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技術 位置検出装置および位置検出方法

出願人 キヤノンプレシジョン株式会社
発明者 富永英和
出願日 2016年2月10日 (4年10ヶ月経過) 出願番号 2016-023644
公開日 2017年8月17日 (3年4ヶ月経過) 公開番号 2017-142167
状態 未査定
技術分野 感知要素の出力の伝達及び変換
主要キーワード リサージュ図 補正信号波 対応法 電気分割 周期カウント 高次高調波成分 逆正接値 個データ
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2017年8月17日)のものです。
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図面 (20)

課題

検出精度の高い位置検出装置を提供すること。

解決手段

周期的に形成されたパターンを有するスケール20と、スケールと対向するように配置され、パターンに応じた2つの信号を出力するセンサユニット10と、を有し、2つの信号は、それぞれ基本波成分整数倍周波数を持つ第1の高調波成分および第2の高調波成分を含んでおり、第1の高調波成分の第1の位相と第2の高調波成分の第2の位相は、基本波成分の第3の位相と異なり、第1の高調波成分の第1の振幅と第2の高調波成分の第2の振幅との差は、第2の高調波成分の最大振幅の−0.1倍以上0.1倍以下の範囲にあり、第1の高調波成分の第1の位相と第2の高調波成分の第2の位相との差は、−10度以上10度以下の範囲にある。

概要

背景

光学式エンコーダなどにおいては、エンコーダ分解能を高めるべく電気分割、いわゆる内挿処理が行われる。内挿処理のひとつの方法として、直交する2つの正弦波信号余弦波信号逆正接演算より角度を求め位置分解能を高める方法がある。この内挿処理を高精度に行うためには、正弦波信号と余弦波信号が基本波成分のみで構成され、高調波成分を極力もたない構成にする必要がある。高調波成分が含まれる信号を用いると逆正接演算を行う際に内挿誤差が生じ、位置誤差となってしまうからである。以前から高調波成分を極力抑え、基本波成分のみになるような光学構成などの種々のアイデアが提案されている。

例えば、特許文献1に示すように、逆正接演算を行った後に、LUT(Look Up Table)により、高調波成分による内挿誤差を補正する方法がある。他の方法では、特許文献2に示すように、第3高調波成分と第5高調波成分の振幅を等しくする格子間隔に設定するという方法がある。さらには、特許文献3に示すように、第3高調波成分と第5高調波成分の振幅を減算した値に逆正接値の4倍を変数とする正弦波補正値を算出して補正するという方法がある。

概要

検出精度の高い位置検出装置を提供すること。周期的に形成されたパターンを有するスケール20と、スケールと対向するように配置され、パターンに応じた2つの信号を出力するセンサユニット10と、を有し、2つの信号は、それぞれ基本波成分の整数倍周波数を持つ第1の高調波成分および第2の高調波成分を含んでおり、第1の高調波成分の第1の位相と第2の高調波成分の第2の位相は、基本波成分の第3の位相と異なり、第1の高調波成分の第1の振幅と第2の高調波成分の第2の振幅との差は、第2の高調波成分の最大振幅の−0.1倍以上0.1倍以下の範囲にあり、第1の高調波成分の第1の位相と第2の高調波成分の第2の位相との差は、−10度以上10度以下の範囲にある。

目的

本発明の目的は、上記課題に鑑み、検出精度の高い位置検出装置を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

この技術が所属する分野

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請求項1

周期的に形成されたパターンを有するスケールと、前記スケールと対向するように配置され、前記パターンに応じた2つの信号を出力するセンサユニットと、を有し、前記2つの信号は、それぞれ基本波成分整数倍周波数を持つ第1の高調波成分および第2の高調波成分を含んでおり、前記第1の高調波成分の第1の位相と前記第2の高調波成分の第2の位相は、前記基本波成分の第3の位相と異なり、前記第1の高調波成分の第1の振幅と前記第2の高調波成分の第2の振幅との差は、前記第2の高調波成分の最大振幅の−0.1倍以上0.1倍以下の範囲にあり、前記第1の高調波成分の第1の位相と前記第2の高調波成分の第2の位相との差は、−10度以上10度以下の範囲にあることを特徴とする位置検出装置

請求項2

周期的に形成されたパターンを有するスケールと、前記スケールと対向するように配置され、前記パターンに応じた2つの信号を出力するセンサユニットと、前記2つの信号を処理して位置情報に変換する信号処理手段と、を有し、前記2つの信号は、それぞれ基本波成分の整数倍の周波数を持つ第1の高調波成分および第2の高調波成分を含んでおり、前記信号処理手段は、前記第1の高調波成分の第1の振幅と前記第2の高調波成分の第2の振幅の差と、前記第1の高調波成分の第1の位相と前記第2の高調波成分の第2の位相の差が、小さくなるように前記2つの信号を補正する補正手段を有することを特徴とする位置検出装置。

請求項3

前記基本波成分の第3の位相は、前記第1の位相および前記第2の位相と異なっていることを特徴とする請求項2に記載の位置検出装置。

請求項4

前記スケールと前記センサユニットとは、互いに相対移動可能に構成され、前記補正手段は、前記スケールと前記センサユニットとが相対移動した際に前記スケールと前記センサユニットとの間隔が変化する場合に、前記間隔の変化に基づいて前記2つの信号を補正することを特徴とする請求項2または3に記載の位置検出装置。

請求項5

周波数解析を行うことにより前記基本波成分の整数倍の周波数を持つ高調波成分の振幅および位相を算出する算出手段を有し、前記補正手段は、前記算出手段が算出する振幅および位相に基づいて、前記2つの信号を補正することを特徴とする請求項2ないし4のいずれか1項に記載の位置検出装置。

請求項6

前記第1の高調波成分は3次高調波成分であり、前記第2の高調波成分は5次高調波成分であることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の位置検出装置。

請求項7

前記第1の高調波成分および前記第2の高調波成分は、奇数次高調波成分であり、7次以上の高調波成分であることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の位置検出装置。

請求項8

前記第1の高調波成分は7次高調波成分または11次高調波成分であり、前記第2の高調波成分は9次高調波成分または13次高調波成分であることを特徴とする請求項7に記載の位置検出装置。

請求項9

前記2つの信号は、異なる位相差を有し、前記位相差は、360/m度(mは3以上の自然数)であることを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1項に記載の位置検出装置。

請求項10

前記位相差は、72度または120度であることを特徴とする請求項9に記載の位置検出装置。

請求項11

物体変位に応じて出力される周期的な2つの信号を補正する補正ステップと、前記補正ステップにより補正された信号に基づいて前記物体の位置を検出する位置検出ステップと、を有し、前記2つの信号は、それぞれ基本波成分の整数倍の周波数を持つ第1の高調波成分および第2の高調波成分を含んでおり、前記補正ステップは、前記第1の高調波成分の第1の振幅と前記第2の高調波成分の第2の振幅の差と、前記第1の高調波成分の第1の位相と前記第2の高調波成分の第2の位相の差が、小さくなるように前記2つの信号を補正することを特徴とする位置検出方法

技術分野

0001

本発明は、位置検出装置に関し、特に2つのアナログ信号を用いて内挿処理を行うエンコーダに関する。

背景技術

0002

光学式エンコーダなどにおいては、エンコーダの分解能を高めるべく電気分割、いわゆる内挿処理が行われる。内挿処理のひとつの方法として、直交する2つの正弦波信号余弦波信号逆正接演算より角度を求め位置分解能を高める方法がある。この内挿処理を高精度に行うためには、正弦波信号と余弦波信号が基本波成分のみで構成され、高調波成分を極力もたない構成にする必要がある。高調波成分が含まれる信号を用いると逆正接演算を行う際に内挿誤差が生じ、位置誤差となってしまうからである。以前から高調波成分を極力抑え、基本波成分のみになるような光学構成などの種々のアイデアが提案されている。

0003

例えば、特許文献1に示すように、逆正接演算を行った後に、LUT(Look Up Table)により、高調波成分による内挿誤差を補正する方法がある。他の方法では、特許文献2に示すように、第3高調波成分と第5高調波成分の振幅を等しくする格子間隔に設定するという方法がある。さらには、特許文献3に示すように、第3高調波成分と第5高調波成分の振幅を減算した値に逆正接値の4倍を変数とする正弦波補正値を算出して補正するという方法がある。

先行技術

0004

特開2009−303358号公報
特許第2575935号
特許第4224677号

発明が解決しようとする課題

0005

しかしながら、特許文献1では、LUTを作成する手間がかかるという問題がある。また、LUT作成時と実際の運用時の挙動が同一でなくてはならず、両者の再現性が悪いと誤差を補正したつもりがかえって悪化してしまう恐れがある。特許文献2では、第3高調波成分と第5高調波成分の振幅を等しくする方法であるが、位相については基本波成分との位相が0度の特殊の場合についてのみであり、位相が0度に限定的なものであり位相が0度以外の場合には適用できない。特許文献3では、第3高調波成分と第5高調波成分の振幅が等しい場合、キャンセル可能であるが、位相が0度に限定的なものであり位相が0度以外の場合には適用できない。

0006

以上をまとめると高次高調波成分を含むアナログ信号の高次高調波成分の振幅と位相によっては逆正接演算の誤差を小さくできないという課題がある。

0007

さらには、エンコーダのスケール検出器平行度が保たれて設置されていない場合を想定すると、移動した後の検出器の検出位置によっては、例えば第3高調波成分と第5高調波成分の振幅と位相の状態が変動し誤差が発生する課題がある。

0008

また、2つのアナログ信号の位相差が90度以外に適用できないという課題がある。

0009

そこで、本発明の目的は、上記課題に鑑み、検出精度の高い位置検出装置を提供することである。

課題を解決するための手段

0010

本発明の一側面としての位置検出装置は、周期的に形成されたパターンを有するスケールと、前記スケールと対向するように配置され、前記パターンに応じた2つの信号を出力するセンサユニットと、を有し、前記2つの信号は、それぞれ基本波成分の整数倍周波数を持つ第1の高調波成分および第2の高調波成分を含んでおり、前記第1の高調波成分の第1の位相と前記第2の高調波成分の第2の位相は、前記基本波成分の第3の位相と異なり、前記第1の高調波成分の第1の振幅と前記第2の高調波成分の第2の振幅との差は、前記第2の高調波成分の最大振幅の−0.1倍以上0.1倍以下の範囲にあり、前記第1の高調波成分の第1の位相と前記第2の高調波成分の第2の位相との差は、−10度以上10度以下の範囲にあることを特徴とする。

0011

本発明の他の目的及び特徴は、以下の実施例において説明される。

発明の効果

0012

本発明によれば、検出精度の高い位置検出装置を提供することができる。

図面の簡単な説明

0013

本発明の実施例1の構成図である。
本発明の実施例1の方法による高調波を含むアナログ信号のリサージュ図である。
本発明の実施例1の方法による高調波を含むアナログ信号の一例の表である。
本発明の実施例1の方法による高調波を含むアナログ信号の一例のグラフである。
本発明の実施例1の方法による高調波を含むアナログ信号のリサージュ図である。
本発明の実施例2の構成図である。
本発明の実施例2のフローチャートである。
本発明の実施例2の2つの正弦波の合成により振幅及び位相の変換を説明する図である。
本発明の実施例2の方法を実施する前と実施後の高調波の含有量を示すグラフである。
本発明の実施例2の効果を説明するためのグラフである。
本発明の実施例3の構成図である。
本発明の実施例3の構成の課題を説明する図である。
本発明の実施例3の方法を実施する前の高調波の含有量を示すグラフである。
本発明の実施例3のフローチャートである。
本発明の実施例3の方法の実施後の高調波の含有量を示すグラフである。
本発明の実施例4の構成図である。
本発明の実施例4のフローチャートである。
本発明の実施例4のFFT(またはDFT)処理を説明する図である。
従来例の課題を説明するためのグラフである。

0014

まず、本発明を実施するための形態を説明する前に、従来の位置検出装置にあった問題点について詳細に説明する。

0015

一つ目の問題点は、従来の位置検出装置では、高次高調波成分を含むアナログ信号の高次高調波成分の振幅と位相によっては逆正接演算の誤差を小さくできない場合があるという点である。

0016

例えば、図19に第3高調波成分と第5高調波成分の振幅と位相を変動させた時のキャンセルのされ具合の様子を示す。図19(a)は、第3高調波成分と第5高調波成分の位相が共に0度に固定した場合で、第5高調波成分と第3高調波成分の振幅比横軸に、内挿誤差を縦軸にしてグラフにしたものである。これによると、1.0の時、つまり、第5高調波成分と第3高調波成分の振幅が等しい時に、内挿誤差がゼロになることがわかる。次に、図19(b)は、第3高調波成分と第5高調波成分の振幅が等しく、第3高調波成分の位相が基本波に対して30度に固定した場合で、第5高調波成分の位相を横軸に、内挿誤差を縦軸にしてグラフにしたものである。これによると、位相により必ずしも、内挿誤差がゼロになるとは限らないということがわかる。むしろ一般的には、第3高調波成分と第5高調波成分の振幅が等しいだけでは、キャンセル可能ではないことがわかる。

0017

さらに、特許文献2と特許文献3において以下の共通の問題がある。まず、第3高調波成分、第5高調波成分以外の第7高調波成分、第9高調波成分・・・については考慮されていない。よって、第7高調波成分以上を有するものには適用できない。

0018

次に、二つ目の問題点は、例えば、エンコーダのスケールと検出器の平行度が保たれて設置されていないと、移動した後の検出器の検出位置によって格子間隔が設定値からずれてしまうという点である。格子間隔が設定値からずれてしまった場合などは第3高調波成分と第5高調波成分の振幅と位相の状態が変動してしまい、このような場合は誤差が悪化し適用できない。

0019

さらに、三つ目の問題点は、2つのアナログ信号は90度位相のずれたものについてのみ適用できるが、例えば、3相モータ電流位相など120度位相のずれたもの、あるいは5相モータの電流位相など72度位相のずれたものについては適用できないという点である。

0020

つぎに、添付図面を参照して本発明を実施するための形態について詳細に説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、本発明の実現手段としての一例であり、本発明が適用される装置の構成や各種条件によって適宜修正又は変更されるべきものであり、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではない。

0021

図1には、本発明の実施例1である光学式エンコーダ(位置検出装置)の構成を示す。光学式エンコーダは、物体変位に応じて出力される周期的な2つの信号に基づいて該物体の位置を検出することができる。本実施例1のエンコーダは、不図示の可動部材に取り付けられるセンサユニット(検出器)10と、不図示の固定部材に取り付けられるスケール20と、信号処理回路信号処理手段)40を有する。スケール20は、周期的に形成されたパターンを有し、センサユニット10は、スケール20と対向するように配置され、該パターンに応じた、後述する異なる位相差を有する2つの信号(信号xおよび信号y)を出力する。スケール20とセンサユニット10とは、互いに相対移動可能に構成される。固定部材および可動部材は、該エンコーダを備える装置の一部である。なお、可動部材にスケール20を取り付け、固定部材にセンサユニット10を取り付けてもよい。すなわち、センサユニット10とスケール20とが相対移動可能な構成であればよい。

0022

センサユニット10は、LED等により構成される光源12と、フォトダイオード等により構成される複数の受光素子検出素子)を含む受光素子アレイ16を有する受光IC14とが同一パッケージ実装された受発光一体型センサユニットである。受光素子アレイ16において、複数の受光素子は、センサユニット10(つまりは可動部材)の移動方向(つまりは位置検出方向)であるX方向に並べられている。

0023

スケール20の透明基板ガラス板フィルム)上には、クロム反射膜により形成された周期パターンを有するトラック21が形成されている。周期パターンは、センサユニット10の光源12から照射された光を受光素子アレイ16に向けて反射する反射部と反射しない非反射部とをX方向に交互に有する。言い換えれば、周期パターンは、光源12からの光が持つエネルギー分布をX方向において空間的に変調する。そのときの変調周期が、周期パターンのピッチに相当する。

0024

なお、本実施例では、スケール20として、反射型スケールを用いる場合について説明するが、周期パターンが透過部と非透過部とを交互に含む透過型スケールを用いてもよい。

0025

また、本実施例では、光学方式で検出する光学式エンコーダについて説明する。しかし、後述する位置検出処理を、磁気方式または静電容量方式で検出する磁気式エンコーダまたは静電容量式エンコーダに適用してもよい。磁気式エンコーダでは、スケール上に磁性体を本実施例における反射膜と同様に並べて磁気パターンを形成する。そして、スケールに近接してアレイ状に並べられた磁界検出素子により磁気パターンによる磁気の極性分布を検出する。また、静電容量式エンコーダでは、スケール上に導電性電極パターンを形成し、別のアレイ状の電極パターンを近接対向させて静電容量の分布を検出するようにすればよい。

0026

信号処理回路40は、受光素子アレイ16からの出力信号エンコーダ信号)、すなわち後述する2つの信号を処理して位置情報に変換する。

0027

信号処理回路40の詳細を説明する。x信号取得部41とy信号取得部42は、互いに位相が90度異なるエンコーダ信号のアナログ信号をセンサユニット10から取得し、所定のサンプリング周期でA/D変換を行いディジタル値を取得するところである。内挿演算部43は、x信号取得部41からの信号データx(x信号)とy信号取得部42からの信号データy(y信号)を用いて、逆正接演算を行なう。位置演算部45は、内挿演算部43で得られる位置詳細データ(下位位置データ)とy信号取得部42より得られるy信号の周期数カウンタ44によりカウントして得られる周期カウントデータ(上位位置データ)を加算して、位置データ(位置情報)を生成する。このように内挿処理を行なうことにより、x信号取得部41とy信号取得部42からの2つのアナログ信号を2値化してカウントする簡易位置エンコード情報より分解能の高い位置エンコード情報を得ることができる。

0028

次に、本発明の実施例1の骨子である、誤差を発生させない逆正接演算の条件について説明する。

0029

まず、位相差が360/4=90度について説明する。
1.位相差が90度(m=4)の場合
一般に、高調波成分を含む2つのアナログ信号x、及びyは、以下のように表せる。

0030

0031

0032

次に、偶数次高調波成分は極めて小さいので無視し、4n次を中心にした4n−1次高調波成分と4n+1次高調波成分を用いて纏めると次式を得る。

0033

0034

0035

ここで、説明の簡略化のため、n=1を取り出して正接(tan)であるところのz=y/xを演算すると次式を得る。

0036

0037

なお、ここで得られる正接の演算による値は誤差を含んでいる。したがって、この演算による値をz’と表記している。

0038

次に、3次高調波成分と5次高調波成分の振幅、及び位相を等しい(A3=A5=A4、φ3=φ5=φ4)と置き、正接を演算すると、

0039

0040

となる。

0041

次に、基本波成分のみの正接(tangent)

0042

0043

で(式6)を置きかえると

0044

0045

となる。

0046

zの係数

0047

0048

は、θごとに定まる定数となる。

0049

これは、z’がどの角度θにおいても、θごとに定まるzの定数倍であり、以下の式が成り立つ。

0050

0051

これは、高調波成分を含んだ信号であっても、3次高調波成分と5次高調波成分の振幅、及び位相を等しい(A3=A5、φ3=φ5)条件を満たせば、基本波成分だけの逆正接値と一致することを意味する。

0052

7次高調波成分と9次高調波成分の振幅、及び位相が等しい場合、11次高調波成分と13次高調波成分の振幅、及び位相が等しい場合においても同様なので、一般に、

0053

0054

であり、4n−1次高調波成分と4n+1次高調波成分の振幅、及び位相を等しい(A4n−1=A4n+1、φ4n−1=φ4n+1)条件を満たせば、基本波成分だけの逆正接値と一致することを意味する。

0055

図2に、この条件を満たす場合のアナログ信号x、yによるリサージュ図を示す。

0056

図2(a)は、第1象限から第4象限までを示した図で、図2(b)は、第1象限のみを拡大した図である。点線が、高調波成分を含まない誤差の無い時のグラフで真円である。実線が、上記条件を満たす高調波成分を含むときのグラフである。それぞれのアナログ信号x、yを用いて逆正接演算により得られる角度θを10度ごとにマークをつけて挙動を詳細に見てみると、実線上のマークは、点線上のマークと原点(0,0)の延長線上に存在することがわかる。点線上のマークと原点(0,0)の延長線上にあるということは、両者の逆正接演算は等しいということがグラフ上で示されている。つまり、本実施例の条件を満たす信号であれば、必ずしも真円でなくても、逆正接演算による内挿処理の誤差をゼロに抑えることが可能である。

0057

次に、図3の表は、4n−1次高調波成分と4n+1次高調波成分の振幅、及び位相を等しい(A4n−1=A4n+1、φ4n−1=φ4n+1)条件を満たす例であり、ここでは4例示す。図4(a)、(b)、(c)、(d)は、図3の表のアナログx信号とy信号である。図5(a)、(b)、(c)、(d)は、図3の表のアナログx信号とy信号のリサージュ図である。これらの高調波成分を含むアナログ信号を生成するエンコーダのアナログ波形であれば、内挿誤差はゼロであり、LUTや演算による補正が必要なくなり、コストアップせずに内挿誤差を小さく抑えることが可能となる。

0058

続いて、一般的なm(mは3以上の自然数)について説明する。
2.位相差が360/m度の場合(mは3以上の自然数)
光学式エンコーダの場合は、一般的にm=4であるが、3相モータ、5相モータの電流位相検出の場合は、m=3、m=5などを用いる場合がある。

0059

続いて、1.を一般化したmについて説明する。

0060

一般に、高調波成分を含む2つのアナログ信号x、及びyは、式1および式2のように表せる。
ただし、信号x、信号yは、2つのアナログ信号を用いた直交変換後の信号とする。具体的には、例えば、3相(u/v/w)の場合は、
x=u;
y=(u+2*v)/SQRT(3)
などにより算出される。
また、例えば、5相(q/r/s/t/u)の場合は、
x=q;
y=(−q+r/cos72°)/SQRT((1/cos72°)^2−1)
などにより算出される。

0061

次に、偶数次高調波成分は極めて小さいので無視し、m・n次を中心にしたm・n−1次高調波成分とm・n+1次高調波成分を纏めると次式を得る。

0062

0063

0064

ここで、説明の簡略化のため、n=1を取り出して正接(tan)であるところのz=y/xを演算すると次式を得る。

0065

0066

なお、ここで得られる正接の演算による値は誤差を含んでいる。したがって、この演算による値をz’と表記している。

0067

次に、m−1次高調波成分とm+1次高調波成分の振幅、及び位相を等しい(Am−1=Am+1=Am、φm−1=φm+1=φm)と置き、逆正接を演算すると、

0068

0069

次に、(式7)で(式15)を置きかえると、

0070

0071

となる。

0072

zの係数

0073

0074

は、θごとに定まる定数となる。

0075

これは、z’がどの角度θにおいても、θごとに定まるzの定数倍であり、以下の式が成り立つ。

0076

0077

これは、高調波成分を含んだ信号であっても、m−1次高調波成分とm+1次高調波成分の振幅、及び位相が等しい(Am−1=Am+1、φm−1=φm+1)条件を満たせば、基本波成分だけの逆正接値と一致することを意味する。

0078

2m−1次高調波成分と2m+1次高調波成分の振幅、及び位相を等しい、3m−1次高調波成分と3m+1次高調波成分の振幅、及び位相を等しい場合でも同様なので、一般に

0079

0080

であり、m・n−1次高調波成分とm・n+1次高調波成分の振幅、及び位相が等しい(Am・n−1=Am・n+1、φm・n−1=φm・n+1)条件を満たせば、基本波成分だけの逆正接値と一致することを意味する。

0081

このように、本実施例1では、センサユニット10が出力する2つの信号(x信号、y信号)は、それぞれ基本波成分の整数倍の周波数を持つ高調波成分(第1の高調波成分(m・n−1次高調波)および第2の高調波成分(m・n+1次高調波))を含んでいる。ここでいうところの高調波成分は、例えば奇数次高調波成分であり、主に3次高調波成分や5次高調波成分であるが、7次以上の高調波成分であってもよい。

0082

そこで、本実施例1では、第1の高調波成分(m・n−1次高調波)の振幅(第1の振幅)と第2の高調波成分(m・n+1次高調波)の振幅(第2の振幅)の差は、該第1の振幅と第2の振幅とが等しいとみなせる第1の所定の範囲に設定し、かつ、第1の高調波成分(m・n−1次高調波)の位相(第1の位相)と第2の高調波成分(m・n+1次高調波)の位相(第2の位相)の差は、該第1の位相と第2の位相とが等しいとみなせる第2の所定の範囲に設定している。すなわち、m・n−1次高調波とm・n+1次高調波の振幅および位相を略等しく(望ましくは、上記条件を満たすよう等しく)している。ここで、例えば、第1の所定の範囲は、第2の高調波成分(m・n+1次高調波)の最大振幅の−0.1倍以上0.1倍以下の範囲であり、第2の所定の範囲は、−10度以上10度以下の範囲の位相差である。より好ましくは、第1の所定の範囲は、第2の高調波成分(m・n+1次高調波)の最大振幅の−0.05倍以上0.05倍以下の範囲であり、第2の所定の範囲は、−5度以上5度以下の範囲の位相差である。この範囲に設定することにより、逆正接演算による内挿処理に内挿誤差を生じさせない高精度なエンコーダユニットとすることができる。逆を言えば、上記差がこの範囲を超えた場合、内挿誤差が生じやすくなるという問題が発生する。この条件(範囲)は、センサユニット10とスケール20の間隔を調整することにより達成されてもよい。

0083

これにより、基本波成分の位相(第3の位相)が第1の高調波成分(m・n−1次高調波)の位相(第1の位相)および第2の高調波成分(m・n+1次高調波)の位相(第2の位相)と異なっている場合であっても、誤差を低減することができ、検出精度の高い位置検出装置とすることができる。

0084

また、以上から、2つのアナログ信号は、90度位相のずれたもの(m=4)だけではなく、3相モータの電流位相など120度位相のずれたもの(m=3)、5相モータの電流位相など72度位相のずれたもの(m=5)などについても適用できることがわかる。すなわち、m・n−1次高調波成分とm・n+1次高調波成分の高調波対の振幅、及び位相が等しくすればよい。これにより、逆正接演算による内挿処理に内挿誤差を生じさせない高精度なエンコーダユニットを提供することができる。なお、本実施例および以下の実施例において、同一、等しい、一致等の記載は、略同一、略等しい、略一致を含む概念である。ここで、「略(実質的に)」とは、許容範囲内での誤差を含む概念である。

0085

これらの高調波成分を含むアナログ信号を生成するエンコーダであれば、誤差がゼロであり、LUTや演算による補正が必要なくなり、コストアップせずに内挿誤差を小さく抑えることが可能となる。

0086

実施例1では、90度位相差のある2つのアナログ信号の場合には、4n−1次高調波成分と4n+1次高調波成分の振幅と位相を等しくすることにより、逆正接による演算による内挿処理時に発生する内挿誤差をゼロに抑えることができた。実施例2では、4n−1次高調波成分と4n+1次高調波成分の振幅と位相を等しくできない場合の対応法について提示する。例えば、図9(a)は、あるセンサユニット10とスケール20を所定の格子間隔に設置した時の、奇数次(1次、3次、5次、7次、9次)の振幅と位相を周波数解析したものである。振幅は、1次(基本波)を1.0にした時の各高調波成分の振幅比を横軸に示している。位相のグラフは、薄線が通常FFTで計算される位相であり、濃線は、1次の位相をゼロと置いた時の各高調波成分の位相を値を示している。

0087

具体例を以下に示す。簡単のため、以下の説明では、1次、3次、5次のみで構成されているものとして説明する。通常、ある一周期分の信号をFFTしたFFT_Aは以下の(式20)のように表せる。

0088

0089

この基本波(一次)成分の位相をゼロと置いた式FFT_A’は以下の(式21)のように表せる。

0090

0091

薄線の位相は(式20)での位相、濃線の位相は(式21)での位相である。

0092

ここで、(式21)において、3次高調波成分と5次高調波成分の振幅(A3とA5)、及び位相(3(φ3−φ1)と5(φ5−φ1))の両方が一致していない場合、一方の3次高調波成分の振幅、及び位相の両方が等しくなるように、データを加算するという方法をとる。

0093

その後、加算された2つの信号を用いて、逆正接演算を行なうことにより、誤差をゼロに抑えることができるというものである。

0094

図6には、本発明の実施例2である光学式エンコーダの構成を示す。実施例1と同様な構成のものは、同一番号を付し説明は省略する。

0095

信号処理回路40内には、実施例2の特徴である補正処理部50を設置する。補正処理部50内を説明する。内挿演算部43から得られる基本波成分に対する角度(位相)情報を角度推定部57により角度を推定する。ここでは、内挿演算部43から得られる1サンプル前の詳細な角度情報から現在サンプリング時点での粗い角度情報である推定角度θ^(θハット)を、x信号補正波形算出部51及び、y信号補正波形算出部54に基本波成分に対する位相情報を渡す。最終的には、内挿演算部43により現在サンプリング時点の詳細な角度情報を演算することになるのであるが、x信号補正値、及びy信号補正値を生成する際には、粗い角度情報である推定角度θ^(θハット)を使用して問題になることは無い。この推定角度θ^(θハット)を用いて、x信号補正算出部52、及びy信号補正算出部55より補正値を生成し、x信号加算器53、y信号加算器56で補正値を加算することにより、新たなx’信号、y’信号を生成する。新たなx’信号、y’信号は、実施例1で説明した2つの高調波対の振幅と位相が等しい関係を常に保つように動作するように設計されているので、内挿演算部43での逆正接演算による内挿分割処理の誤差は小さく抑えられる。このように、補正処理部50は、2つの信号(x信号およびy信号)を補正する補正手段として機能し、センサユニット10から取得した信号(x信号およびy信号)をx’信号およびy’信号に補正する。

0096

図7のフローチャートを用いて、x信号の補正値の算出アルゴリズムについて詳細に説明する。y信号の補正値算出も同時に処理されるが、同等であるのでここでは説明を省略する。また、このフローチャートでは、3次高調波成分と5次高調波成分の高調波対の補正について説明するが、7次高調波成分と9次高調波成分の高調波対、11次高調波成分と13次高調波成分の高調波対・・・の補正についても同様であるので説明は省略する。

0097

S101は、処理の開始であり、S102で、x信号の基本波成分である1次と高調波成分である3次、及び5次の高調波の振幅と位相情報を取得する。センサユニット10とスケール20の設置距離であるところの格子間隔の設定により、基本波成分である1次と高調波成分である3次、及び5次の高調波の振幅と位相関係は設計によりある程度定められているので、その値を用いても良い。S103は、高調波対の3次、及び5次の高調波の振幅、及び位相が同時に等しいかを判断する分岐であり、yesの場合には補正を加算する必要が無いので、S108の前まで分岐する。noの場合には、S104以降に進み、補正値を生成する。S104で、3次の加算する正弦波の振幅、及び位相を算出する。なお、加算する正弦波の算出方法については後述する。

0098

S105で、前回の角度とサンプリングタイミングから現在の角度θ^(θハット)を推定する。この角度は、前回のθn−1と前々回のθn−2とサンプリング時間(ts)から、以下のように線形補間により簡単に推定できる。
θ^=ts(θn−1—θn−2)+θn−1
S106では、推定角度θ^(θハット)を用いて補正値を算出し、S107により補正値を加算する。これは、図6加算器で加えるところに相当する。

0099

S108は、内挿処理の終了の分岐であり、不図示のコントローラ等から処理の終了の指示があればS109の終了に進み、そうでなければ、S105に戻り、この処理を続ける。

0100

以下に、S104における3次の加算する正弦波の算出方法について説明する。

0101

図8は、周期の等しい2つの正弦波の加算により、周期の等しい任意の振幅、任意の位相を有する正弦波を生成可能であることを説明する図として用意した。

0102

例えば、細線Aの正弦波から、太線Bの正弦波を作りたい場合には、点線Cを細線Aに加算すれば良い。つまり、

0103

0104

を考える。

0105

このとき、加算すべき正弦波は、(式22)を変形して、

0106

0107

となる。

0108

ただし、D、Eは

0109

0110

である。

0111

この変換式を用いることで、容易に3次高調波成分に加算すべき正弦波を算出することができる。

0112

このようにして、図9(b)に示すように、3次高調波成分の振幅と位相を5次高調波成分の振幅と位相に等しくなるようにした時の内挿誤差を図10(b)に示す。従来のままの内挿誤差である図10(a)と較べて、4次成分の誤差が大幅に抑えられていることがわかる。同様に、図9(c)に示すように、3次高調波成分の振幅と位相を5次高調波成分の振幅と位相に等しくするのに加えて、7次高調波成分の振幅と位相を9次高調波成分の振幅と位相に等しくした時の内挿誤差を図10(c)に示す。図10(b)に較べて、8次成分の誤差が大幅に抑えられていることがわかる。

0113

このように、本実施例2では、センサユニット10が出力する2つの信号(x信号、y信号)は、それぞれ基本波成分の整数倍の周波数を持つ高調波成分(第1の高調波成分(m・n−1次高調波)および第2の高調波成分(m・n+1次高調波))を含んでいる。

0114

そこで、本実施例2では、補正処理部50は、第1の高調波成分(m・n−1次高調波)の振幅(第1の振幅)と第2の高調波成分(m・n+1次高調波)の振幅(第2の振幅)の差と、第1の高調波成分(m・n−1次高調波)の位相(第1の位相)と第2の高調波成分(m・n+1次高調波)の位相(第2の位相)の差が、小さくなるように2つの信号(x信号およびy信号)を補正する。すなわち、第1の高調波成分(m・n−1次高調波)と第2の高調波成分(m・n+1次高調波)の振幅と位相を等しくできない場合に、一方の成分の振幅と位相を他方の成分の振幅と位相に合わせるように補正することで、内挿誤差を小さく抑えることができる。ここで、補正処理部50は、基本波成分の位相(第3の位相)が第1の高調波成分(m・n−1次高調波)の位相(第1の位相)と第2の高調波成分(m・n+1次高調波)の位相(第2の位相)と異なっている場合でも、内挿誤差を低減することができ、検出精度の高い位置検出装置とすることができる。

0115

本実施例で詳しく説明したように、高調波対の振幅と位相が等しくない場合においても、実施例1と同様な効果を得ることができる。このような構成により、内挿誤差は理想的にはゼロになり、LUTや演算による補正が必要なくなり、コストアップせずに内挿誤差を小さく抑えることが可能となる。

0116

実施例2では、4n−1次高調波成分と4n+1次高調波成分の振幅と位相を等しくできない場合に、一方の成分の振幅と位相を他方の成分の振幅と位相に合わせることで、内挿誤差を小さく抑えた。実施例3では、例えば、図12(a)のように、エンコーダのスケールと検出器の平行度が保たれて設置されていない場合を想定する。図12(a)によると、x方向にセンサユニット10が移動可能とし、左端では格子間隔が近く、中盤、右端に移動するに従って、格子間隔が遠くなるように設置された場合である。ここで、図12(b)は、横軸に格子間隔を、縦軸に、3次、5次、7次、9次の高調波成分の振幅比をとったものである。このグラフによると、格子間隔のギャップ長によって、高調波成分の振幅の比率(振幅比)が変動することがわかる。図13は、x方向にセンサユニット10が移動したときのx信号の周波数解析を行なったものである。図13(a)は左端、(b)は中盤、(c)は右端の位置での1次から13次までの振幅比と位相を示している。これによると、奇数次の高調波成分が大きく、特に、5次、3次の高調波成分が大きいことがわかる。更に、左端、中盤、右端で、3次高調波成分と5次高調波成分の振幅比が変動しているのがわかる(ここでの位相は、図9と同様に、FFTで得られた位相を1次基本波をゼロとした時の各高調波の位相である黒線のみを示している)。

0117

実施例3では、このように、センサユニット10の位置が、左端、中盤、右端と移動するに従い、例えば、3次と5次の高調波対のそれぞれの振幅、位相が変動することを想定する。実施例3では、例えば、位置による領域を3つの領域(領域A,領域B,領域C)に分け、それぞれの領域ごとに、実施例2で行なった補正を行なうというものである。

0118

図11には、本発明の実施例3である光学式エンコーダの構成を示す。実施例1、実施例2と同様な構成のものは、同一番号を付し説明は省略する。

0119

信号処理回路40内には、実施例3の特徴である補正処理部50を設置する。補正処理部50内を説明する。補正領域算定部58は、カウンタ44のカウント値により領域A,領域B,領域Cを算定するところである。補正領域算定部58により、領域を算定されると、例えば、領域A,領域B,領域Cに応じたx信号補正波形算出部51、y信号補正波形算出部54により補正信号波形を選択し、適切な補正信号が得られる。各領域に応じたx信号が加算器53で加算され、新たなx’信号を生成する。同様に、各領域に応じたy信号が加算器56で加算され、新たなy’信号を生成する。新たなx’信号、y’信号は、実施例1で説明した2つの高調波対の振幅と位相が等しい関係を常に保つように動作するように設計されているので、内挿演算部43での逆正接演算による内挿分割処理の誤差は小さく抑えられる。

0120

図14のフローチャートを用いて、x信号の補正値の算出アルゴリズムについて詳細に説明する。y信号の補正値算出も同時に処理されるが、同等であるのでここでは説明を省略する。また、このフローチャートでは、3次高調波成分と5次高調波成分の高調波対の補正について説明するが、7次高調波成分と9次高調波成分の高調波対、11次高調波成分と13次高調波成分の高調波対・・・の補正についても同様であるので説明は省略する。

0121

S121は処理の開始。S122はセンサの位置をカウンタ44から取得する処理である。S123は、領域を選定する処理であり、センサユニット10の位置を領域A,領域B,領域Cに選定する。S124は、領域Aであるかを判断する分岐で領域Aであれば、S125に進み、Noであれば、S126に進む。S126は、領域Bであるかを判断する分岐で領域Bであれば、S127に進み、Noであれば、領域Cであるので、S128に進む。S125は,領域Aの補正波形を算出し、S126は,領域Bの補正波形を算出し、S127は,領域Cの補正波形を算出する。S129からS132は、実施例2における図7のフローチャートS104からS109に対応して同様なので説明は省略する。

0122

このようにして、あらかじめ取得しておいた領域ごとの高調波対の振幅、位相から補正波形を算出し、現在角度に応じた補正値を算出することが可能となる。

0123

本実施例3を適用することにより、領域ごとに高調波対の補正値を適正に算出し補正した時の左端、中盤、右端の周波数解析を図15(a)、(b)、(c)示す。図15において、ここでの位相も、図9図13と同様に、FFTで得られた位相を1次基本波をゼロとした時の各高調波の位相を次数正規化した黒線のみを示している。

0124

このように、本実施例3では、補正処理部50は、物体(可動部)の変位に応じて(すなわち、スケール20とセンサユニット10とが相対移動した際に)スケール20とセンサユニット10との間隔が変化する場合に、該間隔の変化に基づいて2つの信号を補正する。ここで、補正処理部50は、物体がどの位置(領域)にいるのかを判定する補正領域算定部58(判定手段)を有し、該判定手段により判定された物体の位置(領域)に応じて(すなわち、格子間隔に応じて)2つの信号を補正する。

0125

本実施例3で詳しく説明したように、高調波対の振幅と位相がセンサユニット10の位置により変動する場合においても、補正波形を適切に選択により、高調波対の振幅と位相を等しくすることが可能である。これにより、実施例1、実施例2と同様な効果を得ることができる。このような構成により、内挿誤差は理想的にはゼロになり、LUTや演算による補正が必要なくなり、コストアップせずに内挿誤差を小さく抑えることが可能となる。

0126

実施例3では、センサユニット10の位置が、左端、中盤、右端と移動するに従い、例えば、3次と5次の高調波対のそれぞれの振幅、位相が変動することを想定した。対応方法として、あらかじめ取得しておいた領域ごとの高調波対の振幅、位相情報を元に領域を判断しながら、補正値を変えるというものであった。

0127

本実施例では、領域ごとの高調波対の振幅、位相情報をあらかじめ準備しておく必要がなく、格子間隔が直線的な変動ではない場合にも対応可能な方法を提示する。

0128

実施例4では、リアルタイムにFFT(Fast Fourier Transform)又は、DFT(Discrete Fourier Transform)の演算を行い、高調波対のそれぞれの振幅、及び位相を算出し、補正値を算出するというものである。

0129

図16には、本発明の実施例4である光学式エンコーダの構成を示す。実施例1、実施例2、実施例3と同様な構成のものは、同一番号を付し説明は省略する。

0130

信号処理回路40内には、実施例4の特徴である補正処理部50を設置する。補正処理部50内を説明する。x信号FFT解析部61は、x信号の基本波1周期分の信号を用いて、周波数解析を行なうところである。同様に、y信号FFT解析部62は、y信号の基本波1周期分の信号を用いて、周波数解析を行なうところである。リアルタイムで周波数解析を行なうことにより、実施例3で示した補正領域算定部の置き換えが可能となる。x信号FFT解析部61、y信号FFT解析部62より得られた高調波対の振幅、位相を用いて、実施例2、実施例3と同様に、補正値を算出して新たなx’信号、y’信号を生成することが可能となる。新たなx’信号、y’信号は、実施例1で説明した2つの高調波対の振幅と位相が等しい関係を常に保つように動作するように設計されているので、内挿演算部43での逆正接演算による内挿分割処理の誤差は小さく抑えられる。

0131

図17は、実施例4のフローチャートである。図17では、x信号から補正値の算出アルゴリズムを説明する。y信号も同様であるので、説明を省略する。

0132

図17においてS141は処理の開始であり、S142でx信号を取得する。S143は基本波1周期分であるかを判断する分岐であり、Noであったら、S142に進みx信号を取得し続ける。Yesであったら、x信号が1周期分取得し終えたので、S144に進んで、DFT又はFFTにより1次、3次、5次の周波数解析を行なう(周波数解析については、後述する)。S145からS150は、実施例2における図7のフローチャートS104からS109に対応して同様なので説明は省略する。

0133

図18において、リアルタイムにDFTまたはFFTを行なう方法について説明する。通常、FFTでは、データの個数を2^N個に制限することにより、Coolkey−Turky型FFTアルゴリズムなどを用いて高速に演算を行なう。しかしながら、本実施例では、全ての周波数を解析する必要は無い。少なくとも、内挿誤差に関わる奇数次(1次、3次、5次、7次、9次、・・・)であり、13次程度まで行なえば充分である。よって、FFTを用いても良いが、データ数を2^Nに補間しなおす手間を考慮すると、1次から13次を直接法であるDFTを用いても良い。

0134

図18では、1次、3次、5次の周波数をDFTにより直接算出する方法を示している。データ数を2のべき乗(256個)としているが、それにこだわらず偶数個であれば問題ない。図18(a)は、計算方法を説明する図である。例えば、基本波の1周期が256個であった場合、x_Dataに256個のデータを埋める。Real Partは実数部を計算するところであり、Imaginary Partは虚数部を計算するところである。Real PartとImaginary Partの1次、3次、5次の各係数は、図18(b)に示した各Nに対応したデータをあらかじめ計算しておく。例えば、N=1の計算は、図18(a)に示すように、X_Dataとk_x3(2)を乗じた値をR3(1)として値を埋める。同様に、X_Dataとk_y3(2)を乗じた値をI3(1)として値を埋める。X_Dataの256個全部について、乗算結果が埋まったところで、1次、3次、5次ごとにReal Part、及びImaginary Partの総和をとると、太枠部分の、S_R1,S_R3,S_R5,及び、S_I1,S_I3,S_I5が計算できる(いわゆる畳み込み積分の演算)。これが、1次、3次、5次の実数部、虚数部の値である。この値を用いて、図18(c)の計算により、1次、3次、5次の振幅、位相が計算できる。図17のフローチャートではしめさなかったが、x_Dataが入力されるたびに、乗算値を計算して前の乗算値との和をとっておいても良い。そのように計算しておけば、256個データがたまった時点で、直ちに、総和を計算でき、振幅と位相が直ちに計算でき、リアルタイムに算出が可能である。

0135

このようにして得られた、1次、3次、5次の高調波成分の振幅と位相から、3次と5次の高調波対の場合には、3次の高調波成分の振幅と位相を5次の高調波成分の振幅と位相に等しくなる正弦波を得るための補正値を算出する。

0136

このように、本実施例4では、補正処理部50は、周波数解析を行うことにより基本波成分の整数倍の周波数を持つ高調波成分の振幅および位相を算出するx信号FFT解析部61およびy信号FFT解析部62(算出手段)を有し、該算出手段が算出する振幅および位相に基づいて、2つの信号を補正する。

0137

本実施例で詳しく説明したように、高調波対の振幅と位相が刻々と変動する場合においても、FFT(またはDFT)により、補正値により、高調波対の振幅と位相を等しくすることが可能である。これにより、実施例1と同様な効果を得ることができる。このような構成により、内挿誤差は理想的にはゼロになり、LUTや演算による補正が必要なくなり、コストアップせずに内挿誤差を小さく抑えることが可能となる。

0138

本発明によれば、360/m度位相のずれた2つのアナログ信号に基本波成分の他に高調波成分を含む場合において、m・n−1次成分の高調波とm・n+1次成分の高調波の高調波対のそれぞれの振幅、及び位相が等しい時に、逆正接による角度θの演算に誤差が無くなることを示した。よって、この条件でアナログ信号を生成すれば、LUTによる補正、複雑な計算による補正をする必要が無くすことが可能となる。

0139

また、m・n−1次成分の高調波とm・n+1次成分の高調波の高調波対のそれぞれの振幅、及び位相が等しくできない場合においても、一方の高調波成分の振幅、及び位相を他方の高調波成分の振幅、及び位相に等しくなるように信号を加算し、その後、逆正接による角度θの演算を行うことで、誤差が無くなることを示した。これにより、高調波対の一方だけの高調波成分を加算するだけで済み、高精度に検出可能な装置を実現することができる。

0140

さらに、スケールと検出器の平行性が担保できない設置状況においても、リアルタイムに補正が可能になり、高精度に検出可能な装置を実現することができる。

実施例

0141

以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。

0142

本発明の位置検出装置は、例えば、高精度に検出する必要性のある、カメラレンズの位置の検出や、モータの回転角度(位置)を検出する際に好適に利用できる。

0143

10センサユニット
20スケール
41 x信号取得部
42 y信号取得部
43内挿演算部
44カウンタ
45位置演算部
51 x信号補正波形算出部
52 x信号補正量算出部
53 x信号加算
54 y信号補正波形算出部
55 y信号補正量算出部
56 y信号加算部
57角度推定部
58補正領域算定部
61 x信号FFT解析部
62 y信号FFT解析部

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