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技術 眼鏡レンズ

出願人 伊藤光学工業株式会社
発明者 宮島泰史
出願日 2016年1月26日 (4年5ヶ月経過) 出願番号 2016-012707
公開日 2017年8月3日 (2年11ヶ月経過) 公開番号 2017-134172
状態 特許登録済
技術分野 メガネ
主要キーワード Y座標 本体レンズ 補間面 X座標 縦方向中心線 セミフィニッシュ べき乗関数 基底方向
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (9)

課題

レンズの上部と下部とで異なるプリズム成分が設定され且つレンズの上部と下部との間に明確な境界線が現れない眼鏡レンズを提供する。

解決手段

レンズ内面の面形状に基づいて上部21と下部22とで異なるプリズム成分が設定された眼鏡レンズであって、内面に形成された上部屈折力面11と下部屈折力面12とは、点状の1つの結合部13でのみ接し、結合部13における上部屈折力面11と下部屈折力面12の上下方向の傾きは、同一とされ、上部屈折力面11と下部屈折力面12の間は、上部屈折力面11と下部屈折力面12を滑らかに連結する曲面状の補間面16とされている。

概要

背景

人は、近方視の際、眼前の一点に視線を集中させるため両眼を内側に内転させる。このような機能を「輻輳」という。輻輳の機能が十分でない場合、近方に視線を移動させることが難しくなる。

このような輻輳不全補助するための眼鏡レンズとして、例えば下記特許文献1及び特許文献2等に記載されたものがある。図8はその一例を示したものである。図8に示す眼鏡レンズ100は、本体レンズ102の外面(前面)側の一部(近用領域)に、側(同図における左側)に基底方向があるプリズム成分を有する補助レンズ104が形成されている。
このような眼鏡レンズを装用すれば、近方視の際の視線を補助レンズ104のプリズム効果により無理なく鼻側に屈曲させることができるため、輻輳力が十分でない場合、あるいは斜位や斜視がある場合に有効である。

しかしながら図8に示す眼鏡レンズ100のように、レンズ前面に補助レンズ104を追加した場合、補助レンズ104と本体レンズ102との境界部106で段差が生じ、他人から見られた時の装用者外観が損なわれる問題が生じる。
特に補助レンズ104のプリズム量を大きくした場合には境界部106での段差が大きくなり、また補助レンズ104自体を大きくした場合には境界部106の周長が長くなり、何れの場合も境界部106が目立ってしまい、補助レンズ104によるプリズム効果と見栄え両立が難しい。

概要

レンズの上部と下部とで異なるプリズム成分が設定され且つレンズの上部と下部との間に明確な境界線が現れない眼鏡レンズを提供する。レンズ内面の面形状に基づいて上部21と下部22とで異なるプリズム成分が設定された眼鏡レンズであって、内面に形成された上部屈折力面11と下部屈折力面12とは、点状の1つの結合部13でのみ接し、結合部13における上部屈折力面11と下部屈折力面12の上下方向の傾きは、同一とされ、上部屈折力面11と下部屈折力面12の間は、上部屈折力面11と下部屈折力面12を滑らかに連結する曲面状の補間面16とされている。

目的

本発明は以上のような事情背景とし、レンズの上部と下部とで異なるプリズム成分が設定され且つレンズの上部と下部との間に明確な境界線が現れない眼鏡レンズを提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

内面の面形状に基づいて上部と下部とで異なるプリズム成分が設定された眼鏡レンズであって、前記内面に形成された上部屈折力面と下部屈折力面とは、点状の1つの結合部でのみ接し、前記結合部における前記上部屈折力面と前記下部屈折力面の上下方向の傾きは、同一とされ、前記上部屈折力面と前記下部屈折力面の間は、前記上部屈折力面と前記下部屈折力面を滑らかに連結する曲面状の補間面とされていることを特徴とする眼鏡レンズ。

請求項2

前記上部屈折力面と前記補間面との境界線が、背面視において、前記結合部から左斜め上方に延びる直線状の左側上部境界線と、前記結合部から右斜め上方に延びる直線状の右側上部境界線とから構成され、前記下部屈折力面と前記補間面との境界線が、背面視において、前記結合部から左斜め下方に延びる直線状の左側下部境界線と、前記結合部から右斜め下方に延びる直線状の右側下部境界線とから構成されていることを特徴とする請求項1に記載の眼鏡レンズ。

請求項3

前記内面が、前記上部屈折力面と前記下部屈折力面とで互いに面屈折力が異なる二重焦点面とされていることを特徴とする請求項1,2の何れかに記載の眼鏡レンズ。

請求項4

外面が、上側に遠方物体を見るために使用する遠用領域を、下側に近方の物体を見るために使用する近用領域を、前記遠用領域と前記近用領域との間に連続的に度数が変化する累進領域を備えた累進屈折面とされ、前記結合部が、前後方向において前記累進領域の途中位置と重なるように設けられていることを特徴とする請求項1,2の何れかに記載の眼鏡レンズ。

請求項5

前記内面が、前記上部屈折力面と前記下部屈折力面とで互いに面屈折力が異なる二重焦点面とされていることを特徴とする請求項4に記載の眼鏡レンズ。

技術分野

0001

この発明は、眼鏡レンズに関し、特にレンズの上部と下部とで異なるプリズム成分が設定された眼鏡レンズに関する。

背景技術

0002

人は、近方視の際、眼前の一点に視線を集中させるため両眼を内側に内転させる。このような機能を「輻輳」という。輻輳の機能が十分でない場合、近方に視線を移動させることが難しくなる。

0003

このような輻輳不全補助するための眼鏡レンズとして、例えば下記特許文献1及び特許文献2等に記載されたものがある。図8はその一例を示したものである。図8に示す眼鏡レンズ100は、本体レンズ102の外面(前面)側の一部(近用領域)に、側(同図における左側)に基底方向があるプリズム成分を有する補助レンズ104が形成されている。
このような眼鏡レンズを装用すれば、近方視の際の視線を補助レンズ104のプリズム効果により無理なく鼻側に屈曲させることができるため、輻輳力が十分でない場合、あるいは斜位や斜視がある場合に有効である。

0004

しかしながら図8に示す眼鏡レンズ100のように、レンズ前面に補助レンズ104を追加した場合、補助レンズ104と本体レンズ102との境界部106で段差が生じ、他人から見られた時の装用者外観が損なわれる問題が生じる。
特に補助レンズ104のプリズム量を大きくした場合には境界部106での段差が大きくなり、また補助レンズ104自体を大きくした場合には境界部106の周長が長くなり、何れの場合も境界部106が目立ってしまい、補助レンズ104によるプリズム効果と見栄え両立が難しい。

先行技術

0005

特開平5−303063号公報
特開2011−107298号公報
特許第5442658号公報
特許第4996006号公報

発明が解決しようとする課題

0006

本発明は以上のような事情背景とし、レンズの上部と下部とで異なるプリズム成分が設定され且つレンズの上部と下部との間に明確な境界線が現れない眼鏡レンズを提供することを目的としてなされたものである。

課題を解決するための手段

0007

而して請求項1は、内面の面形状に基づいて上部と下部とで異なるプリズム成分が設定された眼鏡レンズであって、前記内面に形成された上部屈折力面と下部屈折力面とは、点状の1つの結合部でのみ接し、前記結合部における前記上部屈折力面と前記下部屈折力面の上下方向の傾きは、同一とされ、前記上部屈折力面と前記下部屈折力面の間は、前記上部屈折力面と前記下部屈折力面を滑らかに連結する曲面状の補間面とされていることを特徴とする。

0008

請求項2は、請求項1において、前記上部屈折力面と前記補間面との境界線が、背面視において、前記結合部から左斜め上方に延びる直線状の左側上部境界線と、前記結合部から右斜め上方に延びる直線状の右側上部境界線とから構成され、前記下部屈折力面と前記補間面との境界線が、背面視において、前記結合部から左斜め下方に延びる直線状の左側下部境界線と、前記結合部から右斜め下方に延びる直線状の右側下部境界線とから構成されていることを特徴とする。

0009

請求項3は、請求項1,2の何れかにおいて、前記内面が、前記上部屈折力面と前記下部屈折力面とで互いに面屈折力が異なる二重焦点面とされていることを特徴とする。

0010

請求項4は、請求項1,2の何れかにおいて、外面が、上側に遠方物体を見るために使用する遠用領域を、下側に近方の物体を見るために使用する近用領域を、前記遠用領域と前記近用領域との間に連続的に度数が変化する累進領域を備えた累進屈折面とされ、前記結合部が、前後方向において前記累進領域の途中位置と重なるように設けられていることを特徴とする。

0011

請求項5は、請求項4において、前記内面が、前記上部屈折力面と前記下部屈折力面とで互いに面屈折力が異なる二重焦点面とされていることを特徴とする。

0012

以上のように本発明によれば、レンズの上部と下部とで異なるプリズム成分が設定されており、装用者が遠方視のため視線を上部に移動させた際、又は近方視のため視線を下部に移動させた際、それぞれのプリズム効果により視線を目的の方向に矯正することができる。

0013

本発明ではまた、結合部の上方と下方とにそれぞれプリズム成分の異なる領域が設けられており、視線を上下方向に大きく移動させた場合でも、所定のプリズム効果を得ることができる。

0014

また、従来のようにレンズの外面側に補助レンズを形成した場合には、補助レンズとレンズ本体との境界部で段差が生じ、他人から見られた時の装用者の外観が損なわれる問題が生じるが、本発明ではレンズ内面の面形状に基づいてプリズム成分が設定されているためレンズ外面側に境界線は生じない。また、内面の上部屈折力面と下部屈折力面とは、点状の1つの結合部でのみ接し、結合部における上部屈折力面と下部屈折力面の上下方向の傾きは同一とされて、上部屈折力面と下部屈折力面の間は滑らかな補間面とされているので、上部屈折力面と下部屈折力面との間に明確な境界線は現れず、装用者の外観が損なわれることを良好に防止することができる。
また境界線や段差があることにより装用者自身が感じる違和感も、解消又は軽減することができる。

0015

本発明ではまた、上部屈折力面と補間面との境界線を、結合部から左斜め上方に延びる直線状の左側上部境界線と、結合部から右斜め上方に延びる直線状の右側上部境界線で構成し、下部屈折力面と補間面との境界線を、結合部から左斜め下方に延びる直線状の左側下部境界線と、結合部から右斜め下方に延びる直線状の右側下部境界線とで構成しておくことができる(請求項2)。
このようにした場合、結合部を通って左右方向に延びる軸に対する、左側上部境界線、右側上部境界線、左側下部境界線、及び、右側下部境界線の角度によって補間面の大きさが決定される。例えばレンズ下部に大きなプリズム量を設定した場合にはレンズ上部とレンズ下部とで厚みの違いが大きくなるが、設計段階において上記角度を広げて補間面を大きく設定することより、上部屈折力面と下部屈折力面との間に明確な境界線が現れるのを防止することができる。

0016

本発明では、レンズ内面を、上部屈折力面と下部屈折力面とで互いに面屈折力が異なる二重焦点面とすることで、遠用部(上部)と近用部(下部)において、度数とともにプリズム成分が異なる二重焦点レンズを提供することができる(請求項3)。
かかる請求項3においても上部屈折力面と下部屈折力面の間は滑らかな補間面とされているので、遠用部と近用部との間に明確な境界線は現れず、装用者の外観を損ねることを防止することができる。

0017

本発明ではまた、外面を、遠方の物体を見るために使用する遠用領域と、近方の物体を見るために使用する近用領域と、これら遠用領域と近用領域との間で連続的に度数が変化する累進領域とを備えた累進屈折面とし、結合部を、前後方向において累進領域の途中位置と重なるように設けることで、遠用部と近用部において、度数とともにプリズム成分が異なる累進屈折力レンズを提供することができる(請求項4)。

0018

累進屈折力レンズは、二重焦点レンズに対して中間部(累進領域)にて中間距離のものを視認することができることを特徴としたものであるが、累進屈折面の面形状を変化されてレンズの上部又は下部に特定のプリズム成分を付加すると中間部全体にねじれが生じて中間部の明視領域が収差つぶれてしまう。
これに対し請求項4では、レンズ外面を累進屈折面とする一方、レンズ内面の結合部の1点で上部屈折力面又は下部屈折力面をねじることでレンズの上部又は下部のみに特定のプリズム成分を付加することができるため中間部での収差の発生を最小限に抑えることができる。

0019

尚、累進屈折力レンズを構成する際には、外面を累進屈折面とする一方、レンズ内面を、上部屈折力面と下部屈折力面とで互いに面屈折力が異なる二重焦点面とし、全体として予定している加入度の一部を二重焦点面側に設定することができる。(請求項5)。
このようにすることで、累進領域の途中に位置する結合部のポイントで度数変化を大きくすることができる。これにより、従来の累進屈折力レンズに比して少ない眼球運動回旋量で、遠用・近用の切替えが可能となり、疲労が軽減される。
尚、中間部における明視領域を確保するため、外面の累進屈折面における加入度を、内面の二重焦点面における加入度よりも大きくしておくのが望ましい。

発明の効果

0020

以上のような本発明によれば、レンズの上部と下部とで異なるプリズム成分が設定され且つレンズの上部と下部との間に明確な境界線が現れない眼鏡レンズを提供することができる。

図面の簡単な説明

0021

本発明の一実施形態の眼鏡レンズを示した図である。
(A)同実施形態の眼鏡レンズの上部断面図である。(B)同実施形態の眼鏡レンズの下部断面図である。
同実施形態の眼鏡レンズでの補間面生成方法の説明図である。
同実施形態の眼鏡レンズの効果を説明するための図である。
本発明の他の実施形態の眼鏡レンズを示した図である。
同実施形態の眼鏡レンズにおける明視領域を比較例とともに示した図である。
全体加入度を2.00Dとした場合の実施例と従来の累進屈折力レンズである比較例の度数変化を示した図である。
従来の補助レンズ付き眼鏡レンズの一例を示した図である。

実施例

0022

以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の説明においては、当該レンズを用いた眼鏡を装用したときの装用者にとっての前後、左右、上下を、それぞれ、当該レンズにおける前後、左右、上下とする。

0023

図1において眼鏡レンズ10(以下、単にレンズとする場合がある)は、単焦点レンズの下部に、近方視の際の視線の移動を補助するプリズム成分を設定したものである。
レンズ10はレンズ前面が球面形状をなしており、レンズ内面(後面)の上側に上部屈折力面11が、下側に下部屈折力面12が形成されている。

0024

レンズ内面の上部屈折力面11と下部屈折力面12とは、点状の1つの結合部13でのみ接して、結合部13における上部屈折力面11と下部屈折力面12の上下方向の傾きは、同一とされている。
上部屈折力面11と下部屈折力面12との間は、上部屈折力面11と下部屈折力面12とを滑らかに連結する曲面状の補間面16(図1(B)の斜線部分参照)とされている。
補間面16は、非点収差を生じる面であり、以下、レンズ10において、レンズ内面が補間面16である部分を非点収差部26、上部屈折力面11である部分を上部21、下部屈折力面12である部分を下部22とする。

0025

図2(A)はレンズ10の上部21でのレンズ断面形状を、また図2(B)は下部22でのレンズ断面形状を示した図である。
本例ではレンズ10の上部21に特定のプリズム成分を設定せず、レンズ10の下部22のみに鼻側に基底方向があるプリズム成分を設定している。このため、図2(A)で示すように上部21ではレンズ内面の上部屈折力面11が、前後方向を示すZ軸に対して対称に形成される一方、図2(B)で示すようにレンズ10の下部22では下部屈折力面12とレンズ前面との厚みが鼻側(図中左側)で厚く、耳側(図中右側)で薄くなるように、下部屈折力面12全体が前後方向に傾斜している。
このため本例では、上部屈折力面11と下部屈折力面12の面形状を比べると、左右方向の縁部近傍で前後方向の位置が互いに異なっているが、前述のように上部屈折力面11と下部屈折力面12との間は、補間面16により滑らかに連結されているため、上部屈折力面11と下部屈折力面12との間に明確な境界線は生じない。

0026

次にレンズ10の設計方法について説明する。与えられた処方度数等により、上部屈折力面11、下部屈折力面12及び補間面16を決定する手法については、上記特許文献3に詳説されているため、ここでは詳説しないが、まず、装用者の処方度数に基づいて、レンズ外面の屈折力面及びレンズ内面の上部屈折力面11、下部屈折力面12を決定する。

0027

次に図1(B)に示すように、結合部13を幾何学中心OからY軸方向にδだけ下がった位置に定め、結合部13における上部屈折力面11と下部屈折力面12のZ座標値及びY軸方向の傾きを算出し、それぞれの差を求める。そして、それらの差がなくなるように、下部屈折力面12をZ軸方向に移動し、かつ、上部屈折力面11に対して傾ける
加えて本例では、レンズ10の下部22にて近方視の際の視線の移動を補助するプリズム成分が得られるように、レンズ内面の結合部13の1点で下部屈折力面12をねじってレンズ外面との厚みが鼻側で厚く、耳側で薄くなるようにする。
尚、本例では図1で示すようにレンズ10の幾何学中心Oを通って左右方向に延びる軸をX軸、幾何学中心Oを通って上下方向に延びる軸をY軸、幾何学中心Oを通ってX軸及びY軸に直交する軸をZ軸とする。

0028

そして、図1(B)に示すように、背面視において、左側上部境界線14L、右側上部境界線14R(一括して言及するときは、「上部境界線14」と表記する)を、結合部13から、結合部13を通ってX軸に平行な軸Aに対しそれぞれ所定の角度θ1をなして、左斜め上方、右斜め上方に向かって延びる直線とする。また、左側下部境界線15L、右側下部境界線15R(一括して言及するときは、「下部境界線15」と表記する。)を、結合部13から軸Aに対しそれぞれ所定の角度θ2をなして、左斜め下方、右斜め下方に向かって延びる直線とする。尚、ここでは、角度θ1及びθ2を、一括して「内面角度」という。

0029

次に、図3で示すように上部境界線14上の第1の点P1、及び、第1の点P1とX座標が同一でY座標が若干(ここでは1mm)大きい第2の点P0、第1の点P1とX座標が同一の下部境界線15上の第3の点P2、及び、第3の点P2とX座標が同一でY座標が若干(ここでは1mm)小さい第4の点P3について、それぞれのZ座標を算出する。なお、Y座標は上方に向かって大きくなるものとする。そして、これら4点を通る曲線を、N−スプライン補間法により求め、当該曲線の第1の点P1と第3の点P2の間の部分を補間ラインとし、X軸方向の間隔を所定の短い間隔(ここでは、1mm)として、それぞれ補間ラインを生成して、それらの補間ラインを連結した面を、補間面16とした。

0030

次にレンズ10の製造方法について説明する。まず、上モールドと下モールドとで囲まれる空間内に液状の熱硬化性合成樹脂充填し、加熱して固化することにより、レンズ10の前駆体となるセミフィニッシュ品を得る。上モールドの下面は、得たい外面の屈折力面に対応した凹形状とされており、セミフィニッシュ品の段階で、セミフィニッシュ品の上面に、外面の屈折面が形成される。下モールドは、上面が上に凸となる球面形状とされているため、セミフィニッシュ品の下面は凹状の球面状となる。

0031

次に、セミフィニッシュ品の下面を、上記のように設計した上部屈折力面11、下部屈折力面12及び補間面16となるように、切削加工することにより、レンズ10の内面を形成する。この時の切削加工にて形成された内面の面形状に基づいて処方度数とともに所定のプリズム成分がレンズ10の下部22に付与される。

0032

このようにして設計・製造された本実施形態のレンズ10は、レンズ10の下部22にのみ鼻側に基底方向があるプリズム成分が設定されている。このため図4(A)で示すように装用者が遠方視のため視線をレンズ10の上方に移動させた際、レンズ10の上部21と通して視線は通常通り正面前方に向けられ遠方の物体を視認することができる。一方、図4(B)で示すように装用者が近方視のため視線を下方に移動させた際、プリズム成分が設定されたレンズ10の下部22と通して視線の方向が内向きに屈曲するため、無理に両眼を内側に内転させなくても近方の物体を視認することができる。

0033

また本実施形態では、レンズの下部22全面に所定のプリズム成分が、レンズ下縁に至るまで設けられているため、視線を下方向に大きく移動させた場合でも、所定のプリズム効果を得ることができる。

0034

また本実施形態では、レンズ内面の面形状に基づいてプリズム成分が設定されているためレンズ外面側に境界線は生じない。また、レンズ内面の上部屈折力面11と下部屈折力面12とは、点状の1つの結合部13でのみ接し、結合部13における上部屈折力面11と下部屈折力面12の上下方向の傾きは同一とされて、上部屈折力面11と下部屈折力面12の間は滑らかな補間面16とされているので、上部屈折力面11と下部屈折力面12との間に明確な境界線は現れず、装用者の外観を損ねることを良好に防止することができる。

0035

また本実施形態では、上部屈折力面11と補間面16との境界線が、結合部13から左斜め上方に延びる直線状の左側上部境界線14Lと、結合部13から右斜め上方に延びる直線状の右側上部境界線14Rとから構成され、更に下部屈折力面12と補間面16との境界線が、結合部13から左斜め下方に延びる直線状の左側下部境界線15Lと、結合部13から右斜め下方に延びる直線状の右側下部境界線15Rとから構成されており、本実施形態によれば、結合部13を通って左右方向に延びる軸Aに対する、左側上部境界線14L、右側上部境界線14R、左側下部境界線15L、及び、右側下部境界線15Rの傾き(内面角度θ1,θ2)によって補間面16の大きさが決定される。
例えばレンズ10の下部22のみに大きなプリズム量を設定した場合には、レンズの上部21と下部22とで厚みの違いが大きくなるが、設計段階において内面角度θ1,θ2を大きくして補間面16を広く設定することより、上部屈折力面11と下部屈折力面12との間に明確な境界線が現れるのを防止することができる。

0036

尚、本実施形態は単焦点レンズの下部にプリズム成分を設定したものであったが、上部屈折力面11と下部屈折力面12とで互いに面屈折力を異ならせ、レンズの内面を二重焦点面とすれば、遠用部(上部21)と近用部(下部22)において、度数とともにプリズム量が異なる二重焦点レンズを提供することができる。

0037

図5は本発明の他の実施形態の眼鏡レンズを示した図である。
同実施形態に係る眼鏡レンズ30は、累進屈折力レンズの下部に、近方視の際の視線の移動を補助するプリズム成分を設定したものである。
このレンズ30は上側に遠方の物体を見るために使用する遠用部31を、下側に近方の物体を見るために使用する近用部32を、遠用部31と近用部32との間に度数が変化する中間部33を備えた構成とされている。

0038

レンズ30の外面(前面)35は、上側に遠方の物体を見るために使用する遠用領域41を、下側に近方の物体を見るために使用する近用領域42を、遠用領域41と近用領域42との間に連続的に度数が変化する累進領域43を備え、近用領域42を鼻側に内寄せすることにより、中心線の左右で非対称とされた累進屈折面とされている。

0039

具体的には、外面35は、上記特許文献4記載の累進屈折面、すなわち、直交座標系において、Z=F(X,Y)として与えられるZを連続的に結び付けた下記式[数1]で表される面としたとき、n=8〜20(好ましくは、n=11〜15)の範囲から選択されるn次のべき乗関数であって、Xの奇数次項とYの奇数次項とを含むべき乗関数で構成された面とされている。より具体的には、べき乗関数の次数はn=13とされている。

0040

0041

なお、与えられた加入度数等の条件を満たすように、係数Aabを変えながら外面35の式を繰り返し設定することにより、最終的に与えられた条件を満たす係数Aabが決まり、外面35が決まることとなる。

0042

また、レンズ30の内面(後面)36は、図5(B)で示すように上側に上部屈折力面51を、下側に下部屈折力面52が形成されている。この例では上部屈折力面51と下部屈折力面52とで互いに面屈折力が異なっており、レンズの内面36が二重焦点面とされている。
更に本例では、レンズ30の上部(即ち内面36が上部屈折力面51である部分)に特定のプリズム成分を設定せず、レンズ10の下部(即ち内面36が下部屈折力面52である部分)のみに鼻側に基底方向があるプリズム成分を設定している。このため、前述の図2(B)で示した下部屈折力面12と同様に、レンズ前面35との厚みが鼻側で厚く、耳側(図中右側)で薄くなるように、下部屈折力面52全体が前後方向に傾斜している。

0043

図5(B)に示すように、上部屈折力面51と下部屈折力面52とは、点状の1つの結合部53でのみ接し、結合部53における上部屈折力面51と下部屈折力面52の上下方向の傾きは、同一とされ、上部屈折力面51と下部屈折力面52との間は、上部屈折力面51と下部屈折力面52とを滑らかに連結する曲面状の補間面54(図5(B)の斜線部分参照)とされている。

0044

与えられた処方度数等により、上部屈折力面51、下部屈折力面52及び補間面54を決定する手法については、前述の第1の実施形態と同様である。
但し、結合部53が前後方向において外面35の累進領域43の途中位置に重なるように、結合部53は幾何学中心OからY軸方向にδだけ下がった位置に定めておく。例えば幾何学中心Oから下方に12mmの累進帯長が設定されたレンズにおいて、図5(B)のδが7mmとなる位置に結合部53を設けておく。
そして結合部53における上部屈折力面51と下部屈折力面52のZ座標値及びY軸方向の傾きを算出し、それぞれの差を求める。そして、それらの差がなくなるように、下部屈折力面52をZ軸方向に移動し、かつ、上部屈折力面51に対して傾ける。
加えて本例では、レンズ30の下部にて近方視の際の視線の移動を補助するプリズム成分が得られるように、レンズ内面の結合部53の1点で下部屈折力面52をねじってレンズ外面35との厚みが鼻側で厚く、耳側で薄くなるようにする。
そして上部屈折力面51と下部屈折力面52との間は前述の第1の実施形態と同様の手法を用いて補間面54にて連結する。

0045

尚、レンズ30では、外面35の累進屈折面における加入度(以下、「外面加入度」という。)は、内面36の二重焦点面における加入度(以下、「内面加入度」という。)よりも大きくされている。全体として得たい加入度(以下、「全体加入度」という。)から外面加入度を引いたものが、内面加入度となる。内面加入度を抑制した方が、非点収差領域が縮小されて、中間部33の明視領域が拡大されるからである。

0046

さらに、レンズ30では、内面加入度を0.75D以下とした。内面加入度を0.75Dより大きくした場合には、非点収差領域の縮小効果が小さく、中間部33の見え方が不良となる虞が大きくなるからである。1.00Dから4.25Dまで0.25D間隔に設定した全体加入度に対する、外面加入度及び内面加入度の例を、表1に示す。但し、例えば、全体加入度を1.25Dとする場合に、外面加入度を1.00D、内面加入度を0.25Dとしたり、全体加入度を2.00Dとする場合に、外面加入度を1.50D、内面加入度を0.50Dとしたりする等、表1に示すもの以外の加入度設定としてもよい。表1では、外面加入度は内面加入度よりも0.25D以上大きくなっているが、これは、加入度が0.25D刻みで設定されているからである。

0047

0048

またレンズ30を製造する際には、レンズ30の前駆体となるセミフィニッシュ品を得る段階で、セミフィニッシュ品の上面に、外面35の累進屈折面が形成される。尚、上モールドは、累進屈折面の加入度0.75Dから3.50Dまで0.25D間隔に対応する12種類が、ベースカーブの種類毎に用意されている。下モールドは、上面が上に凸となる球面状の1種類とされているため、セミフィニッシュ品の下面は凹状の球面状となる。

0049

次に、セミフィニッシュ品の下面を、上記のように設計した上部屈折力面51、下部屈折力面52及び補間面54からなる二重焦点面となるように、切削加工することにより、レンズ30の内面36を形成する。この時の切削加工にて形成された内面の面形状に基づいて処方度数とともに所定のプリズム成分がレンズ30の下部に付与される。

0050

以上、説明したように、レンズ30は、外面35が累進屈折面とされ、内面36は、上部屈折力面51と下部屈折力面52との間に明確な境界線が現れないいわばシームレスな二重焦点面とされている。したがって、外面35にも内面36にも明確な境界線が現れず、装用者の外観を損ねる虞が低減される。

0051

図6は累進屈折力レンズの下部のみに特定のプリズム成分を付加した場合の明視領域の変化を模式的に示した図である。同図において白地部分は明視領域である。
図6(A)は、累進屈折面が形成された従来の累進屈折力レンズにおける明視領域を示している。この場合において、レンズの面形状を変化させてレンズの下部のみに特定のプリズム成分を付加すると中間部33全体にねじれが生じて図6(C)で示すように中間部33の明視領域が収差でつぶれてしまう。
これに対し本実施形態では、レンズ内面の結合部53の1点で下部屈折力面52をねじることでレンズの下部のみに特定のプリズム成分を付加することができるため図6(B)で示すように中間部33での収差の発生を最小限に抑えることが可能である。

0052

図7は、全体加入度を2.00Dとした場合の実施例と、従来の累進屈折力レンズである比較例のレンズ縦方向中心線での度数変化を示した図である。
この実施例(実線)は累進帯長12mmの累進屈折力レンズで、全体加入度2.00Dに対し累進屈折面における加入度を1.25D、二重焦点面における加入度を0.75Dとしたもので、比較例(破線)は累進屈折面だけで加入度2.00Dとしたものである。
同図で示すようにこの実施例では、累進領域が始まる幾何学中心O近傍において度数変化が緩やかで正面視がしやすい。また幾何学中心Oから7mm下方の結合部53の位置に相当するポイントの下方では、加入度が比較例よりも大きくなっている。すなわち、近用部32が上方に拡大されている。従って、実施例では比較例に比して少ない眼球運動・回旋量で、遠用・近用の切替えが可能である。

0053

尚、上記実施形態は、近方視の際の移動を補助する目的でレンズの下部にのみ鼻側に基底方向があるプリズム成分を設定した例であったが、これとは逆に遠方を見る際、眼球が外側(耳側)に戻り難い、即ち開散力が弱い場合には遠方視の際の移動を補助する目的で、レンズの上部にのみ耳側に基底方向があるプリズム成分を設定することも可能である。
また乱視度数が処方された場合は、レンズの内面に乱視度数成分を付加することが可能である等、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲において様々変更を加えた形態で実施可能である。

0054

10,30眼鏡レンズ
11,51 上部屈折力面
12,52 下部屈折力面
13,53 結合部
14L,14R 上部境界線
15L,15R 下部境界線
16,54補間面
21 上部
22 下部
35 外面
36内面
41 遠用領域
42近用領域
43 累進領域

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