図面 (/)

技術 ポリ乳酸多孔質化ペレット及びその製造方法

出願人 国立大学法人豊橋技術科学大学
発明者 山田剛史向島誠貴平石明辻秀人荒川優樹
出願日 2016年2月3日 (4年8ヶ月経過) 出願番号 2016-019361
公開日 2017年8月10日 (3年2ヶ月経過) 公開番号 2017-137419
状態 特許登録済
技術分野 微生物、その培養処理 多孔性物品の製造および廃物の回収・処理 生物学的処理一般 微生物・酵素関連装置
主要キーワード 工業ベース 適宜サイズ 微小固体 検体ガス 石油系プラスチック イオン液 ポリ乳酸誘導体 ダーラム管
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2017年8月10日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (5)

課題

ポリ乳酸系樹脂は、生分解し難いすなわち難分解性であり、微生物が増殖する際の基質にはなり難いという問題点がある。ポリ乳酸系樹脂から放出される乳酸により、微生物を増殖させるに当たって、微生物を付着させるのに適したポリ乳酸系樹脂を提供する。

解決手段

微生物に電子供与体を供給するペレット状の電子供与体供給剤において、重量平均分子量が約140000以下で、5μm以上の細孔を1平方mm当たり1個以上有し、ポリ乳酸系樹脂を含むことを特徴とする電子供与体供給剤を提供する。前記細孔は、表面において形成されたものであり、それぞれが貫通せず、かつ個々の細孔の一部又は全部が相互に連通しないものであることを特徴とする。本電子供与体供給剤の製造方法において、原料のポリ乳酸系樹脂に細孔を形成させる化学的処理工程と、原料のポリ乳酸系樹脂の分子量を低下させる低分子量化工程を含んでいる。

概要

背景

生分解性プラスチックは、主に、微生物動植物生産する高分子物質を材料として化学合成され、微生物による分解性を高めたプラスチックである。そのため、CO2削減の観点から、石油系プラスチック代替品として、その商業的及び工業的普及が嘱望されている。

生分解性プラスチックの原料としては、微生物産生系原料(ポリヒドロキシブチレートなど)、化学合成系原料(ポリブチレンサクシネートポリ乳酸ポリブチレンサクシネートアジペートポリビニルアルコールポリカプロラクトンなど)及び天然物利用系原料セルロース澱粉キトサンなど)に大別される。

特に、乳酸を原料としたポリ乳酸系樹脂(適宜、PLLAという)は光合成によるCO2固定産物を原料 (キャッサバトウモロコシなど)として生産され、物理化学的強度に優れるなど他の原料に比べ多くの利点を持つことから、その汎用的利用について、国内外で最も有望視されている。

事実、ポリ乳酸系樹脂は、工業ベースでの生産が開始され、医療、住宅、車など様々な分野へと用途展開されている。また、今後も需要の拡大が見込まれる生分解性プラスチックである。

このような背景に基づき、将来的に、生産過程で排出される余剰ポリ乳酸系樹脂や使用済みポリ乳酸系樹脂の大量排出が予想されることから、それらの処理が大きな課題となっている。しかしながら、ポリ乳酸系樹脂は、生分解し難いすなわち難分解性であり、微生物が増殖する際の基質にはなり難いという問題点がある。

本発明者らは、特許文献1においてポリ乳酸系樹脂を加工処理することにより電子供与体として、微生物分解に適したポリ乳酸系樹脂を開発した。しかしながら、特許文献1記載のポリ乳酸系樹脂は、その表面で微生物を安定的に保持することは目的としておらず、事実、微生物を安定的に保持することはできない。

非特許文献1には、細胞培養するに当たって用いられる培養基質としてポリ乳酸系樹脂を加工して利用することが示されている。ポリ乳酸系樹脂を培養基質として活用するため、化学的処理を施し、栄養が通り易いよう微孔管を連通させている。また非特許文献1に記載の培養基質は、頑強であることを特徴とし、(図4.c)には、7日経ても微孔が堅持されていることが示されている。すなわち非特許文献1での培養基質は、構造が頑強であること、つまり乳酸の放出がないことが望ましい。一方、本ペレットは乳酸の放出が積極的に起こるよう易分解性となることを目的として、重量平均分子量を小さくする工程を付加している。この結果、ポリ乳酸系樹脂から、容易に乳酸が放出され微生物の増殖を可能としている点で非特許文献1と異なる。また本ペレットの細孔は微生物を付着させるために、表面積を広げることを目的としており、特にペレット内で細孔どうしが連通する必要がない点でも非特許文献1と異なっている。さらに非特許文献1は、動物細胞の培養に係るものであり、本発明は微生物の培養に係るものである点で、対象とする生物が異なっている。

概要

ポリ乳酸系樹脂は、生分解し難いすなわち難分解性であり、微生物が増殖する際の基質にはなり難いという問題点がある。ポリ乳酸系樹脂から放出される乳酸により、微生物を増殖させるに当たって、微生物を付着させるのに適したポリ乳酸系樹脂を提供する。微生物に電子供与体を供給するペレット状の電子供与体供給剤において、重量平均分子量が約140000以下で、5μm以上の細孔を1平方mm当たり1個以上有し、ポリ乳酸系樹脂を含むことを特徴とする電子供与体供給剤を提供する。前記細孔は、表面において形成されたものであり、それぞれが貫通せず、かつ個々の細孔の一部又は全部が相互に連通しないものであることを特徴とする。本電子供与体供給剤の製造方法において、原料のポリ乳酸系樹脂に細孔を形成させる化学的処理工程と、原料のポリ乳酸系樹脂の分子量を低下させる低分子量化工程を含んでいる。

目的

ポリ乳酸系樹脂から放出される乳酸により、微生物を増殖させるに当たって、微生物を付着させるのに適したポリ乳酸系樹脂を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

この技術が所属する分野

ライセンス契約や譲渡などの可能性がある特許掲載中! 開放特許随時追加・更新中 詳しくはこちら

請求項1

微生物電子供与体を供給するペレット状の電子供与体供給剤において、重量平均分子量が約140000以下で、5μm以上の細孔を1平方mm当たり1個以上有し、ポリ乳酸系樹脂を含むことを特徴とする電子供与体供給剤。

請求項2

前記細孔は、表面において形成されたものであり、それぞれが貫通せず、かつ個々の細孔の一部又は全部が相互に連通しないものであることを特徴とする請求項1に記載の電子供与体供給剤。

請求項3

前記ポリ乳酸系樹脂は、重量平均分子量が約7100以上であることを特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載の電子供与体供給剤。

請求項4

前記ポリ乳酸系樹脂は、全部又は一部が結晶化されていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の電子供与体供給剤。

請求項5

前記ポリ乳酸系樹脂は、結晶化度が1%以上であることを特徴とする請求項4に記載の電子供与体供給剤。

請求項6

請求項1から5のいずれかに記載の電子供与体供給剤であって、廃水中投与することにより、該廃水中の硝酸又は亜硝酸に対する除去能を発揮するものであることを特徴とする電子供与体供給剤。

請求項7

微生物に電子供与体を供給する粒状の電子供与体供給剤の製造方法において、原料のポリ乳酸系樹脂に細孔を形成させる化学的処理工程と、原料のポリ乳酸系樹脂の分子量を低下させる低分子量化工程を含む、ポリ乳酸系樹脂を用いて電子供与体供給剤を製造することを特徴とする電子供与体供給剤の製造方法。

請求項8

前記化学的処理工程は、有機溶剤によって原料のポリ乳酸系樹脂を溶解させる予備工程と、その後に常温イオン液に溶解させる溶解工程とを含むことを特徴する請求項7に記載の電子供与体供給剤の製造方法。

請求項9

前記低分子量化工程は、重量平均分子量が約7100以上で且つ約140000以下の範囲となるように、原料のポリ乳酸系樹脂を低分子量化するものであることを特徴とする請求項7又は8に記載の電子供与体供給剤の製造方法。

技術分野

0001

本発明は、ポリ乳酸系樹脂及びその製造方法に関し、特に、微生物処理の適したポリ乳酸系樹脂と、その製造方法に関するものである。

背景技術

0002

生分解性プラスチックは、主に、微生物動植物生産する高分子物質を材料として化学合成され、微生物による分解性を高めたプラスチックである。そのため、CO2削減の観点から、石油系プラスチック代替品として、その商業的及び工業的普及が嘱望されている。

0004

特に、乳酸を原料としたポリ乳酸系樹脂(適宜、PLLAという)は光合成によるCO2固定産物を原料 (キャッサバトウモロコシなど)として生産され、物理化学的強度に優れるなど他の原料に比べ多くの利点を持つことから、その汎用的利用について、国内外で最も有望視されている。

0005

事実、ポリ乳酸系樹脂は、工業ベースでの生産が開始され、医療、住宅、車など様々な分野へと用途展開されている。また、今後も需要の拡大が見込まれる生分解性プラスチックである。

0006

このような背景に基づき、将来的に、生産過程で排出される余剰ポリ乳酸系樹脂や使用済みポリ乳酸系樹脂の大量排出が予想されることから、それらの処理が大きな課題となっている。しかしながら、ポリ乳酸系樹脂は、生分解し難いすなわち難分解性であり、微生物が増殖する際の基質にはなり難いという問題点がある。

0007

本発明者らは、特許文献1においてポリ乳酸系樹脂を加工処理することにより電子供与体として、微生物分解に適したポリ乳酸系樹脂を開発した。しかしながら、特許文献1記載のポリ乳酸系樹脂は、その表面で微生物を安定的に保持することは目的としておらず、事実、微生物を安定的に保持することはできない。

0008

非特許文献1には、細胞培養するに当たって用いられる培養基質としてポリ乳酸系樹脂を加工して利用することが示されている。ポリ乳酸系樹脂を培養基質として活用するため、化学的処理を施し、栄養が通り易いよう微孔管を連通させている。また非特許文献1に記載の培養基質は、頑強であることを特徴とし、(図4.c)には、7日経ても微孔が堅持されていることが示されている。すなわち非特許文献1での培養基質は、構造が頑強であること、つまり乳酸の放出がないことが望ましい。一方、本ペレットは乳酸の放出が積極的に起こるよう易分解性となることを目的として、重量平均分子量を小さくする工程を付加している。この結果、ポリ乳酸系樹脂から、容易に乳酸が放出され微生物の増殖を可能としている点で非特許文献1と異なる。また本ペレットの細孔は微生物を付着させるために、表面積を広げることを目的としており、特にペレット内で細孔どうしが連通する必要がない点でも非特許文献1と異なっている。さらに非特許文献1は、動物細胞の培養に係るものであり、本発明は微生物の培養に係るものである点で、対象とする生物が異なっている。

0009

特開2011−104551号公報

先行技術

0010

J Mater Sci Mater Med. 2012 May;23(5):1271-9.

発明が解決しようとする課題

0011

ポリ乳酸系樹脂は、生分解し難いすなわち難分解性であり、微生物が増殖する際の基質にはなり難いという問題点がある。ポリ乳酸系樹脂から放出される乳酸により、微生物を増殖させるに当たって、微生物を付着させるのに適したポリ乳酸系樹脂を提供する。

課題を解決するための手段

0012

この課題を解決するために本発明者らは、ポリ乳酸系樹脂を微小固体とし、その微小固体に化学的処理を施すことにより細孔を開け(以下、有孔ペレット)、さらに低分子量化することにより電子供与体として微生物が付着しやすいポリ乳酸系樹脂微小固体(以下、本ペレット)を発明した。

0013

すなわち、請求項1記載の電子供与体供給剤は、微生物に電子供与体を供給するペレット状の電子供与体供給剤において、重量平均分子量が約140000以下で、5μm以上の細孔を1平方mm当たり1個以上有し、ポリ乳酸系樹脂を含むものである。なお重量平均分子量で用いられる「約」は±1%の範囲をいう。

0014

請求項2記載の電子供与体供給剤は、請求項1に記載の電子供与体供給剤において、前記細孔は、表面において形成されたものであり、それぞれが貫通せず、かつ個々の細孔の一部又は全部が相互に連通しないものである。

0015

請求項3記載の電子供与体供給剤は、請求項1又は2に記載の電子供与体供給剤において、前記ポリ乳酸系樹脂は、重量平均分子量が約7100以上である。

0016

請求項4記載の電子供与体供給剤は、請求項1から3のいずれかに記載の電子供与体供給剤において、前記ポリ乳酸系樹脂は、全部又は一部が結晶化されている。

0017

請求項5記載の電子供与体供給剤は、請求項4に記載の電子供与体供給剤において、前記ポリ乳酸系樹脂は、結晶化度が1%以上である。

0018

請求項6記載の電子供与体供給剤は、請求項1から5のいずれかに記載の電子供与体供給剤において、廃水中投与することにより、該廃水中の硝酸又は亜硝酸に対する除去能を発揮するものである。

0019

請求項7記載の電子供与体供給剤の製造方法は、微生物に電子供与体を供給する粒状の電子供与体供給剤の製造方法において、原料のポリ乳酸系樹脂に細孔を形成させる化学的処理工程と、原料のポリ乳酸系樹脂の分子量を低下させる低分子量化工程を含む、ポリ乳酸系樹脂を用いて電子供与体供給剤を製造する。

0020

請求項8記載の電子供与体供給剤の製造方法は、請求項7に記載の電子供与体供給剤の製造方法において、有機溶剤によって原料のポリ乳酸系樹脂を溶解させる予備工程と、その後に常温イオン液に溶解させる溶解工程とを含む。

0021

請求項9記載の電子供与体供給剤の製造方法は、請求項7又は8に記載の電子供与体供給剤の製造方法において、重量平均分子量が約7100以上で且つ約140000以下の範囲となるように、原料のポリ乳酸系樹脂を低分子量化するものである。

図面の簡単な説明

0022

無孔ペレット(A)と本ペレット(B)の成形
無孔ペレット(A)と本ペレット(B)の走査型電子顕微鏡による表面像
本ペレット(PLLA多孔質ペレット)と無孔ペレット(PLLA無孔ペレット)の重量平均分子量と乳酸放出速度との関係を示す図である。●は本ペレット、□は無孔ペレットを表す。
本ペレット(PLLA多孔質ペレット)と無孔ペレット(PLLA無孔ペレット)の重量平均分子量と硝酸分解速度との関係を示す図である。●は本ペレット、□は無孔ペレットを表す。

0023

以下、本発明の詳細を説明する。本発明のポリ乳酸系樹脂は、細孔を有し、低分子量化されたものである。

0024

本発明では、ポリ乳酸系樹脂及びポリ乳酸系樹脂を含む有機性廃棄物が対象となる。ここで、本発明に原料として用いられるポリ乳酸系樹脂は、ポリ乳酸のホモポリマー(例えば、ポリL−乳酸))や、ポリ乳酸誘導体である。ポリ乳酸系樹脂は、乳酸を重合して得られるポリエステル樹脂であれば特に限定されず、ポリ乳酸のホモポリマー、共重合体ポリマーブレンドなどであってもよい。なお、ポリ乳酸を用いる際の重合に用いられる乳酸は、L体又はD体のいずれかであってもよく、L体とD体の混合物であってもよい。

0025

ポリ乳酸誘導体としては、ポリ乳酸と同程度の結晶性生分解性加水分解性)とを備えるものであれば、特に限定されないが、例えば、ポリ乳酸骨格(−OCHCH3CO−)のα炭素に結合される原子又は原子団が、メチル基水素との組み合わせ以外で、アルキル基アリール基アリル基ビニル基ベンジル基ホルミル基等の炭化水素基アルコキシ基及びその誘導体とされたものが挙げられる。その他、かかる原子団として、アミノ基、カルバモイル基アルコキシカルボニル基等を挙げることもできる。更には、上記のうち、炭素数1〜3の炭化水素基若しくはアルコキシ基又は水素原子としたものが好ましい。更に好ましくは、炭化水素基及びアルコキシ基は直鎖状のものとする。より具体的には、当該原子団として、メチル基、エチル基プロピル基、ビニル基、メトキシ基エトキシ基プロポキシル基等が挙げられる。更には、これらの誘導体を用いることもできる。誘導体としてこれら炭化水素基及びアルコキシ基の水素原子を置換しうる原子及び原子団には、塩素等のハロゲン原子ヒドロキシル基カルボキシル基カルボニル基、アミノ基、カルバモイル基、ホルミル基、アルコキシカルボニル基等が挙げられる。また、α炭素に結合される原子としては、水素、フッ素、塩素、臭素等のハロゲン原子が挙げられる。

0026

更に他の原料の生分解性高分子を含んでいてもよい。他の生分解性高分子原料は、特に限定されるものではない。具体的には、ポリ(3−ヒドロキシ酪酸)、ポリヒドロキシバリレート、ポリカプロラクトン、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンアジペートポリエチレンサクシネートポリブチレンテレフタレートポリエステルカーボネートポリグリコール酸ポリジオキサノン及びポリ(2−オキセタノン)、デンプン、セルロース、キチン、キトサン、グルテン、及び天然ゴムポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール及びポリリンゴ酸などが挙げられる。ポリ乳酸系樹脂以外のこれらの高分子は、単独で使用されても複数で使用されてもよい。

0027

本ペレットは、モノマーから合成してもよいし、高分子量のポリ乳酸系樹脂を改質して製造してもよい。高分子量のポリ乳酸系樹脂を改質して製造する場合は、本ペレットは、低分子量化工程を経てもよい。低分子量化工程は、原料の高分子量のポリ乳酸系樹脂の分子量を低下させる工程であり、低分子量化工程で用いられる方法には制限されない。また、低分子量化工程の前に、ポリ乳酸系樹脂の洗浄、乾燥などの前処理工程を設けてもよい。

0028

一般にポリ乳酸系樹脂は、重量平均分子量で、15万から30万といわれているが、低分子量化工程では、加熱、加圧粉砕等によって、ポリ乳酸系樹脂の分子量を低下させてもよい。好適には、加水分解処理が用いられる。例えば、加水分解処理では、ポリ乳酸系樹脂の分子量や特性と所望の目標分子量とに応じ、その処理条件が、例えば121℃(飽和蒸気圧)に設定し、任意時間処理を行ってもよい。

0029

この低分子量化工程では、ポリ乳酸系樹脂を目標分子量まで一度の処理によって低分子量化を行っても良く、複数回に分けて低分子量化を行ってもよい。また、処理した樹脂を、分子量分画して分子量分布分散度を調整する操作を行ってもよい。

0030

ポリ乳酸系樹脂の結晶化度が高いほど乳酸の放出があることが知られていることから(特許文献1)、結晶化度が1%以上、好ましくは5%以上、さらに好ましくは10%以上となるよう制御してもよい。

0031

本ペレットの結晶化度を制御する方法に制限はないが、例えばアニール工程を用いる方法を用いてもよい。アニール工程は、ポリ乳酸系樹脂を結晶化させるための工程であり、融解されたポリ乳酸系樹脂を、融点よりも20℃〜30℃低温側の温度で、任意時間保持して熱処理し、その後室温まで急冷する工程である。

0032

また、本ペレットのサイズ、剤形は特に限定されるものではなく、ポリ乳酸系樹脂製の自動車部品等を破壊、成形等することにより、適宜サイズ及び剤型(粒状、塊状、成形体等)は調整できる。

0033

本ペレットの細孔の径は特に制限がなく、本ペレットのサイズにより適宜選択される。またその数は、特に制限がなく単位面積当たり(例えば1平方mm当たり)1個以上存在すればよい。個々の細孔の状態は、特に限定されるものではなく、一部において貫通し、又は相互に連通する細孔が存在する状態であってもよいが、全ての細孔が貫通せず、また、相互の細孔が連通しない状態でもよい。

0034

以下、実施例に基づいて本発明を詳述する。本発明は、その要旨を超えない限り、これらの実施例に制約されるものではない。なお、実施例中に示す測定値は次に示すような条件で測定し、算出した。

0035

(有孔ペレットの作製)
本ペレットは、常温イオン液体RTIL)を用いたポロジェン法を基本として作製した。ジクロロメタン(DCM)にポリ乳酸系樹脂(重量平均分子量=約200000、重量平均分子量/数平均分子量 =約1.56、結晶化度=約36%)を2%(w/v)で溶解させた後、RTILの一つである1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムクロリド(ポリ乳酸系樹脂/RTIL重量比=0.2)を溶解させた。有孔ペレットを作製するため、ポリ乳酸系樹脂/RTIL混合溶液は、ダーラム管(内径6mm、高さ 50mm、有効容積1.5mL) に500 μLずつ分注した。常温・常圧条件下においてDCMを揮発させた後、析出したポリ乳酸系樹脂/RTIL混合物内のRTILをエタノール溶出した。その後、乾燥させるために、RTILを除去した有孔ペレットは2日〜14日間減圧処理等を行い乾燥させた。有孔ペレットの表面構造は、走査型電子顕微鏡によって観察した。

0036

(本ペレットの作製)
本ペレットの重量平均分子量は、有孔ペレットを高温高圧蒸気条件下において一定時間処理することによって調製した。高温高圧の処理をするに当たっては高圧蒸気滅菌器を用いた。高温として101〜150℃で処理を行い、圧力はその飽和蒸気圧とした。その結果、121℃の条件下では直径3〜8mm、厚さ3〜5mm程度の本ペレットを作製することができた(図1B)。またさまざまな重量平均分子量の本ペレットの調製は、高温高圧条件を変化させてもよいが、高温高圧加熱時間を変化させてもよい。

0037

(重量平均分子量の測定)
ゲル浸透クロマトグラフィを用い常法に従い、以下に示す条件下で測定し、標準ポリスチレン換算で重量平均分子量を求めた。
機種商品名HLC8020GPC(東ソー(株)製)
溶媒クロロホルム
サンプル溶解条件:60℃、2時間
温度:40℃
測定濃度:50mg/50mL
注入量:100μL
カラム:商品名TSKgelGMHHR−H(東ソー(株)製)2本
なお、標準ポリスチレン(東ソー(株)製)を用いてユニバーサルキャリブレーション法によりカラム溶出体積校正した。

0038

表1は、加熱時間及びそれに対応して得られた各低分子量化した本ペレット、表2は無孔ペレットの重量平均分子量を示している。表中のゲージ圧力は、高圧蒸気滅菌器に付属する圧力メータの値を示している。したがってゲージ圧力に大気圧を加えた圧力が実際の圧力である。

0039

0040

0041

比表面積の測定)
サンプルを80℃、12時間で前処理をし、吸着ガスとして窒素ガスを用い、測定温度77K(液体窒素温度)にて、高精度・多検体ガス吸着量測定装置カンクロームインスツルメンツ社製、Autosorb−IQ)で測定した。吸着等温線から解析したBETプロットを取り、本ペレットの比表面積を得た。表2には、原料(無孔ペレット)、本ペレットの高温高圧条件適用前と適用後の比表面積を示した。

0042

0043

(本ペレットの表面構造の観察)
調製した本ペレットの表面構造をオスミウムプラズマコート(30nm)し、電界放出型走査型電子顕微鏡(日本電子社製、商品名JFE-6320F)を用い、加速電圧5kVで観察した。コーティングに当たってはオスミウムプラズマコーター(日本レーザ電子社製、NL−OPC80N)を用いた。その結果、本ペレット表面の細孔のサイズは5〜300μmであり、1平方mm当たり500個以下であった(図2B)。

0044

乳酸放出量の測定)
高速液体クロマトグラフィHPLC)を用いて、常法に従い以下に示す条件下で測定し、遊離乳酸濃度を測定した。
機種:電気伝導度検出器島津製作所社製、商品名CDD−10A VP)、ポンプ(島津製作所社製、商品名LC−20AD)、オーブン(島津製作所社製、商品名CTO−10A VP)、ディガッサー(島津製作所社製、商品名DGU−12A)、オートサンプラー(島津製作所社製、商品名SIL−10A VP)、システムコントローラー(島津製作所社製、商品名SCL−10A VP)
移動相:5mMp-トルエンスルホン酸水溶液
反応液:5mM p-トルエンスルホン酸、100μMEDTA(2Na)、20mM Bis−Tris溶液
流速:0.8mL/min(移動相・反応液ともに)
温度:40℃
注入量:50μL
カラム:商品名SCR−102H(島津製作所社製)

0045

(結晶化度の測定)
示差走査型熱量計(島津製作所社製、商品名DSC50)及び熱分析ワークステーション(島津製作所社製、商品名TA−60WS)を用い移動相を窒素(流速:50mL/min)として、温度範囲0−200℃で融解エンタルピー結晶化エンタルピーとを測定した。

0046

試料3mgをアルミニウム製のパン装填し、昇温速度10℃/分で測定を行なった。算出した融解エンタルピーと結晶化エンタルピーとを用い、下記(1)式に基づいて結晶化度を算出した。なお、結晶化度は、ΔHccを結晶化エンタルピー、ΔHmを融解エンタルピー、ΔHm0を標準試料の結晶化度100%(結晶厚が無限大の結晶)のエンタルピーとして、下記の(1)式にて規定される。
結晶化度(%)=[(ΔHm+ΔHcc)/ΔHm0)]×100・・・(1)

0047

ポリ乳酸の場合には、ΔHm0として135(J・g−1)が用いられる。本発明では、ポリ乳酸誘導体のΔHm0についても、ポリ乳酸と同じ135(J・g−1)を用いて、その結晶化度としている。121℃の飽和蒸気圧で処理した本ペレットの結晶化度は、約36%であった。なお結晶化度での「約」は±1%をいう。

0048

(実施例1)
本ペレットからの乳酸放出量が重量平均分子量と関係していることから、乳酸放出量を制御するために、さまざまな重量平均分子量の本ペレットを調製した。調製に当たっては、高温高圧処理時間を変化させることにより行った。実施例1は、本ペレットのさまざまな重量平均分子量の変化が乳酸放出速度に及ぼす影響を試験したものである。

0049

室温における本ペレットから放出される乳酸放出試験を行った。具体的には、乳酸放出試験として、75mL容バイアル瓶基礎培地20mLと各重量平均分子量に調整した本ペレット0.2gを添加して行った。バイアル瓶を恒温振盪器(東京理化社製、NTS−4000B)にセットした後、バイアル瓶は、温度 25℃、振盪速度 70rpmの条件で振盪させた。乳酸放出試験は、3回行い、乳酸放出速度の平均値標準偏差を算出した。

0050

乳酸放出量はHPLC測定によって評価した。その結果を図4に示す。図4は、本ペレットの重量平均分子量と乳酸放出速度との関係を示した図であり、横軸に重量平均分子量、縦軸に乳酸放出速度が示されている。図3に示すように、重量平均分子量7100〜106000で乳酸放出が確認できた。さらに重量平均分子量40000、85000及び106000の点から外挿すると140000以上でも乳酸放出が可能なことが示された。

0051

(実施例2)
各重量平均分子量(重量平均分子量7100〜100000までの範囲)に調整した本ペレットを唯一の電子供与体としたときの活性汚泥の硝酸除去特性を評価した。具体的には、硝酸除去特性試験として、75mL容バイアル瓶に硝酸を含んだ基礎培地(Bioresour. Technol. 2014;154 : 44-55を修正して使用)10mLと各重量平均分子量に調整した本ペレット0.2gと活性汚泥10mL(終濃度:2000mg・L−1)を添加して行った。培地は、アルゴンガスで4分間パージした。バイアル瓶を恒温振盪器(東京理化社製、NTS−4000B)にセットした後、バイアル瓶は、温度 25℃、振盪速度 70rpmの条件で振盪させた。さまざまな重量平均分子量をもつ本ペレットを電子供与体として用いたところ、重量平均分子量7100〜106000までの範囲において硝酸除去が確認された。さらに重量平均分子量40000、85000及び106000の点から外挿すると140000以上でも硝酸除去が可能なことが示された。この結果、排水中の硝酸が除去できることが示された。なお硝酸の除去は、汚泥中の脱窒菌により行われるが、脱窒菌は亜硝酸も除去することができる。

実施例

0052

(実施例3)
化学的処理工程を施さず細孔を有しない種々の重量平均分子量を有するポリ乳酸系樹脂(無孔ペレット)についても試験を行った。その結果、16300以下の重量平均分子量の無孔ペレットにも、本ペレットには劣るが硝酸除去効果が認められた。

0053

ポリ乳酸系樹脂は、包装資材農業資材として排出され、大量に排出される可能性がある。本発明は、ポリ乳酸系樹脂の再利用技術の一つとして、ポリ乳酸系樹脂の減量化を図るとともに再利用法の機会を増やすものである。その結果、今後大量に排出されるポリ乳酸系樹脂の再利用として有効に活用できる。

0054

また地下水汚染現場廃水処理リアクターへの本ペレット及び無孔ペレットの添加により硝酸等からの脱窒が可能となり環境浄化に利用できる。

ページトップへ

この技術を出願した法人

この技術を発明した人物

ページトップへ

関連する挑戦したい社会課題

関連する公募課題

該当するデータがありません

ページトップへ

おススメ サービス

おススメ astavisionコンテンツ

新着 最近 公開された関連が強い技術

  • PSジャパン株式会社の「 スチレン系樹脂組成物、シート、及び成形品」が 公開されました。( 2020/08/31)

    【課題】本発明の課題は、スチレン単量体、スチレンの二量体、三量体の含有量が少なく、臭気の少ないスチレン系樹脂組成物、並びに当該スチレン系樹脂組成物を含み、色調と外観と透明性に優れたシート及び成形品を提... 詳細

  • 古河電気工業株式会社の「 格納容器」が 公開されました。( 2020/08/31)

    【課題】格納の際に被格納物が傷つくことを抑制するとともに、複数の格納ウェルにおける被格納物の格納効率を向上させることができる格納容器を提供すること。【解決手段】格納容器は、被格納物を格納する格納ウェル... 詳細

  • 国立研究開発法人産業技術総合研究所の「 ドーパミン産生大腸菌及びドーパミンの製造方法」が 公開されました。( 2020/08/31)

    【課題】グルコースからドーパミンを製造可能なドーパミン産生大腸菌を提供する。【解決手段】tyrR遺伝子座が、tyrAfbr遺伝子、aroGfbr遺伝子、tktA遺伝子及びppsA遺伝子を含む第1発現カ... 詳細

この 技術と関連性が強い技術

関連性が強い 技術一覧

この 技術と関連性が強い人物

関連性が強い人物一覧

この 技術と関連する社会課題

関連する挑戦したい社会課題一覧

この 技術と関連する公募課題

該当するデータがありません

astavision 新着記事

サイト情報について

本サービスは、国が公開している情報(公開特許公報、特許整理標準化データ等)を元に構成されています。出典元のデータには一部間違いやノイズがあり、情報の正確さについては保証致しかねます。また一時的に、各データの収録範囲や更新周期によって、一部の情報が正しく表示されないことがございます。当サイトの情報を元にした諸問題、不利益等について当方は何ら責任を負いかねることを予めご承知おきのほど宜しくお願い申し上げます。

主たる情報の出典

特許情報…特許整理標準化データ(XML編)、公開特許公報、特許公報、審決公報、Patent Map Guidance System データ