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技術 滅菌後のポリマーステントの分子量を安定化させる方法

出願人 アボットカルディオバスキュラーシステムズインコーポレーテッド
発明者 ワン,ユンビンモーティセン,デレクマー,シャオタン,フー‐ウェイランバート,バイロン
出願日 2017年2月27日 (2年11ヶ月経過) 出願番号 2017-035331
公開日 2017年8月17日 (2年5ヶ月経過) 公開番号 2017-140398
状態 特許登録済
技術分野 消毒殺菌装置 医療用材料 媒体導出入付与装置
主要キーワード 減衰メカニズム 製品ユニット 周期的負荷 径方向圧縮力 構造的パターン 大気レベル 降伏力 加えた応力
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2017年8月17日)のものです。
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図面 (12)

課題

滅菌された生体吸収性ポリマーステントを作製する方法の提供。

解決手段

網状組織105のスキャホールドを有するステント100の製造で、スキャホールドは生体吸収性ポリマーであるポリ(L−ラクチド)を含み、スキャフォールドを滅菌の為に電子ビーム放射線暴露するステップを有し、暴露中、スキャフォールドは、酸素不活性ガス混合ガスを含む、封止されたガス不透過パッケージ内にあり、混合ガスの酸素含有量は1%以下であり、スキャフォールドの使用まで、スキャフォールドを混合ガス内に格納するステップを有し、混合ガス内の酸素はスキャフォールドのポリマー内のフリーラジカルクエンチし、スキャフォールドのポリマーの分子量を安定化させる、格納するステップを備え、5日未満の前記格納後、前記フリーラジカル濃度が5×107DI/mg未満である、滅菌された生体吸収性ポリマーステントを作製する方法。

概要

背景

本発明は、体内管腔への埋込みに適合した、径方向拡張可能エンドプロステーゼに関する。「エンドプロテーゼ」とは体内に配置される人工装具のことである。「管腔」とは血管等の管状臓器キャビティ(空洞)を指す。ステントはエンドプロテーゼの一例である。ステントは概して円筒形状をした機器であり、血管、または尿道および胆管等の他の解剖学的な管腔の一部を開通したままに保ち、時には拡張させる機能を有する。ステントは、血管内のアテローム硬化狭窄治療で使用されることが多い。「狭窄」とは体内の通路または開口部が狭くなっているかまたは収縮していることを指す。このような治療では、ステントは体内の血管を補強し、血管系の血管形成術後の再狭窄を防ぐ。「再狭窄」は、治療(バルーン血管形成術、ステント埋込み術または弁形成術)が明らかに成功した後に再発する血管または心臓弁の狭窄を指す。

ステントは、スキャフォールド骨格)で構成されるのが典型であり、スキャフォールドは、構造的な要素つまりストラット相互連結したパターンつまり網状組織を含み、ストラットは、線材チューブ、または素材を円筒形にロール加工したシートで形成される。このスキャフォールドは、物理的に開通を維持し、必要に応じて通路の壁を拡張もするのでその名が付けられた。典型的にはステントは、治療部位送達され展開可能となるように、カテーテル上に圧縮つまりクリンピング圧着)される。

送達には、カテーテルを用いてステントを細い管腔に挿入し、治療部位までステントを運ぶことが含まれる。展開には、ステントが所望の部位に到達した時に、ステントの直径を大きく拡張させることが含まれる。ステントによる機械的な治療行為の方がバルーンの血管形成術と比較すると再狭窄の発生率が低い。それでも、再狭窄は大きな問題を抱えている。ステントを埋め込んだ部位にもし再狭窄が発生すると、バルーンで治療しただけのこれら組織病変の場合よりも治療の選択肢が限られているので、その治療が困難になることがある。

ステントは機械的な治療というだけではなく、生物学的療法を提供する手段としても使用される。生物学的療法は局部に治療剤投与するために投薬ステントを使用する。治療部位における有効濃度は、副作用または中毒性副作用さえ起こすことが多い全身薬投与を必要とする。局部的な送達は、指定部位薬品を集中させ、全身投与法より総投薬量が少なくて済むので、好ましい治療法である。このように、局部的な送達は副作用が少なく、かつ、より良好な結果を達成する。

投薬ステントは、金属製またはポリマー製のスキャフォールドの表面を、活性薬剤または生物活性薬剤または薬品を含むポリマー製キャリア被覆して作製できる。ポリマースキャフォールドに活性薬剤または薬品のキャリアとしての機能を持たせることもできる。

ステントは数多くの機械的要件を満たさねばならない。ステントは、血管の壁を支持する際にステントに加えられる構造的負荷、すなわち径方向圧縮力、に耐えられなければならない。従って、ステントは十分な径方向強度を持つ必要がある。径方向圧縮力に耐えるステントの能力である径方向強度は、ステントの径方向降伏力、およびステントの周方向廻りの径方向スティフネス剛性)に関連している。ステントの「径方向降伏力」または「径方向強度」は、(本明細書の目的では)圧縮負荷解釈してもよいが、それを超えると、ステント直径無負荷時の直径に戻らない、すなわち、回復不能なステントの変形が存在する降伏応力の状態が生まれる。径方向の降伏力を超えると、ステントは更に大幅に降伏すると見込まれ、大きな変形を起こすのに最小限の力しか要らなくなる。

一旦拡張すると、動する心臓により誘発される周期的負荷を含む、ステントに加えられる可能性がある各種の力にも拘わらず、ステントはそのサイズおよび形状を耐用年数の期間中、適切に維持しなければならない。例えば、径方向を向く力にはステントを内側にリコイル反動)させる性向がある。更に、ステントは、クリンピング、拡張、および周期的な負荷を許容するに足る十分な柔軟性を持っていなければならない。

ステントによる幾つかの治療では、限られた期間のみステントの存在が必要とされる。構造的な細胞組織の支持および/または薬品送達が含まれる治療が終わると、ステントが治療部位から除去される、つまり消滅することが要求される場合がある。ステントを消滅させる一つの方法は、体内の条件に暴露すると侵食または分解される材料でステント全体またはその一部を作製することである。生体吸収性ポリマー等の生分解性生体吸収性、および/または生体侵食性の材料で作製されるステントは、治療の必要性が終了した後にのみ完全に侵食されるよう設計することができる。

しかしながら、生体吸収性ポリマーステントを作製するには幾つかの課題がある。これらには、十分な径方向強度、スティフネス、および靱性つまり破壊耐性をもつステントを作製することが含まれる。別の課題は、完成したステントの特性を製造の最終時点から埋込みの時期まで維持することである。医療機器は、製造後無期限に、または一定でない期間中、格納されるのが典型的である。作製される機器毎に格納時間が変化するので、特性が時間とともに変化する場合には、製品一貫性という問題が生じる。

関連出願の相互参照
個々の刊行物または特許明細書を、あたかも特別にかつ個々に参照して組み込んでいるかのごとく、および、上記個々の刊行物または特許明細書が、全ての図を含みつつ、本明細書に完全に記載されているかのごとく、本明細書に記載する全ての刊行物および特許明細書を参照して本明細書に組み込む。

概要

滅菌された生体吸収性ポリマーステントを作製する方法の提供。網状組織105のスキャホールドを有するステント100の製造で、スキャホールドは生体吸収性ポリマーであるポリ(L−ラクチド)を含み、スキャフォールドを滅菌の為に電子ビーム放射線に暴露するステップを有し、暴露中、スキャフォールドは、酸素不活性ガス混合ガスを含む、封止されたガス不透過パッケージ内にあり、混合ガスの酸素含有量は1%以下であり、スキャフォールドの使用まで、スキャフォールドを混合ガス内に格納するステップを有し、混合ガス内の酸素はスキャフォールドのポリマー内のフリーラジカルクエンチし、スキャフォールドのポリマーの分子量を安定化させる、格納するステップを備え、5日未満の前記格納後、前記フリーラジカル濃度が5×107DI/mg未満である、滅菌された生体吸収性ポリマーステントを作製する方法。

目的

ステントは機械的な治療というだけではなく、生物学的療法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
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請求項1

カテーテル上に配置されたポリマーステントスキャフォールドを提供するステップと;前記スキャフォールドを滅菌用の電子ビーム放射線曝露するステップであって、前記曝露中に前記スキャフォールドは酸素含有ガスに曝露され、前記ガス酸素含有量は1%を超える、前記放射線に曝露するステップと;前記スキャフォールドを不活性ガス環境内でパッケージ化するステップとを備える;ステントを作製する方法。

請求項2

前記酸素含有ガスは、空気である、請求項1の方法。

請求項3

前記不活性ガス環境は、0.002%未満の酸素含有量を有する、請求項1の方法。

請求項4

前記ポリマーステントスキャフォールドは、前記電子ビーム暴露後に前記酸素含有ガスに8〜24時間暴露される、請求項1の方法。

請求項5

前記滅菌中、前記スキャフォールドは、パッケージ内への空気の浸透を可能とするパッケージ内にある、請求項1の方法。

請求項6

前記放射線の暴露の線量は、20〜50kGyである、請求項1の方法。

請求項7

前記酸素含有ガスは、前記放射線の暴露中に生成されるフリーラジカルクエンチし、前記スキャフォールドの分子量を安定化する、請求項1の方法。

請求項8

カテーテル上に配置されたポリマーステントスキャフォールドであって、空気を透過しかつ空気を含むパッケージ内に封止されている、前記スキャフォールドを提供するステップと;パッケージ化された前記スキャフォールドを滅菌のために電子ビーム放射線に暴露するステップと;前記放射線の暴露の後に、前記パッケージをガス不透過性パッケージ内に配置するステップであって、前記空気中の酸素が、前記放射線の暴露により生成されたフリーラジカルをクエンチする、前記配置するステップと;両前記パッケージから空気を除去するステップと;両前記パッケージを不活性ガスで充填して、両前記パッケージを封止するステップを備える;ステントを作製する方法。

請求項9

ポリマーステントスキャフォールドを提供するステップと;前記スキャフォールドを滅菌のために電子ビーム放射線に暴露するステップであって、前記スキャフォールドは前記滅菌中に不活性ガス環境に暴露される、前記放射線に暴露するステップと;照射された前記スキャフォールドを空気に暴露して、前記放射線の暴露により生成されたフリーラジカルをクエンチし、前記スキャフォールドのポリマーの分子量を安定化させる、前記空気に暴露するステップと;その期間の後、前記スキャフォールドを不活性ガス環境内に格納するステップを備える;ステントを作製する方法。

請求項10

前記放射線の暴露の線量は、20〜50kGyである、請求項9の方法。

請求項11

前記スキャフォールドは、少なくとも8時間空気に暴露される、請求項9の方法。

請求項12

内側のガス透過層および外側のガス不透過層を有するパッケージであって、前記内側の層および前記外側の層は内部に不活性ガス環境を有するとともに、前記内側の層および前記外側の層は封止され、ポリマースキャフォールドが前記内側の層内に配置されている、前記パッケージを提供するステップと;前記スキャフォールドを滅菌するために電子ビーム放射線に暴露するステップと;ある期間、前記スキャフォールドを空気に暴露させるように周囲空気と前記外側の層との間の流体連通を可能にするステップと;前記期間の後、前記空気を除去し、前記ガス不透過パッケージを封止するステップと;前記スキャフォールドを不活性ガス環境に格納するステップを備える;ステントを作製する方法。

請求項13

ポリマーステントスキャフォールドを提供するステップと;前記スキャフォールドを滅菌のために電子ビーム放射線に暴露するステップであって、前記暴露中、前記スキャフォールドは、酸素と不活性ガスの混合ガスを含む、封止されたガス不透過パッケージ内にあり、前記混合ガスの酸素含有量は1%以下である、前記放射線に暴露するステップと;前記スキャフォールドの使用まで、前記スキャフォールドを前記混合ガス内に格納するステップであって、前記混合ガス内の酸素は前記スキャフォールドのポリマー内のフリーラジカルをクエンチし、前記スキャフォールドのポリマーの分子量を安定化させる、前記格納するステップを備える;ステントを作製する方法。

請求項14

前記スキャフォールドのポリマーのMnは、前記格納中に10%未満しか変化しない、請求項13の方法。

請求項15

2日未満の前記格納後、前記フリーラジカル濃度は、5×10−7DI/mg未満である、請求項13の方法。

請求項16

ポリマーステントスキャフォールドを提供するステップと;前記スキャフォールドのポリマーの最終Mnを選択するステップと;前記スキャフォールドを不活性ガス環境内で滅菌するために電子ビーム放射線を照射するステップであって、前記スキャフォールドのポリマーは前記照射後に初期Mnを有する、前記放射線を照射するステップと;照射された前記スキャフォールドのMnを、前記不活性ガス環境内で前記初期Mnから前記最終Mnまで増加させるステップと;前記スキャフォールドを酸素含有ガスに暴露して、前記最終Mnで前記スキャフォールドのMnを安定化させる、前記曝露するステップと;安定化させた前記スキャフォールドを不活性ガス環境内に格納するステップを備える;ステントを製作する方法。

請求項17

前記酸素含有ガスは、空気である、請求項16の方法。

請求項18

前記スキャフォールドのポリマーは、PLLAであり、前記初期Mnは70〜80kDaで、前記最終Mnは80〜130kDaである、請求項16の方法。

請求項19

不透過性の第1サイドを有するパッケージおよびガス透過性の第2サイドを有するパッケージであって、前記第1サイドは内部に不活性ガス環境を有し、前記第2サイドは大気を有し、ポリマースキャフォールドは前記第1サイド内に配置され、両前記サイドは両前記サイド間の流体連通なしで前記第1サイドから前記第2サイドまで前記スキャフォールドの移動を可能とする移動可能な封止材により接続されている、前記パッケージを提供するステップと;前記スキャフォールドを滅菌するために電子ビーム放射線に暴露するステップと;前記滅菌後のある期間の後、前記スキャフォールドを移動可能な前記封止材により前記第2サイドに移動させてステントを空気に暴露する、前記移動させるステップと;選択した安定化時間の後、前記スキャフォールドを前記不活性ガス環境の前記第1サイドに移動させるステップと;前記第1サイドを不活性ガスで再封止するステップを備える;ステントを作製する方法。

請求項20

ともにガス不透過性である第1サイドおよび第2サイドを有するパッケージであって、前記第1サイドは不活性ガス環境を有し、前記第2サイドは不活性ガスと酸素の混合物を有し、ポリマースキャフォールドは前記第1サイド内に配置され、両前記サイドは、弁が開くと、前記弁により前記第1サイドと前記第2サイドとの間の流体連通が可能となる、前記パッケージを提供するステップと;前記スキャフォールドを滅菌するために電子ビーム放射線に暴露するステップと;前記滅菌後のある期間の後、前記スキャフォールドを酸素に暴露して、前記スキャフォールド内のフリーラジカルを消滅させるために、前記第1サイドと前記第2サイドとの間の流体連通を可能にする前記弁を開くステップと;選択した滅菌時間の後、前記弁を閉じて、前記第1サイド内の不活性ガスおよび混合物を不活性ガス環境に置換するステップを備える;ステントを作製する方法。

技術分野

0001

本発明は、ポリマー医療機器、特にステントを製造する方法に関する。

背景技術

0002

本発明は、体内管腔への埋込みに適合した、径方向拡張可能エンドプロステーゼに関する。「エンドプロテーゼ」とは体内に配置される人工装具のことである。「管腔」とは血管等の管状臓器キャビティ(空洞)を指す。ステントはエンドプロテーゼの一例である。ステントは概して円筒形状をした機器であり、血管、または尿道および胆管等の他の解剖学的な管腔の一部を開通したままに保ち、時には拡張させる機能を有する。ステントは、血管内のアテローム硬化狭窄治療で使用されることが多い。「狭窄」とは体内の通路または開口部が狭くなっているかまたは収縮していることを指す。このような治療では、ステントは体内の血管を補強し、血管系の血管形成術後の再狭窄を防ぐ。「再狭窄」は、治療(バルーン血管形成術、ステント埋込み術または弁形成術)が明らかに成功した後に再発する血管または心臓弁の狭窄を指す。

0003

ステントは、スキャフォールド骨格)で構成されるのが典型であり、スキャフォールドは、構造的な要素つまりストラット相互連結したパターンつまり網状組織を含み、ストラットは、線材チューブ、または素材を円筒形にロール加工したシートで形成される。このスキャフォールドは、物理的に開通を維持し、必要に応じて通路の壁を拡張もするのでその名が付けられた。典型的にはステントは、治療部位送達され展開可能となるように、カテーテル上に圧縮つまりクリンピング圧着)される。

0004

送達には、カテーテルを用いてステントを細い管腔に挿入し、治療部位までステントを運ぶことが含まれる。展開には、ステントが所望の部位に到達した時に、ステントの直径を大きく拡張させることが含まれる。ステントによる機械的な治療行為の方がバルーンの血管形成術と比較すると再狭窄の発生率が低い。それでも、再狭窄は大きな問題を抱えている。ステントを埋め込んだ部位にもし再狭窄が発生すると、バルーンで治療しただけのこれら組織病変の場合よりも治療の選択肢が限られているので、その治療が困難になることがある。

0005

ステントは機械的な治療というだけではなく、生物学的療法を提供する手段としても使用される。生物学的療法は局部に治療剤投与するために投薬ステントを使用する。治療部位における有効濃度は、副作用または中毒性副作用さえ起こすことが多い全身薬投与を必要とする。局部的な送達は、指定部位薬品を集中させ、全身投与法より総投薬量が少なくて済むので、好ましい治療法である。このように、局部的な送達は副作用が少なく、かつ、より良好な結果を達成する。

0006

投薬ステントは、金属製またはポリマー製のスキャフォールドの表面を、活性薬剤または生物活性薬剤または薬品を含むポリマー製キャリア被覆して作製できる。ポリマースキャフォールドに活性薬剤または薬品のキャリアとしての機能を持たせることもできる。

0007

ステントは数多くの機械的要件を満たさねばならない。ステントは、血管の壁を支持する際にステントに加えられる構造的負荷、すなわち径方向圧縮力、に耐えられなければならない。従って、ステントは十分な径方向強度を持つ必要がある。径方向圧縮力に耐えるステントの能力である径方向強度は、ステントの径方向降伏力、およびステントの周方向廻りの径方向スティフネス剛性)に関連している。ステントの「径方向降伏力」または「径方向強度」は、(本明細書の目的では)圧縮負荷解釈してもよいが、それを超えると、ステント直径無負荷時の直径に戻らない、すなわち、回復不能なステントの変形が存在する降伏応力の状態が生まれる。径方向の降伏力を超えると、ステントは更に大幅に降伏すると見込まれ、大きな変形を起こすのに最小限の力しか要らなくなる。

0008

一旦拡張すると、動する心臓により誘発される周期的負荷を含む、ステントに加えられる可能性がある各種の力にも拘わらず、ステントはそのサイズおよび形状を耐用年数の期間中、適切に維持しなければならない。例えば、径方向を向く力にはステントを内側にリコイル反動)させる性向がある。更に、ステントは、クリンピング、拡張、および周期的な負荷を許容するに足る十分な柔軟性を持っていなければならない。

0009

ステントによる幾つかの治療では、限られた期間のみステントの存在が必要とされる。構造的な細胞組織の支持および/または薬品送達が含まれる治療が終わると、ステントが治療部位から除去される、つまり消滅することが要求される場合がある。ステントを消滅させる一つの方法は、体内の条件に暴露すると侵食または分解される材料でステント全体またはその一部を作製することである。生体吸収性ポリマー等の生分解性生体吸収性、および/または生体侵食性の材料で作製されるステントは、治療の必要性が終了した後にのみ完全に侵食されるよう設計することができる。

0010

しかしながら、生体吸収性ポリマーステントを作製するには幾つかの課題がある。これらには、十分な径方向強度、スティフネス、および靱性つまり破壊耐性をもつステントを作製することが含まれる。別の課題は、完成したステントの特性を製造の最終時点から埋込みの時期まで維持することである。医療機器は、製造後無期限に、または一定でない期間中、格納されるのが典型的である。作製される機器毎に格納時間が変化するので、特性が時間とともに変化する場合には、製品一貫性という問題が生じる。

0011

関連出願の相互参照
個々の刊行物または特許明細書を、あたかも特別にかつ個々に参照して組み込んでいるかのごとく、および、上記個々の刊行物または特許明細書が、全ての図を含みつつ、本明細書に完全に記載されているかのごとく、本明細書に記載する全ての刊行物および特許明細書を参照して本明細書に組み込む。

0012

本発明の様々な実施の形態はステントを作製する方法を含み、この方法は以下を備える:カテーテル上に配置されたポリマーステントスキャフォールドを提供するステップ滅菌用の電子ビーム放射線にスキャフォールドを暴露するステップであって、スキャフォールドは暴露中に酸素含有ガスに暴露され、前記ガス酸素含有量は1%を超える;さらに、不活性ガス環境内で前記スキャフォールドをパッケージ化するステップ。

0013

本発明の更なる実施の形態はステントを作製する方法を含み、この方法は以下を備える:カテーテル上に配置されたポリマーステントスキャフォールドを提供するステップであって、スキャフォールドは空気を透過し、かつ空気を含むパッケージ内に封止されている;パッケージ化されたスキャフォールドを滅菌のために電子ビーム放射線に暴露するステップ;放射線暴露の後に、パッケージをガス不透過性パッケージ内に配置するステップであって、空気中の酸素が放射線暴露により生成されたフリーラジカルクエンチ(消滅)させる;パッケージから空気を除去するステップ;パッケージに不活性ガスを充填し、パッケージを封止するステップ。

0014

本発明の更なる実施の形態はステントを作製する方法を含み、この方法は以下を備える:ポリマーステントスキャフォールドを提供するステップ;スキャフォールドを滅菌のために電子ビーム放射線に暴露するステップであって、スキャフォールドは滅菌中に不活性ガス環境に暴露される;照射されたスキャフォールドを空気に暴露するステップであって、放射線暴露により生成されたフリーラジカルをクエンチし、スキャフォールドポリマーの分子量を安定化させる;および、その期間の後、不活性ガス環境内にスキャフォールドを格納するステップ。

0015

本発明の他の実施の形態はステントを作製する方法を含み、この方法は以下を備える:内側のガス透過層および外側のガス不透過層を有するパッケージを提供するステップであって、内側層および外側層は内部に不活性ガス環境を有するとともに、内側層および外側層は封止され、ポリマースキャフォールドは内側層内部に配置される;スキャフォールドを滅菌するために電子ビーム放射線に暴露するステップ;ある期間、スキャフォールドを空気に暴露するよう周囲空気と外側層との間の流体連通を可能にするステップ;前記期間の後、空気を除去し、前記ガス不透過パッケージを封止するステップ;および、スキャフォールドを不活性ガス環境に格納するステップ。

0016

本発明の更なる実施の形態はステントを作製する方法を含み、この方法は以下を備える:ポリマーステントスキャフォールドを提供するステップ;スキャフォールドを滅菌のために電子ビーム放射線に暴露するステップであって、暴露中、スキャフォールドは、酸素と不活性ガスの混合ガスを含む封止されたガス不透過パッケージ内にあり、混合ガスの酸素含有量が1%以下である;スキャフォールドを使用するまでスキャフォールドを混合ガス内に格納するステップであって、混合ガス内の酸素はスキャフォールドポリマー内のフリーラジカルをクエンチし、スキャフォールドポリマーの前記分子量を安定化させる。

0017

本発明の更なる実施の形態はステントを作製する方法を含み、この方法は以下を備える:ポリマーステントスキャフォールドを提供するステップ;スキャフォールドのポリマーの最終的なMnを選択するステップ;スキャフォールドを不活性ガス環境内で滅菌するために電子ビーム放射線を照射するステップであって、スキャフォールドのポリマーは照射後に初期のMnを有する;照射されたスキャフォールドのMnを、不活性ガス環境内で初期のMnから最終的なMnまで増加させるステップ;スキャフォールドを酸素含有ガスに暴露して最終的なMnでスキャフォールドのMnを安定化させるステップ;および、安定化させたスキャフォールドを不活性ガス環境内に格納するステップ。

0018

本発明の更なる実施の形態はステントを作製する方法を含み、この方法は以下を備える:不透過性の第1サイドを有するパッケージ、およびガス透過性の第2サイドを有するパッケージを提供するステップであって、第1サイドは内部に不活性ガス環境を有し、第2サイドは大気を有し、ポリマースキャフォールドは第1サイド内に配置され、両サイドは、両サイド間の流体連通なしで第1サイドから第2サイドまでスキャフォールドの移動を可能とする移動可能な封止材により接続される;スキャフォールドを滅菌するために電子ビーム放射線に暴露するステップ;滅菌後のある期間の後、スキャフォールドを移動可能な封止材により第2サイドに移動してステントを空気に暴露するステップ;選択した安定化時間の後、スキャフォールドを不活性ガス環境への第1サイドに移動するステップ;第1サイドを不活性ガスで再封止するステップ。

0019

本発明の更なる実施の形態はステントを作製する方法を含み、この方法は以下を備える:ともにガス不透過性である第1サイドおよび第2サイドを有するパッケージを提供するステップであって、第1サイドは不活性ガス環境を有し、第2サイドは不活性ガスと酸素の混合物を有し、ポリマースキャフォールドは第1サイド内に配置され、両サイドは、第1サイドと第2サイドとの間の流体連通を可能とする弁が開くと連結される;スキャフォールドを滅菌するために電子ビーム放射線に暴露するステップ;滅菌後のある期間の後に、スキャフォールドを酸素に暴露し、スキャフォールド内のフリーラジカルを消滅させるために、第1サイドと第2サイドとの間の流体連通を可能にするよう前記弁を開くステップ;および、選択した滅菌時間の後、弁を閉じて、第1サイド内の不活性ガスおよび混合物を不活性ガス環境と置換するステップ。

図面の簡単な説明

0020

図1は、ステントを示す。
図2は、アルゴン内で電子ビーム滅菌後、異なる環境(アルゴン対酸素)のもとで格納されたPLLAのスキャフォールドサンプルの正規化したフリーラジカルの減衰を示す。
図3は、アルゴン内でエージングした放射線滅菌後のPLLAスキャフォールドのMn対時間を示す。
図4は、電子ビーム放射されたPLLAスキャフォールドの正規化されたフリーラジカル減衰を、アルゴン内で、封止されたホイル製の袋内で滅菌およびエージングされたサンプルと、Tyvek(登録商標)の袋内で滅菌およびエージングされたサンプルとで示す。
図5Aは、Tyvekの袋の略図を内部にステントが含まれた状態で示す。図5Bは、アルミ製の袋に配置した図5AのTyvekの袋を示す。
図6は、二重層の袋の略図を示す。
図7は、放射されたPLLAスキャフォールドにおけるフリーラジカルの減衰を、異なる酸素濃度、0%、0.002%、および1%を有する容器内で滅菌し、格納したサンプルで示す。
図8は、電子ビーム放射で照射されていないPLLAスキャフォールドのMn対時間を示す。
図9は、異なるパッケージ環境のもとで照射されたPLLAスキャフォールドのサンプルのMn対時間を示す。
図10は、一方のサイドにアルミ、他方のサイドにTyvekを有し、内部に空気を有する2つのサイドの袋の略図を示す。
図11は、第1のアルミサイド、第2のアルミサイドを有する袋の略図を示す。

実施例

0021

本発明の様々な実施の形態は、ポリマー製の埋込み可能な医療機器の製造に関する。特に、各種実施の形態には、放射線滅菌後のポリマーステントの特性を安定化させる方法が含まれる。

0022

本明細書で説明する方法は、概して任意のアモルファスまたは半結晶性ポリマー製の埋込み可能な医療機器に適用でき、特に、使用時の負荷に耐える部分を有する医療機器または、使用中に変形する部分がある医療機器に適用できる。これらの方法は、特に、自己拡張ステントバルーン膨張ステントおよびステントグラフト等のチューブ状の埋込み可能な医療機器に適用できる。

0023

ステントには、相互連結する構造的要素つまりストラットのパターン、つまり網状組織が含まれる。図1はステント100の図を示す。実施の形態によっては、ステントには、本体、バックボーンまたは相互連結の構造的要素105のパターンつまり網状組織を有するスキャフォールドが含まれる。ステント100はチューブ(不図示)から形成できる。本機器の構造的パターンは、実質的に任意の設計とすることができる。本明細書で開示される実施の形態は、図1に示すステントまたはステントパターンに限定されない。実施の形態は、他のパターンおよび他の機器に容易に適用可能である。パターンの構造における改変はほぼ無制限である。

0024

ステント100のようなステントは、ポリマーチューブから作製するか、またはシートをロール加工して接着し、チューブを形成する手順によりポリマーシートから作製できる。チューブまたはシートは押出し法または射出成形法で形成できる。図1に示すようなステントパターンは、チューブまたはシートにレーザーカッティングまたは化学エッチング等の技法で形成される。次いで、ステントを体内の管腔に送達するためのバルーンまたはカテーテル上にクリンピングできる。

0025

本発明の埋込み可能な医療機器は、部分的に、または完全に生分解性、生体再吸収性、生体吸収性または生体定性ポリマーから作製される。埋込み可能な医療機器を製造する際に使用するポリマーは、生体安定性、生体再吸収性、生体吸収性、生分解性または生体侵食性とすることができる。生体安定性は生分解性ではないポリマーを指す。用語の生分解性、生体再吸収性、生体吸収性および生体侵食性は、交換可能に使用され、血液等の体内液に曝されると、異なる分子レベル度に完全に分解および/または侵食が可能なポリマーを指し、生体により次第に分解され、吸収されおよび/または除去され得る。ポリマーの破壊および吸収のプロセスは、例えば、加水分解および代謝のプロセスにより行われる。

0026

生分解性ポリマーから作製されるステントは、意図した機能、例えば、血管開通の維持および/または薬品送達等が達成されるまでの期間、体内に留まるよう意図されている。分解、侵食、吸収、および/または再吸収のプロセスが完了した後、生分解性ステントの部分、またはステントの生分解性の部分が残ることはない。実施の形態によっては、非常に僅かな痕跡または残渣が後に残ることがある。

0027

治療期間は、治療を受けている身体障害に依存する。病変血管にステントの使用を伴う冠状動脈心臓疾患の治療では、この期間は数ヶ月ないし数年である。この期間は長くても約6ヶ月、12ヶ月、18ヶ月、または2年となるのが普通である。状況によっては、治療期間が2年を超えることもある。

0028

上記のように、ステントは、高い径方向強度、高いスティフネスまたは高い弾性係数、および高い破壊靱性のような特定の機械的要件を有する。このような要件を満たすステントは、送達、展開、および病変血管の治療に大きく貢献する。径方向強度およびスティフネスに関しては、ステントは所望される期間中、選択した直径でステントが血管の壁を支持できるように、構造的な負荷すなわちステントに課される径方向圧縮力に耐えられる十分な径方向強度を有していなければならない。径方向強度および/またはスティフネスが不十分なポリマーステントは、血管内に埋め込んだ後の十分な期間、所望される直径に管腔を維持できないことになる。

0029

更に、ステントには、クリンピング、拡張、および周期的負荷を許容する、十分な靱性または耐破壊性がなければならない。これらのステント使用局面はステントの様々な部分の変形を伴う。ステントの早過ぎる機械的欠陥を招く怖れのある、使用中のクラックまたは破壊を防止するには十分な靱性が不可欠である。

0030

ポリマーの強度対重量比は、金属のそれよりも小さいのが普通である。これを補償するために、ポリマーステントは金属製ステントより極めて厚いストラットを必要とし、その結果、形状が大きくなって好ましくない。本発明では、ポリマー構成に変形を与える変形ステップをステント製造工程に組み込むことによりポリマーの強度不足に取り組む。ポリマーを変形すると、変形方向に沿って強度が増大する傾向があり、これは変形方向に沿って生じたポリマー鎖配向によると考えられている。例えば、ポリマーチューブ構造の径方向拡張は、チューブ内に好ましい周方向ポリマー鎖の配向をもたらす。更に、チューブの延伸は、チューブ内に好ましい軸方向ポリマー鎖の配向をもたらす。従って、ステント製造工程には、ポリマーチューブを径方向に変形するステップと、変形したチューブからステントを切り出すステップを含めることができる。変形工程により、結晶化を誘発する歪が生じ、ポリマーの強度を増加させる構造の結晶化度が増加する。

0031

生物学的条件つまり人体内条件のもとで堅い、つまり固さがある半結晶性ポリマーは、特に、スキャフォールド材料として使用するのに適している。特に、約37℃の人の体温を十分に超えるガラス転移温度(Tg)を有するポリマーは、埋め込んだ時には固さがあるはずである。ポリ(L−ラクチド)(PLLA)はそのようなポリマーの一例である。しかし、これらのポリマーは脆性破壊メカニズムを示し、破壊前の塑性変形がほとんどないか、または全くない。結果として、重要なことは、機器を作製する場合、このようなポリマーの強度を改善するだけでなく、ステント使用範囲、特に、ステント使用中の変形範囲に対する破壊靱性を改善することである。特に重要なことは、ステントの使用範囲全体、すなわち、クリンピング、送達、展開および展開後の所望の治療期間、の全体にわたってステントが破損に対する高い耐性をもつことである。

0032

生体吸収性ポリマースキャフォールドに使用するための例示の生分解性ポリマーには、ポリ(L−ラクチド)(PLLA)、ポリ(D−ラクチド)(PDLA)、ポリグリコリドPGA)、およびポリ(L−ラクチド−co−グリコリド)(PLGA)が含まれる。PLGAに関しては、ステントスキャフォールドは、GAのモル百分率が5〜15mol%のPLGAから作製できる。PLGAは、(LA:GA)のモル百分率が85:15(または82:18〜88:12)、95:5(または93:7〜97:3)とするか、または85:15もしくは95:5のPLGAであると特定できる市販のPLGA製品とすることができる。

0033

本明細書で説明する治療の方法で使用する、生体吸収性ステントの製造方法は、以下のステップを含むことができる:
(1)押出し法を用いてポリマーチューブを形成するステップ、
(2)形成されたチューブを径方向に変形するステップ、
(3)変形されたチューブにレーザーカッティングでステントパターンを加工し、変形されたチューブからレーザーによりステントスキャフォールドを形成するステップ、
(4)オプションでスキャフォールド上に治療用被膜を形成するステップ、
(5)送達バルーン上にステントをクリンピングするステップ、および、
(6)電子ビーム(E−ビーム)放射で滅菌するステップ。

0034

上記(2)では、押出しチューブを径方向に変形させてチューブ、ひいては完成したステントの径方向強度を増加させることができる。ステントが埋込み部位で拡張された時、管腔の支持に必要となるストラットの厚さが強度の増加により低減される。例示の実施の形態では、ストラットの厚さを100〜200μ、またはもっと狭い範囲で、120〜180μ、130〜170μ、または140〜160μにすることができる。

0035

生体吸収性ステントの製造工程の詳細な説明は、他にも、例えば、引用して本明細書に組み込む米国公開特許第20070283552号に見られる。

0036

パッケージ化されたステントおよびカテーテルは、ステントおよび送達システムバイオバーデン規定レベルまで低減させるために滅菌される。バイオバーデンは一般に対象を汚染させる微生物の数を指す。滅菌の程度は、滅菌後の製品ユニットに存在している生菌の確率を指す無菌性保証水準(SAL)により測定するのが一般的である。製品に要求されるSALは、製品の意図される使用法に依存する。例えば、体内の流体通路で使用されるステントのような製品は、クラスIIIの機器と見なされ、10−6のSALが要求される。各種医療機器のSALは、バージニア州(VA.)アーリントン(Arlington)の医療器具開発協会(AAMI)の資料閲覧できる。

0037

ステントは、カテーテル端部にクリンピングしてステントを取り付けた後に滅菌されるのが普通である。滅菌に先立ち、ステント−カテーテルのアセンブリ部品)はパッケージ内に配置されて封止される。パッケージは、アルミホイル等のガス不透過の素材で作製されるのが一般的である。パッケージは埋込みの時が来るまで、滅菌後に封止されたままである。パッケージ内部はアルゴン等の不活性ガスとするのが一般的である。

0038

不活性ガスは、一般に反応性がないガスを指す。不活性ガスにはアルゴンおよびヘリウム等の希ガスが含まれる。不活性ガスには、二原子窒素のような、すべて揃った結合価最外殻電子により無反応ガス化合物も含まれる。不活性ガスの環境または雰囲気は0%酸素でもよく、または少量の酸素を含んでいてもよく、例えば、0.01%未満、0.005%未満、0.002%未満、または0.001%未満の酸素でもよい。ガス含有量は、他に規定がない限りモル百分率で表す。

0039

ステントの不活性ガス内におけるパッケージ化は、パッケージの真空排気の後、アルゴン等の不活性ガスでパッケージを充填させることにより達成できる。排気および充填の工程は、完全な酸素除去を確実にするために繰り返すことができる。パッケージ化の雰囲気の酸素の最終的な酸素含有量は、約0.002%以下、0.002〜0.01%、0.01〜0.015%、0.015〜0.02%、または0.02〜0.04%でもよい。

0040

パッケージ化は、細菌等の何らかのバイオバーデン、酸素等の活性ガス、および湿度にステントが曝されるのを防ぐよう設計される。酸素および湿度は、薬品送達被膜、ひいては薬品送達プロファイルの特性に悪影響を与えることがある。更に、湿度はスキャフォールドの劣化分解を起こすこともある。他に指定がない限り「酸素」は二原子の酸素を指す。照射は二原子酸素をオゾンに変換できるので、フリーラジカルをクエンチできるようになる。

0041

ステントおよびカテーテルを放射線、例えば、電子ビーム(Eビーム)、ガンマ線、およびX線滅菌、に暴露することにより、滅菌を実施できる。滅菌の放射線量は、要求されるSALに相当する線量を選択することにより決定できる。サンプルを1回または複数回通過させて要求線量に暴露してもよい。ステント滅菌の例示の放射線量は20〜50kGy、またはその間の任意の値、例えば25kGyでもよい。

0042

PLLAスキャフォールド等の、生体吸収性のスキャフォールドを電子ビーム照射する間、エネルギーは機器を通過して一様に注がれる。照射は、ポリマー鎖の切断、巨大分子励起、およびフリーラジカルの形成をもたらす。フリーラジカルは、不対電子を有するか、さもなければ開殻構成を有する原子種または分子種を指す。フリーラジカルは酸化反応で生成されることもある。これらの不対電子は通常高い反応性を有するので、フリーラジカルは連鎖反応を含む化学反応に参加する可能性がある。これらの生成されたフリーラジカルは、互いに反応を進行させるか、またはポリマー鎖内で更なる反応を開始する。これらの反応の結果は、再結合分岐架橋分子鎖切断、または繁殖であろう。

0043

放射線暴露後に分子量の減少が観察されるので、照射直後の影響は分子鎖切断に現れている。例えば、電子ビーム滅菌前に数平均分子量(Mn)=260kDaのPLLAステントスキャフォールドは、27.5kGyの放射線量暴露直後にMnが70〜80kDaに減少する。滅菌後の分子量が所望のレベルにある限り、分子量の直後の減少は一般に問題ではない。所望する滅菌後の分子量は、樹脂分子量を調整することにより得られる。PLLAスキャフォールドの滅菌後のMnは、60〜65kDa、65〜70kDa、70〜80kDa、または80〜90kDaとすることができる。

0044

このように、本発明者が知っていたのは、生体吸収性ステントスキャフォールドを放射線滅菌すると暴露直後に分子量の低下が起きる、ということである。放射線滅菌によりポリマー内にフリーラジカルが発生することも知っていた。しかしながら、ポリマースキャフォールド内のフリーラジカルの減衰メカニズムについては知られていなかった。直後の変化を超えた長い期間にわたるステント特性(例えば、照射後の数時間、数日間、数週間、数ヶ月間)に関する一般的なフリーラジカルまたは放射線滅菌の影響も知られていなかった。

0045

生体吸収性ポリマースキャフォールドの長期特性を変化させるフリーラジカルの潜在能力を考えると、フリーラジカルの種類、レベル、および特に滅菌後の経時変化を正確に検出することが重要である。これは、生体吸収性ポリマースキャフォールドの設計および改良に関する非常に価値ある情報をもたらす。

0046

フリーラジカルの検出には電子スピン共鳴分光法ESR)の技法が使用されている。本発明者らが独創的に使用したこの方法の本来の実装は、各種工業用途で普通に使用されていた。本来の方法に従って、ステントを袋内の不活性ガス環境内で滅菌し、ステントを袋から取り出してガラス容器に格納する。次いで、フリーラジカルのレベル、種類およびその経時変化に関する情報を検出し、磁場内の不対電子のスピン測定に基づいて評価する。この本来の方法に基づく、以前のESRの全ての結果が示していたことは、生成されたフリーラジカルの半減期は非常に短く、従ってこれらの結果に基づけば、最終的なステントの製品特性に何らかの著しい影響を与えるとは予測できない筈である。

0047

ここで、本発明者らは、サンプル格納ガス環境がフリーラジカル減衰に潜在的な影響を与えるかもしれないという仮説を立てた。ステントスキャフォールドが埋込み前にアルゴン封止された袋に格納されるのと同時に、試験サンプルは本来のESR法において、空気で満たされた規定のガラス容器に格納された。

0048

本発明者らは、格納環境を模擬したESR測定法で、本来の測定法と異なるフリーラジカル減衰曲線を示すかどうかを検討した。一代替法は、アルゴン等の不活性ガスで満たされた特別設計の容器内のサンプルについてESR測定を実施することであろう。この方法は、袋内の実際のパッケージ環境を模擬できる。

0049

別の代替法が、照射されたPLLAスキャフォールドのフリーラジカル減衰曲線の生成に適用された。この方法では、1セットの照射されたサンプルが、別々に封止されたガス不透過性のアルミ製の袋内に格納された。サンプルは異なる時間に袋から取り出された。袋から取り出された後、サンプルはフリーラジカル検出のためにESR装置内に直ちに配置された。アルゴン封止された袋内に異なる時間で格納されたサンプルを使用してESRを実行し、全ての受信データを収集することにより、フリーラジカルの減衰曲線が得られた。

0050

活性アルゴンの雰囲気内で滅菌されたPLLAスキャフォールドのフリーラジカル減衰曲線は、上記の代替法によって生成された。その結果は驚いたことに、適度に持続するフリーラジカルの存在を示している。図2は、アルゴンで封止した袋内でサンプルをエージングする代替法を用いた、電子ビーム照射PLLAスキャフォールドの正規化フリーラジカル減衰曲線を示す。図2には空気中でエージングされたサンプルのフリーラジカル減衰曲線をも示す。図2の代替法の結果により明瞭に示されることは、スキャフォールドの電子ビーム処理後3週間を超えてもフリーラジカルがスキャフォールド内に存在し、一方、空気中で暴露されたサンプルでは、フリーラジカルは約1日でゼロ近くまで減衰するということである。

0051

考えられるのは、前者におけるフリーラジカル減衰の比較的長い期間の間に、フリーラジカルが分子量の経時変化に関連していて、それにより製品のばらつきが増加しているのではないか、ということである。本来の方法による測定が示すのは、約1日で減衰がゼロになるので、従って不活性ガス環境内のPLLAスキャフォールドの減衰が反映されたものではない、ということである。

0052

これらの結果により示されることは、フリーラジカルの長期間の減衰が、電子ビーム滅菌後のスキャフォールドの連続した分子量変化を起こしているのかもしれない、ということである。本発明者らは、PLLAスキャフォールドの分子量が電子ビーム滅菌後約40日まで増加し続けるという驚きの事実を発見した。図3は、放射線量27.5kGyで放射線滅菌し、アルゴン中でエージングした後のPLLAスキャフォールドのMn対時間を示す。上記のように、Mnは、放射線暴露後の初期値から暴露後40日で約110kDaまで増加することが示される。フリーラジカルの減衰曲線は、分子量変化が滅菌により生成されたフリーラジカルと関係している可能性を示唆している。

0053

時間スケールでのこのような変化で重要なことは、製品の一貫性に与える影響である。一般に、医療機器の特性は格納時間と無関係であるべき、ということが望まれている。更に重要なことには、機器の性能は格納時間と無関係であるべきということが望まれている。幾つかの特性の変化は機器性能に大きな影響を与えないこともある一方で、他の特性変化が影響を与えることもある。

0054

埋込み時点における分子量の一貫性は重要であり、その理由は、本発明者らは、初期の分子量、特にMn、がスキャフォールドの分解プロファイルを決定する際の主要な要素であると認識しているからである。病変血管を治療するためには、スキャフォールドが適切な分解プロファイルを持っていなければならない。スキャフォールドは、血管の治療が可能となるようある期間径方向強度を維持しなければならない。この期間が終了後、スキャフォールドの径方向強度が減少して、ステントが可能な限り迅速かつ安全に吸収されてしまわなければならない。本発明者らが発見したのは、分子量が再吸収時間全体に影響する幾つかの変数の内の1つであるということである。従って、分子量の一貫性を向上させることは再吸収時間全体のばらつきを減少させることになる。

0055

製品の安定性および一貫性に取り組む、または同様に、滅菌後の分子量変化の制御に取り組む一つの方法は、滅菌後でリリース前のある期間中に、滅菌された最終製品条件調整することである。例えば、製品を室温で3週間、または例えば30℃に上昇させた温度で7〜10日間条件調整してもよい。この条件調整は、製品のリリース前のMnを安定化させる、つまりMnの変化を平均化する筈である。この場合、リリースされる製品は安定になる、ただし、条件調整は最終的な高い値のままの分子量しかもたらさないであろう。

0056

本発明の様々な実施の形態には、ポリマーステントスキャフォールドおよび被膜の特性を安定化させる方法、ならびに放射線滅菌により起きる時間関数としての特性の変化を防止する方法が含まれる。本方法には、スキャフォールドを、放射線滅菌中、滅菌後、または滅菌中と滅菌後の両方で、酸素に暴露して分子量および他の特性を安定化させるステップが含まれる。暴露は、放射線滅菌により提供されるステントの滅菌の程度、つまりステントのバイオバーデンの減少を順守する方法で実施してもよく、またその方が好ましい。滅菌は、バイオバーデンの透過を防ぎつつ、ガス透過が可能な、ガス透過性の素材またはパッケージを通じて酸素に暴露可能とすることにより維持することができる。本発明による酸素または酸素を含むガスへの暴露は、例えば、滅菌後の格納に典型的に使用されている容器であって、排気して不活性ガスをバックフィル(再充填)する、約0.002%以下の酸素含有量となることがある容器内等の、残留酸素含有量があるガスへの暴露には言及しない。

0057

滅菌されたステントを酸素に暴露するのは、当該技術分野において、滅菌前と滅菌後のステントを活性がある環境、例えば、反応性ガスおよび湿度から隔離させることに焦点が当てられた、一般に受容されている実践法とは逆である。特に、ステントを大気レベルの酸素に暴露するのは、PLLAの分子量を更に低下させる可能性があると考えられる。本明細書で使用する時、「酸素」とは二原子酸素O2を指す。分子量の安定化は、放射線暴露後の少なくとも30日間、30〜60日間、または60日間を超える期間全体にわたるMnの10%未満の変化を指す。

0058

本発明者らが幾つかの研究から発見したのは、放射線暴露中または暴露後に空気のような酸素含有ガスにステントスキャフォールドを暴露すると、分子量および他の特性が時間の経過につれて更に変化するのを低減、または防止するということである。これらの研究から考えられるのは、酸素がフリーラジカルと反応し、それによりフリーラジカルが無反応になるか、またはフリーラジカルが消滅するということである。従って、フリーラジカルは、ステントポリマーのポリマー鎖と反応するよりむしろ酸素と反応し、酸素によって消滅する。フリーラジカルの消滅、つまりクエンチは、不活性の環境におけるフリーラジカルの減衰よりずっと短いタイムフレームにわたって起きる。

0059

本発明の特定の実施の形態では、ステントを作製する方法には、カテーテル上に配置されたポリマーステントスキャフォールドを含むステント−カテーテルのアセンブリを提供するステップが含まれる。スキャフォールドは電子ビーム放射線等の放射線に暴露されて滅菌される。スキャフォールドは、放射線滅菌の間、酸素含有ガスに暴露される。例えば、ステント−カテーテルのアセンブリは空気に暴露される。酸素含有ガスは、全て、または短期間、例えば、1時間未満、5時間未満、12時間未満、1日未満、2日未満、または5日未満でのフリーラジカルの残留量(例えば、5×107DI/mg未満)を除く全て、をクエンチ、つまり消滅させるのに十分であればよい。酸素含有ガスへの暴露は、放射線暴露後のある期間、例えば、フリーラジカルが消滅するまで、同様に、フリーラジカルがゼロになるまで、またはスキャフォールドポリマーの分子量が、2週間、1ヶ月間、または1ヶ月間を超えるような長期間安定するレベル未満に減衰するまでの期間、継続することができる。次いで、ステントは、不活性ガス雰囲気内に無期限で、例えば、埋込みの時まで格納される。これらの実施の形態による例示の分子量曲線を表1の研究Dおよび図9で示す。

0060

図4は、照射されたPLLAスキャフォールドのフリーラジカルの減衰曲線を2つのケース、(1)アルゴン内で、封止されたホイル製の袋内で滅菌される、(2)ガス透過性のTyvekの袋内で滅菌およびエージング、従って空気に暴露される、について示す。Tyvekの袋は、空気を透過させることができるが滅菌状態を維持する。図2と比較して拡張された時間スケールは、酸素含有環境と比較したときの不活性雰囲気内のフリーラジカルの減衰における劇的で予想外の違いを示す。

0061

上記の安定化方法は幾つかの方法で達成できる。例示の実施の形態では、第1ステップで、滅菌前にステントをTyvekの袋等のガス透過性袋内に配置する。図5Aは、ステント122が内部に含まれているTyvekの袋120の略図を示す。この袋は酸素を通過させることができ、滅菌中に生成されるフリーラジカルをどれも消滅させて、フリーラジカルと関係付けられる滅菌後のどんな分子量変化をも妨げ、その一方でステントの滅菌レベルを維持する。ガス透過性で滅菌レベルも維持するTyvek以外の材料は、本明細書で説明される本実施の形態等で使用することができる。この袋は空気に透過性があるが、滅菌後の滅菌レベルを維持するようバイオバーデンの浸透遮断する。ステントのスキャフォールドポリマーの分子量が酸素暴露により安定化されるまでの期間、ステントは袋内に保持される。第2ステップでは、ガス透過性の袋はアルミ製の袋等のガス不透過性の袋内に配置することができる。図5Bは、アルミ製の袋124内に配置されるTyvekの袋120を示す。次いで、ガス不透過性の袋を排気し、不活性ガスでバックフィルし、長期間の格納の間または埋込みまで封止することができる。

0062

本発明の他の実施の形態には、スキャフォールドを不活性ガス環境内で放射線に暴露するステップを含む。不活性ガス環境内で放射線暴露してから、スキャフォールドを酸素含有ガスに暴露する。酸素含有ガスへの暴露は放射線暴露の後のある期間、継続できる。この期間は、それ以上のどのような分子量変化も防ぐのに十分であればよい。次いで、ステントを不活性ガス雰囲気内で無期限に、例えば、埋込みまで格納できる。これらの実施の形態による例示の分子量曲線については、表1の研究Eおよび図9で示す。

0063

本発明者らが観察したのは、ポリマースキャフォールドを滅菌中に空気に暴露するのは、不活性ガス環境で滅菌するよりMnの低下が大きいという結果である(図9参照)。酸素含有量が高いガス内での電子ビーム放射は、非常に反応性が高いオゾンを発生することがあるので、ステントのポリマー鎖またはステント内の薬品と反応する。

0064

放射線暴露後の酸素含有ガスへの暴露に関わるこれらの他の実施の形態は、様々な方法で達成できる。例示の実施の形態では、一つの方法は、二重層の袋にステントをパッケージ化することを含む。第1の層、つまり内側の層は、Tyvekの袋等のガス透過性であり、第2の層、つまり外側の層は、アルミ製の袋等のガス不透過性である。図6に二重層の袋130の略図を示す。袋130は、内側のガス透過性Tyvekの層132および外側のガス不透過性アルミ層134を有する。ステント136は、内側のTyvekの層内に配置される。電子ビーム滅菌前および滅菌中は、外側層は封止されて不活性ガス環境を含み、ステントはTyvekの層内に封止され、同様に不活性ガス環境にある。滅菌後は、アルミ層が開かれ、またはより一般的には、外側の袋と周囲空気との間の流体連通を可能にして袋内に空気が入れるようにし、ステントを空気に暴露させる。外側の袋134は、開閉して、それぞれ空気への暴露と空気への暴露の封止とができる封止可能な開口部138を有する。例えば、封止可能な開口部138は、ホイル封止部138Aと空気を袋134に取り込むTyvekの窓部138Bとを有する。ステントは、少なくともある期間の間、空気に暴露して、ステントスキャフォールドポリマーの分子量を安定化させる。次いで、ホイル製の袋は不活性ガスでバックフィルされて封止される。代替として、二重層の袋の外側に更にホイル製の袋を追加して、排気し、不活性ガスでバックフィルしてからリリースしてもよい。

0065

本発明者らが発見したのは、消滅したフリーラジカルの累積値が酸素含有ガスの暴露時間に依存するということである。従って、酸素暴露は、フリーラジカルの濃度レベルが選択した値以下に減衰するまで継続してもよい。選択する濃度は、例えば5×107DI/mgとすることができる。

0066

特定期間の酸素暴露の後、スキャフォールドを不活性ガス環境内に配置するか、またはガスをパッケージから除去して不活性ガスでバックフィルする。

0067

酸素含有ガスの酸素含有量は、少なくとも2週間、1ヶ月間、または2ヶ月間にわたって観察したときの分子量(Mn)を安定化させる任意の値(例えば、10%以内)とすることができる。代替として、または追加として、酸素含有量は、フリーラジカル濃度を、1時間未満、5時間未満、12時間未満、1日未満、2日未満、または5日未満で、特定の値(例えば、5×107DI/mg)以下に減衰させる任意の酸素濃度とすることができる。

0068

例えば、酸素が20.95mol%である空気を用いてもよい。ガスのバランスには、不活性ガスと可能性のある他の残留ガス不純物とを含めることができる。ガス内の酸素濃度は、空気濃度に対して1%未満、1〜5%、5〜10%、10%以上にでき、空気濃度は40mol%、40〜60%、60〜90%、90〜95%、または95%以上にできる。

0069

同様に、本発明者らが発見したことは、フリーラジカルの減衰速度が酸素濃度に依存するということである。酸素濃度が低いほど、フリーラジカルが所与の濃度に達するのに必要な時間が長くなる。例示の暴露時間は、10分未満、10分〜1時間、1〜3時間、3〜6時間、6〜9時間、9〜12時間、12時間〜1日、1〜2日、2〜3日、3〜5日または5日超とすることができる。

0070

更なる実施の形態では、ステントを、リリースおよび埋込みまで不活性ガスと酸素の混合ガス雰囲気内でパッケージ化し、格納してもよい。この混合ガスは、空気中の酸素濃度よりかなり低いが、排気されて不活性ガスをバックフィルされるパッケージの残留含有量を超える極低酸素含有量の不活性ガスを主とする。次いで、パッケージ化されたステントを、放射線滅菌し、大気中で無期限に、例えば、リリースおよび埋込みまで格納する。「リリース」とは、「直ぐに埋込みが可能な」状態の製品の、製造者または製造者の受託業者からのリリースつまり出荷を指す。滅菌からの格納時間は、1〜10日、10日〜1ヶ月、1〜3ヶ月、3〜6ヶ月、6ヶ月〜1年、1〜2年でもよい。混合ガスの酸素濃度は、フリーラジカル濃度を、5時間未満、12時間未満、1日未満、2日未満、または5日未満で、特定のレベル(例えば、5×107DI/mg)以下に減衰させるのに十分な高い値とすることができる。酸素濃度は、開示される格納範囲にあるどの格納条件でもステントまたは薬品のポリマーの分子量に悪影響が生じないように十分低くすべきである。例示の実施の形態では、酸素濃度は、0.5%未満、0.5〜1%、1〜2%、0.08〜1.02%、2〜3%、3〜5%、5〜10%、1%未満、5%未満、10%未満または10〜20%でもよい。

0071

実施の形態によっては、滅菌に先立ち、スキャフォールドをガス不透過のパッケージ内に配置し、パッケージ内の雰囲気、すなわち空気、を排気し、次いで、パッケージを不活性ガスと酸素の混合ガスでバックフィルしてもよい。例えば、排気用の装置と同一の装置を用いて、パッケージを不活性ガスでバックフィルしてもよく、この場合は、アルゴンシリンダからパッケージをバックフィルする。本発明では、管理された酸素量による不活性ガスと酸素の混合ガスでパッケージをバックフィルしてもよい。これらの実施の形態による分子量曲線については、表1の研究Cおよび図9で示す。

0072

酸素含有量1%の混合ガスの研究では、フリーラジカルは2日後に検出できなかったが、一方、不活性ガス雰囲気を用いた場合は、28日後でも信号がまだ検出された、ということが示された。図7に、酸素濃度が0%、0.002%、および1%のように異なる容器内で滅菌、格納され、放射線を照射されたPLLAスキャフォールドのサンプルにおけるフリーラジカルの減衰を示す。0.002%酸素内のサンプルのフリーラジカルの減衰は、0%酸素よりも速いが、長期間の減衰は類似している。1%酸素内のサンプルのフリーラジカルの減衰は、0%または0.002%酸素におけるよりも著しく速い。

0073

表1は、PLLAスキャフォールドのサンプルに対する電子ビーム滅菌の効果に関する研究のまとめである。研究Aのサンプルは、分子量に対する電子ビーム照射の効果を比較する基準を提供するために滅菌されなかった。研究B〜Eのサンプルは、放射線量27.5kGyの電子ビーム放射により滅菌された。滅菌および格納の条件を各研究について表1に記す。図8に、研究Aと対応するPLLAスキャフォールドのMn対時間を示す。Mnは予想通りかなり一定である。

0074

図9は、研究B〜EのサンプルのMn対時間を示す。研究Bについては不活性ガス内での滅菌と格納およびその効果を先に説明した。研究Bでは、スキャフォールドのMnが、滅菌後の約80kDaから、約60日後の約100kDaまで増加した。

0075

図8の研究A、と図9の研究Bとの比較は、放射線がMnの長期間の挙動に関して有する劇的な効果を浮き彫りにする。酸素1%のガス内での滅菌および格納である研究CのMnの曲線は、図9で、初日付近で僅かにMnの増加だけが見られ、その増加の後は安定したMnを示した。空気内で滅菌された研究Dでは、初期のMnが研究BおよびCより低く、研究した範囲全体を通じて安定していた。研究Eでは、同様に初期の分子量が研究BおよびCより低く、研究した範囲全体を通じて安定していた。研究Dの分子量は研究Eより僅かに高い。研究Dの滅菌中のこの酸素の存在は、低いMnを生じる分子鎖の切断を誘起する放射を増加させる可能性がある。

0076

上記研究で使用された好適な実施の形態は、Yang&Jowらの米国特許出願第12/447,758号(US2010/0004735)に記載のステントパターンを有する。PLLAに適したステントパターンの他の実施例は、米国特許公開第2008/0275537号に記載がある。スキャフォールドのストラット断面は150×150μである。

0077

上記の説明は、ポリマーステントの分子量および特性が、ステントを室温またはそれより僅かに高い温度でエージングすることにより滅菌後に安定化できる、ということである。しかし、安定化した後の最終的な分子量が、安定化期間の最後で高い値のままとなる筈である。上記で説明した本発明の方法は、放射線滅菌の最後における分子量か、またはそれに近い分子量で分子量が安定化できるように、滅菌中またはその後のフリーラジカルをクエンチすることを含む。

0078

本発明の更なる実施の形態には、滅菌後のある期間の間、分子量を増加させるステップであって、ポリマーを所望のMnで安定化させる酸素にステントを暴露することにより分子量の変化を停止した後の、増加ステップを含む。安定化されたMnは、滅菌直後のMnから、上記室温での安定化を通じて安定化の最後における高い値までの間の任意の値とすることができる。

0079

本方法には、不活性ガス雰囲気で、パッケージ内に配置されたステントを放射線滅菌するステップを含めることができる。選択したある期間の後に、ステントを酸素含有ガス、好適には、空気のような高い酸素含有量のガス、に暴露できる。酸素含有量は、フリーラジカルを急速に消滅、つまりクエンチさせて、Mnの所望の値で分子量増加を停止させるのに十分なほど高くしてもよい。例えば、フリーラジカル濃度は、2日未満、1日未満、12時間未満、5時間未満、1時間未満で、5×10−7DI/mg未満に減衰させてもよい。ガスの酸素含有量は、5%以上、5〜10%、10%以上、10〜20%、20%〜空気の酸素濃度、または空気の酸素濃度超としてもよい。

0080

本方法には、ステントのポリマースキャフォールドの最終的な好ましいMnを選択するステップを含めることができる。滅菌後のMn対時間の関係は、図3に示したような不活性ガス雰囲気内で決定してもよい。選択したMnに到達するためのスキャフォールドポリマーに要求される選択時間は、この関係から得られる。従って、パッケージ化されたスキャフォールドを放射線滅菌後の選択した時間で不活性ガス雰囲気に暴露することにより、選択したMnを有するスキャフォールドを得ることができる。

0081

上記方法は様々な方法で達成することができる。一実施の形態では、放射線滅菌されるステントは、2つのサイドつまり2つの囲いを有する袋に配置される。一方のサイドは、アルミ等のガス不透過素材で作製され、他方のサイドはガス透過素材、Tyvekで作製される。図10は、ガス不透過のアルミサイド142および内部に空気を有するガス透過のTyvekサイド144を有する2つのサイドの袋140の略図を示す。2つのサイドは互いに封止され、両サイドの間の流体連通なしにアルミサイドからTyvekサイドへのステント148の移動を可能とする移動可能な封止材146により連結されている。滅菌前にステント148をアルミサイドの不活性ガス内に配置する。ステントが滅菌され、滅菌後の特定の時間の後に、封止材が、矢印150で示すようにステント(破線で示す)をTyvekサイドに移して、フリーラジカルを消滅させ、従ってMnの変化が停止される。選択した安定化時間が過ぎた後、ステントはアルミサイドの不活性ガス環境に戻される。次いで、ステントは、不活性ガスを再充填され、再封止されて不活性ガス環境内に格納される。

0082

代替として、パッケージが3つのコンパートメント、第1、第2、および第3コンパートメントを備えることもできる。ステントを含む第2コンパートメントは、ジッパーまたは再封止テープにより第1および第3コンパートメントから分離される。ジッパーまたはタブは、第1または第3コンパートメントの間の流体連通を可能とするか、または閉鎖するよう位置決めされる。第1と第2のコンパートメントは、ガス不透過、例えば、アルミで作製され、不活性ガスで満たされる。第3コンパートメントは、ガス不透過の、例えば、Tyvekで作製され、空気で満たされる。滅菌の間、ステントは第2コンパートメント内に留まり、第1および第3コンパートメントの両方から密封される。滅菌後、第2と第3コンパートメントの間のジッパーまたはタブが開かれ、ステントは空気に暴露される。特定の時間が経過した後、同じジッパーまたはタブが閉じられ、次いで、第1と第2のコンパートメント間のジッパーまたはタブが開かれ、ステントを再度不活性ガス環境に暴露する。

0083

別の実施の形態では、袋の両サイドは、アルミ等のガス不透過素材で作製してもよい。図11は、2つのガス不透過サイド、第1アルミサイド162および第2アルミサイド164を有する袋160の略図を示す。滅菌の前および滅菌中は、第1サイド162は不活性ガスで満たされ、一方、第2サイド164は不活性ガスと酸素の混合により満たされる。滅菌の前および滅菌中は、ステント166は第1サイド162に配置され、2つのサイドは流体連結されていない。滅菌後の選択した期間、スキャフォールドのMnが選択したMnに到達した時、不活性ガスと酸素の混合を用いてフリーラジカルの再結合を消滅させる。例えば、混合ガスは、少なくとも1%酸素、1〜5%酸素、5〜15%酸素、15〜20%酸素、または空気としてもよい。2つのサイドは、弁168を開いたときに両サイドが流体連通でき、弁を閉じると互いに封止できるように、弁により連結することができる。滅菌および滅菌後の選択した期間中は、弁168は閉じておいてもよい。選択した期間の後に、弁168を開いて、ステントを不活性ガスと酸素の混合ガスに暴露すると、フリーラジカルを消滅させ、選択したMnで分子量を安定化させることができる。分子量が安定化された後、弁168を閉じて、第1サイド162内のガスを不活性ガス雰囲気で置換してもよい。

0084

本発明において、以下の用語および定義を適用する:

0085

本明細書では「Tyvek」パッケージは、デュポン(商標)のTyvek1073B等の、デラウェア州(DE.)ウィルミントン(Wilmington)のデュポン社のTyvek医療用パッケージを指す。

0086

用語「分子量」は分子量の1つ以上の定義を指すことがある。「分子量」は個々のセグメントブロック、またはポリマー鎖の分子量を指すことがある。「分子量」は、各種のセグメント、ブロック、またはポリマー鎖の重量平均分子量または数平均分子量を指すこともある。
数平均分子量(Mn)は、個々のセグメント、ブロック、またはポリマー鎖の普通の、平均の分子量である。分子量は「ダルトン」と称されるgram/moleで表されるのが普通である。これは、N個のポリマー分子の分子量を測定して重量を合計し、Nで除することにより決定される:



上式で、Niは、分子量Miのポリマー分子の個数である。重量平均分子量は次式で与えられる:



上式で、Niは、分子量Miの分子の個数である。他に指定がない限り、「分子量」は数平均分子量(Mn)を指すことにする。

0087

「半結晶性ポリマー」は、結晶性分子構造領域とアモルファス領域を有するか、または有することが可能なポリマーを指す。結晶性領域は、晶子またはスフェルライトと呼ばれ、アモルファス領域内に分散または組み込まれる。

0088

「ガラス転移温度」Tgは、ポリマーのアモルファス領域が、大気圧で、脆いガラス質状態から変形可能なつまり延性のある固体状態へと変化する温度である。換言すると、Tgは、ポリマー鎖内で部分運動が開始される温度と一致する。アモルファスまたは半結晶性のポリマーが上昇する温度に暴露されると、ポリマーの膨張係数および熱容量は温度が上昇するにつれて共に増加し、分子運動の増加を示す。温度が上昇すると熱容量が増加する。熱容量の増加は、運動による熱放散の増加と一致する。所与のポリマーのTgは、加熱速度に依存することがあり、結晶化度はもとよりポリマーの熱履歴の影響を受けることがある。更に、ポリマーの化学的構造が、モビリティ可動性)に影響を与えることによりガラス転移に大きく影響する。

0089

Tgは、ガラス転移が起きる温度範囲全体のほぼ中央点として決定できる[ASTMD883−90]。Tgの最も頻繁に使用される定義は、示差走査熱量測定法DSC)で加熱したときのエネルギー放出を用いる。本明細書で使用する場合、Tgは、示差走査熱量測定法(DSC)により20℃/分の加熱速度で測定されたガラス転移温度を指す。

0090

応力」は、面内の小領域に作用する力のような単位面積当たりの力を指す。応力は面に垂直な成分と平行な成分とに分けられ、それぞれ垂直応力剪断応力と呼ばれる。例えば、引張り応力は、拡張(長さの増加)をもたらすように加えられる応力の垂直成分である。更に圧縮応力は、材料に加えられる応力の垂直成分であり、圧縮を生じる(長さの減少)。応力は材料の変形を生じ、変形は長さの変化を指す。「拡張」または「圧縮」は、試料の材料が応力を受けた時の試料の長さの増加または減少として定義される。

0091

「歪み」は、応力または負荷が加えられたときに材料内に生じる引張りまたは圧縮の量を指す。歪みは、元の長さに対する比率または百分率、すなわち、長さを元の長さで除した変化として表してもよい。従って歪みは、引張りではプラス、圧縮ではマイナスの値となる。

0092

「強度」は、材料が破壊する前に耐える軸方向の最大応力を指す。最終的な強度は、試験中に加えられた最大負荷を元の断面積で除して計算する。

0093

「弾性係数」は、材料に加えた応力つまり単位面積あたりの力の成分を、加えた力から生じる、加えた力の軸方向の歪みで除した比率として定義される。弾性係数は、線形領域内の低歪みにおける応力−歪み曲線の初期勾配とするのが典型的である。例えば、材料は引張りおよび圧縮の弾性係数を有する。

0094

材料に加えられる引張り応力は、材料が破壊する前に耐える最大引張り応力を指す「引張り強度」に達するまで増加させることができる。最終的な引張り強度は、試験中に加えられた最大負荷を元の断面積で除して計算する。同様に、「圧縮強度」は軸方向に直接押す力に耐える材料の能力である。圧縮強度の限界に達すると材料は押しつぶされる。

0095

「靱性」は、破壊する前に吸収されるエネルギーの量、または同様に、材料を破壊するのに必要な仕事量である。靱性の一尺度は、歪みがゼロの時から破壊された時の歪みまでの応力−歪み曲線の下の面積である。この場合の靱性の単位は、材料の単位体積あたりのエネルギーである。例えば、L.H.Van Vlackの「材料科学および工学基礎」pp.270〜271、Addison−Wesley(Reading、PA、1989)を参照のこと。

0096

ステント等の、埋込み可能な医療機器の基本的な構造または基盤は、生分解性ポリマーまたは生分解性ポリマー類の組合せ、生体安定性ポリマーまたは生体安定性ポリマー類の組合せ、または生分解性ポリマー類と生体安定性ポリマー類の組合せで、完全にまたは少なくとも一部を作製することができる。更に、機器表面ポリマーベース被膜は、生分解性ポリマーまたは生分解性ポリマー類の組合せ、生体安定性ポリマーまたは生体安定性ポリマー類の組合せ、または生分解性ポリマー類と生体安定性ポリマー類の組合せとすることができる。

0097

言うまでもなく、分解、侵食、吸収、および/または再吸収が完了した後は、ステント部分は残らないし、または生体安定性スキャフォールド上の被膜塗布の場合には、ポリマーが機器上に残ることはない。実施の形態によっては、僅かな無視できる程の痕跡または残渣が後に残ることがある。生分解性ポリマーで作製したステントでは、ステントは、意図された機能、例えば、血管の開通性および/または薬品送達を維持する機能、が達成されるまでの期間、体内に残るよう意図されている。

0098

本発明の特定の実施の形態を示し、説明してきたが、当業者には言うまでもなく、本発明から逸脱することなくより広い態様で変更および改変が可能である。従って、このような全ての変更および改変が本発明の真の精神および範囲内に入るように、特許請求の範囲内に含められるべきである。

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