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技術 耐切創性紡績糸

出願人 東レ・デュポン株式会社
発明者 吉田和義巽薫
出願日 2016年2月22日 (5年8ヶ月経過) 出願番号 2016-030643
公開日 2017年8月31日 (4年1ヶ月経過) 公開番号 2017-150096
状態 特許登録済
技術分野 衣服の材料 糸;糸またはロープの機械的な仕上げ 職業用、工業用またはスポーツ用保護衣
主要キーワード ゲージタイ 防護材 フェンシング 地下足袋 刃物類 掌部分 高機能繊維 紡績設備
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この項目の情報は公開日時点(2017年8月31日)のものです。
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図面 (3)

課題

切創力が高くかつ柔軟性に優れる耐切創性紡績糸、及び、切創力と引張強力のバランスが良好でかつ柔軟性に優れる耐切創性紡績糸、ならびに、これら紡績糸を用いてなる防護衣料を提供する。

解決手段

単繊維繊度が異なる2種以上のアラミド短繊維混紡してなる紡績糸であって、単繊維繊度が3.0〜5.0dtexのパラ系アラミド短繊維Aを20〜95質量%、単繊維繊度が1.2〜2.7dtexのアラミド短繊維Bを5〜80質量%含み、より好ましくは、短繊維Aの混率をY(質量%)、短繊維Bの混率を100−Y(質量%)としたとき、下記式(I)を満たすことを特徴とする耐切創性紡績糸。AF×Y≧BF×(100−Y) (I)(AF;短繊維Aの単繊維繊度(dtex)、BF;短繊維Bの単繊維繊度(dtex))

概要

背景

ナイロンポリエステルアクリル繊維等の汎用熱可塑性合成繊維は、柔軟で快適な衣料用繊維であるが、刃物類剪断応力によって切れ易く、摩耗して穴開きし易い。従ってこれらの汎用熱可塑性合成繊維は、身辺が危険に曝されるおそれの大きい場面で使用される衣料製品、例えば消防服レーシングスーツ製鉄用作業服または溶接用作業服、及び作業用手袋などの防護用繊維素材として適しているとはいえない。

一方、硬い素材から得られるガラス繊維セラミック繊維及び金属繊維は、耐切断性に優れた素材であるが、柔軟性が低く、軽量性にも欠ける。また、フィラメントの自由端が作業者使用者の身体を刺す危険性があり、これまた防護用の繊維素材として適しているとはいえない。

ナイロンやポリエステル繊維等の汎用熱可塑性合成繊維は、250℃前後で溶融し、限界酸素指数が約20前後で、空気中で良く燃焼するのに対して、アラミド繊維等の高機能繊維は、250℃前後では溶融せず(約400〜500℃で分解する)、限界酸素指数が29〜30で空気中では炎を近づけると燃焼するが、炎を遠ざけると燃焼を続けることができない耐熱性難燃性に優れた素材である。それ故、アラミド繊維は、炎や高熱に曝される危険性の高い場面で使用される衣料製品、例えば消防服、レーシングスーツ、製鉄用や溶接用の作業服、手袋などの防護衣料として好んで用いられている。中でも、耐熱性、高強度特性、耐創傷性を有するパラ系アラミド繊維は、切創防止のための作業用手袋などに利用されている。

しかし、アラミド繊維紡績糸を用いて防護衣料などを製造する場合、該繊維の剛性が高いため、紡績糸の切創力と引張強力あるいは柔軟性とは互いに取り合いの関係にあり、これらの特性バランスの良い紡績糸を得ることは極めて難しいという問題がある。即ち、切創力や引張強力を高めようとすると柔軟性が劣るものとなり、柔軟性を高めようとすると切創力や引張強力が低下する。

特許文献1及び特許文献2には、繊維強化樹脂複合体において、メタ系アラミド繊維とパラ系アラミド繊維を混紡した紡績糸を用いることが提案されている。かかる提案では、紡績糸織編布樹脂との親和性や切削加工性を向上させるべく、メタ系/パラ系アラミド繊維を所定の比率で混紡し、かつ、混紡糸の強力を向上させるために、アラミド繊維の単繊維繊度を細くして混紡糸中の単繊維本数を増やしている。しかしながら、メタ系/パラ系アラミド繊維の混紡によって混紡糸の強力向上は認められるが、加工性はメタ系アラミド繊維単独の場合と同等であり、切創力に優れる紡績糸も得られていない。

一方、特許文献3には、保温性に優れる衣料用編地を得るべく、単繊維繊度が異なりかつ単繊維繊度の差が0.4dtex以上である、2種類のアクリル短繊維を混紡した紡績糸を用いることが提案されている。片方短繊維は単繊維繊度を0.7dtex以下、他方の短繊維は風合いが硬くなるのを防ぐため単繊維繊度を1.3dtex以下に設定している。しかしながら、かかる技術は高機能繊維を対象とするものではなく、切創力に関する検討もなされていない。

概要

切創力が高くかつ柔軟性に優れる耐切創性紡績糸、及び、切創力と引張強力のバランスが良好でかつ柔軟性に優れる耐切創性紡績糸、ならびに、これら紡績糸を用いてなる防護衣料を提供する。単繊維繊度が異なる2種以上のアラミド短繊維を混紡してなる紡績糸であって、単繊維繊度が3.0〜5.0dtexのパラ系アラミド短繊維Aを20〜95質量%、単繊維繊度が1.2〜2.7dtexのアラミド短繊維Bを5〜80質量%含み、より好ましくは、短繊維Aの混率をY(質量%)、短繊維Bの混率を100−Y(質量%)としたとき、下記式(I)を満たすことを特徴とする耐切創性紡績糸。AF×Y≧BF×(100−Y) (I)(AF;短繊維Aの単繊維繊度(dtex)、BF;短繊維Bの単繊維繊度(dtex))

目的

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

単繊維繊度が異なる2種以上のアラミド短繊維混紡してなる紡績糸であって、単繊維繊度が2.8〜8.0dtexのパラ系アラミド短繊維Aを20〜95質量%、単繊維繊度が1.0〜2.7dtexのアラミド短繊維Bを5〜80質量%含むことを特徴とする耐切創性紡績糸。

請求項2

短繊維Aの混率をY(質量%)、短繊維Bの混率を100−Y(質量%)としたとき、下記式(I)を満たすことを特徴とする請求項1に記載の耐切創性紡績糸。AF×Y≧BF×(100−Y)(I)(AF;短繊維Aの単繊維繊度(dtex)、BF;短繊維Bの単繊維繊度(dtex))

請求項3

短繊維Aの混率Yが20〜80質量%、短繊維Bの混率が20〜80質量%であることを特徴とする請求項1または2に記載の耐切創性紡績糸。

請求項4

短繊維Bがパラ系アラミド短繊維であることを特徴とする請求項1〜3いずれかに記載の耐切創性紡績糸。

請求項5

請求項1〜4いずれかに記載の耐切創性紡績糸で構成したことを特徴とする防護衣料

技術分野

0001

本発明は、切創力に優れ、さらには切創力と引張強力のバランスが良好で、かつ柔軟性に優れる耐切創性紡績糸、及び該紡績糸を用いてなる防護衣料に関する。

背景技術

0002

ナイロンポリエステルアクリル繊維等の汎用熱可塑性合成繊維は、柔軟で快適な衣料用繊維であるが、刃物類剪断応力によって切れ易く、摩耗して穴開きし易い。従ってこれらの汎用熱可塑性合成繊維は、身辺が危険に曝されるおそれの大きい場面で使用される衣料製品、例えば消防服レーシングスーツ製鉄用作業服または溶接用作業服、及び作業用手袋などの防護用繊維素材として適しているとはいえない。

0003

一方、硬い素材から得られるガラス繊維セラミック繊維及び金属繊維は、耐切断性に優れた素材であるが、柔軟性が低く、軽量性にも欠ける。また、フィラメントの自由端が作業者使用者の身体を刺す危険性があり、これまた防護用の繊維素材として適しているとはいえない。

0004

ナイロンやポリエステル繊維等の汎用熱可塑性合成繊維は、250℃前後で溶融し、限界酸素指数が約20前後で、空気中で良く燃焼するのに対して、アラミド繊維等の高機能繊維は、250℃前後では溶融せず(約400〜500℃で分解する)、限界酸素指数が29〜30で空気中では炎を近づけると燃焼するが、炎を遠ざけると燃焼を続けることができない耐熱性難燃性に優れた素材である。それ故、アラミド繊維は、炎や高熱に曝される危険性の高い場面で使用される衣料製品、例えば消防服、レーシングスーツ、製鉄用や溶接用の作業服、手袋などの防護衣料として好んで用いられている。中でも、耐熱性、高強度特性、耐創傷性を有するパラ系アラミド繊維は、切創防止のための作業用手袋などに利用されている。

0005

しかし、アラミド繊維紡績糸を用いて防護衣料などを製造する場合、該繊維の剛性が高いため、紡績糸の切創力と引張強力あるいは柔軟性とは互いに取り合いの関係にあり、これらの特性バランスの良い紡績糸を得ることは極めて難しいという問題がある。即ち、切創力や引張強力を高めようとすると柔軟性が劣るものとなり、柔軟性を高めようとすると切創力や引張強力が低下する。

0006

特許文献1及び特許文献2には、繊維強化樹脂複合体において、メタ系アラミド繊維とパラ系アラミド繊維を混紡した紡績糸を用いることが提案されている。かかる提案では、紡績糸織編布樹脂との親和性や切削加工性を向上させるべく、メタ系/パラ系アラミド繊維を所定の比率で混紡し、かつ、混紡糸の強力を向上させるために、アラミド繊維の単繊維繊度を細くして混紡糸中の単繊維本数を増やしている。しかしながら、メタ系/パラ系アラミド繊維の混紡によって混紡糸の強力向上は認められるが、加工性はメタ系アラミド繊維単独の場合と同等であり、切創力に優れる紡績糸も得られていない。

0007

一方、特許文献3には、保温性に優れる衣料用編地を得るべく、単繊維繊度が異なりかつ単繊維繊度の差が0.4dtex以上である、2種類のアクリル短繊維を混紡した紡績糸を用いることが提案されている。片方短繊維は単繊維繊度を0.7dtex以下、他方の短繊維は風合いが硬くなるのを防ぐため単繊維繊度を1.3dtex以下に設定している。しかしながら、かかる技術は高機能繊維を対象とするものではなく、切創力に関する検討もなされていない。

先行技術

0008

特開2002−113788号公報
特開平8−174689号公報
特開2010−203000号公報

発明が解決しようとする課題

0009

本発明は、かかる従来技術の背景に鑑み、切創力が高くかつ柔軟性に優れる耐切創性紡績糸、及び、切創力と引張強力のバランスが良好でかつ柔軟性に優れる耐切創性紡績糸、ならびに、これら紡績糸を用いてなる防護衣料を提供せんとするものである。

課題を解決するための手段

0010

上記課題を解決するため、本発明者等は、紡績糸の切創力、引張強力、柔軟性の関係について鋭意検討を重ねた結果、単繊維繊度が2.8〜8.0dtexの太繊度パラ系アラミド短繊維を一定の混率で混紡した紡績糸とすることで、切創力が向上し、柔軟性が付与され、さらには引張強さが保持される耐切創性紡績糸が得られることを見出し、従来互いに取り合いの関係にあった特性を全て向上させ得る耐切創性紡績糸に到達した。

0011

すなわち、本発明は、以下の通りである。

0012

(1)単繊維繊度が異なる2種以上のアラミド短繊維を混紡してなる紡績糸であって、
単繊維繊度が2.8〜8.0dtexのパラ系アラミド短繊維Aを20〜95質量%、単繊維繊度が1.0〜2.7dtexのアラミド短繊維Bを5〜80質量%含むことを特徴とする耐切創性紡績糸。
(2)短繊維Aの混率をY(質量%)、短繊維Bの混率を100−Y(質量%)としたとき、下記式(I)を満たすことを特徴とする上記(1)に記載の耐切創性紡績糸。
AF×Y≧BF×(100−Y) (I)
(AF;短繊維Aの単繊維繊度(dtex)、BF;短繊維Bの単繊維繊度(dtex))
(3)短繊維Aの混率Yが20〜80質量%、短繊維Bの混率が20〜80質量%であることを特徴とする上記(1)または(2)に記載の耐切創性紡績糸。
(4)短繊維Bがパラ系アラミド短繊維であることを特徴とする上記(1)〜(3)いずれかに記載の耐切創性紡績糸。
(5)上記(1)〜(4)いずれかに記載の耐切創性紡績糸で構成したことを特徴とする防護衣料。

発明の効果

0013

本発明によれば、太繊度パラ系アラミド短繊維を所定の混率で混紡することにより、切創力が高くかつ柔軟性に優れる耐切創性紡績糸を得ることができる。また、太繊度パラ系アラミド短繊維を所定の混率で混紡することにより、切創力と引張強力のバランスが良好で、かつ柔軟性に優れる耐切創性アラミド紡績糸を得ることができる。これら耐切創性紡績糸は、防護衣料用として好適である。

図面の簡単な説明

0014

太繊度アラミド短繊維の混率と手袋の耐切創性との関係を示すグラフである。
太繊度アラミド短繊維の混率と、紡績糸(単糸双糸)の引張強力×手袋の耐切創性の積との関係を示すグラフである。

0015

以下、本発明の耐切創性紡績糸について詳細を説明する。
本発明の耐切創性紡績糸は、単繊維繊度が異なる2種以上のアラミド短繊維を混紡してなる紡績糸であって、単繊維繊度が2.8〜8.0dtexのパラ系アラミド短繊維Aを20〜95質量%、単繊維繊度が1.0〜2.7dtexのアラミド短繊維Bを5〜80質量%含むことを特徴とする。

0016

このような太繊度パラ系アラミド短繊維A(以下、短繊維Aと省略する。)を所定の混率で混紡することにより、単繊維繊度1.0〜2.7dtexのアラミド短繊維B(以下、短繊維Bと省略する。)のみからなる紡績糸に比べて、切創力が高く、かつ柔軟性を有する耐切創性紡績糸を得ることができる。

0017

本発明の耐切創性紡績糸による効果は、例えば、後述する実施例の図1及び図2に示されている。即ち、図1に示す如く、短繊維Aの混率を20〜95質量%の範囲内とすることにより、短繊維Aを含まない紡績糸に比べて切創力が高く、かつ柔軟性を有する耐切創性紡績糸を得ることができる。短繊維Aの混率が20質量%未満では、耐切創性紡績糸の切創力が不十分となり、95質量%を超えると、耐切創性紡績糸の柔軟性を確保することが困難になる。短繊維Aの耐切創性紡績糸における混率は、さらに好ましくは20〜80質量%、特に好ましくは35〜70質量%である。短繊維Aの混率を前記範囲内とすることにより、図2に示す如く、耐切創性紡績糸の切創力を低下させることなく、引張強力を向上させた紡績糸が得られる。この耐切創性紡績糸は、切創力を目付で除して100倍した耐切創性と引張強力の積を縦軸、太繊度パラ系アラミド短繊維の混率(対紡績糸)を横軸にとった場合、耐切創性と引張強力の積が極大値を示し、とりわけ、短繊維Aの混率20〜80質量%の範囲においてその効果が顕著になる。

0018

本発明の耐切創性紡績糸においては、短繊維Aの単繊維繊度AFは2.8〜8.0dtexの範囲であることが重要であり、単繊維繊度が2.8dtex以上、より好ましくは3.0dtex以上であれば切創力の高い耐切創性紡績糸が得られ、単繊維繊度が8.0dtex以下、より好ましくは5.0dtex以下であれば柔軟性を有する耐切創性紡績糸となり得るからである。短繊維Aの単繊維繊度が耐切創性紡績糸の各特性に及ぼす影響は比較的小さいため、上記範囲内で選択すれば良いが、引張強力の付与及び柔軟性の向上の観点より、短繊維Aの単繊維繊度AFは、さらに好ましくは3.2〜4.8dtexの範囲である。

0019

また、本発明の耐切創性紡績糸においては、短繊維Aの混率Y(質量%)、短繊維Bの混率100−Y(質量%)としたとき、下記式(I)を満たすことが好ましい。
AF×Y≧BF×(100−Y) (I)
(AF;短繊維Aの単繊維繊度(dtex)、BF;短繊維Bの単繊維繊度(dtex))

0020

即ち、AF、Y、BF、100−Yの4要素が上記式(I)を満たすことが好ましく、該式(I)により、短繊維Aにおける単繊維繊度AFと混率Yの積が、短繊維Bにおける単繊維繊度BFと混率(100−Y)の積と同等以上であれば、短繊維の本数に比例して紡績糸の引張強力と切創力が向上するため、引張強力を確保できる耐切創性紡績糸となり得る。一方、上記式(I)を満たさない場合は、切創力を確保することが困難になる。短繊維Aの好ましい比率Yは、短繊維Aの単繊維繊度にもよって若干異なるが、40〜90質量%である。

0021

本発明の耐切創性紡績糸では、図1の例より、耐切創性は短繊維Aの混率が約65質量%以上では平衡状態となり、それ以上混率を高くしても耐切創性が直線的に向上しない。このことは、短繊維Aの単繊維繊度(太さ)AFと単繊維本数との積を一定値以上にすれば、耐切創性の確保が可能になる、との推定が成り立ち得る。従って、短繊維Aの単繊維繊度AFと混率Yの積が、短繊維Bの単繊維繊度BFと混率(1−Y)の積よりも大きければ、耐切創性紡績糸を得ることができる。

0022

一方、短繊維Bの単繊維繊度BFは、1.0〜2.7dtex、より好ましくは1.2〜2.7dtexの範囲であり、混用する短繊維Aの単繊維繊度AFにより、最適な単繊維繊度BFが選択される。耐切創性の向上という観点より、さらに好ましい単繊維繊度BFは1.4〜2.6dtexの範囲である。

0023

本発明の耐切創性紡績糸において、短繊維Bを構成するアラミド繊維としては、メタ系アラミド繊維、パラ系アラミド繊維が、それぞれ単独で、または、組合せて用いられる。ここで、メタ系アラミド繊維としては、例えば、ポリメタフェニレンイソフタルアミド繊維デュポン社製、商品名「ノーメックス」)が挙げられ、パラ系アラミド繊維としては、ポリパラフェニレンテレフタールアミド繊維(東レ・デュポン社製、商品名「ケブラー」)、コポリパラフェニレン−3,4’−ジフェニルエーテルテレフタルアミド繊維(帝人テクプロダクツ社製、商品名「テクノーラ」)等が挙げられる。これらのアラミド繊維の中でも、特に、高弾性率で、引張強さ、切創力に優れている点より、パラ系アラミド繊維が好ましい。
また、短繊維Aを構成するパラ系アラミド繊維は、上記のポリパラフェニレンテレフタールアミド繊維(東レ・デュポン社製、商品名「ケブラー」)、コポリパラフェニレン−3,4’−ジフェニルエーテルテレフタルアミド繊維(帝人テクノプロダクツ社製、商品名「テクノーラ」)等のいずれであっても良い。

0024

短繊維A及び短繊維Bの繊維長は、耐切創性紡績糸の柔軟性及び紡績工程などにおける加工性の観点から、25〜1000mmが好ましく、さらに好ましくは30〜100mm、特に好ましくは30〜65mmである。

0025

本発明の耐切創性紡績糸は、捲縮を有する連続糸条または捲縮を有しない連続糸条を短くカットした後、既存の綿紡績スフ紡績または梳毛紡績設備で製造することができる。紡績糸の太さは、用途にもよるが、通常40s〜5s番手の範囲で好ましく使われる。5s未満では耐切創性紡績糸の加工性が劣り、40sを超えると引張強力に優れる耐切創性紡績糸を得ることが難しくなる。織編物や手袋の編み立てに用いる耐切創性紡績糸の好ましい形態は、紡績糸単糸または紡績糸単糸を2本引きそろえて紡績糸単糸と逆方向に撚糸した紡績糸双糸である。紡績糸双糸の番手は、40/2s〜5/2sが望ましく、前記範囲内であれば加工性が著しく損なわれることがない。
なお、英式綿番手は、453.6g(1ポンド)あたりの糸の長さが768.10m(840ヤード)のものを1番手といい、糸が細くなると番手数が大きくなる。

0026

本発明の耐切創性紡績糸を得るには、単糸及び双糸は、次式で求められる撚係数(K2)が2.5〜6.0の範囲で加撚することが好ましい。撚係数(K2)が2.5より小さいと、アラミド短繊維同士の絡みが弱くなりすぎ、該短繊維の端部が紡績糸からはみ出し、ちくちく感の多い織編物となり易い。一方、撚係数(K2)が6.0より大きいと、強撚になりすぎて二重撚の発生が強くなって加工性が悪化し、耐切創性紡績糸の引張強度も低下し、また風合いが悪化する傾向がある。より好ましい撚係数(K2)は2.5〜3.5の範囲である。耐切創性紡績糸単糸の撚方向は、S、Zのいずれでもよい。双糸の撚り方向は単糸の撚り方向と逆が好ましい。

0027

撚係数K2=T1/s1/2
T1:撚数(回/25.4mm)
s :綿番手

0028

また本発明の防護衣料は、本発明の耐切創性紡績糸100%で構成することが、該紡績糸が有する高い切創力、引張強力と言った優れた特性が如何なく発揮される点で好ましいが、交織交編のように他の繊維や糸との併用でもよい。好ましくは、耐切創性紡績糸が織物や編物等製品全体の重量のうち、70〜100%の範囲とするのがよい。

0029

さらに、本発明の防護衣料は、全てを、本発明の耐切創性紡績糸で構成してもよく、またはそれらを部分的に使用することでもよい。例えば、作業用手袋では、作業内容により指先部分掌部分だけのように、特定の部分に本発明の耐切創性紡績糸や織編物等を使うことができる。織編物や防護材、防護衣料には、必要に応じ、樹脂コーティングを施すこともできる。

0030

本発明の耐切創性紡績糸及び防護衣料は、厳しい使用環境条件が要求される用途に特に適している。これには、直接防護目的として使用されるものは勿論、結果的に防護機能が果たされるものも含まれ、具体的には、作業用または工業用手袋、腕カバー前掛け足首カバーの他、作業靴地下足袋、溶接用作業衣スポーツ用として、スポーツ用上着、同ズボン、同シューズ野球サッカー用のソックスフェンシングユニフォーム;消防服、溶接作業カーテン消防用ホースタイヤコード椅子張布、各種補強布等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。

0031

以下、実施例及び比較例を用いて本発明を更に具体的に説明するが、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。なお、以下の実施例及び比較例における各特性値測定方法は次の通りである。

0032

[紡績糸の試験方法
JIS L 1095:2010「一般紡績糸試験方法」9.5(単糸引張強さ及び伸び率JIS法a)標準時、9.8(引掛強さ)に準拠し、紡績糸単糸及び紡績糸双糸の引張強力を評価した。引張試験機にて、つかみ間隔250mm、引張速度300mm/minで試料が切断したときの荷重(N)を測定した。

0033

[切創力および耐切創性(切れ難さ:Cut resistance)]
JIS T 8052:2005「防護服機械的特性鋭利物に対する切創抵抗性試験方法」に準拠し、手袋の手の平部の切創力(N)を測定した。切創力(N)を織編物の目付(g/m2)で除して100倍した、耐切創性を求めた。耐切創性の値が大きいほど切れ難いと判定した。

0034

[柔軟性]
実施例および比較例で作成した手袋を着用した際の装着感および手指の動作性(動かし易さ、曲げ易さ)について判定し、柔らかくかつ手指の動作性が良いものを「○」、硬いものを「×」と判定した。

0035

(実施例1〜3、比較例1〜2)
太繊度パラ系アラミド短繊維Aとして、東レ・デュポン社製パラ系アラミド繊維ステープル(商品名Kevlar(R)、引張強度15.7cN/dtex、限界酸素指数29、単繊維繊度3.33dtex、繊維長51mm、捲縮数8山/2.54cm)を使用した。
普通アラミド短繊維Bとして、東レ・デュポン社製パラ系アラミド繊維ステープル(商品名Kevlar(R)、引張強度17.6cN/dtex、限界酸素指数29、単繊維繊度1.67dtex、繊維長51mm、捲縮数8山/2.54cm)を使用した。

0036

太繊度パラ系アラミド短繊維Aと、普通パラ系アラミド短繊維Bを、表1に示す所定の比率(質量比)にて、常法により、打綿工程で混ぜ合わせた後、紡績工程の梳綿練条粗紡リング精紡の各工程を通し、撚り数13.0(回/2.54cm)、撚り方向Zの紡績糸20s(綿番手・単糸)を作製した。撚り係数K=2.9である。

0037

得られた紡績糸(単糸)を2本引き揃え、撚り数8.4(回/2.54cm)で単糸と逆方向のS方向に撚糸して、双糸20/2sを得た。撚り係数K=2.7である。撚数比率(双糸撚数/単糸撚数)は65%とした。

0038

次に、得られた紡績糸(20/2s)を5本、7ゲージタイプの手袋編み機(株式会社島精機製作所)に供給して、手の平部の目付520〜570g/m2の手袋を編みあげた。

0039

(実施例4)
太繊度パラ系アラミド短繊維Aとして、実施例1で用いたものと同じ単繊維繊度3.33dtexのパラ系アラミド繊維ステープルを使用した。
アラミド短繊維Bとして、東レ・デュポン社製パラ系アラミド繊維ステープル(商品名Kevlar(R)、引張強度18.1cN/dtex、限界酸素指数29、単繊維繊度1.2dtex、繊維長51mm、捲縮数8山/2.54cm)を使用した。
実施例1と同様の方法で紡績糸20s(綿番手・単糸)を作製し、それを本引き揃え、実施例1と同様の条件で撚糸して、双糸20/2sを得た。得られた紡績糸(20/2s)を5本、7ゲージタイプの手袋編み機(株式会社島精機製作所)に供給して、表1に示す目付の手袋を編みあげた。

0040

(実施例5)
アラミド短繊維Bとして、東レ・デュポン社製パラ系アラミド繊維ステープル(商品名Kevlar(R)、引張強度16.8cN/dtex、限界酸素指数29、単繊維繊度2.5dtex、繊維長51mm、捲縮数8山/2.54cm)を使用した以外は、実施例4と同様にして紡績糸を作製し、得られた紡績糸(20/2s)を5本、7ゲージタイプの手袋編み機(株式会社島精機製作所)に供給して、表1に示す目付の手袋を編みあげた。

0041

実施例および比較例で得られた紡績糸、およびそれを用いて編み上げた手袋を、前記試験法により評価した結果を表1に示す。
また、実施例1〜3および比較例1〜2において、太繊度短繊維Aの混率と耐切創性との関係を図1に、太繊度短繊維Aの混率と紡績糸(単糸、双糸)の引張強力×手袋の耐切創性との関係を図2に示す。

0042

0043

表1及び図1の結果より、実施例1〜3で作製した手袋は、ソフトでボリューム感豊かな風合いを有していて、短繊維Aの混率80質量%までは、混率が高くなるにしたがい手袋の耐切創性が向上した。短繊維Aの混率が80質量%を超えても、手袋の耐切創性は維持されていた。一方、紡績糸の引張強力は、短繊維Aの混率が増加するにしたがいほぼ直線的に低下する傾向が認められた。

0044

また、太繊度パラ系アラミド短繊維Aと混綿する短繊維Bの単繊維繊度を変えた場合(実施例4、5)も、ソフトでボリューム感豊かな風合いを有する手袋が得られ、手袋の耐切創性が向上した。短繊維Aと混綿する短繊維Bの単繊維繊度が大きくなるほど、手袋の耐切創性はやや高くなる傾向があり、反対に紡績糸の引張強力は低下する傾向が認められた。

実施例

0045

さらに、図2より、耐切創性と紡績糸双糸の引張強力の積は、短繊維Aの混率50〜80質量%にピークが認められ、とりわけ、短繊維Aの混率50〜70質量%の範囲では、切創力、引張強力及び柔軟性を兼備する紡績糸が得られていることが分かる。

0046

本発明の耐切創性紡績糸及びそれで構成した織編物は、消防服、レーシングスーツ、製鉄・溶接用作業服、手袋などの防護衣料として好適に用いられる。

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