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技術 試料表面形状と物理特性の測定方法、及び走査型プローブ顕微鏡

出願人 株式会社島津製作所国立大学法人名古屋大学
発明者 大田昌弘阿久根智伊藤貴司野々村修一
出願日 2016年2月9日 (5年3ヶ月経過) 出願番号 2016-022920
公開日 2017年8月17日 (3年9ヶ月経過) 公開番号 2017-142129
状態 特許登録済
技術分野 走査型プローブ顕微鏡 器械の細部
主要キーワード 電圧可変電源 測定位置毎 位置解像度 測定対象範囲 DCモード カンチレバ 起電力特性 方向アクチュエータ
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (8)

課題

試料表面の形状とそれに対応する物理特性分布の測定を、高解像度且つ短時間で行うことができる方法を提供する。

解決手段

試料表面を探針走査する間に該試料表面の複数の測定点において、該探針と該試料表面の相互作用に基づいて得られる該試料表面の形状の測定と、該複数の測定点においてそれぞれ入力する所定の物理量の値と該入力に対応して出力される別の所定の物理量の値の関係を示す物理特性の分布の測定を行う方法であって、前記入力の値を固定した状態で、前記複数の測定点において前記表面形状の測定と前記出力の値を測定する1組の測定操作を行い(ステップS−2〜S−7)、前記1組の測定操作を、異なる複数の入力の値についてそれぞれ行い(ステップS−9によりステップS−2の電圧Vnの値を変更)、前記複数の測定点の各々について、前記複数の入力の値と各入力に対応する出力の値から前記物理特性を求める(ステップS−10)。

概要

背景

SPMは一般に、試料表面を探針走査する間に試料表面と探針の間に生じる原子間力等の相互作用を測定することにより、試料表面の形状のデータ(顕微鏡画像のデータ)を得るものである。近年、SPMを用いて、形状と共に表面の位置毎に局所的な物理特性を測定することが試みられている。

例えば、太陽電池では、光電変換を担う半導体材料に局所的な電流−電圧特性の異常があれば、全体として光電変換効率が低下する原因となるため、作製された太陽電池の評価を行う際に、電流−電圧特性の分布の測定が行われる。具体的には、探針を試料表面に接触又は近接させ、探針と対向電極(例えば試料が載置された試料台)の間に電圧印加することにより流れる電流の大きさを検出し、この電圧の値を変化させることにより、探針が接触又は近接した位置における試料の局所的な電流−電圧特性を測定する。そして、試料表面を探針で走査しつつこの操作を繰り返し行うことにより、試料表面の所定の範囲内における電流−電圧特性の分布を得ることができる。電流−電圧特性の他にも、例えば、表面の位置毎に、太陽電池に照射する光の強度を変化させつつ起電力を測定することにより、光の強度と起電力の関係を示す特性の分布を得ることができる。これらの物理特性の測定ではいずれも、測定対象範囲の各点において、電圧や光の強度といった入力の値の変化による、電流や起電力といった出力の値の変化を測定する。

特許文献1には、試料表面の形状及び電気特性の分布を測定する、SPMの一種である原子間力顕微鏡(Atomic Force Microscope:AFM)が記載されている。このAFMでは、試料表面で探針を移動させる間に、試料表面の形状の測定と電流−電圧特性の測定を交互に繰り返し行う。試料表面の形状の測定の際には、先端に探針が設けられたカンチレバーを振動させながら試料に非接触で測定を行い、電流−電圧特性の測定の際には、探針を試料表面に接触させた状態で探針と試料台の間に電圧を印加し、この電圧の値を変化させながら電流を測定する。当該文献によれば、10分程度の短時間で、16,000以上の測定点における表面形状のデータ及び電流−電圧特性のデータを得ることができる。

概要

試料表面の形状とそれに対応する物理特性の分布の測定を、高解像度且つ短時間で行うことができる方法を提供する。試料表面を探針で走査する間に該試料表面の複数の測定点において、該探針と該試料表面の相互作用に基づいて得られる該試料表面の形状の測定と、該複数の測定点においてそれぞれ入力する所定の物理量の値と該入力に対応して出力される別の所定の物理量の値の関係を示す物理特性の分布の測定を行う方法であって、前記入力の値を固定した状態で、前記複数の測定点において前記表面形状の測定と前記出力の値を測定する1組の測定操作を行い(ステップS−2〜S−7)、前記1組の測定操作を、異なる複数の入力の値についてそれぞれ行い(ステップS−9によりステップS−2の電圧Vnの値を変更)、前記複数の測定点の各々について、前記複数の入力の値と各入力に対応する出力の値から前記物理特性を求める(ステップS−10)。

目的

本発明が解決しようとする課題は、試料表面の形状とそれに対応する物理特性の分布の測定を、高解像度且つ短時間で行うことができる方法及び装置(SPM)を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
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請求項1

試料表面を探針走査する間に該試料表面の複数の測定点において、該探針と該試料表面の相互作用に基づいて得られる該試料表面の形状の測定と、該複数の測定点においてそれぞれ入力する所定の物理量の値と該入力に対応して出力される別の所定の物理量の値の関係を示す物理特性分布の測定を行う方法であって、前記入力の値を固定した状態で、前記複数の測定点において前記表面形状の測定と前記出力の値を測定する1組の測定操作を行い、前記1組の測定操作を、異なる複数の入力の値についてそれぞれ行い、前記複数の測定点の各々について、前記複数の入力の値と各入力に対応する出力の値から前記物理特性を求めることを特徴とする、試料表面形状及び物理特性の測定方法

請求項2

前記入力値が、前記探針と、試料を挟んで該探針の反対側に設けられる対向電極の間に印加される電圧の値であり、前記出力値が、該電圧の印加により該探針と該対向電極の間に生じる電流の値であることを特徴とする請求項1に記載の試料表面形状及び物理特性の測定方法。

請求項3

前記入力値が、試料に照射される光の強度の値であり、前記出力値が、該光の照射により生じる光電流起電力又は表面電位の値であることを特徴とする請求項1に記載の試料表面形状及び物理特性の測定方法。

請求項4

試料表面を探針で走査する間に該試料表面の複数の測定点において、該探針と該試料表面の相互作用に基づいて得られる該試料表面の形状の測定と、該複数の測定点においてそれぞれ入力する所定の物理量の値と該入力に対応して出力される別の所定の物理量の値の関係を示す物理特性の分布の測定を行う装置であって、前記探針と前記試料表面の間に生じる相互作用に基づいて表面形状を測定する表面形状測定部と、前記測定点に所定の物理量を入力する物理量入力部と、前記物理量の入力に対応して出力される値を測定する物理量出力測定部と、前記物理量入力部による入力の値を固定した状態で、前記複数の測定点において、前記表面形状測定部が前記表面形状を測定すると共に前記物理量出力測定部が該複数の測定点においてそれぞれ前記出力の値を測定する1組の測定操作を行い、前記物理量入力部により前記入力の値を変化させることにより該1組の測定操作を異なる複数の入力の値についてそれぞれ行うように前記各部を制御する制御部とを備えることを特徴とする走査型プローブ顕微鏡

請求項5

前記複数の測定点の各々について、前記複数の入力の値と各入力に対応する出力の値から前記物理特性を求めるデータ処理を行うデータ処理部を備えることを特徴とする請求項4に記載の走査型プローブ顕微鏡。

技術分野

0001

本発明は、試料表面の形状の測定と、該表面の位置毎の電流−電圧特性光照射による起電力特性等の物理特性分布の測定を行う方法、及び該方法に用いる走査型プローブ顕微鏡(Scanning Probe Microscope: SPM)に関する。

背景技術

0002

SPMは一般に、試料表面を探針走査する間に試料表面と探針の間に生じる原子間力等の相互作用を測定することにより、試料表面の形状のデータ(顕微鏡画像のデータ)を得るものである。近年、SPMを用いて、形状と共に表面の位置毎に局所的な物理特性を測定することが試みられている。

0003

例えば、太陽電池では、光電変換を担う半導体材料に局所的な電流−電圧特性の異常があれば、全体として光電変換効率が低下する原因となるため、作製された太陽電池の評価を行う際に、電流−電圧特性の分布の測定が行われる。具体的には、探針を試料表面に接触又は近接させ、探針と対向電極(例えば試料が載置された試料台)の間に電圧印加することにより流れる電流の大きさを検出し、この電圧の値を変化させることにより、探針が接触又は近接した位置における試料の局所的な電流−電圧特性を測定する。そして、試料表面を探針で走査しつつこの操作を繰り返し行うことにより、試料表面の所定の範囲内における電流−電圧特性の分布を得ることができる。電流−電圧特性の他にも、例えば、表面の位置毎に、太陽電池に照射する光の強度を変化させつつ起電力を測定することにより、光の強度と起電力の関係を示す特性の分布を得ることができる。これらの物理特性の測定ではいずれも、測定対象範囲の各点において、電圧や光の強度といった入力の値の変化による、電流や起電力といった出力の値の変化を測定する。

0004

特許文献1には、試料表面の形状及び電気特性の分布を測定する、SPMの一種である原子間力顕微鏡(Atomic Force Microscope:AFM)が記載されている。このAFMでは、試料表面で探針を移動させる間に、試料表面の形状の測定と電流−電圧特性の測定を交互に繰り返し行う。試料表面の形状の測定の際には、先端に探針が設けられたカンチレバーを振動させながら試料に非接触で測定を行い、電流−電圧特性の測定の際には、探針を試料表面に接触させた状態で探針と試料台の間に電圧を印加し、この電圧の値を変化させながら電流を測定する。当該文献によれば、10分程度の短時間で、16,000以上の測定点における表面形状のデータ及び電流−電圧特性のデータを得ることができる。

先行技術

0005

特開2004-085321号公報

発明が解決しようとする課題

0006

特許文献1に記載の装置では、各測定点における表面形状のデータは一瞬で得ることができるのに対して、電流−電圧特性の測定は電圧の値を変化させるためにある程度の時間を要する。そのため、1つの測定点で電流−電圧特性を測定している間、すなわち電圧を変化させている間に、探針が移動してしまう。このため、測定される電流−電圧特性分布の位置解像度が低いという問題がある。例えば、微結晶シリコン半導体では、微結晶粒径(数nm〜数十nm)が1つの測定点における探針の移動距離と同程度であり、電流−電圧特性が粒内と粒界とで大きく異なるため、各測定点における電流−電圧特性の値が大きくばらつく

0007

一方、探針を1つの測定点で停止させて該測定点における試料表面の形状及び電流−電圧特性を測定した後、探針を次の測定点に移動させて同様の測定を行う、という動作を繰り返せば、測定点毎の正確な電流−電圧特性を測定することができる。しかし、通常使用される移動機構ピエゾ素子)を用いて探針を移動させる場合、探針を1つの測定点で安定して停止させるまでに数十〜数百ミリ秒程度の時間を要する。このため、この方法は特許文献1に記載の装置よりも数倍〜数十倍の測定時間を要する。このように測定に長い時間を掛けると、測定の効率が低下するだけでなく、周辺温度の変化等に起因して測定中に探針と試料との位置関係のずれ(ドリフト)が生じるという問題も生じる。

0008

本発明が解決しようとする課題は、試料表面の形状とそれに対応する物理特性の分布の測定を、高解像度且つ短時間で行うことができる方法及び装置(SPM)を提供することである。

課題を解決するための手段

0009

上記課題を解決するために成された本発明に係る試料表面形状及び物理特性の測定方法は、試料表面を探針で走査する間に該試料表面の複数の測定点において、該探針と該試料表面の相互作用に基づいて得られる該試料表面の形状の測定と、該複数の測定点においてそれぞれ入力する所定の物理量の値と該入力に対応して出力される別の所定の物理量の値の関係を示す物理特性の分布の測定を行う方法であって、
記入力の値を固定した状態で、前記複数の測定点において前記表面形状の測定と前記出力の値を測定する1組の測定操作を行い、
前記1組の測定操作を、異なる複数の入力の値についてそれぞれ行い、
前記複数の測定点の各々について、前記複数の入力の値と各入力に対応する出力の値から前記物理特性を求める
ことを特徴とする。

0010

本発明に係る試料表面形状及び物理特性の測定方法では、1組の測定操作では入力の値を固定するが、異なる複数の入力の値についてそれぞれ測定操作を行うため、各測定点において、表面形状データと共に、入力の値と該入力に対応する出力の値の組み合わせが、測定操作の組の数と同じ複数組得られる。各測定点におけるこれら複数の入力の値と出力の値の組み合わせは、入力の物理量と出力の物理量の値の関係を示す物理特性を示す。

0011

本発明に係る試料表面形状及び物理特性の測定方法によれば、1組の測定操作を行う間は入力の値を固定した状態で測定を行うため、各測定点で探針を停止させる必要がない。従って、探針を停止させるための時間を要しないため、測定時間を短縮することができる。そのため、測定の効率が低下することがないうえに、ドリフトの問題が生じることもない。

0012

また、各測定点では、1組の測定操作では1つの入力の値においてのみ出力の値を測定するため、1つの測定点での探針の移動による問題は生じない。

0013

さらに、本発明に係る試料表面形状及び物理特性の測定方法では、入力の値毎にそれぞれ物理特性と共に表面形状が得られるため、各測定点で位置ずれが生じることなく正確に物理特性が測定されていることの証拠を得ることができる。

0014

なお、表面形状の測定を行う点と物理特性の測定を行う点は1対1に対応している必要はない。例えば、物理特性の測定は、表面形状の測定を行う点の一部のみで行ったり、測定点の一部又は全部が表面形状の測定を行っていない点であってもよい。また、表面形状の測定は、物理特性の測定を行う点の一部のみで行ったり、測定点の一部又は全部が物理特性の測定を行っていない点であってもよい。

0015

入力の値と出力の値の組み合わせには、例えば前記探針と、試料を挟んで該探針の反対側に設けられる対向電極の間に印加される電圧の値(入力の値)とそれにより該探針と該対向電極の間に生じる電流の値(出力の値)を用いることができる。この場合、表面形状の測定には、通常は探針と試料が接触した状態のいわゆるコンタクトモードDCモード)を用いる。但し、探針と試料がわずかに離れていてもその間を電流が流れるため、探針を試料表面に接触させずに表面形状を測定する、いわゆるダイナミックモード(ACモード)を用いてもよい。

0016

あるいは、入力の値と出力の値の組み合わせには、試料に照射される光の強度の値(入力の値)とそれにより生じる光電流、起電力又は表面電位の値(出力の値)を用いることができる。光電流や起電力は、例えば太陽電池の特性の測定の際に対象となり、表面電位は、例えば光触媒の特性の測定の際に対象となる。表面形状の測定には、物理特性の出力が光電流や起電力の場合には通常はコンタクトモードを用い、表面電位の場合には通常はダイナミックモードを用いるが、いずれも他の測定モードを用いてもよい。

0017

前記表面形状の測定には、従来のSPMにおいて行われる原子間力や磁気力等を用いた方法をそのまま用いることができる。

0018

本発明に係る走査型プローブ顕微鏡は、試料表面を探針で走査する間に該試料表面の複数の測定点において、該探針と該試料表面の相互作用に基づいて得られる該試料表面の形状の測定と、該複数の測定点においてそれぞれ入力する所定の物理量の値と該入力に対応して出力される別の所定の物理量の値の関係を示す物理特性の分布の測定を行う装置であって、
前記探針と前記試料表面の間に生じる相互作用に基づいて表面形状を測定する表面形状測定部と、
前記測定点に所定の物理量を入力する物理量入力部と、
前記物理量の入力に対応して出力される値を測定する物理量出力測定部と、
前記物理量入力部による入力の値を固定した状態で、前記複数の測定点において、前記表面形状測定部が前記表面形状を測定すると共に前記物理量出力測定部が該複数の測定点においてそれぞれ前記出力の値を測定する1組の測定操作を行い、前記物理量入力部により前記入力の値を変化させることにより該1組の測定操作を異なる複数の入力の値についてそれぞれ行うように前記各部を制御する制御部と
を備えることを特徴とする。

0019

なお、上記方法において複数の測定点の各々について行われる、前記複数の入力の値と各入力に対応する出力の値から前記特性を求めるデータ処理は、本発明に係る走査型プローブ顕微鏡の外部のデータ処理装置で行ってもよい。あるいは、本発明に係る走査型プローブ顕微鏡が当該データ処理を行うためのデータ処理部を有するようにしてもよい。

発明の効果

0020

本発明により、試料表面の形状とそれに対応する物理特性の分布の測定を、高解像度且つ短時間で行うことができる。

図面の簡単な説明

0021

本発明に係る走査型プローブ顕微鏡の一実施形態を示す概略構成図。
本発明に係る試料表面形状及び物理特性の測定方法の一実施形態を示すフローチャート
本発明に係る試料表面形状及び物理特性の測定方法における物理特性(電流−電圧特性)を取得する方法の概念を示す図及びグラフ
本実施例の試料表面形状及び物理特性の測定方法並びに走査型プローブ顕微鏡を用いて、試料表面形状及び電流の大きさの分布を測定した例を示す図。
本実施例の試料表面形状及び物理特性の測定方法並びに走査型プローブ顕微鏡を用いて、物理特性(電流−電圧特性)の分布を測定した例を示す図。
本実施例の走査型プローブ顕微鏡の変形例を示す概略構成図。
本実施例の走査型プローブ顕微鏡の他の変形例を示す概略構成図。

実施例

0022

図1図7を用いて、本発明に係る試料表面形状及び物理特性の測定方法、並びに走査型プローブ顕微鏡の実施形態を説明する。

0023

図1に、本発明に係る走査型プローブ顕微鏡の一実施形態の概略構成図を示す。この走査型プローブ顕微鏡10は、本発明に係る試料表面形状及び物理特性の測定方法を実施することができる装置である。

0024

走査型プローブ顕微鏡10は、探針11と、可動端121に探針11が設けられたカンチレバー12と、カンチレバー12の固定端122を支持(固定)する支持具13と、可動端121の下側に設けられた、試料Sが載置される試料台14と、可動端121付近レーザ光を照射するレーザ光源15と、可動端121付近で反射されたレーザ光を検出する受光器16が設けられている。試料台14の下には、試料台14を上下方向(Z方向)に移動させるZ方向アクチュエータ141が設けられており、Z方向アクチュエータ141の下には、試料台14及びZ方向アクチュエータ141をZ方向に垂直なX−Y方向に移動させるX−Y方向アクチュエータ142が設けられている。Z方向アクチュエータ141及びX−Y方向アクチュエータ142はいずれもピエゾ素子を有しており、該ピエゾ素子に印加される電圧によってZ方向及びX−Y方向の位置が制御される。受光器16は、カンチレバー12の可動端121付近で反射されたレーザ光の入射位置を検出するものであって、当該入射位置によってカンチレバー12の撓み量が測定される。ここまでに述べた構成要素は、従来の走査型プローブ顕微鏡で用いられている構成要素と同様であるため、上記の点以外の詳細な説明を省略する。また、プローブ顕微鏡10ではカンチレバー12を支持具13に固定して試料台14をアクチュエータで移動させるようにしたが、試料台14を固定してカンチレバー12をアクチュエータで移動させるようにしてもよいし、試料台14とカンチレバー12の双方をアクチュエータで移動させるようにしてもよい。なお、本実施例では、試料台14を固定してカンチレバー12をアクチュエータで移動した。

0025

また、走査型プローブ顕微鏡10は、探針11と試料台14の間に電圧を印加し、該電圧が可変である電圧可変電源17と、探針11と試料台14の間に流れる電流を測定する電流計18を有する。このように探針11と試料台14の間に電流を流すために、探針11、カンチレバー12及び試料台14には導電性の材料から成るものを用いる。電圧可変電源17は前述の物理量入力部に該当し、電流計18は前述の物理量出力測定部に該当する。

0026

さらに、走査型プローブ顕微鏡10は制御部20及び記録部30を有する。制御部20は、変位量検出部21Aと、表面形状データ作成部21Bと、物理量入力指示部22Aと、物理量出力検出部22Bと、試料移動制御部23を有する。変位量検出部21A及び表面形状データ作成部21Bはそれらを合わせて表面形状測定制御部21として機能し、物理量入力指示部22A及び物理量出力検出部22Bはそれらを合わせて物理特性測定制御部22として機能する。制御部20は、CPU(中央演算装置)やメモり等のハードウエアと、演算処理を行うソフトウエアにより具現化されている。記録部30は、後述のように得られる各種データを記録するものであって、ハードディスク等の記録媒体により具現化されている。以下、制御部20内の各部の機能、及び記録部30に記録されるデータについて説明する。

0027

試料移動制御部23は、X−Y方向アクチュエータ142を制御して試料台14をX−Y方向に移動させることにより、試料Sに対する探針11の相対的な位置をX−Y方向に移動させる。具体的には、試料Sの表面のうち正方形又は長方形の領域内において探針の相対的な位置を、Y方向の位置を固定してX方向に一端から他端まで移動した後、Y方向の位置を変更してX方向に前記他端から前記一端まで移動させる、という動作を繰り返す。そして、この動作の繰り返しによりY方向の一端から他端まで達したとき、1回の走査を終了し、探針の相対的な位置を、X方向の前記一端及びY方向の前記一端の位置に戻したうえで、Y方向の一端から他端までの上記動作を行うことで次の走査を行う。この走査は、後述の物理量の入力の値の数だけ繰り返し行われる。

0028

変位量検出部21Aは、試料表面を探針で走査する間、受光器16からの信号を受信して、該信号に基づいてカンチレバーの変位量を検出する。そして、この変位量の検出値に基づいて、試料移動制御部23はこの変位量が一定の値になるように、Z方向アクチュエータ141を制御して試料台14のZ方向の位置を調整する。表面形状データ作成部21Bは、試料移動制御部23による試料台14のZ方向の位置の制御信号に基づいて、試料Sの表面形状を示すデータを作成する。これら表面形状の測定に係る制御は、通常の走査型プローブ顕微鏡においてコンタクトモードで行われている制御と同じである。

0029

物理量入力指示部22Aは、探針11と試料台14の間に印加する電圧を電圧可変電源17に指示する信号を送信するものである。その際、1回の走査の間は該電圧を維持し、次の走査に移る際に該電圧を変更するようにする。物理量出力検出部22Bは、各走査においてそれぞれ、試料Sの表面上における(X−Y方向の)所定の複数の位置において、電流計18が指示する値を検出する。この複数の位置は、いずれの走査においても同じである。なお、前述の表面形状を示すデータは、この複数の位置と同じ位置で作成してもよいし、それとは異なる位置で作成してもよいが、以下では当該複数の位置と同じ位置で作成するものとして説明する。

0030

表面形状データ作成部21Bで作成された表面形状を示すデータ、物理量入力指示部22Aから電圧可変電源17に指示された電圧の値、及び物理量出力検出部22Bで検出された電流のデータは、試料移動制御部23によるX−Y方向アクチュエータ142への制御信号から求められる試料Sの表面上の位置を示すデータと共に、記録部30に記録される。

0031

記録部30に記録されたデータの処理は、走査型プローブ顕微鏡10とは別に設けられたコンピュータで行ってもよいが、本実施形態の走査型プローブ顕微鏡10では、データ処理部40により後述のデータの処理を行う。

0032

次に、図2及び図3を参照しつつ、本実施形態に係る走査型プローブ顕微鏡10を用いて実行される、試料表面形状及び物理特性の測定方法の一実施形態を説明する。ここでは、探針11と試料台14の間に印加する電圧をVn(nは自然数)とし、Vnの値をV1からVn_maxまで(n=1〜n_max。n_max≧1。)変化させて測定を行う。

0033

まず、測定の準備として、通常の走査型プローブ顕微鏡と同様の方法により試料Sを試料台14に取り付け、Z方向アクチュエータ141により探針11を試料Sの表面に接触させるように試料台14をZ方向に移動させる。

0034

次に、nの値を1に設定し(ステップS−1)、物理量入力指示部22Aが電圧可変電源17に指示することにより探針11と試料台14の間に電圧V1を印加する(ステップS−2)。この電圧値を維持した状態で、X−Y方向アクチュエータ142により、試料Sの表面に対する探針11の位置をX−Y方向に移動させる動作を開始する(ステップS−3)。そして、探針11が所定の位置(測定点)にあるときに、変位量検出部21Aによりカンチレバーの変位量を検出すると共に、物理量出力検出部22Bにより電流計18から電流の値を検出する(ステップS−4)。そして、表面形状データ作成部21Bは、カンチレバー12の変位量から当該位置における表面形状のデータを作成する(ステップS−5)。ステップS5で作成された表面形状のデータ、並びに電圧及び電流は、探針11のX−Y方向の位置の値と共に記録部30に記録される(ステップS−6)。

0035

そして、ステップS7において、X−Y方向の1回の走査(1組の測定操作)が終了しているか否かを判定する。1回の走査が終了していなければ、ステップS−4に戻って、次の測定点においてステップS−4〜S−7の動作を行う。一方、1回の走査が終了していれば、ステップS−8に移る。

0036

ステップS−8では、nがn_maxに達しているか、すなわち全ての電圧Vnで測定が完了しているか否かを判定する。nがn_maxに達していなければ、nの値に1を加算し(ステップS−9)、ステップS−2に戻って、次の電圧値でステップS−3〜S−7の動作を行う。一方、nがn_maxに達していれば、ステップS−10に移る。

0037

ステップS−10では、記録部30に記録されたデータに基づいて、データ処理部40がデータ処理を行う。試料表面の形状については、記録部30に記録された表面形状のデータに基づいて画像化し、ディスプレイに表示したり画像を記録部30に保存する等の処理が行われる。これら表面形状のデータの処理は通常の走査型プローブ顕微鏡と同様であるため、詳細な説明は省略する。

0038

一方、電流−電圧特性については、データ処理部40は、試料表面の測定位置毎にそれぞれ、記録部30からn_max個の電圧の値V1〜Vn_maxと各電圧の値に対応する電流の値を取得して電流と電圧の関係を示すグラフを作成する。図3の例では、試料表面のうち位置A及び位置B(ここでは簡単化のため位置を2点のみとしたが、測定位置がこれよりも多い場合も同様である)においてそれぞれ電流と電圧の関係を示すグラフを作成する例を示す。この例では、位置A及び位置Bで別々に、複数の電圧V1, V2, V3, V4, …においてそれぞれ電流を記録部30から取得して、それら電圧と電流の値をグラフ上にプロットしている。このように作成されたグラフは、ディスプレイに表示したり、グラフの表示に必要なパラメータを記録部30に保存する等の処理が行われる。これらの処理を全ての測定点について行うことにより、本実施形態の試料表面形状及び物理特性の測定が完了する。

0039

図4及び図5に、本実施例の試料表面形状及び物理特性の測定方法並びに走査型プローブ顕微鏡10を用いて実験を行った結果を示す。この実験では、p型半導体真性半導体絶縁体)、n型半導体をこの順に積層したpin型アモルファスシリコン薄膜太陽電池測定対象とした。測定では、探針11と試料台14間の電圧は0〜1.0Vの間で0.1V刻みで変化させた。図4に、各電圧での測定で得られた、試料表面の形状像と、電流の大きさの分布を表す電流像を示す。図5には、本実施例の方法により物理特性(電流−電圧特性)を求めた結果のうち、3つの測定点におけるものを示す。図5には併せて、本発明に係る方法以外で測定を行った例として、試料表面形状の測定は行わずに、測定点を固定して電流−電圧特性のみを測定した結果を示す。これらの測定結果から、本実施例の方法によって、試料の表面形状の測定を行いつつ、各測定点における電流−電圧特性を測定することができることが確認できた。

0040

本実施例の試料の表面形状及び物理特性の測定方法並びに走査型プローブ顕微鏡10によれば、1つの電圧の値で測定操作を行う間は、各測定点で探針を停止させる必要がないため、探針を停止させるための時間を要しない。そのため、測定時間を短縮して測定の効率を高くすることができるうえに、ドリフトの問題が生じることがない。また、本実施例では特許文献1に記載の発明とは異なり、電圧を変化させながら探針を移動させることがないため、電流−電圧特性分布の位置解像度が低くなるという問題は生じない。

0041

本発明は上記実施例には限定されない。
例えば、本実施例では試料Sの表面形状の測定をコンタクトモードで行ったが、探針11を試料Sの表面に(電流−電圧特性を測定するために)十分近づけつつ接触はさせずに、ダイナミックモードで行ってもよい。また、TR(Torsional Resonant:ねじれ共振)モードと呼ばれる測定モードは、カンチレバーを試料の表面に平行に振動させながら表面形状の測定を行うことから、探針と試料表面がカンチレバーの振動の影響を受けずに等距離に保たれるため、表面形状と併せて電流や電圧を測定するのに適している。

0042

また、本実施例では物理量入力部として電圧可変電源17を用い、物理量出力測定部として電流計18を用いることにより、物理特性として電流−電圧特性を測定したが、図6に示すように、物理量入力部として試料Sの表面に光を照射して該光の強度を変化させることができる強度可変光源17Aを用い、物理量出力測定部として電流計18を用いた走査型プローブ顕微鏡10Aを構成してもよい。強度可変光源17Aは、図6に示した例では試料Sの上(カンチレバー12)側に設けているが、試料Sの下(試料台14)側に設けてもよい。この走査型プローブ顕微鏡10Aは、太陽電池に光を照射した際に生じる光電流の測定に用いることができる。表面形状の測定には、コンタクトモードを好適に用いることができる。

0043

あるいは、物理量入力部として上記と同様の強度可変光源17Aを用い、物理量出力測定部として電圧計18Aを用いた走査型プローブ顕微鏡10Bを構成してもよい(図7)。この走査型プローブ顕微鏡10Bは、太陽電池の起電力や、光触媒の表面電位の測定に用いることができる。表面形状の測定には、物理量として太陽電池の起電力を測定する場合にはコンタクトモードを好適に用いることができ、物理量として光触媒の表面電位を測定する場合にはダイナミックモードを好適に用いることができる。

0044

10、10A、10B…走査型プローブ顕微鏡
11…探針
12…カンチレバー
121…可動端
122…固定端
13…支持具
14…試料台
141…Z方向アクチュエータ
142…X−Y方向アクチュエータ
15…レーザ光源
16…受光器
17…電圧可変電源
17A…強度可変光源
18…電流計
18A…電圧計
20…制御部
21…表面形状測定制御部
21A…変位量検出部
21B…表面形状データ作成部
22…物理特性測定制御部
22A…物理量入力指示部
22B…物理量出力検出部
23…試料移動制御部
30…記録部
40…データ処理部

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