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課題

結晶質珪酸カルシウム水和物でも高いリン回収率を有するリン回収材およびその製造方法を提供する。

解決手段

結晶子サイズが6.0nm〜16.0nm、好ましくは6.5nm〜10.0nmの微細結晶質の珪酸カルシウム水和物を50wt%以上、好ましくは80wt%以上含有し、Ca/Siモル比が0.5〜3.5、好ましくは0.8〜1.5であることを特徴とするリン回収材であり、消石灰スラリー水ガラスを用い、常温での添加順序を制御することによって上記範囲のCa/Siモル比と上記範囲の結晶子サイズを有する珪酸カルシウム水和物からなるリン回収材を製造する方法。

概要

背景

珪酸カルシウムを主成分とする脱リン剤が従来から知られている。例えば、特開昭61−263636号公報(特許文献1)にはCaO/SiO2モル比が1.5〜5の珪酸カルシウム水和物を主成分とする水処理剤が記載されている。また、特公平02−20315号公報(特許文献2)には空隙率50〜90%の独立気泡を有する珪酸カルシウム水和物からなる脱リン材が記載されている。さらに、特開平10−235344号公報(特許文献3)には珪酸カルシウム水和物を主成分とした直径数ミリ程度の球状または中空状に成形した脱リン材が記載されている。特開2000−135493号公報(特許文献4)には珪灰石を用いた脱リン方法が提案されている。

従来の珪酸カルシウムを主成分とする脱リン材を用いる処理方法は、回収物脱水性有機物混入の問題をある程度回避できるものの、リンとの反応速度が遅いため、回収物のリン濃度を上げるためには長い反応時間を必要とする。また、回収物に含まれるリン含有量が少ないため、リン酸肥料として有効に利用できないなどの問題がある。

この問題を解決するリン回収資材として、平均粒子径(メジアン径)150μm以下の微粉末であって細孔容積0.3cm3/g以上の多孔質珪酸カルシウム水和物からなるリン回収資材(特許文献5)、あるいはBET比表面積80m2/g以上、細孔容積0.5cm3/g以上の多孔質の珪酸カルシウム水和物からなるリン回収資材が知られている(特許文献6)。
また、リン発生源の排水中のリンを非晶質ケイ酸カルシウム系の材料からなるリン回収材吸着させて回収することを特徴とするリン回収方法(特許文献7)、珪酸ナトリウム水溶液と石灰を、非加熱下で混合して生成した非晶質珪酸カルシウム水和物単体または非晶質珪酸カルシウム水和物とCa(OH)2との複合物からなり、該水和物単体または該複合物のCa/Siモル比が0.8〜1.5であるリン回収材(特許文献8)が知られている。

概要

結晶質の珪酸カルシウム水和物でも高いリン回収率を有するリン回収材およびその製造方法を提供する。結晶子サイズが6.0nm〜16.0nm、好ましくは6.5nm〜10.0nmの微細結晶質の珪酸カルシウム水和物を50wt%以上、好ましくは80wt%以上含有し、Ca/Siモル比が0.5〜3.5、好ましくは0.8〜1.5であることを特徴とするリン回収材であり、消石灰スラリー水ガラスを用い、常温での添加順序を制御することによって上記範囲のCa/Siモル比と上記範囲の結晶子サイズを有する珪酸カルシウム水和物からなるリン回収材を製造する方法。なし

目的

本発明は、一定範囲の結晶子サイズからなる珪酸カルシウム水和物を一定量以上含むことによって、リンとの反応性が良く、高いリン回収率を有するリン回収材およびその製造方法を提供する

効果

実績

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請求項1

結晶子サイズが6.0nm〜16.0nmの微細結晶質の珪酸カルシウム水和物を50wt%以上含有し、Ca/Siモル比が0.5〜3.5であることを特徴とするリン回収材

請求項2

珪酸カルシウム水和物の結晶子サイズが6.5nm〜10.0nmであって、Ca/Siモル比が0.8〜1.5である請求項1に記載するリン回収材。

請求項3

生成する珪酸カルシウム水和物のCa/Siモル比が0.5〜3.5になる量の消石灰スラリー水ガラスを用い、常温下、消石灰スラリーに水ガラスを3分以上の時間で添加し、あるいは消石灰スラリーと水ガラスを同時に3分以上の時間で添加することによって結晶子サイズが6.0nm〜16.0nmの微細結晶質の珪酸カルシウム水和物を生成させ、該珪酸カルシウム水和物を固液分離してリン回収材を得ることを特徴とするリン回収材の製造方法。

技術分野

0001

本発明は、微細結晶質の珪酸カルシウムリン水和物からなり、回収率が高く、ク溶性リン酸含有量が高いリン回収材およびその製造方法に関する。

背景技術

0002

珪酸カルシウムを主成分とする脱リン剤が従来から知られている。例えば、特開昭61−263636号公報(特許文献1)にはCaO/SiO2モル比が1.5〜5の珪酸カルシウム水和物を主成分とする水処理剤が記載されている。また、特公平02−20315号公報(特許文献2)には空隙率50〜90%の独立気泡を有する珪酸カルシウム水和物からなる脱リン材が記載されている。さらに、特開平10−235344号公報(特許文献3)には珪酸カルシウム水和物を主成分とした直径数ミリ程度の球状または中空状に成形した脱リン材が記載されている。特開2000−135493号公報(特許文献4)には珪灰石を用いた脱リン方法が提案されている。

0003

従来の珪酸カルシウムを主成分とする脱リン材を用いる処理方法は、回収物脱水性有機物混入の問題をある程度回避できるものの、リンとの反応速度が遅いため、回収物のリン濃度を上げるためには長い反応時間を必要とする。また、回収物に含まれるリン含有量が少ないため、リン酸肥料として有効に利用できないなどの問題がある。

0004

この問題を解決するリン回収資材として、平均粒子径(メジアン径)150μm以下の微粉末であって細孔容積0.3cm3/g以上の多孔質珪酸カルシウム水和物からなるリン回収資材(特許文献5)、あるいはBET比表面積80m2/g以上、細孔容積0.5cm3/g以上の多孔質の珪酸カルシウム水和物からなるリン回収資材が知られている(特許文献6)。
また、リン発生源の排水中のリンを非晶質ケイ酸カルシウム系の材料からなるリン回収材に吸着させて回収することを特徴とするリン回収方法(特許文献7)、珪酸ナトリウム水溶液と石灰を、非加熱下で混合して生成した非晶質珪酸カルシウム水和物単体または非晶質珪酸カルシウム水和物とCa(OH)2との複合物からなり、該水和物単体または該複合物のCa/Siモル比が0.8〜1.5であるリン回収材(特許文献8)が知られている。

先行技術

0005

特開昭61−263636号公報
特公平02−020315号公報
特開平10−235344号公報
特開2000−135493号公報
特開2009−285635号公報
特開2009−285636号公報
特開2013−27865号公報
特開2013−244466号公報

発明が解決しようとする課題

0006

特許文献5〜特許文献8に記載されているリン回収材は非晶質の珪酸カルシウム水和物であり、非晶質珪酸カルシウム水和物は結晶質の珪酸カルシウム水和物よりもリンとの反応性が良いことを利点にしている。例えば、特許文献1の珪酸カルシウム水和物は、非晶質と記載されているが、実際は結晶格子サイズが約90nm前後の結晶質珪酸カルシウム水和物であるためリンとの反応が遅い。一方、特許文献5〜特許文献8に記載されているリン回収資材は、リンとの反応性が高く、リン濃度を急激に低減することができ、リンの回収率が高い利点を有している。

0007

しかし、本発明において、結晶質の珪酸カルシウム水和物についても、一定範囲の結晶子サイズであればリンとの反応性が良く、高いリン回収率を有することが確認された。本発明は、一定範囲の結晶子サイズからなる珪酸カルシウム水和物を一定量以上含むことによって、リンとの反応性が良く、高いリン回収率を有するリン回収材およびその製造方法を提供する。

課題を解決するための手段

0008

本発明は以下の構成からなるリン回収材とその製造方法に関する。
〔1〕結晶が6.0nm〜16.0nmの微細結晶質の珪酸カルシウム水和物を50wt%以上含有し、Ca/Siモル比が0.5〜3.5であることを特徴とするリン回収材。
〔2〕珪酸カルシウム水和物の結晶子サイズが6.5nm〜10.0nmであって、Ca/Siモル比が0.8〜1.5である上記[1]に記載するリン回収材。
〔3〕生成する珪酸カルシウム水和物のCa/Siモル比が0.5〜3.5になる量の消石灰スラリー水ガラスを用い、常温下、消石灰スラリーに水ガラスを3分以上の時間で添加し、あるいは消石灰スラリーと水ガラスを同時に3分以上の時間で添加することによって結晶子サイズが6.0nm〜16.0nmの微細結晶質の珪酸カルシウム水和物を生成させ、該珪酸カルシウム水和物を固液分離してリン回収材を得ることを特徴とするリン回収材の製造方法。

0009

〔具体的な説明〕
本発明のリン回収材は、Ca/Siモル比が0.5〜3.5、好ましくはCa/Siモル比が0.8〜1.5であって、結晶子サイズが6.0nm〜16.0nm、好ましくは結晶子サイズが6.5nm〜10.0nmの微細結晶質の珪酸カルシウム水和物(CSHと云う)を50wt%以上含有することを特徴とするリン回収材である。

0010

〔リン回収材:珪酸カルシウム水和物〕
本発明のリン回収材として用いられる珪酸カルシウム水和物(CSH)は、結晶子サイズが6.0nm〜16.0nm、好ましくは結晶子サイズが6.5nm〜10.0nmの微細結晶質の珪酸カルシウム水和物である。
実施例で示すように、結晶子サイズが6.0nm〜16.0nmの珪酸カルシウム水和物からなる本発明のCSHはリンとの反応性が良いので、リンを含む排水など(リン含有水と云う)に使用したときに、リンと反応して良く溶解し、高いリン回収率を得ることができる。なお、珪酸カルシウム水和物の結晶子サイズは、珪酸カルシウム水和物の乾燥体について、X線回折ピーク半値幅からシェラー式に従って求められる。

0011

一方、結晶子サイズが6.0nm未満の珪酸カルシウム水和物からなるCSHは含水固形物含水率が高く、珪酸カルシウム水和物を脱水乾燥するコストがかかるので好ましくない。また、珪酸カルシウム水和物の結晶子サイズが16.0nmを上回るとCSHとリンの反応性が低くなり、結晶子サイズが20.0nmより大きいとCSHのリン回収率が大幅に低下する傾向がある。

0012

本発明のCSHのCa/Siモル比は0.5〜3.5であり、好ましくは0.8〜1.5である。該Ca/Siモル比が0.5未満では、リンと反応するCa量が少なく、リン回収率が低下する。リン回収率を高めるにはCa/Siモル比は0.8以上が好ましい。一方、該Ca/Siモル比が3.5を上回ると、リンと炭酸共存する液に使用したときに、Caと炭酸の反応が進行してCaとリンの反応が抑制されるため、リン回収率が低下する傾向がある。リンと炭酸が共存する液に使用する場合には、CSHのCa/Siモル比は0.8〜1.5が好ましい。

0013

本発明のリン回収材は上記CSHを50wt%以上、好ましくは80wt%以上含有する。消石灰スラリーと水ガラスを水和反応させて珪酸カルシウム水和物を生成させる場合、未反応の消石灰[Ca(OH2)]が残留すると、生成物が上記CSHと消石灰を含むが、CSH含有量が50wt%以上、好ましくは80wt%以上であれば良い。CSH含有量が50wt%未満ではCSHによるリン回収効果が不十分になるので好ましくない。

0014

本発明のリン回収材は、リン含有水に対して使用したときに、リンがCSHと反応してリン酸カルシウムを生成することによってリンがCSHに取り込まれ、リンを回収することができる。

0015

〔製造方法〕
本発明のリン回収材は、生成する珪酸カルシウム水和物のCa/Siモル比が0.5〜3.5になる量、好ましくはCa/Siモル比が0.8〜1.5になる量の消石灰スラリーと水ガラスを用い、常温下、消石灰スラリーに水ガラスを3分以上の時間で添加し、あるいは消石灰スラリーと水ガラスを同時に3分以上の時間で添加することによって結晶子サイズが6.0nm〜16.0nmの微細結晶質の珪酸カルシウム水和物を生成させ、該珪酸カルシウム水和物を固液分離することによって製造される。

0016

本発明の製造方法は、消石灰スラリーと水ガラス(珪酸ナトリウム水溶液:Na2SiO3)を用いる。未反応の消石灰残量が少なく、結晶子サイズが6.0nm〜16.0nmの微細結晶の珪酸カルシウムを生成させるには、珪酸が十分に溶解した状態で消石灰と反応させる必要があるので、珪酸源としては水ガラスが好ましい。他の珪酸化合物を用い、反応時に溶解させて消石灰と反応させる方法では、珪酸の溶解が十分ではなく、未反応の珪酸が残留するため目的の微細結晶の珪酸カルシウムを生成させるのが難しい。

0017

消石灰スラリーの濃度は3wt%〜10wt%が好ましい。水ガラスの濃度は珪酸濃度として1wt%〜10wt%が好ましい。また、消石灰スラリーと水ガラスの反応量は、生成する珪酸カルシウム水和物のCa/Siモル比が0.5〜3.5になる量、好ましくはCa/Siモル比が0.8〜1.5になる量である。

0018

本発明の製造方法では、消石灰スラリーに水ガラスを3分以上の時間で添加し、あるいは消石灰スラリーと水ガラスを同時に3分以上の時間で添加する。消石灰スラリーと水ガラスを少量ずつ用い、3分以上の時間をかけて、消石灰スラリーに水ガラスを添加し、あるいは消石灰スラリーと水ガラスを互いに同時に添加することによって、未反応の消石灰残量が少なく、結晶子サイズが6.0nm〜16.0nm、好ましくは6.5nm〜10.0nmの珪酸カルシウムを生成させることができる。なお、消石灰スラリーと水ガラスについて少量ずつとは、3分以上の時間をかけて添加する量であり、例えば、上記Ca/Siモル比になるように、消石灰スラリー1Lあたり、水ガラス900〜1200mlを3分以上の時間をかけて消石灰スラリーに添加する。あるいは、消石灰スラリー1000mlと水ガラス900〜1200mlを同時に3分以上の時間をかけて添加すると良い。

0019

一方、水ガラスに消石灰スラリーを添加する方法では、生成する珪酸カルシウム水和物の結晶子サイズが6.0nmよりも小さくなり、さらには非晶質になる傾向がある。さらに、水ガラスに消石灰スラリーを添加する方法で生成させた珪酸カルシウム水和物は、リン含有水に使用したときに、リン回収率およびク溶性リン酸の含有率が低い。

0020

また、消石灰スラリーに水ガラスを添加する方法、あるいは消石灰スラリーと水ガラスを同時に添加する方法でも、消石灰スラリーの全量と水ガラスの全量を一気に添加すると、珪酸カルシウム水和物の結晶子サイズが6.0nmよりも小さくなり、さらには非晶質になる傾向があるので、何れの方法も好ましくない。

発明の効果

0021

本発明のリン回収材は、結晶子サイズが6.0nm〜16.0nmの微細結晶の珪酸カルシウム水和物(CSH)を50wt%以上、好ましくは80wt%以上含み、Ca/Siモル比が0.5〜3.5であるので、リンとの反応性が良く、リン含有水に使用したときに、CSHの溶解率が55%以上であり、70%以上の高いリン回収率を得ることができる。また、リン回収材のCa/Siモル比が0.5〜1.5であってCSHの結晶子サイズが6.0nm〜10.0nmであるリン回収材は、リン含有水に使用したときに、60%以上のCSH溶解率を示し、80%以上のリン回収率を得ることができ、リン含有水に炭酸が共存している場合でも、75%以上のリン回収率を得ることができる。

0022

さらに、本発明のリン回収材は、リン含有水に使用したときに、高いリン回収率を有すると共に、生成したリン酸カルシウムの大部分がク溶性リン酸であり、ク溶性リン酸の含有率が15wt%以上であるので、使用後のリン回収材を副産リン酸肥料として利用することができる。

0023

以下、本発明の実施例を比較例と共に示す。以下の例において、珪酸カルシウム水和物(CSH)の結晶子サイズ、CSH溶解率、リン回収率は以下のようにして測定した。使用後のク溶性リン酸含有率は回収物を肥料分析法に従って測定した。

0024

CSHの結晶子サイズ(D)は、CSHでは29°付近に特徴的なピークが見られるため、CSH乾燥物についてX線回折解析ピークの半値幅からシェラー式に従って求めた。
シェラー式:D(nm)=K×λ(β×cosθ)/10
Kはシェラー定数0.94、λは使用X線管球波長、βは結晶子の大きさによる回折線拡がり、θは回折角2θ/θである。
X線回折装置はBruker社製品(D8 Advance)を使用した。測定条件電流350mA、電圧35kV、スキャンスピード0.13sec/step、測定範囲5°〜65°とした。

0025

リン回収率は、濾液リン酸濃度規格(JIS K 0102「工場排水試験方法」)に規定するモリブデン青吸光光度法準拠して測定し、次式によってリン回収率を求めた。
リン回収率(%)=(1−濾液のP濃度/初期P濃度)×100

0026

CSH溶解率は、規格(JIS R 5202「ポルトランドセメント化学分析方法」)に準拠してCSH量を定量し、使用前のCSH量を全量とし、使用前後のCSH量に基づき、次式〔1〕によって求めた。
CSH溶解率(%)=(使用前CSH量−使用後CSH量)/使用前CSH量×100・・〔1〕

0027

CSH量は次式〔2〕によって求めた。
CSH量(%)=(全SiO2−未反応SiO2)+(全CaO−炭酸カルシウムCaO−消石灰CaO)+(Ig-Loss−炭酸カルシウムCO2−消石灰H2O)・・・〔2〕
未反応SiO2は塩酸不溶解分を未反応SiO2とした。結合水はIg-Loss(1000℃)から炭酸カルシウム由来のCO2と消石灰由来のH2Oを差し引いた分をCSHの結合水と見なした。CO2は工業用石灰無水炭酸迅速定量方法に準拠して炭酸カルシウム量を求めた。消石灰CaOはセメント協会標準試験方法遊離酸化カルシウムの定量方法に準拠して測定した。

0028

CSHおよびリン回収物のろ過時間は、スラリー100mlを減圧吸引ろ過するのに要した時間とした。また、含水率は減圧吸引ろ過により得た固形分について、乾燥前の重量と150℃で3時間加熱した後の重量に基づいて求めた。汚泥沈降率(SV)は、30分静置した後の沈殿汚泥容積(ml)の割合(%)を示す。

0029

〔実施例1〕
試料1〜8を表1に示した条件で合成した。試料1〜6は、表1に示すCa/Siモル比になるように、ケイ酸源として3号水ガラス(SiO229%)を用い、石灰源として消石灰を用い、表1に記載する水量の半量で水ガラスを希釈し、残りの水量で消石灰をスラリーにし、この消石灰スラリーに水ガラスの希釈液を3分の時間をかけて添加して撹拌し、珪酸カルシウム水和物(CSH)を生成させた。反応温度と反応時間は表1に示した通りである。
試料7はケイ酸源として珪質頁岩(SiO2量 50wt%)を用い、試料8はケイ酸源として非晶質ケイ酸(SiO2量 55wt%)を用い、おのおの外割りで0.5wt%のNaOHを添加して85℃に加熱し、そのシリカ懸濁液に消石灰を添加して、85℃の温度で6時間撹拌して珪酸カルシウム水和物(CSH)を生成させた。
生成条件を表1に示す。生成したCSHの組成を表2に示す。試料1〜6はCSH含有量が50wt%以上であり、そのうち試料1〜3はCSH含有量が80wt%以上である。何れも未反応のシリカを含まない。試料4はCa/Siモル比が高いので消石灰量が多い。
生成したCSHを回収して乾燥し、CSHの結晶子サイズを測定した。この結晶子サイズを表2に示す。さらに、回収したCSHをリン回収材として用い、リン含有水(PO4−3300mg/L)2Lに対して、Ca/Pモル比が2.0に相当する量のリン回収材を投入して撹拌し、30分間反応させて、CSHにリンを取り込ませて回収した。リン回収率、CSH溶解率、ク溶性リン酸含有率を表2に示す。

0030

表2に示すように、珪酸カルシウム水和物の結晶子サイズが16.0nmよりも大きい試料7、試料8はCSH溶解率が低く、40%台であるためリン回収率が低く65.9%以下である。一方、本発明の試料1〜6は、珪酸カルシウム水和物の結晶子サイズが16.0nm以下であり、CSH溶解率は高く55%以上であるため、70%以上の高いリン回収率を有する。さらに、珪酸カルシウムの結晶格子サイズが10.0nm以下の試料1〜3は80%以上の高いリン回収率を有する。

0031

0032

0033

〔実施例2〕
実施例1のリン回収材(試料1〜4)について、炭酸を含むリン含有水(PO4−3300mg/L、炭酸濃度1g/L)2Lに対して、Ca/Pモル比が2.0に相当する量のリン回収材を投入して撹拌し、30分間反応させて、CSHにリンを取り込ませて回収した。リン回収率、ク溶性リン酸含有率を表3に示す。試料1〜3(Ca/Siモル比=0.8〜1.5)は何れもリン回収率が75%以上であり、ク溶性リン酸量(C-P2O5量)は17%以上である。一方、試料4(Ca/Siモル比=3.5)はリン回収率が53%であり、Ca/Siモル比=3.5になるとリン回収率が低下する。従って、本発明のリン回収材をリンと炭酸が共存する排水等に使用する場合には、リン回収材のCa/Siモル比は0.8〜1.5が好ましい。

0034

0035

〔実施例3〕
消石灰スラリー(Ca濃度3.7wt%)と水ガラス(珪酸濃度4.9wt%)を用い、Ca/Siモル比が1.0になるように、消石灰スラリーに水ガラスを3分以上の時間をかけて添加し撹拌して珪酸カルシウム水和物(CSH)を生成させた(標準添加:試料10〜12)。また、この消石灰スラリーと水ガラスを3分以上の時間をかけて同時に連続的に添加し撹拌して珪酸カルシウム水和物(CSH)を生成させた(同時添加:試料20〜21)。一方、試料10〜12とは逆に、水ガラスに消石灰スラリーを添加して撹拌し珪酸カルシウム水和物(CSH)を生成させた(逆添加:試料30〜32)。試料の添加順序および添加時間を表4に示す。これらのCSHのろ過時間、含水率、汚泥沈降率(SV) 、結晶子サイズを測定し、表4に示した。
生成したCSHを回収して乾燥して得たリン回収材を、実施例1と同様にしてリン含有水に使用し、反応時間30分後のリン回収率およびク溶性リン酸量を調べた。また、使用後のCSHについて、ろ過時間、含水率、汚泥沈降率(SV)を使用前のCSHと同様の方法で測定した。この結果を表5に示した。

0036

標準添加の試料10〜12は結晶子サイズが7.0nm〜7.2nmであるのでリンとの反応性が良く、76.6%〜85.1%の高いリン回収率を示す。また同時添加の試料20〜21も結晶子サイズが6.3nm〜8.5nmであるのでリン回収率は高く、74.4%〜84.5%である。一方、逆添加の試料30〜31は何れも結晶子サイズが6.0nm未満であるためリン回収率は低く、57.9%〜72.7%であり、またク溶性リン酸量も低い。この結果から、75%以上の高いリン回収率を得るにはCSHの結晶子サイズは6.0nm以上が好ましいことが分かる。
なお、逆添加の試料32は結晶子サイズが6.0nm以上であるが、リン回収後の含水率が10.6g/gであり、試料1〜2,20〜22の約2倍であるので脱水に時間がかかる。同様に、逆添加の試料30〜32は、CSHの汚泥沈降率(SV)と含水率が高く、固液分離や乾燥コストがかさむため望ましくない。一方、同時添加の試料20〜21は、CSHの含水率が3.0g/g未満であり、標準添加の試料より低いので有利であり、さらに逆添加の試料より含水率が格段に低く、逆添加の試料よりも脱水の負担を大幅に低減することができる。

0037

0038

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