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課題

細胞反応性コンプスタチン類似体および細胞反応性コンプスタチン類似体を含む組成物を提供することを課題とする。

解決手段

いくつかの態様では、本発明は、細胞反応性コンプスタチン類似体および細胞反応性コンプスタチン類似体を含む組成物を提供する。いくつかの態様では、本発明は、細胞反応性コンプスタチン類似体を用いて、例えば、細胞組織または臓器に対する補体介在性傷害を抑制する方法をさらに提供する。いくつかの態様では、本発明は、長時間作用型コンプスタチン類似体および長時間作用型コンプスタチン類似体を含む組成物を提供する。いくつかの態様では、本発明は、長時間作用型コンプスタチン類似体を用いて、例えば、細胞、組織または臓器に対する補体介在性の傷害を抑制する方法をさらに提供する。いくつかの態様では、本発明は、標的化コンプスタチン類似体および標的化コンプスタチン類似体を含む組成物を提供する。いくつかの態様では、本発明は、標的化コンプスタチン類似体を用いて、例えば、細胞、組織または臓器に対する補体介在性の傷害を抑制する方法をさらに提供する。

概要

背景

補体は、30種類以上の血漿タンパク質および細胞結合タンパク質からなり、自然免疫および適応免疫の両方において重要な役割を果たす系である。補体系タンパク質は、様々なタンパク質相互作用および切断事象を介した一連酵素カスケードの形で働く。補体活性化は3つの主要な経路、すなわち抗体依存性古典経路代替経路およびマンノース結合レクチン(MBL)経路を介して生じる。不適切なまたは過剰な補体活性化が数多くの重篤な疾患および状態の根本原因または要因となっており、ここ数十年間、治療薬としての様々な補体阻害剤の探索に多大な努力が払われてきた。しかし、様々な治療目的で補体活性化を阻害する革新的な方法が未だ必要とされている。

概要

細胞反応性コンプスタチン類似体および細胞反応性コンプスタチン類似体を含む組成物を提供することを課題とする。いくつかの態様では、本発明は、細胞反応性コンプスタチン類似体および細胞反応性コンプスタチン類似体を含む組成物を提供する。いくつかの態様では、本発明は、細胞反応性コンプスタチン類似体を用いて、例えば、細胞、組織または臓器に対する補体介在性傷害を抑制する方法をさらに提供する。いくつかの態様では、本発明は、長時間作用型コンプスタチン類似体および長時間作用型コンプスタチン類似体を含む組成物を提供する。いくつかの態様では、本発明は、長時間作用型コンプスタチン類似体を用いて、例えば、細胞、組織または臓器に対する補体介在性の傷害を抑制する方法をさらに提供する。いくつかの態様では、本発明は、標的化コンプスタチン類似体および標的化コンプスタチン類似体を含む組成物を提供する。いくつかの態様では、本発明は、標的化コンプスタチン類似体を用いて、例えば、細胞、組織または臓器に対する補体介在性の傷害を抑制する方法をさらに提供する。なし

目的

本発明は細胞反応性コンプスタチン類似体を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

請求項2

前記組成物が生理的に許容されるものである、請求項1に記載の組成物。

請求項3

前記組成物が医薬品等級の組成物である、請求項1に記載の組成物。

請求項4

前記組成物が、ヒトへの投与薬学的に許容されるものである、請求項1に記載の組成物。

請求項5

前記細胞反応性コンプスタチン類似体が、哺乳動物細胞共有結合することができる細胞反応性官能基を含む、請求項1に記載の組成物。

請求項6

前記細胞反応性コンプスタチン類似体が、細胞反応性官能基を含む細胞反応性部分を含む、請求項1に記載の組成物。

請求項7

前記コンプスタチン類似体が、スルフィドリル(SH)基と反応して共有結合を形成する細胞反応性官能基を含む、請求項1に記載の組成物。

請求項8

前記コンプスタチン類似体が、アミン基と反応して共有結合を形成する細胞反応性官能基を含む、請求項1に記載の組成物。

請求項9

前記細胞反応性コンプスタチン類似体がマレイミド基を含む、請求項1に記載の組成物。

請求項10

前記細胞反応性コンプスタチン類似体が細胞反応性部分を含み、前記細胞反応性部分が細胞反応性官能基を含む、請求項1に記載の組成物。

請求項11

前記細胞反応性コンプスタチン類似体が、細胞反応性官能基と、コンプスタチン類似体部分と、前記細胞反応性官能基を前記細胞反応性コンプスタチン類似体の前記コンプスタチン類似体部分から分離する結合部分とを含む、請求項1に記載の組成物。

請求項12

前記細胞反応性コンプスタチン類似体が、側鎖が式(NH)−Rの基を含むアミノ酸を含み、式中、Rが細胞反応性官能基を含む部分を表す、請求項1に記載の組成物。

請求項13

前記細胞反応性コンプスタチン類似体が、コア配列X’aa−Gln−Asp−Xaa−Gly(配列番号3)を有し、式中、X’aaおよびXaaがTrpおよびTrpの類似体から選択される環状ペプチドを含む化合物であり、前記化合物が細胞反応性部分を含む、請求項1に記載の組成物。

請求項14

前記コンプスタチン類似体が、コア配列X’aa−Gln−Asp−Xaa−Gly−X”aa(配列番号4)を有し、式中、X’aaおよびXaaがそれぞれ独立して、TrpおよびTrpの類似体から選択され、X”aaがHis、Ala、単一メチル分岐アミノ酸、Phe、TrpおよびTrpの類似体から選択される環状ペプチドを含む化合物であり、前記化合物が細胞反応性部分を含む、請求項1に記載の組成物。

請求項15

前記ペプチドが、配列X’aa1−X’aa2−X’aa3−X’aa−Gln−Asp−Xaa−Gly−X”aa−X”aa2−X”aa3−X”aa4−X”aa5(配列番号5)を有し、X’aa1、X’aa2、X’aa3、X”aa2、X”aa3−X”aa4およびX”aa5が、コンプスタチンの対応する位置にあるアミノ酸と一致し、前記化合物が細胞反応性部分を含む、請求項1に記載の組成物。

請求項16

前記コンプスタチン類似体が、配列X’aa1−X’aa2−X’aa3−X’aa4−Gln−Asp−Xaa−Gly−X”aa1−X”aa2−X”aa3−X”aa4−X”aa5(配列番号5)を有し、式中、X’aa4およびXaaがTrpおよびTrpの類似体から選択される環状ペプチドを含む化合物であり、X’aa1、X’aa2、X’aa3、X”aa1、X”aa2、X”aa3、X”aa4およびX”aa5が独立してアミノ酸およびアミノ酸類似体から選択され、前記ペプチドペプチドがX’aa2とX”aa4の間の結合を介して環状化されており、前記化合物が細胞反応性部分を含む、請求項1に記載の組成物。

請求項17

X’aa2およびX”aa4がCysであり、X”aa1が任意選択でAlaまたは単一メチル非分岐アミノ酸であり、前記化合物が細胞反応性部分を含む、請求項16に記載の組成物。

請求項18

X’aa2およびX”aa4がCysであり、X’aa1、X’aa2、X’aa3、X”aa2、X”aa3、X”aa4およびX”aa5のいずれか1つ以上が、コンプスタチンの対応する位置にあるアミノ酸と一致し、X”aa1がAlaまたは単一メチル非分岐アミノ酸であり、前記化合物が細胞反応性部分を含む、請求項16に記載の組成物。

請求項19

前記コンプスタチン類似体が、配列Xaa1−Cys−Val−Xaa2−Gln−Asp−Xaa2*−Gly−Xaa3−His−Arg−Cys−Xaa4(配列番号6)を有し、式中、Xaa1がIle、Val、Leu、B1−Ile、B1−Val、B1−LeuまたはGly−IleもしくはB1−Gly−Ileを含むジペプチドであり、B1が第一のブロック部分を表し、Xaa2およびXaa2*が独立して、TrpおよびTrpの類似体から選択され、Xaa3がHis、AlaまたはAlaの類似体、Phe、TrpまたはTrpの類似体であり、Xaa4がL−Thr、D−Thr、Ile、Val、Gly、Thr−AlaおよびThr−Asnから選択されるジペプチドまたはThr−Ala−Asnを含むトリペプチドであり、L−Thr、D−Thr、Ile、Val、Gly、AlaまたはAsnのいずれかのカルボキシ末端−OHが任意選択で第二のブロック部分B2に置き換わっており、2つのCys残基ジスルフィド結合により結合している環状ペプチドを含む化合物であり、前記化合物が細胞反応性部分を含む、請求項1に記載の組成物。

請求項20

Xaa1がIle、Val、Leu、Ac−Ile、Ac−Val、Ac−LeuまたはGly−IleもしくはAc−Gly−Ileを含むジペプチドであり、Xaa2およびXaa2*がそれぞれ独立して、TrpおよびTrpの類似体から選択され、Xaa3がHis、AlaまたはAlaの類似体、Phe、TrpまたはTrpの類似体であり、Xaa4がL−Thr、D−Thr、Ile、Val、Gly、Thr−AlaおよびThr−Asnから選択されるジペプチドまたはThr−Ala−Asnを含むトリペプチドであり、L−Thr、D−Thr、Ile、Val、Gly、AlaまたはAsnのいずれかのカルボキシ末端−OHが任意選択で−NH2に置き換わっている、請求項19に記載の組成物。

請求項21

Xaa2が、疎水性がTrpに比べて増大したTrpの類似体である、請求項19に記載の組成物。

請求項22

Xaa2が、置換もしくは非置換二環式芳香環成分または2つ以上の置換もしくは非置換単環式芳香環成分を含むTrpの類似体である、請求項19に記載の組成物。

請求項23

Xaa2*が、インドール環上に電気陰性置換基を有し、疎水性がTrpに比べて増大していないTrpの類似体である、請求項19に記載の組成物。

請求項24

Xaa2*が、トリプトファンの1位または5位に低級アルコキシ置換基または低級アルキル置換基を、あるいはトリプトファンの5位または6位にハロゲン置換基を含むTrpの類似体である、請求項19に記載の組成物。

請求項25

Xaa2*が、トリプトファンの1位または5位に低級アルコキシ置換基または低級アルキル置換基を、あるいはトリプトファンの5位または6位にハロゲン置換基を含むTrpの類似体であり、Xaa2*がTrpである、請求項19に記載の組成物。

請求項26

前記コンプスタチン類似体が、配列番号9〜36からなる群より選択される配列を有する環状ペプチドと、細胞反応性部分とを含む、請求項19に記載の組成物。

請求項27

前記コンプスタチン類似体が、配列番号14、21、28、29、32、33、34または36からなる群より選択される配列を有する環状ペプチドと、細胞反応性部分とを含む、請求項19に記載の組成物。

請求項28

前記コンプスタチン類似体が、配列番号28、32または34の配列を有する環状ペプチドを含む、請求項19に記載の組成物。

請求項29

前記コンプスタチン類似体が、配列X’aa1−X’aa2−X’aa3−X’aa4−Gln−Asp−Xaa−Gly−X”aa1−X”aa2−X”aa3−X”aa4−X”aa5(配列番号5)を有し、式中、X’aa4およびXaaがTrpおよびTrpの類似体から選択される環状ペプチドを含む化合物であり、X’aa1、X’aa2、X’aa3、X”aa1、X”aa2、X”aa3、X”aa4およびX”aa5が独立してアミノ酸およびアミノ酸類似体から選択され、X’aa2およびX”aa4がCysではなく、前記ペプチドがX’aa2とX”aa4の間の結合を介して環状化されており、前記化合物が細胞反応性部分を含む、請求項1に記載の組成物。

請求項30

X’aa1、X’aa3、X”aa2、X”aa3およびX”aa5のいずれか1つ以上が、請求項18〜28のいずれかに記載のペプチドの対応する位置にあるアミノ酸と一致し、X”aa1がAlaまたは単一メチル非分岐アミノ酸である、請求項29に記載の組成物。

請求項31

X’aa2およびX”aa4の一方が、第一級または第二級アミンを含む側鎖を有するアミノ酸またはアミノ酸類似体であり、X’aa2およびX”aa4の他方が、カルボン酸基を含む側鎖を有するアミノ酸またはアミノ酸類似体であり、前記結合がアミド結合である、請求項29に記載の組成物。

請求項32

X’aa1、X’aa3、X”aa1、X”aa2、X”aa3およびX”aa5が、請求項18〜28のいずれかに記載の環状ペプチドの対応する位置にあるアミノ酸と一致し、任意選択で、X’aa2およびX”aa4の一方が、第一級または第二級アミンを含む側鎖を有するアミノ酸またはアミノ酸類似体であり、X’aa2およびX”aa4の他方が、カルボン酸基を含む側鎖を有するアミノ酸またはアミノ酸類似体であり、前記結合がアミド結合である、請求項29に記載の組成物。

請求項33

前記環状ペプチドが、N末端アセチル化されている、C末端アミド化されている、あるいはN末端でアセチル化されかつC末端でアミド化されている、請求項10〜32のいずれかに記載の組成物。

請求項34

コンプスタチン類似体が共有結合した単離細胞または単離臓器

請求項35

ヒト細胞またはヒト臓器である、請求項34に記載の単離細胞または単離臓器。

請求項36

前記単離細胞が血液細胞である、あるいは前記臓器が心臓腎臓肝臓または膵臓である、請求項34に記載の単離細胞または単離臓器。

請求項37

細胞または臓器の補体依存性傷害に対する感受性を低下させる方法であって、前記細胞と細胞反応性コンプスタチン類似体とを接触させることを含み、前記細胞反応性コンプスタチン類似体が前記細胞または前記臓器と共有結合する方法。

請求項38

前記細胞または前記臓器がヒト細胞またはヒト臓器である、請求項37に記載の方法。

請求項39

前記細胞が血液細胞である、あるいは前記臓器が心臓、腎臓、肝臓、肺または膵臓である、請求項37に記載の方法。

請求項40

前記細胞または前記臓器が、対象に移植される前の単離細胞または単離臓器であり、移植前に前記細胞または前記臓器と前記細胞反応性コンプスタチン類似体とを接触させることを含む、請求項37に記載の方法。

請求項41

前記細胞または前記臓器が既に対象に移植されており、移植後に前記臓器と前記細胞反応性コンプスタチン類似体とを接触させることを含む、請求項37に記載の方法。

請求項42

前記細胞反応性コンプスタチン類似体を含む液体で前記臓器を灌流することを含む、請求項37に記載の方法。

請求項43

前記臓器の対象への移植時に前記細胞または前記臓器と前記細胞反応性コンプスタチン類似体とを接触させることを含む、請求項37に記載の方法。

請求項44

前記細胞または前記臓器を前記対象に移植した後に前記細胞反応性コンプスタチン類似体を対象に投与することを含む、請求項37に記載の方法。

請求項45

前記臓器を前記対象に移植した後に前記細胞反応性コンプスタチン類似体を対象に投与することを含み、前記細胞反応性コンプスタチン類似体を移植した前記臓器に局所的に投与する、請求項37に記載の方法。

請求項46

前記細胞または前記臓器が、超急性または急性の補体介在性輸血反応または補体介在性臓器拒絶反応発現するリスクの高い対象に既に移植されている、あるいは移植される前である、請求項37に記載の方法。

請求項47

補体介在性の障害治療を必要とする対象を治療する方法であって、前記対象に細胞反応性コンプスタチン類似体を投与することを含む方法。

請求項48

補体介在性の傷害のリスクがある部位または補体介在性の傷害を来たしている部位に前記細胞反応性コンプスタチン類似体を局所的に投与する、請求項47に記載の方法。

請求項49

前記障害が赤血球に補体介在性の傷害を生じさせるものであり、前記細胞反応性コンプスタチン類似体を血管内に投与する、請求項47に記載の方法。

請求項50

前記対象が補体制御に欠陥を有する、請求項47に記載の方法。

請求項51

前記対象が移植拒絶反応の治療を必要とする、請求項47に記載の方法。

請求項52

前記対象が虚血再灌流傷害の治療を必要とする、請求項47に記載の方法。

請求項53

前記対象が溶血性貧血の治療を必要とする、請求項47に記載の方法。

請求項54

分子量が少なくとも20キロダルトン(kD)のクリアランス低減部分(CRM)を含む、長時間作用型コンプスタチン類似体。

請求項55

分子量が20キロダルトン(kD)〜100kDのクリアランス低減部分(CRM)を含む、請求項54に記載の長時間作用型コンプスタチン類似体。

請求項56

分子量が少なくとも30キロダルトン(kD)のクリアランス低減部分を含む、請求項54に記載の長時間作用型コンプスタチン類似体。

請求項57

分子量が少なくとも40キロダルトン(kD)のクリアランス低減部分を含む、請求項54に記載の長時間作用型コンプスタチン類似体。

請求項58

前記クリアランス低減部分がポリエチレングリコール(PEG)を含む、請求項54に記載の長時間作用型コンプスタチン類似体。

請求項59

前記クリアランス低減部分が直鎖状PEGを含む、請求項54に記載の長時間作用型コンプスタチン類似体。

請求項60

前記クリアランス低減部分が分岐状PEGを含む、請求項54に記載の長時間作用型コンプスタチン類似体。

請求項61

前記クリアランス低減部分が、直鎖状PEGと、前記化合物の各末端に結合したコンプスタチン類似体部分とを含む、請求項54に記載の長時間作用型コンプスタチン類似体。

請求項62

前記クリアランス低減部分が、3〜10本の分岐枝を有する分岐状PEGを含む、請求項54に記載の長時間作用型コンプスタチン類似体。

請求項63

前記クリアランス低減部分が、3〜10本の分岐枝を有する分岐状PEGを含み、前記分岐枝の少なくとも約50%が、それと結合したコンプスタチン類似体部分を含む、請求項54に記載の長時間作用型コンプスタチン類似体。

請求項64

前記クリアランス低減部分が、3〜10本の分岐枝を有する分岐状PEGを含み、前記分岐枝の少なくとも約75%が、それと結合したコンプスタチン類似体部分を含む、請求項54に記載の長時間作用型コンプスタチン類似体。

請求項65

前記クリアランス低減部分がヒト血清アルブミンを含む、請求項54に記載の長時間作用型コンプスタチン類似体。

請求項66

2〜10個のコンプスタチン類似体部分を含む、請求項54に記載の長時間作用型コンプスタチン類似体。

請求項67

2〜100個のコンプスタチン類似体部分を含む、請求項54に記載の長時間作用型コンプスタチン類似体。

請求項68

霊長類静脈内注射したときの血漿半減期が少なくとも2日である、請求項54に記載の長時間作用型コンプスタチン類似体。

請求項69

霊長類に静脈内注射したときの血漿中半減期が少なくとも3日である、請求項54に記載の長時間作用型コンプスタチン類似体。

請求項70

霊長類に静脈内注射したときの血漿中半減期が少なくとも4日である、請求項54に記載の長時間作用型コンプスタチン類似体。

請求項71

クリアランス低減部分を含み、同じアミノ酸配列を有するが前記クリアランス低減部分を含まない対応するコンプスタチン類似体の活性の少なくとも約20%のモル活性を有する、請求項54に記載の長時間作用型コンプスタチン類似体。

請求項72

クリアランス低減部分を含み、前記クリアランス低減部分を含まない対応するコンプスタチン類似体の活性の少なくとも約30%のモル活性を有する、請求項54に記載の長時間作用型コンプスタチン類似体。

請求項73

複数のコンプスタチン類似体部分を含み、前記コンプスタチン類似体部分の活性の合計の少なくとも約10%のモル活性を有する、請求項54に記載の長時間作用型コンプスタチン類似体。

請求項74

クリアランス低減部分を含み、同等の用量において、終末相半減期が、前記CRMを含まない対応するコンプスタチン類似体の少なくとも5倍である、請求項54に記載の長時間作用型コンプスタチン類似体。

請求項75

同等の用量において、Cmaxが、同じアミノ酸配列を含むが前記クリアランス低減部分を含まないコンプスタチン類似体の少なくとも10倍である、請求項54に記載の長時間作用型コンプスタチン類似体。

請求項76

霊長類に静脈内注射したときの血漿中半減期が少なくとも2日である、長時間作用型コンプスタチン類似体。

請求項77

霊長類に静脈内注射したときの血漿中半減期が少なくとも3日である、請求項76に記載の長時間作用型コンプスタチン類似体。

請求項78

霊長類に静脈内注射したときの血漿中半減期が少なくとも4日である、請求項76に記載の長時間作用型コンプスタチン類似体。

請求項79

クリアランス低減部分を含み、同じアミノ酸配列を有するがクリアランス低減部分を含まない対応するコンプスタチン類似体の活性の少なくとも約20%のモル活性を有する、請求項76に記載の長時間作用型コンプスタチン類似体。

請求項80

クリアランス低減部分を含み、同じアミノ酸配列を含むが前記クリアランス低減部分を含まないコンプスタチン類似体の活性の少なくとも約30%のモル活性を有する、請求項76に記載の長時間作用型コンプスタチン類似体。

請求項81

複数のコンプスタチン類似体部分を含み、前記コンプスタチン類似体部分の活性の合計の少なくとも約10%のモル活性を有する、請求項76に記載の長時間作用型コンプスタチン類似体。

請求項82

同等の用量において、Cmaxが前記クリアランス低減部分を含まない対応するコンプスタチン類似体の少なくとも10倍である、請求項76に記載の長時間作用型コンプスタチン類似体。

請求項83

クリアランス低減部分を含み、同等の用量において、前記クリアランス低減部分を含まない対応するコンプスタチン類似体の少なくとも約30%の活性と少なくとも10倍のCmaxとを有し、血漿中半減期が少なくとも3日である、長時間作用型コンプスタチン類似体。

請求項84

前記長時間作用型コンプスタチン類似体が、コア配列X’aa−Gln−Asp−Xaa−Gly(配列番号3)を有し、式中、X’aaおよびXaaがTrpおよびTrpの類似体から選択される環状ペプチドを含む化合物であり、前記化合物がクリアランス低減部分を含む、請求項54〜83のいずれかに記載の長時間作用型コンプスタチン類似体。

請求項85

前記コンプスタチン類似体が、コア配列X’aa−Gln−Asp−Xaa−Gly−X”aa(配列番号4)を有し、式中、X’aaおよびXaaがそれぞれ独立して、TrpおよびTrpの類似体から選択され、X”aaがHis、Ala、単一メチル非分岐アミノ酸、Phe、TrpおよびTrpの類似体から選択される環状ペプチドを含む化合物であり、前記化合物がクリアランス低減部分を含む、請求項54〜83のいずれかに記載の長時間作用型コンプスタチン類似体。

請求項86

前記ペプチドが、配列X’aa1−X’aa2−X’aa3−X’aa−Gln−Asp−Xaa−Gly−X”aa−X”aa2−X”aa3−X”aa4−X”aa5(配列番号5)を有し、X’aa1、X’aa2、X’aa3、X”aa2、X”aa3−X”aa4およびX”aa5が、コンプスタチンの対応する位置にあるアミノ酸と一致し、前記化合物がクリアランス低減部分を含む、請求項54〜83のいずれかに記載の長時間作用型コンプスタチン類似体。

請求項87

前記コンプスタチン類似体が、配列X’aa1−X’aa2−X’aa3−X’aa4−Gln−Asp−Xaa−Gly−X”aa1−X”aa2−X”aa3−X”aa4−X”aa5(配列番号5)を有し、式中、X’aa4およびXaaがTrpおよびTrpの類似体から選択される環状ペプチドを含む化合物であり、X’aa1、X’aa2、X’aa3、X”aa1、X”aa2、X”aa3、X”aa4およびX”aa5が独立してアミノ酸およびアミノ酸類似体から選択され、前記ペプチドがX’aa2とX”aa4の間の結合を介して環状化されており、前記化合物がクリアランス低減部分を含む、請求項54〜83のいずれかに記載の長時間作用型コンプスタチン類似体。

請求項88

X’aa2およびX”aa4がCysであり、X”aa1が任意選択でAlaまたは単一メチル非分岐アミノ酸であり、前記化合物がクリアランス低減部分を含む、請求項54〜83のいずれかに記載の長時間作用型コンプスタチン類似体。

請求項89

X’aa2およびX”aa4がCysであり、X’aa1、X’aa2、X’aa3、X”aa2、X”aa3、X”aa4およびX”aa5のいずれか1つ以上が、コンプスタチンの対応する位置にあるアミノ酸と一致し、X”aa1がAlaまたは単一メチル非分岐アミノ酸であり、前記化合物がクリアランス低減部分を含む、請求項54〜83のいずれかに記載の長時間作用型コンプスタチン類似体。

請求項90

前記コンプスタチン類似体が、配列Xaa1−Cys−Val−Xaa2−Gln−Asp−Xaa2*−Gly−Xaa3−His−Arg−Cys−Xaa4(配列番号6)を有し、式中、Xaa1がIle、Val、Leu、B1−Ile、B1−Val、B1−LeuまたはGly−IleもしくはB1−Gly−Ileを含むジペプチドであり、B1が第一のブロック部分を表し、Xaa2およびXaa2*が独立して、TrpおよびTrpの類似体から選択され、Xaa3がHis、AlaまたはAlaの類似体、Phe、TrpまたはTrpの類似体であり、Xaa4がL−Thr、D−Thr、Ile、Val、Gly、Thr−AlaおよびThr−Asnから選択されるジペプチドまたはThr−Ala−Asnを含むトリペプチドであり、L−Thr、D−Thr、Ile、Val、Gly、AlaまたはAsnのいずれかのカルボキシ末端−OHが任意選択で第二のブロック部分B2に置き換わっており、2つのCys残基がジスルフィド結合により結合している環状ペプチドを含む化合物であり、前記化合物がクリアランス低減部分を含む、請求項54〜83のいずれかに記載の長時間作用型コンプスタチン類似体。

請求項91

Xaa1がIle、Val、Leu、Ac−Ile、Ac−Val、Ac−LeuまたはGly−IleもしくはAc−Gly−Ileを含むジペプチドであり、Xaa2およびXaa2*が独立して、TrpおよびTrpの類似体から選択され、Xaa3がHis、AlaまたはAlaの類似体、Phe、TrpまたはTrpの類似体であり、Xaa4がL−Thr、D−Thr、Ile、Val、Gly、Thr−AlaおよびThr−Asnから選択されるジペプチドまたはThr−Ala−Asnを含むトリペプチドであり、L−Thr、D−Thr、Ile、Val、Gly、AlaまたはAsnのいずれかのカルボキシ末端−OHが任意選択で−NH2に置き換わっている、請求項90に記載の長時間作用型コンプスタチン類似体。

請求項92

Xaa2が、疎水性がTrpに比べて増大したTrpの類似体である、請求項90に記載の長時間作用型コンプスタチン類似体。

請求項93

Xaa2が、置換もしくは非置換二環式芳香環成分または2つ以上の置換もしくは非置換単環式芳香環成分を含むTrpの類似体である、請求項90に記載の長時間作用型コンプスタチン類似体。

請求項94

Xaa2*が、インドール環上に電気陰性置換基を有し、疎水性がTrpに比べて増大していないTrpの類似体である、請求項90に記載の長時間作用型コンプスタチン類似体。

請求項95

Xaa2*が、トリプトファンの1位または5位に低級アルコキシ置換基または低級アルキル置換基を、あるいはトリプトファンの5位または6位にハロゲン置換基を含むTrpの類似体である、請求項90に記載の長時間作用型コンプスタチン類似体。

請求項96

Xaa2*が、トリプトファンの1位または5位に低級アルコキシ置換基または低級アルキル置換基を、あるいはトリプトファンの5位または6位にハロゲン置換基を含むTrpの類似体であり、Xaa2*がTrpである、請求項90に記載の長時間作用型コンプスタチン類似体。

請求項97

配列番号9〜36からなる群より選択される配列を有する環状ペプチドを含む、請求項90に記載の長時間作用型コンプスタチン類似体。

請求項98

前記コンプスタチン類似体が、配列番号14、21、28、29、32、33、34または36からなる群より選択される配列を有する環状ペプチドを含む、請求項90に記載の長時間作用型コンプスタチン類似体。

請求項99

前記コンプスタチン類似体が、配列番号28、32または34の配列を有する環状ペプチドを含む、請求項90に記載の長時間作用型コンプスタチン類似体。

請求項100

配列X’aa1−X’aa2−X’aa3−X’aa4−Gln−Asp−Xaa−Gly−X”aa1−X”aa2−X”aa3−X”aa4−X”aa5(配列番号5)を有し、式中、X’aa4およびXaaがTrpおよびTrpの類似体から選択される環状ペプチドを含む化合物であり、X’aa1、X’aa2、X’aa3、X”aa1、X”aa2、X”aa3、X”aa4およびX”aa5が独立してアミノ酸およびアミノ酸類似体から選択され、X’aa2およびX”aa4がCysではなく、前記ペプチドがX’aa2とX”aa4の間の結合を介して環状化されている、長時間作用型コンプスタチン類似体。

請求項101

X’aa1、X’aa3、X”aa2、X”aa3およびX”aa5のいずれか1つ以上が、請求項18〜28のいずれかに記載のペプチドの対応する位置にあるアミノ酸と一致し、X”aa1がAlaまたは単一メチル非分岐アミノ酸である、請求項100に記載の長時間作用型コンプスタチン類似体。

請求項102

X’aa2およびX”aa4の一方が、第一級または第二級アミンを含む側鎖を有するアミノ酸またはアミノ酸類似体であり、X’aa2およびX”aa4の他方が、カルボン酸基を含む側鎖を有するアミノ酸またはアミノ酸類似体であり、前記結合がアミド結合である、請求項100に記載の長時間作用型コンプスタチン類似体。

請求項103

X’aa1、X’aa3、X”aa1、X”aa2、X”aa3およびX”aa5が、請求項18〜28のいずれかに記載の環状ペプチドの対応する位置にあるアミノ酸と一致し、任意選択で、X’aa2およびX”aa4の一方が、第一級または第二級アミンを含む側鎖を有するアミノ酸またはアミノ酸類似体であり、X’aa2およびX”aa4の他方が、カルボン酸基を含む側鎖を有するアミノ酸またはアミノ酸類似体であり、前記結合がアミド結合である、請求項100に記載の長時間作用型コンプスタチン類似体。

請求項104

前記環状ペプチドが、N末端でアセチル化されている、C末端でアミド化されている、あるいはN末端でアセチル化されかつC末端でアミド化されている、請求項84〜103のいずれかに記載の長時間作用型コンプスタチン類似体。

請求項105

配列番号14、21、28、29、32、33、34または36からなる群より選択される配列を有する環状ペプチドを含む化合物を含む、長時間作用型コンプスタチン類似体。

請求項106

式I〜XVIまたは式A〜Hのいずれかの化合物の少なくとも1つのNHSエステルが、コンプスタチン類似体部分の側鎖または末端のアミノ基と反応した化合物を含む、請求項84〜105のいずれかに記載の長時間作用型コンプスタチン類似体。

請求項107

式I〜XVIまたは式A〜Hのいずれかの化合物をコンプスタチン類似体部分と反応させることを含む、長時間作用型コンプスタチン類似体の製造方法。

請求項108

式I〜XVIまたは式A〜Hのいずれかの化合物を、配列番号3〜36のいずれかのアミノ酸配列を含むコンプスタチン類似体部分と反応させることを含む、長時間作用型コンプスタチン類似体の製造方法。

請求項109

請求項107〜108に記載の方法に従って調製された、あるいは前記長時間作用型コンプスタチン類似体の構造を含む、長時間作用型コンプスタチン類似体。

請求項110

標的化部分をさらに含む、請求項84〜106または請求項109のいずれかに記載の長時間作用型コンプスタチン類似体。

請求項111

請求項54〜105のいずれかに記載の長時間作用型コンプスタチン類似体と、薬学的に許容される担体とを含む、組成物。

請求項112

請求項54〜106または請求項109のいずれかに記載の長時間作用型コンプスタチン類似体を含む、医薬品等級の組成物。

請求項113

請求項54〜106または請求項109のいずれかに記載の長時間作用型コンプスタチン類似体と、薬学的に許容される担体とを含む、医薬品等級の組成物。

請求項114

細胞または臓器の補体依存性傷害に対する感受性を低下させる方法であって、前記細胞と、請求項54〜106または請求項109〜113のいずれかに記載の長時間作用型コンプスタチン類似体または組成物とを接触させることを含む方法。

請求項115

前記細胞または前記臓器がヒト細胞またはヒト臓器である、請求項114に記載の方法。

請求項116

前記細胞が血液細胞である、あるいは前記臓器が心臓、腎臓、肝臓、肺または膵臓である、請求項114に記載の方法。

請求項117

対象に前記長時間作用型コンプスタチン類似体または前記組成物を投与することを含む、請求項114に記載の方法。

請求項118

補体介在性の障害の治療を必要とする対象を治療する方法であって、前記対象に請求項54〜106または請求項109〜113のいずれかに記載の長時間作用型コンプスタチン類似体または組成物を投与することを含む方法。

請求項119

補体介在性の傷害のリスクがある部位または補体介在性の傷害を来たしている部位に前記長時間作用型コンプスタチン類似体を局所的に投与する、請求項118に記載の方法。

請求項120

前記障害が赤血球に補体介在性の傷害を生じさせるものである、請求項118に記載の方法。

請求項121

前記障害が赤血球に補体介在性の傷害を生じさせるものであり、前記長時間作用型コンプスタチン類似体を血管内または皮下に投与する、請求項118に記載の方法。

請求項122

前記対象が補体制御に欠陥を有する、請求項118に記載の方法。

請求項123

前記対象が移植拒絶反応の治療を必要とする、請求項118に記載の方法。

請求項124

前記対象が虚血/再灌流傷害の治療を必要とする、請求項118に記載の方法。

請求項125

前記対象が溶血性貧血の治療を必要とする、請求項118に記載の方法。

請求項126

前記対象が自己免疫疾患の治療を必要とする、請求項118に記載の方法。

請求項127

前記対象が神経障害性疼痛の治療を必要とする、請求項118に記載の方法。

請求項128

前記対象がMPGNの治療を必要とする、請求項118に記載の方法。

請求項129

前記対象が視神経脊髄炎の治療を必要とする、請求項118に記載の方法。

請求項130

前記対象が脊髄損傷の治療を必要とする、請求項118に記載の方法。

請求項131

前記対象が喘息COPDの治療を必要とする、請求項118に記載の方法。

請求項132

前記長時間作用型コンプスタチン類似体を血管内または皮下に投与する、請求項118に記載の方法。

請求項133

前記長時間作用型コンプスタチン類似体を血管内または皮下に投与する、請求項118に記載の方法。

請求項134

前記長時間作用型コンプスタチン類似体を静脈内に投与する、請求項118に記載の方法。

請求項135

前記長時間作用型コンプスタチン類似体を皮下に投与する、請求項118に記載の方法。

請求項136

前記長時間作用型コンプスタチン類似体を筋肉内に投与する、請求項118に記載の方法。

技術分野

0001

(関連出願の相互参照
本発明は、2011年5月11日に出願された米国仮特許出願第61/484,836号の優先権を主張するものであり、上記出願は参照により本明細書に組み込まれる。

背景技術

0002

補体は、30種類以上の血漿タンパク質および細胞結合タンパク質からなり、自然免疫および適応免疫の両方において重要な役割を果たす系である。補体系タンパク質は、様々なタンパク質相互作用および切断事象を介した一連酵素カスケードの形で働く。補体活性化は3つの主要な経路、すなわち抗体依存性古典経路代替経路およびマンノース結合レクチン(MBL)経路を介して生じる。不適切なまたは過剰な補体活性化が数多くの重篤な疾患および状態の根本原因または要因となっており、ここ数十年間、治療薬としての様々な補体阻害剤の探索に多大な努力が払われてきた。しかし、様々な治療目的で補体活性化を阻害する革新的な方法が未だ必要とされている。

0003

いくつかの態様では、本発明は細胞反応性コンプスタチン類似体を提供する。例えば、本発明は、細胞反応性コンプスタチン類似体、細胞反応性コンプスタチン類似体を含む組成物ならびに細胞反応性コンプスタチン類似体を製造する方法、これらを同定する方法、これらを特徴付ける方法および/またはこれらを使用する方法を提供する。いくつかの態様では、本発明は、細胞反応性コンプスタチン類似体を含む生理的に許容される組成物を提供する。いくつかの態様では、本発明は、細胞反応性コンプスタチン類似体を含む医薬品等級の組成物を提供する。

0004

いくつかの態様では、本発明は、長時間作用型コンプスタチン類似体を提供する。例えば、本発明は、長時間作用型コンプスタチン類似体、長時間作用型コンプスタチン類似体を含む組成物ならびに長時間作用型コンプスタチン類似体を製造する方法、これらを同定する方法、これらを特徴付ける方法および/またはこれらを使用する方法を提供する。いくつかの態様では、本発明は、長時間作用型コンプスタチン類似体を含む生理的に許容される組成物を提供する。いくつかの態様では、本発明は、長時間作用型コンプスタチン類似体を含む医薬品等級の組成物を提供する。

0005

いくつかの態様では、本発明は、標的化コンプスタチン類似体を提供する。例えば、本発明は、標的化コンプスタチン類似体、標的化コンプスタチン類似体を含む組成物ならびに標的化コンプスタチン類似体を製造する方法、これらを同定する方法、これらを特徴付けるおよび/またはこれらを使用する方法を提供する。いくつかの態様では、本発明は、標的化コンプスタチン類似体を含む生理的に許容される組成物を提供する。いくつかの態様では、本発明は、標的化コンプスタチン類似体を含む医薬品等級の組成物を提供する。

0006

本発明はさらに、補体介在性傷害から細胞を保護する方法を提供する。いくつかの実施形態では、この方法は、細胞と細胞反応性コンプスタチン類似体とを接触させることを含む。細胞は様々な実施形態において、任意のタイプの細胞であり得る。例えば、いくつかの実施形態では、細胞は血液細胞である。いくつかの実施形態では、血液細胞は赤血球RBC(red blood cell))(「erythrocyte」とも呼ばれる)である。いくつかの実施形態では、細胞は、1種類以上の補体制御タンパク質発現表面密度および/または活性が異常に低い。例えば、細胞は、このようなタンパク質をコードする遺伝子に突然変異がみられるものであり得、その突然変異により、コードされているタンパク質の発現が低下しているか、発現がみられず、かつ/または活性が低下している。細胞は様々な実施形態において、任意のタイプまたは種の動物のものであり得る。例えば、細胞は、哺乳動物、例えば、霊長類(ヒトまたは非ヒト霊長類)、げっ歯類(例えば、マウスラットウサギ)、有蹄類(例えば、ブタヒツジウシ)、イヌまたはネコのものであり得る。多くの実施形態では、保護は霊長類の補体、例えばヒトの補体からの保護である。いくつかの実施形態では、細胞をex vivo(対象の体外)で接触させる。いくつかの実施形態では、細胞をin vivo(対象、例えばヒトの体内)で接触させる。いくつかの実施形態では、細胞は対象内に移植されるものであるか、既に対象内に移植されているものである。いくつかの態様では、本発明は、コンプスタチン類似体が共有結合した単離細胞を提供する。いくつかの態様では、本発明は、少なくとも一部の細胞にコンプスタチン類似体が結合した単離組織または単離臓器を提供する。

0007

本発明は、補体介在性の障害の治療を必要とする対象を治療する方法を提供する。いくつかの実施形態では、この方法は、対象に細胞反応性コンプスタチン類似体を投与することを含む。いくつかの実施形態では、この方法は、対象に長時間作用型コンプスタチン類似体を投与することを含む。いくつかの実施形態では、長時間作用型コンプスタチン類似体は細胞反応性コンプスタチン類似体である。いくつかの実施形態では、補体介在性の障害は発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)、非定型溶血性尿毒症症候群(aHUS)または補体による溶血が原因の他の障害である。いくつかの実施形態では、障害は虚血再灌流(I/R)傷害(例えば、心筋梗塞血栓塞栓性卒中または外科手術によるもの)である。いくつかの実施形態では、障害は外傷である。いくつかの実施形態では、障害は移植拒絶反応である。

0008

本願で言及される論文書籍、特許出願、特許、その他の刊行物ウェブサイトおよびデータベースはすべて、参照により本明細書に組み込まれるものとする。本明細書と、組み込まれるいずれかの参考文献との間に不一致が生じた場合、本明細書(本明細書に対するあらゆる補正を含む)が統制するものとする。特に明示されない限り、本明細書では、当該技術分野で認められている用語および略語の意味を用いる。

図面の簡単な説明

0009

コンプスタチン類似体CA28(配列番号28)および3種類の長時間作用型コンプスタチン類似体(CA28−1、CA28−2、CA28−3)のパーセント補体活性化阻害活性ペプチド濃度(μM)の関数として示したプロットである。古典的補体阻害アッセイを用いて、補体活性化の阻害をin vitroで試験した。プロットは、2セットの測定の結果を平均して得られた値を示している。CA28(丸;赤)、CA28−1(十字(×);青)、CA28−2(三角;緑)、CA28−3(四角;紫)。
CA28ならびに長時間作用型コンプスタチン類似体CA28−2およびCA28−3のパーセント補体活性化阻害活性を化合物濃度(μM)の関数として示したプロットである。CA28(四角、薄灰色)、CA28−2(菱形、黒)、CA28−3(丸、濃灰色)。CA28−3は複数のペプチド部分を含む化合物である。モル基準で、ペプチド部分1つ当たりの活性は個々のCA28分子の活性を下回っているが、CA28−3全体での活性はCA28の活性を上回っている。
単回静脈内注射後のカニクイザルにおけるCA28ならびに長時間作用型コンプスタチン類似体CA28−2およびCA28−3の時間に対する血漿中濃度を示したプロットである。CA28は200mg/kgで投与した。CA28−2およびCA28−3はそれぞれ50mg/kgで投与した。これらの実験の用量の計算では、投与したCA28−2およびCA28−3物質乾燥重量ベース活性化合物w/wの80%を占めるものと仮定した。しかし、試料分析時には、標準曲線が、推定で30%、乾燥重量ベースで100%の活性化合物w/wを仮定するものであった。したがって、Cmaxの値は実際のCmaxを過大に見積もったものである。CA28(四角、薄灰色)、CA28−2(三角、黒)、CA28−3(丸、濃灰色)。
CA28および長時間作用型コンプスタチン類似体CA28−4のパーセント補体活性化阻害活性を化合物濃度(μM)の関数として示したプロットである。古典的補体阻害アッセイを用いて、補体活性化の阻害をin vitroで試験した。プロットは、CA28−4について4セットの測定の結果を平均して得られた値を示している。CA28(四角、薄灰色)、CA28−4(十字、黒)。
単回静脈内注射後のカニクイザルにおけるCA28ならびに長時間作用型コンプスタチン類似体CA28−2、CA28−3およびCA28−4の時間に対する濃度を示したプロットである。CA28は200mg/kgで投与した。CA28−2、CA28−3およびCA28−4はそれぞれ50mg/kgで投与した。これらの実験の用量の計算では、投与したCA28−2およびCA28−3物質が乾燥重量ベースで活性化合物w/wの80%を占めるものと仮定した。しかし、試料分析時には、標準曲線が乾燥重量ベースで100%の活性化合物w/wを仮定するものであった。したがって、Cmaxの値は、これらの化合物を乾燥重量ベースで示されている用量で投与した場合に得られるCmaxを、推定で30%過大に見積もったものである。CA28(四角、薄灰色)、CA28−2(三角、黒)、CA28−3(丸、濃灰色)、CA28−4(逆三角、黒)。

0010

(本発明の特定の実施形態に関する詳細な説明)
I.定義
数に関連する「約」という用語は一般に、特に明記されない限り、あるいは文脈上特に明らかでない限り、その数の±10%以内、いくつかの実施形態では±5%以内、いくつかの実施形態では±1%以内、いくつかの実施形態では±0.5%以内に収まる数を包含する(ただし、その数が許容範囲を超えて、考え得る値の100%を上回る場合は除く)。

0011

補体成分」または「補体タンパク質」とは、補体系の活性化に関与する、あるいは補体が媒介する1つ以上の作用に関与するタンパク質のことである。古典的補体経路の成分としては、例えばC1q、C1r、C1s、C2、C3、C4、C5、C6、C7、C8、C9および膜侵襲複合体(MAC)とも呼ばれるC5b−9複合体ならびに上記のいずれかの活性フラグメントまたは酵素切断産物(例えば、C3a、C3b、C4a、C4b、C5aなど)が挙げられる。代替経路の成分としては、例えばB因子D因子およびプロパージンが挙げられる。レクチン経路の成分としては、例えばMBL2、MASP−1およびMASP−2が挙げられる。補体成分としてはほかにも、可溶性補体成分に対する細胞結合受容体が挙げられ、この場合、可溶性補体成分が結合すると細胞結合受容体がこの可溶性補体成分の1つ以上の生物活性を媒介する。このような受容体としては、例えばC5a受容体(C5aR)、C3a受容体(C3aR)、補体受容体1(CR1)、補体受容体2(CR2)、補体受容体3(CR3、CD45としても知られる)などが挙げられる。「補体成分」という用語は補体活性化の「トリガー」として働く分子および分子構造、例えば、抗原抗体複合体微生物の表面または人工的な表面上に存在する外来の構造などを包含することを意図するものではないことが理解されよう。

0012

「補体介在性の障害」とは、罹患している少なくとも一部の対象において補体活性化が要因および/または少なくとも部分的に原因であることが知られている、あるいはそうであることが疑われるあらゆる障害、例えば、補体活性化により組織損傷を来たす障害のことである。補体介在性の障害の非限定的な例としては、特に限定されないが、(i)溶血または溶血性貧血を特徴とする様々な障害、例えば非定型溶血性尿毒症症候群、寒冷凝集素症、発作性夜間ヘモグロビン尿症、輸血反応など;(ii)移植拒絶反応(例えば、超急性または急性移植拒絶反応)または移植機不全;(iii)外傷、外科手術(例えば、動脈瘤修復)、心筋梗塞、虚血性脳卒中などの虚血/再灌流傷害を伴う障害;(iv)喘息および慢性閉塞性肺疾患COPD)などの呼吸器系の障害;(v)関節炎、例えば、関節リウマチ;(vi)加齢黄斑変性症(AMD)、糖尿病性網膜症緑内障およびブドウ膜炎などの眼障害が挙げられる。本明細書では、「障害」は「疾患」、「状態」と互換的に使用され、生物体のあらゆる健康障害または機能異常の状態、例えば、内科的および/または外科的処置適応とされるあらゆる状態、あるいは対象が適宜に内科的および/または外科的処置を求めるあらゆる状態を指す語とほぼ同じものである。このほか、特定の範疇において特定の障害を挙げるのは便宜上のことであって、本発明を限定することを意図するものではないことが理解されるべきである。特定の疾患が複数の範疇において適宜挙げられ得ることが理解されよう。

0013

「補体制御タンパク質」とは、補体活性の制御に関与するタンパク質のことである。補体制御タンパク質は、例えば、補体活性化を阻害することにより、あるいは1種類以上の活性化補体タンパク質の崩壊不活性化または加速することにより、補体活性をダウンレギュレートし得る。補体制御タンパク質の例としては、C1阻害因子、C4結合タンパク質、クラスタリンビトロネクチン、CFH、I因子ならびに細胞結合タンパク質CD46、CD55、CD59、CR1、CR2およびCR3が挙げられる。

0014

本明細書において2つ以上の部分に関して使用される「結合している」とは、それらの部分が互いに物理的に結び付いて、あるいは繋がって、好ましくはその新たな分子構造が使用される条件下、例えば生理的条件下でそれらの部分の結び付きが維持されるよう十分に安定な分子構造を形成することを意味するものである。本発明の特定の好ましい実施形態では、結合は共有結合である。他の実施形態では、結合は非共有結合である。部分同士が直接結合していても、間接的に結合していてもよい。2つの部分が直接結合している場合、それらは互いに共有結合しているか、あるいは2つの部分の間の分子間力が部分同士の結び付きを維持するのに十分な程度に接近している。2つの部分が間接的に結合している場合、それらはそれぞれが第三の部分と共有結合または非共有結合し、これにより両部分の間の結び付きが維持される。一般に、「結合部分」または「結合部」により結合しているという場合、両結合部分の間の結合は間接的なものであり、通常は、結合される部分のそれぞれが結合部分と共有結合している。2つの部分を「リンカー」を用いて結合させることができる。リンカーは、実体の安定性を維持できる条件下(条件によっては、必要に応じて実体の一部分を保護することがある)適度な時間内に、適度な収率が得られる量で、結合させる実体と反応する、任意の適切な部分であり得る。リンカーは通常、少なくとも2つの官能基を含み、2つの官能基一方が第一の実体と反応し、他方が第二の実体と反応する。リンカーが結合させる実体と反応した後は、「リンカー」という用語は、得られた構造のリンカーに由来する部分または少なくとも反応した官能基を含まない部分を指し得ることが理解されよう。結合部分は、結合させる実体との結合には関与せずに実体を互いに空間的に分離することを目的とする部分を含み得る。このような部分は「スペーサー」と呼ばれ得る。

0015

本明細書で使用される「ポリペプチド」は、任意選択アミノ酸類似体を1つ以上含むアミノ酸ポリマーを指す。タンパク質とは、1つ以上のポリペプチドからなる分子のことである。ペプチドとは、長さが通常約2〜60アミノ酸、例えば、長さが8〜40アミノ酸の比較的短いポリペプチドのことである。「タンパク質」、「ポリペプチド」および「ペプチド」という用語は互換的に使用され得る。本明細書で使用されるポリペプチドは、タンパク質中に本来存在するアミノ酸、タンパク質中に本来存在しないアミノ酸および/またはアミノ酸ではないアミノ酸類似体などのアミノ酸を含み得る。本明細書で使用されるアミノ酸の「類似体」は、アミノ酸と構造が類似している別のアミノ酸またはアミノ酸と構造が類似しているアミノ酸以外の化合物であり得る。タンパク質中に普通にみられる20種類のアミノ酸(「標準」アミノ酸)の当該技術分野で認められている類似体が多数知られている。例えば、炭水化物基、リン酸基ファルネシル基、イソファルネシル基、脂肪酸基コンジュゲーション官能基化またはその他の修飾のためのリンカーなどの化学的実体を付加することにより、ポリペプチド中の1つ以上のアミノ酸を修飾することができる。特定の非限定的な適切な類似体および修飾が国際公開第2004026328号および/または以降に記載されている。ポリペプチドを、例えばN末端アセチル化し、かつ/または例えばC末端アミド化してもよい。

0016

本明細書で使用される「反応性官能基」は、特に限定されないが、オレフィンアセチレンアルコールフェノールエーテルオキシドハロゲン化物アルデヒドケトンカルボン酸エステルアミドシアナートイソシアナートチオシアナートイソチオシアナートアミンヒドラジンヒドラゾンヒドラジドジアゾジアゾニウムニトロ、ニトリルメルカプタンスルフィドジスルフィドスルホキシドスルホンスルホン酸スルフィン酸アセタールケタール無水物、硫酸スルフェン酸イソニトリルアミジンイミドイミダートニトロンヒドロキシルアミンオキシムヒドロキサム酸チオヒドロキサム酸、アレンオルトエステル亜硫酸エナミン、イナミン、尿素イソ尿素セミカルバジドカルボジイミドカルバミン酸イミンアジドアゾ化合物アゾキシ化合物およびニトロソ化合物、N−ヒドロキシスクシンイミドエステルマレイミド、スルフィドリルなどを含めた基を指す。上に挙げた各官能基を調製する方法は当該技術分野で周知であり、特定の目的でのその適用または修飾は当業者能力の範囲内にある(例えば、SandlerおよびKaro編,ORGANIC FUNCTIONALGROUP PREPARATIONS,Academic Press,San Diego,1989ならびにHermanson,G.,Bioconjugate Techniques,第2版,Academic Press,San Diego,2008を参照されたい)。

0017

特異的結合」は一般に、標的ポリペプチド(またはより一般には標的分子)と、抗体またはリガンドなどの結合分子との間の物理的な結び付きを指す。この結び付きは通常、結合分子によって認識される抗原決定基エピトープ結合ポケットまたは間隙などの標的の特定の構造的特徴の存在に依存するものである。例えば、抗体がエピトープAに対して特異的である場合、遊離の標識されたAおよびそれと結合する結合分子をともに含有する反応物中に、エピトープAを含むポリペプチドが存在することまたは遊離の未標識のAが存在することにより、結合分子と結合する標識されたAの量が減少する。このほか、特異性は完全なものである必要はなく、一般に結合が起こる状況を指すものであることを理解するべきである。例えば、多くの抗体が、標的分子中に存在するエピトープに加えて他のエピトープと交差反応することが当該技術分野で周知である。このような交差反応性は、抗体を使用する適用によっては許容され得るものである。当業者は、任意の適用において(例えば、標的分子の検出のため、治療目的など)、十分に機能できる程度の特異性を有する抗体またはリガンドを選択することができるであろう。このほか、結合分子と他の標的、例えば競合物質との親和性に対する結合分子と標的分子との親和性などの他の因子の観点から特異性が評価され得ることも理解するべきである。結合分子が検出することを望む標的分子に対して高い親和性を示し、非標的分子に対しては低い親和性を示せば、その抗体は許容される試薬である可能性がある。結合分子の特異性が1つ以上の状況において確認されれば、その特異性を再び評価する必要なしにそれを他の状況、好ましくはほぼ同じ状況で用いることができる。いくつかの実施形態では、特異的結合を示す2分子の親和性(平衡解離定数Kdにより測定される)は、試験条件下、例えば生理的条件下で10−3M以下、例えば10−4M以下、例えば10−5M以下、例えば10−6M以下、10−7M以下、10−8M以下または10−9M以下である。

0018

本発明に従って治療する「対象」は通常、少なくとも一部の霊長類(例えば、ヒト)補体成分C3と、任意選択でさらに1つ以上の霊長類補体成分とを発現するか、これを含むヒト、非ヒト霊長類またはこれより下等な動物(例えば、マウスまたはラット)である。いくつかの実施形態では、対象は雄である。いくつかの実施形態では、対象は雌である。いくつかの実施形態では、対象は成体、例えば最低でも18、例えば18〜100歳のヒトである。

0019

対象を治療することに関連して本明細書で使用される「治療(すること)」は、治療を提供すること、すなわち、対象の任意のタイプの内科的または外科的処置を提供することを指す。治療は、疾患を正常な状態に戻す、それを軽減する、疾患の進行を抑制する、疾患を予防する、疾患の可能性を低下させるために、あるいは疾患の1つ以上の症状または徴候を正常な状態に戻す、それを軽減する、それを抑制する、疾患の1つ以上の症状または徴候の進行を防ぐ、疾患の1つ以上の症状または徴候を予防する、疾患の1つ以上の症状または徴候の可能性を低下させるために提供され得る。「予防する」とは、少なくとも一部の患者において疾患または疾患の症状もしくは徴候が少なくとも一定期間は生じないようにすることを指すものである。治療には、疾患を示す1つ以上の症状または徴候が発現したときに、例えば、疾患を正常な状態に戻す、それを軽減する、疾患の重症度を軽減するおよび/または疾患の進行を抑制するもしくは防ぐために、ならびに/あるいは疾患の1つ以上の症状もしくは徴候を正常な状態に戻す、それを軽減する、疾患の1つ以上の症状もしく徴候の重症度を軽減するおよび/または抑制するために、対象に化合物または組成物を投与することが含まれ得る。疾患を発症している対象または疾患の発症リスクが一般集団の者より高い対象に化合物または組成物を投与することができる。疾患を発症している対象あるいは疾患の1つ以上の特定の症状もしくは徴候の発現または疾患増悪リスクが、その疾患を有すると診断されている他の患者に比べて、または増悪に対する対象の典型的または平均的なリスクに比べて高い対象に化合物または組成物を投与することができる。例えば、対象は、対象に増悪が認められるリスクを増大させる(例えば、一時的にリスクを増大させる)「トリガー」に曝露されていてもよい。化合物または組成物を予防的に、すなわち、疾患の症状または徴候が発現する前に投与することができる。通常この場合、対象は、任意選択で年齢性別および/またはその他の人口統計学的変数(1つまたは複数)の点で一致する一般集団の者に比べて疾患の発症リスクがある。

0020

本明細書で使用される「脂肪族」という用語は、直鎖状(すなわち、非分岐)、分岐状または環状(融合多環架橋多環およびスピロ融合多環を含む)であり得、完全に飽和されているか、不飽和の単位を1つ以上含み得るが、芳香族ではない炭化水素部分を意味する。特に明記されない限り、脂肪族基は1〜30個の炭素原子を含む。いくつかの実施形態では、脂肪族基は1〜10個の炭素原子を含む。他の実施形態では、脂肪族基は1〜8個の炭素原子を含む。さらに他の実施形態では、脂肪族基は1〜6個の炭素原子を含み、またさらに他の実施形態では、脂肪族基は1〜4個の炭素原子を含む。適切な脂肪族基としては、特に限定されないが、直鎖状または分岐状のアルキル基アルケニル基およびアルキニル基ならびに(シクロアルキルアルキル、(シクロアルケニル)アルキルまたは(シクロアルキル)アルケニルなどの上記基のハイブリッドが挙げられる。

0021

本明細書で使用される「アルキル」は、約1個〜約22個の炭素原子(ならびにその炭素原子の範囲および特定の数のすべての組合せおよび部分的組合せ)を有する飽和の直鎖状、分岐状または環状炭化水素を指し、本発明の特定のある実施形態では、炭素原子の数は約1個〜約12個または約1個〜約7個が好ましい。アルキル基としては、特に限定されないが、メチルエチル、n−プロピルイソプロピルn−ブチルイソブチル、t−ブチル、n−ペンチル、シクロペンチルイソペンチルネオペンチルn−ヘキシル、イソヘキシルシクロヘキシルシクロオクチル、アダマンチル、3−メチルペンチル、2,2−ジメチルブチルおよび2,3−ジメチルブチルが挙げられる。

0022

本明細書で使用される「ハロ」はF、Cl、BrまたはIを指す。

0023

本明細書で使用される「アルカノイル」は、約1個〜10個の炭素原子(ならびにその炭素原子の範囲および特定の数のすべての組合せおよび部分的組合せ)、例えば、理解されるように、末端のC=O基と単結合で結合した(「アシル基」と呼ばれることもある)約1個〜7個の炭素原子を有し、任意選択で置換されている直鎖状または分岐状の脂肪族非環状残基を指す。アルカノイル基としては、特に限定されないが、ホルミルアセチルプロピオニルブチリルイソブチリルペンタノイル、イソペンタノイル、2−メチル−ブチリル、2,2−ジメトキシプロピオニル、ヘキサノイルヘプタノイルオクタノイルなどが挙げられ、本発明の目的のためには、ホルミル基はアルカノイル基と見なされる。「低級アルカノイル」は、約1個〜約5個の炭素原子(ならびにその炭素原子の範囲および特定の数のすべての組合せおよび部分的組合せ)を有し、任意選択で置換されている直鎖状または分岐状の脂肪族非環状残基を指す。このような基としては、特に限定されないが、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル、ペンタノイル、イソペンタノイルなどが挙げられる。

0024

本明細書で使用される「アリール」は、約5個〜約14個の炭素原子(ならびにその炭素原子の範囲および特定の数のすべての組合せおよび部分的組合せ)、好ましくは約6個〜約10個の炭素原子を有し、任意選択で置換されている単環式または二環式芳香環系を指す。非限定的な例としては、例えばフェニルおよびナフチルが挙げられる。

0025

本明細書で使用される「アラルキル」は、アリール置換基を有し、かつ約6個〜約22個の炭素原子(ならびにその炭素原子の範囲および特定の数のすべての組合せおよび部分的組合せ)を有するアルキルラジカルを指し、特定の実施形態では、炭素原子の数は約6個〜約12個が好ましい。アラルキル基は、任意選択で置換されていてもよい。非限定的な例としては、例えば、ベンジルナフチルメチルジフェニルメチルトリフェニルメチルフェニルエチルおよびジフェニルエチルが挙げられる。

0026

本明細書で使用される「アルコキシ」および「アルコキシル」という用語は、任意選択で置換されているアルキル−O−基を指し、ここでは、アルキルは上で定義した通りのものである。アルコキシ基およびアルコキシル基の例としては、メトキシエトキシ、n−プロポキシ、i−プロポキシ、n−ブトキシおよびヘプトキシが挙げられる。

0027

本明細書で使用される「カルボキシ」は−C(=O)OH基を指す。

0028

本明細書で使用される「アルコキシカルボニル」は−C(=O)O−アルキル基を指し、ここでは、アルキルは上で定義した通りのものである。

0029

本明細書で使用される「アロイル」は−C(=O)−アリール基を指し、ここでは、アリールは上で定義した通りのものである。アロイル基の例としては、ベンゾイルおよびナフトイルが挙げられる。

0030

「環系」という用語は、一部が不飽和であるか完全に飽和されている芳香族または非芳香族の3員〜10員環系を指し、これには、3〜8個の原子の大きさの単環ならびに非芳香環と融合した芳香族5員もしくは6員アリール基または芳香族複素環基を含み得る二環系および三環系が含まれる。このような複素環には、独立して酸素硫黄および窒素からなる群より選択されるヘテロ原子を1個〜3個有する複素環が含まれる。特定の実施形態では、複素環という用語は、少なくとも1つの環原子がO、SおよびNからなる群より選択されるヘテロ原子である非芳香族5員、6員もしくは7員環基または多環基を指し、これには、特に限定されないが、独立して酸素、硫黄および窒素からなる群より選択されるヘテロ原子を1個〜3個有する融合6員環を含む二環基または三環基が含まれる。いくつかの実施形態では、「環系」はシクロアルキル基を指し、本明細書で使用されるシクロアルキル基は、3個〜10個、例えば4個〜7個の炭素原子を有する基を指す。シクロアルキルとしては、特に限定されないが、任意選択で置換されているシクロプロピルシクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルなどが挙げられる。いくつかの実施形態では、「環系」は、任意選択で置換されているシクロアルケニル部分またはシクロアルキニル部分を指す。

0031

置換されている化学的部分には通常、水素代わる置換基が1つ以上含まれている。置換基の例としては、例えば、ハロ、アルキル、シクロアルキル、アラルキル、アリール、スルフィドリル、ヒドロキシル(−OH)、アルコキシル、シアノ(−CN)、カルボキシル(−COOH)、−C(=O)O−アルキル、アミノカルボニル(−C(=O)NH2)、−N−置換アミノカルボニル(−C(=O)NHR”)、CF3、CF2CF3などが挙げられる。上記の置換基について、部分R’’はそれぞれ独立して、例えばH、アルキル、シクロアルキル、アリールまたはアラルキルのいずれかであり得る。

0032

本明細書で使用される「L−アミノ酸」は、タンパク質中に普通に存在する天然左旋性α−アミノ酸またはこのα−アミノ酸のアルキルエステルのいずれかを指す。「D−アミノ酸」という用語は右旋性のα−アミノ酸を指す。特に明記されない限り、本明細書で言及されるアミノ酸はすべてL−アミノ酸である。

0033

本明細書で使用される「芳香族アミノ酸」とは、芳香環を少なくとも1つ含むアミノ酸のことであり、例えば、芳香族アミノ酸はアリール基を含む。

0034

本明細書で使用される「芳香族アミノ酸類似体」とは、芳香環を少なくとも1つ含むアミノ酸類似体のことであり、例えば、芳香族アミノ酸類似体はアリール基を含む。

0035

II.概要
本発明は、細胞反応性コンプスタチン類似体およびそれに関連する方法、例えば、その使用方法を提供する。細胞反応性コンプスタチン類似体とは、コンプスタチン類似体部分と、細胞の表面に露出している官能基と例えば生理的条件下で反応して共有結合を形成することができる細胞反応性の官能基とを含む、化合物のことである。したがって、細胞反応性コンプスタチン類似体は細胞と共有結合する。特定の理論に束縛されることを望むものではないが、細胞に係留されたコンプスタチン類似体が、例えば、細胞表面および/または細胞付近でC3(C3(H2O)の形態であり得る)と結合してC3の切断および活性化を阻害することにより、ならびに/あるいはC3bと結合してその細胞への沈着または補体活性化カスケードへの関与を阻害することにより、補体介在性の傷害から細胞を保護する。本発明のいくつかの態様では、単離細胞と細胞反応性コンプスタチン類似体とをex vivo(体外)で接触させる。本発明のいくつかの態様では、細胞は単離された組織または臓器内、例えば、対象に移植する組織または臓器内に存在する。本発明のいくつかの態様では、対象に細胞反応性コンプスタチン類似体を投与することにより、細胞と細胞反応性コンプスタチン類似体とをin vivoで接触させる。細胞反応性コンプスタチン類似体は、in vivoで細胞と共有結合するようになる。いくつかの態様では、本発明の方法は、少なくとも2週間、その期間の間に再び治療を実施する必要なしに、補体活性化の有害な作用から細胞、組織および/または臓器を保護するものである。

0036

いくつかの態様では、本発明は、細胞もしくは組織の表面に存在する標的分子または細胞もしくは組織に結合していない細胞外物質と非共有結合する標的化部分を含む、コンプスタチン類似体を提供する。本明細書では、このようなコンプスタチン類似体を「標的化コンプスタチン類似体」と呼ぶ。標的分子は多くの場合、細胞膜に結合して細胞表面に露出しているタンパク質または炭水化物である。標的化部分は、コンプスタチン類似体を補体活性化の影響を受けやすい細胞、組織または部位に対して標的化する。本発明のいくつかの態様では、単離細胞と標的化コンプスタチン類似体とをex vivo(体外)で接触させる。本発明のいくつかの態様では、細胞は、単離された組織または臓器内、例えば、対象に移植する組織または臓器内に存在する。本発明のいくつかの態様では、標的化コンプスタチン類似体が対象に投与されて、細胞、組織または細胞外物質とin vivoで共有結合するようになる。いくつかの態様では、本発明の方法は、少なくとも2週間、その期間の間に再び治療を実施する必要なしに、補体活性化の有害な作用から細胞、組織および/または臓器を保護するものである。いくつかの実施形態では、標的化コンプスタチン類似体は、標的化部分と細胞反応性部分をともに含む。標的化部分は、細胞上の分子と非共有結合することにより、コンプスタチン類似体を例えば特定の細胞タイプに対して標的化する。次いで、細胞反応性部分が細胞または細胞外物質と共有結合する。他の実施形態では、標的化コンプスタチン類似体は細胞反応性部分を含まない。

0037

いくつかの態様では、本発明は長時間作用型コンプスタチン類似体を提供し、ここでは、長時間作用型コンプスタチン類似体は、体内での化合物の寿命を(例えば、その血液からのクリアランスを低下させることにより)延ばすポリエチレングリコール(PEG)などの部分を含む。いくつかの実施形態では、長時間作用型コンプスタチン類似体は標的化部分も細胞反応性部分も含まない。いくつかの実施形態では、長時間作用型コンプスタチン類似体は標的化部分および/または細胞反応性部分を含む。

0038

III.補体系
本発明の理解を容易にするため、本発明を限定する意図は一切ないが、本節に補体とその活性化経路の概要を記載する。さらに詳細な説明については、例えば、Kuby Immunology,第6版,2006;Paul,W.E.,Fundamental Immunology,Lippincott Williams & Wilkins;第6版,2008;およびWalport MJ.,Complement.First of two parts. N Engl J Med.,344(14):1058−66,2001に記載されている。

0039

補体は、感染病原体から体を防御するのにある重要な役割を担う自然免疫系の一部門である。補体系には、古典経路、代替経路およびレクチン経路として知られる3つの主要な経路に関与する30種類以上の血清タンパク質および細胞タンパク質が含まれる。古典経路は通常、抗原IgMまたはIgG抗体との複合体がC1と結合することにより誘発される(ただし、ある種の他の活性化因子もこの経路を開始することができる)。活性化したC1がC4およびC2をC4aとC4bおよびC2aとC2bに切断する。C4bとC2aが合わさってC3転換酵素を形成し、これがC3を切断してC3aとC3bが形成される。C3bとC3転換酵素が結合するとC5転換酵素が生じ、これがC5をC5aとC5bに切断する。C3a、C4aおよびC5aはアナフィトキシンであり、急性炎症性応答における複数の反応を媒介する。またC3aおよびC5aは、好中球などの免疫系細胞誘引する走化性因子でもある。

0040

代替経路は、例えば、微生物表面および様々な複合多糖類により開始され、またこれらによって増幅される。この経路では、低レベル自発的に生じるC3からC3(H2O)への加水分解によりB因子との結合が生じ、これがD因子により切断されて液相のC3転換酵素が生じ、これがC3をC3aとC3bに切断することにより補体を活性化する。C3bが細胞表面などの標的と結合してB因子と複合体を形成し、これがのちにD因子により切断されてC3転換酵素が生じる。表面と結合したC3転換酵素がさらに別のC3分子を切断して活性化し、活性化部位近接してC3bが急速に沈着してさらに別のC3転換酵素が形成され、これによりさらに別のC3bが生じる。このような過程により、反応を大幅に増幅させるC3切断およびC3転換酵素形成のサイクルが生じる。C3の切断および別のC3b分子とC3転換酵素との結合によりC5転換酵素が生じる。この経路のC3転換酵素とC5転換酵素は、宿主細胞分子であるCR1、DAFMCP、CD59およびfHによって制御される。これらのタンパク質の作用機序には、活性促進の低下(すなわち、転換酵素を解離させる能力)、I因子によるC3bまたはC4bの分解において補助因子として働く能力あるいはその両方が含まれる。通常、宿主細胞表面に補体制御タンパク質が存在することにより、細胞表面で著しい補体活性化が生じないようになっている。

0041

両経路で生成したC5転換酵素はC5を分解してC5aとC5bを生じる。次いで、C5bがC6、C7およびC8と結合してC5b−8を形成し、これがC9の重合触媒してC5b−9膜侵襲複合体(MAC)を形成する。MACは標的細胞膜に侵入し、細胞溶解を引き起こす。細胞膜上のMACの量が少ないと、細胞死以外の様々な結果がもたらされ得る。

0042

レクチン補体経路は、マンノース結合レクチン(MBL)およびMBL関連セリンプロテアーゼ(MASP)が炭水化物と結合することにより開始される。MB1−1遺伝子(ヒトではLMAN−1として知られる)は、小胞体ゴルジ体との間の中間領域に存在するI型内在性膜タンパク質をコードする。MBL−2遺伝子は、血清中に存在する可溶性マンノース結合タンパク質をコードする。ヒトレクチン経路では、MASP−1およびMASP−2がC4とC2のタンパク質分解に関与し、上記のC3転換酵素が生じる。

0043

補体活性は、補体制御タンパク質(CCP)または補体活性化制御因子RCA)タンパク質と呼ばれる様々な哺乳動物タンパク質により制御されている(米国特許第6,897,290号)。これらのタンパク質は、リガンド特異性および補体阻害機序(1つまたは複数)が異なるものである。これらは転換酵素の正常な崩壊を加速し、かつ/またはI因子の補助因子として機能して、C3bおよび/またはC4bを酵素的に切断してさらに小さいフラグメントにする。CCPは、ジスルフィド結合した4つのシステイン(2つのジスルフィド結合)を有する保存されたモチーフプロリントリプトファンおよび多数の疎水性残基を含み、ショートコンセンサスリピートSCR)、補体制御タンパク質(CCP)モジュールまたはSUSHIドメインとして知られる、長さ約50〜70アミノ酸の複数(通常、4〜56個)の相同なモチーフが存在することを特徴とする。CCPファミリーとしては、補体受容体1(CR1;C3b:C4b受容体)、補体受容体2(CR2)、膜補因子タンパク質(MCP;CD46)、崩壊促進因子(DAF)、補体H因子(fH)およびC4b結合タンパク質(C4bp)が挙げられる。CD59は、構造的にはCCPと関連のない膜結合補体制御タンパク質である。補体制御タンパク質は通常、制限しなければ哺乳動物、例えばヒト宿主の細胞および組織上で生じ得る補体活性化を制限するものである。したがって、「自己」の細胞は通常、これらの細胞上で補体活性化が進行すれば続いて生じる有害な作用から保護されている。補体制御タンパク質(1つまたは複数)の不足または欠損が様々な補体介在性の障害、例えば本明細書で述べるような障害の病理発生に関与している。

0044

IV.コンプスタチン類似体
コンプスタチンは、C3と結合し補体活性化を阻害する環状ペプチドである。米国特許第6,319,897号には、配列Ile−[Cys−Val−Val−Gln−Asp−Trp−Gly−His−His−Arg−Cys]−Thr(配列番号1)を有するペプチドが記載されており、配列中、2つのシステインの間にあるジスルフィド結合が括弧で表わされている。「コンプスタチン」という名称は米国特許第6,319,897号では使用されていないが、のちに、米国特許第6,319,897号に開示されている配列番号2と同じ配列を有するが表1(配列番号8)に示されるようにC末端がアミド化されているペプチドを呼ぶのに科学文献および特許文献(例えば、Morikisら,Protein Sci.,7(3):619−27,1998を参照されたい)で採用されたことが理解されよう。本明細書では一貫して、「コンプスタチン」という用語をこのような使用法で(すなわち、配列番号8を呼ぶ場合に)用いる。コンプスタチンより高い補体阻害活性を有するコンプスタチン類似体が開発されている。例えば、国際公開第2004/026328号(国際出願PCT/US2003/029653号)、Morikis,D.ら,Biochem Soc Trans.32(Pt 1):28−32,2004, Mallik,B.ら,J.Med.Chem.,274−286,2005;Katragadda,M.ら,J.Med.Chem.,49:4616−4622,2006;国際公開第2007062249号(国際出願PCT/US2006/045539号);国際公開第2007044668号(国際出願PCT/US2006/039397号)、国際公開第2009/046198号(国際出願PCT/US2008/078593号);国際公開第2010/127336号(国際出願PCT/US2010/033345号)および後述の考察を参照されたい。

0045

コンプスタチン類似体は、例えばN末端および/またはC末端でアセチル化またはアミド化されていてよい。例えば、コンプスタチン類似体は、N末端でアセチル化され、かつC末端でアミド化されていてよい。当該技術分野で使用される通り、本明細書で使用される「コンプスタチン」およびコンプスタチンの活性と比較した本明細書に記載のコンプスタチン類似体の活性は、C末端でアミド化されたコンプスタチンのことを指す(Mallik,2005,上記)。

0046

ほかにも、コンプスタチンのコンカテマーもしくは多量体またはその補体阻害類似体が本発明で使用される。

0047

本明細書で使用される「コンプスタチン類似体」という用語は、コンプスタチンおよびその任意の補体阻害類似体を包含する。「コンプスタチン類似体」という用語は、コンプスタチンおよびコンプスタチンに基づき設計または同定され、その補体阻害活性が、例えば、当該技術分野で認められている任意の補体活性化アッセイまたはこれと実質的にほぼ同じもしくは同等なアッセイを用いて測定されるコンプスタチンの活性の少なくとも50%の大きさである他の化合物を包含する。特定の適切なアッセイが米国特許第6,319,897号、国際公開第2004/026328号、Morikis,上記、Mallik,上記、Katragadda 2006,上記、国際公開第2007062249号(国際出願PCT/US2006/045539号);国際公開第2007044668号(国際出願PCT/US2006/039397号)、国際公開第2009/046198号(国際出願PCT/US2008/078593号);および/または国際公開第2010/127336号(国際出願PCT/US2010/033345号)に記載されている。アッセイは、例えば、代替経路もしくは古典経路に媒介される赤血球溶解を測定するものであっても、ELISAアッセイであってもよい。いくつかの実施形態では、国際公開第2010/135717号(国際出願PCT/US2010/035871号)に記載されているアッセイを用いる。

0048

コンプスタチン類似体の活性はそのIC50(補体活性化を50%阻害する化合物の濃度)により表すことができ、当該技術分野で認められているように、IC50が低いほど活性が高いことを示す。本発明で使用するのに好ましいコンプスタチン類似体の活性は、少なくともコンプスタチンの活性と同じ大きさである。補体阻害活性を減少させるか打ち消すことが知られている特定の修飾が本発明のいずれの実施形態からも明確に除外され得ることが留意される。コンプスタチンのIC50については、代替経路媒介による赤血球溶解アッセイを用いて12μMという測定結果が得られている(国際公開第2004/026328号)。所与のコンプスタチン類似体で測定される正確なIC50値は、実験条件(例えば、アッセイで使用する血清濃度)によって異なることが理解されよう。例えば、実質的に同一の条件下で複数の異なる化合物のIC50を決定する実験から得られた値を比較したものが有用である。一実施形態では、コンプスタチン類似体のIC50はコンプスタチンのIC50以下である。本発明の特定の実施形態では、コンプスタチン類似体の活性はコンプスタチンの活性の2〜99倍である(すなわち、類似体のIC50がコンプスタチンのIC50の2〜99倍低い)。例えば、活性は、コンプスタチンの活性の10〜50倍の大きさまたはコンプスタチンの活性の50〜99の大きさであり得る。本発明の特定の実施形態では、コンプスタチン類似体の活性はコンプスタチンの活性の99〜264倍である。例えば、活性は、コンプスタチンの活性の100倍、110倍、120倍、130倍、140倍、150倍、160倍、170倍、180倍、190倍、200倍、210倍、220倍、230倍、240倍、250倍、260倍または264倍の大きさであり得る。特定の実施形態では、活性は、コンプスタチンの活性の250〜300倍、300〜350倍、350〜400倍または400〜500倍の大きさである。本発明はさらに、コンプスタチンの活性の500〜1000倍またはそれ以上の活性を有するコンプスタチン類似体を考慮する。特定の実施形態では、コンプスタチン類似体のIC50は約0.2μM〜約0.5μMである。特定の実施形態では、コンプスタチン類似体のIC50は約0.1μM〜約0.2μMである。特定の実施形態では、コンプスタチン類似体のIC50は約0.05μM〜約0.1μMである。特定の実施形態では、コンプスタチン類似体のIC50は約0.001μM〜約0.05μMである。

0049

C3と結合するコンプスタチンのKdは等温滴定熱量測定を用いて測定することができる(Katragaddaら,J.Biol.Chem.,279(53),54987−54995,2004)。当該技術分野で認められているように、様々なコンプスタチン類似体のC3に対する結合親和性とその活性との間には相関がみられ、Kdが低いほど結合親和性が高いことを示す。試験された特定の類似体には結合親和性と活性との間に線形相関が認められている(Katragadda,2004,上記;Katragadda 2006,上記)。本発明の特定の実施形態では、コンプスタチン類似体は0.1μM〜1.0μM、0.05μM〜0.1μM、0.025μM〜0.05μM、0.015μM〜0.025μM、0.01μM〜0.015μMまたは0.001μM〜0.01μMのKdでC3と結合する。

0050

「コンプスタチンに基づき設計または同定される」化合物としては、特に限定されないが、(i)コンプスタチンの配列を改変すること(例えば、コンプスタチンの配列の1つ以上のアミノ酸を異なるアミノ酸もしくはアミノ酸類似体に置き換えること、コンプスタチンの配列に1つ以上のアミノ酸もしくはアミノ酸類似体を挿入することまたはコンプスタチンの配列から1つ以上のアミノ酸を削除すること);(ii)コンプスタチンの1つ以上のアミノ酸を無作為化し、任意選択で方法(i)に従ってさらに改変するファージディスプレイペプチドライブラリーから選択すること;あるいは(iii)C3またはそのフラグメントとの結合に関して方法(i)または(ii)で得られたコンプスタチンまたはその任意の類似体と競合する化合物のスクリーニングにより同定することにより配列が得られるアミノ酸鎖を含む化合物が挙げられる。有用なコンプスタチン類似体の多くが疎水性クラスターβターンおよびジスルフィド架橋を含むものである。

0051

本発明の特定の実施形態では、コンプスタチン類似体の配列は、コンプスタチンの配列に1個、2個、3個または4個の置換を施すことにより、すなわち、コンプスタチンの配列中の1個、2個、3個または4個のアミノ酸を異なる標準アミノ酸にまたは非標準アミノ酸に置き換えることにより得られる配列を含むか、あるいは実質的にこれよりなるものである。本発明の特定の実施形態では、4位のアミノ酸を変化させる。本発明の特定の実施形態では、9位のアミノ酸を変化させる。本発明の特定の実施形態では、4位と9位のアミノ酸を変化させる。本発明の特定の実施形態では、4位と9位のアミノ酸のみを変化させる。本発明の特定の実施形態では、4位または9位のアミノ酸を変化させるか、あるいは特定の実施形態では、4位と9位のアミノ酸をともに変化させ、さらに1位、7位、10位、11位および13位から選択される位置にある2個以下のアミノ酸を変化させる。本発明の特定の実施形態では、4位、7位および9位のアミノ酸を変化させる。本発明の特定の実施形態では、2位、12位または両方のアミノ酸を変化させるが、この変化は化合物が環状化する能力を保存するものである。2位および/または12位におけるこのような変化(1つまたは複数)は、1位、4位、7位、9位、10位、11位および/または13位における変化(1つまたは複数)に追加されるものであってもよい。任意選択で、コンプスタチン配列の1個以上のアミノ酸を置き換えることにより得られる任意のコンプスタチン類似体の配列は、C末端に最大1個、2個または3個の追加のアミノ酸を含む。一実施形態では、追加のアミノ酸はGlyである。任意選択で、コンプスタチン配列の1つ以上のアミノ酸を置き換えることにより得られる任意のコンプスタチン類似体の配列は、C末端に最大5個または最大10個の追加のアミノ酸をさらに含む。特に明記されない限り、あるいは文脈から明らかでない限り、コンプスタチン類似体が本明細書に記載の様々な実施形態のいずれか1つ以上の特徴または特性を有し得ること、また任意の実施形態の特徴または特性が本明細書に記載の他の任意の実施形態をさらに特徴付け得ることを理解するべきである。本発明の特定の実施形態では、コンプスタチン類似体の配列は、コンプスタチンの配列の4位および9位に対応する位置に関する以外はコンプスタチンと同一の配列を含むか、あるいは実質的にこれよりなるものである。

0052

コンプスタチンおよびコンプスタチンよりもいくぶん活性が大きい特定のコンプスタチン類似体には標準アミノ酸(「標準アミノ酸」とは、グリシンロイシンイソロイシンバリンアラニンフェニルアラニンチロシン、トリプトファン、アスパラギン酸アスパラギングルタミン酸グルタミン、システイン、メチオニンアルギニンリジン、プロリン、セリントレオニンおよびヒスチジンである)のみが含まれている。活性が向上した特定のコンプスタチン類似体には非標準アミノ酸が1つ以上組み込まれている。有用な非標準アミノ酸としては、単一のハロゲン化を受けたおよび複数のハロゲン化を受けた(例えば、フッ素化された)アミノ酸、D−アミノ酸、ホモアミノ酸、N−アルキルアミノ酸、デヒドロアミノ酸、芳香族アミノ酸(フェニルアラニン、チロシンおよびトリプトファン以外)、オルト−、メタ−またはパラ−アミノ安息香酸ホスホ−アミノ酸、メトキシル化アミノ酸およびα,α−二置換アミノ酸が挙げられる。本発明の特定の実施形態では、本明細書の他の箇所の記載されているコンプスタチン類似体の1つ以上のL−アミノ酸を対応するD−アミノ酸に置き換えることにより、コンプスタチン類似体を設計する。このような化合物およびその使用方法は本発明の態様である。有用な非標準アミノ酸の例としては、2−ナフチルアラニン(2−NaI)、1−ナフチルアラニン(1−NaI)、2−インダニルグリシンカルボン酸(2Ig1)、ジヒドロトリプトファン(Dht)、4−ベンゾイル−L−フェニルアラニン(Bpa)、2−α−アミノ酪酸(2−Abu)、3−α−アミノ酪酸(3−Abu)、4−α−アミノ酪酸(4−Abu)、シクロヘキシルアラニン(Cha)、ホモシクロヘキシルアラニン(hCha)、4−フルオロ−L−トリプトファン(4fW)、5−フルオロ−L−トリプトファン(5fW)、6−フルオロ−L−トリプトファン(6fW)、4−ヒドロキシ−L−トリプトファン(4OH−W)、5−ヒドロキシ−L−トリプトファン(5OH−W)、6−ヒドロキシ−L−トリプトファン(6OH−W)、1−メチル−L−トリプトファン(1MeW)、4−メチル−L−トリプトファン(4MeW)、5−メチル−L−トリプトファン(5MeW)、7−アザ−L−トリプトファン(7aW)、α−メチル−L−トリプトファン(αMeW)、β−メチル−L−トリプトファン(βMeW)、N−メチル−L−トリプトファン(NMeW)、オルニチン(orn)、シトルリンノルロイシン、γ−グルタミン酸などが挙げられる。

0053

本発明の特定の実施形態では、コンプスタチン類似体はTrp類似体を(例えば、コンプスタチンの配列に対して4位および/または7位に)1つ以上含む。Trp類似体の例は上に記載されている。このほか、Beeneら,Biochemistry 41:10262−10269,2002(特に単一のハロゲン化を受けたTrp類似体および複数のハロゲン化を受けたTrp類似体について記載している);Babitzke & Yanofsky, J.Biol.Chem.270:12452−12456,1995(特にメチル化Trp、ハロゲン化Trpおよびその他のTrp類似体ならびにインドール類似体について記載している);および米国特許第6,214,790号、同第6,169,057号、同第5,776,970号、同第4,870,097号、同第4,576,750号および同第4,299,838号を参照されたい。その他のTrp類似体としては、インドール環のαまたはβ炭素および任意選択で1つ以上の位置においても(例えば、メチル基により)置換されている変異体が挙げられる。2つ以上の芳香環を含むアミノ酸が、その置換変異体、非置換変異体または別法で置換された変異体を含め、Trp類似体の対象となる。本発明の特定の実施形態では、例えば4位におけるTrp類似体は5−メトキシ、5−メチル−、1−メチル−または1−ホルミル−トリプトファンである。本発明の特定の実施形態では、1−アルキル置換基、例えば低級アルキル(例えば、C1〜C5)置換基を含むTrp類似体(例えば、4位における類似体)を用いる。特定の実施形態では、N(α)メチルトリプトファンまたは5−メチルトリプトファンを用いる。いくつかの実施形態では、1−アルカニオール(alkanyol)置換基、例えば低級アルカノイル(例えば、C1〜C5)を含む類似体を用いる。例としては、1−アセチル−L−トリプトファンおよびL−β−トリプトファンが挙げられる。

0054

特定の実施形態では、Trp類似体は疎水性がTrpに比べて増大している。例えば、インドール環は、1つ以上のアルキル(例えば、メチル)基で置換されたものであり得る。特定の実施形態では、Trp類似体はC3との疎水性相互作用に関与する。このようなTrp類似体は、例えば、コンプスタチンの配列に対して4位に位置し得る。特定の実施形態では、Trp類似体は、置換もしくは非置換二環式芳香環成分または2つ以上の置換もしくは非置換単環式芳香環成分を含む。

0055

特定の実施形態では、Trp類似体は、C3と水素結合を形成する傾向がTrpに比べて増大しているが、疎水性はTrpと比べて増大していない。Trp類似体は、極性がTrpに比べて増大したものであり得、かつ/またはC3上での水素結合供与体との静電気的な相互作用に関与する能力が増大したものであり得る。水素結合を形成する性質が増大した特定の例示的なTrp類似体は、インドール環上に電気陰性置換基を含むものである。このようなTrp類似体は、例えば、コンプスタチンの配列に対して7位に位置し得る。

0056

本発明の特定の実施形態では、コンプスタチン類似体は(例えば、コンプスタチンの配列に対して9位に)Ala類似体、側鎖にCH2基を1つ以上含むこと以外はAlaと同一であるAla類似体を1つ以上含む。特定の実施形態では、Ala類似体は、2−Abuのような非分岐の単一メチルアミノ酸である。本発明の特定の実施形態では、コンプスタチン類似体は、1つ以上のTrp類似体(例えば、コンプスタチンの配列に対して4位および/または7位に)と、Ala類似体(例えば、コンプスタチンの配列に対して9位に)とを含む。

0057

本発明の特定の実施形態では、コンプスタチン類似体は、(X’aa)n−Gln−Asp−Xaa−Gly−(X”aa)mの配列(配列番号2)を有するペプチドを含む化合物であり、式中、各X’aaおよび各X”aaは独立してアミノ酸またはアミノ酸類似体から選択され、XaaはTrpまたはTrpの類似体であり、かつn>1、m>1であり、n+mが5〜21である。ペプチドはコア配列Gln−Asp−Xaa−Glyを有し、式中、XaaはTrpまたはTrpの類似体、例えば、H結合供与体と水素結合を形成する傾向がTrpに比べて増大しているが、特定の実施形態では疎水性がTrpに比べて増大していないTrpの類似体である。例えば、類似体は、Trpのインドール環が電気陰性部分、例えば、フッ素などのハロゲンで置換されているものであり得る。一実施形態では、Xaaは5−フルオロトリプトファンである。反証がない限り、当業者であれば、配列がこのコア配列を含み、補体活性化を阻害する、かつ/またはC3と結合する任意の非天然のペプチドがコンプスタチンの配列に基づき設計されることを認識するであろう。別の実施形態では、Xaaは、Gln−Asp−Xaa−Glyペプチドがβターンを形成することが可能なアミノ酸またはTrp類似体以外のアミノ酸類似体である。

0058

本発明の特定の実施形態では、ペプチドはコア配列X’aa−Gln−Asp−Xaa−Gly(配列番号3)を有し、式中、X’aaおよびXaaはTrpおよびTrpの類似体から選択される。本発明の特定の実施形態では、ペプチドはコア配列X’aa−Gln−Asp−Xaa−Gly(配列番号3)を有し、式中、X’aaおよびXaaはTrp、Trpの類似体および芳香環を少なくとも1つ含むその他のアミノ酸またはアミノ酸類似体から選択される。本発明の特定の実施形態では、コア配列は、ペプチドとの関連でβターンを形成する。βターンは、柔軟であり、ペプチドが例えば核磁気共鳴(NMR)を用いて評価される2つ以上のコンホメーションをとることを可能にするものであり得る。特定の実施形態では、X’aaは、置換もしくは非置換二環式芳香環成分または2つ以上の置換もしくは非置換単環式芳香環成分を含むTrpの類似体である。本発明の特定の実施形態では、X’aaは2−ナフチルアラニン、1−ナフチルアラニン、2−インダニルグリシンカルボン酸、ジヒドロトリプトファンおよびベンゾイルフェニルアラニンからなる群より選択される。本発明の特定の実施形態では、X’aaは、疎水性がTrpに比べて増大しているTrpの類似体である。例えば、X’aaは1−メチルトリプトファンであり得る。本発明の特定の実施形態では、Xaaは、水素結合を形成する傾向がTrpに比べて増大しているが、特定の実施形態では疎水性がTrpに比べて増大していないTrpの類似体である。本発明の特定の実施形態では、水素結合を形成する傾向がTrpに比べて増大しているTrpの類似体は、Trpのインドール環の例えば5位に、5位のH原子のハロゲン原子による置換などの修飾を含む。例えば、Xaaは5−フルオロトリプトファンであり得る。

0059

本発明の特定の実施形態では、ペプチドはコア配列X’aa−Gln−Asp−Xaa−Gly−X”aa(配列番号4)を有し、式中、X’aaおよびXaaはそれぞれ独立して、TrpおよびTrpの類似体から選択され、X”aaはHis、Ala、Alaの類似体、Pheの類似体およびTrpの類似体から選択される。本発明の特定の実施形態では、X’aaは、疎水性がTrpに比べて増大している、1−メチルトリプトファンまたはインドール環上(例えば、1位、4位、5位または6位)にアルキル置換基を有する別のTrp類似体である。特定の実施形態では、X’aaは、置換もしくは非置換二環式芳香環成分または2つ以上の置換もしくは非置換単環式芳香環成分を含むTrpの類似体である。本発明の特定の実施形態では、X’aaは2−ナフチルアラニン、1−ナフチルアラニン、2−インダニルグリシンカルボン酸、ジヒドロトリプトファンおよびベンゾイルフェニルアラニンからなる群より選択される。本発明の特定の実施形態では、Xaaは、C3と水素結合を形成する傾向がTrpに比べて増大しているが、特定の実施形態では疎水性がTrpに比べて増大していないTrpの類似体である。本発明の特定の実施形態では、水素結合を形成する傾向がTrpに比べて増大しているTrpの類似体は、Trpのインドール環の例えば5位に、5位のH原子のハロゲン原子による置換などの修飾を含む。例えば、Xaaは5−フルオロトリプトファンであり得る。特定の実施形態では、X”aaは、AlaもしくはAbuなどのAlaの類似体または別の非分岐の単一メチルアミノ酸である。本発明の特定の実施形態では、ペプチドはコア配列X’aa−Gln−Asp−Xaa−Gly−X”aa(配列番号4)を有し、式中、X’aaおよびXaaはそれぞれ独立して、Trp、Trpの類似体および芳香族側鎖を少なくとも1つ含むアミノ酸またはアミノ酸類似体から選択され、X”aaはHis、Ala、Alaの類似体、PheおよびTrpから選択される。特定の実施形態では、X”aaはTrpの類似体、芳香族アミノ酸および芳香族アミノ酸類似体から選択される。

0060

本発明の特定の好ましい実施形態では、ペプチドは環状である。ペプチドは、一方が(X’aa)nであり他方が(X”aa)m内に位置する2つの任意のアミノ酸の間の結合により環状化され得る。特定の実施形態では、ペプチドの環状部分は長さが9〜15アミノ酸、例えば、長さが10〜12アミノ酸である。特定の実施形態では、ペプチドの環状部分は、長さが11アミノ酸であり、2位と12位のアミノ酸の間に結合(例えば、ジスルフィド結合)を有する。例えば、ペプチドは、長さが13アミノ酸であり、2位と12位のアミノ酸の間の結合により長さが11アミノ酸の環状部分が生じたものであり得る。

0061

特定の実施形態では、ペプチドは、配列X’aa1−X’aa2−X’aa3−X’aa4−Gln−Asp−Xaa−Gly−X”aa1−X”aa2−X”aa3−X”aa4−X”aa5(配列番号5)を含むか、あるいはこれよりなるものである。特定の実施形態では、X’aa4およびXaaはTrpおよびTrpの類似体から選択され、X’aa1、X’aa2、X’aa3、X”aa1、X”aa2、X”aa3、X”aa4およびX”aa5は独立してアミノ酸およびアミノ酸類似体から選択される。特定の実施形態では、X’aa4およびXaaは芳香族アミノ酸および芳香族アミノ酸類似体から選択される。X’aa1、X’aa2、X’aa3、X”aa1、X”aa2、X”aa3、X”aa4およびX”aa5のうち任意の1つ以上のものが、コンプスタチンの対応する位置にあるアミノ酸と一致し得る。一実施形態では、X”aa1はAlaまたは単一メチル非分岐アミノ酸である。ペプチドは、(i)X’aa1、X’aa2またはX’aa3と(ii)X”aa2、X”aa3、X”aa4またはX”aa5との間の共有結合により環状化され得る。一実施形態では、ペプチドは、X’aa2とX”aa4との間の共有結合により環状化されている。一実施形態では、共有結合しているアミノ酸がそれぞれCysであり、共有結合がジスルフィド(S−S)結合である。他の実施形態では、共有結合がC−C、C−O、C−SまたはC−N結合である。特定の実施形態では、一方の共有結合している残基が、第一級または第二級アミンを含む側鎖を有するアミノ酸またはアミノ酸類似体であり、他方の共有結合している残基が、カルボン酸基を含む側鎖を有するアミノ酸またはアミノ酸類似体であり、かつ共有結合がアミド結合である。第一級または第二級アミンを含む側鎖を有するアミノ酸またはアミノ酸類似体としては、リジンならびに一般構造がNH2(CH2)nCH(NH2)COOHのジアミノカルボン酸、例えば2,3−ジアミノプロピオン酸(dapa)、2,4−ジアミノ酪酸(daba)およびオルニチン(orn)(式中、それぞれn=1(dapa)、2(daba)および3(orn)である)などが挙げられる。カルボン酸基を含む側鎖を有するアミノ酸の例としては、グルタミン酸およびアスパラギン酸などのジカルボキシルアミノ酸が挙げられる。このほか、β−ヒドロキシ−L‐グルタミン酸などの類似体を使用し得る。いくつかの実施形態では、例えば国際出願PCT/US2011/052442号(国際公開第2012/040259号)に記載されているように、チオエーテル結合によりペプチドを環状化する。例えば、いくつかの実施形態では、いずれかのペプチドのジスルフィド結合をチオエーテル結合に置き換える。いくつかの実施形態では、シスタチオニンが形成される。いくつかの実施形態では、シスタチオニンはδ−シスタチオニンまたはγ−シスタチオニンである。いくつかの実施形態では、修飾は、配列番号5のX’aa2とX”aa4(または他の配列の対応する位置)のシステイン間のCys−Cysジスルフィド結合をCH2の付加により置き換えてX’aa2またはX”aa4にホモシステインを形成することと、チオエーテル結合を導入してシスタチオニンを形成することとを含む。一実施形態では、シスタチオニンはγ−シスタチオニンである。別の実施形態では、シスタチオニンはδ−シスタチオニンである。本発明による別の修飾は、CH2を付加せずにジスルフィド結合をチオエーテル結合に置き換えてランチチオニン(lantithionine)を形成することを含む。いくつかの実施形態では、ジスルフィド結合の代わりにチオエーテルを有するコンプスタチン類似体は、少なくとも一部の条件下で、ジスルフィド結合を有するコンプスタチン類似体に比べて安定性が増大している。

0062

特定の実施形態では、コンプスタチン類似体は、配列:
Xaa1−Cys−Val−Xaa2−Gln−Asp−Xaa2*−Gly−Xaa3−His−Arg−Cys−Xaa4(配列番号6)
[式中、
Xaa1はIle、Val、Leu、B1−Ile、B1−Val、B1−LeuまたはGly−IleもしくはB1−Gly−Ileを含むジペプチドであり、B1は第一のブロック部分を表し;
Xaa2およびXaa2*は独立して、TrpおよびTrpの類似体から選択され;
Xaa3はHis、AlaまたはAlaの類似体、Phe、TrpまたはTrpの類似体であり;
Xaa4はL−Thr、D−Thr、Ile、Val、Gly、Thr−AlaおよびThr−Asnから選択されるジペプチドまたはThr−Ala−Asnを含むトリペプチドであり、L−Thr、D−Thr、Ile、Val、Gly、AlaまたはAsnのいずれかのカルボキシ末端−OHが任意選択で第二のブロック部分B2に置き換わっており;
2つのCys残基はジスルフィド結合により結合している]
を有するペプチドを含む化合物である。いくつかの実施形態では、Xaa4はLeu、Nle、HisもしくはPheまたはXaa5−AlaおよびXaa5−Asnから選択されるデペプチド(depeptide)またはトリペプチドXaa5−Ala−Asnであり、式中、Xaa5はLeu、Nle、HisまたはPheから選択され、L−Thr、D−Thr、Ile、Val、Gly、Leu、Nle、His、Phe、AlaまたはAsnのいずれかのカルボキシ末端−OHが任意選択で第二のブロック部分B2に置き換わっており:2つのCys残基はジスルフィド結合により結合している。

0063

他の実施形態では、Xaa1は存在しないか、あるいは任意のアミノ酸またはアミノ酸類似体であり、Xaa2、Xaa2*、Xaa3およびXaa4は上で定義した通りのものである。Xaa1が存在しない場合、N末端Cys残基は、それに結合したブロック部分B1を有する。

0064

別の実施形態では、Xaa4は任意のアミノ酸またはアミノ酸類似体であり、Xaa1、Xaa2、Xaa2*およびXaa3は上で定義した通りのものである。別の実施形態では、Xaa4は、Thr−AlaおよびThr−Asnからなる群より選択されるジペプチドであり、式中、カルボキシ末端−OHまたはAlaもしくはAsnが任意選択で第二のブロック部分B2に置き換わっている。

0065

配列番号6のコンプスタチン類似体のいずれかの実施形態では、Xaa2はTrpであり得る。

0066

配列番号6のコンプスタチン類似体のいずれかの実施形態では、Xaa2は、置換もしくは非置換二環式芳香環成分または2つ以上の置換もしくは非置換単環式芳香環成分を含むTrpの類似体であり得る。例えば、Trpの類似体は2−ナフチルアラニン(2−NaI)、1−ナフチルアラニン(1−NaI)、2−インダニルグリシンカルボン酸(Ig1)、ジヒドロトリプトファン(Dht)および4−ベンゾイル−L−フェニルアラニンから選択され得る。

0067

配列番号6のコンプスタチン類似体のいずれかの実施形態では、Xaa2は、疎水性がTrpに比べて増大しているTrpの類似体であり得る。例えば、Trpの類似体は1−メチルトリプトファン、4−メチルトリプトファン、5−メチルトリプトファンおよび6−メチルトリプトファンから選択され得る。一実施形態では、Trpの類似体は1−メチルトリプトファンである。一実施形態では、Xaa2は1−メチルトリプトファンであり、Xaa2*はTrpであり、Xaa3はAlaであり、その他のアミノ酸はコンプスタチンのものと一致している。

0068

配列番号6のコンプスタチン類似体のいずれかの実施形態では、Xaa2*はTrpの類似体、例えばC3と水素結合を形成する傾向がTrpに比べて増大しているが、特定の実施形態では疎水性がTrpに比べて増大していないTrpの類似体などであり得る。特定の実施形態では、Trpの類似体はインドール環上に電気陰性置換基を含む。例えば、Trpの類似体は、5−フルオロトリプトファンおよび6−フルオロトリプトファンから選択され得る。

0069

本発明の特定の実施形態では、Xaa2はTrpであり、Xaa2*は、C3と水素結合を形成する傾向がTrpに比べて増大しているが、特定の実施形態では疎水性がTrpに比べて増大していないTrpの類似体である。配列番号6のコンプスタチン類似体の特定の実施形態では、Xaa2は、疎水性がTrpに比べて増大しているTrpの類似体、例えば1−メチルトリプトファン、4−メチルトリプトファン、5−メチルトリプトファンおよび6−メチルトリプトファンから選択されるTrpの類似体などであり、Xaa2*は、C3と水素結合を形成する傾向がTrpに比べて増大しているが、特定の実施形態では疎水性がTrpに比べて増大していないTrpの類似体である。例えば、一実施形態では、Xaa2はメチルトリプトファンであり、Xaa2*は5−フルオロトリプトファンである。

0070

上記実施形態のうち特定の実施形態では、Xaa3はAlaである。上記実施形態のうち特定の実施形態では、Xaa3は単一メチル非分岐アミノ酸、例えばAbuである。

0071

本発明はさらに、上記の配列番号6のコンプスタチン類似体であって、Xaa2およびXaa2*が独立して、Trp、Trpの類似体および芳香環を少なくとも1つ含むその他のアミノ酸またはアミノ酸類似体から選択され、Xaa3がHis、AlaもしくはAlaの類似体、Phe、Trp、Trpの類似体または別の芳香族アミノ酸もしくは芳香族アミノ酸類似体であるコンプスタチン類似体を提供する。

0072

本発明の特定の実施形態では、本明細書に記載のいずれかのコンプスタチン類似体のN末端またはC末端に存在するブロック部分は、哺乳動物(例えばヒトまたは非ヒト霊長類)の血液中または間質液中で生じ得る分解に対してペプチドを安定化させる任意の部分である。例えば、ブロック部分B1は、ペプチドのN末端アミノ酸とそれに隣接するアミノ酸との間のペプチド結合の切断が阻害されるようペプチドのN末端の構造を変化させる任意の部分であり得る。ブロック部分B2は、ペプチドのC末端アミノ酸とそれに隣接するアミノ酸との間のペプチド結合の切断が阻害されるようペプチドのC末端の構造を変化させる任意の部分であり得る。当該技術分野で公知の任意の適切なブロック部分を用いることができる。本発明の特定の実施形態では、ブロック部分B1はアシル基(すなわち、カルボン酸から−OH基を除去して残った部分)を含む。アシル基は通常、1〜12個の炭素、例えば1〜6個の炭素を含む。例えば、本発明の特定の実施形態では、ブロック部分B1は、ホルミル、アセチル、プロプリオニル、ブチリル、イソブチリル、バレリル、イソバレリルなどからなる群より選択される。一実施形態では、ブロック部分B1はアセチル基である、すなわち、Xaa1はAc−Ile、Ac−Val、Ac−LeuまたはAc−Gly−Ileである。

0073

本発明の特定の実施形態では、ブロック部分B2は第一級または第二級アミン(Rがアルキル基などの有機部分である−NH2または−NHR1)である。

0074

本発明の特定の実施形態では、ブロック部分B1は、生理的pHにおいてN末端に存在し得る負電荷中和する、あるいは減少させる任意の部分である。本発明の特定の実施形態では、ブロック部分B2は、生理的pHにおいてC末端に存在し得る負電荷を中和する、あるいは減少させる任意の部分である。

0075

本発明の特定の実施形態では、コンプスタチン類似体は、N末端および/またはC末端でそれぞれアセチル化またはアミド化されている。コンプスタチン類似体は、N末端でアセチル化されていても、あるいはC末端でアミド化されていても、あるいはN末端でアセチル化されかつC末端でアミド化されていてもよい。本発明の特定の実施形態では、コンプスタチン類似体は、N末端にアセチル基ではなくアルキル基またはアリール基を含む。

0076

特定の実施形態では、コンプスタチン類似体は、配列:
Xaa1−Cys−Val−Xaa2−Gln−Asp−Xaa2*−Gly−Xaa3−His−Arg−Cys−Xaa4(配列番号7)
[式中、
Xaa1はIle、Val、Leu、Ac−Ile、Ac−Val、Ac−LeuまたはGly−IleもしくはAc−Gly−Ileを含むジペプチドであり;
Xaa2およびXaa2*は独立して、TrpおよびTrpの類似体から選択され;
Xaa3はHis、AlaまたはAlaの類似体、Phe、TrpまたはTrpの類似体であり;
Xaa4はL−Thr、D−Thr、Ile、Val、Gly、Thr−AlaおよびThr−Asnから選択されるジペプチドまたはThr−Ala−Asnを含むトリペプチドであり、式中、L−Thr、D−Thr、Ile、Val、Gly、AlaまたはAsnのいずれかのカルボキシ末端−OHが任意選択で−NH2に置き換わっており;
2つのCys残基はジスルフィド結合により結合している]
を有するペプチドを含む化合物である。いくつかの実施形態では、Xaa4はLeu、Nle、HisもしくはPheまたはXaa5−AlaおよびXaa5−Asnから選択されるデペプチド(depeptide)またはトリペプチドXaa5−Ala−Asnであり、式中、Xaa5はLeu、Nle、HisまたはPheから選択され、L−Thr、D−Thr、Ile、Val、Gly、Leu、Nle、His、Phe、AlaまたはAsnのいずれかのカルボキシ末端−OHが任意選択で第二のブロック部分B2に置き換わっており;
2つのCys残基はジスルフィド結合により結合している。

0077

いくつかの実施形態では、Xaa1、Xaa2、Xaa2*、Xaa3およびXaa4は、配列番号6の各種実施形態について上で述べた通りのものである。例えば、特定の実施形態では、Xaa2*はTrpである。特定の実施形態では、Xaa2は、疎水性がTrpに比べて増大しているTrpの類似体、例えば1−メチルトリプトファンである。特定の実施形態では、Xaa3はAlaである。特定の実施形態では、Xaa3は単一メチル非分岐アミノ酸である。

0078

本発明の特定の実施形態では、Xaa1はIleであり、Xaa4はL−Thrである。

0079

本発明の特定の実施形態では、Xaa1はIleであり、Xaa2*はTrpであり、Xaa4はL−Thrである。

0080

本発明はさらに、上記の配列番号7のコンプスタチン類似体であって、Xaa2およびXaa2*が独立して、Trp、Trpの類似体、その他のアミノ酸または芳香族アミノ酸類似体から選択され、Xaa3がHis、AlaもしくはAlaの類似体、Phe、Trp、Trpの類似体または別の芳香族アミノ酸もしくは芳香族アミノ酸類似体であるコンプスタチン類似体を提供する。

0081

本明細書に記載のいずれかのコンプスタチン類似体の特定の実施形態では、PheではなくPheの類似体を用いる。

0082

表1は、本発明に有用なコンプスタチン類似体の非限定的なリストを記載したものである。各類似体は、親ペプチドであるコンプスタチンと比較して、指定された位置(1〜13位)における具体的な修飾を示すことにより左側の列に省略形で記されている。当該技術分野で使用される通り、本明細書で使用される「コンプスタチン」およびコンプスタチンの活性と比較した本明細書に記載のコンプスタチン類似体の活性は、C末端でアミド化されたコンプスタチンペプチドのことを指す。特に明示されない限り、表1のペプチドはC末端でアミド化されている。太字を用いて特定の修飾を示した。コンプスタチンと比較した活性は、公開されているデータおよびそこに記載されているアッセイに基づくものである(国際公開第2004/026328号,同第2007044668号,Mallik,2005;Katragadda,2006)。1つの活性について報告している刊行物を複数参照する場合、最近公開された方の値を用いたが、アッセイ間に相違がある場合は値を調整し得ることが認識されよう。また、本発明の特定の実施形態では、表1に挙げられたペプチドが本発明の治療用組成物および方法で使用される場合、これらは2つのCys残基の間のジスルフィド結合を介して環状化されることも理解されよう。ペプチドを環状化する別の手段も本発明の範囲内にある。上記のように、本発明の様々な実施形態では、コンプスタチン類似体(例えば、本明細書に開示されるコンプスタチン類似体のいずれか)の1つ以上のアミノ酸がN−アルキルアミノ酸(例えば、N−メチルアミノ酸)であり得る。例えば、特に限定されないが、ペプチドの環状部分の内側にある少なくとも1つのアミノ酸、環状部分のN末端にある少なくとも1つのアミノ酸および/または環状部分のC末端にある少なくとも1つのアミノ酸がN−アルキルアミノ酸、例えばN−メチルアミノ酸であり得る。本発明のいくつかの実施形態では、例えば、コンプスタチン類似体は、例えばコンプスタチンの8位に対応する位置および/またはコンプスタチンの13位に対応する位置に、N−メチルグリシンを含む。いくつかの実施形態では、表1の1つ以上のコンプスタチン類似体が、例えばコンプスタチンの8位に対応する位置および/またはコンプスタチンの13位に対応する位置に、N−メチルグリシンを1つ以上含む。

0083

NA=該当データなし
表1

0084

本発明の組成物および方法の特定の実施形態では、コンプスタチン類似体は、配列9〜36から選択される配列を有する。本発明の組成物および方法の特定の実施形態では、コンプスタチン類似体は、配列番号14、21、28、29、32、33、34および36から選択される配列を有する。本発明の組成物および/または方法の特定の実施形態では、コンプスタチン類似体は、配列番号30および31から選択される配列を有する。本発明の組成物および方法の一実施形態では、コンプスタチン類似体は配列番号28の配列を有する。本発明の組成物および方法の一実施形態では、コンプスタチン類似体は配列番号32の配列を有する。本発明の組成物および方法の一実施形態では、コンプスタチン類似体は配列番号34の配列を有する。本発明の組成物および方法の一実施形態では、コンプスタチン類似体は配列番号36の配列を有する。

0085

本発明の組成物および方法の特定の実施形態では、コンプスタチン類似体は表1に記載の配列を有するが、上記にようにAc基が代わりのブロック部分B1に置き換わっている。いくつかの実施形態では、−NH2基は上記のように代わりのブロック部分B2に置き換わっている。

0086

一実施形態では、コンプスタチン類似体は、ヒトC3のβ鎖のうちコンプスタチンが結合する領域と実質的に同じ領域と結合する。一実施形態では、コンプスタチン類似体は、ヒトC3のβ鎖のうちコンプスタチンが結合する分子量が約40kDaのC末端部分のフラグメントと結合する化合物である(Soulika,A.M.ら,Mol.Immunol.,35:160,1998;Soulika,A.M.ら,Mol.Immunol.43(12):2023−9,2006)。特定の実施形態では、コンプスタチン類似体は、コンプスタチン−C3構造、例えば、結晶構造またはNMRによる3D構造で決定されるコンプスタチンの結合部位と結合する化合物である。特定の実施形態では、コンプスタチン類似体は、コンプスタチン−C3構造内のコンプスタチンと置き換わることが可能であり、実質的にコンプスタチンと同じC3との分子間の接触を形成し得る化合物である。特定の実施形態では、コンプスタチン類似体は、ペプチド−C3構造内、例えば結晶構造内の表1に記載の配列、例えば配列番号14、21、28、29、32、33、34または36を有するペプチドの結合部位と結合する化合物である。特定の実施形態では、コンプスタチン類似体は、ペプチド−C3構造内、例えば結晶構造内の配列番号30または31を有するペプチドの結合部位と結合する化合物である。特定の実施形態では、コンプスタチン類似体は、配列番号9〜36のペプチドと置き換わることが可能な化合物、例えば、ペプチド−C3構造内の配列番号14、21、28、29、32、33、34または36のペプチドと置き換わることが可能であり、実質的にそのペプチドと同じC3との分子間の接触を形成し得る化合物である。特定の実施形態では、コンプスタチン類似体は、ペプチド−C3構造内の配列番号30または31のペプチドと置き換わることが可能であり、実質的にそのペプチドと同じC3との分子間の接触を形成し得る化合物である。

0087

当業者は、日常的な実験方法を用いて、コンプスタチン類似体がC3のβ鎖のC末端部分のフラグメントと結合するかどうかを容易に判定することができるであろう。例えば、当業者であれば、化合物中の例えば、配列のC末端にp−ベンゾイル−L−フェニルアラニン(Bpa)などの光架橋アミノ酸を含ませることにより、光架橋性のコンプスタチン類似体合成することが可能であろう(Soulika,A.M.ら,上記)。任意選択で、追加のアミノ酸、例えば、FLAGタグまたはHAタグなどのエピトープタグを含ませて、例えばウエスタンブロット法による化合物の検出を容易にすることが可能である。コンプスタチン類似体をフラグメントとインキュベートして架橋を開始する。コンプスタチン類似体とC3フラグメントの共局在が結合を示す。このほか、表面プラズモン共鳴を用いて、コンプスタチン類似体がC3のコンプスタチン結合部位またはそのフラグメントと結合するかどうかを判定してもよい。当業者であれば分子モデリングソフトウェアプログラムを用いて、化合物がコンプスタチンあるいは表1に記載のいずれかのペプチドの配列、例えば、配列番号14、21、28、29、32、33、34もしくは36またはいくつかの実施形態では配列番号30もしくは31の配列を有するペプチドと実質的に同じC3との分子間の接触を形成するかどうかを予測することが可能であろう。

0088

アミノ酸残基縮合を介した当該技術分野で公知のペプチド合成の様々な合成方法によりコンプスタチン類似体を調製することができ、例えば、従来のペプチド合成法に従い、当該技術分野で公知の方法を用いて、それをコードする適切な核酸配列からin vitroまたは生きた細胞内で発現させることにより、コンプスタチン類似体を調製することができる。例えば、Malik,上記,Katragadda,上記,国際公開第2004026328号および/または国際公開第2007062249号に記載されている標準的な固相法を用いて、ペプチドを合成することができる。当該技術分野で公知の様々な保護基および方法論を用いて、アミノ基およびカルボキシル基、反応性官能基などのような潜在的に反応性の部分を保護し、次いで脱保護することができる。例えば、「Protective Groups in Organic Synthesis」,第3版(Greene,T.W.およびWuts,P.G.編,John Wiley & Sons,New York:1999)を参照されたい。逆相HPLCなどの標準的な方法を用いて、ペプチドを精製することができる。必要に応じて、逆相HPLCなどの既知の方法を用いて、ジアステレオマーペプチドペプチドの分離を行ってもよい。所望に応じて、調製物凍結乾燥させ、次いで適切な溶媒、例えば水に溶解させてもよい。得られた溶液のpHは、NaOHなどの塩基を用いて、例えば生理的pHに調整することができる。必要に応じて、質量分析によってペプチド調製物の特徴付けを行い、質量および/またはジスルフィド結合形成を確認してもよい。例えば、Mallik,2005およびKatragadda,2006を参照されたい。

0089

任意選択で細胞反応性部分または標的化部分と結合させたコンプスタチン類似体を、ポリエチレングリコール(PEG)またはこれと同様の分子などの分子の付加により修飾して、化合物を安定化させる、その免疫原性を低減する、その体内での寿命を延ばす、その溶解性を増大または低減する、および/または分解に対するその耐性を増大させることができる。PEG化の方法は当該技術分野で周知である(Veronese,F.M.およびHarris,Adv.Drug Deliv.Rev.54,453−456,2002;Davis,F.F.,Adv.Drug Deliv.Rev.54,457−458,2002);Hinds,K.D.およびKim,S.W.Adv.Drug Deliv.Rev.54,505−530(2002;Roberts,M.J.,Bentley,M.D.およびHarris,J.M.Adv.Drug Deliv.Rev.54,459−476;2002);Wang,Y.S.ら,Adv.Drug Deliv.Rev.54,547−570,2002)。ポリペプチドを適宜結合させることができるPEGおよび誘導体化されたPEGを含めた修飾PEGなどの多種多様なポリマーがNektar Advanced PEG化 2005−2006 Product Catalog,Nektar Therapeutics,San Carlos,CAに記載されており、この文献からほかにも、適切なコンジュゲーション法の詳細を知ることができる。別の実施形態では、コンプスタチン類似体を免疫グロブリンFcドメインまたはその一部分と融合させる。他のいくつかの実施形態では、コンプスタチン類似体をアルブミン部分またはアルブミン結合ペプチドコンジュゲートする。したがって、いくつかの実施形態では、コンプスタチン類似体を1つ以上のポリペプチド成分または非ポリペプチド成分で修飾する、例えば、コンプスタチン類似体をペグ化するか、別の部分とコンジュゲートする。いくつかの実施形態では、成分は免疫グロブリンのFcドメインでもその一部分でもない。コンプスタチン類似体を単一の分子種または複数の異なる分子種(例えば、複数の異なる類似体)を含み得る多量体として、あるいは超分子複合体の一部として得ることができる。

0090

いくつかの実施形態では、コンプスタチン類似体は、ポリマー骨格またはポリマー足場と共有結合または非共有結合した複数のコンプスタチン類似体部分を含む多価化合物である。コンプスタチン類似体部分は同一のものでも異なるものでもよい。本発明の特定の実施形態では、多価化合物は、複数例または複数コピーの単一のコンプスタチン類似体部分を含む。本発明の他の実施形態では、多価化合物は、2種類以上の異なるコンプスタチン類似体部分、例えば、3種類、4種類、5種類またはそれ以上の異なるコンプスタチン類似体部分のそれぞれの例を1つ以上含む。本発明の特定の実施形態では、コンプスタチン類似体部分の個数(「n」)は2〜6である。本発明の他の実施形態では、nは7〜20である。本発明の他の実施形態では、nは20〜100である。他の実施形態では、nは100および1,000である。本発明の他の実施形態では、nは1,000〜10,000である。他の実施形態では、nは10,000〜50,000である。他の実施形態では、nは50,000〜100,000である。他の実施形態では、nは100,000〜1,000,000である。

0091

コンプスタチン類似体部分は、ポリマー足場と直接結合させても、あるいはコンプスタチン類似体部分とポリマー足場とを接続する結合部分を介して結合させてもよい。結合部分は単一のコンプスタチン類似体部分およびポリマー足場と結合させることができる。あるいは、結合部分が複数のコンプスタチン類似体部分をポリマー足場と結合させるよう、結合部分がそれと結合した複数のコンプスタチン類似体部分を有していてもよい。

0092

いくつかの実施形態では、コンプスタチン類似体は、第一級または第二級アミンを含む側鎖を有するアミノ酸、例えばLys残基を含む。例えば、コンプスタチン類似体のN末端および/またC末端にLys残基またはLys残基を含む配列が付加されている。いくつかの実施形態では、Lys残基は、堅いスペーサーまたは柔軟なスペーサーによりコンプスタチン類似体の環状部分と分離されている。スペーサーは、例えば、置換または非置換の飽和または不飽和アルキル鎖、オリゴエチレングリコール)鎖および/またはその他の部分、例えば、リンカーに関して第VI節に記載されているものを含み得る。鎖の長さは、例えば、炭素原子2〜20個であり得る。他の実施形態では、スペーサーはペプチドである。ペプチドスペーサーは、例えば、長さが1〜20アミノ酸、例えば、長さが4〜20アミノ酸であり得る。適切なスペーサーは、例えば、複数のGly残基、Ser残基またはその両方を含むか、あるいはこれよりなるものであり得る。任意選択で、第一級もしくは第二級アミンを含む側鎖を有するアミノ酸および/またはスペーサー内の少なくとも1つのアミノ酸はD−アミノ酸である。任意の各種ポリマー骨格またはポリマー足場を用いることができる。例えば、ポリマー骨格またはポリマー足場はポリアミド多糖ポリ酸無水物ポリアクリルアミドポリメタクリル酸、ポリペプチド、ポリエチレンオキシドまたはデンドリマーであり得る。例えば、国際公開第98/46270号(国際出願PCT/US98/07171号)または国際公開第98/47002号(国際出願PCT/US98/06963号)に適切な方法およびポリマー骨格が記載されている。一実施形態では、ポリマー骨格またはポリマー足場は、カルボン酸基、無水物基またはスクシンイミド基などの複数の反応性官能基を含む。ポリマー骨格またはポリマー足場をコンプスタチン類似体と反応させる。一実施形態では、コンプスタチン類似体は、カルボン酸、無水物基またはスクシンイミド基などの多数の異なる反応性官能基のいずれかを含み、これらをポリマー骨格のしかるべき基と反応させる。あるいは、互いに結合してポリマー骨格またはポリマー足場を形成し得るモノマー単位を最初にコンプスタチン類似体と反応させ、得られたモノマーを重合させる。別の実施形態では、短鎖を重合し、官能化した後、異なる組成の短鎖の混合物を長いポリマーに組み立てる。

0093

V.コンプスタチン模倣物
コンプスタチンの構造は当該技術分野で公知であり、またコンプスタチンより高い活性を有する数多くのコンプスタチン類似体のNMR構造も知られている(Malik,上記)。構造に関する情報を用いてコンプスタチン模倣物を設計することができる。

0094

一実施形態では、コンプスタチン模倣物は、C3またはそのフラグメント(コンプスタチンが結合するβ鎖の40kDフラグメントなど)との結合に関してコンプスタチンまたは任意のコンプスタチン類似体(例えば、表1に記載されている配列のコンプスタチン類似体)と競合する任意の化合物である。いくつかの実施形態では、コンプスタチン模倣物は、コンプスタチンの活性と同等かそれを上回る活性を有する。いくつかの実施形態では、コンプスタチン模倣物は、コンプスタチンより安定であるか、経口使用しやすいか、バイオアベイラビリティが高い。コンプスタチン模倣物はペプチド、核酸または小分子であり得る。特定の実施形態では、コンプスタチン模倣物は、コンプスタチン−C3構造、例えば、結晶構造またはNMR実験で得られる3−D構造において決定されるコンプスタチンの結合部位に結合する化合物である。特定の実施形態では、コンプスタチン模倣物は、コンプスタチン−C3構造内のコンプスタチンと置き換わることが可能で、コンプスタチンと実質的に同じC3との分子間の接触を形成し得る化合物である。特定の実施形態では、コンプスタチン模倣物は、ペプチド−C3構造内の表1に記載の配列、例えば、配列番号14、21、28、29、32、33、34もしくは36または特定の実施形態では配列番号30もしくは31を有するペプチドの結合部位と結合する化合物である。特定の実施形態では、コンプスタチン模倣物は、ペプチド−C3構造内の表1に記載の配列、例えば、配列番号14、21、28、29、32、33、34もしくは36または特定の実施形態では配列番号30もしくは31を有するペプチドと置き換わることが可能で、そのペプチドと実質的に同じC3との分子間の接触を形成し得る化合物である。特定の実施形態では、コンプスタチン模倣物は非ペプチド骨格を有するが、コンプスタチンの配列に基づき設計された配列で配置された側鎖を有する。

0095

短いペプチドの具体的な所望のコンホメーションが確認されれば、そのコンホメーションに適合するペプチドまたはペプチド模倣物を設計する方法がよく知られていることを当業者は理解するであろう。例えば、G.R.Marshall(1993),Tetrahedron,49:3547−3558;HrubyおよびNikiforovich(1991)(Molecular Conformation and Biological Interactions,P.Balaram & S.Ramasehan編,Indian Acad.of Sci.,Bangalore,PP.429−455)、Eguchi M,Kahn M.,Mini Rev Med Chem.,2(5):447−62,2002を参照されたい。本発明に特に関連して、例えば、とりわけ、コンプスタチンおよびその類似体に関して当該技術分野で報告されているように、官能基の作用または立体構造上の考慮事項へのアミノ酸残基の様々な側鎖の関与を考慮に入れることにより、ペプチド類似体の設計をさらに精緻化することができる。

0096

C3と結合して補体活性化を阻害するのに必要な特定の骨格コンホメーションおよび側鎖官能基をもたらすという目的に、ペプチド模倣物がペプチドと等しく十分に役立ち得ることが当業者に理解されよう。したがって、結合して適切な骨格コンホメーションを形成することができる天然のアミノ酸、アミノ酸誘導体、アミノ酸類似体または非アミノ酸分子のいずれかを使用ことにより、C3と結合し補体を阻害する化合物を作製し使用することが本発明の範囲内にあるものとして考慮される。本明細書では、例示のペプチドと類似するようにそれとほぼ同じ骨格コンホメーション特性および/またはその他の機能性を有し補体活性化を阻害することができるペプチドの置換体または誘導体を表すために、非ペプチド類似体またはペプチド成分非ペプチド成分とを含む類似体を「ペプチド模倣物」または「アイソスター模倣物」と呼ぶことがある。より一般的には、コンプスタチン模倣物とは、骨格が異なっていてもファルマコフォアがそのコンプスタチンにおける位置付けと同様に位置付けされ得る任意の化合物のことである。

0097

高親和性のペプチド類似体開発のためにペプチド模倣物を使用することは、当該技術分野で周知である。ペプチド内のアミノ酸残基とほぼ同じ回転束縛を仮定し、既知の技術の中でも特にRamachandranプロットを用いて、非アミノ酸部分を含む類似体を分析し、コンホメーションモチーフを検証することができる(HrubyおよびNikiforovich 1991)。

0098

当業者は、容易に適切なスクリーニングアッセイを確立して、さらなるコンプスタチン模倣物を同定し、所望の阻害活性を有するものを選択することができるであろう。例えば、コンプスタチンまたはその類似体を(例えば、放射性標識または蛍光標識で)標識し、様々な濃度の試験化合物の存在下でC3と接触させることができる。試験化合物がコンプスタチン類似体とC3の結合を減少させる能力を評価する。コンプスタチン類似体とC3との結合を有意に減少させる試験化合物をコンプスタチン模倣物の候補とする。例えば、コンプスタチン類似体−C3複合体の定常状態濃度を減少させる試験化合物またはコンプスタチン類似体−C3複合体の形成率を少なくとも25%または少なくとも50%減少させる試験化合物をコンプスタチン模倣物候補とする。当業者には、このスクリーニングアッセイの数多くの変形物を用い得ることが認識されるであろう。スクリーニングの対象となる化合物としては、天然の生成物アプタマーライブラリーファージディスプレイライブラリー、コンビナトリアル化学を用いて合成された化合物ライブラリーなどが挙げられる。本発明は、上記コア配列に基づいて化合物のコンビナトリアルライブラリーを合成し、そのライブラリーをスクリーニングしてコンプスタチン模倣物を同定することを包含する。このほか、ここに挙げたいずれかの方法を用いて、それまでに試験したコンプスタチン類似体よりも阻害活性が高い新たなコンプスタチン類似体を同定することができる。本発明の細胞反応性化合物にコンプスタチン模倣物を使用し得ること、また本発明がこのような細胞反応性コンプスタチン模倣物を提供することが理解されよう。

0099

VI.細胞反応性または長時間作用型コンプスタチン類似体
本発明は様々な細胞反応性コンプスタチン類似体を提供する。いくつかの態様では、細胞反応性コンプスタチン類似体は式A−L−Mの化合物を含み、式中、Aは細胞反応性官能基Jを含む部分であり、Lは任意選択で存在する結合部であり、Mはコンプスタチン類似体部分を含む。コンプスタチン類似体部分は、様々な実施形態において任意のコンプスタチン類似体、例えば、上記の任意のコンプスタチン類似体を含み得る。式A−L−Mは、A−Lがコンプスタチン類似体部分のN末端に存在する実施形態、A−Lがコンプスタチン類似体部分のC末端に存在する実施形態、A−Lがコンプスタチン類似体部分のアミノ酸の側鎖に結合している実施形態および同じまたは異なるA−LがMの両端に存在する実施形態を包含する。特定のコンプスタチン類似体(1つまたは複数)が式A−L−Mの化合物中のコンプスタチン類似体部分として存在する場合、コンプスタチン類似体の官能基はLの官能基と反応してAまたはLと共有結合を形成していることが理解されよう。例えば、コンプスタチン類似体部分が第一級アミン(NH2)基を含む側鎖を有するアミノ酸を含むコンプスタチン類似体(そのコンプスタチン類似体は式R1−(NH2)で表すことができる)を含む細胞反応性コンプスタチン類似体は、Lとの新たな共有結合(例えば、N−C)が形成されて水素が失われた式R1−NH−L−Aを有し得る。したがって、「コンプスタチン類似体部分」という用語は、コンプスタチン類似体の少なくとも1個の原子が第二の部分との共有結合に関与する(例えば、側鎖の修飾となり得る)分子構造を包含する。同様のことが上記多価化合物中に存在するコンプスタチン類似体部分でも考慮される。いくつかの実施形態では、コンプスタチン類似体、例えば、上の第IV節に記載のコンプスタチン類似体のN末端またはC末端にあるブロック部分を、細胞反応性コンプスタチン類似体の構造内のA−Lに置き換える。いくつかの実施形態では、AまたはLはブロック部分を含む。いくつかの実施形態では、細胞反応性コンプスタチン類似体は、同じアミノ酸配列(および該当する場合は1つ以上のブロック部分)を有するが細胞反応性部分を含まない対応するコンプスタチン類似体の活性の少なくとも約10%、20%または30%、例えば、30%〜40%、30%〜50%、30%〜60%、30%〜70%、30%〜80%、30%〜90%またはそれ以上のモル活性を有する。細胞反応性コンプスタチン類似体が複数のコンプスタチン類似体部分を含むいくつかの実施形態では、細胞反応性コンプスタチン類似体のモル活性は、前記コンプスタチン類似体部分の活性の合計の少なくとも約10%、20%または30%、例えば、30%〜40%、30%〜50%、30%〜60%、30%〜70%、30%〜80%、30%〜90%またはそれ以上である。

0100

細胞反応性部分Aは、様々な実施形態において様々な異なる細胞反応性官能基Jのいずれかを含み得る。一般に、少なくとも部分的には、例えば、(a)標的とする特定の官能基;(b)反応性官能基が生理的に許容されるex vivo条件下(例えば、生理的に許容されるpHおよびモル浸透圧濃度)および/またはin vivo条件下(例えば、血液中)で標的官能基と反応する能力;(c)生理的に許容されるex vivo条件下および/またはin vivo条件下で反応性官能基と標的官能基との間で生じる反応の特異性;(d)反応性官能基とその標的官能基との反応により生じ得る共有結合の(例えば、in vivo条件下での)安定性;(e)反応性官能基を含む細胞反応性コンプスタチン類似体の合成が容易であるかどうかなど因子に基づき細胞反応性官能基を選択し得る。いくつかの実施形態では、脱離基を解離せずに標的化学基と反応する反応性官能基を選択する。いくつかの実施形態では、標的との反応時に脱離基の解離を生じる反応性官能基を選択する。このような基を含む化合物は、例えば、反応の進行および/または程度をモニターするのに有用であり得る。いくつかの実施形態では、脱離基は、生じた量(例えば、生じた濃度および/または絶対量に基づく量)において細胞、組織または臓器に生理的に許容されるものおよび/または生じた量(例えば、関連する血液などの体液中の濃度に基づく量および/または生じた絶対量に基づく量)において対象に医学的に許容されるものである。いくつかの実施形態では、ex vivoで生じた脱離基の少なくとも一部を、例えば生理食塩水を用いて、例えば、細胞を洗浄することにより、あるいは組織または臓器を洗浄または灌流することにより除去する。

0101

多くの実施形態では、本発明で使用する細胞反応性官能基がアミノ酸残基の側鎖および/またはタンパク質のN末端アミノ基もしくはC末端カルボキシル基と反応する。いくつかの実施形態では、細胞反応性官能基は、システイン残基の側鎖に存在するスルフィドリル(−SH)基と反応する。いくつかの実施形態では、マレイミド基を用いる。マレイミド基は、生理的pHでタンパク質のシステイン残基のスルフィドリル基と反応して、安定なチオエーテル結合を形成する。いくつかの実施形態では、ヨードアセチル基またはブロモアセチル基などのハロアセチル基を用いる。ハロアセチル基は、生理的pHでスルフィドリル基と反応する。ヨードアセチル基の反応は、ヨウ素とスルフィドリル基の硫黄原子との求核性置換により進行し、安定なチオエーテル結合を生じるものである。他の実施形態では、ヨードアセトアミド基を用いる。いくつかの実施形態では、細胞反応性官能基は、タンパク質のN末端に存在するアミノ(−NH2)基およびリジン残基の側鎖に存在するアミノ基(ε−アミノ基)と反応する。いくつかの実施形態では、活性エステル、例えばスクシンイミジルエステル(すなわち、NHSエステル)を用いる。例えば、N−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)またはその水溶性類似体(スルホ−NHS)を合成に使用し、得られた細胞反応性コンプスタチン類似体はNHSエステルを含むものとなる。いくつかの実施形態では、細胞反応性官能基は、タンパク質のC末端および様々なアミノ酸残基の側鎖に存在するカルボキシル(−COOH)基と反応する。いくつかの実施形態では、細胞反応性コンプスタチン類似体は、様々なアミノ酸の側鎖およびグリコシル化タンパク質炭水化物部分に存在するヒドロキシル(−OH)基と反応する。

0102

一般に結合部Lは、結合される部分を結合する安定な化合物の形成と合致する任意の1つ以上の脂肪族部分および/または芳香族部分を含み得る。本明細書で使用される「安定な」という用語は、好ましくは、製造が可能な程度の安定性を有し、例えば、本明細書に記載の1つ以上の目的に有用な程度の期間、化合物の完全性を維持する化合物を指す。いくつかの実施形態では、Lは炭素原子1〜30個、1〜20個、1〜10個、1〜6個または5個以下の長さを有する飽和または不飽和、置換または非置換、分岐または非分岐の脂肪族鎖を含み、ここでは長さは、主鎖(最長鎖)のC原子の数を指す。いくつかの実施形態では、脂肪族鎖はヘテロ原子(O、N、S)を1つ以上含み、これらのヘテロ原子は独立して選択され得る。いくつかの実施形態では、Lの主鎖の原子の少なくとも50%が炭素原子である。いくつかの実施形態では、Lは飽和アルキル部分(CH2)nを含み、式中、nは1〜30である。

0103

いくつかの実施形態では、Lはヘテロ原子を1つ以上含み、鎖中の総炭素原子数1〜1000個、1〜800個、1〜600個、1〜400個、1〜300個、1〜200個、1〜100個、1〜50個、1〜30個または1〜10個の長さを有する。いくつかの実施形態では、Lはオリゴ(エチレングリコール)部分(−(O−CH2−CH2−)n)を含み、式中、nは1〜500、1〜400、1〜300、1〜200、1〜100、10〜200、200〜300、100〜200、40〜500、30〜500、20〜500、10〜500、1〜40、1〜30、1〜20または1〜10である。

0104

いくつかの実施形態では、Lは、−CH=CH−もしくは−CH2−CH=CH−などの不飽和部分非芳香族環系を含む部分(例えば、シクロヘキシル部分);芳香族部分(例えば、フェニル部分などの芳香族環系);エーテル部分(−C−O−C−);アミド部分(−C(=O)−N−);エステル部分(−CO−O−);カルボニル部分(−C(=O)−);イミン部分(−C=N−);チオエーテル部分(−C−S−C−);アミノ酸残基;および/または適合性のある2つの反応性官能基の反応により形成され得る任意の部分を含む。特定の実施形態では、結合部または細胞反応性部分の1つ以上の部分が、その部分上の1つ以上の水素(またはその他の)原子が独立して、特に限定されないが、脂肪性;芳香族、アリール;アルキル、アラルキル、アルカノイル、アロイル、アルコキシ;チオ;F;Cl;Br;I;−NO2;−CN;−CF3;−CH2CF3;−CHCl2;−CH2OH;−CH2CH2OH;−CH2NH2;−CH2SO2CH3;−または−GRG1を含めた1つ以上の部分に置き換わることにより置換されており、式中、Gは−O−、−S−、−NRG2−、−C(=O)−、−S(=O)−、−SO2−、−C(=O)O−、−C(=O)NRG2−、−OC(=O)−、−NRG2C(=O)−、−OC(=O)O−、−OC(=O)NRG2−、−NRG2C(=O)O−、−NRG2C(=O)NRG2−、−C(=S)−、−C(=S)S−、−SC(=S)−、−SC(=S)S−、−C(=NRG2)−、−C(=NRG2)O−、−C(=NRG2)NRG3−、−OC(=NRG2)−、−NRG2C(=NRG3)−、−NRG2SO2−、−NRG2SO2NRG3−または−SO2NRG2−であり、RG1、RG2およびRG3はそれぞれ独立して、特に限定されないが、水素、ハロゲンまたは任意選択で置換されている脂肪族部分、芳香族部分またはアリール部分を含む。環系が置換基として存在する場合、それは任意選択で直鎖状部分を介して結合していてもよいことが理解されよう。本発明により構想される置換基と可変物の組合せは、好ましくは、本明細書に記載の方法のいずれか1つ以上において有用な、例えば、本明細書に記載の1つ以上の障害の治療および/または細胞、組織もしくは臓器との接触に有用な、ならびに/あるいは1つ以上のこのような化合物の製造の中間体として有用な安定な化合物をもたらすである。

0105

Lは様々な実施形態において、前段落に記載されている部分のいずれか1つ以上を含み得る。いくつかの実施形態では、Lは、互いに結合して通常は1〜約60個の原子、1〜約50個の原子、例えば、1〜40個、1〜30個、1〜20個、1〜10個または1〜6個の原子の長さを有する構造を形成する2つ以上の異なる部分を含み、ここでは長さは、主鎖(最長鎖)の原子の数を指す。いくつかの実施形態では、Lは、互いに結合して通常は主鎖(最長鎖)の炭素原子が1〜約40個、例えば1〜30個、例えば、1〜20個、1〜10個または1〜6個である構造を形成する2つ以上の異なる部分を含む。このような細胞反応性コンプスタチン類似体の構造は一般に、式A−(LPj)j−Mにより表すことができ、式中、jは通常1〜10であり、LPjはそれぞれ独立して、前段落に記載されている部分から選択される。多くの実施形態では、Lは−(CH2)n−および/または−(O−CH2−CH2−)nなどの炭素含有鎖を1つ以上含み、これらは、例えば適合性のある2つの反応性官能基の反応により生じた部分(例えば、アミド部分、エステル部分またはエーテル部分)により、互いに共有結合し、かつ/または細胞反応性官能基もしくはコンプスタチン類似体と共有結合している。いくつかの実施形態では、Lはオリゴ(エチレングリコール)部分および/または飽和アルキル鎖を含む。いくつかの実施形態では、Lは−(CH2)m−C(=O)−NH−(CH2CH2O)n(CH2)pC(=O)−または−(CH2)m−C(=O)−NH−(CH2)p(OCH2CH2)nC(=O)−を含む。いくつかの実施形態では、m、nおよびpは、鎖の炭素数が1〜500個、例えば、2〜400個、2〜300個、2〜200個、2〜100個、2〜50個、4〜40個、6〜30個または8〜20個になるように選択される。いくつかの実施形態では、mが2〜10であり、nが1〜500であり、かつ/またはpが2〜10である。いくつかの実施形態では、mが2〜10であり、nが1〜400であり、かつ/またはpが2〜10である。いくつかの実施形態では、mが2〜10であり、nが1〜300であり、かつ/またはpが2〜10である。いくつかの実施形態では、mが2〜10であり、nが1〜200であり、かつ/またはpが2〜10である。いくつかの実施形態では、mが2〜10であり、nが1〜100であり、かつ/またはpが2〜10である。いくつかの実施形態では、mが2〜10であり、nが1〜50であり、かつ/またはpが2〜10である。いくつかの実施形態では、mが2〜10であり、nが1〜25であり、かつ/またはpが2〜10である。いくつかの実施形態では、mが2〜10であり、nが1〜8であり、かつ/またはpが2〜10である。任意選択で、少なくとも1つの−CH2−がCH−Rに置き換わっており、式中、Rは任意の置換基であり得る。任意選択で、少なくとも1つの−CH2−がヘテロ原子、環系、アミド部分、エステル部分またはエーテル部分に置き換わっている。いくつかの実施形態では、Lは、最長鎖の炭素原子が3個より多いアルキル基を含まない。いくつかの実施形態では、Lは、最長鎖の炭素原子が4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個または11個であるアルキル基を含まない。

0106

本発明のいくつかの実施形態では、Aは細胞反応性官能基Jと、結合部LP1を含むリンカーL1と、コンプスタチン類似体と反応してA−Mを生じる反応性官能基とを含む。いくつかの実施形態では、2つの反応性官能基と、結合部LP2をを含む二官能性リンカーL2ととを用いる。Lの反応性官能基がAおよびMのしかるべき反応性官能基と反応して、細胞反応性コンプスタチン類似体A−L−Mが生成する。いくつかの実施形態では、コンプスタチン類似体は、結合部LP3を含むリンカーL3を含む。例えば、後述するように、反応性官能基を含むリンカーがN末端またはC末端に存在していても、反応性官能基を含む部分がリンカーを介してN末端またはC末端に結合していてもよい。したがって、Lは、例えば、A、AとMを結合するのに用いられるリンカー(1つまたは複数)および/またはコンプスタチン類似体により与えられる複数の結合部LPを含み得る。構造A−L−M内に存在する場合、反応前にL1、L2、L3などに存在する特定の反応性官能基(1つまたは複数)が反応を受け、前記反応性官能基(1つまたは複数)の一部分のみが最終的な構造A−L−M内に存在し、化合物は前記官能基の反応により形成された部分を含むことが理解されよう。一般に、化合物が結合部を2つ以上含む場合、その結合部は同じものであっても異なるものであってもよく、また様々な実施形態において独立して選択され得るものである。複数の結合部LPを互いに結合させてより大きな結合部Lを形成させることができ、そのような結合部の少なくとも一部は、それと結合したコンプスタチン類似体(1つまたは複数)および/または細胞反応性官能基(1つまたは複数)を1つ以上有し得る。複数のコンプスタチン類似体を含む分子では、コンプスタチン類似体は同じものであっても異なるものであってもよく、異なるものである場合、それは独立して選択され得る。同じことが結合部および反応性官能基にも当てはまる。本発明は、細胞反応性官能基を1つ以上含む多価のコンプスタチン類似体の使用および細胞反応性官能基を1つ以上含むコンプスタチン類似体のコンカテマーの使用を包含する。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの結合が、ビオチン/(ストレプトアビジン結合またはこれとほぼ同じ強さの他の非共有結合などの安定な非共有結合である。

0107

いくつかの実施形態では、細胞反応性コンプスタチン類似体は、配列番号3〜36のいずれかがN末端、C末端または両末端においてアミノ酸1つ分以上延長されたコンプスタチン類似体を含み、そのアミノ酸のうち少なくとも1つが、第一級もしくは第二級アミン、スルフィドリル基、カルボキシル基(カルボン酸基として存在し得る)、グアニジノ基フェノール基、インドール環、チオエーテルまたはイミダゾール環などの反応性官能基を含む側鎖を有するものである。いくつかの実施形態では、アミノ酸(1つまたは複数)はL−アミノ酸である。いくつかの実施形態では、任意の1つ以上のアミノ酸(1つまたは複数)がD−アミノ酸である。複数のアミノ酸が付加される場合、アミノ酸は独立して選択され得る。いくつかの実施形態では、細胞反応性官能基を含む部分を付加するための標的として反応性官能基(例えば、第一級または第二級アミン)を用いる。第一級または第二級アミンを含む側鎖を有するアミノ酸としては、リジン(Lys)ならびに一般構造NH2(CH2)nCH(NH2)COOHのジアミノカルボン酸、例えば2,3−ジアミノプロピオン酸(dapa)、2,4−ジアミノ酪酸(daba)およびオルニチン(orn)(それぞれn=1(dapa)、2(daba)および3(orn)の場合)などが挙げられる。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのアミノ酸がシステイン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アルギニン、チロシン、トリプトファン、メチオニンまたはヒスチジンである。システインはスルフィドリル基を含む側鎖を有する。アスパラギン酸およびグルタミン酸はカルボキシル基(イオン化されるとカルボン酸基になる)を含む側鎖を有する。アルギニンはグアニジノ基を含む側鎖を有する。チロシンはフェノール基(イオン化されるとフェノラート基になる)を含む側鎖を有する。トリプトファンは、例えばトリプトファンを含むインドール環を含む側鎖を有する。メチオニンは、例えばメチオニンを含むチオエーテル基を含む側鎖を有する。ヒスチジンはイミダゾール環を含む側鎖を有する。天然のアミノ酸および天然に存在しないアミノ酸を含め、このような反応性官能基を1つ以上含む側鎖を有する多種多様な非標準アミノ酸が利用可能である。例えば、Hughes,B.(編),Amino Acids,Peptides and Proteins in Organic Chemistry,Volumes 1−4,Wiley−VCH(2009−2011);Blaskovich,M.,Handbook on Syntheses of Amino Acids General Routes to Amino Acids,Oxford University Press,2010を参照されたい。本発明は、非標準アミノ酸を1つ以上用いて、細胞反応性官能基を含む部分を付加するための標的とする実施形態を包含する。必要に応じて、化合物の合成時に任意の1つ以上のアミノ酸を保護してもよい。例えば、標的アミノ酸側鎖が含まれる反応(1つまたは複数)時に1つ以上のアミノ酸を保護してもよい。細胞反応性官能基を含む部分を付加するための標的としてスルフィドリル含有アミノ酸を用いるいくつかの実施形態では、システインなどの他のアミノ酸との間で分子内ジスルフィド結合を形成することより化合物を環状化する間、スルフィドリルを保護する。

0108

本段落の考察では、アミン基を含む側鎖を有するアミノ酸を例として用いる。本発明は、異なる反応性官能基を含む側鎖を有するアミノ酸を用いる類似した実施形態を包含する。いくつかの実施形態では、第一級または第二級アミンを含む側鎖を有するアミノ酸が、ペプチド結合を介して配列番号3〜36のいずれかのN末端またはC末端に直接結合している。いくつかの実施形態では、第一級または第二級アミンを含む側鎖を有するアミノ酸が、上記結合部分のいずれか1つ以上を含み得る結合部を介して配列番号3〜36のいずれかのN末端またはC末端と結合している。いくつかの実施形態では、少なくとも2つのアミノ酸が一端または両端に付加されている。この2つ以上の付加されているアミノ酸はペプチド結合により互いに結合していてもよく、また付加されているアミノ酸の少なくとも一部が、本明細書に記載の結合部分のいずれか1つ以上を含み得る結合部を介して互いに結合していてもよい。したがって、いくつかの実施形態では、細胞反応性コンプスタチン類似体は、式B1−R1−M1−R2−B2のコンプスタチン類似体部分Mを含み、式中、M1は配列番号3〜36のいずれかを表し、R1またはR2のいずれかは存在しなくてもよく、R1およびR2のうち少なくとも1つが第一級または第二級アミンを含む側鎖を有するアミノ酸を含み、B1およびB2は任意選択で存在するブロック部分である。R1および/またはR2はM1と、ペプチド結合により結合していても、非ペプチド結合により結合していてもよい。R1および/またはR2は結合部LP3を含み得る。例えば、R1が式M2−LP3を有し、かつ/またはR2が式LP3−M2を有していてもよく、式中、LP3は結合部であり、M2は、第一級または第二級アミンを含む側鎖を有するアミノ酸を少なくとも1つ含む。例えば、M2はLysであっても、Lysを含むアミノ酸鎖であってもよい。いくつかの実施形態では、LP3は1つ以上のアミノ酸を含むか、あるいはこれよりなるものである。例えば、LP3は、長さが1〜約20アミノ酸、例えば、長さが4〜20アミノ酸である。いくつかの実施形態では、LP3は複数のGly、Serおよび/またはAla残基を含むか、あるいはこれよりなるものである。いくつかの実施形態では、LP3は、Cysなどの反応性SH基を含むアミノ酸を含まない。いくつかの実施形態では、LP3はオリゴ(エチレングリコール)部分および/または飽和アルキル鎖を含む。いくつかの実施形態では、LP3は、M1のN末端アミノ酸とアミド結合を介して結合している。いくつかの実施形態では、LP3は、M1のC末端アミノ酸とアミド結合を介して結合している。化合物は、さらなる結合部(1つまたは複数)および/またはアミノ酸(1つまたは複数)の付加により、一端または両端がさらに延長されていてもよい。アミノ酸は同じものであっても異なるものであってもよく、異なるものである場合、それは独立して選択され得る。いくつかの実施形態では、反応性官能基を含む側鎖を有するアミノ酸を2つ以上使用し、反応性官能基は同じものであっても異なるものであってもよい。2つ以上の反応性官能基は、2つ以上の部分を付加するための標的として用いることができる。いくつかの実施形態では、2つ以上の細胞反応性部分を付加する。いくつかの実施形態では、細胞反応性部分および標的化部分を付加する。いくつかの実施形態では、アミノ酸をペプチド鎖内に組み込んだ後にリンカーおよび/または細胞反応性部分をアミノ酸側鎖に結合させる。いくつかの実施形態では、細胞反応性コンプスタチン類似体の合成において、アミノ酸を用いる前にリンカーおよび/または細胞反応性部分が既にアミノ酸側鎖と結合している。例えば、側鎖にリンカーが結合したLys誘導体を用い得る。リンカーは細胞反応性官能基を含むものであってもよく、あるいは細胞反応性官能基を含むよう後に修飾してもよい。

0109

以下に特定の細胞反応性コンプスタチン類似体についてさらに詳細に記載する。以下の考察では、コンプスタチン類似体部分の例として、アミノ酸配列Ile−Cys*−Val−(1Me)Trp−Gln−Asp−Trp−Gly−Ala−His−Arg−Cys*−Thr(配列番号37)(配列番号28のコンプスタチン類似体に対応するものであり、配列番号37の配列中、アスタリスクは活性化合物中でジスルフィド結合により結合したシステインを表し、(1Me)Trpは1−メチル−トリプトファンを表す)を有するペプチドを使用し;細胞反応性官能基の例としてマレイミド(略号Mal)を使用し;結合部分の例として(CH2)nおよび(O−CH2−CH2)nを使用し;反応性官能基を含むアミノ酸の例としてリジンを使用し(一部の化合物)、一部の化合物に任意選択で存在するブロック部分の例として、N末端およびC末端のそれぞれアセチル化およびアミド化(イタリック体でそれぞれAcおよびNH2と表す)を使用する。化合物は様々な合成方法および様々な前駆体を用いて調製され得ることが理解されよう。以下の様々な合成方法および前駆体に関する記述は、本発明を限定することを意図するものではない。一般に、以下に記載されるいずれの化合物のいずれの特徴も、以下に記載される、あるいは本明細書の他の箇所に記載されている他の化合物の特徴(1つまたは複数)と自由に組み合わせることが可能であり、本発明はこのような実施形態を包含する。

0110

いくつかの実施形態では、細胞反応性部分は、マレイミド基(細胞反応性官能基として)を含む細胞反応性化合物とアルカン酸(RCOOH)とによって与えられ、式中、Rはアルキル基である。例えば、下に示す6−マレメイドカプロン酸(6−malemeidocaproic acid)(Mal−(CH2)5−COOH):



を用いることができる。

0111

いくつかの実施形態では、細胞反応性部分は、カルボン酸部分が活性化されている、例えば、OH部分がより好ましい脱離基に変換されているアルカン酸の誘導体によって与えられる。例えば、化合物Iのカルボキシル基をEDCと反応させた後、NHS(任意選択で水溶性スルホ−NHSとして提供され得る)反応させて、6−マレメイドカプロン酸(6−malemeidocaproic acid)のN−ヒドロキシスクシンイミドエステル誘導体、すなわち、6−マレイミドヘキサン酸N−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)エステル(下図):



を得てもよい。

0112

配列番号37の化合物のN末端および/またはC末端を修飾して細胞反応性コンプスタチン類似体を得ることができる。例えば、化合物IIを用いて、IleのN末端アミノ基との反応により、次に挙げる細胞反応性コンプスタチン類似体:
マレイミド−(CH2)5−C(=O)−Ile−Cys*−Val−(1Me)Trp−Gln−Asp−Trp−Gly−Ala−His−Arg−Cys*−Thr−NH2(配列番号38)
を得ることができる。配列番号38では、−C(=O)部分がC−N結合(式中、Nはアミノ酸の一部分であり、示されていない)を介して、隣接するC末端アミノ酸(Ile)と結合していることが理解されよう。

0113

他の実施形態では、マレイミド基がC末端のThrと結合して、次に挙げる細胞反応性コンプスタチン類似体:
Ac−Ile−Cys*−Val−(1Me)Trp−Gln−Asp−Trp−Gly−Ala−His−Arg−Cys*−Thr−(C=O)−(CH2)5−マレイミド(配列番号39)
が得られる。

0114

いくつかの実施形態では、二官能性リンカー(例えば、ヘテロ二官能性リンカー)を用いて細胞反応性コンプスタチン類似体を合成することができる。(CH2−CH2−O)n部分と(CH2)m部分(式中、m=2)とを含むヘテロ二官能性リンカーの例を下に示す。

0115

化合物IIIは、細胞反応性官能基としてのマレイミド基と、アミノ基(例えば、N末端アミノ基またはアミノ酸側鎖のアミノ基)と容易に反応するNHSエステル部分とを含む。

0116

n=2である化合物IIIの実施形態を用いて、配列番号37のコンプスタチン類似体を使用し、次に挙げる細胞反応性コンプスタチン類似体:

0117

マレイミド−(CH2)2−C(=O)−NH−CH2CH2OCH2CH2OCH2CH2C(=O)−Ile−Cys*−Val−(1Me)Trp−Gln−Asp−Trp−Gly−Ala−His−Arg−Cys*−Thr−NH2(配列番号40)
を得ることができる。

0118

配列番号40の化合物では、−C(=O)部分がC−N結合(式中、Nはアミノ酸の一部分であり、示されていない)を介して、N末端アミノ酸(Ile残基)と結合していることが理解されよう。いくつかの実施形態では、リンカーは、nが1以上である化合物IIIの式を有する。(CH2−CH2−O)n部分のnの値の例が本明細書に記載されている。

0119

いくつかの実施形態では、配列番号39または配列番号40の化合物と比較して、マレイミド部分と分子の残りの部分とを結合させているアルキル鎖がそれより多いもしくは少ないメチレン単位を含み、オリゴ(エチレングリコール)部分がそれより多いもしくは少ないエチレングリコール単位を含み、かつ/またはそれより多いもしくは少ないメチレン単位がオリゴ(エチレングリコール)部分の一端または両端に隣接して存在する。このような変形物を説明するための細胞反応性コンプスタチン類似体の例を以下に示す(配列番号41〜46):
マレイミド−(CH2)2−C(=O)−NH−CH2CH2OCH2CH2C(=O)−Ile−Cys*−Val−(1Me)Trp−Gln−Asp−Trp−Gly−Ala−His−Arg−Cys*−Thr−NH2(配列番号41)
マレイミド−(CH2)3−C(=O)−NH−CH2CH2OCH2CH2OCH2C(=O)−Ile−Cys*−Val−(1Me)Trp−Gln−Asp−Trp−Gly−Ala−His−Arg−Cys*−Thr−NH2(配列番号42)
マレイミド−(CH2)5−C(=O)−NH−CH2CH2OCH2CH2OCH2C(=O)−Ile−Cys*−Val−(1Me)Trp−Gln−Asp−Trp−Gly−Ala−His−Arg−Cys*−Thr−NH2(配列番号43)
マレイミド−(CH2)4−C(=O)−NH−CH2CH2OCH2CH2OCH2CH2C(=O)−Ile−Cys*−Val−(1Me)Trp−Gln−Asp−Trp−Gly−Ala−His−Arg−Cys*−Thr−NH2(配列番号44)
マレイミド−(CH2)2−C(=O)−NH−CH2CH2OCH2CH2OCH2CH2C(=O)−Ile−Cys*−Val−(1Me)Trp−Gln−Asp−Trp−Gly−Ala−His−Arg−Cys*−Thr−NH2(配列番号45)
マレイミド−(CH2)5−C(=O)−NH−CH2CH2OCH2CH2OCH2C(=O)−Ile−Cys*−Val−(1Me)Trp−Gln−Asp−Trp−Gly−Ala−His−Arg−Cys*−Thr−NH2(配列番号46)。

0120

いくつかの実施形態では、配列番号37が、例えばC末端結合について以下に示すように、延長されてペプチドのN末端またはC末端にLys残基を含む:
Ac−Ile−Cys*−Val−(1Me)Trp−Gln−Asp−Trp−Gly−Ala−His−Arg−Cys*−Thr−Lys−NH2(配列番号47)。

0121

いくつかの実施形態では、Lys残基が、例えばC末端結合について以下に示すように、ペプチドリンカーを介して配列番号37のN末端またはC末端に結合している:
Ac−Ile−Cys*−Val−(1Me)Trp−Gln−Asp−Trp−Gly−Ala−His−Arg−Cys*−Thr−(Gly)5−Lys−NH2(配列番号48)。

0122

いくつかの実施形態では、第一級または第二級アミンを含むリンカーがコンプスタチン類似体のN末端またはC末端に付加されている。いくつかの実施形態では、リンカーはアルキル鎖および/またはオリゴ(エチレングリコール)部分を含む。例えば、NH2(CH2CH2O)nCH2C(=O)OH(例えば、8−アミノ−3,6−ジオキサオクタン酸(AEEAc)または11−アミノ−3,6,9−トリオキサウンデカン酸)またはそのNHSエステル(例えば、8−アミノ−3,6−ジオキサオクタン酸または11−アミノ−3,6,9−トリオキサウンデカン酸のNHSエステル)を用いることができる。いくつかの実施形態では、得られる化合物は次のようなものである(式中、リンカーによって与えられる部分が太字で示されている):
NH2(CH2)5C(=O)−Ile−Cys−Val−(1Me)Trp−Gln−Asp−Trp−Gly−Ala−His−Arg−Cys−Thr−NH2(配列番号49)
NH2(CH2CH2O)2CH2C(=O)−Ile−Cys−Val−(1Me)Trp−Gln−Asp−Trp−Gly−Ala−His−Arg−Cys−Thr−NH2(配列番号50)。

0123

いくつかの実施形態では、Lys残基が、非ペプチド部分を含むリンカーを介して配列番号37のN末端またはC末端に結合している。例えば、リンカーは、アルキル鎖、オリゴ(エチレングリコール)鎖および/または環系を含み得る。いくつかの実施形態では、8−AEEAcまたはそのNHSエステルを用いて、次のような化合物(式中、8−AEEAcによって与えられる部分が太字で示されている)が得られる(LysがC末端で結合する場合):
Ac−Ile−Cys*−Val−(1Me)Trp−Gln−Asp−Trp−Gly−Ala−His−Arg−Cys*−Thr−NH−CH2CH2OCH2CH2OCH2−C(=O)−Lys−NH2(配列番号51)。

0124

配列番号49および50では、−C(=O)部分がC−N結合(式中、Nはアミノ酸の一部分であり、示されていない)を介して、隣接するIle残基と結合していることが理解されよう。同様に配列番号51では、−C(=O)部分がC−N結合(式中、Nはアミノ酸の一部分であり、示されていない)を介して、隣接するLys残基と結合している。また、配列番号51では、NH部分がC−N結合(式中、Cはアミノ酸のカルボニル炭素であり、示されていない)を介して、隣接するN末端アミノ酸(Thr)と結合していることも理解されよう。

0125

配列番号47〜51の化合物の第一級アミン基を修飾して細胞反応性コンプスタチン類似体を得ることは容易である。例えば、配列番号47〜51の化合物(または第一級もしくは第二級アミンとコンプスタチン類似体部分とを含む他の化合物)を6−マレイミドカプロン酸N−スクシンイミジルエステルを反応させて、次に挙げる細胞反応性コンプスタチン類似体を得ることができる:
Ac−Ile−Cys*−Val−(1Me)Trp−Gln−Asp−Trp−Gly−Ala−His−Arg−Cys*−Thr−Lys−(C(=O)−(CH2)5−Mal)−NH2(配列番号52)
Ac−Ile−Cys*−Val−(1Me)Trp−Gln−Asp−Trp−Gly−Ala−His−Arg−Cys*−Thr−(Gly)5−Lys−(C(=O)−(CH2)5−Mal)−NH2(配列番号53)
Mal−(CH2)5−(C(=O)−NH(CH2)5C(=O)−Ile−Cys−Val−(1Me)Trp−Gln−Asp−Trp−Gly−Ala−His−Arg−Cys−Thr−NH2(配列番号54)
Mal−(CH2)5−(C(=O)NH(CH2CH2O)2CH2C(=O)−Ile−Cys−Val−(1Me)Trp−Gln−Asp−Trp−Gly−Ala−His−Arg−Cys−Thr−NH2(配列番号55)
Ac−Ile−Cys*−Val−(1Me)Trp−Gln−Asp−Trp−Gly−Ala−His−Arg−Cys*−Thr−NH−CH2CH2OCH2CH2OCH2−C(=O)−Lys−(C(=O)−(CH2)5−Mal)−NH2(配列番号56)。

0126

別の実施形態では、細胞反応性コンプスタチン類似体が次のように表される:Ac−Ile−Cys*−Val−(1Me)Trp−Gln−Asp−Trp−Gly−Ala−His−Arg−Cys*−Thr−Lys−C(=O)−CH2(OCH2CH2)2NH(C(=O)−(CH2)5−Mal)−NH2(配列番号57)。

0127

本発明は配列番号38〜57のバリアントを提供し、このバリアントは−Ile−Cys*−Val−(1Me)Trp−Gln−Asp−Trp−Gly−Ala−His−Arg−Cys*−Thr−が、他の任意のコンプスタチン類似体、例えば、配列番号3〜27または29〜36のいずれかのアミノ酸配列を含むアミノ酸配列に置き換わったものであるが、ただし、コンプスタチン類似体のN末端および/またはC末端に存在するブロック部分(1つまたは複数)が存在しないもの、リンカー(ブロック部分を含み得る)に置き換わったものあるいは対応するバリアント(1つまたは複数)内に存在する異なるN末端またはC末端アミノ酸に結合したものであり得る。

0128

本発明の様々な実施形態で有用であり、細胞反応性部分としてのマレイミドと、アミン反応性部分としてのNHSエステルとを含む他の二官能性架橋剤としては、例えば、スクシンイミジル4−(p−マレイミドフェニル)ブチラートSMPB);スクシンイミジル 4−(N−マレイミドメチル)−シクロヘキサン−1−カルボキシラートSMCC);N−γ−マレイミドブチリル−オキシスクシンイミドエステル(GMBS)が挙げられる。NHS環にスルホン酸を付加すると、スルホ−スクシンイミジル(4−ヨードアセチル)−アミノベンゾアート(スルホ−SIAB)、スルホ−スクシンイミジル4−(N−マレイミドメチル)−シクロヘキサン−1−カルボキシラート(スルホ−SMCC)、スルホ−スクシンイミジル4−(p−マレイミドフェニル)ブチラート(スルホ−SMPB)、スルホ−N−γ−マレイミドブチリル−オキシスクシンイミドエステル(スルホ−GMBS)などの水溶性の類似体が得られ、有機溶媒の必要性がなくなる。いくつかの実施形態では、NHSエステル部分と分子の残りの部分との間にスペーサーアームを含む上記のいずれかの長鎖型を用いる。スペーサーは、例えばアルキル鎖を含み得る。その具体例にはスクシンイミジル−4−[N−マレイミドメチル]シクロヘキサン−1−カルボキシ−[6−アミドカプロアート]がある。

0129

いくつかの実施形態では、NHSエステル(アミン反応性部分として)とヨードアセチル基(スルフィドリル基と反応する)とを含む二官能性リンカーを用いる。このようなリンカーとしては、例えば、N−スクシンイミジル(4−ヨードアセチル)−アミノベンゾアート(SIAB);スクシンイミジル6−[(ヨードアセチル)−アミノ]ヘキサノアート(SIAX);スクシンイミジル6−[6−(((ヨードアセチル)アミノ)−ヘキサノイル)アミノ]ヘキサノアート(SIAXX);スクシンイミジル4−((ヨードアセチル)アミノ)メチル)−シクロヘキサン−1−カルボキシラート(SIAC);スクシンイミジル6−((((4−(ヨードアセチル)アミノ)メチル−シクロヘキサン−1−カルボニル)アミノ)ヘキサノアート(SIACX)が挙げられる。

0130

いくつかの実施形態ではNHSエステル(アミン反応性部分として)とピリジジスルフィド(pyridy disulfide)基(スルフィドリル基と反応する細胞反応性部分として)とを含む二官能性リンカーを用いる。その例としては、N−スクシンイミジル3−(2−ピリジルジチオプロピオナート(SPDP);スクシンイミジルオキシカルボニル−α−メチル−α−(2−ピリジルジチオ)トルエン(SMPT)ならびにNHS環上にスルホン酸を含み、かつ/またはNHSエステル部分と分子の残りの部分との間にアルキル鎖を含むスペーサーを含む型のもの(例えば、スクシンイミジル6−(3−[2−ピリジルジチオ]−プロピオンアミド)ヘキサノアート)(LC−SPDP)が挙げられる。追加の部分または異なる部分を含むこのようなリンカーの変形物を用いることができる。例えば、スペーサー内に比較的長いまたは短いアルキル鎖を用いる、あるいはアルキル鎖の代わりにオリゴ(エチレングリコール)部分を用いることができる。

0131

細胞反応性コンプスタチン類似体は一般に、様々な方法を用いて合成することができる。多くの場合、細胞反応性官能基とリンカーとを含む細胞反応性の化合物を予め形成された基礎的要素として購入することができる。例えば、6−マレメイドカプロン酸(6−malemeidocaproic acid)および6−マレイミドカプロン酸N−ヒドロキシスクシンイミドエステルは各種供給業者から購入することが可能である。あるいは、当該技術分野で公知の方法を用いて、このような化合物を合成することができる。例えば、Keller O,Rudinger J.Helv Chim Acta.58(2):531−41,1975およびHashida S.ら,J Appl Biochem.,6(1−2):56−63,1984を参照されたい。このほか、コンジュゲート合成に有用な方法および試薬に関する考察については、Hermanson,G.,上記およびその参考文献を参照されたい。本発明は一般に、コンプスタチン類似体部分と細胞反応性官能基とを含む化合物を作製する任意の方法およびそれによって得られる化合物を包含する。

0132

いくつかの実施形態では、側鎖に結合したリンカーを有するアミノ酸を直鎖状ペプチドの合成に用いる。直鎖状ペプチドは、当該技術分野で公知であるペプチド合成の標準的な方法、例えば標準的な固相ペプチド合成を用いて合成することができる。次いで、直鎖状ペプチドを(例えば、Cys残基を酸化して分子内ジスルフィドを形成することにより)環状化する。次いで、この環状化合物を細胞反応性官能基を含むリンカーと反応させ得る。他の実施形態では、直鎖状化合物を環状化する前に細胞反応性官能基を含む部分をこれと反応させる。一般に、細胞反応性コンプスタチン類似体の合成時に反応性官能基同士が望ましくない反応を起こさないよう適宜これを保護することができる。細胞反応性官能基、いずれかのアミノ酸側鎖および/またはペプチドの一端もしくは両端を反応時に保護し、その後それを脱保護することができる。例えば、Cys残基のSH基および/またはマレイミドなどのSH反応性部分の間で反応が起こらないよう、これを環化後まで保護することができる。適度な時間内に適度な収率が得られるように、少なくとも部分的には特定の反応性官能基(1つまたは複数)の必要性を踏まえ反応条件を選択する。反応の所望の程度または速度が得られるように、温度、pHおよび試薬の濃度を調整することができる。例えば、Hermanson(上記)を参照されたい。所望の生成物を精製して、例えば、細胞反応性官能基を含む未反応の化合物、未反応のコンプスタチン類似体、リンカー(1つまたは複数)、反応で生じた所望の細胞反応性コンプスタチン類似体以外の生成物、反応混合物中に存在するその他の物質などを除去することができる。細胞反応性コンプスタチン類似体を作製するための組成物および方法ならびに合成における中間体は本発明の態様である。

0133

本発明のいくつかの態様では、例えば化合物を安定化させる、その体内での寿命を延ばす、その溶解性を増大させる、その免疫原性を低減する、および/または分解に対するその耐性を増大させるポリエチレングリコール(PEG)鎖またはその他のポリマー(1つまたは複数)などの部分を含むコンプスタチン類似体の作製に上記のリンカー(1つまたは複数)を用いる。決して本発明を限定するものではないが、本明細書では、このような部分を「クリアランス低減部分」(CRM)と呼ぶことがあり、このような部分を含むコンプスタチン類似体を「長時間作用型コンプスタチン類似体」と呼ぶことがある。いくつかの実施形態では、長時間作用型コンプスタチン類似体は、ヒトまたは非ヒト霊長類に10mg/kgの用量でIV投与した場合、平均血漿半減期が少なくとも1日、例えば、1〜3日、3〜7日、7〜14日または14〜28日である。いくつかの実施形態では、長時間作用型コンプスタチン類似体をヒトまたは非ヒト霊長類に10mg/kgの用量でIV投与した後のその平均血漿中半減期は、同じアミノ酸配列(および該当する場合は1つ以上のブロック部分)を有するがCRMを含まない対応するコンプスタチン類似体より少なくとも2倍、例えば、2〜5倍、5〜10倍、10〜50倍または50〜100倍低い。上記のように、いくつかの実施形態では、配列番号3〜36のいずれかのコンプスタチン類似体は、N末端、C末端または両末端においてアミノ酸1つ分以上延長されており、そのアミノ酸のうち少なくとも1つが、第一級もしくは第二級アミン、スルフィドリル基、カルボキシル基(カルボン酸基として存在し得る)、グアニジノ基、フェノール基、インドール環、チオエーテルまたはイミダゾール環などの反応性官能基を含む側鎖を有するものであり、これにより、CRMとコンプスタチン類似体とを結合させる反応性官能基とのコンジュゲーションが促進される。CRMを含まない対応するコンプスタチン類似体が、それが対応する長時間作用型コンプスタチン類似体中に存在する1つ以上のこのようなアミノ酸を欠くものであってもよいことが理解されよう。したがって、配列番号3〜36のいずれかを含み、CRMを欠く対応するコンプスタチン類似体は、それぞれ配列番号3〜36と「同じアミノ酸配列を有する」ことが理解されよう。例えば、配列番号14、21、28、29、32、33、34または36のアミノ酸配列を含み、CRMを欠く対応するコンプスタチン類似体は、それぞれ配列番号14、21、28、29、32、33、34または36と「同じアミノ酸配列を有する」ことが理解されよう。いくつかの実施形態では、血漿中半減期とは単回IV用量投与後の終末相半減期のことである。いくつかの実施形態では、血漿中半減期とは、複数回IV用量投与後に定常状態に達した後の終末相半減期のことである。いくつかの実施形態では、長時間作用型コンプスタチン類似体は、霊長類に単回IV用量を投与した後または複数回IV用量を投与した後、その血漿中CmaxがCRMを含まない対応するコンプスタチン類似体の血漿中Cmaxの少なくとも5倍、例えば、5〜50倍に達する。いくつかの実施形態では、長時間作用型コンプスタチン類似体は、霊長類に単回IV用量を投与した後または複数回IV用量を投与した後、その血漿中CmaxがCRMを含まない対応するコンプスタチン類似体の血漿中Cmaxの10〜20倍に達する。いくつかの実施形態では、霊長類はヒトである。いくつかの実施形態では、霊長類は非ヒト霊長類、例えば、カニクイザルまたはアカゲザルなどのサルである。いくつかの実施形態では、10mg/kgの用量でヒトまたは非ヒト霊長類にIV投与した直後24時間の長時間作用型コンプスタチン類似体の腎クリアランスは、対応するコンプスタチン類似体の腎クリアランスより少なくとも2倍、例えば、2〜5倍、5〜10倍、10〜50倍または50〜100倍低い。コンプスタチン類似体の濃度は、例えば、UV、HPLC、質量分析(MS)もしくはCRMに対する抗体またはLC/MSもしくはLC/MS/MSなどのこのような方法の組合せを用いて、血液試料および/または尿試料中で測定することができる。半減期およびクリアランスなどの薬物動態パラメータは、当業者に公知の方法を用いて明らかにすることができる。例えばWinNonlinソフトウェアv5.2(Pharsight社、St.Louis、MO)を用いて、薬物動態分析を実施することができる。

0134

いくつかの実施形態では、長時間作用型コンプスタチン類似体は、同じアミノ酸配列(および該当する場合は1つ以上のブロック部分)を有するがCRMを含まない対応するコンプスタチン類似体の活性の少なくとも約10%、20%、30%、例えば、30%〜40%、30%〜50%、30%〜60%、30%〜70%、30%〜80%、30%〜90%またはそれ以上のモル活性を有する。長時間作用型コンプスタチン類似体が複数のコンプスタチン類似体部分を含むいくつかの実施形態では、長時間作用型コンプスタチン類似体のモル活性は、前記コンプスタチン類似体部分の活性の合計の少なくとも約10%、20%または30%、例えば、30%〜40%、30%〜50%、30%〜60%、30%〜70%、30%〜80%、30%〜90%またはそれ以上である。いくつかの実施形態では、ポリエチレングリコール(PEG)は、分子量が少なくとも500ダルトンの(CH2CH2O)n部分を含む。いくつかの実施形態では、上記リンカーは、平均分子量が約500;1,000;1,500;2,000;5,000;10,000;20,000;30,000;40,000;50,000;60,000;70,000;80,000;90,000;〜100,000ダルトンの(CH2CH2O)n部分を含む。「平均分子量」は数平均分子量を指す。いくつかの実施形態では、(CH2CH2O)n部分の多分散度Dが1.0005〜1.50、例えば、1.005〜1.10、1.15、1.20、1.25、1.30、1.40もしくは1.50であるか、1.0005〜1.50の任意の値をとる。

0135

いくつかの実施形態では、(CH2CH2O)n部分が単分散であり、(CH2CH2O)n部分の多分散度は1.0である。このような単分散の(CH2CH2O)n部分は当該技術分野において公知で、Quanta BioDesign社(Powell、OH)から購入可能であり、またその非限定的な例として、nが2、4、6、8、12、16、20または24である単分散部分が挙げられる。

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