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技術 低損失の可変無線周波数フィルタ

出願人 レゾナントインコーポレイテッド
発明者 都築玄一ウィレムセン,バラム,エイ.
出願日 2017年6月8日 (3年6ヶ月経過) 出願番号 2017-113123
公開日 2017年8月31日 (3年4ヶ月経過) 公開番号 2017-153158
状態 特許登録済
技術分野 フィルタ・等化器
主要キーワード 集中構造 電気コントローラ 同調構造 マイクロ波周波数帯域 低損失スイッチ 妨害機 フィルタカップ 同調感度
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重要な関連分野

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図面 (20)

課題

挿入損失を減少させるとともに素早く同調されることが可能な帯域通過フィルタを提供する。

解決手段

RFフィルタは、入力及び出力を有する信号伝送路と、入力及び出力の間で信号伝送路に沿って配置された複数の共振素子と、共振素子のそれぞれの周波数に対応した複数の伝送零点を有する阻止帯域と伝送零点同士の間の少なくとも1つのサブバンドとを有する阻止帯域を形成するようにともに共振素子を結合する複数の非共振素子と、を備えている。非共振素子は、サブバンドの選択された1つにおいて通過帯域を形成するために阻止帯域内に少なくとも1つの反射零点を選択的に導入するための少なくとも1つの可変非共振素子を備えている。RFフィルタは、動作温度を受信して、受信した動作温度に基づき可変非共振素子を調節し、それによって阻止帯域に沿って反射零点を選択的に移動させて、選択されたサブバンド内で通過帯域を移動させる、電気コントローラをさらに備えている。

概要

背景

電気フィルタは長らく電気信号の処理に用いられてきた。特に、こうした電気フィルタは、所望の信号周波数を通過させる一方で、その他の望ましくない電気信号周波数遮断する又は減衰させることによって、入力信号から所望の電気信号周波数を選択するために用いられる。フィルタは、低域通過フィルタ高域通過フィルタ帯域通過フィルタ及び帯域阻止フィルタを含むいくつかの一般的なカテゴリ分類され、これらのカテゴリは、フィルタを選択的に通過させられる周波数のタイプを示している。さらに、フィルタは、例えばバタワース型、チェビシェフ型、逆チェビシェフ型及び楕円型などのタイプによって分類され、これらのフィルタは、理想的な周波数応答に対してフィルタが提供する帯域形状(bandshape)の周波数応答(周波数カットオフ特性)のタイプを示している。

用いられるフィルタのタイプは多くの場合はその用途によって異なる。通信アプリケーションにおいて、帯域通過フィルタは、1以上の既定の帯域を除くすべての帯域においてRF信号を除去又は遮断するため、従来、セルラー基地局及び他の電気通信機器で用いられている。例えば、このようなフィルタは、受信機フロントエンド通常用いられて、基地局又は電気通信機器の受信機のコンポーネントに損傷を与えるノイズ及び他の不要な信号を除去する。厳密に規定された帯域通過フィルタを受信機のアンテナ入力に直接的に配置することは、所望の信号周波数に近い周波数の強い干渉信号によって生じる様々な悪影響を多くの場合排除する。受信機のアンテナ入力にフィルタを配置するので、雑音指数を低下させないように挿入損失を非常に低くしなければならない。ほとんどのフィルタ技術では、低挿入損失の実現には、フィルタの急峻度又は選択度において相応妥協を必要とする。

商用の電気通信アプリケーションでは、狭帯域フィルタを用いて最小の可能な通過帯域を取り除いて、固定周波数スペクトルを最大の可能な周波数帯域に分割することを可能にし、それによって、固定スペクトルに適合可能なユーザの実数を増加させることが多くの場合望ましい。無線通信の劇的な増加に伴って、こうしたフィルタリングは、ますます対立する周波数スペクトルにおいて、高度の選択度(小さい周波数差によって分けられる信号を区別する能力)及び感度(弱い信号を受信する能力)を提供すべきである。アナログ式移動体通信用の800〜900MHzの周波数範囲、及び、個人通信サービスPCS)用の1800〜2200MHzの周波数範囲が特に最も重要である。

事(例えばレーダーRADAR))通信及び電子諜報(ELINT)の両方、並びに、移動体通信を含む様々な通信アプリケーションなどの商業分野における、高品質係数Q(すなわち、エネルギーを蓄える能力の尺度、及び従って、電力消費又は損失反比例する)、低挿入損失、広範囲マイクロ波アプリケーション及びRFアプリケーションでの可変フィルタに対する要求が、本発明の特に関心の高い点である。多くのアプリケーションでは、受信機のフィルタは、所望の周波数を選択するため又は干渉信号周波数を捕捉するために可変的でなければならない。従って、受信機において、受信機のアンテナと第1非線形素子(通常、低ノイズ増幅器又はミキサー)との間に線形で可変の帯域通過フィルタを導入することが、RFマイクロ波システムの広範囲において挿入損失を低くするという実質的な利点を提供する。

例えば、商業的なアプリケーションでは、PCSによって用いられる1800〜2200MHzの周波数範囲は、いくつかのより狭い周波数帯域(A〜F帯域)、すなわち、任意の一定の領域で電気通信のオペレータ使用可能なサブセットのみに分割され得る。従って、基地局及び携帯型のユニットについては、これらの周波数帯域の任意の選択されたサブセットによって動作するように再構成されることが可能であることが有用である。別の例として、レーダーシステムにおいて、「友好的な」近隣発生源から又は妨害機からの高振幅の干渉信号が、受信機の感度を低下させ、又は、高振幅のクラッタ信号ベル相互変調して目標指示を与え得る。従って、高密度信号環境では、レーダー警告システムは、完全に使用できなくなることが多く、その場合、周波数ホッピングが有用であろう。

マイクロ波フィルタは、概して、2つの回路構造ブロック、すなわち、1つの周波数f0において非常に効果的にエネルギーを蓄える複数の共振器と、共振器同士の間の電磁気エネルギーを結合して多段又は多極を形成するカップリングと、を用いて構築される。例えば4極フィルタは4つの共振器を含み得る。所定のカップリングの強度はそのリアクタンス(すなわち、インダクタンス及び/又はキャパシタンス)によって決定される。カップリングの相対的な強度は、フィルタの形状を決定し、カップリングのトポロジは、フィルタが帯域通過機能又は帯域阻止機能を実行するかどうかを決定する。共振周波数f0は、それぞれの共振器のインダクタンス及びキャパシタンスによってその大部分が決定される。従来のフィルタの設計に関して、フィルタがアクティブである時の周波数は、フィルタを形成する共振器の共振周波数によって決定される。各共振器は、上記理由のためにフィルタの応答が急峻で及び高選択度であることを容易にするために非常に低い内部抵抗値を有していなければならない。この低い抵抗値に関する条件は、所定の技術のための共振器のサイズ及びコストを決める傾向にある。

通常、従来のフィルタのサイズ及びコストが、それを達成するために必要とされる共振器の数に比例して増加するので、固定周波数フィルタは、ある形状を実現するために必要とされる共振器の数を最小化するように設計される。半導体デバイスの場合のように、フォトリソグラフィ的に規定されたフィルタ構造(例えば高温超電導体HTS)、微小電気機械システムMEMS)、及び、圧電薄膜共振器(FBAR)フィルタにおけるような構造)は、従来のコムライン形フィルタ又は誘電体形フィルタよりも、この種のサイズ又はコストスケーリングの種類に対してはるかに低い感度を有する。

今日の可変フィルタの設計に用いられるアプローチは、固定周波数フィルタに関して上述したものと同一のアプローチに倣う。従って、これらのアプローチは、非常に効率的、効果的及び単純な回路、すなわち、所定のフィルタ応答を実現するために不可欠な最も単純な回路を導く。従来技術の同調手法では、フィルタのすべての共振周波数が、フィルタの周波数を同調させるように調節される。例えば、装置の動作周波数バンドを50MHzずつ増大させることが所望される場合、狭帯域フィルタのすべての共振周波数が50MHzずつ増大させられなければならない。この従来技術の手法は、周波数帯域の調節に概して成功している一方で、共振器内に抵抗を必然的に導入し、それによって、フィルタの挿入損失を不利な状態で増加させている。

HTSフィルタは、フィルタ内の各共振器の上方でHTSプレート機械的に動かしてその共振周波数を変化させることによって、共振器内に有意な抵抗を導入せずに同調され得るが、このような手法は、本質的に遅く(約数秒)、及び、相対的に大きな3次元同調構造を必要とする。挿入損失は、いわゆるスイッチフィルタ設計において低減され得るが、これらの設計はさらに、スイッチング時間の間に実質的な損失量を導入したままであり、かつ、追加の共振器を必要とする。例えば、フィルタシステムの挿入損失は、2つのフィルタ及びフィルタ同士の間で選択するために1対の単極双投(SP2T)スイッチを提供して、同調範囲の条件を効果的に減少させることによって低減されるが、共振器の数を2倍に増加させる又はスイッチから損失を導入する。フィルタシステムの損失はさらに、さらなるスイッチ及びフィルタの導入によって低減され得るが、各追加のフィルタは、元のフィルタと同じ数の共振器を必要とし、かつ、必要とされるスイッチからさらなる損失を導入する。

従って、挿入損失を減少させるとともに素早く同調されることが可能な帯域通過フィルタを提供する必要性は残されたままである。

概要

挿入損失を減少させるとともに素早く同調されることが可能な帯域通過フィルタを提供する。RFフィルタは、入力及び出力を有する信号伝送路と、入力及び出力の間で信号伝送路に沿って配置された複数の共振素子と、共振素子のそれぞれの周波数に対応した複数の伝送零点を有する阻止帯域と伝送零点同士の間の少なくとも1つのサブバンドとを有する阻止帯域を形成するようにともに共振素子を結合する複数の非共振素子と、を備えている。非共振素子は、サブバンドの選択された1つにおいて通過帯域を形成するために阻止帯域内に少なくとも1つの反射零点を選択的に導入するための少なくとも1つの可変非共振素子を備えている。RFフィルタは、動作温度を受信して、受信した動作温度に基づき可変非共振素子を調節し、それによって阻止帯域に沿って反射零点を選択的に移動させて、選択されたサブバンド内で通過帯域を移動させる、電気コントローラをさらに備えている。

目的

さらに、フィルタは、例えばバタワース型、チェビシェフ型、逆チェビシェフ型及び楕円型などのタイプによって分類され、これらのフィルタは、理想的な周波数応答に対してフィルタが提供する

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
0件

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請求項1

入力(14)及び出力(16)を有する信号伝送路(12)と、前記入力(14)及び前記出力(16)の間で前記信号伝送路(12)に沿って配置された複数の共振素子と、前記共振素子(18)をともに結合して、前記共振素子(18)の各々の周波数に対応する複数の伝送零点(30)及び前記伝送零点(30)同士の間の少なくとも1つのサブバンド(36)を有する阻止帯域(32)を形成するための複数の非共振素子(22)と、を備えており、前記非共振素子(22)が、阻止帯域(32)内に少なくとも1つの反射零点(34)を配置して前記少なくとも1つのサブバンド(36)のうちの1つに通過帯域(38)を形成するサセプタンス値を有する、無線周波数(RF)フィルタ(10)。

請求項2

前記少なくとも1つのサブバンド(36)が複数のサブバンド(36)を備える、請求項1に記載のRFフィルタ(10)。

請求項3

前記少なくとも1つの反射零点(34)が複数の反射零点(34)を備える、請求項1に記載のRFフィルタ(10)。

請求項4

各々の前記共振素子(18)が薄膜集中素子構造を備える、請求項1に記載のRFフィルタ(10)。

請求項5

前記薄膜集中素子構造が高温超電導体HTS)を備える、請求項4に記載のRFフィルタ(10)。

請求項6

前記阻止帯域(32)がマイクロ波周波数帯域にある、請求項1に記載のRFフィルタ(10)。

請求項7

前記マイクロ波周波数帯域が800乃至900MHzである、請求項6に記載のRFフィルタ(10)。

請求項8

前記マイクロ波周波数帯域が1800乃至2200MHzである、請求項6に記載のRFフィルタ(10)。

請求項9

前記各々の共振素子(18)が音響共振器を備える、請求項1に記載のRFフィルタ(10)。

請求項10

前記複数の共振素子(18)が基板(44)上に配置され、前記RFフィルタ(10)が、さらに、前記基板(44)上に配置され前記少なくとも1つの共振素子(18)にそれぞれ電気的に接続された少なくとも1つの同調素子(40、42、52)を備えており、前記少なくとも1つの同調素子(40、42、52)の各々の一部が、前記基板(44)から取り外されて前記各々の共振素子(18)の周波数を修正するよう構成されている、請求項1に記載のRFフィルタ(10)。

請求項11

前記少なくとも1つの同調素子(40、42、52)が、前記共振素子(18)の周波数を修正して周波数範囲に沿って前記阻止帯域(32)を前記通過帯域(38)に同時に置換するよう構成された複数の同調素子(40、42、52)を備える、請求項10に記載のRFフィルタ(10)。

請求項12

前記同調素子(40、42、52)の各々の一部が、レーザダイヤモンドスクライブ集束イオンビーム、又はフォトリソグラフィを介して前記基板(44)から取り外されるよう構成されている、請求項10に記載のRFフィルタ(10)。

請求項13

前記同調素子(40、42、52)の各々が、取り外すことにより前記各々の共振素子(18)の分路キャパシタンスを低減し得る1又はそれ以上のタブ(52)を備える、請求項10に記載のRFフィルタ(10)。

請求項14

前記1又はそれ以上のタブ(52)が、前記各々の共振素子(18)のエッジに結合されたタブ(52)のアレイを備える、請求項13に記載のRFフィルタ(10)。

請求項15

前記タブ(52)のアレイが、同調範囲及び最低同調分解能を規定するサイズを変える分路キャパシタンス素子の二元配列を与えるようにセットされるサイズ及び位置を有する、請求項14に記載のRFフィルタ(10)。

請求項16

前記同調素子(40、42、52)の各々が、前記各々の共振素子(18)の分路キャパシタンスを減少させるためにトリムされるよう構成された音叉(40、42)を備える、請求項10に記載のRFフィルタ(10)。

請求項17

前記同調素子(40、42、52)の各々の一部を除去することによって、前記各々の共振素子(18)の周波数を修正するステップを備える、請求項10に記載のRFフィルタ(10)の同調方法

請求項18

前記同調素子(40、42、52)の各々の一部が前記基板(44)から除去されることによって、前記各々の共振素子(18)の周波数を修正し、前記少なくとも1つの反射零点(34)に対する前記阻止帯域(32)に沿った前記各々の共振素子(18)の周波数に対応する前記伝送零点(30)を置換する、請求項17に記載の方法。

請求項19

前記同調素子(40、42、52)の各々の一部が、レーザ、ダイヤモンドスクライブ、集束イオンビーム、又はフォトリソグラフィを介して前記基板(44)から取り外される、請求項17に記載の方法。

請求項20

前記同調素子(40、42、52)の各々が、前記各々の共振素子(18)の分路キャパシタンスを低減するために取り外される1又はそれ以上のタブ(52)を備える、請求項17に記載の方法。

請求項21

前記1又はそれ以上のタブ(52)が、前記各々の共振素子のエッジに結合されたタブ(52)のアレイを備える、請求項20に記載の方法。

請求項22

前記タブ(52)のアレイが、同調範囲及び最低の同調分解能を規定するサイズを変える分路キャパシタンス素子の二元配列を与えるようにセットされるサイズ及び位置を有する、請求項21に記載の方法。

請求項23

前記同調素子(40、42、52)の各々が、前記各々の共振素子(18)の分路キャパシタンスを減少させるためにトリムされる音叉(40、42)を備える、請求項17に記載の方法。

請求項24

1組の測定データを生成するためにフィルタ(10)の応答を測定するステップと、前記1組の測定データを解析して最適化すべき1又はそれ以上のフィルタ設計パラメータを抽出するステップと、前記1又はそれ以上のフィルタ設計パラメータを最適化して、所望のフィルタ応答を実現するステップと、最適化された前記1又はそれ以上のフィルタ設計パラメータに基づいて同調レシピを生成するステップと、前記非共振素子(22)のうちの1つを変えることによって前記フィルタを同調し、前記阻止帯域(32)に沿って各々の前記反射零点(34)を選択的に移動させ、前記サブバンド(36)のうちの選択された1つの中で前記通過帯域(38)を移動させるステップと、を備える、請求項1に記載のRFフィルタ(10)の同調方法。

請求項25

前記フィルタ(10)の応答が、前記RFフィルタ(10)の予期される動作温度で測定される、請求項24に記載の方法。

請求項26

前記1又はそれ以上のフィルタ設計パラメータが、共振器周波数及び共振器対共振器カップリング値の一方又は双方を備える、請求項24に記載の方法。

技術分野

0001

本願は、2007年6月27日出願の米国仮特許出願第60/937,462号の優先権を主張するとともに2006年11月17日出願の米国特許出願第11/561,333号の一部継続出願(既に米国特許第7,719,382号として特許発行)である、2008年6月27日出願の米国特許出願第12/163,814号の継続出願(既に米国特許第7,639,101号として特許発行)である、2009年11月17日出願の米国特許出願第12/620,455号の継続出願(既に米国特許第7,863,999号として特許発行)である、2010年12月2日出願の米国特許出願第12/959,237号の継続出願(既に米国特許第8,063,714号として特許発行)である、2011年10月26日出願の米国特許出願第13/282,289号の一部継続出願であり、これらの出願は参照によってその全体が本願に組み込まれる。

0002

本発明は、概して、マイクロ波回路に関し、特に、マイクロ波帯域通過フィルタに関する。

背景技術

0003

電気フィルタは長らく電気信号の処理に用いられてきた。特に、こうした電気フィルタは、所望の信号周波数を通過させる一方で、その他の望ましくない電気信号周波数遮断する又は減衰させることによって、入力信号から所望の電気信号周波数を選択するために用いられる。フィルタは、低域通過フィルタ高域通過フィルタ帯域通過フィルタ及び帯域阻止フィルタを含むいくつかの一般的なカテゴリ分類され、これらのカテゴリは、フィルタを選択的に通過させられる周波数のタイプを示している。さらに、フィルタは、例えばバタワース型、チェビシェフ型、逆チェビシェフ型及び楕円型などのタイプによって分類され、これらのフィルタは、理想的な周波数応答に対してフィルタが提供する帯域形状(bandshape)の周波数応答(周波数カットオフ特性)のタイプを示している。

0004

用いられるフィルタのタイプは多くの場合はその用途によって異なる。通信アプリケーションにおいて、帯域通過フィルタは、1以上の既定の帯域を除くすべての帯域においてRF信号を除去又は遮断するため、従来、セルラー基地局及び他の電気通信機器で用いられている。例えば、このようなフィルタは、受信機フロントエンド通常用いられて、基地局又は電気通信機器の受信機のコンポーネントに損傷を与えるノイズ及び他の不要な信号を除去する。厳密に規定された帯域通過フィルタを受信機のアンテナ入力に直接的に配置することは、所望の信号周波数に近い周波数の強い干渉信号によって生じる様々な悪影響を多くの場合排除する。受信機のアンテナ入力にフィルタを配置するので、雑音指数を低下させないように挿入損失を非常に低くしなければならない。ほとんどのフィルタ技術では、低挿入損失の実現には、フィルタの急峻度又は選択度において相応妥協を必要とする。

0005

商用の電気通信アプリケーションでは、狭帯域フィルタを用いて最小の可能な通過帯域を取り除いて、固定周波数スペクトルを最大の可能な周波数帯域に分割することを可能にし、それによって、固定スペクトルに適合可能なユーザの実数を増加させることが多くの場合望ましい。無線通信の劇的な増加に伴って、こうしたフィルタリングは、ますます対立する周波数スペクトルにおいて、高度の選択度(小さい周波数差によって分けられる信号を区別する能力)及び感度(弱い信号を受信する能力)を提供すべきである。アナログ式移動体通信用の800〜900MHzの周波数範囲、及び、個人通信サービスPCS)用の1800〜2200MHzの周波数範囲が特に最も重要である。

0006

事(例えばレーダーRADAR))通信及び電子諜報(ELINT)の両方、並びに、移動体通信を含む様々な通信アプリケーションなどの商業分野における、高品質係数Q(すなわち、エネルギーを蓄える能力の尺度、及び従って、電力消費又は損失反比例する)、低挿入損失、広範囲マイクロ波アプリケーション及びRFアプリケーションでの可変フィルタに対する要求が、本発明の特に関心の高い点である。多くのアプリケーションでは、受信機のフィルタは、所望の周波数を選択するため又は干渉信号周波数を捕捉するために可変的でなければならない。従って、受信機において、受信機のアンテナと第1非線形素子(通常、低ノイズ増幅器又はミキサー)との間に線形で可変の帯域通過フィルタを導入することが、RFマイクロ波システムの広範囲において挿入損失を低くするという実質的な利点を提供する。

0007

例えば、商業的なアプリケーションでは、PCSによって用いられる1800〜2200MHzの周波数範囲は、いくつかのより狭い周波数帯域(A〜F帯域)、すなわち、任意の一定の領域で電気通信のオペレータ使用可能なサブセットのみに分割され得る。従って、基地局及び携帯型のユニットについては、これらの周波数帯域の任意の選択されたサブセットによって動作するように再構成されることが可能であることが有用である。別の例として、レーダーシステムにおいて、「友好的な」近隣発生源から又は妨害機からの高振幅の干渉信号が、受信機の感度を低下させ、又は、高振幅のクラッタ信号ベル相互変調して目標指示を与え得る。従って、高密度信号環境では、レーダー警告システムは、完全に使用できなくなることが多く、その場合、周波数ホッピングが有用であろう。

0008

マイクロ波フィルタは、概して、2つの回路構造ブロック、すなわち、1つの周波数f0において非常に効果的にエネルギーを蓄える複数の共振器と、共振器同士の間の電磁気エネルギーを結合して多段又は多極を形成するカップリングと、を用いて構築される。例えば4極フィルタは4つの共振器を含み得る。所定のカップリングの強度はそのリアクタンス(すなわち、インダクタンス及び/又はキャパシタンス)によって決定される。カップリングの相対的な強度は、フィルタの形状を決定し、カップリングのトポロジは、フィルタが帯域通過機能又は帯域阻止機能を実行するかどうかを決定する。共振周波数f0は、それぞれの共振器のインダクタンス及びキャパシタンスによってその大部分が決定される。従来のフィルタの設計に関して、フィルタがアクティブである時の周波数は、フィルタを形成する共振器の共振周波数によって決定される。各共振器は、上記理由のためにフィルタの応答が急峻で及び高選択度であることを容易にするために非常に低い内部抵抗値を有していなければならない。この低い抵抗値に関する条件は、所定の技術のための共振器のサイズ及びコストを決める傾向にある。

0009

通常、従来のフィルタのサイズ及びコストが、それを達成するために必要とされる共振器の数に比例して増加するので、固定周波数フィルタは、ある形状を実現するために必要とされる共振器の数を最小化するように設計される。半導体デバイスの場合のように、フォトリソグラフィ的に規定されたフィルタ構造(例えば高温超電導体HTS)、微小電気機械システムMEMS)、及び、圧電薄膜共振器(FBAR)フィルタにおけるような構造)は、従来のコムライン形フィルタ又は誘電体形フィルタよりも、この種のサイズ又はコストスケーリングの種類に対してはるかに低い感度を有する。

0010

今日の可変フィルタの設計に用いられるアプローチは、固定周波数フィルタに関して上述したものと同一のアプローチに倣う。従って、これらのアプローチは、非常に効率的、効果的及び単純な回路、すなわち、所定のフィルタ応答を実現するために不可欠な最も単純な回路を導く。従来技術の同調手法では、フィルタのすべての共振周波数が、フィルタの周波数を同調させるように調節される。例えば、装置の動作周波数バンドを50MHzずつ増大させることが所望される場合、狭帯域フィルタのすべての共振周波数が50MHzずつ増大させられなければならない。この従来技術の手法は、周波数帯域の調節に概して成功している一方で、共振器内に抵抗を必然的に導入し、それによって、フィルタの挿入損失を不利な状態で増加させている。

0011

HTSフィルタは、フィルタ内の各共振器の上方でHTSプレート機械的に動かしてその共振周波数を変化させることによって、共振器内に有意な抵抗を導入せずに同調され得るが、このような手法は、本質的に遅く(約数秒)、及び、相対的に大きな3次元同調構造を必要とする。挿入損失は、いわゆるスイッチフィルタ設計において低減され得るが、これらの設計はさらに、スイッチング時間の間に実質的な損失量を導入したままであり、かつ、追加の共振器を必要とする。例えば、フィルタシステムの挿入損失は、2つのフィルタ及びフィルタ同士の間で選択するために1対の単極双投(SP2T)スイッチを提供して、同調範囲の条件を効果的に減少させることによって低減されるが、共振器の数を2倍に増加させる又はスイッチから損失を導入する。フィルタシステムの損失はさらに、さらなるスイッチ及びフィルタの導入によって低減され得るが、各追加のフィルタは、元のフィルタと同じ数の共振器を必要とし、かつ、必要とされるスイッチからさらなる損失を導入する。

0012

従って、挿入損失を減少させるとともに素早く同調されることが可能な帯域通過フィルタを提供する必要性は残されたままである。

0013

本発明の第1態様によれば、無線周波数(RF)フィルタが提供される。RFフィルタは、入力及び出力を有する信号伝送路と、入力及び出力の間の信号伝送路に沿って配置される複数の共振素子と、共振素子をともに結合する複数の非共振素子と、を備えている。共振素子は、ともに結合されて、共振素子のそれぞれの周波数に対応する複数の伝送零点と、伝送零点同士の間の少なくとも1つのサブバンドと、を有する阻止帯域を形成する。非共振素子は、阻止帯域内に少なくとも1つの反射零点を配置して少なくとも1つのサブバンドのうちの1つに通過帯域を形成するサセプタンス値を有している。

0014

非共振素子は、阻止帯域内に少なくとも1つの反射零点を選択的に導入してサブバンドのうちの1つに通過帯域を形成する少なくとも1つの可変非共振素子を備えている。一実施形態では、複数のサブバンドが提供され、その場合、可変非共振素子は、阻止帯域に沿って反射零点を変位させてサブバンドのうちの選択された1つ内に通過帯域を形成するためのものであってもよい。通過帯域は、選択されたサブバンド内に実質的に異なる帯域幅を有してもよい。別の実施形態では、可変非共振素子は、阻止帯域内で少なくとも別の反射零点を変位させてサブバンドのうちの別の1つ内に別の通過帯域を形成するためのものであってもよい。

0015

可変非共振素子は、例えば調節可能サセプタンスを有してもよく、かつ、可変コンデンサ低損失スイッチバラクタ、及びスイッチコンデンサのうちの1以上を有してもよい。一実施形態では、共振素子の各々は、薄膜集中素子構造(例えば高温超電導体(HTS)など)を備えているものの、共振素子は、所望の周波数で共振する任意の構造の形態をとることができる。

0016

RFフィルタは、動作温度を受信し、受信した動作温度に基づき可変非共振素子を調節し、それによって、阻止帯域に沿って反射零点を選択的に移動させて選択されたサブバンド内で通過帯域を移動させるように構成された電気コントローラをさらに備えている。一実施形態では、電気コントローラは、可変非共振素子を調節して、阻止帯域内に反射零点を選択的に導入して1つのサブバンド内に通過帯域を形成するように構成されている。例えば、非共振素子の各々は、互いに並列に結合されて、容量性回路と、コンデンサのうちの少なくとも1つに結合される少なくとも1つのスイッチと、を形成する複数のコンデンサを有してもよい。電気コントローラは、そして、容量性回路から少なくとも1つのコンデンサを選択的に包含又は除外して、容量性回路のキャパシタンスを変化させるようにスイッチを動作させ、それによって阻止帯域内で反射零点を移動させて選択されたサブバンド内に通過帯域を移動させることによって、それぞれの非共振素子のリアクタンスを変動させるように構成されてもよい。

0017

電気コントローラは、可変非共振素子を調節して、それによって阻止帯域に沿って反射零点を選択的に移動させて周波数範囲内の名目上の設計されたとおりの位置に通過帯域を復帰させるように構成されてもよい。この場合、電気コントローラは、受け取った動作温度に基づいて、少なくとも1つの共振素子を調節するように構成されてよく、それによって、阻止帯域に沿った共振素子の各周波数に対応する伝送零点を選択的に移動させ、周波数範囲内の名目上の設計されたとおりの位置に通過帯域を復帰させる。

0018

一実施形態では、RFフィルタは、動作温度を測定するように構成された温度センサをさらに備えており、その場合、電気コントローラは、温度センサから測定された動作温度を受信するように構成される。RFフィルタは、複数の基準動作温度と、異なる動作温度にそれぞれ対応する複数の一連調節設定と、を包含するルックアップテーブルを記憶するメモリをさらに備えてもよい。この場合、電気コントローラは、測定された動作温度を、ルックアップテーブルの複数の基準動作温度と比較し、測定された動作温度に最も近い基準動作温度に対応する一連の調節設定を選択し、かつ、一連の調節設定に従って可変非共振素子を調節するように構成される。

0019

本発明の他の及びさらなる態様及び特徴は、本発明の例示を意図して本発明の限定を意図していない好適な実施形態の以下の詳細な説明の解釈によって明らかになるであろう。

図面の簡単な説明

0020

図面は、本発明の好適な実施形態の設計及び効用を図示しており、同様の構成要素が共通の参照符号で参照される。本発明の上述した及び他の利点及び対象がどのようにして得られるかをより良く理解するため、添付の図面に例示される本発明の特定の実施形態を参照することによって、上記で簡潔に説明した本発明のさらなる特定の説明がなされる。これらの図面では、本発明の典型的な実施形態のみが図示されており、及び従って、その範囲を限定するものとは考慮されず、本発明は、添付の図面の使用を通して追加の特異性及び詳細によって説明されて明らかにされる。

0021

図1は、本発明の一実施形態に従って構築された可変無線周波数(RF)フィルタのブロック図である。
図2は、8つの共振素子を用いた例示の広阻止帯域のモデル化された周波数応答のグラフである。
図3は、通過帯域が阻止帯域のサブバンド内に導入された図2の周波数応答のグラフである。
図4(a)は、阻止帯域の選択されたサブバンド内に通過帯域が導入された図2の周波数応答のグラフである。
図4(b)は、阻止帯域の選択されたサブバンド内に通過帯域が導入された図2の周波数応答のグラフである。
図4(c)は、阻止帯域の選択されたサブバンド内に通過帯域が導入された図2の周波数応答のグラフである。
図4(d)は、阻止帯域の選択されたサブバンド内に通過帯域が導入された図2の周波数応答のグラフである。
図4(e)は、阻止帯域の選択されたサブバンド内に通過帯域が導入された図2の周波数応答のグラフである。
図4(f)は、阻止帯域の選択されたサブバンド内に通過帯域が導入された図2の周波数応答のグラフである。
図4(g)は、阻止帯域の選択されたサブバンド内に通過帯域が導入された図2の周波数応答のグラフである。
図5(a)は、阻止帯域の周波数がシフトされ、シフトされた阻止帯域のサブバンドの様々な位置に通過帯域が導入された図2の周波数応答のグラフである。
図5(b)は、阻止帯域の周波数がシフトされ、シフトされた阻止帯域のサブバンドの様々な位置に通過帯域が導入された図2の周波数応答のグラフである。
図5(c)は、阻止帯域の周波数がシフトされ、シフトされた阻止帯域のサブバンドの様々な位置に通過帯域が導入された図2の周波数応答のグラフである。
図5(d)は、阻止帯域の周波数がシフトされ、シフトされた阻止帯域のサブバンドの様々な位置に通過帯域が導入された図2の周波数応答のグラフである。
図6は、図4(a)〜図4(g)の阻止帯域の選択されたサブバンド内に導入された通過帯域の範囲を拡張するために図2の周波数応答の伝送零点の同時のシフトを示すグラフである。
図7(a)は、阻止帯域の選択された通過帯域内に通過帯域が導入されて個人通信サービス(PCS)の周波数範囲をカバーする9つの共振素子を用いた例示の広阻止帯域のモデル化された周波数応答のグラフである。
図7(b)は、阻止帯域の選択された通過帯域内に通過帯域が導入されて個人通信サービス(PCS)の周波数範囲をカバーする9つの共振素子を用いた例示の広阻止帯域のモデル化された周波数応答のグラフである。
図7(c)は、阻止帯域の選択された通過帯域内に通過帯域が導入されて個人通信サービス(PCS)の周波数範囲をカバーする9つの共振素子を用いた例示の広阻止帯域のモデル化された周波数応答のグラフである。
図7(d)は、阻止帯域の選択された通過帯域内に通過帯域が導入されて個人通信サービス(PCS)の周波数範囲をカバーする9つの共振素子を用いた例示の広阻止帯域のモデル化された周波数応答のグラフである。
図7(e)は、阻止帯域の選択された通過帯域内に通過帯域が導入されて個人通信サービス(PCS)の周波数範囲をカバーする9つの共振素子を用いた例示の広阻止帯域のモデル化された周波数応答のグラフである。
図7(f)は、阻止帯域の選択された通過帯域内に通過帯域が導入されて個人通信サービス(PCS)の周波数範囲をカバーする9つの共振素子を用いた例示の広阻止帯域のモデル化された周波数応答のグラフである。
図8は、阻止帯域の選択されたサブバンド内への通過帯域の導入に適応するために図7(a)〜図7(f)の周波数応答の伝送零点の個別のシフトを示すグラフである。
図9(a)は、阻止帯域の選択されたサブバンド内に複数の通過帯域が導入された、図2のモデル化された周波数応答のグラフである。
図9(b)は、阻止帯域の選択されたサブバンド内に複数の通過帯域が導入された、図2のモデル化された周波数応答のグラフである。
図9(c)は、阻止帯域の選択されたサブバンド内に複数の通過帯域が導入された、図2のモデル化された周波数応答のグラフである。
図9(d)は、阻止帯域の選択されたサブバンド内に複数の通過帯域が導入された、図2のモデル化された周波数応答のグラフである。
図9(e)は、阻止帯域の選択されたサブバンド内に複数の通過帯域が導入された、図2のモデル化された周波数応答のグラフである。
図9(f)は、阻止帯域の選択されたサブバンド内に複数の通過帯域が導入された、図2のモデル化された周波数応答のグラフである。
図10は、本発明の別の実施形態に係る可変RFフィルタのブロック図である。
図11は、シフトされた阻止帯域のサブバンドの様々な位置に通過帯域が導入された図10のモデル化される周波数応答のグラフである。
図12は、図11の通過帯域の周波数シフトに対する図10の可変RFフィルタで用いられる非共振素子のカップリング値の変動を示すグラフである。
図13(a)は、図1の可変RFフィルタの回路表現を示す図である。
図13(b)は、図1の可変RFフィルタの回路表現を示す図である。
図13(c)は、図1の可変RFフィルタの回路表現を示す図である。
図13(d)は、図1の可変RFフィルタの回路表現を示す図である。
図14は、3つのフィルタ状態についての図14のRFフィルタのモデル化に用いられるコンポーネント値を示す表である。
図15aは、図1の可変RFフィルタの回路実装であり、特に、様々なフィルタ状態及び対応の周波数応答を示す図である。
図15bは、図1の可変RFフィルタの回路実装であり、特に、様々なフィルタ状態及び対応の周波数応答を示す図である。
図15cは、図1の可変RFフィルタの回路実装であり、特に、様々なフィルタ状態及び対応の周波数応答を示す図である。
図16aは、3つの状態における図14のRFフィルタの周波数応答のグラフである。
図16bは、3つの状態における図14のRFフィルタの周波数応答のグラフである。
図16cは、3つの状態における図14のRFフィルタの周波数応答のグラフである。
図17は、フィルタの挿入損失に対する図14のRFフィルタの同調を示すグラフである。
図18は、同一の周波数範囲を超えて同調された場合の、従来フィルタの挿入損失に対して図14のRFフィルタの挿入損失を比較したグラフである。
図19は、同一の周波数範囲を超えて同調された場合の、スイッチされたフィルタの挿入損失に対して図1のフィルタの挿入損失を比較したグラフである。
図20は、本発明に従って構築された2つの共振器、4つの共振器及び6つの共振器可変フィルタ間の周波数応答と、標準的な帯域通過フィルタの周波数応答とを比較したグラフである。
図21は、図1の可変RFフィルタの別の回路表現を示す図である。
図22は、図21の回路表現の結合マトリクスを示す図である。
図23(a)は、図21のRFフィルタの周波数応答と対応の結合マトリクスとのグラフである。
図23(b)は、図21のRFフィルタの周波数応答と対応の結合マトリクスとのグラフである。
図23(c)は、図21のRFフィルタの周波数応答と対応の結合マトリクスとのグラフである。
図24は、図21のRFフィルタを同調させるために用いられ得る図23a図23cの結合マトリクスにおけるカップリング値を示すグラフである。
図25は、図21のRFフィルタを同調させるために用いられ得る別の一連のカップリング値を示すグラフである。
図26は、図21のRFフィルタを同調させるために用いられ得るさらに別の一連のカップリング値を示すグラフである。
図27は、図1の可変RFフィルタの1つの共振器の平面図レイアウトであり、特に共振子を用いるための音叉を示す図である。
図28は、図1の可変RFフィルタの1つの共振器の平面図レイアウトであり、特に共振子を用いるためのトリムタブを示す図である。
図29は、本発明の一実施形態に従って構成された別の可変RFフィルタのブロック図である。

実施例

0022

図1を参照して、本発明に従って構築された可変無線周波数(RF)フィルタ10を説明する。例示の実施形態では、RFフィルタ10は、例えば800〜900MHz又は1800〜2220MHzの所望の周波数範囲内で可変の通過帯域を有する帯域通過フィルタである。通常の想定では、RFフィルタ10は、受信機(図示せず)のフロントエンド内で、所望の周波数範囲の外側でエネルギーを拒否する広通過帯域フィルタ後ろに配置される。RFフィルタ10は、入力14及び出力16を有する信号伝送路12と、信号伝送路12に沿って配置された複数のノード17と、ノード17からそれぞれ延びる複数の共振ブランチ19と、ノード17からそれぞれ延びる複数の非共振ブランチ21と、を概して備えている。RFフィルタ10は、入力14及び出力16の間で、特に、共振ブランチ21と接地との間に結合される複数(本例では4つ)の共振素子18と、共振素子18の周波数を調節する複数の同調素子20と、共振素子18をともに結合する複数の非共振素子22であって、そのうちの4つが非共振ブランチ21と接地との間に結合される複数の非共振素子22と、をさらに備えている。RFフィルタ10は、周波数範囲内で選択された狭帯域にRFフィルタ10を同調するように構成された電気コントローラ24をさらに備えている。

0023

信号伝送路12は、非共振素子22が直接的又は間接的に結合される物理的な伝送回線を備えてもよいが、代替の実施形態では、物理的な伝送回線は用いられない。例示の実施形態では、共振素子18は、例えばインダクタ及びコンデンサなどの集中素子電気部品を含んでおり、特に、例えば平面スパイラル構造ジグザグ蛇行構造単一コイル構造及び二重コイル構造などの薄膜集中構造を含んでいる。こうした構造は、低損失基板上にコンデンサ及びインダクタを形成するためにパターニングされた薄膜エピタキシャル高温超電導体(HTS)を含んでもよい。高温超伝導体集中素子フィルタを説明するさらなる詳細は、参照によって本願に明示的に組み込まれる米国特許第5,616,539号明細書で説明されている。

0024

例示の実施形態では、共振素子18はサセプタンスBRで表され、共振素子18に並列に結合される非共振素子22はサセプタンスBNで表され、共振素子18同士の間に結合されるアドミッタンスインバータはJで表される。非共振素子22のうちの選択された非共振素子22は変更され得る一方で、非共振素子22の任意の残りの非共振素子22は固定されたままである。

0025

以下にさらに詳細に説明するように、共振素子18の周波数が、必要な場合に、周波数範囲の相対的な一部内で通過帯域に適合する及び/又は通過帯域を移動させるためにわずかしか調節されない場合に、非共振素子22は、実質的に全周波数範囲上で通過帯域を同調させるために変更されてもよい。このようにして、フィルタ10の挿入損失は、共振素子18に代えてフィルタ10を同調させるための最初の手段として用いられる非共振素子22であるので、著しく低減される。すなわち、非共振素子22の調節は、著しく低い感度の共振素子18の調節よりも、フィルタ10の損失にあまり貢献しないので、フィルタ10の損失は、フィルタ10を同調させるための主要な手段として共振素子を利用する従来技術のフィルタより低い。さらに、共振素子18の周波数はほとんど調節されないので、たとえそうであるとしても、フィルタ10の同調速度は増大する。

0026

RFフィルタ10は、狭通過帯域に広阻止帯域の選択された領域を導入することによって前述のことを実現する。すなわち、RFフィルタ10は通過帯域フィルタとして最終的に用いられるが、通過帯域を形成しないもののむしろ共振素子18のそれぞれの周波数に対応する伝送零点(本例の場合、4つ)を有する広阻止帯域応答を形成するために、共振素子18が実際にはともに非共振素子22によって結合される。電気コントローラ24はその後、非共振素子22を調節して、阻止帯域に沿って反射零点を導入して変位させ、所望の周波数範囲内で狭通過帯域を移動させる。電気コントローラ24は、同調素子20を介して共振素子18の周波数も調整して、周波数範囲に沿って伝送零点を移動させてフィルタ応答を最適化してもよい。例示の実施形態では、電気コントローラ24は、周波数範囲内で通過帯域の所望の位置を有効にするために必要な非共振素子22の値を記憶するメモリ(図示せず)を含んでいる。

0027

この手法は、以下の方程式に従ってモデル化された様々な例示のフィルタ応答を参照してここで説明される。

S11はフィルタの入力反射係数であり、S21は前方伝送係数であり、sは正規化周波数であり、F及びPは、生成された複素周波数sのN次多項式(Nは共振素子の数である)であり、及び、εは、等リップル反射減衰量を規定する定数である。係数S11及びS21の各々は、分子がN位を有するので、零点の数Nまで有することができる。係数S11及びS21がすべてのN零点を有する場合、フィルタ応答は完全な楕円とみなされる。フィルタのモデル化のさらに詳細な検討は、Jia−Shen G.Hong及びM.J.Lancasterの”Microstrip Filters for RF/Microwave Application,” Wiley−Interscience 2001で説明されている。正規化周波数s=iwは、方程式







に従って実周波数マッピングされ、この場合、fは実周波数であり、fcは中心周波数であり、及び、BWはフィルタの帯域幅である。正規化周波数の実周波数への変換のさらに詳細な検討は、G.Matthaei,L.Young及びE.M.T.Jonesの”Microwave Filters,Impedance−Matching Networks,and Coupling Structures,”McGraw−Hill(1964)で説明されている。

0028

図2は、例示の広帯域阻止フィルタ応答を図示しており、このフィルタ応答は、8つの共振素子を用いてモデル化され、それによって、それぞれの共振素子周波数(図2の右側の図で最もよく示されている)で8つの対応の伝送零点30(6つのみ図示している)を形成し、阻止帯域32と、この阻止帯域32(図2の左側の図に最もよく示されている)の範囲外にある8つの反射零点34(6つのみ図示する)と、を形成する。この特定の例では、伝送零点30は、正規化周波数範囲では、−1.05、−0.75、−0.45、−0.15、0.15、0.45、0.75及び1.05に位置決めされ、それによって、−1.05〜1.05の正規化周波数範囲を有する阻止帯域を形成する。図2の右側の図に示されるように、フィルタ応答は、−0.90、−0.60、−0.30、0.0、0.30、0.60及び0.90にそれぞれ配置される伝送零点30同士の間に7つの「バウンスバック(bounce−backs)」を含んでいる。従って、概して、阻止帯域フィルタは、N数の伝送零点(N数の共振素子に対応する)、N数までの反射零点、及び、N−1数のバウンスバック領域36を含んでいる。

0029

重要なことは、反射零点34の少なくとも1つを阻止帯域32内で変位させることによって(すなわち、非共振素子の値を調節することによって)、図2に示される領域36のバウンスバックのいずれか1つ(以下、「サブバンド」)から通過帯域が形成され得る。例えば、図3は、例示のフィルタ応答を示しており、このフィルタ応答では、反射零点34の4つが図2の阻止帯域内に導入されて、中心サブバンド36(4)内に(すなわち0で)通過帯域38を形成する。反射零点34は、(非共振素子の値を調節することによって)阻止帯域32に沿って変位されることが可能であり、それによって、サブバンド36の選択された1つ内で通過帯域38を形成する。すなわち、反射零点34は、阻止帯域32に沿って変位させられてサブバンド36同士の間で通過帯域38を「ホップ(hop)させる」ことができる。

0030

例えば、図4(a)〜図4(g)は、4つの反射零点34が阻止帯域32内で変位させられて7つすべてのサブバンド36の中心に通過帯域38を選択的に形成する場合の、例示のフィルタ応答を示している。すなわち、図4(a)〜図4(g)を順に追っていくと、通過帯域38は、第1サブバンド36(1)(図4(a))から、第2サブバンド36(2)(図4(b))へ、第3サブバンド36(3)(図4(c))へ、第4サブバンド36(4)(図4(d))へ、第5サブバンド36(5)(図4(e))へ、第6サブバンド36(6)(図4(f))へ、そして最後に、第7サブバンド36(7)(図4(g))へとホップする。従って、例示の実施形態では、通過帯域38の中心は、−0.90、−0.60、−0.30、0.0、0.30、0.60及び0.90の間でホップすることができる。図4(a)〜図4(g)のシーケンスが、隣接するサブバンド36同士の間で通過帯域38がホップさせられることを意味する一方、通過帯域38は、例えば第2サブバンド36(2)から第5サブバンド36(5)へと、隣接してないサブバンド36同士の間でホップさせられてもよいことに留意すべきである。

0031

通過帯域38が、サブバンド36同士の間でホップさせられて所望の周波数範囲を離散的にカバーする一方で、伝送零点30は、その名目上の位置から同時に一斉に移動させられて(すなわち、共振素子の周波数の調節によって)、阻止帯域32の全体、及び従って、正規化周波数範囲内で通過帯域38を変位させる。従って、通過帯域38は、サブバンド36の中心(すなわち、−0.90、−0.60、−0.30、0.0、0.30、0.60、0.90)から移動させられて、所望の周波数範囲の連続体をカバーする。従って、伝送零点30のすべてが、その名目上の位置から+/−0.15ずつ変位させられ得る場合(すなわち、+/−0.15の周波数範囲でともに同調された共振素子)、図4(a)〜図4(d)に示す各通過帯域38は、−1.05〜1.05の正規化周波数範囲の15%をカバーする。

0032

例として、通過帯域38の中心を−0.20にすることが所望される場合、通過帯域38は、第3サブバンド36(3)(図4(c)で−0.30を中心とする)内に配置され、かつ、伝送零点30は、それらの名目上の位置から0.10変位させられて通過帯域38を−0.30から−0.20に移動させる。通過帯域38の中心を0.85にすることが所望される場合、通過帯域38は、第7サブバンド36(7)(図4(g)で0.90を中心とする)に配置され、かつ、伝送零点30は、その名目上の位置から−0.05変位させられて通過帯域38を0.90から0.85に移動させる。

0033

通過帯域38が、サブバンド36内で中心に位置するように図4(a)〜図4(g)で示される一方、反射零点34は、(すなわち、非共振素子の値の調節によって)阻止帯域32内で変位させられて、選択されたサブバンド36内で通過帯域38を選択的に移動させることができる。この場合、通過帯域38は、サブバンド36同士の間でホップさせられることが可能であるだけでなく、各サブバンド36内で移動させられ、それによって、通過帯域38が所望の周波数範囲の連続体をカバーするように調節されるために必要な伝送零点30の量を減少させる。例えば、図5(a)〜図5(d)は、サブバンド36(4)に関する例示のフィルタ応答を示しており、伝送零点30のすべてが、それらの名目上の位置から0.05変位させられ(すなわち、共振素子18の周波数を0.05ずつ徐々に増加させることによって)、及び、反射零点34が、それらの名目上の位置から0.05ずつ(すなわち、非共振素子22の調節によって)徐々に変位させられる。

0034

特に、図5(a)〜図5(d)を順に追っていくと、伝送零点30は、それらの名目上の位置から0.05変位させられ、それによって、通過帯域38を0(図5(a))から0.05(図5(b))に移動させる。その後、伝送零点30を所定の位置に固定した後、反射零点34は、それらの名目上の位置から0.05ずつ徐々に変位させられ、通過帯域38を、サブバンド36(4)の中心(図5(b)の0.05)から、サブバンド36(4)の中心の右側に0.05の位置へ移動させ(図5(c)の0.10)、その後、サブバンド36(4)の中心の右側に0.10の位置へと移動させる(図5(d)の0.15)。

0035

この様式は、帯域通過フィルタの除去傾斜の対称性破壊し得る一方、この場合、伝送零点30の必要とされる変位、及び従って、共振素子の同調範囲を15%から5%に低減して、反射零点34がサブバンド36内で変位させられない場合と同一の同調範囲を得る。結果として、フィルタの損失はさらに低減される。

0036

特に、伝送零点30が、理論的にサブバンド36の全体内で変位させられる得る一方、この場合、各通過帯域38は、共振素子を同調することなく、阻止帯域32全体の約15%をカバーすることができ、実際には、フィルタ損失は、反射零点34が伝送零点30に限りなく近づくにつれて著しく増大する。そのようにして、伝送零点30が反射零点34とともに変位させられて、通過帯域38が、著しい損失なしに周波数範囲の全体内で移動することを可能にすることが好ましい。

0037

例えば、図6を参照すると、伝送零点30は、それらの名目上の位置(水平の点線で示される)に対して+/−0.05の範囲内で変位させられて、通過帯域38が、−1.05〜1.05の名目上の周波数範囲(斜めの点線で示される)内のいずれかに配置されることを可能にする。通過帯域38の周波数が−1.05から1.05に移動すると、反射零点34は1つのサブバンド36から次のサブバンド36へとホップし、反射零点34は+/−0.10の範囲内でサブバンド36に沿って変位させられ、及び、伝送零点30は、ホップ同士の間の0.30の全範囲について+/−0.05の範囲内で変位させられる。

0038

特に、同調範囲の始めで、伝送零点30は最初に、それらの名目上の位置(すなわち、−1.05、−0.75、−0.45、−0.15、0.15、0.45、0.75、1.05)に対して−0.05に配置され、その位置は第1サブバンド36(1)の中心を−0.95に配置し、その場合、反射零点34は、最初に、第1サブバンド36(1)のそれらの名目上の位置に対して−0.10に配置されて通過帯域38を−1.05に配置する。伝送零点30が固定されている間、反射零点34は、第1サブバンド36(1)のそれらの名目上の位置へ変位させられて、通過帯域38を−1.05から−0.95に移動させる。反射零点34が固定されている間、伝送零点30は、その後、それらの名目上の位置に対して0.05だけ変位させられ、第1サブバンド36(1)の中心を−0.85に移動させ、それによって通過帯域を−0.95から−0.85に移動させる。伝送零点30が再び固定されている間、反射零点34は、それらの名目上の位置に対して0.10変位させられて、通過帯域38を−0.85から−0.75に移動させる。

0039

通過帯域38が−0.75に到達すると、反射零点34はその後、第1サブバンド36(1)から第2サブバンド36(2)にホップし、かつ、伝送零点30は、その名目上の位置に対して再び−0.05変位させられ、そのことが第2サブバンド36(2)の中心を−0.65に移動させ、この場合、反射零点34は最初に、それらの名目上の位置に対して−0.10に位置決めされて通過帯域38を−0.75に維持する。伝送零点30及び反射零点34は、その後、第1サブバンド36(1)に対して上述したのと同じ方法で互いに協調して移動させられて、通過帯域38を−0.75から−0.45に移動させる。通過帯域38が−0.45に到達すると、反射零点34はその後、通過帯域38が1.05に到達するまで、第2サブバンド36(2)から第3サブバンド36(3)及びその他にホップする。

0040

RFフィルタ10が、上述したように、所望の周波数範囲の連続体内で狭通過帯域を同調することが可能である場合(すなわち、RFフィルタ10が、連続的に再構成されることが可能である場合)、周波数帯域の選択された領域に通過帯域38が離散的に中心を置かれることが可能であるように、RFフィルタ10は離散的に再構成されてもよい。例えば、PCSアプリケーションでは、RFフィルタ10は、任意の6つのA〜Fの周波数帯域のうちの選択された1つに狭通過帯域を配置することによって、6つのA〜Fの周波数帯域のいずれかで動作するように再構成されてもよい。

0041

図7(a)〜図7(f)は、RFフィルタの6つの異なる再構成された状態に対応する例示のフィルタ応答を示している。この場合、モデル化されたフィルタは、各々の伝送零点30同士の間に配置された8つのサブバンド36を有する阻止帯域32を形成するために9つの伝送零点30(7つのみ図示される)と、6つの中間のサブバンド36の選択された1つ内に通過帯域38を形成するために阻止帯域32内に変位させられることが可能な7つの反射零点34と、を有している。従って、RFフィルタは、PCS通信プロトコルのA帯域(図7(a))、D帯域(図7(b))、B帯域(図7(c))、E帯域(図7(d))、F帯域(図7(e))又はC帯域(図7(f))で動作するように再構成されることが可能である。示されているように、通過帯域38の幅は、隣接する伝送零点30の分離によって決定されるので、サブバンド36内で異なる。特に、A帯域、B帯域及びC帯域の幅は、D帯域、E帯域及びF帯域の幅より約2.5倍大きい。

0042

特に、この再構成可能な実施では、通過帯域38は、所望の周波数範囲の連続体内に移動させられる必要はないが、代わりに、所望の周波数範囲をカバーするために十分に幅広であるように設計され、伝送零点30は移動させられずに通過帯域38の範囲を拡張する。むしろ、図8に示されるように、伝送零点30は、それらの名目上の位置から独立して移動させられて、通過帯域38のための場所を形成し、又はそうでなければ除去性能を向上させる。例えば、第2伝送零点30(2)及び第3伝送零点30(3)が互いに離間させられてA帯域に反射零点34のための場所を形成し、第4伝送零点30(4)及び第5伝送零点30(5)が互いに離間させられてB帯域に反射零点34のための場所を形成し、第7伝送零点30(7)及び第8伝送零点30(8)が互いに離間させられてC帯域に反射零点34のための場所を形成し、第3伝送零点30(3)及び第4伝送零点30(4)が互いに離間させられてD帯域に反射零点34のための場所を形成し、第5伝送零点30(5)及び第6伝送零点30(6)が互いに離間させられてE帯域に反射零点34のための場所を形成し、及び、第6伝送零点30(6)及び第7伝送零点30(7)が互いに離間させられてF帯域に反射零点34のための場所を形成する。

0043

前述の手法は、阻止帯域32内に単一の通過帯域38(すなわち、一度に1つの通過帯域)を導入するものとして説明されたが、複数の通過帯域が阻止帯域32内に導入されることが可能である。例えば、図9(a)〜図9(f)は、2つの一連の4つの反射零点34が阻止帯域32内に変位させられてサブバンド36の選択された対の中心に2つの通過帯域38(1)、38(2)を選択的に形成する例示のフィルタ応答を図示する。すなわち、図9(a)〜図9(f)を順に追っていくと、通過帯域38(1)、38(2)は、第2及び第3サブバンド36(2)、36(3)(図9(a))内に導入され、第3及び第5サブバンド36(3)、36(5)(図9(b))内に導入され、第3及び第4サブバンド36(3)、36(4)(図9(c))内に導入され、第2及び第4サブバンド36(2)、36(4)(図9(d))内に導入され、第2及び第6サブバンド36(2)、36(6)(図9(e))内に導入され、及び、第2及び第5サブバンド36(2)、36(5)(図9(f))内に導入される。

0044

図10及び図11を参照すると、可変非共振素子(カップリング値に関して)の値と、広阻止帯域内で結果として生じる狭通過帯域の移動との間の相関関係を説明する目的で、基本的な可変フィルタ50が説明される。図10に示すように、RFフィルタ50は概して、入力54及び出力56を有する信号伝送路52と、入力54及び出力56の間の複数の共振素子58(この場合2つ)と、共振素子58をともに結合する複数の非共振素子62と、を備えている。同調素子(図示せず)は、共振素子58の周波数を調節するために用いられることが可能であり、かつ、電気コントローラ(表示せず)は、周波数範囲内の選択された狭帯域にRFフィルタ50を同調させるために用いられることが可能である。図1に示したフィルタ10と同様に、フィルタ50の共振素子58はサセプタンスBRによって表され、共振素子58に並列に結合される非共振素子62はサセプタンスBNによって表され、及び、共振素子58同士の間に結合されるアドミッタンスインバータはJで表される。非共振素子22の選択されたものは変動し得る一方で(この場合、サセプタンスBN)、非共振素子22の任意の残りのものは固定されたままである(この場合、アドミッタンスインバータJ)。

0045

フィルタ50は、図11に示される例示のフィルタ応答を形成するためにモデル化された。2つの共振素子58の周波数、及び従って、2つの伝送零点70は0.95GHz及び1.05GHzに設定され、それによって、0.95GHz〜1.05GHzの正規化周波数範囲を有する阻止帯域(図示せず)を形成した。この場合、2つの共振素子58のみがあるため、単一のサブバンド76は、伝送零点70同士の間で1.00GHzにその中心を置かれる。従って、反射零点(図示せず)は、阻止帯域のみに沿って導入されて変位させられ、単一のサブバンド76内に通過帯域78を移動させる(通過帯域78の5つの位置が示される)。

0046

図11及び図12でさらに図示するように、可変非共振素子66(図12で、BN(L)及びBN(S)として指定される)は、それらのカップリング値を変化させることによって約1.00GHzの名目上の周波数だけ通過帯域78を移動させるように調節されることが可能である。特に、負荷側の非共振素子BN(L)の割合カップリング値が増大してソース側の非共振素子BN(S)の割合カップリング値が低下すると、通過帯域78の周波数は低下し(左へ移動する)、かつ、負荷側の非共振素子BN(L)の割合カップリング値が低下してソース側の非共振素子BN(S)の割合カップリング値が増加すると、通過帯域78の周波数は増大する。

0047

図13(a)〜図13(c)を参照すると、図1のフィルタ10の非共振素子22は実際の構成要素に置換されることが可能であり、その結果、フィルタ10はモデル化されて実施されることが可能である。図13(a)に示すように、回路は、最初に、非共振素子22のみを用いてフィルタ10を再構成するために不可欠な構成部品まで減らされる。この場合、同調素子20は、フィルタ10の再構成をシミュレーション(モデル化)するために必要ではなく、及び従って、図13(a)の回路表現から除去された。図13(b)に示すように、図13(a)の回路表現のブロック構成部品は実際の回路構成部品に置換された。BNで表される非共振素子22はコンデンサに置換され、Jで表される非共振素子22は容量性パイ形回路に置換され、及び、BRで表される共振素子20は、並列コンデンサ及びインダクタのコンビネーションに置換された。図13(b)の回路表現は図13(c)の回路表現までさらに減らされ、そのうちの非共振素子22は、フィルタ10の再構成を達成するために変動させられ得る。

0048

図13(c)のフィルタ10は、実際の回路構成部品の値を用いてエミュレートされた。図13(c)の回路は、成分値多項式の係数に関連するという点を除いて、上述した多項式の方程式に従ってモデル化された。上述したように、フィルタ10は、4つの共振素子18を有しており、及び従って、その周波数応答においてその間に形成された3つのサブバンドを有する4つの伝送零点を有している。従って、図13(c)の回路表現のコンデンサ非共振素子22の値は、図14に示す3つの一連の値のうちの1つに従って調節されて、3つのサブバンド同士の間で通過帯域をホップさせ、3つの状態のうちの選択された1つにフィルタ10を配置することができる。図13(c)の回路表現のコンデンサの各々は、図13(d)の回路表現に従ってモデル化された。特に、各コンデンサCは、可変コンデンサCdに並列の固定コンデンサC0と、可変コンデンサCdに直列抵抗器R(スイッチを表す)と、を有する回路として表された。

0049

図15(a)〜図15(c)を参照すると、図13(c)に示す基本的な構造を用いたフィルタ10は、非共振素子22のうちの選択された1つを調節することによって、3つの状態のうちの1つに再構成されることが可能である。示されるように、フィルタ10の周波数応答のすべては、4つの共振素子18の周波数に対応する4つの伝送零点30と、伝送零点30同士の間に形成される3つのサブバンド36と、を有している。従って、通過帯域38は、3つのサブバンド36の各々に形成されて、通過帯域38が第1サブバンド36(1)に形成される場合である左状態、通過帯域38が第2サブバンド36(2)に形成される場合である中間状態、及び、通過帯域38が第3サブバンド36(3)に形成される場合である右状態、の合計3つの異なる状態を可能にする。

0050

示されるように、各非共振素子22は、3つのコンデンサC1〜C3を並列に有しており、外側の2つのコンデンサC1及びC2は、スイッチS1及びS2の抵抗損失励起する抵抗器R1及びR2に直列のそれぞれのスイッチドキャパシタンスを有している。従って、コンデンサC1及びC2は、スイッチS2及びS3を閉じることによって回路内に含まれてもよく、かつ、スイッチS1及びS2を独立して開くことによって回路から除外されてもよい。従って、コンデンサC1〜C3が等しい値を有すると仮定すると、各非共振素子22は、C1(スイッチS1及びS2のどちらも閉じていない)、C2+C3(スイッチS1、S2の一方が閉じられている)、又は、C1+C2+C3(スイッチS1、S2の両方とも閉じられている)という、3つの値のうちの選択された1つを有し得る。スイッチS1及びS2は、例えば低損失GaAsガリウムヒ素)スイッチなどの任意の適切な損失スイッチであってもよい。代替的に、可変コンデンサ、GaAsバラクタ又はスイッチコンデンサなどのキャパシタンス値を調節可能な他の可変素子が用いられ得る。

0051

図15(a)に示すスイッチ状態によって決定される値を非共振素子22が有する時に通過帯域38は第1サブバンド36(1)(左状態)に配置され、図15(b)に示すスイッチ状態によって決定される値を非共振素子22が有する時に通過帯域38は第2サブバンド36(2)(中間状態)に配置され、及び、図15(c)に示すスイッチ状態によって決定される値を非共振素子22が有する時に第3サブバンド36(3)(中間状態)に配置されることが決定された。フィルタ10は、「同調フィルタのためのシステム及び方法」という発明の名称公開されて参照によって本明細書に明示的に組み込まれる米国特許出願第11/289,463号明細書で開示されたパラメータ抽出及び分析手法を用いて同調されることが可能である。図示の目的のため、閉じ状態のスイッチに隣接する電球点灯して示され(有色)、かつ、開き状態のスイッチに隣接する電球が無点灯で示されている(無色)。フィルタ10が、図15(a)〜図15(c)に関して、サブバンド36同士の間で通過帯域38をホップさせる能力を有するのみとして説明された一方で、回路の分解能は、選択されたサブバンド36内での通過帯域38の移動を可能にするために、さらにスイッチドコンデンサを追加することによって、高められ得る。また、通過帯域38がサブバンド36の中心に位置決めされるので、共振素子18に結合される同調素子は示されていない。

0052

ここで図17を参照すると、図13(c)に図示されるエミュレートされたフィルタ10は、770MHz〜890MHzの周波数範囲に沿って同調されて、挿入損失を最小化するように示されている。この状況では、非共振素子22を調節してサブバンド36の中心同士の間で通過帯域38をホップさせることによって(図16(a)〜図16(c)に示されるように)、及び、共振素子18の周波数を変動させてサブバンド36内で通過帯域38を移動させることによって(すなわち、サブバンド36の中心同士の間の周波数範囲をカバーするため)、フィルタ10は同調される。示されるように、通過帯域38は、890MHzの第3サブバンド36(3)(図15(c)に示す)の中心から850MHzの第3サブバンド36(3)の左側に移動させられて、フィルタ10の挿入損失を約−0.2dBから約−1.5dBに増大させる。通過帯域38が850MHzに到達すると、通過帯域38は第3サブバンド36(3)から第2サブバンド36(2)(図15(b)に示す)の中心にホップし、それによって挿入損失を約−1.5dBから約−0.25dBに減少させる。通過帯域38が、その後、850MHzの第2サブバンド36(2)の中心から810MHzの第2サブバンド36(2)の左側に移動させられて、フィルタ10の挿入損失を約−0.25から約−1.5dBに増大させる。通過帯域38が810MHzに到達すると、通過帯域38は、第2サブバンド36(2)から第1サブバンド36(1)(図15(a)に示す)の中心にホップして、挿入損失を約−1.5dBから−0.7dBに減少させる。通過帯域38は、その後、810MHzの第1サブバンド36(1)の中心から770MHzの第1サブバンド36(1)の左側に移動させられて、フィルタ10の挿入損失を約−0.7dBから−1.9dBに増大させる。従って、周波数範囲770MHz〜890MHzの全範囲が、周波数範囲に沿って通過帯域38を移動させるとともにサブバンド36同士の間でホップして挿入損失を最小化することによって、フィルタ10でカバーされることが可能であることが理解されよう。

0053

図15で図示されるモデル化されたパラメータを用いると、共振素子18にのみ対向する際の非共振素子22を用いる時に挿入損失が周波数範囲にわたって著しく減少させられてフィルタを同調することが明示されている。例えば、図18に示すように、共振素子18の周波数とともに非共振素子22が調節されて周波数範囲770MHz〜890MHzでフィルタ10を同調する時のフィルタ10の最悪の挿入損失は、同一の周波数範囲でフィルタ10を同調するために共振素子の周波数のみが調節される時のフィルタ10の挿入損失よりも約8dB小さい。

0054

図15に図示するパラメータに従ってモデル化される際、フィルタ10は、従来技術のスイッチドフィルタの同調手法よりも著しく小さい挿入損失を有していることがさらに明示されている。例えば図19に示すように、共振素子の周波数とともに可変非共振素子が調節されて周波数範囲770MHz〜890MHzでフィルタ10を同調する場合のフィルタ10の最悪の挿入損失は、同一の周波数範囲で同調されたスイッチドフィルタの挿入損失よりも著しく小さい(スイッチの追加による小さな挿入損失と仮定し、共振素子の周波数を調節してスイッチングの間の総計の同調範囲の半分をカバーする)。

0055

特に、通過帯域フィルタの挿入損失が、共振素子の数の増加に伴って増大することが従来の考えであった一方で、挿入損失は、本明細書で説明された設計手法を利用したフィルタで用いられる共振素子の数に伴って増大しないことが明示された。例えば図20に図示されるように、本明細書で説明される手法を用いた2つの共振器、4つの共振器及び6つの共振器のフィルタ設計及び標準的なフィルタ設計の周波数応答は、750GHz〜950GHzの周波数範囲に沿ってグラフに描かれる。そこに示されるように、共振素子の数ではなく、最も近い共振素子のQが挿入損失に最も重要である。

0056

直列の共振素子18に結合される非共振素子22の値を変動させることによって伝送零点をわずかに変動させてもよいということに留意されたい。これらの伝送零点は、最適な性能をフィルタに提供するために意図的に移動することが好ましい。

0057

特に、図21に示すように、回路は、非共振素子22のみを用いてフィルタ10を再構成するために不可欠な構成部品まで再び減らされた。この場合、同調素子20は、フィルタ10の再構成をエミュレート(モデル化)するために不可欠ではなかったので、図21の回路表現から除去された。

0058

図示される実施形態では、サセプタンスBR(特に、B1R、B2R、B3R及びB4R)で表される4つの共振素子18と15の非共振素子22とがあり、15の非共振素子22は、サセプタンスBN(特に、BSN、B1N、B2N、B3N、B4N、及びBLN)で表される6つの非共振素子22(1)(NRN−接地としても参照される(非共振素子を短絡する))と、アドミッタンスインバータJ(特に、J01、J12、J23、J34及びJ45)で表される5つの非共振素子22(2)(NRN−NRNとしても参照される(連続した非共振素子))と、アドミッタンスインバータJ(特に、J1、J2、J3、及びJ4)で表される4つの非共振素子22(3)(NRN−共振器(共振器カップリング))とに配列され得る。非共振素子22(1)、22(2)がそれぞれの共振素子18に並列に結合される一方で、非共振素子22(3)は、それぞれの共振素子18に直列で結合される。非共振素子22の選択されたものが変動させられる一方で、非共振素子22の残されたすべては固定されたままである。図示された実施形態では、共振素子18に直列に結合される非共振素子22(すなわち、非共振素子22(3))は、実用的な解決策で実施される時に共振周波数を「引く(pull)」傾向にあり、固定されたままである。

0059

共振素子18が、例えば表面音響波SAW)、圧電薄膜共振器(FBAR)、微小電気機械システム(MEMS)共振器などの音響共振器を用いて実現される設計では、非共振素子22は、電気的な結合要素又は機械的な結合要素のいずれかとして実現されてもよいことに留意されたい。この場合、非共振素子22(3)を電気機械変換器として実現して非共振素子22(3)及び回路の音響共振素子18が固定されたままにする一方で、非共振素子22(1)、22(2)のみを用いた電子同調を依然として可能にすることが有益であり得る。

0060

図22は、フィルタ10のカップリングマトリクス表現を図示している。示されるように、ノードS、1〜4、L及び5〜8(図20に示す)はマトリクス表現の左側にあり、ノードS、NRN1〜NRN4(非共振ノード)、L及び共振ノードR1〜R4はマトリクス表現の上側にある。図22に示すように、ノード同士の間のカップリング値は、共振素子18及び非共振素子22のサセプタンス値及びアドミッタンスインバータ値である。

0061

図21に図示するフィルタ表現は、サブバンド36の中心同士の間で通過帯域38をホップさせるために、異なる一連のカップリング係数を用いてエミュレートされた。特に、図23(a)〜図23(c)は、4つの反射零点34が阻止帯域32内で変位させられて3つすべてのサブバンド36の中心に通過帯域38を選択的に形成する場合の例示のフィルタ応答(及び、それらのカップリングマトリクス表現に対する)を図示している。それは、図23(a)〜図23(c)を順に追っていくと、通過帯域38は、第1サブバンド36(1)(図23(a))から、第2サブバンド36(2)(図23(b))に、その後、第3サブバンド36(3)(図23(c))にホップする。従って、通過帯域38の中心は、−0.80、0.0及び0.80の名目上の周波数同士の間でホップする。図23(a)〜図23(c)に示す対応のマトリクス表現から理解され得るように、直列的に結合された非共振素子22(3)(すなわち、J1〜J4)のサセプタンス値は−1に固定される一方、並列的に結合された非共振素子22(1)、22(2)のサセプタンス値及びアドミッタンスインバータ値は変動させられてサブバンド36同士の間で通過帯域38をホップさせる。通過帯域38が3つの名目上の周波数同士の間でホップする際のこれら値の変化(及び非変化)は、図24のグラフに示される。そこに示されるように、非共振素子22(1)、(2)(すなわち、J01、J12、J23、J34、J45、B1N、B2N、B3N及びB4N)の値は変動させられる一方で、直列的に結合された非共振素子23(3)(すなわち、J1、J2、J3、及びJ4)の値は一定のままである。

0062

図4(a)〜図4(g)に関して前述したように、通過帯域38がサブバンド36同士の間でホップさせられて所望の周波数範囲を離散的にカバーすることができる一方、伝送零点30は、その名目上の位置から同時に一斉に移動させられて(すなわち、共振素子の周波数を調節することによって)、阻止帯域32の全体を、及び従って、通過帯域38を、正規化周波数範囲内で変位させる。従って、図23(a)〜図23(c)に関して、通過帯域38は、サブバンド36の中心(すなわち、−0.80、0.0及び0.80)から移動させられて、所望の周波数範囲の連続体をカバーすることができる。従って、伝送零点30のすべてが、それらの名目上の位置から+/−0.40だけ変位させられることが可能な場合(すなわち、共振素子は+/−0.40の周波数範囲で同調される)、図23(a)〜図23(c)に図示した各通過帯域38は、−1.20〜1.20の正規化周波数範囲の33%をカバーする。

0063

通過帯域38がサブバンド36内に中心を置くように図23(a)〜図23(c)で図示される一方で、反射零点34は、阻止帯域32内で変位させられて(すなわち、非共振素子の値を調節することによって)、選択されたサブバンド36内で通過帯域38を選択的に移動させる。この場合、通過帯域38は、サブバンド36同士の間でホップさせられるとともに各サブバンド36内で移動させられることが可能であり、それによって、通過帯域38に関して調節されて所望の周波数範囲の連続体をカバーすることが必要な伝送零点30の総計を減少させる。例えば、図25は、−1.0〜1.0の名目上の周波数範囲の連続体内で通過帯域38が移動させられる際の、非共振素子22の値の変化(及び非変化)をグラフで示している。

0064

特に、図25で説明されるカップリング値は、図24で説明されるカップリング値とはまったく異なり、及び従って、2以上のカップリングマトリクスが各フィルタに存在する(すなわち、カップリングマトリクスは固有の解を有しない)ことが理解されるべきである。例えば、図26は、−1.0〜1.0の名目上の周波数範囲の連続体内で通過帯域38が移動させられる際の、非共振素子22の値の別の一連の変化(及び非変化)をグラフで示している。

0065

同一のフィルタ機能を実現する一群のカップリングマトリクスから理想のカップリングマトリクスを選択することは、例えば電力操作、相互変調又は挿入損失などのフィルタ性能特性のさらなる解析によって駆動されてもよい。「改善された相互変調ひずみを有する電気フィルタ」の発明の名称で参照によって本明細書に組み込まれる同時係属中の特許出願第12/163,837号明細書で明示されるように、フィルタの内部構造に対する小さな変化によって、入出力端子で測定されたSパラメータに見られるように、フィルタ機能を変化させずにフィルタの端子性能特性を向上させる。伝送零点の順序を変化させることを含む米国特許出願第12/163,837号明細書に開示される手法は、本出願に開示されるフィルタ回路に適用されることができる。

0066

上で簡潔に説明したように、フィルタ10は、パラメータ抽出及び解析手法を用いて同調されることが可能であり、その後、非共振素子22の1つを変動させて、選択されたサブバンド36内で通過帯域38を選択的に変位させる。特に、フィルタ10は、予期される動作温度で動作させられて、様々な初期の又は同調前の性能特性を判定してもよい。例えば、HTSフィルタは77度Kで動作されてよく、測定が行われる。パラメータ抽出は、その後、例えばネットワーク分析器によって実行されてもよい。例えば、測定されたSパラメータ応答(例えば反射減衰量)は、フィルタに関連した様々なパラメータ(例えば、共振器周波数、及び/又は、共振器対共振器のカップリング値)を決定するために用いられてもよい。次に、フィルタ応答は、例えばコンピュータによって最適化されてもよい。そして、抽出されたフィルタ特性と最適化されたフィルタ特性との間の差分が特定され、当該差分は同調レシピを提供するために用いられてもよい。フィルタは、その後、同調レシピに応じて同調されてもよい。様々な実施形態では、この同調は、例えば、オン又はオフ切り替えられるコンデンサを選択して、電気コントローラ24を用いて選択されたサブバンド36内の通過帯域38を調節することによってなされてもよい。フィルタが同調されると、フィルタはチェックされる。例えば、フィルタは、その動作温度で再び動作させられてよく、及び、フィルタの新しい性能特性を判定するために測定されてもよい。例えば周波数応答及び/又はSパラメータ応答などの新たに同調された性能特性が条件に合う場合、フィルタは動作のためにパッケージ化される。

0067

高性能平面フィルタの別の同調手法は、フィルタ同調を可能にする1以上の同調素子の使用を包含する。例えば、図27を参照すると、音叉40、42の形態の同調素子は、図示されるような場合に螺旋入力螺旋出力(spiral−in−spiral−out(SISO))形状の半波長構造の形態をとる共振素子18と同一の基板44上で処理されることが可能である。図示の目的のため、1つ共振素子18のみが図27に図示されているが、図1に図示されるように、完全なフィルタは複数の共振素子18を含んでもよい。複数共振器の平面フィルタでは、各共振素子18は音叉40、42を有してもよい。音叉40、42の部分は、例えばスクライビングによって基板44から取り外されて、音叉40、42が結合される共振素子18の周波数を修正し、それによって反射零点34に対する阻止帯域32に沿った共振素子18の周波数に対応する伝送零点を表示する。複数の共振素子18を同調させる場合、共振素子18の周波数は、周波数範囲に沿って阻止帯域32を通過帯域38に同時に置換するために修正される。音叉40、42は、直列のインターデジテイティド式(inter−digitated)コンデンサ46を通じて共振素子18の一端に容量結合される。

0068

代替的に、音叉40、42は共振素子18に直接結合されてもよい。しかしながら、直列のコンデンサは、音叉が共振器に直接接続された場合に見られる同調感度の約10%まで同調感度を低下させるように設計されることが可能である。この低下した感度は、例えばダイヤモンドスクライブペンなどの機械的装置を用いて手動での同調を可能にする。ハンドスクライビング(hand scribing)は、ダイヤモンドスクライブペンを使って顕微鏡下で実行されてもよい。レーザスクライビングツール、集束イオンビーム又はフォトリソグラフィなどの音叉40、42のスクライビングの代替手段が採用されてよい。いずれにしても、共振器18は、フィルタ回路のキャパシタンスを変えるために、音叉40、42の物理的に切断された(例えばスクライビング)部分によって同調されてもよい。

0069

同調の精度及び容易さのため、音叉40、42は、粗い同調及び微細な同調のためのスクライビングを容易にする粗い目盛り48及び微細な目盛り50をそれぞれ含んでもよい。目盛り48、50は同調レシピに関連付けられてもよい。音叉40、音叉42の2つが図示されているが、所望の同調範囲及び同調分解能に応じて任意の数の音叉が用いられてもよい。

0070

パラメータ抽出ベースの手法は、フィルタカップリング及び共振周波数を診断するために用いられてもよく、及び、音叉のスクライビングのためのレシピを提供するために用いられてもよい。このようにして、任意の高価なツールを必要とせずに非常に精度の高い同調を実現するフィルタ設計が提供される。

0071

別の例として、図28に図示するように、トリムタブ52の形状の同調素子が、共振素子18と同一の基板44上に配置されることが可能である。トリムタブ52は、例えばトリムされて(すなわち、回路から切断されて)共振素子18の分路キャパシタンスを低減し得る共振器の縁上に配置される。トリムタブ52は、様々な既知の量だけフィルタの共振周波数をシフトさせる離散値を有してもよく、かつ、その量は2進数列で構成されてもよい。

0072

例えばフィルタは各共振素子18上に4つのトリムタブ52を有してよく、4つのトリムタブ52は、1500KHz、800KHz、400KHz、200kHz、及び100KHzなどの2進数列で共振周波数をシフトさせることができる。図示の実施形態では、様々なサイズを有する7つのトリムタブ52が設けられている。特に、トリムタブ52(1)は、トリムされると、共振素子18に対して1500KHzの周波数のシフトを生じさせ、トリムタブ52(2)は、トリムされると、共振素子18に対して800KHzの周波数シフトを生じさせ、トリムタブ52(3)は、トリムされると、共振素子18に対して400KHzの周波数シフトを生じさせ、トリムタブ52(4)は、トリムされると、共振素子18に対して200KHzの周波数シフトを生じさせ、トリムタブ52(5)〜56(7)の各々は、トリムされると、共振素子18に対して100KHzの周波数シフトを生じさせる。従って、一例として、共振素子18が、同調レシピに従って670KHzの周波数シフトを必要とする場合、トリムタブ52(2)(400KHz)と、トリムタブ52(3)(200KHz)と、トリムタブ52(5)〜56(7)のうちの1つと、が基板44から取り外される。

0073

共振器を同調させるための音叉及びトリムタブの使用についてのさらに詳細な考察は、「同調フィルタのためのシステム及び方法」という発明の名称の米国特許出願第12/330,510号明細書で説明されており、参照によって本明細書に明示的に組み込まれる。

0074

パラメータ抽出ベースの手法は、フィルタカップリング及び共振周波数を診断するために用いられてもよく、及び、適切に同調されたフィルタを製造するようにトリムタブ52が共振器の縁から切断される又はトリムされるべきことを示すレシピを提供するために用いられてもよい。

0075

図29を参照して、本発明に従って構築された別の可変RFフィルタ100を以下に説明する。RFフィルタ100は、動的に同調されて動作温度の変化を補償することが可能であり、そうでなければ、図11に示す通過帯域78のシフトと同様の方法で、その名目上の設計されたとおりの位置から離れた周波数範囲内で通過帯域38をうっかり移動させてしまう場合がある。すなわち、動作温度の変化によって、共振素子18及び非共振素子22のカップリング値がそれらの名目上の値(すなわち、RFフィルタ100が最初に同調される動作温度での素子のリアクタンス)から変化する。例えば、非共振素子22のリアクタンスは、動作温度における各10°の変化に対して±1%だけ変化してもよい。従って、RFフィルタ100は、共振素子18及び非共振素子22のリアクタンスを動的に調節して、周波数範囲内のその名目上の位置に通過帯域38を復帰させる。

0076

RFフィルタ100は、RFフィルタ100が電気コントローラ124、温度センサ126及びメモリ128を付加的に含むことを除いて、図13(a)に図示するRFフィルタ10と同様である。図1に図示する電気コントローラ24と同様に、電気コントローラ124は、非共振素子22を調節して阻止帯域32に沿って反射零点を導入し又は変位させ、所望の周波数範囲内で狭通過帯域38を移動させ、かつ、同調素子(図示せず)を介して共振素子18の周波数をさらに調節して周波数範囲に沿って伝送零点を移動させ、フィルタ応答を最適化するように構成される。電気コントローラ24とは異なり、電気コントローラ124は、共振素子18及び非共振素子22を動的に調節して動作温度の変化を補償するように構成される。

0077

この目的のため、電気コントローラ124は、温度センサ126からの現在の動作温度の測定値を取得し、メモリ128からのルックアップテーブルにアクセスし、かつ、ルックアップテーブルに基づき共振素子18及び非共振素子22を調節する。特に、ルックアップテーブルは、例えば10°刻みで−20°K〜100°Kの範囲である複数の参照動作温度と、各基準動作温度に関して、対応の一連の調節設定と、を有している。各調節設定は、共振素子18のうちの1つ又は非共振素子22のうちの1つのリアクタンスを制御する。典型的な一連の調節設定は、多数の共振素子18及び非共振素子22を制御する調節設定を含む。

0078

電気コントローラ124は、電気信号を介して共振素子18及び非共振素子22に調節設定を適用して、通過帯域38を周波数範囲内のその名目上の位置に復帰させる方法で、それらのそれぞれのリアクタンスを調節する。特に、電気コントローラ124は、測定された動作温度をルックアップテーブルの基準動作温度と比較して、測定された動作温度に最も一致する基準動作温度に対応する一連の調節設定を選択し、かつ、選択された一連の調節設定に従って共振素子18及び非共振素子22のリアクタンスを調節する。

0079

好適な実施形態では、図5(a)〜図5(d)に示す同調手法と同様に、共振素子18は、周波数範囲内でその名目上の位置に選択されたサブバンド36を復帰させる方法で調節され、かつ、非共振素子22は、選択されたサブバンド36内にその名目上の位置に通過帯域38を復帰させる方法で調節される。代替的に、共振素子18は、周波数範囲内のその名目上の位置に復帰させない方法で調節されてよく、又は、まったく調節されなくてもよく、その場合、非共振素子22は、選択されたサブバンド36内のその名目上の位置に通過帯域38を復帰させない方法で調節されてもよい。いずれにしても、通過帯域38は、周波数範囲内のその名目上の位置に復帰させられる。

0080

調節設定の性質は、共振素子18及び非共振素子22のリアクタンスを調節するために用いられるメカニズムに依存する。例えば、各共振素子18及び非共振素子22の各々が、可変容量性回路を形成するスイッチを有する並列コンデンサを備えており、通過帯域38を周波数範囲内でその名目上の位置に、又は少なくとも、ルックアップテーブルの分解能を考慮して可能な限り周波数範囲内でその名目上の位置の近くに配置する方法で、それぞれの共振素子18又は非共振素子22のリアクタンスを変化させることを目的に、各調節設定は、どのコンデンサが、スイッチをオンにして容量性回路内にそれぞれのコンデンサを含むのか、又は、どのコンデンサが、スイッチをオフにして回路のそれぞれのコンデンサを除外するのか、を示すデータを含み得る。従って、この場合、各測定された動作温度に関して、ルックアップテーブルは、各共振素子18及び非共振素子22についてスイッチドコンデンサの一連のオンオフ状態を有している。ルックアップテーブルの調節設定は、基準動作温度の各々にフィルタ100を曝して、前述のパラメータ抽出及び解析手法を用いて共振素子18及び非共振素子22の調節設定を判定することによって、判定されることが可能である。

0081

特に、非共振素子18の動作温度の変化を補償するためにオン及びオフにされる並列コンデンサは、図15(a)〜図15(c)に示すように、様々なサブバンド36同士の間で通過帯域38を移動させるために用いられる少なくともいくつかの並列コンデンサを含んでもよい。さらに、ルックアップテーブルは、サブバンド36のうちの1つのみに関する調節設定を含むものとして説明したが、ルックアップテーブルは、2以上のサブバンド36に関する調節設定を含み得る。この場合、通過帯域38が現在配置されている特定のサブバンド36の調節設定は、動作温度の変化に応じて周波数範囲内でその名目上の位置に通過帯域38を移動させるために用いられてもよい。

0082

本発明の特定の実施形態が示されて説明されたが、上述の考察は、これらの実施形態に本発明を限定することを意図していないものと理解されるべきである。本発明の精神及び範囲を逸脱することなく様々な変更及び修正がなされてもよいことが当業者にとって明白である。例えば、本発明は、単一の入出力を有するフィルタよりはるかに優れたアプリケーションを有しており、及び、本発明の特定の実施形態は、低損失の選択回路が用いられ得る場合に、デュプレクサマルチプレクサチャネライザ反応スイッチ等を形成するために用いられてもよい。従って、本発明は、特許請求の範囲によって定義されるような本発明の精神及び範囲内にあり得る代替例、修正例及び等価物を含むことが意図されている。

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