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技術 複合エステル交換反応システムによる複数の油脂組成物の製造方法

出願人 不二製油株式会社
発明者 渡邊慎平
出願日 2016年2月19日 (4年9ヶ月経過) 出願番号 2016-029423
公開日 2017年8月24日 (3年3ヶ月経過) 公開番号 2017-145349
状態 特許登録済
技術分野 食用油脂 脂肪類、香料
主要キーワード 結晶析出温度 低沸点画分 物理的性 脂肪酸原料 高沸点画分 オレイン酸エチルエステル 複合システム 複合反応
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図面 (6)

課題

油脂と脂肪酸エステル等を原料としたエステル交換反応によって目的とするトリグリセリド富む油脂を製造する場合において、反応後に目的油脂と分離される原料油脂由来して遊離副生する脂肪酸エステル等を有効利用し、目的とするトリグリセリドに富む油脂を効率的に製造する方法の提供を課題とする。

解決手段

原料油脂と原料脂肪酸又はその低級アルコールエステルとを1,3位特異エステル交換反応することで目的とするトリグリセリドに富む油脂組成物を製造する反応システムを、複数含む複合反応ステムにおいて、それぞれの反応システムの1,3位特異エステル交換反応後の反応生成物から、原料油脂の1,3位に由来し遊離した脂肪酸又はその低級アルコールエステル画分を分離し、当該画分を別の反応システムの原料脂肪酸又はその低級アルコールエステルの一部又は全部として用いる。

概要

背景

油脂と、脂肪酸又はその低級アルコールエステル(以下「脂肪酸エステル等」という。)との酵素によるエステル交換反応によってトリグリセリド組成を変換し、特定のトリグリセリド分子種の純度を高めて油脂の特性を改質することが行われている。しかし、この反応は平衡反応であるから目標トリグリセリド純度が高いときには高価な原料脂肪酸エステル等を大量に使用しなければならず、コスト高になってしまっていた。
また特に酵素によるエステル交換反応によって製造できる高純度のUSU油脂やSUS油脂(U:C18の不飽和脂肪酸、S:C4〜C24の飽和脂肪酸)は市場からの要望も高いものであり、安価な製造方法が望まれていたが、前記理由による高価格から市場における利用が進んでいなかった。

USUに富む油脂としては、例えば特許文献1に構成脂肪酸としてC16〜22の飽和脂肪酸をグリセリンの2位に、C16〜18で1つの不飽和結合を有する不飽和脂肪酸をグリセリンの1,3位に結合した混酸型トリグリセリドを40〜100重量%含有するカカオ代用脂が開示されている。

前記混酸型トリグリセリドUSUはカカオバターの主成分である混酸型トリグリセリドSUSと特異な結晶構造を形成し、かつこれをチョコレート原料として配合することで、テンパリング作業を実施せずとも、ブルームが一切観察されず、また通常のチョコレートと比較して融点がほぼ同じであるにも関わらず、圧力に対しての結晶抵抗性が著しく小さいという特異な物理的性質を示すことが開示されている。

前記混酸型トリグリセリドの一種であるOStO(ただしStはステアリン酸、Oはオレイン酸)の製造方法としては特許文献2の実施例1に大豆極度硬化油オレイン酸エチルを1,3位選択的酵素を用いてエステル交換反応、分子蒸留分別、精製することにより得られた例が開示されているが、OStO脂の生産に使用されるオレイン酸エチルは比較的高価であり高純度品を得ようとすると製造コストが高いという問題があった。

SUSに富む油脂としては、例えば特許文献3〜5にBOB(Bはベヘン酸、Oはオレイン酸)を主成分とする粉末粒子を、チョコレート配合物に対し溶解することなく添加することで、ブルームの発生を著しく抑制しさらにテンパリング作業を省略出来ることが開示されている如くチョコレート業界にとっては特異的でかつ有益な油脂素材である。しかしBOB脂の生産に使用されるベヘン酸はやはり比較的高価であり前記同様に製造コストが高いという問題があった。

またUSUに富む油脂としては、例えばOPOに富む油脂を乳脂代替組成物として使用する技術が特許文献6に開示されており、特許文献7,8にはOPOに富む油脂の製造法が提案されているが、原料に使用される比較的高価なオレイン酸の回収使用などに関する記載はなく、効率的なOPO脂の製造法とは言えなかった。

特許文献9にはStOSt脂の生産で副生する油脂を加水分解したうえで、OPO脂生産の脂肪酸原料に使用する製造方法が開示されているが、このOPOの生産で副生する成分の有効利用に関してはなんら開示されておらず効率的なOPO脂の製造法とは言えなかった。

概要

油脂と脂肪酸エステル等を原料としたエステル交換反応によって目的とするトリグリセリドに富む油脂を製造する場合において、反応後に目的油脂と分離される原料油脂由来して遊離副生する脂肪酸エステル等を有効利用し、目的とするトリグリセリドに富む油脂を効率的に製造する方法の提供を課題とする。 原料油脂と原料脂肪酸又はその低級アルコールエステルとを1,3位特異エステル交換反応することで目的とするトリグリセリドに富む油脂組成物を製造する反応システムを、複数含む複合反応ステムにおいて、それぞれの反応システムの1,3位特異エステル交換反応後の反応生成物から、原料油脂の1,3位に由来し遊離した脂肪酸又はその低級アルコールエステル画分を分離し、当該画分を別の反応システムの原料脂肪酸又はその低級アルコールエステルの一部又は全部として用いる。

目的

また特に酵素によるエステル交換反応によって製造できる高純度のUSU油脂やSUS油脂(U:C18の不飽和脂肪酸、S:C4〜C24の飽和脂肪酸)は市場からの要望も高いものであり、安価な製造方法が望まれていた

効果

実績

技術文献被引用数
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請求項1

原料油脂原料脂肪酸又はその低級アルコールエステルとを1,3位特異エステル交換反応することで目的とする油脂組成物を製造する反応システムを、複数含む複合反応ステムにおいて、それぞれの反応システムの1,3位特異エステル交換反応後の反応生成物から、原料油脂の1,3位に由来遊離した脂肪酸又はその低級アルコールエステル画分を分離し、当該画分を別の反応システムの原料脂肪酸又はその低級アルコールエステルの一部又は全部として用いることを特徴とする複合反応システムによる複数の油脂組成物の製造方法。

請求項2

USUに富む油脂組成物を製造する第一の反応システムとSUSに富む油脂組成物を製造する第二の反応システムからなる複合反応システムであって、第一の反応システムが下記工程(1)乃至(3)を含み、第二の反応システムが下記工程(4)乃至(6)を含み、工程(6)で得られた画分を、工程(1)の原料脂肪酸又はその低級アルコールエステル(b)の一部又は全部に使用し、工程(3)で得られた画分を、工程(4)の原料脂肪酸又はその低級アルコールエステル(d)の一部又は全部に使用することを特徴とする請求項1に記載の複数の油脂組成物の製造方法。但し、SはC4〜C24の飽和脂肪酸、UはC18の不飽和脂肪酸、USUは1位及び3位の脂肪酸がUであり、2位の脂肪酸がSであるトリグリセリド、SUSは1位及び3位の脂肪酸がSであり、2位の脂肪酸がUであるトリグリセリドを示す。(1)構成脂肪酸中Sを80重量%以上含む原料油脂(a)と、Uを主成分とする原料脂肪酸又はその低級アルコールエステル(b)を混合する工程、(2)工程(1)で得られた原料混合物を1,3位特異性を有するリパーゼを用いてエステル交換反応させる工程、(3)工程(2)で得られた反応生成物から原料油脂(a)の1,3位に由来し遊離した脂肪酸又はその低級アルコールエステル画分を分離する工程、(4)構成脂肪酸中Uを50重量%以上含む原料油脂(c)と、Sを主成分とする原料脂肪酸又はその低級アルコールエステル(d)を混合する工程、(5)工程(4)で得られた原料混合物を1,3位特異性を有するリパーゼを用いてエステル交換反応させる工程、(6)工程(5)で得られた反応生成物から原料油脂(c)の1,3位に由来し遊離した脂肪酸又はその低級アルコールエステル画分を分離する工程。

請求項3

前記工程(3)において反応生成物からUSUを30重量%以上含有する油脂組成物と未反応の脂肪酸又はその低級アルコールエステル画分を分離することを特徴とする請求項2に記載の複数の油脂組成物の製造方法。

請求項4

前記工程(6)において反応生成物からSUSを30重量%以上含有する油脂組成物と未反応の脂肪酸又はその低級アルコールエステル画分を分離することを特徴とする請求項2又は3に記載の複数の油脂組成物の製造方法。

請求項5

前記工程(3)又は工程(6)の分離の一部又は全部に蒸留法を用いる請求項2乃至4のうち何れか1項に記載の複数の油脂組成物の製造方法。

請求項6

前記USUの2位の脂肪酸がステアリン酸(St)を主成分とし、UStU/USU比が0.5以上である請求項2乃至5のうち何れか1項に記載の複数の油脂組成物の製造方法。

請求項7

原料油脂(a)が構成脂肪酸中C20〜24の飽和脂肪酸を10〜70重量%含む請求項6に記載の複数の油脂組成物の製造方法。

請求項8

原料油脂(a)の一部又は全部にハイエルシン菜種油極度硬化油、原料脂肪酸又はその低級アルコールエステル(b)にオレイン酸、原料油脂(c)の一部又は全部にハイオレイック油脂、原料脂肪酸又はその低級アルコールエステル(d)にベヘン酸を使用する請求項7に記載の複数の油脂組成物の製造方法。

請求項9

原料油脂(a)が構成脂肪酸中C4〜16の飽和脂肪酸を10〜70重量%含む請求項6に記載の複数の油脂組成物の製造方法。

請求項10

原料油脂(a)の一部又は全部にパーム融点の極度硬化油、原料脂肪酸又はその低級アルコールエステル(b)にオレイン酸、原料油脂(c)の一部又は全部にハイオレイック油脂、原料脂肪酸又はその低級アルコールエステル(d)にパルミチン酸を使用する請求項9に記載の複数の油脂組成物の製造方法。

請求項11

原料油脂(a)が1,3位にC4〜C14の飽和脂肪酸に富み、2位にステアリン酸に富む油脂、原料脂肪酸又はその低級アルコールエステル(b)にオレイン酸、原料油脂(c)の一部又は全部にハイオレイック油脂、原料脂肪酸又はその低級アルコールエステル(d)にC4〜C14の飽和脂肪酸を使用する請求項9に記載の複数の油脂組成物の製造方法。

請求項12

前記工程(6)で得られたトリグリセリド画分極度硬化し、前記工程(1)の原料油脂(a)の一部又は全部に使用する請求項6乃至11のうち何れか1項に記載の複数の油脂組成物の製造方法。

請求項13

前記USUの2位の脂肪酸がパルミチン酸(P)を主成分とし、UPU/USU比が0.5以上である請求項2乃至5のうち何れか1項に記載の複数の油脂組成物の製造方法。

請求項14

原料油脂(a)が構成脂肪酸中パルミチン酸を60重量%以上含む請求項13に記載の複数の油脂組成物の製造方法。

請求項15

原料油脂(a)の一部又は全部にトリパルミチンに富む油脂、原料脂肪酸又はその低級アルコールエステル(b)にオレイン酸、原料油脂(c)の一部又は全部にハイオレイック油脂、原料脂肪酸又はその低級アルコールエステル(d)にパルミチン酸を使用する請求項14に記載の複数の油脂組成物の製造方法。

技術分野

0001

本発明は、副生物を相互に有効利用する複合エステル交換反応ステムによる複数の油脂の製造方法に関する。

背景技術

0002

油脂と、脂肪酸又はその低級アルコールエステル(以下「脂肪酸エステル等」という。)との酵素によるエステル交換反応によってトリグリセリド組成を変換し、特定のトリグリセリド分子種の純度を高めて油脂の特性を改質することが行われている。しかし、この反応は平衡反応であるから目標トリグリセリド純度が高いときには高価な原料脂肪酸エステル等を大量に使用しなければならず、コスト高になってしまっていた。
また特に酵素によるエステル交換反応によって製造できる高純度のUSU油脂やSUS油脂(U:C18の不飽和脂肪酸、S:C4〜C24の飽和脂肪酸)は市場からの要望も高いものであり、安価な製造方法が望まれていたが、前記理由による高価格から市場における利用が進んでいなかった。

0003

USUに富む油脂としては、例えば特許文献1に構成脂肪酸としてC16〜22の飽和脂肪酸をグリセリンの2位に、C16〜18で1つの不飽和結合を有する不飽和脂肪酸をグリセリンの1,3位に結合した混酸型トリグリセリドを40〜100重量%含有するカカオ代用脂が開示されている。

0004

前記混酸型トリグリセリドUSUはカカオバターの主成分である混酸型トリグリセリドSUSと特異な結晶構造を形成し、かつこれをチョコレート原料として配合することで、テンパリング作業を実施せずとも、ブルームが一切観察されず、また通常のチョコレートと比較して融点がほぼ同じであるにも関わらず、圧力に対しての結晶抵抗性が著しく小さいという特異な物理的性質を示すことが開示されている。

0005

前記混酸型トリグリセリドの一種であるOStO(ただしStはステアリン酸、Oはオレイン酸)の製造方法としては特許文献2の実施例1に大豆極度硬化油オレイン酸エチルを1,3位選択的酵素を用いてエステル交換反応、分子蒸留分別、精製することにより得られた例が開示されているが、OStO脂の生産に使用されるオレイン酸エチルは比較的高価であり高純度品を得ようとすると製造コストが高いという問題があった。

0006

SUSに富む油脂としては、例えば特許文献3〜5にBOB(Bはベヘン酸、Oはオレイン酸)を主成分とする粉末粒子を、チョコレート配合物に対し溶解することなく添加することで、ブルームの発生を著しく抑制しさらにテンパリング作業を省略出来ることが開示されている如くチョコレート業界にとっては特異的でかつ有益な油脂素材である。しかしBOB脂の生産に使用されるベヘン酸はやはり比較的高価であり前記同様に製造コストが高いという問題があった。

0007

またUSUに富む油脂としては、例えばOPOに富む油脂を乳脂代替組成物として使用する技術が特許文献6に開示されており、特許文献7,8にはOPOに富む油脂の製造法が提案されているが、原料に使用される比較的高価なオレイン酸の回収使用などに関する記載はなく、効率的なOPO脂の製造法とは言えなかった。

0008

特許文献9にはStOSt脂の生産で副生する油脂を加水分解したうえで、OPO脂生産の脂肪酸原料に使用する製造方法が開示されているが、このOPOの生産で副生する成分の有効利用に関してはなんら開示されておらず効率的なOPO脂の製造法とは言えなかった。

先行技術

0009

特開平4—135453号公報
特開2002−65162号公報
特開昭63—240745号公報
特開昭64−60330号公報
特開平2−406号公報
特開昭62−025936号公報
国際公開2008/104381号
国際公開2007/029018号
特表2009−507479号公報

発明が解決しようとする課題

0010

油脂と脂肪酸エステル等を原料としたエステル交換反応によって目的とするトリグリセリドに富む油脂を製造する場合、反応後に目的油脂と分離される脂肪酸エステル等は原料油脂由来して遊離副生する脂肪酸エステル等(以下「副生脂肪酸エステル等」という。)と未反応の原料脂肪酸エステル等(以下「未反応脂肪酸エステル等」という。)の混合物となり、これを次回の反応に原料脂肪酸エステル等としてそのまま再使用するには純度が足りないことが多く、また適切な分離手段により純度を高めて再使用できたとしても当該分離によって同時に生じる、副生脂肪酸エステル等は有効に利用する手段がなかった。よって従来は廃棄するか又は付加価値の低い用途に使用するしかなく、目的油脂製造のコスト高につながっていた。本発明の課題は、特定のトリグリセリドが高純度に含まれる油脂の低コストで簡便な製造方法、特にUSUに富む油脂及びSUSに富む油脂の製造方法において、商業的に使用できるレベルの低コストで簡便な方法を提供することである。ここでSはC4〜C24の飽和脂肪酸、UはC18の不飽和脂肪酸を表す。

課題を解決するための手段

0011

本発明者らは鋭意研究の結果、複数の反応システムにおいて、副生脂肪酸エステル等を、別の反応システムの原料脂肪酸エステル等として用いるような、複数の反応システムを組み合わせた複合反応システムとすることで、従来は廃棄するか又は付加価値の低い用途に使用するしかなかった脂肪酸エステル等を有効利用でき、製造コストを大幅に低減できることを見出し本発明を完成した。
また本発明者らは上記の基本的な発明に従い、USUを含む油脂及びSUSを含む油脂の新規な製造方法を完成した。すなわちUSUに富む油脂組成物を製造する第一の反応システムとSUSに富む油脂組成物を製造する第二の反応システムにおいて、第一の反応システムの原料油脂に由来して副生するSの脂肪酸エステル等を第二の反応システムのSの原料脂肪酸エステル等に用い、さらに第二の反応システムの原料油脂に由来して副生するUの脂肪酸エステル等を第一の反応システムのUの原料脂肪酸エステル等に用いる複合反応システムにより、上記課題が一挙に解決できるのである。

0012

即ち、本発明の第1は、原料油脂と原料脂肪酸又はその低級アルコールエステルとを1,3位特異エステル交換反応することで目的とするトリグリセリドに富む油脂組成物を製造する反応システムを、複数含む複合反応システムにおいて、それぞれの反応システムの1,3位特異エステル交換反応後の反応生成物から、原料油脂の1,3位に由来し遊離した脂肪酸又はその低級アルコールエステル画分を分離し、当該画分を別の反応システムの原料脂肪酸又はその低級アルコールエステルの一部又は全部として用いることを特徴とする複合反応システムによる複数の油脂組成物の製造方法。

0013

本発明の第2は、USUに富む油脂組成物を製造する第一の反応システムとSUSに富む油脂組成物を製造する第二の反応システムからなる複合反応システムであって、第一の反応システムが下記工程(1)乃至(3)を含み、第二の反応システムが下記工程(4)乃至(6)を含み、工程(6)で得られた画分を、工程(1)の原料脂肪酸又はその低級アルコールエステル(b)の一部又は全部に使用し、工程(3)で得られた画分を、工程(4)の原料脂肪酸又はその低級アルコールエステル(d)の一部又は全部に使用することを特徴とする第1記載の複数の油脂組成物の製造方法。
但し、SはC4〜C24の飽和脂肪酸、UはC18の不飽和脂肪酸、USUは1位及び3位の脂肪酸がUであり、2位の脂肪酸がSであるトリグリセリド、SUSは1位及び3位の脂肪酸がSであり、2位の脂肪酸がUであるトリグリセリドを示す。
(1)構成脂肪酸中Sを80重量%以上含む原料油脂(a)と、Uを主成分とする原料脂肪酸又はその低級アルコールエステル(b)を混合する工程、
(2)工程(1)で得られた原料混合物を1,3位特異性を有するリパーゼを用いてエステル交換反応させる工程、
(3)工程(2)で得られた反応生成物から原料油脂(a)の1,3位に由来し遊離した脂肪酸又はその低級アルコールエステル画分を分離する工程、
(4)構成脂肪酸中Uを50重量%以上含む原料油脂(c)と、Sを主成分とする原料脂肪酸又はその低級アルコールエステル(d)を混合する工程、
(5)工程(4)で得られた原料混合物を1,3位特異性を有するリパーゼを用いてエステル交換反応させる工程、
(6)工程(5)で得られた反応生成物から原料油脂(c)の1,3位に由来し遊離した脂肪酸又はその低級アルコールエステル画分を分離する工程。

0014

本発明の第3は、前記工程(3)において反応生成物からUSUを30重量%以上含有する油脂組成物と未反応の脂肪酸又はその低級アルコールエステル画分を分離することを特徴とする第2記載の複数の油脂組成物の製造方法。
本発明の第4は、前記工程(6)において反応生成物からSUSを30重量%以上含有する油脂組成物と未反応の脂肪酸又はその低級アルコールエステル画分を分離することを特徴とする第2又は3記載の複数の油脂組成物の製造方法。
本発明の第5は、前記工程(3)又は工程(6)の分離の一部又は全部に蒸留法を用いる第2乃至4のうち何れか1項に記載の複数の油脂組成物の製造方法。

0015

本発明の第6は、前記USUの2位の脂肪酸がステアリン酸(St)を主成分とし、UStU/USU比が0.5以上である第2乃至5のうち何れか1項に記載の複数の油脂組成物の製造方法。
本発明の第7は、原料油脂(a)が構成脂肪酸中C20〜24の飽和脂肪酸を10〜70重量%含む第6記載の複数の油脂組成物の製造方法。
本発明の第8は、原料油脂(a)の一部又は全部にハイエルシン菜種油の極度硬化油、原料脂肪酸又はその低級アルコールエステル(b)にオレイン酸又はその低級アルコールエステル、原料油脂(c)の一部又は全部にハイオレイック油脂、原料脂肪酸又はその低級アルコールエステル(d)にベヘン酸又はその低級アルコールエステルを使用する第7記載の複数の油脂組成物の製造方法。

0016

本発明の第9は、原料油脂(a)が構成脂肪酸中C4〜16の飽和脂肪酸を10〜70重量%含む第6記載の複数の油脂組成物の製造方法。
本発明の第10は、原料油脂(a)の一部又は全部にパーム中融点の極度硬化油、原料脂肪酸又はその低級アルコールエステル(b)にオレイン酸又はその低級アルコールエステル、原料油脂(c)の一部又は全部にハイオレイック油脂、原料脂肪酸又はその低級アルコールエステル(d)にパルミチン酸又はその低級アルコールエステルを使用する第9記載の複数の油脂組成物の製造方法。
本発明の第11は、原料油脂(a)が1,3位にC4〜C14の飽和脂肪酸に富み、2位にステアリン酸に富む油脂、原料脂肪酸又はその低級アルコールエステル(b)にオレイン酸又はその低級アルコールエステル、原料油脂(c)の一部又は全部にハイオレイック油脂、原料脂肪酸又はその低級アルコールエステル(d)にC4〜C14の飽和脂肪酸又はその低級アルコールエステルを使用する第9記載の複数の油脂組成物の製造方法。
本発明の第12は、前記工程(6)で得られたトリグリセリド画分極度硬化し、前記工程(1)の原料油脂(a)の一部又は全部に使用する第6乃至11のうち何れか1項に記載の複数の油脂組成物の製造方法。

0017

本発明の第13は、前記USUの2位の脂肪酸がパルミチン酸(P)を主成分とし、UPU/USU比が0.5以上である第2乃至5のうち何れか1項に記載の複数の油脂組成物の製造方法。
本発明の第14は、原料油脂(a)が構成脂肪酸中パルミチン酸を60重量%以上含む第13記載の複数の油脂組成物の製造方法。
本発明の第15は、原料油脂(a)の一部又は全部にトリパルミチンに富む油脂、原料脂肪酸又はその低級アルコールエステル(b)にオレイン酸又はその低級アルコールエステル、原料油脂(c)の一部又は全部にハイオレイック油脂、原料脂肪酸又はその低級アルコールエステル(d)にパルミチン酸又はその低級アルコールエステルを使用する第14記載の複数の油脂組成物の製造方法に関するものである。

発明の効果

0018

本発明によれば従来は廃棄するか又は付加価値の低い用途に使用するしかなかった、副生脂肪酸エステル等を有効利用でき、目的油脂の製造コストを大幅に低減できるだけではなく、廃棄物の出ない又は大幅に低減した環境に優しい目的トリグリセリドに富む油脂の製造が可能となる。またそれぞれの反応システム内で、分別副生油脂の原料油脂への循環使用や、未反応脂肪酸等の画分の原料脂肪酸エステル等への循環使用により更に大きな生産コストの低減となる。さらに後述する態様1乃至3においては、第二の反応システムで得られたSUS油脂を硬化した上で第一の反応システムの原料油脂に用いることで、ハイオレイック油脂のみを原料としてUStUを含む油脂を副生物なしに又は副生物が低減した生産も可能となる。

図面の簡単な説明

0019

本発明の態様の一つであるUSU−SUS複合反応システムの概念図である。
本発明の態様1の一例である実施例1の概念図である。
本発明の態様2の一例である実施例2の概念図である。
本発明の態様3の一例である実施例3の概念図である。
本発明の態様4の一例である実施例4の概念図である。

実施例

0020

以下、本発明を具体的に説明する。
本発明における用語の定義を説明する。本発明において脂肪酸エステル等とは、脂肪酸又はその低級アルコールエステルを指す。エステル交換反応システム又は反応システムとは、原料油脂と原料脂肪酸エステル等とを1,3位特異エステル交換反応し、反応生成物から目的とする油脂組成物及び、脂肪酸エステル等を分離する一連の工程を指す。また複合エステル交換反応システム又は複合反応システムとは複数の反応システム間で副生物を相互に交換する複合システムを指す。

0021

本発明は、複数の反応システムを含む複合反応システムにおいて、それぞれの反応システムの1,3位特異エステル交換反応後の反応生成物から副生脂肪酸エステル等の画分を分離し、当該画分を別の反応システムの原料脂肪酸エステル等の一部又は全部として用いることを特徴とする複合反応システムによる複数の油脂組成物の製造方法である。複合反応システムに含まれる反応システムの数は特に限定されないが、好ましくは2つまたは3つ、より好ましくは2つの反応システムを含む複合反応システムである。例えば2つの反応システムからなる複合反応システムの場合は、第一の反応システムで副生した脂肪酸エステル等を第二の反応システムの原料に用い、第二の反応システムで副生した脂肪酸エステル等を第一の反応システムの原料に用いることで2種の油脂組成物を製造するが如くである。また3つの場合は、第一の副生物を第二の原料に、第二の副生物を第三の原料に、第三の副生物を第一の原料に用いることで3種の油脂組成物を製造するが如くである。

0022

それぞれの反応システムの原料油脂及び原料脂肪酸エステル等の種類は特に限定はされないが、一定の制約は受ける。すなわち、複合反応システム内で相互に交換される脂肪酸エステル等が交換先の反応システムにおける原料脂肪酸エステル等と同じ種類の脂肪酸であるように原料の組み合わせを選択する必要がある。またエステル交換反応後の脂肪酸エステル等の画分の分離に蒸留を用いる場合は、相互に交換される、副生脂肪酸エステル等が十分な沸点差を持つように原料の組み合わせを選択する必要がある。

0023

以上の制約の他は特に限定されるものではなく、種々のものを使用することができる。具
体的な油脂としては、ひまわり油ハイオレイックひまわり油サフラワー油、ハイオレ
イックサフラワー油、大豆油ナタネ油オリーブ油パーム油サル脂、シア脂ヤシ
油、パーム核油等の植物油魚油牛脂豚脂等の動物油、MCTやトリラウリン等の合成トリグリセリド、1,3位と2位にそれぞれ特定の脂肪酸が結合した構造脂質等から選ばれる1種または2種以上の混合油、それらの加工油脂(硬化、分別及びエステル交換から選択される1種以上の加工工程を含む)が例示でき、脂肪酸エステル等としては酪酸カプロン酸カプリル酸カプリン酸ラウリン酸ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸リノレン酸、ベヘン酸、DHA,EPAなどC4〜24の脂肪酸及びこれらのメチルまたはエチルエステル等のような低級アルコールのエステルが例示できる。

0024

本発明の1,3位特異エステル交換反応にはリゾプス(Rhizopus)属、アスペルギルス(Aspergillus)属、ムコール(Mucor)属の微生物が生産するリパーゼを使用することができる。また、少なくともこれらと同様な性質をもつリパーゼであれば上記以外のものでもよく、何ら差支えない。このようなリパーゼは市販されており、例えばアマノA(天野製薬)、リポザイム(NOVO社製)などが用いられる。上記リパーゼの使用形態は、特に制限されないが、効率の観点から公知の方法で担体固定化して用いることが好ましく、また、有機溶媒下で用いる場合は化学修飾酵素を用いるのが好ましい。またこの反応は、撹拌タンクを用いた回分法や、充填反応器を用いた連続法で実施できる。

0025

本発明において酵素エステル交換反応に供する原料混合物は、酵素活性低下をできるだけ抑制する目的でその反応前に既知の方法で脱色・脱臭することが望ましい。また原料混合物の水分含量は、加水分解反応をできる限り抑制し、ジグリセリドの生成を抑制する目的では低く調整することが望ましく、反応速度を高める目的では高く調整することが望ましいが10〜300ppm、好ましくは20〜200ppm、さらに好ましくは30〜100ppmに調整することが望ましい。また酵素反応の時間は十分なエステル交換反応率が達成できれば特に限定されないが2時間から4日間が好適である。また酵素反応の温度は、十分な酵素反応速度を確保しつつ酵素活性を長く維持する観点及び異性体トリグリセリドの生成をできるだけ抑制する観点から、30〜90℃であることが望ましく、35〜75℃であることがより好ましく、40〜55℃であることがさらに好ましい。

0026

本発明においては、それぞれの反応システムの1,3位特異エステル交換反応後の反応生成物から、原料油脂1,3位由来の副生脂肪酸エステル等の画分が分離され、別の反応システムの原料脂肪酸エステル等の一部又は全部としてそのまま又は蒸留、分別、吸着といった既知の方法で目的とする脂肪酸エステル等の純度を高めてから使用される。前記反応生成物から原料油脂1,3位由来の副生脂肪酸エステル等の画分を分離するときには、さらにトリグリセリド画分と未反応脂肪酸エステル等の画分を含めた、少なくとも三画分に分離することもできるが、この内トリグリセリド画分は目的とする特定トリグリセリドに富む油脂組成物である。また未反応脂肪酸エステル等の画分は、同一反応システムの原料脂肪酸エステル等の一部又は全部として循環使用することもできる。また場合によってはトリグリセリド画分と未反応脂肪酸エステル等の画分間の分離をあえて行わず、ここに未反応脂肪酸エステル等と同種の脂肪酸エステル等をさらに追加して又は追加せずに1,3位特異エステル交換反応を行いその後トリグリセリド画分を分離することで目的とする特定トリグリセリド純度が向上した油脂組成物を得ることもできる。

0027

本発明の反応生成物からの前記三画分への分離は、分別や蒸留等の既知の分離法を単独で又は複数の方法を組み合わせて用いることができる。分別法の具体的例示としては溶剤を使用した分別、溶剤を使わないドライ分別及び尿素付加法による分別が挙げられる。また蒸留法の具体的例示としては単蒸留水蒸気蒸留薄膜蒸留、分子蒸留及び精密蒸留いわゆる精留が挙げられる。蒸留法は分離手段としての簡便、効率的でさらに精密な分離ができる点で望ましい。

0028

本発明の反応生成物からの前記三画分への分離の順序は特に限定されないが、当該分離を蒸留で行う場合は、まず沸点差の大きいトリグリセリド画分と脂肪酸エステル等の画分を蒸留分離する第一の蒸留を行い、後者の画分をさらに、沸点差の比較的小さい、原料油脂1,3位由来の副生脂肪酸エステル等の画分と未反応脂肪酸エステル等の画分に蒸留分離する第二の蒸留を行うことが好ましく、この第二の蒸留には精留が好適に用いられる。ただし当該分離の工程の都合によっては、原料油脂1,3位由来の副生脂肪酸エステル等の画分、又は未反応脂肪酸エステル等の画分を先に蒸留分離したり、前記三画分を同時に分離したりすることもできる。

0029

本発明の反応生成物からの前記三画分への分離を蒸留で行う場合、前記第一及び第二の蒸留の条件は分離すべき脂肪酸エステル等の組成やトリグリセリド画分の組成により適宜選択される。

0030

本発明の態様の一つはUSUに富む油脂組成物を製造する第一の反応システムとSUSに富む油脂組成物を製造する第二の反応システムからなる複合反応システムである。(以下「USU−SUS複合反応システム」という。またその概念図を図1に示す。)第一の反応システムではSSSに富む油脂(原料油脂(a))とUを主成分とする脂肪酸エステル等(原料脂肪酸エステル等(b))を原料に使用しUSU含有油脂を製造し、第二の反応システムではUUUに富む油脂(原料油脂(c))とSを主成分とする脂肪酸エステル等(原料脂肪酸エステル等(d))を原料に使用しSUS含有油脂を製造する。この時第一の反応システムで生じた、(a)の1,3位由来のSを主成分とする副生脂肪酸エステル等を第二の反応システムの原料脂肪酸エステル等(d)として用い、第二の反応システムで生じた、(c)の1,3位由来のUを主成分とする副生脂肪酸エステル等を第一の反応システムの原料脂肪酸エステル等(b)として用いるのである。

0031

USU−SUS複合反応システム中、第一の反応システムの工程(1)では、原料油脂(a)と原料脂肪酸エステル等(b)を混合する。SSSに富む油脂である原料油脂(a)(図1−101参照)は、構成脂肪酸中Sを80重量%以上含む必要があり、90重量%以上含むことが好ましく、より好ましくは95重量%以上さらに好ましくは98重量%以上である。本発明の原料油脂(a)の構成脂肪酸中Sが80重量%未満の場合はUSUを含有する油脂組成物中の当該トリグリセリド含量が低くなり好ましくない。

0032

Uを主成分とする原料脂肪酸エステル等(b)(図1−102参照)はUを80重量%以上含むことが好ましく、90重量%以上含むことがさらに好ましく、より好ましくは95重量%以上もっとも好ましくは99重量%以上である。

0033

USU−SUS複合反応システム中、第二の反応システムの工程(4)では、原料油脂(c)と原料脂肪酸エステル等(d)を混合する。UUUに富む油脂である原料油脂(c)(図1−107参照)は、構成脂肪酸中Uが50重量%以上であれば特に制限はないが、70重量%以上が好ましく、80重量%以上がより好ましく、90重量%以上がさらに好ましい。

0034

Sを主成分とする原料脂肪酸エステル等(d)(図1−108参照)はSを80重量%以上含むことが好ましく、90重量%以上含むことがさらに好ましく、より好ましくは95重量%以上もっとも好ましくは99重量%以上である。

0035

前記工程(1)又は工程(4)においては本発明の効果を損ねない範囲でそれぞれ原料油脂(a)と原料脂肪酸エステル等(b)以外の原料、原料油脂(c)と原料脂肪酸エステル等(d)以外の原料を加えることもできる。原料混合物中に占める(a)と(b)の合計又は(c)と(d)の合計は好ましくは80重量%以上、より好ましくは90重量%以上、更に好ましくは95重量%以上、最も好ましくは98重量%以上である。

0036

USU−SUS複合反応システムのそれぞれの1,3位特異エステル交換反応においては、反応中に結晶析出が生じないような反応温度を用いる必要がある。このような配慮はエステル交換反応に充填反応器を用いた連続法を採用する場合には反応器内の閉塞を避けるために特に重要である。例えばUSU−SUS複合反応システムの場合、第一の反応システムでは比較的融点が高い飽和脂肪酸主体の原料油脂(a)と逆に融点の低い不飽和脂肪酸主体の原料脂肪酸エステル等(b)の混合比率によりこの結晶析出温度は変動する。
その意味で工程(1)における混合比率は原料脂肪酸エステル等(b)が多い方が有利であり、原料混合物中の原料脂肪酸エステル等(b)の比率は、好ましくは35重量%以上、より好ましくは50重量%以上、さらに好ましくは60重量%以上である。また逆に原料油脂(a)が少ないと工程(3)で得られるトリグリセリド画分としての油脂組成物の製造量が少なくなり生産効率が劣る。この意味で原料混合物中の原料油脂(a)の比率は、好ましくは5重量%以上、より好ましくは10重量%以上、さらに好ましくは20重量%以上である。

0037

またUSU−SUS複合反応システムの場合、第二の反応システムでは比較的融点が低い不飽和脂肪酸主体の原料油脂(c)と逆に比較的融点の高い飽和脂肪酸主体の原料脂肪酸エステル等(d)の混合比率によりこの結晶析出温度は変動する。
その意味で工程(4)における混合比率は原料油脂(c)が多い方が有利であり、原料混合物中の原料油脂(c)の比率は、好ましくは10重量%以上、より好ましくは20重量%以上、さらに好ましくは25重量%以上である。また逆に原料脂肪酸エステル等(d)が少ないと工程(6)で得られるトリグリセリド画分のSUS含量が低くなり生産効率が劣る。この意味で原料混合物中の原料脂肪酸エステル等(d)の比率は、好ましくは20重量%以上、より好ましくは40重量%以上、さらに好ましくは60重量%以上である。

0038

USU−SUS複合反応システムの場合には第一の反応システムの工程(3)又は第二の反応システムの工程(6)において、原料油脂1,3位由来の副生脂肪酸エステル等の画分として、それぞれ順にSを主成分とする脂肪酸エステル等(図1−105参照)又はUを主成分とする脂肪酸エステル等(図1−111参照)が分離され、それぞれ順に第二の反応システムの工程(4)の原料脂肪酸エステル等(d)又は第一の反応システムの工程(1)の原料脂肪酸エステル等(b)の一部又は全部として使用される。(図1−106又は図1−112参照)さらにトリグリセリド画分と未反応脂肪酸エステル等の画分を含む少なくとも三画分に分離するときには未反応脂肪酸エステル等の画分(図1−104又は図1−110参照)はそれぞれ順に第一の反応システムの工程(1)の原料脂肪酸エステル等(b)又は第二の反応システムの工程(4)の原料脂肪酸エステル等(d)に循環再使用することができる。

0039

USU−SUS複合反応システムでは、工程(3)又は(6)の前記三画分の分離を蒸留で行う場合、トリグリセリド画分と脂肪酸エステル等の画分を分離する前記第一の蒸留の温度は、好ましくは180℃以上、より好ましくは200℃以上、さらに好ましくは210℃以上、最も好ましくは220℃以上である。また好ましくは280℃以下、より好ましくは270℃以下、さらに好ましくは260℃以下である。また真空度は好ましくは0.2トール以上、より好ましくは0.5トール以上、さらに好ましくは1トール以上である。また好ましくは10トール以下、より好ましくは7トール以下、さらに好ましくは5トール以下、最も好ましくは3トール以下である。
一方、原料油脂1,3位由来の副生脂肪酸エステル等の画分と未反応脂肪酸エステル等の画分を分離する前記第二の蒸留や精留の条件については分離すべき脂肪酸エステル等の組成により適宜選択される。

0040

USU−SUS複合反応システムでは、第一の反応システムの工程(3)にて得られたトリグリセリド画分(図1−103参照) はUSUを30重量%以上含有する油脂組成物となる。
工程(1)での原料脂肪酸エステル等の混合比率を上げること又は工程(2)でのエステル交換反応率を高くすることでこのUSU含量は高めることができ、好ましくは40重量%以上、さらに好ましくは50重量%以上、最も好ましくは60重量%以上である。

0041

USU−SUS複合反応システムでは、第二の反応の工程(6)にて得られたトリグリセリド画分(図1−109参照)はSUSを30重量%以上含有する油脂組成物となる。
工程(4)での原料脂肪酸エステル等の混合比率を上げること又は工程(5)でのエステル交換反応率を高くすることでこのSUS含量は高めることができ、好ましくは40重量%以上、さらに好ましくは50重量%以上、最も好ましくは60重量%以上である。

0042

USU−SUS複合反応システムにおいて、第一の反応システムで製造されるUSUを含有する油脂が、UStU(Stはステアリン酸)に富む油脂の場合、UStU/USU比が0.5以上が好ましく、0.7以上がより好ましく、0.9以上がさらに好ましい。この場合のひとつの態様(以下「態様1」という。)は、第一の反応システムの原料油脂(a)として1,3位がC20〜24の飽和脂肪酸に富み、2位がステアリン酸に富む油脂を使用し、原料脂肪酸エステル等(b)にオレイン酸を使用してOStOに富む油脂を製造し、第二の反応システムにて原料油脂(c)にハイオレイック油脂を使用し、原料脂肪酸エステル等(d)にC20〜24の飽和脂肪酸を使用してBOB(Bはベヘン酸を表す)に代表される1,3位にC20〜24の飽和脂肪酸、2位にオレイン酸を含有するトリグリセリドに富む油脂を製造する製造方法である。そして第一の反応システムで副生した(a)の1,3位由来の20〜24の飽和脂肪酸エステル等を第二の反応システムの原料脂肪酸エステル等(d)に使用し、そして第二の反応システムで副生した(c)の1,3位由来のオレイン酸エステル等を第一の反応システムの原料脂肪酸エステル等(b)に使用するのである。この態様1の一例である実施例1の概念図を図2に示す。

0043

この態様1では、原料油脂(a)の構成脂肪酸中C20〜24の飽和脂肪酸を10〜70重量%含むことが好ましく、またその下限は20重量%以上であればより好ましく、さらに好ましくは30重量%以上最も好ましくは40重量%以上である。そしてC20〜24の飽和脂肪酸の上限は60重量%以下であればより好ましく、さらに好ましくは55重量%以下である。原料油脂(a)の構成脂肪酸中C20〜24の飽和脂肪酸が10重量%未満の場合は副生するC20〜24の飽和脂肪酸の量が少なくなり、第二の反応システムの原料脂肪酸エステル等として十分な量が供給できない問題がある。一方C20〜24の飽和脂肪酸が70重量%を超えると相対的にStの含量が低下するので十分なレベルのOStO油脂生産効率が得られない。

0044

さらに前記態様1においては、原料油脂(a)は1,3位にC20〜24の飽和脂肪酸を多く含み2位にC20〜24の飽和脂肪酸をほとんど含まない油脂であるのが好ましい。
この観点では原料油脂(a)構成脂肪酸中の全C20〜24の飽和脂肪酸の内、80重量%以上が1,3位に存在していることが好ましく、より好ましくは90重量%以上であり、更に好ましくは95重量%以上であり、最も好ましくは98重量%以上である。

0045

さらに前記態様1においては、原料油脂(a)の構成脂肪酸において、S含量に対するC20〜24の飽和脂肪酸含量比は好ましくは0.2以上、より好ましくは0.3以上、更に好ましくは0.4以上であり、好ましくは0.85以下、より好ましくは0.75以下、更に好ましくは0.65以下である。当該含量比が下限未満であると副生するC20〜24の飽和脂肪酸エステル等の量が少なく第二の反応システムの原料脂肪酸エステル等として十分な量が供給できない問題がある。また上限を超えると相対的にStの含量が低下するので、十分なレベルのOStO油脂生産効率が得られないことがある。

0046

前記態様1においては、原料油脂(a)としては前記脂肪酸組成要件を満たしていれば特に限定されないが、ハイエルシン菜種極度硬化油、魚油極度硬化油、ホホバ油極度硬化油等の極度硬化油及びそれらから選ばれる1つ以上の油脂を原料の一部に用いたエステル交換油や分別油などが例示できる。そして原料油脂(a)はハイエルシン菜種極度硬化油であるのが最も好ましい。

0047

前記態様1の場合、第一の反応システムの原料脂肪酸エステル等(b)にはオレイン酸又はその低級アルコールエステルを使用するが、中でもオレイン酸エチルが好ましい。そしてそのオレイン酸含量は好ましくは70重量%以上であり、更に好ましくは75重量%以上である。

0048

前記態様1の場合、第二の反応システムの原料油脂(c)にはハイオレイック油脂を使用するが、全脂肪酸中のオレイン酸含量は好ましくは70重量%以上、より好ましくは80重量%以上さらに好ましくは90重量%以上、さらにリノール酸が20重量%以下、好ましくは15重量%以下、さらに好ましくは10重量%以下、最も好ましくは7重量%以下である。原料油脂(c)に用いられる油脂としては高オレイン酸ヒマワリ油、高オレイン酸ベニバナ油、高オレイン酸菜種油、オリーブ油及びそれらから選ばれる1つ以上の油脂のエステル交換油や分別油、オレイン酸を豊富に含む油脂をオレイン酸またはオレイン酸エステルとエステル交換を実施することで、トリグリセリドにオレイン酸を導入し、その含量を高めたものなどが例示できる。

0049

前記態様1の場合、第二の反応システムの原料脂肪酸エステル等(d)にC20〜24の飽和脂肪酸エステル等を使用するが、中でもベヘン酸を含めば好ましく、原料脂肪酸エステル等(d)中のベヘン酸含量が60重量%以上が好ましく、70重量%以上がより好ましく、80重量%以上がさらに好ましく、90重量%以上が最も好ましい。

0050

前記態様1では、工程(3)又は(6)での前記第二の蒸留において、C20〜24の飽和脂肪酸エステル等とオレイン酸エステル等を分離することになる。
この場合の蒸留温度は好ましくは170℃以上、より好ましくは190℃以上、さらに好ましくは200℃以上、最も好ましくは210℃以上である。また好ましくは270℃以下、より好ましくは260℃以下、さらに好ましくは250℃以下である。真空度は好ましくは0.2トール以上、より好ましくは0.5トール以上、さらに好ましくは1トール以上である。また好ましくは10トール以下、より好ましくは7トール以下、さらに好ましくは5トール以下、最も好ましくは3トール以下である。
当該蒸留により、C20〜24の飽和脂肪酸エステル等が高沸点画分に、オレイン酸エステル等が低沸点画分に回収される。

0051

前記態様1の場合、第一の反応システムにてOStOに富む油脂が得られる。この場合OStOの含量は30重量%以上、好ましくは40重量%以上、さらに好ましくは50重量%以上、最も好ましくは60重量%以上である。またさらに分別を行うことで分別低融点部にOStO含量が向上した油脂組成物を得ることができ、副生する分別高融点部は工程(1)の原料油脂(a)の一部として循環再使用できる。

0052

また前記態様1の場合、第二の反応システムではBOBに富む油脂が生産される。この場合BOBの含量は30重量%以上、好ましくは40重量%以上、さらに好ましくは50重量%以上、最も好ましくは60重量%以上である。またさらに分別を行うことで分別高融点部にBOB含量が向上した油脂組成物を得ることができ、副生する分別低融点部は工程(4)の原料油脂(c)の一部として循環再使用できる。

0053

前記態様1の場合には以下の有利な効果が得られる。すなわち工程(3)又は(6)での前記第二の蒸留における、C20〜24の飽和脂肪酸エステル等とオレイン酸エステル等の沸点の差は十分に大きく、蒸留分離が非常に有効である。またOStOに富む油脂やBOBに富む油脂の分別により高純度の油脂組成物が得られるだけでなく、それぞれの分別副生物の原料油脂への循環再使用で更に生産コストの低減となる。加えて、それぞれの反応システムで得られた未反応脂肪酸等の画分は、当該反応システムの原料脂肪酸エステル等に循環再使用すれば更に大きな生産コストの低減となる。

0054

USU−SUS複合反応システムにおいて、第一の反応システムで製造されるUSUを含有する油脂が、UStU(Stはステアリン酸)に富む油脂の場合の別の態様(以下「態様2」という。)は、第一の反応システムの原料油脂(a)として1,3位がパルミチン酸に富み、2位がステアリン酸に富む油脂を使用し、原料脂肪酸エステル等(b)にオレイン酸エステル等を使用してOStOに富む油脂を製造し、第二の反応システムにて原料油脂(c)にハイオレイック油脂を使用し、原料脂肪酸エステル等(d)にパルミチン酸エステル等を使用してPOP(Pはパルミチン酸を表す)に富む油脂を製造する製造方法である。そして第一の反応システムで副生したパルミチン酸エステル等を第二の反応システムの原料脂肪酸エステル等(d)に使用し、そして第二の反応システムで副生したオレイン酸エステル等を第一の反応システムの原料脂肪酸エステル等(b)に使用するのである。この態様2の一例である実施例2の概念図を図3に示す。

0055

前記態様2の原料油脂(a)はパルミチン酸を10〜70重量%含むことが好ましく、またその下限は20重量%以上であればより好ましく、さらに好ましくは30重量%以上最も好ましくは40重量%以上である。そしてパルミチン酸の上限は60重量%以下であればより好ましく、さらに好ましくは55重量%以下である。
本発明の原料油脂(a)の構成脂肪酸中パルミチン酸が10重量%未満の場合は副生するパルミチン酸エステル等の量が少なく、第二の反応システムの原料脂肪酸エステル等として十分な量が供給できない問題がある。一方パルミチン酸が70重量%を超えると相対的にStの含量が低下するので十分なレベルのUStU油脂生産効率が得られない。

0056

前記態様2においては、原料油脂(a)は1,3位にパルミチン酸を多く含み2位にパルミチン酸を多くは含まない油脂であるのが好ましい。
この観点では原料油脂(a)構成脂肪酸中の全パルミチン酸の内、80重量%以上が1,3位に存在していることが好ましく、より好ましくは90重量%以上であり、更に好ましくは95重量%以上であり、最も好ましくは98重量%以上である。かかる原料油脂を使用すれば、エステル交換反応後に副生するパルミチン酸エステル等と未反応のオレイン酸エステル等のそれぞれの沸点の差を利用して、蒸留によって簡単に分離できる。分離によって濃縮されたパルミチン酸エステル等は第二の反応システムの原料脂肪酸エステル等として有効に使用することができる。

0057

前記態様2においては、原料油脂(a)の構成脂肪酸において、S含量に対するパルミチン酸含量比は好ましくは0.2以上、より好ましくは0.3以上、更に好ましくは0.4以上であり、好ましくは0.85以下、より好ましくは0.75以下、更に好ましくは0.85以下である。当該含量比が下限未満であると副生するパルミチン酸エステル等の量が少なく第二の反応システムの原料脂肪酸エステル等として十分な量が供給できない問題がある。また上限を超えると相対的にStの含量が低下するので、十分なレベルのUStU油脂生産効率が得られないことがある。

0058

前記態様2においては、原料油脂(a)としては前記脂肪酸組成の要件を満たしていれば特に限定されないが、パーム中融点部の極度硬化油、南京ハゼ油の極度硬化油及びそれらから選ばれる1つ以上の油脂を原料の一部に用いたエステル交換油や分別油などが例示できる。そして原料油脂(a)はパーム中融点部の極度硬化油であるのが最も好ましい。

0059

前記態様2において、原料脂肪酸エステル等(b)のオレイン酸エステル等及び原料油脂(c)のハイオレイック油脂の詳細は態様1と同様である。

0060

前記態様2の場合、第二の反応システムの原料脂肪酸エステル等(d)にパルミチン酸エステル等を使用するが、(d)中のパルミチン酸含量が60重量%以上が好ましく、70重量%以上がより好ましく、80重量%以上がさらに好ましく、90重量%以上が最も好ましい。

0061

前記態様2では、工程(3)又は(6)での前記第二の蒸留において、パルミチン酸エステル等とオレイン酸エステル等を分離することになる。この場合の蒸留温度は好ましくは120℃以上、より好ましくは140℃以上、さらに好ましくは150℃以上、最も好ましくは160℃以上である。また好ましくは220℃以下、より好ましくは210℃以下、さらに好ましくは200℃以下である。真空度は好ましくは0.2トール以上、より好ましくは0.5トール以上、さらに好ましくは1トール以上である。また好ましくは10トール以下、より好ましくは7トール以下、さらに好ましくは5トール以下、最も好ましくは3トール以下である。
当該蒸留により、パルミチン酸エステル等が低沸点画分に回収され、オレイン酸エステル等が高沸点画分に回収される。

0062

前記態様2の場合、態様1と同様に第一の反応システムにてOStOに富む油脂が得られ、その詳細は態様1と同様である。

0063

また前記態様2の場合、第二の反応システムではPOPに富む油脂が生産される。この場合POPの含量は30重量%以上、好ましくは40重量%以上、さらに好ましくは50重量%以上、最も好ましくは60重量%以上である。またさらに分別を行うことで分別高融点部にPOP含量が向上した油脂組成物を得ることができ、副生する分別低融点部は工程(4)の原料油脂(c)の一部として循環再使用できる。

0064

前記態様2の場合には以下の有利な効果が得られる。すなわち工程(3)又は(6)での前記第二の蒸留における、パルミチン酸エステル等とオレイン酸エステル等の沸点の差は前記態様1程ではないが十分に大きく、蒸留分離が非常に有効である。またOStOに富む油脂やPOPに富む油脂の分別により高純度の油脂組成物が得られるだけでなく、それぞれの分別副生物の原料油脂への循環再使用で更に生産コストの低減となる。加えて、それぞれの反応システムで得られた未反応脂肪酸エステル等の画分は、当該反応システムの原料脂肪酸エステル等に循環再使用すれば更に大きな生産コストの低減となる。

0065

USU−SUS複合反応システムにおいて、第一の反応システムで製造されるUSUを含有する油脂が、UStU(Stはステアリン酸)に富む油脂の場合の別の態様(以下「態様3」という。)では、第二の反応工程の原料油脂(c)にハイオレイック油脂を使用し、原料脂肪酸エステル等(d)にC4〜C14の飽和脂肪酸を使用して、1,3位にC4〜C14の飽和脂肪酸に富み、2位にオレイン酸に富む油脂(以下MOM油脂という)を得る。そしてこれを極度硬化して2位にステアリン酸に富む油脂(以下MStM油脂という)としてから第一の反応の原料油脂(a)に使用し、そして原料脂肪酸エステル等(b)には第二の反応システムで副生したオレイン酸エステル等を使用して、OStOに富む油脂を得る。ここで副生したC4〜C14の飽和脂肪酸エステル等は第二の反応システムの原料脂肪酸エステル等(d)として用いる。この態様3の一例である実施例3の概念図を図4に示す。

0066

前記態様3において、原料油脂(c)のハイオレイック油脂及び原料脂肪酸エステル等(b)のオレイン酸エステル等の詳細は態様1と同様である。

0067

前記態様3の場合、第二の反応システムの原料脂肪酸エステル等(d)にC4〜C14の飽和脂肪酸エステル等を使用するが、原料脂肪酸エステル等(d)中のC4〜C14の飽和脂肪酸含量が80重量%以上が好ましく、90重量%以上がより好ましく、95重量%以上がさらに好ましく、98重量%以上が最も好ましい。

0068

第二の反応システムで得られたMOM油脂は硬化されて、MStM油脂となり、原料油脂(a)として用いるのであるが、この原料油脂(a)はC4〜C14の飽和脂肪酸を10〜70重量%含むことが好ましく、またその下限は20重量%以上であればより好ましく、さらに好ましくは30重量%以上最も好ましくは40重量%以上である。そしてC4〜C14の飽和脂肪酸の上限は60重量%以下であればより好ましく、さらに好ましくは55重量%以下である。
本発明の原料油脂(a)の構成脂肪酸中C4〜C14の飽和脂肪酸が10重量%未満の場合は副生するC4〜C14の飽和脂肪酸エステル等の量が少なく、第二の反応システムの原料脂肪酸エステル等として十分な量が供給できない問題がある。一方C4〜C14の飽和脂肪酸が70重量%を超えると相対的にStの含量が低下するので十分なレベルのUStU油脂生産効率が得られない。

0069

前記態様3において原料油脂(a)に用いるMStM油脂は構成脂肪酸中の全C4〜C14の飽和脂肪酸の内、80重量%以上が1,3位に存在していることが好ましく、より好ましくは90重量%以上であり、更に好ましくは95重量%以上であり、最も好ましくは98重量%以上である。かかる原料油脂を使用すれば、エステル交換反応後に副生するC4〜C14の飽和脂肪酸エステル等と未反応のオレイン酸エステル等のそれぞれの沸点の差を利用して、蒸留によって簡単に分離できる。分離によって濃縮されたC4〜C14の飽和脂肪酸エステル等は第二の反応システムの原料脂肪酸エステル等として有効に使用することができる。

0070

前記態様3においては、原料油脂(a)の構成脂肪酸において、S含量に対するC4〜C14の飽和脂肪酸含量比は好ましくは0.2以上、より好ましくは0.3以上、更に好ましくは0.4以上であり、好ましくは0.85以下、より好ましくは0.75以下、更に好ましくは0.85以下である。当該含量比が下限未満であると副生するC4〜C14の飽和脂肪酸エステル等の量が少なく第二の反応システムの原料脂肪酸エステル等として十分な量が供給できない問題がある。また上限を超えると相対的にStの含量が低下するので、十分なレベルのUStU油脂生産効率が得られないことがある。

0071

前記態様3の場合には以下の有利な効果が得られる。すなわち工程(3)又は(6)での前記第二の蒸留における、C4〜C14の飽和脂肪酸エステル等とオレイン酸エステル等の沸点の差は前記態様1又は2に比較しても十分に大きく、蒸留分離が非常に有効である。またこの態様では条件さえ整えば、ハイオレイック油脂のみををほとんど唯一の原料として、OStO含有油脂の生産が可能となる。またそれぞれの反応システムで生産されたOStOに富む油脂やMOMに富む油脂の分別副生物を原料油脂への循環再使用したり、それぞれの反応システムで得られた未反応脂肪酸等の画分を原料脂肪酸エステル等に循環再使用すれば更に大きな生産コストの低減となる。従って無駄のない、廃棄物のない理想的で画期的なOStO油脂の製造法となる。

0072

態様1,2においても、第二の反応システムで生産されたBOBに富む油脂やPOPに富む油脂は、当該成分を濃縮し又は分別濃縮せずに、硬化することで、2位がステアリン酸に富む油脂が得られるので、これを工程(1)の原料油脂(a)の全部又は一部として使用することができる。この場合には前記態様3と同様にハイオレイック油脂のみを原料としてUStUを含む油脂を副生物なしに又は副生物が低減した生産が可能となるので無駄のない、廃棄物のない理想的なOStO油脂の製造法となる。

0073

USU−SUS複合反応システムにおいて、第一の反応システムで製造されるUSUに富む油脂が、UPU(Pはパルミチン酸)に富む油脂の場合、UPU/USU比が0.5以上が好ましく、0.7以上がより好ましく、0.9以上がさらに好ましい。この場合のひとつの態様(以下「態様4」という。)は、第一の反応システムの原料油脂(a)としてPPPに富む油脂を使用し、原料脂肪酸エステル等(b)にオレイン酸エステル等を使用してOPO含有油脂を製造し、第二の反応システムにて原料油脂(c)にハイオレイック油脂を使用し、原料脂肪酸エステル等(d)にパルミチン酸エステル等を使用してPOP(Pはパルミチン酸を表す)含有油脂を製造する製造方法である。そして第一の反応システムで副生したパルミチン酸エステル等を第二の反応システムの原料脂肪酸エステル等(d)に使用し、そして第二の反応システムで副生したオレイン酸エステル等を第一の反応システムの原料脂肪酸エステル等(b)に使用するのである。この態様4の一例である実施例4の概念図を図5に示す。

0074

前記態様4では原料油脂(a)がパルミチン酸を60重量%以上含むことが好ましく、さらに好ましくは80重量%以上最も好ましくは90重量%以上である。原料油脂(a)の構成脂肪酸中パルミチン酸が60重量%未満の場合は副生するパルミチン酸エステル等の量が少なくなり、第二の反応システムの原料脂肪酸エステル等として十分な量が供給できない問題がある。また十分なレベルのOPO油脂生産効率が得られないことがあるので好ましくない。原料油脂(a)は前記脂肪酸組成の要件を満たしていれば特に限定されないが、パーム分別高融点部又はその極度硬化油、パーム油を主要な原料とするエステル交換油の分別高融点部又はその極度硬化油、トリパルミチン油脂などが例示できる。そして原料油脂(a)はパーム分別高融点部又はトリパルミチン油脂であるのが最も好ましい。

0075

前記態様4において、原料脂肪酸エステル等(b)のオレイン酸エステル等はオレイン酸含量が好ましくは70重量%以上であり、更に好ましくは75重量%以上である。

0076

前記態様4において、原料油脂(c)のハイオレイック油脂としては全脂肪酸中のオレイン酸含量は好ましくは70重量%以上、より好ましくは80重量%以上さらに好ましくは90重量%以上、さらにリノール酸が20重量%以下、好ましくは15重量%以下、さらに好ましくは10重量%以下、最も好ましくは7重量%以下である。原料油脂(c)に用いられる油脂としては高オレイン酸ヒマワリ油、高オレイン酸ベニバナ油、高オレイン酸菜種油、オリーブ油及びそれらから選ばれる1つ以上の油脂のエステル交換油や分別油、オレイン酸を豊富に含む油脂をオレイン酸またはオレイン酸エステルとエステル交換を実施することで、トリグリセリドにオレイン酸を導入し、その含量を高めたものなどが例示できる。

0077

前記態様4では、工程(3)又は(6)での前記第二の蒸留において、パルミチン酸エステル等とオレイン酸エステル等を分離することになる。この場合の蒸留温度は好ましくは120℃以上、より好ましくは140℃以上、さらに好ましくは150℃以上、最も好ましくは160℃以上である。また好ましくは220℃以下、より好ましくは210℃以下、さらに好ましくは200℃以下である。真空度は好ましくは0.2トール以上、より好ましくは0.5トール以上、さらに好ましくは1トール以上である。また好ましくは10トール以下、より好ましくは7トール以下、さらに好ましくは5トール以下、最も好ましくは3トール以下である。当該蒸留により、パルミチン酸エステル等が低沸点画分に回収され、オレイン酸エステル等が高沸点画分に回収される。

0078

前記態様4では、第一の反応システムにてOPOに富む油脂が得られる。この場合OPOの含量は30重量%以上、好ましくは40重量%以上、さらに好ましくは50重量%以上、最も好ましくは60重量%以上である。またさらに分別を行うことで分別低融点部にOPO含量が向上した油脂組成物を得ることができ、副生する分別高融点部は工程(1)の原料油脂(a)の一部として循環使用できる。
前記態様4の第二の反応システムではPOPに富む油脂が生産される。この場合POPの含量は30重量%以上、好ましくは40重量%以上、さらに好ましくは50重量%以上、最も好ましくは60重量%以上である。またさらに分別を行うことで分別高融点部にPOP含量が向上した油脂組成物を得ることができ、副生する分別低融点部は工程(4)の原料油脂(c)の一部として循環再使用できる。加えて、それぞれの反応システムで得られた未反応脂肪酸エステル等の画分は、当該反応システムの原料脂肪酸エステル等に循環再使用できる。

0079

以下に本発明の実施例を示し、本発明をより詳細に説明する。なお、例中、%および部はいずれも重量基準を意味する。
なお下記実施例1は前記態様1の、下記実施例2は前記態様2の、下記実施例3は前記態様3の、下記実施例4は前記態様4のそれぞれの一例である。
(実施例1)

0080

本実施例1の概念図を図2に示す。
第一の反応システム
原料油脂(a)としてハイエルシン菜種極度硬化油(図2−201参照)(構成脂肪酸中Sが99重量%、C20〜24の飽和脂肪酸が56重量%、1,3位のC20〜24の飽和脂肪酸が82.7%)30部と、原料脂肪酸エステル等(b)としてオレイン酸エチルエステル図2−202参照)(オレイン酸エチルエステル含量81重量%)70部を混合した原料混合物を既知の方法にて脱色・脱水を実施したのちに、1,3位特異性リパーゼを用いてエステル交換反応を実施した。エステル交換反応は原料混合物の水分含量90ppm、反応時間24時間、反応温度53℃、固定化リパーゼ量を対原料混合物1%とした回分反応にて実施した。
反応後、得られた反応生成物をトリグリセリド画分と脂肪酸エチルエステル画分に蒸留により分離した。蒸留条件は温度245〜250℃、真空度0.5〜1.0torrであった。得られたトリグリセリド画分(図2−203参照)のUSU含量は45重量%であったが、さらにN−ヘキサンを用いて溶剤分別を実施することにより低融点部としてUSUを87重量%、OStOを58重量%、OBOを1重量%含有する油脂組成物(OStO脂)を得た。また副生成物として高融点部油脂を得た。この高融点部油脂は前記原料混合物の一部として循環再使用した。一方前記蒸留にて得られた脂肪酸エチルエステル画分は、続く精留工程で、低沸点画分と高沸点画分に分離した。精留の条件は温度238〜241℃真空度1.1〜1.3torrであった。得られた低沸点画分(図2−204参照)はオレイン酸エチルエステル含量が83重量%であり、オレイン酸エチル含量が81重量%の前記原料脂肪酸エステル等(b)とほぼ同等な品質として次回のエステル交換反応の原料脂肪酸エステル等(b)の一部に置換して循環再使用できた。一方得られた高沸点画分(図2−205参照)は原料油脂1,3位由来副生脂肪酸エステル等であり、ベヘン酸エチルエステルを83重量%含有しており、第二の反応システムの原料脂肪酸エステル等(d)とほぼ同等な品質として(d)の一部に使用できた。(図2−206参照)

0081

第二の反応システム
原料油脂(c)としてハイオレイックひまわり油(図2−207参照)(構成脂肪酸中オレイン酸含量88重量%、U含量91重量%)30部と、原料脂肪酸エステル等(d)としてベヘン酸エチルエステル(図2−208参照)(ベヘン酸エチルエステル含量91重量%、S含量99重量%)70部を混合した原料混合物を既知の方法にて脱色・脱水を実施したのちに、1,3位特異性リパーゼを用いてエステル交換反応を実施した。エステル交換反応は原料混合物の水分含量90ppm、反応時間24時間、反応温度53℃、固定化リパーゼ量を対原料混合物1%とした回分反応にて実施した。
反応後、得られた反応生成物をトリグリセリド画分と脂肪酸エチルエステル画分に蒸留により分離した。蒸留条件は温度245〜250℃、真空度0.5〜1.0torrであった。得られたトリグリセリド画分(図2−209参照)のSUS含量は45重量%であったが、さらにN−ヘキサンを用いて溶剤分別を実施することにより高融点部としてSUSを87重量%、BOBを66重量%含有する油脂組成物(BOB脂)を得た。また副生成物として低融点部を得た。この低融点部は前記原料混合物の一部として循環再使用した。一方前記蒸留にて得られた脂肪酸エチルエステル画分は、続く精留工程で、低沸点画分と高沸点画分に分離した。精留の条件は温度238〜241℃、真空度1.1〜1.3torrであった。得られた低沸点画分(図2−211参照)は原料油脂1,3位由来副生脂肪酸エステル等であり、オレイン酸エチルエステル含量が83重量%であり、オレイン酸エチル含量が81重量%の第一の反応システムの原料脂肪酸エステル等(b)とほぼ同等な品質として(b)の一部に置換して使用できた。(図2−212参照)一方得られた高沸点画分(図2−210参照)はベヘン酸エチルエステルを83重量%含有しており、原料脂肪酸エステル等(d)とほぼ同等な品質として(d)の一部に循環再使用できた。

0082

すなわち第一の反応システムで副生したベヘン酸エステル等を第二の反応システムの原料脂肪酸エステル等に使用し、そして第二の反応システムで副生したオレイン酸を第一の反応システムの原料脂肪酸エステル等に使用することでOStO脂及びBOB脂を効率良く製造することができた。また油脂組成物の分別で生じた副生成物油脂や未反応の脂肪酸エステル等を原料に循環再使用することで、さらに効率良くOStO脂及びBOB脂を製造することができた。

0083

さらに得られたBOB脂は極度硬化した上で工程(1)の原料油脂(a)に使用することもできた。これはハイオレイック油脂のみを原料としてOStO脂をほぼ副生物なしに生産できる、無駄のない、廃棄物のない理想的なOStO油脂の製造法である。
(実施例2)

0084

本実施例2の概念図を図3に示す。
第一の反応システム
原料油脂(a)としてパーム中融点部極度硬化油(図3−301参照)(構成脂肪酸中S含量が99重量%、パルミチン酸含量が57重量%、1,3位のパルミチン酸含量82.7%)30部と、原料脂肪酸エステル等(b)としてオレイン酸エチルエステル(図3−302参照)(オレイン酸エチルエステル含量81重量%)70部を混合した原料混合物を既知の方法にて脱色・脱水を実施したのちに、1,3位特異性リパーゼを用いてエステル交換反応を実施した。エステル交換反応は原料混合物の水分含量90ppm、反応時間24時間、反応温度53℃、固定化リパーゼ量を対原料混合物1%とした回分反応にて実施した。
反応後、得られた反応生成物をトリグリセリド画分と脂肪酸エチルエステル画分に蒸留により分離した。蒸留条件は温度235〜240℃、真空度0.5〜1.0torrであった。得られたトリグリセリド画分(図3−303参照)のUSU含量は43重量%であったが、さらにN−ヘキサンを用いて溶剤分別を実施することにより低融点部としてUSUを87重量%、OStOを67重量%含有する油脂組成物(OStO脂)を得た。また副生成物として高融点部を得た。この高融点部は前記原料混合物の一部として循環再使用した。一方前記蒸留にて得られた脂肪酸エチルエステル画分は続く精留工程で、低沸点画分と高沸点画分に分離した。精留の条件は温度218〜221℃真空度1.1〜1.3torrであった。得られた高沸点画分(図3−304参照)はオレイン酸エチルエステルを83重量%含有しており、オレイン酸エチル含量が81重量%の前記原料脂肪酸エステル等(b)とほぼ同等な品質として次回のエステル交換反応の原料脂肪酸エステル等(b)の一部に置換して循環再使用できた。一方得られた低沸点画分(図3−305参照)は原料油脂1,3位由来副生脂肪酸エステル等であり、パルミチン酸エチルエステル含量を88重量%含有しており、第二の反応システムの原料脂肪酸エステル等(d)とほぼ同等な品質として(d)の一部に使用できた。(図3−306参照)

0085

第二の反応システム
原料油脂(c)としてハイオレイックひまわり油(図3−307参照)(構成脂肪酸中オレイン酸含量88重量%、U含量91重量%)30部と、原料脂肪酸エステル等(d)としてパルミチン酸エチルエステル(図3−308参照)(パルミチン酸エチルエステル含量88重量%、S含量93重量%)70部を混合した原料混合物を既知の方法にて脱色・脱水を実施したのちに、1,3位特異性リパーゼを用いてエステル交換反応を実施した。エステル交換反応は原料混合物の水分含量90ppm、反応時間24時間、反応温度43℃、固定化リパーゼ量を対原料混合物1%とした回分反応にて実施した。
反応後、得られた反応生成物をトリグリセリド画分と脂肪酸エチルエステル画分に蒸留により分離した。蒸留条件は温度235〜240℃、真空度0.5〜1.0torrであった。得られたトリグリセリド画分(図3−309参照)のSUS含量は48重量%であったが、さらにN−ヘキサンを用いて溶剤分別を実施することにより高融点部としてSUSを87重量%、POPを77重量%含有する油脂組成物(POP脂)を得た。また副生成物として低融点部を得た。この低融点部は前記原料混合物の一部として循環再使用した。一方前記蒸留にて得られた脂肪酸エチルエステル画分は、続く精留工程で、低沸点画分と高沸点画分に分離した。精留の条件は温度218〜221℃真空度1.1〜1.3torrであった。得られた低沸点画分(図3−310参照)はパルミチン酸エチルエステル含量を88重量%含有しており、前記原料脂肪酸エステル等(d)とほぼ同等な品質として(d)の一部に循環再使用できた。一方得られた高沸点画分(図3−311参照)は原料油脂1,3位由来副生脂肪酸エステル等であり、オレイン酸エチルエステルを83重量%含有し、オレイン酸エチル含量が81重量%の前記第一の反応システムの原料脂肪酸エステル等(b)とほぼ同等な品質として(b)の一部に使用できた。(図3−312参照)

0086

すなわち第一の反応システムで副生したパルミチン酸エステル等を第二の反応システムの原料脂肪酸エステル等に使用し、そして第二の反応システムで副生したオレイン酸エステル等を第一の反応システムの原料脂肪酸エステル等に使用することでOStO脂及びPOP脂を効率良く製造することができた。また油脂組成物の分別で生じた副生成物油脂や未反応の脂肪酸エステル等を原料に循環再使用することで、さらに効率良くOStO脂及びPOP脂を製造することができた。

0087

さらに得られたPOP脂は極度硬化した上で工程(1)の原料油脂(a)に使用することもできた。これはハイオレイック油脂のみを原料としてOStO脂をほぼ副生物なしに生産できる、無駄のない、廃棄物のない理想的なOStO油脂の製造法である。
(実施例3)

0088

本実施例3の概念図を図4に示す。
第二の反応システム
原料油脂(c)としてハイオレイックひまわり油(図4−407参照)(構成脂肪酸中オレイン酸含量88重量%、U含量91重量%)30部と、原料脂肪酸エステル等(d)としてカプリル酸エチルエステル(図4−408参照)(以下「C8エチルエステル」という。C8エチルエステル含量99重量%)70部を混合した原料混合物を既知の方法にて脱色・脱水を実施したのちに、1,3位特異性リパーゼを用いてエステル交換反応を実施した。エステル交換反応は原料混合物の水分含量90ppm、反応時間24時間、反応温度43℃、固定化リパーゼ量を対原料混合物1%とした回分反応にて実施した。
反応後、得られた反応生成物をトリグリセリド画分と脂肪酸エチルエステル画分に蒸留により分離した。蒸留条件は温度235〜240℃、真空度0.5〜1.0torrであった。得られたトリグリセリド画分(図4−409参照)のSUS含量は73重量%であったが、さらにN−ヘキサンを用いて溶剤分別を実施することにより高融点部としてSUSを95重量%、C8OC8を92重量%含有する油脂組成物(C8OC8脂)を得た。この高融点部は、既知の方法にて極度硬化を実施し、C8StC8に富む油脂を得た。(図4−413参照)一方前記蒸留にて得られた脂肪酸エチルエステル画分は続く精留工程で、低沸点画分と高沸点画分に分離した。精留の条件は温度90〜130℃真空度1.1〜1.3torrであった。得られた高沸点画分(図4−411参照)は原料油脂1,3位由来副生脂肪酸エステル等であり、オレイン酸エチルエステルを86重量%含有しており、第一の反応システムの原料脂肪酸エステル等(b)とほぼ同等な品質として(b)の一部に使用できた。(図4−412参照)一方得られた低沸点画分はC8エチルエステル含量を99重量%含有しており、前記原料脂肪酸エステル等(d)とほぼ同等な品質として次回のエステル交換反応の原料脂肪酸エステル等(d)の一部に置換して循環再使用できた。また前記溶剤分別での副生成物として得られた低融点部は前記原料混合物の一部として循環再使用した。

0089

第一の反応システム
第二の反応システムで得られたC8StC8に富む油脂(図4−401参照)(構成脂肪酸中S含量が99重量%、C8の飽和脂肪酸含量が49重量%、St含量が51重量%)を原料油脂(a)として30部、原料脂肪酸エステル等(b)としてオレイン酸エチルエステル(図4−402参照)(オレイン酸エチルエステル含量87重量%)70部を混合した原料混合物を既知の方法にて脱色・脱水を実施したのちに、1,3位特異性リパーゼを用いてエステル交換反応を実施した。エステル交換反応は原料混合物の水分含量90ppm、反応時間24時間、反応温度53℃、固定化リパーゼ量を対原料混合物1%とした回分反応にて実施した。
反応後、得られた反応生成物をトリグリセリド画分と脂肪酸エチルエステル画分に蒸留により分離した。蒸留条件は温度235〜240℃、真空度0.5〜1.0torrであった。得られたトリグリセリド画分(図4−403参照)のUSU含量は43重量%であったが、さらにN−ヘキサンを用いて溶剤分別を実施することにより低融点部としてUSUを87重量%、OStOを80重量%含有する油脂組成物(OStO脂)を得た。一方前記蒸留にて得られた脂肪酸エチルエステル画分は続く精留工程で、低沸点画分と高沸点画分に分離した。精留の条件は温度90〜130℃真空度1.1〜1.3torrであった。得られた高沸点画分(図4−404参照)はオレイン酸エチルエステルを86重量%含有しており、オレイン酸エチル含量が87重量%の前記原料脂肪酸エステル等(b)とほぼ同等な品質として次回のエステル交換反応の(b)の一部に置換して循環再使用できた。一方得られた低沸点画分(図4−405参照)は原料油脂1,3位由来副生脂肪酸エステル等であり、C8エチルエステル含量を99重量%含有しており、第二の反応システムの原料脂肪酸エステル等(d)とほぼ同等な品質として(d)の一部に使用できた。(図4−406参照)また前記溶剤分別での副生成物として得られた高融点部は前記原料混合物の一部として循環再使用した。

0090

すなわち第二の反応システムで得られたC8OC8脂に富む油脂を分別後極度硬化してC8StC8に富む油脂とし、第一の反応システムの原料油脂として使用し、同じく第二の反応システムで原料油脂の1,3位に由来し副生したオレイン酸エステル等を第一の反応システムの原料脂肪酸エステル等に使用し、そして第一の反応システムで副生したC8エステルを第二の反応システムの原料脂肪酸エステル等に使用すること、またさらに油脂組成物の分別で生じた副生成物油脂や未反応の脂肪酸エステル等を原料に循環再使用することで、ハイオレイックひまわり油を唯一の原料とし、C8エステル等とオレイン酸エステル等がほぼ完全にリサイクル使用された状態でOStO脂を効率良く製造することができた。
(実施例4)

0091

本実施例4の概念図を図5に示す。
第一の反応システム
原料油脂(a)としてパーム分別高融点部(図5−501参照)(構成脂肪酸中S含量が88重量%、パルミチン酸含量が83重量%)30部と、原料脂肪酸エステル等(b)としてオレイン酸エチルエステル(図5−502参照)(オレイン酸エチルエステル含量86重量%)70部を混合した原料混合物を既知の方法にて脱色・脱水を実施したのちに、1,3位特異性リパーゼを用いてエステル交換反応を実施した。エステル交換反応は原料混合物の水分含量90ppm、反応時間24時間、反応温度53℃、固定化リパーゼ量を対原料混合物1%とした回分反応にて実施した。
反応後、得られた反応生成物をトリグリセリド画分と脂肪酸エチルエステル画分に蒸留により分離した。蒸留条件は温度235〜240℃、真空度0.5〜1.0torrであった。得られたトリグリセリド画分(図5−503参照)のUSU含量は38重量%であったが、さらにN−ヘキサンを用いて溶剤分別を実施することにより低融点部としてUSUを60重量%、OPOを52重量%含有する油脂組成物(OPO脂)を得た。
また副生成物として高融点部を得た。この高融点部は前記原料混合物の一部として循環再使用した。一方前記蒸留にて得られた脂肪酸エチルエステル画分は続く精留工程で、低沸点画分と高沸点画分に分離した。精留の条件は温度218〜221℃真空度1.1〜1.3torrであった。得られた高沸点画分(図5−504参照)はオレイン酸エチルエステルを83重量%であり、オレイン酸エチル含量が81重量%の前記原料脂肪酸エステル等(b)とほぼ同等な品質として次回のエステル交換反応の原料脂肪酸エステル等(b)の一部に置換して循環再使用できた。一方得られた低沸点画分(図5−505参照)は原料油脂1,3位由来副生脂肪酸エステル等であり、パルミチン酸エチルエステル含量を88重量%含有しており、第二の反応システムの原料脂肪酸エステル等(d)とほぼ同等な品質として(d)の一部に使用できた。(図5−506参照)

0092

第二の反応システム
原料油脂(c)としてハイオレイックひまわり油(図5−507参照)(構成脂肪酸中オレイン酸含量88重量%、U含量91重量%)30部と、原料脂肪酸エステル等(d)としてパルミチン酸エチルエステル(図5−508参照)(パルミチン酸エチルエステル含量88重量%、S含量93重量%)70部を混合した原料混合物を既知の方法にて脱色・脱水を実施したのちに、1,3位特異性リパーゼを用いてエステル交換反応を実施した。エステル交換反応は原料混合物の水分含量90ppm、反応時間24時間、反応温度43℃、固定化リパーゼ量を対原料混合物1%とした回分反応にて実施した。
反応後、得られた反応生成物をトリグリセリド画分と脂肪酸エチルエステル画分に蒸留により分離した。蒸留条件は温度235〜240℃、真空度0.5〜1.0torrであった。得られたトリグリセリド画分(図5−509参照)のSUS含量は48重量%であったが、さらにN−ヘキサンを用いて溶剤分別を実施することにより高融点部としてSUSを87重量%、POPを77重量%含有する油脂組成物(POP脂)を得た。また副生成物として低融点部を得た。この低融点部は前記原料混合物の一部として循環再使用した。一方前記蒸留にて得られた脂肪酸エチルエステル画分は、続く精留工程で、低沸点画分と高沸点画分に分離した。精留の条件は温度218〜221℃真空度1.1〜1.3torrであった。得られた低沸点画分(図5−510参照)はパルミチン酸エチルエステル含量を88重量%含有しており、前記原料脂肪酸エステル等(d)とほぼ同等な品質として(d)の一部に循環再使用できた。一方得られた高沸点画分(図5−511参照)は原料油脂1,3位由来副生脂肪酸エステル等であり、オレイン酸エチルエステルを83重量%含有し、オレイン酸エチル含量が81重量%の前記第一の反応システムの原料脂肪酸エステル等(b)とほぼ同等な品質として(b)の一部に使用できた。(図5−512参照)

0093

すなわち第一の反応システムで副生したパルミチン酸エステル等を第二の反応システムの原料脂肪酸エステル等に使用し、そして第二の反応システムで副生したオレイン酸エステル等を第一の反応システムの原料脂肪酸エステル等に使用することでOPO脂及びPOP脂を効率良く製造することができた。また油脂組成物の分別で生じた副生成物油脂や未反応の脂肪酸エステル等を原料に循環再使用することで、さらに効率良くOPO脂及びPOP脂を製造することができた。
(実施例5)

0094

第一の反応システム
原料油脂(a)として菜種極度硬化油(構成脂肪酸中S含量が99重量%、C20〜24の飽和脂肪酸含量が2.2重量%)30部と、原料脂肪酸エステル等(b)としてオレイン酸エチルエステル(オレイン酸エチルエステル含量81重量%)70部を混合した原料混合物を既知の方法にて脱色・脱水を実施したのちに、1,3位特異性リパーゼを用いてエステル交換反応を実施した。エステル交換反応は原料混合物の水分含量90ppm、反応時間24時間、反応温度53℃、固定化リパーゼ量を対原料混合物1%とした回分反応にて実施した。
反応後、得られた反応生成物をトリグリセリド画分と脂肪酸エチルエステル画分に蒸留により分離した。蒸留条件は温度235〜240℃、真空度0.5〜1.0torrであった。得られたトリグリセリド画分のUSU含量は43重量%であったが、さらにN−ヘキサンを用いて溶剤分別を実施することにより低融点部としてUSUを87重量%、OStOを67重量%、OBOを0重量%含有する油脂組成物(OStO脂)を得た。また副生成物として高融点部を得た。この高融点部は前記原料混合物の一部として循環再使用した。一方前記蒸留にて得られた脂肪酸エチルエステル画分は20℃で冷却し、濾別により高融点画分としてS含量が84重量%の脂肪酸エステル等の画分と、オレイン酸エチルエステルを96重量%含む低融点画分を得た。この内低融点画分はオレイン酸エチル含量が81重量%の前記原料脂肪酸エステル等(b)とほぼ同等な品質として次回のエステル交換反応の原料脂肪酸エステル等(b)の一部に置換して再使用できた。すなわち未反応のオレイン酸エチルを循環再使用することにより、OStO脂の製造コスト低減が可能であった。一方得られた高融点画分は第二の反応システムの原料脂肪酸エステル等(d)とほぼ同等な品質として(d)の一部に置換して使用できた。

0095

第二の反応システム
原料油脂(c)としてハイオレイックひまわり油(構成脂肪酸中オレイン酸含量88重量%、U含量91重量%)30部と、原料脂肪酸エステル等(d)としてステアリン酸エチルエステル(ステアリン酸エチルエステル含量92重量%、S含量99重量%)70部を混合した原料混合物を既知の方法にて脱色・脱水を実施したのちに、1,3位特異性リパーゼを用いてエステル交換反応を実施した。エステル交換反応は原料混合物の水分含量90ppm、反応時間24時間、反応温度43℃、固定化リパーゼ量を対原料混合物1%とした回分反応にて実施した。
反応後、得られた反応生成物をトリグリセリド画分と脂肪酸エチルエステル画分に蒸留により分離した。蒸留条件は温度235〜240℃、真空度0.5〜1.0torrであった。得られたトリグリセリド画分のSUS含量は45重量%であったが、さらにN−ヘキサンを用いて溶剤分別を実施することにより高融点部としてSUSを87重量%、StOStを77重量%含有する油脂組成物(StOSt脂)を得た。また副生成物として低融点部を得た。この低融点部は前記原料混合物の一部として循環再使用した。一方前記蒸留にて得られた脂肪酸エチルエステル画分は20℃で冷却し、濾別により高融点画分としてS含量が92重量%の脂肪酸エステル等の画分と、オレイン酸エチルエステルを89重量%含む低融点画分を得た。この内高融点画分はS含量が99重量%の前記原料脂肪酸エステル等(d)とほぼ同等な品質として次回のエステル交換反応の原料脂肪酸エステル等(d)の一部に置換して循環再使用できた。一方得られた低融点画分は第二の反応システムの原料脂肪酸エステル等(d)とほぼ同等な品質として(d)の一部に置換して使用できた。

0096

すなわち第一の反応システムで副生したステアリン酸エステル等を第二の反応システムの原料脂肪酸エステル等に使用し、そして第二の反応システムで副生したオレイン酸エステル等を第一の反応システムの原料脂肪酸エステル等に使用することでOStO脂及びStOSt脂を効率良く製造することができた。また油脂組成物の分別で生じた副生成物油脂や未反応の脂肪酸エステル等を原料に循環再使用することで、さらに効率良くOStO脂及びStOSt脂を製造することができた。またOStO脂の効率的な製造法としては、実施例1,2,3及び5の内、実施例1,2及び3が特に優れていた。

0097

図1−101SSSに富む油脂
図1−102 Uを主成分とする脂肪酸エステル等
図1−103 USU含有油脂組成物
図1−104 Uを主成分とする脂肪酸エステル等
図1−105 Sを主成分とする脂肪酸エステル等
図1−106 第二の反応システムの原料脂肪酸エステル等(d)に使用
図1−107 UUUに富む油脂である原料油脂(c)
図1−108 Sを主成分とする原料脂肪酸エステル等(d)
図1−109 SUS含有油脂組成物
図1−110 Sを主成分とする脂肪酸エステル等
図1−111 Uを主成分とする脂肪酸エステル等
図1−112 第一の反応システムの原料脂肪酸エステル等(b)に使用
図2−201ハイエルシン酸菜種極度硬化油
図2−202オレイン酸エチルエステル
図2−203 OStO含有油脂組成物
図2−204 オレイン酸エチルエステル
図2−205ベヘン酸エチルエステル
図2−206 第二の反応システムのベヘン酸エチルエステルに使用
図2−207ハイオレイックひまわり油
図2−208 ベヘン酸エチルエステル
図2−209 BOB含有油脂組成物
図2−210 ベヘン酸エチルエステル
図2−211 オレイン酸エチルエステル
図2−212 第一の反応システムのオレイン酸エチルエステルに使用
図3−301パーム中融点極度硬化油
図3−302 オレイン酸エチルエステル
図3−303 OStO含有油脂組成物
図3−304 オレイン酸エチルエステル
図3−305パルミチン酸エチルエステル
図3−306 第二の反応システムのパルミチン酸エチルエステルに使用
図3−307 ハイオレイックひまわり油
図3−308 パルミチン酸エチルエステル
図3−309POP含有油脂組成物
図3−310 パルミチン酸エチルエステル
図3−311 オレイン酸エチルエステル
図3−312 第一の反応システムのオレイン酸エチルエステルに使用
図4−401 C8StC8油脂
図4−402 オレイン酸エチルエステル
図4−403 OStO含有油脂組成物
図4−404 オレイン酸エチルエステル
図4−405 C8エチルエステル
図4−406 第二の反応システムのC8エチルエステルに使用
図4−407 ハイオレイックひまわり油
図4−408 C8エチルエステル
図4−409 C8OC8含有油脂組成物
図4−410 C8エチルエステル
図4−411 オレイン酸エチルエステル
図4−412 第一の反応システムのオレイン酸エチルエステルに使用
図4−413分別、硬化後、第一の反応システムのC8StC8油脂に使用
図5−501 パーム分別高融点部
図5−502 オレイン酸エチルエステル
図5−503 OPO含有油脂組成物
図5−504 オレイン酸エチルエステル
図5−505 パルミチン酸エチルエステル
図5−506 第二の反応システムのパルミチン酸エチルエステルに使用
図5−507 ハイオレイックひまわり油
図5−508 パルミチン酸エチルエステル
図5−509 POP含有油脂組成物
図5−510 パルミチン酸エチルエステル
図5−511 オレイン酸エチルエステル
図5−512 第一の反応システムのオレイン酸エチルエステルに使用

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