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技術 溶銑の脱珪方法

出願人 日本製鉄株式会社
発明者 中切孝夫小玉身師松永邦俊
出願日 2016年2月8日 (4年10ヶ月経過) 出願番号 2016-021762
公開日 2017年8月17日 (3年4ヶ月経過) 公開番号 2017-141481
状態 特許登録済
技術分野 銑鉄の精製;鋳鉄の製造;転炉法以外の製鋼
主要キーワード 酸素体 バブリング処理 酸化鉄分 マイクロ波レベル計 溶銑払い出し 気体酸素 ガスバブリング 最大誤差
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2017年8月17日)のものです。
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図面 (5)

課題

高炉から出銑した溶銑を、搬送容器から脱珪処理容器に払い出す際の溶銑流に対して脱珪材を添加する溶銑の脱珪処理において、安価かつ安定的に脱珪材反応効率を向上させる。

解決手段

脱珪材6の添加完了後バブリング処理を実施し、かつ、バブリング処理時のガス吹き込みを容器2内の浴面から500〜1350mmの深さ位置で実施する。

概要

背景

高炉から出銑された溶銑は、炭素を4〜5%含有しており、次工程である製鋼工程において酸素を吹き込むことにより脱炭されて鋼となる。この時、反応容器内に生石灰ドロマイト等の精錬剤(「媒溶材」、「フラックス」などとも称される。)を添加することにより溶銑中りんも除去される。除去されたりん等の元素酸化物として、精錬剤とともにスラグを形成する。なお、本明細書において化学組成または濃度に関する百分率表記「%」は、特に断りがない限り「質量%」を意味する。

このような脱りん反応には、反応を進めるために好ましい範囲のスラグ中CaO/SiO2値(質量%の比率で定義される。以下、この値を「塩基度」と称する)が必要であることが知られる。溶銑中Si濃度が高いと、Siの優先酸化によりSiO2が形成されてスラグ中のSiO2量が多くなり、必然的にCaOを含有する精錬剤の使用量が増加するため精錬コストの上昇につながる。また、精錬剤使用量の増加に伴い、スラグ量が増加してしまうため、スラグ処理コストも同時に上昇する。

このため、一般的に、脱りん・脱炭工程の前に脱珪処理を行う方法が採用されている。この脱珪処理は、溶銑中のSiを酸化することにより行われる。Siを酸化するためには気体酸素が用いられることもあるが、通常は酸化鉄等の固体脱珪材が使用される。固体脱珪材は、高炉から出銑された溶銑樋、溶銑の搬送容器(例えば混銑車)、あるいは脱珪処理容器(例えば取鍋)など様々な段階で添加され、添加方法も、単なる上置、吹込み、溶銑が落下する部分への添加等が適宜選択される。

例えば、高炉における溶銑樋での脱珪では、特許文献1に示されるような、高炉から出銑して溶銑樋を流れる溶銑中にランスを通じて脱珪材を吹き込む方法、また、溶銑の搬送容器での脱珪では、特許文献2に示されるような、混銑車において、転炉で発生するダストを、ランスを介して溶銑中に吹き込む方法が開示されている。

ところで、溶銑の脱珪処理において脱珪材の反応効率を向上させるポイントは、溶銑中に添加した脱珪材が滓化すること、および、滓化した脱珪材が十分に撹拌され効率よく反応することである。

しかし、特許文献1に開示された脱珪方法では、いずれも脱珪材を短時間に多量に投入するため脱珪材の滓化が不十分であったり、撹拌不足等の理由から脱珪材が未反応であるという問題があり、脱珪効率が低いという問題があった。

また、特許文献2に開示された脱珪方法は、脱珪効率は高いが、専用の処理設備および脱珪工程を新たに設ける必要があり、操業能率の低下や新規設備を設置する場合は設備投資が多額になるという問題があった。

一方で、特許文献3,4には、高炉から出銑した溶銑の搬送容器から脱珪処理容器に払い出す際の溶銑流に対して2〜4mmに調整した脱珪材を吹き付けるか、もしくは上方から添加した上で、払出し完了後にバブリングおよびインジェクション脱硫を行うことにより脱珪効率を向上する方法が開示されている。

概要

高炉から出銑した溶銑を、搬送容器から脱珪処理容器に払い出す際の溶銑流に対して脱珪材を添加する溶銑の脱珪処理において、安価かつ安定的に脱珪材反応効率を向上させる。脱珪材6の添加完了後バブリング処理を実施し、かつ、バブリング処理時のガス吹き込みを容器2内の浴面から500〜1350mmの深さ位置で実施する。

目的

ところで、溶銑の脱珪処理において脱珪材の反応効率を向上させるポイントは、溶銑中に添加した脱珪材が滓化すること、および、滓化した脱珪材が十分に撹拌され効率よく反応することである

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

高炉から出銑した溶銑を、搬送容器から脱珪処理容器に払い出す際の溶銑流に対して脱珪材を添加する溶銑の脱珪処理方法において、脱珪材の添加完了後バブリング処理を実施し、かつ、前記バブリング処理時のガス吹き込みを容器内浴面から500〜1350mmの深さ位置で実施することを特徴とする溶銑の脱珪方法

請求項2

前記容器内浴面の位置をマイクロ波レベル計で測定した結果に基づいて、前記バブリング処理に使用するランスのガス吹き込み位置を制御することを特徴とする請求項1に記載された溶銑の脱珪方法。

技術分野

0001

本発明は、溶銑脱珪処理を効率的に行う技術に関する。

背景技術

0002

高炉から出銑された溶銑は、炭素を4〜5%含有しており、次工程である製鋼工程において酸素を吹き込むことにより脱炭されて鋼となる。この時、反応容器内に生石灰ドロマイト等の精錬剤(「媒溶材」、「フラックス」などとも称される。)を添加することにより溶銑中りんも除去される。除去されたりん等の元素酸化物として、精錬剤とともにスラグを形成する。なお、本明細書において化学組成または濃度に関する百分率表記「%」は、特に断りがない限り「質量%」を意味する。

0003

このような脱りん反応には、反応を進めるために好ましい範囲のスラグ中CaO/SiO2値(質量%の比率で定義される。以下、この値を「塩基度」と称する)が必要であることが知られる。溶銑中Si濃度が高いと、Siの優先酸化によりSiO2が形成されてスラグ中のSiO2量が多くなり、必然的にCaOを含有する精錬剤の使用量が増加するため精錬コストの上昇につながる。また、精錬剤使用量の増加に伴い、スラグ量が増加してしまうため、スラグ処理コストも同時に上昇する。

0004

このため、一般的に、脱りん・脱炭工程の前に脱珪処理を行う方法が採用されている。この脱珪処理は、溶銑中のSiを酸化することにより行われる。Siを酸化するためには気体酸素が用いられることもあるが、通常は酸化鉄等の固体脱珪材が使用される。固体脱珪材は、高炉から出銑された溶銑樋、溶銑の搬送容器(例えば混銑車)、あるいは脱珪処理容器(例えば取鍋)など様々な段階で添加され、添加方法も、単なる上置、吹込み、溶銑が落下する部分への添加等が適宜選択される。

0005

例えば、高炉における溶銑樋での脱珪では、特許文献1に示されるような、高炉から出銑して溶銑樋を流れる溶銑中にランスを通じて脱珪材を吹き込む方法、また、溶銑の搬送容器での脱珪では、特許文献2に示されるような、混銑車において、転炉で発生するダストを、ランスを介して溶銑中に吹き込む方法が開示されている。

0006

ところで、溶銑の脱珪処理において脱珪材の反応効率を向上させるポイントは、溶銑中に添加した脱珪材が滓化すること、および、滓化した脱珪材が十分に撹拌され効率よく反応することである。

0007

しかし、特許文献1に開示された脱珪方法では、いずれも脱珪材を短時間に多量に投入するため脱珪材の滓化が不十分であったり、撹拌不足等の理由から脱珪材が未反応であるという問題があり、脱珪効率が低いという問題があった。

0008

また、特許文献2に開示された脱珪方法は、脱珪効率は高いが、専用の処理設備および脱珪工程を新たに設ける必要があり、操業能率の低下や新規設備を設置する場合は設備投資が多額になるという問題があった。

0009

一方で、特許文献3,4には、高炉から出銑した溶銑の搬送容器から脱珪処理容器に払い出す際の溶銑流に対して2〜4mmに調整した脱珪材を吹き付けるか、もしくは上方から添加した上で、払出し完了後にバブリングおよびインジェクション脱硫を行うことにより脱珪効率を向上する方法が開示されている。

先行技術

0010

特公昭61—45681号公報
特開昭63−303006号公報
特開平11−269526号公報
特開平11−269525号公報

発明が解決しようとする課題

0011

しかし、特許文献3,4に開示された脱珪方法は、脱珪材と溶銑との反応を促進させ、払出し速度にマッチした酸素供給を行うことができることから、脱珪効率を向上できるが、容器内浴面からガス吹き込み位置までの距離が長く、表面上の脱珪スラグあるいは未反応脱珪材が溶銑と反応しない等の理由により、脱硫処理中に未反応の脱珪材が存在していた場合、脱硫効率が低下してしまうため、脱硫効率がばらついてしまうという問題があった。

0012

本発明の目的は、このような脱珪処理に際して見られる課題に鑑みてなされたものであり、安価かつ安定的に脱珪材反応効率を向上させることができる溶銑の脱珪方法を提供することである。

課題を解決するための手段

0013

上記の目的を達成するために、本発明に係る溶銑の脱珪方法は、以下の構成を採用する。
(1)高炉から出銑した溶銑を、搬送容器から脱珪処理容器に払い出す際の溶銑流に対して脱珪材を添加する溶銑の脱珪処理方法において、脱珪材の添加完了後バブリング処理を実施し、かつ、前記バブリング処理時のガス吹き込みを容器内浴面から500〜1350mmの深さ位置で実施することを特徴とする溶銑の脱珪方法。
(2)前記容器内浴面の位置をマイクロ波レベル計で測定した結果に基づいて、前記バブリング処理に使用するランスのガス吹き込み位置を制御することを特徴とする1項に記載された溶銑の脱珪方法。

0014

本明細書において「脱珪材反応効率」とは、脱珪材中酸素体積に占める、脱珪に使用された酸素体積の割合を百分率で表示した指標である。

0015

また、浴面の位置とは容器内の溶銑表面またはスラグ表面を示す。

発明の効果

0016

本発明により、高炉から出銑した溶銑を、搬送容器から脱珪処理容器に払い出す際の溶銑流に対して脱珪材を添加する溶銑の脱珪方法において、脱珪材の添加完了後に実施するバブリングのガス吹き込み位置を調整することにより、安価かつ安定的に脱珪材反応効率を向上させることができる。

0017

本発明において、さらに脱珪材反応効率を高めたい場合には、上記に示した本発明の特徴を生かしつつ、容器内浴面の位置をマイクロ波レベル計で測定し、測定された溶銑表面またはスラグ表面の位置に基づいて、バブリングに使用するランスのガス吹き込み位置を決定することにより、脱珪材反応効率のばらつきを低減させることが可能となる。

図面の簡単な説明

0018

図1は、本発明における脱珪処理の実施状況を模式的に示す説明図である。
図2は、本発明における脱珪材添加後に実施するバブリングの状況を模式的に示す説明図である。
図3は、溶銑払い出し中に脱珪材である焼結鉱を添加し、その後、バブリングを実施した場合における、脱珪処理容器内の浴面からガス吹き込み位置までの距離と脱珪材反応効率との関係を示すグラフである。
図4は、浴面位置の推定値、およびマイクロ波レベル計による実測値接触式で測定した実測値からのばらつきを比較したグラフである。

0019

添付図面を参照しながら本発明を説明する。

0020

図1は、本発明における脱珪処理の実施状況を模式的に示す説明図である。

0021

図1に示すように、本発明に係る溶銑の脱珪方法は、高炉から搬送容器1に出銑した溶銑4を、搬送容器1から脱珪処理容器2に払い出す際に、添加装置3から溶銑流5に対して脱珪材6を添加することにより、行う。添加された脱珪材6が溶銑流5に巻き込まれながら溶銑とともに脱珪処理容器2に落下、もしくは溶銑7上に落下することによって溶銑7中で攪拌され、脱珪処理が行われる。

0022

以下に、脱珪材6による溶銑成分酸化反応を説明する。

0023

溶銑払出し温度範囲である1300〜1500℃では、脱珪材6中のFe2O3またはFeOは、溶銑7中Siと反応する。それぞれの反応は式(1)〜(2)で表される。式中の(s)は固体状態であることを示す慣用表記であり、(l)は液体状態であることを示す慣用表記であり、さらに、[X]は、当該元素Xが鉄中成分であることを示す慣用表記である。
2Fe2O3(s) + [Si] = SiO2(l) + 4FeO(l) ・・・・・(1)
2FeO(s) + [Si] = SiO2(l) + 2Fe(l) ・・・・・(2)

0024

脱珪反応は、脱珪処理容器2内で脱珪材6が溶銑6と直接接触すること、もしくは脱珪スラグ中に溶解した状態の酸化鉄分と溶銑6が接触することにより進行する。払い出しの脱珪材6が溶銑7に巻き込まれ、溶銑7と直接接触して反応が進行する場合、溶銑7とよく撹拌された状態で反応が起こる。

0025

しかし、脱珪スラグが生じた後に脱珪材6がその上に落下すると、スラグ中に脱珪材6が溶融するか、もしくはスラグ上に脱珪材6が固体のまま降り積もる状態となる。脱珪スラグ中に脱珪材6が溶解せずにスラグ上に降り積もった場合には、脱珪材6が溶銑中Siと未反応のままとなるので、脱珪材反応効率が大幅に悪化してしまう。溶銑7と脱珪材6が直接接触した場合でも、その接触時間が短く脱珪材6が溶銑7上まで浮上してしまえば、同様に脱珪反応効率は低下する。

0026

また、脱珪スラグ中に脱珪材6が溶解することにより生じるスラグ中のFeOは、溶銑7と反応して式(1)の脱珪反応を進行させるが、その反応は溶銑7上に浮かんでいるスラグと溶銑7の界面近傍でのみ進行するため、溶銑7の表面近傍において局所的に溶銑中Si濃度が低下し、溶銑7の表面近傍での脱珪反応は飽和する一方で、溶銑7の表面から離れた部分では反応が生じないために脱珪材反応効率が低下する。

0027

図2は、本発明における脱珪材添加後に実施するバブリングの状況を模式的に示す説明図である。

0028

脱珪することが望ましい程度の十分なSiが存在する溶銑7に対して、図1のような、溶銑流5に対して直接脱珪材6の添加を行った後、脱珪処理容器2内にランス8を浸漬し、脱珪処理容器2内の浴面付近においてバブリングを行い、脱珪スラグ9あるいは未反応脱珪材6の撹拌を行えば、新たにスラグ中FeOや未反応脱珪材6と溶銑7の接触が行われるため、脱珪材6の添加からバブリング終了までの間で高効率な脱珪が可能になる。

0029

バブリングに用いるガスは、ArガスまたはN2ガスが、コストや調達し易さの観点から好ましいが、脱珪反応を行う点では、不活性ガスであれば特にそれに制限されるものではない。また、バブリングに用いるランス8は各種精錬処理操作で公知であって、本発明においてもそれらを流用すればよい。

0030

脱珪材6としては、Fe2O3またはFeOを含有する焼結鉱、ミルスケール転炉ダストなどがあり、これらの中から適宜選んで使用する。

0031

脱珪材6の粒度は反応効率向上および反応性促進の観点から、直径10mm以下とすることが好ましく、より好ましくは、2〜10mmである。10mmを超えると表面積が小さくなるので反応性が悪く、逆に細かすぎては飛散してしまい脱珪反応に使用されないので、脱珪材反応効率が悪化する。

0032

また、ランス8の浸漬深さ、すなわち、ガス吹き込み位置は、実測値、あるいは、バブリング実施時の脱珪処理容器2内の溶銑量および脱珪処理容器2内の耐火物損耗程度によって推定された脱珪処理容器2内の浴面位置から決定できる。脱珪処理容器2内の浴面位置を直接測定することが好ましいが、脱珪処理容器2内に払い出した溶銑量と脱珪処理容器2の使用回数などから推定してもよい。

0033

しかし、接触式の実測方法では実測に要する時間分だけ能率を阻害することになるし、推定をすると、脱珪処理容器2内の耐火物の損耗程度は、常に一定でない上、内壁へのスラグや地金付着状況によって、脱珪処理容器2内の容積が変化するため、上記方法により推定された脱珪処理容器2内の浴面位置は実測値に対してばらつきが生じる。このため、推定された浴面位置に対するガス吹き込み位置が適正範囲を外れてしまった場合、脱珪材反応効率が悪化することになる。

0034

長時間の測定による生産阻害をすることなく、精度よく脱珪処理容器2内の浴面位置を測定するためには、マイクロ波レベル計を利用することが有効である。マイクロ波レベル計を用いることにより、高精度に脱珪処理容器2内の浴面位置を把握することが可能になり、常に適正なガス吹き込み位置でのバブリングが行えるため、脱珪材反応効率を高位に保つことができる。

0035

はじめに、ガス吹き込み位置が脱珪材反応効率へ及ぼす影響を説明する。

0036

図3は、溶銑払い出し中に脱珪材6である焼結鉱を添加し、その後、バブリングを実施した場合における、脱珪処理容器2内の浴面からガス吹き込み位置までの距離と脱珪材反応効率との関係を示すグラフである。脱珪処理容器2内の浴面位置は脱珪処理容器2の上端から浴面までの距離を実測した結果を用いたものである。

0037

図3のグラフに示すように、脱珪処理容器2内の浴面からガス吹き込み位置までの距離(容器内浴面からの深さ位置)を500mm〜1350mmの範囲でバブリングを行うと、高い脱珪反応効率が得られることがわかる。

0038

この理由は、上記範囲内でバブリングを行うと、溶銑7の表面上の脱珪スラグ9または未反応焼結鉱6が溶銑と十分に撹拌され、再度脱珪反応を生じるためである。脱珪処理容器2内の浴面からガス吹き込み位置までの距離が500mmを下回ると、脱珪スラグ9または未反応焼結鉱6と溶銑7の撹拌が浴面付近のみで生じてしまうため、局所的にSi濃度が低下し、脱珪反応を生じない。一方、脱珪処理容器2内の浴面からガス吹き込み位置までの距離が1350mmを上回ると、溶銑7のみ撹拌され、脱珪スラグ9または未反応焼結鉱6が溶銑7と接触しなくなるため、脱珪反応が生じ難くなる。

0039

次に、浴面位置のばらつきの程度について説明する。

0040

図4は、浴面位置の推定値、およびマイクロ波レベル計による実測値を、接触式で測定した実測値からのばらつきを比較したグラフである。接触式による測定方法は、ホルダー金属棒を取り付けた湯面測定装置によるものであり、浴面位置の推定値は、払い出した溶銑量および容器の使用回数を用いた回帰式を作成し、推定したものである。また、マイクロ波レベル計は、マイクロ波サウンジンレベル計を用いた(株式会社機械研究所製、型式:MWLM−FM−S)。

0041

図4のグラフに示すように、マイクロ波レベル計で浴面位置を実測することで、払い出した溶銑量と容器回数による推定値に対して大幅に浴面位置把握精度が向上する。また、マイクロ波レベル計で測定することで、短時間での測定が可能となり、生産阻害も発生しない。

0042

本発明を、実施例を参照しながらより具体的に説明する。

0043

高炉から搬送容器である混銑車に出銑された溶銑300〜330t程度を脱珪処理容器である取鍋に払出す際に、溶銑流に対して焼結鉱を添加して脱珪処理を実施した。溶銑の成分は、[C]:4.2〜4.8%,[Si]:0.41〜0.48%であり、払出し後温度は1380〜1430℃であった。

0044

実施例で使用した脱珪材は、焼結鉱であり、表1に示した成分のものを用いた。脱珪材中酸素体積は161(Nl/kg)である。脱珪材反応効率が85%以上、すなわち、脱珪材中酸素体積137(Nl/kg)以上が脱珪反応に使われた場合に、効果があったと判断した。これは、本脱珪材であれば、4kg/tonの添加で、約0.07%以上の脱Si量が得られることに相当する。

0045

0046

表2に脱珪処理条件および処理の結果をまとめて示す。

0047

0048

比較例は、溶銑の払い出し時に脱珪処理を行い、脱珪処理後ガスバブリング操業条件が、本発明に規定する範囲を外れる例である。

0049

比較例である実施No.1は、払い出し時に脱珪処理を行い、その後ガスバブリングを実施しなかった例である。脱珪材反応効率は70%以下と低位である。これは、焼結鉱が固体のままスラグ上に降り積もってしまったり、スラグ中に溶解した焼結鉱中のFeOがスラグと溶銑の界面近傍のみでしか反応しなかったため、未反応の焼結鉱が脱珪スラグ上またはスラグ中に残存していたことによるものである。

0050

比較例である実施No.2〜6は、払い出し時に脱珪処理を行い、その後ガスバブリングを実施する操業条件の従来例であり、バブリングのガス吹き込み位置が本発明の範囲(500〜1350mm)を逸脱した例である。

0051

比較例である実施No.2は、ガス吹き込み位置を495mmと浅くした例であり、比較例である実施No.3〜6は1605〜2750mmと深くした例である。比較例2〜6は、いずれも脱珪材反応効率が低位であった。ガス吹き込み位置が浅い場合は、脱珪スラグまたは未反応焼結鉱と溶銑の撹拌が浴面付近のみで生じ、局所的にSi濃度が低下し、脱珪反応を生じないし、ガス吹き込み位置が深すぎた場合は、溶銑のみが撹拌され、脱珪スラグまたは未反応焼結鉱が溶銑と接触しなくなり、脱珪反応が生じ難くなるため脱珪材反応効率が低下する。

0052

比較例である実施No.7,8は、払い出し時に脱珪処理を行い、その後ガスバブリングを実施したものの、バブリングのガス吹き込み位置を、払い出した溶銑量および容器の使用回数から推定した容器内浴面位置から決定し、その位置に推定値の最大誤差を考慮すると本発明の範囲を逸脱する例である。

0053

比較例である実施No.7は、容器内浴面位置が実測値よりも低かった場合であり、比較例である実施No.8は、容器内浴面位置が実測値よりも高かった場合である。比較例である実施No.7,8はいずれも脱珪材反応効率が低位であった。

0054

これに対し、本発明例である実施No.1,2は、いずれも、払い出し時に脱珪処理を行い、その後、ガス吹き込み位置を500〜1350mmとし、ガスバブリングを実施した例である。本発明例である実施No.1は払い出した溶銑量と容器の使用回数から容器内浴面位置を推定し、ガス吹き込み位置を決定し、かつ、接触式により容器内浴面位置の実測を行った結果、ガス吹き込み位置が本発明の範囲内の655mmであった例であり、本発明例である実施No.2は接触式により実測した容器内浴面位置からガス吹き込み位置を1000mmに決定した例である。

0055

本発明例である実施No.1,2のいずれも、脱珪材反応効率は90%以上と高位であり、85%以上であった。

0056

本発明例である実施No.3は、本発明例である実施No.1,2と同条件で、マイクロ波レベル計を用いて容器内浴面位置の実測を行い、ガス吹き込み位置を決定した例である。脱珪材反応効率は本発明例である実施No.1,2と同様に92%と良好な結果が得られ、かつ、能率を阻害することなく正確なガス吹き込み位置設定が可能であった。

実施例

0057

これらの結果から、高炉から出銑した溶銑を、搬送容器から脱珪処理容器に払い出す際の溶銑流に対して脱珪材を添加した後、バブリングを実施することにより溶銑を脱珪処理する際に、ガス吹き込み位置を本発明で規定する所定の範囲に制御することにより、脱珪材反応効率が向上すること、さらには、その際にマイクロ波レベル計を用いることにより、能率を阻害することなく、高い脱珪材反応効率を得られることが確認された。

0058

1搬送容器
2脱珪処理容器
3添加装置
4溶銑
5 溶銑流
6脱珪材
7 溶銑
8ランス
9 脱珪スラグ

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