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課題
解決手段
概要
背景
車両の自動変速機には、変速機構を制御するためのコントロールバルブが設けられている。このコントロールバルブは、制御用バルブ装置とも呼ばれ、電磁弁装置を使用して変速機構に対して所定の大きさの油圧を供給・停止することにより、変速機構を制御する。
従来技術においては、自動変速機の制御バルブ装置のハウジング(バルブボディと呼ばれる。)には、油路と連通した複数のポートと、これらポートの開度、開閉を制御するスプール弁と、このスプール弁が挿入配置されるスプール弁用の弁穴が設けられている。この弁穴の中には、スプール弁を初期位置側に付勢する。また、コイルばねが配置されている。スプール弁は、いずれかのポートに供給された油圧よってコイルばねと反対方向から押圧され、弁穴内を移動することで、各ポートの開度或いは開閉を行う。
このコイルばねは、弁穴の入り口側または奥側の壁面と弁穴内部のスプール弁の端部との間に圧縮した状態で組み込まれる。これにより、コイルばねの弾力が弁穴の壁面からスプール弁に伝達され、前記ポートに加わる油圧が解除された場合に、スプール弁はコイルばねの圧力で初期位置に復帰する。
このようなコイルばねによってスプール弁を移動させるタイプの制御バルブ装置としては、たとえば、特許文献1から3に記載のものが知られている。
概要
スプール弁及び弁穴に対するスプリングの同軸性が維持され、組み付け作業性及び動作の安定性を向上させた制御用バルブ装置を提供する。弁穴3は、軸方向一端において、コイルばね7の軸方向一端と対向する第1のばね受け部を有する。スプール弁2は、軸方向一端においてコイルばね7の軸方向他端と対向する第2のばね受け部を有する。第1のばね受け部は、コイルばね7の外径よりも大きく、コイルばね7の軸方向一端側が位置する凹所と、凹所の軸方向他端側に位置し、軸方向一端側の内径よりも軸方向他端側の内径が大きい傾斜面部11とを有する。
目的
本発明は、スプール弁及び弁穴に対するスプリングの同軸性が維持され、組み付け作業性及び動作の安定性を向上させた制御用バルブ装置を提供する
効果
実績
- 技術文献被引用数
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請求項1
バルブボディと、前記バルブボディ内に挿入され、中心軸を有する円柱状スプール弁と、前記バルブボディ内に収容され、前記スプール弁を軸方向に付勢するコイルばねと、を備え、前記バルブボディは、内面が円筒状の弁穴と、前記弁穴と前記バルブボディの外部とに連通する複数のポートとを有し、前記弁穴は、軸方向一端において、前記コイルばねの軸方向一端と対向する第1のばね受け部を有し、前記スプール弁は、前記弁穴内に軸方向に往復動可能に挿入され、前記スプール弁は、軸方向一端において前記コイルばねの軸方向他端と対向する第2のばね受け部を有し、前記第1のばね受け部は、前記コイルばねの外径よりも大きく、前記コイルばねの軸方向一端側が位置する凹所と、前記凹所の軸方向他端側に位置し、軸方向一端側の内径よりも軸方向他端側の内径が大きい傾斜面部とを有する、制御用バルブ装置。
請求項2
前記第2のばね受け部が、前記スプール弁の軸方向一端の端面において、前記スプール弁の軸方向に窪んだ円形の凹所であり、この円形の凹所内に前記コイルばねの軸方向他端が収納され、前記第1のばね受け部に設けられた凹所が円形であり、前記第1のばね受け部に設けられた円形の凹所の中心と、前記第2のばね受け部に設けられた円形の凹所の中心と、前記スプール弁の中心軸が一致している請求項1に記載の制御用バルブ装置。
請求項3
前記傾斜面部における傾斜方向と、前記スプール弁の軸方向とが成す角度が45°より小さい請求項1または請求項2に記載の制御用バルブ装置。
請求項4
前記傾斜面部におけるスプール弁側の周縁部の少なくとも一部は、前記弁穴に設けられた前記ポートに臨んでいる請求項1から請求項3のいずれかに記載の制御用バルブ装置。
技術分野
背景技術
0002
車両の自動変速機には、変速機構を制御するためのコントロールバルブが設けられている。このコントロールバルブは、制御用バルブ装置とも呼ばれ、電磁弁装置を使用して変速機構に対して所定の大きさの油圧を供給・停止することにより、変速機構を制御する。
0003
従来技術においては、自動変速機の制御バルブ装置のハウジング(バルブボディと呼ばれる。)には、油路と連通した複数のポートと、これらポートの開度、開閉を制御するスプール弁と、このスプール弁が挿入配置されるスプール弁用の弁穴が設けられている。この弁穴の中には、スプール弁を初期位置側に付勢する。また、コイルばねが配置されている。スプール弁は、いずれかのポートに供給された油圧よってコイルばねと反対方向から押圧され、弁穴内を移動することで、各ポートの開度或いは開閉を行う。
0004
このコイルばねは、弁穴の入り口側または奥側の壁面と弁穴内部のスプール弁の端部との間に圧縮した状態で組み込まれる。これにより、コイルばねの弾力が弁穴の壁面からスプール弁に伝達され、前記ポートに加わる油圧が解除された場合に、スプール弁はコイルばねの圧力で初期位置に復帰する。
0005
このようなコイルばねによってスプール弁を移動させるタイプの制御バルブ装置としては、たとえば、特許文献1から3に記載のものが知られている。
先行技術
0006
特開2010−516980号公報
特開2013−124738号公報
特開2013−528274号公報
発明が解決しようとする課題
0007
従来技術では、この種の制御バルブ装置において、弁穴内にコイルばねを組み込む際に、コイルばねの中心軸とスプール弁の中心軸とがずれる問題があった。特に、コイルばねの先端側中心がスプールの中心軸からずれて、コイルばねが正しい位置に収まらず、軸ずれの状態で、コイルばねがバルブボディにセットされてしまうことが生じていた。コイルばねの中心軸がスプール弁の中心軸からずれた場合、スプール弁の先端がコイルばねを噛み込んだり、中心軸からのずれに伴いスプール弁が弁穴の内壁やポートの縁に当たってしまい、スプール弁のスムーズな動きが阻害されてしまう不都合があった。
課題を解決するための手段
0010
本発明の制御用バルブ装置は、次のような構成を有することを特徴とする。
(1)バルブボディ。
(2)前記バルブボディ内に挿入され、中心軸を有する円柱状スプール弁。
(3)前記バルブボディ内に収容され、前記スプール弁を軸方向に付勢するコイルばね。
(4)前記バルブボディは、内面が円筒状の弁穴と、前記弁穴と前記バルブボディの外部とに連通する複数のポートとを有する。
(5)前記弁穴は、軸方向一端において、前記コイルばねの軸方向一端と対向する第1のばね受け部を有する。
(6)前記スプール弁は、前記弁穴内に、軸方向に往復動可能に挿入される。
(7)前記スプール弁は、軸方向一端において前記コイルばねの軸方向他端と対向する第2のばね受け部を有する。
(8)前記第1のばね受け部は、前記コイルばねの外径よりも大きく、前記コイルばねの軸方向一端側が位置する凹所と、前記凹所の軸方向他端側に位置し、軸方向一端側の内径よりも軸方向他端側の内径が大きい傾斜面部とを有する。
0011
本発明において、以下の構成とすると良い。
(1)前記第2のばね受け部が、前記スプール弁の軸方向一端の端面において、前記スプール弁の軸方向に窪んだ円形の凹所であり、この円形の凹所内に前記コイルばねの軸方向他端が収納され、前記第1のばね受け部に設けられた凹所が円形であり、前記第1のばね受け部に設けられた円形の凹所の中心と、前記第2のばね受け部に設けられた円形の凹所の中心と、前記スプール弁の中心軸が一致している。
(2)前記傾斜面部における傾斜方向と、前記スプール弁の軸方向とが成す角度が45°より小さい。
(3)前記傾斜面部におけるスプール弁側の周縁部の少なくとも一部は、前記弁穴に設けられた前記ポートに臨んでいる。
発明の効果
0012
本発明によれば、コイルばね及びスプール弁の組み付け作業時に、コイルばねが軸方向他端側の内径が広がった傾斜面部に案内されて、傾斜部奥の凹所に収まることで、コイルばねと弁穴及びスプール弁との正確な軸合わせを簡単に行うことができる。また、組み付け後は、コイルばねの端部が凹所に嵌まり込んで保持されることから、スプール弁の可動や制御バルブ装置全体の振動などでスプリングが不用意に移動することがなく、同軸性が確保されるため、コイルばねが弁穴内面などに当たってスプール弁のスムーズな動きが阻害されてしまう不都合がない。
図面の簡単な説明
0013
第1実施形態の縦断面図。
第1実施形態におけるばね受け部の拡大断面図。
第1実施形態のばね受け部において、ばねがばね受け部の中心に位置決めされる作用を説明する拡大断面図。
第2実施形態の縦断面図。
0014
[1.第1実施形態]
[1.1 構成]
以下、本発明の第1実施形態について、図面を参照して説明する。本実施形態において軸とは、スプール弁2の長手方向に沿った中心軸をいい、単に周方向あるいは軸方向と言った場合は、中心軸の周方向あるいは中心軸の軸方向を示す。また、各部材における軸方向一端とはスプール弁2の軸方向の一端側の端部(図中右側の端部)を、軸方向他端とはスプール弁2の軸方向の他端側の端部(図中左側の端部)という。
0015
本実施形態の制御バルブ装置は、全体としてブロック状をなし、その内部に複数の油路(図示せず)が蟻の巣状に穿孔されたバルブボディを有する。このバルブボディ1内には、中心軸を有する円柱状スプール弁2が設けられている。すなわち、バルブボディの内部に図中水平方向に伸びる円筒形の弁穴3が設けられ、この弁穴3内にスプール弁2が往復動可能に挿入されている。
0016
弁穴3とバルブボディ1に設けられた油路との間には、弁穴3と油路とを連通する複数のポート4が設けられている。一方、スプール弁2の外面には、弁の全周囲にわたってループ状に複数の溝5が形成されている。各ポート4がこれらの溝5に向き合った場合にはポート4が開放され、各ポート4がスプール弁2の周面の溝5のない部分に向き合った場合には、ポート4が閉鎖される。
0017
弁穴3は、軸方向一端が閉鎖されてコイルばね7の軸方向一端が当接する壁面8が設けられ、軸方向他端側が開口してスプール弁2及びコイルばね7の挿入部9が設けられている。弁穴3の壁面8には、軸方向一端において、コイルばね7の軸方向一端と対向する第1のばね受け部を有する。第1のばね受け部は、コイルばね7の外径よりも大きく、コイルばね7の軸方向一端側が位置する円形の凹所12と、凹所12の軸方向他端側に位置し、軸方向一端側の内径よりも軸方向他端側の内径が大きいすり鉢状に広がった傾斜面部11とを有する。
0018
スプール弁2の軸方向一端には、コイルばね7の軸方向他端と対向する第2のばね受け部を有する。第2のばね受け部は、スプール弁2の軸方向一端の端面において、スプール弁2の軸方向に窪んだ円形の凹所13であり、この円形の凹所13内にコイルばね7の軸方向他端が収納される。第1のばね受け部に設けられた円形の凹所12の中心と、第2のばね受け部に設けられた円形の凹所13の中心と、スプール弁2の中心軸が一致している。
0019
傾斜面部11における傾斜方向と、スプール弁2の軸方向とが成す角度、言い換えれば、傾斜面部11におけるスプール軸方向となす最大傾斜線との角度が30°になっている。傾斜面部11におけるスプール弁2側の周縁部の少なくとも一部は、弁穴3に設けられたポート4の1つ、具体的には、壁部が隣接するポート4部分の凹んだ油路14に臨んでいる。
0020
スプール弁2の軸方向他端部の外周には、スプール弁2の外径が細くなった細径部15が設けられ、この細径部15にスリーブ16がはめ込まれている。スリーブ16の外径は、スプール弁2の外径よりも大きく、それに対応して、弁穴3におけるスプール弁2をはめ込んだ部分の内径も弁穴3の他の部分、すなわち、スプール弁2をはめ込む部分よりも大きい。そのため、弁穴3の内周面におけるスリーブ16の軸方向一端に対応する位置には、スリーブ16の端面と係合する段差部17が設けられ、この段差部17によってスリーブ16の軸方向一端側への移動が阻止される。
0021
スプール弁2の軸方向他端とスリーブ16の軸方向他端は面位置になっており、挿入穴のスプール弁2の軸方向他端の外側に嵌め込まれた栓18によって塞がれている。栓18には抜け止め板19が差し込まれ、この抜け止め板19によって栓18の軸方向の移動が阻止される。
0022
[1.2 作用]
上記のような構成を有する第1実施形態の作用は、以下のとおりである。
スプール弁2をバルブボディ1の弁穴3に組み付けるには、まず、スプール弁2の軸方向他端の細径部15にスリーブ16を差し込み、次いで、軸方向一端の凹所13にコイルばね7の軸方向他端を嵌め込む。
0023
この状態で、コイルばね7を先にして、コイルばね7の先端が弁穴3の奥の壁面8に達するまで、スプール弁2を挿入部9から弁穴3内に差し込む。コイルばね7の先端が壁面8に達すると、コイルばね7の先端が第1のばね受け部に設けられた傾斜面部11に当たる。図3に示すように、傾斜面部11はコイルばね7側が広がったすり鉢状をしているので、スプール弁2を弁穴3に押し込むに連れて、コイルばね7の先端は傾斜面部11に案内され、傾斜面部11の底に位置する小径の凹所12に向かって移動し、その内部にはめ込まれる。
0024
この際、コイルばね7の中心軸C2が凹所12の中心C1からずれていても、傾斜面部11の入り口側、すなわち軸方向他端側の径はコイルばね7の外径よりも大きいため、コイルばね7は傾斜面に沿って案内されながら凹所12に移動するので、最終的には凹所12内に確実に位置決めされ、コイルばね7の中心軸C2と、凹所12の中心C1及びスプール弁2の中心軸が一致する。
0025
スプール弁2の軸方向他端が挿入部9の内に入り込んだ後は、スプール弁2の後から挿入部9内に栓18を差し込む。スプール弁2が弁穴3の奥にまで達した状態、すなわち、スリーブ16の軸方向一端が弁穴3の段差部17に当接した状態で、栓18に抜け止め板19を取り付け、スプール弁2が弁穴3から抜け出ないようにする。
0026
[1.3 効果]
本実施形態によれば、次のような効果が発揮される。
0027
(1)組み付け作業時に、コイルばね7がすり鉢状の傾斜面部11に案内されて、傾斜面部11の奥の円筒内面の凹所12に収まるので、コイルばね7の中心軸をスプール弁2の中心軸と一致させることができる。その結果、コイルばね7の組み付け不良により、コイルばね7が弁穴3の内面やポート4の縁に接触したり、引っ掛かることがなく、スプール弁2のスムーズな動きが確保される。
0028
(2)傾斜面部11によってコイルばね7の先端を案内するので、コイルばね7をはめ込む凹所12の内径をコイルばね7の外径がぴったりと収まるような小径のものとすることができ、凹所12内面とコイルばね7と外周との隙間を小さくすることができる。そのため、コイルばね7の位置決めが正確に行うことが可能になる。また、凹所12とコイルばね7の隙間が小さいため、両者の嵌め合いも確実になり、稼働時におけるスプール弁2の移動動作や制御バルブ装置全体の振動などでコイルばね7に力が加わっても、コイルばね7の中心軸が中心から外れることがない。
0029
(3)部品輸送時など、何らかの衝撃などでコイルばね7が伸縮し、凹所12から外れたとしても、傾斜面部11で案内され、元の凹所12に戻ることができ、コイルばね7はスプール弁2の中心軸に調芯される。
0030
(4)すり鉢状の傾斜面部11の角度が30°と小さいので、コイルばね7が傾斜面部11に引っかかることがなく、円滑に凹所12に案内されるので、組み付け作業も容易である。この場合、傾斜面部11の角度が45°よりも大きいと、コイルばね7の端部が傾斜面部11に引っかかることもあり、好ましくない。
0031
(5)スプール弁2の軸方向一端に凹所13を設けて、コイルばね7の軸方向他端をはめ込むようにしたので、凹所13に装着したコイルばね7がスプール弁2の端部からはずれることがなく、組み付け作業が簡単である。
0033
[2.第2実施形態]
第2実施形態を図4に従って説明する。本実施形態は、スプール弁2の軸方向一端に設ける第2のばね受け部の構成を変えたものであり、他の部分の構成は、第1実施形態と同様である。
0034
本実施形態では、スプール弁2の軸方向一端にコイルばね7の内径よりも細い突出部20が設けられ、この突出部20がコイルばね7の内側に挿入されることで、コイルばね7の軸方向他端を保持する第2のばね受け部となっている。このような構成の第2のばね受け部を有する本実施の形態においても、第1実施形態と同様な作用効果が期待できる。また、第2のばね受け部を凹所13とする第1実施形態に比較して、穴明け加工が不要となるのでスプール弁2の切削加工が容易になる利点もある。
0035
[3.他の実施形態]
本発明は、以上の実施形態に限定されるものではない。以上の実施形態は例として提示したものであって、その他の様々な形態で実施されることが可能である。発明の範囲を逸脱しない範囲で、種々の省略や置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲、要旨、その均等の範囲に含まれる。以下、その一例を示す。
0036
(1)凹所12の形状は円形に限るものではなく、コイルばね7の中心軸への位置決めが可能であれば、四角形など他の形状でもよい。
0037
(2)図示の実施形態では第1のばね受け部を弁穴3の壁面8としたが、栓18のスプール弁2側の壁面8に設けることもできる。この場合、コイルばね7はスプール弁2と栓18との間に圧縮して組み付けられ、スプール弁2をセントは反対方向に付勢する。
0038
(3)傾斜面部11における傾斜方向とスプール弁2の軸方向とが成す角度が45°より大きいものも、請求項1に包含される。
0039
(4)コンタミの混入を考慮しない場合は、傾斜面部11におけるスプール弁2側の周縁部を弁穴3に設けられたポート4に臨ませる必要はない。
0040
1…バルブボディ、2…スプール弁、3…弁穴、4…ポート、5…溝、7…コイルばね、8…壁面、9…挿入部、11…傾斜面部、12…凹所、13…凹所、14…油路、15…細径部、16…スリーブ、17…段差部、18…栓、19…抜け止め板、20…突出部。