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技術 建築物の耐震補強構造

出願人 株式会社善設計
発明者 橋本芳文川島剛
出願日 2016年1月29日 (5年3ヶ月経過) 出願番号 2016-015926
公開日 2017年8月3日 (3年9ヶ月経過) 公開番号 2017-133301
状態 特許登録済
技術分野 既存建築物への作業
主要キーワード 質量点 既存構造 分力成分 慣性の法則 主要構造部 一定規模 減衰効率 抵抗機構
関連する未来課題
重要な関連分野

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課題

ブレースと特殊構成の座屈止を用いて、上層階に生ずる地震力を、直接下層階に伝達する機構を採用し、途中通過階に生ずる地震力がブレースに加算されることを回避すると同時に、ブレースの補強効果が直接的に途中通過階に及ぶことを回避する。

解決手段

耐震補強構造に、次の手段を採用する。上層階の地震水平力を受ける上部接合構造体2を設ける。上層階から途中通過階を設定した下層階に下部接合構造体3を設ける。上部接合構造体2と下部接合構造体3とを左右のブレース4で連結する。途中通過階と左右のブレース4との交点に、ブレース4が材軸方向及び回転方向摺動可能な座屈止5を設置し、ブレース4を装着する。ブレース4が、上部接合構造体2より受けた地震水平力を、途中通過階に伝達することなく、且つ、ブレース4が途中通過階に生じる地震水平力を受けることなく、地震水平力による圧縮及び引張の力を下部接合構造体3に直接伝達する。

概要

背景

建築物における我が国の耐震工学をはじめとする地震時の水平外力に対する抵抗機構設計全般の基礎前提事項として、「地震力」の考え方がある。地震力は慣性の法則に基づく建物自重等に由来するもので、物理的な質量点は「建築物の各階床面に集中しているもの」と考えられ、建築物の任意階に生ずる地震力は建築基準法より任意当該階より上の階の建物重量の総和が直接関係し、一般にはこれに地震動に関する周期及び建物固有振動周期、及び建築物の高さ方向毎の質量差等が関与し求められる。

即ち「地震力」は建築物が存在する地盤上に一定規模の地震動が生じた際、各階毎に生ずると考えられる原理・原則を有している。また、地震力は建築物の主要構造部に変形を生じさせ、構造耐力上主要な部分に損傷を生じさせ、時として建築物を崩壊、または倒壊させうる外力を建築物に与えうる。

前述の地震力が生じた際、建築物の構造耐力上、主要な部分には建築物を損傷させうるだけの外力が加わる。これらの外力に対し建築物が一定の許容性能を保持しつつ、耐抗しうるよう建築物に施され、供えられ、または補強された建築構造部分について、建築物における耐震補強構造と捉える事ができると考えられる。

耐震補強構造については様々な形式があるが、直接的に建物の耐震性の向上に結び付く部位として、柱と横架材曲げ抵抗モーメントにより耐抗する形式(いわゆるラーメン構造)、柱及び横架材(はり、けたその他これらに類するものをいう)には軸方向に生ずる力の処理のみを期待し、柱及び横架材の対角上の接合部にかけて配置されたブレース斜材筋かい方づえ火打ち材その他これらに類するものをいう)と同義)、又は壁の軸力負担により耐抗する形式(いわゆるブレース構造壁構造)に大別されると考えられる。

前者の例として鉄筋コンクリート造鉄骨造における柱及び横架材の接合部を剛接合(接合部が変形せず、横架材の曲げ強度をそのまま柱に伝達できるもの)としたラーメン構造が、後者の例として木造建築物の筋かいや、鉄骨構造におけるブレース構造、鉄筋コンクリート造ラーメン構造建築物に後に補強部材として取り付けられる枠付き鉄骨ブレース補強、鉄筋コンクリート造の壁構造等があげられる。

前記したように地震力は各階毎に生ずると考えられる原理に基づき、これら従来型の耐震補強構造は各階毎に所要な耐震性を満たす為、特許文献1に示されるように各階毎に配置することが原則とされている。

従来型の耐震補強構造の殆どが各階(層)毎、また建築物の地震力伝達機構上、柱及び横架材で囲われる1区画(1スパン)毎に配置されることを前提として存在しており、配置した補強構造は基本的には当該階のみに補強効果を発揮すると考えられている。その為、各階毎に当該階の地震力に対し、相応な分量の耐震補強構造を配置する必要が生じてくる。

そうした場合、対象建物の用途や使用特性などに応じては建築物の計画上、物理的に所要量を配置することが難しい場合や、上層に配置した補強構造の自重がそのまま上層の重量に加算されることにより、補強構造の特性によっては下層階の地震力が不合理的に著しく増加するなどの支障を生じる場合がある。

また、建築物の用途や使用特性などに応じては、各階、1スパン毎の耐震補強構造の配置自体が採光眺望など建物機能面での性能低下を招いたり、使用建築材料の増加や施工期間延伸等、非効率的、非生産的な結果につながる可能性もある。

概要

ブレースと特殊構成の座屈止を用いて、上層階に生ずる地震力を、直接下層階に伝達する機構を採用し、途中通過階に生ずる地震力がブレースに加算されることを回避すると同時に、ブレースの補強効果が直接的に途中通過階に及ぶことを回避する。耐震補強構造に、次の手段を採用する。上層階の地震水平力を受ける上部接合構造体2を設ける。上層階から途中通過階を設定した下層階に下部接合構造体3を設ける。上部接合構造体2と下部接合構造体3とを左右のブレース4で連結する。途中通過階と左右のブレース4との交点に、ブレース4が材軸方向及び回転方向摺動可能な座屈止5を設置し、ブレース4を装着する。ブレース4が、上部接合構造体2より受けた地震水平力を、途中通過階に伝達することなく、且つ、ブレース4が途中通過階に生じる地震水平力を受けることなく、地震水平力による圧縮及び引張の力を下部接合構造体3に直接伝達する。

目的

本発明により地震時に上層階に生ずると考えられる地震力を、伝受可能な下層階に直接伝達させる機構とすることにより、上層階から下層階への地震力(慣性の法則に基づく建物の自重等)類加を断絶し、途中通過階には直接的にブレース等の耐震補強構造を配置せずとも、耐震補強構造が負担した上層階からの一部地震力の類加が断絶され、直接下層階に伝達されることより、直接耐震補強構造を配置した階のみならず、当該途中通過階全てに該耐震補強構造の補強効果を普及したことと同義となる相対的な耐震性能の向上(地震力の軽減)が生ずる状況を創生することである

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

多層及び多スパン建築物において、耐震補強の必要な上層階に、該上層階に生じる地震水平力を受ける上部接合構造体を設け、前記耐震補強の必要な上層階から途中通過階を設定した下層階に、前記上部接合構造体が受けた地震水平力を伝受可能な下部接合構造体を設け、前記上部接合構造体と前記下部接合構造体とを、前記上部接合構造体が受けた地震水平力を受け前記下部接合構造体へ伝達する左右のブレースで連結し、前記途中通過階と前記左右のブレースとの交点に、該ブレースが材軸方向及び回転方向摺動可能な構造の座屈止を設置し、該座屈止に前記ブレースを装着し、該ブレースが、前記上部接合構造体より受けた地震水平力を途中通過階に伝達することなく、且つ、該ブレースが途中通過階に生じる地震水平力を受けることなく、前記上部接合構造体より受けた地震水平力による圧縮及び引張の力を前記下部接合構造体に直接伝達することを特徴とする建築物の耐震補強構造

請求項2

上記上部接合構造体が、上記耐震補強が必要な上層階の床版ベルに設置された上部水平接合構造体で構成され、上記下部接合構造体が、上記左右のブレースの下端接合点にて接続される下部水平接合構造体と鉛直接合構造体とで構成され、前記上部接合構造体と前記下部接合構造体とが、前記左右のブレース及び建築物の構造躯体と接続されたことを特徴とする請求項1に記載の建築物の耐震補強構造。

請求項3

上記座屈止が、内径から外径に至る貫通孔が等間隔に多数穿設されている座屈止リングを有するものであって、該貫通孔に、ネジ部の先端にベアリングボールを嵌め込んだクランピングスクリューが、該ベアリングボールを内側に向けて該ベアリングボールを上記ブレースの外周に点接触するよう螺着されたことを特徴とする請求項1又は2に記載の建築物の耐震補強構造。

請求項4

上記座屈止を上記途中通過階と上記左右のブレースとの交点の建築物の構造体に設置し、該座屈止に前記ブレースを装着することにより、前記左右のブレースが圧縮力を受けた際の座屈防止力を、前記建築物の構造体が元来保持する構造強度及び剛性により得ることを特徴とする請求項1又は2又は3に記載の建築物の耐震補強構造。

技術分野

0001

この発明は、木質構造鉄筋コンクリート構造鉄骨鉄筋コンクリート構造鉄骨構造等の既存する建築物についてブレース構造を用いて補強する建築物の耐震補強構造に関するものであり、既存の鉄筋コンクリート造高層住宅の耐震補強構造の設計を通じて開発を行ったものである。

背景技術

0002

建築物における我が国の耐震工学をはじめとする地震時の水平外力に対する抵抗機構設計全般の基礎前提事項として、「地震力」の考え方がある。地震力は慣性の法則に基づく建物自重等に由来するもので、物理的な質量点は「建築物の各階床面に集中しているもの」と考えられ、建築物の任意階に生ずる地震力は建築基準法より任意当該階より上の階の建物重量の総和が直接関係し、一般にはこれに地震動に関する周期及び建物固有振動周期、及び建築物の高さ方向毎の質量差等が関与し求められる。

0003

即ち「地震力」は建築物が存在する地盤上に一定規模の地震動が生じた際、各階毎に生ずると考えられる原理・原則を有している。また、地震力は建築物の主要構造部に変形を生じさせ、構造耐力上主要な部分に損傷を生じさせ、時として建築物を崩壊、または倒壊させうる外力を建築物に与えうる。

0004

前述の地震力が生じた際、建築物の構造耐力上、主要な部分には建築物を損傷させうるだけの外力が加わる。これらの外力に対し建築物が一定の許容性能を保持しつつ、耐抗しうるよう建築物に施され、供えられ、または補強された建築構造部分について、建築物における耐震補強構造と捉える事ができると考えられる。

0005

耐震補強構造については様々な形式があるが、直接的に建物の耐震性の向上に結び付く部位として、柱と横架材曲げ抵抗モーメントにより耐抗する形式(いわゆるラーメン構造)、柱及び横架材(はり、けたその他これらに類するものをいう)には軸方向に生ずる力の処理のみを期待し、柱及び横架材の対角上の接合部にかけて配置されたブレース斜材筋かい方づえ火打ち材その他これらに類するものをいう)と同義)、又は壁の軸力負担により耐抗する形式(いわゆるブレース構造や壁構造)に大別されると考えられる。

0006

前者の例として鉄筋コンクリート造や鉄骨造における柱及び横架材の接合部を剛接合(接合部が変形せず、横架材の曲げ強度をそのまま柱に伝達できるもの)としたラーメン構造が、後者の例として木造建築物の筋かいや、鉄骨構造におけるブレース構造、鉄筋コンクリート造ラーメン構造建築物に後に補強部材として取り付けられる枠付き鉄骨ブレース補強、鉄筋コンクリート造の壁構造等があげられる。

0007

前記したように地震力は各階毎に生ずると考えられる原理に基づき、これら従来型の耐震補強構造は各階毎に所要な耐震性を満たす為、特許文献1に示されるように各階毎に配置することが原則とされている。

0008

従来型の耐震補強構造の殆どが各階(層)毎、また建築物の地震力伝達機構上、柱及び横架材で囲われる1区画(1スパン)毎に配置されることを前提として存在しており、配置した補強構造は基本的には当該階のみに補強効果を発揮すると考えられている。その為、各階毎に当該階の地震力に対し、相応な分量の耐震補強構造を配置する必要が生じてくる。

0009

そうした場合、対象建物の用途や使用特性などに応じては建築物の計画上、物理的に所要量を配置することが難しい場合や、上層に配置した補強構造の自重がそのまま上層の重量に加算されることにより、補強構造の特性によっては下層階の地震力が不合理的に著しく増加するなどの支障を生じる場合がある。

0010

また、建築物の用途や使用特性などに応じては、各階、1スパン毎の耐震補強構造の配置自体が採光眺望など建物機能面での性能低下を招いたり、使用建築材料の増加や施工期間延伸等、非効率的、非生産的な結果につながる可能性もある。

先行技術

0011

特開2013−181334号公開特許公報

発明が解決しようとする課題

0012

本発明は次の課題を解決しようとするものである。
第1の課題は、地震力の原理・原則に基づく従来の建築物の耐震補強構造の考え方における補強単位の既成概念からの脱却。即ち、本発明により地震時に上層階に生ずると考えられる地震力を、伝受可能な下層階に直接伝達させる機構とすることにより、上層階から下層階への地震力(慣性の法則に基づく建物の自重等)類加を断絶し、途中通過階には直接的にブレース等の耐震補強構造を配置せずとも、耐震補強構造が負担した上層階からの一部地震力の類加が断絶され、直接下層階に伝達されることより、直接耐震補強構造を配置した階のみならず、当該途中通過階全てに該耐震補強構造の補強効果を普及したことと同義となる相対的な耐震性能の向上(地震力の軽減)が生ずる状況を創生することである。

0013

第2の課題は、特殊な座屈止のディティールを用いて、当該耐震補強ブレースに途中通過階に生ずる地震力が加算されること、また、当該ブレースの補強効果が直接的に途中通過階に影響を及ぼし、地震力の伝達機構が第1の課題の解決条件を満たさなくなることを回避することである。

0014

第3の課題は、より少ない建築材料を用いて、当該耐震補強構造が適用される建築物の建築的な計画や特性に沿って、力学的に合理的な耐震補強部材の配置を行うことにより、採光や眺望など建物機能面等での性能向上や施工期間の短縮等を可能とし、従来の建築物の耐震補強構造と比較し、相対的に優れた耐震補強効果や建築的性能を得ることである。

課題を解決するための手段

0015

上記課題を解決するために、第1の発明は、建築物の耐震補強構造に、次の手段を採用した。
第1に、多層及び多スパン建築物に適用する。
第2に、耐震補強の必要な上層階に、該上層階に生じる地震水平力を受ける上部接合構造体を設ける。
第3に、前記耐震補強の必要な上層階から途中通過階を設定した下層階に、前記上部接合構造体が受けた地震水平力を伝受可能な下部接合構造体を設ける。
第4に、前記上部接合構造体と前記下部接合構造体とを、前記上部接合構造体が受けた地震水平力を受け、前記下部接合構造体へ伝達する左右のブレースで連結する。
第5に、前記途中通過階と前記左右のブレースとの交点に、該ブレースが材軸方向及び回転方向摺動可能な構造の座屈止を設置し、該座屈止に前記ブレースを装着する。
第6に、該ブレースが、前記上部接合構造体より受けた地震水平力を途中通過階に伝達することなく、且つ、該ブレースが途中通過階に生じる地震水平力を受けることなく、前記上部接合構造体より受けた地震水平力による圧縮及び引張の力を前記下部接合構造体に直接伝達する。

0016

第2の発明は、第1の発明に次の手段を付加した建築物の耐震補強構造である。
第1に、上記上部接合構造体が、上記耐震補強が必要な上層階の床版ベルに設置された上部水平接合構造体で構成される。
第2に、上記下部接合構造体が、上記左右のブレースの下端接合点にて接続される下部水平接合構造体と鉛直接合構造体とで構成される。
第3に、前記上部接合構造体と前記下部接合構造体とが、前記左右のブレース及び建築物の構造躯体と接続される。

0017

第3の発明は、第1又は第2の発明に次の手段を付加した建築物の耐震補強構造である。
第1に、上記座屈止が、内径から外径に至る貫通孔が等間隔に多数穿設されている座屈止リングを有するものである。
第2に、該貫通孔に、ネジ部の先端にベアリングボールを嵌め込んだクランピングスクリューが、該ベアリングボールを内側に向けて該ベアリングボールを上記ブレースの外周に点接触するよう螺着される。

0018

第4の発明は、第1又は第2又は第3の発明における座屈止を上記途中通過階と上記左右のブレースとの交点の建築物の構造体に設置し、該座屈止に前記ブレースを装着することにより、前記左右のブレースが圧縮力を受けた際の座屈防止力を、前記建築物の構造体が元来保持する構造強度及び剛性により得ることを付加した建築物の耐震補強構造である。

発明の効果

0019

第1の発明は、耐震補強の必要な上層階に該上層階に生じる地震水平力を受ける上部接合構造体を設け、前記耐震補強の必要な上層階から途中通過階を設定した下層階に、前記上部接合構造体が受けた地震水平力を伝受可能な下部接合構造体を設け、前記上部接合構造体と前記下部接合構造体とを、前記上部接合構造体が受けた地震水平力を受け、前記下部接合構造体へ伝達する左右のブレースで連結し、前記途中通過階と前記左右のブレースとの交点に、該ブレースが材軸方向及び回転方向に摺動可能な構造の座屈止を設置し、該座屈止にブレースを装着している。
このことにより、該ブレースが上部接合構造体より受けた地震水平力を途中通過階に伝達することなく、且つ、該ブレースが途中通過階に生じる地震水平力を受けることなく、前記上部接合構造体より受けた地震水平力による圧縮及び引張の力を前記下部接合構造体に直接伝達することができることになり、直接耐震補強構造を配置した階のみならず、途中通過階には直接的にブレース等の耐震補強構造を配置せずとも、当該途中通過階全てに該耐震補強構造の補強効果を普及したことと同義となる相対的な耐震性能の向上(地震力の軽減)が生ずる状況を創生することができる耐震補強構造となった。

0020

第2の発明の効果として次の2点が上げられる。
第1点は、上部接合構造体が、耐震補強が必要な上層階の床版レベルに設置された上部水平接合構造体で構成されるため、耐震補強が必要な上層階に生ずる地震水平力を適格にブレースに圧縮及び引張の軸力として伝達できたことである。
第2点は、下部接合構造体が、左右のブレースの下端部接合点にて接続される下部水平接合構造体と鉛直接合構造体とで構成されるため、ブレースによりブレースへかかる軸力として伝達された地震水平力を、水平および鉛直の分力として水平力は下部水平接合構造体を通じ、鉛直力は鉛直接合構造体を通じ、より確実に建築物構造躯体に伝達されるものとなった。

0021

第3の発明の効果ではあるが、座屈止が、内径から外径に至る貫通孔が等間隔に多数穿設されている座屈止リングを有するものであって、該貫通孔に、ネジ部の先端にベアリングボールを嵌め込んだクランピングスクリューが、該ベアリングボールを内側に向けて該ベアリングボールをブレースの外周に点接触するよう螺着されたこととすることにより、ブレースが圧縮側の力を受けた際の座屈現象を防止できるとともに、ブレースが材軸方向及び回転方向に摺動可能な構造の座屈止とすることができた。

0022

その結果、ブレースが、上部接合構造体より受けた地震水平力を、途中通過階に伝達することなく、且つ、該ブレースが途中通過階に生じる地震水平力を受けることなく、下部接合構造体に直接伝達することが可能になった。

0023

座屈止を途中通過階と左右のブレースとの交点の建築物の構造体に設置したことにより、座屈防止力を、建築物の構造体が元来保持する建築物の構造強度及び剛性を活用し、取得することが可能となった。

図面の簡単な説明

0024

一実施例を示す既存鉄筋コンクリート造高層住宅の耐震補強構造を示す正面説明図
座屈止へブレースを装着した状態を示す説明図で、(A)は、ブレースと直角に、座屈止を側面側から観察した説明図で、(B)は、同状態をブレース軸方向から観察したときの説明図であり、(C)は、同状態のC−C線断面説明図である。
座屈止リングの斜視説明図
座屈止リングの内部の状態を示す断面説明図

実施例

0025

以下、図面に従って、本発明を実施するための形態について説明する。図1は、既存の鉄筋コンクリート造7階建て高層住宅の耐震補強構造を示す正面説明図である。

0026

図1の実施例において、符号1は既存ビルである。既存ビル1は、鉄筋コンクリート造7階建ての高層住宅であるが、本発明の耐震補強構造が適用される建築物は、このような高層住宅と言われる建築物だけに限定されず、且つ、新築及び既存建築物も含むものである。本発明は、広い意味での多層、多スパンの建築物に応用可能な耐震補強構造である。

0027

本実施例における既存ビル1の耐震補強構造は、上層階に生ずる地震水平力を受け、逆V型のブレース4に力を伝達する上部水平接合構造体2と、直接的な耐震補強部材であり、圧縮及び引張軸力に有効な逆V型のブレース4、逆V型のブレース4に伝達された地震力を、既存構造躯体耐震壁に伝達する下部水平接合構造体3、及び逆V型のブレース4に伝達された地震力の分力である鉛直力を既存構造躯体に伝える鉛直接合構造体30で構成されたトラス機構からなる。

0028

上部水平接合構造体2及び下部水平接合構造体3、鉛直接合構造体30及び逆V型のブレース4は、何れも鉄骨造及び鉄筋コンクリート造、その他建築基準法で定められた建築材料で作られる。尚、本実施例では、逆V型のブレース4及び既存躯体への接合部分は鉄骨造となっている。

0029

上部水平接合構造体2は、地震時に実施例での既存ビル1における6階部分が受ける(正確には7階床面に生じる)水平力(重量)を、逆V型のブレース4に伝達することを目的として既存ビル1の7階床面の躯体に設置される水平に配置された接合構造体である。7階床面が請求項における耐震補強が必要な上層階の床版レベルとなる。

0030

図1において、X1からX6は既存ビル1の通り心であり、上部水平接合構造体2は、既存ビル1の左から2番目のX2通りから5番目の通りであるX5通りにかけ、既存ビル1の構造体である7階バルコニー床面に接続している鉄骨造の構造体である。このバルコニー床面自体も強度を増す為の補強が施されており、このバルコニー床面は建物全体の7階床面と接続している為、逆V型のブレース4に、7階床面に生じる水平力を、逆V型のブレース4に生ずる圧縮及び引張の軸力として伝達することが可能である。

0031

下部水平接合構造体3は、上部水平接合構造体2から逆V型のブレース4に伝達された圧縮及び引張の軸力の分力成分である水平力を既存ビル1の構造躯体に伝達する目的で設置される接合構造体である。具体的には上部水平接合構造体2と同様に、X2通りからX5通りにかけ、補強を施した既存ビル1の構造体である2階バルコニー床面に接続している鉄骨造の構造体である。本実施例では、逆V型のブレース4の下端部接合点にて、鉛直接合構造体30及び逆V型のブレース4と接続した鉄骨造として作られている。

0032

鉛直接合構造体30は、上部水平接合構造体2から逆V型のブレース4に伝達された圧縮及び引張の軸力の分力成分である鉛直力を既存ビル1の構造躯体に伝達する目的で設置される接合構造体である。具体的には建物1階より、4階部分床面まで、鉄筋コンクリート増厚し補強を施した既存ビル1の構造体であるバルコニー上の袖壁部分に接続している鉄骨造の構造体である。本実施例では、逆V型のブレース4の下端部固定接合位置にて、下部水平接合構造体3及び逆V型のブレース4と接続した鉄骨造として作られている。

0033

実施例における既存ビル1の耐震補強構造は、逆V型に配置されたブレース4を用いる耐震補強構造であり、図中符号40が右ブレースであり、符号41が左ブレースである。両ブレース40,41は、地震時に生ずる圧縮力及び引張力に対応可能な鉄骨部材である。後に説明する座屈止5との関係上、断面円形円筒形のものとされている。尚、ブレースの配置形状は任意であるが、本実施例では鉛直接合構造体30の補強関連箇所が少なくて済み、かつ両ブレースにバランス良く力が伝達できる逆V型の配置を選択している。

0034

尚、実施例でのブレース4は一般的な建築材料を用いて作られているが、耐震補強構造の用途のみならず、ブレース材制振要素(地震時の水平力を減衰させたり増幅を防いだりすることで建物の振動を低減することができるもの)を付加したものを適用することで、振動エネルギー減衰効率に優れた制振構造として適応することも可能である。

0035

従来のブレース補強構造は、単純なトラス構造を実現する目的等で通常、建築物の各階、各スパン毎を一つの単位として設置されるが、本実施例での逆V型のブレース4は、既存ビル1の7階及び2階バルコニー床面及び1階から4階部分の床面までの袖壁の先端部分に接する状態で、7階床面から2階床面までを一つの架構単位として捉え、X2からX5通りに跨がり、逆V字型に設置されている。

0036

本実施例では、逆V型のブレース4は、7階建ての高層住宅に取り付けられたものなので、7階床面から2階床面に跨がって設置されているが、一般的には多層多スパンの建築物の上層階の任意位置から、下層階の任意位置に跨って配置されるものである。

0037

設置状態を詳しく説明すると、逆V型のブレース4は、既存ビル1のX2通りの2階床面を左ブレース41の下端部固定接合位置とし、X5通りの2階床面を右ブレース40の下端部固定接合位置とし、7階床面のX3からX4間の上部水平接合構造体2の中央部を左右のブレース40,41の上端部固定接合位置として接続板21を介して逆V字に左右に設置され、左右のブレース40,41で逆V型のブレース4を形成するものである。

0038

尚、左右のブレース40,41の下端部固定接合位置は、接続板21を介して下部水平接合構造体3並びに鉛直接合構造体30と接続しており、当該部分で水平および鉛直の分力への力のやり取りを行い、下部接合構造体(下部水平接合構造体3及び鉛直接合構造体30)を通じて耐震構造体である既存構造躯体に力を伝達している。尚、本実施例においては、既存構造躯体の柱及び既存構造躯体耐震壁にそれぞれ鉛直力、水平力を伝えることで、最終的に既存構造躯体の基礎を利用し力を伝達する計画となっているが、新たに基礎を設け自立架構とすることも可能である。

0039

図中符号5は座屈止である。座屈止5の第1の目的は、左右のブレース40,41が圧縮側の力を受けた際に生ずる横方向の変形(いわゆる座屈現象)を防止(拘束)し、圧縮側に有効なブレースとすることであるが、本実施例での座屈止5は、左右のブレース40,41が、上部水平接合構造体2より受け取った地震水平力を、下部水平接合構造体3の存在する2階以外の途中通過階(3階,4階,5階,6階)に伝達することなく、且つ、左右のブレース40,41が途中通過階に生じる地震水平力を受けることなく、負担した地震水平力による圧縮及び引張の力を下部接合構造体(下部水平接合構造体3及び鉛直接合構造体30)を通じて耐震構造体である既存構造躯体の柱及び既存構造躯体耐震壁に直接伝達するという第2の目的を有する。

0040

座屈止5は、第1の目的である左右のブレース40,41が圧縮側の力を受けた際の座屈現象を防止するため、材直角方向への変形を拘束するように左右のブレース40,41に接して設置されると共に、第2の目的達成のため、左右のブレース40,41が材軸方向及び回転方向に摺動可能なるよう設置されなければならない。

0041

座屈止5は、図2に示されるように、座屈止リング50とクランピングスクリュー51と座屈止リング固定部材52、座屈止リング補強部材53、及び座屈止接合板54とよりなる。

0042

座屈止リング50は、実施例では板厚38mm、外径≒410φ、内径≒330φのリング状の鋼板である。内部には、内径から外径に至る貫通孔(ネジ孔)が等間隔に多数穿設されている。実施例では32個の貫通孔が穿設されている。ここでいう多数穿設された貫通孔の数32個は、左右のブレース40,41の太さにより決定されたものであり、この数に限定されるものではない。理想的には、貫通孔に埋め込まれるクランピングスクリュー51先端のベアリングボールの連続が、左右のブレース40,41の外周面線接触に近づく数になるのが良いが、左右のブレース40,41への座屈防止を発揮できる程度の数でも良い。

0043

クランピングスクリュー51は、ネジ部の先端にベアリングボールを嵌め込んだものであって、座屈止リング50の各貫通孔に、先端のボールを内側に向けて螺着している。尚、本実施例においては、このクランピングスクリュー51の先端に嵌め込まれたベアリングボールを左右のブレース40,41の外周と点接触させるように周囲に配置することにより、左右のブレース40,41の材直交方向への座屈現象を防止している。

0044

詳しくは、座屈止5は、設置される途中通過階床面と左右のブレース40,41の交点に、クランピングスクリュー51を用いて軸方向のみに変形を許容する座屈止に有効な斜めローラー支点を設ける。このことにより、左右のブレース40,41を圧縮側、引張側双方に有効、即ち摺動自在として、上部水平接合構造体2より受け取った地震水平力を、下部水平接合構造体3の存在する2階以外の途中通過階(3階,4階,5階,6階)に伝達することなく、且つ、左右のブレース40,41が途中通過階に生じる地震水平力を受けることなく、下部接合構造体(下部水平接合構造体3及び鉛直接合構造体30)を通じて、負担した地震水平力を耐震構造体である既存構造躯体の柱及び既存構造躯体耐震壁に直接伝達させる機構としている。

0045

尚、本実施例においてはクランピングスクリュー51を用いた座屈止めを用いることによって当該機構を成立させているが、座屈止の目的及び座屈止の機能における第1の目的及び第2の目的を達成することができれば、別の部材を用いて当該機構を成立させることも可能である。

0046

座屈止5は堅固に建物の構造躯体に固定されていなくてはならない。具体的には本実施例においては、図2に詳細が示されるように、座屈止5を固定するための部材は、座屈止リング50、座屈止リング固定部材52、座屈止リング補強部材53と座屈止5設置場所に設置するための座屈止接合板54とで構成される。

0047

座屈止5は、左右のブレース40,41を貫通させた状態で、左右のブレース40,41に力が加わった際にも左右のブレース40,41が破壊されることがないよう、座屈止5を固定するための部材を用いて途中通過階(3階,4階,5階,6階)のバルコニー床版部分に固定している。即ち、座屈止5は、途中通過階と左右のブレース40,41との交点の建築物の構造体であるバルコニー床版部分に設置され、該座屈止5に左右のブレース40,41を装着することにより、左右のブレース40,41が圧縮力を受けた際の座屈防止力を、バルコニー床版部分が元来保持する床版面内方向(ブレースの座屈変形が生じうるブレース材軸直交方向)の構造強度、及び剛性を活用し、取得するのである。

0048

既存ビル1に地震が発生した際の耐震補強構造への力の作用機構としては、先ず、7階床面に生じた地震水平力は、7階床面を通じて上部水平接合構造体2に伝達される。上部水平接合構造体2に伝達された地震水平力は、接続板21を介し、上部水平接合構造体2と連結されている左右のブレース40,41に圧縮及び引張の軸力として伝達される。左右のブレース40,41には、途中通過階(3階,4階,5階,6階)床の左右のブレース40,41の通過位置にて、本発明の特徴の一つである座屈止5が装着されているので、左右のブレース40,41は、7階床面に生じた地震水平力を途中通過階に伝達することなく、且つ、途中通過階に生じる地震水平力を受けることもなく、下部接合構造体(下部水平接合構造体3及び鉛直接合構造体30)を通じて耐震構造体である既存構造躯体の柱及び既存構造躯体耐震壁にそれぞれ鉛直力、水平力を伝えることで、最終的に既存構造躯体の基礎を利用し、反力を得ることで補強の効果を得る計画となっている。尚、前述の通り、新たに基礎を設け自立架構とすることも可能である。

0049

1・・・・・・既存ビル
2・・・・・・上部水平接合構造体
3・・・・・・下部水平接合構造体
4・・・・・・ブレース
5・・・・・・座屈止
21・・・・・接続板
30・・・・・鉛直接合構造体
40・・・・・右ブレース(※説明に左右が必要の場合)
41・・・・・左ブレース
50・・・・・座屈止リング
51・・・・・クランピングスクリュー
52・・・・・座屈止リング固定部材
53・・・・・座屈止リング補強部材
54・・・・・座屈止接合板
X1,X2,X3,X4,X5,X6・・・既存ビルの通り心

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