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技術 温熱パック

出願人 有限会社坂本石灰工業所熊本県太刀川英輔
発明者 坂本達宣高木泰憲平井博久佐藤達哉石橋伸介太刀川英輔
出願日 2016年3月2日 (4年9ヶ月経過) 出願番号 2016-039731
公開日 2017年9月7日 (3年3ヶ月経過) 公開番号 2017-153710
状態 特許登録済
技術分野 放射線治療装置 指圧・はり灸術装置
主要キーワード 立ち上がり領域 示温塗料 感熱温度 シリカブラック 平衡領域 電熱体 電子温度計 充填収納
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (6)

課題

予めおなどの温熱パック本体に貯溜水具備させないで、反応用の水は使用時に別途スポイト等の器具滴下して反応熱生起する構造とすると共に、滴下水は確実、迅速に生石灰と反応するような構成として、水分の浸潤滲出機能を有する吸水環体を介して、従来の上記欠点を解消し、安全で万人がいとも手軽にかつ安価に、しかし、温熱効果を容易に得ることができ、生石灰利用のお灸などの温熱パックを提供する。

解決手段

板状の支持基体と、その上面において水分を浸潤滲出可能に構成したドーナツ状の吸水環体と、吸水環体の中空部内に収納した生石灰塊体と、その上面に吸水環体に載置被覆した吸水性カバー体と支持基体の下底面に剥離自在に貼着した剥離紙とより構成してなることとした。

概要

背景

従来、温熱パック、中でもおは、もぐさを燃やして、もぐさからの燃焼熱を身体の疾患部分やこれに対応するつぼ部分(以下、単に患部等とも言う。)に位置してお灸効果、すなわち温熱効果を得るものであった。

しかし、これらの従来のお灸などの温熱パック(以下、単に温熱パックとも言う。)は、もぐさに点火して燃焼するという行為を伴うために安全性の面で問題があった。

そこで、火を用いることなく身体の患部等に伝熱して温熱効果を得る方法が多種考案された。その一つとして、発熱体生石灰を用いて水との反応熱を利用して身体の患部等を加熱する方法が用いられている。

それらはいずれも、火を用いずに温熱パック本体を略ボタン状に形成し、生石灰をその一部に封入し、温熱パックとして用いるに際しては、生石灰に水を反応させる構造としている。

例えば、挿入生石灰に隣接して反応水貯留部を形成し、外的作動により水貯留部が破損して放出する水を生石灰と反応させて反応熱を得るようにしたり(例えば、特許文献1及び特許文献2。)、生石灰封入の温熱パック本体に、別途水を外部から滴下して生じる反応熱を生成するようにしている。

更には、効果及び磁石を利用した血流促進効果と併用すべく基体下面に鍼体を形成し、その上部に電熱体を装着して、更にその上部に永久磁石を載置固定し、外部より通電して電熱体を発熱して温熱パックと鍼と永久磁石の各効用併合した考え方のものがあった(例えば、特許文献3。)。

概要

予めお灸などの温熱パック本体に貯溜水具備させないで、反応用の水は使用時に別途スポイト等の器具で滴下して反応熱を生起する構造とすると共に、滴下水は確実、迅速に生石灰と反応するような構成として、水分の浸潤滲出機能を有する吸水環体を介して、従来の上記欠点を解消し、安全で万人がいとも手軽にかつ安価に、しかし、温熱効果を容易に得ることができ、生石灰利用のお灸などの温熱パックを提供する。板状の支持基体と、その上面において水分を浸潤滲出可能に構成したドーナツ状の吸水環体と、吸水環体の中空部内に収納した生石灰塊体と、その上面に吸水環体に載置被覆した吸水性カバー体と支持基体の下底面に剥離自在に貼着した剥離紙とより構成してなることとした。

目的

この発明は、(1)板状の支持基体と、その上面において水分を浸潤滲出可能に構成したドーナツ状の吸水環体と、吸水環体の中空部内に収納した生石灰塊体と、その上面に吸水環体に載置被覆した吸水性カバー体と、支持基体の下底面に剥離自在に貼着した剥離紙とより構成したことを特徴とするお灸などの温熱パックを提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

この技術が所属する分野

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請求項1

板状の支持基体と、その上面において水分を浸潤滲出可能に構成したドーナツ状の吸水環体と、吸水環体の中空部内に収納した生石灰塊体と、その上面に吸水環体に載置被覆した吸水性カバー体と、支持基体の下底面に剥離自在に貼着した剥離紙とより構成したことを特徴とするおなどの温熱パック

請求項2

吸水性カバー体には、下層の生石灰の反応熱により変色する熱変色剤を塗布或いは含侵させたことを特徴とする請求項1に記載のお灸などの温熱パック。

請求項3

生石灰は、皮膚面非接触状態粉末を圧力で押圧形成した錠剤型としたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のお灸などの温熱パック。

請求項4

錠剤型生石灰中発熱時に遠赤外線機能を有する鉱物混入されていることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のお灸などの温熱パック。

請求項5

生石灰は0.1g〜1.5gを用いることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のお灸などの温熱パック。

請求項6

生石灰が水と反応して発熱するまでに約1分間を要することを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載のお灸などの温熱パック。

請求項7

お灸機能としての生石灰の反応熱時間は、約3分以内としたことを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載のお灸などの温熱パック。

技術分野

0001

この発明は生石灰を用いたおなどの温熱パックに関する。

背景技術

0002

従来、温熱パック、中でもお灸は、もぐさを燃やして、もぐさからの燃焼熱を身体の疾患部分やこれに対応するつぼ部分(以下、単に患部等とも言う。)に位置してお灸効果、すなわち温熱効果を得るものであった。

0003

しかし、これらの従来のお灸などの温熱パック(以下、単に温熱パックとも言う。)は、もぐさに点火して燃焼するという行為を伴うために安全性の面で問題があった。

0004

そこで、火を用いることなく身体の患部等に伝熱して温熱効果を得る方法が多種考案された。その一つとして、発熱体に生石灰を用いて水との反応熱を利用して身体の患部等を加熱する方法が用いられている。

0005

それらはいずれも、火を用いずに温熱パック本体を略ボタン状に形成し、生石灰をその一部に封入し、温熱パックとして用いるに際しては、生石灰に水を反応させる構造としている。

0006

例えば、挿入生石灰に隣接して反応水貯留部を形成し、外的作動により水貯留部が破損して放出する水を生石灰と反応させて反応熱を得るようにしたり(例えば、特許文献1及び特許文献2。)、生石灰封入の温熱パック本体に、別途水を外部から滴下して生じる反応熱を生成するようにしている。

0007

更には、効果及び磁石を利用した血流促進効果と併用すべく基体下面に鍼体を形成し、その上部に電熱体を装着して、更にその上部に永久磁石を載置固定し、外部より通電して電熱体を発熱して温熱パックと鍼と永久磁石の各効用併合した考え方のものがあった(例えば、特許文献3。)。

先行技術

0008

実開昭62−108942号公報
実開平6−26870号公報
実登第3042925号公報

発明が解決しようとする課題

0009

ところが、電熱体を用いるものは毎回同じものを使用できるものの、構造が大掛かりとなり、日常的に手軽に用いることができることを第一義とするお灸などの温熱パックの効果には及ばないという欠点があった。

0010

また、手軽に一回毎に使い捨てできる温熱パックで、かつ火を用いないで発熱体を手軽に得るためには、生石灰を用いて水との反応熱を利用する方法が最も汎用性が高い。

0011

しかし、そのためのお灸などの温熱パック本体の構造においては、生石灰に反応する水をどのように本体中に貯溜し、使用時に如何にして生石灰に反応させるかの構造を工夫しなければならず、温熱パック本体全体が大容量となりやすく、また、貯溜水を流出させる構造を具備させるために煩雑な構造とならざるを得ず、コスト上も不利となり、搬送時に不用意に貯溜水が流水し、反応熱が発生して無用事故生起するおそれがあった。

0012

また、一般的に生石灰等の人体に影響を与えるような化学物質の取り扱いについては、上述のような化学反応はもとより、物理的な面においても化学物質そのものが不用意に飛散したり漏出して皮膚表面に付着したりしないように封じ込めるなど、安全面に十分配慮しなければならない。

0013

この発明では、予め温熱パック本体に貯溜水を具備させないで、反応用の水は使用時に別途スポイト等の器具で滴下して反応熱を生起する構造とすると共に、滴下水は確実、迅速に生石灰と反応するような構成として、水分の浸潤滲出機能を有する吸水環体を介して、従来の上記欠点を解消し、安全で万人がいとも手軽にかつ安価に、しかし、温熱効果を容易に得ることができ、生石灰利用のお灸などの温熱パックを提供せんとするものである。

課題を解決するための手段

0014

上記従来の課題を解決するために、この発明は、(1)板状の支持基体と、その上面において水分を浸潤滲出可能に構成したドーナツ状の吸水環体と、吸水環体の中空部内に収納した生石灰塊体と、その上面に吸水環体に載置被覆した吸水性カバー体と、支持基体の下底面に剥離自在に貼着した剥離紙とより構成したことを特徴とするお灸などの温熱パックを提供するものである。

0015

また、本発明に係るお灸などの温熱パックでは、以下の点に特徴を有する。
(2)吸水性カバー体には、下層の生石灰の反応熱により変色する熱変色剤を塗布或いは含侵させたこと。
(3)生石灰は、皮膚面非接触状態粉末を圧力で押圧形成した錠剤型としたこと。
(4)錠剤型生石灰中に発熱時に遠赤外線機能を有する鉱物混入されていること。
(5)生石灰は約0.1〜1.5gを用いること。
(6)生石灰が水と反応して発熱するまでに約1分間を要すること。
(7)お灸などの温熱パック機能としての生石灰の反応熱時間は、約3分以内としたこと。

発明の効果

0016

請求項1に係る発明によれば、板状の支持基体と、その上面において水分を浸潤滲出可能に構成したドーナツ状の吸水環体と、吸水環体の中空部内に収納した生石灰塊体と、その上面に吸水環体に載置被覆した吸水性カバー体と、支持基体の下底面に剥離自在に貼着した剥離紙とより構成したため、温熱パックを大型化することなく身体の患部等に貼着することができ、温熱パックに収納した生石灰や熱反応により生起した消石灰等の化学物質が温熱パック外から飛散又は漏出することを確実に防止し、しかも、製造等に要するコストを安価にすることができ、火を用いることなく安全且つ手軽に温熱効果を得ることができる。

0017

また、反応用の水は使用時に別途スポイト等の器具で滴下して反応熱を生起する構成であるため、施療者被施療者にお灸などの温熱パックの使用感を損なわせることなく、未使用状態で不用意な熱反応の生起を防止して安全性を確保できる。

0018

また、吸水カバー体や吸水環体が生石灰塊体の形状を維持する縁枠として機能するため、急激な吸水により生石灰塊体が温熱パック内部で破砕して飛散してしまうことを防止できる。

0019

さらに、吸水環体は一定量の水を吸水する構成としているため、吸水環体に過飽和となる水を排除して余分な水を生石灰塊体に付与することなく、生石灰塊体に一定量の水を滲出付与して安定した温熱パックの発熱を実現できる。

0020

また、発生した反応熱が、吸水環体や支持基体に対流した後、支持基体を介して患部等に伝導するため、熱反応直後の比較的高温となった熱を患部等に直接的に与えて熱傷を生起する危険がなく、吸水環体や支持基体にいったん吸収して蓄積された熱を間接的につぼ部分に穏やかに熱伝導して確実にお灸などの温熱パックによる温熱効果を得ることができる。

0021

また、請求項2に係る発明によれば、吸水性カバー体には、下層の生石灰の反応熱により変色する熱変色剤を塗布或いは含侵させたため、温熱パックが発熱中であることを変色後の吸水性カバー体を指標として視認できる。また、平常時は青色又は水色で温度の上昇により赤色又はピンク色に変色する熱変色剤を採用すれば、温熱パックを使用している感覚施術者被施術者に与えるお灸などの温熱パックを提供することができる。

0022

また、請求項3に係る発明によれば、生石灰は、皮膚面と非接触状態で粉末を圧力で押圧形成した錠剤型とすれば、温熱パックを大型化することなく、温熱パックの製造を容易にすることができる。また、水と生石灰が接触した際に急激に水和反応が生起して過剰に発熱することを防止し、発熱量の調節を可能として適切な温度を生起する温熱パックを提供することができる。さらに、生石灰の温熱パック外への飛散を確実に抑制して、患部等の皮膚面に生石灰粉末付着防止をより堅実にすることができる。

0023

また、請求項4に係る発明によれば、錠剤型生石灰中に発熱時に遠赤外線機能を有する鉱物が混入されていることとしたため、発生熱を遠赤外線として身体の患部等の奥まで伝え、温熱効果をより向上することができる。

0024

また、請求項5に係る発明によれば、生石灰は0.1g〜1.5gを用いることとしたため、身体の患部等を効果的に刺激する十分な発熱量を確保することができる。

0025

また、請求項6に係る発明によれば、生石灰が水と反応して発熱するまでに約1分間を要することとしたため、所望とする患部等が温熱パックを貼着するのに困難な箇所(例えば、背中や肩など。)にある場合や貼着した箇所を微調整する場合に、貼着前に予め水を含浸させて発熱可能な状態の温熱パックとしつつ、所望の患部等に確実に温熱パックを貼着する時間的猶予を付与することができる。

0026

また、請求項7に係る発明によれば、お灸などの温熱パック機能としての生石灰の反応熱時間は、約3分以内としたこととしたため、身体の患部等に温熱パックの熱を確実且つ十分に伝えて温熱効果を身体に付与するとともに、貼着した温熱パックを患部等から剥離することを忘れてしまったりした場合であっても長時間にわたって熱を患部等の皮膚面に与え続け低温熱傷を生起してしまうことを回避して安全なお灸などの温熱パックを提供できる。

図面の簡単な説明

0027

本実施形態に係る温熱パックの構成を示した説明図である。
本実施形態に係る温熱パックの使用状態を示した説明図である。
検証試験結果を示す説明図である。
検証試験結果を示す説明図である。
検証試験結果を示す説明図である。

実施例

0028

この発明の実施形態の要旨は、板状の支持基体と、その上面において水分の浸潤滲出可能に構成したドーナツ状の吸水環体と、吸水環体の中空部内に収納した生石灰塊体と、その上面に吸水環体に載置被覆した吸水性カバー体と、支持基体の下底面剥離自在に貼着した剥離紙とより構成したことである。

0029

一般的に、お灸などの温熱パックの使用に際して、例えば、腰痛治療の場合には、直接的ににお灸を施す他に、身体に点在する腰のつぼ部分を間接的に温熱刺激することで温熱効果を得るものである。

0030

従って、本発明に係るお灸などの温熱パックを施す患部等とは、施療目的とする身体の疾患部だけでなく、これに対応するつぼ部分を含むものである。換言すれば、本発明に係る温熱パックは、疾患部に対して、直接的又は間接的に貼着することを問わず温熱効果を奏することを目的としたものである。

0031

また、本発明に係る温熱パックの技術は、いわゆる医薬医療機器法に掲げる一般医機器、管理医療機器、その他雑貨などの基準態様に適宜あわせて実施することが可能である。なお、以下において、本発明に係る温熱パックのうち、お灸を一例として説明する。

0032

また、一般的に温熱パックを使用した際に、患部等に付与する温度は、約40℃以下では温熱効果を得られず、一方で約55℃以上では低温熱傷の危険性が高まる。従って、患部等を有効に刺激する適切な温度範囲は、約40〜55℃(以下、単に温熱効果温度範囲と称す。)であることが好ましい。

0033

特に、本実施形態に係る温熱パック機能としての生石灰の反応熱とは、温熱パック底面を介して得られる温度(以下、単に感熱温度と称す。)が被施療者の患部等の表面温度(約35〜37℃)よりも高い状態の熱のことをいい、より具体的には温熱パック本体底面の支持基体から皮膚面へ放射伝導される感熱温度が約40℃以上となる熱をいう。

0034

以下、この発明の実施例を図面に基づき詳説する。図1及び図2に示すように、Aは、お灸本体を示し、お灸本体Aは、板状の支持基体1とその上面に載置固定したドーナツ状の吸水環体2と、吸水環体2の中央部に形成した中空部3に収納した打錠型の生石灰塊体4と、吸水環体2と生石灰塊体4とのそれぞれの上面にわたって接着した吸水性カバー体5と、支持基体1の下底面としての裏面に剥離自在に貼着した剥離紙6とより構成している。

0035

お灸本体Aの形状は、温熱効果を得られる形状であれば特に限定されることはなく、円柱や角柱の柱形状や円垂や垂台の形状のものであってもよい。本実施形態に係るお灸本体Aは、全形状を略ボタン形状としており、直径を約10〜25mmとしており、全体厚み約2〜11mmとしている。

0036

お灸本体Aは収蔵に際しては、個別に防湿性素材による図示しない密封袋中に収納しておく。使用に際しては、密封袋中から取出して剥離紙6を剥離した後に身体のつぼに貼着し、別途用意したスポイト7を介して上面の吸水性カバー体5に水を滴下することにより、生石灰塊体4に反応熱を生起させて、支持基体1を介して身体のつぼを加熱する。

0037

お灸本体Aの支持基体1は、生起した反応熱を適切な温熱効果温度範囲の熱に調節し、温熱効果をつぼ部分に伝えるための緩衝材として機能する部位であり、円形に形成して裏面に接着剤を塗布しており、剥離紙6を剥離した後に身体のつぼ部分に貼着固定可能に構成している。

0038

支持基体1の素材は、耐熱性及び撥水性を有しているものであればよく、吸水環体2や生石灰塊体4に含浸され水和反応の進行によりアルカリ性となった滴下水(保持水)が、支持基体1を介して不用意に漏出してつぼ部分の皮膚面に付着することで化学熱傷等を生起してしまうことを防止している。

0039

例えば、支持基体1の表裏面の一方又は両方に撥水加工を施したものでもよく、支持基体1の素材として紙やフェルト等を採用してもよい。撥水加工を施すに際しては、フッ素樹脂シリコン樹脂、またはこれらの混合物を含有する撥水剤を塗布してもよい。

0040

また、支持基体1の厚みは、後述する生石灰塊体4と水との生石灰反応熱温度を緩和させてひと肌に対して温熱効果温度範囲とすべく相対的に決定される。本実施例においては、約0.03mm〜3mm厚みの撥水紙を用いている。

0041

また、支持基体1の裏面に塗布する接着剤は、貼着した際にひと肌に対して低アレルギー性のものであれば特に限定されることはなく、塗布することにより上述の撥水性を助長する。

0042

塗布する接着剤としては、例えば、アクリル樹脂を主成分とするアクリル系粘着剤天然ゴム合成ゴムを主成分とするゴム系粘着剤シリコンを主成分とするシリコン系粘着剤を採用することで、耐熱性、耐候性、低アレルギー性を実現できる。

0043

中でも、シリコン系粘着剤を採用することとすれば、耐薬品性を支持基体1に付与して、万が一、支持基体1の裏面側に不用意な保持水が漏出して接着剤と接触しても接着剤成分変性することなくつぼ部分の皮膚面に保持水が付着することを確実に防止できる。

0044

また、支持基体1の上面には、接着剤を介してドーナツ状の吸水環体2を貼着固定している。

0045

吸水環体2は、外形を支持基体1と同形に形成し、素材は不織布やフェルト等の多孔質素材を使用し、一定の水分を浸潤滲出可能に構成している。すなわち、吸水環体2は、滴下水を生石灰と水和反応を生起するために必要な反応水と、急激な反応熱による過度温度上昇吸熱により抑制しつつ保温した熱を発熱反応終了後に放射伝導する保持水とに分ける部位として機能する。

0046

この吸水環体2は、不織布やフェルト等の多孔質性吸水素材複数枚重合して所定厚みの積層構造としてもよい。例えば、この積層の断層面がお灸の上下表面表出するように略垂直方向に重ねて吸水環体2を形成すれば、お灸の上面に水Wを添加した際により速やか且つ確実に所定容量の水を吸水環体2に浸潤させ、左右方向への水の滲出を比較的抑制することができる。

0047

一方で、断層面がお灸の左右側面に表出するように多孔質性の吸水素材を水平に重ねて吸水環体2を形成すれば、お灸の上面に水Wを添加した際に確実に所定容量の水を吸水環体2に浸潤させ、左右方向への水の滲出を比較的促進することができる。

0048

また、吸水環体2や支持基体1を一体的に形成した上部開口を有した有底状部材をお灸本体Aの構成部材としてもよい。すなわち、垂形状や柱形状の部材の上面略中央に生石灰を収容するための所定幅及び所定厚みの溝を刻設して中空部3とし、断面視凹状の有底状部材を形成し、有底状部材の側壁部を吸水環体2として、底部を支持基体1として機能させることもできる。

0049

吸水環体2は直径を約10〜25mmの円形とし、厚みを約2mm〜7mmに形成しており、一定の水分を浸潤滲出可能な厚みと面積を保持させている。すなわち、その中央部に設けた生石灰塊体4が反応生成する熱量との比較において、相対的含水率を計算して吸水環体2の組成密度と厚みと面積の三要素を決定する。なお、本実施形態においては約0.1〜1.0ccの水を含浸可能な厚みとし、生石灰塊体4を完全に反応させる反応水を滲出可能に構成している。

0050

かかる吸水環体2の中央部には直径の約1/3〜5/7の径を有する中空部3を形成している。この中空部3中には生石灰塊体4を充填収納する。

0051

生石灰塊体4は、粉体の生石灰を打錠型に押し固めてボタン状に成型しており、その密度、容積等は反応熱の発熱量との相対的関係で決定される。すなわち、生石灰塊体4は水との反応熱を約40℃〜100℃の範囲とすべく重量を約0.1g〜1.5gとしている。

0052

生石灰の重量が0.1gを下回ると、錠剤型の生石灰塊体4に押圧形成することが困難となり、しかも十分な熱量を得ることが出来ない。一方で、重量が1.5gを上回ると生石灰塊体4が大型化して、お灸本体A自体もまた大型化せざるを得なくなり、水和反応による発熱量も多くなる。

0053

この結果、身体のつぼ部aに対してお灸本体Aをピンポイントで貼着することが出来なくなるばかりか、余剰生石灰の不意の水和反応の生起により発熱量が大となり低温熱傷を助長するという問題があるため好ましくない。

0054

従って、重量0.1g以上1.5g以下の生石灰を用いることで、低温熱傷を回避しつつ、身体のつぼ部分を効果的に刺激する熱量を実現するお灸を提供することができる。

0055

また、打錠密度は、反応熱の発熱時間や、持続時間、すなわちお灸有効時間との相対的関係で決定される。打圧密度は、生石灰塊体のほぐれ難さ(粉状への戻り難さ)を示すものであり、生石灰塊体の外表面側で水と接触した場合に、漸次ほぐれた粉状の生石灰が水と水和反応を生起することで発熱する。

0056

換言すれば、打圧密度は、生石灰塊体に水を添加した際の反応熱総量における温度(以下、単に生石灰反応熱温度と称す。)を決定する値であり、感熱温度においてお灸本体の温度の立ち上がり方や、お灸本体の最大温度に影響する。

0057

打圧密度の高い生石灰塊体はほぐれ難い(粉体に戻り難い)ため、生石灰塊体4と反応水との接触部において、水和反応量が少なくなり生石灰反応熱温度が相対的に低くなる。

0058

一方で、打圧密度を低めとした生石灰塊体はほぐれやすい(粉体に戻り易い)ため、生石灰塊体4と反応水との接触部において、水和反応量が促進されて生石灰反応熱温度が相対的に高くなる。

0059

より具体的には、打錠密度が1.7g/cm3を下回ると生石灰塊体4が粉体になりやすく水Wとすぐに反応してしまい発熱量が安定せず、一方で2.2g/cm3を上回ると発熱量が少なくなり温熱効果を得られる温度を実現できない。

0060

従って、本実施形態においては、打錠圧力3〜10KNとし、打錠密度1.7〜2.2g/cm3とした生石灰塊体4を用いることで、40〜100℃の生石灰反応熱温度を得ることを可能としている。

0061

特に、打錠密度1.8〜2.2g/cm3の生石灰塊体約3重量部に対し、約1重量部の水と反応して発熱するまでに約1分間を要することを可能としている。

0062

さらに、上述の打錠密度1.7〜2.2g/cm3であって生石灰重量が0.1〜1.5gであれば、生石灰塊体約3重量部に対し、約1重量部の水と反応して生石灰の反応熱時間、すなわち、お灸機能としての生石灰の反応熱時間を約3分以内とすることが可能となる。

0063

また、打錠圧力で成型した錠剤型の生石灰塊体4の表面積は、吸水環体2から滲出する水Wと接触する面積であるため、打錠密度と同様に、発熱量を決定する要素となる。

0064

すなわち、生石灰塊体4を略円柱状の打錠型にした場合には、吸水環体2から滲出する水Wと接触する生石灰塊体4の外周側の面積が、お灸本体A内部における水和反応を生起可能とする面積となるため、その反応熱量により、お灸本体Aの温度上昇の立ち上がり方や発熱の持続時間に影響する。

0065

本実施形態において、上述の打錠密度1.7〜2.2g/cm3を有した生石灰塊体4は、上記表面積を決定する直径を約5.0〜10.0mm、高さを吸水環体2の厚み(約2mm〜7mm)と略同じに成型することで、該生石灰塊体4と反応水とが水和反応を生起して発熱するまでに約30〜80秒を要することを可能としている。

0066

また、打圧密度1.7〜2.2g/cm3の生石灰塊体4を用いて構成したお灸本体Aに、該生石灰1重量部あたり水0.1〜2重量部を添加した際には、生石灰塊体4に外嵌した吸水環体2や底面の支持基体1により生石灰反応熱温度が緩和されて、支持基体1を介してつぼ部aに対し温熱効果温度範囲である約40〜55℃の感熱温度を約60秒以上180秒以下付与できる構成としている。

0067

また、本実施形態における生石灰塊体4は、直径を中空部3の直径よりやや大きくした円柱状の打錠型に成型されている。

0068

このような構成により、吸水環体2の中空部3に嵌着した際には、生石灰塊体4の全外周側面と吸水環体2の中空部3側の側面とが堅実に密着し、お灸本体A内部で生石灰塊体4が吸水環体2から離脱しないようにするとともに、使用時には吸水環体2から滲出する水Wを確実に生石灰塊体4へ伝えるように構成している。

0069

また、生石灰塊体4の素材は純度80%〜95%酸化カルシウムを用いることにより、生石灰塊体4を発熱阻害しない打錠型に成型可能としている。

0070

また、錠剤型生石灰中に発熱時に遠赤外線機能を有する鉱物を混入してもよい。遠赤外線機能を有する鉱物、すなわち遠赤外線を放射する鉱物(以下、遠赤外線放射鉱物と称す。)としては、粉状または粒状の天然人工の鉱物、またはこれらの混合物を採用することができる。

0072

これらの遠赤外線放射鉱物の生石灰への混入量は、生石灰と水との反応熱が約40℃〜80℃となる範囲で且つ鉱物生石灰混合粉末を打錠型に形成できる程度であればよく、生石灰1重量部に対して遠赤外線放射鉱物0.01〜0.2重量部を混入することとすれば、生石灰の発熱機能を阻害することなく遠赤外線放射機能を促進することができる。

0073

生石灰塊体4及び吸水環体2の上面には外形を円形の支持基体1と同形に形成した吸水性カバー体5が貼着固定されている。この吸水性カバー体5は、吸水性素材、例えば吸水環体2と同一素材の不織布やフェルトを用いたシート状に形成しており、この上面にスポイトで水を滴下した際に、滴下水が露玉となって迅速に生石灰塊体4に浸潤しなくなることを防止すべく、迅速に滴下水を吸水して全体的に水を浸潤拡散させるようにしており、その意味では吸水環体2の吸水機能よりも水の浸潤性の迅速化した素材構成とすることが望ましい。

0074

特に、先にお灸本体Aを身体のつぼ部に貼着して水の滴下を行う際には、滴下水が吸水性カバー体5上面を滑動してお灸本体A外に漏出することを防止することは当然ながら、生石灰塊体4に対して必要かつ十分な反応水を確保するためにも反応水の漏洩を防止しなければならない。そのためには、吸水性カバー体5の吸水機能は重要である。

0075

また、この吸水性カバー体5は、お灸本体A内部において、生石灰塊体4が急激な吸水により破砕して生起してしまった生石灰粉末や、反応終了に伴い生起する消石灰粉末が外部に飛散してしまうことを防止する機能も有している。なお、本実施形態における吸水性カバー体5は、直径を約10〜25mmとし、厚みを約0.01〜1mmに形成している。

0076

また、この吸水性カバー体5には、下層の生石灰塊体4と水Wとの水和反応により生じた反応熱により変色する熱変色剤が塗布或いは含侵されており、熱が発生しているか否かの視認を可能としている。

0077

反応熱により変色する熱変色剤、すなわち示温塗料としては、指定温度領域で変色し冷却すると元の色に戻る可逆性、一度変色すると元の色に戻らない不可逆性、及び変色後冷却に伴い徐々に元の色に戻る準不可逆性のものを採用することができる。

0078

示温塗料としては、例えば、コレステリック液晶素材、金属錯体素材、メタカラー素材、を採用することができる。本実施形態においては、40以上100℃以下の温度範囲で変色する熱変色剤を採用しており、定常時は青色を呈し、発熱時は赤色を呈する。

0079

この発明は上記のように構成されているので、まず使用に際しては包装袋からお灸本体Aを取出し、下底面の剥離紙6を剥離して、身体のつぼ部aにお灸本体Aを貼着する。

0080

その後、青色を呈している吸水性カバー体5上面に、図2(a)に示すように、別途用意したスポイトSを用いて所定量の滴下水Wを付与する。

0081

お灸本体Aの上面に滴下付与された滴下水Wは、図2(b)に示すように、吸水性カバー体5に浸潤して、下層の生石灰塊体4及び吸水環体2に拡散しする。そして、滴下水Wの一部は直接に生石灰塊体4の上表面を浸潤し、大部分は吸水環体2中に浸潤していき吸水環体2が含浸状態となる。

0082

ここで約1分間後には生石灰塊体4は水との反応熱を生起して発熱を開始する。発熱は、その下層の支持基体1を介して身体のつぼ部aに伝熱されて温熱効果を得ることができる。この状態で、吸水性カバー体5は青色から赤色に変色する。

0083

より具体的には、吸水環体2は、浸潤された滴下水Wを生石灰塊体4と反応する反応水W1と吸水環体2に保持含浸した保持水W2に分け、反応水W1が中空部3の生石灰塊体4に向って滲出していく。

0084

すなわち、図2(c)に示すように、吸水環体2の中空部3側の内周面から、中空部3に収納した生石灰塊体4へ向かって反応水W1(図2(c)実線矢印)が滲出し、生石灰塊体4の外周面と接触することで水和反応が生起してお灸本体Aが発熱する。つまり、生石灰塊体4の外周側から漸次水和反応が生起する構造となっている。

0085

生石灰塊体4の外周面と反応水W1との接触部位では、水和反応を生起して発熱し、水和反応終了部位から漸次粉末状の水酸化カルシウム、いわゆる消石灰粉末4aが生起する。なお、消石灰粉末4aの体積は生石灰塊体4の体積の約2〜3倍となる。

0086

反応水W1と生石灰塊体4との水和反応が進むに従い中空部3の直径に比べて生石灰塊体4は中心部に向って小径となり、生石灰塊体4と吸水環体2との間に消石灰粉末4aが、内側から外側へ向かって吸水環体2を拡開方向に押圧するように膨潤する。

0087

つまり、小径となった生石灰塊体4と吸水環体2との間には消石灰粉末4aが密に介在しており、水和反応終了により漸次生成される消石灰粉末4aに伴い吸水環体2の中空部3の内周面を押圧する。

0088

この押圧力により吸水環体2に浸潤している保持水W2を、生石灰塊体4の吸水力も相まって中空部3側へ圧搾し反応水W1として滲出させ、生石灰塊体4と吸水環体2との間の消石灰粉末4aに先行的に吸水される。つまり、吸水環体2に浸潤していた保持水W2は、中空部3に存在する消石灰粉末4aに含浸される。

0089

次いで、消石灰粉末4a内側に存在する生石灰塊体4に水Wを確実に到達させることで持続的な発熱反応を可能とし、未反応の生石灰塊体4残渣が生じることを防止している。

0090

なお、生石灰塊体4から消石灰粉末4aへ変化する水和反応部位は反応熱により高温状態にあり、加熱された消石灰粉末4aの水Wへの溶解度は低く消石灰粉末4aへトラップされる水Wは少ないため、吸水環体2から圧搾吸水した水Wのロスは少ない。

0091

また、反応水W1として使用されない保持水W2は、吸水環体2や消石灰粉末4aに略均一に含浸保持された状態となる。

0092

また、前述の如く、保持水W2を含浸保持した状態の吸水環体2や消石灰粉末4aや支持基体1が、水和反応によって生じた反応熱のうち一部の熱を吸熱することでお灸本体A内部で比較的高温となる生石灰反応熱温度を温熱効果温度範囲である約40℃〜55℃まで降下させて低温熱傷の生起を防止している。

0093

なお、吸水環体2や消石灰粉末4aに含浸された保持水W2の一部が吸熱の過程蒸発することで、残りの保持水W2は吸水環体2や消石灰粉末4aにより堅実に含浸保持されるため、お灸施療中にお灸本体Aから保持水W2が不用意に漏出して皮膚面に付着し、化学熱傷等の負傷を生起させることはない。

0094

そして、図2(d)に示すように、消石灰粉末4aの生起に伴い吸水性カバー体5が下方から押し上げられ表面凸の膨出状のお灸本体Aとなることで水和反応が終了した状態となる。

0095

この水和反応終了状態直後しばらくの間、加温された消石灰粉末4aや吸水環体2が持続的な熱を放射伝導する。すなわち、お灸本体Aは、反応終了後においても十分な熱を有しており、吸水環体2及び消石灰粉末4aの下方位置の支持基体1を介して温熱効果温度範囲の感熱温度を身体のつぼ部aに対して付与する。

0096

そして表面凸の膨出状のお灸本体Aの吸水性カバー体5が青色を呈した場合には、お灸施療の終了となる。

0097

次に、本実施形態に係るお灸について、生石灰塊体の外装となる吸水環体や吸水カバー体、支持基体、滴下水量が、温度変化や発熱時間に与える影響について実験した例について説明する。

0098

〔1.外枠機能の検証〕
本実施形態に係るお灸について、生石灰塊体4の外周側の枠体となる吸水環体2、上面を覆う蓋体となる吸水性カバー体5それぞれが、温度変化や発熱時間に与える影響について実験を行った。

0099

実験には、生石灰粉末0.5gを押し固めて厚さ約3mm、直径約10mmの略円柱状の錠剤型に成型した生石灰塊体を用いた。温度の測定は、生石灰塊体に何も施さない生石灰塊体L1、生石灰塊体の全外周側に吸水環体と支持基体を装着した生石灰塊体L2、生石灰塊体に吸水環体、吸水性カバー体を装着し生石灰塊体L3のそれぞれに分けた。

0100

これらの生石灰塊体をそれぞれ電子温度計計測部表面に載置固定し、室温を基準温度として、0.2cc滴下水の添加後、底面から放射伝導される反応熱の温度を10秒ごとに計測した。その結果を図3に示す。

0101

本実験結果において、略室温状態から温度が上昇して最高温度ピーク温度)に至るまで経時的区間である温度立ち上がり領域、ピーク温度からお灸本体に保温された熱が外部に放射伝導され略室温に至るまでの経時的区間である保温熱放射伝導領域にわけることができた。また、お灸機能としての生石灰の反応熱を評価するため、約40℃以上の発熱状態の経時的区間であるお灸発熱状態領域を記録した。

0102

生石灰塊体L1では、滴下水を添加した直後に、急激な吸水に伴い破砕して飛散した。また、滴下水を滴下した際には、滴下水の一部が生石灰塊体の上面で滑動して露玉となり生石灰塊体から滑落して生じた不均一な大きさの水滴が生石灰塊体の下方位置でランダムに接触していることが確認できた。

0103

また、立ち上がり領域においては、初期段階である20秒付近から急激に発熱を始め、約40秒後にピーク温度(約85℃)に到達した。保温熱放射伝導領域では、約380秒以上かけて室温と略同じ温度まで曲線的に降下した。お灸発熱状態領域における時間は、約240秒であった。

0104

生石灰塊体L2では、その上面や底面で一部生石灰の飛散が認めらたものの生石灰塊体L1に比べて形状が安定していた。また、滴下水を滴下した際には、滴下水は吸水環体に速やかに浸潤されたものの、生石灰塊体の上面に滴下した滴下水の一部が露玉となって吸水環体上面の一部分に集中的に流れ込み含浸されていくことが確認できた。

0105

立ち上がり領域においては、生石灰塊体L1より遅く立ち上がり約40秒付近から発熱を始め、約70秒後にピーク温度(約75℃)に到達した。保温熱放射伝導領域では、約350秒かけて室温と略同じ温度まで曲線的に降下したが、生石灰塊体L1に比べると緩やかな温度の降下傾向が観察された。また、お灸発熱状態領域における時間は、約260秒間だった。

0106

生石灰塊体L3では、生石灰の飛散は観察されなかった。滴下水は、露玉となることなく吸水性カバー体全面に速やかに滲みわたり、その下方位置にある吸水環体や生石灰塊体へ滲出していくのが観察された。

0107

立ち上がり領域においては、生石灰塊体L1や生石灰塊体L2よりも更に遅く、約50秒付近から発熱を始め、約80秒後に3つの実験区の中で最も低いピーク温度(約65℃)となった。保温熱放射伝導領域では、約350秒かけて室温と略同じ温度まで曲線的に降下したが、生石灰塊体L1に比べると緩やかな温度降下傾向が観察された。お灸発熱状態領域における時間は、約220秒間だった。

0108

また、いずれの実験区においても、滴下水添加後、温度上昇から略室温となるまでの時間は約5〜6分間であることが観察された。

0109

このように生石灰塊体そのものでも十分に生石灰反応熱温度の急激な上昇を制御できるものの、外周側の枠体や上面を覆う蓋体が、滴下する水を均一に生石灰塊体に付与するとともに生石灰塊体の形状を維持して飛散を防止するとともに、温度上昇に緩衝して安定的な感熱温度を得るために極めて重要な構成要素であることが明らかとなった。また、皮膚面との直接の接触面部となる支持基体を生石灰塊体の底面に配設することで、感熱温度がより緩和されることが予測された。

0110

〔2.お灸機能の検証〕
次に、本実施形態に係るお灸について、滴下水量を変えて、温度変化や発熱時間に与える影響を検証した。また、使用前後におけるお灸重量の構成部材をそれぞれ計測し、お灸本体内部における滴下水の動態評価を行った。

0111

本実験に係るお灸本体は、直径15mm・厚さ約0.1mmの吸水性カバー体、直径15mm・厚さ3mmの吸水環体、直径15mm・厚さ1.5mmの支持基体、また、重量約0.5g、直径10mm・厚さ3mmの生石灰塊体を使用して構成した。このように構成したお灸本体について、滴下水量別の実験区に分けて感熱温度の測温実験を行った。

0112

より具体的には、滴下水量条件として、0.2cc(以下、お灸本体T1と称す。)、0.3cc(以下、お灸本体T2と称す)、0.4cc(以下、お灸本体T3と称す。)、0.5cc(以下、お灸本体T4と称す。)、0.6cc(以下、お灸本体T5と称す)とに分けて測温を行った。

0113

本実験においても、外枠機能性試験同様に、測温結果を温度立ち上がり領域、及び保温熱放射伝導領域に分け、また、お灸発熱状態領域における時間を記録した。その結果を図4に示す。

0114

本実験では、滴下水は吸水性カバー体5の上面に速やかに吸収され、その下方位置の吸水環体2に浸潤していき、実験終了後においても含浸された滴下水がお灸本体A外へ漏出することは確認されなかった。また、滴下水添加直後のいずれの実験区においても、吸水による内部の生石灰塊体の破砕飛散の現象は認められなかった。また、実験終了後のお灸本体においても、その内部で生起した消石灰が飛散することは認められなかった。

0115

図4に示すように、ピーク温度は、お灸本体T2〜お灸本体T4でそれぞれ約55℃であった。一方で、お灸本体T1で約42℃、お灸本体T5で約44℃であった。また、お灸本体T3及びお灸本体T4ではピーク温度付近で平衡領域が観察された。

0116

温度立ち上がり領域においては、いずれの実験区においてもピーク温度に到達するまでの時間は約50秒以上を要した。温度の立ち上がり方は、お灸本体T2〜お灸本体T4が、お灸本体T1及びお灸本体T5に比べて良好であった。

0117

特に、お灸本体T2〜お灸本体T4における温度立ち上がり領域におけるピーク温度に到達するまでの時間はそれぞれ、お灸本体T2で約50秒後、お灸本体T3で約80秒後、お灸本体T4で約110秒後であり、滴下水量の増加に伴い遅くなる傾向にあることが確認できた。

0118

また、保温熱放射領域においては、全実験区のそれぞれでピーク温度から略室温に至るまでの感熱温度の降下は上記外枠機能性試験の生石灰塊体L1の場合に比べて緩やかであり、特に、お灸本体T2〜お灸本体T5で略直線的に温度降下することが認められた。

0119

また、それぞれの保温熱放射領域におけるピーク温度から略室温に至るまでの時間は、お灸本体T1で約140秒間、お灸本体T2で約190秒間、お灸本体T3で約230秒間、お灸本体T4で約250秒間、お灸本体T5で約280秒間、であった。

0120

また、お灸発熱状態領域における時間は、お灸本体T1で約30秒間、お灸本体T2で約90秒間、お灸本体T3で約100秒間、お灸本体T4で約110秒間、お灸本体T5で約70秒間、であった。

0121

本実験結果によれば、お灸本体Aを構成する吸水性カバー体5や吸水環体2、支持基体1が、錠剤型生石灰塊体4と水との水和反応により生じた反応熱を確実に緩和させて皮膚面における感熱温度を温熱効果温度範囲(40℃〜55℃)まで調整し、お灸本体Aに持続的且つ安定した温熱効果を実現できる機能を付与していることが示された。また、収容した生石灰や反応より生起した消石灰がお灸本体外へ飛散することを確実に防止することが示された。

0122

また、本実施形態に係るお灸の重量変化について、滴下水添加直後(使用前)のお灸本体の各構成部材、及び、添加後温度上昇から略室温に戻った後(使用後)のお灸本体の各構成部材の重量(g)を計測した。それぞれのお灸本体の初期重量合計値から反応後重量合計値を引いた値を熱反応時にお灸本体外部へ蒸発放出した滴下水蒸発放出分量として評価した。その結果を図5に示す。

0123

図5の結果によれば、お灸本体の各構成部材の重量変化は、お灸本体使用後の反応後石灰重量で顕著であった。反応後石灰重量は、使用前の生石灰塊体重量に比べて全体的に増加しており、滴下水量の増加に伴い増加する傾向が示された。

0124

また、生石灰との反応水として使用されずに保持水として吸熱蒸発した水分量を示す滴下水蒸発放出分量も同様にして滴下水量の増加に伴い増加する傾向が示された。

0125

反応後石灰重量は、生石灰塊体反応後に生成された消石灰粉末重量と水和反応に使用されなかった水分重量の合計値を示し、吸水環体から滲出した水分のうち水和反応に使用された水分(反応水)と、吸水環体や生成された消石灰に保持された水分(保持水)とが存在していることが示唆された。

0126

また、全体的に安定した感熱温度の遷移傾向を示していたお灸本体T2〜お灸本体T4においては、蒸発放出水分と反応後石灰中に含まれる保持水量が相対的に多くなることで、ピーク温度に到達するまでの時間を遅延させ、保温熱放射領域及びお灸発熱状態領域における時間を長くすることができることが示唆された。

0127

すなわち、含浸した滴下水の含浸量や、その内部に含浸された水の滲出量と保持量を決定づける吸水環体が、生石灰と水とによる反応熱に干渉して、いったん保温熱として蓄え、後にゆっくりと確実に放出する機構としての役割を果していることが分かる。

0128

また、全体的に安定した感熱温度の遷移傾向を示していたお灸本体T2〜お灸本体T4に比べて、お灸本体T1では生石灰塊体と反応する水分不足要因となり、お灸本体T5では反応熱の過度な吸熱を助長する過剰な保持水が要因となり、それぞれピーク温度が低くなることが示唆された。

0129

また、すべての実験区において錠剤型生石灰塊体の下面に支持基体を配設したことにより、お灸本体に含浸された滴下水がお灸本体外、特にお灸本体の底面側に漏出することなくつぼ部分の皮膚面に優しく、しかも、上述の外枠機能性試験に比べて皮膚面に対して低温熱傷を生起することのない温熱効果温度範囲とするお灸を実現できた。つまり、生石灰塊体や吸水環体の大きさや体積等の諸条件に合わせ、支持基体の厚みや素材を適宜選択することにより、温熱効果を得る温度範囲に調節できることが示された。

0130

さらに、本実験に用いたお灸本体によれば、生石灰塊体を被包するように、その底面において板状の支持基体と、その全周面において水分を浸潤滲出可能に構成したドーナツ状の吸水環体と、その上面に吸水環体に載置被覆した吸水性カバー体と、により構成しており、実験の前後において、収容した生石灰や反応より生起した消石灰といった化学物質がお灸本体外へ飛散して患部等またはその周囲に付着してしまうことを確実に防止できることが示された。

0131

このように本発明に係るお灸などの温熱パックによれば、生石灰反応熱温度を制御可能な生石灰を使用しつつも、滴下水の均一拡散機能を有する吸水性カバー体や、滴下水の浸潤滲出機能を有する吸水環体、温度緩衝機能を有する支持基体を介して、より安定した反応と熱温度、反応持続時間、感熱温度付与時間等のコントロールを可能として温熱効果温度の再現性を高め、生石灰や消石灰といった化学物質の飛散を規制して使用上の安全面を十分に担保し、しかも、手軽にかつ安価に、温熱効果を容易とした生石灰利用のお灸を提供することができる。

0132

最後に、上述した各実施の形態の説明は本発明の一例であり、上述した各実施の形態以外であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能であることは勿論である。

0133

A お灸本体(温熱パック)
1支持基体
2 吸水環体
3中空部
4生石灰塊体
5吸水性カバー体
6剥離紙

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