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技術 内燃機関

出願人 三菱重工エンジン&ターボチャージャ株式会社
発明者 竹本大育柚木晃広石黒達男小倉和雄古川雄太長船信之介
出願日 2016年2月15日 (5年2ヶ月経過) 出願番号 2016-025755
公開日 2017年8月24日 (3年8ヶ月経過) 公開番号 2017-145695
状態 特許登録済
技術分野 吸い込み系統 吸気または排気の慣性を用いるもの
主要キーワード 比熱比γ 多孔質エレメント 仕様パラメータ 通気抵抗体 通気抵抗値 調整管 発電用ガスエンジン 所定曲率
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (12)

課題

給気マニホールドに生じる給気脈動を抑制することにより、良好なエンジン効率を達成可能な内燃機関を提供する。

解決手段

内燃機関は、少なくとも1の気筒(2)を有するエンジン本体(10)と、調整管(12)を有する給気マニホールド(4)とを備える。調整管の長さは、給気マニホールドから調整管に向かって進行する第1の圧力波(14A)と調整管から給気マニホールドに向かって進行する第2の圧力波(14B)とが、気筒において互いに逆位相になるように設定されている。

概要

背景

様々な用途において動力源として内燃機関が広く用いられている。例えば発電プラント等を稼働させるための動力源としては、大出力であり、且つ、経済的なメタンガス等を使用するガスエンジンが知られている。

ところで内燃機関の各気筒における燃焼室に空気又は混合ガス充填する際には、気筒に設けられた給気弁掃気ポート)が開いてシリンダ内に流入することとなるが、その際にシリンダ内に充填される空気量又は混合気量は、シリンダ及び給気マニホールド間の圧力差に基づいて決定される。このとき、気筒及び給気マニホールド間の圧力差により負圧の圧力波が発生し、燃焼サイクルに応じた給気脈動が生ずる。そして給気脈動によって、気筒及び給気マニホールド間の圧力差が経時的に変化するため、各気筒への給気量が当該圧力差によって影響を受ける。特に、気筒及び給気マニホールド間の圧力差が小さくなると、気筒への給気量が減少してしまい、エンジン効率が低下する要因となる。

このようなエンジン効率の低下を抑制するための技術として、例えば特許文献1がある。この文献では、スロットル弁の下流側の吸気管インパルス弁を設け、インパルス弁の開度をスロットル弁の開度変化に同期して制御することで、エンジン運転状態変化に伴って給気量が変動する場合であっても良好な追従性が得られ、エンジン性能の低下を抑制できることが記載されている。

概要

給気マニホールドに生じる給気脈動を抑制することにより、良好なエンジン効率を達成可能な内燃機関を提供する。内燃機関は、少なくとも1の気筒(2)を有するエンジン本体(10)と、調整管(12)を有する給気マニホールド(4)とを備える。調整管の長さは、給気マニホールドから調整管に向かって進行する第1の圧力波(14A)と調整管から給気マニホールドに向かって進行する第2の圧力波(14B)とが、気筒において互いに逆位相になるように設定されている。

目的

本発明の少なくとも一実施形態は上述の問題点に鑑みなされたものであり、給気時に生じる圧力脈動を抑制することにより、エンジン効率を向上可能な内燃機関を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

少なくとも1の気筒を有するエンジン本体と、前記少なくとも1の気筒に給気マニホールドを介して接続された給気管と、所定長さを有するとともに前記給気マニホールドから延在する調整管と、を備え、前記所定長さは、前記給気マニホールドから前記調整管に向かって進行する第1の圧力波と前記調整管から前記給気マニホールドに向かって進行する第2の圧力波とが、前記少なくとも1の気筒の少なくとも一部において互いに逆位相になるように設定されていることを特徴とする内燃機関

請求項2

前記所定長さは、前記エンジン本体の定格出力時における給気温度又は混合気組成に基づいて設定されることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関。

請求項3

前記調整管は、前記給気マニホールドの屈曲部に設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の内燃機関。

請求項4

前記調整管は、その入口部が前記少なくとも1の気筒に対向するように設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の内燃機関。

請求項5

前記エンジン本体は単一の気筒を有する単気筒エンジンであることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の内燃機関。

請求項6

前記エンジン本体は複数の気筒を有する多気筒エンジンであることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の内燃機関。

請求項7

前記少なくとも1の気筒は、第1の気筒群及び第2の気筒群を含み、前記給気マニホールドは、前記第1の気筒群に接続された第1のマニホールド及び前記第2の気筒群に接続された第2のマニホールドを含み、前記調整管は前記第1のマニホールド及び前記第2のマニホールドを互いに連通するように設けられていることを特徴とする請求項6に記載の内燃機関。

請求項8

前記調整管は、前記調整管の内部を進行する給気に対して通気抵抗を発生させるための通気抵抗体を有することを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の内燃機関。

請求項9

前記通気抵抗体は、多孔質材料から構成されていることを特徴とする請求項8に記載の内燃機関。

請求項10

前記通気抵抗体は通気抵抗値可変に構成されており、前記エンジン本体の運転状態に関するパラメータを取得するパラメータ取得部と、前記パラメータ取得部で取得されたパラメータに基づいて、前記通気抵抗体の通気抵抗を可変に制御する制御部と、を備えることを特徴とする請求項9に記載の内燃機関。

技術分野

0001

本開示は、少なくとも1の気筒を有する内燃機関に関する。

背景技術

0002

様々な用途において動力源として内燃機関が広く用いられている。例えば発電プラント等を稼働させるための動力源としては、大出力であり、且つ、経済的なメタンガス等を使用するガスエンジンが知られている。

0003

ところで内燃機関の各気筒における燃焼室に空気又は混合ガス充填する際には、気筒に設けられた給気弁掃気ポート)が開いてシリンダ内に流入することとなるが、その際にシリンダ内に充填される空気量又は混合気量は、シリンダ及び給気マニホールド間の圧力差に基づいて決定される。このとき、気筒及び給気マニホールド間の圧力差により負圧の圧力波が発生し、燃焼サイクルに応じた給気脈動が生ずる。そして給気脈動によって、気筒及び給気マニホールド間の圧力差が経時的に変化するため、各気筒への給気量が当該圧力差によって影響を受ける。特に、気筒及び給気マニホールド間の圧力差が小さくなると、気筒への給気量が減少してしまい、エンジン効率が低下する要因となる。

0004

このようなエンジン効率の低下を抑制するための技術として、例えば特許文献1がある。この文献では、スロットル弁の下流側の吸気管インパルス弁を設け、インパルス弁の開度をスロットル弁の開度変化に同期して制御することで、エンジン運転状態変化に伴って給気量が変動する場合であっても良好な追従性が得られ、エンジン性能の低下を抑制できることが記載されている。

先行技術

0005

特開2009−191696号公報

発明が解決しようとする課題

0006

上記特許文献1では、運転状態の変動に対する追従性を改善することでエンジン効率を向上させている。そのため、自動車用エンジンのように運転状態が時事刻々と変動する用途には適する一方で、例えば発電用エンジンのように定格運転が占める割合が多い用途においては効果が得られにくいという問題点がある。
また特許文献1では給気脈動に関しては根本的な解決策が示されておらず、依然として給気脈動に起因するエンジン効率低下については改善の余地が残されている。

0007

本発明の少なくとも一実施形態は上述の問題点に鑑みなされたものであり、給気時に生じる圧力脈動を抑制することにより、エンジン効率を向上可能な内燃機関を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0008

(1)本発明の少なくとも一実施形態に係るエンジン制御装置は上記課題を解決するために、少なくとも1の気筒を有するエンジン本体と、前記少なくとも1の気筒に給気マニホールドを介して接続された給気管と、所定長さを有するとともに前記給気マニホールドから延在する調整管と、を備え、前記所定長さは、前記給気マニホールドから前記調整管に向かって進行する第1の圧力波と前記調整管から前記給気マニホールドに向かって進行する第2の圧力波とが、前記少なくとも1の気筒の少なくとも一部において互いに逆位相になるように設定されている。

0009

上記(1)の構成によれば、エンジン本体に接続された給気マニホールドには、所定長さを有する調整管が設けられている。この調整管の長さは、少なくとも1の気筒において第1の圧力波及び第2の圧力波が互いに逆位相になるように設定されているため、当該気筒において第1の圧力波及び第2の圧力波が相殺される。これにより、気筒及び給気マニホールド間の圧力差が安定かつ増加するため、気筒内に流入する空気量が増加(体積効率が改善)し、良好なエンジン効率が得られる。

0010

(2)幾つかの実施形態では上記(1)の構成において、前記所定長さは、前記エンジン本体の定格出力時における給気温度又は混合気組成比熱比)に基づいて設定される。

0011

給気マニホールド内における圧力波の伝搬速度は給気温度、混合気組成(比熱比)に依存する。そのため、上記(2)の構成では、エンジン本体の定格出力時における給気温度、混合気組成(比熱比)に基づいて調整管の長さを設定することで、定格運転時において特に良好なエンジン効率を発揮可能な内燃機関を実現できる。

0012

(3)幾つかの実施形態では上記(1)又は(2)の構成において、前記調整管は、前記給気マニホールドの屈曲部に設けられている。

0013

上記(3)の構成によれば、調整管が給気マニホールドの屈曲部に設けられることにより、給気マニホールド内から直進してくる圧力波を調整管に効果的に導くことができる。これにより、第1の圧力波から第2の圧力波を効果的に生じさせることができ、その結果、上述した効果をより効果的に享受できる。

0014

(4)幾つかの実施形態では上記(1)又は(2)の構成において、前記調整管は、その入口が前記少なくとも1の気筒に対向するように設けられている。

0015

上記(4)の構成によれば、調整管の入口が気筒に対向するように設けられることにより、給気マニホールドを通過する給気に起因する圧力波を調整管に効果的に導くことができる。これにより、第1の圧力波から第2の圧力波を効果的に生じさせることができ、その結果、上述した効果をより効果的に享受できる。

0016

(5)幾つかの実施形態では上記(1)から(4)のいずれか1構成において、前記エンジン本体は単一の気筒を有する単気筒エンジンである。

0017

上記(5)の構成によれば、単気筒エンジンの給気マニホールドに上記調整管を設けることで、給気中の圧力脈動が抑制され、気筒への給気時に給気マニホールド及び気筒間の圧力差が安定化される。その結果、良好なエンジン効率を有する単気筒エンジンを実現できる。

0018

(6)幾つかの実施形態では上記(1)から(4)のいずれか1構成において、前記エンジン本体は複数の気筒を有する多気筒エンジンである。

0019

上記(6)の構成によれば、多気筒エンジンの給気マニホールドに上記調整管を設けることで、給気中の圧力脈動が抑制され、気筒への給気時に給気マニホールド及び気筒間の圧力差が安定化されるとともに、各気筒における給気量を均一化できる。その結果、良好なエンジン効率を有する多気筒エンジンを実現できる。

0020

(7)幾つかの実施形態では上記(6)の構成において、前記少なくとも1の気筒は、第1の気筒群及び第2の気筒群を含み、前記給気マニホールドは、前記第1の気筒群に接続された第1のマニホールド及び前記第2の気筒群に接続された第2のマニホールドを含み、前記調整管は前記第1のマニホールド及び前記第2のマニホールドを互いに連通するように設けられている。

0021

上記(7)の構成によれば、複数の気筒を構成する第1の気筒群及び第2の気筒群に対してそれぞれ給気を行うための第1のマニホールド及び第2のマニホールド間を互いに連通するように調整管が設けられる。これにより、各気筒群で発生した圧力波をより広範囲に分散させることで減衰できるとともに、調整管によって上述のように給気マニホールドにおける圧力脈動を抑制することにより、高効率なエンジンを実現できる。また、このような調整管は、各気筒群に個別に調整管を設ける場合に比べて、コンパクトな構成で実現できるため、エンジンの配置スペースの節約にも貢献することができる。

0022

(8)幾つかの実施形態では上記(1)から(7)のいずれか1構成において、前記調整管は、前記調整管の内部を進行する給気に対して通気抵抗を発生させるための通気抵抗体を有する。

0023

上記(8)の構成によれば、調整管に設けられた通気抵抗体により、調整管を通過する圧力波の伝搬速度が低下される。これにより、圧力波が調整管を通過するために要する時間が長くなるため、第1の圧力波及び第2の圧力波を気筒の位置において相殺するために要する調整管の長さを短縮することができる。これにより、よりコンパクトな構成で高効率なエンジンを実現することができる。

0024

(9)幾つかの実施形態では上記(8)の構成において、前記通気抵抗体は、多孔質材料から構成されている。

0025

上記(9)の構成によれば、多孔質材料からなる通気抵抗体を用いることにより、調整管を伝搬する圧力波の伝搬速度を効果的に低下せしめることができる。

0026

(10)幾つかの実施形態では上記(9)の構成において、前記通気抵抗体は通気抵抗値可変に構成されており、前記エンジン本体の運転状態に関するパラメータを取得するパラメータ取得部と、前記パラメータ取得部で取得されたパラメータに基づいて、前記通気抵抗体の通気抵抗を可変に制御する制御部と、を備える。

0027

上記(10)の構成によれば、エンジン本体の運転状態に応じて通気抵抗を可変に制御することで、エンジン本体の運転状態が変動する場合であっても、その時々の運転状態に適した圧力脈動の抑制が可能となり、より高効率なエンジンを実現できる。

発明の効果

0028

本発明の少なくとも一実施形態によれば、給気時に生じる圧力脈動を抑制することにより、エンジン効率を向上可能な内燃機関を提供できる。

図面の簡単な説明

0029

第1実施形態に係る内燃機関の全体構成を示す模式図である。
調整管12を含む給気マニホールド4を伝搬する単一の圧力波の様子を示す模式図である。
ある瞬間において調整管12を含む給気マニホールド4を伝搬する複数の圧力波の様子を示す模式図である。
第1実施形態に係る内燃機関の変形例を示す模式図である。
第2実施形態に係る内燃機関の全体構成を示す模式図である。
第2実施形態に係る内燃機関の変形例を示す模式図である。
第2実施形態に係る内燃機関の変形例を示す模式図である。
第3実施形態に係る内燃機関の全体構成を示す模式図である。
第4実施形態に係る内燃機関の全体構成を示す模式図である。
図9の調整管を進行する圧力波を示す模式図である。
第5実施形態に係るエンジンシステムの全体構成を示す模式図である。

実施例

0030

以下、添付図面を参照して本発明の幾つかの実施形態について説明する。ただし、実施形態として記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、本発明の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
例えば、「ある方向に」、「ある方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」或いは「同軸」等の相対的或いは絶対的な配置を表す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
また例えば、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。
一方、一の構成要素を「備える」、「具える」、「具備する」、「含む」、又は、「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。

0031

(第1実施形態)
図1は第1実施形態に係る内燃機関(以下、適宜「エンジン」と称する)10の全体構成を示す模式図である。
エンジン10は、単一の気筒2を有する単気筒ガスエンジンである。気筒2の燃焼室(不図示)には、給気マニホールド4が接続されている。給気マニホールド4の上流側には給気管6が接続されている。給気管6には、エアクリーナからの空気と途中から混入される燃料ガスとを混合させるミキシング装置(不図示)が設けられており、該ミキシング装置で生成された混合ガスが該給気マニホールド4に導入されるように構成されている。

0032

給気マニホールド4に導入された混合ガスは、給気弁が開いた際に、気筒2及び給気マニホールド4間の圧力差に応じて気筒2内に流入することにより、燃焼室に充填される。燃焼室で混合ガスが燃焼されることにより発生した排気は、排気マニホールド8を介して排気管9から外部に排出される。
尚、排気管9には酸化触媒及び脱硝触媒を含む排気浄化装置(不図示)が設けられており、排気は排気浄化装置によって無害化された後、大気に放出される。

0033

ところで気筒2に混合ガスが流入する際には、気筒2及び給気マニホールド4間の圧力差により生じる負圧によって、給気マニホールド4の給気中に圧力波が発生する。このような圧力波は気筒2の燃焼サイクルに応じて生じるため、給気に圧力脈動が生ずることとなる。このような圧力脈動は、気筒2及び給気マニホールド4間の圧力差が経時的に変化する要因となる。そのため、気筒2及び給気マニホールド4間の圧力差が小さくなると、気筒2への給気量が減少し、エンジン効率が低下する要因となる。

0034

本実施形態では、このような給気の圧力脈動に起因するエンジン10の効率低下を抑制するために、給気マニホールド4に調整管12が設けられている。調整管12は給気マニホールド4に生ずる圧力波を減衰するために適した形状(例えば長さや容積)を有する。本実施形態では、このような調整管12の一例として、一定径を有し、所定長さを有する円筒形状の管状体が示されている。
尚、調整管12は給気マニホールド4と一体的に構成されていてもよいし、別体として構成されていてもよい。

0035

図2は調整管12を含む給気マニホールド4を伝搬する単一の圧力波の様子を示す模式図である。
吸気弁開閉に伴って生じた圧力波14は、給気マニホールド4側から調整管12に侵入し、最奥部18に向かって進行する。最奥部18に到達した圧力波14は調整管12の内壁反射され、最奥部18から給気マニホールド4側に向かって進行する。ここで最奥部18における圧力波14の反射は固定端反射であるため、圧力波14の位相は反射時に反転されることとなる。

0036

尚、以下の説明では、このような伝播経路を示す圧力波14のうち、給気マニホールド4側から調整管12の最奥部18に向かって進行するものを第1の圧力波14A、調整管12の最奥部18から給気マニホールド4側に向かって進行するものを第2の圧力波14Bと称することとする。

0037

図3は、ある瞬間において調整管12を含む給気マニホールド4を伝搬する複数の圧力波の様子を示す模式図である。
この図では、エンジン10で燃焼サイクルが繰り返される際に、給気弁が開閉する毎に発生する複数の圧力波14が示されている(各圧力波14の発生タイミング時刻t1、t2、t3とする)。図3に示されるように、給気マニホールド4に調整管12が設けられることにより、第1の圧力波14A及び第2の圧力波14Bは、気筒2の設置位置において互いに逆位相を有するため、相殺されるように構成されている。そのため、気筒2の設置位置では給気の圧力脈動の影響が抑制されることとなり、気筒2及び給気マニホールド4間の圧力差が安定する。その結果、気筒2への給気量もまた安定することとなり、エンジン効率の低下が抑制される。

0038

このような圧力脈動を抑制するために適切な調整管12の設計方法について、具体的に説明する。ここでは調整管12の仕様のうち長さに着目して設計する場合について例示するが、同様の技術的思想に基づいて、例えば容量のような他の仕様パラメータを設計するようにしてもよい。

0039

まず給気マニホールド4に存在する給気中の圧力波14の進行速度vは、給気の比熱比γ気体定数R、給気温度Tを用いて次式

で表される。
そして調整管12の長さを仮にLeとすると、圧力波が気筒2の給気弁の近傍から調整管12に侵入し、最奥部18で反射された後に、再び気筒2に到達するまでに要する時間T1は次式

となる。

0040

ここで、気筒2において給気弁の開閉サイクル期間t、任意の自然数nを用いて、次式

成立した場合、図3に示されるように、気筒2の位置において第1の圧力波14A及び第2の圧力波14Bが互いに逆位相を有することとなる。すなわち(3)の条件を満足する(2)に基づいて、調整管12の長さLeが決定される。

0041

尚、図3では気筒2の位置において、互いに逆位相を有する第1の圧力波14A及び第2の圧力波14Bが完全に重なることによって完全に相殺される場合を示しているが、少なくとも部分的に重なる場合においても、同様の効果を少なからず享受できる。好ましくは、第1の圧力波14A及び第2の圧力波14Bは互いに約25%程度の重なりがあると、当該効果を効果的に享受しやすい。

0042

また第1の圧力波14A及び第2の圧力波14Bの進行速度vは給気温度Tに依存することから、給気温度Tに基づいて調整管12の仕様を決定してもよい。上述の例においても(1)式に示されるように、圧力波の進行速度vに給気温度Tが含まれる。本実施形態では特に、エンジン10は発電用エンジンであることから定格運転が主に想定される。従って、定格運転時に想定される給気温度に基づいて長さLeを設定することで、実際のエンジン運用時に良好な効率を達成することができる。

0043

また本実施形態では、給気マニホールド4は所定曲率を有する屈曲部22を有しており、調整管12の入口が当該屈曲部29に位置するように設計されている。これにより、屈曲部22を旋回しながら通過する給気に起因する圧力波を調整管に効果的に導くことで、第1の圧力波14Aの反射によって第2の圧力波を効果的に生じさせることができるようになっている。

0044

また図4に示すように、調整管12の入口は気筒2に対向するように設けられていてもよい。このように調整管12を設けることによって、気筒2への給気時に生じる圧力波を調整管12に効果的に導くことができる。

0045

以上説明したように本実施形態によれば、単気筒エンジンにおいて、第1の圧力波及び第2の圧力波が互いに逆位相になるように長さが設定された調整管を有することにより、吸気時に生じる圧力脈動が抑制される。これにより、気筒への吸気時に給気マニホールド及び気筒間の圧力差が適切に確保され、給気が安定化されるので、良好なエンジン効率が得られる。

0046

(第2実施形態)
図5は第2実施形態に係るエンジン20の全体構成を示す模式図である。尚、上述の他の実施形態に対応する構成要素については共通の符号を付すこととし、重複する説明は適宜省略する。

0047

エンジン20は、複数の気筒2を有する多気筒ガスエンジンであり、本実施形態では、直列気筒エンジンが例示されている。各気筒2の燃焼室(不図示)には、給気マニホールド4が接続されている。給気マニホールド4の上流側には給気管6が接続されている。給気管6には、エアクリーナからの空気と途中から混入される燃料ガスとを混合させるミキシング装置(不図示)が設けられており、該ミキシング装置で生成された混合ガスが該給気マニホールド4に導入されるように構成されている。

0048

給気マニホールド4に導入された混合ガスは、給気弁が開いた際に、気筒2及び給気マニホールド4間の圧力差に応じて各気筒2内に流入することにより、燃焼室に充填される。各気筒2の燃焼室で混合ガスが燃焼されることにより発生した排気は、排気マニホールド8によって集められ、排気管9から外部に排出される。
尚、排気管9には酸化触媒及び脱硝触媒を含む排気浄化装置(不図示)が設けられており、排気は排気浄化装置によって無害化された後、大気に放出される。

0049

本実施形態に係るエンジン20のような多気筒エンジンにおいても、上述の単気筒エンジンと同様に、各気筒2に混合ガスが流入する際には、気筒2及び給気マニホールド4間の圧力差により生じる負圧によって、給気マニホールド4の給気中に圧力波が発生する。このような圧力波は気筒2の燃焼サイクルに応じて生じるため、給気に圧力脈動が生ずることとなる。このような圧力脈動は、気筒2及び給気マニホールド4間の圧力差が経時的に変化する要因となる。そのため、気筒2及び給気マニホールド4間の圧力差が小さくなると、気筒2への給気量が減少し、エンジン効率が低下する要因となる。
更に多気筒エンジンでは、各気筒2で生じる圧力波が互いに干渉し合うことで、気筒2間の給気量にバラツキが生じやすくなる。このような気筒2間における給気量のバラツキもまたエンジン効率の低下の要因となる。

0050

本実施形態では、このようなエンジン20の効率低下を抑制するために、給気マニホールド4に調整管12が設けられている。調整管12は給気マニホールド4に生ずる圧力波を減衰するために適した形状(例えば長さや容積)を有する。調整管12の仕様の決定手法は、基本的に、上記第1実施形態と同様の思想を採用可能であるが、多気筒エンジンの場合、単気筒エンジンに比べて各気筒2の圧力波同士の干渉を考慮する必要がある分、条件が複雑となる。そのため、上述のような論理的な算出値だけでなく、実験的・シミュレーション的な手法によって得られた結果を考慮して、適切な仕様を決定するようにしてもよい。

0051

本実施形態では、給気マニホールド4は、各気筒2の配列方向に沿って延在する主流路4aと、主流路4aから各気筒2に分岐する複数の分岐路4bとを備える。この例では、第1実施形態と同様に、所定曲率を有する屈曲部22に、調整管12の入口が給気管6に対向するように設計されているが、図6に示すように調整管12の入口が気筒2に対向するように設けられていてもよい。

0052

尚、本実施形態では第1実施形態と同様に、特定の1気筒の位置において第1の圧力波14A及び第2の圧力波14Bが逆位相になる場合を例示しているが、2以上の気筒2の位置において同時に逆位相になるようにしても設計してもよいし、全気筒の位置において同時に逆位相になるように設計してもよい。

0053

また調整管12は、例えば図7に示すように、各気筒2に対応するように複数設けられていてもよい。図7では、各調整管12は対応する気筒2に対向するようにそれぞれ配置されている。この場合、各調整管12の仕様を調整することにより、各気筒2における圧力脈動を精度よく抑制することができるため、より効果的にエンジン効率を改善できる。

0054

以上説明したように本実施形態によれば、複数の気筒を有する多気筒エンジンにおいても、第1の圧力波14A及び第2の圧力波14Bが互いに逆位相になるように長さが設定された調整管12を有することにより、圧力脈動を効果的に抑制できる。その結果、各気筒2における給気量が均一化されることにより各気筒の給気量のバラツキが抑制され、良好なエンジン効率が得られる。

0055

(第3実施形態)
図8は第3実施形態に係るエンジン30の全体構成を示す模式図である。尚、上述の他の実施形態に対応する構成要素については共通の符号を付すこととし、重複する説明は適宜省略する。

0056

エンジン30はクランクシャフト(図示省略)の回転軸を中心に左右にV字状に傾斜したV型8気筒の発電用ガスエンジンである。合計8つの気筒2は、第1の気筒群であるRHバンク24と、第2の気筒群であるLHバンク26とにそれぞれ4気筒ずつ振り分けられており、各々がV字状に配設されている。RHバンク24とLHバンク26のV字状の空間部には、それぞれ各バンクの各気筒の燃焼室に混合ガスを導入する第1の給気マニホールド28及び第2の給気マニホールド32が連結されている。第1の給気マニホールド28及び第2の給気マニホールド32は、調整管12を介して互いに連通するように構成されている。

0057

RHバンク24の外側には各気筒2の燃焼室から排出される排気を導出するための第1のエキゾーストマニホールド36と、LHバンク26の外側には各気筒2の燃焼室から排出される排気を導出するための第2のエキゾーストマニホールド38とがそれぞれ配設されている。
尚、図8では図示を省略しているが、第1のエキゾーストマニホールド36及び第2のエキゾーストマニホールド38は下流側にて合流したのち、酸化触媒及び脱硝触媒を含む排気浄化装置(不図示)によって排気が無害化された後、大気に放出されるようになっている。

0058

本実施形態では、各給気マニホールド28及び32で生じる給気の圧力脈動に起因するエンジンの効率低下を抑制するために、給気マニホールド28及び32間を連通するように調整管12が設けられている。
ここで図9は、図8の調整管12を進行する圧力波を示す模式図である。第1の給気マニホールド28で生じた第1の圧力波14Aは、調整管12を介して第2の給気マニホールド32に向かって進行する。一方、第2の給気マニホールド32で生じた第2の圧力波14Bは、調整管12を介して第1の給気マニホールド28に向かって進行する。調整管12は、図9に示されるように、第1の圧力波14A及び第2の圧力波14BがRHバンク24及びLHバンク26のいずれかの気筒2において互いに逆位相となるように設計されている(図9では、RHバンク24に含まれる任意の気筒2の位置をx1、LHバンク26に含まれる任意の気筒2の位置をx2として示されている)。これにより、給気中の圧力波は、調整管12を介して各給気マニホールド28及び32に広く分散されることで減衰されるとともに、互いに相殺される。その結果、給気マニホールド28及び32における圧力脈動は抑制され、良好なエンジン効率が得られる。

0059

また第1の給気マニホールド28及び第2の給気マニホールド32間を連通するように単一の調整管12を設けることによって、第1の給気マニホールド28及び第2の給気マニホールド32に、上記実施形態のように最奥部18を有する調整管12を設ける場合に比べて、コンパクトな構成で圧力脈動の抑制を行うことができる。

0060

以上説明したように本実施形態によれば、多気筒エンジンがRHバンク24及びLHバンク26からなる場合において、第1の給気マニホールド28及び第2の給気マニホールド32間を連通するように調整管12を設けることにより、圧力波を広く分散させることで減衰させるとともに、圧力波を相殺して圧力脈動を効果的に抑制できる。しかも、このような効果を、各気筒群に個別に調整管12を設ける場合に比べてコンパクトな構成で実現できるため、エンジンの設置スペースの節約にも貢献できる。

0061

(第4実施形態)
図10は第4実施形態に係るエンジン40の全体構成を示す模式図である。尚、上述の他の実施形態に対応する構成要素については共通の符号を付すこととし、重複する説明は適宜省略する。

0062

図10には第2実施形態と共通の基本構成を有するエンジン40が示されており、調整管12の途中に通気抵抗体42が設けられている。通気抵抗体42は、調整管12を進行する圧力波に対して抵抗となる構成要素であり、例えばセラミックスパンチングメタルのような多孔質材料から構成されている。

0063

本実施形態ではこのように調整管12に通気抵抗体42を設けることにより、調整管を通過する圧力波の伝搬速度が低下される。これにより、圧力波が調整管12を通過するために要する時間が長くなるため、第1の圧力波14A及び第2の圧力波14Bを気筒2の位置において相殺するために要する調整管12の長さを短縮することができる。これにより、よりコンパクトな構成で高効率なエンジンを実現することができる。

0064

尚、本実施形態では上記第2実施形態と共通の基本構成を有するエンジンについて説明したが、他の実施形態と共通の基本構成を有するエンジンについても、調整管12に通気抵抗体42を設けることで同様の効果が得られることは自明な範囲である。

0065

(第5実施形態)
図11は第5実施形態に係るエンジンシステム50の全体構成を示す模式図である。尚、上述の他の実施形態に対応する構成要素については共通の符号を付すこととし、重複する説明は適宜省略する。

0066

本実施形態では、上記第4実施形態と同等構成を有し、且つ、調整管12に通気抵抗体42が設けられたエンジン52と、エンジン52の運転状態を検知するための運転状態検知手段54と、運転状態検知手段54の検知結果に基づいてエンジン52を電子的に制御するためのコントローラ56とを備える。

0067

本実施形態で用いられている通気抵抗体42は、通気抵抗値が可変に構成されている。このような通気抵抗値が可変な通気抵抗体42は、例えば所定の通気抵抗値を有する一対の多孔質エレメントを圧力波の進行方向に対して互いに並行に配置し、少なくとも一方を圧電素子等の駆動手段によって位置を変位させることにより、互いの重なり具合を調整することで通気抵抗値を可変調整できるように構成される。

0068

運転状態検知手段54はエンジン52の運転状態に関するパラメータを検知するデバイスであり、本実施形態では特に、エンジン52の回転数を検知するための回転数センサが例示されている。
尚、運転状態検知手段54としては、他にエンジン52の出力、給気マニホールド4内を流れる給気の圧力・温度・組成を検知するデバイス等を適宜採用可能である。

0069

コントローラ56は例えばECUのような電子演算装置から構成された制御ユニットであり、運転状態検知手段54で検知されたパラメータを取得するパラメータ取得部58と、通気抵抗体の通気抵抗を可変に制御する制御部62と、を備える。制御部62はパラメータ取得部58で取得されたパラメータに基づいて、通気抵抗体42の通気抵抗値を調整することで、実質的に調整管12の長さ調整を行うことができる。これにより、エンジン52の運転状態に応じた圧力脈動の抑制が可能となる。そのため、特にエンジンの運転状態が変動する場合であっても良好なエンジン効率が得られる。

0070

本開示は、少なくとも1の気筒を有する内燃機関に利用可能である。

0071

2気筒
4給気マニホールド
4a 主流路
4b分岐路
6吸気管
8排気マニホールド
9排気管
12調整管
14圧力波
14A 第1の圧力波
14B 第2の圧力波
18 最奥部
28 第1の給気マニホールド
32 第2の給気マニホールド
36 第1のエキゾーストマニホールド
38 第2のエキゾーストマニホールド
42通気抵抗体
50エンジンシステム
54運転状態検知手段
56コントローラ
58パラメータ取得部
62 制御部

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