図面 (/)

この項目の情報は公開日時点(2017年9月7日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (9)

課題

新たな半導体材料を提供する。

解決手段

下記式(1)で表される化合物。 A2BiaxSba(1−x)M2bL3c (1)(式(1)中、AはSn又はPbを表し、MはS、Se又はTeを表し、Lはハロゲン元素を表し、xは0より大きく1以下であり、aは0.7以上1.3以下であり、bは0.7以上1.3以下であり、cは0.7以上1.3以下である。)

概要

背景

半導体を用いた半導体デバイスは、トランジスタ又は光電変換素子等の多くの用途で用いられている。そのような半導体デバイスを作製するための半導体材料の1つとして、A2SbM2L3で表される化合物が挙げられる。例えば、非特許文献1には、半導体材料としてSn2SbS2I3及びPb2SbS2I3が挙げられている。また、非特許文献2も半導体材料を挙げる文献であって、Sn2SbS2I3及びSn2SbSe2I3等が挙げられているほか、S、Se及びTeのような様々な第16族元素を含む化合物についてバンドギャップ等の物性が検討されている。

概要

新たな半導体材料を提供する。下記式(1)で表される化合物。 A2BiaxSba(1−x)M2bL3c (1)(式(1)中、AはSn又はPbを表し、MはS、Se又はTeを表し、Lはハロゲン元素を表し、xは0より大きく1以下であり、aは0.7以上1.3以下であり、bは0.7以上1.3以下であり、cは0.7以上1.3以下である。)

目的

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

この技術が所属する分野

(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成

ライセンス契約や譲渡などの可能性がある特許掲載中! 開放特許随時追加・更新中 詳しくはこちら

請求項1

下記式(1)で表される化合物。A2BiaxSba(1−x)M2bL3c(1)(式(1)中、AはSn又はPbを表し、MはS、Se又はTeを表し、Lはハロゲン元素を表し、xは0より大きく1以下であり、aは0.7以上1.3以下であり、bは0.7以上1.3以下であり、cは0.7以上1.3以下である。)

請求項2

前記式(1)において、MがSを表すことを特徴とする、請求項1に記載の化合物。

請求項3

前記式(1)において、LがIを表すことを特徴とする、請求項1又は2に記載の化合物。

請求項4

少なくとも電極と、半導体層と、を含む電子デバイスであって、前記半導体層が請求項1から3のいずれか1項に記載の化合物を含有することを特徴とする電子デバイス。

請求項5

請求項1から3のいずれか1項に記載の化合物を備える光触媒

請求項6

一対の電極と、前記一対の電極間に配置された活性層とを備える光電変換素子であって、前記活性層が請求項1から3のいずれか1項に記載の化合物を含有することを特徴とする光電変換素子。

請求項7

請求項6に記載の光電変換素子を備える太陽電池モジュール

請求項8

下記式(2)で表される化合物。A2BixSb1−xM2L3(2)(式(2)中、AはSn又はPbを表し、MはS、Se又はTeを表し、Lはハロゲン元素を表し、Xは0より大きく1以下である。)

請求項9

Sn及びPbのうち少なくとも1つと、Bi及びSbのうち少なくとも1つと、S、Se及びTeのうち少なくとも1つと、ハロゲン元素と、を含む化合物であって、前記化合物はBiを含み、Sn及びPbの合計と、Bi及びSbの合計と、S、Se及びTeの合計と、ハロゲン元素と、のモル比が2:a:2b:3c(aは0.7以上1.3以下、bは0.7以上1.3以下、cは0.7以上1.3以下)である化合物。

請求項10

Sn及びPbのうち少なくとも1つと、Bi及びSbのうち少なくとも1つと、S、Se及びTeのうち少なくとも1つと、ハロゲン元素と、を含む混合物であって、Biを含み、Sn及びPbの合計と、Bi及びSbの合計と、S、Se及びTeの合計と、ハロゲン元素と、のモル比が2:a:2b:3c(aは0.7以上1.3以下、bは0.7以上1.3以下、cは0.7以上1.3以下)である混合物を調製する工程と、前記混合物を焼成する工程と、を有することを特徴とする、無機材料の製造方法。

請求項11

Sn及びPbのうち少なくとも1つと、Bi及びSbのうち少なくとも1つと、S、Se及びTeのうち少なくとも1つと、ハロゲン元素と、を含む、半導体材料

技術分野

0001

本発明は、化合物電子デバイス光触媒光電変換素子太陽電池モジュール半導体材料、及び無機材料の製造方法に関する。

背景技術

0002

半導体を用いた半導体デバイスは、トランジスタ又は光電変換素子等の多くの用途で用いられている。そのような半導体デバイスを作製するための半導体材料の1つとして、A2SbM2L3で表される化合物が挙げられる。例えば、非特許文献1には、半導体材料としてSn2SbS2I3及びPb2SbS2I3が挙げられている。また、非特許文献2も半導体材料を挙げる文献であって、Sn2SbS2I3及びSn2SbSe2I3等が挙げられているほか、S、Se及びTeのような様々な第16族元素を含む化合物についてバンドギャップ等の物性が検討されている。

先行技術

0003

Starosta et al. Cryst. Res. Technol. 1990, 25, 1439.
Ibanez et al. Mat. Res. Bull., 1984, 19, 1005.

発明が解決しようとする課題

0004

半導体デバイスのさらなる電気特性の向上のために、新たな半導体材料が求められている。

0005

本発明は、新たな半導体材料を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0006

本発明者らは、非特許文献1に記載の半導体材料の構成元素を変えることにより、同等の結晶構造を有しながら異なる特性を示す新たな半導体材料を見出し、この知見に基づいて本発明を完成させた。

0007

すなわち、本発明の要旨は、以下に存する。
[1]下記式(1)で表される化合物。
A2BiaxSba(1−x)M2bL3c (1)
(式(1)中、AはSn又はPbを表し、MはS、Se又はTeを表し、Lはハロゲン元素を表し、xは0より大きく1以下であり、aは0.7以上1.3以下であり、bは0.7以上1.3以下であり、cは0.7以上1.3以下である。)
[2]前記式(1)において、MがSを表すことを特徴とする、[1]に記載の化合物。
[3]前記式(1)において、LがIを表すことを特徴とする、[1]又は[2]に記載の化合物。
[4]少なくとも電極と、半導体層と、を含む電子デバイスであって、前記半導体層が[1]から[3]のいずれかに記載の化合物を含有することを特徴とする電子デバイス。
[5][1]から[3]のいずれかに記載の化合物を備える光触媒。
[6]一対の電極と、前記一対の電極間に配置された活性層とを備える光電変換素子であって、前記活性層が[1]から[3]のいずれかに記載の化合物を含有することを特徴とする光電変換素子。
[7][6]に記載の光電変換素子を備える太陽電池モジュール。
[8]下記式(2)で表される化合物。
A2BixSb1−xM2L3 (2)
(式(2)中、AはSn又はPbを表し、MはS、Se又はTeを表し、Lはハロゲン元素を表し、Xは0より大きく1以下である。)
[9]Sn及びPbのうち少なくとも1つと、Bi及びSbのうち少なくとも1つと、S、Se及びTeのうち少なくとも1つと、ハロゲン元素と、を含む化合物であって、
前記化合物はBiを含み、
Sn及びPbの合計と、Bi及びSbの合計と、S、Se及びTeの合計と、ハロゲン元素と、のモル比が2:a:2b:3c(aは0.7以上1.3以下、bは0.7以上1.3以下、cは0.7以上1.3以下)である化合物。
[10]Sn及びPbのうち少なくとも1つと、Bi及びSbのうち少なくとも1つと、S、Se及びTeのうち少なくとも1つと、ハロゲン元素と、を含む混合物であって、Biを含み、Sn及びPbの合計と、Bi及びSbの合計と、S、Se及びTeの合計と、ハロゲン元素と、のモル比が2:a:2b:3c(aは0.7以上1.3以下、bは0.7以上1.3以下、cは0.7以上1.3以下)である混合物を調製する工程と、
前記混合物を焼成する工程と、
を有することを特徴とする、無機材料の製造方法。
[11]Sn及びPbのうち少なくとも1つと、Bi及びSbのうち少なくとも1つと、S、Se及びTeのうち少なくとも1つと、ハロゲン元素と、を含む、半導体材料。

発明の効果

0008

新たな半導体材料を提供することができる。

図面の簡単な説明

0009

一実施形態に係る電界効果トランジスタ素子を模式的に表す断面図である。
一実施形態としての光電変換素子を模式的に表す断面図である。
一実施形態としての太陽電池を模式的に表す断面図である。
一実施形態としての太陽電池モジュールを模式的に表す断面図である。
実施例において作製した試料結晶構造解析結果を表す。
実施例において作製した試料の結晶構造解析結果を表す。
実施例において作製した試料の吸収スペクトル測定結果を表す。
実施例において作製した試料の光電流密度の測定結果を表す。

0010

以下に、本発明の実施形態を詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施形態の一例(代表例)であり、本発明はその要旨を超えない限り、これらの内容に限定はされない。

0011

<1.本発明に係る化合物>
本発明に係る化合物は、下記式(1)で表すことができる。
A2BiaxSba(1−x)M2bL3c (1)

0012

式(1)において、Aはスズ(Sn)又は鉛(Pb)を表す。また、本発明に係る化合物がAとしてSnとPbとの双方を含んでいてもよい。良好な光応答特性が得られるという観点からは、AはSnを表すことが好ましい。

0013

式(1)において、Mは硫黄(S)、セレン(Se)又はテルル(Te)を表す。また、本発明に係る化合物がAとしてS、Se及びTeのうちの2以上の組み合わせを含んでいてもよい。良好な光応答特性が得られる点で、MがS又はSeを表すことが好ましい。なかでも、Sを表すこと、すなわち本発明に係る化合物がサルファハライド化合物であることがより好ましい。

0014

式(1)において、Lはハロゲン元素を表す。良好な光応答特性が得られる点で、ハロゲン元素としては塩素(Cl)、臭素(Br)又はヨウ素(I)が好ましく、Br又はIがより好ましく、Iがさらに好ましい。本発明に係る化合物は、Lとして2以上のハロゲン元素の組み合わせを含んでいてもよい。

0015

式(1)において、xは0より大きく、1以下である。

0016

式(1)において、aは0.7以上であり、0.8以上であることがより好ましく、0.9以上であることがさらに好ましい。一方、aは1.3以下であり、1.2以下であることがより好ましく、1.1以下であることがさらに好ましい。

0017

式(1)において、bは0.7以上であり、0.8以上であることがより好ましく、0.9以上であることがさらに好ましい。一方、aは1.3以下であり、1.2以下であることがより好ましく、1.1以下であることがさらに好ましい。

0018

式(1)において、cは0.7以上であり、0.8以上であることがより好ましく、0.9以上であることがさらに好ましい。一方、aは1.3以下であり、1.2以下であることがより好ましく、1.1以下であることがさらに好ましい。

0019

a、b及びcが1に近いことは、本発明に係る化合物の結晶構造が、従来半導体化合物として知られている化合物A2SbM2L3により近いことを意味するため、良好な半導体特性が期待できる点で好ましい。一方で、a、b及びcが1からずれていても、上記の範囲内にある場合に本発明に係る化合物が半導体特性を有していることは、後述の実施例から理解可能である。

0020

半導体特性を発揮するのに適した結晶構造をとりやすい点で、a、b及びcの間に大きな差がないことが好ましい。この観点から、a/bは0.7以上であることが好ましく、0.8以上であることがより好ましく、0.9以上であることがさらに好ましく、一方で1.3以下であることが好ましく、1.2以下であることがより好ましく、1.1以下であることがさらに好ましい。同様に、a/cは0.7以上であることが好ましく、0.8以上であることがより好ましく、0.9以上であることがさらに好ましく、一方で1.3以下であることが好ましく、1.2以下であることがより好ましく、1.1以下であることがさらに好ましい。また、b/cは0.7以上であることが好ましく、0.8以上であることがより好ましく、0.9以上であることがさらに好ましく、一方で1.3以下であることが好ましく、1.2以下であることがより好ましく、1.1以下であることがさらに好ましい。

0021

式(1)で表される化合物は、従来半導体化合物として知られている化合物A2SbM2L3を母体とする化合物であり、この化合物に含まれるSb原子のうち、xで表される一部分がBi原子置換されている。

0022

本発明に係る化合物の一例としては、下記式(2)で表される化合物が挙げられる。
A2BixSb1−xM2L3 (2)

0023

式(2)において、A、M、L及びxの意義は式(1)と同様である。式(2)で表されるこの化合物は、化合物A2SbM2L3に含まれるSb原子のうち、xで表される一部分をBi原子で置換して得られる化合物に相当する。

0024

発明者らは、Sb原子をBi原子で置換することにより、化合物がより長波長の光を吸収できるようになるとともに、化合物に光を照射して得られる光電流密度が増大するという効果が得られることを確認した。その理由として、発明者らは、置換により導入されたBi原子のs軌道の寄与により、価電子帯(Valence Band)のエネルギーが上昇することが寄与するのではないかと考えている。このような効果は、類似の結晶構造及びバンド構造を有している化合物A2BiaxSba(1−x)M2bL3c(A=Sn又はPb、M=S、Se又はTe、L=ハロゲン元素)について共通に得られるものと理解される。

0025

このように、本発明に係る化合物がより長波長の光を吸収できることにより、この化合物を活性層材料として用いた光電変換素子において光の吸収効率が向上し、光電変換効率が向上することが期待される。また、本発明に係る化合物において光電流密度が増大することは、この化合物の電荷分離性能が向上していることを示す。このため、本発明に係る化合物を活性層材料として用いた光電変換素子の光電変換効率が向上することが期待されるとともに、本発明に係る化合物を用いた光触媒の活性が向上することが期待される。

0026

式(2)は、本発明に係る化合物の詳細な組成を示しているわけではなく、化合物自体を特定している。化合物には不純物が含まれることがあり、また元素が部分的に脱落することによる欠陥を含んでいることがある。さらに、化合物を元素分析した場合には測定値誤差が含まれることがある。例えば、式(2)で表される化合物において、元素Bi、Sb、M、及びLの含有量は、元素Aの含有量に基づいて式(2)に従って計算される含有量から、±30原子%ずれていてもよい。このずれは、±20原子%以下であることが好ましく、±10原子%以下であることがより好ましい。

0027

また、式(1)(2)で表される化合物はさらなる元素を含んでいてもよい。例えば、式(1)で表される化合物が、その特性を大きく損なわない範囲で不純物を含んでいてもよく、例えば不可避的不純物を含んでいてもよい。さらなる元素の含有量は、化合物の質量に対して、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましく、2質量%以下であることがさらに好ましい。

0028

本発明に係る化合物は、特定の結晶状態で存在することができ、この結晶はA、Bi、M、L、及び必要に応じてSb原子を含む繰り返し構造を有している。例えば、本発明に係る化合物の結晶は、例えば、A、Bi、M、及び必要に応じてSb原子で構成された平面構造が、L原子を挟んで積層されている構造を有することができる。

0029

式(1)(2)において、xが大きくなるほど吸収端波長が大きくなり、光半導体特性が向上する傾向にある。したがって、より長波長の光を吸収できる点、及び良好な光半導体特性が得られる点で、xは0.1以上であることが好ましく、0.3以上であることがより好ましく、0.55以上であることがさらに好ましく、0.7以上であることがよりさらに好ましく、0.9以上であることが特に好ましい。

0030

一方で、式(1)(2)において、xが0.1以上である場合に、キャリア拡散長が増加する傾向にある。よりキャリア拡散長を増加させる観点から、xは0.3以上であることが好ましい。同様に、xが0.9以下である場合に、キャリア拡散長が増加する傾向にある。よりキャリア拡散長を増加させる観点から、xは0.7以下であることが好ましい。

0031

また、本発明に係る化合物は、以下のように表すこともできる。すなわち、本発明に係る化合物は、Sn及びPbのうち少なくとも1つと、Bi及びSbのうち少なくとも1つと、S、Se及びTeのうち少なくとも1つと、ハロゲン元素と、を含む化合物でありうる。この化合物はBiを含み、Sn及びPbの合計と、Bi及びSbの合計と、S、Se及びTeの合計と、ハロゲン元素と、のモル比は2:a:2b:3cである。a、b及びcの意義は、式(1)と同様である。この化合物は、Sn及びPbのうち少なくとも1つと、Bi及びSbのうち少なくとも1つと、S、Se及びTeのうち少なくとも1つと、ハロゲン元素と、から実質的になるものであってもよい。この場合、上記のように、この化合物はさらなる元素を含んでいてもよい。さらなる元素の含有量は、化合物の質量に対して、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましく、2質量%以下であることがさらに好ましい。

0032

上記のような本発明に係る化合物の存在は、例えば、X線結晶構造解析又は波長分散型X線分析等を用いた元素分析等の方法により、検出することができる。

0033

<2.本発明に係る化合物の製造方法>
本発明に係る化合物の製造方法は特に限定されないが、式(1)(2)に表される化合物と同様の元素組成となるように各材料を混合してから反応させる方法が挙げられる。

0034

まず、Sn及びPbのうち少なくとも1つと、Bi及びSbのうち少なくとも1つと、S、Se及びTeのうち少なくとも1つと、ハロゲン元素と、を含む混合物が調製される。この混合物は、Biを含んでいる。また、この混合物に含まれる、Sn及びPbの合計と、Bi及びSbの合計と、S、Se及びTeの合計と、ハロゲン元素と、のモル比は2:a:2b:3cである。a、b及びcの意義は、式(1)と同様である。この混合物は、Sn及びPbのうち少なくとも1つと、Bi及びSbのうち少なくとも1つと、S、Se及びTeのうち少なくとも1つと、ハロゲン元素と、から実質的になるものであってもよい。この場合、この混合物はさらなる元素を含んでいてもよい。さらなる元素の含有量は、混合物の質量に対して、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましく、2質量%以下であることがさらに好ましい。

0035

例えば、AM及びBiL3、並びに必要に応じてSbL3を、AMと、BiL3及びSbL3の合計と、が2:1のモル比となるように混合することにより、式(2)に表される化合物と同様の元素組成を有する混合物を調製することができる。混合方法は特に限定されず、例えば乳鉢又は機械式ミル等を用いるなどの方法が挙げられる。

0036

混合物の反応方法としては、特に限定されないが、例えば、固相法が挙げられ、なかでも焼成法が挙げられる。反応における焼成温度は特に制限されないが、反応を十分に進行させるために、例えば300℃以上、又は400℃以上、かつ1000℃以下、又は700℃以下で焼成を行うことができる。また、焼成時間も特に制限されないが、反応を十分に進行させる観点から、例えば1時間以上、又は2時間以上、かつ12時間以下、又は5時間以下の焼成を行うことができる。

0037

不純物の混入を防ぐために、焼成は、真空中、又はアルゴン等の不活性雰囲気中で行うことが好ましい。また、材料の蒸発を防ぐため、封管等の容器内に混合物を封入した上で焼成を行うことも好ましい。焼成により、本発明に係る無機材料を製造することができる。この無機材料には、本発明に係る化合物が含まれる。

0038

<3.半導体デバイス>
本発明の一実施形態に係る化合物は、光吸収により価電子帯の電子伝導帯遷移する特性、光電気化学反応特性及び光電変換特性を示すため、半導体材料として使用可能である。特に、本発明の一実施形態に係る化合物に光が入射すると電子が励起することが確認されていることから、本発明の一実施形態に係る化合物は光電変換素子用の半導体材料として好ましく用いられる。この半導体材料は、本発明に係る化合物から実質的になるものであってもよいし、さらなる化合物を含んでいてもよい。この半導体材料は、例えば、Sn及びPbのうち少なくとも1つと、Bi及びSbのうち少なくとも1つと、S、Se及びTeのうち少なくとも1つと、ハロゲン元素と、を含んでいる。

0039

本明細書において「半導体」とは、固体状態におけるキャリア移動度の大きさによって定義される。キャリア移動度とは、周知であるように、電荷(電子又は正孔)がどれだけ速く(又は多く)移動されうるかを示す指標となるものである。具体的には、本明細書における「半導体」は、室温におけるキャリア移動度が好ましくは1.0x10−6cm2/V・s以上、より好ましくは1.0x10−5cm2/V・s以上、さらに好ましくは5.0x10−5cm2/V・s以上、特に好ましくは1.0x10−4cm2/V・s以上である。なお、キャリア移動度は、例えば電界効果トランジスタIV特性の測定、又はタイムオブフライト法等により測定できる。

0040

なお、電界効果トランジスタ法又はタイムオブフライト法を用いることができない粉末試料については、国際公開第2013/024602号又はSaeki A et al., J Phys Chem C. 2014, 118, 22561-22572に記載の方法で半導体性能を評価することができる。より具体的には、これらの文献に記載のΦΣμで表される物理量を用いて光半導体性能を評価することができる。国際公開第2013/024602号に記載されているように、ΦΣμが大きいことは光電変換特性が良好であることを示す。

0041

具体的には、室温における過渡伝導度ΦΣμのピーク値は、好ましくは1×10−14cm2/Vs以上、さらに好ましくは1×10−13cm2/Vs以上、特に好ましくは2×10−12cm2/Vs以上である。さらに、光半導体の性能は、光電気化学反応(光照射下における銀イオン鉄イオンヨウ素イオン色素等の酸化還元反応)の反応効率により評価することができる。

0042

また、光電変換特性は、Saeki A et al. J. Am. Chem. Soc., 2012, 134(46), 19035-42.に記載のΔσにより評価することでもできる。この場合、Δσの値は、1×10−10以上であることが好ましく、1×10−9以上であることがさらに好ましく、3×10−9以上であることが特に好ましい。

0043

このため、本発明の一実施形態に係る化合物は、半導体デバイスの製造に用いることができる。本明細書において、半導体デバイスとは、少なくとも電極と、半導体層と、を含む電子デバイスのことを指す。この半導体層は、本発明に係る化合物を含有している。

0044

電子デバイスとは、その電極間に流れる電流若しくは生じる電圧を、電気、光、磁気若しくは化学物質等により制御するデバイス、又は、その電極間に印加した電圧若しくは電流により、光、電場若しくは磁場等を発生させるデバイスのことを指す。具体例としては、電圧若しくは電流の印加により電流若しくは電圧を制御する素子、磁場の印加により電圧若しくは電流を制御する素子、又は化学物質を作用させて電圧若しくは電流を制御する素子等が挙げられる。制御の具体例としては、整流スイッチング増幅又は発振等が挙げられる。

0045

半導体デバイスの例としては、抵抗器整流器ダイオード)、スイッチング素子(トランジスタ、サイリスタ)、増幅素子(トランジスタ)、メモリー素子若しくは化学センサー等、又はこれらの素子を組み合わせ若しくは集積化して得られたデバイスが挙げられる。また、半導体デバイスのさらなる例としては光素子が挙げられ、光素子には光電流を生じるフォトダイオード若しくはフォトトランジスタ電界を印加することにより発光する電界発光素子、又は光により起電力を生じる光電変換素子若しくは太陽電池等が含まれる。

0046

半導体デバイスのより具体的な例としては、S.M.Sze著、Physics of Semiconductor Devices、2nd Edition(Wiley Interscience 1981)に記載されているものを挙げることができる。

0047

電極の種類は特に限定されない。半導体デバイスの種類に応じて、適切な材料を用いて電極を作製することができる。電極の具体例は、いくつかの半導体デバイスに関して後に説明する。

0048

半導体層は、本発明に係る化合物を含有しているが、その構成は特に限定されない。また、半導体層が、本発明に係る化合物とは別にさらなる化合物を含有していてもよい。半導体層の形成方法も特に限定されず、例えば本発明に係る化合物を含有する分散液を塗布することにより半導体層を作製することができる。また、例えば本発明に係る化合物を対象に蒸着させることにより半導体層を作製することもできる。

0049

以下、半導体デバイスの例として、電界効果トランジスタ素子及び光電変換素子について説明する。

0050

(電界効果トランジスタ(FET))
本発明に係る電界効果トランジスタ(FET)素子は、半導体層と、一対の電極であるソース電極及びドレイン電極と、ゲート電極とを有する。この半導体層は、上述のように、本発明に係る化合物を含有している。

0051

図1は、本発明に係るFET素子の構造例を模式的に表す図である。図1において、51が半導体層、52が絶縁体層、53及び54がソース電極及びドレイン電極、55がゲート電極、56が基材をそれぞれ示す。図1(A)〜(D)にはそれぞれ異なる構造のFET素子が記載されているが、どれも本発明に係るFET素子の構造例を示している。FET素子を構成するこれらの構成部材及びその製造方法について特段の制限はなく、周知技術を用いることができる。例えば、国際公開第2013/180230号又は特開2012−191194号公報等の公知文献に記載の技術を使用することができる。

0052

(光電変換素子)
本発明に係る光電変換素子は、一対の電極と、一対の電極間に配置された活性層とを備える。図2は、本発明に係る光電変換素子の一実施形態を模式的に表す断面図である。光電変換素子100は、基材106、アノード(電極)101、正孔取り出し層バッファ層)102、活性層103、電子取り出し層(バッファ層)104、及びカソード(電極)105がこの順に形成された層構造を有する。図2に示される光電変換素子は、一般的な薄膜太陽電池に用いられる光電変換素子であるが、本発明に係る光電変換素子が図2に示されるものに限られるわけではない。例えば、一部の層が存在しなくてもよいし、さらなる層が通過されてもよいし、層の積層順序が異なっていてもよい。

0053

一実施形態において、活性層103は、本発明に係る化合物を含有している。もっとも、正孔取り出し層102又は電子取り出し層104のような別の層が本発明に係る化合物を含有していてもよい。

0054

アノード101は、光吸収により生じた正孔を捕集する機能を有する。アノード101の構成部材及びその製造方法について特段の制限はなく、周知技術を用いることができる。例えば、国際公開第2013/171517号、国際公開第2013/180230号又は特開2012−191194号公報等の公知文献に記載の部材及びその製造方法を使用することができる。

0055

正孔取り出し層102は、活性層103からアノード101への正孔の取り出し効率を向上させるために設けられる。正孔取り出し層102の材料としては、国際公開第2013/171517号、国際公開第2013/180230号又は特開2012−191194号公報等の公知文献に記載の無機化合物又は有機化合物が挙げられるが、特に限定されない。

0056

活性層103は光電変換が行われる層である。光電変換素子100が光を受けると、光が活性層103に吸収されてキャリアが発生し、発生したキャリアはアノード101及びカソード105から取り出される。活性層103は本発明に係る化合物を含有して形成することができる。

0057

電子取り出し層104は、活性層103からカソード105への電子の取り出し効率を向上させるために設けられる。電子取り出し層104の材料としては、国際公開第2013/171517号、国際公開第2013/180230号又は特開2012−191194号公報等の公知文献に記載の無機化合物又は有機化合物が挙げられるが、特に限定されない。

0058

カソード105は、光吸収により生じた電子を捕集する機能を有する。カソード105の構成部材及びその製造方法について特段の制限はなく、周知技術を用いることができる。例えば、国際公開第2013/171517号、国際公開第2013/180230号又は特開2012−191194号公報等の公知文献に記載の部材及びその製造方法を使用することができる。

0059

基材106は、光電変換素子100の支持体となる。基材106の材料は、本発明の効果を著しく損なわない限り特に限定されず、例えば、国際公開第2013/171517号、国際公開第2013/180230号又は特開2012−191194号公報等の公知文献に記載の材料を使用することができる。

0060

このような光電変換素子100は、既知の方法に従って上述の各層を形成することにより、作製することができる。

0061

(太陽電池)
本発明に係る光電変換素子100は、太陽電池、なかでも薄膜太陽電池の太陽電池素子として使用することができる。図3は本発明の一実施形態に係る太陽電池の構成を模式的に表す断面図である。図3に表すように、本実施形態に係る薄膜太陽電池14は、耐候性保護フィルム1と、紫外線カットフィルム2と、ガスバリアフィルム3と、ゲッター材フィルム4と、封止材5と、太陽電池素子6と、封止材7と、ゲッター材フィルム8と、ガスバリアフィルム9と、バックシート10と、をこの順に備える。本実施形態に係る薄膜太陽電池14は、太陽電池素子6として、本発明に係る光電変換素子100を有している。そして、耐候性保護フィルム1が形成された側(図3中下方)から光が照射されて、太陽電池素子6が発電するようになっている。なお、薄膜太陽電池14は、これらの構成部材を全て有する必要はなく、必要な構成部材を任意に選択することができる。

0062

薄膜太陽電池を構成するこれらの構成部材及びその製造方法について特段の制限はなく、周知技術を用いることができる。例えば、国際公開第2013/171517号、国際公開第2013/180230号又は特開2012−191194号公報等の公知文献に記載の技術を使用することができる。

0063

本発明に係る太陽電池、特には上述した薄膜太陽電池14はそのまま用いてもよいし、太陽電池モジュールの構成要素として用いられてもよい。例えば、図4に示すように、本発明に係る太陽電池、特には上述した薄膜太陽電池14を基材12上に備える太陽電池モジュール13を作製し、この太陽電池モジュール13を使用場所に設置して用いることができる。基材12としては周知技術を用いることができ、例えば、基材12の材料としては国際公開第2013/171517号、国際公開第2013/180230号又は特開2012−191194号公報等に記載の材料を用いることができる。

0064

<4.光触媒>
本発明の一実施形態に係る化合物に光が入射すると電子が励起することが確認されていることから、本発明の一実施形態に係る化合物は光触媒の材料として利用可能である。すなわち、価電子帯から伝導帯へと励起された電子は還元反応のために用いることができ、残った正孔は酸化反応のために用いることができる。

0065

本発明に係る光触媒は、本発明に係る化合物を含有している。本発明に係る光触媒が触媒する反応は特に限定されず、例えば水分解反応や、光触媒表面における有機物分解反応等が挙げられる。

0066

本発明に係る光触媒は、さらに助触媒を備えていてもよい。例えば、光触媒を水分解反応に用いる場合、水素生成用の助触媒としてPt、Pd、Rh、Ru、Ni、Au、Fe、Ru−Ir、Pt−Ir、NiO、RuO2、IrO2、Rh2O3、NiS又はMoS2等を用いることができる。また、酸素生成用の助触媒として、MnO、MnO2、Mn2O3、Mn3O4、Fe2O3、CoO、Co3O4、NiCo2O4、CoMn2O4、CoFe2O4、RuO2、Rh2O3又はIrO2等を用いることができる。

0067

光触媒の具体的な構成については特に限定されず、例えば酸硫化物半導体化合物を用いた光触媒に関する特開2016−5998号公報に記載されているような、公知の構成を用いることができる。具体的な一例としては、本発明に係る化合物を含有する分散液を用いて基材上に本発明に係る化合物を含有する触媒層を形成し、助触媒を触媒層上に蒸着又は担持させることにより、光触媒を作製することができる。

0068

このような光触媒を用いて、以下のように光水分解反応用の光触媒電極を作製することができる。すなわち、基材上に導電体層及び触媒層を形成し、さらに触媒層上に助触媒を設けることにより、光触媒電極を作製することができる。導電体層の材料は特に限定されないが、例えば金等の導電性金属又はITO若しくはFEO等の透明電極を用いることができる。そして、導電体層と対極とを接続し、光触媒電極と対極とを水又は電解質水溶液中に浸漬して光を照射することにより、水を分解することができる。

0069

以下、実施例及び比較例を示して本発明を具体的に説明する。但し、本発明は実施例に限定されない。

0070

実施例及び比較例において合成した試料の物性評価(結晶構造解析、光吸収特性、元素組成及び形状観察)並びに当該試料を用いた光電極の光電流密度の測定方法は下記の通りである。

0071

(結晶構造解析)
各試料の結晶構造解析は、X線回折装置(Rigaku社製, MiniFlexII)を用いて行った。具体的には、30kV、15mAで発生したCuKα線炭素モノクロメーターで単色化し、10deg/minの走査速度で2θ=3〜70degの範囲を測定した。

0072

(光吸収特性)
各試料の光吸収特性は、紫外可視分光光度計(JASCO社製, V-670)を用いて評価した。具体的には、粉末試料に対して、走査範囲200〜1200nm、走査速度1000nm/min、サンプリング間隔0.5nmの条件において、標準反射板(BaSO4)を参照として積分球を用いた測定を行った。

0073

(光電流密度の測定)
光電流密度の測定には、各実施例で作成した光電極を作用極として用い、対極には白金ワイヤー電極を、参照電極には塩橋を介した銀−塩化銀(Ag/AgCl)電極を用いた。また、脱水アセトニトリルに0.1mol/L相当のヨウ化ナトリウムを溶かして反応溶液とした。これをパイレックス登録商標硝子製のセル内容積約100mL)内に80mL入れ、アルゴンガスによるバブリングを30分行うことによって、セル内の溶液溶存する空気をアルゴンに置換した。

0074

ポテンシオスタット(Princeton Applied Research社製, PARSTAT2263)を用いて作用極に印加する電位を負から正に走査しながら可視光照射を行い、この際に作用極と対極との間に流れた電流値を測定した。光源としては紫外線カットオフフィルター(HOYA社製, L-42)を装着したキセノンランプ(Cermax社製, 300W)を用いて、波長400nm以上の可視光のみを照射した。こうして得られた電流値から、作用極の面積あたりの電流密度(mA/cm2)を得た。

0075

[実施例1:Sn−Bi−Sb系半導体化合物の合成及びその物性評価]
(Sn−Bi−Sb系半導体化合物の合成)
下記手順によりビスマスオキシハライド(Sn2BixSb1−xS2I3)を合成した。

0076

Sn2SbS2I3(x=0)は、以下の通り合成した。0.8mmolの硫化スズ(SnS,高純度化学社製,99%)と0.4mmolのヨウ化アンチモン(SbI3,和光純薬社製,99%)をメノウ乳鉢でよく混合し、ペレット化した。このペレットをPyrex(登録商標)製のガラス管内径約20mm)に入れ、真空ライン脱気しながらガスバーナーを用いてガラス管を封じ切ることで、真空封入を行った。このガラス管を焼成炉に入れ、10K/minで450℃まで昇温し、3時間保った後に自然冷却して、試料を得た。

0077

Sn2BiS2I3(x=1)の合成は、原料としてヨウ化アンチモン(SbI3)の代わりにヨウ化ビスマス(BiI3)を用いたことを除き、上記の手法と同様に行った。

0078

また、Sn2BixSb1−xS2I3(x=0.2,0.4,0.6,0.8)は、以下のように合成した。すなわち、原料に含まれるBiI3とSbI3との比率を1−x:x(x=0.2,0.4,0.6,0.8)、これらの総量を0.4mmolとしたことを除き、上記の手法と同様に合成を行った。

0079

(Sn−Bi−Sb系半導体化合物の物性評価)
(試料の組成分析
得られたそれぞれの試料について、組成分析を行った。具体的には、走査型電子顕微鏡−波長分散型X線分光法(SEM−WDX,SEM:Hitachi,S−3400N,WDX:Oxford instruments,IW500)を用いて行った。得られた結果を表1に示す。

0080

0081

(結晶構造解析)
得られたそれぞれの試料について、粉末X線結晶構造解析を行った。Sn2BixSb1−xS2I3(x=0.2,0.4,0.6,0.8,1)のそれぞれの試料について、図5を参照すると、2θ=38度付近ピーク位置は異なっているものの、得られたXRDパターンはSn2SbS2I3(x=0)と類似していた。従って、XRDパターンからは、Sn2BixSb1−xS2I3(x=0,0.2,0.4,0.6,0.8,1)のそれぞれの試料は、いずれも同様の結晶構造を有していると考えられる。なお、xの値が大きくなるにつれて、2θ=38度付近のピーク位置が低角側にシフトしている理由としては、イオン半径が約90pmのアンチモンイオン(Sb3+)がイオン半径が約117pmのビスマスイオン(Bi3+)に置き換わったためと考えられる。

0082

また、格子定数を、パソコンソフトウェア:Apex2−W2K/NT、SHELXL−97、Jana2006を用いて、ルバイ解析により算出したところ、表2に示すように、xの値が0,0.2,0.4,0.6,0.8,1と増加するに従って、図6のa,b軸の格子定数が増加していることが分かった。粉末X線結晶構造解析と同様に、イオン半径が約90pmのアンチモンイオン(Sb3+)がイオン半径が約117pmのビスマスイオン(Bi3+)に置き換わったために、a,b軸の格子定数が増加し、この結果が得られたものと考えられる。

0083

なお、図6は、公知文献Z. anorg. allg. Chem., 1980, 468, 91-98.を参照して推定した、本願発明に係る化合物の一例の結晶構造を示す。すなわち、公知文献Z. anorg. allg. Chem., 1980, 468, 91-98.には、Sn2SbS2I3の結晶構造が記載されており、上記の理由により、本願発明に係る化合物は、Sn2BixSb1−xS2I3と同様の構造を有しているものと考えられるために、本願発明は図6に示すような構造を有するものと考えられる。

0084

0085

(光吸収特性)
得られたそれぞれの試料の吸収端の波長は、xの値が0,0.2,0.4,0.6,0.8,1である場合に、それぞれ750nm、860nm、890nm、930nm、1000nmであった。このように、xの値が増加するとともに、試料はより長波長の光を吸収することが確認された(図7参照)。

0086

(光電流密度の測定)
得られたそれぞれの試料について、メノウ乳鉢を用いて粉末を超純水と混合してよく分散した。市販の透明導電性ガラス電極(FTO,長さ50mm、幅15mm、厚さ1mm)上に各分散液滴下し、ガラス棒で均一になるよう塗り広げた。この際、塗布面積は、長さ40mm、幅15mmとした。塗布後、分散液を室温にて乾燥させることにより、作用極を作成した。上記の手法により、ガラス電極上には平均で2〜3mgの粉末が積層された。また、走査電子顕微鏡KEYENCE社製,VE-9800)による観察から、その膜厚はおよそ2.5〜3.5μmと確認された。

0087

上記のように作成された作用極を用いて光電流密度を測定したところ、図8に示す光応答特性が観測された。式(1)においてx=1の化合物は、式(1)においてx=0の公知化合物に比較して、全体として高い光電流密度を示した。例えば、0.0V vs Ag/AgClにおける電流密度を比較すると、式(1)においてx=0の化合物を用いた場合20μA/cm2であったのに対して、式(1)においてx=1の化合物を用いた場合100μA/cm2であった。このように、式(1)においてx=1の化合物を用いた場合は、式(1)においてx=0の公知化合物を用いた場合と比較して、約5倍の光電流密度が観測された。このことは、ビスマスを含む本発明に係る化合物を含む電極を用いると効率的に光電気化学反応が進行すること、すなわちビスマスを含む本発明に係る化合物が良好な半導体材料として利用可能であることを示している。

0088

(TRMC測定)
それぞれの粉末試料について、光励起時間分解マイクロ波伝導度(TRMC)測定法により過渡伝導度ΦΣμを評価した。ナノ秒レーザーからの第3高調波(355nm)をフィルターを通して2.5mJ/cm2/pulseの強度に調整したもの、及び0.7mJ/cm2/pulseの強度のキセノンフラッシュランプ太陽光近似白色光)からの光を、励起光として用いた。石英基板上に保持した試料を9GHzマイクロ波・空洞共振器に設置し、反射マイクロ波時間変化を観測した。得られた信号をSaeki A et al., J. Phys. Chem. C., 2014, 118, 22561-22572.及びSaeki A et al., J. Am. Chem. Soc., 2012, 134(46), 19035-42.に記載の手法で過渡伝導度ΦΣμ及びΔσに変換し、ピーク値及び半減期τ1/2を読み取った。結果を表3に示す。

0089

0090

表3に示すように、キセノン白色光下での過渡的伝導度Δσmaxは、公知物質であるSn2SbS2I3に比較して、Biが導入されることにより増大している。この結果は、Biの導入により光半導体特性が向上したことを示している。

0091

さらに、表3に示す得られた結果を基にして、下記の通りキャリア拡散長lcを算出した。

0092

キャリア拡散長lcは、キャリア拡散定数D及びキャリア寿命τを用いてlc=√Dτと表され、キャリア拡散定数Dは、アインシュタインの関係式より、ボルツマン定数k、温度T、素電荷e及び移動度μを用いてD=kTμ/eと表されるから、キャリア拡散長lcは下式で表される。

0093

0094

そして、キャリア生成量収率φを100%と仮定した時の拡散長lc’を、下式に従って、TRMC測定により得られたφΣμ及びτ1/2を用いた近似計算により計算した。

0095

0096

T=300Kにおける計算結果を表4に示す。

0097

0098

表4に示すように、本発明に係る化合物は、公知物質であるSn2SbS2I3と比較して、Biが導入されることにより、波長355nmのレーザー光照射下における拡散長が増加することが分かる。この結果は、光半導体特性がBiの導入によって向上したことを示している。

実施例

0099

以上のように、半導体化合物であるA2SbM2L3に含まれるSb原子をBi原子で置換することにより、新たな特性を有する半導体化合物が得られることが確認された。特に、Sb原子をBi原子で置換することにより、より波長の大きい光を吸収することが可能となり、また光を照射して得られる光電流密度も増大することが確認された。さらに、本発明に係る半導体化合物は、過渡的伝導度Δσおよびキャリア拡散長lcも従来の化合物と比較して大きくなっていることが判明した。そのため、当該半導体化合物は、効率良くキャリアを輸送できるために光電変換素子等のデバイスに適していると考えられる。

0100

1耐候性保護フィルム
2紫外線カットフィルム
3,9ガスバリアフィルム
4,8ゲッター材フィルム
5,7封止材
6太陽電池素子
10バックシート
12基材
13太陽電池モジュール
14薄膜太陽電池
100光電変換素子
101アノード
102正孔取り出し層
103活性層
104電子取り出し層
105カソード
106 基材

ページトップへ

この技術を出願した法人

この技術を発明した人物

ページトップへ

関連する挑戦したい社会課題

関連する公募課題

該当するデータがありません

ページトップへ

技術視点だけで見ていませんか?

この技術の活用可能性がある分野

分野別動向を把握したい方- 事業化視点で見る -

(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成

ページトップへ

おススメ サービス

おススメ astavisionコンテンツ

新着 最近 公開された関連が強い技術

この 技術と関連性が強い技術

関連性が強い 技術一覧

この 技術と関連性が強い人物

関連性が強い人物一覧

この 技術と関連する社会課題

関連する挑戦したい社会課題一覧

この 技術と関連する公募課題

該当するデータがありません

astavision 新着記事

サイト情報について

本サービスは、国が公開している情報(公開特許公報、特許整理標準化データ等)を元に構成されています。出典元のデータには一部間違いやノイズがあり、情報の正確さについては保証致しかねます。また一時的に、各データの収録範囲や更新周期によって、一部の情報が正しく表示されないことがございます。当サイトの情報を元にした諸問題、不利益等について当方は何ら責任を負いかねることを予めご承知おきのほど宜しくお願い申し上げます。

主たる情報の出典

特許情報…特許整理標準化データ(XML編)、公開特許公報、特許公報、審決公報、Patent Map Guidance System データ