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技術 内燃機関制御装置

出願人 日立オートモティブシステムズ株式会社
発明者 米谷直樹猿渡匡行押領司一浩
出願日 2016年2月26日 (4年8ヶ月経過) 出願番号 2016-035029
公開日 2017年8月31日 (3年2ヶ月経過) 公開番号 2017-150420
状態 特許登録済
技術分野 点火時期の電気的制御 機関出力の制御及び特殊形式機関の制御
主要キーワード シリンダ付近 パイパス流路 調整代 カムプロファイル ガスインジェクタ 空燃比検出器 昇温効果 システムブロック
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (10)

課題

冷機始動直後は筒内の温度が低い状態となるため、燃焼不安定を回避するために点火時期リタードを大きく取ることができず、内燃機関の下流にある触媒活性化に時間がかかる。

解決手段

本発明は内燃機関に取り付けられた点火装置点火時期を制御する点火時期制御部を備えた内燃機関制御装置において、筒内昇温する筒内昇温部を備え、該筒内昇温部により筒内昇温を行い、かつ前記点火時期制御部により前記点火装置の点火時期のリタード量を増加させる。

概要

背景

従来、シリンダ内直接燃料噴射する火花点火式ガソリンエンジンが知られている。この種類のエンジンに特徴的な技術として、始動時に圧縮行程燃料を噴射し、混合気点火プラグの近傍に偏らせて存在させ、同時に点火時期の遅角(リタード)を行うことにより、有効なトルクにならない燃焼分、いわゆる後燃えの割合を増やして排気温度を上げ、触媒活性化を早めて排気中の未燃炭化水素(以下HC)を減少させる方法が広く知られている。本技術分野の背景技術として、特開平8−291729(特許文献1)がある。

概要

冷機始動直後は筒内の温度が低い状態となるため、燃焼不安定を回避するために点火時期リタードを大きく取ることができず、内燃機関の下流にある触媒の活性化に時間がかかる。本発明は内燃機関に取り付けられた点火装置の点火時期を制御する点火時期制御部を備えた内燃機関制御装置において、筒内昇温する筒内昇温部を備え、該筒内昇温部により筒内昇温を行い、かつ前記点火時期制御部により前記点火装置の点火時期のリタード量を増加させる。

目的

本発明の目的は、始動直後に筒内を急速昇温して点火時期リタード量を増加させ、触媒の早期活性化によりHCの排出量を低減することである

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

内燃機関に取り付けられた点火装置点火時期を制御する点火時期制御部を備えた内燃機関制御装置において、筒内昇温する筒内昇温部を備え、該筒内昇温部により筒内昇温を行い、かつ前記点火時期制御部により前記点火装置の点火時期のリタード量を増加させることを特徴とする内燃機関制御装置。

請求項2

前記筒内昇温部は、排気行程において排気バルブ上死点前に閉じることで、排気圧縮されるNVO期間が設けられるようにすることを特徴とする請求項1記載の内燃機関制御装置。

請求項3

前記筒内昇温部により前記NVO期間を設けた後に、前記点火時期制御部により前記点火装置の点火時期をリタードさせることを特徴とする請求項2記載の内燃機関制御装置。

請求項4

前記NVO期間に筒内へガス噴射し、燃焼室内の圧力を増加させることを特徴とする請求項2記載の内燃機関制御装置。

請求項5

前記筒内昇温部は、吸気行程または圧縮行程において、吸気管への吹き戻しが無くなるよう、吸気バルブ閉じ時期を下死点付近に設定することを特徴とする請求項1記載の内燃機関制御装置。

請求項6

前記筒内昇温部は、圧縮行程または排気行程において、機械圧縮比を増加させることを特徴とする請求項1記載の内燃機関制御装置。

請求項7

前記筒内昇温部による筒内昇温中は点火時期を初回燃焼時より進角させ、その後に前記点火時期制御部により前記点火装置の点火時期をリタ—ドさせることを特徴とする請求項1記載の内燃機関制御装置。

請求項8

前記筒内昇温部により筒内昇温を行う際に、前記点火装置の点火時期を初回燃焼時よりも進角させることを特徴とする請求項7記載の内燃機関制御装置。

請求項9

前記筒内昇温部により筒内昇温を行う際に、点火時期を初回燃焼時よりもリタードさせることを特徴とする請求項7記載の内燃機関制御装置。

技術分野

0001

本発明は、シリンダ内直接燃料噴射し、主として点火により燃焼させる内燃機関に関する。

背景技術

0002

従来、シリンダ内に直接燃料を噴射する火花点火式ガソリンエンジンが知られている。この種類のエンジンに特徴的な技術として、始動時に圧縮行程燃料を噴射し、混合気点火プラグの近傍に偏らせて存在させ、同時に点火時期の遅角(リタード)を行うことにより、有効なトルクにならない燃焼分、いわゆる後燃えの割合を増やして排気温度を上げ、触媒活性化を早めて排気中の未燃炭化水素(以下HC)を減少させる方法が広く知られている。本技術分野の背景技術として、特開平8−291729(特許文献1)がある。

先行技術

0003

特開平8−291729号公報

発明が解決しようとする課題

0004

一般的に、点火時期のリタード量が大きくなるほど排気温度を上げることができ、触媒の早期活性化に有利であるが、リタードに伴い燃焼安定性は悪化する傾向にある。
また、リタード量は油温などに応じてあらかじめ決めた値を、制御用コンピュータマップを参照することにより行っている。冷機始動直後は筒内の温度が低い状態となるため、燃焼不安定を回避するために点火時期リタードを大きく取ることができず、内燃機関の下流にある触媒の活性化に時間がかかるという問題があった。

0005

本発明の目的は、始動直後に筒内を急速昇温して点火時期リタード量を増加させ、触媒の早期活性化によりHCの排出量を低減することである。

課題を解決するための手段

0006

上記課題を解決するために、本発明は内燃機関に取り付けられた点火装置の点火時期を制御する点火時期制御部を備えた内燃機関制御装置において、筒内昇温する筒内昇温部を備え、該筒内昇温部により筒内昇温を行い、かつ前記点火時期制御部により前記点火装置の点火時期のリタード量を増加させることを特徴とする。

発明の効果

0007

本発明によれば、触媒暖機時にまず筒内昇温を優先した制御を実施することで、燃焼安定性を確保でき、その分点火時期のリタード量を増加させることができる。点火時期のリタード量を増加させることで、排気管へ流れる熱量が増加し、触媒暖機時間が短縮し、始動時の排気が低減する。

図面の簡単な説明

0008

本発明の第1の実施例によるエンジンの制御装置を、自動車用筒内噴射ガソリンエンジンに適用させたシステム構成図。
一般的なエンジンの制御装置の始動から触媒暖機終了までの制御の一例を示すシステムブロック図。
本発明の第1の実施例によるエンジンの制御装置の始動から触媒暖機終了までの制御の一例を示すシステムブロック図。
本発明の第1の実施例によるエンジンの制御装置における、1サイクル中の吸排バルブの動作を示すカムプロファイル図。
本発明の第1の実施例によるエンジンの制御装置における、バルブタイミングを示すタイムチャート
本発明の第1の実施例によるエンジンの制御装置における、ガス噴射用インジェクタを配置した場合のシリンダ付近の構成図。
本発明の第2の実施例によるエンジンの制御装置による、1サイクル中の吸排バルブの動作を示すカムプロファイル図。
本発明の第2の実施例によるエンジンの制御装置による、可変圧縮比を用いた場合の機械圧縮比を示すタイムチャート。
本発明の第2の実施例によるエンジンの制御装置による、点火時期を示すタイムチャート。

0009

以下、本発明の実施例について図面を用いて説明する。

0010

以下、図1図6を用いて、本発明の第1の実施例によるエンジンの制御装置の構成及び動作について説明する。

0011

図1は、本実施例によるエンジンの制御装置を、自動車用筒内噴射式ガソリンエンジンに適用させたシステム構成図である。

0012

エンジン100は、火花点火式燃焼を実施する自動車用の4気筒ガソリンエンジンである。吸入空気量を計測するエアフローセンサ1と、吸気過給するための過給機コンプレッサ4aと、吸気を冷却するためのインタークーラ7と、吸気管圧力を調整する電子制御スロットル2と、吸気マニホールド6内の圧力を計測する吸気圧力センサ14が吸気管の各々の適宜位置に備えられている。また、エンジン100には、各気筒のシリンダ15の中に燃料を噴射する燃料噴射装置(以下、インジェクタ)13と、噴射された燃料と空気の混合気を圧縮するためのピストン18、点火エネルギーを供給する点火プラグ17が気筒ごとに備えられている。また、ガスを筒内に流入させる際に開く吸気バルブ5c、排気する際に開く排気バルブ5d、そして吸排気バルブ開閉タイミングを調整し、筒内に流入または筒内から排出するガスを調整する可変バルブタイミング機構5a(吸気側)、5b(排気側)が、シリンダヘッドに備えられている。可変バルブイミング5a、5bにより、1番から4番まで全気筒の吸排気バルブの開弁閉弁時期を調整することにより、吸気量および内部EGR量を調整する。また、図示していないがインジェクタ13に高圧燃料を供給するための高圧燃料ポンプ燃料配管によってインジェクタ13と接続されており、燃料配管中には、燃料噴射圧力を計測するための燃料圧力センサが備えられている。

0013

さらに、排気エネルギーによって過給機のコンプレッサ4aに回転力を与えるためのタービン4bと、タービンに流れる排気流量を調整するための電子制御ウェイストゲート弁11と、排気を浄化する三元触媒10と、空燃比検出器の一態様であって、三元触媒10の上流側にて排気の空燃比を検出する空燃比センサ9と、が排気管16の各々の適宜位置に備えられる。また、図示していないがクランク軸には、回転角度を算出するためのクランク角度センサが備えられている。

0014

さらに、排気管の触媒10の下流から、吸気管のコンプレッサ4aの上流に排気を還流させるためのEGR管40を備えている。また、EGRを冷却するためのEGRクーラ42、EGR流量を制御するためのEGR弁41、EGR弁前後の差圧を検出する差圧センサ43、EGR温度を検出するEGR温度センサ44が、EGR管40の各々の適宜位置に、取りつけられている。

0015

エアフローセンサ1と空燃比センサ9と吸気圧センサ14と差圧センサ43とEGR温度センサ44から得られる信号は、エンジンコントロールユニット(ECU)20に送られる。また、アクセル開度センサ12から得られる信号がECU20に送られる。アクセル開度センサ12は、アクセルペダル踏み込み量、すなわち、アクセル開度を検出する。ECU20は、アクセル開度センサ12の出力信号に基づいて、要求トルク演算する。すなわち、アクセル開度センサ12は、エンジンへの要求トルクを検出する要求トルク検出センサとして用いられる。また、ECU20は、クランク角度センサの出力信号に基づいて、エンジンの回転速度を演算する。ECU20は、上記各種センサの出力から得られるエンジンの運転状態に基づき、空気流量、燃料噴射量、点火時期、燃料圧力等のエンジンの主要な作動量を最適に演算する。

0016

ECU20で演算された燃料噴射量は開弁パルス信号に変換され、インジェクタ13に送られる。また、ECU20で演算された点火時期で点火されるように、点火信号が点火プラグ17に送られる。また、ECU20で演算されたスロットル開度は、スロットル駆動信号として電子制御スロットル2に送られる。また、ECU20で演算された可変バルブタイミングの作動量は、可変バルブタイミング駆動信号として、可変バルブタイミング5へ送られる。また、ウェイストゲート弁11は、排気の一部を分留させてコンプレッサへの流入量を調節する装置である。ECU20で演算されたウェイストゲート弁開度は、ウェイストゲート弁駆動信号として、ウェイストゲート弁11へ送られる。また、ECU20で演算されたEGR弁開度は、EGR弁開度駆動信号として、EGR弁41へ送られる。

0017

吸気管から吸気バルブを経てシリンダ15内に流入した空気に対し、燃料が噴射され、混合気を形成する。混合気は所定の点火時期で点火プラグ17から発生される火花により爆発し、その燃焼圧によりピストンを押し下げてエンジンの駆動力となる。更に、爆発後の排気ガスは排気管16を経て、三元触媒10に送りこまれ、排気成分は三元触媒10内で浄化され、外部へと排出される。

0018

図2は、エンジン制御装置エンジン始動から触媒暖機完了までの制御フローの一例を示したシステムブロック図である。ステップS601でイグニッションキーがONになると、S602へ進みECU20への通電がONとなる。続いてS603でスタータへの通電がONとなると、スタータのモータに駆動されて、クランクシャフトが回転を始める。そして、S604で燃料噴射および点火が行われることでエンジン始動となる。冷機状態からエンジンを始動した直後は、エンジンの回転保持やエンジン暖機のために、一時的にエンジン回転数アイドル状態よりも速い回転数に設定される。これをファストアイドル状態と呼ぶ。エンジン始動後に、ファストアイドル状態になったと、エンジン回転数に基づいてS605で判定されると、S607において、エンジンが冷機状態にあるかの判定が行われる。

0019

ECU21は、エンジン内の油温や水温に基づいて、エンジン100が冷機状態にあるか否かを判定する。ここで油温は、可変バルブタイミング5a、5bやピストン18等、エンジン内の摺動部の潤滑性を増すために、エンジン内部を循環させるエンジンオイルの温度である。水温は、シリンダ15の壁面外側などを流れ、燃焼で発生する熱からエンジンを保護する冷却水の温度である。油温、水温ともに、エンジン内部に埋め込まれた温度センサによって、その温度が検知される。例えば、ECU21は、油温、水温が共に80℃以下である場合、冷機状態と判定する。S607において、冷機状態にあると判定された場合、S608において、点火時期を上死点後よりも遅角させる、点火時期リタードによる暖機が開始される。点火時期を遅角すると、燃焼ガスがピストンを押し下げて仕事をする期間が減少し、燃焼で発生した全エネルギーにおける排気損失の割合が相対的に増加する。熱は排気損失として内燃機関から排気され、下流にある排気管16や三元触媒10といった機関伝わり、エンジン暖機が促進される。また、点火時期のリタードは、そのリタード量が大きいほど、排気温度が上昇し、エンジン暖気が促進される。

0020

S611において、触媒に搭載された温度センサに基づき、触媒の温度を検知し、触媒の活性化温度(約400℃)に到達した場合、エンジンの暖機が完了したと判定する。S611で暖機完了と判定された場合、触媒暖機制御は終了となり、通常制御移行する。

0021

ここで、S608では点火時期リタードが行われるが、冷機始動直後はシリンダ15内部の温度が低く、燃焼不安定を回避するために点火時期リタードを大きく取ることができない。すると、排気温度を高くすることができず、内燃機関の下流にある触媒の活性化時間を短縮できないという問題がある。

0022

図3は、本実施例におけるエンジンの、エンジン始動から触媒暖機完了までの制御フローを示したシステムブロック図である。ステップS701からS707までは図2のS601からS607までと同様であるので、説明を省略する。S708において点火時期がリタードされるが、冷機始動直後はシリンダ15の筒内の内部の温度が低く、燃焼不安定を回避するために点火時期リタードを大きく取ることができない。

0023

そこで、本実施例のECU20が有する中央処理装置(CPU)は、S709において、筒内昇温制御を行い、シリンダ15の筒内のガス温度を昇温させる筒内昇温部を有する。筒内昇温部によりシリンダ15の筒内のガス温度を上昇させることにより、冷却損失、すなわち壁面への伝熱量が増加し、燃焼不安定のリスクが軽減する。

0024

また本実施例のECU20が有する中央処理装置(CPU)は、エンジンに取り付けられた点火装置(点火プラグ17)の点火時期を制御する点火時期制御部を有する。そして点火時期制御部は、S709で筒内昇温部によりシリンダ15の筒内のガス温度を昇温させる前のS708における点火時期リタード量に対し、S709での筒内昇温部による筒内温度昇温後のS710における点火時期リタード量を増加させるように点火プラグ17の点火時期を制御する
S711において、触媒温度等に基づき、エンジンの暖機が完了したか否かを判定する。S711で暖機完了と判定された場合、触媒暖機制御は終了となり、通常制御へ移行する。

0025

このように本実施例においてECU20のCPUは、上記した筒内昇温部と点火時期制御部とを有し、点火時期リタード量を増加させる前に筒内昇温部で筒内昇温を行うことにより、燃焼不安定のリスクが軽減し、また点火時期制御部により点火時期リタード量を筒内昇温前のリタード量より増加させることで、排気温度を上げることができる。よって、触媒暖機時間が低減し、始動時の排気を低減することができる。

0026

図4は、本実施例においてECU20のCPU(制御部)の筒内昇温部の一例として、吸気バルブおよび排気バルブの動作を説明する図であり、山型盛り上がっている期間に、バルブが開いていることを示している。ここでTDC(Top Dead Center)はピストン上死点、BDC(Bottom Dead Center)はピストン下死点であり、エンジンのシリンダ15内をピストン18が上死点と下死点との間を上下に往復運動する。また本実施例ではエンジンの動作周期の間に4つの行程を経る、4ストローク/1サイクルエンジンを例として説明する。

0027

膨張行程では、点火プラグ17により点火された混合気が燃焼し、燃焼ガスが膨張してピストン18が下死点まで押し下げられる。排気行程では慣性によりピストン18が上がり燃焼ガスをシリンダ15外に押し出す吸入行程ではピストン18が下がり混合気をシリンダ15内に吸い込む。そして圧縮行程ではピストン18が上死点まで上がり混合気を圧縮する。

0028

本実施例のECU20のCPU(制御部)の筒内昇温部は、排気バルブ5dを膨張行程または排気行程において開弁させるとともに排気行程の上死点前に閉じるように可変バルブタイミング機構5b(排気側)を制御する。一方で吸気バルブ5cを上死点後の吸気行程において開弁させるとともに、吸気行程または圧縮行程において閉弁するように可変バルブタイミング機構5a(吸気側)を制御する。このように制御することで排気行程から吸気行程において吸気バルブ5c及び排気バルブ5dが同時に閉じ、排気が圧縮される期間(NVO期間、Negative Valve Overlap)を設けることができる。すなわち、ピストンが排気行程の上死点に向かう際に排気を圧縮する期間(NVO期間)を設けることができる。

0029

NVO期間が作られることで、排気行程中のガスがシリンダ15内に閉じ込められて圧縮されて、ガス温度が上昇する。ガス温度が上昇することで、冷却損失、すなわち壁面への伝熱量が増加し筒内が昇温される。

0030

図5は、図4に示したエンジンの1サイクルを繰り返し、継続して一定期間、行った場合において、本実施例のECU20のCPU(制御部)によるそれぞれのサイクルにおける点火プラグ17の点火時期、排気バルブ5dの閉弁時期、吸気バルブ5cの開弁時期と、またシリンダ15内の筒内温度の変化を示している。本実施例におけるECU20の値を太線で、本実施例を適用しない参考例のECU20における値は点線で示した。ここで、グラフ上の点火時期およびバルブ開閉時期の値については、0が上死点であり、正の方向が上死点後のクランク角度であり、負の方向は上死点前のクランク角度である。また、図5のa、b、c、dは全て正の実数である。

0031

本実施例を適用しない参考例のECUでは、時刻0においてエンジンを始動し、時刻T1で点火プラグ17の点火時期をリタードし、暖機を開始する。冷機始動直後はシリンダ15内部の温度が低く、燃焼不安定を回避するために点火プラグ17の点火時期リタード量を大きく取らず、時刻T2において、点火時期をa[deg.ATDC]に設定する。

0032

可変バルブタイミング機構5b(排気側)により排気バルブ5dを排気行程のピストン上死点である0[deg.ATDC]またはその前後で閉弁するように制御する。すなわち、閉弁時期(EVC、Exhaust Valve Close)が排気行程のピストン上死点 である0[deg.ATDC] またはその前後で設定され、これにより、排気の完全掃気が行われる。一方で、可変バルブタイミング機構5a(吸気側)により吸気バルブ5cをEVC直後に開弁するように制御する。すなわち、開弁時期(IVO、Intake Valve Open)が排気行程のピストン上死点 である0[deg.ATDC] またはその前後で設定され、これにより排気が完全に終わった後に、新気を取り込む吸気が開始される。筒内温度は時刻0において雰囲気温度Taと等しいが、時刻T4において、筒内温度が燃焼安定温度Tsに到達すると、点火時期を更にリタードさせ、時刻T5において、点火時期をb[deg.ATDC]とし、排気温度を上げて触媒昇温加速する。

0033

これに対し本実施例のECU20のCPU(制御部)は、時刻0においてエンジンを始動して、時刻T1で暖機が開始し、点火時期リタードを行う。点火時期については、冷機始動直後はシリンダ15内部の温度が低く、燃焼不安定を回避するために点火時期リタード量を大きく取らず、時刻T2において、点火時期をa[deg.ATDC]に設定する。この点は参考例と同様である。

0034

ここで本実施例のECU20のCPU(制御部)の筒内昇温部は、時刻T1において、可変バルブタイミング機構5b(排気側)により排気バルブ5dを排気行程の上死点より前の−c[deg.ATDC]において閉弁するように制御する。一方で可変バルブタイミング機構5a(吸気側)により吸気バルブ5cを排気行程の上死点より後のd[deg.ATDC]において開弁するように制御する。このように、排気行程の上死点よりも前に排気バルブ5dを閉じ、排気行程の上死点よりも後に吸気バルブ5cを開くように、可変バルブタイミング機構5a、5bを制御することで、排気行程において吸排バルブが同時に閉じているNVO期間を作る。

0035

つまり、ECU20のCPU(制御部)は、時刻T1から徐々に点火時期をリタードさせ、点火時期をa[deg.ATDC]に至る前において、筒内昇温部によりNVO期間が形成されるように、可変バルブタイミング機構5a、5bを制御する。

0036

この本実施例の制御により筒内温度は時刻0において雰囲気温度Taと等しいが、NVO期間を設けたことによる筒内昇温効果で、参考例よりも筒内が急速に昇温する。そして、ECU20のCPU(制御部)は、あらかじめ定めた筒内温度Tsに到達したとき、またはあらかじめ定めた時刻T3において、点火時期リタード量を増加させ、時刻T4において点火時期をa[deg.ATDC]よりも更にリタードしたb[deg.ATDC]とすることで排気温度を上げて触媒昇温を加速する。本実施例では、参考例よりも早期に点火時期リタード量を大きくすることができる。

0037

このように、NVO期間を設けることにより、シリンダ15内のガス温度が上昇し、壁面への伝熱量が増加し、早期に筒内が昇温され、燃焼不安定のリスクが軽減する。そのため、早期に点火時期リタード量増加させ、排気温度を上げて触媒昇温を加速し、触媒活性化までの時間が短縮することで、始動時の排気を低減することができる。

0038

図6は、本実施例によるエンジンの制御装置における、ガス噴射用インジェクタを配置した場合のシリンダ付近(図1中の点線A部)の構成図である。本実施例では、シリンダ15の内部に直接、空気などのガスを噴射するガス噴射用インジェクタ13aを備える。ガスインジェクタ13aを用いて、排気行程中にシリンダ15内にガス、例えば空気を噴射し、NVO期間中にシリンダ15内部に閉じ込められるガスの体積を増加させることで、NVO期間に圧縮されるガスの温度が、ガス噴射が無い時に比べて上昇する。そして、あらかじめ定めた筒内温度Tsに到達した時、またはあらかじめ定めた時刻T3において、点火時期リタード量を増加させ、時刻T4において点火時期をb[deg.ATDC]とし、排気温度を上げて触媒昇温を加速する。

0039

このように、NVO中に不活性ガスを噴射することにより、筒内をより急速に昇温することが可能となる。より早期に点火時期リタード量増加させ、排気温度を上げて触媒昇温を加速し、触媒活性化までの時間が短縮することで、始動時の排気を低減することができる。

0040

以下、図7を用いて、本発明の実施例2について説明する。本実施例ではNVO期間を設ける以外の筒内昇温部を有するECU20のCPU(制御部)の動作を説明する。エンジン基本構成については、実施例1の図1の構成と同様であるので、省略する。本実施例においてECU20のCPU(制御部)の筒内昇温部は、可変バルブタイミング機構を制御することにより筒内を昇温させるものである。

0041

図7は、本実施例においてECU20のCPU(制御部)の筒内昇温部の一例として、可変バルブタイミング機構の動作を説明する図であり、山型に盛り上がっている期間に、吸気バルブ5c、又は排気バルブ5dが開いていることを示している。

0042

また、エンジンの圧縮比は、機械圧縮比と実圧縮比の2種類に分けられる。機械圧縮比は、ピストン下死点での筒内体積を、ピストン上死点での筒内体積で除した値であり、エンジンの構造で定まる圧縮比である。実圧縮比は、吸気バルブが閉弁した際の筒内体積を、ピストン上死点での筒内体積で除した値であり、吸気バルブの閉弁時期制御によりその値を機械圧縮比よりも小さくすることができる。例えば、吸気バルブを下死点よりも後に閉じると、筒内ガスの一部は吸気管へ吹き戻され、筒内の体積が減り、筒内ガスの圧縮比が減少する。ガソリンエンジンの機械圧縮比はおおむね10から14である。本実施例では、例として機械圧縮比12として説明する。

0043

エンジン始動時、吸気バルブ5cの閉弁時期IVC(IVO、Intake Valve Close)は、下死点に近づけるほど実圧縮比が増加し、下死点から進角または遅角させることで、IVCは下死点から遠ざかり、実圧縮比は減少する。エンジン始動時は、IVCを下死点またはその付近に設定してしまうと、実圧縮比が機械圧縮比同等まで上がってしまう。すると始動時に必要以上のトルクが発生して、エンジン振動が発生しやすい。また逆に、IVCを吸気行程中盤まで進角または圧縮行程中盤まで遅角させてしまうと、実圧縮比が低過ぎて混合気温度が下がり、失火が起こりやすい。これらのエンジン振動と失火抑制のバランスを鑑みて、IVCは、実圧縮比が10前後となる位置に、すなわち吸気行程から圧縮行程にかけての下死点から30degから60degほど進角または遅角した位置に設定される。参考例では、IVCは下死点から60deg遅角した位置に設定され、エンジン始動後もその位置が保たれる。

0044

これに対し、本実施例においてECU20のCPU(制御部)の筒内昇温部は、図5において、エンジン始動後の時刻T1から徐々に点火時期をリタードさせ、点火時期をa[deg.ATDC]に至る前において、実施例1ではNVO期間を形成するように可変バルブタイミング機構5a、5bを制御していたが、それとは別の方法で筒内を昇温させるものである。より具体的にはECU20のCPU(制御部)の筒内昇温部は、図5において、エンジン始動後の時刻T1から徐々に点火時期をリタードさせ、点火時期をa[deg.ATDC]に至る前において、吸気バルブ5cを吸気行程から圧縮行程にかけての下死点に、又は下死点の近傍で閉じるように制御する。すなわち、エンジン始動後の時刻T1に、吸気バルブ5cのIVCを吸気行程から圧縮行程にかけての下死点に、又は下死点の近傍に設定するものである。参考例では、IVCは下死点から25deg遅角した位置に設定される。

0045

これにより、実圧縮比を上げることで、圧縮される混合気の温度が上昇し、壁面への伝熱量が増加し、筒内昇温効果を得ることができる。このように、可変バルブタイミング機構を用いて実圧縮比を調整することにより、筒内をより急速に昇温することが可能となる。したがって図5と同様に、ECU20のCPU(制御部)は、あらかじめ定めた筒内温度Tsに到達したとき、またはあらかじめ定めた時刻T3において、点火時期リタード量を増加させ、時刻T4において点火時期をa[deg.ATDC]よりも更にリタードしたb[deg.ATDC]とすることで排気温度を上げて触媒昇温を加速する。本実施例では、参考例よりも早期に点火時期リタード量を大きくすることができる。よって早期に点火時期リタード量増加させ、排気温度を上げて触媒昇温を加速し、触媒活性化までの時間が短縮することで、始動時の排気を低減することができる。

0046

以下、図8を用いて、本発明の実施例3について説明する。本実施例ではNVO期間を設ける以外の筒内昇温部を有するECU20のCPU(制御部)の動作を説明する。エンジン基本構成については、実施例1の図1の構成と同様であるので、省略する。本実施例においてECU20のCPU(制御部)の筒内昇温部は、可変圧縮比機構を制御することにより筒内を昇温させるものである。

0047

図8は、本実施例のECU20のCPU(制御部)による点火プラグ17の点火時期、可変圧縮比機構の機械圧縮比と、またシリンダ15内の筒内温度の変化を示している。本実施例におけるECU20の値を太線で、本実施例を適用しない参考例のECU20における値は点線で示した。ここで、グラフ上の点火時期の値については、0が上死点であり、正の方向が上死点後のクランク角度であり、負の方向は上死点前のクランク角度である。また、図5のa、bは全て正の実数である。

0048

可変圧縮比機構は、ピストン18のストローク量を調整し、エンジン100の機械圧縮比を調整する装置である。前述のとおり、始動時の実圧縮比が機械圧縮比同等まで上がってしまうと、必要以上のトルクが発生し、エンジン振動が発生しやすい。また逆に実圧縮比が低過ぎると混合気温度が下がり、失火が起こりやすい。これらを鑑みて、可変バルブタイミング機構による実圧縮比の調整代踏まえて、一般的なエンジンの機械圧縮比ε1は決定される。

0049

これに対し、本実施例においてECU20のCPU(制御部)の筒内昇温部は、図5において、エンジン始動後の時刻T1から徐々に点火時期をリタードさせ、点火時期をa[deg.ATDC]に至る前において、実施例1ではNVO期間を形成するように可変バルブタイミング機構5a、5bを制御していたが、それとは別の方法で筒内を昇温させるものである。より具体的にはECU20のCPU(制御部)の筒内昇温部は、エンジン始動後の時刻T1から徐々に点火時期をリタードさせ、点火時期をa[deg.ATDC]に至る前において、機械圧縮比をε1からε2へ増加させるように可変圧縮比機構を制御する。

0050

機械圧縮比が増加したことで、圧縮行程において圧縮されるガスの体積が増加し、圧縮行程終了時の混合気温度は、機械圧縮比をε1に保った場合に比べて上昇する。その結果、壁面への伝熱量が増加し、筒内昇温効果を得ることができる。

0051

このように、可変圧縮比を用いて機械圧縮比を調整することで、筒内をより急速に昇温することが可能となる。より早期に点火時期リタード量増加させ、排気温度を上げて触媒昇温を加速し、触媒活性化までの時間が短縮することで、始動時の排気を低減することができる。

0052

以下、図9を用いて、本発明の実施例4について説明する。本実施例ではNVO期間を設ける以外の筒内昇温部を有するECU20のCPU(制御部)の動作を説明する。本実施例では、NVO期間を設ける以外の筒内昇温手段として、点火時期変更による筒内昇温部を示す。

0053

図8は、本実施例のECU20のCPU(制御部)による点火プラグ17の点火時期、またシリンダ15内の筒内温度の変化を示している。本実施例におけるECU20の値を太線で、本実施例を適用しない参考例のECU20における値は点線で示した。ここで、グラフ上の点火時期の値については、0が上死点であり、正の方向が上死点後のクランク角度であり、負の方向は上死点前のクランク角度である。また、図5のa、b、eは全て正の実数である。

0054

一般的に、初回の燃焼が完了し、エンジンが始動した後は点火時期をリタードさせ、例えば点火時期をa[deg.ATDC]に設定する。これにより、排気温度を増加させ、触媒暖機効果を得ているが、点火時期をリタードしている際は、熱損失のうち、排気への熱量(排気損失)が支配的となり、壁面への伝熱量(冷却損失)は相対的に低下してしまうため、筒内の昇温は早期化しない。

0055

本実施例では、本実施例においてECU20のCPU(制御部)の筒内昇温部は、エンジン始動後、例えば参考例において点火時期をリタード開始する時刻T1に、点火時期を進角させるように点火プラグ17を制御する。点火時期を進角し、特に圧縮上死点より前の−e[deg.ATDC]に設定すると、着火した混合気が圧縮され、圧縮上死点における筒内温度は点火時期リタード時に比べて大幅に上昇する。その後、あらかじめ定めた筒内温度Tsに到達した時、またはあらかじめ定めた時刻T3において、点火時期リタード量を増加させ、時刻T4において点火時期をb[deg.ATDC]とし、排気温度を上げて触媒昇温を加速する。また、アイドリングストップ後や、エンジン停止後すぐの再始動など、エンジンが始動した際に筒内が既に十分昇温している場合は、時刻T1において点火時期を進角させず、すぐに点火時期をリタードして触媒暖機運転に移行しても良い。

0056

このように、始動直後に点火時期を進角させて筒内を急速昇温することで、筒内昇温後は参考例に比べて早期に大きな点火時期リタード量を取ることが可能となる。その結果、排気温度が上がって触媒昇温が加速し、触媒活性化までの時間が短縮することで、始動時の排気を低減することができる。

実施例

0057

なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。

0058

1…エアフローセンサ
2…電子制御スロットル
4…過給機
4a…コンプレッサ
4b…タービン
5a…吸気側可変バルブタイミング機構
5b…排気側可変バルブタイミング機構
6…吸気マニホールド
7…インタークーラ
9…空燃比センサ
10…三元触媒
11…ウェイストゲート弁
12…アクセル開度センサ
13…筒内直接燃料噴射用インジェクタ
13a…筒内直接ガス噴射用インジェクタ
14…吸気圧力センサ
15…シリンダ
16…排気管
17…点火プラグ
18…ピストン
20…ECU
40…EGR管
41…EGR弁
42…EGRクーラ
43…差圧センサ
44…EGR温度センサ
45…インタークーラパイパス弁A
46…インタークーラパイパス弁B
47…インタークーラパイパス流路
100…エンジン

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