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技術 光学系構造体、光学測定装置及び光学測定方法

出願人 国立大学法人九州大学ウシオ電機株式会社
発明者 興雄司吉岡宏晃森田金市
出願日 2016年3月4日 (4年8ヶ月経過) 出願番号 2016-042820
公開日 2017年9月7日 (3年2ヶ月経過) 公開番号 2017-156331
状態 特許登録済
技術分野 蛍光または発光による材料の調査,分析 各種分光測定と色の測定
主要キーワード 試料ケース 接触具 本測定器 ノイズ光成分 ラマンシフト量 レーザー誘起蛍光法 シフト幅 挿入具
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2017年9月7日)のものです。
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図面 (6)

課題

本発明は、光路部の媒質固体又は液体を用いた光学測定装置において、ラマン光を抑制し、測定精度を向上させることが可能な光学構造体等を提供することを目的とする。

解決手段

光学測定系において波数k1の第1光を測定試料照射して発生する観測光を透過する光路部25と、前記光路部への外部からの光を遮ると共に屈折率が前記光路部とマッチングされていることにより前記光路部の内部のノイズ光を低減する遮光部27とを備える光学系構造体であって、前記光路部は、媒質として固体又は液体が用いられており、前記光路部の内部に、前記第1光が前記光路部を通過するときに生じるラマンシフトに起因する波数k2の第2光の進行を遮るフィルタ部材19を備える、光学系構造体である。

概要

背景

近年、ライフサイエンス分野におけるポイントオブケア(POCT検査のように、吸光度法レーザー誘起蛍光法などの光分析技術を用いた光測定装置の小型化が要請されている。

発明者らは、光測定装置の小型化を実現するために、図4に示すような、顔料を少なくとも一部に含む樹脂を用いて光学系およびモノリシック筐体を構成した光誘蛍光測定装置を提案した(例えば、特許文献1参照)。

具体的には、光誘起蛍光測定装置201は、以下の構成の特徴を有する。(1)照射光学系を構成する導光路観測光収集光学系を構成する導光路の一部に、照射光及び観測光に対して透明な樹脂が充填されている。(2)これらの導光路を構成する透明樹脂を包囲するようにさらに樹脂を設ける。この樹脂には顔料が含有されている。(3)顔料は、迷光を吸収する特性を有する。顔料の含有量は、少なくとも迷光を全て吸収する量に設定されている。(4)透明樹脂と顔料含有樹脂との樹脂の材質は同じである。

上記の構成により、光誘起蛍光測定装置201は、例えば、以下の作用・効果を奏する。まず、透明樹脂と顔料含有樹脂との樹脂の材質を同じにすることにより、両樹脂が接触する界面において光の反射散乱が抑制される。また、顔料含有樹脂に入射した迷光は、顔料により吸収される。そのため、導光路を構成する透明樹脂に戻ることはほとんどない。さらに、顔料含有樹脂から外部へ迷光が漏れることもない。そのため、迷光の複雑な多重反射がほとんど発生しない。結果として、観測光収集光学系は、複雑な多重反射に対応する必要がなく簡便化され、結果的に本測定器は小型化される。以下、このようなシリコーン樹脂構築した光学系の技術を、SOT(Silicone Optical Technologies)と呼称することにする。

概要

本発明は、光路部の媒質固体又は液体を用いた光学測定装置において、ラマン光を抑制し、測定精度を向上させることが可能な光学系構造体等を提供することを目的とする。光学測定系において波数k1の第1光を測定試料照射して発生する観測光を透過する光路部25と、前記光路部への外部からの光を遮ると共に屈折率が前記光路部とマッチングされていることにより前記光路部の内部のノイズ光を低減する遮光部27とを備える光学系構造体であって、前記光路部は、媒質として固体又は液体が用いられており、前記光路部の内部に、前記第1光が前記光路部を通過するときに生じるラマンシフトに起因する波数k2の第2光の進行を遮るフィルタ部材19を備える、光学系構造体である。

目的

本発明は、光路部の媒質に固体又は液体を用いた光学測定装置において、ラマン光を抑制し、測定精度を向上させることが可能な光学系構造体等を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
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請求項1

光学測定系において波数k1の第1光を測定試料照射して発生する観測光を透過する光路部と、前記光路部への外部からの光を遮ると共に屈折率が前記光路部とマッチングされていることにより前記光路部の内部のノイズ光を低減する遮光部とを備える光学構造体であって、前記光路部は、媒質として固体又は液体が用いられており、前記光路部の内部に、前記第1光が前記光路部を通過するときに生じるラマンシフトに起因する波数k2の第2光の進行を遮るフィルタ部材を備える、光学系構造体。

請求項2

前記フィルタ部材が遮る前記波数k2は、前記観測光の波数域に含まれる、請求項1記載の光学系構造体。

請求項3

前記フィルタ部材の少なくとも一方の面が前記光路部に接触している、請求項1又は2記載の光学系構造体。

請求項4

前記光路部は、可撓性を有する、請求項1から3のいずれかに記載の光学系構造体。

請求項5

前記光路部は、シリコーン樹脂である、請求項4記載の光学系構造体。

請求項6

前記シリコーン樹脂は、PDMSである、請求項5記載の光学系構造体。

請求項7

前記遮光部の媒質として、前記光路部の媒質と屈折率が同じ媒質が用いられている、請求項1から6のいずれかに記載の光学系構造体。

請求項8

前記遮光部は、光を吸収する顔料を分散させて含有する、請求項1から7のいずれかに記載の光学系構造体。

請求項9

光学測定系において測定試料に波数k1の第1光を照射して発生する観測光を観測する光学測定装置であって、前記第1光を照射する光源と、媒質として固体又は液体が用いられており前記観測光を透過する光路部と、前記光路部への外部からの光を遮ると共に、屈折率が前記光路部とマッチングされていることにより前記光路部の内部のノイズ光を低減する遮光部と、前記観測光を観測する測定部と、前記光路部の内部に、前記第1光が前記光路部を通過するときに生じるラマンシフトに起因する波数k2の第2光の進行を遮るフィルタ部材とを備える、光学測定装置。

請求項10

前記第1光の波数を前記観測光の光強度が最大となる波数とは異なる波数に調整する波数調整部をさらに備える、請求項9記載の光学測定装置。

請求項11

前記波数調整部は、前記第2光の波数が前記観測光の波数域とは異なる波数となるように、前記第1光の波数を調整する、請求項10記載の光学測定装置。

請求項12

レンズノッチフィルタ及び色ガラスフィルタをさらに備える、請求項9から11のいずれかに記載の光学測定装置。

請求項13

前記光源から前記測定部に至る光路において、前記第1光及び前記第2光を平行光とする第1レンズと、前記第1光を反射するノッチフィルタと、前記観測光以外の光を吸収する色ガラスフィルタと、前記観測光を含む光を集光する第2レンズと、前記第2レンズの光軸上であって、前記第2光が集光される位置の近傍にあるアパーチャとを、順に配置されるようにさらに備え、前記フィルタ部材は、前記第1レンズ及び前記第2レンズの間に配置されている、請求項9から12のいずれかに記載の光学測定装置。

請求項14

光学測定系において測定試料に波数k1の第1光を照射して発生する観測光を観測する光学測定装置を用いた光学測定方法であって、前記光学測定装置は、前記第1光を照射する光源と、媒質として固体又は液体が用いられており前記観測光を透過する光路部と、前記光路部への外部からの光を遮ると共に、屈折率が前記光路部とマッチングされていることにより前記光路部の内部のノイズ光を低減する遮光部と、前記観測光を観測する測定部と、前記光路部の内部に、前記第1光が前記光路部を通過するときに生じるラマンシフトに起因する波数k2の第2光の進行を遮るフィルタ部材とを有し、前記光源が、前記第1光を照射する励起光照射テップと、前記フィルタ部材が、前記第2光を遮るフィルタリングステップとを含む、光学測定方法。

請求項15

前記励起光照射ステップにおいて、前記光源は、前記第1光として、前記第2光の波数が前記観測光の波数域とは異なる波数となるような波数の光を照射する、請求項14記載の光学測定方法。

請求項16

前記光学測定装置は、前記第1光の波数を前記観測光の光強度が最大となる波数とは異なる波数に調整する波数調整部をさらに有し、前記励起光照射ステップの後に、前記波数調整部が、前記第1光の波数を調整する調整ステップをさらに含む、請求項14記載の光学測定方法。

請求項17

前記調整ステップにおいて、前記波数調整部は、前記第2光の波数が前記観測光の波数域とは異なる波数となるように、前記第1光の波数を調整する、請求項16記載の光学測定方法。

請求項18

前記波数k2が前記観測光の波数域に含まれており、前記フィルタリングステップにおいて、前記フィルタ部材が、前記観測光の波数域の一部である波数k2の光を遮る、請求項14記載の光学測定方法。

技術分野

0001

本発明は、光学構造体光学測定装置及び光学測定方法に関し、特に、光学測定系において励起光測定試料照射して発生する観測光を透過する光路部と、光路部への外部からの光を遮ると共に屈折率が前記光路部とマッチングされていることにより光路部の内部のノイズ光を低減する遮光部とを備える光学系構造体等に関するものである。

背景技術

0002

近年、ライフサイエンス分野におけるポイントオブケア(POCT検査のように、吸光度法レーザー誘起蛍光法などの光分析技術を用いた光測定装置の小型化が要請されている。

0003

発明者らは、光測定装置の小型化を実現するために、図4に示すような、顔料を少なくとも一部に含む樹脂を用いて光学系およびモノリシック筐体を構成した光誘蛍光測定装置を提案した(例えば、特許文献1参照)。

0004

具体的には、光誘起蛍光測定装置201は、以下の構成の特徴を有する。(1)照射光学系を構成する導光路、観測光収集光学系を構成する導光路の一部に、照射光及び観測光に対して透明な樹脂が充填されている。(2)これらの導光路を構成する透明樹脂を包囲するようにさらに樹脂を設ける。この樹脂には顔料が含有されている。(3)顔料は、迷光を吸収する特性を有する。顔料の含有量は、少なくとも迷光を全て吸収する量に設定されている。(4)透明樹脂と顔料含有樹脂との樹脂の材質は同じである。

0005

上記の構成により、光誘起蛍光測定装置201は、例えば、以下の作用・効果を奏する。まず、透明樹脂と顔料含有樹脂との樹脂の材質を同じにすることにより、両樹脂が接触する界面において光の反射散乱が抑制される。また、顔料含有樹脂に入射した迷光は、顔料により吸収される。そのため、導光路を構成する透明樹脂に戻ることはほとんどない。さらに、顔料含有樹脂から外部へ迷光が漏れることもない。そのため、迷光の複雑な多重反射がほとんど発生しない。結果として、観測光収集光学系は、複雑な多重反射に対応する必要がなく簡便化され、結果的に本測定器は小型化される。以下、このようなシリコーン樹脂構築した光学系の技術を、SOT(Silicone Optical Technologies)と呼称することにする。

先行技術

0006

特許第5665811号公報

発明が解決しようとする課題

0007

しかしながら、SOTにおける光学系では、測定光学系の光路部の媒質固体又は液体である。ラマンシフトに起因する光は、入射光強度散乱断面積及び光路部の媒質の密度に依存する。中でも、光路部の媒質の密度には大きく依存する。例えば、固体の媒質の一例であるPDMS(ポリジメチルシロキサン)は、単分子質量数62g/mol、密度が0.965g/cm3なので、0.965/62*アボガドロ数=9.37*1021個/cm3程度の分子密度である。液体の媒質の一例である水は、単分子の質量数18g/mol、密度が1.0g/cm3なので、1/18*アボガドロ数=3.34*1022個/cm3程度の分子密度である。他方、気体の媒質の一例である窒素は、1molで22.4Lの体積なので、1/22.4/1000*アボガドロ数=2.69*1019個/cm3程度の密度である。当然、物質によって比率は異なるものの、固体や液体は気体に比べて102から103程度も密度が大きい。そのため、照射光及び観測光が主に空気中を通過する従来の光学系と比べて、ラマンシフトに起因するノイズ光(以下、ラマン光という)の強度が大きく、測定精度(S/N比)に与える影響は無視できないほど大きい。

0008

図5において、試料ケースPCR管)に照射される光を照射光、照射光が照射された試料Sから放出される光を観測光とする。照射光が、透明樹脂で充填された導光路を通過する際、照射光の波長に応じたラマンシフトにより、ラマン光が発生する。図4に示すノッチフィルタ色ガラスフィルタは、観測光を透過し、かつ照射光をカットする機能はあるものの、ラマン光をカットする機能はない。そのため、ラマン光は、ノイズ光として測定器光電子増倍管)に入射してしまう。従来の測定光学系は、このラマン光を低減する余地が残されていた。

0009

ゆえに、本発明は、光路部の媒質に固体又は液体を用いた光学測定装置において、ラマン光を抑制し、測定精度を向上させることが可能な光学系構造体等を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0010

本発明の第1の観点は、光学測定系において波数k1の第1光を測定試料に照射して発生する観測光を透過する光路部と、前記光路部への外部からの光を遮ると共に屈折率が前記光路部とマッチングされていることにより前記光路部の内部のノイズ光を低減する遮光部とを備える光学系構造体であって、前記光路部は、媒質として固体又は液体が用いられており、前記光路部の内部に、前記第1光が前記光路部を通過するときに生じるラマンシフトに起因する波数k2の第2光の進行を遮るフィルタ部材を備える、光学系構造体である。

0011

本発明の第2の観点は、第1の観点の光学系構造体であって、前記フィルタ部材が遮る前記波数k2は、前記観測光の波数域に含まれる。

0012

本発明の第3の観点は、第1又は第2の観点の光学系構造体であって、前記フィルタ部材の少なくとも一方の面が前記光路部に接触している。

0013

本発明の第4の観点は、第1から第3のいずれかの観点の光学系構造体であって、前記光路部は、可撓性を有する。

0014

本発明の第5の観点は、第4の観点の光学系構造体であって、前記光路部は、シリコーン樹脂である。

0015

本発明の第6の観点は、第5の観点の光学系構造体であって、前記シリコーン樹脂は、PDMSである。

0016

本発明の第7の観点は、第1から第6のいずれかの観点の光学系構造体であって、前記遮光部の媒質として、前記光路部の媒質と屈折率が同じ媒質が用いられている。

0017

本発明の第8の観点は、第1から第7のいずれかの観点の光学系構造体であって、前記遮光部は、光を吸収する顔料を分散させて含有する。

0018

本発明の第9の観点は、光学測定系において測定試料に波数k1の第1光を照射して発生する観測光を観測する光学測定装置であって、前記第1光を照射する光源と、媒質として固体又は液体が用いられており前記観測光を透過する光路部と、前記光路部への外部からの光を遮ると共に、屈折率が前記光路部とマッチングされていることにより前記光路部の内部のノイズ光を低減する遮光部と、前記観測光を観測する測定部と、前記光路部の内部に、前記第1光が前記光路部を通過するときに生じるラマンシフトに起因する波数k2の第2光の進行を遮るフィルタ部材とを備える、光学測定装置である。

0019

本発明の第10の観点は、第9の観点の光学測定装置であって、前記観測光の光強度が最大となる波数とは異なる波数に調整する波数調整部をさらに備える。

0020

本発明の第11の観点は、第10の観点の光学測定装置であって、前記波数調整部は、前記第2光の波数が前記観測光の波数域とは異なる波数となるように、前記第1光の波数を調整する。

0021

本発明の第12の観点は、第9から第11のいずれかの観点の光学測定装置であって、レンズ、ノッチフィルタ及び色ガラスフィルタをさらに備える。

0022

本発明の第13の観点は、第9から第12のいずれかの観点の光学測定装置であって、前記光源から前記測定部に至る光路において、前記第1光及び前記第2光を平行光とする第1レンズと、前記第1光を反射するノッチフィルタと、前記観測光以外の光を吸収する色ガラスフィルタと、前記観測光を含む光を集光する第2レンズと、前記第2レンズの光軸上であって、前記第2光が集光される位置の近傍にあるアパーチャとを、順に配置されるようにさらに備え、前記フィルタ部材は、前記第1レンズ及び前記第2レンズの間に配置されている。

0023

本発明の第14の観点は、光学測定系において測定試料に波数k1の第1光を照射して発生する観測光を観測する光学測定装置を用いた光学測定方法であって、前記光学測定装置は、前記第1光を照射する光源と、媒質として固体又は液体が用いられており前記観測光を透過する光路部と、前記光路部への外部からの光を遮ると共に、屈折率が前記光路部とマッチングされていることにより前記光路部の内部のノイズ光を低減する遮光部と、前記観測光を観測する測定部と、前記光路部の内部に、前記第1光が前記光路部を通過するときに生じるラマンシフトに起因する波数k2の第2光の進行を遮るフィルタ部材とを有し、前記光源が、前記第1光を照射する励起光照射テップと、前記フィルタ部材が、前記第2光を遮るフィルタリングステップとを含む、光学測定方法である。

0024

本発明の第15の観点は、第14の観点の光学測定方法であって、前記励起光照射ステップにおいて、前記光源は、前記第1光として、前記第2光の波数が前記観測光の波数域とは異なる波数となるような波数の光を照射する。

0025

本発明の第16の観点は、第14の観点の光学測定方法であって、前記光学測定装置は、前記第1光の波数を前記観測光の光強度が最大となる波数とは異なる波数に調整する波数調整部をさらに有し、前記励起光照射ステップの後に、前記波数調整部が、前記第1光の波数を調整する調整ステップをさらに含む。

0026

本発明の第17の観点は、第14の観点の光学測定方法であって、前記調整ステップにおいて、前記波数調整部は、前記第2光の波数が前記観測光の波数域とは異なる波数となるように、前記第1光の波数を調整する。

0027

本発明の第18の観点は、第14の観点の光学測定方法であって、前記波数k2が前記観測光の波数域に含まれており、前記フィルタリングステップにおいて、前記フィルタ部材が、前記観測光の波数域の一部である波数k2の光を遮る。

発明の効果

0028

本発明の各観点によれば、例えばSOTのように、光路部の媒質に固体又は液体を用いた光学測定系において、ラマンシフトに起因するノイズ光を抑制し、測定精度を向上させることが可能となる。

0029

そもそも、ラマン光は、光路部の媒質の密度に大きく依存する。出願人による光学測定系以外は、光路部の媒質が一般に空気等の気体であり、固体や液体に比べて媒質の密度が極めて小さい。そのため、測定中に発生するラマン光は、観測光に比較してさほど大きな影響がなかった。

0030

本発明の各観点は、光学測定系の光路部の媒質として固体又は液体を採用した本発明者らの光学測定系において顕著となるために見出された新規の課題を解決するものである。

0031

また、本発明の第2及び第18の観点によれば、ラマン光が観測光の波数域に含まれる場合に、観測光の一部をあえてフィルタ部材で遮ることにより、ラマンシフトに起因するノイズ光を抑制し、測定精度を向上させることが可能となる。

0032

観測光をフィルタ部材でカットすることは、通常の光学測定においては考えられず、阻害要因がある。この点、ラマン光がS/N比に及ぼす影響が無視できない光学測定系において初めて有意義となる技術的な思想である。

0033

また、本発明の第3の観点によれば、ラマン光を確実にフィルタ部材に入射させて除去することが容易となる。

0034

また、本発明の第4の観点によれば、光路部を屈曲させることにより、ラマン光を遮光部に入射させて効果的に除去することが容易となる。

0035

さらに、本発明の第5から第8、並びに、第12及び第13の観点によれば、具体的にSOTに対して本発明の技術的思想を反映することが容易となる。

0036

ここで、ラマンシフトのシフト幅は、励起光の波数には依存しない。そのため、励起光の波数を調整することにより、ラマン光の波数を観測光の波数域に重ならない波数とすることが可能である。

0037

そこで、本発明の第10、第11、第16及び第17の観点によれば、測定試料に照射した際に発生する観測光の強度が最大となる波数の光とは異なる波数の光をあえて励起光として用いることにより、ノイズ光である第2光のみを除去することが可能となる。そのため、観測光のS/N比を高めることがさらに容易となる。

図面の簡単な説明

0038

本発明の実施例に係る光学測定装置の具体的な構成の一例を示す図である。
本発明の実施例1に係る光学測定方法において、観測光と共にラマン光をフィルタリングする概念を示す図である。
本発明の実施例2に係る光学測定方法において、ラマン光が観測光と重複しないように励起光を調整する概念を示す図である。
従来の光学測定装置の具体的な構成の一例を示す図である。
図4の従来の光学測定装置において、測定試料及び測定試料を挿入する部位を拡大して示す図である。

0039

以下、図面を参照して、本願発明の実施例について述べる。なお、本願発明の実施の形態は、以下の実施例に限定されるものではない。

0040

図1に、本発明の光学測定装置の具体的な構成の一例として光誘起蛍光測定装置1(本願請求項における「光学測定装置」の一例)を示す。光誘起蛍光測定装置1は、DPSSレーザヘッド等の固体光源3(本願請求項における「光源」の一例)、試料5(本願請求項における「測定試料」の一例)を保持する試料ケース7、レンズや光学フィルタ等からなる蛍光収集光学系9(本願請求項における「光学系構造体」の一例)、光電子増倍管などの蛍光測定器11(本願請求項における「測定部」の一例)を含む。

0041

試料ケース7は、固体光源3からの励起光(本願請求項における「第1光」の一例)、試料5から放出される蛍光(本願請求項における「観測光」の一例)を含む光に対して透明であり、レーザービーム照射空間13に設置される。蛍光測定器11は、固体光源3から蛍光測定器11に直接入光しないよう、測定光(励起光)と観測光の光軸が直交する位置に設置される。試料ケース7から蛍光測定器11の間には、蛍光収集光学系9が設けられる。蛍光収集光学系9は、試料からの蛍光が入射する側から順に、第1ノッチフィルタ211(本願請求項における「ノッチフィルタ」の一例)と、励起光および試料5から放出される蛍光を含む光を平行光にする第1レンズ15(本願請求項における「レンズ」及び「第1レンズ」の一例)と、第2ノッチフィルタ212(本願請求項における「ノッチフィルタ」の一例)と、ラマンフィルタ19(本願請求項における「フィルタ部材」の一例)と、第1色ガラスフィルタ231(本願請求項における「色ガラスフィルタ」の一例)と、第2色ガラスフィルタ232(本願請求項における「色ガラスフィルタ」の一例)と、蛍光を含む光を集光する第2レンズ17(本願請求項における「レンズ」及び「第2レンズ」の一例)と、第2レンズ17の光軸上であって蛍光の集光位置近傍に配置されるアパーチャ24(本願請求項における「アパーチャ」の一例)と、第3色ガラスフィルタ233(本願請求項における「色ガラスフィルタ」の一例)から構成される。ノッチフィルタは固体光源3から出射する励起光の波長の光を反射するフィルタ部材であり、色ガラスフィルタは試料から放出される蛍光以外の光を吸収するフィルタ部材である。

0042

本実施例におけるラマンフィルタ19は、ラマン光(本願請求項における「第2光」の一例)の波数域の光の進行を遮るフィルタ部材である。

0043

固体光源3、試料ケース7、蛍光収集光学系9、蛍光測定器11は、上記励起光や蛍光を含む光に対して透明なPDMS(本願請求項における「媒質」及び「シリコーン樹脂」の一例)等の透明樹脂25(本願請求項における「光路部」の一例)に埋設される。すなわち、透明樹脂25により試料ケース7、蛍光収集光学系9、光電子倍増菅等の蛍光測定器11が一体化して保持される。

0044

各構成要素を一体化して保持する透明樹脂25は、励起光、試料ケース7に励起光が照射される際に発生する自家蛍光、及び励起光が透明樹脂25内を進行する際、透明樹脂25から発生するラマン光を吸収する波長特性を有する顔料(本願請求項における「顔料」の一例)がほぼ一様に含有している顔料含有樹脂27(本願請求項における「遮光部」の一例)により包囲される。この顔料含有樹脂27には、必要に応じて固体光源3および蛍光測定器11に電力を供給する電力源29が埋設される。すなわち、顔料含有樹脂27は、試料ケース7、蛍光測定器11、及び、蛍光収集光学系9等を保持する筐体を構成する。

0045

このように、SOTにおける光測定装置では、蛍光収集光学系9の光路部の媒質が透明樹脂25である。そのため、測定光及び観測光が主に空気中を通過する従来の光学系と比べて、ラマン光の強度が大きく、測定精度(S/N比)に与える影響は無視できないほど大きい。そこで、本発明では蛍光収集光学系9にラマンフィルタ19を挿入することで、高精度な測定を実現した。

0046

なお、従来のSOTにおける光測定装置と同様に、光誘起蛍光測定装置1を構成する各構造物が、透明樹脂25及び顔料含有樹脂27に埋設されているので、外部からの衝撃に対して安定であり、また光学素子を保持するホルダも不要なので、光誘起蛍光測定装置1は、小型かつ携帯可能なものとなる。

0047

ここで、透明樹脂25と顔料含有樹脂27とは屈折率がマッチングされている。ここでいうマッチングとは、透明樹脂25及び顔料含有樹脂27の界面における界面反射がある程度(無視できるくらい)に小さくなるように、透明樹脂25の屈折率と顔料含有樹脂27の屈折率とが、同一か近似した値であるように選択又は調整することをいう。

0048

上記筐体を包囲する顔料含有樹脂27により、光誘起蛍光測定装置1外部に励起光や測定光である蛍光は放出されず、また外部からの光が蛍光収集光学系9等の内部に入ることもない。顔料含有樹脂27は、ノイズ光の光吸収層として機能する。

0049

図2(a)は、ラマン光101が、観測光103の波長域の一部に重なって観測されるスペクトルモデル図である。例えば、励起光105(測定光)をYAGレーザの第2高調波(λ=532nm)、透明シリコーン樹脂をPDMS、測定試料をRhodamine Bとすると、図2(a)に示すように、観測光103(ストークスシフト光)は、波長550〜650nmに発生するとともにラマン光101は波長630nm付近に発生する。この場合、観測光103の波長域(550〜650nm)内に、PDMSを励起光105が通過する際に発生するラマン光101(630nm)がある。そのため、観測光103の強度にはノイズとなるラマン光101の強度が含まれる。

0050

また一般に、励起光105の強度が大きくなると、ラマン光101の強度も大きくなる。そのため、励起光105の強度が変動すると、ノイズ光となるラマン光101の強度も変動する。

0051

図5に参照されるように、測定部は試料ケース(PCR管)に保持された試料Sにより構成される。詳細には、まず試料ケース挿入部2aにPCR管が挿入される。すなわち、PCR管は、SOT構造を有する本体10に挿入される。試料Sが保持されるPCR管先端は、本体10の最外部に存在する顔料含有シリコーン樹脂を通過し、励起光(例えばレーザ装置から放出される波長532nmのレーザ光)が照射する位置にセットされる。

0052

このとき、PCR管の挿入具合によっては、試料Sが存在する位置のPCR管表面と透明シリコーン樹脂との接触具合や試料Sの上記挿入方向の位置(測定部の位置精度)が変化する。このような変動が発生すると、PCR管を経由して又はPCR管で散乱して、図4の透明シリコーン樹脂(PDMS)へ進む励起光の強度も変動し、結果として、ノイズ光となるラマンシフト光の強度も変動する。

0053

図2(b)は、本発明に用いるフィルタ部材の一例の透過率を示す図である。図2(a)に示されるようなノイズ光の影響を抑制するために、ラマン光101の波数域の光をカットし、その他の波数域の光を透過させるような透過特性を有するフィルタ部材を、SOTを採用した光学系構造において、測定器(光電子増倍管)の光入射側に挿入する。

0054

その結果、図2(c)に示すように、ラマン光101の影響がキャンセルされた観測光107を得ることができる。なお、同図に示すように、フィルタ部材により観測光103の一部もカットされるので、観測光107の強度は観測光103に比べて減少することになる。しかし、変動するラマン光101の成分がカットされることになるので、S/N比が上がり、測定精度を向上させることができる。すなわち、本実施例に係る光学系構造体を用いて敢えて観測光103の一部をカットすることにより、測定精度を向上させるものである。

0055

続いて、図3を参照して、そもそもラマン光を観測光に重複させないように設定することで、ノイズ光を低減させる光学系について説明する。本実施例に係る光誘起蛍光測定装置は、実施例1の光誘起蛍光測定装置1の構成に加えて、光源の波数を調整する波数調整部(本願請求項における「波数調整部」の一例)をさらに備える。波数調整部は、例えば、非線形光学結晶を用いて実装可能である。

0056

観測光の波数域は、試料S(蛍光試料)の特性と、測定光(励起光)の波数により変動する。一方、透明シリコーン樹脂に対するラマンシフト量の変動は、励起光の波数が変わってもあまり変わらない。以上をふまえ、試料S(蛍光試料)の特性と、励起光115の波数との関係を考慮することにより、図3(a)に示すようにラマン光111の波数が観測光113の波数域と重複しないように設定することが可能となる。

0057

ここで、通常の蛍光測定においては、励起光の波数は、観測光の強度が最大となる最大励起波数に設定する。しかし、本実施例では敢えて最大励起波数ではなく、ラマンシフト光と観測光の重複を避けられる波数域に設定した。

0058

ラマン光111の影響を抑制するために、図3(b)に示すような、ラマン光111の波数域の光をカットし、その他の波数域の光を透過させるような透過特性を有するフィルタ部材を、上記SOTを採用した光学系構造において、測定器(光電子増倍管)の光入射側に挿入する。

0059

その結果、図3(c)に示すように、ノイズ光がカットされ、観測光を得ることができる。上記したように、ラマンシフトに起因するノイズ光の波数が観測光の波数域と重複していないので、フィルタ部材により観測光の一部がカットされることがない。よって、観測光の強度を減少させることなく、変動するノイズ光成分がカットすることが可能となり、S/N比が上がり、更に測定精度を向上させることができる。

0060

なお、図1に示す第1色ガラスフィルタ231(本願請求項における「色ガラスフィルタ」の一例)と、第2色ガラスフィルタ232(本願請求項における「色ガラスフィルタ」の一例)でラマンシフトに起因するノイズ光を十分に減衰させてもよい。この場合、第1色ガラスフィルタ231及び第2色ガラスフィルタ232が前記ラマン光111の波数域の光をカットするフィルタ部材を兼ねた構成といえる。このように、複数の部材によりフィルタ部材を実現してもよい。例えば、ラマン光の波長よりも長波長側を通過させるハイパスフィルタと、ラマン光の波長よりも低波長側を通過させるローパスフィルタとを組み合わせてフィルタ部材として用いてもよい。

0061

また、ラマン光の波数が観測光の波数域から外れる場合、光学測定装置が測定部として分光器を用いて観測光の波数域のみを測定することにより、ラマン光の測定に及ぼす影響を排除することが可能となる。このような場合は、光学測定装置がフィルタ部材を備えずともよい。

0062

なお、実施例1及び2において、図2(b)、図3(b)に示すような特性を有するフィルタ部材は干渉フィルタである。そのため、フィルタ部材は、図1に示すように、平行光路内に挿入される。

0063

なお、実施例2において、光誘起蛍光測定装置が、光源の波数を調整する波数調整部を備えるとした。しかし、観測光の光強度が最大となる波数とは異なる波数の励起光を光源として備える光誘起蛍光測定装置を用いてもよい。この場合も、必要に応じて、光誘起蛍光測定装置が波数調整部を備えていてもよい。

実施例

0064

また、実施例1及び2において、光学測定装置として光誘起蛍光測定装置を想定した。しかし、媒質が固体又は液体で充填されている光学系のように、ラマン光がS/N比に及ぼす影響が無視できないほど大きい光学系を含む光学測定装置であれば本発明を適用可能である。光学測定装置は、光有機傾向測定装置以外の装置であってもよい。

0065

1・・・光誘起蛍光測定装置、3・・・固体光源、5・・・試料、7・・・試料ケース、9・・・蛍光収集光学系、11・・・蛍光測定器、13・・・レーザービーム照射空間、15・・・第1レンズ、17・・・第2レンズ、19・・・ラマンフィルタ、21・・・ノッチフィルタ、23・・・色ガラスフィルタ、25・・・透明樹脂、27・・・顔料含有樹脂、29・・・電力源、101及び111・・・ラマン光、103、107、113・・・観測光、105及び115・・・励起光

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