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技術 複式筆記具

出願人 株式会社サクラクレパス
発明者 安永雅博
出願日 2016年2月8日 (5年0ヶ月経過) 出願番号 2016-022159
公開日 2017年8月17日 (3年6ヶ月経過) 公開番号 2017-140716
状態 特許登録済
技術分野 シャープペンシル及び出没式、複式筆記具
主要キーワード 総巻き数 各芯部材 両コイルばね 蛇行変形 螺旋部分 有効巻数 一体固着 JIS規格
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2017年8月17日)のものです。
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図面 (14)

課題

太さが異なる筆記芯が混在する複式筆記具であって、操作感が筆記芯によって異ならず、使用時の違和感が少ない複式筆記具を提供することである。

解決手段

先端に突出口9を有する軸筒2と、筆記部20,31を有する複数の筆記芯3a,3bと、複数のコイルばね7,8と、複数の操作手段5,45を有し、各筆記芯20,31の外周部にコイルばね7,8が装着された状態で複数の筆記芯3a,3bが軸筒2内に配されており、各筆記芯3a,3bはコイルばね7,8によって軸筒2内部方向に向かって付勢されており、操作手段5,45を操作することによって突出口9から選択的に筆記芯3a,3bを突出させる複式筆記具1において、コイルばね7,8には、ばね定数が実質的に同一であって内径が異なるものがあり、筆記芯3a,3bには太さが異なるものが混在し、太さの細い筆記芯3bには内径が小さいコイルばね8が装着されている。

概要

背景

軸筒内ボールペンレフィルや、シャープペンシルユニットを含む複数の筆記芯が内蔵された複式筆記具が知られている。複式筆記具では、軸筒の側面や後端から操作片等の操作部材が突出しており、使用者は操作片等を操作して各筆記芯を前後に移動させることができる。複式筆記具は、使用者が操作片等を操作して各筆記芯の先端部分を軸筒の先端開口から選択的に出没させて使用される。

このような筆記具として、例えば、特許文献1に開示された複式筆記具がある。特許文献1に開示されている複式筆記具では、各筆記軸(筆記芯)が各々コイルばね付勢力後方付勢されて軸筒内に収納されており、操作片等の操作部材を操作し、コイルばねの付勢力に抗して選択した一つの筆記軸を前方へ移動させると、当該筆記軸の先端部が軸筒の先端開口から突出する。そして、固定手段によって軸筒に対する当該筆記軸の位置が固定され、先端部が突出した状態を維持し、筆記可能な状態となる。

前記した様に複式筆記具は、複数の筆記芯を有し、操作片等を手動操作して一つの筆記芯を選択的に突出させて使用する。
複式筆記具は、突出させる筆記芯が違っていても、操作片等の操作感が同じであることが望ましい。例えば、赤色ボールペンレフィル、青色ボールペンレフィル、黒色ボールペンレフィル、シャープペンシルユニットの4種の筆記芯を有する場合、操作片等を操作していずれの筆記芯を突出させる場合でも同一の使用感で突出させることができることが望ましい。
そのため従来の複式筆記具では、各筆記芯を後方へ付勢するコイルばねとして、すべて同一規格のばねが使用されていた。即ち従来技術の複式筆記具では、複数の筆記芯を有し、それぞれの筆記芯にコイルばねが装着されているが、全てのコイルばねは同一規格であり、その自然長(全長)、外径内径線径巻数ばね定数は全て同じであった。

概要

太さが異なる筆記芯が混在する複式筆記具であって、操作感が筆記芯によって異ならず、使用時の違和感が少ない複式筆記具を提供することである。先端に突出口9を有する軸筒2と、筆記部20,31を有する複数の筆記芯3a,3bと、複数のコイルばね7,8と、複数の操作手段5,45を有し、各筆記芯20,31の外周部にコイルばね7,8が装着された状態で複数の筆記芯3a,3bが軸筒2内に配されており、各筆記芯3a,3bはコイルばね7,8によって軸筒2内部方向に向かって付勢されており、操作手段5,45を操作することによって突出口9から選択的に筆記芯3a,3bを突出させる複式筆記具1において、コイルばね7,8には、ばね定数が実質的に同一であって内径が異なるものがあり、筆記芯3a,3bには太さが異なるものが混在し、太さの細い筆記芯3bには内径が小さいコイルばね8が装着されている。

目的

本発明は、従来技術の上記した問題点に注目し、太さが異なる筆記芯が混在する複式筆記具であって、操作感が筆記芯によって異ならず、使用時の違和感が少ない複式筆記具を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

先端が開口し内部に中空部分を有する軸筒と、先端に筆記部を有する複数の筆記芯と、複数のコイルばねと、複数の操作手段を有し、各筆記芯の外周部に前記コイルばねが装着された状態で前記複数の筆記芯が前記軸筒内に配されており、各筆記芯は前記コイルばねによって軸筒内部方向に向かって付勢されており、操作手段を操作することによって先端の開口から選択的に筆記芯を突出させる複式筆記具において、複数のコイルばねには、ばね定数が実質的に同一であって内径又は外径が異なるものがあり、前記筆記芯には太さが異なるものが混在し、太さの細い筆記芯には内径又は外径の少なくとも一方が小さいコイルばねが装着されていることを特徴とする複式筆記具。

請求項2

太さの細い筆記芯には内径が小さいコイルばねが装着されており、当該内径が小さいコイルばねの線径は、内径が大きいコイルばねの線径よりも太いことを特徴とする請求項1に記載の複式筆記具。

請求項3

太さの細い筆記芯には内径が小さいコイルばねが装着されており、内径が小さいコイルばねの座巻き部分を除いた有効巻数は、内径が大きいコイルばねの座巻き部分を除いた有効巻数よりも多いことを特徴とする請求項1又は2に記載の複式筆記具。

請求項4

太さの細い筆記芯には内径が小さいコイルばねが装着されており、内径が小さいコイルばねは、端部に拡径部を有していることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の複式筆記具。

請求項5

太さが細い方の筆記芯が、シャープペンシルユニットであり、太さが太い方の筆記芯が、ボールペンレフィルであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の複式筆記具。

技術分野

0001

本発明は、複数の筆記芯軸筒内外に出退する機構を備えた複式筆記具に関するものである。

背景技術

0002

軸筒内ボールペンレフィルや、シャープペンシルユニットを含む複数の筆記芯が内蔵された複式筆記具が知られている。複式筆記具では、軸筒の側面や後端から操作片等の操作部材が突出しており、使用者は操作片等を操作して各筆記芯を前後に移動させることができる。複式筆記具は、使用者が操作片等を操作して各筆記芯の先端部分を軸筒の先端開口から選択的に出没させて使用される。

0003

このような筆記具として、例えば、特許文献1に開示された複式筆記具がある。特許文献1に開示されている複式筆記具では、各筆記軸(筆記芯)が各々コイルばね付勢力後方付勢されて軸筒内に収納されており、操作片等の操作部材を操作し、コイルばねの付勢力に抗して選択した一つの筆記軸を前方へ移動させると、当該筆記軸の先端部が軸筒の先端開口から突出する。そして、固定手段によって軸筒に対する当該筆記軸の位置が固定され、先端部が突出した状態を維持し、筆記可能な状態となる。

0004

前記した様に複式筆記具は、複数の筆記芯を有し、操作片等を手動操作して一つの筆記芯を選択的に突出させて使用する。
複式筆記具は、突出させる筆記芯が違っていても、操作片等の操作感が同じであることが望ましい。例えば、赤色ボールペンレフィル、青色ボールペンレフィル、黒色ボールペンレフィル、シャープペンシルユニットの4種の筆記芯を有する場合、操作片等を操作していずれの筆記芯を突出させる場合でも同一の使用感で突出させることができることが望ましい。
そのため従来の複式筆記具では、各筆記芯を後方へ付勢するコイルばねとして、すべて同一規格のばねが使用されていた。即ち従来技術の複式筆記具では、複数の筆記芯を有し、それぞれの筆記芯にコイルばねが装着されているが、全てのコイルばねは同一規格であり、その自然長(全長)、外径内径線径巻数ばね定数は全て同じであった。

先行技術

0005

特開2011−240555号公報

発明が解決しようとする課題

0006

前記した様に複式筆記具は、複数の筆記芯を内蔵しているが、筆記芯の太さは一様であるとは限らない。例えば、ボールペンレフィルとシャープペンシルユニットが混在している場合、ボールペンレフィルの太さとシャープペンシルユニットの太さが違う場合がある。またボールペンレフィル同士であっても色によってその太さが違う場合がある。

0007

従来技術においては、筆記芯の太さが違っていても、操作感に差異が生じない様に、同一規格のコイルばねが装着されていた。そのため筆記芯の外周面とコイルばねの内周クリアランスが筆記芯によって違うものとなり、筆記芯によって操作片の操作感が違ってしまう場合があった。すなわち、クリアランスが大きいと、圧縮されたコイルばねが蛇行状に変形したり、隣接するコイルばね同士が接触することにより、操作片の操作に違和感を覚えてしまう場合があった。

0008

具体的には、以下の様である。
図12(a)は、複式筆記具の内部を示しており、隣接した二つの筆記芯63aを部分的に拡大して示したモデル図である。両方の筆記芯63aに、同規格のコイルばね68が装着されている。図12(a)において、下方がペン先であり、筆記芯63aをペン先側へ移動させると、コイルばね68が圧縮される。すなわち、筆記芯63aのペン先を図示しない先端開口から突出させる際には、使用者はコイルばね68の付勢力に抗して操作片65を操作する。

0009

図12(a)に示す左方のコイルばね68が、図12(b)に示す様に圧縮された際に、コイルばね68が蛇行形状とならない様に、又は、蛇行形状が小さくなる様に、コイルばね68の内周から筆記芯63aの外周面までの距離(クリアランス)が設定されている。

0010

また、筆記芯63aに装着されたコイルばね68が、隣接する別のコイルばね68に接触しない様に、隣接する筆記芯63a同士の間隔F(図12(a))が設定されている。間隔Fが設定された結果、コイルばね68同士の間隔は、S4となっている。
また、コイルばね68が圧縮されると、図12(b)に示す例では、圧縮されたコイルばね68と、当該コイルばね68と隣接する別のコイルばね68の最も接近した部位の間隔はS5となる。すなわち、コイルばね68が座屈しても、両コイルばね68同士の間隔は、少なくとも間隔S5(S5<S4)が確保されており、両コイルばね68は接触しない。

0011

ところが、このコイルばね68を、図13(a)に示す様に、筆記芯63aよりも小径の筆記芯63bに装着すると、コイルばね68と筆記芯63bのクリアランスは大きくなる。その結果、筆記芯63bに装着されたコイルばね68は、圧縮されると図13(c)に示す様に、蛇行形状を呈し易くなる。
すなわち、図13(a)に示す様に、太さが比較的細い筆記芯63bが使用される場合には、当該筆記芯63bとコイルばね68の間のクリアランスが、筆記芯63aとコイルばね68のクリアランスよりも大きくなるため、筆記芯63bに装着されたコイルばね68が圧縮されると、当該コイルばね68は一方向のみならず、複数の方向に偏心したいわゆる蛇行形状を呈し易い。
その結果、使用者が操作片65を押圧する際に、手に掛かる荷重不規則に変化してしまう懸念がある。

0012

また筆記芯63bとコイルばね68のクリアランスが大きいため、当該コイルばね68が圧縮されると、隣接する他のコイルばね68と接触する恐れがある。すなわち、クリアランスが大きいため、図13(b)に示す様に、筆記芯63bに装着されたコイルばね68が大きく座屈することがある。そのため、当該コイルばね68が、隣接する他のコイルばね68と接触することがある。
その結果、操作片65を操作する際に、引っ掛かり感が生じてしまう。

0013

この様に従来技術の複式筆記具は、操作片等の操作感が筆記芯によって異なる場合があり、使用者に違和感を与える場合があった。

0014

本発明は、従来技術の上記した問題点に注目し、太さが異なる筆記芯が混在する複式筆記具であって、操作感が筆記芯によって異ならず、使用時の違和感が少ない複式筆記具を提供することを課題とする。

課題を解決するための手段

0015

上記課題を解決するための請求項1に記載の発明は、先端が開口し内部に中空部分を有する軸筒と、先端に筆記部を有する複数の筆記芯と、複数のコイルばねと、複数の操作手段を有し、各筆記芯の外周部に前記コイルばねが装着された状態で前記複数の筆記芯が前記軸筒内に配されており、各筆記芯は前記コイルばねによって軸筒内部方向に向かって付勢されており、操作手段を操作することによって先端の開口から選択的に筆記芯を突出させる複式筆記具において、複数のコイルばねには、ばね定数が実質的に同一であって内径又は外径が異なるものがあり、前記筆記芯には太さが異なるものが混在し、太さの細い筆記芯には内径又は外径の少なくとも一方が小さいコイルばねが装着されていることを特徴とする複式筆記具である。

0016

ここで、「実質的に同一」とは、コイルばねの誤差を考慮して同一の範囲と言えるものであることを意味している。すなわち、コイルばねは、全く同一のものを製造することが困難であり、同一仕様,同一の製造方法,同一の製造過程で製造しても、ロットによってばね定数にある程度のばらつきが生じてしまう。そのため、例えば、JIS B 2704−2:2009の「第2部:圧縮コイルばね仕様の表し方 6.2(c)ばね定数の許容差表4」にはばね定数の許容値が規定されている。例えば、JIS B 2704−2:2009では、最大でプラスマイナス12%の誤差を許容している。
本発明において、「実質的に同一」の範囲は、前記したJIS規格に限定されるものではないが、これに準じる範囲のものは「実質的に同一」であると言える。
本発明の複式塗布具では、太さの細い筆記芯には内径又は外径の少なくとも一方が小さいコイルばねが装着されている。
そのため当該筆記芯を突出させるべく操作手段(操作片等)を操作し、コイルばねを圧縮する際、コイルばねは蛇行せずに真っ直ぐに縮む。そのため操作手段を操作する際に使用者に引っ掛かり感等を感じさせない。
また各筆記芯に装着されているコイルばねは、ばね定数が実質的に同一である。そのため本発明の複式塗布具では、いずれの筆記芯を突出させる際にも同じような操作感を感じさせることができる。

0017

太さの細い筆記芯には内径が小さいコイルばねが装着されており、当該内径が小さいコイルばねの線径は、内径が大きいコイルばねの線径よりも太いことが望ましい(請求項2)。

0018

太さの細い筆記芯には内径が小さいコイルばねが装着されており、内径が小さいコイルばねの座巻き部分を除いた有効巻数は、内径が大きいコイルばねの座巻き部分を除いた有効巻数よりも多いことが望ましい(請求項3)。

0019

太さの細い筆記芯には内径が小さいコイルばねが装着されており、内径が小さいコイルばねは、端部に拡径部を有していることが望ましい(請求項4)。

0020

請求項5に記載の発明は、太さが細い方の筆記芯が、シャープペンシルユニットであり、太さが太い方の筆記芯が、ボールペンレフィルであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の複式筆記具である。

発明の効果

0021

本発明によると、太さが相違する各筆記芯の収納位置から突出位置まで移動する際における、操作手段の操作に違和感がない。

図面の簡単な説明

0022

本発明の実施形態に係る複式筆記具の斜視図であり、いずれの筆記芯のペン先も軸筒の先端の突出口から突出していない状態を示す。
図1において、ボールペンレフィルのペン先が突出口から突出している状態を示す斜視図である。
図1において、シャープペンシルユニットのペン先が突出口から突出している状態を示す斜視図である。
図1の複式筆記具の断面図である。
1つのボールペンレフィルと、当該ボールペンレフィルに係合する複式筆記具の要部のみを描写した説明図であり、(a)はペン先が軸筒内に収納されている状態を示し、(b)はペン先が軸筒から突出している状態を示す。
シャープペンシルユニットと、当該シャープペンシルユニットに係合する複式筆記具の要部のみを描写した説明図であり、(a)はペン先が軸筒内に収納されている状態を示し、(b)はペン先が軸筒から突出している状態を示す。
図1の複式筆記具のコイルばね部分を示す説明図であり、(a)は、シャープペンシルユニットに装着されているコイルばねと、ボールペンレフィルに装着されているコイルばねの、装着時の全長を示しており、(b)は、シャープペンシルユニットのペン先が、軸筒の先端の突出口から突出した際における、シャープペンシルユニットに装着されているコイルばねが座屈している状態を示している。
図1の複式筆記具のコイルばね部分を示す説明図であり、(a)は、シャープペンシルユニットに装着されているコイルばねと、ボールペンレフィルに装着されているコイルばねの、装着時の全長を示しており、(b)は、ボールペンレフィルのペン先が、軸筒の先端の突出口から突出した際における、ボールペンレフィルに装着されているコイルばねが座屈している状態を示している。
図4補助部材のA−A方向から見た矢視図である。
ボールペンレフィル用のコイルばねの側面図である。
シャープペンシルユニット用のコイルばねの側面図である。
従来の複式筆記具における筆記芯にコイルばねが装着された状態のモデル図であり、(a)は、両筆記芯が軸筒内に収納された筆記不能のときの各コイルばねの状態を示しており、(b)は、一方の筆記芯が軸筒から突出した際における、当該筆記芯に装着されているコイルばねが圧縮されて座屈している状態を示している。
従来の複式筆記具における太さが相違する筆記芯に各々同じ規格のコイルばねが装着された状態のモデル図であり、(a)は、両筆記芯が軸筒内に収納された筆記不能なときの各コイルばねの状態を示しており、(b)は、一方の筆記芯が軸筒から突出した際における、当該筆記芯に装着されているコイルばねが圧縮されて座屈している状態を示しており、(c)は、一方の筆記芯が軸筒から突出した際における、当該筆記芯に装着されているコイルばねが圧縮されて蛇行形状を呈している状態を示している。

実施例

0023

以下さらに、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の説明において前後の関係はペン先側を前側、ペン軸側を後側として説明する。
本実施形態の複式筆記具は、複数の芯部材を内蔵し、これを選択的に突出させることができるものである。本実施形態の複式筆記具は、芯部材を軸筒内部方向(すなわち、後方側)に付勢するコイルばねに特徴がある。特徴部分の説明に先立って、複式筆記具の概要について説明し、その後で特徴部分たるコイルばねについて詳細に説明する。

0024

本実施形態の複式筆記具1は、図1図4で示されるように、本体である軸筒2と、軸筒2の内部に配される芯部材3a,3b(筆記芯)と、芯部材3a,3bを所定の位置で前後移動可能に保持するための補助部材4と、操作部材5,45と、芯部材3a,3bを後方へ付勢する2種類のボールペンレフィル用コイルばね7,シャープペンシルユニット用コイルばね8を備えている。

0025

軸筒2は、図1に示す様に、前側筒部12と、後側筒部13により構成されている。これら前側筒部12と、後側筒部13の内部には空間が形成されており、それぞれの空間は、前側筒部12と後側筒部13が一体に取り付けられたとき、連通した状態となる。

0026

前側筒部12は、前後端にそれぞれ開口を有する略円筒状の部材であり、前端近傍の部分が前端に向かうにつれて狭径となっている。前端部分に形成された開口は、芯部材3の前端部分(ペン先部分)を外部に突出させるための突出口9となる開口であり、内部に形成される空間と外部とを連通させている。

0027

また、前側筒部12の後端部分に形成される開口は、前端部分に形成された突出口9よりも径の大きな開口となっており、軸筒2が組み立てられた際には、後側筒部13の内部空間に向かって開いた状態となる。また、前側筒部12の後端部分の近傍では、その外周面に外ネジ雄ネジ)が形成されている。この外ネジは、後側筒部13の内周面に形成された内ネジ(雌ネジ)と螺合可能である。

0028

後側筒部13は、前端に開口を有する略円筒状の部材であり、後端側は閉塞されている。後側筒部13の前端部分の近傍では、その内周面に内ネジ(雌ネジ)が形成されている。この内ネジは、前述した前側筒部12に形成された外ネジ(雄ネジ)と螺合可能である。また、後側筒部13の後端部分の近傍には、後側筒部13(軸筒2)の軸方向に沿って延びる縦溝17が形成されている。

0029

縦溝17は、後側筒部13の内外を貫通しており、後側筒部13の側面(外周面)に形成されており、外周面の後端部分から前方へ向かって延びている。この縦溝17の開口形状は、略縦長長方形状であり、前端部分及び後端部分に位置する角部分が丸みを帯びた形状となっている。つまり、縦溝17は、細長く延びる長孔,又はスリットとなっている。

0030

縦溝17は、複数設けられており、後側筒部13の周方向に間隔を空けて並列した状態となっている。そして、いずれの縦溝17も後側筒部13の側面を貫通し、内外を連通している。本実施形態では、縦溝17は四つ設けられている。

0031

また、後側筒部13の後端部分の近傍には、縦溝17と同様の縦溝18が形成されている。縦溝18は、縦溝17と同様に、後側筒部13の内外を貫通しており、後側筒部13の側面(外周面)に形成されており、外周面の後端部分から前方へ向かって延びている。縦溝18の開口形状は、略縦長長方形状であり、前端部分及び後端部分に位置する角部分が丸みを帯びた形状となっている。つまり、縦溝18は、細長く延びる長孔,又はスリットとなっている。縦溝18は、縦溝17よりも若干長い。

0032

また、縦溝18は、一つ設けられており、後側筒部13の周方向に複数の縦溝17と共に、間隔を空けて並列した状態となっている。すなわち、円周上の五箇所のうちの四箇所には縦溝17が設けられており、残りの一箇所に縦溝18が設けられている。

0033

次に、芯部材3aについて説明する。
芯部材3aは、公知のボールペンレフィルと同様のものであり、図5(a)に示されるように、ボールペンチップ20(筆記部),インク収納筒21を備えた構成となっている。

0034

ボールペンチップ20は、内蔵された金属製のボールを回転自在に固定する構造となっており、このボールの回転により、インク収納筒21から供給されるインクを外部の筆記対象物(紙等)に塗布可能となっている。

0035

インク収納筒21は、内部に所定の色のインクが内蔵された円筒体であり、その前端部分には、ボールペンチップ20が一体に固定されている。また、インク収納筒21の内部には、後端よりもやや前側寄りの部分に開口栓(図示しない)が設けられている。インク収納筒21の内部空間は、この開口栓によって前後の2つの空間に分割されており、前側に位置する空間にインクが充填された状態となっている。インク収納筒21の外径は、芯部材3aの外径を構成している。
インク収納筒21の後端には、後述の操作部材5が一体化されている。

0036

次に、芯部材3bについて説明する。
芯部材3bは、シャープペンシルユニットである。芯部材3bは、図6(a)に示す様に、ペン先ユニット31(筆記部)と、芯収納部32を有している。

0037

ペン先ユニット31は、芯(シャープペンシルの芯)を繰り出すための芯送り機構を備えており、芯部材3bの先端部(ペン先)を構成している。

0038

芯収納部32は、筒状の部位である。芯収納部32の前端は開口しており、開口した前端にペン先ユニット31の後端部が挿入されている。すなわち、芯収納部32とペン先ユニット31は、着脱が可能に一体化されている。
芯収納部32の後端には、後述の操作部材45が一体化されている。

0039

芯収納部32には、複数の芯(シャープペンシルの芯)が内蔵されている。芯収納部32内の芯が、芯送り機構によってペン先ユニット31から繰り出される。

0040

次に補助部材4について説明する。
図4に示す補助部材4は、軸筒2(後側筒部13)の内部に固定された部材であり、複数(本実施形態では4つ)の芯部材保持孔25(図5(a),図9)と、1つの芯部材保持孔26(図6(a),図9)を有している。芯部材保持孔25,26は、前後方向に補助部材4を貫通した孔である。隣接する最も近い芯部材保持孔25同士又は芯部材保持孔25と芯部材保持孔26の中心間距離Fは、3.5mm程度である。
芯部材保持孔25,26は、それぞれ芯部材3a,3b(筆記芯)を挿通させる貫通孔であり、芯部材3a,3b(筆記芯)を前後方向に移動させるためのガイドとして機能する。
また、補助部材4の後端には、支持面19が設けられている。支持面19は、後述のコイルばね7,8の前端を当接させて支持する支持部として機能する。

0041

図9に示す様に、補助部材4には、四つの芯部材保持孔25と一つの芯部材保持孔26が略等間隔に設けられている。すなわち、四つの芯部材保持孔25の中心と、芯部材保持孔26の中心を結ぶと、略正五角形になる。
そのため、各芯部材保持孔25と芯部材保持孔26は、ほぼ等間隔に配置されていて、隣接する芯部材保持孔25の中心間距離F、又は隣接する芯部材保持孔25と芯部材保持孔26の中心間距離Fは、ほぼ同じである。すなわち、隣接するコイルばね7同士、又は隣接するコイルばね7,8同士の中心間距離は、Fである。

0042

図5(a)に示す様に、操作部材5は、長細い操作部本体42と、操作部本体42の上面から上方へ突出する操作突起43と、係合部44を備えている。

0043

操作部本体42は、前後方向に延びる略直方体状の部位である。
操作突起43は、複式筆記具1の使用者が操作するための突出した部位である。
ここで、操作部本体42の上面は、複式筆記具1の組み立て時に外側面となる部分である。つまり、操作突起43は、操作部本体42の外側面から外側へ突出した部分であるともいえる。なお、この操作突起43は、操作部本体42の後端寄りの部分に形成されており、その突出端部分が丸みを帯びた形状となっている。
係合部44は、操作部本体42の前端付近に設けられた鍔状の部位である。
係合部44は、芯部材3aのインク収納筒21の後端と一体化されている。
係合部44は、後述のボールペンレフィル用コイルばね7の後端部分が当接する部位である。

0044

図6(a)に示す様に、操作部材45は、長細い操作部本体46と、操作部本体46の上面から上方へ突出する操作突起47と、係合部48を備えている。

0045

操作部本体46は、前後方向に延びる略直方体状の部位である。
操作突起47は、後述のクリップ6が一体固着された部位である。
ここで、操作部本体46の上面は、複式筆記具1の組み立て時に外側面となる部分である。つまり、操作突起47は、操作部本体46の外側面から外側へ突出した部分であるともいえる。なお、この操作突起47は、操作部本体46の後端寄りの部分に形成されており、その突出端部分が丸みを帯びた形状となっている。
係合部48は、操作部本体46の前端付近に設けられた鍔状の部位である。
係合部48は、芯部材3bの芯収納部32の後端と一体化されている。
係合部48は、後述のシャープペンシルユニット用コイルばね8の後端部分が当接する部位である。

0046

クリップ6は、前端部分に玉部6aを有しており、玉部6aが軸筒2の外周面に当接又は近接している。また、クリップ6の後端部分は、操作部材45の操作突起47と一体固着されている。すなわち、複式筆記具1の使用者がクリップ6を操作すると、クリップ6と共に操作突起47(操作部材45)が移動する。

0047

ボールペンレフィル用コイルばね7,シャープペンシルユニット用コイルばね8の詳しい構成については後述する。

0048

次に、本実施形態の複式筆記具1の組み立て構造について説明する。

0049

図4に示す様に、後側筒部13内に補助部材4が配置されており、補助部材4は後側筒部13内で固定されている。
前側筒部12と後側筒部13は、螺合して一体化されている。すなわち、前側筒部12の後端側に形成した外ネジと、後側筒部13の前端側に形成した内ネジとが螺合しており、両者が一体化されている。

0050

ボールペンレフィルである各芯部材3a(筆記芯)に、各々ボールペンレフィル用コイルばね7が外嵌されている。各芯部材3a(インク収納筒21)が、補助部材4の芯部材保持孔25(図9)に挿通されており、各芯部材3aの先端部分(ボールペンチップ20)が、図4図5(a)に示す様に、前側筒部12内に配置されている。

0051

各芯部材3aの後端に一体化されている操作部材5の操作部本体42が、後側筒部13の縦溝17(図1図2)にそれぞれ係合している。すなわち、操作部材5の操作突起43が、縦溝17に嵌入されており、後側筒部13の内側に配した操作部材5の一部である操作突起43が、縦溝17から外部に突出した状態となっている。このことから、操作突起43が縦溝17に沿ってスライド移動可能な状態となっている。

0052

図5(a),図5(b)に示す様に、ボールペンレフィル用コイルばね7は、補助部材4と芯部材3aと一体の操作部材5(係合部44)の間に配置されている。ボールペンレフィル用コイルばね7の前端は、補助部材4の支持面19(図5(a)、図9)に当接している。また、ボールペンレフィル用コイルばね7の後端は、操作部材5の係合部44に当接している。すなわち、ボールペンレフィル用コイルばね7は、補助部材4の支持面19と操作部材5の係合部44の間で若干圧縮された状態となっている。

0053

同様に、シャープペンシルユニットである芯部材3b(筆記芯)には、シャープペンシルユニット用コイルばね8が外嵌されている。芯部材3bは、補助部材4の芯部材保持孔26(図9)に挿通されており、芯部材3bの先端部分(ペン先ユニット31)は、図4図6(a)に示す様に、前側筒部12内に配置されている。
補助部材4の芯部材保持孔25,26の中心間距離Fは、隣接する芯部材3a,3bの中心間距離と略一致している。

0054

図4に示す様に、芯部材3bの後端に一体化されている操作部材45の操作部本体46が、後側筒部13の縦溝18に係合しており、操作部材45の操作突起47が縦溝18に嵌入されている。そして、後側筒部13の内側に配した操作部材45の一部である操作突起47が、縦溝18から外部に突出した状態となっている。このことから、操作突起47が縦溝18に沿ってスライド移動可能な状態となっている。

0055

図6(a),図6(b)に示す様に、シャープペンシルユニット用コイルばね8は、補助部材4と操作部材45(係合部48)の間に配置されている。芯部材3bに外嵌されたシャープペンシルユニット用コイルばね8の前端は、補助部材4の支持面19(図6(a)、図9)に当接している。また、シャープペンシルユニット用コイルばね8の後端は、操作部材45の係合部48に当接している。すなわち、シャープペンシルユニット用コイルばね8の両端は、補助部材4の支持面19と芯部材3bの後端に一体化されている操作部材45の係合部48に当接しており、シャープペンシルユニット用コイルばね8は圧縮されている。

0056

このように各部材を組み合わせることにより、本実施形態の複式筆記具1が組み立てられることとなる。

0057

次に、複式筆記具1の動作について説明する。
本実施形態の複式筆記具1では、コイルばね7,8が、軸筒2の内部方向に向かって、各芯部材3a,3bを付勢している。複式筆記具1は、このコイルばね7,8の付勢力に抗して、軸筒2の外部に露出した操作突起43,47を前後方向にスライド移動させることで、ボールペンチップ20(芯部材3aの先端部分)や、ペン先ユニット31(芯部材3bの先端部分)を軸筒2(前側筒部12)の突出口9から選択的に出没させることができる。

0058

例えば、ボールペンチップ20(ペン先)が軸筒2内に退入した状態から、使用者が操作突起43の1つを前側(ペン先側)に、ボールペンレフィル用コイルばね7の付勢力に抗して押圧しスライド移動させると、操作部材5が前側へ移動する。これに伴って、操作部材5と連結したインク収納筒21もまた前側へと移動し、インク収納筒21と一体のボールペンチップ20が突出口9から突出する。すなわち、ボールペンチップ20は、収納位置から突出位置に移動する。収納位置では、ボールペンチップ20は、軸筒2(前側筒部12)内に収納される。突出位置では、ボールペンチップ20は、軸筒2の突出口9から突出する。
そして、図示しない係合手段により、軸筒2に対する芯部材3aの位置が固定され、ボールペンチップ20が突出口9から突出した状態が維持される。

0059

また、この突出状態から芯部材3aのボールペンチップ20(ペン先)を軸筒2の内部に退入させる場合、図示しない係合手段による係合を解除する。これにより芯部材3aは、ボールペンレフィル用コイルばね7の付勢力によって後側へ移動し、ボールペンチップ20が軸筒2内に退入する。すなわち、ボールペンチップ20が、軸筒2の突出口9から突出した突出位置から、軸筒2(前側筒部12)内の収納位置に移動する。

0060

図1では、全ての操作突起43が縦溝17の後端に位置しており、また、クリップ6と一体の操作突起47が縦溝18の後端に位置している。すなわち、全てのボールペンチップ20とペン先ユニット31が、前側筒部12(軸筒2)内に収納された状態が示されている。図2では、ある一つの操作突起43が縦溝17の前端側に位置しており、ボールペンチップ20が突出口9から突出した状態が示されている。

0061

同様に、縦溝18(図4)の後端に位置している芯部材3bの操作部材45の操作突起47(クリップ6)を、縦溝18に沿って前側へ移動させると、図3に示す様に、軸筒2の突出口9からペン先ユニット31が突出する。すなわち、ペン先ユニット31は、収納位置から突出位置に移動する。収納位置では、ペン先ユニット31は、軸筒2(前側筒部12)内に収納される。突出位置では、ペン先ユニット31は、軸筒2の突出口9から突出する。
そして、図示しない係合手段によって軸筒2に対する芯部材3bの位置が固定され、ペン先ユニット31が突出口9から突出した状態が維持される。

0062

また、この突出状態から芯部材3bのペン先ユニット31(ペン先)を軸筒2の内部に退入させる場合、図示しない係合手段による係合を解除する。これにより芯部材3bは、シャープペンシルユニット用コイルばね8の付勢力によって後側へ移動し、ペン先ユニット31が軸筒2内に退入する。すなわち、ペン先ユニット31が、軸筒2の突出口9から突出した突出位置から、軸筒2(前側筒部12)内の収納位置に移動する。

0063

図1に示す複式筆記具1では、全ての操作部材5(操作突起43)が縦溝17(図4)の後端に位置しており、また、クリップ6(操作突起47)が縦溝18の後端に位置している。図1には、各ボールペンチップ20とペン先ユニット31が前側筒部12(軸筒2)内に収納された状態が示されている。
図2には、操作突起43の一つが縦溝17の前端側に位置しており、当該操作突起43に対応するボールペンチップ20が突出口9から突出した状態が示されている。
図3には、操作突起47が縦溝18の前端側に位置しており、当該操作突起47に対応するペン先ユニット31が突出口9から突出した状態が示されている。

0064

すなわち、複式筆記具1は、使用者がいずれかの芯部材3a(ボールペンチップ20)と一体の操作部材5、又は芯部材3b(ペン先ユニット31)と一体の操作部材45(クリップ6)を操作することにより、芯部材3a又は芯部材3bが軸筒2の前後方向(軸方向)に移動し、芯部材3a,3bの先端部分(ボールペンチップ20,ペン先ユニット31)が軸筒2の内外に出没する構成となっている。すなわち、いずれかの操作部材5,45を軸方向の前方へ移動させることにより、芯部材3a又は3bの先端部分(ペン先)が前方へと移動し、軸筒2の突出口9から外部へ繰り出される。また、この状態から操作部材5,45を後方へ移動させることにより、芯部材3a,3bの先端部分が後方へ移動し、軸筒2の内部に退入する。

0065

次に本発明の特徴部分たるコイルばねについて説明する。

0066

ボールペンレフィル用のコイルばねであるコイルばね7は、ボールペンレフィルである芯部材3aの外周部に装着されている。
また、シャープペンシルユニット用のコイルばねであるコイルばね8は、シャープペンシルユニットである芯部材3bの外周部に装着されている。

0067

図7は、線径(断面径),単位長さ当たりのコイル巻数巻径(内径)が異なる2つのコイルばね7,8を芯部材3a,3bに外嵌させた場合のモデル図である。コイルばね7,8は、線径(断面径),単位長さ当たりのコイル巻数,巻径が相違しているが、ばね定数は同じ(実質的に同一)である。

0068

図7(a),図7(b)において、複式筆記具全体の描写は省略している。
ボールペンレフィルである芯部材3aの太さはW1であり、シャープペンシルユニットである芯部材3bの太さはW2である。芯部材3a(ボールペンレフィル)は、芯部材3b(シャープペンシルユニット)よりも太い(W1>W2)。芯部材3aの中心(軸芯)と、芯部材3bの中心(軸芯)の距離はFである。

0069

ボールペンレフィル用コイルばね7のばね定数はK、線径(太さ)はd1、巻数はN1、自然状態のときの巻径(内径)はD1である。
ここで、巻数とは、ボールペンレフィル用コイルばね7の両端の座巻部分(7a,7b)や、必要に応じてコイルばね7の中央部分に形成される密集した部分を除く有効巻数である。すなわち、巻数とは、ボールペンレフィル用コイルばね7における伸縮方向(軸方向)に弾性変形する螺旋部分周回数カウントしたものである。

0070

巻径D1(内径)は、ボールペンレフィル用コイルばね7が自然状態のときの寸法であるが、巻径D1は、ボールペンチップ20が突出位置に移動し、コイルばね7が圧縮変形した際に、当該コイルばね7が蛇行形状にならない、又は蛇行形状になりにくい大きさに設定されている。すなわち、コイルばね7が圧縮された際に、当該コイルばね7が複数方向に偏心しにくくなる様に、コイルばね7と芯部材3aのクリアランスC1が設定されている。芯部材3aの外径(太さ)をW1とすると、クリアランスC1は、C1=(D1−W1)/2となる。

0071

図示していないが、ボールペンレフィル用コイルばね7の自然長はLである。
また、図7(a)に示す様に、コイルばね7の装着時長さ(ボールペンチップ20が軸筒2内に退入しているときの長さ)はL1(L1<L)である。すなわち、コイルばね7は、若干縮設されている。

0072

一方、シャープペンシルユニット用コイルばね8のばね定数はK、線径はd2、巻数はN2、自然状態のときの巻径(内径)はD2である。
ここで、巻数とは、コイルばね8の両端の座巻部分(8a,8b)や、必要に応じてコイルばね8の中央部分に形成される密集した部分を除く有効巻数である。すなわち、巻数とは、コイルばね8における伸縮方向(軸方向)に弾性変形する螺旋部分の周回数をカウントしたものである。

0073

線径d2は、コイルばね7の線径d1よりも大きい(d2>d1)。

0074

巻径D2(内径)は、シャープペンシルユニット用コイルばね8が自然状態のときの寸法であるが、巻径D2は、コイルばね8が圧縮変形した際に、当該コイルばね8が蛇行形状にならない、又は蛇行形状になりにくい大きさに設定されている。すなわち、コイルばね8が圧縮された際に、当該コイルばね8が複数方向に偏心しにくくなる様に、コイルばね8と芯部材3bのクリアランスC2が設定されている。芯部材3bの外径(太さ)をW2とすると、クリアランスC2は、C2=(D2−W2)/2となる。

0075

図示していないが、シャープペンシルユニット用コイルばね8の自然長はLである。
また、図7(a)に示す様に、コイルばね8の装着時長さ(ペン先ユニット31が軸筒2内に退入しているときの長さ)はL1(L1<L)である。すなわち、コイルばね8は、若干縮設されている。

0076

シャープペンシルユニット用コイルばね8とボールペンレフィル用コイルばね7を比較すると、以下の様である。
コイルばね7,8の長さは同じLである。
コイルばね7,8のばね定数Kは実質的に同一である。
ここで、「実質的に同一」とは、コイルばね7,8の製造誤差等を考慮して同一の範囲と言えるものであることを意味している。
コイルばね8の線径d2は、コイルばね7の線径d1よりも大きい(d2>d1)。
コイルばね8の巻径D2は、コイルばね7の巻径D1よりも小さい(D2<D1)。
また、図7(a)では、詳しく示していないが、コイルばね8の単位長さ当たりの巻数N2は、コイルばね7の単位長さ当たりの巻数N1よりも多い(N2>N1)。

0077

次に、コイルばね7,8と、芯部材3a,3bの位置関係について図7(a)を参照しながら説明する。

0078

図7(a)に示す様に、コイルばね7は芯部材3aに外嵌されており、補助部材4と操作部材5の係合部44の間に装着されている。コイルばね7の装着時長さはL1(L1<L)である。コイルばね7は、圧縮ばねとして機能する。

0079

また、コイルばね7の装着時長さはL1であり、ボールペンチップ20を突出口9(図2)から突出させたときの突出時長さはL2である。すなわち、コイルばね7の長さは、装着時長さL1から突出時長さL2の間で変化する。
換言すると、操作部材5のストロークは、L1−L2である。

0080

さらに、コイルばね7と芯部材3aのクリアランスC1は、C1=(D1−W1)/2である。すなわち、コイルばね7と芯部材3aの軸芯が一致している状態からコイルばね7は、芯部材3aに対してクリアランスC1だけ偏心する余地があるが、クリアランスC1は十分に小さく、ボールペンチップ20が軸筒2から突出してコイルばね7が圧縮されても、コイルばね7は、図8(b)に示す様に、蛇行形状になりにくい。

0081

図7(a)に示す様に、コイルばね8は芯部材3bに外嵌されており、補助部材4と操作部材45の係合部48の間に装着されている。コイルばね8の装着時長さはL1(L1<L)である。コイルばね8は、圧縮ばねとして機能する。

0082

また、コイルばね8の装着時長さはL1であり、ペン先ユニット31を突出口9(図3)から突出させたときの突出時長さはL2である。すなわち、コイルばね7の長さは、装着時長さL1から突出時長さL2の間で変化する。

0083

換言すると、操作部材45(クリップ6)のストロークは、L1−L2であり、操作部材5のストロークと同じである。そのため、芯部材3aを操作する操作部材5と、芯部材3bを操作する操作部材45の操作感は同様になる。

0084

また、コイルばね8と芯部材3bのクリアランスC2は、C2=(D2−W2)/2である。すなわち、コイルばね8と芯部材3bの軸芯が一致している状態からコイルばね8は、芯部材3bに対してC2だけ偏心する余地があるが、クリアランスC2は十分に小さく、ペン先ユニット31が軸筒2から突出してコイルばね8が圧縮されても、コイルばね8は、図7(b)に示す様に、蛇行形状になりにくい。

0085

図7(a)に示す状態では、いずれの芯部材3a,3bも軸筒2の突出口9(図1)から突出しておらず、複式筆記具1は筆記不能である。
図7(a)に示す複式筆記具1が筆記不能な状態、すなわち、全ての芯部材3a,3bが収納位置にあるときには、コイルばね7,8は、F−(d1+d2+(D1+D2)/2)だけ離間している。説明を簡略化するため、F−(d1+d2+(D1+D2)/2)=S1とする。

0086

複式筆記具1は、次の様に動作する。
図1図7(a)に示す状態、すなわち、いずれの芯部材3a,3bも軸筒2の突出口9(開口)から突出していない筆記不能な状態から、図3図7(b)に示す状態、すなわち、芯部材3bのペン先ユニット31を突出口9から突出させた筆記可能な状態とする際には、使用者は、図6(a)に示す当該芯部材3bに対応する操作部材45(クリップ6)を操作する。すなわち、操作部材45(クリップ6)を前方へ移動させる。

0087

その結果、操作部材45が複式筆記具1の先端方向(前側)に移動し、コイルばね8が操作部材45の係合部48に押圧されてさらに圧縮され、前後方向(軸芯方向)の長さがL2(L1>L2)となる。その際、コイルばね8は、軸芯方向に真っ直ぐに圧縮されるとは限らず、例えば図7(b)に示す様に偏る(座屈する)。

0088

この場合、図7(a),図7(b)において拡大して示す様に、隣接するコイルばね7に対して、コイルばね8は、座屈せずに真っ直ぐに圧縮された場合と比較して、最大でコイルばね8と芯部材3bのクリアランスC2分だけ接近する。

0089

ところが、芯部材3aよりも細い芯部材3bに外嵌されているコイルばね8の巻径(内径)D2は、芯部材3aに外嵌されているコイルばね7の巻径(内径)D1よりも小さく設定されており、コイルばね8と芯部材3bのクリアランスC2は、十分に小さい。

0090

そのため、コイルばね8は、蛇行形状になりにくく、また、隣接するコイルばね7にほとんど接近せず、図7(a),図7(b)に示す様に、両コイルばね7,8は、最も接近した場合でもS2=S1−C2だけ離間している。

0091

また、ペン先ユニット31が、図3に示す様な軸筒2から突出した状態と、図1に示す様な軸筒2内に退入した状態になる際においても、両コイルばね7,8の間には、少なくとも間隔S2があり、両コイルばね7,8が接触することはない。
よって、シャープペンシルユニットである芯部材3bの突出と退入の動作は円滑であり、操作部材45(クリップ6)の操作感は良好である。

0092

次に、芯部材3aのボールペンチップ20が、軸筒2の突出口9から突出する場合について説明する。

0093

本実施形態の複式筆記具1では、図7(a)に示すコイルばね7は、図12に示す従来のコイルばね68と同一規格のものであり、さらに、図7(a)に示す隣接した芯部材(筆記芯)同士の中心間距離Fは、図12(a)に示す従来の複式筆記具の筆記芯同士の中心間距離Fと同じである。
そのため、突出位置に移動する芯部材3aに外嵌したコイルばね7は、座屈しても、隣接する他のコイルばね7に接触することはない。

0094

ここで、図8(a)に示すコイルばね8は、図12(a)の左側に示すコイルばね68よりも巻径が小径であるため、コイルばね7,8の間隔S1は、図12(a)に示すコイルばね68同士の間隔S4よりも大きい。

0095

すなわち、図8(b)に示す様に、コイルばね7が座屈した際におけるコイルばね7とコイルばね8の最も接近した部位の間隔S3は、図12(b)におけるコイルばね68同士の最も接近した部位の間隔S5よりも大きくなる。
そのため、図8(b)に示す様にコイルばね7が圧縮されて座屈しても、コイルばね7がコイルばね8に接触することはあり得ない。
よって、コイルばね7を圧縮する場合(ボールペンチップ20を突出口9から突出させる場合)においても、当該コイルばね7は、他のいずれのコイルばね7,8とも接触しない。

0096

また、図7(a)に示すコイルばね7と芯部材3aのクリアランスC1は、コイルばね7が圧縮されたときに蛇行形状になりにくい大きさに設定されている。そのため、図8(b)に示す様に、コイルばね7が圧縮されても、コイルばね7は蛇行変形しにくい。
その結果、操作部材5の操作は円滑であり、良好な使用感が得られる。

0097

コイルばね7,8の自然長や装着時長さは、必ずしも一致している必要はないが、伸縮のストロークが一致しているのが好ましい。すなわち、コイルばね7,8のばね定数と伸縮のストロークが同じであると、操作部材5,45の操作感が同様になり、好ましい。

0098

図10は、ボールペンレフィル用コイルばねの具体的な実施例を示している。
図10に示すボールペンレフィル用コイルばね71は、両端部分に7巻の座巻部27,28(密集部)があり、中央部に8巻の密集部29がある。ボールペンレフィル用コイルばね71は、これらの座巻部27,28及び密集部29とは別に14巻有しており、総巻き数は36巻である。すなわち、ボールペンレフィル用コイルばね71の有効巻き数は14巻である。ボールペンレフィル用コイルばね71の巻き数は、これによらず、任意に設定することができる。ボールペンレフィル用コイルばね71の材質は、例えばステンレスを採用することができる。

0099

ボールペンレフィル用コイルばね71の自然長は、26.4mmであり、軸筒2内に装着され、ボールペンチップ20が軸筒2内に収納されている装着時長さ(取付時長さ)は、22.7mmである。そして、ボールペンチップ20を軸筒2の突出口9から突出させた状態(使用時長さ)は、8.4mmである。すなわち、軸筒2内のボールペンチップ20の移動距離(ストローク)は、14.3mmである。

0100

図11は、シャープペンシルユニット用コイルばね72の具体的な実施例を示している。
シャープペンシルユニット用コイルばね72は、ボールペンレフィル用コイルばね71とは単位長さ当たりの巻き数,巻径が相違している。

0101

すなわち、巻径が小さいコイルばね72の有効巻数は、巻径が大きいコイルばね71の有効巻数よりも多くすることにより、両コイルばね71,72のばね定数を実質的に同一にし易い。

0102

具体的には、図11に示す様に、シャープペンシルユニット用コイルばね72は、両端部分に2巻の座巻部37,38(密集部)があり、中央部にも2巻の密集部39がある。シャープペンシルユニット用コイルばね72は、これらの座巻部37,38及び密集部39とは別に28巻有しており、総巻き数は34巻である。すなわち、シャープペンシルユニット用コイルばね72の有効巻き数は28巻である。

0103

シャープペンシルユニット用コイルばね72の座巻部を含む両端部分は、端部へいくほど若干拡径する拡径部36を構成している。

0104

また、シャープペンシルユニット用コイルばね72の自然長は、28.0mmであり、ペン先ユニット31が軸筒2内に収納されているときの装着時長さ(取付時長さ)は、22.7mmである。そして、ペン先ユニット31を軸筒2の突出口9から突出させた状態(使用時長さ)は、8.4mmである。よって、軸筒2内のペン先ユニット31の移動距離(ストローク)は、14.3mmである。

0105

すなわち、ボールペンレフィル用コイルばね71とシャープペンシルユニット用コイルばね72とでは、自然長が相違しているが、装着時長さ(ペン先が軸筒2から突出していない非筆記状態のときの長さ)とペン先が軸筒2から突出した筆記可能な状態のときの長さ(8.4mm)が一致しており、両コイルばね71,72の移動距離(14.3mm)は同じである。

0106

ボールペンレフィル用コイルばね71,シャープペンシルユニット用コイルばね72のばね定数は、共に0.0035kgf/mm(0.034N/mm)である。すなわち、ボールペンレフィル用コイルばね71,シャープペンシルユニット用コイルばね72のばね定数は同じである。

0107

両コイルばね71,72は、ばね定数と移動距離(ストローク)が同じであるので、複式筆記具の使用者は、ボールペンレフィルとシャープペンシルユニットのいずれを操作する際においても、同様の操作感が得られる。ただし、両コイルばね71,72の自然長は相違しているので、操作部材5,45を操作するのに要する押圧力には差がある。すなわち、装着時長さが同じ両コイルばね71,72のうち、自然長が長いコイルばね72の方が、大きな押圧力が必要である。しかし、ばね定数が同じであるので、芯部材の移動開始から移動終了に至る両コイルばね71,72の押圧力の変化の仕方は同じである。そのため、当該複式筆記具は、使用者に良好な使用感を与えることができる。

0108

複数のボールペンレフィルと一つのシャープペンシルユニットが混在している複式筆記具において、仮に、クリップ6が操作部材45に装着されておらず、全ての芯部材3a,3bを、同様の操作部材5で操作する場合においても、上述の様に、必要な押圧力に差を設けることにより、使用者は、特定の操作部材5に対応する芯部材3bが、シャープペンシルユニットであることを認識することができる。

0109

芯部材3aと芯部材3bの外径(太さ)は相違しており、芯部材3aの方が太い。例えば、芯部材3aの外径は2.6mmであり、芯部材3bの外径は2.3mmである。これらの芯部材3a,3bには、以下の様なコイルばね71,72を装着することができる。

0110

芯部材3aに装着されるボールペンレフィル用コイルばね71の外径は3.05mmであり、内径は2.65mmであり、線径(太さ)は0.2mmである。
芯部材3bに装着されるシャープペンシルユニット用コイルばね72(両端の拡径部36を除く)の外径は3.1mmであり、内径は2.64mmであり、線径(太さ)は0.23mmである。

0111

すなわち、太さの細い芯部材3bには、内径が小さいコイルばね72が装着されている。
太さが細い芯部材3bに対して内径が小さいコイルばね72を装着することにより、芯部材3bとコイルばね72のクリアランスが小さくなり、コイルばね72が圧縮された際に、コイルばね72が蛇行変形したり、隣接する他のコイルばね71に接触しにくくなる。

0112

また、コイルばね72の内径のみならず、外径を小さくしてもよい。すなわち、コイルばね72の外径が小さいと、隣接する他のコイルばね71との間隔が広くなり、他のコイルばね71と接触しにくくなる。例えば、コイルばね72の線径(太さ)を細くすると、コイルばね72の内径及び外径を共に小さくすることができ、効果が高い。

0113

また、内径が小さいシャープペンシルユニット用コイルばね72の両端には拡径部36が設けられている。
コイルばね72は、両端の拡径部36によって、補助部材4の支持面19や、操作部材45の係合部48に対する着座が安定し、位置が固定され易い。そのため、コイルばね72の伸縮動作が安定する。

0114

また、内径(巻径)が小さいコイルばね72の線径(太さ)は、内径(巻径)が大きいコイルばね71の線径(太さ)よりも太い。例えば、内径(巻径)が小さいコイルばね72の線径(太さ)は0.23mmであり、内径(巻径)が大きいコイルばね71の線径(太さ)は0.2mmである。
この様に、両コイルばね71,72の線径を設定することにより、両コイルばね71,72のばね定数を実質的に同一に設定し易い。

0115

上述の実施形態では、芯部材3a,3bが、ボールペンレフィル,シャープペンシルユニットである場合を示したが、本発明はこれによらず、様々な態様に応用することができる。例えば、全ての芯部材をボールペンレフィルとし、特定の色(例えば黒)を太くし、その他の色を細くしてもよい。また、太い芯部材3aの数と細い芯部材3bの数は、任意に設定可能である。例えば、5色ボールペンであれば、3色を太い芯部材3aとし、残りの2色を細い芯部材3bとするなど適宜振り分けてもよい。

0116

また、芯部材としては、例えば、タッチパネルを操作するためのタッチペンであってもよい。さらに、芯部材は、白色顔料を塗布して筆記した文字修正する塗布具(所謂修正ペン)であってもよい。つまり、芯部材は、外部の筆記対象物に文字等(文字、図柄、記号)を筆記する用に供するもの、又は、筆記した文字を消去、修正に供するものである。

0117

1複式筆記具
2軸筒
3a芯部材(ボールペンレフィルの筆記芯)
3b 芯部材(シャープペンシルユニットの筆記芯)
5操作部材(操作手段)
7 ボールペンレフィル用コイルばね
8 シャープペンシルユニット用コイルばね
9突出口(開口)
20ボールペンチップ(筆記部)
31ペン先チップ(筆記部)

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