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技術 分解処理食品素材、及びその製造方法

出願人 たかい食品株式会社株式会社MizkanHoldings株式会社Mizkan
発明者 熊澤正純高井陽一郎松井直也
出願日 2016年2月3日 (5年0ヶ月経過) 出願番号 2016-018734
公開日 2017年8月10日 (3年6ヶ月経過) 公開番号 2017-136007
状態 特許登録済
技術分野 食品の調整及び処理一般 肉類、卵、魚製品
主要キーワード 作業スピード 開度調整弁 失活温度 薬品臭 超高温処理 食品粉末 金属臭 押出処理
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課題

呈味性を損なうことなく、かつおやその加工品を丸ごと活用した、旨み成分風味成分、栄養成分総てを含んだ風味食品素材及び前記分解処理食品素材を他の飲食品に含有させてなる食味向上効果改善方法の提供。

解決手段

かつお及び/又はかつお加工品、それら残渣を押出機加熱処理する工程と、前記加熱処理されて押し出された吐出物を、酵素添加の下、再度押出機で処理する工程とを含む分解処理食品素材の製造方法。好ましい温度は、前記加熱処理において、前記押出機のシリンダー温度は、100℃〜350℃である製造方法。前記酵素は、プロテアーゼパパイングルタミナーゼペプチダーゼヌクレアーゼ、5’−デアミナーゼトランスグルタミナーゼリパーゼから選択される少なくとも1種であり、前記酵素添加の下、再度押出機で処理する工程において、前記押出機のシリンダー温度は、20〜80℃である製造方法。

概要

背景

従来、かつおやかつお加工品を含む魚介類食品素材化する方法としては、第一に、水浸漬や熱湯抽出による、旨み成分であるイノシン酸風味成分等の水溶性成分の利用(例えば魚介だし)が挙げられる。第二には、主にその構成成分の主体であるタンパク質を分解し、遊離したアミノ酸旨み等の呈味成分として利用する(例えばアミノ酸液)ことが挙げられる。第三には、原料そのものを乾燥粉砕し、そのまま風味食品素材化して調味素材として利用することが挙げられる。

上記第一の方法では、あくや濁り溶出を抑え、好ましい風味、うま味を抽出し、新鮮な原料の選択により、生臭みのような好ましくない風味を低減した抽出液が得られる工夫がなされてはいるものの、抽出残渣は主に廃棄物となっていた。すなわち、上記第一の方法では、得られる抽出物の風味はよいものの、抽出残渣中には未だ多量のタンパク質などの栄養成分や呈味成分のもとが残っており、原料の有効利用の点で課題があった。

これに対して、上記第二の方法のように、その抽出残渣をアミノ酸液にまで分解して活用するという方法がある。上記第二の方法では、上記第一の方法の課題を解決する手段になりうるが、強酸性下での分解処理を行うため、アミノ酸由来の呈味成分を濃厚に有する風味素材が得られるものの、その風味は、化学処理による薬品臭が付くという課題や、原料由来の好ましい風味(例えばかつおの上品な魚介風味やかつお節の好ましい燻煙臭)が失われてしまうという課題があった。

第三の方法では、原料を丸ごと活用して風味素材化することから原料の有効利用の点で優れてはいるが、原料由来の好ましくない風味(例えば魚介及び/又はその加工品特有の生臭み、硫黄臭金属臭焦げ臭)も含んでしまい、また、原料の硬い組織由来する食感のざらつきの課題や溶解性の低さの課題があった。

以上のように、かつおやその加工品には旨み成分、風味成分、栄養成分が多く含まれているものの、呈味性を損なうことなく、これら総てを含んだ風味食品素材としてかつおやその加工品を丸ごと活用する課題は解決されていない。

これらに関して、上記の課題に鑑みてなされた技術が従来いくつか提案されている(例えば、特許文献1〜4参照)。

例えば、かつおの生利節や味付けした生利節破片押出処理することで、通常の魚節製法よりも極短時間で、成型された魚節状化食品を製造する技術が知られている(特許文献1)。

また、粉粒状の乾燥蛋白質原材料を、ダイ(開度調整弁)を取り付けない押出機を用いて、原材料に圧力をかけずに極短時間超高温処理することにより、原材料の品質を低下させることなく滅菌する技術、さらにはこの処理物酵素処理することによって食品素材を得る技術が知られている(特許文献2)。

また、生魚や魚節をプロテアーゼ処理した際の生臭さを解決するための手段として、粉末魚節蒸煮液を混合し、酵素処理(プロテアーゼ処理)することで生成するペプチドにより、分解臭や酸化臭などの生臭さを抑制する技術が知られている(特許文献3)。

また、魚節を合計10時間以内で酵素分解処理熱水抽出し、調味料を得る技術、およびさらにこの調味料を固液分離することにより、調味液を得る技術が知られている(特許文献4)。

概要

呈味性を損なうことなく、かつおやその加工品を丸ごと活用した、旨み成分、風味成分、栄養成分総てを含んだ風味食品素材及び前記分解処理食品素材を他の飲食品に含有させてなる食味向上効果改善方法の提供。かつお及び/又はかつお加工品、それら残渣を押出機で加熱処理する工程と、前記加熱処理されて押し出された吐出物を、酵素添加の下、再度押出機で処理する工程とを含む分解処理食品素材の製造方法。好ましい温度は、前記加熱処理において、前記押出機のシリンダー温度は、100℃〜350℃である製造方法。前記酵素は、プロテアーゼパパイングルタミナーゼペプチダーゼヌクレアーゼ、5’−デアミナーゼトランスグルタミナーゼリパーゼから選択される少なくとも1種であり、前記酵素添加の下、再度押出機で処理する工程において、前記押出機のシリンダー温度は、20〜80℃である製造方法。なし

目的

本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、呈味性を損なうことなく、かつおやその加工品を丸ごと活用した、旨み成分、風味成分、栄養成分総てを含んだ風味食品素材を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

かつお及び/又はかつお加工品、それら残渣を押出機加熱処理する工程と、前記加熱処理されて押し出された吐出物を、酵素添加の下、再度押出機で処理する工程とを含む、ことを特徴とする分解処理食品素材の製造方法。

請求項2

前記加熱処理において、前記押出機のシリンダー温度は、100℃〜350℃であることを特徴とする請求項1記載の方法。

請求項3

前記酵素は、プロテアーゼパパイングルタミナーゼペプチダーゼヌクレアーゼ、5’−デアミナーゼトランスグルタミナーゼリパーゼからなる群から選択される少なくとも1種であり、前記酵素添加の下、再度押出機で処理する工程において、前記押出機のシリンダー温度は、20〜80℃であることを特徴とする請求項1記載の方法。

請求項4

前記酵素添加の下、再度押出機で処理する工程において、前記押出機に酵素を投入する酵素処理を行い、再度押出機で処理するか、又は前記加熱処理後に押し出された吐出物に、酵素を添加して分散手段を用いて酵素分散処理を行い、酵素添加吐出物を再度押出機で処理することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。

請求項5

前記押出機による処理は、2〜8軸同方向回転押出機を2つ以上用いて処理するものであるか、又は2段以上のシリンダーを有するタンデム型押出機によって連続処理するものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。

請求項6

請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法によって得られた分解処理食品素材を、粉砕及び乾燥する工程を含むことを特徴とする分解処理食品粉末の製造方法。

請求項7

前記粉砕を、胴搗き製粉ロール製粉、石臼製粉気流粉砕製粉、ピンミル製粉、ジェットミルから選択される少なくとも1つ以上の方法で行う請求項6記載の方法。

請求項8

前記乾燥を、流動乾燥機真空乾燥機、又は乾燥機能付き気流粉砕機から選択される少なくとも1つ以上の方法で行う請求項6記載の方法。

請求項9

前記粉砕及び乾燥により得られた分解処理食品粉末は、平均粒径100μm以下であることを特徴とする請求項6〜8のいずれか1項に記載の方法。

請求項10

請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法により得られた分解処理食品素材、及び/又は請求項6〜9のいずれか1項に記載の方法により得られた分解処理食品粉末を飲食品へ添加することを特徴とする飲食品の風味を改善する方法。

技術分野

0001

本発明は、分解処理食品素材の製造方法、及び当該素材を添加し飲食品風味を改善する方法に関するものであり、特に、かつおを分解処理した分解処理食品素材の製造方法、及び当該素材を添加し飲食品の風味を改善する方法に関する。

背景技術

0002

従来、かつおやかつお加工品を含む魚介類を食品素材化する方法としては、第一に、水浸漬や熱湯抽出による、旨み成分であるイノシン酸風味成分等の水溶性成分の利用(例えば魚介だし)が挙げられる。第二には、主にその構成成分の主体であるタンパク質を分解し、遊離したアミノ酸旨み等の呈味成分として利用する(例えばアミノ酸液)ことが挙げられる。第三には、原料そのものを乾燥粉砕し、そのまま風味食品素材化して調味素材として利用することが挙げられる。

0003

上記第一の方法では、あくや濁り溶出を抑え、好ましい風味、うま味を抽出し、新鮮な原料の選択により、生臭みのような好ましくない風味を低減した抽出液が得られる工夫がなされてはいるものの、抽出残渣は主に廃棄物となっていた。すなわち、上記第一の方法では、得られる抽出物の風味はよいものの、抽出残渣中には未だ多量のタンパク質などの栄養成分や呈味成分のもとが残っており、原料の有効利用の点で課題があった。

0004

これに対して、上記第二の方法のように、その抽出残渣をアミノ酸液にまで分解して活用するという方法がある。上記第二の方法では、上記第一の方法の課題を解決する手段になりうるが、強酸性下での分解処理を行うため、アミノ酸由来の呈味成分を濃厚に有する風味素材が得られるものの、その風味は、化学処理による薬品臭が付くという課題や、原料由来の好ましい風味(例えばかつおの上品な魚介風味やかつお節の好ましい燻煙臭)が失われてしまうという課題があった。

0005

第三の方法では、原料を丸ごと活用して風味素材化することから原料の有効利用の点で優れてはいるが、原料由来の好ましくない風味(例えば魚介及び/又はその加工品特有の生臭み、硫黄臭金属臭焦げ臭)も含んでしまい、また、原料の硬い組織由来する食感のざらつきの課題や溶解性の低さの課題があった。

0006

以上のように、かつおやその加工品には旨み成分、風味成分、栄養成分が多く含まれているものの、呈味性を損なうことなく、これら総てを含んだ風味食品素材としてかつおやその加工品を丸ごと活用する課題は解決されていない。

0007

これらに関して、上記の課題に鑑みてなされた技術が従来いくつか提案されている(例えば、特許文献1〜4参照)。

0008

例えば、かつおの生利節や味付けした生利節破片押出処理することで、通常の魚節製法よりも極短時間で、成型された魚節状化食品を製造する技術が知られている(特許文献1)。

0009

また、粉粒状の乾燥蛋白質原材料を、ダイ(開度調整弁)を取り付けない押出機を用いて、原材料に圧力をかけずに極短時間超高温処理することにより、原材料の品質を低下させることなく滅菌する技術、さらにはこの処理物酵素処理することによって食品素材を得る技術が知られている(特許文献2)。

0010

また、生魚や魚節をプロテアーゼ処理した際の生臭さを解決するための手段として、粉末魚節蒸煮液を混合し、酵素処理(プロテアーゼ処理)することで生成するペプチドにより、分解臭や酸化臭などの生臭さを抑制する技術が知られている(特許文献3)。

0011

また、魚節を合計10時間以内で酵素分解処理熱水抽出し、調味料を得る技術、およびさらにこの調味料を固液分離することにより、調味液を得る技術が知られている(特許文献4)。

先行技術

0012

特開平2−97367号公報
WO2007/077954号公報
特開平11−196813号公報
特開2003−116484号公報

発明が解決しようとする課題

0013

ところが、特許文献1の技術では、かつおの生利節や味付けした生利節破片を押出処理することで、通常の魚節の製法よりも極短時間で、成型された魚節状化食品を得られているが、実施例において、味は従来法と変わらず、形、外観は良いことが示されているのに対し、香りは従来法に比べて弱くなっていることが示されており、原料素材を丸ごと有効活用するという課題は解決されているものの、品質の点で劣るものとなってしまっている。

0014

また、特許文献2の技術は、原料に魚介由来タンパク質の記載はないものの、固体蛋白質を、押出機を用いて滅菌する工程において、原材料の品質を低下させることがないことが示されている。その技術の要点として、ダイ(開度調整弁)を取り付けないことで原材料に圧力をかけずに極短時間超高温処理することで、タンパク質の焦げ付きを生じさせないことが示されている。しかしながら、特許文献2に示された原料は、本来味や香りをほとんど有さないものであって、焦げ付きがないことは実施例の着色度の評価結果からも理解できるが、焦げ臭が付いていないという点で品質としての低下がないことを示しているに過ぎない。さらに、これを酵素分解した食品素材は、高いエキス化率分解率)によって、可溶性ペプチド遊離アミノ酸が含まれているものであり、うま味やコク味の強いものであることが示されている。しかしながら、「得られたアミノ酸液」と記載されているように、食塩の有無の違いはあるものの、原料由来の呈味成分の質としては、従来の酸分解法によるアミノ酸液のように、原料由来の風味が失われた、うま味やコク味のみを有する食品素材と変わりはない。従って、特許文献2に記載の方法によらなくても同等の品質を有する食品素材を得ることはできる。以上の点から、特許文献2においては原料素材を丸ごと有効活用するという課題は解決されているものの、本来風味を有する原材料を用いた処理物の品質の確認はなされておらず、原料由来の好ましい風味を残したままで、原料を丸ごと利用した食品素材を得るという課題は解決されていることは確認できない。

0015

特許文献3の技術は、粉末魚節と蒸煮液を混合し、酵素処理(プロテアーゼ処理)することで生成するペプチドにより、原料由来の生臭さをマスキングし、処理物の品質が改善されると言及しているが、生臭さ自体は残っており、かつ、酵素処理では原料全体を液化することはできず、残渣が生じることが示されており、原料素材を丸ごと有効活用するという課題は解決されていない。

0016

特許文献4の技術は、魚節を合計10時間以内で酵素分解(プロテアーゼ)処理と熱水抽出し、調味料を得ると、遊離アミノ酸とペプチド態アミノ酸比率が一定の範囲である、既存の調味料に比べて、香り、風味、呈味バランス及び安定性に優れ、溶解性が優れ、生臭みや苦味の少ない調味料又は調味液が得られることが示されており、風味原料の食品素材化の点で優れた技術である。しかしながら、実施例における粒径によれば、本素材の80%以上が100〜500μmであって、人間の粉末に「ざらつき」を感じる、粉末の粒径、30μmよりかなり大きいサイズであって、食感の点で改善の余地があり、また酵素処理に要する時間が1〜10時間と長く、熱水抽出処理、必要によっては固液分離を要する点などの製造工程の煩雑さと処理時間を要する点に改善の余地が残されていた。

0017

本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、呈味性を損なうことなく、かつおやその加工品を丸ごと活用した、旨み成分、風味成分、栄養成分総てを含んだ風味食品素材を提供することにある。

0018

また、本発明の別の目的は、前記分解処理食品素材を他の飲食品に含有させることで、食味向上効果改善方法を提供することにある。

課題を解決するための手段

0019

上記目的を達成するために、本発明者は、押出成形機、及びその処理条件について鋭意検討を行った結果、本発明を見出すに至った。

0020

すなわち、本発明の分解処理食品素材の製造方法は、かつお及び/又はかつお加工品、それら残渣を押出機で加熱処理する工程と、前記加熱処理されて押し出された吐出物を、酵素添加の下、再度押出機で処理する工程とを含む、ことを特徴とする。

0021

また、本発明の分解処理食品素材の製造方法の好ましい実施態様において、前記加熱処理において、前記押出機のシリンダー温度は、100℃〜350℃であることを特徴とする。

0022

また、本発明の分解処理食品素材の製造方法の好ましい実施態様において、前記酵素は、プロテアーゼ、パパイングルタミナーゼペプチダーゼヌクレアーゼ、5’−デアミナーゼトランスグルタミナーゼリパーゼからなる群から選択される少なくとも1種であり、前記酵素添加の下、再度押出機で処理する工程において、前記押出機のシリンダー温度は、20〜80℃であることを特徴とする。

0023

また、本発明の分解処理食品素材の製造方法の好ましい実施態様において、前記酵素添加の下、再度押出機で処理する工程において、前記押出機に酵素を投入する酵素処理を行い、再度押出機で処理するか、又は前記加熱処理後に押し出された吐出物に、酵素を添加して分散手段を用いて酵素分散処理を行い、酵素添加吐出物を再度押出機で処理することを特徴とする。

0024

また、本発明の分解処理食品素材の製造方法の好ましい実施態様において、前記押出機による処理は、2〜8軸同方向回転押出機を2つ以上用いて処理するものであるか、又は2段以上のシリンダーを有するタンデム型押出機によって連続処理するものであることを特徴とする。

0025

また、本発明の分解処理食品粉末の製造方法は、本発明の分解処理食品素材の製造方法によって得られた分解処理食品素材を、粉砕及び乾燥する工程を含むことを特徴とする。

0026

また、本発明の分解処理食品粉末の製造方法の好ましい実施態様において、前記粉砕を、胴搗き製粉ロール製粉、石臼製粉気流粉砕製粉、ピンミル製粉、ジェットミルから選択される少なくとも1つ以上の方法で行うことを特徴とする。

0027

また、本発明の分解処理食品粉末の製造方法の好ましい実施態様において、前記乾燥を、流動乾燥機真空乾燥機、又は乾燥機能付き気流粉砕機から選択される少なくとも1つ以上の方法で行うことを特徴とする。

0028

また、本発明の分解処理食品粉末の製造方法の好ましい実施態様において、前記粉砕及び乾燥により得られた分解処理食品粉末は、平均粒径100μm以下であることを特徴とする。

0029

また、本発明の飲食品の風味を改善する方法は、本発明の分解処理食品素材の製造方法により得られた分解処理食品素材、及び/又は本発明の分解処理食品粉末の製造方法により得られた分解処理食品粉末を、飲食品へ添加することを特徴とする。

発明の効果

0030

本発明の分解処理食品素材によれば、特定の温度範囲による極短時間の押出処理をすること、または、さらに押出処理物を酵素処理することによって、かつお及び/又はその加工品を高効率で分解し、呈味性を損なわないだけでなく、生臭さや苦味などの不快味が解消され品質が向上し、かつ、かつおやその加工品を丸ごと活用しながら、ざらつきを感じることのない、溶解性の優れた、旨み成分、風味成分、栄養成分全てを含む、原料由来の上品なかつおやその加工品の風味を有する風味食品素材を提供することができるという有利な効果を奏する。また、本発明の飲食品の風味を改善する方法によれば、本発明の分解処理食品素材を他の飲食品に含有させることによって、飲食品の食味向上効果を効果的に改善する方法を提供することができるという有利な効果を奏する。

0031

本発明の分解処理食品素材の製造方法は、かつお及び/又はかつお加工品、それら残渣を押出機で加熱処理する工程と、前記加熱処理されて押し出された吐出物を、酵素添加の下、再度押出機で処理する工程とを含む、ことを特徴とする。本発明においては、出発材料として、かつお及び/又はかつお加工品のほか、従来において、だしを取り出した後のかつお及び/又はかつお加工品の残渣も含まれる。これらの残渣であって、従来処分されていたものであっても、本発明の押出処理によれば、さらに、旨味成分をひきだすことができるからである。まず、本発明においては、かつお及び/又はかつお加工品、それら残渣を押出機で加熱処理する。押出機については、特に限定されない。好ましい実施態様において、前記加熱処理において、前記押出機のシリンダー温度は、焦げつきなどの品質の低下を生じさせず、強固な細胞壁の分解を効率的、効果的に行うという観点から、100℃〜350℃であることが好ましく、150℃〜350℃がより好ましく、200℃〜350℃がさらに好ましく、330℃付近が特に好ましい。

0032

なお、本発明において使用可能な原料のかつおは、特に限定されない。例えば、かつおの例としては、スズキ目サバ科分類される、ホンガツオ、スマ、ソウダガツオ、ハガツオなどの属するカツオ属に含まれる魚類を挙げることができる。また、本発明において使用可能な原料のかつお加工品についても、特に限定されない。かつお加工品の例としては、冷凍かつお、塩蔵かつお、乾燥かつお、焼きがつお、ボイルかつお、鰹節なまり節、なまり(下ろして塩茹でしたもの)や、かつお魚肉フレーク(ツナ)や佃煮などの調味されたものを挙げることができる。また、かつおやかつお加工品の残渣の例としては、かつおだし・かつおエキスの抽出残渣(例えばかつおぶしのだし粕)、鰹加工時の副生物(例えば煮汁及び/又はこれを煮詰めたもの、頭、内臓、ハラモ、尾、皮、腹皮、骨)、かつお加工品の成型残渣(例えばツナの残渣、鰹節成型時の削り粉)を挙げることができる。

0033

前記かつおやかつお加工品、それらの残渣を、単独で使用しても良いし、2種以上を併用しても良い。

0034

なお、本発明における分解処理食品素材とは、そのまま食材に加えたり、加えた後に液体に分散・溶解させたり、調味料等の飲食品に含有させたりして、食材や飲食品に対して、風味やその他の効果を与えて、食材の嗜好性を高めたり、食品に味付けをすることを目的とする食品素材を総称する概念である。

0035

次いで、本発明においては、押出機で加熱処理する工程によって、骨やなどを有する強固な魚類組織、また、それら強固な組織を事前に除いても、その後の乾燥や加熱処理工程を経て、たんぱく質変性したり、水分が著しく減少し硬くなって、分解性が著しく低下した魚類組織を崩壊させて調製した分解処理食品素材の、旨味成分等の、風味向上成分について、さらなる増強を図るという観点から、前記加熱処理されて押し出された吐出物を、酵素添加の下、再度押出機で処理する。なぜなら、押出機で加熱処理する工程によって、強固な魚類組織を崩壊させられた原料は組織が微細に分解されており、酵素作用が顕著に働き易くなっているからである。好ましい実施態様において、前記酵素は、プロテアーゼ、パパイン、グルタミナーゼ、ペプチダーゼ、ヌクレアーゼ、5’−デアミナーゼ、トランスグルタミナーゼ、リパーゼからなる群から選択される少なくとも1種である。また、好ましい態様において、前記酵素添加の下、再度押出機で処理する工程において、添加した酵素の作用が最も効率的に働く至適温度で作用させるという観点から、前記押出機のシリンダー温度は、20〜80℃、より好ましくは、45〜65℃である。前記酵素添加の下、再度押出機で処理する工程の一つの利点は、非常に短時間で反応させることができる点である。すなわち、通常、押出処理を伴わなければ、何十時間、何百時間等を要するが、酵素添加の下、再度押出機で処理することにより、例えば、20秒〜2分で行うことができる。なお、酵素の失活条件としては、80℃〜90℃以上であれば良いが流通速度の観点から確実な処理を行うためには130℃程度がより好ましく、酵素処理反応を行う押出機の出口において前記温度を適宜設定して失活処理すれば良い。

0036

なお、押出機内での、酵素処理の利点について、従来のバッチ式(押出機外での酵素処理)による酵素処理による方法によっても、本発明における押出機で100℃〜350℃の加熱処理する工程によって得られた分解処理食品素材は強固な魚類組織が崩壊されているため、従来の酵素処理に所用する時間が大幅に短縮でき、工程の効率化が可能であり、より高水分下での酵素反応を行うことができ、酵素分散性反応性を高くし、反応時間を長くすることで、呈味成分含量や食味向上効果を著しく高められることが可能であるが、再度押出機で処理する工程のもう一つの利点は、従来のバッチ式では液状あるいはスラリー状の態様で処理されるため、処理産物を分離回収するための工程(例えばフィルタープレス遠心分離による固液分離とその後の乾燥処理等)が必要であり、煩雑な工程を有するのに対し、本押出処理による方法では、処理産物をそのまま回収できるため、分離回収工程の必要がなく工程の大幅な合理化が可能である点である。

0037

また、押出処理における加圧/非加圧については以下の通りである。すなわち、押出処理時の圧力については、加圧/非加圧を問わず処理可能であるが、加圧した場合には処理物が押出機の出口から吐出される際に膨化し、容積が大きくなり、その後の処理に煩雑な操作を要する。一方、非加圧で処理した場合には処理物が処理前とほとんど変わらない容積で吐出されるため、その後の処理に特別な操作を要さず、取扱いが容易でより好ましい。

0038

また、前記加熱処理工程において、加水しながら押出処理することができる。加水量は、押出機内での流動性確保という観点から、前記かつお及び/又はかつお加工品、それら残渣100重量部に対して、水0〜200重量部、好ましくは、水0〜150重量部、より好ましくは、水0〜100重量部である。0〜としているのは、だし殻のようなものは最初から加水する必要が無いためである。

0039

また、前記酵素添加の下、再度押出機での処理工程において、加水しながら押出処理することができる。加水量は、押出機内の流動性及び酵素の均一な分散確保という観点から、前記かつお及び/又はかつお加工品、それら残渣100重量部に対して、水30〜300重量部、好ましくは、水30〜250重量部、より好ましくは、水30〜200重量部である。流動性ならびに酵素の均一な分散確保の観点から多いほうが良いが、かつおの場合は多加水であると流動性がつきすぎるため上記範囲とすることができる。

0040

また、本発明の分解処理食品素材の製造方法の好ましい実施態様において、前記酵素添加の下、再度押出機で処理する工程において、前記押出機に酵素を投入する酵素処理を行い、再度押出機で処理するか、又は前記加熱処理後に押し出された吐出物に、酵素を添加して分散手段を用いて酵素分散処理を行い、酵素添加吐出物を再度押出機で処理することを特徴とする。すなわち、本発明の好ましい態様において、前記酵素添加の下、再度押出機で処理する工程において、前記押出機のシリンダー内へ酵素を直接投入する、連続式の酵素処理を行うことができる。また、本発明において、前記酵素添加の下、再度押出機で処理する工程において、前記加熱処理後の吐出物(加熱処理後に押し出されたかつお及び/又はかつお加工品、それら残渣)に酵素を添加して、ヘンシェルミキサーリボンミキサーロッキングミキサーナウターミキサー等の一般的な乾燥粉粒混合用機械などの分散手段を用いてバッチ式で酵素分散処理を行い、押出機内で分解処理を行うことができる。

0041

また、本発明の分解処理食品素材の製造方法の好ましい実施態様において、前記押出機による処理は、酵素分散性及びその失活温度の厳密な管理という観点から、2〜8軸同方向回転押出機を2つ以上用いて処理するものであるか、又は、これら工程の一元化、作業スピードの向上の為という観点から、2段以上のシリンダーを有するタンデム型押出機によって連続処理するものであることを特徴とする。本発明においては、まず、加熱押出処理を行い、次に酵素添加の下、押出処理をする限り、2〜8軸の押出機や、2段以上のシリンダーを有する押出機を用いることができる。

0042

次に、本発明の分解処理食品粉末の製造方法について説明する。本発明の分解処理食品粉末の製造方法は、本発明の分解処理食品素材の製造方法によって得られた分解処理食品素材を、粉砕及び乾燥する工程を含むことを特徴とする。粉砕方法について特に限定されないが、本発明の分解処理食品粉末の製造方法の好ましい実施態様において、前記粉砕を、胴搗き製粉、ロール製粉、石臼製粉、気流粉砕製粉、ピンミル製粉、又はジェットミルから選択されるいずれか1つ以上の方法により行うことができる。また、乾燥方法についても特に限定されないが、本発明の分解処理食品素材の製造方法の好ましい実施態様において、前記乾燥を、流動乾燥真空乾燥、又は乾燥機能付き気流粉砕機から選択されるいずれか1つ以上の方法で行うことができる。

0043

また、好ましい実施態様において、前記粉砕及び乾燥により得られた分解処理食品粉末は、他の飲食品への添加時の溶解・分散性の向上、および食感のざらつきにより喫食事に違和感を感じさせないという観点から、平均粒径100μm以下である。なお、平均粒径の測定には、方式として、レーザ回折粒度分布測定を用いて、例えば、装置として、SALD-200VER島津製作所製)を用いて測定することができる。

0044

次に、本発明の飲食品の風味を改善する方法について説明すれば、以下の通りである。本発明の飲食品の風味を改善する方法は、上述の本発明のかつお及び/又はかつお加工品等の分解処理食品素材を飲食品へ添加することを特徴とする。かつお及び/又はかつお加工品、それら残渣、分解処理食品素材については、上述の本発明の分解処理食品素材の説明をそのまま参照することができる。このように本発明の分解処理食品素材を、他の飲食品に含有させることによって、飲食品の食味向上効果を効果的に改善することができる。

0045

ここで、本発明の実施例を説明するが、本発明は、下記の実施例に限定して解釈されるものではない。また、本発明の要旨を逸脱することなく、適宜変更することが可能であることは言うまでもない。

0046

試験区1:実施例1〜3>
まず、熱水抽出後のかつお節出汁粕を、2軸押出機で加水なしでシリンダー温度330℃で押出し後、その吐出物に以下の組みあわせで酵素添加を行い、再度同押出機に投入し、酵素反応温度の為シリンダー温度55℃で加水140%にて押出処理を行い、その再吐出物を乾燥、気流粉砕機にて粉砕を行った物の遊離アミノ酸、エキス分比較を行った。参照例1は、比較例1に加熱押出処理のみ行った物である。実施例1は、参照例1に新日本化学(株)製エンド型プロテアーゼスミチームBNPと同社製カルボキシペプチターゼとロイシンアミノペプチターゼを含む、エンドエキソ型バランスプロテアーゼ、スミチームFP-Gを添加し、再押出処理した物である。実施例2は、参照例1に、新日本化学(株)製エンド型プロテアーゼ、スミチームBNPと同社製エキソ型プロテアーゼ、スミチームLP-Gを添加し、再押出処理した物である。実施例3は、参照例1に、新日本化学(株)製エンド型プロテアーゼ、スミチームBNPとパパイン酵素を添加し、再押出処理した物である。その結果を表1に示す。なお、表中、対Cont.%は、対比較例1に対する%表示を示す。

0047

0048

なお、表1中、アミノ酸「遊離苦味*」について、*は、バリンメチオニンイソロイシン、ロイシン、チロシンフェニルアラニンアルギニンの合計を示す。

0049

次に、表1で得られた参照例1、実施例1から3の分解処理食品素材を自社製かつお風味つゆ(2倍)に、添加し、得られた官能試験を表2に示す。

0050

0051

表2で示す通り、未処理品(比較例1)に比較し、酵素処理実施例1〜3は、明らかに、総合評価に勝る結果となった。

0052

<試験区2:参照例2、実施例4〜5>
次に、かつお節粉末を、2軸押出機でシリンダー温度330℃で90%加水して押出した後、押し出された吐出物に以下の組みあわせで酵素添加を行い、再度同押出機に投入し、シリンダー温度を酵素反応の為シリンダー温度55℃で加水55%にて押出処理を行い、再度押し出された吐出物を乾燥、気流粉砕機にて粉砕を行った物の遊離アミノ酸量、エキス分比較を行った。参照例2は、比較例2に加熱押出処理のみ行った物である。実施例4は、参照例2に新日本化学(株)製エンド型プロテアーゼ、スミチームBNPと同社製、カルボキシペプチターゼとロイシンアミノペプチターゼを含む、エンド/エキソ型バランスプロテアーゼ、スミチームFP-Gを添加し、再押出処理した物である。実施例5は、参照例2に新日本化学(株)製エンド型プロテアーゼ、スミチームBNPと同社製エキソ型プロテアーゼ、スミチームLP-Gを添加し、再押出処理した物である。その結果を表3に示す。なお、表中、対Cont.%は、対比較例2に対する%表示を示す。また、表3中、アミノ酸「遊離苦味*」について、*は、バリン、メチオニン、イソロイシン、ロイシン、チロシン、フェニルアラニン、アルギニンの合計を示す。

0053

0054

次に、表3で得られた参照例2、実施例4及び5を自社製かつお風味つゆ(2倍)に添加し、得られた官能試験を表4に示す。

0055

0056

表4で示すとおり、未処理品(比較例2)に比較し、酵素処理実施例4及び実施例5は明らかに、総合評価に勝る結果となった。

0057

<試験区3:参照例3、実施例6>
次に、通常のかつお粗節を粗砕したものを2軸押出機でシリンダー温度330℃で90%加水して押出した後、押し出された吐出物に以下の組みあわせで酵素添加を行い、再度同押出機に投入し、酵素反応の為シリンダー温度55℃で加水55%にて押出を行い、その再吐出物を乾燥、気流粉砕機にて粉砕を行った物のアミノ酸、エキス分比較を行った。参照例3は、比較例3に加熱押出処理のみ行った物である。実施例6は、参照例3に新日本化学(株)製エンド型プロテアーゼ、スミチームBNPと同社製エンド/エキソ型バランスプロテアーゼ、スミチームFP-Gを添加し、再押出処理した物である。結果を表5に示す。なお、表中、対Cont.%は、対比較例3に対する%表示を示す。また、表5中、アミノ酸「遊離苦味*」について、*は、バリン、メチオニン、イソロイシン、ロイシン、チロシン、フェニルアラニン、アルギニンの合計を示す。

0058

0059

次に、表5で得られた参照例3、実施例6を自社製かつお風味つゆ(2倍)に添加し、得られた官能試験を表6に示す。

0060

0061

表6に示すとおり、未処理品(比較例3)に比較し、酵素処理実施例6は明らかに、総合評価に勝る結果となった。

0062

次に、かつお練り節なる微細化したかつおの身を練って成型し、乾燥したものを、2軸押出機でシリンダー温度330℃で90%加水して押出した後、押し出された吐出物に以下の組みあわせで酵素添加を行い、再度同押出機に投入し、酵素反応の為、シリンダー温度55℃で加水55%にて押出処理を行い、その再吐出物を乾燥、気流粉砕機にて粉砕を行った物のアミノ酸、エキス分比較を行った。参照例4は、比較例4に加熱押出処理のみ行った物である。実施例7は、参照例4にエンド型、エキソ型プロテアーゼを添加し、再押出処理した物である。実施例8は、参照例4にエンド型、エキソ型プロテアーゼとペプチターゼを添加し、再押出処理した物である。結果を表7に示す。なお、表中、対Cont.%は、対比較例4に対する%表示を示す。また、表7中、アミノ酸「遊離苦味*」について、*は、バリン、メチオニン、イソロイシン、ロイシン、チロシン、フェニルアラニン、アルギニンの合計を示す。

0063

0064

次に、表7で得られた参照例4、実施例7及び8を自社製かつお風味つゆ(2倍)に添加し、得られた官能試験を表8に示す。

0065

0066

表8で示すとおり、未処理品(比較例4)に比較し、酵素処理実施例7及び実施例8は明らかに、総合評価に勝る結果となった。

実施例

0067

以上から、本発明の分解処理食品素材の製造方法によれば、特定の温度範囲による極短時間の押出処理をすること、または、さらに押出処理物を酵素処理することによって、かつお及び/又はその加工品を高効率で分解し、呈味性を損なわないだけでなく、生臭さや苦味などの不快味が解消され品質が向上し、かつ、かつおやその加工品を丸ごと活用しながら、ざらつきを感じることのない、溶解性の優れた、旨み成分、風味成分、栄養成分総てを含む、原料由来の上品なかつおやその加工品の風味を有する風味食品素材を提供することができることが判明した。また、前記風味食品素材を他の飲食品に含有させることによって、飲食品の食味向上効果を効果的に改善する方法を提供することができることが判明した。また、本風味食品素材を他の飲食品に含有させることによって、食感のざらつきを伴わずに、飲食品の好ましいかつおやその加工品の風味を増強させることができること、うま味や風味のみならず、味伸び後味余韻)やボディ感(味の厚み)の増強を図ることができることを新たに知見した。

0068

近年、食品に含まれる成分を最大限引出し有効利用することが要求されており、食品を丸ごと活用し得る本発明の分解処理食品素材は、広範な分野において応用可能である。

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