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技術 炭素繊維シート、複合材料及び複合材料の製造方法

出願人 日立化成株式会社株式会社オーツカ
発明者 小泉知子三輪陽介藤江秀彰
出願日 2016年3月1日 (4年8ヶ月経過) 出願番号 2016-039037
公開日 2017年9月7日 (3年2ヶ月経過) 公開番号 2017-155358
状態 特許登録済
技術分野 強化プラスチック材料 不織物
主要キーワード UD材 炭素繊維材料 樹脂注入成形 スライバー状 レデューサー クロス材 炭素繊維基材 炭素シート
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (2)

課題

形状追従性に優れ、かつ強度に優れる複合材料を作製可能な炭素繊維シート、複合材料及び複合材料の製造方法の提供。

解決手段

一方向に配向した炭素繊維を含み、前記炭素繊維と、前記炭素繊維の表面に存在する有機物の総質量に占める有機物の割合が0質量%〜3質量%である、炭素繊維シート。

概要

背景

繊維強化プラスチック(Fiber Reinforced Plastic、FRP)は、軽量かつ高強度の複合材料として、浴槽小型船舶自動車鉄道車両等の材料として幅広く利用されている。近年では、炭素繊維を用いた複合材料である炭素繊維強化プラスチック(Carbon Fiber Reinforced Plastic、CFRP)が、航空機、自動車等の軽量かつ高強度であることが特に要求される分野において注目され、更なる軽量化、高強度化(特に、高弾性化)を目的とした開発が進められている。

CFRPのような複合材料の製造方法としては、例えば、あらかじめ炭素繊維基材熱硬化性樹脂含浸させたプリプレグとよばれる中間基材複数枚積層し、オートクレーブとよばれる耐圧容器内加圧及び加熱することで熱硬化性樹脂を硬化させる方法がある。この方法の場合、プリプレグとしては、連続した炭素繊維の束を織って作製したクロス材に、エポキシ樹脂を含浸したクロスプリプレグ又は連続した炭素繊維束を一方向に配列したUD(Uni−Direction)材にエポキシ樹脂を含浸したUDプリプレグを用いることが多い。このようなプリプレグを用いて製造された複合材料は、高強度(特に、高弾性)であるため、航空機の部品等に用いられている。しかし、この方法は、複合材料を立体的な形状に成形しにくい、生産性が低くコストが高い等の問題がある。

上記の方法よりも生産性が高く、コストを低減できる方法として、樹脂を含浸させていないクロス材又はUD材を所望の形状の金型に入れ、そこに樹脂を流し込むRTM(Resin Transfer Molding)法という方法がある。しかし、連続した炭素繊維を用いたクロス材又はUD材は形状追従性に劣り、立体的な形状の複合材料を作製しにくいという問題がある。

炭素材料の形状追従性を向上させることを目的として、ある程度の長さに切断された不連続な炭素繊維を用いた不織布をRTM法基材として用いる方法が開発されている。この方法によれば、連続した炭素繊維を用いたCFRPの製造方法よりも立体的な形状の複合材料を作製しやすい。一方、不連続な炭素繊維を用いた不織布は、クロス材又はUD材に比べて強度に劣る傾向にある。そこで、不連続な炭素繊維を用いて作製される炭素繊維材料の強度をより向上させる方法として、特許文献1及び特許文献2に示されるような、不連続な繊維を概略同じ方向にそろえた繊維材料が提案されている。

概要

形状追従性に優れ、かつ強度に優れる複合材料を作製可能な炭素繊維シート、複合材料及び複合材料の製造方法の提供。一方向に配向した炭素繊維を含み、前記炭素繊維と、前記炭素繊維の表面に存在する有機物の総質量に占める有機物の割合が0質量%〜3質量%である、炭素繊維シート。

目的

近年では、炭素繊維を用いた複合材料である炭素繊維強化プラスチック(Carbon Fiber Reinforced Plastic、CFRP)が、航空機、自動車等の軽量かつ高強度であることが特に要求される分野において注目され、更なる軽量化、高強度化(特に、高弾性化)を目的とした

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

一方向に配向した炭素繊維を含み、前記炭素繊維と、前記炭素繊維の表面に存在する有機物の総質量に占める有機物の割合が0質量%〜3質量%である、炭素繊維シート

請求項2

前記炭素繊維の平均長さが20mm〜150mmである、請求項1に記載の炭素繊維シート。

請求項3

さらに樹脂繊維を含む、請求項1又は請求項2に記載の炭素繊維シート。

請求項4

前記炭素繊維と前記樹脂繊維の合計質量中の前記炭素繊維の割合が20質量%以上99質量%未満である、請求項3に記載の炭素繊維シート。

請求項5

前記樹脂繊維が熱可塑性樹脂の繊維を含む、請求項3又は請求項4に記載の炭素繊維シート。

請求項6

一方向に配向した実質的に有機物を有しない炭素繊維を含む炭素繊維シートと、樹脂と、を含む複合材料

請求項7

前記樹脂は、炭素繊維シートに含まれる樹脂繊維に由来する樹脂を含む、請求項6に記載の複合材料。

請求項8

請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の炭素繊維シートに対し、加圧及び加熱からなる群より選択される少なくとも1つを実施する工程を含む、複合材料の製造方法。

請求項9

前記炭素繊維シートに樹脂を含浸する工程をさらに含む、請求項8に記載の複合材料の製造方法。

技術分野

0001

本発明は、炭素繊維シート複合材料及び複合材料の製造方法に関する。

背景技術

0002

繊維強化プラスチック(Fiber Reinforced Plastic、FRP)は、軽量かつ高強度の複合材料として、浴槽小型船舶自動車鉄道車両等の材料として幅広く利用されている。近年では、炭素繊維を用いた複合材料である炭素繊維強化プラスチック(Carbon Fiber Reinforced Plastic、CFRP)が、航空機、自動車等の軽量かつ高強度であることが特に要求される分野において注目され、更なる軽量化、高強度化(特に、高弾性化)を目的とした開発が進められている。

0003

CFRPのような複合材料の製造方法としては、例えば、あらかじめ炭素繊維基材熱硬化性樹脂含浸させたプリプレグとよばれる中間基材複数枚積層し、オートクレーブとよばれる耐圧容器内加圧及び加熱することで熱硬化性樹脂を硬化させる方法がある。この方法の場合、プリプレグとしては、連続した炭素繊維の束を織って作製したクロス材に、エポキシ樹脂を含浸したクロスプリプレグ又は連続した炭素繊維束を一方向に配列したUD(Uni−Direction)材にエポキシ樹脂を含浸したUDプリプレグを用いることが多い。このようなプリプレグを用いて製造された複合材料は、高強度(特に、高弾性)であるため、航空機の部品等に用いられている。しかし、この方法は、複合材料を立体的な形状に成形しにくい、生産性が低くコストが高い等の問題がある。

0004

上記の方法よりも生産性が高く、コストを低減できる方法として、樹脂を含浸させていないクロス材又はUD材を所望の形状の金型に入れ、そこに樹脂を流し込むRTM(Resin Transfer Molding)法という方法がある。しかし、連続した炭素繊維を用いたクロス材又はUD材は形状追従性に劣り、立体的な形状の複合材料を作製しにくいという問題がある。

0005

炭素材料の形状追従性を向上させることを目的として、ある程度の長さに切断された不連続な炭素繊維を用いた不織布をRTM法基材として用いる方法が開発されている。この方法によれば、連続した炭素繊維を用いたCFRPの製造方法よりも立体的な形状の複合材料を作製しやすい。一方、不連続な炭素繊維を用いた不織布は、クロス材又はUD材に比べて強度に劣る傾向にある。そこで、不連続な炭素繊維を用いて作製される炭素繊維材料の強度をより向上させる方法として、特許文献1及び特許文献2に示されるような、不連続な繊維を概略同じ方向にそろえた繊維材料が提案されている。

先行技術

0006

特開2012−127044号公報
国際公開第2012/165076号

発明が解決しようとする課題

0007

近年の複合材料の用途の拡大と多様化に伴い、複合材料に用いる炭素繊維材料にはいっそうの形状追従性の向上と、炭素繊維材料を用いて作製される複合材料の高強度化(特に高弾性化)とが求められている。
本発明は上記事情に鑑み、形状追従性に優れ、かつ強度に優れる複合材料を作製可能な炭素繊維シート、複合材料及び複合材料の製造方法を提供することを課題とする。

課題を解決するための手段

0008

上記課題を解決するための手段には、以下の実施態様が含まれる。
<1>一方向に配向した炭素繊維を含み、前記炭素繊維と、前記炭素繊維の表面に存在する有機物の総質量に占める有機物の割合が0質量%〜3質量%である、炭素繊維シート。
<2>前記炭素繊維の平均長さが20mm〜150mmである、<1>に記載の炭素繊維シート。
<3>さらに樹脂繊維を含む、<1>又は<2>に記載の炭素繊維シート。
<4>前記炭素繊維と前記樹脂繊維の合計質量中の前記炭素繊維の割合が20質量%以上99質量%未満である、<3>に記載の炭素繊維シート。
<5>前記樹脂繊維が熱可塑性樹脂の繊維を含む、<3>又は<4>に記載の炭素繊維シート。
<6>一方向に配向した実質的に有機物を有しない炭素繊維を含む炭素繊維シートと、樹脂と、を含む複合材料。
<7>前記樹脂は、炭素繊維シートに含まれる樹脂繊維に由来する樹脂を含む、<6>に記載の複合材料。
<8><1>〜<5>のいずれか1項に記載の炭素繊維シートに対し、加圧及び加熱からなる群より選択される少なくとも1つを実施する工程を含む、複合材料の製造方法。
<9>前記炭素繊維シートに樹脂を含浸する工程をさらに含む、<8>に記載の複合材料の製造方法。

発明の効果

0009

本発明によれば、形状追従性に優れ、かつ強度に優れる複合材料を作製可能な炭素繊維シート、複合材料及び複合材料の製造方法が提供される。

図面の簡単な説明

0010

炭素繊維シートに含まれる炭素繊維の配向状態概念的に示す図である。

0011

以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。但し、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。以下の実施形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合を除き、必須ではない。数値及びその範囲についても同様であり、本発明を制限するものではない。
本明細書において「工程」との語には、他の工程から独立した工程に加え、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の目的が達成されれば、当該工程も含まれる。
本明細書において「〜」を用いて示された数値範囲には、「〜」の前後に記載される数値がそれぞれ最小値及び最大値として含まれる。
明細書中に段階的に記載されている数値範囲において、一つの数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本明細書中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本明細書において組成物中の各成分の含有率は、組成物中に各成分に該当する物質複数種存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の物質の合計の含有率を意味する。
本明細書において組成物中の各成分の粒子径は、組成物中に各成分に該当する粒子が複数種存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の粒子の混合物についての値を意味する。
本明細書において「層」との語には、当該層が存在する領域を観察したときに、当該領域の全体に形成されている場合に加え、当該領域の一部にのみ形成されている場合も含まれる。
本明細書において「積層」との語は、層を積み重ねることを示し、二以上の層が結合されていてもよく、二以上の層が着脱可能であってもよい。
本明細書において「炭素繊維シート」とは、炭素繊維シート(炭素繊維シートが他の部材を有する場合は、炭素繊維シートに相当する部分)の全質量に占める炭素繊維の割合が10質量%以上であるシート状の物体を意味する。

0012

<炭素繊維>
本実施形態の炭素繊維シートは、一方向に配向した炭素繊維を含み、前記炭素繊維と、前記炭素繊維の表面に存在する有機物の総質量に占める有機物の割合が0質量%〜3質量%である。

0013

本実施形態の炭素繊維シートが形状追従性に優れている理由は明らかではないが、炭素繊維が一方向に配向していることにより、炭素繊維が縦横方向に配向している場合に比べて形状追従性に優れていることがひとつの要因として挙げられる。また、炭素繊維が実質的に有機物を有しておらず、集束体を形成せずに単繊維の状態で独立しているため、炭素繊維シートを作製する際に炭素繊維同士の絡み合いが抑制されて一方向に配向させやすいことが別の要因として挙げられる。

0014

本実施形態の炭素繊維シートが強度に優れる複合材料を作製可能である理由は明らかではないが、炭素繊維が一方向に配向していることにより、炭素繊維が特定の方向に配向していない場合に比べて強度(特に、炭素繊維の配向方向の曲げ弾性率)が得られやすいことがひとつの要因として挙げられる。また、炭素繊維の表面に存在する有機物の割合が0質量%〜3質量%であり、集束体を形成せずに単繊維の状態で独立しているため、複合材料を作製する際に炭素繊維間に樹脂が入り込みやすく、空隙が発生しにくいことが別の要因として挙げられる。

0015

本明細書において炭素繊維シートが「一方向に配向した炭素繊維を含む」とは、炭素繊維シート中の炭素繊維が配向している方向(縦方向)と、これと直交する方向(横方向)との、引張り強度の比(炭素繊維シートの縦方向の引張り強度/炭素繊維シートの横方向の引張り強度)が4以上であることを意味する。引張り強度は、例えば、炭素繊維シートから幅(横方向の長さ)10mm、厚さ2.5mm程度、長さ(縦方向の長さ)80mmの大きさの試験片を10枚作製し、1枚ずつ引張試験装置(例えば、株式会社島津製作所、商品名「AUTOGRAPH AG−X 1kN」)を用いて、20mmのチャック間距離、5mm/minの引張り速度で引っ張りながら測定し、10枚の試験片から得られた引張り強度の数平均値を求めることで測定できる。

0016

複合材料の強度向上の観点からは、上記測定で得られる「引張り強度の比」は、5以上であることが好ましく、7以上であることがより好ましく、8以上であることが更に好ましい。本明細書において炭素繊維が配向している方向(縦方向)は、図1の矢印で示す方向を意味する。なお、本明細書にて述べる「一方向に配向した状態」は、上述した引張り強度の比によって定義されるものであり、全ての炭素繊維が一方向に配向した状態であることを意味するものではない。

0017

本実施形態の炭素繊維シートに含まれる炭素繊維は、炭素繊維と、炭素繊維の表面に存在する有機物の総質量に占める有機物の割合が0質量%〜3質量%である(以下、「実質的に有機物を有しない」ともいう)。有機物の割合は、例えば、炭素繊維を100℃で20分間の条件で乾燥し、次いでマッフル炉(例えば、ヤマト科学株式会社の商品名「FP311」)にて、500℃で45分の条件で空気中で熱処理し、熱処理前後の質量の減少分から算出することができる。具体的には「(熱処理前の質量−熱処理後の質量)/熱処理前の質量×100%」の式によって計算される値を有機物の割合とする。有機物の割合は、2.5質量%以下であることが好ましく、2質量%以下であることがより好ましい。

0018

炭素繊維が実質的に有機物を有しないか否かを確認するための別の方法としては、炭素繊維が集束体を形成しているか否かを調べる方法が挙げられる。すなわち、炭素繊維は通常、複数の単繊維(フィラメント)が集まって集束体(ストランド)を形成した状態で製造され、集束体を形成した状態を維持するために樹脂等の有機物が付着している。従って、炭素繊維が集束体を形成していない場合は、炭素繊維に付着していた有機物が除去された等の理由により、実質的に有機物を有しない状態であると判断できる。炭素繊維シート中の炭素繊維が集束体を形成しているか否かは、例えば、光学顕微鏡等を用いて調べることができる。

0019

本明細書において炭素繊維が「集束体を形成していない」とは、炭素繊維が集束体を形成せず、独立した単繊維として存在していることを意味する。「集束体を形成していない炭素繊維」には、まったく集束体を形成していない炭素繊維と、部分的に集束体を形成していない炭素繊維の両方が含まれる。

0020

集束体を形成していない炭素繊維を用いて作製される炭素繊維シートは、加圧熱プレス樹脂含浸等の工程において任意の形状に成形する際の形状追従性に優れる。また、樹脂中への炭素繊維の分散性が向上するため、得られる複合材料の強度のバラつきが抑制される傾向にある。また、炭素繊維シートが後述する樹脂繊維をさらに含む場合、樹脂繊維と混合した際のバラつきが抑制され、得られる複合材料中での樹脂繊維の分布のバラつきが抑制され、得られる複合材料の強度のバラつきが抑制される傾向にある。

0021

炭素繊維シートの形状追従性の観点からは、炭素繊維が不連続であることが好ましい。本明細書において炭素繊維が「不連続である」とは、炭素繊維がある程度の長さ(一定であっても一定でなくてもよい)に切断(破断を含む)された状態であることを意味する。炭素繊維の長さは特に制限されないが、例えば、150mm以下であることが好ましい。炭素繊維の平均長さは、炭素繊維又は炭素繊維シートから任意の100本を選択し、測定した長さの数平均値として得られる。

0022

複合材料の強度向上の観点からは、炭素繊維の平均長さは20mm以上であることが好ましい。また、炭素繊維シートの形状追従性の観点からは、炭素繊維の平均長さは150mm以下であることが好ましい。炭素繊維の平均長さは、30mm〜100mmであることがより好ましく、35mm〜80mmであることが更に好ましい。

0023

複合材料の場所による強度のムラを抑制するする観点からは、炭素繊維の個々の長さが概ねそろっていることが好ましい。具体的には、例えば、炭素繊維又は炭素繊維シートから選択した任意の100本の炭素繊維の長さの測定値のうち最大値と最小値が、平均長さ±20%の範囲内であることが好ましく、平均長さ±10%の範囲内であることがより好ましい。

0024

炭素繊維の材質は特に制限されず、ポリアクリロニトリル(PAN)を原料とする炭素繊維、異方性ピッチ等方性ピッチ等のピッチを原料とする炭素繊維などが挙げられる。中でも、PANを原料とする炭素繊維は、繊維径のバラつきが少なく、炭素繊維を切断したときの長さをそろえやすく、カード等で梳られても比較的しなやかで折れにくいことから、炭素繊維が配向した状態のシートを作製しやすい傾向にある。炭素繊維は1種のみであっても、2種以上であってもよい。

0025

炭素繊維の太さは特に制限されず、得られる複合材料の用途等に応じて選択できる。例えば、単繊維の状態での太さが3μm〜10μmの範囲内であってもよく、4μm〜8μmの範囲内であることが好ましい。

0026

実質的に有機物を有しない炭素繊維の具体例としては、有機物で表面処理された炭素繊維であって、炭素繊維と、当該炭素繊維に付着している有機物の総質量の3質量%以下である炭素繊維が挙げられる。あるいは、廃材となった複合材料の再生処理工程において樹脂から分離した炭素繊維であって、樹脂の付着量が炭素繊維と、当該炭素繊維に付着している樹脂の総質量の3質量%以下である炭素繊維が挙げられる。

0027

通常、工業的に製造される炭素繊維には、複合材料としたときに炭素繊維と接触するマトリックス樹脂に対する接着性の向上を目的とする接着性向上剤、単繊維が集束した状態の維持及び取り扱い性の向上を目的とするサイジング剤等の有機物を含む表面処理剤が付着している。表面処理剤が付着している炭素繊維としては、例えば、東レ(株)製、商品名「T700」等が挙げられる。

0028

炭素繊維の表面処理に用いられる接着性向上剤としては、例えば、各種油剤が挙げられる。サイジング剤としては、例えば、脂肪族エポキシ化合物芳香族エポキシ化合物ポリアルキレングリコールエポキシ付加物ビスフェノールAのジグリシジルエーテル、ビスフェノールAのポリアルキレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのポリアルキレンオキサイド付加物にエポキシ基を付加した化合物等)等が挙げられる。

0029

例えば、炭素繊維の表面にエポキシ化合物を含むサイジング剤が付着している場合、この炭素繊維はエポキシ樹脂との密着性には優れるが、その他の樹脂(例えば、ポリプロピレンポリエチレンテレフタレートナイロン6ナイロン66ポリカーボネートポリスチレン等)との密着性には劣ると考えられる。そのため、サイジング剤が実質的に付着していない炭素繊維の方が、サイジング剤が付着している炭素繊維に比べ、複合材料を成形した際に、溶融した樹脂に対する良好な密着性が得られると考えられる。

0030

さらに、有機物で表面処理された状態の炭素繊維は、多数の単繊維が集合して会合状態、束状態、強固に結合した状態等で存在する。このため、炭素繊維シートを作製する際にカード機梳綿(「そめん」又は「りゅうめん」)機)、ギル機(繊維をで梳り、繊維方向が揃った綿状の塊にする機械)、練条機ローラードラフトをかけ、方向性を向上させる機械)等での取扱いが難しく、単繊維の状態になっていないため一方向に配向させにくい傾向にある。

0031

さらに、炭素繊維シートが炭素繊維に加えて樹脂繊維を含む場合、炭素繊維が集束体を形成した状態であると、樹脂繊維と炭素繊維の混合状態にバラつきが生じやすく、樹脂繊維と炭素繊維の一本一本とが接触する面積が減少する傾向にある。この場合、複合材料の作製の際に樹脂、空隙等が形成されやすく、複合材料の機械特性等の物性が低下する傾向にある。

0032

実質的に有機物を有しない炭素繊維は、例えば、有機物が付着している炭素繊維から当該有機物を除去することによって得ることができる。炭素繊維から有機物を除去する方法としては、有機物が付着している炭素繊維又は当該炭素繊維を含む複合材料を、有機溶媒アルカリ金属化合物金属水酸化物等の分解触媒で処理して有機物を除去する方法(例えば、特開2001−172426号公報参照)、有機物が付着している炭素繊維又は当該炭素繊維を含む複合材料を、有機物が分解する温度で熱処理して有機物を除去する方法(例えば、特開2013−237716号公報を参照)等が挙げられる。

0033

炭素繊維の損傷を少なくできる、有機物の残存量を少なくできる、単繊維が独立した状態を得やすい等の観点からは、有機溶媒と分解触媒を用いて有機物を除去する方法が好ましい。実質的に有機物を有しない炭素繊維の作製コストの観点からは、廃材となった複合材料からマトリックス樹脂等の有機物を上記の方法で除去して、炭素繊維を得る方法が好ましい。

0034

炭素繊維シートは、樹脂繊維をさらに含んでもよい。樹脂繊維をさらに含むことで、炭素繊維シートの取り扱い性と形状追従性がより向上する傾向にある。これは、樹脂繊維が炭素繊維とよく絡み、炭素繊維シートの形状が保持されやすくなるためと考えられる。炭素繊維シートが樹脂繊維を含む場合、炭素繊維シート中の樹脂繊維は、炭素繊維が有する「有機物」には該当しないものとする。

0035

炭素繊維シートが樹脂繊維を含む場合、樹脂繊維によって複合材料のマトリックス樹脂を形成してもよい。例えば、樹脂繊維として熱可塑性樹脂を用い、成形工程における加熱及び加圧により樹脂繊維を溶融させることにより、複合材料を作製してもよい。この場合は、成形工程で樹脂含浸を行う必要がないため、簡便な手法で複合材料を作製することができる。

0036

樹脂繊維の材質は特に制限されず、炭素シート又は複合材料の作製条件等に応じて選択できる。例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂等の合成繊維及びレーヨン等の再生繊維が挙げられる。炭素繊維シートの取り扱い性と形状追従性の観点からは、樹脂繊維の材質は熱可塑性樹脂であることが好ましい。熱可塑性樹脂としては、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド、ポリカーボネート、ポリスチレンなどが挙げられる。樹脂繊維は1種のみであっても、2種以上であってもよい。

0037

炭素繊維シートが樹脂繊維を含む場合、炭素繊維と樹脂繊維の合計質量中の炭素繊維の割合(炭素繊維の質量/(炭素繊維の質量+樹脂繊維の質量)×100)は、20質量%以上99質量%未満であることが好ましい。

0038

炭素繊維の割合が20質量%以上であると、複合材料としたときの充分な強度が得られる傾向にあり、炭素繊維の割合が99質量%未満であると、炭素繊維シートの取り扱い性と形状追従性の向上効果が充分に得られる傾向にある。炭素繊維の割合は、30質量%以上90質量%未満であることがより好ましく、33質量%以上80質量%未満であることがさらに好ましい。

0039

炭素繊維シートが樹脂繊維を含む場合、樹脂繊維の長さは特に制限されない。炭素繊維シートの作製のしやすさの観点からは、樹脂繊維の平均長さは20mm〜150mmの範囲内であることが好ましく、30mm〜100mmの範囲内であることがより好ましい。樹脂繊維の平均長さは、樹脂繊維又は樹脂繊維を含む炭素繊維シートから任意の100本を選択し、測定した長さの数平均値として得られる。

0040

炭素繊維シートが樹脂繊維を含む場合、樹脂繊維の長さは特に制限されない。炭素繊維シートの作製のしやすさの観点からは、樹脂繊維の太さは0.1dtex〜10dtexの範囲内であってもよく、1dtex〜7dtexの範囲内であることが好ましい。

0041

炭素繊維シートの目付けは、特に制限されない。炭素繊維シートの取り扱い性及び形状追従性の観点からは、例えば、2g/m2〜5000g/m2の範囲内であることが好ましい。

0042

(炭素繊維シートの製造方法)
本実施形態の炭素繊維シートの製造方法の一例を以下に説明する。ただし、本実施形態の炭素繊維シートの製造方法はこれに制限されない。

0043

まず、実質的に有機物を有しない炭素繊維(以下、単に炭素繊維ともいう)をカード機等で開繊し、スライバーとよばれるやや配向した紐状繊維集合体状物を得る。樹脂繊維を加える場合は、炭素繊維とともに樹脂繊維をカード機に投入し、混綿及び開繊を行い、炭素繊維と樹脂繊維とが混合したスライバーを得る。なお、樹脂繊維を加える場合は、炭素繊維と樹脂繊維とができるだけ均一に混合されたスライバーとなっていることが好ましい。

0044

次に、ギルレデューサー等で、上記の方法で得られたスライバーを複数並べてギルに投入し、櫛状の多数の移動ギルフォーラー(バーに針を植え、これを運動させて繊維に梳り作用を与えるもの)で上下から並んだ櫛状のフォーラーでスライバーをつかみながら移動させ、フロントニップローラーでギルフォーラーでの移動スピードの数倍スピードでドラフトして引き伸ばし、より配向した篠状のスライバー(以下、配向スライバーともいう)を作製する。必要に応じ、この工程を複数回行ってもよい。この工程を複数回行うことで、より配向性の高い配向スライバーを得ることができる。ギルレデューサーに複数の配向スライバーを投入し、ギルのフロントローラーからスライバー状収束しないで、ドラフトされたままシート状に取出し、炭素繊維が一方向に配向した炭素繊維シートを得る。この炭素繊維シートをそのまま又は複数並べて広幅にした状態で、複合材料の材料として使うことができる。

0045

必要に応じ、上記の工程で得られた配向スライバーの太さが所望の範囲になるよう調節し、複数並べて、シート状にすることで炭素繊維シートを得ることも好ましい実施態様である。
炭素繊維シートに樹脂バインダーを付与し、乾燥させることで、炭素繊維を樹脂バインダーで結合させた炭素繊維シートとしてもよい。炭素繊維シートの作製後に付与される樹脂バインダーは、炭素繊維が有する「有機物」には該当しないものとする。
あるいは、炭素繊維シートに含まれる樹脂繊維の融点付近の温度に加熱して樹脂繊維を溶融させることで、炭素繊維を樹脂で結合させた炭素繊維シートとしてもよい。
さらに、必要に応じ、複数の炭素繊維シート又は配向スライバーを面方向に並べたり、積層したりして、ステッチングニードルパンチ等の手段で絡合させてもよい。

0046

上述した炭素繊維シートの製造方法は、ローラーで行う練条機でも同様に行うことができる。この場合、複数本のスライバーを並べて、練条機に導入し、フィードニップローラーのスピードより早いスピードのデリバリーニップローラーでドラフトする方法により、ドラフトされたところで収束し、配向性を高めて配向スライバーとする。場合により、上記の工程を複数回行って、配向度をさらに高めてもよい。このようにして配向スライバーを作製した後、収束しないでシート状で繊維を取出し、ギルを用いた方法と同様にしてシート化する。配向スライバーをさらにドラフトすることで、より一方向性に揃った配向炭素繊維シートを得ることができる。

0047

必要に応じ、炭素繊維シート中に必要に応じて含まれる樹脂繊維、複合材料を成形する際に注入する樹脂等の樹脂成分と、炭素繊維との接着性を向上させる観点から、サイジング剤を炭素繊維シートに付与してもよい。炭素繊維シートの作製後に付与されるサイジング剤は、炭素繊維が有する「有機物」には該当しないものとする。

0048

<複合材料>
本実施形態の複合材料は、上記の実施形態の炭素繊維シートと、樹脂と、を含む。
本明細書では、複合材料に含まれる樹脂が完全に又は不完全に硬化又は固化していない状態のもの(プリプレグ)と、プリプレグに含まれる樹脂を硬化又は固化させた状態のものの両方を「複合材料」と称する。

0049

複合材料に含まれる樹脂は、熱硬化性樹脂であっても、熱可塑性樹脂であってもよい。熱硬化性樹脂として具体的には、エポキシ樹脂等が挙げられる。熱可塑性樹脂として具体的には、樹脂繊維の材質として例示したもの等が挙げられる。

0050

複合材料に含まれる炭素繊維シートが樹脂繊維を含むものである場合は、複合材料に含まれる樹脂は、当該樹脂繊維に由来する樹脂を含んでいてもよい。すなわち、炭素繊維シートに含まれていた樹脂繊維が溶融し、再び硬化又は固化した状態の樹脂を含んでいてもよい。

0051

<複合材料の製造方法>
本実施形態の複合材料の製造方法は、上述した実施形態の炭素繊維シートに対し、加圧及び加熱からなる群より選択される少なくとも1つを実施する工程(以下、成形工程ともいう)を含む。複合材料に含まれる炭素繊維シートが樹脂繊維を含むものである場合は、当該樹脂繊維が溶融する条件で加圧加熱工程を実施してもよい。上記方法は、加圧加熱工程の前に、炭素繊維シートに樹脂を含浸する工程(以下、樹脂含浸工程ともいう)をさらに含んでもよい。

0052

成形工程を実施する方法は、特に制限されない。例えば、炭素繊維シートを単独で、又は複数枚を積層した状態で、上下の熱盤油圧プレスする加圧プレス成型機等で、加圧しながら任意の温度で熱プレスすることにより行ってもよい。
樹脂含浸工程を実施する方法は、特に制限されない。例えば、硬化前の熱硬化性樹脂又は溶融した熱可塑性樹脂を炭素繊維シートの炭素繊維間に入り込ませる公知の手段により行うことができる。樹脂含浸工程は、成形工程の前に実施しても、成形工程と並行して実施してもよい。

0053

複合材料の作製方法は上記の方法に限定されず、RTM(Resin Transfer Molding、樹脂注入成形法)、VaRTM(Vacuum Assisted Resin Transfer Molding、真空樹脂注入成形法)等の方法でも得ることができる。

0054

以下、実施例を参照して本実施形態の炭素繊維シート及び複合材料について具体的に説明する。ただし、下記の実施例は本実施形態を制限するものではない。

0055

<実質的に有機物を有しない炭素繊維の作製>
高分子中のエステル結合を分解しうる分解触媒として水酸化ナトリウムを、含有率が0.5mol/Lとなるようにベンジルアルコール中に投入し、撹拌することで処理液を調製した。この処理液を、コンデンサ温度計窒素導入口及び撹拌機を取り付けたフラスコに入れ、窒素気流中で穏やかに撹拌しながら、オイルバスを使用して処理液を190℃に加熱した。この処理液中に、35mmの長さに切断したサイジング剤で表面処理された炭素繊維(東レ株式会社、商品名「T700S」)を、処理液50gに対し0.5gの割合で投入し、処理液の温度を190℃に維持しながら5時間放置した後に取り出した。取り出した炭素繊維を水で洗浄し、乾燥した。

0056

上記工程を経た炭素繊維を100℃で20分間乾燥した後、マッフル炉(ヤマト科学株式会社、商品名「FP311」)にて500℃で45分の条件で、空気中で熱処理した。熱処理の前後における炭素繊維の質量から有機物の含有量((熱処理前の質量−熱処理後の質量)/処理前の質量×100%)を算出したところ、有機物の含有量は1.3質量%であり、実質的に有機物を有していないことが確認された。

0057

<実施例1>
上記の方法で得られた実質的に有機物を有しない炭素繊維5.7kgと、樹脂繊維としてポリプロピレン(PP)の繊維(JNC株式会社、商品名「RP−270」、繊維の太さ:6.6Dt、繊維の平均長さ:51mm)4.3kgとを混合し、カード機で開繊し、スライバーを作製した。次に、得られたスライバーをギルレデューサーに8本投入し、約8倍の長さとなるように一方向へ引き伸ばす工程を6回行い、配向スライバーを作製した。得られた配向スライバーを、ギルレデューサー(OKK株式会社)に通し、所定の目付になるようなドラフトでスライバー化することなく、より繊維の方向性の揃ったシートとして取り出すことで、炭素繊維シート基材を得た。

0058

得られた炭素繊維シート基材を観察したところ、集束体を形成せずに単繊維の状態となっている炭素繊維が存在していた。また、炭素繊維シート基材中の炭素繊維の状態は均一性が高いものであった。この炭素繊維シート基材を、コンベア熱風乾燥器で、170℃で2分間加熱した後、冷却ローラーで軽くプレスすることで、炭素繊維シート1を得た。炭素繊維シート1の目付けは、200g/m2であった。

0059

炭素繊維シート1を観察したところ、炭素繊維が概ね一方向に配向していた。また、炭素繊維シート1の炭素繊維の配向方向(縦方向)と直交する方向(横方向)の引張り強度の比(炭素繊維シートの縦方向の引張り強度/炭素繊維シートの横方向の引張り強度)は10.1であった。これらの結果より、炭素繊維シート1における炭素繊維は一方向に配向していると判断した。

0060

炭素繊維シート1の縦方向及び横方向の引張り強度は、炭素繊維シート1から幅(横方向の長さ)10mm、厚さ2.5mm程度、長さ(縦方向の長さ)80mmの大きさの試験片を10枚作製し、1枚ずつ引張試験装置(株式会社島津製作所、商品名「AUTOGRAPH AG−X 1kN」)を用いて、20mmのチャック間距離、5mm/minの引張り速度で引っ張りながら測定し、10枚の試験片から得られた引張り強度の数平均値を求めることで測定できる。

0061

次に、炭素繊維シート1を目付けが2500g/m2になるように複数枚積層し、小型熱プレス機(AS ONE製)に配置した。次いで、仕上がりの厚みが2.7mmになるようにスペーサプレス板間に挟み、43kg/cm2の圧力で加圧しながら、200℃で熱プレスすることにより、炭素繊維間にポリプロピレン樹脂が含浸した状態の複合材料としてCFRP−1を作製した。

0062

作製したCFRP−1から、長さ(炭素繊維の配向方向)が8cm、幅(炭素繊維の配向方向に直交する方向)が2.5cmの試験片を10枚作製した。試験片の作製は、回転カッター(マキタ株式会社)に回転刃(株式会社谷テック)を装着したものを用いて行った。作製した試験片について、試験機(株式会社島津製作所、商品名「AUTOGRAPH AG−X 1kN」)を用いて、JIS K 7171法に準じ、3点曲げにより、曲げ強度と曲げ弾性率を計測した。10枚の試験片について得られた値の平均値を表1に示す。

0063

(実施例2)
有機物を有していない炭素繊維の量を4kgに変更し、樹脂繊維の量を6kgに変更下以外は実施例1と同様の方法で、炭素繊維シート基材を作製した。炭素繊維シート基材を観察したところ、集束体を形成せずに単繊維の状態となっている炭素繊維が存在していた。また、炭素繊維シート基材は均一性が高いものであった。次いで、炭素繊維シート基材を用いて実施例1と同様にして炭素繊維シート2と、複合材料としてCFRP−2を作製し、実施例1と同様の測定を実施した。結果を表1に示す。

0064

(実施例3)
実施例1におけるPP繊維に代えて同量のポリエチレンテレフタレート(PET)の繊維(帝人株式会社、商品名「TA04 SD」、繊維の太さ:3.3Dt、繊維の平均長さ:51mm)を樹脂繊維として用いたことと、熱プレスの温度を290℃としたこと以外は実施例1と同様の方法で、炭素繊維シート基材を作製した。炭素繊維シート基材を観察したところ、炭素繊維が概ね一方向に配向し、集束体を形成せずに単繊維の状態となっている炭素繊維が存在していた。また、炭素繊維シート基材中の炭素繊維の状態は均一性が高いものであった。次いで、炭素繊維シート基材を用いて実施例1と同様にして炭素繊維シート3と、複合材料としてCFRP−3を作製し、実施例1と同様の測定を実施した。結果を表1に示す。

0065

(実施例4)
スライバーの引き伸ばし工程を実施する回数を4回に変更した以外は実施例1と同様の方法で、炭素繊維シート基材を作製した。炭素繊維シート基材を観察したところ、炭素繊維が概ね一方向に配向し、集束体を形成せずに単繊維の状態となっている炭素繊維が存在していた。また、炭素繊維シート基材中の炭素繊維の状態は均一性が高いものであった。次いで、炭素繊維シート基材を用いて実施例1と同様にして炭素繊維シート4と、複合材料としてCFRP−4を作製し、実施例1と同様の測定を実施した。結果を表1に示す。

0066

(実施例5)
スライバーの引き伸ばし工程を実施する回数を2回に変更した以外は実施例1と同様の方法で、炭素繊維シート基材を作製した。炭素繊維シート基材を観察したところ、炭素繊維が概ね一方向に配向し、集束体を形成せずに単繊維の状態となっている炭素繊維が存在していた。また、炭素繊維シート基材中の炭素繊維の状態は均一性が高いものであった。次いで、炭素繊維シート基材を用いて実施例1と同様にして炭素繊維シート5と、複合材料としてCFRP−5を作製し、実施例1と同様の測定を実施した。結果を表1に示す。

0067

(実施例6)
炭素繊維として、処理液に放置する時間を15分間に変更した以外は実施例1と同様の工程を経たものを実施例1と同じ量で使用した以外は実施例1と同様の方法で、炭素繊維シート基材を作製した。炭素繊維シート基材を観察したところ、炭素繊維が概ね一方向に配向し、集束体を形成せずに単繊維の状態となっている炭素繊維が存在していた。また、炭素繊維シート基材中の炭素繊維の状態は均一性が高いものであった。次いで、炭素繊維シート基材を用いて実施例1と同様にして炭素繊維シート6と、複合材料としてCFRP−6を作製し、実施例1と同様の測定を実施した。結果を表1に示す。なお、炭素繊維シート基材の作製に用いた炭素繊維の有機物の含有量を、実施例1と同様にして算出したところ、有機物の含有量は2.1質量%であり、実質的に有機物を有していないことが確認された。

0068

(比較例1)
実施例1で用いたものと同じ有機物を実質的に有していない炭素繊維5.7kgと、実施例1で用いたものと同じ樹脂繊維4.3kgと、を混合し、カード機で開繊し、ウェブとよばれる薄い綿状のシートを作製した。作製したウェブを炭素繊維シート基材として用いた以外は実施例1と同様にして、炭素繊維シートAと、複合材料としてCFRP−Aを作製し、実施例1と同様の測定を実施した。結果を表1に示す。なお、ウェブを観察したところ、炭素繊維が特定の方向に配向せず、ランダムに配置されておいた。

0069

(比較例2)
炭素繊維として、実施例1で用いたものと同じ炭素繊維であってサイジング剤で表面処理されたままのものを実施例1と同じ量で使用した以外は実施例1と同様の方法で、炭素繊維シート基材を作製した。炭素繊維シート基材を観察したところ、炭素繊維は概ね一方向に配向していたが、実施例1よりも配向の度合いは低かった。また、集束体を形成した状態の単繊維が多く存在していた。次いで、炭素繊維シート基材を用いて実施例1と同様にして炭素繊維シートBと、複合材料としてCFRP−Bを作製し、実施例1と同様の測定を実施した。結果を表1に示す。また、炭素繊維シート基材の作製に用いた炭素繊維の有機物の含有量を、実施例1と同様にして算出したところ、有機物の含有量は3.6質量%であり、有機物を有していることが確認された。

0070

0071

表1に示すように、一方向に配向した実質的に有機物を有しない炭素繊維を含む実施例の炭素繊維シートは、炭素繊維配向方向の曲げ強度及び曲げ弾性率の値が良好であった。また、実施例1〜6で作製したCFRPの断面(炭素繊維の配向方向に直交する方向に沿って切断したときの断面)を目視で観察したところ、炭素繊維の一本一本の周りに樹脂が浸透し、視認可能な空隙は存在しなかった。

0072

炭素繊維が一方向に配向していない比較例1の炭素繊維シートは、炭素繊維配向方向の曲げ強度及び曲げ弾性率の値が実施例よりも低かった。また、比較例1で作製したCFRPの断面(炭素繊維の配向方向に直交する方向に沿って切断したときの断面)を目視で観察したところ、炭素繊維が交差する場所等で樹脂が浸透せず、空隙となっている箇所が存在していた。このことから、炭素繊維が一方向に配向していないことにより、樹脂が炭素繊維間に充分に入り込めないため、炭素繊維配向き方向の曲げ強度及び曲げ弾性率の値が低くなったと推察される。

実施例

0073

有機物を有しない炭素繊維を用いて作製した比較例2の炭素繊維シートは、炭素繊維配向方向の曲げ強度及び曲げ弾性率の値が実施例よりも低かった。また、比較例2で作製したCFRPの断面(炭素繊維の配向方向に直交する方向に沿って切断したときの断面)を目視で観察したところ、炭素繊維が束になっており、束の内部に樹脂が入り込まずに空隙となっている部分が多く観察された。このことから、炭素繊維の表面に有機物があることで、炭素繊維が集束体を形成しており、集束体の内部に樹脂が充分に入り込めないため、炭素繊維配向き方向の曲げ強度、及び曲げ弾性率が低くなったと推察される。

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