図面 (/)

技術 電気設備の診断方法

出願人 三菱電機株式会社
発明者 梅村園子三木伸介椿弘一森武彦
出願日 2016年2月15日 (4年10ヶ月経過) 出願番号 2016-025854
公開日 2017年8月24日 (3年4ヶ月経過) 公開番号 2017-146112
状態 特許登録済
技術分野 耐候試験、機械的方法による材料調査 抵抗、インピーダンスの測定 配電盤
主要キーワード 電気室内 二重円筒構造 イオン値 受配電盤 硝酸イオン量 採取箇所 劣化進行度 コイル押え
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2017年8月24日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (15)

課題

工場設備等に備えられた多数の受配電機器に備わる絶縁物絶縁劣化診断を効率よく行って、余寿命の短い受配電機器を確実に発見する。

解決手段

複数の電気室内ガスおよび塵埃採取する工程と、複数の電気室内の温度および湿度を測定する工程と、採取したガス中反応性ガス量を測定する工程と、採取した塵埃のイオン量を測定する工程と、測定した温度および湿度、反応性ガス量、およびイオン量に基づいて受配電機器が備える絶縁物の表面抵抗に関するパラメータYを算出する工程とを行うスクリーニング診断により、診断すべき受配電機器を選択する。

概要

背景

受配電機器は、工場設備ビル設備電力を供給する上で重要な役割を担っており、安全に安定して電力を供給できる状況を維持することが不可欠である。長期間にわたる使用により、受配電機器に備わる絶縁物劣化し、それが原因で電気トラブルが発生すると、工場生産停止設備の損傷など、工場やビル設備に与える影響はきわめて大きなものとなる。このため、受配電機器に使用している絶縁物の絶縁性能について、精度のよい診断技術が望まれている。

一方、工場やビルなどの建築物には、多くの場合、複数の電気室が備えられている。電気的トラブルを未然に防止するために点検が行なわれているが、予算や時間の制約で、毎回、すべての電気室を点検できないことが多い。ここで、点検とは、電気室の受配電機器を停電し、対象となる個々の絶縁物に対して絶縁劣化診断に必要な測定項目を測定し、絶縁余寿命を求めることを指している。余寿命を求め、メンテナンスの時期やメンテナンス作業の内容を判断するのが絶縁劣化診断である。

すべての電気室を点検することができない場合、どの電気室を点検するかの判断が必要である。こうした場合は、使用年数が長い電気室、あるいは使用年数が長い受配電機器を設置している電気室を優先して点検することが一般的である。しかし、絶縁物の劣化進行度は電気室の設置された環境に大きく左右されるため、使用年数が短いにもかかわらず絶縁劣化が早く進行してしまい、早急に対処しなければならないことも多い。

従来の絶縁物の簡易的な劣化診断方法としては、受配電盤内の塵埃採取し、この塵埃に含まれるイオン量と温度履歴および湿度履歴とから、絶縁物の表面抵抗率を算出する方法がある(例えば、特許文献1参照)。また、絶縁材料に対して、温度、湿度、色相汚損度イオン含有量などを評価し、係数評価項目実測値に基づいて、一次式を用いて絶縁物の絶縁抵抗値を求めることも可能である(例えば、特許文献2参照)。

しかしながら、絶縁物の設置場所劣化度相関関係を詳細に調査した結果、絶縁物の表面抵抗率低下の主原因は電気室内の塵埃ではなく、大気中のNOxやSOx等のガスから生成するイオンであることが見出された。図1は、大気中のNOxによる、絶縁物の劣化メカニズムを模式的に示す概念図である。絶縁物の表面では、大気中のNOxと大気中の水との反応により硝酸が生じる。絶縁物の材料が充填剤炭酸カルシウム1とガラス繊維2とを含む不飽和ポリエステルからなる場合、表面付近において、硝酸と炭酸カルシウム1が反応して硝酸カルシウム4が生成される。硝酸カルシウムは潮解性イオン性化合物であるので、絶縁物表面で吸湿した水に溶け込んでイオン化する。このような劣化メカニズムにより絶縁物の表面抵抗率が低下する。炭酸カルシウムは自然界の空気や塵埃中にも存在するので、充填剤として炭酸カルシウムを含まないポリエステル絶縁物、エポキシ絶縁物フェノール絶縁物等においても、同様の劣化メカニズムによって表面抵抗率が低下する可能性がある。SOxによる劣化メカニズムもNOxとほぼ同様で、SOxでは硫酸イオンが生じる(非特許文献1参照)。

概要

工場設備等に備えられた多数の受配電機器に備わる絶縁物の絶縁劣化診断を効率よく行って、余寿命の短い受配電機器を確実に発見する。複数の電気室内のガスおよび塵埃を採取する工程と、複数の電気室内の温度および湿度を測定する工程と、採取したガス中反応性ガス量を測定する工程と、採取した塵埃のイオン量を測定する工程と、測定した温度および湿度、反応性ガス量、およびイオン量に基づいて受配電機器が備える絶縁物の表面抵抗に関するパラメータYを算出する工程とを行うスクリーニング診断により、診断すべき受配電機器を選択する。

目的

このため、受配電機器に使用している絶縁物の絶縁性能について、精度のよい診断技術が望まれている

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

この技術が所属する分野

ライセンス契約や譲渡などの可能性がある特許掲載中! 開放特許随時追加・更新中 詳しくはこちら

請求項1

複数の電気室に各々設置された電気設備絶縁劣化診断する電気設備の診断方法であって、前記複数の電気室内塵埃採取する工程と、前記複数の電気室内の温度および湿度を測定する工程と、前記複数の電気室内の反応性ガス量を測定する工程と、採取した塵埃のイオン量を測定する工程と、測定した前記温度および湿度、前記反応性ガス量、および前記イオン量に基づいて前記電気設備が備える絶縁物に関するパラメータYを算出する工程と、パラメータYに基づいて複数の電気室から点検すべき電気室を選択する工程と、選択された前記電気室に設置された前記電気設備の点検を行う工程とを備える電気設備の診断方法。

請求項2

電気設備の点検は、選択された電気室の電気設備を停電状態とする工程と、停電状態の前記電気設備の絶縁物からイオンを採取して前記絶縁物のイオン量を測定する工程と、前記イオン量に基づいて前記絶縁物の余寿命を算出する工程とを備える請求項1に記載の電気設備の診断方法。

請求項3

パラメータYを算出する工程において、以下の式を用いる請求項1または請求項2に記載の電気設備の診断方法。ただし、X1は塵埃のイオン値、X2はSOx値、X3はNOx値、X4は温度値、X5は相対湿度値、a, b, c, d, e, f, g, h, i, j, k, m, n, p, q, rは定数

請求項4

電気室におけるパラメータYの代表値として、ひとつの電気室において求めた複数のパラメータYの最低値平均値中央値のいずれかを用いる、請求項1〜3のいずれか一項に記載の電気設備の診断方法。

請求項5

絶縁劣化を診断する電気設備として受配電機器を対象とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の電気設備の診断方法。

請求項6

絶縁劣化を診断する電気設備としてモールド変圧器を対象とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の電気設備の診断方法。

請求項7

モールド変圧器のコイル鉄心枠の間に設置された、コイル押え点検対象の絶縁物とする、請求項6に記載の電気設備の診断方法。

請求項8

モールド変圧器の低圧コイルの上部端面を点検対象の絶縁物とする、請求項6に記載の電気設備の診断方法。

技術分野

0001

本発明は、電気室内などに設置されている受配電機器などの電気設備に用いられている、絶縁物絶縁劣化診断に関する。

背景技術

0002

受配電機器は、工場設備ビル設備電力を供給する上で重要な役割を担っており、安全に安定して電力を供給できる状況を維持することが不可欠である。長期間にわたる使用により、受配電機器に備わる絶縁物が劣化し、それが原因で電気トラブルが発生すると、工場生産停止設備の損傷など、工場やビル設備に与える影響はきわめて大きなものとなる。このため、受配電機器に使用している絶縁物の絶縁性能について、精度のよい診断技術が望まれている。

0003

一方、工場やビルなどの建築物には、多くの場合、複数の電気室が備えられている。電気的トラブルを未然に防止するために点検が行なわれているが、予算や時間の制約で、毎回、すべての電気室を点検できないことが多い。ここで、点検とは、電気室の受配電機器を停電し、対象となる個々の絶縁物に対して絶縁劣化診断に必要な測定項目を測定し、絶縁余寿命を求めることを指している。余寿命を求め、メンテナンスの時期やメンテナンス作業の内容を判断するのが絶縁劣化診断である。

0004

すべての電気室を点検することができない場合、どの電気室を点検するかの判断が必要である。こうした場合は、使用年数が長い電気室、あるいは使用年数が長い受配電機器を設置している電気室を優先して点検することが一般的である。しかし、絶縁物の劣化進行度は電気室の設置された環境に大きく左右されるため、使用年数が短いにもかかわらず絶縁劣化が早く進行してしまい、早急に対処しなければならないことも多い。

0005

従来の絶縁物の簡易的な劣化診断方法としては、受配電盤内の塵埃採取し、この塵埃に含まれるイオン量と温度履歴および湿度履歴とから、絶縁物の表面抵抗率を算出する方法がある(例えば、特許文献1参照)。また、絶縁材料に対して、温度、湿度、色相汚損度イオン含有量などを評価し、係数評価項目実測値に基づいて、一次式を用いて絶縁物の絶縁抵抗値を求めることも可能である(例えば、特許文献2参照)。

0006

しかしながら、絶縁物の設置場所劣化度相関関係を詳細に調査した結果、絶縁物の表面抵抗率低下の主原因は電気室内の塵埃ではなく、大気中のNOxやSOx等のガスから生成するイオンであることが見出された。図1は、大気中のNOxによる、絶縁物の劣化メカニズムを模式的に示す概念図である。絶縁物の表面では、大気中のNOxと大気中の水との反応により硝酸が生じる。絶縁物の材料が充填剤炭酸カルシウム1とガラス繊維2とを含む不飽和ポリエステルからなる場合、表面付近において、硝酸と炭酸カルシウム1が反応して硝酸カルシウム4が生成される。硝酸カルシウムは潮解性イオン性化合物であるので、絶縁物表面で吸湿した水に溶け込んでイオン化する。このような劣化メカニズムにより絶縁物の表面抵抗率が低下する。炭酸カルシウムは自然界の空気や塵埃中にも存在するので、充填剤として炭酸カルシウムを含まないポリエステル絶縁物、エポキシ絶縁物フェノール絶縁物等においても、同様の劣化メカニズムによって表面抵抗率が低下する可能性がある。SOxによる劣化メカニズムもNOxとほぼ同様で、SOxでは硫酸イオンが生じる(非特許文献1参照)。

0007

特開2014−23401号公報
特開2015−135348号公報

先行技術

0008

三木、岡澤「化学的分析マハラノビスタグチ法の適用による遮断器用絶縁物の劣化評価」電学論B、127巻9号2007年

発明が解決しようとする課題

0009

特許文献1の方法ではSOxやNOx等ガスの影響を考慮しておらず、精度よく絶縁物の絶縁劣化を診断することができないという問題があった。
また、特許文献2に開示された、絶縁物の絶縁抵抗値を、係数、温度、湿度、色相、汚損度、イオン含有量といった評価項目データに基づく一次式で求める方法では、精度よく絶縁抵抗値を求めることができないという問題があった。

0010

絶縁物の劣化は、使用年数にのみ依存するのではなく、周囲に存在する大気中のNOxガス、SOx等の酸性ガスや、温度、湿度等の設置環境により劣化の進行が異なる。電気室点検の優先順位を使用年数で決定すると、設置環境が劣悪であるため、絶縁物の劣化が早く進行している受配電機器を点検せずに見逃してしまう「点検抜け」を生じる問題がある。

0011

この発明は、上記のような問題点を解決するためになされたものであり、点検可能な数より多い複数の電気室について絶縁劣化の進行度簡易診断し、診断結果から点検すべき電気室を見出すためのスクリーニング診断を行い、劣化が進行した受配電機器を設置した電気室をもれなく確実に発見し、絶縁劣化による電気的トラブルを未然に防ぐことを目的としている。

課題を解決するための手段

0012

本発明は、複数の電気室に各々設置された電気設備の絶縁劣化を診断する電気設備の診断方法であり、予備的な診断となるスクリーニング診断と、電気設備の絶縁に関する余寿命を調べる点検を含んでいる。このとき、複数の電気室内の塵埃を採取する工程と、複数の電気室内の温度および湿度を測定する工程と、複数の電気室内の反応性ガス量を測定する工程と、採取した塵埃のイオン量を測定する工程と、測定した温度および湿度、反応性ガス量、およびイオン量に基づいて電気設備が備える絶縁物に関するパラメータYを算出する工程と、パラメータYに基づいて複数の電気室から点検すべき電気室を選択する工程と、選択された前記電気室に設置された電気設備の点検を行う工程とを備えるものである。

発明の効果

0013

この発明によれば、使用年数が短くても、絶縁劣化が進行した受配電機器を確実に発見することができる。このため、余寿命の短い受配電機器を検査しないという検査抜けを防ぐことができる。

図面の簡単な説明

0014

大気中のNOxによる絶縁物の劣化メカニズムを模式的に示す概念図である。
この発明の実施の形態1にかかる電気設備の絶縁劣化診断方法の手順を示すフローチャートである。
相対湿度と絶縁物の表面抵抗率の関係例を示すグラフである。
この発明の実施の形態1にかかる準備の手順を示すフローチャートである。
この発明の実施の形態1にかかるスクリーニング診断の手順を示すフローチャートである。
この発明において検査対象となる電気室の例を示した模式図である。
この発明の実施の形態2にかかる検査のための準備の手順を示すフローチャートである。
表面抵抗率とマハラノビスの距離との相関関係を表す相関図の例である。
この発明の実施の形態2にかかる検査における絶縁劣化診断の手順を示すフローチャートである。
電気設備の絶縁物における相対湿度と表面抵抗率との関係を示す特性曲線図の例である。
電気設備の絶縁劣化診断による寿命推定図の例である。
三相モールド変圧器に使用されている絶縁物の配置を示す図である。
モールド変圧器の上側コイル押えコイルの部分を示した図である。
単相のモールド変圧器に使用されている絶縁物の配置を示す図である。

実施例

0015

実施の形態1.
図2は、電気室に設置された受配電機器などの電気設備について、絶縁劣化の進行度合いを診断する方法の手順を示すフローチャートである。準備S10を行った後、スクリーニング診断S20を行う。スクリーニング診断S20は、診断対象となる可能性のあるすべての電気室において実施する。スクリーニング診断S20に続いて、検査S30を実施する。検査S30では、スクリーニング診断S20で選択された電気室について点検を行う。具体的には、受配電機器を停電し、受配電機器の絶縁物を直接測定するか、絶縁物から試料を採取して絶縁劣化診断に必要な測定項目を測定し、得られたデータを用いて絶縁物の余寿命を求める。

0016

本実施の形態1においては、スクリーニング診断S20において、推定される劣化メカニズムに基づいて、電気室の絶縁劣化進行度の指標となるパラメータYを求める。Yの物理的な意味は、同じ電気室に設置されている受配電機器の絶縁物の表面抵抗率である。

0017

一般に、化学反応は温度が高いほど反応が速くなり、大気中の反応性ガスであるNOxやSOxと樹脂中あるいは塵埃中の炭酸カルシウムとの反応においても、温度が高いほど反応速度が大きくなる。そのため、NOx量またはSOx量と温度とは交互作用を持つ関係にある。なお、ここではNOx量、SOx量をSOx値、NOx値とも呼び、これらを総称して反応性ガス量と呼ぶことにする。

0018

絶縁物の表面抵抗率は、SOxガスやNOxガスと炭酸カルシウムの反応で生成する潮解性イオン化合物量と絶縁物表面のイオン付着量と相関がある。図3は、湿度と絶縁物の表面抵抗率の関係例を示すグラフである。この図から明らかなように、表面抵抗率は周囲の湿度により大きく変化する。したがって、潮解性イオン化合物の反応生成量および塵埃中のイオン化合物や海塩粒子の付着による絶縁物表面のイオン量と、湿度とは交互作用を持つ。なお、ここではイオン量をイオン値とも呼ぶことにする。以上の知見に基づいて、パラメータYは、例えば下記の式(1)から求めることができる。

0019

・・・(1)
X1は塵埃のイオン値、X2はSOx値、X3はNOx値、X4は温度値、X5は相対湿度値である。各Xn(n=1〜5)の値は、各測定項目測定値あるいは、各測定項目の平均値標準偏差標準化した数値である。

0020

スクリーニング診断S20を行うのに先立って、前述の準備S10を行う必要がある。図4は、準備S10の手順を示すフローチャートである。準備S10では、推定される劣化メカニズムに基づいて特性式を作成する(S11)。ここでは、式(1)を用いることにする。次に、あらかじめ用意された系における実測により(Y,X1,X2,X3,X4,X5)の多数の組み合わせデータを取得しておき(S12)、例えば重回帰分析で式(1)の係数a、b、c・・・q、rの係数値を求める(S13)。
イオン値として、硝酸イオン、硫酸イオン、塩素イオンナトリウムイオンカルシウムイオンアンモニアイオンを測定した場合、式(1)のaX1の項は次の式(2)で与えられる。

0021

・・・(2)
X11は硝酸イオン値、X12は硫酸イオン値、X13は塩素イオン値、X14はナトリウムイオン値、X15はカルシウムイオン値、X16はアンモニアイオン値である。係数a1、a2、a3、a4、a5、a6および係数b、c・・・q、rはすでに取得した(Y,X11,X12,X13,X14,X15,X16,X2、X3,X4,X5)の組み合わせデータから、重回帰分析などの手法を用いて求める。イオン量X1は、診断対象の絶縁物の表面抵抗率と相関関係が強い項目とすればよく、硝酸イオン値のみ、硝酸イオン値とカルシウムイオン値の2項などとしてもよく、係数値や表面抵抗率との相関関係とから測定すべき項目を選定する。以上が、点検を行うべき現地における電気室のスクリーニング診断に先立ち事前に実施しておくべき準備の内容である。

0022

次に、電気設備が設置された現地において、電気室におけるスクリーニング診断S20のための測定および診断作業について説明する。図5は、スクリーニング診断S20の手順を示すフローチャートである。まず、電気室内の塵埃の採取と、ガスの採取と反応性ガス量の測定、温度および湿度の測定を行う(S21)。電気室内のガス測定については、現場ガス分析計を持ちこんで測定対象のガス成分を測定してもよいし、採取したガスを持ち帰って実験室に備えられた分析計で測定を行ってもよい。このステップは、塵埃を採取する工程、ガスの採取と反応性ガス量の測定を行う工程、温度および湿度の測定を行う工程を含む。そして、採取した塵埃サンプルからイオン量を計測し(S22)、パラメータYを算出(S23)することによって、対象となっている電気室について点検の優先順位を決定する(S24)。この優先順位に基づいて、点検を行う電気室を選択することができる。
すべての電気室についてスクリーニング診断S20を行うことができない場合は、採取および測定S21を実施するにあたり、複数ある電気室の中で、一定年数以上使用した受配電機器を設置している電気室を抽出して実施することもできる。抽出された電気室のそれぞれについて、電気室内のNOxガス量、SOxガス量、塵埃中のイオン量、温度、湿度を測定する。以下にイオン量の測定について詳細を説明する。

0023

図6は、受配電機器を収納する筺体6が設置された電気室5の一例を示した図である。NOxガス量、SOxガス量は、外気室内空気とを入れ替え可能な開口部の近傍で測定することが好適である。開口部の例としては、たとえば外気10を電気室に吸気するピット7、バスダクト8、または、室内空気11を電気室5から排気する強制換気口9、または、図示しないケーブル引き込み口の近傍のいずれかが適切である。これらの設備がない場合は、電気室出入り口12の近傍で測定する。NOxガス量、SOxガス量は、検知管ガス検知器等で測定する。

0024

電気室5内の塵埃の採取は、筺体6内に堆積した塵埃を採取の対象とし、例えば筐体6の床に堆積した塵埃を採取すればよい。図6に示すように、電気室5に筺体6が複数個、設置されている場合は、使用年数が最も長い筺体6から採取する。使用年数が同じである場合は、外気と室内空気とを入れ替え可能な開口部にもっとも近い筺体6内から採取することが適切である。塵埃を採取する筺体6は、スクリーニング診断の対象となる各電気室において同様の基準により決定すればよい。塵埃を採取するときは、合わせて採取面積を計測しておく必要がある。

0025

次に、採取した塵埃を計量した純水に溶解させて、純水中のイオン量を測定する。測定対象とすべきイオンは、式(2)に対応して、表面抵抗率と相関関係が強い硝酸イオン、硫酸イオンについて測定すればよい。その他、パラメータYの算出において必要な確度に応じて、塩素イオン、ナトリウムイオン、カルシウムイオン、アンモニアイオン等のイオン種を選択してもよい。通常は、より多くのイオン種を考慮することにより、パラメータYの確度が向上する。イオン量の測定は、イオン試験紙、イオンメータイオンクロマトグラフ等で測定する。イオン定量値は、計量した純水量と塵埃を採取した面積量で補正し、1cm2当たりのイオン量を算出する。
次に、電気室の温度と相対湿度の計測について説明する。温度と相対湿度は、各電気室とも同日に計測する。望ましくは複数日において計測を行い、温度、相対湿度の平均値を求める。

0026

次のステップとして、電気室の絶縁物劣化進行度を求めるためのパラメータYを式(1)から求める(S23)。ここで、算出したパラメータYは、同じ電気室に設置されている複数の受配電機器に用いられている絶縁物の、最低表面抵抗率の推定値となる。このとき、式(1)の係数a、b、c、・・・q、rは、電気室診断の前に、あらかじめ重回帰分析などの手法で求めておいた係数を用いる。式(1)の各Xn値は、各測定項目の測定値あるいは、各測定項目の平均値と標準偏差で標準化した数値である。

0027

同様に、対象となっている他の電気室についても測定を行い、それぞれ電気室の絶縁物劣化進行度を求めるためのパラメータYを式(1)から求める。この式は、表面抵抗に影響する因子について、表面抵抗劣化メカニズムに合致した交互作用を持つ算出式となっているため、絶縁物を劣化させる物質の因子、絶縁劣化物質の生成速度温度依存性、さらに湿度によるイオン性化合物のイオン化特性の変化を考慮した推定値を得ることが可能である。そのため、これまでになく正確に電気室の絶縁劣化進行度についてのパラメータYを求めることができ、表面抵抗が低下する劣化の進行した電気室の点検漏れを防ぐことができる。

0028

例えば、イオン量の表面抵抗に対する影響度合いは、同じイオン量であっても湿度によって大きく変化する。つまり、湿度が低いと表面抵抗は低下しないが、湿度が高いと表面抵抗が低下するといった特性があり、交互作用の関係にある。式(1)では、計算式の中に湿度とイオン量の交互作用が組み込まれているため、より正確な推定が可能となっている。また、パラメータYを最低抵抗率として定義しているので、最も表面抵抗が劣化していると推定される絶縁物を設置した電気室を選び出すことができる。

0029

NOxガス量、SOxガス量の測定、塵埃の採取、電気室の温度と相対湿度といった測定は、電気室や受配電機器を停電状態にしなくても実施できるため、測定のために給電されている設備を停止する必要は無い。そのため、一度に多くの電気室を測定することが可能であり、時間的な制約が少ないといったメリットがある。

0030

以上に述べたスクリーニング診断を用いることにより、複数の電気室を比較して劣化進行度を簡易に診断し、絶縁劣化が進行した受配電機器を設置した電気室を精度よく特定することが可能となる。そして、絶縁劣化が進行していると推定される電気室について優先的に点検を実施することにより、余寿命の短い受配電機器をもれなく確実に点検することができ、設備運用信頼性が高まって、電気室の絶縁トラブルによる不測の事態を避けることが容易となる。
また、電気室5内の塵埃の採取は、選択したひとつの筺体6においてのみ実施するのではなく、複数の筺体6においてそれぞれ実施してもよい。例えば、配列の両端、中央等、電気室内の筐体6の複数個所の堆積した塵埃を採取の対象とし、筐体6の床に堆積した塵埃を採取することができる。あるいは、電気室5内において、清掃漏水などによる状況の変化が無く、経過状態が維持されている場合は、筐体6内に限らず、筐体6外の電気室の床中央や四隅を塵埃の採取箇所としてもよい。この場合、筐体6を開閉する必要がなく、作業が簡便となる。
塵埃のイオン量は、塵埃の採取箇所ごとにデータを取得する。ひとつの電気室内で複数個所の塵埃を採取、測定すれば絶縁物劣化進行度の指標となるパラメータYは複数個得られ、パラメータYの中で最低値となる、最低表面抵抗率を採用することが可能となる。最低表面抵抗率を代表値として用いることにより、想定外の要因により劣化の進行している絶縁物が存在する場合においても、精度の高い劣化進行度を診断することができるという効果がある。

0031

変形例1.
ひとつの電気室に設置されている、複数の受配電機器から得られた複数のパラメータY値から平均値を算出し、同じ電気室に設置されている受配電機器の絶縁物の代表値としてもよい。このようにすれば、受配電機器間のパラメータYの値がばらついていても、全ての値を考慮した比較になるので、電気室間の比較において、各電気室に特有の状況に関係した絶縁物の劣化進行度の順位をより正確に判定することができる。
変形例2.
ひとつの電気室に設置されている、複数の受配電機器から得られた複数のパラメータY値から中央値を算出し、同じ電気室に設置されている受配電機器の絶縁物の代表値としてもよい。このようにすれば、極端に劣化している特異な絶縁物を除いた、劣化進行度を診断することができるという利点がある。
上述の、電気室毎のパラメータYについて、最低表面抵抗率、平均値、中央値を算出することは容易であり、全てを算出して一覧表やグラフとしてまとめることができる。このような一連の結果に基づいて、絶縁劣化の状況について考察を行うことにより、多くの電気室の状況を簡便に診断することが可能となる。
変形例3.
絶縁物劣化進行度の指標となるパラメータYを、絶縁物を構成する材質に応じて複数用意してもよい。すなわち、すでに取得した(Y,X11,X12,X13,X14,X15,X16,X2,X3,X4,X5)の組み合わせデータにおいて、Y値を絶縁物の種類、例えば不飽和ポリエステル、フェノール樹脂エポキシ樹脂等、樹脂の種類ごとに分類し、係数式(1)の係数a、b、c、・・・q、rを、樹脂の種類ごとに重回帰分析などの手法で求める。このようにすれば、絶縁物を構成する材質に対応した、より精度の向上した診断が可能になるという効果がある。

0032

変形例4.
実施の形態1では、塵埃中のイオン値を測定し、式(1)でのX1としたが、塵埃を計量した純水に溶かし、その導電率を測定して式(1)のX1としてもよい。X1は純水量と塵埃を採取した面積で補正しておく必要がある。
この方法によれば、多種類のイオン量を計測する必要がないことから、X1の決定に手間が掛からず、現場での測定に適した方法である。そのため、至急に点検すべき電気室を決定する必要がある場合に便利な手法となる。また、電気室や受配電機器を停電しなくても測定できる利点は同様である。

0033

実施の形態2.
本実施の形態では、複数ある電気室に設置された電気設備として、特にモールド変圧器に備わる絶縁物の絶縁劣化に関する診断方法を説明する。なお、スクリーニング診断の方法については実施の形態1と同様の方法を用いる。

0034

まず、現場において診断対象のモールド変圧器に備えられた絶縁物の絶縁劣化診断を行う検査に先立ち、事前に診断のための相関図および特性図の準備を行う。図7は検査のための準備の手順を示すフローチャートである。なお、この手順はモールド変圧器以外の電気設備についても同様に適用できる。

0035

準備の第一段階として、表面抵抗率と相関関係の強い複数の測定項目を選定し、MT法(マハラノビス・タグチ法)を用いて、多数の新品サンプル未使用品)と使用品サンプルについて、測定項目ごとに測定データを取得する(S41)。測定項目は、表面抵抗率と相関関係が強く、現場での測定が可能なものが望ましいことから、絶縁物表面のイオン量と色彩(緑)、色彩(黄)を用いることが好適である。イオン量は硝酸イオン、硫酸イオン、塩素イオン、ナトリウムイオン、カルシウムイオン、カリウムイオン、アンモニアイオンなどが想定されるが、表面抵抗率と相関関係の強いものとして、硝酸イオン、硫酸イオン、塩素イオン、ナトリウムイオン、カルシウムイオン、アンモニアイオンを測定項目とした。色彩は、色彩計で測定して、L*a*b*表色系の値を取得する。ここでは、表面抵抗率と相関の強いものとして、緑方向の色彩はa*値、黄方向の色彩はb*値を選定した。なお、表色系として、マンセル表色系ハンター表色系を使用してもよい。

0036

次に、絶縁物の新品サンプルと使用品サンプルについて、表面抵抗率とマハラノビスの距離との相関関係を表す相関図を作成する(S42)。図8は、表面抵抗率とマハラノビスの距離との相関関係を表す相関図の例であり、こうした相関関係から図中に直線で示したマスタカーブを得ることができる。ここで、表面抵抗率は一定の温度、一定の相対湿度で測定したものを用いる。マスタカーブを用意することによって、マハラノビスの距離が分かれば表面抵抗率を推定することができる。

0037

次に、表面抵抗率と相対湿度との関係を示す特性図または特性式を準備する(S43)。図3のような、湿度と表面抵抗率との関係の例をもとに、ガウス分布関数を使って曲線を数式化した特性式を求めておくことができる。以上が、電気設備の検査に先立って行うべき準備作業である。

0038

モールド変圧器の絶縁物の診断では、まず、図2に示したスクリーニング診断(S20)を行う。この工程は、電気室の停電が不要であり通電状態で実施できるので、一度に複数の電気室について実施可能である。次に、スクリーニング診断(S20)により、最も絶縁劣化が進んでいると診断された電気室に設置された、モールド変圧器の絶縁劣化診断を行う。その他の優先度の高い電気室についても、可能な範囲で診断を行う。絶縁劣化診断の手順は次のようなものである。

0039

図9は、絶縁劣化を診断する検査(S30)における絶縁劣化診断の手順を示すフローチャートである。まず、対象となる電気室について停電処置を実施する(S31)。これによって、診断対象となるモールド変圧器の絶縁物に直接触れて作業を行うことが可能になる。

0040

続いて、設置されているモールド変圧器の絶縁物について、診断用の測定項目である硝酸イオン量硫酸イオン量塩素イオン量ナトリウムイオン量、カルシウムイオン量、アンモニアイオン量、色彩の指数としてa*、b*を測定する(S32)。これらの診断用測定データを、MT法を用いて1つの指標となるマハラノビスの距離で表し、これに対応する表面抵抗率の数値を図8に例示した相関図から読み取る。さらに、S43の特性式を用いて、S33で得た表面抵抗率の数値と、相対湿度との特性曲線を作成する。図10は、受配電機器における相対湿度と表面抵抗率との関係を示す特性曲線図の例であり、湿度50%における幾つかの表面抵抗率から、特性曲線群を作成したものである。このような曲線から、測定対象絶縁物の、診断に用いる湿度における表面抵抗率の補正値を取得する(S33)。

0041

図11は、絶縁劣化診断による電気設備の寿命推定図の例である。縦軸を表面抵抗率(対数目盛とする)、横軸を使用年(経年)とし、新品時の絶縁抵抗率アを使用年数0年にプロットする。次に、表面抵抗率算出(S33)の工程で得た補正値イ(例えば相対湿度50%の表面抵抗率、新品も相対湿度50%の表面抵抗率)をプロットした2点を直線で結び、劣化傾向線を得る。予め設定した表面抵抗率のしきい値を横軸に平行に引き、このしきい値の線と劣化傾向線との交点ウから寿命を求める。しきい値は、管理規定をもとに定めたり、過去の事例から導き出したり、実験により定めればよい。寿命から現在の使用年数を引き算し、余寿命を求める(S34)。
なお、データ取得(S41)および測定(S32)での測定項目は、マスタカーブ作成(S42)で求める相関図の相関性を確認して、必要とされる精度から決定すればよく、例えば色彩a*、色彩b*を用いずに、イオン量のみとすることもできる。
さらには、イオン量についても、相関性を確認して、必要とする精度から決定すればよく、カルシウムイオン量と硝酸イオン量を測定項目としてもよい。

0042

このように、検査(S30)は手間の掛かる工程であり、大規模な設備においてすべての電気室について実施するのは現実的ではない。あらかじめスクリーニング診断(S20)を行うことにより、最も絶縁劣化が進んでいると推測される電気室において優先して診断を実施できるので、劣化が進んだ絶縁物をもれなく確実に診断することができる。

0043

実施の形態3.
図12は、三相のモールド変圧器20に使用されている絶縁物の配置を示す図であり、(a)は正面図、(b)は上面図である。このモールド変圧器20の絶縁物として、上側コイル押え21〜26、下側コイル押え27〜32、コイル39〜41、エポキシ碍子42〜44が設置されている。図13は、モールド変圧器20の上側コイル押え21とコイル39の部分を詳しく示した図である。コイル押え21〜32は、鉄心枠45とコイル39、40、41の間に設置されている。LVは低圧端子HV高圧端子である。図13に示すように、コイル39、40、41は二重円筒構造となっており、外側の円筒高圧コイル、内側の円筒は低圧コイルである。高圧コイル上部の端面を、高圧コイル端面33、34、35、低圧コイル上部の端面を低圧コイル端面36、37、38と呼ぶ。コイルは絶縁物で覆われており、高圧コイル上部端面33、34、35、低圧コイル端面36、37、38も絶縁物である。これらのコイル上部の端面は塵埃が堆積しやすいことから、反応生成物蓄積して絶縁物の劣化が進行しやすいと考えられる。

0044

図14は、単相のモールド変圧器50に使用されている絶縁物の配置を示す図である。三相のモールド変圧器20と同様に、絶縁物として、上側コイル押え51〜54、下側コイル押え55〜58、コイル63、64、エポキシ碍子65、66、67が設置されている。単相のモールド変圧器も三相と同様に、コイルは二重構造となっている。

0045

このように、モールド変圧器には多くの絶縁物が使用されているので、これら絶縁物の中で、劣化が進行しやすい絶縁物を診断するようにすれば、効率よく劣化診断が可能である。ここでは、どの部位の絶縁物が最も劣化しているかを判定する方法について述べる。

0046

まず、使用されていたモールド変圧器の絶縁物を回収し、絶縁物のイオン量を測定する。また、新品のモールド変圧器の絶縁物についても測定を行う。取得するイオン量データは、ナトリウムイオン量、アンモニアイオン量、カルシウムイオン量、塩素イオン量、硝酸イオン量、硫酸イオン量とし、この6項目の測定値から、MT法を用いてマハラノビスの距離を求める。新品、使用品の絶縁物ごとに、温度20℃、相対湿度50%での表面抵抗率を測定し、マハラノビスの距離との相関図を不飽和ポリエステル絶縁物、エポキシ絶縁物等、絶縁物の種類ごとに作成してマスタカーブとする。
次に、複数の使用されていたモールド変圧器の絶縁物についてイオン量データを測定する。図12図14に示す変圧器に使用されている、コイル押え、コイル、コイル端面、エポキシ碍子絶縁物それぞれについて、イオン量データを測定する。
絶縁物の種類ごとの相関図を用いて、イオン量データから求めたマハラノビスの距離から表面抵抗率を得る。例えば、図12に示した三相のモールド変圧器20であれば、21〜44の絶縁物それぞれについて、イオン量を測定し、MT法を用いて21〜44それぞれのマハラノビスの距離求め、相関図より21〜44それぞれの表面抵抗率を求める。
得られた表面抵抗率の値から、1台のモールド変圧器20の絶縁物について表面抵抗率の低いものから1位、2位、3位・・・と順位をつける。

0047

0048

表1は単相モールド変圧器の絶縁物について表面抵抗率の順位付けを行った結果の例であり、単相モールド変圧器の4台、No.1〜No.4を例にして説明する。No.1のモールド変圧器で、図14に示す絶縁物51〜67について、表面抵抗率が低いものから順に、1位、2位、3位・・・と劣化の順位をつける。同様に、No.2、No.3、No.4のモールド変圧器について、同様に絶縁物51〜67について、表面抵抗率が低いものから、1位、2位、3位・・・と劣化の順位をつける。
次に、得られた順位をそのまま点数に置き換えて、上記のコイル押え51からエポキシ碍子67まで、各部位ごとに表面抵抗率の順位の中央値、あるいは平均値を求めて、当該変圧器の絶縁物の中で、最も抵抗が低下し絶縁劣化が進行している部位を見出す。
ここで、物理量としての表面抵抗率を直接比較するのではなく、順位を点数化して比較を行う理由について述べる。劣化した絶縁物の表面抵抗率は、個体によって桁の違う数値となる場合が多いので、物理量の統計処理では、桁違いの値による影響の度合いが大きい。変圧器ごとに部位の順位付けをしていれば、桁違いの値を持つ特異点の影響を受けにくい。そのため、確率的に劣化進行度が速い部位を見つけるには、変圧器の中で順位付けによって平均値、中央値を求める方法が適切である。

0049

実際に、多くのモールド変圧器絶縁物の表面抵抗率順位を比較した結果、三相、単相ともに、モールド変圧器のコイル押え、あるいは低圧上部コイル端面が最も順位が上となっており、表面抵抗率の低下が顕著であることを見出した。これは、変圧器使用時に低圧コイルは温度上昇が顕著であり、劣化が進行しやすいこと、コイル押えは劣化しやすいポリエステルが使用されていることが原因と推定された。
コイル押え、あるいは低圧コイル上部端面は劣化が進んでいるので、これらを優先して点検することで、効率的に絶縁物の余寿命を求めることができる。このように、あらかじめ変圧器中で診断すべき絶縁物を決定することで、最も絶縁劣化が進行した絶縁物を推定することができ、少ない測定で精度よく絶縁劣化の診断ができる。

0050

この方法によって決定された絶縁物を測定対象としてパラメータYを決定し、上述のスクリーニング診断S20を実施すれば、多くの使用中のモールド変圧器について表面抵抗率の比較ができるので、効率的に電気室の検査を行うことが可能になる。さらに、低圧コイルの上部は、変圧器の運転負荷により温度が大きく異なるため、イオン採取を行う箇所として利用して点検を行うことにより、適切な余寿命診断を行うことが可能になる。

0051

1炭酸カルシウム、2ガラス繊維、3不飽和ポリエステル、4硝酸カルシウム、5電気室、6受配電機器が収納された筺体、7ピット、8バスダクト、9強制換気口、10外気、11室内空気、20モールド変圧器、21〜26 上側コイル押え、27〜32 下部コイル押え、33,34,35高圧コイル端面、36,37,38低圧コイル端面、39,40,41コイル、42,43,44エポキシ碍子、45鉄心枠、50 モールド変圧器、51〜54 上側コイル押え、55〜58 下側コイル押え、59,60 高圧コイル端面、61,62 低圧コイル端面、63,64 コイル、65,66,67 エポキシ碍子、68 鉄心枠

ページトップへ

この技術を出願した法人

この技術を発明した人物

ページトップへ

関連する挑戦したい社会課題

関連する公募課題

ページトップへ

おススメ サービス

おススメ astavisionコンテンツ

新着 最近 公開された関連が強い技術

  • ダイキン工業株式会社の「 着氷防止治具」が 公開されました。( 2020/10/29)

    【課題】空気調和装置で処理された空気の温度及び湿度の少なくとも一方を測定するセンサーが低温時に着氷を生じることを抑制する。【解決手段】0℃以下を含む所定の範囲で空気の温度を調節する温度調節部(10)と... 詳細

  • 大成建設株式会社の「 剥離試験機」が 公開されました。( 2020/10/29)

    【課題】簡易かつ短時間で試験を行うことができ、また、異なる試験担当者が試験を行う場合であっても試験片に対して同等の条件にて引張力を作用させることができる剥離試験機を提案する。【解決手段】融着された遮水... 詳細

  • コニカミノルタ株式会社の「 樹脂の劣化度評価試験方法及びそれを用いた樹脂のリサイクルシステム」が 公開されました。( 2020/10/29)

    【課題】本発明の課題は、回収された樹脂の劣化状態を簡易に判断できる樹脂の劣化度評価試験方法及びそれを用いた樹脂のリサイクルシステムを提供することである。【解決手段】本発明の樹脂の劣化度評価試験方法は、... 詳細

この 技術と関連性が強い人物

関連性が強い人物一覧

この 技術と関連する社会課題

関連する挑戦したい社会課題一覧

この 技術と関連する公募課題

関連する公募課題一覧

astavision 新着記事

サイト情報について

本サービスは、国が公開している情報(公開特許公報、特許整理標準化データ等)を元に構成されています。出典元のデータには一部間違いやノイズがあり、情報の正確さについては保証致しかねます。また一時的に、各データの収録範囲や更新周期によって、一部の情報が正しく表示されないことがございます。当サイトの情報を元にした諸問題、不利益等について当方は何ら責任を負いかねることを予めご承知おきのほど宜しくお願い申し上げます。

主たる情報の出典

特許情報…特許整理標準化データ(XML編)、公開特許公報、特許公報、審決公報、Patent Map Guidance System データ