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技術 電圧安定化制御装置、電圧安定化制御装置の制御方法及びプログラム

出願人 富士電機株式会社
発明者 鈴木亮平
出願日 2016年2月12日 (4年10ヶ月経過) 出願番号 2016-024933
公開日 2017年8月17日 (3年4ヶ月経過) 公開番号 2017-143706
状態 特許登録済
技術分野 交流の給配電
主要キーワード PV曲線 負荷余裕 電圧崩壊 下降勾配 予防制御 じょう乱 負荷ノード タップ比
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (9)

課題

電力系統電圧をより確実に安定化させるように制御する。

解決手段

電力系統に設けられる電圧調整装置を制御する電圧安定化制御装置であって、前記電力系統の構成及び電気的特性を表す系統情報を用いて、前記電力系統の各負荷有効電力及び無効電力現時点における値から変化させながら前記電力系統の電圧を繰り返し算出し、前記電力系統の電圧が上昇するような前記電力系統の各負荷の有効電力及び無効電力の変化量を表す電圧安定化ベクトル算定する電圧安定化ベクトル算定部と、前記電圧調整装置の運転時の制約条件を満たす範囲で、前記電圧安定化ベクトルとの差分が最小となるように、前記電圧調整装置に出力させる有効電力及び無効電力を出力ベクトルとして算定する出力ベクトル算定部と、前記出力ベクトルを前記電圧調整装置に出力する出力ベクトル出力部と、を備えることを特徴とする電圧安定化制御装置。

概要

背景

電力系統電圧は、発電機の出力や電圧、運転力率負荷消費電力力率系統構成調相設備運転状況などの様々な影響を受けて平衡点落ち着く。そのため、これらの要因に変動があった場合や電力系統に何らかのじょう乱があった場合には、電力系統の電圧は変動する。この場合に電力系統の電圧が新たな平衡点に落ち着く能力あるいはそれに関連した性質を電力系統の電圧安定性という。

しかしながら、近年、風力発電太陽光発電などの分散電源系統連系が増加しており、不確実かつ急激な出力変動が電力系統の電圧安定性に影響を及ぼしつつある。

そのため、電力系統に設けられる中央給電所地方給電所では、負荷の電力需要が増加した場合や事故が発生した場合の電圧低下の度合あるいは電圧崩壊の可能性などを事前に把握し、必要な予防制御を行うなどの電圧安定性を強化するための様々な制御を行っている。

このような電力系統の電圧安定性の解析や制御を行うための技術については、これまでに様々なものが開発されている(例えば特許文献1、非特許文献1参照)。

概要

電力系統の電圧をより確実に安定化させるように制御する。電力系統に設けられる電圧調整装置を制御する電圧安定化制御装置であって、前記電力系統の構成及び電気的特性を表す系統情報を用いて、前記電力系統の各負荷の有効電力及び無効電力現時点における値から変化させながら前記電力系統の電圧を繰り返し算出し、前記電力系統の電圧が上昇するような前記電力系統の各負荷の有効電力及び無効電力の変化量を表す電圧安定化ベクトル算定する電圧安定化ベクトル算定部と、前記電圧調整装置の運転時の制約条件を満たす範囲で、前記電圧安定化ベクトルとの差分が最小となるように、前記電圧調整装置に出力させる有効電力及び無効電力を出力ベクトルとして算定する出力ベクトル算定部と、前記出力ベクトルを前記電圧調整装置に出力する出力ベクトル出力部と、を備えることを特徴とする電圧安定化制御装置。

目的

本発明はこのような課題を鑑みてなされたものであり、電力系統の電圧をより確実に安定化させるように制御を行うことが可能な電圧安定化制御装置、電圧安定化制御装置の制御方法及びプログラムを提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

電力系統に設けられる電圧調整装置を制御する電圧安定化制御装置であって、前記電力系統の構成及び電気的特性を表す系統情報を用いて、前記電力系統の各負荷有効電力及び無効電力現時点における値から変化させながら前記電力系統の電圧を繰り返し算出し、前記電力系統の電圧が上昇するような前記電力系統の各負荷の有効電力及び無効電力の変化量を表す電圧安定化ベクトル算定する電圧安定化ベクトル算定部と、前記電圧調整装置の運転時の制約条件を満たす範囲で、前記電圧安定化ベクトルとの差分が最小となるように、前記電圧調整装置に出力させる有効電力及び無効電力を出力ベクトルとして算定する出力ベクトル算定部と、前記出力ベクトルを前記電圧調整装置に出力する出力ベクトル出力部と、を備えることを特徴とする電圧安定化制御装置。

請求項2

請求項1に記載の電圧安定化制御装置であって、前記電圧安定化ベクトル算定部は、前記各負荷の有効電力及び無効電力の変化量に対する前記電力系統の電圧の上昇量の比率が最大となるときの前記変化量に所定の係数を乗じて得られるベクトルを前記電圧安定化ベクトルとして算定することを特徴とする電圧安定化制御装置。

請求項3

請求項2に記載の電圧安定化制御装置であって、前記電圧安定化ベクトル算定部は、前記系統情報を用いて、前記電力系統の各負荷の有効電力及び無効電力を現時点における値から変化させながら前記電力系統の電圧を繰り返し算出し、前記電力系統の電圧が最も早く不安定になる時の潮流限界点である最近接潮流限界点を求め、前記最近接潮流限界点までの負荷余裕所定値になるように前記所定の係数を定めることを特徴とする電圧安定化制御装置。

請求項4

請求項3に記載の電圧安定化制御装置であって、前記電圧安定化ベクトル算定部は、前記最近接潮流限界点を求める際に、前記各負荷の現時点における有効電力及び無効電力の変化量に対する前記電力系統の電圧の低下量の比率が最大となるときの前記各負荷の前記変化量を電圧感度ベクトルとして算定し、前記電圧感度ベクトルに負の係数を乗じることにより前記電圧安定化ベクトルを算定することを特徴とする電圧安定化制御装置。

請求項5

電力系統に設けられる電圧調整装置を制御する電圧安定化制御装置の制御方法であって、前記電圧安定化制御装置が、前記電力系統の構成及び電気的特性を表す系統情報を用いて、前記電力系統の各負荷の有効電力及び無効電力を現時点における値から変化させながら前記電力系統の電圧を繰り返し算出し、前記電力系統の電圧が上昇するような前記電力系統の各負荷の有効電力及び無効電力の変化量を表す電圧安定化ベクトルを算定し、前記電圧安定化制御装置が、前記電圧調整装置の運転時の制約条件を満たす範囲で、前記電圧安定化ベクトルとの差分が最小となるように、前記電圧調整装置に出力させる有効電力及び無効電力を出力ベクトルとして算定し、前記電圧安定化制御装置が、前記出力ベクトルを前記電圧調整装置に出力する、ことを特徴とする電圧安定化制御装置の制御方法。

請求項6

電力系統に設けられる電圧調整装置を制御する電圧安定化制御装置に、前記電力系統の構成及び電気的特性を表す系統情報を用いて、前記電力系統の各負荷の有効電力及び無効電力を現時点における値から変化させながら前記電力系統の電圧を繰り返し算出し、前記電力系統の電圧が上昇するような前記電力系統の各負荷の有効電力及び無効電力の変化量を表す電圧安定化ベクトルを算定する手順と、前記電圧調整装置の運転時の制約条件を満たす範囲で、前記電圧安定化ベクトルとの差分が最小となるように、前記電圧調整装置に出力させる有効電力及び無効電力を出力ベクトルとして算定する手順と、前記出力ベクトルを前記電圧調整装置に出力する手順と、を実行させるためのプログラム

技術分野

0001

本発明は、電圧安定化制御装置、電圧安定化制御装置の制御方法及びプログラムに関する。

背景技術

0002

電力系統の電圧は、発電機の出力や電圧、運転力率負荷消費電力力率系統構成調相設備運転状況などの様々な影響を受けて平衡点落ち着く。そのため、これらの要因に変動があった場合や電力系統に何らかのじょう乱があった場合には、電力系統の電圧は変動する。この場合に電力系統の電圧が新たな平衡点に落ち着く能力あるいはそれに関連した性質を電力系統の電圧安定性という。

0003

しかしながら、近年、風力発電太陽光発電などの分散電源系統連系が増加しており、不確実かつ急激な出力変動が電力系統の電圧安定性に影響を及ぼしつつある。

0004

そのため、電力系統に設けられる中央給電所地方給電所では、負荷の電力需要が増加した場合や事故が発生した場合の電圧低下の度合あるいは電圧崩壊の可能性などを事前に把握し、必要な予防制御を行うなどの電圧安定性を強化するための様々な制御を行っている。

0005

このような電力系統の電圧安定性の解析や制御を行うための技術については、これまでに様々なものが開発されている(例えば特許文献1、非特許文献1参照)。

0006

特開2004−187390号公報

先行技術

0007

餘利野直人、外3名共著、「電力潮流多根に基づく最近接サドルノード分岐点近似手法−新しい電圧安定性の監視制御手法の提案−」、電学論B、No. 119、Vol. 4、pp.507-515、1999年

発明が解決しようとする課題

0008

例えば特許文献1には、電力系統の電圧が変化した場合に、電圧の変化を抑制するように動作する電圧調整装置応答特性を取り込んだPV曲線を求めて電圧安定性指標を得た上で、最適潮流状態計算を行う技術が記載されている。

0009

しかしながら特許文献1に記載されている技術は、各母線有効電力余裕と電圧安定性指標を評価関数とし、母線ごとにそれぞれPV曲線を計算して負荷余裕を求めるものであり、全母線における最小の負荷余裕が考慮されていない。

0010

また非特許文献1には、PV曲線において運転点から潮流限界点(電圧崩壊が起こる点)の中で最も運転点に近接している点(最近接潮流限界点)までの負荷増加ベクトル算定し、この負荷増加ベクトルに対して逆方向に運転点を移動させるように電圧調整機器を制御することで電圧安定化を図る技術が記載されている。

0011

しかしながら、電圧調整機器や電力系統には、例えば有効電力の出力制限無効電力の出力制限、母線電圧上下限制約などの制約があり、一律に最近接潮流限界点と逆向きに運転点を移動させることが最適でない場合もある。

0012

例えば図7に示すように、最近接潮流限界点と逆向き(ベクトルrの向き)に運転点を移動させようとしても、電圧調整機器や電力系統の制約(図7において四角で囲った範囲)によって、期待する移動量に比べてわずかな量しか運転点を移動できない場合もある。

0013

また図8に示すように、最近接潮流限界点と逆向き(ベクトルrの向き)に運転点を移動させると、かえって負荷余裕が減少し、電力系統の電圧が低下する場合もある。

0014

本発明はこのような課題を鑑みてなされたものであり、電力系統の電圧をより確実に安定化させるように制御を行うことが可能な電圧安定化制御装置、電圧安定化制御装置の制御方法及びプログラムを提供することを一つの目的とする。

課題を解決するための手段

0015

上記課題を解決するための手段の一つは、電力系統に設けられる電圧調整装置を制御する電圧安定化制御装置であって、前記電力系統の構成及び電気的特性を表す系統情報を用いて、前記電力系統の各負荷の有効電力及び無効電力を現時点における値から変化させながら前記電力系統の電圧を繰り返し算出し、前記電力系統の電圧が上昇するような前記電力系統の各負荷の有効電力及び無効電力の変化量を表す電圧安定化ベクトルを算定する電圧安定化ベクトル算定部と、前記電圧調整装置の運転時の制約条件を満たす範囲で、前記電圧安定化ベクトルとの差分が最小となるように、前記電圧調整装置に出力させる有効電力及び無効電力を出力ベクトルとして算定する出力ベクトル算定部と、前記出力ベクトルを前記電圧調整装置に出力する出力ベクトル出力部と、を備える。

0016

その他、本願が開示する課題、及びその解決方法は、発明を実施するための形態の欄の記載、及び図面の記載等により明らかにされる。

発明の効果

0017

本発明によれば、電力系統の電圧をより確実に安定化させるように制御を行うことが可能になる。

図面の簡単な説明

0018

電圧安定化制御装置の機能構成を示す図である。
電圧安定化制御装置のハードウェア構成を示す図である。
電圧安定化制御装置の記憶装置を示す図である。
電力系統を示す図である。
電圧安定化制御装置の制御方法を示すフローチャートである。
電力系統の電圧を制御する様子を示す図である。
電力系統の電圧を制御する様子を示す図である。
電力系統の電圧を制御する様子を示す図である。

実施例

0019

本明細書および添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。

0020

==電力系統==
図4に示すように、本実施形態に係る電力系統1000は、発電設備1100、負荷設備1200、電圧調整装置1300及び電圧安定化制御装置100を有して構成されている。

0021

発電設備1100は、所定のエネルギー源から電力エネルギーを取り出して出力することができる電力源であり、例えば水力発電設備原子力発電設備火力発電設備風力発電設備太陽光発電設備などにより構成される。

0022

負荷装置1200は、発電設備1100から供給される電力消費する工場家庭等におけるモータ照明等の電気機器である。

0023

電圧調整装置1300は、電力系統1000に対して有効電力及び無効電力を出力することで、電力系統1000の電圧を上昇あるいは低下させることが可能な装置である。電圧調整装置1300を適切に制御することによって、電力系統1000の電圧を安定化させることが可能となる。

0024

電圧安定化制御装置100は、電力系統1000の電圧を安定化させるために電圧調整装置1300が出力すべき有効電力及び無効電力を算出し、この有効電力及び無効電力を要素とする出力ベクトルを指令値として電圧調整装置1300に出力する装置である。

0025

また図4には示されていないが、電力系統1000は、送電線配電線などの送電線路T、電力の位相を制御する調相設備S、蓄電設備B、変圧器H、開閉器K、電力系統1000の電圧や電流周波数、力率などの物理量を計測する各種の計測器Mなどの様々な設備を有して構成されている。

0026

==電圧安定化制御装置==
本実施形態に係る電圧安定化制御装置100は、上述したように、電圧調整装置1300に出力させる有効電力及び無効電力を算出し、出力ベクトルを電圧調整装置1300に出力する情報処理装置である。

0027

本実施形態に係る電圧安定化制御装置100の全体構成を図1及び図2に示す。図1は、電圧安定化制御装置100の機能構成を説明するための図であり、図2は、電圧安定化制御装置100のハードウェア構成を説明するための図である。

0028

まず図2を参照しながら、電圧安定化制御装置100のハードウェア構成を説明する。本実施形態に係る電圧安定化制御装置100は、CPU(Central Processing Unit)110、メモリ120、通信装置130、記憶装置140、入力装置150、出力装置160及び記録媒体読取装置170を有して構成されるコンピュータである。

0029

CPU110は電圧安定化制御装置100の全体の制御を司るもので、記憶装置140に記憶される本実施形態に係る各種の動作を行うためのコードから構成される制御プログラム600をメモリ120に読み出して実行することにより、電圧安定化制御装置100としての各種機能を実現する。

0030

例えば、詳細は後述するが、CPU110により制御プログラム600が実行され、メモリ120や通信装置130、記憶装置140等のハードウェア機器協働することにより、電圧安定化ベクトル算定部102、出力ベクトル算定部103、出力ベクトル出力部104などが実現される。

0031

メモリ120は例えば半導体記憶装置により構成することができる。

0032

通信装置130は、ネットワークカードなどのネットワークインタフェースである。通信装置130は、インターネットやLAN(Local Area Network)などの通信路500を介して他のコンピュータからデータを受信し、受信したデータを記憶装置140やメモリ120に記憶する。また通信装置130は、記憶装置140やメモリ120に記憶されているデータを、通信路500を介して他のコンピュータへ送信する。

0033

例えば電圧安定化制御装置100は、図4に示すように通信路500を介して電圧調整装置1300と通信可能に接続されており、電圧調整装置1300に出力させる有効電力や無効電力の指令値を、通信路500を通じて電圧調整装置1300に送信する。

0034

また電圧安定化制御装置100は、電力系統1000に設けられる各種の計測器Mから、電力系統1000の電圧や電流、周波数、力率などの計測結果を、通信路500を介して取得する。

0035

入力装置150は、キーボードマウスマイク等の装置であり、電圧安定化制御装置100の操作者による情報の入力を受け付けるための装置である。出力装置160は、LCD(Liquid Crystal Display)やプリンタスピーカ等の装置であり、情報を出力するための装置である。

0036

記憶装置140は、例えばハードディスク装置や半導体記憶装置等により構成することができる。記憶装置140は、各種プログラムやデータ、テーブル等を記憶するための記憶領域を提供する装置である。図3には、記憶装置140に制御プログラム600及びデータ記憶部700が記憶されている様子を示す。

0037

なお、電圧安定化制御装置100は、記録媒体読取装置170を用いて記録媒体(各種の光ディスク磁気ディスク半導体メモリ等)800から制御プログラム600を読み出して、記憶装置140に格納するようにすることもできるし、通信装置130を介して通信可能に接続される他のコンピュータから制御プログラム600を取得して記憶装置140に格納するようにすることもできる。

0038

またデータ記憶部700には、電圧安定化制御装置100が電圧調整装置1300に出力させる有効電力及び無効電力の指令値を算出する際に用いる系統情報や算出式、制約条件などが記憶されている。

0039

これらの詳細については後述するが、系統情報は電力系統1000の構成及び電気的特性を表す情報であり、例えば、送電線路Tの長さやインピーダンスアドミタンス、負荷設備1200の位置や有効電力及び無効電力、発電設備1100の位置や燃料費係数(円/kWh等の指標)、有効電力及び無効電力、蓄電設備Bの位置や有効電力や無効電力、調相設備Sの位置や容量、ノード電圧に対する上下限値、変圧器Hのタップ比などの情報が含まれる。

0040

また算出式には、電力系統1000の電圧が最も早く不安定になる時の潮流限界点(電圧安定限界点ともいう)である最近接潮流限界点を求めるための第1算出式や、電圧調整装置1300に出力させる有効電力及び無効電力の出力ベクトルを算定するための第2算出式が含まれる。

0041

制約条件には、発電設備1100や負荷設備1200、電圧調整装置1300に許容される運転時の各種制約条件が含まれ、例えば、電圧の上下限値や有効電力及び無効電力の上下限値、最大出力などの情報が含まれる。

0042

次に、図1を参照しながら、本実施形態に係る電圧安定化制御装置100の機能構成について説明するが、具体的な説明の前に、理解の容易化のために、以下の説明で用いられる様々な記号をまとめて記載しておく。

0043

n∈自然数負荷ノード数(負荷設備1200の数)
m∈自然数:発電機ノード数(発電設備1100の数)
s∈自然数:電圧調整装置のノード数(電圧調整装置1300の数)
N=(1,2,…,n):負荷ノード集合(負荷設備1200の集合)
M=(1,2,…,m):発電ノード集合(発電設備1100の集合)
S=(1,2,…,s):電圧調整装置ノード集合(電圧調整装置1300の集合)
pdi∈1次元実数ベクトル,∀i∈N:負荷ノードの有効電力ベクトル
qdi∈1次元の実数ベクトル,∀i∈N:負荷ノードの無効電力ベクトル
pgi∈1次元の実数ベクトル,∀i∈M:発電機の有効電力ベクトル
qgi∈1次元の実数ベクトル,∀i∈M:発電機の無効電力ベクトル
psi∈1次元の実数ベクトル,∀i∈S:出力ベクトルの有効電力成分(電圧調整装置1300へ出力させる有効電力の指令値)
qsi∈1次元の実数ベクトル,∀i∈S:出力ベクトルの無効電力成分(電圧調整装置1300へ出力させる無効電力の指令値)
pi∈1次元の実数ベクトル,∀i∈(N∪M∪S):潮流方程式の有効電力ベクトル
qi∈1次元の実数ベクトル,∀i∈(N∪M∪S):潮流方程式の無効電力ベクトル
Cg∈ (n+m)×m次元の実数行列:発電機ノード指定行列
Cs∈ (n+m)×m次元の実数行列:機器配置ノード指定行列(各負荷設備1200に電圧調整装置1300を配置する場合)
δi∈1次元の実数ベクトル,∀i∈(N∪M∪S):電圧位相ベクトル
vi∈1次元の実数ベクトル,∀i∈(N∪M∪S):電圧振幅ベクトル
d∈2n次元の実数行列:最近接潮流限界点までの負荷増加ベクトル
r∈2n次元の実数行列:電圧安定化ベクトル
図1に示すように、電圧安定化制御装置100は、電圧安定化ベクトル算定部102、出力ベクトル算定部103、出力ベクトル出力部104の各機能ブロックを備えて構成されている。

0044

電圧安定化ベクトル算定部102は、系統情報を用いて上記第1算出式を実行することで最近接潮流限界点アルゴリズムを実行し、電力系統1000の現在の運転点に対する最近接潮流限界点を求める。

0045

すなわち、電圧安定化ベクトル算定部102は、データ記憶部700に記憶されている系統情報を用いて、電力系統1000の各負荷設備1200の有効電力及び無効電力を現時点における値から所定量ずつ徐々に変化させながら電力系統1000の電圧を繰り返し算出し、電力系統1000の電圧が不安定になる時の潮流限界点を求める。特に、電圧安定化ベクトル算定部102は、その中で電力系統1000の電圧が最も早く不安定になる時の潮流限界点である最近接潮流限界点を求める。

0046

なお、最近接潮流限界点を求めるためのアルゴリズムは、直接法間接法などの種々の方式が開発されており、例えば非特許文献1に記載されている方法を用いることができる。

0047

また電圧安定化ベクトル算定部102は、最近接潮流限界点を求める際に、合わせて負荷増加ベクトル及び電圧感度ベクトルを求めることもできる。

0048

ここでの負荷増加ベクトルとは、現在の運転点を始点とし最近接潮流限界点を終点とするベクトルを意味し、各負荷装置1200の運転点における有効電力及び無効電力と、最近接潮流限界点における有効電力及び無効電力と、の差分を要素とするベクトルである。負荷増加ベクトルは、図6においてdで示されるベクトルである。

0049

また電圧感度ベクトルとは、電力系統1000の各負荷設備1200の現時点における有効電力及び無効電力を微小変化させた場合に、その変化量に対する電力系統1000の電圧の低下量の比率が最大となるときの各負荷設備1200の変化量を要素とするベクトルである。つまり、本実施形態において、電圧感度ベクトルの向きは、電力系統1000の電圧の下降勾配が最大となる向きとなっている。なお電圧感度ベクトルは、図6においてerで示されるベクトルである。

0050

具体的には、電圧感度ベクトルerは、各負荷設備1200における有効電力及び無効電力の微小変分に対しての電圧振幅の変化量を表しており、式(1)により表される。この電圧感度ベクトルerは電圧安定性指標として使われており、電圧感度が小さければ電圧安定性が小さいことを意味する。

0051

0052

なお、式(1)に示す電圧感度ベクトルerは、式(2)、式(3)で表される行列の対角成分を抽出したものである。

0053

0054

つまり、より正確には、各負荷設備1200における電圧は他の負荷設備1200における有効電力あるいは無効電力の変化の影響も受けて変化するため、電圧感度ベクトルerは、式(2)及び式(3)に表すような行列になる。

0055

しかしながら、他の負荷設備1200における有効電力及び無効電力の変化の影響は、自負荷設備1200における有効電力及び無効電力の変化の影響に比べて小さいため、他の負荷設備1200における有効電力及び無効電力の変化の影響を無視しても誤差許容範囲に収まる。

0056

このため本実施形態に係る電圧安定化制御装置100は、電圧感度ベクトルerを式(1)により求めるようにしている。このような態様により、電圧安定化制御装置100の計算の処理負荷を軽減し、処理速度を高速化することが可能になる。これにより、本実施形態に係る電力系統1000の電圧の安定化制御をリアルタイムで(例えば数分ないし10分程度の短い周期で)行うことも可能となる。

0057

また電圧安定化ベクトル算定部102は、電圧安定化ベクトルを算定する。電圧安定化ベクトルは、図6においてrで示されるベクトルであり、電力系統1000の電圧が上昇するような各負荷設備1200の有効電力及び無効電力の変化量を表すベクトルである。

0058

このため、この電圧安定化ベクトルrで示される向きに電力系統1000内の運転点を移動させることによって、電力系統1000の電圧は上昇し、運転点を潮流限界点から遠ざけることができるため、電力系統1000の電圧を安定化させることが可能となる。

0059

また本実施形態では、各負荷設備1200の有効電力及び無効電力の変化量に対する電力系統1000の電圧の上昇量の比率が最大となる時の上記有効電力及び無効電力の変化量に所定の係数を乗じることで電圧安定化ベクトルrを得るようにしている。つまり、電圧安定化ベクトルの向きは、電力系統1000の電圧の上昇勾配が最大となる向きとなっている。このため、電圧安定化ベクトルrで示される向きに電力系統1000内の運転点を移動させることによって、電力系統1000の電圧を最も効率的に上昇させることが可能となる。

0060

電圧安定化ベクトル算定部102は、データ記憶部700に記憶されている系統情報を用いて、電力系統1000の各負荷設備1200の有効電力及び無効電力が現時点における値から変化した場合の電力系統1000の電圧の変化量を算出することにより、電圧安定化ベクトルrを算定する。

0061

しかしながら上述したように、電圧安定化ベクトル算定部102は電圧感度ベクトルerを求めている。そして電圧感度ベクトルerの向きは、電力系統1000の電圧の下降勾配が最大となる向きである。そのため、電圧安定化ベクトル算定部102は、電圧感度ベクトルerとは逆向きのベクトルを、電圧安定化ベクトルrとして算定することもできる。このような態様により、電圧安定化ベクトル算定部102は、電圧感度ベクトルerを利用することにより、簡便に、電力系統1000の電圧の上昇勾配が最大となる向きに電圧安定化ベクトルrを算定することが可能となる。

0062

上より、電圧安定化ベクトルrは、電圧感度ベクトルerを用いて式(4)により表すことができる。

0063

r=−k・er (kは正のスカラー値の所定の係数) …(4)
このようにして、電圧安定化ベクトル算定部102は、電圧感度ベクトルerに負の係数(−k)を乗じることにより、電圧安定化ベクトルrを算定する。

0064

ここで、本実施形態に係る電圧安定化ベクトル算定部102は、最近接潮流限界点までの負荷余裕が所定値λになるようにkの値を定めるようにする。つまり、図6に示すように、電力系統1000の運転点を、電圧安定化ベクトルrの終点となる位置に移動させた場合に、最近接潮流限界点までの負荷余裕が所定値λになるようにする。このとき、電圧安定化ベクトルrと、電圧感度ベクトルerと、負荷余裕λと、は式(5)のような関係となる。

0065

0066

式(5)を満たすようなkの値は、直線探査によって容易に求めることができる。そしてこのような態様によって、最近接潮流限界点までの負荷余裕を所定値λに維持することが可能となり、電力系統1000の電圧を安定化させることが可能となる。

0067

なお、負荷余裕λの値は、事前にデータ記憶部700に記憶されており、例えば、電力系統1000の平常運転時における最近接潮流限界点までの負荷余裕を元に決定することができる。

0068

次に、出力ベクトル算定部103について説明する。

0069

出力ベクトル算定部103は、電圧調整装置1300に出力させる有効電力及び無効電力である出力ベクトルを算定する。このとき出力ベクトル算定部103は、電圧調整装置1300や発電設備1100、負荷設備1200等の電力系統1000の各構成要素の運転時の制約条件を満たしつつ、電圧安定化ベクトルrとの差分が最小となるように、出力ベクトルを算定する。

0070

具体的には、出力ベクトル算定部103は、下記の式(8)〜式(12)で表される制約条件を満たす範囲で、式(6)及び式(7)で表される第2算出式の値が最小となるような出力ベクトルを算出する。なお出力ベクトルは、(ps,qs)Tである。

0071

0072

式(6)は、電圧安定化ベクトルr=(rp,rq)Tと出力ベクトル(ps,qs)Tとの二乗和最小値を求めるものであり、式(6)の値が最小となるときの出力ベクトル(ps,qs)Tは、電圧安定化ベクトルrとの差分が最小となっている。

0073

式(8)は電力系統1000を構成する電圧調整装置1300、発電設備1100、負荷設備1200の電圧上下限である。また式(9)〜式(11)は電力調整装置1300の出力制限である。式(12)は潮流方程式であり、等式制約で表される。

0074

これらの式(6)〜式(12)で表される問題は、非線形計画問題であり、逐次二次計画法一般化縮約勾配法拡張ラグランジュ法などの非線形計画ソルバにより解くことができる。

0075

なお、出力ベクトル算定部103は、式(6)によって電圧安定化ベクトルr=(rp,rq)Tと出力ベクトル(ps,qs)Tとの二乗和の最小値を求めているが、ここでの最小値の意味は、文字通り最小値である場合だけでなく、最小値に近い場合、例えば、最小値との差分が所定値以下となる場合であっても良い。

0076

出力ベクトル出力部104は、出力ベクトル算定部103によって算定された出力ベクトル(ps,qs)Tを指令値として電圧調整装置1300に出力する。

0077

これにより、電圧調整装置1300は、出力ベクトル(ps,qs)Tによって指定された有効電力及び無効電力を電力系統1000に出力する。

0078

このようにして、電力系統1000における制約を考慮しつつ、電力系統1000の電圧を上昇させることにより、新たな運転点を潮流限界点から遠ざけ、電力系統1000の電圧を安定化させることができることになる。

0079

次に、本実施形態に係る電圧安定化制御装置100の処理の流れを、図5に示すフローチャートを参照しながら説明する。

0080

まず電圧安定化制御装置100は、データ記憶部700に記憶されている系統情報を用いて、電力系統1000の各負荷設備1200の有効電力及び無効電力を現時点における値から所定量ずつ徐々に変化させながら電力系統1000の電圧を繰り返し算出し、電力系統1000の電圧が最も早く不安定になる時の潮流限界点である最近接潮流限界点を求める(S1000)。

0081

続いて電圧安定化制御装置100は、上記最近接潮流限界点を求める際に、合わせて算出された電圧感度ベクトルerと、負荷増加ベクトルdと、データ記憶部700に記憶されている負荷余裕λと、を用いて、式(5)を満たす電圧安定化ベクトルrを求める(S1010)。

0082

そして電圧安定化制御装置100は、式(6)〜式(12)を解くことで、電圧調整装置1300や発電設備1100、負荷設備1200等の電力系統1000の各構成要素の運転時の制約条件を満たしつつ、電圧安定化ベクトルrとの差分が最小となるように、電圧調整装置1300に出力させる有効電力及び無効電力である出力ベクトル(ps,qs)Tを算定する(S1020)。

0083

そして電圧安定化制御装置100は、出力ベクトル(ps,qs)Tを電圧調整装置1300に出力する(S1030)。

0084

このような手順で電圧安定化制御装置100を動作させることにより、電力系統1000における制約を考慮しつつ、新たな運転点を効率的に潮流限界点から遠ざけ、電力系統1000の電圧安定性を向上させることが可能になる。

0085

以上、本実施形態に係る電圧安定化制御装置100、電圧安定化制御装置100の制御方法及び制御プログラム600について説明したが、このような態様により、電力系統1000の電圧をより確実に安定化させるように制御を行うことが可能になる。

0086

なお上述した実施の形態は本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明はその趣旨を逸脱することなく変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物も含まれる。

0087

100電圧安定化制御装置
102 電圧安定化ベクトル算定部
103出力ベクトル算定部
104 出力ベクトル出力部
110 CPU
120メモリ
130通信装置
140記憶装置
150入力装置
160出力装置
170記録媒体読取装置
500通信路
600制御プログラム
700データ記憶部
800 記録媒体
1000電力系統
1100発電設備
1200負荷設備
1300 電圧調整装置

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