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技術 可変流量制御を伴う直接作動式圧電燃料インジェクタ

出願人 ティーティーダブリューイン,エルエルシー
発明者 レイノルズ,ポールバンクス,ロバートアンドリュー
出願日 2017年5月10日 (3年7ヶ月経過) 出願番号 2017-093608
公開日 2017年8月10日 (3年4ヶ月経過) 公開番号 2017-137870
状態 特許登録済
技術分野 燃料噴射装置
主要キーワード 機械的伝達装置 稼働周波数 全印加電圧 補助的要素 稼働パラメータ 制御ボリューム ハウジングエンド 結合チャンバ
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (10)

課題

本発明は、圧電アクチュエータによって直接作動される燃料インジェクタ装置を提供する。

解決手段

圧電駆動スタックインジェクタ組立体とを備える燃料インジェクタ装置であって、燃料インジェクタ装置の流量制御部材が追加の増幅手段または介在要素なしに圧電スタックによって直接駆動される一方で、制御された流量を望ましい流れプロファイルで供給してエンジン性能を向上させ排出物を削減するため、ノズル部の流れ面積可変的に調節可能である燃料インジェクタ装置。このインジェクタ構成は、流量制御部材の最小限の直線移動で必要な流量をサポートするのに適している。

概要

背景

燃料インジェクタ噴射器)は、燃焼サイクルの適切な時点に燃料燃焼室へと直接送り込むことによって燃料を内燃エンジン内に能動的に噴射する装置である。ピストンの下方向へのストロークによって燃焼室へと燃料空気混合物吸引されるピストンエンジンの場合、燃料インジェクタは、気化器代わるものである。現在の燃料インジェクタは高周波数(単位時間当たりの繰り返し)で稼働できないという欠点があり、そのため、進んだ新しいエンジン設計へのその適用可能性は限定されている。加えて、現在のインジェクタは、噴射/燃焼サイクル毎燃料供給プロファイル(態様)を変化させることができず、そのため、より進んだ燃焼形態、特に、高周波数で稼働する燃焼形態へのその使用は、更に限定されている。その上、現在のインジェクタ構成は、ストローク増幅要求を含む様々な要因に起因する応答遅れを有し、これがより高い周波数での稼働の妨げとなっている。最後に、圧電アクチュエータに依存するインジェクタは、十分な燃料が望ましい流量で流れることを可能にする十分な距離だけ座面から離すように移動させることができないため、燃料が噴射孔を通って燃焼室へと流入することを可能とする流量制御部材を直接作動させることができない。本明細書に記載された目的のため、「直接」作動とは、主な作動装置と、その主な作動装置によって動かされたとき、燃料を典型的にはノズル部を通して燃焼室へと即座に流入させる一次流量制御部材との直接的な物理的相互作用であると定義する。「直接作動」とは、本明細書においては、作動装置と流量制御部材との間に、流量制御部材を稼働させるために必要な付加的な介在要素増幅ステップ流路制御圧またはその他の同様な補助的要素のない、一対一の関係を有することであると定義する。

燃料インジェクタに使用されている現在の圧電スタックアクチュエータステムは、ノズル組立体、特に、燃料が流れることを可能にするノズルの部分の直接作動には依存していない。代わりに、圧電スタック積層体)は、ノズルを開くことを支援するために液体圧を変化させる別体の弁を単に開閉するために通常は使用される。結果として、この間接的液体圧作動と増幅という多段階プロセスは、内在する応答遅れのために、インジェクタの稼働周波数固有限界を生じさせている。結果的に、こうした二段階圧電インジェクタは、進んだ新しいエンジン技術のより高周波数での稼働をサポートすることができない。

典型的な燃料インジェクタにおいては、ノズル組立体部がエンジンの燃焼室の近傍に位置している。ノズルは一次流量制御部材であると考えられるピンと、燃料が燃焼室へと流入する際に通る孔を含む。ピンが孔のシール部に着座すると、燃料の流れが遮断される。ピンが孔のシール部から離座すると、燃料の流れが可能となる。

既存のインジェクタ構成においては、ノズルを開閉するために液体圧式増幅が用いられる。高圧燃料ノズル室全体に供給される。ピンの形状によって圧力のバランスが失われ、ピンが閉位置で孔に着座する。上流アクチュエータ燃料供給システム連絡している圧力逃し弁を開き、ピンの一方の側の圧力を低下させる。それによって一方向の正味の直線的な力が生じ、ピンを座面から離昇させてノズルを開く。圧力逃がし弁を閉じることにより、圧力は元のレベル戻り、ピンが再度着座してノズルを閉じる。

このような形で圧電スタックが使用される場合、システム全体は機械的にも操作的にも複雑である。圧電スタックの変位は限られているため、増幅が必要である。しかし、増幅には、インジェクタの本体(ボディ)内部に更に込み入った流路配置や追加の弁、シール要素が必要である。さらに重要なことに、液体圧式増幅は、二段階作動プロセスに起因する大幅な応答遅れを引き起こすことになる。この避けられない応答遅れのため、液体で増幅されるインジェクタは、圧電アクチュエータを使用するものであっても、パルスデトネーションエンジンで要求される可能性のある高周波数での稼働は妨げられる。

現在のインジェクタ作動方法は、他にも固有の限界を有する。例えば、こうしたインジェクタは、二元的(すなわち、全開または全閉)でしか稼働することができない。各噴射/燃焼サイクルに亘って燃料噴射プロファイル全体の本質的にアナログな制御を実施することが好ましい場合もある。各噴射サイクルにおいて、インジェクタ弁を単純に高周波で(頻繁に)又様々な時間間隔で開閉することでこうしたアナログ制御を実現しようとする試みがなされてきた。残念ながら、この方式は、各噴射サイクルにおける作動サイクルの増大に起因する更に進んだ操作上の要求を生んでいる。

「作動」手段として使用される二つの一次的技術である、電磁アクチュエータと圧電アクチュエータには、固有の長所と短所がある。まず、電磁アクチュエータ(ソレノイドとしても知られる)は、望ましい最大の燃料の流れをサポートするのに十分なインジェクタピンの直線的ストローク(変位)を供給できるが、二種類のモード、すなわち全開または全閉でしか稼働できない。ソレノイド弁は、電磁ソレノイドアクチュエータを組込んだ電気機械弁である。弁は、ソレノイドを流れる電流によって制御される。一部のソレノイド弁においては、ソレノイドが主弁直接作用する。より大型の弁を作動させるための、パイロットとして知られる、小型の完結型ソレノイド弁を使用するものもある。パイロット式弁の方が制御に要する電力量が遙かに小さいが、目に見えて動作が遅い。パイロット式のソレノイドは通常、開いて開状態に保つのに常に最大出力を必要とするが、直接作動型のソレノイドは、開くのに短時間最大出力を必要とするのみで、閉位置に保つのには低出力しか必要としない場合もある。使用するソレノイドの種類に関わらず、このアクチュエータには相変わらず大幅な応答遅れという欠点があり、それは、稼働周波数が増加するほど悪化する。更に、この場合もやはり、ソレノイドで作動するインジェクタは、二つの状態、すなわち全開または全閉でしか稼働できない。

アクチュエータの第二のタイプは、圧電素子を使用するもので、ソレノイドアクチュエータよりも迅速な応答を実現可能であるが、ストローク長が非常に短い。一般に、標準的な圧電スタックは、その高さの1%のl/10の最大変位を実現する。単結晶圧電材料を含むスタックは、最大でその高さの1%の変位を実現可能である。結果的に、これまで、この限界のあるストローク長のために、燃料インジェクタにおける圧電作動機構は、増幅構成において使用することを余儀なくされてきた。必然的に、増幅に依存する先行のインジェクタ構成は、直接作動を実現できていない。

圧電アクチュエータの変位を増加または増幅しようとする様々な試みがなされてきた。例えば、ダイヤモンド形筺体を用いて対立軸に沿って変位を増幅させる、幾何学的に拘束された圧電アクチュエータ装置を含む設計がある。圧電素子が水平方向に収縮または伸張する際、外側のダイヤモンド形の筺体も形を変え、圧電素子によって制御される筺体の垂直方向頂点を水平方向の頂点よりもわずかに長い距離移動させる。残念なことに、この機械的特徴を用いると、アクチュエータの高周波数稼働と寿命を制限する機械的ばね変数の限界を導入することになる。加えて、変位を増加させるために用いられるこの屈曲と引っ張りの方式は、加えられる最大力の低下も生じさせる。これは本発明の設計において、もう一つ考慮すべき事項である。更に、この特定の構成は、ごくわずかな量しか変位を増加させることができず、燃料インジェクタにおけるアクチュエータとして使用する場合にはやはり増幅が必要である。

こうした問題に対処しようとするその他の試みに関する情報は、米国特許第7,786,652号、7,455,244号、7,406,951号、7,140,353号、6,978,770号、6,834,812号、6,585,171号および4,803,393号で見出すことができる。しかしながら、これら参照文献のそれぞれが、最大効率を生み出すための高周波数稼働および各燃焼サイクルの最適化を妨げる傾向にある以下の不都合のうちの一以上を欠点として有している。間接作動、部分的なばね作動;複数の構成要素および部品を含む複雑な機構;全開または全閉位置のみでの稼働;極めて長い圧電スタックを必要とするストローク距離;必要な力を得るために必要な多数の増圧器;十分なストロークに適応できない作動機構;より高周波数での稼働時に弁の浮き上がりを誘発する可能性のあるばね要素を含んでいること;遅れおよびヒステリシスの原因となる液体圧増幅による間接作動;弁位置の非アナログ制御;および圧電スタックを引張状態に置いたり異なる稼働パラメータ適合したりすることを回避するために圧電スタックに精密なプレストレスを加えることができないこと。加えて、こうした他の試みでは主な作動力と流量制御部材との間に介在要素のない一対一の関係を有するインジェクタを提供できないことは、明白である。結果的に、こうした他の試みは、直接作動を実現していない。

例えば、Nakamura(ナカムラ)他の、2010年8月31日発行の米国特許第7,786,652(B2)号は、多層圧電素子スタックを用いた噴射装置を記載している。Nakamura他によって開示されたこの発明は、接触不良や装置停止につながり得る外部電極圧電層の間の剥離または亀裂を生じることなく高電荷を用いて連続的に稼働可能な多層圧電素子の必要性に対してなされたものである。Nakamura他によって記載されたインジェクタ装置は、燃料を遮断するために噴射穴を塞ぐ大きさに形成されたニードル弁を使用する。そのインジェクタ装置は、ピストン弁部材の下にばねを含み、圧電アクチュエータから電力が遮断されるとばねが実際に弁を開けて燃料噴射を可能にするようになっている。スタックは、弁を閉じるためだけに作用する。更に、Nakamura他は、圧電スタックにプレストレスをかける方法を記載していない。インジェクタの通常の動作は全開または全閉のいずれかであり、可変噴射率を実現する能力はない。燃料流量は孔によって制御され、調節可能ではない。加えて、Nakamura他が記載する圧電スタックが、補助ばねを含みながらも、噴射穴を塞ぐのに十分なほどニードルを動かすために十分なストロークまたは収縮をどのように実現するかが明確ではない。パルスデトネーションエンジンに関連する稼働上の要件に関しては、Nakamura他が記載するインジェクタは、十分な流れを可能にできないだけでなく、十分な高周波数で稼働することもない。従って、Nakamuraが記載するインジェクタは、主な作動力と流量制御部材との間に介在要素のない一対一の関係はなく、従って直接作動されるものではない。

更に、Boecking(ボーキング)の、2008年11月25日発行の米国特許第7,455,244(B2)号は、燃料を内燃エンジンの燃焼室に噴射する圧電燃料インジェクタを記載している。ここで、インジェクタは第一および第二の増圧ピストンを含み、第一の増圧ピストンが圧電スタックを用いて作動されて第二の増圧ピストンを作動させ、その結果第二の増圧ピストンが噴射開口を開くために座面から離れる方向にピンを移動させる。Boeckingが記載するインジェクタは、特にコンパクトな構造の燃料インジェクタの必要性に対してなされたものである。インジェクタ本体内部の多数のばねが、閉鎖力を発生させるために使用される。Boeckingが記載するシステムは、最小ストローク変位で燃料の大量供給をサポートするのに十分なだけピンを移動させる複雑な機構である。ばねによって荷重かけられた要素を含むため、記載されたインジェクタは、より高周波数での作動時には浮き上がりを被る。加えて、Boeckingのインジェクタは、小さなニードル弁の移動に依存しており、これが、より高流量で流れを供給する能力を阻害している。更に、Boeckingのインジェクタは、主な作動力と流量制御部材との間に介在要素のない一対一の関係はなく、従って直接作動されるものではない。

Stoecklein(ストークレイン)の、2008年8月5日発行の米国特許第7,406,951号は、燃料を内燃エンジンに噴射する圧電燃料インジェクタを記載している。ここで、燃料インジェクタは、圧電アクチュエータによって間接的に作動される噴射弁部材を有する。Stoeckleinは、噴射弁部材は圧電スタックによって「直接」作動されると示唆しているが、記載ではアクチュエータと噴射弁との間に液体圧増幅が使用されていることが確認される。従って、本明細書において定義されるように、Stoeckleinのインジェクタは直接作動されるものではない。加えて、弁部材は、閉位置に移動するためにばね要素に依存している。Stoeckleinの発明は、先行の圧電燃料インジェクタにおける問題を解決しようと試みてもいるが、それによって全開と全閉との間の弁の中間位置が不安定となり、維持できなくなっている。Stoeckleinは、安定した中間静止位置を実現するためにアクチュエータストロークの多段液体式増圧を伴う解決策を記載している。システム圧力打ち勝って弁部材を開くために、圧電アクチュエータへの電流供給を減らして初期力をかける。長さの減少が液体圧結合チャンバ、続いて制御チャンバにおける圧力減少をもたらす。臨界圧力に到達後、弁が中間ストローク位置まで開く。弁部材を完全に開くため、圧電アクチュエータがそのストローク距離のうちのある一定量を移動した時点で増圧状態を変化させる。しかし、Stoeckleinの方式は、応答遅れの問題にも高周波数で作動するための適応策にも取り組んでいない。更に、限定的な二段階制御が記載されているが、高精度で本質的にアナログな制御は、Stoeckleinのインジェクタシステムではサポートされていない。先行の参照した設計と同様、インジェクタは、より高い作動周波数では弁の浮き上がりの原因となり得るばねを含んでいる。

Stoeckleinは、望ましい流量を実現するには数百ミクロンのストロークが必要となることも確認しているが、合理的に大きさの決められたスタックによって得られるストロークは、20〜40ミクロンオーダーである。加えて、Stoeckleinのインジェクタは、十分な開度を達成するには二段階増圧に依存しなければならない。他の参照した設計と同様、Stoeckleinのインジェクタも主な作動力と流量制御部材との間に介在要素のない一対一の関係はなく、従って直接作動されるものではない。

Rauznitz(ローズニッツ)他の、2006年11月28日発行の米国特許第7,140,353(B1)号は、ノズル弁要素と、制御ボリュームと、燃料の流れを制御する噴射制御弁とを含み、圧電スタック素子予荷重力を加えるために予荷重チャンバが使用される圧電インジェクタを記載している。Rauznitz他は、圧電スタックに適切にプレストレスをかけて信頼性の高い動作を保証するための液体による予荷重の必要性を強調している。しかしながら、記載されているように、Rauznitz他のインジェクタは、全閉位置および全開位置でのみ稼働する。従って、たとえインジェクタが開閉のために着火を改善して流れプロファイルに対処できるとしても、各燃焼/噴射サイクルを通じて流れプロファイルの高精度な制御を実現するために弁位置のアナログ制御を行うことはできない。加えて、弁の開閉は、多数の構成要素の作動による増幅を必要とする。従って、Rauznitz他のインジェクタは、弁制御部材の直接作動を実現できないため、高周波数噴射が行われる状況での適用は制限され、また、燃料流れプロファイルの高精度な制御が実現できないため、例えば、パルスデトネーションエンジンへの使用は制限されている。最後に、インジェクタは、より小型のインジェクタニードルのみを収容するように設計されており、燃料の流れの増加に適応するための大型のインジェクタをサポートしていない。従って、このRauznitz他のインジェクタは、主な作動力と流量制御部材との間に介在要素のない一対一の関係はなく、従って直接作動されるものではない。

Rauznitz他の、2005年12月27日発行の米国特許第6,978,770(B2)号は、燃料インジェクタが圧電素子、要素を起動させてインジェクタを作動させる電源、および噴射率形状の制御を目的として圧電素子を帯電させる制御器を含む圧電燃料噴射システム制御方法を記載している。Rauznitz他が開示するシステムは、閉、中間および全開制御を実施する。これら三つの位置は、改善された率形状を形成するためのノズル弁要素の急速な開閉によって更にサポートされる(裏付けられる)。しかし、ノズル弁ニードルのストローク長全体に亘るノズル弁ニードルの正確な制御およびアナログな(連続的な、連続的に変化する)位置決めは、可能ではない。更に、インジェクタは、弁要素を閉位置に付勢するためにばねを使用しており、これが複雑化をもたらし、より高周波数での作動時にはインジェクタが浮き上がりを被る原因となる。従って、このRauznitz他のインジェクタは、主な作動力と流量制御部材との間に介在要素のない一対一の関係はなく、従って直接作動されるものではない。

Neretti(ネレッティ)他の、2004年12月28日発行の米国特許第6,834,812(B2)号は、外側の汚れを回避するために弁の内方変位を実現することを目的とした圧電燃料インジェクタを記載している。弁は噴射パイプ内に収容されており、圧電アクチュエータの伸張によってその軸線に沿って閉位置と開位置の間を移動可能である。弁位置は全開と全閉の二つのみであり、アナログまたは可変噴射のための能力は持たない。圧電アクチュエータの伸張によって引き起こされる変位を反転させて弁を内側方向に変位させるため、機械的伝達装置が圧電アクチュエータと弁との間に配置されている。この機構は、インジェクタ組立体の複雑さを増している。従って、Neretti他のインジェクタは、主な作動力と流量制御部材との間に介在要素のない一対一の関係はなく、従って直接作動されるものではない。

Boeckingの、2003年7月1日発行の米国特許第6,585,171(B1)号は、燃料戻し器、高圧ポート、圧電アクチュエータスタック、液体圧増幅器、弁、ノズルニードルおよび噴射孔を備える燃料インジェクタシステムを記載している。Boeckingのインジェクタの圧電スタックは、ノズルニードルを直接作動させるものではない。綿密に調べればわかることだが、圧電スタックは、むしろ別体の液体圧増幅器を作動させて弁を開き、それによって噴射孔から離れる方向にノズルニードルが移動できるようにするものである。Boeckingのインジェクタのニードルは、圧電スタックによって直接作動されるものではない。更に、Boeckingのインジェクタは、オンおよびオフの二つの別々のモードで稼働するように制限されている。従って、Boeckingのインジェクタは、主な作動力と流量制御部材との間に介在要素のない一対一の関係はなく、従って直接作動されるものではない。

Takahashi(タカハシ)の、1989年2月7日発行の米国特許第4,803,393号は、対象部材を移動させる圧電アクチュエータを記載している。ここで、アクチュエータは圧電素子と、ベローズを有するエンベロープ包被)と、作動油密封状態封入された圧力チャンバとを含む。Takahashiによって開示された発明は、傾いた状態に取り付けられたことや不完全摺動に起因する圧電素子の破壊を防ぐことが可能な改良型の圧電アクチュエータに対する必要性に対してなされたものである。これは、圧電素子と弁または対象部材との間のエンベロープによって達成される。エンベロープは、弾性部材を含み、密封状態で流体を収容している。Takahashiのインジェクタにおけるエンベロープとばね機構との使用は、間接作動の限界に加えて、より高い作動周波数での弁の浮き上がりの問題を引き起こすものである。加えて、Takahashiの圧電アクチュエータは、流れを制御するニードルを直接作動させるために使用されておらず、その後にインジェクタ組立体に流れが供給されることを可能にする上流側の別体の制御弁を動かすために使用されている。従って、Takahashiのインジェクタは、主な作動力と流量制御部材との間に介在要素のない一対一の関係はなく、従って直接作動されるものではない。

結果的に、主な作動力と流量制御部材との間に介在要素を持たない圧電スタックによるインジェクタノズルピン(流量制御部材)の直接作動によって迅速に応答する燃料インジェクタに対する必要性が存在する。また、燃焼/噴射サイクル全体を通じて動的な制御された可変の流れを供給し、単純なオン/オフ操作および孔の大きさの選択から生じる流量の限界を回避することが可能なインジェクタに対する必要性も存在する。更には、より高い周波数サイクルおよびよりより高い圧力稼働条件に適応可能な燃料インジェクタに対する必要性も存在する。また、最小限の待ち時間および応答遅れを有する高周波数インジェクタに対する必要性も存在する。比較的高い流量に適応可能な高周波数インジェクタに対する更なる必要性も存在する。稼働上の要件を満たすのにアクチュエータ機構の増圧または増幅を必要としないインジェクタに対する必要性も存在する。

概要

本発明は、圧電アクチュエータによって直接作動される燃料インジェクタ装置を提供する。圧電駆動スタックとインジェクタ組立体とを備える燃料インジェクタ装置であって、燃料インジェクタ装置の流量制御部材が追加の増幅手段または介在要素なしに圧電スタックによって直接駆動される一方で、制御された流量を望ましい流れプロファイルで供給してエンジン性能を向上させ排出物を削減するため、ノズル部の流れ面積が可変的に調節可能である燃料インジェクタ装置。このインジェクタ構成は、流量制御部材の最小限の直線移動で必要な流量をサポートするのに適している。

目的

「直接作動」とは、本明細書においては、作動装置と流量制御部材との間に、流量制御部材を稼働させるために必要な付加的な介在要素、増幅ステップ、流路、制御圧またはその他の同様な補助的要素のない、一対一の関係を有することである

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
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この技術が所属する分野

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請求項1

(a)上端と、底と、その間の本体とを有し、前記本体が内部に円筒形チャンバを有し、前記円筒形のチャンバがシール座面を有し、前記底が前記底の内部に形成されて前記円筒形のチャンバから前記底の外へと伸び流出ノズルを有し、前記流出ノズルが前記円筒形のチャンバからの出口を提供する、インジェクタハウジングと;(b)前記本体に取り付けられて前記円筒形のチャンバへの入口を提供する流入ノズルと;(c)前記シール座面と協同して前記流出ノズルを通過する流れを制御するために前記円筒形のチャンバ内で着座される流量制御部材と;(d)圧力シール創出しながらも前記円筒形のチャンバ内で前記流量制御部材が直線的に移動することを可能にする、前記流量制御部材を取り囲むシールと;(e)前記流量制御部材の上端に接合された圧電スタックであって、当該圧電スタックが伸張または収縮し、前記流量制御部材を前記シール座面と前記流出ノズルに近づく方向または前記シール座面と前記流出ノズルから離れる方向に動かして、前記流量制御部材の直線運動直接駆動するように構成した、圧電スタックと;(f)ユーザーインターフェースと、前記圧電スタックに接続され、印加された電流および電圧のレベルに応じた前記圧電スタックの伸縮によって前記流量制御部材を一以上の開位置に駆動する駆動電子装置とを有する制御システムとを備える;燃料インジェクタ

請求項2

前記圧電スタックの伸張または収縮中に生じる前記流量制御部材の直線運動に適応するために前記シールが屈曲する、請求項1に記載の燃料インジェクタ。

請求項3

前記インジェクタハウジングの上端がねじ切りされて構成され、前記インジェクタハウジングが、さらに前記インジェクタハウジングの上端に固定されて調節可能なプレストレスを前記圧電スタックに加えるエンドキャップを備えて構成された、請求項1に記載の燃料インジェクタ。

請求項4

前記流量制御部材が、円形上端と、円筒形シール溝と、第一の曲率半径を有する半球状の突端部であって、前記シール座面と係合して前記インジェクタを通過する流れを止める半球状の突端部を有する下側円筒形の本体部とを有して構成された、請求項1に記載の燃料インジェクタ。

請求項5

前記円筒形のチャンバが更に、前記ハウジング底近接して配置され第二の曲率半径を有する内側ノズル表面を有して構成された、請求項1に記載の燃料インジェクタ。

請求項6

前記円筒形のチャンバの前記シール座面が、前記内側ノズル表面を取り囲んでいる、請求項5に記載の燃料インジェクタ。

請求項7

前記流量制御部材が、第一の曲率半径を有する突端を有して構成され、更に前記円筒形のチャンバが、前記ハウジングの底に近接して配置され第二の曲率半径を有する内側ノズル表面を有して構成された、請求項1に記載の燃料インジェクタ。

請求項8

前記第二の曲率半径が前記第一の曲率半径よりも小さい、請求項7に記載の燃料インジェクタ。

請求項9

前記制御システムの前記駆動電子装置が、各噴射および燃焼サイクルを通じて、伸張と収縮およびその複数の組合せを含む、前記円筒形のチャンバ内での前記圧電スタックの直線運動を制御するための駆動波形カスタム設計を実現するプロセッサと、フィルターと、電力増幅器と;および前記波形リアルタイムでのユーザー制御を実現するユーザーインターフェースをと備える;請求項1に記載の燃料インジェクタ。

請求項10

燃料エンジン燃焼室内に噴射する燃料インジェクタであって、(a)インジェクタハウジングと;(b)前記インジェクタハウジングに取り付けられて加圧燃料受け入れる流入ノズルと;(c)前記インジェクタハウジングの底部に配置されて燃焼室への出口を提供する流出ノズルと;(d)前記インジェクタハウジングの内部に配置され、変位ストロークを有する圧電スタックと;(e)前記圧電スタックに接続され、電力を供給してリアルタイムで前記圧電スタックをその変位ストローク全体に亘って伸縮させる駆動電子装置と;(f)前記インジェクタハウジング内で、前記流量制御部材の直接作動を実現する前記圧電スタックと直接接触している流量制御部材であって、前記圧電スタックの伸縮によって、前記流入ノズルから前記流出ノズルを通って燃焼室へと向かう燃料の流れがブロックされる閉状態と、前記圧電スタックの伸縮に応じた前記インジェクタハウジング内での前記流量制御部材の移動によって定まる環状の流れ面積の大きさに応じて複数の異なる流量で前記流出ノズルを通って燃料が流れ得る複数の中間的な開位置との間を直接移動可能である流量制御部材とを備える;燃料インジェクタ。

請求項11

燃料の流量が前記圧電スタックの伸縮に比例するように、前記円筒形のハウジング内での前記流量制御部材の位置が、前記圧電スタックの伸縮と直接的な関係を持ちつつ可変である、請求項10に記載の燃料インジェクタ。

請求項12

前記流量制御部材が、第一の曲率半径を有する突端を有するものとして構成され、更に前記円筒形のチャンバが、前記ハウジングの底に近接して配置され第二の曲率半径を有する内側ノズル表面を有するものとして構成される、請求項11に記載の燃料インジェクタ。

請求項13

前記流量制御部材の移動によって前記流量制御部材の前記突端と前記内側ノズル表面との間に環状の流れ面積が創出され、前記環状の流れ面積は、前記第一の曲率半径、前記第二の曲率半径および前記圧電スタックの伸縮と直接的な関係を持った前記円筒形のハウジング内の前記流量制御部材の移動の関数である、請求項12に記載の燃料インジェクタ。

請求項14

前記流量制御部材の直径が、前記圧電スタックの利用可能なストローク変位の関数として選択され、好ましい燃料流量に適応するのに必要な前記環状の流れ面積を創出するために前記流量制御部材の前記インジェクタハウジング内での移動に直接的に対応する、請求項13に記載の燃料インジェクタ。

請求項15

前記流量制御部材の全開状態全閉状態との間の前記移動が、前記圧電スタックの高さの1パーセント以下である、請求項10に記載の燃料インジェクタ。

請求項16

燃料をエンジンの燃焼室内に噴射するための構成要素の数が最小限である燃料インジェクタであって、(a)インジェクタハウジングと;(b)前記インジェクタハウジングに取り付けられて加圧燃料を受け入れる流入ノズルと;(c)前記インジェクタハウジングの底部に配置されて燃焼室への出口を提供する流出ノズルと;(d)前記インジェクタハウジング内に配置され、プレストレス荷重を受ける圧電スタックと;(e)前記インジェクタハウジング内で前記圧電スタックに直接連結され、前記圧電スタックの伸縮に関係して、前記圧電スタックによって、前記流入ノズルから前記流出ノズルを通過する燃料の流れがブロックされる閉状態と、前記流入ノズルから前記流出ノズルを通って燃料が流れ得る一以上の開状態位置との間を直接的かつ可変的に移動可能な流量制御部材と;(f)前記圧電スタックに接続され、前記圧電スタックに通電して前記圧電スタックの伸縮によって前記流量制御部材を変位ストローク全体に亘って直接駆動する駆動電子装置を備える制御装置とから成る;燃料インジェクタ。

請求項17

前記燃料インジェクタが燃焼稼働温度および腐食性化学物質に耐え得る、ステンレス鋼またはセラミックのような材料で作られた、請求項16に記載の燃料インジェクタ。

請求項18

前記燃料インジェクタが前記圧電スタックに前記プレストレスをかける手段を更に備える、請求項16に記載の燃料インジェクタ。

請求項19

プレストレスをかける前記手段がエンドキャップを備え、選択された燃料供給圧に応じて前記圧電スタックにプレストレス荷重をかけるために、前記エンドキャップの回転によって十分に前記プレストレスがかけられるように構成された、請求項18に記載の燃料インジェクタ。

請求項20

稼働中は、燃焼/噴射サイクルを通じて前記望ましいプレストレス荷重が前記圧電スタックを圧縮状態に維持する、請求項19に記載の燃料インジェクタ。

請求項21

前記エンドキャップの回転によってプレストレスをかける前記手段が、ギア付マイクロメーターまたはギア付きステッピングモーターを用いて前記エンドキャップに回転を付与する手段を含む、請求項19に記載の燃料インジェクタ。

請求項22

流量制御部材と、シール座面と、前記流量制御部材の直線移動を制御するために伸縮する圧電アクチュエータスタックとを有するインジェクタを稼働させる方法であって:前記圧電スタックをその稼働サイクルを通じて確実に圧縮状態に維持するためにプレストレス荷重を前記圧電アクチュエータスタックにかけるステップと、初期電圧を前記圧電スタックに印加するステップであって、それによって、前記圧電スタックを収縮させて前記流量制御部材を前記インジェクタの前記シール座面から離れる方向に移動させることによって、前記インジェクタを通る燃料の流れを開始させる、ステップと、一時的に前記圧電スタックに印加される電圧を低下させるステップであって、それによって、前記流量制御部材にかかる前記インジェクタ内の燃料の圧力によって生じる開放力を調節するステップと、前記電圧を低下させるステップに続けて、前記圧電スタックに印加される電圧を変化させるステップであって、それによって、前記圧電スタックを伸縮させ、前記インジェクタ内の一以上の中間的な位置へと前記流量制御部材を移動させることにより、可変流量でインジェクタを通る燃料を通過させる対応する一以上の環状の流れ面積を確立する、ステップと、稼働中、燃焼サイクル中に印加される電圧を調節するステップであって、それによって、前記流量制御部材を一以上の中間的な位置へと移動させ、個々の燃焼サイクルを通じて前記環状の流れ面積を調節して燃料流量を変化させる、ステップと、印加される電圧を低下させるステップであって、それによって、前記圧電スタックを伸張させて前記インジェクタの前記シール座面に向かって前記流量制御部材を移動させることにより、前記環状の流れ面積および前記燃料流量を小さくし、燃料の流れを止めるために望ましい場合には、前記圧電アクチュエータスタックへの全印加電圧遮断することによって前記圧電スタックを十分に伸張させ、前記流量制御部材を完全に前記シール座面と係合させることで前記インジェクタを通過する燃料の流れを完全に遮断する、ステップとを備える、方法。

請求項23

前記圧電スタックへの全印加電圧を遮断するステップは、フェイルセーフモードで前記圧電スタックがそのプレストレスがかけられた状態まで完全に伸張して前記インジェクタを通過する燃料の流れを完全に止める電源遮断を構成する、請求項22に記載の方法。

技術分野

0001

本発明は、燃料噴射装置に関する。より詳細には、本発明は、圧電アクチュエータによって直接作動される燃料噴射装置に関する。

背景技術

0002

燃料インジェクタ噴射器)は、燃焼サイクルの適切な時点に燃料燃焼室へと直接送り込むことによって燃料を内燃エンジン内に能動的に噴射する装置である。ピストンの下方向へのストロークによって燃焼室へと燃料空気混合物吸引されるピストンエンジンの場合、燃料インジェクタは、気化器代わるものである。現在の燃料インジェクタは高周波数(単位時間当たりの繰り返し)で稼働できないという欠点があり、そのため、進んだ新しいエンジン設計へのその適用可能性は限定されている。加えて、現在のインジェクタは、噴射/燃焼サイクル毎燃料供給プロファイル(態様)を変化させることができず、そのため、より進んだ燃焼形態、特に、高周波数で稼働する燃焼形態へのその使用は、更に限定されている。その上、現在のインジェクタ構成は、ストローク増幅要求を含む様々な要因に起因する応答遅れを有し、これがより高い周波数での稼働の妨げとなっている。最後に、圧電アクチュエータに依存するインジェクタは、十分な燃料が望ましい流量で流れることを可能にする十分な距離だけ座面から離すように移動させることができないため、燃料が噴射孔を通って燃焼室へと流入することを可能とする流量制御部材を直接作動させることができない。本明細書に記載された目的のため、「直接」作動とは、主な作動装置と、その主な作動装置によって動かされたとき、燃料を典型的にはノズル部を通して燃焼室へと即座に流入させる一次流量制御部材との直接的な物理的相互作用であると定義する。「直接作動」とは、本明細書においては、作動装置と流量制御部材との間に、流量制御部材を稼働させるために必要な付加的な介在要素増幅ステップ流路制御圧またはその他の同様な補助的要素のない、一対一の関係を有することであると定義する。

0003

燃料インジェクタに使用されている現在の圧電スタックアクチュエータステムは、ノズル組立体、特に、燃料が流れることを可能にするノズルの部分の直接作動には依存していない。代わりに、圧電スタック積層体)は、ノズルを開くことを支援するために液体圧を変化させる別体の弁を単に開閉するために通常は使用される。結果として、この間接的液体圧作動と増幅という多段階プロセスは、内在する応答遅れのために、インジェクタの稼働周波数固有限界を生じさせている。結果的に、こうした二段階圧電インジェクタは、進んだ新しいエンジン技術のより高周波数での稼働をサポートすることができない。

0004

典型的な燃料インジェクタにおいては、ノズル組立体部がエンジンの燃焼室の近傍に位置している。ノズルは一次流量制御部材であると考えられるピンと、燃料が燃焼室へと流入する際に通る孔を含む。ピンが孔のシール部に着座すると、燃料の流れが遮断される。ピンが孔のシール部から離座すると、燃料の流れが可能となる。

0005

既存のインジェクタ構成においては、ノズルを開閉するために液体圧式増幅が用いられる。高圧燃料ノズル室全体に供給される。ピンの形状によって圧力のバランスが失われ、ピンが閉位置で孔に着座する。上流アクチュエータ燃料供給システム連絡している圧力逃し弁を開き、ピンの一方の側の圧力を低下させる。それによって一方向の正味の直線的な力が生じ、ピンを座面から離昇させてノズルを開く。圧力逃がし弁を閉じることにより、圧力は元のレベル戻り、ピンが再度着座してノズルを閉じる。

0006

このような形で圧電スタックが使用される場合、システム全体は機械的にも操作的にも複雑である。圧電スタックの変位は限られているため、増幅が必要である。しかし、増幅には、インジェクタの本体(ボディ)内部に更に込み入った流路配置や追加の弁、シール要素が必要である。さらに重要なことに、液体圧式増幅は、二段階作動プロセスに起因する大幅な応答遅れを引き起こすことになる。この避けられない応答遅れのため、液体で増幅されるインジェクタは、圧電アクチュエータを使用するものであっても、パルスデトネーションエンジンで要求される可能性のある高周波数での稼働は妨げられる。

0007

現在のインジェクタ作動方法は、他にも固有の限界を有する。例えば、こうしたインジェクタは、二元的(すなわち、全開または全閉)でしか稼働することができない。各噴射/燃焼サイクルに亘って燃料噴射プロファイル全体の本質的にアナログな制御を実施することが好ましい場合もある。各噴射サイクルにおいて、インジェクタ弁を単純に高周波で(頻繁に)又様々な時間間隔で開閉することでこうしたアナログ制御を実現しようとする試みがなされてきた。残念ながら、この方式は、各噴射サイクルにおける作動サイクルの増大に起因する更に進んだ操作上の要求を生んでいる。

0008

「作動」手段として使用される二つの一次的技術である、電磁アクチュエータと圧電アクチュエータには、固有の長所と短所がある。まず、電磁アクチュエータ(ソレノイドとしても知られる)は、望ましい最大の燃料の流れをサポートするのに十分なインジェクタピンの直線的ストローク(変位)を供給できるが、二種類のモード、すなわち全開または全閉でしか稼働できない。ソレノイド弁は、電磁ソレノイドアクチュエータを組込んだ電気機械弁である。弁は、ソレノイドを流れる電流によって制御される。一部のソレノイド弁においては、ソレノイドが主弁直接作用する。より大型の弁を作動させるための、パイロットとして知られる、小型の完結型ソレノイド弁を使用するものもある。パイロット式弁の方が制御に要する電力量が遙かに小さいが、目に見えて動作が遅い。パイロット式のソレノイドは通常、開いて開状態に保つのに常に最大出力を必要とするが、直接作動型のソレノイドは、開くのに短時間最大出力を必要とするのみで、閉位置に保つのには低出力しか必要としない場合もある。使用するソレノイドの種類に関わらず、このアクチュエータには相変わらず大幅な応答遅れという欠点があり、それは、稼働周波数が増加するほど悪化する。更に、この場合もやはり、ソレノイドで作動するインジェクタは、二つの状態、すなわち全開または全閉でしか稼働できない。

0009

アクチュエータの第二のタイプは、圧電素子を使用するもので、ソレノイドアクチュエータよりも迅速な応答を実現可能であるが、ストローク長が非常に短い。一般に、標準的な圧電スタックは、その高さの1%のl/10の最大変位を実現する。単結晶圧電材料を含むスタックは、最大でその高さの1%の変位を実現可能である。結果的に、これまで、この限界のあるストローク長のために、燃料インジェクタにおける圧電作動機構は、増幅構成において使用することを余儀なくされてきた。必然的に、増幅に依存する先行のインジェクタ構成は、直接作動を実現できていない。

0010

圧電アクチュエータの変位を増加または増幅しようとする様々な試みがなされてきた。例えば、ダイヤモンド形筺体を用いて対立軸に沿って変位を増幅させる、幾何学的に拘束された圧電アクチュエータ装置を含む設計がある。圧電素子が水平方向に収縮または伸張する際、外側のダイヤモンド形の筺体も形を変え、圧電素子によって制御される筺体の垂直方向頂点を水平方向の頂点よりもわずかに長い距離移動させる。残念なことに、この機械的特徴を用いると、アクチュエータの高周波数稼働と寿命を制限する機械的ばね変数の限界を導入することになる。加えて、変位を増加させるために用いられるこの屈曲と引っ張りの方式は、加えられる最大力の低下も生じさせる。これは本発明の設計において、もう一つ考慮すべき事項である。更に、この特定の構成は、ごくわずかな量しか変位を増加させることができず、燃料インジェクタにおけるアクチュエータとして使用する場合にはやはり増幅が必要である。

0011

こうした問題に対処しようとするその他の試みに関する情報は、米国特許第7,786,652号、7,455,244号、7,406,951号、7,140,353号、6,978,770号、6,834,812号、6,585,171号および4,803,393号で見出すことができる。しかしながら、これら参照文献のそれぞれが、最大効率を生み出すための高周波数稼働および各燃焼サイクルの最適化を妨げる傾向にある以下の不都合のうちの一以上を欠点として有している。間接作動、部分的なばね作動;複数の構成要素および部品を含む複雑な機構;全開または全閉位置のみでの稼働;極めて長い圧電スタックを必要とするストローク距離;必要な力を得るために必要な多数の増圧器;十分なストロークに適応できない作動機構;より高周波数での稼働時に弁の浮き上がりを誘発する可能性のあるばね要素を含んでいること;遅れおよびヒステリシスの原因となる液体圧増幅による間接作動;弁位置の非アナログ制御;および圧電スタックを引張状態に置いたり異なる稼働パラメータ適合したりすることを回避するために圧電スタックに精密なプレストレスを加えることができないこと。加えて、こうした他の試みでは主な作動力と流量制御部材との間に介在要素のない一対一の関係を有するインジェクタを提供できないことは、明白である。結果的に、こうした他の試みは、直接作動を実現していない。

0012

例えば、Nakamura(ナカムラ)他の、2010年8月31日発行の米国特許第7,786,652(B2)号は、多層圧電素子スタックを用いた噴射装置を記載している。Nakamura他によって開示されたこの発明は、接触不良や装置停止につながり得る外部電極圧電層の間の剥離または亀裂を生じることなく高電荷を用いて連続的に稼働可能な多層圧電素子の必要性に対してなされたものである。Nakamura他によって記載されたインジェクタ装置は、燃料を遮断するために噴射穴を塞ぐ大きさに形成されたニードル弁を使用する。そのインジェクタ装置は、ピストン弁部材の下にばねを含み、圧電アクチュエータから電力が遮断されるとばねが実際に弁を開けて燃料噴射を可能にするようになっている。スタックは、弁を閉じるためだけに作用する。更に、Nakamura他は、圧電スタックにプレストレスをかける方法を記載していない。インジェクタの通常の動作は全開または全閉のいずれかであり、可変噴射率を実現する能力はない。燃料流量は孔によって制御され、調節可能ではない。加えて、Nakamura他が記載する圧電スタックが、補助ばねを含みながらも、噴射穴を塞ぐのに十分なほどニードルを動かすために十分なストロークまたは収縮をどのように実現するかが明確ではない。パルスデトネーションエンジンに関連する稼働上の要件に関しては、Nakamura他が記載するインジェクタは、十分な流れを可能にできないだけでなく、十分な高周波数で稼働することもない。従って、Nakamuraが記載するインジェクタは、主な作動力と流量制御部材との間に介在要素のない一対一の関係はなく、従って直接作動されるものではない。

0013

更に、Boecking(ボーキング)の、2008年11月25日発行の米国特許第7,455,244(B2)号は、燃料を内燃エンジンの燃焼室に噴射する圧電燃料インジェクタを記載している。ここで、インジェクタは第一および第二の増圧ピストンを含み、第一の増圧ピストンが圧電スタックを用いて作動されて第二の増圧ピストンを作動させ、その結果第二の増圧ピストンが噴射開口を開くために座面から離れる方向にピンを移動させる。Boeckingが記載するインジェクタは、特にコンパクトな構造の燃料インジェクタの必要性に対してなされたものである。インジェクタ本体内部の多数のばねが、閉鎖力を発生させるために使用される。Boeckingが記載するシステムは、最小ストローク変位で燃料の大量供給をサポートするのに十分なだけピンを移動させる複雑な機構である。ばねによって荷重かけられた要素を含むため、記載されたインジェクタは、より高周波数での作動時には浮き上がりを被る。加えて、Boeckingのインジェクタは、小さなニードル弁の移動に依存しており、これが、より高流量で流れを供給する能力を阻害している。更に、Boeckingのインジェクタは、主な作動力と流量制御部材との間に介在要素のない一対一の関係はなく、従って直接作動されるものではない。

0014

Stoecklein(ストークレイン)の、2008年8月5日発行の米国特許第7,406,951号は、燃料を内燃エンジンに噴射する圧電燃料インジェクタを記載している。ここで、燃料インジェクタは、圧電アクチュエータによって間接的に作動される噴射弁部材を有する。Stoeckleinは、噴射弁部材は圧電スタックによって「直接」作動されると示唆しているが、記載ではアクチュエータと噴射弁との間に液体圧増幅が使用されていることが確認される。従って、本明細書において定義されるように、Stoeckleinのインジェクタは直接作動されるものではない。加えて、弁部材は、閉位置に移動するためにばね要素に依存している。Stoeckleinの発明は、先行の圧電燃料インジェクタにおける問題を解決しようと試みてもいるが、それによって全開と全閉との間の弁の中間位置が不安定となり、維持できなくなっている。Stoeckleinは、安定した中間静止位置を実現するためにアクチュエータストロークの多段液体式増圧を伴う解決策を記載している。システム圧力打ち勝って弁部材を開くために、圧電アクチュエータへの電流供給を減らして初期力をかける。長さの減少が液体圧結合チャンバ、続いて制御チャンバにおける圧力減少をもたらす。臨界圧力に到達後、弁が中間ストローク位置まで開く。弁部材を完全に開くため、圧電アクチュエータがそのストローク距離のうちのある一定量を移動した時点で増圧状態を変化させる。しかし、Stoeckleinの方式は、応答遅れの問題にも高周波数で作動するための適応策にも取り組んでいない。更に、限定的な二段階制御が記載されているが、高精度で本質的にアナログな制御は、Stoeckleinのインジェクタシステムではサポートされていない。先行の参照した設計と同様、インジェクタは、より高い作動周波数では弁の浮き上がりの原因となり得るばねを含んでいる。

0015

Stoeckleinは、望ましい流量を実現するには数百ミクロンのストロークが必要となることも確認しているが、合理的に大きさの決められたスタックによって得られるストロークは、20〜40ミクロンオーダーである。加えて、Stoeckleinのインジェクタは、十分な開度を達成するには二段階増圧に依存しなければならない。他の参照した設計と同様、Stoeckleinのインジェクタも主な作動力と流量制御部材との間に介在要素のない一対一の関係はなく、従って直接作動されるものではない。

0016

Rauznitz(ローズニッツ)他の、2006年11月28日発行の米国特許第7,140,353(B1)号は、ノズル弁要素と、制御ボリュームと、燃料の流れを制御する噴射制御弁とを含み、圧電スタック素子予荷重力を加えるために予荷重チャンバが使用される圧電インジェクタを記載している。Rauznitz他は、圧電スタックに適切にプレストレスをかけて信頼性の高い動作を保証するための液体による予荷重の必要性を強調している。しかしながら、記載されているように、Rauznitz他のインジェクタは、全閉位置および全開位置でのみ稼働する。従って、たとえインジェクタが開閉のために着火を改善して流れプロファイルに対処できるとしても、各燃焼/噴射サイクルを通じて流れプロファイルの高精度な制御を実現するために弁位置のアナログ制御を行うことはできない。加えて、弁の開閉は、多数の構成要素の作動による増幅を必要とする。従って、Rauznitz他のインジェクタは、弁制御部材の直接作動を実現できないため、高周波数噴射が行われる状況での適用は制限され、また、燃料流れプロファイルの高精度な制御が実現できないため、例えば、パルスデトネーションエンジンへの使用は制限されている。最後に、インジェクタは、より小型のインジェクタニードルのみを収容するように設計されており、燃料の流れの増加に適応するための大型のインジェクタをサポートしていない。従って、このRauznitz他のインジェクタは、主な作動力と流量制御部材との間に介在要素のない一対一の関係はなく、従って直接作動されるものではない。

0017

Rauznitz他の、2005年12月27日発行の米国特許第6,978,770(B2)号は、燃料インジェクタが圧電素子、要素を起動させてインジェクタを作動させる電源、および噴射率形状の制御を目的として圧電素子を帯電させる制御器を含む圧電燃料噴射システム制御方法を記載している。Rauznitz他が開示するシステムは、閉、中間および全開制御を実施する。これら三つの位置は、改善された率形状を形成するためのノズル弁要素の急速な開閉によって更にサポートされる(裏付けられる)。しかし、ノズル弁ニードルのストローク長全体に亘るノズル弁ニードルの正確な制御およびアナログな(連続的な、連続的に変化する)位置決めは、可能ではない。更に、インジェクタは、弁要素を閉位置に付勢するためにばねを使用しており、これが複雑化をもたらし、より高周波数での作動時にはインジェクタが浮き上がりを被る原因となる。従って、このRauznitz他のインジェクタは、主な作動力と流量制御部材との間に介在要素のない一対一の関係はなく、従って直接作動されるものではない。

0018

Neretti(ネレッティ)他の、2004年12月28日発行の米国特許第6,834,812(B2)号は、外側の汚れを回避するために弁の内方変位を実現することを目的とした圧電燃料インジェクタを記載している。弁は噴射パイプ内に収容されており、圧電アクチュエータの伸張によってその軸線に沿って閉位置と開位置の間を移動可能である。弁位置は全開と全閉の二つのみであり、アナログまたは可変噴射のための能力は持たない。圧電アクチュエータの伸張によって引き起こされる変位を反転させて弁を内側方向に変位させるため、機械的伝達装置が圧電アクチュエータと弁との間に配置されている。この機構は、インジェクタ組立体の複雑さを増している。従って、Neretti他のインジェクタは、主な作動力と流量制御部材との間に介在要素のない一対一の関係はなく、従って直接作動されるものではない。

0019

Boeckingの、2003年7月1日発行の米国特許第6,585,171(B1)号は、燃料戻し器、高圧ポート、圧電アクチュエータスタック、液体圧増幅器、弁、ノズルニードルおよび噴射孔を備える燃料インジェクタシステムを記載している。Boeckingのインジェクタの圧電スタックは、ノズルニードルを直接作動させるものではない。綿密に調べればわかることだが、圧電スタックは、むしろ別体の液体圧増幅器を作動させて弁を開き、それによって噴射孔から離れる方向にノズルニードルが移動できるようにするものである。Boeckingのインジェクタのニードルは、圧電スタックによって直接作動されるものではない。更に、Boeckingのインジェクタは、オンおよびオフの二つの別々のモードで稼働するように制限されている。従って、Boeckingのインジェクタは、主な作動力と流量制御部材との間に介在要素のない一対一の関係はなく、従って直接作動されるものではない。

0020

Takahashi(タカハシ)の、1989年2月7日発行の米国特許第4,803,393号は、対象部材を移動させる圧電アクチュエータを記載している。ここで、アクチュエータは圧電素子と、ベローズを有するエンベロープ包被)と、作動油密封状態封入された圧力チャンバとを含む。Takahashiによって開示された発明は、傾いた状態に取り付けられたことや不完全摺動に起因する圧電素子の破壊を防ぐことが可能な改良型の圧電アクチュエータに対する必要性に対してなされたものである。これは、圧電素子と弁または対象部材との間のエンベロープによって達成される。エンベロープは、弾性部材を含み、密封状態で流体を収容している。Takahashiのインジェクタにおけるエンベロープとばね機構との使用は、間接作動の限界に加えて、より高い作動周波数での弁の浮き上がりの問題を引き起こすものである。加えて、Takahashiの圧電アクチュエータは、流れを制御するニードルを直接作動させるために使用されておらず、その後にインジェクタ組立体に流れが供給されることを可能にする上流側の別体の制御弁を動かすために使用されている。従って、Takahashiのインジェクタは、主な作動力と流量制御部材との間に介在要素のない一対一の関係はなく、従って直接作動されるものではない。

0021

結果的に、主な作動力と流量制御部材との間に介在要素を持たない圧電スタックによるインジェクタノズルピン(流量制御部材)の直接作動によって迅速に応答する燃料インジェクタに対する必要性が存在する。また、燃焼/噴射サイクル全体を通じて動的な制御された可変の流れを供給し、単純なオン/オフ操作および孔の大きさの選択から生じる流量の限界を回避することが可能なインジェクタに対する必要性も存在する。更には、より高い周波数サイクルおよびよりより高い圧力稼働条件に適応可能な燃料インジェクタに対する必要性も存在する。また、最小限の待ち時間および応答遅れを有する高周波数インジェクタに対する必要性も存在する。比較的高い流量に適応可能な高周波数インジェクタに対する更なる必要性も存在する。稼働上の要件を満たすのにアクチュエータ機構の増圧または増幅を必要としないインジェクタに対する必要性も存在する。

0022

上記の必要性に鑑み、本発明の一態様は、作動機構と、圧電スタックと、流量制御部材との間に介在要素を持たない直接作動式圧電燃料噴射システムを含む。この構成は、複数のエンジンシステムにおいて直接的に燃費を改善し排出物を削減する制御を大幅に増加させる。本発明は、単純な機構、迅速な制御応答、最小限の応答遅れ、高周波数稼働、高流量に適応できる能力、高い燃料供給圧および燃料噴射圧、ならびに燃焼/噴射サイクルを通じた流れの可変制御を実施する能力に対する上記必要性を満たす直接作動式圧電燃料インジェクタ装置を備える。

0023

本発明の一実施の形態は、圧電駆動スタックとフローノズル組立体とを備える直接作動式燃料インジェクタ装置であって、燃料インジェクタ装置の流量制御部材が追加の増幅手段などの介在要素なしに圧電スタックによって直接駆動される一方、制御された流量を望ましい流れのプロファイルで供給するためにノズル部の流れ面積が可変的に調節可能な直接作動式燃料インジェクタ装置を含む。インジェクタは、ノズルの座面部から離れる方向へのノズルの流量制御部材部の最小限の直線移動によって必要な流量をサポートするのに適している。従って、インジェクタは、圧電作動機構の変位の限界に適応することが可能である。

0024

本発明による燃料インジェクタ組立体の別の実施の形態は、円筒形ハウジングと、流量制御部材と、圧電駆動スタックと、フローノズル部とを備え、追加の増幅手段または介在要素なしに流量制御部材が圧電スタックによって直接制御される。圧電スタックは、駆動波形カスタム設計を実現するプロセッサフィルター及び電力増幅器と、前記波形リアルタイムでのユーザー制御を実現するユーザーインターフェースとを備える駆動電子装置によって制御される。プレストレスがかけられた状態からの伸張または収縮量を設定するスタックに供給される電流および電圧は、この駆動電子装置によって制御される。

0025

流量制御部材およびノズル部は、圧電スタックによる流量制御部材の移動が非常に小さいにもかかわらず、制御された流量を望ましい流れプロファイルで供給するために可変的に調節可能な流れ面積を形成するように構成されている。インジェクタは、ノズルのシール座面から離れる方向への流量制御部材の最小限の直線移動によって必要な流量をサポートするように、独特に構成されている。稼働中は圧電スタックが絶えず圧縮状態にあることを確実にするため、作動圧電スタックは、プレストレスがかけられた状態で配置される。一態様において、プレストレスは、ハウジングエンドキャップをスタックの上端にねじ式に締め付けることにより初期の下向きの力を圧電スタックの上端に加えることで加えられる。初期の下向きの力は、エンドキャップ締めたり緩めたりすることで調節できる。流量制御部材は、圧電スタックの収縮と組み合わされて加えられている燃料圧力がノズルの座面から離れる方向への流量制御部材の移動を支援することを可能にする圧電スタックの駆動力の低下によって離座され、その結果、燃料の種類,圧力および利用可能な流れ面積によって決まる所定の流量で燃料が燃焼室へと流入することを可能にする。

図面の簡単な説明

0026

本発明の上記およびその他の特徴、態様および利点は、以下の説明、添付の請求項および添付図面によってより良好に理解されるようになる。

0027

図1は、本発明の第一の実施の形態による燃料インジェクタの斜視図である。
図2は、その分解図である。
図3は、図1に示す燃料インジェクタの切断面3−3に沿った断面図である。
図3Aは、図3の拡大断面図であり、閉状態の燃料インジェクタを示す図である。
図3Bは、図3の拡大断面図であり、開状態の燃料インジェクタを示す図である。
図4は、図1に示すインジェクタ組立体の燃料インジェクタハウジングの図であり、(A)は右側面図である。(B)は、その正面図をである。(C)は、その平面図である。(D)は、その底面図である。
図5は、図2に示す燃料インジェクタ組立体の流量制御部材の図であり、(A)は、側面図である。(B)は、その平面図である。(C)は、その底面図である。
図6は、図2に示す燃料インジェクタ組立体のエンドキャップの図であり、(A)は、その平面図である。(B)は、その底面図である。(C)は、その側面図である。(D)は、その側面断面図である。
図7は、燃料噴射サイクル中の流量制御の形態等を表す線図であり、(A)は、燃料噴射サイクル中の流量制御の形態を表す二つの図を示す線図である。中でも、a)は従来のインジェクタのオンオフ動作を表し、b)は、本発明によるインジェクタによってもたらされるアナログの可変制御を表す線図である。(B)は、本発明による、燃料インジェクタノズルがJP−10燃料の35g/sの流量を達成するための駆動過圧関数として結果的に生じる流速と流れ面積のチャートを示す線図である。(C)は、本発明による、燃料インジェクタノズルがJP−10燃料の35g/sの流量を達成するための駆動過圧の関数としてのレイノルズ数と流れ面積のチャートを示す線図である。

実施例

0028

本発明の第一の目的は、燃焼サイクルを通じて燃料流量に対してより進んだ制御を実現し、それによって、燃料効率を著しく改善し、有害な大気汚染物質の排出を大幅に削減可能な燃料インジェクタを提供することである。

0029

本発明の別の目的は、各噴射サイクル中の燃料流量の高精度な制御と共に高周波数作動をサポートするための迅速な燃料インジェクタ応答を実現することである。

0030

本発明の別の目的は、進歩した新しいエンジン設計における性能の向上をサポートするために極めて高い周波数で稼働する能力を有する燃料インジェクタを提供することである。

0031

本発明の別の目的は、噴射/燃焼サイクル毎に燃料供給プロファイルを変化させる能力を有し、そのため、より進んだ燃焼形態、特に、より高い周波数で稼働する燃焼形態における使用が一層望ましい燃料インジェクタを提供することである。

0032

本発明の別の目的は、より高周波数での使用および稼働を更にサポートする、最小限の制御信号応答遅れを有する燃料インジェクタを提供することである。

0033

本発明の別の目的は、機械的ではなく電子的に稼働し、機械駆動エンジン弁組立体をサポートするのに必要な現在のエンジン構成に見られる数多くの機械的構成要素、例えば回転弁ロッカーアームポペット弁プッシュロッド弁ばねカムシャフトオイルポンプ、およびその他の付属機器を不要にする燃料噴射装置を創出することである。

0034

本発明の別の目的は、作動機構の最小限の直線移動を用いて稼働可能な燃料インジェクタを提供することである。

0035

本発明の別の目的は、稼働寿命を伸ばすために最小数可動部品しか持たないインジェクタを提供することである。

0036

本発明の別の目的は、アクチュエータ変位を摺動シールの使用を回避できる大きさとすることによって、インジェクタのチャンバ内で摺動ではなく揺動するゴム状シールの使用をサポートするインジェクタを提供することである。

0037

本発明の別の目的は、インジェクタのノズルおよび流量制御部材に加わる背圧が下流の流孔へと向かうように変更することによって調節可能であるインジェクタを提供することである。

0038

本発明の別の目的は、同等な圧電作動機構を使用しながらも様々な流れプロファイルを実現するために流量制御部材およびノズルの形状が容易に調節可能なインジェクタを提供することである。

0039

以下の説明は、本質的に例示に過ぎず、決して本発明、その適用、またはその使用の制限を意図するものではない。図1に示すように、本発明の第一の実施の形態による燃料インジェクタ組立体10は、円形のエンドキャップ50を有する円筒形のハウジング20を含む。図2に示すように、インジェクタ流量制御部材40を摺動可能に収容する内側円筒形チャンバ30を有するハウジング20を含むインジェクタ組立体10の分解図が示されている。複数の円形のシール60が制御部材40の上部溝形部を取り囲んでいる。図示するように、シール60は、流量制御部材40とチャンバ30の幾何学的外形に合わせるためのリングである。シール60は、加圧燃料が流れるチャンバ80と、圧電スタック70が入るチャンバ90との間に圧力シールを形成する。当業者であればわかることであるが、圧力格納要件に応じて一つのシールのみを使用することも、複数のシールを使用することも可能である。加えて、他のシール用材料または流体をインジェクタ10のチャンバ90内に具備することによって様々なシール構成もサポートすることができる。こうした流体をベースとするシールの選択肢は、流量制御部材40の移動を可能にするために、圧力補償ブラダーを含むこともあり得る。こうした流体をベースとするシールの選択肢は、非導電流体を含むことによって圧電スタック70を絶縁する追加的手段を提供することもある。流体をベースとするシステムは、絶縁性または伝熱性によってスタックに対する熱制御を行う手段を更に提供し得る。更に、シール手段は、液体圧用途に用いられる山形または他の幾何学的なシールのような、異なる幾何学的形状を有し得る。更には、シールは、チャンバ80を介して供給される加圧された燃料を、圧電スタック70が入るチャンバ90から分離可能な別の材料、例えば、ゴム、ナイロンセラミックおよび他の同様な材料で製造することも可能である。ハウジング20内の圧力シールを確実にするために他のタイプのシールも本発明の各種実施の形態および態様の精神および範囲から逸脱することなく、使用できる。円筒形チャンバ30内での制御部材40の位置を制御する圧電スタック70が、流量制御部材40とエンドキャップ50との間に配置されている。

0040

ハウジング20は、外部の燃料源(図示せず)から加圧された燃料を受け入れ燃料流路23が貫通する燃料流入ノズル22を有する本体21を含む。インジェクタハウジング20は、底24と、エンドキャップ50をハウジング20に取り付けるための上端26を含む。図2に示し、図5(A)〜図5(C)により詳細に示すように、流量制御部材40は、円筒形シール溝44の上側の円形上端42と、第一の曲率半径C1を有する半球状の突端部48を有する下側円筒形本体部46とを含む。圧電スタック70は、圧電スタック70を稼働させるための電力を供給する導体72を含む。図6(A)に示すように、エンドキャップ50は貫通孔52を含み、導体72はハウジング20の内側円筒形チャンバ30から貫通孔52を通って外に出て、スタック70に電力を供給して望ましい周波数およびストローク変位伸縮させる別体の制御システム(図示せず)に接続される。制御システムは、駆動波形のカスタム設計を実現するプロセッサ、パワーフィルターおよび電力増幅器と、前記波形のリアルタイムでのユーザー制御を実現するユーザーインターフェースとを備える駆動電子装置を含む。スタック70に導体72を介して供給される電流および電圧が、駆動電子装置による決定および制御に応じてスタック70のプレストレスをかけられた状態からの伸張または収縮量を設定する。

0041

図6(A)〜図6(D)に更に示すように、燃料インジェクタ10のエンドキャップ50の平面図、底面図、側面図および断面図が示されている。エンドキャップ50は、エンドキャップ50をハウジング20の上端26のねじ切り部に取り付けるための内側ねじ切り部54を含む。エンドキャップ50は、ハウジング20からの導体72を受け入れて外に出すための、好ましくは中心に配置された貫通孔52を更に含む。

0042

図3は、更なる詳細として、組みたてられた状態にある、図1に示すインジェクタ組立体10の線3−3で示された切断面に沿った断面図を示す。ハウジング20は、加圧燃料を受け入れてインジェクタ組立体10の内側円筒形チャンバ30の下部80へと導く円筒形の燃料流路23を有する流入ノズル22を備える本体21を含む。ハウジング20は、エンジンの燃焼室へと供給される燃料が通る流出ノズル36が貫通する底ノズル部24を更に含む。内側円筒形チャンバ30は、内側壁32を含む。流量制御部材40の溝44は、内側円筒形チャンバ30の上部90と加圧燃料を受け入れてエンジンの燃焼室へと移送する下部80との間にシールを形成するために円形シール60を受け止めて着座させる大きさに形成されている。

0043

図4(C)に、所定位置からエンドキャップ50が外されたハウジング20の平面図が示されている。ハウジング20は、内側円筒形チャンバ30を含み、チャンバの壁32は流量制御部材40を摺動可能に、かつしっくりと受け入れるように十分に磨き上げられ、大きさが決められている。内側円筒形チャンバ30は、半球状の形状および流量制御部材40の突端48の第一の曲率半径C1よりも小さい第二の曲率半径C2を有する下方ノズル表面34を含む。シール座面38が、内側下方ノズル表面34の上端の周囲を囲んでいる。エンジンの燃焼室内に燃料を噴出させるため、流出ノズル36が内側ノズル表面34を貫通して底ノズル部24を通過している。

0044

図3Aおよび3Bを参照すると、インジェクタ組立体10の動作が示されている。閉状態では、図3Aに示すように、制御部材40の突端48は、内側チャンバ30のシール座面38に着座している。チャンバ30は、制御部材40の突端48の第一の曲率半径C1よりも小さい第二の曲率半径C2を有する概して半球状の内側ノズル表面34を含み、そのため、突端48とシール座面38が、燃料の流れを妨げるとともに開放時にはシール座面38から制御部材40を離脱させるために必要な力を低下させる限られたシール接触領域を創出する。この閉状態では、加圧燃料は流量制御部材40の本体46、シール座面38、および制御部材40の上部46におけるシール60によって規定された内側下方チャンバ80内にある。稼働中は、電源をスタック70から遮断すると、フェイルセーフモードでスタック70が伸張して制御弁部材40をシール座面38に着座させ、燃料の流れを遮断する。

0045

図3Bに示すように、開状態に到達するには、圧電スタック70によって加えられる下向きの力を減少させて制御弁部材40の突端48をシール座面38から離れる方向に後退させる。スタック70が制御弁部材40を後退させると、制御弁部材40にかかる燃料の圧力によって生み出される力が瞬間的な追加的開放力を供給してインジェクタ10を開く支援をする。開放されると、望ましい流量に適した流れ面積を創出するため、流量制御部材40の突端48がスタック70によって制御されて望ましい位置を維持する。次いで、加圧燃料が流入ノズル22の流路23を通ってチャンバ80へと流入し、流出ノズル36を通って燃焼室(図示せず)へと流入可能となる。

0046

圧電スタック70の伸張または収縮は、流量制御部材40の移動を非常に正確に制御できる十分な精度で制御することが可能であり、その結果、燃料流量の非常に正確な制御が可能になる。スタック70は、任意のサイクル中に毎回任意の大きさだけ多数回伸張または収縮させて、各サイクルにおいて任意の燃料流れプロファイルが実現されるようにしてもよい。弁部材40の突端48の第一の曲率半径C1、および内側ノズル表面34の第二の曲率半径C2に基づくインジェクタ10の新規幾何学的構成と組み合わされることで、流量の一層正確な制御が実現される。

0047

稼働中は、燃料インジェクタ組立体10の本実施の形態は、インジェクタ10から燃焼室へ向かう燃料の流れの非常に正確な可変制御を可能にする動的な流れ面積を創出する。正確な制御は、環状の流れ面積37の制御された変動が可変の燃料供給プロファイルを提供して効率、距離、出力、速度、排出制御、または多数の性能目標の任意の組み合わせのためにエンジン性能を最適化することを可能にする、流量制御部材40の直接作動によってもたらされる。燃料インジェクタ組立体10と他のセンサー制御回路、および動作上の情報との一体化は、エンジンと車両の非常に進んだ車両の制御を実現し、エンジンの構成要素の作動方法を主として機械的な作動から主として電子的な作動手段へと移行させる。

0048

図3Aおよび図3Bに示し、また先に記載したように、インジェクタ10は、流量制御部材の直線変位を大幅に減らしたにもかかわらず十分な燃料が供給されることを可能にする。インジェクタ10は、内側ノズル表面34とシール座面38の小さい方の第二の半径C2に近接する流量制御部材40の本体46と突端48の大きい方の第一の半径C1に梃子作用を及ぼす。更に、流量制御部材40とそれに関連する内側円筒形チャンバ30の直径は、流量制御部材40の最小限の直線変位にもかかわらず適切な燃料の流れを可能とする大きさとされている。本実施の形態において、内側ノズル表面34は、ハウジング20の底ノズル部24を貫通する流出ノズル36を含む。流出ノズル36は、流量制御部材40の変位によって可能となる流れに拘わらず最大の燃料の流れを制限する大きさとすることができる。結果として、最大の燃料の流れを特定の限度に制限するようにエンジンシステムを設計することが可能である。加えて、追加の実施の形態においては、流出ノズル36を完全に廃止し、燃料の流れが制御弁部材40の移動と、突端48、シール座面38および内側ノズル表面34の幾何学的な関係とによって決定されるようにすることが可能である。

0049

燃料インジェクタ組立体10の設計および動作に関する理論的根拠を説明する。まず、圧電スタック70を流量制御部材40の直接アクチュエータとして使用することによってもたらされる流量制御部材40の座面38からの大幅に縮小された変位に適応するため、普通とは異なる流量制御構成を用いている。一般的には、「ピン」または「ニードル」として一般に知られている燃料インジェクタの流量制御部材は、エンジンの燃焼室へと燃料が噴出される際に通る孔とほぼ同じ直径を有する。従来のインジェクタにおけるピンは、単に流れを断続させるために使用されるため、孔が流量制御の一次的手段として機能する。その結果、孔の大きさを変えることなく流れを調節することはできない。従来のインジェクタ設計方式に従うと、ピン(流量制御部材)は、直径が約1mmの孔を塞ぐ大きさとされる。これに対し、本発明の本実施の形態では、流量制御部材40の直径は約15mmである。当業者であればわかることだが、流量制御部材40の直径は、様々な流れの要件に適合するように構成され、必要に応じて大にまたは小に設定することができる。

0050

従って、本発明の本実施の形態のインジェクタ10は、物理的な大きさおよび流量制御部材40と圧電スタック70によって利用可能となる流量制御部材40の変位との関係に大幅な変更を加えることによって、従来の構成とは正反対の方式を採用している。圧電アクチュエータスタック70のストロークまたは変位は、典型的には数十ミクロンのオーダーである。従って、望ましい流量に適応するため、インジェクタ10は、流量制御部材40の突端48の周囲にかなり大きな環状流れ面積37を形成するために、遙かに大きな流量制御部材40を収容する大きさとされている。利用可能な流れ面積は、スタック70によって流量制御部材40の突端48がシール座面38から離れる方向に動かされると現れる環状領域37によって駆動される。本実施の形態において、利用可能な流れ面積は、第一の曲率半径C1を有する突端48と第二の曲率半径C2を有する内側ノズル表面34との間の幾何学的な差異によって生じる最小の環状の断面によって決まる。スタック70が収縮して流量制御部材40の突端48を上方向に移動させると、突端48と内側ノズル表面34との幾何学的な関係の関数として利用可能な流れ面積が増加する。従って、スタック70の利用可能なストロークの関数としての利用可能な流れ面積は、突端48の形状、内側ノズル表面34の形状、またはその両方を変えることによって調整し得る。

0051

本質的に等しい1mmよりわずかに大きいニードル直径と有効孔径1mmを有する従来のインジェクタの場合、露出する孔の面積はストローク長さには依存しないと考えられ、直径1mmの孔の計算される流れ面積は、0.125平方mmである。望ましい流量、圧力および最初に選択される燃料JP−10に基づくと、この流れ面積だけでは好ましいパルスデトネーションエンジンの動作に伴う望ましい流量を達成するのには不十分である。従って、従来のインジェクタにおいては、小さな流量制御部材、すなわち「ピン」または「ニードル」が「ボトルネック」となる。

0052

大きさに関する様々な制約事項および運転パラメータを考慮すると、圧電スタック70の高さが利用可能なストローク変位Sを決定する。流量制御部材40の直径を大幅に拡大することで、スタック70の非常に小さいストローク変位Sにも関わらず望ましい有効流量を維持することが可能である。

0053

一例として、JP−10燃料で稼働するパルスデトネーションエンジンにとって望ましい燃料流量に適応するため、本発明による燃料インジェクタ10の第一の実施の形態は、直径が15mmの流量制御部材40を使用する。15mmの直径は、10mm×10mmの側面寸法対角線方向は約14mm)を有する、ストロークSが10ミクロンと40ミクロンの間の作動スタック70の矩形断面に適応し、これを確実にサポートする。このスタック70の大きさと流量制御部材40の直径との相関関係は、様々なエンジン用途への使用に適したパッケージ寸法において適切な性能を発揮する望ましい設計上の観点として選択される。

0054

図3に示すように、本発明の本実施の形態において、流量制御部材40の突端48は、内側ノズル表面34よりも大きな曲率半径を有する。内側ノズル表面34の輪郭から流量制御部材40の突端48の輪郭が離れることによって規定される流れ面積は、スタックのストローク変位Sによって変化し、従って、流れの高精度なアナログ制御を実現する。スタック70の変位Sは確実性の高い運動を実現するが、外形の異なる突端48および内側ノズル表面34を使用すれば、インジェクタ10の流量制御の精度を更に高める働きをする。一つの曲率で示したが、インジェクタ10の動作中の流れのプロファイル(態様)は、ストローク変位Sが同一の同じスタック70を用いたままでも突端48および内側ノズル表面38の曲率を変更することによって調整可能である。

0055

本実施の形態において、インジェクタ10は、直径の大きい流量制御部材40および突端48と共に小さい1mmの直径の流出ノズル36を含むものとして示されている。流量制御部材40および突端48は、シール座面38および内側ノズル表面34と幾何学的に相互作用する。本発明の代替的実施の形態は、流出ノズル36を含まず、流れは突端48とシール座面38との幾何学的な相互作用によって制御される。他の実施の形態は、同様に流量および流れのパターンを調節する異なる形状に形成された内側ノズル表面34を含む。しかし、各種の態様において、流出ノズル36は、流れを制限する大きさとしたり、特定の噴霧パターンまたは液滴径を実現するように構成したり、インジェクタ10をエンジン燃焼室に取り付ける手段を提供したりすることも可能である。更に、他の実施の形態においては、流出ノズル36は、モジュール式としてインジェクタ10から取り外し可能とすることもできる。更には、取り外し可能なモジュール式の流出ノズル36は、エンドキャップ50と同様な形で圧電スタック70に調節可能にまたは固定的にプレストレスを加える追加手段として機能するように使用し得る。その場合、流量部材40を介してスタック70を圧縮するために、調節可能な望ましいプレストレス荷重がモジュール式の流出ノズル36の回転によって圧電スタック70に加えられる。加えて、インジェクタ組立体10は、燃料流入ノズル22に接続された50バール供給管を用いて試験を行ったが、様々な圧力供給に適応するように調節可能である。本発明の本実施の形態は、10×10mmの側面寸法を有し、スタック高さが20〜40mmの圧電スタック70に適応している。インジェクタ組立体10は、様々なスタックの大きさおよび流れ要件に適応するために大きくしたり小さくしたりできる。

0056

エンドキャップ50は、インジェクタ10をシールし、プレストレス圧縮をスタック70に加えるために上側の上端螺条26を用いてハウジング20の上端に螺装される。スタック70に対する調節可能または一定の望ましいプレストレス荷重の付加を正確に制御し得るより細かい螺条、ギア付マイクロメーター、ギア付きステッピングモーター、およびその他の同様な装置などの方式を含む、望ましいプレストレス荷重を調節する他の手段も好適である。インジェクタ10は、高燃焼動作温度および高圧で、かつ揮発性燃料および腐食性化学物質を用いて稼働するように構成される。本実施の形態においては、加工の容易さおよび実行可能性に加え、機械的および化学的耐久性の理由から、ステンレス鋼が好ましい材料として選択された。セラミックなどの他の材料も用途によっては好適であり、適用可能である。

0057

図3を参照すると、稼働中は、圧電スタック70が流量制御部材40の直線移動を制御する。本発明の本実施の形態を試験する際には、圧電スタック70に印加される200ボルト稼働電圧を用いて約40ミクロンの変位ストロークSを生じさせる。一実施の形態においては、長さが20mmの200層の単結晶スタックを有する圧電スタック70がこの稼働パラメータを満足する。第二の実施の形態においては、高さが約40mmの標準的な圧電スタックが望ましいストローク長さSである約40ミクロンを達成するために使用される。本質的に、既存の圧電材料の場合、スタックへの十分な電力の供給を仮定しても得られるストロークはスタックの高さの約1%である。インジェクタ10のハウジング20は、20mmのスタックを収容するためにエンドキャップ50とスタック70の上端との間にスペーサーを配する場合には、20mmと40mmのスタック高さの両方に適応可能である。単結晶圧電材料で作られたスタック70は、標準的な圧電材料からなるスタックよりもかなり高価である。しかし、単結晶の層で作られたスタック70を使用すれば、インジェクタ組立体10全体の大きさをかなり小さくすることができる。製造数の増加に伴って製造コストが低下するので、単結晶スタックは、インジェクタ組立体10における使用にとって好ましい選択となる。本実施の形態において、インジェクタハウジング20は、20mmの単結晶スタックを一つ、40mmの標準的な圧電スタックを一つ、または20mmの単結晶スタックを二つ収容する。スタック設計が20mmの単結晶スタックを二つ組み込む場合、ストローク変位Sを増加させるようにスタックを並べてもよく、あるいは、スタックは、一方のスタックが一方向に収縮し、他方のスタックが別の方向に収縮するように逆向きに並べてもよい。この二つのスタックを用いることによってもたらされる逆向きの収縮は、一次作動スタックに対するプレストレスの初期とリアルタイムの両方における調節を実現する手段として一方のスタックが機能することを可能にする。結果的に、初期プレストレスを設定するためにエンドキャップ50を用いる一方、第二のスタックを、より確実できめ細かいプレストレスの制御を実現するために用いることもできる。加えて、インジェクタ10のハウジング20がハウジング材料熱膨張係数のために膨張または収縮する場合には、第二のスタックを、プレストレスを調節するために使用することもできる。これは、熱膨張現実である全てのエンジン構成にとって都合がよい。

0058

使用中および稼働中は、圧縮プレストレス力がスタック70に加えられ、セラミック圧電材料がより壊れやすく、層間の結合がより弱くなる場合に、圧電結晶層が決して引張状態に置かれることがないようにする。ほとんどの状況下では、プレストレスはシステムへの挿入の前に圧電スタックに加えられるが、この場合は、スタック70をハウジング20に挿入した後にプレストレスが加えられる。スタック70をインジェクタ10のハウジング20に入れた後に望ましいプレストレス荷重をかけることによって、様々な手段を使用して稼働中にスタック70にかかる荷重を調節し、様々な稼働状況においてリアルタイムの較正を実現することが可能である。

0059

望ましい初期プレストレス荷重は、インジェクタハウジング20の上端螺条26を介して取り付けられたねじ式エンドキャップ50によってスタック70に加えられる。エンドキャップ50は、締めたり緩めたりしてスタック70にかかるプレストレスを変化させることができる。プレストレス荷重を調節し、変化させる能力は、燃焼サイクルおよびそれに伴う燃料供給圧に伴う高圧によって生じる反対方向の開放力に抵抗するための十分な下向きの力が流量制御部材40にかかることを確実にする。本実施の形態においては、50バール(6MPa)で流量制御部材40を閉じた状態に保つのに必要なスタック70にかかる下向きの力が、十分にスタック70に用いられる圧電材料が動作可能なストレスの範囲内にあるように定められた。スタック70は、最初にプレストレスが加えられるとともに、流量制御部材40を着座状態に保って燃料の流れを遮断するために、下向きの力を流量制御部材40に加えた状態で圧縮されているため、インジェクタ10を稼働させて流量制御部材40をシール座面38から離昇させるには、伸張ではなく更に収縮させるためにスタック70に通電する。この通電方法は、スタック70が、その稼働寿命サイクルにおいて早期に破損する可能性のある引張状態に決して置かれないことを保証する。

0060

本実施の形態において、インジェクタ10は、燃料供給の制御に関連する多数の変数に適応している。図7(A)に示すように、インジェクタ10は、(a)オン/オフ(開/閉)と、(b)燃料流量のアナログな可変制御の二つのモードでの動作をサポートするように設計されている。加えて、第一の実施の形態においては、インジェクタ10は、流れを制限する流出ノズル36を具備することでインジェクタ10からの最大の流れを制限する。一態様において、流出ノズル36の必要な直径は、選択されたエンジンシステムにとって必要な流量を満足し、それによって一定の抑制モードを創出するような大きさとされる。その後、インジェクタ10にとっての基本的な最小サイズが選択される。流出ノズル36の直径は、燃料供給圧、望ましい最大流量、および燃料特性に基づいて決定される。JP−10燃料の熱物理特性が、T.J.Brunoらによる報告書に記載されている。本実施の形態においては、最初に、望ましい燃料流量と稼働温度が、100Hzの最低動噴射周波数で300°FでのJP−10燃料の35g/sに設定された。Brunoの報告書には、270K〜345Kの温度範囲における音速と他のほとんどの物理量が記載されている。300°F(420K)という特定温度では、物理量の大部分は外挿によって求めなければならない。音速曲線を外挿すると、420Kでの音速は975m/sである。望ましい流れ要件の場合、200バールでの流出流速は250m/sであると推定され、これは975m/sよりもかなり低いものである。結果として、燃料の流量は、圧縮できない範囲にあり、圧縮性の影響は無視できる。

0061

孔(オリフィス)を通って流出する液体の流れの場合、流量qは、次式で与えられる。

ただし、qはft3/sで表した体積流量、Cは無次元流出係数孔パイプ径比とレイノルズ数(Re)によるが、約1である)、Aはft2で表した流れ面積、gは単位変換係数(=32.17lbm−ft/lbf−s2)、Δpはpsiで表した駆動過圧、ρはlbm/ft3で表した密度である。その他の関係する単位変換係数は、密度:1g/cc=1kg/リッター=62.4lbm/ft3;圧力:1バール=14.50psi;粘度:1mPa−s=10−3g/s−mm=0.000672lbm/ft−s;質量:1lbm=453.515gである。

0062

420°KでのJP−10燃料の外挿された密度は、0.85kg/m3(53lbm/ft3)である。Re≒5×l04の場合、Cd=0.98であり、これは完全な乱流の場合の漸近値0.982よりも0.2%低い。粘度は、0.68mPa−sまで外挿される。

0063

図7(B)を参照すると、結果として得られる流速および流れ面積の範囲が駆動過圧の関数として与えられている。図7(C)は、対応するレイノルズ数を示す。図7(B)と図7(C)の両方を参照すると、必要とされるフィード圧20〜50バールでは、約0.4〜0.6平方mmの流れ面積が必要である。本実施の形態においては、直径が1mmの流出ノズル36が0.78平方mmの流れ面積を提供する。結果的に、流出ノズル36は、望ましい流量に対して早めにスロットルすることはないが、より高いレベルでは流れを制限してシステムに対しては支配的となる。

0064

開示された燃料インジェクタ10は、多くの種類の燃焼エンジン設計に大幅な改善の機会を与え、大幅に燃料効率を向上させ、排出物を削減する。インジェクタ10の大きさは、多様な噴射要件に適応するために大きくすることも小さくすることも可能である。標準的なディーゼルエンジンおよびジェットエンジンは、流れのアナログ制御を遂行する能力に由来する、この燃料インジェクタ技術の優れた能力の恩恵を大いに受けるものである。加えて、これまで満たされることのなかった特有の厳しい稼働上の要件を有するパルスデトネーションエンジンは、今や本発明の使用によって合理的で実行可能なエンジン様式となる多くの機会を有している。

0065

更に、本発明の圧電燃料インジェクタ10は、今日の燃焼エンジン技術の実質的な再設計をサポートする基礎的な先端技術としての役割を果たすことになる。この電子的に制御された直接作動圧電インジェクタ構成の使用に伴う重要な結果は、ロッカーアーム(搖動腕)、プッシュロッド、弁ばね、カムシャフト、タイミングベルトおよび関連機器を含む、既存のエンジンの数多くの構成要素を廃止する機会である。これらの構成要素は、記載した圧電駆動型のインジェクタ組立体10の一以上の形態によって取って代わられるであろう。

0066

本発明をその好ましいある種の形態を参照してかなり詳細に説明したが、その他の形態も可能である。例えば、内側ノズル表面34と流出ノズル36が完全に取り除かれ、流量制御部材40の突端48とシール座面38との間の環状の間隙によって流量が制御される幾つかの形態が実現可能である。加えて、スタック70の出力および変位の更なる調節を可能にする多数のスタックを含む形態も可能である。この場合、並列になった多数のスタックは全体の出力または力を増加させ、直列になった多数のスタックは、総変位を増加させる。多数のスタックまたはさらに大なるスタックは、インジェクタハウジング20の長さまたは直径を大きくすることによって容易に収容される。加えて、駆動スタック70にかかるプレストレスのリアルタイムの調節を実現するために第二の調節スタックをエンドキャップ50と第一の駆動スタック70との間に配した形態も可能である。並列関係にある多数のスタック70は、ハウジング20の円筒形チャンバ30内での流量制御部材40の配向整列)を調節するために使用することができる。加えて、多数のスタックは、稼働中に堆積して流れプロファイル(状態)に影響を与える可能性のあるスケール堆積物を機械的に除去する手段として流量制御部材40を傾斜および振動させるために使用することができる。更には、本発明によるインジェクタ10は、圧電スタック70または補助的な圧電スタックが、スケールや他の堆積物が共振して内側円筒形チャンバ30、内側壁32、内側ノズル表面34、流出ノズル36およびシール座面38から除去される周波数で駆動される稼働方式を含むことができる。上記した発明の複数の形態を踏まえると、添付の請求項の精神および範囲は、本明細書に含まれる好ましい形態の記載に制限されるものではない。

0067

読者注意は、本明細書と共に公衆閲覧に付された全ての文書に向けられており、そうした全文書の内容が参照することによって本明細書に組込まれる。添付の請求項、要約、および図面を含む本明細書において記載された全ての特徴は、特に明確に断らない限り同一、同等または類似の目的にかなう代替的な特徴によって代替可能である。従って、特に明確に断らない限り、開示された各特徴は、包括的な一連の同等または類似の特徴の一例に過ぎない。

0068

特定の機能を実施する「ための手段」または特定の機能を実施する「ためのステップ」であると明示的に述べていない請求項における任意の要素は、35U.S.C.第112条第6項に定められているような「手段」または「ステップ」節であると解釈すべきではない。特に、本明細書における請求項での「〜するステップ」の使用は、35U.S.C.第112条第6項の規定を行使することを意図したものではない。

0069

本発明は、燃料噴射システムを使用するあらゆる内燃エンジンに適用可能である。特に、本発明は、排出物を最小限に抑えるために単純な制御装置による正確な燃料噴射制御を必要とするディーゼルエンジンに適用可能である。本発明はさらに、ガスタービンおよびパルスデトネーションエンジンを含む、高速での燃料供給および各サイクルにおける特定のプロファイルを伴う正確で、高周波数の制御が必要な進歩したエンジンの設計に適用可能である。本発明の形態、実施の形態および態様において、本発明は更に、単純で全体的性能を向上させながら排出を削減できる電子的に制御される燃料噴射システムを選んで多くの可動部品を減らすことが望ましいガソリンまたはエタノールで動く燃焼エンジンに適用可能である。本発明による燃料インジェクタを組込んだこうした内燃エンジンは、トラック乗用車産業機器定置式発電所航空機ロケットジェットミサイル、その他を含むあらゆる工業分野、商業分野、非商業的および事用途において広く使用することが可能である。

0070

10燃料インジェクタ組立体
20円筒形のハウジング
30内側円筒形チャンバ
40流量制御部材
50エンドキャップ
60シール
70圧電スタック
80 チャンバ
90 チャンバ

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