場合と比較して上限値又は下限値、すなわち第2アシスト成分Ta2*の変化範囲が制限されていればよい。この場合、第2アシスト成分Ta2*の制限は、F/B演算処理部71によって演算された第2アシスト成分Ta2*にゲインを乗算する等してその変化範囲を制限すればよい。また、制限状態2では、偏差Δθや第2アシスト成分Ta2*として、固定値が演算されるようにしてもよい。この固定値は、車速値Vが正常の場合と比較して上限値又は下限値(変化範囲)が制限された値であればよい。

0062

・アシスト指令値演算部33では、位相補償制御部61及びトルク微分制御部62を省くこともできる。
・位相補償制御部61及びトルク微分制御部62では、補償成分の内容を他の要素に変更して演算するようにしてもよいし、複数の要素を補償成分として演算してもよい。

0063

・車速値Vの異常は、操舵ECU30自身で検出されるようにしてもよい。例えば、操舵ECU30は、ヨーレートYrに基づき、車両が走行中であるか否かを判定し、ヨーレートYrでは停車中であるのに車速値Vが「0」でない場合等、車速値Vの異常を検出するようにしてもよい。このような車速値Vの異常の検出には、車両の前後方向に作用する上記加速度(Gセンサ)を用いることもできるし、車速センサ42に付随して転舵輪15に設けられる車輪速センサを用いることもできる。

0064

・回転角指令値演算部70では、バネ項を考慮しないでモデル化したモデル式を用いるようにしてもよい。また、回転角指令値演算部70では、ヨーレートYrも加味して回転角指令値θp*が演算されるようにしてもよい。

0065

・上記実施形態において、制限状態1及び制限状態2のいずれにおいても、無効化することで第2アシスト成分Ta2*を制限していたが、制限状態1と制限状態2とで第2アシスト成分Ta2*を制限する方法を異ならせることもできる。例えば、制限状態1及び制限状態2において、一方の制限状態では第2アシスト成分Ta2*を無効化し、他方の制限状態では第2アシスト成分Ta2*の上限値又は下限値(変化範囲)を制限するようにしたりもできる。

0066

・上記実施形態では、EPS1をステアリングシャフト11にアシストトルクを付与するコラム型で具体化したが、ラック(アシスト)型に適用してもよい。この場合、例えば、トルクセンサ40がピニオンシャフト11cに設けられている。

0067

・上記実施形態は、EPS1に具体化したが、これに限られない。例えば、ステアバイワイヤ(SBW)方式のステアリング装置に適用してもよい。

0068

1…EPS(電動パワーステアリング装置)、2…操舵機構、3…アシスト機構、10…ステアリングホイール、11…ステアリングシャフト、11c…ピニオンシャフト、15…転舵輪、20…モータ、30…操舵ECU、31…マイコン、33…アシスト指令値演算部、34…電流指令値演算部、35…モータ制御信号生成部、37…ピニオン角演算部、40…トルクセンサ、41…回転角センサ、42…車速センサ、43…ヨーレートセンサ、50…車両ECU、60…基本アシスト制御部、64…回転角F/B制御部、70…回転角指令値演算部、71…F/B制御処理部、72…制限状態設定部、Ta*…アシスト指令値、Ta1*…第1アシスト成分、Ta2*…第2アシスト成分、θm…モータ角度、θp…回転角度、θp*…回転角指令値、Th…操舵トルク、V…車速値、V0…暫定車速値、Vth…基準車速値、Yr…ヨーレート、Yr…閾値、St…異常信号。

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