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技術 快削用粉末冶金鋼製品およびその製造方法

出願人 シーアールエスホールディングス,インコーポレイテッドエル・クライン・アクチェンゲゼルシャフト
発明者 オリヴィエ・シースピエール・マルシャルグレゴリー・ジェイ・デル・コルソアルベルト・ポラル-ロサス
出願日 2016年11月9日 (4年1ヶ月経過) 出願番号 2016-219076
公開日 2017年8月10日 (3年4ヶ月経過) 公開番号 2017-137565
状態 特許登録済
技術分野 粉末冶金 金属質粉又はその懸濁液の製造
主要キーワード 細径長尺 温度境界 混合金属粉 実質上球状 粉末圧縮体 棒状製品 炭化物形成剤 長尺製品
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2017年8月10日)のものです。
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図面 (5)

課題

微細でより均一な炭化物分布を有する機械加工性及び作業性を有する細径ワイヤー並びに棒状製品の提供。

解決手段

以下の重量%組成:C:0.88〜1.00、Mn:0.20〜0.80、Si:最大0.50、P:最大0.050、S:0.010〜0.100、Cr:0.15〜0.90、Ni:0.10〜0.50、Mo:最大0.25、Cu:0.08〜0.23、V:0.025〜0.15、N:最大0.060、O:最大0.040、残り鉄及び不純物、を有する鋼合金溶融する工程を含み、前記合金を溶融し、前記溶融合金微粉化して、プレ合金鋼粉末を形成し、前記鋼粉末を実質上フルデンシティ固化して、次いで前記固化金属粉末熱間加工して中間長尺製品を形成することを含み、更に複数工程の熱処理方法を含む、高い機械加工性を有する、細径長尺鋼製品の製造方法。

概要

背景

時計自動車およびその他の産業用の小さな精密機械部品は、冷間引抜きおよびストレート化された鋼ワイヤーから製造されている。優れた機械加工性は、そのような部品を製造するのに要求され、鋼材の構造中に機械加工性を向上する1以上の添加剤を含めることによって得られている。Pb、SおよびSeがその中でも機械加工性を向上するために鋼材に添加される最も一般的な添加剤である。しかしながら、Pbの添加はある種の安全性の問題が存在する。従って、鉛添加の鋼材と同等またはより以上の機械加工性を有する鉛フリー機械加工鋼材が望まれている。

米国特許8,282,701B2号および米国特許8,795,584B2号には、高品質精密部品の製造に使用される鉛フリーの快削用鋼製品およびそのような製品の製造方法が記載されている。これらの特許に記載された鋼材の微細構造は、微細粒状化され、硫化マンガン(MnS)の微細かつ均一分布を有する。上記特許に記載するように、微細構造は合金粉末を得るための制御された合金化学ガス微細粒状化を用い、その後合金粉末の熱固化することにより粉末圧縮体を得ることにより得られる。ビレットを粉末圧縮体から調製し、それを次いで熱加工し、冷間仕上げして、微細精密部品へ機械加工するためのワイヤーまたは棒状製品を製造する。

概要

微細でより均一な炭化物分布を有する機械加工性及び作業性を有する細径ワイヤー並びに棒状製品の提供。以下の重量%組成:C:0.88〜1.00、Mn:0.20〜0.80、Si:最大0.50、P:最大0.050、S:0.010〜0.100、Cr:0.15〜0.90、Ni:0.10〜0.50、Mo:最大0.25、Cu:0.08〜0.23、V:0.025〜0.15、N:最大0.060、O:最大0.040、残り鉄及び不純物、を有する鋼合金溶融する工程を含み、前記合金を溶融し、前記溶融合金微粉化して、プレ合金鋼粉末を形成し、前記鋼粉末を実質上フルデンシティに固化して、次いで前記固化金属粉末熱間加工して中間長尺製品を形成することを含み、更に複数工程の熱処理方法を含む、高い機械加工性を有する、細径長尺鋼製品の製造方法。

目的

従って、鉛添加の鋼材と同等またはより以上の機械加工性を有する鉛フリー機械加工鋼材が望まれている

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

以下の工程を有する細径長尺鋼製品の製造方法であって、以下の重量%組成:C0.88〜1.00、Mn0.20〜0.80、Si最大0.50、P最大0.050、S0.010〜0.100、Cr0.15〜0.90、Ni0.10〜0.50、Mo最大0.25、Cu0.08〜0.23、V0.025〜0.15、N最大0.060、O最大0.040、残り鉄および通常不純物、を有する鋼合金溶融炉中で溶融する工程、前記鋼合金を不活性ガス微粉化して、プレ合金鋼粉末を形成する工程、前記鋼粉末を実質上フルデンシティ固化して粉末圧縮体を形成する工程、前記粉末圧縮体を熱間加工して長尺中間製品を形成する工程、前記中間製品を以下の工程を行うことによって熱処理する工程:a)前記中間製品を、合金Acm温度より約40℃低い温度〜合金Acm温度より約25℃高い温度の範囲の第1温度で、前記中間製品の厚さ1インチに付き約45〜90分間加熱する工程;b)前記中間製品を、前記合金を前記中間製品中に1以上のマルテンサイト、上部ベイナイト、下部ベイナイトおよびそれらの組合せに変形するのに十分な速度で、前記第1温度から冷却する工程、c)前記中間製品を、合金A1温度より約150℃低い温度〜A1温度の範囲の第2温度で、前記合金のマトリックス材料中に複数の微細炭化物沈殿するのに十分な時間加熱する工程、d)前記再加熱した中間製品を第2温度から冷却する工程、e)前記中間製品を、前記合金A1温度より約10〜50℃高い第3温度で、厚さ1インチに付き約1.5〜6時間加熱する工程、f)前記中間製品を、約5〜80℃/時の速さで、第3温度からA1温度より約100〜400℃低い中間温度に冷却する工程、および次いでg)前記中間製品を中間温度から室温に空気冷却する工程、を包含する細径長尺鋼製品の製造方法。

請求項2

前記熱処理工程後、前記長尺中間製品を冷間引抜きして前記長尺中間製品の断面を減少して、精密機械部品用の小さな断面を有する長尺製品を提供する工程を包含する、請求項1記載の製造方法。

請求項3

前記熱間加工が、前記中間製品を熱圧延して前記熱処理工程前に中間製品の断面積を減少することを含む、請求項1記載の製造方法。

請求項4

鋼合金を微粉化する工程において、合金を窒素ガスで微粉化する、請求項1記載の製造方法。

請求項5

前記鋼粉末を固化する工程が、鋼粉末の熱間静水圧圧縮成形(hotisostaticpressing)することを含む、請求項1記載の製造方法。

請求項6

前記鋼合金が、下記の重量%組成:C0.92〜0.98、Mn0.20〜0.80、Si0.12〜0.22、P最大0.030、S0.010〜0.090、Cr0.30〜0.60、Ni0.10〜0.25、Mo最大0.25、Cu0.10〜0.23、V0.035〜0.060、N最大0.060、O最大0.040、残り鉄および通常不純物、を有する、請求項1記載の製造方法。

請求項7

以下の重量%組成:C0.88〜1.00、Mn0.20〜0.80、Si最大0.50、P最大0.050、S0.010〜0.100、Cr0.15〜0.90、Ni0.10〜0.50、Mo最大0.25、Cu0.08〜0.23、V0.025〜0.15、N最大0.060、O最大0.040、残り鉄および通常不純物、を有する鋼合金から溶融炉中で形成された完全に固化され、プレ合金化した金属粉末を含有する細径長尺鋼製品であって、前記固化した金属粉末がa)ASTM標準仕様(StandardSpecification)E112で決定した結晶粒度番号(grainsizenumber)少なくとも約8によって特徴づけられる微粒子の実質上均一分布を有するフェライトマトリックス;b)フェライトマトリックス中に均一に分布された複数の炭化物であって、前記炭化物が実質的に球体形状を有し、かつ約4μm以下の主寸法(majordimension)を有するもの;およびc)フェライトマトリックス中に均一に分布され、約2μm以下の主寸法を有する複数の硫化物、を含有するミクロ構造を有する、ことを特徴とする細径長尺鋼製品。

請求項8

前記製品が、15mmまでの直径を有するワイヤーを含有する請求項7記載の鋼製品。

請求項9

前記製品が、6.5mmまでの直径を有するワイヤーを含有する請求項7または8記載の鋼製品。

請求項10

前記鋼合金が、下記の重量%組成:C0.92〜0.98、Mn0.20〜0.80、Si0.12〜0.22、P最大0.030、S0.010〜0.090、Cr0.30〜0.60、Ni0.10〜0.25、Mo最大0.25、Cu0.10〜0.23、V0.035〜0.060、N最大0.060、O最大0.040、残り鉄および通常不純物、を有する、請求項7〜9いずれかに記載の鋼製品。

技術分野

0001

本発明は、快削用鋼製品およびその製造方法に関する。特に、本発明は、実質的に鉛フリー、快削用粉末冶金鋼から製造された長尺製品形態、例えばワイヤーロッド、棒、バンドおよびストリップに関する。

背景技術

0002

時計自動車およびその他の産業用の小さな精密機械部品は、冷間引抜きおよびストレート化された鋼ワイヤーから製造されている。優れた機械加工性は、そのような部品を製造するのに要求され、鋼材の構造中に機械加工性を向上する1以上の添加剤を含めることによって得られている。Pb、SおよびSeがその中でも機械加工性を向上するために鋼材に添加される最も一般的な添加剤である。しかしながら、Pbの添加はある種の安全性の問題が存在する。従って、鉛添加の鋼材と同等またはより以上の機械加工性を有する鉛フリー機械加工鋼材が望まれている。

0003

米国特許8,282,701B2号および米国特許8,795,584B2号には、高品質精密部品の製造に使用される鉛フリーの快削用鋼製品およびそのような製品の製造方法が記載されている。これらの特許に記載された鋼材の微細構造は、微細粒状化され、硫化マンガン(MnS)の微細かつ均一分布を有する。上記特許に記載するように、微細構造は合金粉末を得るための制御された合金化学ガス微細粒状化を用い、その後合金粉末の熱固化することにより粉末圧縮体を得ることにより得られる。ビレットを粉末圧縮体から調製し、それを次いで熱加工し、冷間仕上げして、微細精密部品へ機械加工するためのワイヤーまたは棒状製品を製造する。

先行技術

0004

米国特許8,282,701B2号
米国特許8,795,584B2号

発明が解決しようとする課題

0005

米国特許8,282,701B2号および米国特許8,795,584B2号に記載の合金および方法は、微細精密部品を製造するための許容可能な機械的特性を有する細径ワイヤーおよび棒を提供するために用いられる。しかしながら、より優れた機械加工性がより小さい精密部品の機械加工には必要とされることが実際には分かっていた。従って、本発明の目的は、微細でより均一な炭化物(carbaide)分布を有する細径ワイヤーおよび棒状製品を提供して、それにより米国特許8,282,701B2号および米国特許8,795,584B2号により従来製造された材料で達成され得るものを超えるワイヤーおよび棒状物の機械加工性および作業性を向上することである。本発明の別の目的は、上述の向上した特性の組合せを得るために、前記変性化学組成と組合せて所望の微細構造を容易に提供する熱処理を含む、微細径ワイヤーおよび棒を製造する方法を提供する。米国特許8,282,701B2号および米国特許8,795,584B2号の全記載を参考のためにここに導入する。

課題を解決するための手段

0006

本発明の一つの観点によれば、小さな断面を有する長尺製品、例えば、ワイヤー、ロッド、棒およびストリップを提供する。前記長尺製品は、以下の広いおよび好ましい重量%組成を有するプレ合金金属粉末から製造される:
広い範囲 好ましい範囲
C 0.88〜1.00 0.92〜0.98
Mn 0.20〜0.80 0.20〜0.80
Si 最大0.50 0.12〜0.22
P 最大0.050 最大0.030
S 0.010〜0.100 0.010〜0.090
Cr 0.15〜0.90 0.30〜0.60
Ni 0.10〜0.50 0.10〜0.25
Mo 最大0.25 最大0.25
Cu 0.08〜0.23 0.10〜0.23
V 0.025〜0.15 0.035〜0.060
N 最大0.060 最大0.060
O 最大0.040 最大0.040。
合金の残りは鉄および通常不純物である。本発明の一つの観点によるワイヤーおよび棒は、i)均一、微細粒径、好ましくはASTME−112結晶粒度番号(grain size number)8以上を有するフェライトマトリックス、ii)前記マトリックス中に均一に分布されたで約2μm以下の主寸法を有する硫化マンガンの均一分布およびiii)前記マトリックス中に均一に分布された約4μm以下の主寸法を有する微細球状炭化物の均一分布を含む微細構造を特徴とする。

0007

本発明の別の観点によれば、既知の材料より優れた機械加工性を有する細径長尺製品、例えばワイヤー、棒またはストリップを製造する方法を提供する。本発明の方法の第1の工程では、以下の重量%組成を有する鋼合金溶融炉中で溶融する:
以下の重量%組成:
C 0.88〜1.00、
Mn 0.20〜0.80、
Si 最大0.50、
P 最大0.050、
S 0.010〜0.100、
Cr 0.15〜0.90、
Ni 0.10〜0.50、
Mo 最大0.25、
Cu 0.08〜0.23、
V 0.025〜0.15、
N 最大0.060、
O 最大0.040、
鉄および通常不純物残部
前記方法は、更に、前記鋼合金を不活性ガス微粉化して、プレ合金鋼粉末を形成する工程および前記鋼粉末を実質上フルデンシティに固化して粉末圧縮体を形成する工程を含む。粉末圧縮体は、熱加工して長尺中間製品を形成する。前記方法は、また、以下の工程:a)前記中間製品を、合金Acm温度より約40℃低い温度〜合金Acm温度より約25℃高い温度の範囲の第1温度で、前記中間製品の厚さ1インチに付き約45〜90分間加熱する工程;b)前記中間製品を、前記合金から前記中間製品中に1以上のマルテンサイト、上部ベイナイト、下部ベイナイトおよびそれらの組合せに変形するのに十分な速度で、前記第1温度から冷却する工程、c)前記中間製品を、合金A1温度より約150℃低い温度〜A1温度の範囲の第2温度で、前記合金のマトリックス材料中に複数の微細炭化物沈殿するのに十分な時間加熱する工程;d)前記再加熱した中間製品を第2温度から空気中で冷却する工程;e)前記中間製品を、前記合金A1温度より約10〜50℃高い第3温度で、厚さ1インチに付き約1.5〜6時間加熱する工程;f)前記中間製品を、約5〜80℃/時の速さで、第3温度からA1温度より約100〜400℃低い中間温度に冷却する工程、および次いで、g)前記中間製品を中間温度から室温に空気冷却する工程、を行うことによって中間製品を熱処理することを包含する。次に、熱処理された製品は更に加工してその断面積を小さくして、精密機械部品用の小さな断面積または径を有する長尺製品、例えばワイヤー、ロッド、ストリップまたは棒を提供する。更なる工程は、冷間引抜きおよび/または冷間圧延を包含してもよい。冷間引抜きおよび冷間圧延工程は、最終の大きさまで1以上の工程で行ってもよい。

0008

本発明による方法の別の態様では、粉末圧縮体は、熱間加工、例えば熱間圧延により最終または最終に近い寸法を有する長尺製品、例えばワイヤー、ロッドまたはバンドを提供してもよい。次に、この熱圧延製品を、上記a)〜g)工程に記載のように熱処理する。

0009

明細書中では、以下の用語を以下のように定義する。用語「パーセント」およびシンボル「%」は、別途指示しない限り、重量パーセントまたは質量パーセントを意味する。上部ベイナイトは、既知の定義に従って、フェライトおよびフェライトの実質的に平行ラスエレメント(parallel lath−shaped element)を含有するセメンタイト凝集体として定義される。下部ベイナイトは、既知の定義に従って、フェライトおよび針状外観を有するセメンタイトの凝集体として定義される。フェライトとセメンタイトは、鋼の既知の相として知られている。Acm温度は、既知の定義に従って、その温度より下で冷却時に鋼中にセメンタイトが形成し始める温度と定義される。A1温度は、既知の定義に従って、鋼のオーステナイト相パーライトを含有する共析晶に変化する温度を意味する。用語「細径」は、円形断面を有する製品形態を言い、約1.725インチ(43.81mm)以下の直径を意味するものと定義される。用語「薄い」および「小さい厚さ」は約3mm以下の厚さを意味するものと定義される。

図面の簡単な説明

0010

以下の要約および詳細な説明は、図面を参照して読むとわかりやすい。
図1は本発明の実施例に記載されたヒート098の合金相ダイアグラムである。
図2はヒート098から得られたワイヤーサンプルの顕微鏡写真である。
図3は本明細書の実施例に記載されたヒート223から得られたワイヤーサンプルの顕微鏡写真である。
図4は本明細書の実施例に記載されたヒート560から得られたワイヤーサンプルの顕微鏡写真である。

0011

この出願の目的について、上記元素重量パーセントの範囲はバランスを取ると、非常に細かいおよび均一分布された球状化炭化物を含有する微細構造を提供し、それが既知の材料より金属の低速でのより優れた機械加工性およびより早い速度でのカッティングでの優れた機械加工性を提供する。所望の特性に基づいて、以下の元素範囲が本発明による合金組成について選択される。

0012

炭素オーステナイト安定剤であり、本発明の合金中に存在する他の元素と炭化物を形成する。約0.88〜1.00%の炭素が本発明の広い観点の合金に存在しなければならず、好ましくは約0.92〜0.98%の炭素が存在すべきである。

0013

マンガンも、オーステナイト安定剤であり、他の元素と組合せて合金のA1温度を変更することがある。マンガンは存在している硫黄と組合せて硫化マンガンを形成し、それがこの合金により提供される優れた機械加工性に貢献する。この為、合金はマンガンを約0.20〜0.80%含有する。

0014

ケイ素は、フェライトの安定剤であり、合金の溶融中に脱酸素添加剤から残存物として合金中にも存在し得る。合金は約0.50%までケイ素を含有し、好ましくは約0.12〜0.22%のケイ素を含有する。

0015

硫黄は、マンガンと結合して、硫化マンガンを形成し、優れた機械加工性に必要である。合金は微細で分散した硫化物になるように加工される。その為、合金は硫黄を約0.010〜0.100%、好ましくは約0.010〜0.090%含有する。

0016

クロムは、強い炭化物の形成剤であり、合金にいくらか耐腐食性も提供する。クロムは微細炭化物を形成するために本発明の合金には必要であると考えられ、これが沈殿時に核として作用する部位を提供し、球状化工程中にラメラ形炭化物に代わって実質上球状の炭化物を成長する機能を有する。しかしながら、あまりに多くのクロムは、Acm温度を上昇し、熱処理時に溶解が難しい大きく粗い一次炭化物の安定化をもたらす。また、クロムは鋼材の焼入硬化性を増加し、後述するように熱処理するときにクラッキングの可能性を上げる。上記の観点から、合金はクロムを約0.15〜0.90%、好ましくは約0.30〜0.60%の量で含有する。

0017

ニッケルは、オーステナイトの安定剤であり、Acm温度を大きく上昇せずに鋼材の焼入硬化性にも影響を与える。この理由の為に、合金はニッケル約0.10〜0.50%、好ましくは約0.10〜0.25%の量で含有する。

0018

少量のモリブデンは溶融中に使用された配合材料の残存物として合金中に存在し得る。モリブデンはまた、強い炭化物形成剤であり、少なくともバナジウムのいくつかの置換として一次微細炭化物の製造に有用である。従って、モリブデン約0.25%までを上記の理由のいずれかの為に合金中に存在してもよい。

0019

銅もオーステナイト安定剤である。銅は、硫黄と組合さって硫化物を形成し、それが合金により提供される機械加工性に有用である。銅はまた合金にある種の耐腐食性を提供し得る。しかしながら、銅の使用は加工時および熱処理時の合金中の初期溶融が起こらないレベルに限定される。従って、合金は銅を約0.08〜0.23%、好ましくは約0.10〜0.23%の量で含有する。

0020

少量のバナジウムは、一次、微細および安定MC−型炭化物の製造を補助する為に合金中に存在し、その炭化物は炭化物ラメラを崩壊してより球状の炭化物を形成することに寄与する。この理由のため、本発明の合金はバナジウムを約0.025〜0.15%、好ましくは約0.035〜0.060%の量で含有する。

0021

窒素は、合金が窒素ガスで微粉化される時に吸収されて合金中に存在し得る。窒素は好ましくは、本発明による合金粉末中に最大約0.060%(600ppm)までの量に制限される。

0022

合金の残りは、鉄と、同一または同様の目的に使用される合金にみられる通常の不純物である。特に、リンは本発明の合金中で不純物と考えられ、約0.050%以下、好ましくは約0.030%以下に制限されるべきである。酸素もまた本発明の合金粉末の不純物と考えられ、好ましくは約0.040%に制限される。

0023

優れた機械加工性および安定性を有する細径長尺鋼製品を製造する方法は、以下の製造工程を包含する。合金は溶融炉、好ましくは真空溶融により溶融される。溶融合金は、不活性ガスで微粉化して上記の重量%組成を有するプレ合金粉末を形成する。不活性ガスは、窒素、アルゴンまたはその組合せであって良い。好ましくは、金属粉末は誘導溶融およびガス微粉化ユニット中で窒素ガスによる微粉化(atomization)で製造される。微粉化粉末は、好ましくは約−100メッシュ掛けし、本質的に同じ合金組成を有する1以上の他のヒートとブレンドして混合金属粉を製造してもよい。合金粉末は、低炭素鋼(low carbon steel canister)に振動充填する。次いで、粉末を充填した缶を真空加熱脱ガスおよび封入する。加熱脱ガスは例えば、米国特許4,891,080号(この文献の記載のすべてを参考としてここに導入する。)に記載されている。次いで封入缶を、好ましくは約1121℃、15ksiで金属粉末を完全に高密度化するのに十分な時間、熱間静水圧圧縮HIP)する。アルゴンガス圧縮流体として好ましい。HIP後、完全高密度化金属粉末を約1149℃から熱間圧延して、長尺中間形成体、例えば固化金属粉末および缶の低炭素鋼からなるクラッディング(cladding)を含有するビレットを形成する。

0024

長尺中間形成体を、フェライトマトリックス中に微細、分散化、球状化炭化物および微細硫化物を含有する一般的微細構造を製造するのに選択された時間および温度を含有する1以上の走査条件を含む3段階方法を用いて熱処理する。本発明の製造方法の他の態様では、ビレットおよび他の中間形成物を熱間加工、例えば熱間圧延して、微細または最終に近い大きさを有する棒、ワイヤー、ロッド、ストリップまたはバンドを提供し、更に3段階熱処理をして所望の微細構造を提供する。

0025

本発明による製造方法に用いられる熱処理を更に以下に記載する。最初の加熱工程では、中間製品を合金のAcm温度より約40℃低い温度〜Acm温度より約25℃高い温度で加熱する。この合金のAcm温度境界は、図1中の上部矢印で示されている。本発明において使用される合金の好ましい組成のためのAcm温度は860℃と計算される。好ましくは、長尺中間製品を合金のAcm温度より約20℃低い温度〜Acm温度よりも約5℃高い温度で加熱される。第1の加熱工程は直径または厚さ1インチに付き約45〜90分の間行われる。第1の加熱工程の時間および温度パラメータは固化中間製品の熱間加工または冷却時に形成されるラメラおよび一次炭化物の溶解するように選択される。第1の加熱工程は、好ましくは100%オーステナイトを含有しかつ合金のAcm温度で安定な微細構造を形成する。

0026

第1の加熱工程の後、適当な媒体、例えば不活性ガスまたは液体(例えば、オイル冷却)で急速冷却を行って、安定化オーステナイトをより低温微細構造、例えばマルテンサイト、低部ベイナイト、上部ベイナイトまたはそれらの組合せに変換する。冷却速度は、合金中にパーライトの形成を避ける十分な高温で、クラッキングを避ける十分な低温であるように選択される。なぜならば、合金は合金の焼入硬化性に有益である比較的高い炭素と比較的少ない数の合金元素を含有しているからである。従って、第1の加熱工程の後、中間製品をAcm温度〜室温で約20〜60℃/secの速度で冷却する。

0027

中間微細構造としてオーステナイトをマルテンサイト、低部ベイナイトおよび/または上部ベイナイトに変換する別の方法は、マルテンサイト変換開始温度(Ms)より高い温度で完結までオーステナイトの恒温変換し、その後ガスまたは液状媒体で冷却することを含む。本発明による合金の好ましい化学用のMs温度は140℃±15℃と計算された。

0028

熱処理は第2の加熱工程に継続し、長尺製品をA1温度より約150℃低い温度〜A1温度までの温度の第2温度で加熱する。好ましくは、長尺製品をA1温度より約120℃〜80℃低い温度で加熱する。この合金の好ましい化学組成の為に計算されたA1温度は約720〜730℃である。A1温度境界は図1に示される下部矢印によって示される。この第2の加熱工程は、マルテンサイトまたはベイナイトラスおよび粒子境界に沿った微細および良分散炭化物の沈殿を促進するために行われる。

0029

次の加熱工程では、製品がA1温度より約10〜50℃高い、好ましくはA1温度より約15〜35℃高い第3温度で、厚さ1インチに付き約90〜360分(1.5〜6時間)、好ましくは厚さ1インチに付き約90〜120分(1.5〜2時間)加熱される。次いで製品を冷却速度約5〜80℃/時、好ましくは約15〜35℃/時でA1温度より約100℃〜400℃低い温度に冷却する。次に、製品を室温に空気冷却する。

0030

熱処理後、長尺中間製品は冷間引抜きを所望の直径が得られるまで1以上サイクルを実施してもよく、各冷間引抜き工程は応力緩和焼き戻しを伴う。冷間引抜き材料は典型的には約1.75mm、3mm、4.5mmまたは6.5mmの直径を有するワイヤーとして提供される。より大きな直径のワイヤーも製造して直径約15mm以下の細径処理棒を提供してもよい。別の方法として、長尺中間製品は熱処理後に冷間圧延して、ストリップを提供してもよい。

0031

本発明による製品および製造方法による製造方法に提供される改良微細構造を説明する為に、3つの実験ヒートを溶融し微粉化してプレ合金金属粉末を生成した。実験ヒートの重量%組成は以下の表に示す。

0032

各組成の残りは鉄および<0.030%のリンを含む通常の不純物である。

0033

ヒート098および223は本発明の合金を実施する重量%組成を有する。ヒート560は米国特許8,282,701B2号および米国特許8,795,584B2号の合金を実施する。実験ヒートは、真空誘導溶融し、次いで窒素ガスで微粉化してプレ合金金属粉末を形成した。各ヒートからの金属粉末を−100メッシュで篩掛けし、低炭素鋼缶中に充填した。粉末充填缶を真空熱脱ガスした後封入した。

0034

次いで、粉末充填缶を1121℃、圧力15ksiで、実質的に完全に高密度化した粉末圧縮体を提供するのに十分な時間、熱間静水圧圧縮(HIP’d)した。次に、粉末圧縮体を熱圧延して、固化金属粉末および缶から形成されたクラッディングからなるビレットを形成した。ビレットを更に熱圧延して長尺中間形成体を形成し、室温に冷却した。

0035

ヒート098および223の中間長尺形成体を以下のように熱処理した。長尺形成体を850℃で1時間加熱することによりオーステナイト化し、次いでオイル中にクエンチした。クエンチ後、長尺中間形成体を620℃で4時間加熱して焼き戻しし、次いで空気冷却する。次に長尺形成体を750℃で2時間加熱して再度オーステナイト化し、20℃/時で炉を580℃まで冷却し、更に室温に空気冷却した。加熱処理後、ヒート098および223の長尺形成体を削って炭素鋼クラッディングを除去し、その後最終直径0.3208インチに冷間引抜きした。

0036

ヒート560の長尺中間形成体は以下のように熱処理された。長尺中間形成体を738℃で8時間オーステナイト化し、炉を10℃/時で600℃に冷却した後、空気冷却した。冷却後、長尺形成体を削って炭素鋼クラッディング層を除去し、最終直径0.2055インチに冷間引抜きした。次いでワイヤーを738℃で8時間加熱して再度オーステナイト化し、炉をオーステナイト化温度から600℃に10℃/時で冷却し、空気中で室温へ冷却した。

0037

縦長金属組織試料をヒート098、223および560の各々について製造されたワイヤーから調製し、ASTMA892により電子顕微鏡写真を撮った。ヒート098、223および560についての代表顕微鏡写真を図2,3および4にそれぞれ示す。微細構造はASTM A892に記載の方法で評価した。評価に基づいて、ヒート098および223の微細構造はCS3、CN1およびLC1とされた。ヒート560の微細構造はCS5、CN2およびLC2とされた。ヒート098および223での炭化物の大きさのCS3はヒート560でのCS5より非常に微細な(小さな)炭化物サイズを示す。CN2の炭化物ネットワークの値は、ヒート098および223が実質的に炭化物ネットワークを有さず、ヒート560のCN3の値が少なくともいくらかの炭化物ネットワークの存在を示す。更に、LC1のラメラ炭化物は、ヒート098および223が実質的にラメラ炭化物を有さず、LC3の値はヒート560がヒート098および223よりラメラ炭化物を多く有することを示す。

実施例

0038

本明細書中で使用する用語および表現は、説明のための用語であって、限定のためのものではない。そのような用語および表現の使用は、示されたまたは開示された特徴または部分の同等物を除く意図は無い。本明細書および請求項に記載された発明における種々の変更が可能であると認識される。更に、本明細書に記載される方法の工程は1以上の実在(entity)で行われてもよいと考えられる。例えば、合金粉末を溶融および微細化する工程は、第1の実在で行われてもよく、合金粉末を固化する工程は第2の実在で行われてもよく、かつ熱加工、熱処理および冷間加工工程を1以上の他の実在で行われてもよい。

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