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技術 植物の自動給液システム及び養液栽培方法

出願人 静岡県
発明者 大石直記
出願日 2016年3月7日 (4年11ヶ月経過) 出願番号 2016-043707
公開日 2017年9月14日 (3年5ヶ月経過) 公開番号 2017-158449
状態 特許登録済
技術分野 水耕栽培 潅水
主要キーワード 自動給 蒸発散量 蒸発散 設定勾配 給液ポンプ 成育状況 最大重量 育成容器
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2017年9月14日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (7)

課題

水分ストレスの程度をリアルタイムで把握して給液することで適切な水分ストレスを付与可能とする。

解決手段

自動給液システム1は、Pを養液栽培するための培地を収容した育成容器5と、苗Pを含む育成容器5の重量を計測する重量センサ6と、育成容器5へ養液を供給する給液手段(タンク8、給液ポンプ9、配管10)と、給液手段の動作を制御するコントローラ7と、を含み、コントローラ7は、一日に設定される給液時間帯の中で一回目の給液を行った際、重量センサ6から得られる重量を最大重量として記憶すると共に、最大重量に対する重量センサ6から得られる重量の百分率である相対重量を継続的に算出し、相対重量が予め設定された閾値まで低下したら、二回目以降の給液を行う。

概要

背景

例えば高糖度トマト等、付加価値の高い植物を養液栽培するためには、養液給液量を適宜調節して植物に適度の水分ストレスしおれ)を与えると効果的であることが知られている。しかし、水分ストレスは蒸発散量培地の水分の変化によって変動するため、生産者は植物のしおれを随時観察しながら給液のタイミングを修正する必要があり、熟練を要する作業となっていた。また、給液量も毎回一定とすると、蒸発散量の変動によって過不足が生じる可能性があり、栽培経験の少ない生産者の給液管理では減収品質低下をもたらすおそれがあった。

そこで、所定の指標を用いて自動的に給液制御を行う試みがなされている。例えば非特許文献1には、個体群の重量を計測し、コンピュータで当該重量の減少量から苗個体群の積算蒸発散量を算定し、算出値設定値に達すると、プログラムに従ってポンプを作動させて灌水を行うようにした自動灌水システムが開示されている。また、非特許文献2には、苗個体群の重量を計測するアナログ式上皿に、最大重量の秤の指針連動する可動指針及びスイッチ接点を取り付けて、蒸発散によって重量が減少して秤の指針がスイッチ接点に接触すると、ポンプを作動させて灌水を実施し、苗の生体重の増大によって前回の灌水後の最大重量よりも大きくなると、秤の指針が可動指針を動かして灌水開始重量を自動補正するようにした自動灌水装置が開示されている。

概要

水分ストレスの程度をリアルタイムで把握して給液することで適切な水分ストレスを付与可能とする。自動給液システム1は、苗Pを養液栽培するための培地を収容した育成容器5と、苗Pを含む育成容器5の重量を計測する重量センサ6と、育成容器5へ養液を供給する給液手段(タンク8、給液ポンプ9、配管10)と、給液手段の動作を制御するコントローラ7と、を含み、コントローラ7は、一日に設定される給液時間帯の中で一回目の給液を行った際、重量センサ6から得られる重量を最大重量として記憶すると共に、最大重量に対する重量センサ6から得られる重量の百分率である相対重量を継続的に算出し、相対重量が予め設定された閾値まで低下したら、二回目以降の給液を行う。

目的

本発明は、水分ストレスの程度をリアルタイムで把握して給液でき、適切な水分ストレスを付与することができる植物の自動給液システム及び養液栽培方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

植物を養液栽培するための培地を収容した育成容器と、前記植物を含む前記育成容器の重量を計測する重量計測手段と、前記育成容器へ養液を供給する給液手段と、前記給液手段の動作を制御する制御手段と、を含み、前記制御手段は、一日に設定される給液時間帯の中で最初に前記給液手段を動作させて一回目の給液を行った際、前記重量計測手段から得られる重量を最大重量として記憶すると共に、前記最大重量に対する前記重量計測手段から得られる重量の百分率である相対重量を継続的に算出し、前記相対重量が予め設定された閾値まで低下したら、二回目以降の給液を行うことを特徴とする植物の自動給液システム

請求項2

前記制御手段は、前記一回目の給液量を、そのときに前記重量計測手段から得られる重量と、前日に記憶された前記最大重量との差分を最小給液量として当該最小給液量に予め設定された第一の比率を乗じることで決定することを特徴とする請求項1に記載の植物の自動給液システム。

請求項3

前記制御手段は、前記二回目以降の給液量を、前記閾値に達した際の重量と、当日に記憶された前記最大重量との差分を最大給液量として当該最大給液量に予め設定された第二の比率を乗じることで決定することを特徴とする請求項1又は2に記載の植物の自動給液システム。

請求項4

前記制御手段は、毎日の前記最大重量間の差分から、所定期間内での前記植物の成長速度を求め、前記成長速度に応じて少なくとも前記閾値を変更することを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の植物の自動給液システム。

請求項5

植物を養液栽培するための培地を収容した育成容器と、前記育成容器へ養液を供給する給液手段と、を用い、所定のタイミングで前記給液手段を動作させて給液を断続的に行う養液栽培方法であって、前記植物を含む前記育成容器の重量を計測する重量計測手段を用いて、一日に設定される給液時間帯の中で最初に前記給液手段を動作させて一回目の給液を行った際、前記重量計測手段から得られる重量を最大重量として当該最大重量に対する前記重量計測手段から得られる重量の百分率である相対重量を継続的に求め、前記相対重量が予め設定された閾値まで低下したら、二回目以降の給液を行うことを特徴とする植物の養液栽培方法。

請求項6

前記一回目の給液量を、そのときに前記重量計測手段から得られる重量と、前日に計測された前記最大重量との差分を最小給液量として当該最小給液量に予め設定された第一の比率を乗じることで決定することを特徴とする請求項5に記載の植物の養液栽培方法。

請求項7

前記二回目以降の給液量を、前記閾値に達した際の重量と、当日に計測された前記最大重量との差分を最大給液量として当該最大給液量に予め設定された第二の比率を乗じることで決定することを特徴とする請求項5又は6に記載の植物の養液栽培方法。

請求項8

毎日の前記最大重量間の差分から、所定期間内での前記植物の成長速度を求め、前記成長速度に応じて少なくとも前記閾値を変更することを特徴とする請求項5乃至7の何れかに記載の植物の養液栽培方法。

技術分野

0001

本発明は、トマト等の植物に養液を所定のタイミングで自動的に給液するための自動給液システムと、植物の養液栽培方法とに関する。

背景技術

0002

例えば高糖度のトマト等、付加価値の高い植物を養液栽培するためには、養液の給液量を適宜調節して植物に適度の水分ストレスしおれ)を与えると効果的であることが知られている。しかし、水分ストレスは蒸発散量培地の水分の変化によって変動するため、生産者は植物のしおれを随時観察しながら給液のタイミングを修正する必要があり、熟練を要する作業となっていた。また、給液量も毎回一定とすると、蒸発散量の変動によって過不足が生じる可能性があり、栽培経験の少ない生産者の給液管理では減収品質低下をもたらすおそれがあった。

0003

そこで、所定の指標を用いて自動的に給液制御を行う試みがなされている。例えば非特許文献1には、個体群の重量を計測し、コンピュータで当該重量の減少量から苗個体群の積算蒸発散量を算定し、算出値設定値に達すると、プログラムに従ってポンプを作動させて灌水を行うようにした自動灌水システムが開示されている。また、非特許文献2には、苗個体群の重量を計測するアナログ式上皿に、最大重量の秤の指針連動する可動指針及びスイッチ接点を取り付けて、蒸発散によって重量が減少して秤の指針がスイッチ接点に接触すると、ポンプを作動させて灌水を実施し、苗の生体重の増大によって前回の灌水後の最大重量よりも大きくなると、秤の指針が可動指針を動かして灌水開始重量を自動補正するようにした自動灌水装置が開示されている。

先行技術

0004

生物環境調節」Vol.37,No.1,57頁−61頁、1999年、日本生物環境調節研究会、東京大出版
「生物環境調節」Vol.41,No.1,37頁−41頁、2003年、日本生物環境調節研究会、東京大学出版会

発明が解決しようとする課題

0005

このように、非特許文献1,2のシステムを応用すれば、植物重量を指標として育苗時の養液を自動的に給液することができる。しかし、非特許文献1のシステムは、重量から算出した積算蒸発散量の設定値(一定値)への到達によって灌水を行っている上、灌水量水位センサによる一定量となっているため、蒸発散量が培地水分の変化によって時々刻々と変動する実際の水分ストレスに応じた適切な給液制御は困難で、給液のタイミングが早すぎたり、遅すぎたり、給液量に過不足が生じたりする問題が生じる。非特許文献2では、成育重量の増加によって灌水開始重量を自動補正することができるものの、あくまで重量の増加のみに着目して給液タイミングを補正しているため、一日の内に変動する水分ストレスに対応した給液制御は難しく、適切な水分ストレスを付与できるには至らない。

0006

そこで、本発明は、水分ストレスの程度をリアルタイムで把握して給液でき、適切な水分ストレスを付与することができる植物の自動給液システム及び養液栽培方法を提供することを目的としたものである。

課題を解決するための手段

0007

上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、植物の自動給液システムであって、植物を養液栽培するための培地を収容した育成容器と、植物を含む育成容器の重量を計測する重量計測手段と、育成容器へ養液を供給する給液手段と、給液手段の動作を制御する制御手段と、を含み、制御手段は、一日に設定される給液時間帯の中で最初に給液手段を動作させて一回目の給液を行った際、重量計測手段から得られる重量を最大重量として記憶すると共に、最大重量に対する重量計測手段から得られる重量の百分率である相対重量を継続的に算出し、相対重量が予め設定された閾値まで低下したら、二回目以降の給液を行うことを特徴とする。
なお、「継続的に算出」とは、リアルタイムで常時算出する場合は勿論、所定時間をおいて間欠的(規則的に)算出する場合も含む。
請求項2に記載の発明は、請求項1の構成において、制御手段は、一回目の給液量を、そのときに重量計測手段から得られる重量と、前日に記憶された最大重量との差分を最小給液量として当該最小給液量に予め設定された第一の比率を乗じることで決定することを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2の構成において、制御手段は、二回目以降の給液量を、閾値に達した際の重量と、当日に記憶された最大重量との差分を最大給液量として当該最大給液量に予め設定された第二の比率を乗じることで決定することを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3の何れかの構成において、制御手段は、毎日の最大重量の差分から、所定期間内での植物の成長速度を求め、成長速度に応じて少なくとも閾値を変更することを特徴とする。
上記目的を達成するために、請求項5に記載の発明は、植物を養液栽培するための培地を収容した育成容器と、育成容器へ養液を供給する給液手段と、を用い、所定のタイミングで給液手段を動作させて給液を断続的に行う養液栽培方法であって、植物を含む育成容器の重量を計測する重量計測手段を用いて、一日に設定される給液時間帯の中で最初に給液手段を動作させて一回目の給液を行った際、重量計測手段から得られる重量を最大重量として当該最大重量に対する重量計測手段から得られる重量の百分率である相対重量を継続的に求め、相対重量が予め設定された閾値まで低下したら、二回目以降の給液を行うことを特徴とする。
なお、「継続的に求め」とは、リアルタイムで常時求める場合は勿論、所定時間をおいて間欠的(規則的に)求める場合も含む。
請求項6に記載の発明は、請求項5の構成において、一回目の給液量を、そのときに重量計測手段から得られる重量と、前日に計測された最大重量との差分を最小給液量として当該最小給液量に予め設定された第一の比率を乗じることで決定することを特徴とする。
請求項7に記載の発明は、請求項5又は6の構成において、二回目以降の給液量を、閾値に達した際の重量と、当日に計測された最大重量との差分を最大給液量として当該最大給液量に予め設定された第二の比率を乗じることで決定することを特徴とする。
請求項8に記載の発明は、請求項5乃至7の何れかの構成において、毎日の最大重量間の差分から、所定期間内での植物の成長速度を求め、成長速度に応じて少なくとも閾値を変更することを特徴とする。

発明の効果

0008

請求項1及び5に記載の発明によれば、相対重量の低下を監視して給液のタイミングを決定することで、水分ストレスの程度をリアルタイムで把握して給液でき、適切な水分ストレスを付与することができる。これにより、着果不良や腐れ等の生理障害が回避され、高糖度トマト等の植物の生産が安定化し、年間の収量及び品質が安定する。また、栽培熟練者は勿論、栽培経験の少ない生産者でも安定的な生産が可能となり、規模拡大新規参入の促進に寄与することができる。
請求項2及び6に記載の発明によれば、上記効果に加えて、一回目の給液量を前日の最大重量とそのときの重量との差分に基づいて決定するので、日々の植物重量の増減を考慮して成育状況に合わせた適切な給液が可能となる。よって、給液量が少なくなって強い水分ストレスが発生し、収量が大幅に減少したり、逆に給液量が多くなって水分ストレスが小さくなり、生産性の高い養液栽培が実現できなくなったりする問題の発生を回避することができる。
請求項3及び7に記載の発明によれば、上記効果に加えて、二回目以降の給液量を当日の最大重量と閾値に達した際の重量との差分に基づいて決定するので、当日の成育状況に合わせた適切な給液が可能となる。よって、給液量が少なくなって強い水分ストレスが発生し、収量が大幅に減少したり、逆に給液量が多くなって水分ストレスが小さくなり、生産性の高い養液栽培が実現できなくなったりする問題の発生を回避することができる。
請求項4及び8に記載の発明によれば、上記効果に加えて、毎日の最大重量間の差分から植物の成長速度を求めて閾値等を変更するので、成長速度に即した閾値等に修正でき、より適切な水分ストレスを付与することができる。

図面の簡単な説明

0009

自動給液システムの説明図である。
自動給液制御及び養液栽培方法のフローチャートである。
給液のタイミングと給液量とを示すグラフである。
相対重量及び培地水分率と相対茎径との関係を示すグラフである。
閾値の設定と相対茎径との関係を示すグラフである。
最大重量と果実重との関係を示すグラフである。

実施例

0010

以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、自動給液システムの一例を示す説明図で、トマトの養液栽培に用いる。この自動給液システム1は、支点3からワイヤ4によって吊り下げ支持され、育成容器5を保持可能な支持枠2と、支点3に加わる吊り下げ荷重電気信号に変換するロードセル等の重量センサ(重量計測手段)6と、重量センサ6の電気信号が入力されるコントローラ(制御手段)7と、養液を貯留したタンク8と、タンク8に設けられてコントローラ7によって制御される給液ポンプ9と、給液ポンプ9から育成容器5にタンク8内の養液を供給する配管10と、を備えてなる。育成容器5には、ココヤシ等の培地が充填され、トマトの苗Pが植えられる。ここではタンク8、給液ポンプ9、配管10が給液手段となる。

0011

コントローラ7は、システム全体の制御及び必要な演算を行うCPU11を有し、CPU11には重量センサ6からの電気信号が入力されると共に、給液ポンプ9へ制御信号出力可能となっている。12は記憶部で、ここには重量センサ6から得られる最大重量や予め入力される閾値、給液時間帯(例えば7時〜16時)、一回目及び二回目以降の給液量を決定するための第一、第二の比率、制御プログラム等が記憶される。閾値や給液時間帯、第一、第二の比率等は、入力部13によって入力され、任意に変更可能となっている。14は給液時間等をカウントするためのタイマである。

0012

図2は、コントローラ7による自動給液制御及び養液栽培方法を示すフローチャート、図3は、当該フローチャートにおける給液のタイミングと給液量とを示すグラフである。
給液制御がスタートすると、S1で重量センサ6による育成容器5を含む植物重量Wxの計測が継続して実行され、記憶部12に記憶される。S2で、給液時間が開始したことが確認されると、S3で、前日の最大重量Wmが記憶部12に記憶されているか否かが判別される。ここで前日の最大重量Wmが記憶されていなければ、S4で、給液ポンプ9を稼働させて育成容器5に1回目の給液を行う。このときの給液量は、予め設定された一定量である。
一方、S3の判別で、前日の最大重量Wmが記憶されていれば、S5で、前日の最大重量Wmとそのときの植物重量Wxとの差分を最小給液量Sminとして、当該最小給液量Sminに予め設定された第一の比率R1(例えば1.1や1.2)を乗じることで1回目の給液量を算出し、算出した給液量で給液を行う(図3のT1)。

0013

次に、S6では、給液直後に植物重量を測定して当日の最大重量Wmとして記憶部12に記憶し、その後、苗Pの蒸発散による植物重量Wxの低下に鑑みて、S7では、最大重量Wmに対する植物重量Wxの百分率である相対重量Rw(Rw=Wx/Wm×100)を継続して算出し、S8で、算出した相対重量Rwが、予め設定された閾値(ここでは80%)まで低下したか否かを判別する。この相対重量Rwの算出と閾値との比較は、給液時間中は常時行うようにしてもよいし、所定時間をおいて間欠的に行うようにしてもよい。
S8の判別で相対重量Rwの閾値までの低下が確認されると、S9で2回目の給液を行う(図3のT2)。このときの給液量は、当日の最大重量Wmと閾値に達した際の植物重量Wxとの差分を最大給液量Smaxとして、その最大給液量Smaxに予め設定された第二の比率R2(例えば0.5)を乗じることで決定される。

0014

2回目の給液後、S10で、給液時間が終了か否かが判別され、終了していなければ、S7へ戻り、再び相対重量Rw(Rw=Wx/Wm×100)を継続して算出し、S8で、相対重量Rwが閾値まで低下したか否かを判別する。そして、閾値までの低下が確認されると、S9で3回目の給液を、最大重量Wmとそのときの相対重量Rwに該当する植物重量Wxとの差分を最大給液量とし、そこに第二の比率R2を乗じることで算出した量で実行する(図3のT3)。
こうして相対重量Rwが閾値まで低下したタイミングで最大重量Wmに基づいて算出した給液量で給液を繰り返し、S10で給液時間の終了が確認されると、その日の給液制御は終了してS1へ戻り、植物重量Wxの計測のみを行う。そして、S2で翌日の給液時間になると、再びS3からの処理を実行する。

0015

このように、相対重量Rwによって給液のタイミングを決定するようにしたのは、以下の理由による。
図4は、相対重量(%)及び培地水分率(%)と相対茎径(%)との関係を示すグラフで、左が相対重量、右が培地水分率となっている。ここで明らかなように、相対茎径は、培地水分率の増加よりも相対重量の増加に従って増大する傾向が見られる。従って、上記給液制御では、相対茎径と密接な関係がある相対重量を指標として給液のタイミングを決定するようにしたものである。

0016

以上の如く、上記形態の自動給液システム1及び養液栽培方法によれば、相対重量Rwの低下を監視して給液のタイミングを決定するので、水分ストレスの程度をリアルタイムで把握して給液でき、適切な水分ストレスを付与することができる。これにより、着果不良や尻腐れ等の生理障害が回避され、高糖度トマトの生産が安定化し、年間の収量及び品質が安定する。また、栽培熟練者は勿論、栽培経験の少ない生産者でも安定的な高糖度トマトの生産が可能となり、規模拡大や新規参入の促進に寄与することができる。

0017

特にここでは、一回目の給液量を、そのときの重量Wxと前日に記憶された最大重量Wmとの差分を最小給液量Sminとしてそこに第一の比率R1を乗じることで決定しているので、日々の植物重量の増減を考慮して成育状況に合わせた適切な給液が可能となる。
仮に、一回目の給液量を常に一定とすれば、当該一定量が前日からの植物重量の減少量より少なくなる場合があり、その場合、培地水分量の減少と肥料成分濃縮によって強い水分ストレスが発生し、糖度の上昇はあっても収量が大幅に減少する。逆に、当該一定量が前日からの植物重量の減少量よりも多くなる場合、水分ストレスが小さくなって目的とする糖度が得られなくなり(7%未満)、生産性の高い高糖度トマト栽培が実現できなくなるため、このような問題の発生を回避することができる。

0018

また、二回目以降の給液量を、閾値に達した際の重量Wxと当日に記憶された最大重量Wmとの差分を最大給液量Smaxとしてそこに第二の比率R2を乗じることで決定しているので、当日の成育状況に合わせた適切な給液が可能となる。
この場合も、二回目以降の給液量が植物重量の減少量よりも小さいと、培地水分量の減少と肥料成分の濃縮によって強い水分ストレスが発生して収量が大幅に減少し、逆に、二回目以降の給液量が植物重量の減少量よりも多くなると、水分ストレスが小さくなって目的とする糖度が得られなくなるため、このような問題の発生を回避することができる。

0019

なお、閾値や第一、第二の比率は上記形態に限らず、適宜変更可能である。例えば閾値は、図5に示すように、85%であれば相対茎径が小さく、95%であれば相対茎径が大きくなる傾向となる。すなわち、閾値が高いと水分ストレスのない100%に近くなり、閾値が低いと水分ストレスが大きくなるため、閾値を変更することによって付与する水分ストレスの程度を調節することができる。第一、第二の比率は設定せずに一回目で最小給液量を、二回目以降で最大給液量をそれぞれ給液することも可能である。

0020

また、図6に示すように、日数の経過に伴う果実重(g)の変化が、最大重量(g)の増加に伴って同様に増加する傾向が見られることから、毎日の最大重量間の差分を算出すれば、一定期間内での果実の成長速度を把握することができる。よって、把握した成長速度に応じて閾値や第一、第二の比率を変更すれば、成長速度に即した閾値等に修正でき、より適切な水分ストレスを付与することができる。例えば、最大重量間の差分の変化から関数近似的に算出して成長速度の勾配とし、当該勾配を予め設定された勾配と比較して、設定勾配よりも低ければ成長速度が遅れているとして閾値を上げたりする変更が考えられる。

0021

一方、育成容器が複数設けられて同時に養液栽培を行う場合、各育成容器ごとに重量センサを設けてコントローラで個別に自動給液を行うことはできるが、全て同じ大きさの苗からのスタートであれば、一つの育成容器から得られる重量センサの値に基づいて、全ての育成容器に対して同じタイミング及び給液量で自動給液を行うようにしてもよい。また、一つでなく、複数の育成容器から得られる重量センサの値の平均値に基づいて、全ての育成容器に対して同じタイミング及び給液量で自動給液を行うこともできる。重量センサも、育成容器を吊り下げ支持して計測するものに限らず、育成容器からの養液の排出経路手当できれば、育成容器を載置する台に重量センサを設けて計測することも可能である。

0022

そして、本発明は、コントローラによって自動的に給液を行う養液栽培に限らず、例えばコントローラによって相対重量の監視を行い、閾値への低下を確認したら報知手段によって報知を行ったり、給液量を表示したりすることで、人手で給液を行うような半自動の養液栽培方法も含まれる。栽培対象も高糖度トマト等の野菜に限らず、メロン等の果物であっても差し支えない。すなわち、水分ストレスの調整による高品質化が期待できる農作物や植物であれば、本発明は適用可能である。

0023

1・・自動給液システム、2・・支持枠、5・・育成容器、6・・重量センサ、7・・コントローラ、8・・タンク、9・・給液ポンプ、10・・配管、11・・CPU、12・・記憶部、13・・入力部、14・・タイマ、P・・苗。

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