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課題
解決手段
光波を受光して反射する6個のコーナーキューブプリズム1と、このコーナーキューブプリズム1を収容保持する収納容器2と、この収納容器2を固定するための第一、第二の固定板6,9と、収納容器2及び第一第二の固定板6,9を固定するボルト5とを備えた土工事の情報化施工システムにおける光反射装置20において、コーナーキューブプリズム1の背面1cと側面1b及び収納容器2内面間に形成される間隙に緩衝材を充填するとともに、第一、第二の固定板6、9と収納容器2間に第一、第二の衝撃緩衝部材7,8、ボルト5と収容容器2間に第三の衝撃緩衝部材4を取り付け、かつ、収納容器2外面に、撥水加工した透明な保護カバー13を取り付ける構成とした。
概要
背景
近年、土木建設工事の効率化と品質向上、及び、熟練技術者不足等の観点から、土木建設工事の情報化施工が推進されている。
この土木建設の情報化施工として、建設ICT(情報通信技術)を導入した施工法が研究開発されている。
しかし、この施工法でも、例えば、GPSを利用したマシンガイダンスができる重機を用いた場合、重機自体のレンタルコストが過大で、そのため大規模な事業には向くが、小規模な事業では、コストの負担が重くなるという課題があった。
そこで、本願発明者は、本願に先行して、土を対象とした掘削、運搬、法面保護工および土止め工等を含む土工事に、トータルステーションと汎用バックホーを組み合わせた、「E三(イーサン)」と呼ばれる、土工事の情報化施工システムを考案している(特許文献1)。
以下、この従来の土工事の情報化施工システムについて、図6を用いて説明する。
図6は、従来の土工事の情報化施工システムを説明するための概略構成図である。
先ず、図6を用いて、従来の土工事の情報化施工システムの概略構成を説明する。
当該システムの主要構成は、図6に示すように、トータルステーション109、光反射装置110、モニター112と、土工機械116である。
なお、土工機械116には、パワーショベル、バックホー、ブルドーザー等があるが、図6には、マシンガイダンスブルドーザー又はマシンコントロールブルドーザーを用いた例が示されている。
同図において、115は、土工機械116の排土板刃先で、光反射装置110は、この排土板刃先115の鉛直上方に取り付けられており、114は、光反射装置110と排土板刃先115の鉛直間距離である。
また、モニター112は、土工機械116の運転席側に取り付けられ、排土板刃先115位置での計画地盤高さが記憶されている記憶機能と、現況地盤高さを算出する機能とを備えたコンピュータを内蔵している。
以上の構成で、従来の土工事の情報化施工システムの基本動作を、図6を用いて説明する。
先ず、トータルステーション109から、光反射装置110に向けて、水平距離、垂直距離を測定するための光波111が照射され、光反射装置110内に組み込まれたプリズムに入射するとともに、このプリズムから光波111が平行に反射される。
なお、プリズムについては、後に説明する。
この反射された光波111は、再度トータルステーション109に入射し、検出される。
トータルステーション109は、距離を測る光波測距儀と、角度を測るセオドライトとを内蔵しており、光反射装置110までの水平距離と垂直距離、及び、角度を同時に観測する。
この光反射装置110までの距離と角度を元に、モニター112に内蔵されたコンピュータにより、光反射装置110の三次元座標(X0,Y0,Z1)を算出する。
なお、トータルステーション109が内蔵している光波測距儀は、トータルステーション109から照射され、光反射装置110内のプリズムから反射されて、再度トータルステーション109に返ってきた光波111の位相差を利用して距離を測定する。
次に、トータルステーション109は、光反射装置110を自動追尾する機能を備えており、光反射装置110の三次元座標(X0,Y0,Z1)をリアルタイムで測定する。
この光反射装置110の三次元座標(X0,Y0,Z1)は、無線113により、運転席側のモニター112に送信される。
また、モニター112内のコンピュータには、土工機械116の排土板刃先115と光反射装置110との垂直間距離114が記憶されており、光反射装置110の三次元座標(X0,Y0,Z1)を測定し、垂直間距離114の補正を行うことにより、土工機械116の排土板刃先115の三次元座標(X0,Y0,Z0)を算出し、オペレータにリアルタイムでモニター112の画面に表示できるようになっている。
以上のシステムにより、土工機械116のオペレータは、リアルタイムで、排土板刃先115の三次元座標(X0,Y0,Z0)を把握できるとともに、排土板刃先115位置の現況地盤高さがモニター112に内蔵されたコンピュータで算出できる。
これにより、モニター112内のコンピュータの記憶機能に予め記憶されていた排土刃先115の設計図面上の計画地盤高さと、前記の方法で算出された排土刃先115の現況地盤高さとの差をモニター112に表示させ、当該表示に合わせてオペレータが排土作業を行う。
即ち、オペレータは、モニター112画面に表示された計画地盤高さと現況地盤高さの差に基づいて、設計図面上の全範囲での排土作業を行えばよいので、土工事作業の熟練は、当該システムでは、特に必要ということにはならなくなる。
従って、この土工事の情報化施工システムでは、従来必要であった事前の綿密な測量作業や、丁張や杭等の指標を設置する作業が不要となり、土工事の効率が向上する。
また、土工事の精度が数ミリメートルの誤差の範囲内収めることができるようになり、土工事の品質を飛躍的に向上させることが可能になっている。
次に、土工事の情報化施工システムに用いられている、従来の光反射装置について、図7乃至図9を用いて説明する。
図7は、従来の光反射装置の構成を示す裁断平面図である。
図8は、従来の光反射装置の構成を示す縦断側面図である。
図9は、従来の光反射装置の構成を示す組立図である。
先ず、従来の光反射装置110の構成について、図7乃至図9を用い、図6を参照して説明する。
図7乃至図9に示された光反射装置110は、一般には、360°プリズム、あるいは、全周プリズムと呼ばれる光反射装置110の一種で、全方位からの反射が可能である。
その構成は、上述した図6のトータルステーション109から光反射装置110に向けて照射された光波111を平行に反射してトータルステーション109に戻すためのコーナーキューブプリズム(以下単に「プリズム」という場合がある)101、このプリズム101を収容保持するための収納容器102、この収納容器102を固定するための第一の固定板104、及び、第二の固定板105である。
なお同図において、106は、光反射装置110を土工機械116の所定位置に取り付けるための取付管、103は、この取付管106に、光反射装置110を固定するためのボルト、107は同じくナットである。
次に、従来の光反射装置110の各構成の詳細について、図7乃至図9を用いて説明する。
従来の光反射装置110では所定個数の、通常は3個または6個のコーナーキューブプリズム101が円環状に配列され、全方位からの反射が可能となっている(図示のものは6個)。
また、プリズム101を収容する、略六角柱形状(図7,8)又は円筒形状(図9)の収納容器102は、鉄製で、プリズム101をその側面101b及び背面101cで固定支持するための突起状の支持部102aが内側に形成され、外側には、トータルステーション109から照射される光波111を直接受光するための6個の開口部102bが、それぞれプリズム101の受光面101aに対応する位置に形成されている。
収納容器102を固定するための第一の固定板104、及び、第二の固定板105は、ボルト103を通すための貫通孔が中心に空けられた略六角形状(図7,8)又は円形状(図9)で、素材は、主に、鉄又は樹脂が用いられる。
また、光反射装置110を取付管106に固定するためのボルト103は、従来のものでは、直径が9mmのものが用いられていた。
光反射装置110は、土工機械116側の取付管108に、図8に示すように、光反射装置110側の取付管106を介してボルト108aとナット108bにより取り付け固定される。
以上の構成で、従来の光反射装置110では、トータルステーション109から照射された光波111は、収納容器102の外面に形成された開口部102bを通過して、直接、プリズム101の受光面101aに入射し、このプリズム101の再帰性反射により、光波111は入射軌道に平行に反射され、この反射光を解析することにより、光反射装置110の距離及び角度を測定し、モニター112内のコンピュータにより、光反射装置110の三次元座標を算出し、垂直間距離114を補正して、土工機械116の排土板刃先115の三次元座標をモニター112画面に表示するようにしている。
概要
耐振動性、耐衝撃性に優れ、更には、作業効率の低下を抑えた土工事の情報化施工システムにおける光反射装置を提供する。 光波を受光して反射する6個のコーナーキューブプリズム1と、このコーナーキューブプリズム1を収容保持する収納容器2と、この収納容器2を固定するための第一、第二の固定板6,9と、収納容器2及び第一第二の固定板6,9を固定するボルト5とを備えた土工事の情報化施工システムにおける光反射装置20において、コーナーキューブプリズム1の背面1cと側面1b及び収納容器2内面間に形成される間隙に緩衝材を充填するとともに、第一、第二の固定板6、9と収納容器2間に第一、第二の衝撃緩衝部材7,8、ボルト5と収容容器2間に第三の衝撃緩衝部材4を取り付け、かつ、収納容器2外面に、撥水加工した透明な保護カバー13を取り付ける構成とした。
目的
本発明は、上記従来の課題を解決し、耐振動性、耐衝撃性に優れ、更には、作業効率の低下を抑えた土工事の情報化施工システムにおける光反射装置を提供する
効果
実績
- 技術文献被引用数
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- 牽制数
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請求項1
光波を受光して反射する所定個数のプリズムと、この所定個数のプリズムを収容保持する収納容器とを備えた土工事の情報化施工システムにおける光反射装置において、前記プリズムと前記収納容器間の間隙に、緩衝材を充填したことを特徴とする土工事の情報化施工システムにおける光反射装置。
請求項2
光波を受光して反射する所定個数のプリズムと、この所定個数のプリズムを収容保持する収納容器と、この収納容器を固定する固定板とを備えた土工事の情報化施工システムにおける光反射装置において、前記収納容器と前記固定板間に、衝撃緩衝部材を取り付けたことを特徴とする土工事の情報化施工システムにおける光反射装置。
請求項3
光波を受光して反射する所定個数のコーナーキューブプリズムと、この所定個数のコーナーキューブプリズムを収容保持する収納容器と、この収納容器を固定するための第一の固定板及び第二の固定板と、前記収納容器及び前記第一第二の固定板を固定するボルトとを備えた土工事の情報化施工システムにおける光反射装置において、前記コーナーキューブプリズムの背面と側面及び前記収納容器内面間に形成される間隙に緩衝材を充填するとともに、前記第一の固定板と前記収納容器間に第一の衝撃緩衝部材、前記第二の固定板と前記収容容器間に第二の衝撃緩衝部材、前記ボルトと前記収容容器間に第三の衝撃緩衝部材を取り付けたことを特徴とする土工事の情報化施工システムにおける光反射装置。
請求項4
技術分野
背景技術
0002
近年、土木建設工事の効率化と品質向上、及び、熟練技術者不足等の観点から、土木建設工事の情報化施工が推進されている。
この土木建設の情報化施工として、建設ICT(情報通信技術)を導入した施工法が研究開発されている。
しかし、この施工法でも、例えば、GPSを利用したマシンガイダンスができる重機を用いた場合、重機自体のレンタルコストが過大で、そのため大規模な事業には向くが、小規模な事業では、コストの負担が重くなるという課題があった。
0003
そこで、本願発明者は、本願に先行して、土を対象とした掘削、運搬、法面保護工および土止め工等を含む土工事に、トータルステーションと汎用バックホーを組み合わせた、「E三(イーサン)」と呼ばれる、土工事の情報化施工システムを考案している(特許文献1)。
以下、この従来の土工事の情報化施工システムについて、図6を用いて説明する。
0004
図6は、従来の土工事の情報化施工システムを説明するための概略構成図である。
先ず、図6を用いて、従来の土工事の情報化施工システムの概略構成を説明する。
当該システムの主要構成は、図6に示すように、トータルステーション109、光反射装置110、モニター112と、土工機械116である。
なお、土工機械116には、パワーショベル、バックホー、ブルドーザー等があるが、図6には、マシンガイダンスブルドーザー又はマシンコントロールブルドーザーを用いた例が示されている。
同図において、115は、土工機械116の排土板刃先で、光反射装置110は、この排土板刃先115の鉛直上方に取り付けられており、114は、光反射装置110と排土板刃先115の鉛直間距離である。
また、モニター112は、土工機械116の運転席側に取り付けられ、排土板刃先115位置での計画地盤高さが記憶されている記憶機能と、現況地盤高さを算出する機能とを備えたコンピュータを内蔵している。
0005
以上の構成で、従来の土工事の情報化施工システムの基本動作を、図6を用いて説明する。
先ず、トータルステーション109から、光反射装置110に向けて、水平距離、垂直距離を測定するための光波111が照射され、光反射装置110内に組み込まれたプリズムに入射するとともに、このプリズムから光波111が平行に反射される。
なお、プリズムについては、後に説明する。
この反射された光波111は、再度トータルステーション109に入射し、検出される。
トータルステーション109は、距離を測る光波測距儀と、角度を測るセオドライトとを内蔵しており、光反射装置110までの水平距離と垂直距離、及び、角度を同時に観測する。
この光反射装置110までの距離と角度を元に、モニター112に内蔵されたコンピュータにより、光反射装置110の三次元座標(X0,Y0,Z1)を算出する。
なお、トータルステーション109が内蔵している光波測距儀は、トータルステーション109から照射され、光反射装置110内のプリズムから反射されて、再度トータルステーション109に返ってきた光波111の位相差を利用して距離を測定する。
0006
次に、トータルステーション109は、光反射装置110を自動追尾する機能を備えており、光反射装置110の三次元座標(X0,Y0,Z1)をリアルタイムで測定する。
この光反射装置110の三次元座標(X0,Y0,Z1)は、無線113により、運転席側のモニター112に送信される。
また、モニター112内のコンピュータには、土工機械116の排土板刃先115と光反射装置110との垂直間距離114が記憶されており、光反射装置110の三次元座標(X0,Y0,Z1)を測定し、垂直間距離114の補正を行うことにより、土工機械116の排土板刃先115の三次元座標(X0,Y0,Z0)を算出し、オペレータにリアルタイムでモニター112の画面に表示できるようになっている。
0007
以上のシステムにより、土工機械116のオペレータは、リアルタイムで、排土板刃先115の三次元座標(X0,Y0,Z0)を把握できるとともに、排土板刃先115位置の現況地盤高さがモニター112に内蔵されたコンピュータで算出できる。
これにより、モニター112内のコンピュータの記憶機能に予め記憶されていた排土刃先115の設計図面上の計画地盤高さと、前記の方法で算出された排土刃先115の現況地盤高さとの差をモニター112に表示させ、当該表示に合わせてオペレータが排土作業を行う。
即ち、オペレータは、モニター112画面に表示された計画地盤高さと現況地盤高さの差に基づいて、設計図面上の全範囲での排土作業を行えばよいので、土工事作業の熟練は、当該システムでは、特に必要ということにはならなくなる。
0008
従って、この土工事の情報化施工システムでは、従来必要であった事前の綿密な測量作業や、丁張や杭等の指標を設置する作業が不要となり、土工事の効率が向上する。
また、土工事の精度が数ミリメートルの誤差の範囲内収めることができるようになり、土工事の品質を飛躍的に向上させることが可能になっている。
0009
次に、土工事の情報化施工システムに用いられている、従来の光反射装置について、図7乃至図9を用いて説明する。
図7は、従来の光反射装置の構成を示す裁断平面図である。
図8は、従来の光反射装置の構成を示す縦断側面図である。
図9は、従来の光反射装置の構成を示す組立図である。
0010
先ず、従来の光反射装置110の構成について、図7乃至図9を用い、図6を参照して説明する。
図7乃至図9に示された光反射装置110は、一般には、360°プリズム、あるいは、全周プリズムと呼ばれる光反射装置110の一種で、全方位からの反射が可能である。
その構成は、上述した図6のトータルステーション109から光反射装置110に向けて照射された光波111を平行に反射してトータルステーション109に戻すためのコーナーキューブプリズム(以下単に「プリズム」という場合がある)101、このプリズム101を収容保持するための収納容器102、この収納容器102を固定するための第一の固定板104、及び、第二の固定板105である。
なお同図において、106は、光反射装置110を土工機械116の所定位置に取り付けるための取付管、103は、この取付管106に、光反射装置110を固定するためのボルト、107は同じくナットである。
0011
次に、従来の光反射装置110の各構成の詳細について、図7乃至図9を用いて説明する。
従来の光反射装置110では所定個数の、通常は3個または6個のコーナーキューブプリズム101が円環状に配列され、全方位からの反射が可能となっている(図示のものは6個)。
また、プリズム101を収容する、略六角柱形状(図7,8)又は円筒形状(図9)の収納容器102は、鉄製で、プリズム101をその側面101b及び背面101cで固定支持するための突起状の支持部102aが内側に形成され、外側には、トータルステーション109から照射される光波111を直接受光するための6個の開口部102bが、それぞれプリズム101の受光面101aに対応する位置に形成されている。
収納容器102を固定するための第一の固定板104、及び、第二の固定板105は、ボルト103を通すための貫通孔が中心に空けられた略六角形状(図7,8)又は円形状(図9)で、素材は、主に、鉄又は樹脂が用いられる。
また、光反射装置110を取付管106に固定するためのボルト103は、従来のものでは、直径が9mmのものが用いられていた。
光反射装置110は、土工機械116側の取付管108に、図8に示すように、光反射装置110側の取付管106を介してボルト108aとナット108bにより取り付け固定される。
0012
以上の構成で、従来の光反射装置110では、トータルステーション109から照射された光波111は、収納容器102の外面に形成された開口部102bを通過して、直接、プリズム101の受光面101aに入射し、このプリズム101の再帰性反射により、光波111は入射軌道に平行に反射され、この反射光を解析することにより、光反射装置110の距離及び角度を測定し、モニター112内のコンピュータにより、光反射装置110の三次元座標を算出し、垂直間距離114を補正して、土工機械116の排土板刃先115の三次元座標をモニター112画面に表示するようにしている。
先行技術
0013
特開平11−94550号 公報
特開2011−17238号 公報
発明が解決しようとする課題
0014
ところで、従来の光反射装置110には、以下のような問題があった。
この従来の光反射装置110の問題について、図7乃至図9を参照して説明する。
図7乃至図9に示すように、従来の光反射装置110では、プリズム101を収納容器102の内側に形成された突起状の支持部102aにより、点状に支持している。
このような構造の場合、収納容器102とプリズム101の隙間が大きく、光反射装置110に大きな衝撃が加えられた場合、突起状の支持部102aにこの衝撃が集中し、プリズム101が破損しやすいという問題がある。
即ち、従来の光反射装置110は、作業員が手に持って測定することを前提としており、外部から大きな振動や衝撃が加えられるという事態を想定していなかった。
土工事の情報化施工システムでは、光反射装置110は、土工機械116の所定位置に固定して取り付けられるため、土工事に伴い土工機械116から振動や衝撃が直接加えられることになるが、従来の光反射装置110では、その振動や衝撃に耐えられる構造ではなかった。
0015
また、油圧ショベル等で岩盤法面整形などを行う場合は、大きな衝撃で飛散した石破片が収納容器102に衝突して衝撃が加えられたり、あるいは、収納容器102の外面に設けられた開口部102bから直接石破片が飛び込んだりして、プリズム101を破損してしまう恐れがあった。
従来の光反射装置110は、こういう事態を全く想定していなかった。
0016
従来の光反射装置110は、上記したように、作業員が手に持って測定することを前提としており、雨天時に光反射装置110に水滴がついた場合は、水滴の屈折によって、光波がトータルステーション109に戻れない事態を回避するために、担当の作業員が即座に水滴を拭き取ることで対応していた。
しかし、上記した土工事の情報化施工システムでは、光反射装置110は、オペレータから離れたバケット等に取り付けることを前提としており、オペレータが拭き取り作業を行うのは容易ではない。
また仮に、拭き取り作業が可能であったとしても、オペレータが土工機械116を降りて、随時、光反射装置110に付いた水滴を拭き取る作業を行なわなければならない。
こういった状況下では、そのたびに工事を中断せざるを得ず、土工事の作業効率が低下するという問題が発生する。
また、従来の光反射装置110には、6個のコーナーキューブプリズム101を接着剤で貼り合わせたタイプのものもあるが、これも上記した従来装置同様に、耐振動性、耐衝撃性が不十分で、水滴対策が全くとられていない。
0017
本発明は、上記従来の課題を解決し、耐振動性、耐衝撃性に優れ、更には、作業効率の低下を抑えた土工事の情報化施工システムにおける光反射装置を提供することを目的とする。
課題を解決するための手段
0018
本発明の土工事の情報化施工システムにおける光反射装置は、請求項1に記載のものは、 光波を受光して反射する所定個数のプリズムと、この所定個数のプリズムを収容保持する収納容器とを備えた土工事の情報化施工システムにおける光反射装置において、前記プリズムと前記収納容器間の間隙に、緩衝材を充填する構成とした。
0019
請求項2に記載の土工事の情報化施工システムにおける光反射装置は、光波を受光して反射する所定個数のプリズムと、この所定個数のプリズムを収容保持する収納容器と、この収納容器を固定する固定板とを備えた土工事の情報化施工システムにおける光反射装置において、収納容器と固定板間に、衝撃緩衝部材を取り付ける構成とした。
0020
請求項3に記載の土工事の情報化施工システムにおける光反射装置は、光波を受光して反射する所定個数のコーナーキューブプリズムと、この所定個数のコーナーキューブプリズムを収容保持する収納容器と、この収納容器を固定するための第一の固定板及び第二の固定板と、前記収納容器及び前記第一、第二の固定板を固定するボルトとを備えた土工事の情報化施工システムにおける光反射装置において、コーナーキューブプリズムの背面と側面及び収納容器内面間に形成される間隙に緩衝材を充填するとともに、第一の固定板と収納容器間に第一の衝撃緩衝部材、第二の固定板と収容容器間に第二の衝撃緩衝部材、ボルトと収容容器間に第三の衝撃緩衝部材を取り付ける構成とした。
発明の効果
0022
本発明の土工事の情報化施工システムにおける光反射装置は、上記のように構成したために以下のような優れた効果を有する。
(1)請求項1に記載したように構成すると、プリズムと収納容器内面間に形成される間隙に充填される緩衝材により、プリズムを収納容器と一体的に保護できるようになり、プリズムに偏荷重が掛からず、荷重が均一に分散される。
(2)また、プリズムと収納容器が一体化されることにより、周辺からの衝撃荷重が軽減され、プリズムの耐振動性、耐衝撃性が向上する。
0023
(3)請求項2に記載したように構成すると、衝撃緩衝部材により、土工機械から受ける振動や衝撃を吸収できるので、光反射装置自体の耐振動性、耐衝撃性が向上する。
0024
(4)請求項3に記載したように構成すると、プリズムと収納容器内面間に形成される間隙に充填される緩衝材と、衝撃緩衝部材との相乗効果により、光反射装置の耐振動性、耐衝撃性が一層向上する。
0025
(5)請求項4に記載したように構成すると、透明な保護カバーにより、土工事の作業中で発生石破片などから、収納容器やプリズムを保護することができる。
(6)また、保護カバーの表面を撥水加工していることにより、雨中での作業でも、光を屈折させる水滴が自動的に滴り落ち、光反射装置の水滴を拭き取る作業が省かれ、作業効率の低下を抑えることができる。
図面の簡単な説明
0026
本発明の光反射装置の構成を示す裁断平面図である。
本発明の光反射装置の構成を示す縦断側面図である。
本発明の光反射装置の構成を示す組立図である。
本発明の光反射装置を用いた土工事の情報化施工システムを説明するための概略構成図である。
図4の一部拡大側面図である。
従来の土工事の情報化施工システムを説明するための概略構成図である。
従来の光反射装置の構成を示す裁断平面図である。
従来の光反射装置の構成を示す縦断側面図である。
従来の光反射装置の構成を示す組立図である。
実施例
0027
以下、本発明の土工事の情報化施工システムにおける光反射装置の一実施の形態を図1乃至図3を用い、図6を参照して説明する。
図1は、本発明の光反射装置の構成を示す裁断平面図である。
図2は、本発明の光反射装置の構成を示す縦断側面図である。
図3は、本発明の光反射装置の構成を示す組立図である。
0028
先ず、本発明の光反射装置20の一実施の形態の構成について、図1乃至図3を用い、図6を参照して説明する。
図1乃至図3に示された光反射装置20は、従来同様、360°プリズム、あるいは、全周プリズムと呼ばれる光反射装置の一種で、全方位からの反射が可能である。
その構成は、従来の光反射装置110と同様、上述した図6のトータルステーション109から光反射装置20に向けて照射された光波111を平行に反射してトータルステーション109に戻すためのコーナーキューブプリズム1、このプリズム1を収容するための収納容器2、この収納容器2を固定保護するための第一の固定板6及び第二の固定板9である。
なお、同図において、従来同様、10は、光反射装置20を土工機械116の所定位置に取り付けるための取付管、5は、この取付管10に、光反射装置20を固定するためのボルト、11は同じくナットである。
0029
一方、本実施の形態の光反射装置20では、従来の光反射装置112とは異なり、収納容器2には、プリズム1をその背面1cで固定支持するための突起状の支持部が無く、プリズム1の背面1cと側面1b及び収納容器2内面間に形成される間隙3に、緩衝材が充填されていることに構成上の特徴を有する。
また、本実施の形態の光反射装置20では、図1乃至図3に示すように、第一の固定板6と収納容器2間に略六角形状(図1,2)又は円形状(図3)の第一の衝撃緩衝部材7と、第二の固定板9と収容容器2間に略六角形状(図1,2)又は円形状(図3)の第二の衝撃緩衝部材8、ボルト5と収容容器2間に略円筒形状の第三の衝撃緩衝部材4が取り付けられ、収納容器2外面には、撥水加工した透明な保護カバー13が取り付けられている。
この保護カバー13の外観形状は、円筒形状、六角柱形状、あるいは、収納容器2の各側面に取り付けるタイプのものがあるが、図1、図2では、六角柱形状のものが、図3では、円筒形状のものが示されている。
0030
次に、本発明の光反射装置20の一実施の形態の各構成の詳細について、図1乃至図3を用いて説明する。
本実施の形態の光反射装置20では、従来の光反射装置110と同様に、6個のコーナーキューブプリズム1が円環状に配置され、全方位からの反射が可能である。
また、プリズム1を収容する、略六角柱形状(図1,2)又は円筒形状(図3)の収納容器2は、従来同様その素材は鉄製で、外面には、トータルステーション109から照射される光波111を直接受光するための6個の開口部2bが、それぞれプリズム1の受光面1aに対応する位置に形成されている。
収納容器2を固定保護するための第一の固定板6、及び、第二の固定板9は、従来同様ボルト5を通すための貫通孔が中心に空けられた略六角形状(図1,2)又は円筒形状(図3)で、素材は、主に、鉄又は樹脂が用いられる。
0031
一方、本実施の形態の光反射装置20では、上記したように、プリズム1と収納容器2内面間に形成される間隙3に、緩衝材が充填されているが、この間隙3に充填される緩衝材としては、液体樹脂、または、液体シリコンゴムが用いられる。
また、第一、第二の固定板6、7と収納容器2間に取り付けられる第一、第二の衝撃緩衝部材7,8にはαゲルシートが、ボルト5と収容容器2間に取り付けられる第三の衝撃緩衝部材4の素材は、αゲル発泡体が用いられる。
このαゲルは、非常に優れた衝撃吸収や防振、放熱などの機能があり、また、—40〜+200°Cの幅広い温度で利用可能である。
0032
収納容器2外面に取り付けられる透明な保護カバー13の素材としては、強化アクリル、または、ポリカーボネイトが用いられている。
透明な保護カバー13の素材として、アクリルを用いた場合は、光波透過率はガラスの92%に対して93%と光波透過率はガラスよりも優れている。
また、ポリカーボネイトを用いた場合は、光波透過率は86%とガラスに迫るとともに、強度はガラスの約200倍であり、位置検出用の光波111も問題なく透過でき、保護カバー13の素材としては好適である。
保護カバー13の表面を撥水加工する方法としては、ポリエステルフィルムで表面を被覆するか、あるいは、市販されている撥水材をコーティングするようにするとよい。
0033
また、光反射装置20を取付管10に固定するためのボルト5は、従来のものでは、直径が9mmのものが用いられていたが、本実施の形態のものでは、やや太めの直径が12mmのものが用いられている。
0034
以上の構成とすることにより、本実施の光反射装置20では、プリズム1と収納容器2内面間に形成される間隙3に充填される、液体樹脂、または、液体シリコンゴムの緩衝材が固化した後は、プリズム1を収納容器2と一体的に保護できるようになり、プリズム1に偏荷重が掛からず、荷重が均一に分散される。
また、プリズム1と収納容器2が一体化されることにより、周辺からの衝撃荷重が軽減され、プリズム1の耐振動性、耐衝撃性が向上する。
更に、第一乃至第三の衝撃緩衝部材7、8、4を取り付けることにより、土工機械から受ける縦方向及び横方向の振動や衝撃を吸収できるので、光反射装置20自体の耐振動性、耐衝撃性が向上する。
0035
また、本実施の光反射装置20では、収納容器2外面に取り付けられ、透明な保護カバー13により、土工事の作業中で発生する石破片などから収納容器2やプリズムを保護することができる。
更に、保護カバーの13の表面を撥水加工していることにより、雨中での作業でも、光を屈折させる水滴が自動的に滴り落ち、オペレータが随時作業を中断して、光反射装置20の水滴を拭き取る作業が省かれ、作業効率の低下を抑えることができる。
本実施の形態では、光反射装置20を固定するボルト5の径を、従来は9mmであったものを12mmと太くしているが、このことにより、土工機械20のバケット等の所定位置鉛直上方に確実に固定できるようになる上に、より一層大きな衝撃に耐えられるようになる。
0036
次に、本実施の形態の光反射装置20を用いて、実際に土工事の情報化施工システムにより、土工事を行う実施例について、図4及び図5を用いて説明する。
図4は、本実施の形態の光反射装置20を用いた土工事の情報化施工システムを説明するための概略構成図である。
図5は、図4の一部拡大側面図である。
0037
先ず、図4を用いて、本実施の形態の光反射装置20を用いた土工事の情報化施工システムの概略構成を説明する。
当該システムの主要構成は、図4に示すように、トータルステーション109、光反射装置20、モニター112と、土工機械116である。
なお、土工機械116としては、上記したように、パワーショベル、バックホー、ブルドーザー等があるが、図4には、土工機械116として、油圧ショベルを用いた例が示されている。
図5において、115は、土工機械116のバケット刃先で、光反射装置20は、このバケット刃先115の鉛直上方に取り付けられており、114は、光反射装置20とバケット刃先115の鉛直間距離である。
0038
また、モニター112は、従来同様、土工機械116の運転席側に取り付けられ、バケット刃先115位置での計画地盤高さが記憶されている記憶機能と、現況地盤高さを算出する機能とを有するコンピュータを内蔵している。
なお、本発明の光反射装置20以外の各構成である、トータルステーション109、モニター112、土工機械116、バケット刃先115、鉛直間距離114については、図6に示す従来のものとほぼ同一構成であるので、同一の符号番号を付している。
0039
図5には、バケット刃先が光反射装置の鉛直下にあることをオペレータが把握できるようにする装置21が示されている(特許文献2)。
図示は省略するが、この装置21の側面で、オペレータが目視できる位置で、バケット117の角度変化に連動して変化する箇所に中央認識線を表示し、バケット117の角度変化に連動しない箇所に、この中央認識線と同色で同形の認識線が上下にそれぞれ表示されている。
土工事開始前に、中央認識線が、上下それぞれの認識線の丁度中央にある状態で、バケット刃先115が光反射装置20の鉛直下にあるように、この装置21を固定する。
中央認識線はバケット117の角度変化に伴い、上下認識線間を上下動するが、中央認識線が、上下認識線の丁度中央にあれば、バケット刃先115が光反射装置20の鉛直下にあることになり、オペレータは容易にバケット刃先115が光反射装置20の鉛直下にあることを把握できるようになっている。
0040
以上の構成で、本実施の形態の土工事の情報化施工システムの基本動作を、図4を用い、図1及び図2を参照して説明する。
先ず、バケット刃先が光反射装置の鉛直下にあることをオペレータが把握できるようにする装置21により、バケット刃先115が光反射装置20の鉛直下にあることをオペレータが確認する。
0041
次に、従来同様、トータルステーション109から、光反射装置20に向けて、光波111が照射され、光反射装置110内に組み込まれたプリズム1(図1,2参照)に入射するとともに、このプリズム1からこの光波111が平行に反射される。
この反射された光波111は、再度トータルステーション109に入射し、検出され、光反射装置20までの水平距離と垂直距離、及び、角度を同時に観測する。
この光反射装置20までの距離と角度を元に、モニター112に内蔵されたコンピュータにより、光反射装置20の三次元座標(X0,Y0,Z1)を算出する。
この光反射装置20の三次元座標(X0,Y0,Z1)は、無線113により、運転席側のモニター112に送信される。
モニター112内のコンピュータで、バケット刃先115と光反射装置20との垂直間距離114が記憶されており、バケット刃先115の三次元座標(X0,Y0,Z0)を算出し、オペレータにリアルタイムでモニター112画面に表示できるようになっている。
0042
以上のシステムにより、土工機械116のオペレータは、従来同様、モニター112内のコンピュータの記憶機能に予め記憶されていたバケット刃先115の設計図面上の計画地盤高さと、前記の方法で算出されたバケット刃先115の現況地盤高さとの差をモニター112に表示させ、当該表示に合わせてオペレータが法面の掘削仕上げを行う。
一方、本実施の形態では、光反射装置20のプリズム1と収納容器2が一体化されることにより、土工機械116からの衝撃が均一化し、周辺からの衝撃荷重が軽減され、プリズム1の耐振動性、耐衝撃性が向上しており、土工機械116からの振動や衝撃に耐えられる。
また、光反射装置20に第一乃至第三の衝撃緩衝部材7,8,4(図1,2参照)を取り付けることにより、土工機械116から受ける縦方向及び横方向の振動や衝撃を吸収できるので、光反射装置20自体の耐振動性、耐衝撃性が向上しており、土工機械116の振動や衝撃に耐えられる。
0043
また、収納容器2外面に取り付けられた透明な保護カバー13により、土工機械116のバケットによる岩盤法面の掘削作業中に大きな衝撃で発生する石破片などから、光反射装置20を保護することができる。
更には、保護カバー13の表面を撥水加工していることにより、雨中での作業でも、光を屈折させる水滴が自動的に滴り落ち、オペレータが随時作業を中断して、光反射装置20の水滴を拭き取る作業が省かれ、作業効率の低下を抑えることができる。
0044
本発明の土工事の情報化施工システムにおける光反射装置は、上記実施の形態のものには限定されず、種々の変更が可能である。
例えば、上記実施の形態では、プリズムと収納容器内面間に形成される間隙に充填される緩衝材としては、液体樹脂、または、液体シリコンゴムが用いられる例で説明したが、これらの緩衝材に限定されず、他の液状の緩衝材は勿論、固形の緩衝材を用いた場合でも、本発明に含まれる。
また、上記実施の形態では、固定板と収納容器間に取り付けられる、第一、第二の衝撃緩衝部材、ボルトと収容容器間に取り付けられる、第三の衝撃緩衝部材の材質には、αゲルを用いた例で説明したが、これを他の材質の衝撃緩衝材に置き換えたとしても、本発明に含まれるのは勿論のことである。
上記実施の形態では、6個のコーナーキューブプリズムを用い、収納容器の形状が略六角柱形状又は円筒形状のもので、第一、第二の衝撃緩衝部材は六角形状又は円形状のもので説明したが、本願はこれらの数や形状に限定されない。
また、収納容器外面に取り付けられる透明な保護カバーの素材としては、強化アクリル、または、ポリカーボネイトが用いられている例で説明したが、特に、この素材に限定されるものでもない。
0045
1:コーナーキューブプリズム
1b:コーナーキューブプリズム側面
1c:コーナーキューブプリズム背面
2:収納容器
3:間隙(緩衝材)
4:第三の衝撃緩衝部材
5:ボルト
6:第一の固定板
7:第一の衝撃緩衝部材
8:第二の衝撃緩衝部材
9:第二の固定板
13:保護カバー
20:光反射装置