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技術 熱伝導性複合フィラー、熱伝導性複合フィラーの製造方法、熱伝導性樹脂および熱伝導性樹脂の製造方法

出願人 株式会社大豊化成地方独立行政法人大阪産業技術研究所
発明者 松下成顕上利泰幸平野寛門多丈治岡田哲周
出願日 2016年3月3日 (4年8ヶ月経過) 出願番号 2016-040747
公開日 2017年9月7日 (3年2ヶ月経過) 公開番号 2017-154937
状態 特許登録済
技術分野 炭素・炭素化合物 高分子組成物
主要キーワード 熱伝導性絶縁材料 各接触部材 流動体状 工程流れ図 各供給量 アクリル系熱可塑性エラストマー 摩耗量比 コーティング部分
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (14)

課題

熱伝導性樹脂製造装置の損傷を抑えて耐久性を向上させるとともに高品質な熱伝導性樹脂を生成することができる熱伝導性複合フィラー、熱伝導性複合フィラーの製造方法、熱伝導性樹脂および熱伝導性樹脂の製造方法を提供する。

解決手段

熱伝導性複合フィラー100は、炭化ケイ素(SiC)の粒子の表面に複数の酸化マグネシウム(MgO)の粒子がそれぞれ固着したものである。この熱伝導性複合フィラー100は、マグネシウム塩−炭化ケイ素懸濁液を用意する第1工程、マグネシウム塩−炭化ケイ素懸濁液から水分を除去して残留物を得る第2工程、残留物を加熱して酸化マグネシウムを焼成する第3工程によって生成される。そして、熱伝導性樹脂200は、熱伝導性複合フィラー100に樹脂材201が混練されて生成される。

概要

背景

従来から、熱伝導性を向上させた樹脂材として熱伝導性樹脂がある。熱伝導性樹脂は、電子機器機械装置内において発熱体の支持や封止のほか、ヒートシンクとしてまたは発熱体と金属製のヒートシンクとの間に配置される熱伝導性絶縁材料として用いられている。例えば、下記特許文献1には、放熱部材の材料として電気絶縁性を有する樹脂熱伝導性フィラーを添加した熱伝導性樹脂が開示されている。

概要

熱伝導性樹脂の製造装置の損傷を抑えて耐久性を向上させるとともに高品質な熱伝導性樹脂を生成することができる熱伝導性複合フィラー、熱伝導性複合フィラーの製造方法、熱伝導性樹脂および熱伝導性樹脂の製造方法を提供する。熱伝導性複合フィラー100は、炭化ケイ素(SiC)の粒子の表面に複数の酸化マグネシウム(MgO)の粒子がそれぞれ固着したものである。この熱伝導性複合フィラー100は、マグネシウム塩−炭化ケイ素懸濁液を用意する第1工程、マグネシウム塩−炭化ケイ素懸濁液から水分を除去して残留物を得る第2工程、残留物を加熱して酸化マグネシウムを焼成する第3工程によって生成される。そして、熱伝導性樹脂200は、熱伝導性複合フィラー100に樹脂材201が混練されて生成される。

目的

本発明は上記問題に対処するためなされたもので、その目的は、熱伝導性樹脂の製造装置の損傷を抑えて耐久性を向上させるとともに高品質な熱伝導性樹脂を生成することができる熱伝導性複合フィラー、熱伝導性複合フィラーの製造方法、熱伝導性樹脂および熱伝導性樹脂の製造方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

熱伝導性樹脂の一部を構成する熱伝導性複合フィラーであって、複数の炭化ケイ素粒子の各表面に複数の酸化マグネシウム粒子が固着していることを特徴とする熱伝導性複合フィラー。

請求項2

請求項1に記載した熱伝導性複合フィラーにおいて、前記酸化マグネシウムは、前記炭化ケイ素に対して50wt%以下の重量割合で含まれていることを特徴とする熱伝導性複合フィラー。

請求項3

水中にマグネシウム塩および炭化ケイ素粒子をそれぞれ含む懸濁液から水分を蒸発させる水分除去工程と、前記水分を除去することによって残った残留物を加熱して前記炭化ケイ素粒子の表面に酸化マグネシウムを生成する焼成工程とを含むことを特徴とする熱伝導性複合フィラーの製造方法。

請求項4

請求項3に記載した熱伝導性複合フィラーの製造方法において、前記懸濁液中の前記マグネシウム塩は、シュウ酸マグネシウムリン酸マグネシウムまたは酢酸マグネシウムを主成分として構成されていることを特徴とする熱伝導性複合フィラーの製造方法。

請求項5

請求項4に記載した熱伝導性複合フィラーの製造方法において、前記懸濁液中の前記マグネシウム塩は、シュウ酸マグネシウムを主成分とするとともにリン酸マグネシウム、硝酸マグネシウム、酢酸マグネシウムまたは塩化マグネシウムを副成分として含むことを特徴とする熱伝導性複合フィラーの製造方法。

請求項6

請求項5に記載した熱伝導性複合フィラーの製造方法において、前記懸濁液中の前記マグネシウム塩は、前記シュウ酸マグネシウムを含むマグネシウム塩において前記リン酸マグネシウム、前記硝酸マグネシウム、前記酢酸マグネシウムまたは前記塩化マグネシウムが3mol%以上かつ50mol%以下のmol割合で含まれていることを特徴とする熱伝導性複合フィラーの製造方法。

請求項7

請求項3ないし請求項6のうちのいずれか1つに記載した熱伝導性複合フィラーの製造方法において、前記懸濁液は、前記焼成工程で焼成される前記酸化マグネシウムが前記炭化ケイ素に対して40wt%以下の重量割合となる前記マグネシウム塩量で構成されていることを特徴とする熱伝導性複合フィラーの製造方法。

請求項8

炭化ケイ素粒子の表面に酸化マグネシウム粒子が固着した熱伝導性複合フィラー群が樹脂材によって一体的に固められていることを特徴とする熱伝導性樹脂。

請求項9

請求項8に記載した熱伝導性樹脂において、前記酸化マグネシウムは、前記炭化ケイ素に対して50wt%以下の重量割合で含まれていることを特徴とする熱伝導性樹脂。

請求項10

水中にマグネシウム塩および炭化ケイ素粒子をそれぞれ含む懸濁液から水分を蒸発させる水分除去工程と、前記水分を除去することによって残った残留物を加熱して前記炭化ケイ素粒子の表面に酸化マグネシウムを生成して熱伝導性複合フィラーを生成する焼成工程と、前記熱伝導性複合フィラーと流体状の樹脂材とを混練する混練工程とを含むことを特徴とする熱伝導性樹脂の製造方法。

技術分野

0001

本発明は、熱伝導性樹脂を構成する熱伝導性複合フィラー、熱伝導性複合フィラーの製造方法、熱伝導性樹脂および熱伝導性樹脂の製造方法に関する。

背景技術

0002

従来から、熱伝導性を向上させた樹脂材として熱伝導性樹脂がある。熱伝導性樹脂は、電子機器機械装置内において発熱体の支持や封止のほか、ヒートシンクとしてまたは発熱体と金属製のヒートシンクとの間に配置される熱伝導性絶縁材料として用いられている。例えば、下記特許文献1には、放熱部材の材料として電気絶縁性を有する樹脂熱伝導性フィラーを添加した熱伝導性樹脂が開示されている。

0003

特開2005−281467公報

0004

しかしながら、上記特許文献1に記載された熱伝導性樹脂においては、一般に電気絶縁性を有する熱伝導性フィラーは硬度が高いため、熱伝導性樹脂の製造装置(例えば、混練機押出し成形機射出成形機など)における金属部分の摩耗コーティング部分剥離を生じさせて製造装置の耐久性を低下させるとともに熱伝導性樹脂内に異物混入させて品質を低下させるという問題があった。

先行技術

0005

本発明は上記問題に対処するためなされたもので、その目的は、熱伝導性樹脂の製造装置の損傷を抑えて耐久性を向上させるとともに高品質な熱伝導性樹脂を生成することができる熱伝導性複合フィラー、熱伝導性複合フィラーの製造方法、熱伝導性樹脂および熱伝導性樹脂の製造方法を提供することにある。

0006

上記目的を達成するため、本発明の特徴は、熱伝導性樹脂の一部を構成する熱伝導性複合フィラーであって、複数の炭化ケイ素粒子の各表面に複数の酸化マグネシウム粒子が固着していることにある。

0007

このように構成した本発明の特徴によれば、熱伝導性複合フィラーは、炭化ケイ素粒子の表面に炭化ケイ素よりも軟質な酸化マグネシウム粒子が固着しているため、酸化マグネシウム粒子が緩衝材として機能して熱伝導性樹脂を製造する製造装置において熱伝導性複合フィラーが接触する各部品に対する摩耗量(以降、「接触部材摩耗量」という)を低く抑えて耐久性を向上させるとともに異物の混入を防止して高品質な熱伝導性樹脂を生成することができる。また、本発明に係る熱伝導性複合フィラーは、本発明者らの実験によれば、高い熱伝導率を有する熱伝導性樹脂を構成することができる。

0008

また、本発明の他の特徴は、前記熱伝導性複合フィラーにおいて、酸化マグネシウムは、炭化ケイ素に対して40wt%以下の重量割合で含まれていることにある。

0009

このように構成した本発明の他の特徴によれば、熱伝導性複合フィラーは、本発明者らの実験によれば、酸化マグネシウムを炭化ケイ素に対して40wt%を超える重量割合で含有させた場合に比べて熱伝導性樹脂を製造する製造装置内の接触部材摩耗量を低く抑えつつ高い熱伝導率の熱伝導性樹脂を得ることができる。

0010

また、本発明は熱伝導性複合フィラーの発明として実施できるばかりでなく、この熱伝導性複合フィラーの製造方法、熱伝導性複合フィラーを含有する熱伝導性樹脂およびこの熱伝導性樹脂の製造方法の発明としても実施できるものである。

0011

具体的には、熱伝導性複合フィラーの製造方法は、水中にマグネシウム塩および炭化ケイ素粒子をそれぞれ含む懸濁液から水分を蒸発させる水分除去工程と、水分を除去することによって残った残留物を加熱して炭化ケイ素粒子の表面に酸化マグネシウムを生成する焼成工程とを含むようにするとよい。この場合、懸濁液は、マグネシウム塩が水に溶け水溶液となる場合のほか、マグネシウム塩が水に溶けずに水中に分散、沈殿または浮遊した状態も含むものである。

0012

このように構成した本発明の特徴によれば、熱伝導性複合フィラーの製造方法は、炭化ケイ素粒子の表面にマグネシウム塩をムラなく均一に付着させて焼成により酸化マグネシウムを固着させることができるため、酸化マグネシウム粒子が緩衝材として機能して接触部材摩耗量を低く抑えて耐久性を向上させるとともに高品質な熱伝導性樹脂を生成することができる。また、本発明に係る熱伝導性複合フィラーの製造方法は、本発明者らの実験によれば、高い熱伝導率を有する熱伝導性樹脂を生成することができる。

0013

また、この場合、前記熱伝導性複合フィラーの製造方法において、懸濁液中のマグネシウム塩は、シュウ酸マグネシウムリン酸マグネシウムまたは酢酸マグネシウムを主成分として構成されているとよい。ここで、主成分とは、水と混ぜられるマグネシウム塩のうちの少なくとも50mol%以上を構成することをいう。

0014

これによれば、熱伝導性複合フィラーの製造方法は、本発明者らの実験によれば、マグネシウム塩の中でも特に顕著に接触部材摩耗量を低く抑えつつ高い熱伝導率の熱伝導性樹脂を得ることができる。

0015

また、これらの場合、前記熱伝導性複合フィラーの製造方法において、懸濁液中のマグネシウム塩は、シュウ酸マグネシウムを主成分とするとともにリン酸マグネシウム、硝酸マグネシウム、酢酸マグネシウムまたは塩化マグネシウムを副成分として含むとよい。ここで、主成分とは、水と混ぜられるマグネシウム塩のうちの少なくとも50mol%以上がシュウ酸マグネシウムで構成されていることをいう。

0016

これによれば、熱伝導性複合フィラーの製造方法は、本発明者らの実験によれば、マグネシウム塩をシュウ酸マグネシウム、リン酸マグネシウム、酢酸マグネシウムまたは塩化マグネシウムの単体で構成した場合に比べて顕著に接触部材摩耗量を低く抑えつつ高い熱伝導率の熱伝導性樹脂を得ることができる。

0017

また、この場合、前記熱伝導性複合フィラーの製造方法において、懸濁液中のマグネシウム塩は、シュウ酸マグネシウムを含むマグネシウム塩においてリン酸マグネシウム、硝酸マグネシウム、酢酸マグネシウムまたは塩化マグネシウムが3mol%以上かつ50mol%以下のmol割合で含まれているとよい。

0018

これによれば、熱伝導性複合フィラーの製造方法は、本発明者らの実験によれば、リン酸マグネシウム、硝酸マグネシウム、酢酸マグネシウムまたは塩化マグネシウムが3mol%未満または50mol%を超えて添加した場合に比べて顕著に接触部材摩耗量を低く抑えつつ高い熱伝導率の熱伝導性樹脂を得ることができる。

0019

また、これらの場合、前記熱伝導性複合フィラーの製造方法において、懸濁液は、焼成工程で焼成される酸化マグネシウムが前記炭化ケイ素に対して50wt%以下の重量割合となるマグネシウム塩量で構成されているとよい。

0020

これによれば、熱伝導性複合フィラーの製造方法は、酸化マグネシウムが炭化ケイ素に対して40wt%以下の重量割合で含まれている熱伝導性複合フィラーを生成することができるとともに、この熱伝導性複合フィラーは本発明者らの実験によれば、マグネシウム塩水溶液において酸化マグネシウムを炭化ケイ素に対して50wt%を超える重量割合で含有させた場合に比べて接触部材摩耗量を低く抑えつつ高い熱伝導率の熱伝導性樹脂を得ることができる。

0021

また、熱伝導性樹脂は、炭化ケイ素粒子の表面に酸化マグネシウム粒子が固着した熱伝導性複合フィラー群が樹脂材によって一体的に固められているとよい。

0022

これによれば、熱伝導性樹脂は、炭化ケイ素粒子の表面に炭化ケイ素よりも軟質な酸化マグネシウム粒子が固着しているため、酸化マグネシウム粒子が緩衝材として機能して接触部材摩耗量を低く抑えて耐久性を向上させるとともに異物の混入を防止して高品質に形成される。また、本発明に係る熱伝導性樹脂は、本発明者らの実験によれば、高い熱伝導率を有することができる。

0023

また、この場合、前記熱伝導性樹脂において、酸化マグネシウムは、炭化ケイ素に対して40wt%以下の重量割合で含まれているとよい。

0024

これによれば、熱伝導性樹脂は、本発明者らの実験によれば、酸化マグネシウムを炭化ケイ素に対して50wt%を超える重量割合で含有させた場合に比べて熱伝導性樹脂を接触部材摩耗量を低く抑えつつ高い熱伝導率を有することができる。

0025

また、熱伝導性樹脂の製造方法は、水中にマグネシウム塩および炭化ケイ素粒子をそれぞれ含む懸濁液から水分を蒸発させる水分除去工程と、水分を除去することによって残った残留物を加熱して炭化ケイ素粒子の表面に酸化マグネシウムを生成して熱伝導性複合フィラーを生成する焼成工程と、熱伝導性複合フィラーと流体状の樹脂材とを混練する混練工程とを含むようにすればよい。この場合、流体状とは、液体のほか、粘性または弾性を有しつつ流動性を有した状態(例えば、ゲル状、ジェル状ゼリー状など)を含むものである。また、樹脂材には、熱可塑性樹脂のほか熱硬化性樹脂を含むものである。

0026

これによれば、熱伝導性樹脂の製造方法は、炭化ケイ素粒子の表面にムラなく均一に酸化マグネシウムを固着させることができるため、酸化マグネシウム粒子が緩衝材として機能して接触部材摩耗量を低く抑えて耐久性を向上させるとともに高品質な熱伝導性樹脂を生成することができる。また、本発明に係る熱伝導性樹脂の製造方法は、本発明者らの実験によれば、高い熱伝導率を有する熱伝導性樹脂を生成することができる。

図面の簡単な説明

0027

本発明の一実施形態に係る熱伝導性複合フィラーの顕微鏡写真である。
本発明の一実施形態に係る熱伝導性複合フィラーの製造過程を示す工程流れ図である。
本発明の一実施形態に係る熱伝導性樹脂の内部構成を模式的に示す断面図である。
本発明の一実施形態に係る熱伝導性樹脂の製造過程を示す工程流れ図である。
図4に示す熱伝導性樹脂の製造工程で用いる混練機の構成を模式的に示す断面図である。
熱伝導性複合フィラーにおける炭化ケイ素に対する酸化マグネシウムの重量割合と熱伝導性樹脂の熱伝導率(W/(m・K))との関係を示すグラフである。
熱伝導性複合フィラーにおける炭化ケイ素に対する酸化マグネシウムの重量割合と熱伝導性樹脂の接触部材摩耗量(mg)との関係を示すグラフである。
熱伝導性複合フィラーの原料となるマグネシウム塩の種類として塩化マグネシウム、シュウ酸マグネシウム、リン酸マグネシウムおよび酢酸マグネシウムを用いた場合における熱伝導性樹脂の熱伝導率(W/(m・K))をそれぞれ示したグラフである。
熱伝導性複合フィラーの原料となるマグネシウム塩の種類として塩化マグネシウム、シュウ酸マグネシウム、リン酸マグネシウムおよび酢酸マグネシウムを用いた場合における熱伝導性樹脂の接触部材摩耗量(mg)をそれぞれ示したグラフである。
熱伝導性複合フィラーの原料となるマグネシウム塩において、主成分となるシュウ酸マグネシウムを含めたマグネシウム塩全体に対して副成分となる塩化マグネシウムのmol割合と熱伝導性樹脂の熱伝導率(W/(m・K))との関係を示したグラフである。
熱伝導性複合フィラーの原料となるマグネシウム塩において、主成分となるシュウ酸マグネシウムを含めたマグネシウム塩全体に対して副成分となる塩化マグネシウムのmol割合と熱伝導性樹脂の接触部材摩耗量(mg)との関係を示したグラフである。
熱伝導性複合フィラーの原料となるマグネシウム塩の副成分の種類としてリン酸マグネシウム、硝酸マグネシウム、酢酸マグネシウムおよび塩化マグネシウムを用いた場合における熱伝導性樹脂の熱伝導率(W/(m・K))をそれぞれ示したグラフである。
熱伝導性複合フィラーの原料となるマグネシウム塩の副成分の種類としてリン酸マグネシウム、硝酸マグネシウム、酢酸マグネシウムおよび塩化マグネシウムを用いた場合における熱伝導性樹脂の接触部材摩耗量(mg)をそれぞれ示したグラフである。

実施例

0028

以下、本発明に係る熱伝導性複合フィラー、熱伝導性複合フィラーの製造方法、熱伝導性樹脂および熱伝導性樹脂の製造方法の一実施形態について図面を参照しながら説明する。図1は、本発明に係る熱伝導性複合フィラー100の顕微鏡写真である。なお、本明細書において参照する図は、本発明の理解を容易にするために一部の構成要素を誇張して表わすなど模式的に表している。このため、各構成要素間の寸法や比率などは異なっていることがある。

0029

(熱伝導性複合フィラー100の構成)
熱伝導性複合フィラー100は、図1に示すように、炭化ケイ素(SiC)の粒子(図において黒色の塊)の表面に複数の酸化マグネシウム(MgO)の粒子(図において炭化ケイ素粒子の表面に付着した白色物)がそれぞれ固着したものであり、後述する熱伝導性樹脂200の一部を構成する複数の粒子群である。この熱伝導性複合フィラー100の粒子は、不規則異形形状に形成されている。また、熱伝導性複合フィラー100の粒子の大きさは、熱伝導性樹脂200の仕様に応じて適宜選定されるものであるが、概ね数十μm〜数百μm程度の大きさの炭化ケイ素粒子の表面にこの炭化ケイ素粒子よりも大きさの小さい酸化マグネシウム粒子が固着した大きさ(概ね数十μm〜数百μm程度)である。この場合、炭化ケイ素粒子は、実質的にほぼ同じ大きさに形成してもよいが、互いに異なる大きさの炭化ケイ素の粒子を混在させることにより、炭化ケイ素粒子間の隙間を大きさの小さな炭化ケイ素粒子が埋めるため、熱伝導性を向上させることができる。

0030

なお、ここで、酸化マグネシウム粒子の炭化ケイ素粒子への固着とは、両者が完全に一体化しているという意味ではなく、外力の大きさによっては酸化マグネシウム粒子が炭化ケイ素粒子の表面から脱落する程度の固着力で付着またはくっついている状態である。

0031

(熱伝導性複合フィラー100の製造方法)
次に、熱伝導性複合フィラー100の製造方法について図2を参照しながら説明する。まず、作業者は、第1工程として、マグネシウム塩および炭化ケイ素粒子をそれぞれ含む懸濁液(以下、単に「懸濁液」という)を用意する。具体的には、作業者は、マグネシウム塩の粉末、炭化ケイ素の粉末および水をそれぞれ用意した後、マグネシウム塩粉末と水と混ぜ合わせた混合液炭化ケイ素粉末を加えて懸濁液を作る。なお、この懸濁液は、炭化ケイ素粉末と水と混ぜ合わせた懸濁液にマグネシウム塩を混ぜて作ることもできる

0032

この場合、マグネシウム塩および炭化ケイ素の各粉末に対する水の量は、懸濁液を生成可能な程度の量であれば特に限定されるものではないが、後工程である水分除去工程の効率を考慮して適宜決定される。また、マグネシウム塩の炭化ケイ素に対する割合は、マグネシウム塩から最終的に生成する酸化マグネシウム量が、炭化ケイ素量を含めた熱伝導性複合フィラー100全体の50wt%以下になるのに必要なマグネシウム塩量であればよいが、マグネシウム塩から最終的に生成する酸化マグネシウム量が、炭化ケイ素量を含めた熱伝導性複合フィラー100全体の40wt%以下になるのに必要なマグネシウム塩量であるのが好ましく、さらには、マグネシウム塩から最終的に生成する酸化マグネシウム量が、炭化ケイ素量を含めた熱伝導性複合フィラー100全体の30wt%以下になるのに必要なマグネシウム塩量であるのが好ましく、さらには、マグネシウム塩から最終的に生成する酸化マグネシウム量が、炭化ケイ素量を含めた熱伝導性複合フィラー100全体の重量割合の3wt%以上かつ15wt%以下になるのに必要なマグネシウム塩量であるのが最も好ましい。

0033

また、マグネシウム塩とは、塩化マグネシウム、シュウ酸マグネシウム、リン酸マグネシウム、酢酸マグネシウムおよびこれらの水和物などのうちの1種または2種以上の混合物を意味している。この場合、マグネシウム塩は、水に溶けない不要性、少なくとも一部が水に溶解する難溶性または全部が溶解する水溶性のいずれであってもよいが、酸化マグネシウムの均一な析出を考慮すると水溶性であることが好ましい。

0034

次に、作業者は、第2工程として、懸濁液から水分を除去する。具体的には、作業者は、懸濁液を真空化で加熱して懸濁液から水分を蒸発させて除去する。この場合、作業者は、電気炉を用いて懸濁液を100℃以下、好ましくは40℃以上かつ80℃以下に加熱するとよい。すなわち、この懸濁液から水分を除去する工程が、本発明に係る水分除去工程に相当する。

0035

この水分除去工程は、懸濁液に含まれるマグネシウム塩および炭化ケイ素が凝集するまで水分が除去される。これにより、懸濁液から水分が除去されて凝集された残留物は、主として、炭化ケイ素粒子の表面に多数のマグネシウム塩粒子が析出した炭化ケイ素粒子および単体のマグネシウム塩粒子で構成される。なお、この水分除去工程は、懸濁液から水分を除去できればよいため、必ずしも真空化で行う必要はなく空気中で行ってもよいことは当然である。

0036

次に、作業者は、第3工程として、酸化マグネシウムを焼成する。具体的には、作業者は、前記水分除去工程で生じた残留物を加熱することによりマグネシウム塩から塩を除去するとともにマグネシウム酸化させて酸化マグネシウムを生成する。この場合、作業者は、前記水分除去工程で生じた残留物を電気炉などを用いて600℃〜800℃の範囲で60分〜120分間加熱するとよい。これにより、炭化ケイ素粒子の表面に析出したマグネシウム塩が酸化マグネシウムに変化して粉末状、粒状、状または塊状の熱伝導性複合フィラー100が生成される。すなわち、この酸化マグネシウムを焼成する工程が、本発明に係る焼成工程に相当する。

0037

(熱伝導性樹脂200の構成)
次に、熱伝導性樹脂200について説明する。熱伝導性樹脂200は、図3に示すように、高い熱伝導率および電気絶縁性を有する固体状樹脂組成物であり、無数の前記熱伝導性複合フィラー100が樹脂材201によって一体的に成形されている。この熱伝導性樹脂200は、用途に応じた形状に形成されて例えば、電子機器や機械装置内において発熱体の支持や封止のほか、ヒートシンクとしてまたは発熱体と金属製のヒートシンクとの間に配置される熱伝導性絶縁材料として用いられる。なお、熱伝導性樹脂201は、剛性を有した完全な固体状のほか、可撓性を有した柔軟なシート状にも形成されるものである。

0038

(熱伝導性樹脂200の製造方法)
次に、熱伝導性樹脂200の製造方法について図4を参照しながら説明する。まず、作業者は、第1工程として、熱伝導性複合フィラー100と樹脂材201とを混ぜ合わせる。具体的には、作業者は、樹脂材201と前記熱伝導性複合フィラー100の製造方法によって製造した熱伝導性複合フィラー100とを混練機300を用いて混ぜ合わせる。この場合、作業者は、前記熱伝導性複合フィラーの製造方法によって生成した熱伝導性複合フィラー100が礫状や塊状である場合には、この第1工程に先駆けて熱伝導性複合フィラー100を粉末状や粒状に加工しておく。

0039

混練機300は、図5に示すように、粉末状の熱伝導性複合フィラー100と樹脂材201とを混ぜ合わせる機械装置であり、主として、胴体301、樹脂材用ホッパ302、フィラー用ホッパ303、スクリュー305および加熱ヒータ306をそれぞれ備えて構成されている。

0040

胴体301は、粉末状の熱伝導性複合フィラー100とペレット状の樹脂材201とを収容して互いに混ぜ合わせる部品であり、金属製の筒体で構成されている。この胴体301は、一方(図示左側)の端部に樹脂材用ホッパ302およびフィラー用ホッパ303がそれぞれ設けられるとともに、他方(図示右側)の端部に吐出口304が設けられている。樹脂材用ホッパ302は、樹脂材201を貯留するとともに、貯留している樹脂材201を胴体301内に供給する容器である。また、フィラー用ホッパ303は、熱伝導性複合フィラー100を貯留するとともに、貯留している熱伝導性複合フィラー100を胴体301内に供給する容器である。

0041

これらの樹脂材用ホッパ302およびフィラー用ホッパ303による樹脂材201および熱伝導性複合フィラー100の胴体301内への各供給量は、図示しない制御装置によってそれぞれ制御される。また、吐出口304は、胴体301内を移送された熱伝導性複合フィラー100と樹脂材201との混練物を熱伝導性樹脂200として線状に押し出す円筒状の部品である。

0042

スクリュー305は、胴体301内において粉末状の熱伝導性複合フィラー100とペレット状の樹脂材201とを混ぜ合わせながら移送する部品であり、胴体301内において軸線方向に螺旋状に延びる羽根を備えて回転自在に設けられている。このスクリュー305は、胴体301の外側に設けられた駆動モータ305aによって回転駆動する。駆動モータ305aは、前記制御装置によって作動制御される電動モータである。

0043

加熱ヒータ306は、胴体301内に導入された樹脂材201を流動体状軟化または溶融させるための加熱装置であり、胴体301の外周部に設けられている。本実施形態においては、加熱ヒータ306は、胴体301の外周部に巻き付けられた電熱線で構成されている。この加熱ヒータ306は、前記制御装置によって作動が制御される。

0044

樹脂材201は、粉末状の熱伝導性複合フィラー100を固体状に固めるためのバインダーとして機能する材料であり、ペレット状の熱可塑性樹脂で構成されている。本実施形態においては、樹脂材201は、アクリル系熱可塑性エラストマーで構成されている。なお、樹脂材201は、粉末状の熱伝導性複合フィラー100を固体状に固めることができる樹脂材料であれば特に限定されるものではなく、シリコーンなどの熱硬化性の樹脂を用いることもできる。この場合、樹脂材201として熱硬化性樹脂を用いた場合には、混練機300における加熱ヒータ306は不要である。

0045

作業者は、ペレット状の樹脂材201および粉末状の熱伝導性複合フィラー100を樹脂材用ホッパ302およびフィラー用ホッパ303にそれぞれ投入して混練機300の作動を開始させる。混練機300は、樹脂材201および前記熱伝導性複合フィラー100をそれぞれ所定の割合で胴体301内に供給するとともに、スクリュー305および加熱ヒータ306をそれぞれ作動させる。本実施形態においては、混練機300は、樹脂材201と熱伝導性複合フィラー100とを1:9の割合、すなわち熱伝導性複合フィラー100が90wt%となるように胴体301内に供給する。なお、樹脂材201と熱伝導性複合フィラー100とを混合する割合は、熱伝導性樹脂200の仕様に応じて6:4〜1:9の割合で適宜決定するとよい。

0046

これにより、胴体301内に導入された樹脂材201および熱伝導性複合フィラー100は、軟化または溶融した樹脂材201が熱伝導性複合フィラー100と混ぜ合わされながら吐出口304側に向かって移送されて吐出口304から線状に排出される。この場合、熱伝導性複合フィラー100は、硬い炭化ケイ素粒子の表面に炭化ケイ素粒子よりも軟質な酸化マグネシウムが固着しているため、胴体301、スクリュー305および吐出口304の各摩耗を抑えることができる。この樹脂材201と熱伝導性複合フィラー100とが互いに混練される工程が、本発明に係る混練工程に相当する。

0047

次に、作業者は、第2工程として、熱伝導性樹脂を成形する。具体的には、作業者は、混練機300から排出された線状の熱伝導性樹脂200を図示しない圧縮成形機などの成型装置内に導入して所望の形状に成形する。これにより、所望する形状に形成された熱伝導性樹脂200が得られる。

0048

(実験結果の説明)
次に、本発明者らが行なった複数の実験結果について説明する。これらの実験は、熱伝導性複合フィラー100の組成、より具体的には、マグネシウム塩の具体的な種類や使用量、酸化マグネシウムの含有量に対する熱伝導性樹脂200の熱伝導率(W/(m・K))および接触部材摩耗量(mg)の関係を明らかにするために行ったものである。

0049

ここで、熱伝導率(W/(m・K))および摩耗量(mg)の実験結果は、前記熱伝導性複合フィラー100の製造方法によって製造した熱伝導性複合フィラー100を前記熱伝導性樹脂の製造方法を用いて製造した熱伝導性樹脂200に対して実験を行ったものである。また、接触部材摩耗量(mg)の実験は、図示しない摩耗試験機によって行われる。摩耗試験機は熱伝導性樹脂を2枚の金属板で挟んだ状態で一方の金属板を回転させてこの回転させた一方の金属板(本実施形態においては、アルミニウム板)を接触部材として摩耗量を測定するものである。

0050

(実験1)
まず、熱伝導性複合フィラー100中の酸化マグネシウムの重量割合に対する熱伝導率(W/(m・K))および摩耗量(mg)の関係を明らかにする実験結果について説明する。図6は、熱伝導性複合フィラー100における炭化ケイ素に対する酸化マグネシウムの重量割合を横軸とし、この各酸化マグネシウムの重量割合に対する熱伝導率(W/(m・K))を縦軸としたグラフである。また、図7は、熱伝導性複合フィラー100における炭化ケイ素に対する酸化マグネシウムの重量割合を横軸とし、この各酸化マグネシウムの重量割合に対する接触部材摩耗量(mg)を縦軸としたグラフである。

0051

なお、本実験1に用いた熱伝導性複合フィラー100におけるマグネシウム塩は、シュウ酸マグネシウムと塩化マグネシウムとを混合した混合物で構成されており、この混合物中における塩化マグネシウムの割合は36.2mol%である。

0052

図6および図7にそれぞれ示す実験結果によれば、熱伝導性複合フィラー100の原料としてマグネシウム塩を用いることにより、熱伝導性樹脂200の熱伝導率を向上させることができるとともに接触部材摩耗量を低下させることができるが確認できる。この場合、熱伝導性樹脂200の熱伝導率および接触部材摩耗量は、マグネシウム塩を全く含まない場合(すなわち、マグネシウム塩0mol%)における熱伝導率および接触部材摩耗量と、マグネシウム塩を炭化ケイ素と同量添加した場合(すなわち、マグネシウム塩100mol%)における熱伝導率および接触部材摩耗量とをそれぞれ結んだ直線(破線)である熱伝導比例直線L1、摩耗量比例直線L2に対して明らかに高い効果を発揮している。

0053

特に、マグネシウム塩の炭化ケイ素に対する割合は、マグネシウム塩から最終的に生成する酸化マグネシウム量が、炭化ケイ素量を含めた熱伝導性複合フィラー100全体の50wt%以下の重量割合が好ましく、さらには、マグネシウム塩から最終的に生成する酸化マグネシウム量が、炭化ケイ素量を含めた熱伝導性複合フィラー100全体の40wt%以下の重量割合が好ましく、さらには、マグネシウム塩から最終的に生成する酸化マグネシウム量が、炭化ケイ素量を含めた熱伝導性複合フィラー100全体の30wt%以下の重量割合が好ましく、さらには、マグネシウム塩から最終的に生成する酸化マグネシウム量が、炭化ケイ素量を含めた熱伝導性複合フィラー100全体の3wt%以上かつ15wt%以下の重量割合が最も好ましいことを確認した。

0054

(実験2)
次に、熱伝導性複合フィラー100の原料の一つであるマグネシウム塩の種類ごとの熱伝導率(W/(m・K))および接触部材摩耗量(mg)への関係を明らかにする実験結果について説明する。図8は、熱伝導性複合フィラー100の原料となるマグネシウム塩の種類として塩化マグネシウム、シュウ酸マグネシウム、リン酸マグネシウムおよび酢酸マグネシウムを横軸にそれぞれ記載して、これらの各マグネシウム塩ごとの熱伝導率(W/(m・K))を縦軸に表したグラフである。また、図9は、前記各マグネシウム塩ごとの接触部材摩耗量(mg)を縦軸に表したグラフである。

0055

なお、この実験2に用いた熱伝導性複合フィラー100は、炭化ケイ素粒子および酸化マグネシウム粒子で構成されており、これらのうち、酸化マグネシウムの量は8.1wt%である。また、本実験2においては、比較例として、熱伝導性複合フィラー100を炭化ケイ素粒子のみで構成した場合、酸化マグネシウム粒子のみで構成した場合および炭化ケイ素粒子と酸化マグネシウム粒子との混合物(酸化マグネシウムの混合量は8.1wt%)で構成した場合についての熱伝導率および接触部材摩耗量をそれぞれ図8および図9にそれぞれ併記している。

0056

図8および図9にそれぞれ示す実験結果によれば、熱伝導性複合フィラー100の原料となるマグネシウム塩として、シュウ酸マグネシウム、リン酸マグネシウムおよび酢酸マグネシウムを用いることにより熱伝導性樹脂200の熱伝導率を向上させることができるとともに、同マグネシウム塩として、塩化マグネシウム、シュウ酸マグネシウム、リン酸マグネシウムおよび酢酸マグネシウムを用いることにより熱伝導性樹脂200の接触物摩耗量を低下させることができることが確認できる。すなわち、本実験2によれば、熱伝導性複合フィラー100の原料となるマグネシウム塩として、塩化マグネシウム、シュウ酸マグネシウム、リン酸マグネシウムおよび酢酸マグネシウムが好適であることが確認できた。

0057

(実験3)
次に、熱伝導性複合フィラー100の原料の一つであるマグネシウム塩のうちの少なくとも50%をシュウ酸マグネシウムで構成するとともにその余を塩化マグネシウムで構成した場合における熱伝導率(W/(m・K))および接触部材摩耗量(mg)の関係を明らかにする実験結果について説明する。これは、本発明者らがシュウ酸マグネシウムを主成分するとともに塩化マグネシウム、リン酸マグネシウム、硝酸マグネシウムおよび酢酸マグネシウムを副成分としてマグネシウム塩を構成することにより熱伝導率(W/(m・K))および接触部材摩耗量(mg)の各効果を向上させることを知見したことによる。

0058

図10は、熱伝導性複合フィラー100の原料となるマグネシウム塩において、主成分となるシュウ酸マグネシウムを含めたマグネシウム塩全体に対して副成分となる塩化マグネシウムのmol割合を横軸とし、この各塩化マグネシウムのmol割合に対する熱伝導率(W/(m・K))を縦軸としたグラフである。また、図11は、熱伝導性複合フィラー100の原料となるマグネシウム塩において、主成分となるシュウ酸マグネシウムを含めたマグネシウム塩全体に対して副成分となる塩化マグネシウムのmol割合を横軸とし、この各塩化マグネシウムのmol割合に対する接触部材摩耗量(mg)を縦軸としたグラフである。

0059

図10および図11にそれぞれ示す実験結果によれば、熱伝導性複合フィラー100の原料となるマグネシウム塩においてシュウ酸マグネシウムを主成分とし塩化マグネシウムを副成分とし場合、熱伝導性樹脂200の熱伝導率は、塩化マグネシウムのmol割合が3mol%〜50mol%の範囲で、シュウ酸マグネシウムだけの場合よりも熱伝導率より大きくなるだけでなく、塩化マグネシウムのmol割合が20mol%〜40mol%の範囲で最高値となる。また、熱伝導性樹脂200の接触部材摩耗量は、塩化マグネシウムのmol割合が20mol%〜80mol%の範囲で、シュウ酸マグネシウムだけの場合よりも大きくなるだけでなく、塩化マグネシウムのmol割合が20mol%〜40mol%の範囲で最低値となるが確認できる。したがって、熱伝導性複合フィラー100の原料となるマグネシウム塩は、シュウ酸マグネシウムを主成分とするとともに塩化マグネシウムを前記各範囲のmol割合で添加することにより熱伝導率および接触部材摩耗量の各効果を高めることができる。

0060

なお、シュウ酸マグネシウム塩に添加するマグネシウム塩は、塩化マグネシウムの他に、リン酸マグネシウム、硝酸マグネシウムまたは酢酸マグネシウムでも同様の傾向が確認された。また、実験1において、マグネシウム塩を構成するシュウ酸マグネシウムと塩化マグネシウムとの混合物における塩化マグネシウムの割合を36.2mol%に設定した理由は本実験3の実験結果に基づくものである。

0061

(実験4)
次に、熱伝導性複合フィラー100の原料となっているマグネシウム塩についてシュウ酸マグネシウムを主成分とするとともにリン酸マグネシウム、硝酸マグネシウム、酢酸マグネシウムおよび塩化マグネシウムをそれぞれ副成分とした場合における各熱伝導率(W/(m・K))および各接触部材摩耗量(mg)の関係を明らかにする実験結果について説明する。

0062

図12は、熱伝導性複合フィラー100の原料となるマグネシウム塩の副成分の種類としてリン酸マグネシウム、硝酸マグネシウム、酢酸マグネシウムおよび塩化マグネシウムを横軸にそれぞれ記載して、これらの各マグネシウム塩ごとの熱伝導率(W/(m・K))を縦軸に表したグラフである。また、図13は、前記各マグネシウム塩ごとの接触部材摩耗量(mg)を縦軸に表したグラフである。

0063

なお、本実験4に用いた熱伝導性複合フィラー100は、炭化ケイ素粒子および酸化マグネシウム粒子で構成されており、これらのうち酸化マグネシウムの量は8.1wt%である。また、この場合、酸化マグネシウムを元となるマグネシウム塩は、主成分となるシュウ酸マグネシウムに対する副成分となる各種マグネシウム塩の割は、前記実験3から36.2mol%としている。また、本実験4においては、比較例として、熱伝導性複合フィラー100を炭化ケイ素粒子のみで構成した場合、酸化マグネシウム粒子のみで構成した場合および炭化ケイ素粒子と酸化マグネシウム粒子との混合物(酸化マグネシウムの混合量は8.1wt%)で構成した場合についての熱伝導率および接触部材摩耗量を図11および図12にそれぞれ併記している。

0064

図11および図12にそれぞれ示す実験結果によれば、熱伝導性複合フィラー100の原料となるマグネシウム塩について、シュウ酸マグネシウムを主成分としてリン酸マグネシウム、硝酸マグネシウム、酢酸マグネシウムおよび塩化マグネシウムを副成分として用いることにより、熱伝導性樹脂200の熱伝導率および接触物摩耗量の各効果を向上させることができる。

0065

すなわち、本実験4によれば、熱伝導性複合フィラー100の原料となるマグネシウム塩について、シュウ酸マグネシウムを主成分とするとともにリン酸マグネシウム、硝酸マグネシウム、酢酸マグネシウムおよび塩化マグネシウムを副成分として用いることで、マグネシウム塩を塩化マグネシウム、シュウ酸マグネシウム、リン酸マグネシウムおよび酢酸マグネシウムをそれぞれ単体で用いる場合よりも熱伝導率および接触物摩耗量の各効果を向上させることを確認した。この場合、副成分として塩化マグネシウムを用いることで熱伝導率を最も向上させることができるとともに、リン酸マグネシウムを用いることで接触物摩耗量を最も向上させることができることを確認した。

0066

上記作動説明からも理解できるように、上記実施形態によれば、熱伝導性複合フィラー100は、炭化ケイ素粒子の表面に炭化ケイ素よりも軟質な酸化マグネシウム粒子が固着しているため、酸化マグネシウム粒子が緩衝材として機能して熱伝導性樹脂を製造する製造装置において熱伝導性複合フィラー100が接触する各部品に対する摩耗量を低く抑えて耐久性を向上させるとともに異物の混入を防止して高品質な熱伝導性樹脂200を生成することができる。また、本発明に係る熱伝導性複合フィラー100は、本発明者らの実験によれば、高い熱伝導率を有する熱伝導性樹脂200を構成することができる。

0067

さらに、本発明の実施にあたっては、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。

0068

L1…熱伝導比例直線、L2…摩耗量比例直線、
100…熱伝導性複合フィラー、
200…熱伝導性樹脂、201…樹脂材、
300…混練機、301…胴体、302…樹脂材用ホッパ、303…フィラー用ホッパ、304…吐出口、305…スクリュー、305a…駆動モータ、306…加熱ヒータ。

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