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技術 油圧機械の診断システム及び診断方法、油圧機械、油圧トランスミッション並びに再生可能エネルギー型発電装置

出願人 三菱重工業株式会社
発明者 林利和湯下篤鍵本良実野口俊英
出願日 2016年2月26日 (4年4ヶ月経過) 出願番号 2016-035546
公開日 2017年8月31日 (2年9ヶ月経過) 公開番号 2017-151019
状態 特許登録済
技術分野 機械部品、その他の構造物または装置の試験
主要キーワード 圧力検出ステップ 統計期間 カム曲面 連通ライン 損傷検知 リングカム マルチローブ 閾値設定ステップ
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重要な関連分野

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図面 (9)

課題

高圧弁の損傷を適切に検知可能な油圧機械診断ステムを提供する。

解決手段

油圧機械の診断システムは、回転シャフトと、シリンダと、前記シリンダと共に作動室を形成するピストンと、前記作動室に対して設けられる高圧弁及び低圧弁と、を有し、前記回転シャフトの回転運動と前記ピストンの往復運動との間で変換を行うように構成された油圧機械の診断システムであって、前記作動室の圧力を検出するための圧力センサと、前記圧力センサの検出結果に基づいて、前記高圧弁の損傷を検知するための損傷検知部と、を備え、前記高圧弁は、シートと、前記シートに対して前記油圧機械の高圧ライン側から当接するように構成されたポペットである弁体と、を含むポペット弁であり、前記損傷検知部は、前記ピストンの往復運動のサイクル毎の前記作動室の圧力の最大値に基づいて、前記高圧弁の前記弁体の損傷を検知するように構成される。

概要

背景

従来から、油圧ポンプ油圧モータ等の油圧機械が知られている。
例えば、特許文献1には、シリンダピストンにより形成される作動室周期的な容積変化を利用し、作動流体流体エネルギー回転シャフト回転エネルギーとの間で変換するようにした油圧機械が記載されている。

また、特許文献2には、作動室と作動室外部の高圧ラインとの連通状態切り替えるための高圧弁として、ポペット弁を採用した油圧機械が記載されている。

概要

高圧弁の損傷を適切に検知可能な油圧機械の診断ステムを提供する。油圧機械の診断システムは、回転シャフトと、シリンダと、前記シリンダと共に作動室を形成するピストンと、前記作動室に対して設けられる高圧弁及び低圧弁と、を有し、前記回転シャフトの回転運動と前記ピストンの往復運動との間で変換を行うように構成された油圧機械の診断システムであって、前記作動室の圧力を検出するための圧力センサと、前記圧力センサの検出結果に基づいて、前記高圧弁の損傷を検知するための損傷検知部と、を備え、前記高圧弁は、シートと、前記シートに対して前記油圧機械の高圧ライン側から当接するように構成されたポペットである弁体と、を含むポペット弁であり、前記損傷検知部は、前記ピストンの往復運動のサイクル毎の前記作動室の圧力の最大値に基づいて、前記高圧弁の前記弁体の損傷を検知するように構成される。

目的

本発明の少なくとも一実施形態は、高圧弁の損傷を適切に検知可能な油圧機械の診断システムを提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

回転シャフトと、シリンダと、前記シリンダと共に作動室を形成するピストンと、前記作動室に対して設けられる高圧弁及び低圧弁と、を有し、前記回転シャフトの回転運動と前記ピストンの往復運動との間で変換を行うように構成された油圧機械診断ステムであって、前記作動室の圧力を検出するための圧力センサと、前記圧力センサの検出結果に基づいて、前記高圧弁の損傷を検知するための損傷検知部と、を備え、前記高圧弁は、シートと、前記シートに対して前記油圧機械の高圧ライン側から当接するように構成されたポペットである弁体と、を含むポペット弁であり、前記損傷検知部は、前記ピストンの往復運動のサイクル毎の前記作動室の圧力の最大値に基づいて、前記高圧弁の前記弁体の損傷を検知するように構成されたことを特徴とする油圧機械の診断システム。

請求項2

前記損傷検知部は、Pmax_ave+a×σ(ただし、Pmax_aveは統計期間における前記作動室の圧力の前記最大値の平均であり、σは前記統計期間における前記作動室の圧力の前記最大値の標準偏差であり、aはa≧0を満たす任意の値である。)が閾値以上であるときに、前記高圧弁の前記弁体に損傷が生じたと判定するように構成されたことを特徴とする請求項1に記載の油圧機械の診断システム。

請求項3

前記損傷検知部は、Pmax_ave+a×σ(ただし、Pmax_aveは統計期間における前記作動室の圧力の前記最大値の平均であり、σは前記統計期間における前記作動室の圧力の前記最大値の標準偏差であり、aはa≧0を満たす任意の値である。)の前記統計期間における増加速度に基づいて、前記高圧弁の前記弁体の損傷度を評価するように構成されたことを特徴とする請求項1又は2に記載の油圧機械の診断システム。

請求項4

前記損傷検知部は、前記作動室の圧力の前記最大値が閾値を超過した回数に基づいて、前記高圧弁の前記弁体の損傷を検知するように構成されたことを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の油圧機械の診断システム。

請求項5

前記高圧弁の初期状態における前記作動室の圧力の前記最大値の統計値に基づいて、閾値を決定するように構成された閾値設定部をさらに備え、前記損傷検知部は、前記作動室の圧力の前記最大値又は該最大値の前記統計値と、前記閾値設定部で設定された前記閾値との比較結果に基づいて、前記高圧弁の前記弁体の損傷を検知するように構成されたことを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の油圧機械の診断システム。

請求項6

前記高圧弁は、シートと、ポペット本体、および、該ポペット本体から前記シート側に突出したリッジを有するポペットと、を含み、前記高圧弁は、該高圧弁の閉状態において、前記ポペットの前記リッジが前記シートに当接することで、前記高圧ラインと前記作動室とを非連通状態とするように構成されたことを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項に記載の油圧機械の診断システム。

請求項7

回転シャフトと、シリンダと、前記シリンダと共に作動室を形成するピストンと、前記作動室に対して設けられる高圧弁及び低圧弁と、請求項1乃至6の何れか一項に記載の診断システムと、を備えることを特徴とする油圧機械。

請求項8

前記診断システムにより前記高圧弁の前記弁体の損傷が検知されたときに、該高圧弁に対応する前記シリンダを、押しのけ容積を生成しない休止状態とするように構成されたことを特徴とする請求項7に記載の油圧機械。

請求項9

圧油を生成するための油圧ポンプと、前記油圧ポンプからの前記圧油によって駆動されるように構成された油圧モータと、前記油圧ポンプの吐出口と前記油圧モータの吸込口とを接続する高圧ラインと、前記油圧モータの吐出口と前記油圧ポンプの吸込口とを接続する低圧ラインと、を備え、前記油圧ポンプ又は前記油圧モータの少なくとも一方は請求項7又は8に記載の油圧機械であることを特徴とする油圧トランスミッション

請求項10

再生可能エネルギーを受け取って回転するように構成されたロータと、前記ロータによって駆動されて作動油を昇圧するように構成された油圧ポンプと、前記油圧ポンプにより昇圧された作動油によって駆動されるように構成された油圧モータと、前記油圧ポンプの吐出口と前記油圧モータの吸込口とを接続する高圧ラインと、前記油圧モータの吐出口と前記油圧ポンプの吸込口とを接続する低圧ラインと、前記油圧モータによって駆動されるように構成された発電機と、を備え、前記油圧ポンプ又は前記油圧モータの少なくとも一方は、請求項7又は8に記載の油圧機械であることを特徴とする再生可能エネルギー型発電装置

請求項11

回転シャフトと、シリンダと、前記シリンダと共に作動室を形成するピストンと、前記作動室に対して設けられる高圧弁及び低圧弁と、を有し、前記回転シャフトの回転運動と前記ピストンの往復運動との間で変換を行うように構成された油圧機械の診断方法であって、前記作動室の圧力を検出する圧力検出ステップと、前記圧力検出ステップでの検出結果に基づいて、前記高圧弁の損傷を検知する損傷検知ステップと、を備え、前記高圧弁は、シートと、前記シートに対して前記油圧機械の高圧ライン側から当接するように構成されたポペットである弁体と、を含むポペット弁であり、前記損傷検知ステップでは、前記ピストンの往復運動のサイクル毎の前記作動室の圧力の最大値に基づいて、前記高圧弁の前記弁体の損傷を検知することを特徴とする油圧機械の診断方法。

請求項12

前記損傷検知ステップでは、Pmax_ave+a×σ(ただし、Pmax_aveは統計期間における前記作動室の圧力の前記最大値の平均であり、σは前記統計期間における前記作動室の圧力の前記最大値の標準偏差であり、aはa≧0を満たす任意の値である。)が閾値以上であるときに、前記高圧弁の前記弁体に損傷が生じたと判定することを特徴とする請求項11に記載の油圧機械の診断方法。

請求項13

前記損傷検知ステップでは、Pmax_ave又はa×σ(ただし、Pmax_aveは統計期間における前記作動室の圧力の前記最大値の平均であり、σは前記統計期間における前記作動室の圧力の前記最大値の標準偏差であり、aはa≧0を満たす任意の値である。)の前記統計期間における増加速度に基づいて、前記高圧弁の前記弁体の損傷度を評価することを特徴とする請求項11又は12に記載の油圧機械の診断方法。

請求項14

前記高圧弁の初期状態における前記作動室の圧力の前記最大値の統計値に基づいて、閾値を決定する閾値設定ステップをさらに備え、前記損傷検知ステップでは、前記作動室の圧力の前記最大値又は該最大値の前記統計値と、前記閾値設定ステップで設定された前記閾値との比較結果に基づいて、前記高圧弁の前記弁体の損傷を検知することを特徴とする請求項11乃至13の何れか一項に記載の油圧機械の診断方法。

請求項15

前記損傷検知ステップで前記高圧弁の前記弁体の損傷が検知されたときに、該高圧弁に対応する前記シリンダを、押しのけ容積を生成しない休止状態とする、又は、該高圧弁を交換するステップをさらに備えることを特徴とする請求項11乃至14の何れか一項に記載の油圧機械の診断方法。

技術分野

0001

本開示は、油圧機械診断ステム及び診断方法、油圧機械、油圧トランスミッション並びに再生可能エネルギー発電装置に関する。

背景技術

0002

従来から、油圧ポンプ油圧モータ等の油圧機械が知られている。
例えば、特許文献1には、シリンダピストンにより形成される作動室周期的な容積変化を利用し、作動流体流体エネルギー回転シャフト回転エネルギーとの間で変換するようにした油圧機械が記載されている。

0003

また、特許文献2には、作動室と作動室外部の高圧ラインとの連通状態切り替えるための高圧弁として、ポペット弁を採用した油圧機械が記載されている。

先行技術

0004

米国特許公開第2010/0040470号明細書
国際公開第2013/118182号

発明が解決しようとする課題

0005

ところで、油圧機械においてバルブに損傷が生じると、油圧機械の性能低下や、油圧機械の寿命低減の原因となり得る。油圧機械の性能低下や寿命低減を未然に防ぐためには、バルブの損傷を適切に検知することが重要である。

0006

上述の事情に鑑みて、本発明の少なくとも一実施形態は、高圧弁の損傷を適切に検知可能な油圧機械の診断システムを提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0007

(1)本発明の少なくとも一実施形態に係る油圧機械の診断システムは、
回転シャフトと、シリンダと、前記シリンダと共に作動室を形成するピストンと、前記作動室に対して設けられる高圧弁及び低圧弁と、を有し、前記回転シャフトの回転運動と前記ピストンの往復運動との間で変換を行うように構成された油圧機械の診断システムであって、
前記作動室の圧力を検出するための圧力センサと、
前記圧力センサの検出結果に基づいて、前記高圧弁の損傷を検知するための損傷検知部と、を備え、
前記高圧弁は、シートと、前記シートに対して前記油圧機械の高圧ライン側から当接するように構成されたポペットである弁体と、を含むポペット弁であり、
前記損傷検知部は、前記ピストンの往復運動のサイクル毎の前記作動室の圧力の最大値に基づいて、前記高圧弁の前記弁体の損傷を検知するように構成される。

0008

上述の高圧弁(ポペット弁)は、ポペットに対して高圧ライン側から作用する力(流体力や弁体を付勢する力)よりも、作動室側から作用する力が大きくなったときに開く。本発明者の鋭意検討の結果、高圧弁の開閉時に、ポペットは高圧ラインの高圧に晒されながらシートとの衝突及び離脱を繰り返すことで、該ポペットに変形や摩耗等の損傷が生じることがあることが明らかになった。また、本発明者の知見によれば、このような損傷によりポペットのうちシートに当接する当接面の面積が大きくなると、ポペットにおいて高圧ライン側の受圧面積が作動室側の受圧面積に比べて相対的に増加し、作動室圧力がより大きくならないと高圧弁が開かない事象が発生する場合がある。
この点、上記(1)の構成では、ピストンの往復運動のサイクル毎の作動室の圧力の最大値を取得する。ここで、該作動室圧力の最大値は、各サイクルにおいて高圧弁が開くのに必要とされる作動室圧力に相当する。よって、上記(1)の構成によれば、ピストンの往復運動のサイクル毎の作動室の圧力の最大値に基づいて、高圧弁の弁体の損傷(変形や摩耗など)を検知することができる。

0009

(2)幾つかの実施形態では、上記(1)の構成において、
前記損傷検知部は、Pmax_ave+a×σ(ただし、Pmax_aveは統計期間における前記作動室の圧力の前記最大値の平均であり、σは前記統計期間における前記作動室の圧力の前記最大値の標準偏差であり、aはa≧0を満たす任意の値である。)が閾値以上であるときに、前記高圧弁の前記弁体に損傷が生じたと判定するように構成される。
本発明者の知見によれば、油圧機械において、高圧弁の弁体の損傷の程度が大きいほど、ピストンの往復運動のサイクル毎の作動室圧力の最大値は大きい傾向にある。
そこで、上記(2)の構成のように、Pmax_ave+a×σの値と閾値との比較によって、高圧弁の弁体の損傷の有無を判定することができる。

0010

(3)幾つかの実施形態では、上記(1)又は(2)の構成において、
前記損傷検知部は、Pmax_ave+a×σ(ただし、Pmax_aveは統計期間における前記作動室の圧力の前記最大値の平均であり、σは前記統計期間における前記作動室の圧力の前記最大値の標準偏差であり、aはa≧0を満たす任意の値である。)の前記統計期間における増加速度に基づいて、前記高圧弁の前記弁体の損傷度を評価するように構成される。
本発明者の知見によれば、油圧機械において、高圧弁の弁体の損傷の程度が大きいほど、ピストンの往復運動のサイクル毎の作動室圧力の最大値は大きい傾向にある。よって、上記(3)の構成のように、Pmax_ave+a×σの値の増加速度に基づいて、高圧弁の弁体の損傷度(損傷状態進行度合い)を把握することができる。

0011

(4)幾つかの実施形態では、上記(1)〜(3)の何れかの構成において、
前記損傷検知部は、前記作動室の圧力の前記最大値が閾値を超過した回数に基づいて、前記高圧弁の前記弁体の損傷を検知するように構成される。
本発明者の知見によれば、油圧機械において、高圧弁の弁体の損傷の程度が大きいほど、ピストンの往復運動のサイクル毎の作動室圧力の最大値は大きい傾向にある。よって、上記(4)の構成のように、作動室圧力の最大値が閾値を超過した回数に基づいて、高圧弁の弁体の損傷の有無を検知することができる。

0012

(5)幾つかの実施形態では、上記(1)〜(4)の何れかの構成において、
前記高圧弁の初期状態における前記作動室の圧力の前記最大値の統計値に基づいて、閾値を決定するように構成された閾値設定部をさらに備え、
前記損傷検知部は、前記作動室の圧力の前記最大値又は該最大値の統計値と、前記閾値設定部で設定された前記閾値との比較結果に基づいて、前記高圧弁の前記弁体の損傷を検知するように構成される。
作動室の圧力計測により得られる圧力波形は、油圧機械にて用いられている高圧弁の個体毎に異なる。
上記(5)の構成によれば、高圧弁の初期状態における作動室圧力の最大値の統計値に基づいて閾値を決定するので、個々の高圧弁に対して、それぞれ適切な閾値を設定することができる。

0013

(6)幾つかの実施形態では、上記(1)〜(5)の何れかの構成において、
前記高圧弁は、
シートと、
ポペット本体、および、該ポペット本体から前記シート側に突出したリッジを有するポペットと、
を含み、
前記高圧弁は、該高圧弁の閉状態において、前記ポペットの前記リッジが前記シートに当接することで、前記高圧ラインと前記作動室とを非連通状態とするように構成される。
上記(6)で述べた構成を高圧弁が有する場合、シートとの繰り返しの衝突により、高圧弁のポペットのリッジの先端の摩耗が進行すると、ポペットにおいて高圧ライン側の受圧面積が作動室側の受圧面積に比べて相対的に増加し、作動室圧力がより大きくならないと高圧弁が開かない事象が発生しやすくなる。この点、上記(1)で述べたように、作動室圧力の最大値に着目することで、高圧弁のポペットのリッジの摩耗発生を適切に検知することができる。

0014

(7)本発明の少なくとも一実施形態に係る油圧機械は、
回転シャフトと、
シリンダと、
前記シリンダと共に作動室を形成するピストンと、
前記作動室に対して設けられる高圧弁及び低圧弁と、
上記(1)〜(6)の何れかに記載の診断システムと、を備える。

0015

上記(7)の構成では、ピストンの往復運動のサイクル毎の作動室の圧力の最大値を取得する。ここで、該作動室圧力の最大値は、各サイクルにおいて高圧弁が開くのに必要とされる作動室圧力に相当する。よって、上記(7)の構成によれば、ピストンの往復運動のサイクル毎の作動室の圧力の最大値に基づいて、高圧弁の弁体の損傷(変形や摩耗など)を検知することができる。

0016

(8)幾つかの実施形態では、上記(7)の構成において、
前記診断システムにより前記高圧弁の前記弁体の損傷が検知されたときに、該高圧弁に対応する前記シリンダを、押しのけ容積を生成しない休止状態とするように構成される。
上記(8)の構成によれば、高圧弁の損傷が検知されたときに、該高圧弁に対応するシリンダを休止状態とし、又は、高圧弁を交換する。これにより、高圧弁の損傷時に油圧機械に与える負荷を低減して油圧機械の寿命低減を抑制しながら、油圧機械の運転を行うことができる。

0017

(9)本発明の少なくとも一実施形態に係る油圧トランスミッションは、
圧油を生成するための油圧ポンプと、
前記油圧ポンプからの前記圧油によって駆動されるように構成された油圧モータと、
前記油圧ポンプの吐出口と前記油圧モータの吸込口とを接続する高圧ラインと、
前記油圧モータの吐出口と前記油圧ポンプの吸込口とを接続する低圧ラインと、
を備え、
前記油圧ポンプ又は前記油圧モータの少なくとも一方は上記(7)又は(8)に記載の油圧機械である。

0018

上記(9)の構成では、ピストンの往復運動のサイクル毎の作動室の圧力の最大値を取得する。ここで、該作動室圧力の最大値は、各サイクルにおいて高圧弁が開くのに必要とされる作動室圧力に相当する。よって、上記(9)の構成によれば、ピストンの往復運動のサイクル毎の作動室の圧力の最大値に基づいて、高圧弁の弁体の損傷(変形や摩耗など)を検知することができる。

0019

(10)本発明の少なくとも一実施形態に係る再生エネルギー型発電装置は、
再生可能エネルギーを受け取って回転するように構成されたロータと、
前記ロータによって駆動されて作動油を昇圧するように構成された油圧ポンプと、
前記油圧ポンプにより昇圧された作動油によって駆動されるように構成された油圧モータと、
前記油圧ポンプの吐出口と前記油圧モータの吸込口とを接続する高圧ラインと、
前記油圧モータの吐出口と前記油圧ポンプの吸込口とを接続する低圧ラインと、
前記油圧モータによって駆動されるように構成された発電機と、を備え、
前記油圧ポンプ又は油圧モータの少なくとも一方は、請求項(7)又は(8)に記載の油圧機械である。

0020

上記(10)の構成では、ピストンの往復運動のサイクル毎の作動室の圧力の最大値を取得する。ここで、該作動室圧力の最大値は、各サイクルにおいて高圧弁が開くのに必要とされる作動室圧力に相当する。よって、上記(10)の構成によれば、ピストンの往復運動のサイクル毎の作動室の圧力の最大値に基づいて、高圧弁の弁体の損傷(変形や摩耗など)を検知することができる。

0021

(11)本発明の少なくとも一実施形態に係る油圧機械の診断方法は、
回転シャフトと、シリンダと、前記シリンダと共に作動室を形成するピストンと、前記作動室に対して設けられる高圧弁及び低圧弁と、を有し、前記回転シャフトの回転運動と前記ピストンの往復運動との間で変換を行うように構成された油圧機械の診断方法であって、
前記作動室の圧力を検出する圧力検出ステップと、
前記圧力検出ステップでの検出結果に基づいて、前記高圧弁の損傷を検知する損傷検知ステップと、を備え、
前記高圧弁は、シートと、前記シートに対して前記油圧機械の高圧ライン側から当接するように構成されたポペットと、を含むポペット弁であり、
前記損傷検知ステップでは、前記ピストンの往復運動のサイクル毎の前記作動室の圧力の最大値に基づいて、前記高圧弁の前記弁体の損傷を検知する。

0022

上述の高圧弁(ポペット弁)は、ポペットに対して高圧ライン側から作用する力(流体力や弁体を付勢する力)よりも、作動室側から作用する力が大きくなったときに開く。本発明者の鋭意検討の結果、高圧弁の開閉時に、ポペットは高圧ラインの高圧に晒されながらシートとの衝突及び離脱を繰り返すことで、該ポペットに変形や摩耗等の損傷が生じることがあることが明らかになった。また、本発明者の知見によれば、このような損傷によりポペットのうちシートに当接する当接面の面積が大きくなると、ポペットにおいて高圧ライン側の受圧面積が作動室側の受圧面積に比べて相対的に増加し、作動室圧力がより大きくならないと高圧弁が開かない事象が発生する場合がある。
この点、上記(11)の方法では、ピストンの往復運動のサイクル毎の作動室の圧力の最大値を取得する。ここで、該作動室圧力の最大値は、各サイクルにおいて高圧弁が開くのに必要とされる作動室圧力に相当する。よって、上記(11)の方法によれば、ピストンの往復運動のサイクル毎の作動室の圧力の最大値に基づいて、高圧弁の弁体の損傷(変形や摩耗など)を検知することができる。

0023

(12)幾つかの実施形態では、上記(11)の方法において、
前記損傷検知ステップでは、Pmax_ave+a×σ(ただし、Pmax_aveは統計期間における前記作動室の圧力の前記最大値の平均であり、σは前記統計期間における前記作動室の圧力の前記最大値の標準偏差であり、aはa≧0を満たす任意の値である。)が閾値以上であるときに、前記高圧弁の前記弁体に損傷が生じたと判定する。
本発明者の知見によれば、油圧機械において、高圧弁の弁体の損傷の程度が大きいほど、ピストンの往復運動のサイクル毎の作動室圧力の最大値は大きい傾向にある。
そこで、上記(12)の方法のように、Pmax_ave+a×σの値と閾値との比較によって、高圧弁の弁体の損傷の有無を判定することができる。

0024

(13)幾つかの実施形態では、上記(11)又は(12)の方法において、
前記損傷検知ステップでは、Pmax_ave+a×σ(ただし、Pmax_aveは統計期間における前記作動室の圧力の前記最大値の平均であり、σは前記統計期間における前記作動室の圧力の前記最大値の標準偏差であり、aはa≧0を満たす任意の値である。)の前記統計期間における増加速度に基づいて、前記高圧弁の前記弁体の損傷度を評価する。
本発明者の知見によれば、油圧機械において、高圧弁の弁体の損傷の程度が大きいほど、ピストンの往復運動のサイクル毎の作動室圧力の最大値は大きい傾向にある。よって、上記(13)の方法のように、Pmax_ave+a×σの値の増加速度に基づいて、高圧弁の弁体の損傷度(損傷状態の進行度合い)を把握することができる。

0025

(14)幾つかの実施形態では、上記(11)〜(13)の何れかの方法において、
前記高圧弁の初期状態における前記作動室の圧力の前記最大値の統計値に基づいて、閾値を決定する閾値設定ステップをさらに備え、
前記損傷検知ステップでは、前記作動室の圧力の前記最大値又は該最大値の統計値と、前記閾値設定ステップで設定された前記閾値との比較結果に基づいて、前記高圧弁の前記弁体の損傷を検知する。
作動室の圧力計測により得られる圧力波形は、油圧機械にて用いられている高圧弁の個体毎に異なる。
上記(14)の方法によれば、高圧弁の初期状態における作動室圧力の最大値の統計値に基づいて閾値を決定するので、個々の高圧弁に対して、それぞれ適切な閾値を設定することができる。

0026

(15)幾つかの実施形態では、上記(11)〜(14)の何れかの方法において、
前記損傷検知ステップで前記高圧弁の前記弁体の損傷が検知されたときに、該高圧弁に対応する前記シリンダを、押しのけ容積を生成しない休止状態とする、又は該高圧弁を交換するステップをさらに備える。
上記(15)の方法によれば、高圧弁の損傷が検知されたときに、該高圧弁に対応するシリンダを休止状態とし、又は、該高圧弁を交換する。これにより、高圧弁の損傷時に油圧機械に与える負荷を低減して油圧機械の寿命低減を抑制しながら、油圧機械の運転を行うことができる。

発明の効果

0027

本発明の少なくとも一実施形態によれば、高圧弁の損傷を適切に検知可能な油圧機械の診断システムが提供される。

図面の簡単な説明

0028

一実施形態に係る風力発電装置の概略図である。
一実施形態に係る油圧機械の構成を示す概略図である。
一実施形態に係る診断システムの構成を示す概略図である。
一実施形態に係る高圧弁の構成を示す概略断面図である。
一実施形態に係る高圧弁のシート部を示す図である。
作動室圧力の最大値の頻度分布の一例を示すグラフである。
作動室圧力の最大値の頻度分布の一例を示すグラフである。
作動室圧力の最大値の統計値の経時変化の一例を示すグラフである。

実施例

0029

以下、添付図面を参照して本発明の幾つかの実施形態について説明する。ただし、実施形態として記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、本発明の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。

0030

まず、一実施形態に係る診断システム及び診断方法の適用対象である油圧機械(油圧モータ)を備えた風力発電装置の全体構成について説明する。
図1は、一実施形態に係る風力発電装置の概略図である。同図に示すように、風力発電装置1は、再生可能エネルギーとしての風を受けて回転するように構成されたロータ3と、ロータ3の回転を伝達するための油圧トランスミッション7と、電力を生成するための発電機16とを備える。

0031

ロータ3は、少なくとも一本のブレード2と、ブレード2が取り付けられるハブ4とを含む。

0032

油圧トランスミッション7は、回転シャフト6を介してロータ3に連結される油圧ポンプ8と、油圧モータ10と、油圧ポンプ8の吐出側と油圧モータ10の吸込側とを接続する高圧ライン12と、油圧モータ10の吐出側と油圧ポンプ8の吸込側とを接続する低圧ライン14と、を含む。

0033

発電機16は、油圧モータ10の出力軸を介して油圧モータ10に連結される。一実施形態では、発電機16は、電力系統連系されるとともに、油圧モータ10によって駆動される同期発電機である。

0034

なお、油圧ポンプ8及び油圧モータ10や発電機16は、タワー19上に設置されたナセル18の内部に設置されてもよい。

0035

図1に示す風力発電装置1では、ロータ3の回転エネルギーは、油圧ポンプ8及び油圧モータ10を含む油圧トランスミッション7を介して発電機16に入力され、発電機16において電力が生成されるようになっている。
ブレード2が風を受けると、風の力によってロータ3全体が回転し、油圧ポンプ8がロータ3によって駆動されて作動油を加圧し、高圧の作動油(圧油)を生成する。油圧ポンプ8で生成された圧油は高圧ライン12を介して油圧モータ10に供給され、この圧油によって油圧モータ10が駆動される。そして、出力軸を介して油圧モータ10に接続される発電機16において電力が生成される。油圧モータ10で仕事をした後の低圧の作動油は、低圧ライン14を経由して油圧ポンプ8に再び流入するようになっている。
油圧ポンプ8及び油圧モータ10は、押しのけ容積が調節可能な可変容量型であってもよい。

0036

幾つかの実施形態では、油圧ポンプ又は油圧モータ10の少なくとも一方は、以下で説明する油圧機械20である。

0037

次に、一実施形態に係る油圧機械及の構成について説明する。図2は、一実施形態に係る油圧機械の構成を示す概略図である。

0038

一実施形態に係る診断システム及び診断方法における診断対象である油圧機械20は、図2に示すように、回転シャフト32と、シリンダ21と、シリンダ21と共に作動室24を形成するピストン22と、作動室24に対して設けられる高圧弁28及び低圧弁30と、回転シャフト32の回転運動とピストン22の往復運動との間の変換を行うためのカム26(変換機構)とを有する。カム26は、ピストン22に当接するカム曲面を有する。
なお、油圧機械20において、複数のシリンダ21及びピストン22が、油圧機械20の周方向に沿って配列されている。

0039

ピストン22は、ピストン22の往復運動を回転シャフト32の回転運動にスムーズに変換する観点から、シリンダ21内を摺動するピストン本体部22Aと、該ピストン本体部22Aに取り付けられ、カム26のカム曲面に当接するピストンローラー又はピストンシューとで構成することが好ましい。なお図2には、ピストン22がピストン本体部22Aとピストンシュー22Bとからなる例を示した。

0040

カム26は、油圧機械20の回転シャフト(クランクシャフト)32の軸中心Oから偏心して設けられた偏心カムである。ピストン22が上下動を一回行う間に、カム26及びカム26が取り付けられた回転シャフト32は一回転するようになっている。
他の実施形態では、カム26は、複数のローブ(凸部)を有する環状のマルチローブドカム(リングカム)であり、この場合には、カム26及びカム26が取り付けられた回転シャフト32が一回転する間に、ピストン22は上下動をローブの数だけ行うようになっている。

0041

高圧弁28は、作動室24と作動室24の外部に設けられた高圧ライン12との間の高圧連通ライン34に設けられており、作動室24と高圧ライン12との連通状態を切り替え可能に構成されている。低圧弁30は、作動室24と作動室24の外部に設けられた低圧ライン14との間の低圧連通ライン36に設けられており、作動室24と低圧ライン14との連通状態を切り替え可能に構成されている。

0042

各々のピストン22は、各々のシリンダ21内に摺動可能に設けられる。各ピストン22は、各シリンダ21によって案内され、シリンダ21の中心軸に沿って、下死点上死点との間で往復運動するようになっている。ピストン22の往復運動の結果、各々のシリンダ21と各々のピストン22とで囲まれた作動室24の容積は周期的に変化する。

0043

こうした作動室24の周期的な容積変化を伴うピストン22の往復運動は、カム26の回転運動との間で運動モードが変換されるようになっている。

0044

例えば、油圧機械20が油圧ポンプ8である場合、回転シャフト32とともにカム26が回転すると、カム面に合わせてピストン22が周期的に上下動し、ピストン22が下死点から上死点に向かうポンプ工程と、ピストン22が上死点から下死点に向かう吸入工程とが繰り返される。そのため、ピストン22とシリンダ21の内壁面によって形成される作動室24の容積は周期的に変化する。すなわち、油圧ポンプ8では、吸入工程において高圧弁28を閉じ低圧弁30を開くことで低圧ライン14から作動室24内に作動油を流入させるとともに、ポンプ工程において高圧弁28を開き低圧弁30を閉じることで作動室24から高圧ライン12に圧縮された作動油を送り出す。
このようにして、油圧機械20の回転シャフト32とともに回転するカム26の回転運動がピストン22の往復運動に変換され、作動室24の周期的な容積変化が起こり、作動室24で高圧の作動油(圧油)が生成される。

0045

一方、油圧機械20が油圧モータ10である場合、油圧ポンプ8により生成される高圧ライン12と低圧ライン14との差圧によって、ピストン22が周期的に上下動し、ピストン22が上死点から下死点に向かうモータ工程と、ピストン22が下死点から上死点に向かう排出工程とが繰り返される。油圧モータ10の運転中、ピストン22とシリンダ21の内壁面によって形成される作動室24の容積は周期的に変化する。すなわち、油圧モータ10では、モータ工程において高圧弁28を開き低圧弁30を閉じることで高圧ライン12から作動室24内に作動油を流入させるとともに、排出工程において高圧弁28を閉じ低圧弁30を開くことで作動室24内で仕事をした作動油を低圧ライン14に送り出す。
このようにして、作動室24への圧油の導入によってピストン22の往復運動が起こり、この往復運動がカム26の回転運動に変換される結果、カム26とともに油圧機械20の回転シャフト32が回転する。

0046

上述したように、カム26の働きにより、油圧機械20の回転シャフト32の回転エネルギー(機械的エネルギー)と作動油の流体エネルギーとの間でエネルギーが変換され、油圧機械20が油圧ポンプ8又は油圧モータ10としての所期役割を果たすようになっている。

0047

診断・制御部100を含む診断システム101は、上述の構成を有する油圧機械20(油圧ポンプ8又は油圧モータ10)の高圧弁28の損傷を検知するように構成されている。

0048

図3は、一実施形態に係る診断システムの構成を示す概略図である。
図3に示すように、油圧機械の診断システム101は、油圧機械20の各作動室24の圧力を検出するための圧力センサ72と、回転シャフト32の回転数を検出するための回転数センサ74と、圧力センサ72及び/又は回転数センサ74による検出結果に基づいて油圧機械20の診断及び制御を行うための診断・制御部100と、を含む。
診断システム101の診断・制御部100は、損傷検知部102と、閾値設定部104と、バルブ制御部106と、を含み、診断システム101は、以下に説明するように、油圧機械20の高圧弁28の損傷を検知するように構成されている。

0049

ここで、図4は、幾つかの実施形態に係る高圧弁28の構成を示す概略断面図である。図4に例示する高圧弁28は、ポペット(弁体)35を含む可動ユニット40と、可動ユニット40を開弁位置閉弁位置とに移動させるためのアクチュエータとして機能するソレノイドコイル42と、スプリング44と、シート46とを備えている。図4に示す高圧弁28は、ノーマルクローズ式のポペット形電磁弁であり、ポペット35がシート46に対して油圧機械20の高圧ライン12側(すなわち高圧連通ライン34側)から当接するように構成されている。
また、図4に示す高圧弁28は、ポペット35からシート46側に突出したリッジ48を有する。高圧弁28が閉止された状態であるとき、該リッジ48がシート46に当接することで、高圧ライン12と作動室24とが非連通状態となるようになっている。

0050

高圧弁28は、作動室24と高圧ライン12(又は高圧連通ライン34)(図2参照)との連通状態を、ソレノイドコイル42の電磁力又はスプリング44の付勢力に起因した可動ユニット40の移動により切り替え可能に構成されている。

0051

図4に示す高圧弁28の開閉は、バルブコントローラからの制御信号開閉指令)により制御されるようになっている。幾つかの実施形態では、診断・制御部100のバルブ制御部106(図3参照)から高圧弁28に開閉指令の制御信号が付与されるようになっている。
図4に示す高圧弁28は、ノーマルクローズ式の電磁弁である。すなわち、バルブ制御部106からの制御信号によって高圧弁28が励磁されていないときには、可動ユニット40は、スプリング44によってシート46に向かって付勢されて、作動室24と高圧ライン12とが連通しない位置(ノーマル位置)に保持される。バルブ制御部106からの制御信号によって高圧弁28が励磁されると、可動ユニット40は、電磁力によってスプリング44の付勢力に抗して、作動室24と高圧ライン12とが連通する位置(励磁位置)に移動する。

0052

なお、幾つかの実施形態は、高圧弁28は図4に示す電磁弁でなくてもよい。一実施形態では、油圧機械20の高圧弁28は、作動室24から高圧ライン12に向かう作動油の流れのみを許容するポペット式の逆止弁であってもよい。

0053

ここで、図5は、高圧弁28のポペット35とシート46との当接部を示す図である。図5において、(a)に図示されるポペット35は初期状態(新品)のポペットであり、(b)に図示されるポペット35は、ある程度の試用期間を経て、ポペット35の先端に摩耗が生じた状態となっている。
上述の高圧弁(ポペット弁)28(例えば図4に示す高圧弁28)は、ポペット35に対して高圧ライン12側から作用する力(高圧油の流体力やスプリング44による付勢力)よりも、作動室24側から作用する力が大きくなったときに開く。そして、高圧弁28の開閉時に、ポペット35は高圧ライン12の高圧に晒されながらシート46との衝突及び離脱を繰り返すことで、図5の(b)に示すように、該ポペット35に変形や摩耗等の損傷が生じることがある。

0054

このような損傷が生じると、ポペット35のうちシート46に当接する当接面の面積が大きくなる。例えば、図5の(a)における当接面の面積はS1及びS2であり、一方、図5の(b)における当接面の面積はS3及びS4であり、図5の(a)の場合に比べて大きくなっている。
この場合、ポペット35において高圧ライン12側の受圧面積(図5において圧力PHPを受ける面積)が作動室24側の受圧面積(図5において圧力PWCを受ける面積)に比べて相対的に増加する。このため、図5(b)に示す場合では、図5(a)に示す場合に比べて、作動室24内の圧力がより大きくならないと高圧弁28が開かない事象が発生する場合がある。

0055

特に、図4に示す高圧弁28のように、ポペット35がリッジ48を有する場合、シート46との繰り返しの衝突によりリッジ48の先端の摩耗が進行すると、ポペット35において高圧ライン12側の受圧面積が作動室側の受圧面積に比べて相対的に増加し、作動室圧力がより大きくならないと高圧弁28が開かない事象が発生しやすくなる。

0056

幾つかの実施形態に係る油圧機械20の診断方法は、この事象に着目して高圧弁28の摩耗などの損傷を検知するものである。

0057

幾つかの実施形態に係る油圧機械20の診断方法では、まず、作動室24の圧力(作動室圧力)を検出する(圧力検出ステップ)。圧力検出ステップでは、油圧機械20の各シリンダ21に設けられた圧力センサ72を用いて各シリンダ21の作動室圧力を検出してもよい。

0058

次に、圧力検出ステップでの作動室圧力の検出結果に基づいて、高圧弁28の損傷を検知する(損傷検知ステップ)。損傷検知ステップは、損傷検知部102(図3参照)によって実施されてもよい。

0059

損傷検知ステップにて、高圧弁28に損傷が生じていると判定された場合には、油圧機械20のシリンダ21のうち、該高圧弁28に対応するシリンダ21を、押しのけ容積を生成しない休止状態としてもよい。あるいは、損傷検知ステップにて、高圧弁28に損傷が生じていると判定された場合には、該高圧弁28を交換してもよい。

0060

なお、油圧機械20のシリンダ21を休止状態とするには、該シリンダ21に対応する高圧弁28及び低圧弁30に対して、バルブ制御部106(図3参照)から、適切な開閉指令の制御信号を送る。油圧機械20(油圧モータ10又は油圧ポンプ)においてシリンダ21を休止状態とするには、該シリンダ21に対応する高圧弁28を閉状態に維持するとともに、低圧弁30を開状態に維持する。これにより、シリンダ21と高圧ライン12とは非連通状態となるとともに、シリンダ21と低圧ライン14とは連通状態となるので、作動油は、作動室24と低圧ライン14との間で流出入するのみである。よって、該シリンダ21に対応するピストン22は、実質的に仕事をせず、又は仕事をされない。

0061

以下、幾つかの実施形態に係る損傷検知ステップについて、より具体的に説明する。

0062

一実施形態では、損傷検知ステップにおいて、ピストン22の往復運動のサイクル毎の作動室24の圧力(作動室圧力)の最大値Pmaxに基づいて、高圧弁28の前記弁体の損傷を検知するように構成される。

0063

ピストン22の往復運動のサイクル毎の作動室圧力の最大値Pmaxは、各サイクルにおいて高圧弁28が開くのに必要とされる作動室圧力に相当する。そして、図5を参照して説明したように、ポペット(弁体)35に摩耗等の損傷が発生して、ポペット35にいて高圧ライン12側の受圧面積が作動室24側の受圧面積よりも相対的に増加した場合、作動室24内の圧力がより大きくならないと、高圧弁28が開かないことがある。

0064

ここで、図6は、図5に示す高圧弁28の2つのケース(a)(b)のそれぞれについて、サイクル毎に取得した作動室圧力の最大値Pmaxの頻度分布の一例を示すグラフである。なお、図6のグラフの縦軸相対頻度を示し、横軸は作動室圧力(筒内圧力)の最大値Pmaxを示す。また、図6のグラフにおいて、(a)は図5のケース(a)(初期状態のポペット35を用いた場合)における頻度分布であり、(b)は図5のケース(b)(損傷がある程度進んだポペット35を用いた場合)における頻度分布である。Pmax_a1及びPmax_b1は、それぞれケース(a)及び(b)におけるPmax_ave(ただし、Pmax_aveは統計期間Tsにおける作動室圧力の最大値Pmaxの平均である)であり、Pmax_a2及びPmax_b2は、それぞれケース(a)及び(b)におけるPmax_ave+a×σ(ただし、σは統計期間Tsにおける作動室圧力の最大値Pmaxの標準偏差であり、aはa≧0を満たす任意の値である。)である。なお、上述の式において、ここでは一例として、a=3とする。
なお、Pmax_ave及びPmax_ave+a×σは、それぞれ、作動室圧力の最大値Pmaxの統計値である。

0065

図6のグラフによれば、状態(b)における作動室圧力の最大値の頻度分布は、ケース(a)における作動室圧力の最大値の頻度分布に比べて、全体的に、より高圧側の分布となっている。また、作動室圧力の最大値Pmaxの平均値Pmax_ave及びPmax_ave+a×σに関しては、ケース(a)におけるPmax_a1及びPmax_a2よりも、ケース(b)におけるPmax_b1及びPmax_b2のほうがそれぞれ大きい。

0066

このように、高圧弁28において、初期状態であり損傷が生じていないポペット35を用いたケース(a)と、稼働時間が経過して損傷が生じているポペット35を用いたケース(b)とでは、ピストン22の往復運動のサイクル毎に算出される作動室圧力の最大値に差異が現れる。
よって、上述のように、ピストン22の往復運動のサイクル毎の作動室24の圧力の最大値に基づいて、高圧弁28の弁体(ポペット)35の損傷(変形や摩耗など)を検知することができる。
例えば、ピストン22の往復運動のサイクル毎に取得されるPmax_ave又はPmax_ave+a×σを監視することによって、高圧弁28のポペット35の損傷(変形や摩耗など)を検知することができる。

0067

上述したように、作動室圧力の最大値Pmaxは、高圧弁28に生じた摩耗等の損傷が進行(拡大)するにつれて増加する傾向となる。
そこで、一実施形態では、損傷検知ステップにおいて、作動室圧力の最大値Pmaxの平均(Pmax_ave)が閾値以上であるときに、高圧弁28のポペット(弁体)35に損傷が生じていると判定するようにしてもよい。
また、一実施形態では、損傷検知ステップにおいて、Pmax_ave+a×σ(但しa≧0)が閾値以上であるときに、高圧弁28のポペット(弁体)35に損傷が生じていると判定するようにしてもよい。

0068

図7は、油圧機械20における2つのシリンダA,Bについて、ピストンサイクル毎に取得した作動室圧力の最大値Pmaxの頻度分布の一例を示すグラフである。図7において、Pmax_A2及びPmax_B2は、それぞれ、シリンダA及びBについて算出されたPmax_ave+3×σを示し、Pmax_thは、該油圧機械20における各シリンダについて設定されたPmax_ave+3×σに関する閾値を示す。
図7のグラフに示すように、シリンダAについて算出されたPmax_A2は、閾値Pmax_thよりも小さいため、シリンダAについては、高圧弁28に損傷は発生していないと判定される。
一方、シリンダBについて算出されたPmax_B2は、閾値Pmax_thよりも大きいため、シリンダBについては、高圧弁28に損傷が発生していると判定される。

0069

このようにして、油圧機械20を構成する複数のシリンダ21のそれぞれについて、Pmax_ave+3×σ(あるいはPmax_aveでもよい)を算出して閾値と比較することで、複数のシリンダ21のうち、高圧弁28に損傷が発生しているシリンダ21を特定することができる。

0070

また、高圧弁28に損傷が発生していると特定されたシリンダ21を、上述したように、押しのけ容積を生成しない休止状態としてもよく、あるいは、該高圧弁28を交換してもよい。これにより、高圧弁28の損傷時に油圧機械20に与える負荷を低減して油圧機械20の寿命低減を抑制しながら、油圧機械20の運転を行うことができる。

0071

作動室圧力の最大値Pmaxの平均(Pmax_ave)又は上述のPmax_ave+a×σの閾値は、診断・制御部100の閾値設定部104によって決定してもよい。

0072

これらの閾値は、例えば高圧弁28を収容するバルブブロックなど、高圧弁28以外の油圧機械20の部品の寿命等を考慮して決定してもよい。
また、これらの閾値は、高圧弁28の初期状態(初期品)における作動室24の圧力の最大値Pmaxの統計値に基づいて決定するようにしてもよい。

0073

例えば、Pmax_ave+3×σを用いて高圧弁28の損傷検知を行う場合、該統計値と比較する閾値として、損傷検知対象の高圧弁28の初期品についての、所定期間におけるPmax_ave+3×σ+α(αは安全率であり、α≧0である)を用いてもよい。

0074

閾値は、損傷検知対象の複数の高圧弁28に対して、それぞれ個別に設定してもよい。

0075

一実施形態では、損傷検知ステップにおいて、Pmax_ave又はPmax_ave+a×σ(但し、a≧0)の統計期間における増加速度に基づいて、高圧弁28の弁体(ポペット)35の損傷度(損傷状態の進行度合い)を評価する。

0076

ここで図8は、油圧機械20における2つのシリンダC及びDに関して、所定期間毎(例えば10分毎)に算出したPmax_ave及びPmax_ave+3×σ(図中において「3σ上限」と表記)の経時変化の一例を示すグラフである。図中のPmax_th(ave)は、診断対象の油圧機械20におけるPmax_aveの閾値であり、Pmax_th(3σ)は、診断対象の油圧機械20におけるPmax_ave+3×σの閾値である。なお、本実施形態では、シリンダC及びDに対して共通の上記閾値が設定されている。

0077

Pmax_ave又はPmax_ave+3×σの経時変化のデータにおいて、一時点における統計値の値と、該統計値の時間に対する上昇速度(図中におけるグラフの傾き)を算出すれば、閾値に達するまでの時間が予測可能である。
例えば、図8のグラフにおいて、各シリンダのPmax_ave+3×σ(3σ上限)に着目すると、任意の統計期間(例えば、ここでは期間t0〜t1)の間における“3σ上限”の増加速度(すなわち当該期間における各データの近似直線Lc,Ldの傾きc,d)の値と、時刻t1における“3σ上限”の値とから、各シリンダの余寿命(すなわち、各シリンダの“3σ上限”の値が閾値に到達するまでの時間)を予測することができる。

0078

なお、図8に示すグラフによれば、シリンダCに係る上述の傾きcのほうがシリンダDに係る傾きdよりも大きく、また、時刻t1における“3σ上限”の値もシリンダCのほうが大きいため、シリンダCのほうが余寿命が短いと推定することができる。

0079

このように、Pmax_ave又はPmax_ave+a×σの統計期間におけるトレンドを監視することで、高圧弁28の弁体(ポペット)35の損傷度(損傷状態の進行度合い)を評価することができる。

0080

また、一実施形態では、損傷検知ステップにおいて、作動室圧力の最大値Pmaxが閾値を超過した回数に基づいて、高圧弁28の弁体(ポペット35)の損傷を検知するようにしてもよい。
上述したように、油圧機械20において、高圧弁28の弁体(ポペット35)の損傷の程度が大きいほど、ピストン22の往復運動のサイクル毎の作動室圧力の最大値Pmaxは大きい傾向にある。このため、作動室圧力の最大値Pmaxが閾値を超過した回数に基づいて、高圧弁28の弁体(ポペット35)の損傷の有無を検知することができる。

0081

例えば、一実施形態では、損傷検知ステップにおいて、作動室圧力の最大値Pmaxが閾値を超過した回数が規定回数を超過した時に、高圧弁28の弁体(ポペット35)に損傷が発生したと判定するようにしてもよい。

0082

以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されることはなく、上述した実施形態に変形を加えた形態や、これらの形態を適宜組み合わせた形態も含む。

0083

本明細書において、「ある方向に」、「ある方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」或いは「同軸」等の相対的或いは絶対的な配置を表す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
例えば、「同一」、「等しい」及び「均質」等の物事が等しい状態であることを表す表現は、厳密に等しい状態を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の差が存在している状態も表すものとする。
また、本明細書において、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。
また、本明細書において、一の構成要素を「備える」、「含む」、又は、「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。

0084

1風力発電装置
2ブレード
3ロータ
4 ハブ
6回転シャフト
7油圧トランスミッション
8油圧ポンプ
10油圧モータ
12高圧ライン
14低圧ライン
16発電機
18ナセル
19タワー
20油圧機械
21シリンダ
22ピストン
22A ピストン本体部
22Bピストンシュー
24作動室
26カム
28高圧弁
30低圧弁
32 回転シャフト
34高圧連通ライン
35ポペット
36 低圧連通ライン
40可動ユニット
42ソレノイドコイル
44スプリング
46シート
48リッジ
72圧力センサ
74回転数センサ
100 制御部
101診断システム
102損傷検知部
104閾値設定部
106バルブ制御部
O 軸中心

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