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技術 液体混合物の分離方法

出願人 株式会社ダイセル
発明者 河野充宏三好一隆
出願日 2016年3月8日 (4年8ヶ月経過) 出願番号 2016-044874
公開日 2017年9月14日 (3年2ヶ月経過) 公開番号 2017-159220
状態 特許登録済
技術分野 蒸発、蒸留、凝縮、昇華、コールドトラップ 有機低分子化合物及びその製造
主要キーワード ホールドタンク 揮発性成分中 蒸気画分 熱交換負荷 強制循環方式 分配割合 圧縮蒸気 圧縮成分
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重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2017年9月14日)のものです。
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図面 (3)

課題

直接的に蒸留塔に供給できない液体混合物であっても、液体混合物から高沸点成分及び低沸点成分を効率よく分離でき、省エネルギー化を実現できる方法を提供する。

解決手段

液体混合物から、揮発性成分(高沸点成分及び低沸点成分を含む)を蒸発させる蒸発器1,2と、蒸発器からの揮発性成分を蒸留塔3で蒸留し、低沸点成分を含む塔頂蒸気11と高沸点成分を含む液体画分18とに分離する方法において、前記蒸留塔3からの塔頂蒸気11を圧縮工程4で断熱圧縮した圧縮蒸気熱交換器5に供給して第1の蒸発器1の熱源として利用して、揮発性成分の一部を蒸発させ、蒸発しなかった揮発性成分の残部を第2の蒸発器2で蒸発させる。

概要

背景

揮発性成分高沸点成分及び低沸点成分)を含む液体混合物から、高沸点成分と低沸点成分とを蒸留塔精留塔)において分離する際、液体混合物を直接的に蒸留塔に供給できない場合がある。例えば、液体混合物が不揮発性成分(例えば、微量の不揮発性成分)を含んでいると、蒸留塔やその後続の装置又はプロセスを閉塞させる恐れがある。このような場合には、蒸発器蒸発缶)で液体混合物から蒸発させた揮発性成分を蒸留塔にて蒸留する方法が一般的に行われている。このような方法において、蒸留塔において塔頂蒸気として分離された低沸点成分は、通常、冷却により再凝縮され、回収工程やさらなる精製工程に供されている。

一方、蒸気再圧縮VRC)方式は、蒸発した蒸気を圧縮機により断熱圧縮することにより温度上昇した圧縮蒸気熱源として利用できる技術であり、前記のような蒸留においても適用が検討されている。しかし、高沸点成分及び低沸点成分を含む液体混合物では、通常、液体混合物の沸点が、低沸点成分の塔頂蒸気の温度よりもはるかに大きい場合が多く、液体混合物を蒸発させることが可能な程度に塔頂蒸気を断熱圧縮させるためには、圧縮比を非常に大きくせざるを得ない場合が多い。そのため、このような圧縮比を実現可能な圧縮機が入手できない、また、入手できてもプロセスを非常に高価にするなどの理由により、広く実用されていないのが現状である。

なお、特開平5−237302号公報(特許文献1)には、底部から高沸点成分の多い液体を取り出すと共に頂部から低沸点成分の多い蒸気を取り出す気液接触塔を備えた蒸留装置において、前記蒸気を圧縮する蒸気圧縮手段と、該圧縮された蒸気により原料液を加熱して部分的に蒸発させることにより前記蒸気を液化させて留出液とする蒸気発生手段と、前記液体を加熱して蒸発させる加熱手段とを有し、前記蒸気発生手段で発生した蒸気及び原料液のうち蒸発しなかった部分を前記気液接触塔に導入すると共に前記留出液の一部分を前記頂部に導入する蒸留装置が開示されている。

この文献の方法では、圧縮された蒸気を利用して全ての原料液を蒸発させる必要がないため、圧縮比を小さくでき、蒸気の熱エネルギーを原料液の加熱に利用できる。しかし、この文献の方法では、蒸発しなかった部分をそのまま蒸留塔に供給するため、前記のように、不揮発性成分を含む液体混合物(換言すれば、液体混合物を直接的に蒸留塔に供給できないプロセス)には適用できない。

概要

直接的に蒸留塔に供給できない液体混合物であっても、液体混合物から高沸点成分及び低沸点成分を効率よく分離でき、省エネルギー化を実現できる方法を提供する。液体混合物から、揮発性成分(高沸点成分及び低沸点成分を含む)を蒸発させる蒸発器1,2と、蒸発器からの揮発性成分を蒸留塔3で蒸留し、低沸点成分を含む塔頂蒸気11と高沸点成分を含む液体画分18とに分離する方法において、前記蒸留塔3からの塔頂蒸気11を圧縮工程4で断熱圧縮した圧縮蒸気を熱交換器5に供給して第1の蒸発器1の熱源として利用して、揮発性成分の一部を蒸発させ、蒸発しなかった揮発性成分の残部を第2の蒸発器2で蒸発させる。

目的

本発明の目的は、直接的に蒸留塔に供給できない液体混合物であっても、蒸気再圧縮方式を利用して、液体混合物から高沸点成分及び低沸点成分を効率よく分離でき、省エネルギー化を実現できる方法及びこの方法に用いる装置を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
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請求項1

液体混合物から、高沸点成分及び低沸点成分を含む揮発性成分蒸発させる蒸発工程と、蒸発工程からの揮発性成分を、低沸点成分を含む蒸気と高沸点成分を含む液体画分とに分離する蒸留工程とを含む液体混合物の分離方法であって、さらに、蒸留工程からの低沸点成分を含む蒸気を断熱圧縮する圧縮工程を含み、蒸発工程が、圧縮工程で生成した圧縮成分熱源として、揮発性成分の一部を、第1の蒸発器で蒸発させる第1の蒸発工程と、第1の蒸発工程により蒸発しなかった揮発性成分の残部を、第2の蒸発器で蒸発させる第2の蒸発工程とを含む、分離方法。

請求項2

液体混合物が、不揮発性成分を含む請求項1記載の方法。

請求項3

液体混合物において、高沸点成分と低沸点成分との割合が、前者/後者(重量比)=80/20〜5/95である請求項1又は2記載の方法。

請求項4

液体混合物において、高沸点成分の沸点と低沸点成分の沸点との差が8℃以上である請求項1〜3のいずれかに記載の方法。

請求項5

蒸留工程において、高沸点成分の割合が1重量%以下の蒸気と、高沸点成分の割合が98重量%以上の液体画分とに分離する請求項1〜4のいずれかに記載の方法。

請求項6

圧縮成分を熱源として熱交換した後の圧縮成分を還流比7以下で蒸留塔還流させる請求項1〜5のいずれかに記載の方法。

請求項7

断熱圧縮における圧縮比が2.5以下である請求項1〜6のいずれかに記載の方法。

請求項8

液体混合物において、高沸点成分と低沸点成分との割合が、前者/後者(重量比)=60/40〜8/92であり、高沸点成分の沸点と低沸点成分の沸点との差が10℃以上であり、蒸留工程において、高沸点成分の割合が0.5重量%以下の蒸気と、高沸点成分の割合が99重量%以上の液体画分とに分離し、熱交換後の圧縮成分を還流比5以下で蒸留塔に還流させ、断熱圧縮における圧縮比が2.3以下である請求項1〜7のいずれかに記載の方法。

請求項9

圧縮成分を熱源として熱交換した後の圧縮成分を還流比3以下で蒸留塔に還流させる請求項1〜8のいずれかに記載の方法。

請求項10

請求項1〜9のいずれかに記載の分離方法に用いる装置であって、揮発性成分の一部を蒸発させる第1の蒸発器と、第1の蒸発器において蒸発しなかった揮発性成分の残部を蒸発させる第2の蒸発器と、第1の蒸発器及び第2の蒸発器において蒸発した揮発性成分を、低沸点成分を含む蒸気と、高沸点成分を含む液体画分とに分離するための蒸留塔と、低沸点成分を含む蒸気を断熱圧縮するための圧縮機と、圧縮成分を熱源として第1の蒸発器で揮発性成分の一部を蒸発させるための熱交換器とを備えている装置。

技術分野

0001

本発明は、液体混合物仕込み液)から高沸点成分及び低沸点成分を効率よく分離する方法及びこの方法に用いる装置に関する。

背景技術

0002

揮発性成分(高沸点成分及び低沸点成分)を含む液体混合物から、高沸点成分と低沸点成分とを蒸留塔精留塔)において分離する際、液体混合物を直接的に蒸留塔に供給できない場合がある。例えば、液体混合物が不揮発性成分(例えば、微量の不揮発性成分)を含んでいると、蒸留塔やその後続の装置又はプロセスを閉塞させる恐れがある。このような場合には、蒸発器蒸発缶)で液体混合物から蒸発させた揮発性成分を蒸留塔にて蒸留する方法が一般的に行われている。このような方法において、蒸留塔において塔頂蒸気として分離された低沸点成分は、通常、冷却により再凝縮され、回収工程やさらなる精製工程に供されている。

0003

一方、蒸気再圧縮VRC)方式は、蒸発した蒸気を圧縮機により断熱圧縮することにより温度上昇した圧縮蒸気熱源として利用できる技術であり、前記のような蒸留においても適用が検討されている。しかし、高沸点成分及び低沸点成分を含む液体混合物では、通常、液体混合物の沸点が、低沸点成分の塔頂蒸気の温度よりもはるかに大きい場合が多く、液体混合物を蒸発させることが可能な程度に塔頂蒸気を断熱圧縮させるためには、圧縮比を非常に大きくせざるを得ない場合が多い。そのため、このような圧縮比を実現可能な圧縮機が入手できない、また、入手できてもプロセスを非常に高価にするなどの理由により、広く実用されていないのが現状である。

0004

なお、特開平5−237302号公報(特許文献1)には、底部から高沸点成分の多い液体を取り出すと共に頂部から低沸点成分の多い蒸気を取り出す気液接触塔を備えた蒸留装置において、前記蒸気を圧縮する蒸気圧縮手段と、該圧縮された蒸気により原料液を加熱して部分的に蒸発させることにより前記蒸気を液化させて留出液とする蒸気発生手段と、前記液体を加熱して蒸発させる加熱手段とを有し、前記蒸気発生手段で発生した蒸気及び原料液のうち蒸発しなかった部分を前記気液接触塔に導入すると共に前記留出液の一部分を前記頂部に導入する蒸留装置が開示されている。

0005

この文献の方法では、圧縮された蒸気を利用して全ての原料液を蒸発させる必要がないため、圧縮比を小さくでき、蒸気の熱エネルギーを原料液の加熱に利用できる。しかし、この文献の方法では、蒸発しなかった部分をそのまま蒸留塔に供給するため、前記のように、不揮発性成分を含む液体混合物(換言すれば、液体混合物を直接的に蒸留塔に供給できないプロセス)には適用できない。

先行技術

0006

特開平5−237302号公報(特許請求の範囲)

発明が解決しようとする課題

0007

従って、本発明の目的は、直接的に蒸留塔に供給できない液体混合物であっても、蒸気再圧縮方式を利用して、液体混合物から高沸点成分及び低沸点成分を効率よく分離でき、省エネルギー化を実現できる方法及びこの方法に用いる装置を提供することにある。

0008

本発明の他の目的は、不揮発性成分を含む液体混合物であっても、蒸留により液体混合物から高沸点成分及び低沸点成分を分離するのに有用な方法及びこの方法に用いる装置を提供することにある。

課題を解決するための手段

0009

本発明者らは、前記課題を達成するため鋭意検討した結果、液体混合物から揮発性成分(高沸点成分及び低沸点成分を含む)を蒸発させる蒸発工程と、蒸発工程からの揮発性成分を蒸留塔で蒸留する蒸留工程とを含むプロセスにおいて、前記蒸留塔からの低沸点成分を含む塔頂蒸気を断熱圧縮し、圧縮蒸気との熱交換により、液体混合物(揮発性成分)の一部を蒸発させるとともに、蒸発しなかった液体混合物(揮発性成分)の残部を別途蒸発させる二段階の工程で行うことにより、液体混合物を直接的に蒸留塔に供給できない系においても、過度の圧縮比で塔頂蒸気を圧縮させることなく、塔頂蒸気の熱エネルギー(潜熱)を効率よく利用して省エネルギー化を実現できることを見出し、本発明を完成した。

0010

すなわち、本発明の液体混合物の分離方法は、液体混合物から、高沸点成分及び低沸点成分を含む揮発性成分を蒸発させる蒸発工程と、蒸発工程からの揮発性成分(揮発性成分の蒸気)を、低沸点成分に富む蒸気(塔頂蒸気などの上部蒸気流)と高沸点成分に富む液体画分液体流)とに分離する蒸留工程とを含む。この蒸留工程では、蒸留塔の上部(塔頂又は塔頂部などの上部)から低沸点成分を含む蒸気(塔頂蒸気などの蒸気画分又は蒸気流)を分離するとともに、蒸留塔の下部(底部又は塔底部などの下部)から高沸点成分を含む液体画分を下部流(缶出液などの下部流)として分離してもよい。

0011

前記方法は、さらに、蒸留工程からの低沸点成分を含む蒸気(塔頂蒸気などの蒸気流)を断熱圧縮する圧縮工程を含み、この蒸発工程は、圧縮工程で生成した圧縮成分(圧縮蒸気)を熱源として(又は圧縮成分との熱交換により)、揮発性成分の一部を第1の蒸発器で蒸発させる第1の蒸発工程と、第1の蒸発工程により蒸発しなかった揮発性成分の残部を、第2の蒸発器で蒸発させる第2の蒸発工程とを含んでいる。

0012

前記液体混合物は、不揮発性成分(金属、塩、ポリマーなど)を含んでいてもよい。

0013

また、前記液体混合物において、高沸点成分と低沸点成分との割合は、前者/後者(重量比)=80/20〜5/95程度であってもよく、高沸点成分の沸点と低沸点成分の沸点との差は、例えば、8℃以上であってもよい。

0014

本発明の方法では、精度の高い分離を担保しつつ、省エネルギー化を実現できる。例えば、前記蒸留工程において、高沸点成分の割合が1重量%以下の蒸気(低沸点成分に富む蒸気画分)と、高沸点成分の割合が98重量%以上の液体画分(高沸点成分に富む)とに分離してもよい。また、本発明の方法では、圧縮成分を熱源とする熱交換後の圧縮成分を還流比7以下で蒸留塔に還流させてもよい。

0015

本発明では、極端に高い圧縮比で圧縮させる必要はなく、例えば、断熱圧縮における圧縮比は、2.5以下であってもよい。

0016

代表的な本発明の方法では、液体混合物において、高沸点成分と低沸点成分との割合が、前者/後者(重量比)=60/40〜8/92であり、高沸点成分の沸点と低沸点成分の沸点との差が10℃以上であってもよく、蒸留工程において、高沸点成分の割合が0.5重量%以下の蒸気(低沸点成分を含む蒸気画分)と、高沸点成分の割合が99重量%以上の液体画分(高沸点成分を含む)とに分離してもよい。また、熱交換後の圧縮成分は還流比5以下で蒸留塔に還流させてもよく、断熱圧縮における圧縮比は2.3以下であってもよい。

0017

本発明の方法は、種々の液体混合物に適用でき、例えば、高沸点成分としての酢酸と、低沸点成分としての水及び酢酸の抽剤とを含む液体混合物に好適に適用できる。このような酢酸を含む液体混合物を用いた方法において、酢酸の抽剤は、沸点が100℃未満の抽剤であってもよく、酢酸と、水及び酢酸の抽剤の総量との割合は、前者/後者(重量比)=70/30〜1/99程度であってもよい。また、酢酸を含む液体混合物の分離方法において、液体混合物における水の割合は、20重量%以下であってもよく、熱交換後の圧縮成分を還流比3以下で蒸留塔に還流させてもよい。

0018

酢酸を含む液体混合物を分離する代表的な方法において、酢酸の抽剤は酢酸エチルを含んでいてもよく、酢酸と、水及び酢酸の抽剤の総量との割合は前者/後者(重量比)=50/50〜5/95程度であってもよく、液体混合物における水の割合は16重量%以下であってもよい。また、蒸留により、高沸点成分の割合が0.5重量%以下の蒸気(低沸点成分に富む)と、高沸点成分の割合が99重量%以上の液体画分(高沸点成分に富む)とに分離してもよく、熱交換後の圧縮成分を還流比2.2以下で蒸留塔に還流させてもよく、断熱圧縮における圧縮比は2.2以下であってもよく、圧縮蒸気の露点温度は85〜95℃であってもよい。

0019

前記酢酸を含む液体混合物は、不揮発性成分として酢酸セルロースを含んでいてもよい。

0020

本発明には、前記分離方法に用いる装置であって、揮発性成分の一部を蒸発させる第1の蒸発器と、第1の蒸発器において蒸発しなかった揮発性成分の残部を蒸発させる第2の蒸発器と、第1の蒸発器及び第2の蒸発器において蒸発した揮発性成分を、蒸留により低沸点成分を含む蒸気(塔頂蒸気)と高沸点成分を含む液体画分とに分離する蒸留塔と、低沸点成分を含む蒸気を断熱圧縮するための圧縮機と、圧縮成分を熱源として第1の蒸発器で揮発性成分の一部を蒸発させるための熱交換器とを備えた装置も含まれる。

0021

このような装置は、他の機器(例えば、第2の蒸発器や蒸留塔を加熱するための熱交換器)を含んでいてもよい。

0022

なお、蒸留工程において、低沸点成分を含む蒸気は、代表的には蒸留塔の塔頂から抜き出される塔頂蒸気である場合が多いものの、塔頂蒸気に限らず、蒸留塔の上部の側部から抜き出される蒸気であってもよい。そのため、これらの「蒸気」を単に「上部蒸気」「塔頂蒸気」という場合がある。また、高沸点成分を含む液体画分は、代表的には蒸留塔の塔底から抜き出される缶出液である場合が多いものの、缶出液に限らず、蒸留塔の下部の側部から抜き出される液体あってもよい。そのため、これらの「液体画分」を単に「下部液体」「出流」と称する場合がある。

発明の効果

0023

本発明の方法及び装置では、液体混合物を直接的に蒸留塔に供給できない場合であっても、二段階で蒸発工程を行うことにより、蒸気再圧縮方式を利用して効率よく省エネルギー化を実現できる。なお、運転開始時などの圧縮蒸気が得られない非定常開始時においては、通常の蒸発器として液体混合物を蒸発させて使用し、定常開始時に上記のような二段階での蒸発工程に切り替えることもできる。このように、本発明の方法及び装置は、定常開始時のみならず非定常開始においても、直接的に蒸留塔に供給できない液体混合物に適用でき、適用可能な液体混合物の範囲が広い。

図面の簡単な説明

0024

図1は、本発明の方法(又は装置)の一例を説明するためのフロー図である。
図2は、本発明の他の方法(又は装置)の一例を説明するためのフロー図である。

0025

以下、必要により添付図面を参照しつつ、本発明をより詳細に説明する。図1は本発明の方法(又は装置)の一例を説明するためのフロー図である。

0026

図1の装置(方法)では、揮発性成分(高沸点成分及び低沸点成分)を含む液体混合物の一部(又は液体混合物のうち、少なくとも一部の揮発性成分)を蒸発(フラッシュ蒸発)させるための第1の蒸発器(又は蒸発槽又はフラッシャー)1と、この第1の蒸発器1で蒸発されなかった(又は蒸発させなかった)揮発性成分(又は液体混合物)の残部を蒸発(フラッシュ蒸発)させるための第2の蒸発器2と、この第2の蒸発器2を加熱するための熱交換器(熱交換機)6と、第1の蒸発器及び第2の蒸発器で蒸発した揮発性成分(又は液体混合物)を蒸留するための蒸留塔(又は精留塔)3と、この蒸留塔3での蒸留(精留)により分離され、主に低沸点成分に富む塔頂蒸気(蒸気画分)を、極端に大きすぎない圧縮比(例えば、圧縮比2.3以下)で断熱圧縮するための圧縮機(コンプレッサー)4とを備えており、第1の蒸発器1、第2の蒸発器2及び蒸留塔3には、それぞれ、蒸発又は蒸留させるための加熱手段又は加熱装置としての熱交換器5,6,7が配設されている。

0027

なお、液体混合物は、不揮発性成分(例えば、ごく微量の不揮発性成分)を含んでおり、直接的に蒸留塔3に供給することができないため、第1の蒸発器1及び第2の蒸発器2において、揮発性成分を蒸発させて蒸留塔3に供給している。

0028

以下に、図1の方法及び装置について詳述する。

0029

前記加熱手段のうち、第1の蒸発器1の熱交換器5の熱源として、圧縮機4で断熱圧縮された塔頂蒸気(圧縮蒸気)からの熱を利用している。詳細には、ライン11を通じて蒸留塔3から圧縮機4に供給された塔頂蒸気は、断熱圧縮により、より高温の圧縮蒸気となり、ライン12を通じて熱交換器5に供給され、熱交換器5により、圧縮蒸気の熱エネルギーが第1の蒸発器1の液体混合物に与えられて熱交換され、第1の蒸発器1での揮発性成分(又は液体混合物)の蒸発のための熱源として用いられる。なお、圧縮蒸気の温度(又は圧縮蒸気の露点温度)は、前記のように、汎用の圧縮機で実現可能なレベルの圧縮比で断熱圧縮されているため、低沸点成分の沸点よりも高温ではあるものの、低沸点成分よりも沸点の高い(例えば、低沸点成分よりも沸点が10℃以上高い)高沸点成分を含む揮発性成分(又は液体混合物)をすべて蒸発させるだけの伝熱を達成しうる十分な温度差(熱エネルギー又は熱量)を有していない。すなわち、圧縮比は、通常、圧縮成分(圧縮蒸気)の温度(露点温度)が、低沸点成分を中心とする蒸発により濃縮がある程度進行した液体混合物中の高沸点成分と効果的な熱交換が可能な温度(又は高沸点成分を蒸発させる温度)よりも低い温度となるように設定されている。

0030

そのため、第1の蒸発器1では、揮発性成分(又は液体混合物)のうち、主に低沸点成分を蒸発させ、蒸発しなかった揮発性成分(又は液体混合物)の残部は、ライン15を通じて第2の蒸発器2に供給し、蒸発させる。なお、第2の蒸発器2において、熱交換器6はスチームなどの外部の熱源を利用でき、また、蒸発されることなく分離された不揮発性成分(又は不揮発性成分を含む濃縮液)は、ライン17を通じて系外に排出される。このように、第1の蒸発器1及び第2の蒸発器2を組み合わせることで、圧縮機4における圧縮比を極端に大きくすることなく、塔頂蒸気の熱エネルギーを有効に利用できる。

0031

そして、第1の蒸発器1で蒸発した揮発性成分の一部及び第2の蒸発器2で蒸発した揮発性成分の残部は、それぞれ、ライン10及びライン16を通じて、蒸留塔3に供給され、蒸留により、主に低沸点成分に富む塔頂蒸気(蒸気流)と、主に高沸点成分に富む液体画分(液体流)とに分離される。なお、図の例では、ライン10及びライン16は、個別に蒸留塔3に通じているが、互いに合流又は連結して、蒸留塔3に接続してもよい。

0032

さらに、蒸留塔3からの塔頂蒸気(蒸気画分又は蒸気流)は、前記のように、ライン11を通じて圧縮機4に供給されたのち、断熱圧縮及び第1の蒸発器1での熱交換を経て、凝縮(液化)し、凝縮成分凝縮液を含む)はライン13及びライン15を通じて流出液として回収又は排出される。なお、流出液が、複数の成分(液体成分)を含んでいる場合、さらに、別の蒸留工程など(図示せず)により複数の成分を分離してもよい。

0033

熱交換により凝縮した塔頂蒸気の一部(凝縮液の一部)は、ライン13及びライン14を通じて、蒸留塔3に所定の還流比で還流される。還流比は、あまりに大きいと塔頂蒸気の量が大きくなりすぎ、そのため断熱圧縮に要するエネルギーが大きくなりすぎて、熱源として利用するためのエネルギーに余剰分が生じ、十分な省エネルギー効果が得られない場合がある。そのため、液体混合物(又は揮発性成分)の組成や蒸留塔での精製レベルにもよるが、所定の範囲(例えば、還流比5以下程度)とする場合が多い。なお、還流比を大きくしなければ所定の純度目的物が得られない場合には、省エネルギー効果が損なわれないよう、塔頂蒸気のうち熱源として必要な一部の蒸気を分岐して断熱圧縮してもよい。また、還流比は、高沸点成分が分離の目的物である場合には、例えば、塔頂蒸気(蒸気画分又は蒸気流)中の高沸点成分の割合が、1重量%以下(例えば、0.5重量%以下、好ましくは0.1重量%以下)程度となる範囲が目安となるため、このような濃度を担保できる範囲で、還流比が高くなりすぎないように設定できる。

0034

なお、蒸留塔3で分離された高沸点成分は、缶出液(液体流)として、蒸留塔3(蒸留塔3の塔底部ないし側部の下部)からライン18を通じて回収又は排出される。また、蒸留塔3の熱交換器7としては、特に限定されないが、図の例では、リボイラーを利用している。すなわち、蒸留塔3の塔底部の液体混合物(液体画分など)を、ラインを通じてリボイラー(リボイラー式熱交換器)7に供給し、揮発性成分を加熱してライン19を通じて蒸留塔3に戻し、蒸留を可能としている。

0035

[液体混合物]
液体混合物(仕込み液、液状組成物)は、揮発性成分(揮発性液体成分)を含んでおり、この揮発性成分は、高沸点成分(高沸点の液体成分)及び低沸点成分(低沸点の液体成分)を含んでいる。

0036

本発明の方法は、前記のように、分離に供する高沸点成分と低沸点成分との沸点差が比較的大きい場合に有効である。このような高沸点成分の沸点と低沸点成分の沸点との差(常圧での沸点の差)は、例えば、3℃以上(例えば、4〜80℃)、好ましくは5℃以上(例えば、7〜60℃)、さらに好ましくは8℃以上(例えば、9〜50℃)、特に10℃以上(例えば、12〜40℃)であってもよく、通常15〜35℃程度であってもよい。なお、上記沸点差は、高沸点成分及び/又は低沸点成分が、それぞれ、複数の成分を含む場合、高沸点成分のすべての成分と低沸点成分のすべての成分との間での沸点差を意味する。

0037

高沸点成分は、低沸点成分との組み合わせにおいて、相対的に低沸点成分よりも高沸点の成分であればよい。また、低沸点成分も、高沸点成分よりも相対的に低沸点の成分であれば特に限定されない。なお、高沸点成分及び低沸点成分は、それぞれ、複数の成分を含んでいてもよい。

0038

このような高沸点成分及び低沸点成分を組み合わせた代表的な液体混合物としては、(1)高沸点成分としての酢酸と、低沸点成分としての水とを含む液体混合物、又は(2)酢酸と、水及び酢酸の抽剤(詳細には酢酸よりも低沸点の抽剤、酢酸/水系における酢酸の抽剤)とを含む液体混合物が挙げられる。このような組み合わせの液体混合物(揮発性成分)は、例えば、酢酸水溶液から酢酸を抽剤により抽出して得られる抽出液であってもよい。なお、酢酸水溶液中の酢酸濃度は、例えば、5〜60重量%(例えば、10〜50重量%)、好ましくは15〜45重量%(例えば、20〜40重量%)、さらに好ましくは25〜35重量%程度であってもよい。

0039

酢酸の抽剤としては、例えば、エステル類[例えば、酢酸エステル(例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピルなど)など]、ケトン類メチルエチルケトンジエチルケトンメチルプロピルケトンメチルイソブチルケトンなど)、アルコール類[例えば、アルカノール(例えば、エタノールイソプロパノールブタノールなど)など]、炭化水素類[例えば、芳香族炭化水素類ベンゼントルエンなど)、脂環族炭化水素類(シクロヘキサンなど)など]、アミン類リン酸エステルホスフィンオキシドなどが挙げられる。これらの抽剤は、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。特に、酢酸の抽剤は、少なくとも酢酸エステル(例えば、酢酸メチル、酢酸エチルなど、特に酢酸エチル)を含んでいてもよい。なお、抽出剤(抽剤)が、酢酸エステル(例えば、酢酸エチル)と他の抽剤(ベンゼンなどの炭化水素類、イソプロパノールなどのアルカノールなど)とを含む場合、抽剤全体に対する酢酸エステル(例えば、酢酸エチル)の割合は、例えば、20重量%以上(例えば、25〜99重量%)、好ましくは30重量%以上(例えば、40〜95重量%)、さらに好ましくは50重量%以上(例えば、55〜90重量%)、特に60重量%以上(例えば、65〜85重量%)であってもよい。

0040

なお、抽剤の沸点は、例えば、35〜115℃(例えば、40〜110℃)、好ましくは50〜105℃(例えば、55〜100℃)、さらに好ましくは100℃未満(例えば、60〜95℃)、特に65〜90℃(例えば、70〜85℃)程度であってもよい。特に、抽剤の沸点は、水よりも低沸点(沸点100℃未満)であってもよい。

0041

このような抽出液(液体混合物)では、完全に酢酸が抽出されておらず、水を含む液体混合物となる。そのため、蒸留工程において、このような水を含む液体混合物から、酢酸(沸点118℃)が高沸点成分として分離され、水(沸点100℃)及び抽剤[例えば、酢酸エチル(沸点77.1℃)]が低沸点成分として分離されることとなる。なお、水及び抽剤を含む低沸点成分は、必要に応じて、さらに、蒸留工程に供され、抽剤が回収される。

0042

液体混合物において、高沸点成分と低沸点成分との割合は、特に限定されず、例えば、前者/後者(重量比)=95/5〜1/99(例えば、90/10〜3/97)、好ましくは80/20〜5/95(例えば、70/30〜7/93)、さらに好ましくは60/40〜8/92(例えば、50/50〜10/90)程度であってもよい。

0043

特に、前記酢酸を含む液体混合物において、酢酸の割合は、例えば、70重量%以下(例えば、3〜60重量%)、好ましくは50重量%以下(例えば、5〜40重量%)、さらに好ましくは30重量%以下(例えば、10〜30重量%)であってもよい。

0044

また、酢酸と、水及び抽剤の総量との割合は、前者/後者(重量比)=1/99〜70/30(例えば、3/97〜60/40)、好ましくは5/9〜550/50(例えば、8/92〜40/60)、さらに好ましくは10/90〜30/70(例えば、12/88〜25/75)程度であってもよく、13/87〜20/80(例えば、15/85〜20/80)程度であってもよい。また、液体混合物において、水と抽剤との割合は、例えば、前者/後者(重量比)=1/99〜50/50(例えば、1.5/98.5〜30/70)、好ましくは2/98〜25/75(例えば、2.5/97.5〜20/80)程度であってもよい。

0045

さらに、酢酸を含む液体混合物中の水の割合は、25重量%以下(例えば、1〜22重量%)の範囲から選択でき、例えば、20重量%以下(例えば、1.2〜19重量%)、好ましくは18重量%以下(例えば、1.5〜17重量%)、さらに好ましくは16重量%以下(例えば、2〜15重量%)、特に14重量%以下(例えば、2.2〜12重量%)であってもよい。なお、水の割合が多すぎると、蒸留工程における酢酸の回収効率を向上させるために還流比を大きくする必要があり、結果として十分な省エネ効果が得られない場合がある。

0046

本発明は、直接的に蒸留塔に供給できない液体混合物に好適に使用できる。このような液体混合物は、直接的に蒸留塔に供給することにより、蒸留やその後続の工程において何らかの悪影響が生じる液体混合物であればよく、代表的には、不揮発性成分を含む液体混合物である場合が多い。すなわち、このような不揮発性成分は、析出凝集固化膨潤などにより、蒸留塔やそれに後続する工程や各種ラインを閉塞させるなどの原因となる場合が多い。不揮発性成分としては、例えば、金属、塩(金属塩など)、ポリマーなどが挙げられ、金属、塩(金属塩など)は、触媒又は触媒系(例えば、ロジウム触媒イリジウム触媒などのメタノールカルボニル化触媒、又はカルボニル化触媒と、ヨウ化リチウムなどの助触媒とを含むメタノールカルボニル化触媒系、又はカルボニル化触媒系など)であってもよい。これらの不揮発性成分は、単独で又は2種以上組み合わせて含まれていてもよい。なお、不揮発性成分は、揮発性成分(又は液体混合物)中に固形の形態で存在していてもよく、溶解していてもよい。

0047

前記酢酸を含む液体混合物において、代表的な不揮発性成分は、酢酸セルロースなどである。すなわち、代表的な前記液体混合物(酢酸水溶液)は、例えば、酢酸、酢酸セルロースの製造過程において得られる。

0048

なお、液体混合物中の不揮発性成分の割合は、特に制限されず、10重量%以下(例えば、5重量%以下)であってもよく、通常、微量(例えば、1重量%以下、好ましくは0.5重量%以下、さらに好ましくは0.1重量%以下)であってもよい。

0049

また、液体混合物中の揮発性成分の割合は、特に制限されず、90重量%以上、例えば、95重量%以上、好ましくは98重量%以上、さらに好ましくは99重量%以上、特に99.5重量%以上(例えば、99.9重量%以上)であってもよい。

0050

なお、液体混合物(又は揮発性成分)の沸点は、液体混合物の組成によって変化し、特に限定されない。前記酢酸を含む液体混合物の沸点は、例えば、60〜115℃(例えば、70〜110℃)、好ましくは75〜105℃(例えば、80〜100℃)、特に85〜95℃程度であってもよい。

0051

なお、第1の蒸発工程に供給する液体混合物は、必要に応じて、予め、適宜、濃縮などの汎用の処理操作に供されていてもよい。特に、上記組成に液体混合物を調製すると、後述の還流比などとの関係で圧縮比を比較的低い範囲に調整しやすく、結果として、効率よく省エネルギー化を実現させやすくなる場合がある。

0052

[蒸発工程]
蒸発工程では、液体混合物(揮発性成分として高沸点成分及び低沸点成分を含む液体混合物)から、揮発性成分を蒸発(フラッシュ蒸発)させる。そして、本発明では、揮発性成分の一部を第1の蒸発器(第1の蒸発工程)で蒸発させ、第1の蒸発工程により蒸発しなかった(蒸発させなかった)揮発性成分の残部を第2の蒸発器(第2の蒸発工程)とで蒸発させる。

0053

(第1の蒸発工程)
第1の蒸発工程では、後述の圧縮工程で生成した圧縮成分(又は圧縮蒸気)の熱エネルギー(熱量)との熱交換により、第1の蒸発器で揮発性成分の一部を蒸発させる。換言すれば、第1の蒸発工程では、後述の圧縮工程で断熱圧縮された圧縮成分を熱源として利用し、圧縮成分からの伝熱により、揮発性成分の一部を蒸発させる。なお、後述のように、圧縮成分は、液体混合物と混合されることなく、流出液として回収又は排出される。

0054

第1の蒸発工程において、蒸発に供する液体混合物の温度(液温度)は、特に限定されず、常温であってもよく、加温(予熱)されていてもよい。圧縮蒸気の温度(露点温度)と液体混合物の液温度との差は、特に限定されず、例えば、20℃以上(例えば、25〜200℃)、好ましくは30℃以上(例えば、35〜180℃)、さらに好ましくは40℃以上(例えば、45〜150℃)であってもよい。

0055

第1の蒸発工程において、蒸発させる揮発性成分(すなわち、揮発性成分の一部)の割合は、高沸点成分と低沸点成分との沸点差やその割合、さらには、圧縮工程における圧縮比や蒸留における還流比などに応じて適宜選択でき、例えば、揮発性成分全体の1〜95重量%、好ましくは5〜90重量%、さらに好ましくは10〜80重量%程度であってもよい。特に、前記酢酸を含む液体混合物では、揮発性成分全体(酢酸、水及び抽剤の総量)の1〜85重量%、好ましくは2〜80重量%(例えば、5〜75重量%)、さらに好ましくは10〜70重量%程度の割合で揮発性成分を蒸発させてもよい。

0056

第1の蒸発工程では、揮発性成分のうち、通常、主に低沸点成分を蒸発させる場合が多い。例えば、第1の蒸発工程において、蒸発させる揮発性成分全体に対する低沸点成分の割合は、圧縮蒸気の温度(露点温度)などに応じて選択でき、例えば、80重量%以上、好ましくは90重量%以上、さらに好ましくは95重量%以上である。また、第1の蒸発工程において、揮発性成分中の低沸点成分のうち、90重量%以上、好ましくは95重量%以上、さらに好ましくは99重量%以上の割合で低沸点成分を蒸発させる場合が多い。

0057

特に、前記酢酸を含む液体混合物では、第1の蒸発工程において、蒸発させる揮発性成分全体に対する低沸点成分(水及び抽剤)の割合は、例えば、80重量%以上、好ましくは90重量%以上、さらに好ましくは95重量%以上であってもよい。また、第1の蒸発工程において、揮発性成分中の低沸点成分(水及び抽剤)のうち、例えば、90重量%以上、好ましくは93重量%以上、さらに好ましくは95重量%以上(例えば、99重量%以上)の低沸点成分を蒸発させる場合が多い。

0058

なお、抽剤が水よりも低沸点の抽剤である場合、第1の蒸発工程において、抽剤全体の50重量%以上、好ましくは80重量%以上、さらに好ましくは95重量%以上を蒸発させてもよい。また、水全体の95重量%以下(例えば、93重量%以下)、好ましくは75重量%以下(例えば、72重量%以下)、さらに好ましくは50重量%以下(例えば、45重量%以下)を蒸発させてもよい。

0059

なお、第1の蒸発工程で用いる蒸発器は、特に限定されず、慣用の蒸発器(フラッシャー)を用いることができる。

0060

また、第1の蒸発工程で用いる熱交換器も、圧縮蒸気を利用して伝熱可能な熱交換器であれば特に限定されず、慣用の熱交換器を使用できる。中でも、強制循環方式の熱交換器を使用するのが好ましい。このような熱交換器は、伝熱面に対する不揮発成分の付着を少なくしやすく、好適に用いることができる。

0061

熱交換においては、圧縮蒸気の熱エネルギーを可能な限り第1の蒸発工程に利用するのが好ましく、例えば、熱交換して凝縮した凝縮液の温度と、第1の蒸発器内の温度(第1の蒸発器内の液温度)との差は、10℃以下、好ましくは7℃以下、さらに好ましくは5℃以下であってもよい。また、熱交換器における総括伝熱係数は、例えば、500〜1200kcal/m2・h・℃(例えば、500〜800kcal/m2・h・℃)、好ましくは800〜1200kcal/m2・h・℃(例えば、800〜1000kcal/m2・h・℃)、さらに好ましくは1000〜1200kcal/m2・h・℃程度であってもよい。

0062

上記のようにして得られた蒸発した揮発性成分は、後述の蒸留工程に供され、また、蒸発しなかった液体混合物は、蒸発しなかった揮発性成分の残部(さらには、不揮発性成分)を含む液体混合物として、第2の蒸発工程に供される。

0063

(第2の蒸発工程)
第2の蒸発工程では、第1の蒸発工程で蒸発させなかった揮発性成分(又は液体混合物)の残部を蒸発させる。このような残部は、通常、第1の蒸発工程で主に低沸点成分を蒸発させているため、液体混合物中の揮発性成分に比べると、比較的高沸点成分の濃度が高い揮発性成分である場合が多い。すなわち、揮発性成分(又は液体混合物)の残部の沸点は、液体混合物(又は液体混合物中の揮発性成分)の沸点よりも高沸点である場合が多く、これらの沸点差は、特に限定されないが、例えば、5℃以上(例えば、5〜15℃程度)、好ましくは10℃以上(例えば、12℃以上)、さらに好ましくは13℃以上(例えば、14℃以上)であってもよい。

0064

なお、第2の蒸発工程で蒸発させる揮発性成分において、低沸点成分の割合は、例えば、90重量%以下(例えば、1〜80重量%)の範囲から選択でき、60重量%以下(例えば、10〜57重量%)、好ましくは55重量%以下(例えば、20〜54重量%)、さらに好ましくは50重量%以下(例えば、30〜49重量%以下)、特に48重量%以下(例えば、40〜48重量%)であってもよく、30〜50重量%(例えば、35〜45重量%)程度であってもよい。

0065

なお、第2の蒸発工程に供する液体混合物の残部の液温度と、第1の蒸発工程に供する液体混合物(又は揮発性成分)の液温度との差は、例えば、5℃以上(例えば、5〜50℃程度)であってもよい。特に、前記酢酸を含む液体混合物では、第2の蒸発工程において、蒸発に供する揮発性成分(又は液体混合物)の液温度は、例えば、80℃以上(例えば、85℃〜110℃)、好ましくは88℃以上(例えば、90℃〜105℃)、さらに好ましくは92℃以上(例えば、93〜100℃)であってもよく、85〜105℃(例えば、90〜100℃)程度であってもよい。

0066

なお、第2の蒸発器は、特に限定されず、第1の蒸発器と同様の蒸発器を用いることができる。また、第2の蒸発工程で用いる熱交換器も、特に限定されず、慣用の熱交換器を使用できる。なお、熱交換器における熱通過率は、前記と同様の範囲から選択できる。

0067

上記のようにして、揮発性成分の残部が蒸発され、後述の蒸留工程に供される。なお、第2の蒸発工程でも蒸発しなかった成分(不揮発性成分などを含む成分)は、蒸発器に濃縮液として残留する。このような濃縮液(残留液)は、蒸発器から排出され、必要に応じてこの濃縮液からさらに有用成分(例えば、酢酸、抽剤など)を回収してもよい。なお、濃縮液の割合は、微量であり、例えば、液体混合物全体に対して5重量%以下(例えば、0.01〜4重量%程度)、好ましくは3重量%以下(例えば、0.1〜2.5重量%程度)、さらに好ましくは2重量%以下(例えば、0.3〜1.5重量%程度)であってもよい。

0068

[蒸留工程]
蒸留工程では、蒸発工程(第1及び第2の蒸発工程)で生成した揮発性成分(揮発性成分の蒸気)を蒸留塔に供給して蒸留し、低沸点成分に富む上部蒸気(塔頂蒸気などの上部蒸気流、蒸気画分)と高沸点成分に富む下部液体又は液体画分(缶出液などの下部液体流)とに分離する。

0069

第1及び第2の蒸発工程で生成した第1及び第2の蒸気は、蒸留塔の同じ高さ位置(段)に仕込んでもよく、異なる高さ位置(段)に分けて仕込んでもよい。なお、高沸点成分に富む第2の蒸発工程からの蒸気(第2の蒸気)を蒸留塔に供給する供給位置(供給段)よりも高い供給位置(供給段)に、低沸点成分に富む第1の蒸発工程からの蒸気(第1の蒸気)を仕込むと、蒸留塔の塔底リボイラー及び塔頂コンデンサー熱交換負荷を低減できる。第1の蒸気の供給位置は、第2の蒸気の供給位置、第1及び第2の蒸気の組成などに応じて、適切に選択できる。

0070

上部蒸気(塔頂蒸気又は蒸気流)は、主に低沸点成分(水、酢酸の抽剤など)に富んでいる。特に、高沸点成分(酢酸など)を目的物として分離するという観点からは、蒸留において、上部蒸気における高沸点成分の割合を極力小さく、また、下部液体(缶出液)中の高沸点成分の割合(濃度又は純度)を極力大きくするのが好ましい。そのため、上部蒸気における高沸点成分の割合は、例えば、3重量%以下(例えば、0〜2重量%)、好ましくは1重量%以下(例えば、0.001〜0.7重量%)、さらに0.5重量%以下(例えば、0.005〜0.3重量%)、特に0.1重量%以下(例えば、0.01〜0.07重量%)であってもよい。また、高沸点成分に富む下部液体中の高沸点成分の割合は、例えば、95重量%以上(例えば、97〜100重量%)、好ましくは98重量%以上(例えば、98.5〜99.999重量%)、さらに好ましくは99重量%以上(例えば、99.3〜99.995重量%)、特に99.5重量%以上(例えば、99.9〜99.99重量%)であってもよい。なお、低沸点成分及び高沸点成分の重量割合は、室温20℃で凝縮した凝縮液中での割合を意味する。

0071

このような精度の高い蒸留は、通常、液体混合物(又は揮発性成分)の組成に応じて、蒸留塔に還流させる上部蒸気(塔頂蒸気)の還流比を調整することで実現できる。しかし、上部蒸気は、後述のように、通常、還流に供する前に(すなわち、蒸留塔に戻す前に)断熱圧縮(さらには第1の蒸発器において熱交換)して前記第1の蒸発工程における熱源(主に低沸点成分を蒸発させるための熱源)として利用するため、還流比が大きすぎると、断熱圧縮に要するエネルギーが大きくなりすぎ、十分な省エネルギー効果が得られなく場合がある。なお、前記のように、高精度の蒸留を担保するため、還流比を大きくする必要がある場合には、上部蒸気(塔頂蒸気)の一部を断熱圧縮に供してもよい。さらに、上部蒸気の全量を断熱圧縮しても、第1の蒸発工程での揮発性成分の蒸発にはエネルギー的に過剰である場合がある。そのため、少なくとも一部の上部蒸気を断熱圧縮してもよい。

0072

図2は本発明の他の例を説明するためのフロー図であり、この例では、蒸留塔3からの上部蒸気(塔頂蒸気)の一部(第1の部分)を、ライン11を通じて、圧縮機4に供給して断熱圧縮し、上部蒸気(塔頂蒸気)の残部(第2の部分)を、ライン20を通じて、凝縮器コンデンサ)(図示せず)に供給し、冷却して凝縮させている。このように、上部蒸気(塔頂蒸気)を分岐し、上部蒸気の一部を断熱圧縮することにより、第1の蒸発工程での揮発性成分の蒸発に適切な熱エネルギーを付与でき、エネルギー効率を高めることができる。

0073

なお、前記圧縮機4への上部蒸気の分配割合は、上部蒸気全体の5〜100%程度の広い範囲から選択でき、第1の部分と第2の部分との割合は、10/90〜100/0、好ましくは20/80〜90/10、さらに好ましくは25/75〜80/20程度であってもよい。なお、上記上部蒸気の割合の単位は、重量単位又は体積単位若しくは流量割合のいずれであってもよく、上部蒸気の割合は、上部蒸気を室温20℃に冷却して凝縮した凝縮液の重量割合であってもよい。

0074

前記の例では、上部蒸気(塔頂蒸気)の残部は、凝縮器に限らず、蒸留塔、冷却ユニット抽出ユニットホールドタンクなどに供給してもよい。

0075

なお、蒸留塔での還流比は、例えば、0.1〜20程度の広い範囲から選択でき、前記のように、エネルギー効率の観点から、還流比は、高精度の蒸留を担保できる範囲で小さくするのが好ましく、例えば、10以下(例えば、0.1〜8)、好ましくは7以下(例えば、0.2〜6)、さらに好ましくは5以下(例えば、0.3〜4)、特に3以下(例えば、0.4〜2.5)であってもよい。特に、前記酢酸を含む液体混合物では、還流比は、3以下(例えば、0.1〜2.7)、好ましくは2.5以下(例えば、0.2〜2.3)、さらに好ましくは2.2以下(例えば、0.3〜2.1)であってもよく、通常2以下[例えば、0.3〜1.9、好ましくは1.8以下(例えば、0.4〜1.6)、さらに好ましくは1.5以下(例えば、0.5〜1.3)]であってもよい。このような還流比で上部蒸気(塔頂蒸気)[又は圧縮成分、特に、熱交換後の圧縮成分(再凝縮した圧縮成分)]を蒸留塔に還流可能であれば、高精度の蒸留を担保しつつ、断熱圧縮に要するエネルギー消費を抑えて効率よく省エネルギー効果を得やすい。

0076

上部蒸気(塔頂蒸気)の温度は、液体混合物の組成に応じて変化する。例えば、前記酢酸を含む液体混合物では、塔頂温度は、50〜110℃(例えば、60〜100℃)、好ましくは65〜95℃(例えば、70〜90℃)、特に75〜85℃程度であってもよい。

0077

蒸留塔としては、慣用の蒸留塔(又は精留塔)、例えば、棚段塔充填塔などの精留塔が使用できる。蒸留塔の理論段は、例えば、5〜55段、好ましくは15〜45段、さらに好ましくは25〜35段程度であってもよい。液体混合物(揮発性成分)の組成によっては、還流比を前記範囲とするため、理論段数を大きくしてもよい。

0078

なお、蒸留塔の熱交換器は、特に限定されず、慣用の熱交換器を使用できる。

0079

上記のようにして、蒸留工程において、第1の蒸気及び第2の蒸気は、低沸点成分を含む上部蒸気(塔頂蒸気などの上部蒸気流)と、高沸点成分を含む下部液体(缶出流などの下部液体流)とに分離される。そして、上部蒸気(塔頂蒸気)は、後述の圧縮工程に供されて第1の蒸発工程における熱源として利用された後、流出液として排出される。なお、上部蒸気(塔頂蒸気)の一部は、通常、前記のように還流に供される。流出液は、必要に応じて、さらに慣用の精製方法(蒸留など)により有用成分を回収してもよい。例えば、酢酸を含む液体混合物では、流出液には、水及び抽剤が含まれるため、さらに水と抽剤とを慣用の方法により分離し、抽剤を回収してもよい。回収された抽剤は、酢酸水溶液からの酢酸の抽出に用いたり、蒸留塔に戻し(還流させ)てもよい。

0080

また、高沸点成分を含む液体画分(缶出液)は、前記のように高純度であるため、そのまま回収してもよく、必要に応じてさらに精製(蒸留など)して回収してもよい。

0081

[圧縮工程]
圧縮工程では、蒸留工程で生成した上部蒸気(低沸点成分に富む塔頂蒸気)を、冷却又は凝縮させることなく、断熱圧縮させる。そして、この圧縮工程(断熱圧縮)で生成した圧縮成分(圧縮蒸気)は、第1の蒸発工程における熱源として利用される。

0082

断熱圧縮において、圧縮比は、汎用の圧縮機で実現可能な圧縮比であればよく、例えば、3以下(例えば、1.2〜2.8)、好ましくは2.5以下(例えば、1.3〜2.4)、さらに好ましくは2.3以下(例えば、1.4〜2.2)、特に2.2以下(例えば、1.5〜2.1)程度であってもよい。本発明では、前記のように二段階の蒸発工程により、圧縮比を極端に大きくしなくても、また、液体混合物を構成する高沸点成分及び低沸点成分の沸点差が大きくても、効率よく省エネルギー化できる。

0083

なお、断熱圧縮により、上部蒸気(塔頂蒸気)の温度は昇温する。このような昇温範囲、すなわち、圧縮蒸気の温度(露点温度)と上部蒸気(塔頂蒸気)の温度との差は、圧縮比に応じて変化するが、例えば、5〜50℃、好ましくは10〜45℃、さらに好ましくは15〜40℃程度であってもよく、通常20〜35℃(例えば、25〜30℃)程度であってもよい。本発明では、前記のように、圧縮比を極端に大きくしなくてもよく、そのため、上記温度差も極端に大きくする必要がない。

0084

圧縮蒸気の温度(露点温度)は、液体混合物(揮発性成分全体)の沸点よりも高い温度であればよく、通常、高沸点成分の沸点よりも低い温度である場合が多い。また、圧縮蒸気の温度は、低沸点成分が複数の成分を含んでいる場合、低沸点成分のうち、最も低沸点の成分の沸点よりも高温であればよく、必ずしもすべての低沸点成分の沸点よりも高温である必要はない。

0085

例えば、前記酢酸を含む液体混合物において、圧縮蒸気の露点温度は、水及び酢酸の抽剤(水よりも低沸点の抽剤)のいずれの沸点よりも高い温度であってもよく、酢酸の抽剤の沸点よりも高温で、かつ水の沸点(100℃)よりも低温であってもよい。このような酢酸を含む液体混合物において、圧縮蒸気の露点温度は、具体的には、80〜135℃(例えば、82〜132℃)、好ましくは85〜130℃(例えば、87〜127℃)、さらに好ましくは90〜125℃(例えば、92〜122℃)、特に95〜120℃(例えば、97〜117℃)、通常100〜115℃(例えば、100〜112℃)程度であってもよい。

0086

なお、圧縮機としては、蒸気再圧縮方式において使用可能な圧縮機であれば特に限定されず、幅広い種類の圧縮機[例えば、遠心圧縮機ターボ圧縮機)、スクリュ圧縮機など]を使用できるが、本発明では、前記のように極端に圧縮比を高める必要がないため、汎用の圧縮機(遠心圧縮機など)であっても利用可能である。

0087

そして、断熱圧縮された圧縮蒸気は、前記のように、第1の蒸発工程において、揮発性成分の一部を蒸発させるための熱源として熱交換に供される。なお、熱交換後の圧縮蒸気は、熱交換により再凝縮し、流出液として回収又は排出され、通常、その一部が蒸留塔に還流される。

0088

以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。

0089

なお、実施例及び比較例において、断熱圧縮は電気エネルギーにより行い、電気エネルギーから蒸気エネルギーへの換算係数を3(すなわち、蒸気から電気への発電効率が33.3%)として、エネルギー収支を算出した。

0090

(実施例1)
図1に示すプロセスで、酢酸を含む液体混合物からの酢酸の分離を行った。なお、液体混合物[約30重量%の割合で酢酸を含む酢酸水溶液から抽出剤(酢酸エチル及びベンゼン)で酢酸を抽出することにより得られた抽出液]の組成は、酢酸16.4重量%、水8.6重量%、酢酸エチル55.4重量%、ベンゼン19.5重量%(合計100重量%)、酢酸セルロース0.1重量%以下であった。なお、以下の実施例及び比較例において、0.1重量%以下の少量の酢酸セルロースの含有量は上記液体混合物の組成に含めず、揮発性成分(この例では、酢酸、水、酢酸エチル及びベンゼン)の総量を100重量%としている。また、圧縮機4には、市販のターボ圧縮機を使用した。

0091

以下にプロセスの詳細を示す。

0092

上記液体混合物を59.4Ton/hrの割合で第1の蒸発器1に仕込み、蒸留塔3における還流比を0.94、圧縮機4における断熱圧縮の圧縮比2.1として、図1のプロセスを連続的に運転した。このプロセスでは、第1の蒸発器1内の温度は90.6℃となり、液体混合物全体の77.7重量%(酢酸全体の43.5重量%、水全体の78.8重量%、酢酸エチル全体の83.0重量%、ベンゼン全体の91.1重量%)が蒸発した。第1の蒸発器2で蒸発しなかった液体混合物の残部(水全体の21.2重量%、酢酸エチル全体の17.0重量%、ベンゼン全体の8.9重量%、酢酸全体の56.5重量%)は、第2の蒸発器2においてスチームによる熱交換で蒸発させた。なお、酢酸セルロースを含む濃縮液(液体混合物の1重量%)はライン17から排出した。

0093

第1の蒸発器1及び第2の蒸発器2で蒸発させた揮発性成分(水、酢酸、酢酸エチル、ベンゼン)を、蒸留塔3(理論段20段)で蒸留し、主に低沸点成分を含む塔頂蒸気(温度72℃、酢酸0.04重量%、水6.3重量%、酢酸エチル69.5重量%、ベンゼン24.2重量%)と、主に酢酸を含む缶出液(酢酸99.9重量%、水0.1重量%)とに分離した。塔頂蒸気は、圧縮により露点温度100.1℃の圧縮蒸気となり、さらに、第1の蒸発器1での熱交換(伝熱)で、95.6℃に降温して凝縮し、凝縮物をライン15から流出液として排出した。一部の未凝縮蒸気は、ライン13及び15を通じて、流出液とともに排出した。なお、凝縮した圧縮蒸気(凝縮物)の一部は、ライン14を通じて、前記のように蒸留塔3で還流させた。

0094

そして、二段階の蒸発に必要となったエネルギー、すなわち、圧縮機4において断熱圧縮に要したエネルギー及び熱交換器6において液体混合物の残部を蒸発させるのに要したエネルギーの総量を算出したところ、2771402kcal/hrであった。比較例1の蒸発に要したエネルギーと比べると、7275028kcal/hr省エネルギー化できた。

0095

(実施例2)
実施例1において、圧縮比を2.0に代えたこと以外は、実施例1と同様にして図1のプロセスを連続的に行った。なお、塔頂蒸気は、圧縮により露点温度98.4℃の圧縮蒸気となり、第1の蒸発器1での熱交換(伝熱)で94.2℃に降温した。また、第1の蒸発器1内の温度は89.2℃となり、液体混合物全体の71.6重量%(酢酸全体の33.7重量%、水全体の72.8重量%、酢酸エチル全体の77.1重量%、ベンゼン全体の87.5重量%)が蒸発した。

0096

そして、圧縮機4において断熱圧縮に要したエネルギー及び熱交換器6において液体混合物の残部を蒸発させるのに要したエネルギーの総量を算出したところ、3191837kcal/hrであり、比較例1の蒸発に要したエネルギーと比べると、6854593kcal/hr省エネルギー化できた。

0097

(実施例3)
実施例1において、圧縮比を1.8に代えたこと以外は、実施例1と同様にして図1のプロセスを連続的に行った。なお、塔頂蒸気は、圧縮により露点温度94.8℃の圧縮蒸気となり、第1の蒸発器1での熱交換(伝熱)で91.3℃に降温した。また、第1の蒸発器1内の温度は86.3℃となり、液体混合物全体の56.8重量%(酢酸全体の17.8重量%、水全体の58.3重量%、酢酸エチル全体の61.3重量%、ベンゼン全体の76.3重量%)が蒸発した。

0098

そして、圧縮機4において断熱圧縮に要したエネルギー及び熱交換器6において液体混合物の残部を蒸発させるのに要したエネルギーの総量を算出したところ、4213273kcal/hrであり、比較例1の蒸発に要したエネルギーと比べると、5833157kcal/hr省エネルギー化できた。

0099

(実施例4)
実施例1において、圧縮比を1.6に代えたこと以外は、実施例1と同様にして図1のプロセスを連続的に行った。なお、塔頂蒸気は、圧縮により露点温度90.9℃の圧縮蒸気となり、第1の蒸発器1での熱交換(伝熱)で88.3℃に降温した。また、第1の蒸発器1内の温度は83.3℃となり、液体混合物全体の35.1重量%(酢酸全体の6.8重量%、水全体の37.5重量%、酢酸エチル全体の36.8重量%、ベンゼン全体の53.3重量%)が蒸発した。

0100

そして、圧縮機4において断熱圧縮に要したエネルギー及び熱交換器6において液体混合物の残部を蒸発させるのに要したエネルギーの総量を算出したところ、5723683kcal/hrであり、比較例1の蒸発に要したエネルギーと比べると、4322747kcal/hr省エネルギー化できた。

0101

(実施例5)
実施例1において、圧縮比を1.4に代えたこと以外は、実施例1と同様にして図1のプロセスを連続的に行った。なお、塔頂蒸気は、圧縮により露点温度86.5℃の圧縮蒸気となり、さらに、第1の蒸発器1での熱交換(伝熱)で85.2℃に降温した。また、第1の蒸発器1内の温度は80.2℃となり、液体混合物全体の2.0重量%(酢酸全体の0.2重量%、水全体の2.3重量%、酢酸エチル全体の1.9重量%、ベンゼン全体の3.6重量%)が蒸発した。

0102

そして、圧縮機4において断熱圧縮に要したエネルギー及び熱交換器6において液体混合物の残部を蒸発させるのに要したエネルギーの総量を算出したところ、8173697kcal/hrであり、比較例1の蒸発に要したエネルギーと比べると、1872733kcal/hr省エネルギー化できた。

0103

(比較例1)
実施例1において、液体混合物を第2の蒸発器2に直接供給し、第2の蒸発器2のみで液体混合物(揮発性成分)を蒸発させたこと以外は、実施例1と同様にして図1のプロセスを行った。なお、蒸留塔3からの塔頂蒸気は、圧縮機4および第1の蒸発器1の熱交換器5に供給することなく、コンデンサで凝縮して抜き出した。第2の蒸発器2で蒸発しなかった酢酸セルロースを含む濃縮液の量は、液体混合物の1重量%であり、実施例1と同じであった。

0104

熱交換器6において液体混合物を蒸発させるのに要したエネルギーは、10046430kcal/hrであった。

0105

(実施例6)
実施例1において、液体混合物の組成を酢酸15.1重量%、水16重量%、酢酸エチル51.0重量%、ベンゼン17.9重量%(合計100重量%)、酢酸セルロース0.1重量%以下とし、還流比を2.2に代えたこと以外は、実施例1と同様にして図1のプロセスを連続的に行った。

0106

なお、第1の蒸発器1及び第2の蒸発器2で蒸発させた揮発性成分(水、酢酸、酢酸エチル、ベンゼン)は、蒸留塔3において、主に低沸点成分を含む塔頂蒸気(温度86.4℃、酢酸0.04重量%、水18.8重量%、酢酸エチル60.0重量%、ベンゼン21.1重量%)と、主に酢酸を含む缶出液(酢酸99.9重量%、水0.1重量%)とに分離した。塔頂蒸気は、圧縮により露点温度117.2℃の圧縮蒸気となり、第1の蒸発器1での熱交換(伝熱)で98.4℃に降温した。また、第1の蒸発器1内の温度は93.4℃となり、液体混合物全体の73.9重量%(酢酸全体の33.2重量%、水全体の66.9重量%、酢酸エチル全体の80.4重量%、ベンゼン全体の96重量%)が蒸発した。

0107

そして、圧縮機4において断熱圧縮に要したエネルギー及び熱交換器6において液体混合物の残部を蒸発させるのに要したエネルギーの総量を算出したところ、5788913kcal/hrであり、比較例2の蒸発に要したエネルギーと比べると、6882305kcal/hr省エネルギー化できた。

0108

(実施例7)
実施例6において、圧縮比を2.0に代えたこと以外は、実施例6と同様にして図1のプロセスを連続的に行った。なお、塔頂蒸気は、圧縮により露点温度115.1℃の圧縮蒸気となり、第1の蒸発器1での熱交換(伝熱)で97.5℃に降温した。また、第1の蒸発器1内の温度は92.5℃となり、液体混合物全体の71.1重量%(酢酸全体の28.4重量%、水全体の62.9重量%、酢酸エチル全体の77.7重量%、ベンゼン全体の95.3重量%)が蒸発した。

0109

そして、圧縮機4において断熱圧縮に要したエネルギー及び熱交換器6において液体混合物の残部を蒸発させるのに要したエネルギーの総量を算出したところ、5971800kcal/hrであり、比較例2の蒸発に要したエネルギーと比べると、6699418kcal/hr省エネルギー化できた。

0110

(実施例8)
実施例6において、圧縮比を1.8に代えたこと以外は、実施例6と同様にして図1のプロセスを連続的に行った。なお、塔頂蒸気は、圧縮により露点温度110.7℃の圧縮蒸気となり、第1の蒸発器1での熱交換(伝熱)で95.4℃に降温した。また、第1の蒸発器1内の温度は90.4℃となり、液体混合物全体の64.9重量%(酢酸全体の20.1重量%、水全体の54.5重量%、酢酸エチル全体の71.4重量%、ベンゼン全体の93.3重量%)が蒸発した。

0111

そして、圧縮機4において断熱圧縮に要したエネルギー及び熱交換器6において液体混合物の残部を蒸発させるのに要したエネルギーの総量を算出したところ、6363220kcal/hrであり、比較例2の蒸発に要したエネルギーと比べると、6307998kcal/hr省エネルギー化できた。

0112

(実施例9)
実施例6において、圧縮比を1.6に代えたこと以外は、実施例6と同様にして図1のプロセスを連続的に行った。なお、塔頂蒸気は、圧縮により露点温度105.7℃の圧縮蒸気となり、第1の蒸発器1での熱交換(伝熱)で93.0℃に降温した。また、第1の蒸発器1内の温度は88.0℃となり、液体混合物全体の57.7重量%(酢酸全体の13.2重量%、水全体の45.5重量%、酢酸エチル全体の63.3重量%、ベンゼン全体の90.0重量%)が蒸発した。

0113

そして、圧縮機4において断熱圧縮に要したエネルギー及び熱交換器6において液体混合物の残部を蒸発させるのに要したエネルギーの総量を算出したところ、6805214kcal/hrであり、比較例2の蒸発に要したエネルギーと比べると、5866004kcal/hr省エネルギー化できた。

0114

(実施例10)
実施例6において、圧縮比を1.4に代えたこと以外は、実施例6と同様にして図1のプロセスを連続的に行った。なお、塔頂蒸気は、圧縮により露点温度100.2℃の圧縮蒸気となり、第1の蒸発器1での熱交換(伝熱)で、90.3℃に降温した。また、第1の蒸発器1内の温度は85.3℃となり、液体混合物全体の48.5重量%(酢酸全体の7.7重量%、水全体の35.8重量%、酢酸エチル全体の52.2重量%、ベンゼン全体の83.7重量%)が蒸発した。

0115

そして、圧縮機4において断熱圧縮に要したエネルギー及び熱交換器6において液体混合物の残部を蒸発させるのに要したエネルギーの総量を算出したところ、7359629kcal/hrであり、比較例2の蒸発に要したエネルギーと比べると、5311589kcal/hr省エネルギー化できた。

0116

(比較例2)
実施例6において、液体混合物を第2の蒸発器2に直接供給し、第2の蒸発器2のみで液体混合物(揮発性成分)を蒸発させたこと以外は、実施例6と同様にして図1のプロセスを行った。なお、蒸留塔からの塔頂蒸気は、圧縮機4および第1の蒸発器1の熱交換器5に供給することなく、コンデンサで凝縮して抜き出した。第2の蒸発器2において蒸発しなかった酢酸セルロースを含む濃縮液の量は、液体混合物の1重量%であり、実施例6と同じであった。

0117

熱交換器6において液体混合物を蒸発させるのに要したエネルギーは、12671218kcal/hrであった。

0118

(実施例11)
実施例1において、液体混合物の組成を酢酸15.8重量%、水12重量%、酢酸エチル53.4重量%、ベンゼン18.8重量%(合計100重量%)、酢酸セルロース0.1重量%以下とし、還流比を1.5に代えたこと以外は、実施例1と同様にして図1のプロセスを連続的に行った。

0119

なお、第1の蒸発器1及び第2の蒸発器2で蒸発させた揮発性成分(水、酢酸、酢酸エチル、ベンゼン)は、蒸留塔3において、主に低沸点成分を含む塔頂蒸気(温度82.6℃、酢酸0.04重量%、水14.2重量%、酢酸エチル63.4重量%、ベンゼン22.3重量%)と、主に酢酸を含む缶出液(酢酸99.9重量%、水0.1重量%)とに分離した。塔頂蒸気は、圧縮により露点温度110.1℃の圧縮蒸気となり、第1の蒸発器1での熱交換(伝熱)で92.0℃に降温した。また、第1の蒸発器1内の温度は87.0℃となり、液体混合物全体の46.3重量%(酢酸全体の9.5重量%、水全体の42.5重量%、酢酸エチル全体の48.1重量%、ベンゼン全体の74.5重量%)が蒸発した。

0120

そして、圧縮機4において断熱圧縮に要したエネルギー及び熱交換器6において液体混合物の残部を蒸発させるのに要したエネルギーの総量を算出したところ、6795395kcal/hrであり、比較例3の蒸発に要したエネルギーと比べると、4108850kcal/hr省エネルギー化できた。

0121

(実施例12)
実施例11において、圧縮比を2.0に代えたこと以外は、実施例11と同様にして図1のプロセスを連続的に行った。なお、塔頂蒸気は、圧縮により露点温度108.2℃の圧縮蒸気となり、第1の蒸発器1での熱交換(伝熱)で91.3℃に降温した。また、第1の蒸発器1内の温度は86.3℃となり、液体混合物全体の43.1重量%(酢酸全体の8.0重量%、水全体の39.4重量%、酢酸エチル全体の44.4重量%、ベンゼン全体の71.4重量%)が蒸発した。

0122

そして、圧縮機4において断熱圧縮に要したエネルギー及び熱交換器6において液体混合物の残部を蒸発させるのに要したエネルギーの総量を算出したところ、6965739kcal/hrであり、比較例3の蒸発に要したエネルギーと比べると、3938506kcal/hr省エネルギー化できた。

0123

(実施例13)
実施例11において、圧縮比を1.8に代えたこと以外は、実施例11と同様にして図1のプロセスを連続的に行った。なお、塔頂蒸気は、圧縮により露点温度104.2℃の圧縮蒸気となり、第1の蒸発器1での熱交換(伝熱)で89.8℃に降温した。また、第1の蒸発器1内の温度は84.8℃となり、液体混合物全体の35.9重量%(酢酸全体の5.4重量%、水全体の32.6重量%、酢酸エチル全体の36.1重量%、ベンゼン全体の63.1重量%)が蒸発した。

0124

そして、圧縮機4において断熱圧縮に要したエネルギー及び熱交換器6において液体混合物の残部を蒸発させるのに要したエネルギーの総量を算出したところ、7375100kcal/hrであり、比較例3の蒸発に要したエネルギーと比べると、3529145kcal/hr省エネルギー化できた。

0125

(実施例14)
実施例11において、圧縮比を1.6に代えたこと以外は、実施例11と同様にして図1のプロセスを連続的に行った。なお、塔頂蒸気は、圧縮により露点温度99.7℃の圧縮蒸気となり、第1の蒸発器1での熱交換(伝熱)で88.2℃に降温した。また、第1の蒸発器1内の温度は83.2℃となり、液体混合物全体の26.9重量%(酢酸全体の3.2重量%、水全体の24.5重量%、酢酸エチル全体の26.1重量%、ベンゼン全体の50.9重量%)が蒸発した。

0126

そして、圧縮機4において断熱圧縮に要したエネルギー及び熱交換器6において液体混合物の残部を蒸発させるのに要したエネルギーの総量を算出したところ、7905304kcal/hrであり、比較例3の蒸発に要したエネルギーと比べると、2998941kcal/hr省エネルギー化できた。

0127

(実施例15)
実施例11において、圧縮比を1.4に代えたこと以外は、実施例11と同様にして図1のプロセスを連続的に行った。なお、塔頂蒸気は、圧縮により露点温度94.6℃の圧縮蒸気となり、第1の蒸発器1での熱交換(伝熱)で86.5℃に降温した。また、第1の蒸発器1内の温度は81.5℃となり、液体混合物全体の15.6重量%(酢酸全体の1.4重量%、水全体の14.3重量%、酢酸エチル全体の14.3重量%、ベンゼン全体の32.4重量%)が蒸発した。

0128

そして、圧縮機4において断熱圧縮に要したエネルギー及び熱交換器6において液体混合物の残部を蒸発させるのに要したエネルギーの総量を算出したところ、8618045kcal/hrであり、比較例3の蒸発に要したエネルギーと比べると、2286200kcal/hr省エネルギー化できた。

0129

(比較例3)
実施例11において、液体混合物を第2の蒸発器2に直接供給し、第2の蒸発器2のみで液体混合物(揮発性成分)を蒸発させたこと以外は、実施例11と同様にして図1のプロセスを行った。なお、蒸留塔からの塔頂蒸気は、圧縮機4および第1の蒸発器1の熱交換器5に供給することなく、コンデンサで凝縮して抜き出した。第2の蒸発器2において蒸発しなかった酢酸セルロースを含む濃縮液の量は、液体混合物の1重量%であり、実施例11と同じであった。

0130

熱交換器6において液体混合物を蒸発させるのに要したエネルギーは、10904245kcal/hrであった。

0131

(実施例16)
実施例1において、液体混合物の組成を酢酸17.1重量%、水5重量%、酢酸エチル57.6重量%、ベンゼン20.3重量%(合計100重量%)、酢酸セルロース0.1重量%以下とし、還流比を0.5に代えたこと以外は、実施例1と同様にして図1のプロセスを連続的に行った。

0132

なお、第1の蒸発器1及び第2の蒸発器2で蒸発させた揮発性成分(水、酢酸、酢酸エチル、ベンゼン)は、蒸留塔3において、主に低沸点成分を含む塔頂蒸気(温度77.0℃、酢酸0.05重量%、水6.0重量%、酢酸エチル69.5重量%、ベンゼン24.5重量%)と、主に酢酸を含む缶出液(酢酸99.9重量%、水0.1重量%)とに分離した。塔頂蒸気は、圧縮により露点温度100.4℃の圧縮蒸気となり、第1の蒸発器1での熱交換(伝熱)で94.4℃に降温した。また、第1の蒸発器1内の温度は89.4℃となり、液体混合物全体の56.3重量%(酢酸全体の15.9重量%、水全体の52.6重量%、酢酸エチル全体の59.6重量%、ベンゼン全体の83.1重量%)が蒸発した。

0133

そして、圧縮機4において断熱圧縮に要したエネルギー及び熱交換器6において液体混合物の残部を蒸発させるのに要したエネルギーの総量を算出したところ、4866301kcal/hrであり、比較例4の蒸発に要したエネルギーと比べると、6046732kcal/hr省エネルギー化できた。

0134

(実施例17)
実施例16において、圧縮比を2.0に代えたこと以外は、実施例16と同様にして図1のプロセスを連続的に行った。なお、塔頂蒸気は、圧縮により露点温度98.7℃の圧縮蒸気となり、第1の蒸発器1での熱交換(伝熱)で93.2℃に降温した。また、第1の蒸発器1内の温度は88.2℃となり、液体混合物全体の51.5重量%(酢酸全体の12.4重量%、水全体の47.7重量%、酢酸エチル全体の54.2重量%、ベンゼン全体の79.3重量%)が蒸発した。

0135

そして、圧縮機4において断熱圧縮に要したエネルギー及び熱交換器6において液体混合物の残部を蒸発させるのに要したエネルギーの総量を算出したところ、5262203kcal/hrであり、比較例4の蒸発に要したエネルギーと比べると、5650830kcal/hr省エネルギー化できた。

0136

(実施例18)
実施例16において、圧縮比を1.8に代えたこと以外は、実施例16と同様にして図1のプロセスを連続的に行った。なお、塔頂蒸気は、圧縮により露点温度95.1℃の圧縮蒸気となり、第1の蒸発器1での熱交換(伝熱)で90.7℃に降温した。また、第1の蒸発器1内の温度は85.7℃となり、液体混合物全体の40.3重量%(酢酸全体の6.9重量%、水全体の36.8重量%、酢酸エチル全体の41.1重量%、ベンゼン全体の68.3重量%)が蒸発した。

0137

そして、圧縮機4において断熱圧縮に要したエネルギー及び熱交換器6において液体混合物の残部を蒸発させるのに要したエネルギーの総量を算出したところ、6187463kcal/hrであり、比較例4の蒸発に要したエネルギーと比べると、4725570kcal/hr省エネルギー化できた。

0138

(実施例19)
実施例16において、圧縮比を1.6に代えたこと以外は、実施例16と同様にして図1のプロセスを連続的に行った。なお、塔頂蒸気は、圧縮により露点温度91.1℃の圧縮蒸気となり、第1の蒸発器1での熱交換(伝熱)で88.0℃に降温した。また、第1の蒸発器1内の温度は83.0℃となり、液体混合物全体の25.8重量%(酢酸全体の3.0重量%、水全体の23.5重量%、酢酸エチル全体の24.9重量%、ベンゼン全体の49.2重量%)が蒸発した。

0139

そして、圧縮機4において断熱圧縮に要したエネルギー及び熱交換器6において液体混合物の残部を蒸発させるのに要したエネルギーの総量を算出したところ、7383562kcal/hrであり、比較例4の蒸発に要したエネルギーと比べると、3529471kcal/hr省エネルギー化できた。

0140

(実施例20)
実施例16において、圧縮比を1.4に代えたこと以外は、実施例16と同様にして図1のプロセスを連続的に行った。なお、塔頂蒸気は、圧縮により露点温度86.8℃の圧縮蒸気となり、第1の蒸発器1での熱交換(伝熱)で85.2℃に降温した。また、第1の蒸発器1内の温度は80.2℃となり、液体混合物全体の6.5重量%(酢酸全体の0.5重量%、水全体の6.0重量%、酢酸エチル全体の5.6重量%、ベンゼン全体の14.5重量%)が蒸発した。

0141

そして、圧縮機4において断熱圧縮に要したエネルギー及び熱交換器6において液体混合物の残部を蒸発させるのに要したエネルギーの総量を算出したところ、9013186kcal/hrであり、比較例4の蒸発に要したエネルギーと比べると、1899847kcal/hr省エネルギー化できた。

0142

(比較例4)
実施例16において、液体混合物を第2の蒸発器2に直接供給し、第2の蒸発器2のみで液体混合物(揮発性成分)を蒸発させたこと以外は、実施例16と同様にして図1のプロセスを行った。なお、蒸留塔からの塔頂蒸気は、圧縮機4および第1の蒸発器1の熱交換器5に供給することなく、コンデンサで凝縮して抜き出した。第2の蒸発器2において蒸発しなかった酢酸セルロースを含む濃縮液の量は、液体混合物の1重量%であり、実施例16と同じであった。

0143

熱交換器6において液体混合物を蒸発させるのに要したエネルギーは、10913033kcal/hrであった。

0144

(実施例21)
実施例1において、液体混合物の組成を酢酸17.5重量%、水2.5重量%、酢酸エチル59.2重量%、ベンゼン20.8重量%(合計100重量%)、酢酸セルロース0.1重量%以下とし、還流比を0.3に代えたこと以外は、実施例1と同様にして図1のプロセスを連続的に行った。

0145

なお、第1の蒸発器1及び第2の蒸発器2で蒸発させた揮発性成分(水、酢酸、酢酸エチル、ベンゼン)は、蒸留塔3において、主に低沸点成分を含む塔頂蒸気(温度79.7℃、酢酸0.05重量%、水3.0重量%、酢酸エチル71.7重量%、ベンゼン25.2重量%)と、主に酢酸を含む缶出液(酢酸99.9重量%、水0.1重量%)とに分離した。塔頂蒸気は、圧縮により露点温度103.8℃の圧縮蒸気となり、第1の蒸発器1での熱交換(伝熱)で99.7℃に降温した。また、第1の蒸発器1内の温度は94.7℃となり、液体混合物全体の38.1重量%(酢酸全体の14.3重量%、水全体の55.2重量%、酢酸エチル全体の42.4重量%、ベンゼン全体の44.1重量%)が蒸発した。

0146

そして、圧縮機4において断熱圧縮に要したエネルギー及び熱交換器6において液体混合物の残部を蒸発させるのに要したエネルギーの総量を算出したところ、4470974kcal/hrであり、比較例5の蒸発に要したエネルギーと比べると、2919788kcal/hr省エネルギー化できた。

0147

(実施例22)
実施例21において、圧縮比を2.0に代えたこと以外は、実施例20と同様にして図1のプロセスを連続的に行った。なお、塔頂蒸気は、圧縮により露点温度102.1℃の圧縮蒸気となり、第1の蒸発器1での熱交換(伝熱)で98.7℃に降温した。また、第1の蒸発器1内の温度は93.7℃となり、液体混合物全体の31.0重量%(酢酸全体の10.3重量%、水全体の47.7重量%、酢酸エチル全体の34.6重量%、ベンゼン全体の36.4重量%)が蒸発した。

0148

そして、圧縮機4において断熱圧縮に要したエネルギー及び熱交換器6において液体混合物の残部を蒸発させるのに要したエネルギーの総量を算出したところ、4918733kcal/hrであり、比較例5の蒸発に要したエネルギーと比べると、2472029kcal/hr省エネルギー化できた。

0149

(実施例23)
実施例21において、圧縮比を1.8に代えたこと以外は、実施例21と同様にして図1のプロセスを連続的に行った。なお、塔頂蒸気は、圧縮により露点温度98.3℃の圧縮蒸気となり、第1の蒸発器1での熱交換(伝熱)で96.4℃に降温した。また、第1の蒸発器1内の温度は91.4℃となり、液体混合物全体の14.2重量%(酢酸全体の3.5重量%、水全体の25.7重量%、酢酸エチル全体の15.8重量%、ベンゼン全体の17.4重量%)が蒸発した。

0150

そして、圧縮機4において断熱圧縮に要したエネルギー及び熱交換器6において液体混合物の残部を蒸発させるのに要したエネルギーの総量を算出したところ、5997464kcal/hrであり、比較例5の蒸発に要したエネルギーと比べると、1393298kcal/hr省エネルギー化できた。

0151

(比較例5)
実施例21において、液体混合物を第2の蒸発器2に直接供給し、第2の蒸発器2のみで液体混合物(揮発性成分)を蒸発させたこと以外は、実施例21と同様にして図1のプロセスを行った。なお、蒸留塔からの塔頂蒸気は、圧縮機4および第1の蒸発器1の熱交換器5に供給することなく、コンデンサで凝縮して抜き出した。第2の蒸発器2において蒸発しなかった酢酸セルロースを含む濃縮液の量は、液体混合物の1重量%であり、実施例21と同じであった。

0152

熱交換器6において液体混合物を蒸発させるのに要したエネルギーは、7390762kcal/hrであった。

0153

(実施例24)
実施例1において、液体混合物の組成を酢酸16.4重量%、水8.6重量%、酢酸エチル55.5重量%、イソプロパノール19.5重量%(合計100重量%)、酢酸セルロース0.1重量%以下とし、還流比を1に代えたこと以外は、実施例1と同様にして図1のプロセスを連続的に行った。

0154

なお、第1の蒸発器1及び第2の蒸発器2で蒸発させた揮発性成分(水、酢酸、酢酸エチル、イソプロパノール)は、蒸留塔3において、主に低沸点成分を含む塔頂蒸気(温度75.0℃、酢酸0.05重量%、水10.3重量%、酢酸エチル66.3重量%、イソプロパノール23.3重量%)と、主に酢酸を含む缶出液(酢酸99.9重量%、水0.1重量%)とに分離した。塔頂蒸気は、圧縮により露点温度99.7℃の圧縮蒸気となり、第1の蒸発器1での熱交換(伝熱)で92.9℃に降温した。また、第1の蒸発器1内の温度は87.9℃となり、液体混合物全体の54.2重量%(酢酸全体の14.8重量%、水全体の53.2重量%、酢酸エチル全体の57.0重量%、イソプロパノール全体の80.4重量%)が蒸発した。

0155

そして、圧縮機4において断熱圧縮に要したエネルギー及び熱交換器6において液体混合物の残部を蒸発させるのに要したエネルギーの総量を算出したところ、5621478kcal/hrであり、比較例6の蒸発に要したエネルギーと比べると、6279055kcal/hr省エネルギー化できた。

0156

(実施例25)
実施例24において、圧縮比を2.0に代えたこと以外は、実施例24と同様にして図1のプロセスを連続的に行った。なお、塔頂蒸気は、圧縮により露点温度98.0℃の圧縮蒸気となり、第1の蒸発器1での熱交換(伝熱)で91.6℃に降温した。また、第1の蒸発器1内の温度は86.6℃となり、液体混合物全体の48.7重量%(酢酸全体の11.2重量%、水全体の47.9重量%、酢酸エチル全体の50.6重量%、イソプロパノール全体の75.3重量%)が蒸発した。

0157

そして、圧縮機4において断熱圧縮に要したエネルギー及び熱交換器6において液体混合物の残部を蒸発させるのに要したエネルギーの総量を算出したところ、6085159kcal/hrであり、比較例6の蒸発に要したエネルギーと比べると、5815374kcal/hr省エネルギー化できた。

0158

(実施例26)
実施例26において、圧縮比を1.8に代えたこと以外は、実施例26と同様にして図1のプロセスを連続的に行った。なお、塔頂蒸気は、圧縮により露点温度94.3℃の圧縮蒸気となり、第1の蒸発器1での熱交換(伝熱)で89.0℃に降温した。また、第1の蒸発器1内の温度は84.0℃となり、液体混合物全体の35.2重量%(酢酸全体の5.5重量%、水全体の35.4重量%、酢酸エチル全体の35.2重量%、イソプロパノール全体の60.1重量%)が蒸発した。

0159

そして、圧縮機4において断熱圧縮に要したエネルギー及び熱交換器6において液体混合物の残部を蒸発させるのに要したエネルギーの総量を算出したところ、7251033kcal/hrであり、比較例6の蒸発に要したエネルギーと比べると、4649500kcal/hr省エネルギー化できた。

0160

(実施例27)
実施例26において、圧縮比を1.6に代えたこと以外は、実施例26と同様にして図1のプロセスを連続的に行った。なお、塔頂蒸気は、圧縮により露点温度90.3℃の圧縮蒸気となり、第1の蒸発器1での熱交換(伝熱)で86.2℃に降温した。また、第1の蒸発器1内の温度は81.2℃となり、液体混合物全体の17.5重量%(酢酸全体の1.8重量%、水全体の18.5重量%、酢酸エチル全体の16.1重量%、イソプロパノール全体の33.7重量%)が蒸発した。

0161

そして、圧縮機4において断熱圧縮に要したエネルギー及び熱交換器6において液体混合物の残部を蒸発させるのに要したエネルギーの総量を算出したところ、8901901kcal/hrであり、比較例6の蒸発に要したエネルギーと比べると、2998632kcal/hr省エネルギー化できた。

0162

(比較例6)
実施例26において、液体混合物を第2の蒸発器2に直接供給し、第2の蒸発器2のみで液体混合物(揮発性成分)を蒸発させたこと以外は、実施例21と同様にして図1のプロセスを行った。なお、蒸留塔からの塔頂蒸気は、圧縮機4および第1の蒸発器1の熱交換器5に供給することなく、コンデンサで凝縮して抜き出した。第2の蒸発器2において蒸発しなかった酢酸セルロースを含む濃縮液の量は、液体混合物の1重量%であり、実施例26と同じであった。

0163

熱交換器6において液体混合物を蒸発させるのに要したエネルギーは、11900533kcal/hrであった。

0164

(実施例28)
蒸留塔3からの塔頂蒸気の全量を圧縮機4に供給することなく、図2のプロセスで、塔頂蒸気の一部を圧縮機4に供給し、酢酸を含む液体混合物からの酢酸の分離を行った。すなわち、実施例1において、蒸留塔3からの塔頂蒸気(温度72℃)のうち70%を、ライン11を通じて圧縮機4に供給し、30%を、ライン20を通じて凝縮器に供給する以外、実施例1と同様にしてプロセスを連続的に運転した。上記塔頂蒸気の割合は、塔頂蒸気を室温20℃に冷却して凝縮した凝縮液の重量割合を示す(以下の実施例29及び30でも同じ)。なお、蒸留塔3からの塔頂蒸気は、圧縮により露点温度98.4℃の圧縮蒸気となり、第1の蒸発器1での熱交換(伝熱)で93.2℃に降温した。また、第1の蒸発器1内の温度は88.2℃となり、液体混合物全体の60.8重量%(酢酸全体の22.9重量%、水全体の63.1重量%、酢酸エチル全体の66.6重量%、ベンゼン全体の75.0重量%)が蒸発した。

0165

そして、圧縮機4において断熱圧縮に要したエネルギー及び熱交換器6において液体混合物の残部を蒸発させるのに要したエネルギーの総量を算出したところ、4456728kcal/hrであり、比較例1の蒸発に要したエネルギーと比べると、5589702kcal/hr省エネルギー化できた。

0166

(実施例29)
蒸留塔3からの塔頂蒸気のうち50%を、ライン11を通じて圧縮機4に供給し、50%を、ライン20を通じて凝縮器に供給する以外、実施例28と同様にして図2のプロセスを連続的に運転した。なお、蒸留塔3からの塔頂蒸気は、圧縮により露点温度98.4℃の圧縮蒸気となり、第1の蒸発器1での熱交換(伝熱)で92.2℃に降温した。また、第1の蒸発器1内の温度は87.2℃となり、液体混合物全体の55.5重量%(酢酸全体の18.6重量%、水全体の58.3重量%、酢酸エチル全体の60.8重量%、ベンゼン全体の70.1重量%)が蒸発した。

0167

そして、圧縮機4において断熱圧縮に要したエネルギー及び熱交換器6において液体混合物の残部を蒸発させるのに要したエネルギーの総量を算出したところ、5136151kcal/hrであり、比較例1の蒸発に要したエネルギーと比べると、4910279kcal/hr省エネルギー化できた。

0168

(実施例30)
蒸留塔3からの塔頂蒸気のうち30%を、ライン11を通じて圧縮機4に供給し、70%を、ライン20を通じて凝縮器に供給する以外、実施例28と同様にして図2のプロセスを連続的に運転した。なお、蒸留塔3からの塔頂蒸気は、圧縮により露点温度98.4℃の圧縮蒸気となり、第1の蒸発器1での熱交換(伝熱)で88.0℃に降温した。また、第1の蒸発器1内の温度は83.℃となり、液体混合物全体の23.8重量%(酢酸全体の4.4重量%、水全体の27.4重量%、酢酸エチル全体の25.2重量%、ベンゼン全体の34.5重量%)が蒸発した。

0169

そして、圧縮機4において断熱圧縮に要したエネルギー及び熱交換器6において液体混合物の残部を蒸発させるのに要したエネルギーの総量を算出したところ、6291519kcal/hrであり、比較例1の蒸発に要したエネルギーと比べると、3754911kcal/hr省エネルギー化できた。

0170

結果を表1に示す。なお、表1において、「Ac」は酢酸、「EA」は酢酸エチル、「Bz」はベンゼン、「IPA」はイソプロパノールを示し、「総エネルギー」とは、実施例においては、圧縮機4において断熱圧縮に要したエネルギー及び熱交換器6において液体混合物の残部を蒸発させるのに要したエネルギー、比較例においては熱交換器6において液体混合物を蒸発させるのに要したエネルギーを示す。

実施例

0171

0172

本発明の方法(及び装置)では、断熱圧縮を利用することにより省エネルギー化を実現できる。すなわち、本発明の方法(又は装置)では、断熱圧縮及び熱交換を利用することなく、第1の蒸発器のみで液体混合物の揮発性成分を蒸発させるのに要するエネルギーに比べて、プロセス全体に要するエネルギーを大きく低減できる。このような省エネルギー効果は、簡便な方法で確認でき、例えば、断熱圧縮に要するエネルギーをE1、第2の蒸発器で蒸発させるのに必要となるエネルギーをE2、断熱圧縮及び熱交換を利用することなく、第1の蒸発器のみで液体混合物の揮発性成分を蒸発させるのに要するエネルギーをE3とするとき、下記式により確認できる。

0173

E3>E1+E2

0174

本発明の方法(及び装置)は、特に、直接的に蒸留に供することができない液体混合物(例えば、不揮発性成分を含む液体混合物)について、省エネルギー化を実現する技術として幅広く適用可能である。

0175

1…第1の蒸発器
2…第2の蒸発器
3…蒸留塔
4…圧縮機
5,6,7…熱交換器
10〜20…ライン

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