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技術 鋼矢板壁

出願人 日本製鉄株式会社
発明者 籾山嵩妙中真治
出願日 2016年2月29日 (4年8ヶ月経過) 出願番号 2016-037369
公開日 2017年9月7日 (3年2ヶ月経過) 公開番号 2017-155425
状態 特許登録済
技術分野 基礎工事に適用される隔壁
主要キーワード 補強ケース 合計板厚 比率表示 連結ケース バネモデル 補強箇所 等分布荷重 略菱形状
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (16)

課題

複数の鋼矢板材軸方向に縦継される場合であっても、壁体全体の耐力簡易補強手段で維持、向上させることのできる鋼矢板壁を提供する。

解決手段

本発明を適用した鋼矢板壁1は、材軸方向Yに縦継された複数の鋼矢板2を壁幅方向Zに連設させたものであり、壁幅方向Zで互いに隣り合って連設される複数の縦継鋼矢板3を備える。縦継鋼矢板3は、複数の鋼矢板2の互いに対向する各々の材軸方向Yの端部が縦継箇所Rで縦継されて、互いに隣り合った複数の縦継鋼矢板3で、各々の縦継箇所Rが材軸方向Yの位置を異ならせて配置されるとともに、互いに隣り合った一方の縦継鋼矢板31の縦継箇所Rの側方で、互いに隣り合った他方の縦継鋼矢板32が補強部材4で補強される。

概要

背景

従来から、鋼矢板を用いることで工期短縮施工コスト削減を図るとともに、面内方向のせん断剛性耐力を向上させて耐震壁として利用することを目的として、例えば、特許文献1、2に開示された鋼矢板地下壁構造が提案されている。

特許文献1に開示された鋼矢板地下壁構造は、複数の鋼矢板で構成される壁本体に補剛部材を取り付けることで、壁本体の面内方向に作用するせん断力を補剛部材に負担させて、壁本体のせん断剛性及びせん断耐力を向上させて耐震壁として機能させることができる。特許文献1に開示された鋼矢板地下壁構造は、特に、せん断力によって圧縮領域となる位置を補剛部材で補剛することで、各々の鋼矢板の座屈を防止することができる。

特許文献2に開示された鋼矢板地下壁構造は、地中打ち込まれる複数枚の鋼矢板からなる壁本体を備え、壁本体と上床スラブ及び下床スラブとによって地下空間が形成されるとともに、上床スラブと下床スラブとの間において深度方向に延びる補剛材が接続される。特許文献2に開示された鋼矢板地下壁構造は、鋼矢板の上下端部の位置から所定の領域内に補剛材が接続されることで、各々の鋼矢板が補剛材で補剛される。

概要

複数の鋼矢板が材軸方向に縦継される場合であっても、壁体全体の耐力を簡易補強手段で維持、向上させることのできる鋼矢板壁を提供する。本発明を適用した鋼矢板壁1は、材軸方向Yに縦継された複数の鋼矢板2を壁幅方向Zに連設させたものであり、壁幅方向Zで互いに隣り合って連設される複数の縦継鋼矢板3を備える。縦継鋼矢板3は、複数の鋼矢板2の互いに対向する各々の材軸方向Yの端部が縦継箇所Rで縦継されて、互いに隣り合った複数の縦継鋼矢板3で、各々の縦継箇所Rが材軸方向Yの位置を異ならせて配置されるとともに、互いに隣り合った一方の縦継鋼矢板31の縦継箇所Rの側方で、互いに隣り合った他方の縦継鋼矢板32が補強部材4で補強される。

目的

このため、特許文献1、2に開示された鋼矢板地下壁構造は、複数の鋼矢板を材軸方向に縦継させた壁体全体において、具体的な補強手段を何ら提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

材軸方向に縦継された複数の鋼矢板壁幅方向に連設させた鋼矢板壁であって、壁幅方向で互いに隣り合って連設される複数の縦継鋼矢板を備え、前記縦継鋼矢板は、複数の鋼矢板の互いに対向する各々の材軸方向の端部が縦継箇所で縦継されて、互いに隣り合った複数の前記縦継鋼矢板で、各々の前記縦継箇所が材軸方向の位置を異ならせて配置されるとともに、互いに隣り合った一方の前記縦継鋼矢板の前記縦継箇所の側方で、互いに隣り合った他方の前記縦継鋼矢板が補強部材補強されることを特徴とする鋼矢板壁。

請求項2

前記縦継鋼矢板は、複数の前記鋼矢板の互いに対向する各々の材軸方向の端部が、前記縦継箇所で互いに分断されて縦継されることを特徴とする請求項1記載の鋼矢板壁。

請求項3

前記縦継鋼矢板は、複数の前記鋼矢板の互いに対向する各々の材軸方向の端部が、前記縦継箇所で互いに連結されて縦継されることを特徴とする請求項1記載の鋼矢板壁。

請求項4

互いに隣り合った他方の前記縦継鋼矢板は、互いに隣り合った一方の前記縦継鋼矢板の前記縦継箇所の側方で、前記鋼矢板に形成されたフランジ、一対のウェブ、及び、一対のアームの何れか一箇所以上が、前記補強部材で補強されることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項記載の鋼矢板壁。

請求項5

互いに隣り合った他方の前記縦継鋼矢板は、互いに隣り合った一方の前記縦継鋼矢板の前記縦継箇所の側方で、前記鋼矢板に形成されたフランジが、前記補強部材で補強されることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項記載の鋼矢板壁。

請求項6

互いに隣り合った他方の前記縦継鋼矢板は、材軸方向で前記鋼矢板の幅寸法の0.89倍以上の大きさとなる補強長で、互いに隣り合った一方の前記縦継鋼矢板の前記縦継箇所を材軸方向に跨ぐように、前記補強部材で補強されることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項記載の鋼矢板壁。

技術分野

0001

本発明は、材軸方向に縦継された複数の鋼矢板壁幅方向に連設させた鋼矢板壁に関する。

背景技術

0002

従来から、鋼矢板を用いることで工期短縮施工コスト削減を図るとともに、面内方向のせん断剛性耐力を向上させて耐震壁として利用することを目的として、例えば、特許文献1、2に開示された鋼矢板地下壁構造が提案されている。

0003

特許文献1に開示された鋼矢板地下壁構造は、複数の鋼矢板で構成される壁本体に補剛部材を取り付けることで、壁本体の面内方向に作用するせん断力を補剛部材に負担させて、壁本体のせん断剛性及びせん断耐力を向上させて耐震壁として機能させることができる。特許文献1に開示された鋼矢板地下壁構造は、特に、せん断力によって圧縮領域となる位置を補剛部材で補剛することで、各々の鋼矢板の座屈を防止することができる。

0004

特許文献2に開示された鋼矢板地下壁構造は、地中打ち込まれる複数枚の鋼矢板からなる壁本体を備え、壁本体と上床スラブ及び下床スラブとによって地下空間が形成されるとともに、上床スラブと下床スラブとの間において深度方向に延びる補剛材が接続される。特許文献2に開示された鋼矢板地下壁構造は、鋼矢板の上下端部の位置から所定の領域内に補剛材が接続されることで、各々の鋼矢板が補剛材で補剛される。

先行技術

0005

特開2012−17556号公報
特開2013−142275号公報

発明が解決しようとする課題

0006

しかし、特許文献1に開示された鋼矢板地下壁構造は、壁本体のせん断剛性及びせん断耐力を向上させるために、複数の鋼矢板で構成される壁本体に補剛部材を取り付けるものである。また、特許文献2に開示された鋼矢板地下壁構造は、鋼矢板の破壊モード曲げ降伏型からせん断降伏型とするために、各々の鋼矢板の上下端部の位置から所定の領域内に補剛材が接続されるものである。

0007

このとき、特許文献1、2に開示された鋼矢板地下壁構造は、各々の鋼矢板に補剛部材等を取り付けて補強することで、壁本体のせん断剛性等を向上させるものであるが、複数の鋼矢板を材軸方向に縦継させた態様が開示されていない。このため、特許文献1、2に開示された鋼矢板地下壁構造は、複数の鋼矢板を材軸方向に縦継させた壁体全体において、具体的な補強手段を何ら提供するものではない。

0008

そこで、本発明は、上述した問題点に鑑みて案出されたものであって、その目的とするところは、複数の鋼矢板が材軸方向に縦継される場合であっても、壁体全体の耐力を簡易な補強手段で維持、向上させることのできる鋼矢板壁を提供することにある。

課題を解決するための手段

0009

第1発明に係る鋼矢板壁は、材軸方向に縦継された複数の鋼矢板を壁幅方向に連設させた鋼矢板壁であって、壁幅方向で互いに隣り合って連設される複数の縦継鋼矢板を備え、前記縦継鋼矢板は、複数の鋼矢板の互いに対向する各々の材軸方向の端部が縦継箇所で縦継されて、互いに隣り合った複数の前記縦継鋼矢板で、各々の前記縦継箇所が材軸方向の位置を異ならせて配置されるとともに、互いに隣り合った一方の前記縦継鋼矢板の前記縦継箇所の側方で、互いに隣り合った他方の前記縦継鋼矢板が補強部材で補強されることを特徴とする。

0010

第2発明に係る鋼矢板壁は、第1発明において、前記縦継鋼矢板は、複数の前記鋼矢板の互いに対向する各々の材軸方向の端部が、前記縦継箇所で互いに分断されて縦継されることを特徴とする。

0011

第3発明に係る鋼矢板壁は、第1発明において、前記縦継鋼矢板は、複数の前記鋼矢板の互いに対向する各々の材軸方向の端部が、前記縦継箇所で互いに連結されて縦継されることを特徴とする。

0012

第4発明に係る鋼矢板壁は、第1発明〜第3発明の何れかにおいて、互いに隣り合った他方の前記縦継鋼矢板は、互いに隣り合った一方の前記縦継鋼矢板の前記縦継箇所の側方で、前記鋼矢板に形成されたフランジ、一対のウェブ、及び、一対のアームの何れか一箇所以上が、前記補強部材で補強されることを特徴とする。

0013

第5発明に係る鋼矢板壁は、第1発明〜第4発明の何れかにおいて、互いに隣り合った他方の前記縦継鋼矢板は、互いに隣り合った一方の前記縦継鋼矢板の前記縦継箇所の側方で、前記鋼矢板に形成されたフランジが、前記補強部材で補強されることを特徴とする。

0014

第6発明に係る鋼矢板壁は、第1発明〜第5発明の何れかにおいて、互いに隣り合った他方の前記縦継鋼矢板は、材軸方向で前記鋼矢板の幅寸法の0.89倍以上の大きさとなる補強長で、互いに隣り合った一方の前記縦継鋼矢板の前記縦継箇所を材軸方向に跨ぐように、前記補強部材で補強されることを特徴とする。

発明の効果

0015

第1発明〜第6発明によれば、複数の鋼矢板が材軸方向に縦継される場合であっても、縦継箇所の側方の縦継鋼矢板を補強部材で補強することで、壁体全体での十分な剛性降伏耐力を確保することが可能となる。

0016

第1発明〜第6発明によれば、鋼板等の単純な形状の補強部材が容易な作業で取り付けられるため、壁体全体の剛性、降伏耐力を簡易な補強手段で維持、向上させることが可能となる。

0017

第1発明〜第6発明によれば、互いに隣り合った一方の縦継鋼矢板の縦継箇所の側方となる位置で、互いに隣り合った他方の縦継鋼矢板に補強部材の取付作業をあらかじめ実施しておくことで、複数の鋼矢板を打設するときの工期遅延を回避することが可能となる。

0018

特に、第2発明によれば、複数の鋼矢板を縦継するときに縦継箇所の溶接作業等を省略して、縦継箇所が分断された場合であっても、壁体全体で十分な剛性、降伏耐力が確保されるため、複数の鋼矢板の縦継作業の工期を大幅に短縮することが可能となる。

0019

特に、第3発明によれば、複数の鋼矢板を縦継するときに縦継箇所が溶接接合等で連結されることで、補強部材の板厚寸法を小さくしても、壁体全体で十分な剛性、降伏耐力が確保されるため、補強部材の材料コストを抑制することが可能となる。

0020

特に、第4発明によれば、縦継鋼矢板のフランジ、ウェブ及びアームの何れか1箇所以上が補強部材で補強されることで、壁体全体で十分な剛性、降伏耐力を確保することが可能となる。

0021

特に、第5発明によれば、縦継鋼矢板のフランジが補強部材で補強されることで、補強部材による補強効果を最も効率的に向上させて、壁体全体で十分な剛性、降伏耐力を確保することが可能となる。

0022

特に、第6発明によれば、補強部材の補強長が鋼矢板の幅寸法の0.89倍以上となることで、確実な剛性、降伏耐力を確保することが可能となる。

図面の簡単な説明

0023

本発明を適用した鋼矢板壁を示す斜視図である。
本発明を適用した鋼矢板壁で縦継箇所が分断された縦継鋼矢板を示す正面図である。
本発明を適用した鋼矢板壁で縦継箇所が連結された縦継鋼矢板を示す正面図である。
本発明を適用した鋼矢板壁の補強部材で補強されたハット形鋼矢板を示す平面図である。
本発明を適用した鋼矢板壁の補強部材で補強されたU形鋼矢板を示す平面図である。
本発明を適用した鋼矢板壁の補強部材で補強されたZ形鋼矢板を示す平面図である。
(a)は、本発明を適用した鋼矢板壁の縦継鋼矢板を補強する補強部材を示す正面図であり、(b)は、その平面図である。
本発明を適用した鋼矢板壁の解析モデルを示す斜視図である。
本発明を適用した鋼矢板壁の縦継箇所が分断された分断ケース単体ケース補強ケースとを比較した荷重変位曲線を示すグラフである。
本発明を適用した鋼矢板壁の縦継箇所が分断された分断ケースで縦継鋼矢板の補強箇所を比較した荷重変位曲線を示すグラフである。
本発明を適用した鋼矢板壁の縦継箇所が分断された分断ケースで縦継鋼矢板の補強長を比較した荷重変位曲線を示すグラフである。
(a)は、本発明を適用した鋼矢板壁の縦継箇所が分断された分断ケースで縦継鋼矢板の補強長を比較した降伏耐力を示すグラフであり、(b)は、その降伏耐力の比率を示すグラフである。
本発明を適用した鋼矢板壁の縦継箇所が連結された連結ケースと分断ケースと単体ケースと補強ケースとを比較した荷重変位曲線を示すグラフである。
(a)は、本発明を適用した鋼矢板壁の縦継箇所が連結された連結ケースで縦継鋼矢板の補強箇所を比較した荷重変位曲線を示すグラフであり、(b)は、その縦継鋼矢板の補強長を比較した荷重変位曲線を示すグラフである。
本発明を適用した鋼矢板壁の縦継箇所が連結された連結ケースで補強部材の板厚寸法を比較した荷重変位曲線を示すグラフである。

実施例

0024

以下、本発明を適用した鋼矢板壁1を実施するための形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。

0025

本発明を適用した鋼矢板壁1は、図1に示すように、例えば、長尺の鋼矢板2を地盤内8等に連続して打設することのできない狭隘地等の現場において、地盤内8等の下方及び上方に埋め込まれる短尺の鋼矢板2が、材軸方向Yで互いに縦継されるものとなる。

0026

本発明を適用した鋼矢板壁1は、材軸方向Yに縦継される各々の短尺の鋼矢板2として、主に、ハット形鋼矢板21が用いられる。本発明を適用した鋼矢板壁1は、複数の短尺の鋼矢板2が材軸方向Yに縦継されることで、1個の長尺の縦継鋼矢板3が形成される。

0027

本発明を適用した鋼矢板壁1は、材軸方向Yで互いに縦継された複数の鋼矢板2を1個の縦継鋼矢板3として、複数の縦継鋼矢板3を壁幅方向Zに連設させることで、材軸方向Yに縦継された複数の鋼矢板2を壁幅方向Zに連設させた鋼矢板壁1が構築される。

0028

本発明を適用した鋼矢板壁1は、壁幅方向Zで互いに隣り合って連設される複数の縦継鋼矢板3を備える。本発明を適用した鋼矢板壁1は、特に、互いに隣り合って連設される複数の縦継鋼矢板3で、鋼板等の補強部材4が所定の箇所に設けられるものとなる。

0029

本発明を適用した鋼矢板壁1は、図2に示すように、複数の鋼矢板2の各々が材軸方向Yの端部20を有して、材軸方向Yで上側の鋼矢板2の端部20と下側の鋼矢板2の端部20とが、互いに対向させて縦継箇所Rに配置される。

0030

縦継鋼矢板3は、複数の鋼矢板2の互いに対向する各々の材軸方向Yの端部20が縦継箇所Rで縦継される。縦継鋼矢板3は、壁幅方向Zで互いに隣り合った複数の縦継鋼矢板3で、各々の縦継箇所Rが材軸方向Yの位置を異ならせて配置されることで、複数の縦継鋼矢板3の各々の縦継箇所Rが、鋼矢板壁1の壁幅方向Zで略千鳥状等に配置される。

0031

縦継鋼矢板3は、特に、複数の鋼矢板2の互いに対向する各々の材軸方向Yの端部20が、互いに当接又は離間した状態で、縦継箇所Rで互いに連結されることなく分断されて縦継される。また、縦継鋼矢板3は、図3に示すように、複数の鋼矢板2の互いに対向する各々の材軸方向Yの端部20が、縦継箇所Rで互いに連結されて縦継されてもよい。

0032

縦継鋼矢板3は、複数の鋼矢板2の各々の端部20が、縦継箇所Rで互いに連結されて縦継される場合に、完全溶込溶接等の溶接接合で互いの端部20が連結される。このとき、縦継鋼矢板3は、必要に応じて、略菱形状等の添接板25が縦継箇所Rに設けられてもよい。また、縦継鋼矢板3は、複数の鋼矢板2の各々の端部20が、縦継箇所Rで互いに連結されて縦継される場合に、縦継用機械式継手等が縦継箇所Rに設けられてもよい。

0033

縦継鋼矢板3は、図2に示すように、縦継箇所Rで分断される場合に、曲げモーメントMの一部又は全部が、壁幅方向Zで互いに隣り合った縦継鋼矢板3を経由しながら、縦継鋼矢板3の縦継箇所Rの上側から下側まで伝達される。縦継鋼矢板3は、図3に示すように、縦継箇所Rで連結される場合も、縦継箇所Rの接合状態によっては、曲げモーメントMの一部又は全部が、互いに隣り合った縦継鋼矢板3を経由して伝達されるものとなる。

0034

ここで、各々の鋼矢板2は、図4に示すように、ハット形鋼矢板21が用いられる場合に、フランジ2aと、一対のウェブ2bと、一対のアーム2cと、一対の継手部2dとが形成される。各々の鋼矢板2は、壁幅方向Zに延びてフランジ2aが形成されるとともに、壁幅方向Zでフランジ2aの両端の各々から、各々のウェブ2bが傾斜して形成される。各々の鋼矢板2は、各々のウェブ2bの片端から、各々のアーム2cが形成されるとともに、各々のアーム2cの先端に、各々の継手部2dが形成される。

0035

各々の鋼矢板2は、ハット形鋼矢板21が用いられるだけでなく、例えば、図5図6に示すように、U形鋼矢板22又はZ形鋼矢板23等が用いられてもよい。各々の鋼矢板2は、図5に示すように、U形鋼矢板22が用いられる場合に、フランジ2aと、一対のウェブ2bと、一対の継手部2dとが形成される。また、各々の鋼矢板2は、図6に示すように、Z形鋼矢板23が用いられる場合に、ウェブ2bと、一対のアーム2cと、一対の継手部2dとが形成されるものとなる。

0036

複数の縦継鋼矢板3は、図4図6に示すように、壁幅方向Zに隣り合った一方の縦継鋼矢板31と、壁幅方向Zに隣り合った他方の縦継鋼矢板32とが、各々の継手部2dを互いに嵌合させることで、壁幅方向Zに接続させた状態で連設される。また、複数の縦継鋼矢板3は、互いに隣り合った一方の縦継鋼矢板31の縦継箇所Rの側方で、互いに隣り合った他方の縦継鋼矢板32が補強部材4で補強される。

0037

互いに隣り合った他方の縦継鋼矢板32は、鋼矢板2に形成されたフランジ2a、一対のウェブ2b、及び、一対のアーム2cの何れか一箇所以上が、補強部材4で補強される。互いに隣り合った他方の縦継鋼矢板32は、特に、鋼矢板2のフランジ2aのみが補強部材4で補強されることが望ましいが、鋼矢板2のフランジ2a、ウェブ2b及びアーム2cが、又は、ウェブ2b若しくはアーム2cのみが、補強部材4で補強されてもよい。

0038

互いに隣り合った他方の縦継鋼矢板32は、図7に示すように、鋼板等の補強部材4が溶接接合等で取り付けられる。互いに隣り合った他方の縦継鋼矢板32は、これに限らず、山形鋼又は溝形鋼等の補強部材4が用いられてもよく、また、鋼矢板2及び補強部材4を板厚方向に貫通させたボルト接合で、補強部材4が取り付けられもよい。

0039

互いに隣り合った他方の縦継鋼矢板32は、互いに隣り合った一方の縦継鋼矢板31の縦継箇所Rの近傍で、壁幅方向Zの側方に補強部材4が取り付けられる。このとき、互いに隣り合った他方の縦継鋼矢板32は、例えば、互いに隣り合った一方の縦継鋼矢板31の縦継箇所Rを跨ぐように、材軸方向Yに連続して補強部材4が取り付けられる。

0040

互いに隣り合った他方の縦継鋼矢板32は、材軸方向Yに所定の補強長Lで補強部材4が取り付けられる。互いに隣り合った他方の縦継鋼矢板32は、特に、図7(a)に示すように、各々の鋼矢板2の幅寸法Wの0.89倍以上の大きさとなる材軸方向Yの補強長Lで、補強部材4が取り付けられることが望ましい。

0041

補強部材4は、例えば、互いに隣り合った一方の縦継鋼矢板31の縦継箇所Rを、材軸方向Yの略中央に配置して、材軸方向Yに偏心させることなく取り付けられる。補強部材4は、これに限らず、互いに隣り合った一方の縦継鋼矢板31の縦継箇所Rより上方又は下方で、材軸方向Yに偏心させて取り付けられてもよい。

0042

補強部材4は、図7(b)に示すように、例えば、鋼矢板2の板厚tの2倍程度の板厚寸法tpの鋼板等が用いられて、互いに隣り合った他方の縦継鋼矢板32のフランジ2a等に当接されて、フランジ2a等の片面に隅肉溶接等で取り付けられる。また、補強部材4は、鋼矢板2の板厚tと同程度の板厚寸法tpの鋼板等が用いられて、例えば、2枚の鋼板等がフランジ2a等の両面の各々に取り付けられてもよい。

0043

本発明を適用した鋼矢板壁1は、特に、複数の鋼矢板2が材軸方向Yに縦継される場合であっても、縦継箇所Rの側方の縦継鋼矢板3を補強部材4で補強することで、壁体全体の耐力を十分に確保できるものとなる。ここでは、図8に示すシェル要素での解析モデルを用いることで、補強部材4による補強効果をFEM解析で検証するものとした。

0044

図8では、鋼矢板2をハット形鋼矢板21として、幅寸法Wを900mm、高さ寸法Hを300mm、フランジ2a、ウェブ2b及びアーム2cの板厚tを全て13mmとするとともに、縦継箇所Rが形成される縦継鋼矢板3を中央に配置して、補強部材4で補強される縦継鋼矢板3を両側方に配置した。

0045

この解析モデルでは、両側方に配置される縦継鋼矢板3を材軸方向Yで軸対称のものとするとともに、中央に配置される縦継鋼矢板3の上端及び下端をピン支持として、中央の縦継鋼矢板3と両側方の縦継鋼矢板3との接続箇所バネモデルとした。また、この解析モデルでは、中央に配置される縦継鋼矢板3に負荷する荷重Pを変数として、縦継鋼矢板3の上端及び下端から材軸方向Yで1/3となる各々の位置に、壁幅方向Zの等分布荷重(一点破線部分)として荷重P/2が負荷されるものとした。

0046

図9図11には、中央に配置される縦継鋼矢板3において、荷重Pを縦軸、縦継箇所Rでの奥行方向Xの変位δを横軸として、この解析モデルでの荷重変位曲線を示す。図9では、縦継鋼矢板3に縦継箇所Rが形成されないケース(単体ケース)と、縦継鋼矢板3が縦継箇所Rで分断されて補強部材4で補強されないケース(分断ケース)と、縦継箇所Rで分断されて補強部材4で補強されるケース(補強ケース)とを比較する。なお、ここでは、縦継鋼矢板3が分断された状態として、縦継箇所Rにおいて上側の鋼矢板2と下側の鋼矢板2とで全ての節点非共有とした。

0047

図9では、補強部材4の板厚寸法tp=26mm、補強長L=960mmとして、縦継鋼矢板3のフランジ2a、ウェブ2b及びアーム2cの全部を補強部材4で補強することで、補強部材4で補強された箇所の合計板厚を39mmとしたものを補強ケースとした。このとき、補強ケースは、分断ケースと比較して所定の変位δとなるまでに必要な荷重Pが十分に大きくなり、単体ケースと同程度の剛性、降伏耐力を発揮することがわかる。

0048

図10は、縦継鋼矢板3のフランジ2a、ウェブ2b及びアーム2cの何れか1箇所を補強部材4で補強するときに、補強効果を最も効率的に向上させるためにどの箇所を補強すべきかを検証するものである。図10では、フランジ2a、ウェブ2b及びアーム2cの何れの箇所においても、補強部材4の板厚寸法tp=26mm、補強長L=960mmとして、補強部材4の幅寸法を統一させて、壁幅方向Zの中央側を同一面積の補強部材4で補強するものとした。このとき、フランジ2a、ウェブ2b又はアーム2cを補強した何れのケースにおいても、分断ケースと比較して高い剛性、降伏耐力を発揮して、特に、フランジ2aを補強したケースが、最も高い剛性、降伏耐力を発揮することがわかる。

0049

図11は、補強部材4の補強長Lを変数として、単体ケースと同程度の剛性、降伏耐力を発揮させることのできる補強長Lを検証するものである。図11では、縦継鋼矢板3のフランジ2a、ウェブ2b及びアーム2cの全部を補強部材4で補強して、補強部材4で補強された箇所の合計板厚を39mmとしたものを補強ケースとした。また、補強ケースでの補強部材4の補強長Lは、400mm(鋼矢板2の幅寸法Wの0.44倍)、800mm(幅寸法Wの0.89倍)、960mm(幅寸法Wの1.07倍)、及び、1200mm(幅寸法Wの1.33倍)とした。

0050

このとき、補強ケースは、補強長L=400mm〜1200mmの何れのケースでも、分断ケースと比較して高い剛性、降伏耐力を発揮することがわかる。また、図11では、荷重変位曲線の弾性範囲勾配線と最大荷重線との交点から垂線を降ろして、この垂線と荷重変位曲線とが交わった点の荷重を降伏耐力とみなす方法で、図12に示すように、各々のケースの降伏耐力を比較した。このとき、補強ケースは、特に、図12(a)に示すように、補強部材4の補強長Lが800mm以上(鋼矢板2の幅寸法Wの0.89倍以上)となることで、単体ケースと同程度以上の降伏耐力を発揮することがわかる。また、補強ケースは、単体ケースの降伏耐力を基準とした比率表示によると、図12(b)に示すように、補強部材4の補強長Lが960mm以上(幅寸法Wの1.07倍以上)となることで、降伏耐力が8%以上も向上することがわかる。

0051

次に、図8に示す解析モデルを用いることで、図2に示す縦継箇所Rが分断された分断ケースと、図3に示す縦継箇所Rが溶接接合等で連結されたケースとを比較する。図13図15では、単体ケース及び分断ケースと、縦継箇所Rが連結されて補強部材4で補強されないケース(連結ケース)と、縦継箇所Rで連結されて補強部材4で補強されるケース(補強ケース)とを比較する。なお、ここでは、縦継鋼矢板3が溶接接合等で連結された状態として、縦継箇所Rの板厚を1mmとした。

0052

図13では、補強部材4の板厚寸法tp=26mm、補強長L=960mmとして、縦継鋼矢板3のフランジ2a、ウェブ2b及びアーム2cの全部を補強部材4で補強することで、補強部材4で補強された箇所の合計板厚を39mmとしたものを補強ケースとした。このとき、補強ケースは、分断ケース及び連結ケースと比較して高い剛性、降伏耐力を発揮して、単体ケースと同程度の剛性、降伏耐力を発揮することがわかる。

0053

図14(a)では、図10に示す補強ケースと同様に、特に、フランジ2aを補強したケースが、最も高い剛性、降伏耐力を発揮することがわかる。さらに、図14(b)では、図11図12に示す補強ケースと同様に、特に、補強部材4の補強長Lが800mm以上(鋼矢板2の幅寸法Wの0.89倍以上)となることで、単体ケースと同程度以上の降伏耐力を発揮することがわかる。

0054

図15は、縦継箇所Rが溶接接合等で連結されたケースで、補強部材4の板厚寸法tpを変数として、単体ケースと同程度の剛性、降伏耐力を発揮させることのできる板厚寸法tpを検証するものである。図15では、板厚寸法tpを17mm(合計板厚30mm)、20mm(合計板厚33mm)、23mm(合計板厚36mm)、及び、26mm(合計板厚39mm)とする。このとき、補強部材4の板厚寸法tpは、26mm(合計板厚39mm)から20mm(合計板厚33mm)まで低減させても、単体ケースと同程度の剛性、降伏耐力を発揮することがわかる。このため、図3に示す縦継箇所Rが連結されたケースでは、補強部材4の板厚寸法tpを小さくした場合でも、図2に示す縦継箇所Rが分断されたケースと同様に、十分な剛性、降伏耐力を発揮することがわかる。

0055

上より、本発明を適用した鋼矢板壁1は、複数の鋼矢板2が材軸方向Yに縦継される場合であっても、縦継箇所Rの側方の縦継鋼矢板3を補強部材4で補強することで、壁体全体での十分な剛性、降伏耐力を確保することが可能となる。本発明を適用した鋼矢板壁1は、特に、鋼板等の単純な形状の補強部材4が容易な作業で取り付けられるため、壁体全体の剛性、降伏耐力を簡易な補強手段で維持、向上させることが可能となる。

0056

また、本発明を適用した鋼矢板壁1は、互いに隣り合った一方の縦継鋼矢板31の縦継箇所Rの側方となる位置で、互いに隣り合った他方の縦継鋼矢板32を、地盤内8に打設する前の段階であらかじめ補強部材4で補強しておくことができる。これにより、本発明を適用した鋼矢板壁1は、補強部材4の取付作業をあらかじめ実施しておくことで、複数の鋼矢板2を地盤内8に打設するときの工期遅延を回避することが可能となる。

0057

本発明を適用した鋼矢板壁1は、図2に示すように、縦継箇所Rが分断されたケースでも、縦継鋼矢板3を補強部材4で補強することができる。これにより、本発明を適用した鋼矢板壁1は、複数の鋼矢板2を縦継するときに縦継箇所Rの溶接作業等を省略した場合であっても、壁体全体で十分な剛性、降伏耐力が確保されるため、複数の鋼矢板2の縦継作業の工期を大幅に短縮することが可能となる。

0058

本発明を適用した鋼矢板壁1は、図3に示すように、縦継箇所Rが連結されたケースでも、縦継鋼矢板3を補強部材4で補強することができる。これにより、本発明を適用した鋼矢板壁1は、複数の鋼矢板2を縦継するときに縦継箇所Rで溶接又は機械式継手による接合をした場合に、補強部材4の板厚寸法tpを小さくしても、壁体全体で十分な剛性、降伏耐力が確保されるため、補強部材4の材料コストを抑制することが可能となる。

0059

また、本発明を適用した鋼矢板壁1は、図7に示すように、縦継鋼矢板3のフランジ2a、ウェブ2b及びアーム2cの何れか1箇所以上が補強部材4で補強されることで、壁体全体で十分な剛性、降伏耐力を確保することが可能となる。さらに、本発明を適用した鋼矢板壁1は、縦継鋼矢板3のフランジ2aが補強部材4で補強されることで、補強部材4による補強効果を最も効率的に向上させて、壁体全体で十分な剛性、降伏耐力を確保することが可能となる。そして、本発明を適用した鋼矢板壁1は、補強部材4の補強長Lが鋼矢板2の幅寸法Wの0.89倍以上となることで、確実な剛性、降伏耐力を確保することが可能となる。

0060

以上、本発明の実施形態の例について詳細に説明したが、上述した実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならない。

0061

1 :鋼矢板壁
2 :鋼矢板
2a :フランジ
2b :ウェブ
2c :アーム
2d :継手部
20 :端部
21 :ハット形鋼矢板
22 :U形鋼矢板
23 :Z形鋼矢板
25 :添接板
3 :縦継鋼矢板
4 :補強部材
8 :地盤内
R :縦継箇所
X :奥行方向
Y :材軸方向
Z :壁幅方向

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