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技術 空気入りタイヤ

出願人 TOYOTIRE株式会社
発明者 宮本健史名塩博史
出願日 2016年2月15日 (5年10ヶ月経過) 出願番号 2016-026223
公開日 2017年8月24日 (4年4ヶ月経過) 公開番号 2017-144796
状態 特許登録済
技術分野 タイヤ一般
主要キーワード ディンプル構造 層流境界層 部分端面 乱流境界層 速度境界層 開口範囲 前縁付近 基準直線
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2017年8月24日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (20)

課題

空冷による放熱を効果的に促進することで、空気入りタイヤ耐久性を向上する。

解決手段

タイヤサイド部3の表面に突起11を備える。突起11は、頂面12と、タイヤ回転方向前側の側面である前側面13と、頂面12と前側面13とが交わる前辺部17とを備える。突起11の前辺部17において頂面12と前側面13とがなす角度である先端角度は、90°以下である。突起11の前辺部17側の先端部は、剛性低減構造を有する。

概要

背景

特許文献1,2には、空冷のための複数の突起タイヤサイド部に形成されたランフラットタイヤが開示されている。これらの突起は、タイヤの回転に伴うタイヤサイド部表面空気流乱流化を意図している。乱流化によって、タイヤサイド部表面近傍における空気流の速度勾配が大きくなり、放熱性向上が向上する。

概要

空冷による放熱を効果的に促進することで、空気入りタイヤ耐久性を向上する。タイヤサイド部3の表面に突起11を備える。突起11は、頂面12と、タイヤ回転方向前側の側面である前側面13と、頂面12と前側面13とが交わる前辺部17とを備える。突起11の前辺部17において頂面12と前側面13とがなす角度である先端角度は、90°以下である。突起11の前辺部17側の先端部は、剛性低減構造を有する。

目的

本発明は、空冷による放熱を効果的に促進することで、空気入りタイヤの耐久性を向上することを課題とする

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
0件

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請求項1

タイヤサイド部の表面に突起を備え、前記突起は、頂面と、タイヤ回転方向前側の側面である前側面と、前記頂面と前記前側面とが交わる前辺部とを備え、前記突起の前記前辺部において前記頂面と前記前側面とがなす角度である先端角度は、90°以下であり、前記突起の前辺部側の先端部は、剛性低減構造を有することを特徴とする空気入りタイヤ

請求項2

前記剛性低減構造は、前記突起の前側面と頂面とに連続して開口するスリットであることを特徴とする請求項1に記載の空気入りタイヤ。

請求項3

前記スリットは、前記突起の前側面が延びるタイヤ径方向に間隔を空けて複数並設されていることを特徴とする請求項2に記載の空気入りタイヤ。

請求項4

前記剛性低減構造は、前記突起の傾斜面を、前記タイヤサイド部の表面から前記突起の頂面まで連通するスリットであることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。

技術分野

0001

本発明は、空気入りタイヤに関するものである。

背景技術

0002

特許文献1,2には、空冷のための複数の突起タイヤサイド部に形成されたランフラットタイヤが開示されている。これらの突起は、タイヤの回転に伴うタイヤサイド部表面空気流乱流化を意図している。乱流化によって、タイヤサイド部表面近傍における空気流の速度勾配が大きくなり、放熱性向上が向上する。

先行技術

0003

国際公開第WO2007/032405号
国際公開第WO2008/114668号

発明が解決しようとする課題

0004

特許文献1,2には、タイヤサイド部表面近傍の空気流の乱流化以外の手法による放熱性向上は、教示されていない。

0005

本発明は、空冷による放熱を効果的に促進することで、空気入りタイヤの耐久性を向上することを課題とする。

課題を解決するための手段

0006

本発明者は、タイヤサイド部表面近傍の空気流の速度勾配の最大化について、種々検討した。物体(例えば平板)が流体の流れの中に配置された場合、流体の粘性によって物体表面近傍では流体の速度が急激に低下することが知られている。流体の速度が急変する領域(境界層)の外側に、流体の速度が粘性の影響を受けない領域が形成される。境界層の厚さは物体の前縁から下流側に向けて増大する。物体の前縁付近の境界層は層流であるが(層流境界層)、下流側に向け、遷移領域を経て、乱流となる(乱流境界層)。本発明者は、層流境界層では乱流境界層に比べて流体の速度勾配が大きいため物体から流体への放熱効率が高いことに着目し、本発明を完成した。つまり、本発明者は、層流境界層における高い放熱性を、空気入りタイヤの空冷に適用することを着想した。本発明は、かかる新たな着想に基づく。

0007

本発明は、前記課題を解決するための手段として、
タイヤサイド部の表面に突起を備え、
前記突起は、頂面と、タイヤ回転方向前側の側面である前側面と、前記頂面と前記前側面とが交わる前辺部とを備え、
前記突起の前記前辺部において前記頂面と前記前側面とがなす角度である先端角度は、90°以下であり、
前記突起の前辺部側の先端部は、剛性低減構造を有することを特徴とする空気入りタイヤを提供する。

0008

この構成により、グリーンタイヤ加硫成型して金型を開いて、突起の前側面を形成する金型部分が移動する際、壁部に摩擦力が作用するが、この部分は剛性低減構造を有するため、弾性変形して損傷に至ることがない。

発明の効果

0009

本発明によれば、突起に剛性低減構造を設けるようにしたので、加硫成型後の金型開放時に、突起の前側面側の先端部に摩擦力が作用したとしても、弾性変形して損傷に至るのを防止できる。

図面の簡単な説明

0010

本発明の実施形態に係る空気入りタイヤの子午線半断面図。
本発明の実施形態に係る空気入りタイヤの部分側面図。
図2部分拡大図
突起の模式的な斜視図。
突起の端面図
先端角度を説明するための突起の部分端面図。
空気流の経路を説明するための突起の平面図。
空気流の経路を説明するための突起の端面図。
突起及び突起間の空気流の経路を説明するための模式図。
境界層を説明するための突起の端面図。
境界層を説明するための突起の端面図。
第1実施形態と異なる前辺部の傾斜角度を有する突起を備える空気入りタイヤの部分側面図。
図12の部分拡大図。
本発明の他の特徴部分を説明するための突起の一例を示す端面図。
図14に示す突起の模式的な斜視図。
本発明の他の特徴部分を説明するための突起の他の例を示す端面図。
本発明の他の特徴部分を説明するための突起の他の例を示す端面図。
端面視での突起の形状の代案を示す図。
端面視での突起の形状の代案を示す図。
端面視での突起の形状の代案を示す図。
端面視での突起の形状の代案を示す図。
端面視での突起の形状の代案を示す図。
端面視での突起の形状の代案を示す図。
端面視での突起の形状の代案を示す図。
端面視での突起の形状の代案を示す図。
端面視での突起の形状の代案を示す図。

実施例

0011

以下、本発明に係る実施形態を添付図面に従って説明する。なお、以下の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物、あるいは、その用途を制限することを意図するものではない。また、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは必ずしも一致していない。

0012

まず、本発明の実施形態の基本的構成について説明する。
図1は、ゴム製の空気入りタイヤ(以下、タイヤという)1の子午線半断面図を示す。このタイヤ1はサイズ245/40R18のランフラットタイヤである。本発明は、異なるサイズのタイヤにも適用できる。また、本発明は、ランフラットタイヤの範疇に含まれないタイヤにも適用できる。タイヤ1は、回転方向が指定されている。指定された回転方向を図3に矢印RDで示す。

0013

タイヤ1は、トレッド部2、一対のタイヤサイド部3、及び一対のビード部4を備える。個々のビード部4は、タイヤサイド部3のタイヤ径方向内側端部(トレッド部2とは反対側の端部)に設けられている。一対のビード部4間には、カーカス5が設けられている。カーカス5と、タイヤ1の最内周面インナーライナー6との間には、補強ゴム7が配置されている。カーカス5とトレッド部2の踏面との間には、ベルト層8が設けられている。言い換えれば、トレッド部2では、カーカス5のタイヤ径方向外側にベルト層8が設けられている。

0014

図2及び図3を参照すると、タイヤサイド部3の表面には、複数の突起がタイヤ周方向に間隔をあけて設けられている。本実施形態では、これらの突起11の形状、寸法、及び姿勢は同じである。図1では、リム(図示せず)の最外周位置P1からトレッド部2のタイヤ径方向の最も外側の位置までの距離(タイヤ高さ)が符号THで示されている。突起11は、リムの最外周位置P1からタイヤ高さTHの0.05倍以上0.7倍以下の範囲に設けることができる。

0015

本明細書では、タイヤ幅方向から見た突起11の形状に関して「平面視」又はそれに類する用号を使用する場合があり、後述する内端面15側から見た突起11の形状に関して「端面視」又はそれに類する用語を使用する場合がある。

0016

図4及び図5を参照すると、突起11は、本実施形態ではタイヤサイド部3の表面に沿って拡がる平坦面である頂面12を備える。また、突起11は前側面13と後側面14とを備える。前側面13はタイヤ回転方向RDの前方側に位置し、後側面14はタイヤ回転方向RDの後方側(タイヤ回転逆方向)に位置する。さらに、突起11は、タイヤ径方向内側の内端面15と、タイヤ径方向外側の外端面16とを有する。後に詳述するように、本実施形態における前側面13は、タイヤサイド部3の表面及び頂面12に対して傾斜した平坦面である。本実施形態における後側面14、内端面15、及び外端面16は、タイヤサイド部3の表面に対して概ね垂直に延びる平坦面である。

0017

前辺部17は頂面12と前側面13とが互いに交わる部分であり、後辺部18は頂面12と後側面14とが互いに交わる部分である。内辺部19は頂面12と内端面15とが互いに交わる部分であり、外辺部20は頂面12と外端面16とが互いに交わる部分である。前辺部17、後辺部18、内辺部19、及び外辺部20は、本実施形態のように鋭いないしは明瞭なエッジであってもよいが、端面視で、ある程度湾曲あるいは面取りした形状を有していてもよい。本実施形態では、前辺部17、後辺部18、内辺部19、及び外辺部20の平面視での形状は、いずれも直線状である。しかし、これらの平面視での形状は、円弧及び楕円弧を含む曲線状であってもよく、複数の直線から構成された折れ線であってもよく、直線と曲線の組み合わせであってもよい。

0018

図3を参照すると、前辺部17(前側面13)は、平面視において、前辺部17を通るタイヤ径方向に延びる直線に対して傾斜している。言い換えれば、前辺部17はタイヤ径方向に対して傾斜している。前辺部17のタイヤ径方向に対する傾斜角度a1は、前辺部17のタイヤ回転方向RDで最前方側の位置を通り、かつタイヤ径方向に延びる基準直線Lsと、前辺部17が延びる方向(本実施形態では直線である前辺部17自体)とがなす角度(平面視で時計回りを正とする)として定義される。

0019

但し、前記前辺部7(前側面13)は、平面視において直線状に傾斜しているだけでなく、湾曲していてもよく、要はタイヤ外径方向に向かってタイヤ周方向のいずれか一方に変位していればよい。

0020

これによれば、前辺部17で、頂面12に沿った第1の流れ(主たる空気流)と、前側面13に沿った第2の流れ(従たる空気流)とに分流することができる。つまり、タイヤサイド部3に沿った空気流れから、第2の流れを分流することができるので、頂面12に沿う第1の流れを高速層流状態とすることができ、層流境界層LBの範囲を拡大することが可能となる。

0021

前記前側面13は、タイヤ外径方向に向かってタイヤ回転逆方向に変位するのが好ましい。

0022

これによれば、第2の流れを、タイヤの回転によってタイヤサイド部3の表面を通過する空気に作用する遠心力の方向と合致させることができる。したがって、第2の流れをより一層スムーズなものとすることができる。

0023

本実施形態における前辺部17は、平面視で右上がりに延びている。図12及び図13に示すように、突起11は前辺部17が平面視で右下がりに延びる形状であってもよい。本実施形態の後辺部18は、平面視で前辺部17と概ね平行に延びている。また、本実施形態の内辺部19と外辺部20は、平面視で互いに平行に延びている。

0024

図3を参照すると、符号Rはタイヤ半径を示し、符号Rpは突起11のタイヤ径方向の任意の位置のタイヤ回転中心からの距離を示す。また、図3の符号Rpcは突起11の中心pc(例えば平面視での頂面12の図心)のタイヤ回転中心からの距離を示す。さらに、図3の符号hRpは、タイヤ径方向の任意の位置における、突起11のタイヤ周方向の寸法、すなわち突起11の幅を示す。また、図3の符号hRpcは突起の中心pcにおける、突起11の幅を示している。

0025

図5を併せて参照すると、本実施形態では、突起11のタイヤ径方向の任意の位置における突起11の厚みtRpは一定である。つまり、突起11の厚みtRpは、突起11のタイヤ径方向で一様である。また、本実施形態では、突起11の厚みtRpは前側面13(前辺部17)から後側面14(後辺部18)まで一定である。つまり、突起11の厚みtRpは突起11のタイヤ周方向でも一様である。

0026

図5及び図6を参照すると、端面視では、前辺部17において突起11の頂面12と前側面13とがある角度(先端角度a2)をなしている。本実施形態における前側面13は、頂面12と前側面13とが前辺部17に向けて間隔が狭まるテーパ形状となるような傾斜を有している。言い換えれば、前側面13の傾斜は、端面視において、前側面13の下端が前辺部17よりもタイヤ回転方向RDの後方側に位置するように設定されている。前側面13がこのような傾斜を有することで、本実施形態の突起11の先端角度a2は鋭角(45°)である。先端角度a2の具体的な定義は後述する。

0027

図7から図9を参照すると、タイヤ1を装着した車両の走行時には、矢印AF0で概念的に示すように、前辺部17側から突起11に流入する空気流がタイヤサイド部3の表面近傍に生じる。図7を参照すると、タイヤサイド部3の表面の特定の位置P2における空気流AF0は、位置P2を通るタイヤ径方向に延びる直線に対して引いた垂線水平線Lh)に対して、ある角度(流入角度afl)を有する。本発明者が行った解析によると、タイヤサイズ245/40R18、突起11の中心Pcのタイヤ回転中心からの距離Rpcが550mm、車両の走行速度80km/hという条件下では、流入角度aflは12°である。また、走行速度が40〜120km/hの範囲で変化すると、流入角度aflには±1°程度の変化がある。実際の使用時には、走行速度に加え、向かい風、車両の構造等を含む種々の要因による影響があるので、前述の条件下における流入角度aflは12±10°程度とみなせる。

0028

引き続き図7から図9を参照すると、空気流AF1は前辺部17から突起11に流入し、この流入時に2つの空気流に分かれる。図7に最も明瞭に示すように、一方の空気流AF1は、前側面13から頂面12に乗り上がり、前辺部17から後辺部18に向けて頂面12に沿って流れる(主たる空気流:第1の流れ)。他方の空気流AF2は、前側面13に沿ってタイヤ径方向外側へ流れる(従たる空気流:第2の流れ)。図12及び図13に示すように前辺部17が平面視で右下がりの場合、空気流AF2は前側面13に沿ってタイヤ径方向内側へ流れる。

0029

図10を併せて参照すると、突起11の頂面12に沿って流れる空気流AF1は層流となっている。つまり、突起11の頂面12近傍には層流境界層LBが形成される。図10において、符号Vaは空気流AF0,空気流AF1のタイヤサイド部3の表面近傍と突起11の頂面12近傍での速度勾配を概念的に示している。層流である空気流AF2は速度勾配が大きいので、突起11の頂面12から空気流AF2へ高効率で放熱がなされる。言い換えれば、突起11の頂面12の空気流AF2が層流となることで、空冷による放熱が効果的に促進される。効果的に空冷することで、温度上昇によるタイヤ構成材料経時的変化の促進等が抑えられ、タイヤ1の耐久性が向上する。

0030

図9において矢印AF3で示すように、頂面12を通過して後辺部18から下流側へ流れる空気流は、頂面12を通過した後、タイヤサイド部3の表面に衝突して方向変換される。その結果、隣接する突起11,11間では、タイヤサイド部3の表面からの放熱が促進される。

0031

以上のように、本実施形態のタイヤ1では、突起11の頂面12の空気流AF1の層流化と、突起11,11間の空気流AF3の衝突の両方によってタイヤ1の放熱性を向上している。

0032

後に詳述するように、タイヤ回転中心からの距離Rpにおける突起11の幅hRp(図3参照)は、突起11の頂面12の後辺部18まで層流境界層LBとなるように設定することが好ましい。しかし、図11に概念的に示すように、突起11の幅hRpは、突起11の頂面12の後辺部18側で、速度境界層が遷移領域TRや乱流境界層TBとなるような比較的長い寸法にすることも許容される。このような場合でも、突起11の頂面12のうち層流境界層LBが形成される領域では、大きな速度勾配により放熱性向上の利点が得られる。

0033

前述した突起11に流入した空気流AF0が空気流AF1,AF2へと分流されるためには、突起11の厚さhtp、特に前辺部17の部分における厚さhtpが突起11の幅hp(幅hpが一定でない場合は最小幅)よりも小さいことが好ましい。

0034

前述のように突起11へ流入する空気流AF0は流入角度aflを有する。空気流AF0が空気流AF1,AF2へと分流されるためには、平面視での突起11の前辺部17の傾斜角度a1を、前辺部17に対する空気流AF0の進入角度が90°とならないように設定する必要がある。言い換えれば、平面視において、空気流AF0に対して突起11の前辺部17を傾ける必要がある。

0035

図3を参照すると、前辺部17が平面視で右上がりである場合、前辺部17は、前辺部17に流入する空気流AF0に対して45°で交差するように設定するのがより好ましい。この場合、上述したように、空気流AF0の流入角度aflは12±10°程度とみなせるので、前辺部17の傾斜角度a1は、前辺部17の傾斜角度a1は以下の式(1)で規定される範囲内に設定することが好ましい。

0036

0037

図13を参照すると、前辺部17が右下がりである場合、前辺部17の傾斜角度a1は、前辺部17に流入する空気流AF0に対して45°で交差するように設定するのが好ましく、以下の式(2)で規定される範囲内に設定することが好ましい。

0038

0039

要するに、前辺部17の傾斜角度は、式(1)又は(2)を満たすように設定することが好ましい。

0040

図5及び図6を参照すると、突起11へと流入する空気流AF0が空気流AF1,AF2へと適切に分流されるためには、突起11の先端角度a2は過度に大きく設定しない必要がある。具体的には、先端角度a2は100°以下に設定することが好ましい。より好ましくは、先端角度a2は90°以下であり、鋭角、つまり90°未満に設定されるのがよい。先端角度a2が過度に小さいことは、前辺部17付近における突起11の強度低下の原因となるので好ましくない。そのため、先端角度a2は、特に45°以上65°以下の範囲に設定することが好ましい。

0041

図3を参照すると、タイヤ径方向の任意の位置における突起11の幅hRpが過度に狭いと、頂面12近傍の層流境界層TBによる突起11からの放熱面積不足し、層流による放熱促進効果が十分に得られない。そのため、突起11の幅hRpは10mm以上に設定することが好ましい。

0042

引き続き図3を参照すると、タイヤ径方向の任意の位置における突起11の幅hRpは、以下の式(3)を満たすように設定することが好ましい。

0043

R:タイヤ半径R
Rp:突起上の任意の位置のタイヤ回転中心からの距離
hRp:タイヤ回転中心からの距離Rpにおける突起の幅

0044

幅hRpが小さすぎると速度勾配が増大する領域を十分に確保できず十分な冷却効果が得られない。式(3)における下限値10は、層流境界層TBが得られる最小寸法に対応している。

0045

幅hRpが大きすぎると突起11上で速度境界層が過度に成長してしまい速度勾配が小さくなり放熱性が悪化する。式(3)における上限値50は、かかる観点から規定されている。以下、上限値を50に設定した理由を説明する。

0046

平板上における速度境界層の発達、すなわち層流境界層LBから乱流境界層TBへの遷移は以下の式(4)で表されることが知られている。

0047

x:層流境界層から乱流境界層への遷移が生じる平板先端からの距離
U:流入速度
ν:流体の動粘性係数

0048

主流の乱れの影響や、遷移領域付近では境界層がある程度成長することで速度勾配が低下することを考えると、十分な冷却効果が得られるために必要な突起11の幅hRpの最大値hRp_maxは、式(4)の距離xの1/2程度と考えられる。従って、突起11の最大幅hRp_maxは、以下の式(5)で表される。

0049

0050

突起11への流体の流入速度Uは、突起11のタイヤ径方向の任意の位置のタイヤ回転中心からの距離Rpとタイヤ角速度の積として表される(U=Rpω)。また、車両速度Vはタイヤ半径Rとタイヤ角速度の積として表される(V=Rω)。従って、以下の式(6)の関係が成立する。

0051

0052

空気の動粘性係数νについて、以下の式(7)が成立する。

0053

式(6),(7)を式(5)に代入することで、以下の式(8)が得られる。

0054

車両速度Vとして80km/hを想定すると、式(8)よりhRp_maxは以下となる。

0055

0056

タイヤ1の発熱がより顕著となる高速走行時、具体的には車両速度Vとして160km/hまでを考慮すると、式(8)よりhRp_maxは以下となる。

0057

0058

このように、高速走行時(車両速度Vとして160km/h以下)であっても、突起11の頂面12の幅方向全体で層流境界層TBが形成されるためには、式(3)の上限値は50mmとなる。

0059

次に、本発明の他の特徴部分について説明する。

0060

すなわち、突起11のタイヤ回転方向側は剛性低減構造を有する。剛性低減構造としては、例えば、図14から図17に開示されるものが挙げられるが、必ずしもこれらのものに限定されるものではない。

0061

図14では、頂面12と前側面13とが鋭角(ここでは、45°)をなすように交差して前辺部17を構成しており、そこにはスリット31が形成されている。スリット31は、頂面12と前側面13とに連続して開口し、タイヤ径方向とは直交している。

0062

図15に示すように、スリット31の前側面13での開口範囲は、タイヤサイド部3の表面から頂面12に至る範囲である。またスリット31の頂面12での開口範囲は、先端位置である前辺部17から、前側面13とタイヤサイド部3の表面との交線に対応する後方位置までである。後方位置は、前記交線を通ってタイヤ径方向に延びる垂直平面vpと頂面12との交差位置を意味する。以下、垂直平面vpよりも前方部分を突起11の先端部11aと記載する。さらにスリット31は、前辺部17が延びる方向に沿って一定間隔複数箇所に形成されている。

0063

このように、突起11にスリット31を形成することで、グリーンタイヤを加硫成型する際の金型開放時の突起11の損傷を効果的に防止できる。すなわち、突起11の先端部11aはアンダーカットとなっており、そのまま金型を開放したのでは、この先端部に無理な力が作用し、場合によっては損傷に至る恐れがある。スリット31を形成することで、金型開放時、突起11の先端部を容易に弾性変形させて、損傷に至ることを防止できる。この場合、金型のスリット31を形成するための部位を先に開放した後、アンダーカット部を形成するための部位を開放すればよい。

0064

なお、スリット31を形成する間隔や数量は、金型を開放する際、突起11の先端部11aがどれだけ弾性変形しやすいのかで決定すればよい。変形しにくいのであれば、間隔を狭くして数を多くすればよいし、変形しやすいのであれば、間隔を広くして数を少なくすればよい。

0065

また、スリット31自体の隙間は、できるだけ狭い方が好ましく、成型後に密着して閉鎖状態を維持するのがよい。これによれば、タイヤ1が回転際にタイヤサイド部3の表面を流動する空気を、突起1の前辺部17で適切に分流させることができる。

0066

図16では、スリット31を突起11の前辺部17に沿って複数形成されている。すなわち、スリット31は頂面12にのみ開口している。但し、強度上の問題がないのであれば、傾斜した前側面13を貫通する構成としてもよい。これらの構成によっても、金型を開放する際、突起11の先端部11aを弾性変形させて損傷に至るのを防止することができる。

0067

図17では、スリット31に代えて突起11の先端部11aの頂面12に凹部32及び凸部33からなる凹凸形状(例えば、ディンプル構造)が形成されている。この凹凸形状によっても、金型を開放する際、突起11の先端部11aを弾性変形させやすくして損傷に至るのを防止することができる。またこの凹凸形状、特にディンプル構造は、頂面12を流動する空気から受ける空気抵抗を抑制し、流速の低減を抑える。この結果、頂面12での放熱性を高めることも可能となる。

0068

なお、本発明は、前記実施形態に記載された構成に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。

0069

図18Aから図18Cは、突起11の頂面12の端面視での形状の種々の代案を示す。図18Aの突起11は、端面視において翼断面形状の頂面12を有する。図18Bの突起11は、端面視において円弧状の頂面12を有する。図18Cの突起11は、端面視において翼断面形状でも円弧状でもない曲線状の頂面12を有する。

0070

図19Aから図20Bは、突起11の前側面13の端面視での形状に関する種々の代案を示す。

0071

図19Aから図19Dに示す突起11の前側面13は、端面視で、1個の窪み23を構成している。

0072

図19Aの突起11の前側面13は、2個の平坦面24a,24bによって構成されている。端面視では、平坦面24aは右下がりで、平坦面24bは右上がりである。これらの平坦面24a,24bによって、端面視で三角形の窪み23が形成されている。

0073

図19Bの突起11の前側面13は、半円状の断面形状を有する曲面により構成されている。この曲面によって、端面視で半円状の窪み23が形成されている。

0074

図19Cの突起11の前側面13は、端面視で右下がりの平坦面25aと、円弧状の断面形状を有する曲面25bにより構成されている。平坦面25aが突起11の頂面12側に位置し、曲面25bがタイヤサイド部3の表面側に位置している。平坦面25aと曲面25bとによって、窪み23が形成されている。

0075

図19Dの突起11の前側面13は、3個の平坦面26a,26b,26cによって構成されている。端面視では、突起11の頂面12側の平坦面26aは右下がりで、タイヤサイド部3の表面側の平坦面26cは右上がりで、中央の平坦面26bはタイヤ径方向に延びている。これらの平坦面26a〜26cによって多角形状の窪み23が形成されている。

0076

図20A及び図20Bに示す突起11の前側面13は、端面視で、タイヤ径方向に隣接した配置された2個の窪み23A,23Bを構成している。

0077

図20Aの突起11の前側面13は、4個の平坦面27a〜27dによって構成されている。端面視では、突起11の頂面12側の平坦面27aは右下がりであり、タイヤサイド部3の表面に向けて、右上がりの平坦面27b、右下がりの平坦面27c、及び右上がりの平坦面27dが順に配置されている。平坦面27a,27bによって突起11の頂面12側に三角形状の断面形状を有する1個の窪み23Aが形成され、この窪み23Aのタイヤサイド部3の表面側に隣接して、同様に三角形状の断面形状を有する1個の窪み23Bが平坦面27c,27dによって形成されている。

0078

図20Bの突起11の前側面13は、半円状の断面形状を有する2個の曲面28a,28bによって構成されている。突起11の頂面12側の曲面28aによって、半円状の断面形状を有する1個の窪み23Aが形成され、この窪み23Aのタイヤサイド部3の表面側に隣接して、同様に半円状の断面形状を有する1個の窪み23Bが曲面28bによって形成されている。

0079

突起11の前側面13は、端面視で、タイヤ径方向に隣接した配置された3個以上の窪みを構成してもよい。

0080

図19Aから図20Bに示すような前側面13の窪みの形状、寸法、個数を適切に設定することで、突起11の頂面12に沿って流れる空気流AF1と、突起11の前側面13に沿って流れる空気流AF2の流量比率を調節することができる。

0081

図18Aから図18Cの頂面12の形状のうちのいずれか1個と、図19Aから図20Bの前側面13の形状のいずれかを組み合わせて1個の突起11を構成してもよい。

0082

図5図18Aから図20Bを参照すると、前辺部17において突起11の頂面12と前側面13とがなす角度、すなわち突起11の先端角度a2は、端面視において、頂面12に対応する直線Ltと、前側面13の前辺部17近傍の部分に対応する直線Lfsとがなす角度として定義される。

0083

直線Ltは、頂面12のうち厚みtRpが最も大きい部分を通り、かつタイヤサイド部3の表面に沿って延びる直線として定義される。図5図18Aから図20Bを参照すると、頂面12がタイヤサイド部3の表面に沿って延びる平坦面である場合、端面視において頂面12自体を延長して得られる直線が直線Ltである。図18Aから図18Cを参照すると、頂面12が曲面である場合、端面視で頂面12のうち厚みtRpが最も大きい位置P3を通り、かつタイヤサイド部3の表面に沿って延びる直線が直線Ltである。

0084

図5図18Aから図18Cを参照すると、前側面13が単一の平坦面から構成されている場合、端面視で前側面13自体を延長して得られる直線が直線Lfsである。図19Aから図19Dを参照すると、前側面13が単一の窪み23を構成している場合、端面視において前辺部17と窪み23の最も窪んだ位置とを接続する直線が、直線Lfsである。図20A及び図20Bを参照すると、複数(これらの例では2個)の窪み23A,23Bを構成している場合、端面視において、前辺部17と最も頂面12側に位置する窪み23Aの最も窪んだ位置とを接続する直線が、直線Lfsである。

0085

1 タイヤ
2トレッド部
3タイヤサイド部
4ビード部
5カーカス
6インナーライナー
7補強ゴム
8ベルト層
11突起
12 頂面
13 前側面
14 後側面
15内端面
16外端面
17 前辺部
18 後辺部
19 内辺部
20外辺部
23,23A,23B 窪み
24a,24b,25a,26a〜26c,27a〜27d平坦面
25b,28a,28b曲面
31スリット
32 凹部
33 凸部
RD 回転方向
P1リムの最外周位置
P2 タイヤサイド部の表面の特定の点
P3 頂面の厚みが最も大きい位置
Ls基準直線
Lt,Lfs 直線
Lh水平線
AF0,AF1,AF2空気流
Va 空気流の速度
LB層流境界層
TR遷移領域
TB乱流境界層
TA乱流の領域

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