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課題

集塵器に到達する微小粒子の量を効率的に低減して、抽気装置運転効率を向上させる。

解決手段

抽気装置20は、焼成炉11の異なる箇所にそれぞれ接続された抽気管D1,D2と、抽気管D1を介して焼成炉11から抽気された抽気ガスG4を冷却する冷却器C1と、抽気管D2を介して焼成炉11から抽気された抽気ガスG5を冷却する冷却器C2と、冷却器C1によって塩化カリウム融点未満の温度まで冷却された抽気ガスG4及び冷却器C1によって塩化カリウムの融点未満の温度まで冷却された抽気ガスG5が導入されて混合される混合器21とを備える。

概要

背景

セメントクリンカ(以下、「クリンカ」と称する。)は、通常、最高温度が2000℃以上の微粉炭等の燃焼ガス原料キルン回転炉)内において焼成する工程を経て、製造される。キルンでは、原料は、1450℃程度にまで加熱される。そのため、原燃料として廃棄物を使用したとしても、廃棄物に含まれる有機物は、元の分子性状を残さないCO2やH2Oのレベルにまで分解される。一方、廃棄物に含まれる無機物の多くは、クリンカ中に取り込まれてほとんど無害な状態となる。従って、近年、大量の廃棄物がセメントの原燃料として利用されている。

キルンから排出されたキルン排ガスは、通常900℃以上の高温である。そのため、エネルギー効率を高める目的で、キルンにサスペンションプレヒータ(以下、「SP」と称する。)を接続し、原料を予熱してキルンに投入することで、キルン排ガスから熱を回収することが一般的に行われている。SPから排出されたSP排ガスも300℃〜400℃程度であり、依然として高温であるので、原料の乾燥、発電ボイラ等でその熱をさらに回収し、低温となった熱回収後ガス大気に排出する。

ところで、キルン及びSPを含むクリンカ焼成装置において、ガスは系内でクリンカ焼成装置に投入される原料とは概ね逆向きに流れる。すなわち、ガスの流れと原料の流れとは、概ね向流である。そのため、原燃料のうち揮発物質を作りやすい成分(揮発性成分)は、高温のキルン内では気化しているが、キルン内よりも低温であるSP内では低融点化合物となって再度キルン内に戻ることで系内(クリンカ焼成装置内)を循環し、次第に濃縮されうる。濃縮された成分は、糊状の形態をとり、クリンカ焼成装置内に付着しうる。このような付着物は、コーチング(coating)と呼ばれることがある。

コーチングがクリンカ焼成装置内で成長すると、原料及びガスの流通阻害される。ところが、上述のとおり、原燃料として廃棄物の使用量が増加するに伴い、低融点物質を極めて作りやすい元素である塩素がクリンカ焼成装置内において特に増加している。塩素は多くの金属原子と結合し、飽和蒸気圧が高く且つ比較的安定した分子となるので、系内を循環しやすい。そのため、コーチングの発生量の増加が懸念されている。

そこで、特許文献1,2は、クリンカ焼成装置から塩化物等の成分を抜き出す処理(いわゆる「塩素バイパス」と呼ばれる技術)を開示している。具体的には、キルン排ガスの一部を冷却室に導き、冷却室においてキルン排ガスを冷却用空気(特許文献1)又は冷却用水(特許文献2)で冷却することにより、揮発性成分を固化及び除去している。

概要

集塵器に到達する微小粒子の量を効率的に低減して、抽気装置運転効率を向上させる。抽気装置20は、焼成炉11の異なる箇所にそれぞれ接続された抽気管D1,D2と、抽気管D1を介して焼成炉11から抽気された抽気ガスG4を冷却する冷却器C1と、抽気管D2を介して焼成炉11から抽気された抽気ガスG5を冷却する冷却器C2と、冷却器C1によって塩化カリウム融点未満の温度まで冷却された抽気ガスG4及び冷却器C1によって塩化カリウムの融点未満の温度まで冷却された抽気ガスG5が導入されて混合される混合器21とを備える。

目的

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
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請求項1

セメントクリンカ焼成装置の焼成炉の異なる箇所にそれぞれ接続された第1及び第2の抽気管と、前記第1の抽気管を介して前記焼成炉から抽気された第1の抽気ガスを冷却する第1の冷却器と、前記第2の抽気管を介して前記焼成炉から抽気された第2の抽気ガスを冷却する第2の冷却器と、前記第1の冷却器によって塩化カリウム融点未満の温度まで冷却された前記第1の抽気ガスと、前記第2の冷却器によって塩化カリウムの融点未満の温度まで冷却された前記第2の抽気ガスとが導入されて混合される混合器とを備える、抽気装置

請求項2

前記混合器のうち前記第1の抽気管が接続される第1の開口部と、前記混合器のうち前記第2の抽気管が接続される第2の開口部とは対向している、請求項1に記載の抽気装置。

請求項3

セメントクリンカ焼成装置の焼成炉から第1の抽気ガスを抽気し、塩化カリウムの融点未満の温度まで前記第1の抽気ガスを冷却する第1の工程と、前記焼成炉のうち前記第1の抽気ガスの抽気箇所とは異なる箇所から第2の抽気ガスを抽気し、塩化カリウムの融点未満の温度まで前記第2の抽気ガスを冷却する第2の工程と、前記第1の工程において冷却された後の前記第1の抽気ガスと、前記第2の工程において冷却された後の前記第2の抽気ガスとを混合する第3の工程とを含む、抽気方法

請求項4

前記第3の工程では、前記第1の工程において冷却された後の前記第1の抽気ガスと、前記第2の工程において冷却された後の前記第2の抽気ガスとを対向方向から衝突させることにより、前記第1及び第2の抽気ガスを混合させる、請求項3に記載の抽気方法。

請求項5

前記第3の工程において混合された後の混合ガス随伴するダスト塩素濃度が所定の範囲内となるように、前記第1の抽気ガスに随伴するダストの塩素濃度及び前記第2の抽気ガスに随伴するダストの塩素濃度に基づいて前記焼成炉からの前記第1又は第2の抽気ガスの抽気量を調節する第4の工程を更に含む、請求項3又は4に記載の抽気方法。

技術分野

0001

本開示は、抽気装置及び抽気方法に関する。

背景技術

0002

セメントクリンカ(以下、「クリンカ」と称する。)は、通常、最高温度が2000℃以上の微粉炭等の燃焼ガス原料キルン回転炉)内において焼成する工程を経て、製造される。キルンでは、原料は、1450℃程度にまで加熱される。そのため、原燃料として廃棄物を使用したとしても、廃棄物に含まれる有機物は、元の分子性状を残さないCO2やH2Oのレベルにまで分解される。一方、廃棄物に含まれる無機物の多くは、クリンカ中に取り込まれてほとんど無害な状態となる。従って、近年、大量の廃棄物がセメントの原燃料として利用されている。

0003

キルンから排出されたキルン排ガスは、通常900℃以上の高温である。そのため、エネルギー効率を高める目的で、キルンにサスペンションプレヒータ(以下、「SP」と称する。)を接続し、原料を予熱してキルンに投入することで、キルン排ガスから熱を回収することが一般的に行われている。SPから排出されたSP排ガスも300℃〜400℃程度であり、依然として高温であるので、原料の乾燥、発電ボイラ等でその熱をさらに回収し、低温となった熱回収後ガス大気に排出する。

0004

ところで、キルン及びSPを含むクリンカ焼成装置において、ガスは系内でクリンカ焼成装置に投入される原料とは概ね逆向きに流れる。すなわち、ガスの流れと原料の流れとは、概ね向流である。そのため、原燃料のうち揮発物質を作りやすい成分(揮発性成分)は、高温のキルン内では気化しているが、キルン内よりも低温であるSP内では低融点化合物となって再度キルン内に戻ることで系内(クリンカ焼成装置内)を循環し、次第に濃縮されうる。濃縮された成分は、糊状の形態をとり、クリンカ焼成装置内に付着しうる。このような付着物は、コーチング(coating)と呼ばれることがある。

0005

コーチングがクリンカ焼成装置内で成長すると、原料及びガスの流通阻害される。ところが、上述のとおり、原燃料として廃棄物の使用量が増加するに伴い、低融点物質を極めて作りやすい元素である塩素がクリンカ焼成装置内において特に増加している。塩素は多くの金属原子と結合し、飽和蒸気圧が高く且つ比較的安定した分子となるので、系内を循環しやすい。そのため、コーチングの発生量の増加が懸念されている。

0006

そこで、特許文献1,2は、クリンカ焼成装置から塩化物等の成分を抜き出す処理(いわゆる「塩素バイパス」と呼ばれる技術)を開示している。具体的には、キルン排ガスの一部を冷却室に導き、冷却室においてキルン排ガスを冷却用空気(特許文献1)又は冷却用水(特許文献2)で冷却することにより、揮発性成分を固化及び除去している。

先行技術

0007

特開平09−175847号公報
特開2014−014730号公報
特開2013−159534号公報

発明が解決しようとする課題

0008

冷却室において揮発性成分が冷却されると、ヒューム(fume)となって固化する。当該ヒュームは、サブミクロン(1μm未満)オーダー粒径を有する微小粒子で構成される。このような微小粒子又は当該微小粒子が凝集した凝集粒子(以下、まとめて「微小粒子」という。)は付着力が強いので、フィルタにおいて当該微小粒子が捕集されると、フィルタから除去し難く、フィルタの目詰まり圧力損失)を生じさせうる。また、冷却室の下流側に位置する微小粒子の流路(例えば、集塵器バイパスダスト輸送系統)に微小粒子が付着して、これらを閉塞しうる。そのため、特許文献1,2に記載の塩素バイパスを行った場合、コーチングの発生量を抑制できるものの、フィルタの交換作業又は流路の清掃作業が頻繁に発生し、塩素バイパスの運転が度々中断されうる。

0009

そこで、特許文献3は、SPから原料ダストを抜き出し、原料ダストを冷却室に導入する方法を開示している。原料ダストの粒径は数10μm程度であり微小粒子の粒径よりも大きいので、冷却室に導入された原料ダストに微小粒子が付着し、微小粒子の低減が図られる。しかしながら、SPからの原料ダストの抜き出し量をコントロールすることが困難な場合があった。また、原料ダストが冷却室内で十分に混合されずに偏在することがあり、冷却室内のうち原料ダストが少ない領域では微量粒子が原料ダストに付着せずにそのまま下流側に流れてしまう一方、冷却室内のうち原料ダストが多い領域では微小粒子が付着しない原料ダストが多く残存してしまうこととなり、微小粒子の低減が効率的に行われない場合があった。

0010

以上に鑑み、本開示は、集塵器に到達する微小粒子の量を効率的に低減して、運転効率を向上させることが可能な抽気装置及び抽気方法を説明する。

課題を解決するための手段

0011

まず、本明細書で用いる用語を次のように定義する。
抽気」とは、クリンカ焼成装置からガスを抜き出すことをいう。
抽気ガス」とは、クリンカ焼成装置から抜き出されたガスをいう。
「原料ダスト」とは、抽気ガスに同伴する原料をいう。
「抽気装置」とは、抽気ガスを冷却し、揮発性成分を固化する装置をいう。
「バイパスダスト」とは、抽気装置で原料ダストと共に回収されるダストをいう。
なお、本明細書において「ガス」という場合、ガスそのものに加えて、ガスに同伴しているダストも含む趣旨である。

0012

本開示の一つの観点に係る抽気装置は、セメントクリンカ焼成装置の焼成炉の異なる箇所にそれぞれ接続された第1及び第2の抽気管と、第1の抽気管を介して焼成炉から抽気された第1の抽気ガスを冷却する第1の冷却器と、第2の抽気管を介して焼成炉から抽気された第2の抽気ガスを冷却する第2の冷却器と、第1の冷却器によって塩化カリウム融点未満の温度まで冷却された第1の抽気ガスと、第2の冷却器によって塩化カリウムの融点未満の温度まで冷却された第2の抽気ガスとが導入されて混合される混合器とを備える。

0013

ところで、焼成炉の構造上、焼成炉内の流れは均一ではないので、焼成炉内を流通するダスト(原料ダスト及び微小粒子を含む)の濃度は不均一となってしまう。そのため、焼成炉の異なる箇所から抽気された第1及び第2の抽気ガスにそれぞれ随伴するダストの塩素濃度は、異なるのが普通である。例えば、第1の抽気ガスに随伴するダストの塩素濃度は、第2の抽気ガスに随伴するダストの塩素濃度よりも高い。第1の抽気ガスに随伴するダストの塩素濃度が相対的に高い場合、当該ダスト中には原料ダストに付着していない多くの微小粒子が存在する傾向にある。一方、第2の抽気ガスに随伴するダストの塩素濃度が相対的に低い場合、微小粒子が原料ダストに付着し、当該ダスト中に少量の微小粒子が存在する傾向にある。本開示の一つの観点に係る抽気装置において、このような第1及び第2の抽気ガスが混合器で混合されると、第1の抽気ガス中の微小粒子が第2の抽気ガス中の原料ダストに付着する。従って、本開示の一つの観点に係る抽気装置では、焼成炉のうち異なる2箇所から抽気された第1及び第2の抽気ガスを混合器で混合するだけで、混合器の下流側に位置する集塵器に到達する微小粒子の量が簡易に且つ効率的に低減される。これにより、フィルタの目詰まり(圧力損失)及び流路の閉塞などが抑制され、フィルタのメンテナンス作業や交換作業の頻度が少なくなる。その結果、抽気装置の運転効率を向上させることが可能となる。また、圧力損失が減るので、集塵器などの設備を小型化することが可能となる。

0014

混合器のうち第1の抽気管が接続される第1の開口部と、混合器のうち第2の抽気管が接続される第2の開口部とは対向していてもよい。この場合、第1の抽気ガスと第2の抽気ガスとが混合器において対向方向から衝突するので、第1及び第2の抽気ガスが極めて均一に混ざりやすくなる。そのため、第1の抽気ガス中の微小粒子が第2の抽気ガス中の原料ダストにより付着しやすくなる。従って、フィルタの目詰まり(圧力損失)及び流路の閉塞などがより抑制される。その結果、抽気装置の運転効率をより向上させることが可能となる。

0015

本開示の他の観点に係る抽気方法は、セメントクリンカ焼成装置の焼成炉から第1の抽気ガスを抽気し、塩化カリウムの融点未満の温度まで第1の抽気ガスを冷却する第1の工程と、焼成炉のうち第1の抽気ガスの抽気箇所とは異なる箇所から第2の抽気ガスを抽気し、塩化カリウムの融点未満の温度まで第2の抽気ガスを冷却する第2の工程と、第1の工程において冷却された後の第1の抽気ガスと、第2の工程において冷却された後の第2の抽気ガスとを混合する第3の工程とを含む。

0016

ところで、焼成炉の構造上、焼成炉内の流れは均一ではないので、焼成炉内を流通するダスト(原料ダスト及び微小粒子を含む)の濃度は不均一となってしまう。そのため、焼成炉の異なる箇所から抽気された第1及び第2の抽気ガスにそれぞれ随伴するダストの塩素濃度は、異なるのが普通である。例えば、第1の抽気ガスに随伴するダストの塩素濃度は、第2の抽気ガスに随伴するダストの塩素濃度よりも高い。第1の抽気ガスに随伴するダストの塩素濃度が相対的に高い場合、当該ダスト中には原料ダストに付着していない多くの微小粒子が存在する傾向にある。一方、第2の抽気ガスに随伴するダストの塩素濃度が相対的に低い場合、微小粒子が原料ダストに付着し、当該ダスト中に少量の微小粒子が存在する傾向にある。本開示の他の観点に係る抽気方法において、このような第1及び第2の抽気ガスが第3の工程で混合されると、第1の抽気ガス中の微小粒子が第2の抽気ガス中の原料ダストに付着する。従って、本開示の他の観点に係る抽気方法では、焼成炉のうち異なる2箇所から抽気された第1及び第2の抽気ガスを混合するだけで、混合後に集塵器に到達する微小粒子の量が簡易に且つ効率的に低減される。これにより、フィルタの目詰まり(圧力損失)及び流路の閉塞などが抑制され、フィルタのメンテナンス作業や交換作業の頻度が少なくなる。その結果、抽気装置の運転効率を向上させることが可能となる。また、圧力損失が減るので、集塵器などの設備を小型化することが可能となる。

0017

第3の工程では、第1の工程において冷却された後の第1の抽気ガスと、第2の工程において冷却された後の第2の抽気ガスとを対向方向から衝突させることにより、第1及び第2の抽気ガスを混合させてもよい。この場合、第1の抽気ガスと第2の抽気ガスとが対向方向から衝突するので、第1及び第2の抽気ガスが極めて均一に混ざりやすくなる。そのため、第1の抽気ガス中の微小粒子が第2の抽気ガス中の原料ダストにより付着しやすくなる。従って、フィルタの目詰まり(圧力損失)及び流路の閉塞などがより抑制される。その結果、抽気装置の運転効率をより向上させることが可能となる。

0018

本開示の他の観点に係る抽気方法は、第3の工程において混合された後の混合ガスに随伴するダストの塩素濃度が所定の範囲内となるように、第1の抽気ガスに随伴するダストの塩素濃度及び第2の抽気ガスに随伴するダストの塩素濃度に基づいて焼成炉からの第1又は第2の抽気ガスの抽気量を調節する第4の工程を更に含んでもよい。この場合、焼成炉内の流れが変化して、焼成炉内を流通するダスト濃度が変わることにより、焼成炉の異なる箇所からそれぞれ抽気される第1及び第2の抽気ガスに随伴するダストの塩素濃度が変わったとしても、第3の工程において混合された後の混合ガスに随伴するダストの塩素濃度が所定の範囲内に調節される。そのため、フィルタの目詰まり(圧力損失)及び流路の閉塞などがさらに抑制される。従って、抽気装置の運転効率をさらに向上させることが可能となる。

発明の効果

0019

本開示に係る抽気装置及び抽気方法によれば、集塵器に到達する微小粒子の量を効率的に低減して、運転効率を向上させることが可能となる。

図面の簡単な説明

0020

図1は、本実施形態に係るクリンカ製造装置の一例を示す概略図である。
図2は、図1のクリンカ製造装置を示すブロック図である。
図3は、混合器の例(第1の例)を示す斜視図である。
図4は、混合器の例(第2の例)を示す斜視図である。
図5は、混合器の例(第3の例)を示す斜視図である。
図6(a)は焼成炉を正面から見た場合において焼成炉内を流れるダスト濃度を示すシミュレーション結果であり、図6(b)は焼成炉を側面から見た場合において焼成炉内を流れるダスト濃度を示すシミュレーション結果である。
図7は、微小粒子が原料ダストに付着する様子を説明するための模式図であって、混合器を上方から見た図である。
図8(a)は一方のダンパ開度を100%とし他方のダンパの開度を0%とした場合において抽気ガスに随伴するダストの粒度分布を示すグラフであり、図8(b)は一方のダンパの開度を0%とし他方のダンパの開度を100%とした場合において抽気ガスに随伴するダストの粒度分布を示すグラフである。
図9(a)は一方のダンパの開度を100%とし他方のダンパの開度を30%とした場合において混合ガスに随伴するダストの粒度分布を示すグラフであり、図9(b)は一方のダンパの開度を100%とし他方のダンパの開度を70%とした場合において抽気ガスに随伴するダストの粒度分布を示すグラフである。
図10は、双方のダンパの開度を100%とした場合において混合ガスに随伴するダストの粒度分布を示すグラフである。

実施例

0021

以下に説明される本開示に係る実施形態は本発明を説明するための例示であるので、本発明は以下の内容に限定されるべきではない。以下の説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。

0022

クリンカ製造装置1は、原料M1からクリンカM3を製造するための装置である。クリンカ製造装置1は、図1及び図2に示されるように、クリンカ焼成装置10と、抽気装置20とを備える。

0023

クリンカ焼成装置10は、焼成炉11と、SP(サスペンション・プレヒータ)12とを有する。焼成炉11は、図1に示されるように、キルン11aと、窯尻11bと、ライジングダクト11cと、クリンカ・クーラ(図示せず)とを含む。キルン11aは、例えばロータリキルンであり、SP12から導入されるキルン原料M2を焼成するように構成されている。窯尻11bは、キルン11aの一端側(キルン原料M2の入口側)に設けられている。ライジングダクト11cは、鉛直方向に沿って窯尻11bから上方に向けて延びるように窯尻11bに接続されている。窯尻11b及びライジングダクト11cは、キルン11aとSP12とを接続している。

0024

クリンカ・クーラは、キルン11aの他端側(キルン原料M2の出口側)に設けられている。クリンカ・クーラは、キルン11aにおいて焼成されたキルン原料M2を空気等のガスG1との熱交換により急冷し、クリンカM3を生成するように構成されている。クリンカ・クーラに導入されるガスG1の温度は、例えば室温程度であってもよい。クリンカ・クーラにおいて熱交換されたガスG1は、例えば、500℃〜1000℃程度まで昇温して、キルン11aにおいて、図示しない微粉炭等の燃料燃焼に利用される。キルン11aでの燃焼ガスの最高温度は、通常2000℃を超える。燃焼ガスは、キルン原料M2を焼成して、キルン排ガスG2としてキルン11aから排出される。キルン排ガスG2の温度は、通常900℃〜1250℃程度である。なお、キルン排ガスG2は、原料ダスト及び微小粒子を含むダストを随伴している。

0025

SP12は、焼成炉11(キルン11a)におけるキルン原料M2の焼成効率を高める目的で、原料M1を予熱する装置である。SP12は、複数段(例えば4段〜5段程度)のサイクロン分離器)を有する。SP12の塔頂部に原料M1が投入されると、SP12の塔底部から導入されたキルン排ガスG2と原料M1とが各段のサイクロンで順次熱交換され、原料M1が例えば850℃程度まで予熱されてキルン原料M2となる。SP12において生成されたキルン原料M2は、塔底部から排出されて、例えば窯尻11bを介してキルン11a内に導入される。

0026

一方、キルン排ガスG2は、原料M1と熱交換された後に、SP排ガスG3としてSP12の塔頂部から排出される。SP排ガスG3は、例えば300℃〜400℃程度である。SP排ガスG3の熱が原料の乾燥、発電ボイラ等でさらに回収され、低温となった熱回収済ガスは、大気に排出される。なお、SP12は、サイクロンの最下段と焼成炉11との間に設けられた仮焼炉をさらに有するニュー・サスペンション・プレヒータ(NSP)であってもよい。NSPにおいては、仮焼炉に燃料(例えば、微粉炭)を供給して原料M1を仮焼することで、クリンカM3の生産量及び焼成効率を高めている。

0027

クリンカ焼成装置10において、ガスは系内でクリンカ焼成装置10(SP12)に投入される原料M1とは概ね逆向きに流れる。そのため、揮発性成分は、高温のキルン11a内では気化しているが、キルン11a内よりも低温であるSP12内では液化又は固化して再度キルン11a内に戻ることでクリンカ焼成装置10内を循環する。この循環の過程で揮発性成分が濃縮されると、コーチングが生じうる。近年では、原燃料として廃棄物の使用量が増加するに伴い、低融点物質を極めて作りやすい元素である塩素の含有量が特に増加しており、コーチングの発生量の増加が懸念されている。

0028

抽気装置20は、コーチングの発生を抑制するために、クリンカ焼成装置10から塩化物等の成分を抜き出す処理(塩素バイパス)を行うための装置である。具体的には、抽気装置20は、キルン排ガスG2の一部を抽気ガスG4,G5として抜き出す。この抽気ガスG4,G5のキルン排ガスG2に対する割合(抽気率)の上限値(抽気装置20の最大能力)が0%を超え100%以下の値となるように、抽気装置20による抽気の目的に応じて抽気装置20がクリンカ焼成装置10に設置される。実際の抽気装置20においては、抽気率の上限値(抽気装置20の最大能力)が例えば0.3%〜30%の値となるように、抽気装置20がクリンカ焼成装置10に設置されてもよい。塩化物の循環を減らしてクリンカ焼成装置10の運転を安定化させる場合には、抽気率が1%未満となるように抽気装置20を運転してもよい。クリンカM3に取り込まれる塩素等の量を減らす場合には、抽気率が3%以上となるように抽気装置20を運転してもよい。

0029

抽気装置20は、抽気管D1,D2と、冷却器C1,C2と、混合器21と、ダンパDP1,DP2と、送気管D3と、熱交換器C3と、集塵器22と、ダストタンク23と、ダスト採取器DM1〜DM3とを有する。

0030

抽気管D1,D2は、焼成炉11の異なる箇所にそれぞれ接続されている。抽気管D1,D2は、例えば、窯尻11bの異なる箇所にそれぞれ接続されていてもよいし、ライジングダクト11cの異なる箇所にそれぞれ接続されていてもよいし(図1参照)、窯尻11bとライジングダクト11cとにそれぞれ接続されていてもよい。抽気管D1(第1の抽気管)は、焼成炉11からキルン排ガスG2の一部を抽気ガスG4(第1の抽気ガス)として抜き出す。抽気管D2(第2の抽気管)は、焼成炉11からキルン排ガスG2の一部を抽気ガスG5(第2の抽気ガス)として抜き出す。

0031

冷却器C1(第1の冷却器)は、抽気ガスG4を冷却するように構成されている。冷却器C1は、送気管C1aと、ファンC1bとを含む。送気管C1aは、ファンC1bと抽気管D1の基端部D1aとを接続している。ファンC1bは、抽気ガスG4を冷却する冷却ガスを、送気管C1aを介して抽気管D1に送り出す。基端部D1a内に導入される冷却ガスが基端部D1aの内壁に沿う旋回流であると、冷却ガスがエアカーテンとして機能して、抽気ガスG4に含まれるダストが抽気管D1の下部に沈降又は堆積し難くなるので好ましい。

0032

冷却器C2(第2の冷却器)は、抽気ガスG5を冷却するように構成されている。冷却器C2は、送気管C2aと、ファンC2bとを含む。送気管C2aは、ファンC2bと抽気管D2の基端部D2aとを接続している。ファンC2bは、抽気ガスG5を冷却する冷却ガスを、送気管C2aを介して抽気管D2に送り出す。基端部D2a内に導入される冷却ガスが基端部D2aの内壁に沿う旋回流であると、冷却ガスがエアカーテンとして機能して、抽気ガスG4に含まれるダストが抽気管D1の下部に沈降又は堆積し難くなるので好ましい。

0033

冷却器C1,C2において冷却ガスとして用いられるガスは、抽気ガスG4,G5を冷却可能であれば特に制限はないが、例えば空気であってもよい。冷却ガスの温度は、例えば室温程度であってもよい。冷却器C1,C2は、抽気管D1,D2において混合器21に至る前までに、抽気ガスG4,G5中の揮発性成分が固化する程度まで抽気ガスG4,G5を冷却する。抽気ガスG4,G5中の主な揮発性成分はKCl及びSO2であるので、冷却器C1,C2は、KClの融点(776℃)未満の温度まで抽気ガスG4,G5を冷却してもよい。

0034

混合器21は、内部が空洞である金属製の箱体である。混合器21には、抽気管D1,D2の下流端と送気管D3の上流端とが接続されている。混合器21の外形は、特に制限はないが、例えば立方体形状であってもよいし、円柱形状であってもよいし、直方体形状であってもよいし(図3及び図4参照)、矩形状と台形状とが結合した六角形状を底面とする六角柱形状であってもよい(図5参照)。

0035

混合器21には、抽気管D1が接続される開口部21a(第1の開口部)と、抽気管D2が接続される開口部21b(第2の開口部)と、送気管D3が接続される開口部21cとが形成されている(図3図5参照)。図3及び図5に示されるように、開口部21aと開口部21bとは、混合器21の側壁のうち対向する一対の側壁にそれぞれ形成されていてもよい。図4に示されるように、開口部21aと開口部21bとは共に、混合器21の側壁のうち同じ側壁に形成されていてもよい。図3図5に示されるように、開口部21cは、混合器21の側壁のうち開口部21a,21bとは異なる側壁に形成されていてもよい。なお、図5の例では、開口部21cは、台形の上底に対応する側壁に形成されている。換言すれば、図5の例では、開口部21cに向けて流路が狭まっているので、混合ガスG6が送気管D3に向けて流れやすくなっている。

0036

混合器21においては、冷却器C1,C2によって冷却された後の抽気ガスG4,G5が抽気管D1,D2(開口部21a,21b)からそれぞれ導入され、内部で混合される。これにより、混合ガスG6が生成される。混合ガスG6の温度は、混合器21に導入された抽気ガスG4,G5の温度が600℃程度の場合、概ね350℃以下になる。混合器21内において生成された混合ガスG6は、混合器21(開口部21c)から送気管D3に排出される。

0037

ダンパDP1(第1の調節器)は、冷却器C1と混合器21との間に配置されている。ダンパDP1は、その開度に応じて、焼成炉11からの抽気ガスG4の抽気量を調節可能に構成されている。ダンパDP2(第2の調節器)は、冷却器C2と混合器21との間に配置されている。ダンパDP2は、その開度に応じて、焼成炉11からの抽気ガスG5の抽気量を調節可能に構成されている。

0038

送気管D3は、混合器21と集塵器22とを接続している。送気管D3は、混合器21から排出された混合ガスG6(図2参照)を集塵器22に導入する。

0039

熱交換器C3は、送気管D3を流れる混合ガスG6との間で熱交換し、混合ガスG6を冷却するように構成されている。熱交換器C3は、筒体C3aと、送気管C3b,C3cと、ファンC3dとを含む。筒体C3aは、送気管D3を覆うように、送気管D3の一部に沿って延びている。筒体C3aの両端部は閉塞されている。送気管C3bは、筒体C3aのうち送気管D3の下流側の端部とファンC3dとを接続している。送気管C3cは、筒体C3aのうち送気管D3の上流側の端部に接続されている。ファンC3dは、混合ガスG6との間で熱交換する冷媒ガスを、送気管C3bを介して筒体C3aと送気管D3との間の空間に送り出す。ファンC3dによって当該空間内に送り出された冷媒ガスは、送気管D3を介して間接的に混合ガスG6と熱交換して加熱され、その後、送気管C3cから排出される。

0040

熱交換器C3において用いられる冷媒ガスは、混合ガスG6を冷却可能であれば特に制限はないが、例えば空気であってもよい。冷媒ガスの温度は、例えば室温程度であってもよい。熱交換器C3は、室温程度(例えば20℃程度)まで混合ガスG6を冷却する。なお、混合ガスG6の冷却方法としては、熱交換器C3に限られず、例えば、冷却流体(冷却ガス、水などの液体)を混合ガスG6に混合してもよいし、送気管D3の長さを長くして混合ガスG6を自然に冷却してもよいし、これらを組み合わせてもよい。

0041

集塵器22は、いわゆるバグフィルタであり、混合器21から導入される混合ガスG6中の粒子を捕集する。混合ガスG6中の粒子としては、例えば、微小粒子、原料ダスト、及び微小粒子が原料ダストに付着した複合粒子などが含まれる。捕集された粒子は、集塵器22からバイパスダストM4として排出されて、ダストタンク23に回収される。バイパスダストM4が捕集された後の混合ガスG6は、集塵器排ガスG7として集塵器22から排出される。抽気装置20の運転を安定させるために、混合器21の後段で且つ集塵器22の前段(例えば、混合器21の直後)に重力沈降室等を配置し、1mm以上の大きな粒子をクリンカ焼成装置10に戻してもよい。この場合、1mm以上の粒子が集塵器22に向かう量が減るので、粒子の送気管D3に対する堆積を抑制できる。そのため、送気管D3が粒子によって閉塞され難くなる。

0042

ダスト採取器DM1(第1の採取器)は、抽気管D1に接続されており、抽気ガスG4に随伴するダストを採取可能に構成されている。ダスト採取器DM2(第2の採取器)は、抽気管D2に接続されており、抽気ガスG5に随伴するダストを採取可能に構成されている。ダスト採取器DM3(第3の採取器)は、送気管D3に接続されており、混合ガスG6に随伴するダストを採取可能に構成されている。ダスト採取器DM1〜DM3は、例えば、対応する管D1〜D3からガスG4〜G6を吸引する採取管と、採取管を介して吸引されたガスG4〜G6を固気分離して固体を採取する濾過装置とを含んでいてもよい。ダスト採取器DM1〜DM3によって採取されたダストの塩素濃度を測定する手法としては、例えば、蛍光X線測定、電位差滴定等が挙げられる。蛍光X線測定が行える機器としては、例えば、株式会社リガク製Simultix14が挙げられる。電位差滴定が行える機器としては、例えば、平産業株式会社製COM−1700Aが挙げられる。

0043

ダスト採取器DM3によって採取されたダストの塩素濃度が所定の範囲(例えば15重量%〜20重量%)にない場合、当該塩素濃度が所定の範囲内となるよう、ダンパDP1,DP2の開度を調節してもよい。具体的には、ダスト採取器DM1によって採取されたダストの塩素濃度がダスト採取器DM2によって採取されたダストの塩素濃度よりも高い場合には、ダンパDP1の開度が現在よりも小さくなるようにダンパDP1を調節してもよいし、ダンパDP2の開度が現在よりも大きくなるようにダンパDP2を調節してもよいし、ダンパDP1の開度が現在よりも小さくなり且つダンパDP2の開度が現在よりも大きくなるようにダンパDP1,DP2の開度を調節してもよい。なお、ダスト採取器DM1,DM2によって採取された各ダストの塩素濃度の一方が上記の所定の範囲を上回り(例えば塩素濃度20重量%超)、ダスト採取器DM1,DM2によって採取された各ダストの塩素濃度の他方が上記の所定の範囲を下回る(例えば塩素濃度15重量%未満)場合に、上記のようなダンパDP1,DP2の開度の調節を行ってもよい。

0044

ところで、焼成炉11の構造上、焼成炉11内の流れは均一ではないので、図6に示されるように、焼成炉11内を流通するダスト濃度は不均一となってしまう。そのため、焼成炉11の異なる箇所から抽気された抽気ガスG4,G5にそれぞれ随伴するダストの塩素濃度は、異なるのが普通である。例えば、抽気ガスG4に随伴するダストの塩素濃度は、抽気ガスG5に随伴するダストの塩素濃度よりも高い。抽気ガスG4に随伴するダストの塩素濃度が相対的に高い場合、図7に示されるように、当該ダスト中には原料ダストに付着していない多くの微小粒子が存在する傾向にある。一方、抽気ガスG5に随伴するダストの塩素濃度が相対的に低い場合、同図に示されるように、微小粒子が原料ダストに付着し、当該ダスト中に少量の微小粒子が存在する傾向にある。このような抽気ガスG4,G5が混合器21で混合されると、同図に示されるように、抽気ガスG4中の微小粒子が抽気ガスG5中の原料ダストに付着する。従って、本実施形態においては、焼成炉11のうち異なる2箇所から抽気された抽気ガスG4,G5を混合器21で混合するだけで、混合器21の下流側に位置する集塵器22に到達する微小粒子の量が簡易に且つ効率的に低減される。これにより、フィルタの目詰まり(圧力損失)及び流路の閉塞などが抑制され、フィルタのメンテナンス作業や交換作業の頻度が少なくなる。その結果、抽気装置20の運転効率を向上させることが可能となる。また、圧力損失が減るので、集塵器22などの設備を小型化することが可能となる。

0045

本実施形態の混合器21のうち図3及び図5に示される例では、開口部21a,21bが互いに対向している。この場合、抽気ガスG4,G5が混合器21において対向方向から衝突するので、抽気ガスG4,G5が極めて均一に混ざりやすくなる。そのため、抽気ガスG4中の微小粒子が抽気ガスG5中の原料ダストにより付着しやすくなる。従って、フィルタの目詰まり(圧力損失)及び流路の閉塞などがより抑制される。その結果、抽気装置20の運転効率をより向上させることが可能となる。

0046

クリンカ焼成装置10の運転状況使用原料の成分等によって、焼成炉11内の流れが変化することがある。そのため、焼成炉11内を流通するダスト濃度が変わり、抽気管D1,D2からそれぞれ抽気される抽気ガスG4,G5に随伴するダストの塩素濃度が変わることがある。ところが、本実施形態では、ダスト採取器DM3よって採取されたダストの塩素濃度が所定の範囲内となるように、ダスト採取器DM1,DM2よって採取されたダストの塩素濃度に基づいてダンパDP1,DP2の開度を調節している。そのため、混合器21の下流側におけるダストの塩素濃度が所定の範囲内に調節される。従って、フィルタの目詰まり(圧力損失)及び流路の閉塞などがさらに抑制される。その結果、抽気装置20の運転効率をさらに向上させることが可能となる。

0047

ここで、ダンパDP1,DP2の開度に応じて混合器21の下流側におけるダストの塩素濃度が変化することを確認するための試験を行った。まず、ダンパDP1の開度を100%とし、ダンパDP2の開度を0%として、混合器21の下流側においてダストの粒度分布を測定した(試験1)。すなわち、抽気ガスG4に随伴するダストの粒度分布を測定した。その結果、図8(a)に示されるように、抽気ガスG4に随伴するダスト中には粒径が2μm程度の比較的小径の粒子が相対的に多く、ダストの塩素濃度が比較的高いことが確認された。

0048

次に、ダンパDP1の開度を0%とし、ダンパDP2の開度を100%として、混合器21の下流側においてダストの粒度分布を測定した(試験2)。すなわち、抽気ガスG5に随伴するダストの粒度分布を測定した。その結果、図8(b)に示されるように、抽気ガスG5に随伴するダスト中には粒径が60μm程度の比較的大径の粒子が相対的に多く、ダストの塩素濃度が比較的低いことが確認された。

0049

次に、ダンパDP1の開度を100%とし、ダンパDP2の開度を30%として、混合器21の下流側においてダストの粒度分布を測定した(試験3)。すなわち、抽気ガスG4と抽気ガスG5とを100:30で混合した混合ガスG6に随伴するダストの粒度分布を測定した。その結果、図9(a)に示されるように、当該混合ガスG6に随伴するダスト中には粒径が2μm程度の粒子のピークと粒径が20μm程度の粒子のピークが確認された。すなわち、抽気ガスG4と抽気ガスG5とを100:30で混合することで、抽気ガスG4に随伴するダスト中に含まれる比較的小径の粒子が、抽気ガスG5中の原料ダストに若干付着したことが確認された。従って、混合ガスG6の塩素濃度は、抽気ガスG4の塩素濃度よりも若干低下したことが確認された。

0050

次に、ダンパDP1の開度を100%とし、ダンパDP2の開度を70%として、混合器21の下流側においてダストの粒度分布を測定した(試験4)。すなわち、抽気ガスG4と抽気ガスG5とを100:70で混合した混合ガスG6に随伴するダストの粒度分布を測定した。その結果、図9(b)に示されるように、当該混合ガスG6に随伴するダスト中には粒径が2μm程度の粒子のピークと粒径が20μm程度の粒子のピークが確認された。ただし、双方のピークとも試験3の場合よりも小さかった。すなわち、抽気ガスG4と抽気ガスG5とを100:70で混合することで、試験3の場合と比較して、抽気ガスG4に随伴するダスト中に含まれる比較的小径の粒子が、抽気ガスG5中の原料ダストにより多く付着したことが確認された。従って、試験4における混合ガスG6の塩素濃度は、試験3における混合ガスG6の塩素濃度よりも若干低下したことが確認された。

0051

次に、ダンパDP1,DP2の開度を共に100%として、混合器21の下流側においてダストの粒度分布を測定した(試験5)。すなわち、抽気ガスG4と抽気ガスG5とを100:100で混合した混合ガスG6に随伴するダストの粒度分布を測定した。その結果、図10に示されるように、当該混合ガスG6に随伴するダスト中には粒径が40μm〜50μm程度の粒子のピークが確認されたが粒径が3μm程度の粒子のピークが確認されなかった。すなわち、抽気ガスG4と抽気ガスG5とを100:100で混合することで、抽気ガスG4に随伴するダスト中に含まれる比較的小径の粒子の大部分が、抽気ガスG5中の原料ダストに付着したことが確認された。従って、試験5における混合ガスG6の塩素濃度は、試験4における混合ガスG6の塩素濃度よりも低下したことが確認された。

0052

以上、本開示に係る実施形態について詳細に説明したが、本発明の要旨の範囲内で種々の変形を上記の実施形態に加えてもよい。例えば、焼成炉11のうち異なる3箇所以上から抽気された抽気ガスを混合器21で混合してもよい。

0053

抽気管D1,D2のそれぞれに抽気ファンを設けて、抽気ファンの回転数を調節することによって抽気ガスG4,G5の抽気量を調節してもよい。抽気ガスG4,G5の抽気量は、作業者によって適宜調節されてもよい。ダスト採取器DM1〜DM3によって採取された各ダストの塩素濃度のデータをコンピュータが処理し、その結果に基づいてコンピュータが抽気ガスG4,G5の抽気量を自動制御してもよい。

0054

クリンカ焼成装置10の各種要素、抽気装置20の他の各種要素(例えば、ファンC1b,C2b,C3d)が、作業者又はコンピュータによって調節されてもよい。

0055

1…クリンカ製造装置、10…クリンカ焼成装置、11…焼成炉、20…抽気装置、21…混合器、21a…開口部(第1の開口部)、21b…開口部(第2の開口部)、C1…冷却器(第1の冷却器)、C2…冷却器(第2の冷却器)、D1…抽気管(第1の抽気管)、D2…抽気管(第2の抽気管)、DM1…ダスト採取器(第1の採取器)、DM2…ダスト採取器(第2の採取器)、DM3…ダスト採取器(第3の採取器)、DP1…ダンパ(第1の調節器)、DP2…ダンパ(第2の調節器)、G4…抽気ガス(第1の抽気ガス)、G5…抽気ガス(第2の抽気ガス)、G6…混合ガス。

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