図面 (/)
※この項目の情報は公開日時点(2017年8月3日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります
図面 (0)
図面はありません
解決課題
解決手段
窒素吸着比表面積(N2SA)が80m2/g〜160m2/g、DBP吸油量が100ml/100g〜170ml/100g、24M4DBP吸収量が80ml/100g〜140ml/100g、前記DBP吸油量が前記24M4DBP吸収量よりも大きく、DBP吸油量−24M4DBP吸収量で表わされる差が10ml/100g〜40ml/100g、着色力(Tint)が100〜145、アグリゲートのモード径をDst、当該アグリゲートのモード径の半値幅をΔDstとした場合、ΔDst/Dstで表わされる比が0.5〜0.8であるカーボンブラックの親水化処理物からなることを特徴とするインクジェットプリンター用黒色顔料である。
概要
背景
近年、水性インキはその安全性と環境負荷が少ないことから幅広い分野で有機溶剤系インキに取って代わり普及している。特にビジネス用途などではオフィスにおいて各種印刷に使用されるインクとして臭いのない水性色材が必要不可欠であり、産業用途でも作業環境、インキや塗料の取り扱いの安全性、廃液処理の問題から有機溶剤の使用をできる限り少なくする傾向が強まっている。また、水性着色材は、有機溶剤型着色材に比べ、製造時に防爆設備、排気設備、有機溶剤回収装置などの特別な装置が要らず製造コストが安価であることも普及の要因となっている。
水性着色材としては主に染料と顔料の二つが用途に応じて使い分けられており、染料は階調性に優れ高解像度の画像形成がしやすい反面、耐光性が低く実用上問題がある。これに対して、顔料は、耐水性、耐光性が極めて優れていることから、現在では、顔料インクが数多く提供されるようになっている。
印刷製版を経て印刷されるグラビアインキ、オフセット印刷用の水性リキッドインクも開発されているが、水性インクを用いるオフィス向けの記録方法として最も普及し始めているものはインクジェット記録方法である。
インクジェット記録方法は、微細なノズルヘッドからインク液滴を吐出して、文字や画像を紙などの記録媒体の表面に記録する方法であり、非接触で記録することにより、普通紙をはじめ多種多様な記録媒体にフルカラーで印刷版をおこすことなくオンデマンドで容易に印刷可能であることから広く普及し始めている。
インクジェット記録方法を採用したインクジェットプリンターは、微細なノズルヘッドからインク液滴を吐出して、文字や画像を紙などの記録媒体の表面に記録する方法であり、代表的な記録方式としてバブルジェット(登録商標)方式とピエゾ方式とがある。前者はノズルヘッドまで導いたインクをヒーターで瞬間的に加熱して泡を発生させ、その泡による体積膨張でインク液を断続的に吐出する記録方式であり、後者は電歪素子(圧電素子)を用いて電気信号を機械信号に変換し、ノズルヘッド部分に貯えたインク液滴を断続的に吐出する記録方式であり、このような記録方法に対応した種々の顔料が提案されるようになっている(例えば、特許文献1(特開2001−81355号公報)参照)。
概要
水性媒体中で優れた分散性および保存安定性を発揮するとともに、一回のみの印字で電子写真と同等以上の優れた黒色度を発揮するインクジェットプリンター用黒色顔料を提供する。窒素吸着比表面積(N2SA)が80m2/g〜160m2/g、DBP吸油量が100ml/100g〜170ml/100g、24M4DBP吸収量が80ml/100g〜140ml/100g、前記DBP吸油量が前記24M4DBP吸収量よりも大きく、DBP吸油量−24M4DBP吸収量で表わされる差が10ml/100g〜40ml/100g、着色力(Tint)が100〜145、アグリゲートのモード径をDst、当該アグリゲートのモード径の半値幅をΔDstとした場合、ΔDst/Dstで表わされる比が0.5〜0.8であるカーボンブラックの親水化処理物からなることを特徴とするインクジェットプリンター用黒色顔料である。なし
目的
本発明は、水性媒体中で優れた分散性および保存安定性を発揮するとともに、インクジェットインクに用いたときに一回のみの印字で電子写真と同等以上の優れた黒色度を発揮するインクジェットプリンター用黒色顔料およびインクジェットプリンター用黒色顔料水性分散体を提供する
効果
実績
- 技術文献被引用数
- 0件
- 牽制数
- 0件
この技術が所属する分野
(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成
請求項1
窒素吸着比表面積(N2SA)が80m2/g〜160m2/g、DBP吸油量が100ml/100g〜170ml/100g、24M4DBP吸収量が80ml/100g〜140ml/100g、前記DBP吸油量が前記24M4DBP吸収量よりも大きく、DBP吸油量−24M4DBP吸収量で表わされる差が10ml/100g〜40ml/100g、着色力(Tint)が100〜145、アグリゲートのモード径をDst、当該アグリゲートのモード径の半値幅をΔDstとした場合、ΔDst/Dstで表わされる比が0.5〜0.8であるカーボンブラックの親水化処理物からなることを特徴とするインクジェットプリンター用黒色顔料。
請求項2
水分散液の状態でレーザー光を照射し、散乱光の周波数変調度合から得られるアグロメレート粒径の累積度数分布曲線において、累積度数50%の値を平均粒径Dupa50%、累積度数90%の値をDupa90%としたときに、前記カーボンブラックのアグロメレートの平均粒径Dupa50%が130nm〜160nm、前記カーボンブラックのアグロメレートのDupa90%が210nm〜280nmである請求項1記載のインクジェットプリンター用黒色顔料。
請求項3
請求項4
請求項1〜請求項3のいずれかに記載のインクジェットプリンター用黒色顔料を含むことを特徴とするインクジェットプリンター用黒色顔料水性分散体。
技術分野
0001
本発明は、インクジェットプリンター用黒色顔料およびインクジェットプリンター用黒色顔料水性分散体に関する。
背景技術
0002
近年、水性インキはその安全性と環境負荷が少ないことから幅広い分野で有機溶剤系インキに取って代わり普及している。特にビジネス用途などではオフィスにおいて各種印刷に使用されるインクとして臭いのない水性色材が必要不可欠であり、産業用途でも作業環境、インキや塗料の取り扱いの安全性、廃液処理の問題から有機溶剤の使用をできる限り少なくする傾向が強まっている。また、水性着色材は、有機溶剤型着色材に比べ、製造時に防爆設備、排気設備、有機溶剤回収装置などの特別な装置が要らず製造コストが安価であることも普及の要因となっている。
0003
水性着色材としては主に染料と顔料の二つが用途に応じて使い分けられており、染料は階調性に優れ高解像度の画像形成がしやすい反面、耐光性が低く実用上問題がある。これに対して、顔料は、耐水性、耐光性が極めて優れていることから、現在では、顔料インクが数多く提供されるようになっている。
0004
印刷製版を経て印刷されるグラビアインキ、オフセット印刷用の水性リキッドインクも開発されているが、水性インクを用いるオフィス向けの記録方法として最も普及し始めているものはインクジェット記録方法である。
0005
インクジェット記録方法は、微細なノズルヘッドからインク液滴を吐出して、文字や画像を紙などの記録媒体の表面に記録する方法であり、非接触で記録することにより、普通紙をはじめ多種多様な記録媒体にフルカラーで印刷版をおこすことなくオンデマンドで容易に印刷可能であることから広く普及し始めている。
0006
インクジェット記録方法を採用したインクジェットプリンターは、微細なノズルヘッドからインク液滴を吐出して、文字や画像を紙などの記録媒体の表面に記録する方法であり、代表的な記録方式としてバブルジェット(登録商標)方式とピエゾ方式とがある。前者はノズルヘッドまで導いたインクをヒーターで瞬間的に加熱して泡を発生させ、その泡による体積膨張でインク液を断続的に吐出する記録方式であり、後者は電歪素子(圧電素子)を用いて電気信号を機械信号に変換し、ノズルヘッド部分に貯えたインク液滴を断続的に吐出する記録方式であり、このような記録方法に対応した種々の顔料が提案されるようになっている(例えば、特許文献1(特開2001−81355号公報)参照)。
先行技術
0007
特開2001−81355号公報
発明が解決しようとする課題
0008
このようなインクジェットプリンターインクとして、カーボンブラックの水性分散体が使用されるようになっているが、従来より、インクジェットプリンター用カーボンブラック水性分散体としては、インクジェットプリンターヘッドの影響により特許文献1に記載されているような小粒径のカーボンブラックを水に分散させたものしか使用することができなかった。このような小粒径のカーボンブラックを含む水性分散体を用いた場合、電子写真と同等以上の黒色度を発現するには、複数回数印字(印刷)する必要があった。
0009
しかしながら、最近のインクジェットプリンターは、高速印字の際には、従来のシリアルプリンターの様に複数回数印字するのではなく、一回のみの印字(ワンパス印字)で従来と同様の印字濃度、特に電子写真と同等以上の黒色度を発現する必要があるが、本発明者が検討したところ、従来のインクジェットプリンター用黒色顔料水性分散体において、一回のみの印字で上記黒色度を発揮することは困難であることが判明した。
0010
従って、本発明は、水性媒体中で優れた分散性および保存安定性を発揮するとともに、インクジェットインクに用いたときに一回のみの印字で電子写真と同等以上の優れた黒色度を発揮するインクジェットプリンター用黒色顔料およびインクジェットプリンター用黒色顔料水性分散体を提供することを目的とするものである。
課題を解決するための手段
0011
上記技術課題を解決するため、本発明者等が鋭意検討したところ、窒素吸着比表面積(N2SA)、DBP吸油量、24M4DBP吸収量、DBP吸油量−24M4DBP吸収量、着色力(Tint)およびΔDst/Dstで表される比が特定範囲にあるカーボンブラックにより、上記技術課題を解決し得ることを見出し、本知見に基づいて本発明を完成するに至った。
0012
すなわち、本発明は、
(1)窒素吸着比表面積(N2SA)が80m2/g〜160m2/g、
DBP吸油量が100ml/100g〜170ml/100g、
24M4DBP吸収量が80ml/100g〜140ml/100g、
前記DBP吸油量が前記24M4DBP吸収量よりも大きく、DBP吸油量−24M4DBP吸収量で表わされる差が10ml/100g〜40ml/100g、
着色力(Tint)が100〜145、
アグリゲートのモード径をDst、当該アグリゲートのモード径の半値幅をΔDstとした場合、ΔDst/Dstで表わされる比が0.5〜0.8
であるカーボンブラックの親水化処理物からなる
ことを特徴とするインクジェットプリンター用黒色顔料、
(2)水分散液の状態でレーザー光を照射し、散乱光の周波数変調度合から得られるアグロメレート粒径の累積度数分布曲線において、累積度数50%の値を平均粒径Dupa50%、累積度数90%の値をDupa90%としたときに、
前記カーボンブラックのアグロメレートの平均粒径Dupa50%が130nm〜160nm、
前記カーボンブラックのアグロメレートのDupa90%が210nm〜280nm
である上記(1)記載のインクジェットプリンター用黒色顔料、
(3)前記カーボンブラックの親水化処理物の水素含有表面官能基量が3μeq/m2以上である上記(1)または(2)に記載のインクジェットプリンター用黒色顔料、
(4)上記(1)〜(3)のいずれかに記載のインクジェットプリンター用黒色顔料を含むことを特徴とするインクジェットプリンター用黒色顔料水性分散体
を提供するものである。
発明の効果
0013
本発明によれば、水性媒体中で優れた分散性および保存安定性を発揮するとともに、インクジェットインクに用いたときに一回のみの印字で電子写真と同等以上の優れた黒色度を発揮するインクジェットプリンター用黒色顔料およびインクジェットプリンター用黒色顔料水性分散体を提供することができる。
0014
先ず、本発明に係るインクジェットプリンター用黒色顔料について説明する。
本発明に係るインクジェットプリンター用黒色顔料は、
窒素吸着比表面積(N2SA)が80m2/g〜160m2/g、
DBP吸油量が100ml/100g〜170ml/100g、
24M4DBP吸収量が80ml/100g〜140ml/100g、
前記DBP吸油量が前記24M4BP吸収量よりも大きく、DBP吸油量−24M4DBP吸収量で表わされる差が10ml/100g〜40ml/100g未満、
着色力(Tint)が100〜145、
アグリゲートのモード径をDst、当該アグリゲートのモード径の半値幅をΔDstとした場合、ΔDst/Dstで表わされる比が0.5〜0.8
であるカーボンブラックの親水化処理物からなる
ことを特徴とするものである。
0015
本発明に係るインクジェットプリンター用黒色顔料は、親水化処理前のカーボンブラックの窒素吸着比表面積(N2SA)が、80m2/g〜160m2/gであり、90m2/g〜150m2/gであることが好ましく、100m2/g〜145m2/gであることがより好ましい。
0016
本発明に係るインクジェットプリンター用黒色顔料において、親水化処理前のカーボンブラックの窒素吸着比表面積(N2SA)が上記範囲内にあることにより、インクジェットインクに用いた場合に、優れた吐出安定性や紙定着濃度を発揮することができる。
上記窒素吸着比表面積(N2SA)が80m2/g未満である場合、インクジェットインクに用いた場合に沈殿残渣率が増大して、濾過性、吐出安定性が著しく低下し易くなり、上記窒素吸着比表面積(N2SA)が160m2/gを越えるとインクジェットインクに用いて印字した際に紙定着濃度が低くなり易いためである。
0018
本発明に係るインクジェットプリンター用黒色顔料において、親水化処理前のカーボンブラックのDBP吸油量は、100ml/100g〜170ml/100gであり、105ml/100g〜165ml/100gであることが好ましく、110ml/100g〜160ml/100gであることがより好ましい。
本発明に係るインクジェットプリンター用黒色顔料において、親水化処理前のカーボンブラックのDBP吸油量が上記範囲内にあることにより、インクジェットインクの調製に用いた場合に、優れた印字濃度や濾過性を発揮することができる。
上記DBP吸油量が100ml/100g未満であるとインクジェットインクに用いた場合に印字濃度が薄くなり易く、170ml/100gを越えるとインクジェットインクの調製に用いた場合に沈殿残渣率が増加し易くなって、濾過性が低下し易くなる。
0019
なお、本出願書類において、DBP吸油量は、ASTMD2414に規定された方法に準拠して測定した値を意味する。
0020
本発明に係るインクジェットプリンター用黒色顔料において、親水化処理前のカーボンブラックの24M4DBP吸収量は、80ml/100g〜140ml/100gであり、85ml/100g〜135ml/100gであることが好ましく、90ml/100g〜130ml/100gであることがより好ましい。
本発明に係るインクジェットプリンター用黒色顔料において、親水化処理前のカーボンブラックの24M4DBP吸収量が上記範囲内にあることにより、インクジェットインクの調製に用いた場合に、優れた印字濃度、濾過性、保存安定性を発揮することができる。
上記24M4DBP吸収量が80ml/100g未満であるとインクジェットインクの調製に用いた場合に印字濃度が低下し易くなり、140ml/100gを越えるとインクジェットインクの調製に用いた場合に沈殿残渣率が増加して、濾過性、保存安定性が低下し易くなる。
0021
なお、本出願書類において、24M4DBP吸収量は、ASTMD3493に規定された方法に準拠して測定した値を意味する。
0022
本発明に係るインクジェットプリンター用黒色顔料において、親水化処理前のカーボンブラックは、上記DBP吸油量が上記24M4BP吸収量よりも大きく、DBP吸油量−24M4DBP吸収量で表わされる差が10ml/100g〜40ml/100gであり、12ml/100g〜35ml/100gであることが好ましく、15ml/100g〜30ml/100gであることがより好ましい。
0023
本発明に係るインクジェットプリンター用黒色顔料において、親水化処理前のカーボンブラックのDBP吸油量−24M4DBP吸収量で表わされる差が上記範囲内にあることにより、インクジェットインクの調製に用いた場合に優れた濾過性、沈降性および印字濃度を発揮することができる。
上記DBP吸油量−24M4DBP吸収量で表わされる差が10未満であるとインクジェットインクの調製に用いた場合に、濾過性、沈降性が低下し易くなり、40を超えると逆に水中に分散した際に、アグロメレートが解れ易くなり、粒径が小さくなりすぎるため、インクジェットインクの調製に用いた場合に印字濃度が低下し易くなる。
0024
上記カーボンブラックのDBP吸油量や24M4DBP吸収量は、カーボンブラックのストラクチャーを示す特性であり、上述したように、これ等の値が小さいとインクジェットインクに用いた場合に、印字した際の黒色度(漆黒度)が低くなり易く、一方、これ等の値が大きくなるとカーボンブラックの凝集単位も大きくなるので、水中において凝集沈降し易くなり、インクジェットインクの調製に用いた場合に、保存安定性および分散安定性が低下し易くなる。
本発明に係るインクジェットプリンター用黒色顔料は、親水化処理前のカーボンブラックのDBP吸油量、24M4DBP吸収量とともに、特にこれ等の差が上記所定範囲内にあることにより、ハイストラクチャー構造を有するとともに、分散処理中にそのストラクチャーが崩れにくくなり、インクジェットインクに用いたときに高濃度の印字濃度を容易に達成することができる。
0025
本発明に係るインクジェットプリンター用黒色顔料において、親水化処理前のカーボンブラックの着色力(Tint)は、100〜145であり、110〜140であることが好ましく、115〜135であることがより好ましい。
本発明に係るインクジェットプリンター用黒色顔料において、親水化処理前のカーボンブラックの着色力(Tint)が上記範囲内にあることにより、インクジェットインクの調製に用いた場合に優れた濾過性、粘度を発揮することができる。
上記着色力(Tint)が100未満であると粒度分布が大きくなり過ぎ、インクジェットインクの調製に用いたときに濾過性が低下し易くなる。また、上記着色力(Tint)が145を超えると分布がシャープになり過ぎてインクジェットインクの調製に用いたときに粘度が大幅に増加し易くなる。
0026
なお、本出願書類において、カーボンブラックの着色力(Tint)は、ASTMD3265に規定された方法に準拠して測定した値を意味する。
0027
本発明に係るインクジェットプリンター用黒色顔料において、親水化処理前のカーボンブラックを構成するアグリゲートのモード径をDst、当該アグリゲートのモード径の半値幅をΔDstとした場合、ΔDst/Dstで表わされる比が、0.5〜0.8であり、0.55〜0.77であることが好ましく、0.6〜0.75であることがより好ましい。
0028
本発明に係るインクジェットプリンター用黒色顔料において、親水化処理前のカーボンブラックのアグリゲートのモード径Dst/当該アグリゲートのモード径の半値幅ΔDstで表わされる比が上記範囲内にあることにより、インクジェットインクの調製に用いた場合に優れた濾過性、粘度を発揮することができる。
上記アグリゲートのモード径Dst/当該アグリゲートのモード径の半値幅ΔDstで表わされる比が、0.5未満であると分布がシャープになり過ぎてインクジェットインクの調製に用いたときに粘度が増加し易くなり、また、0.8を超えると粒度分布が広くなり、インクジェットインクの調製に用いたときに濾過性が低下し易くなる。
0029
なお、本出願書類において、上記アグリゲートのモード径Dstは、遠心沈降法(DCF)により測定されるアグリゲートのストークス相当径分布における最大頻度のストークス相当径を意味し、上記アグリゲートのモード径の半値幅ΔDstは、遠心沈降法(DCF)により測定されるアグリゲートのストークス相当径分布の半値幅を意味する。
0030
本発明に係るインクジェットプリンター用黒色顔料において、親水化処理後のカーボンブラックは、水分散液の状態でレーザー光を照射し、散乱光の周波数変調度合から得られるアグロメレート粒径の累積度数分布曲線において、累積度数50%の値を平均粒径Dupa50%、累積度数90%の値をDupa90%としたときに、上記カーボンブラックのアグロメレートの平均粒径Dupa50%が、130nm〜160nmであることが好ましく、135nm〜158nmであることがより好ましく、140nm〜155nmであることがさらに好ましく、また、上記カーボンブラックのアグロメレートのDupa90%が、210nm〜280nmであることが好ましく、215nm〜275nmであることがより好ましく、220nm〜270nmであることがさらに好ましい。
0031
上記カーボンブラックのアグロメレートの平均粒径Dupa50%やDupa90%が上記範囲内にあることにより、インクジェットインクの調製に用いたときに優れた印字濃度、粘度等を発揮することができる。
上記カーボンブラックのアグロメレートの平均粒径Dupa50%が130未満であるとワンパス印字の際の印字濃度が低くなり易く、また、上記カーボンブラックのアグロメレートの平均粒径Dupa50%が160を超えるとインクジェットインクに用いたときに印字濃度は良好になるが、粒子が大きすぎるため自然沈降し易くなる。
また、上記カーボンブラックのDupa90%が210未満であるとDupa50%との差が小さくなるためインクジェットインクに用いたときに粘度が増加し易くなり、また、上記カーボンブラックのDupa90%が280を超えると大粒径が増加し、インクジェットインクに用いた場合にノズルを閉塞させ易くなる。
0032
なお、本出願書類において、上記カーボンブラックのアグロメレートの平均粒径Dupa50%やDupa90%は、上述したように、水分散液の状態でレーザー光を照射し、散乱光の周波数変調度合から得られるアグロメレート粒径の累積度数分布曲線において、累積度数50%の値が平均粒径Dupa50%を意味し、累積度数90%の値がDupa90%を意味する。
0033
本発明に係るインクジェットプリンター用黒色顔料において、上記カーボンブラックの親水化処理物の水素含有表面官能基量は、3μeq/m2以上であることが好ましく、3.5〜3.8μeq/m2であることがより好ましく、3.9〜4.5μeq/m2であることがさらに好ましい。
0034
本発明に係るインクジェットプリンター用黒色顔料において、上記カーボンブラックの親水化処理物の水素含有表面官能基量が上記範囲内にあることにより、インクジェットインキに用いたときに分散性が良好になり、長期の保存に耐え得る黒色顔料水性分散体およびインクジェットインクを提供することができる。
0035
なお、本出願書類において、上記カーボンブラックの親水化処理物の水素含有表面官能基量は、上記カーボンブラックの親水化処理物のカルボキシル基量およびヒドロキシル基量の合計量を意味し、当該カルボキシル基量およびヒドロキシル基量は、各々以下の方法で算出された値を意味する。
0036
(カルボキシル基量)
0.976N炭酸水素ナトリウム50ml中にカーボンブラックの親水化処理物2〜5gを添加して6時間振盪した後、上記カーボンブラックの親水化処理物を反応液から濾別し、濾液に0.05N塩酸水溶液を加えたのち、pHが7.0になるまで0.05N水酸化ナトリウム水溶液にて中和滴定試験を行ってカルボキシル基量を測定し、得られた測定値をカーボンブラックの親水化処理物の窒素吸着比表面積(N2SA(m2/g))で除した値を、カーボンブラックの親水化処理物の単位表面積当たりに形成されたカルボキシル基量(μeq/m2)とする。
なお、カーボンブラックの親水化処理物の窒素吸着比表面積(N2SA(m2/g))は、ASTMD6556に規定された方法に準拠して測定される。
0037
(ヒドロキシル基量)
2、2‘−Diphenyl−1−picrylhydrazyl(DPPH)を四塩化炭素中に溶解して濃度5×10−4mol/Lの溶液を作成し、該溶液にカーボンブラックの親水化処理物を0.1〜0.6g添加し、60℃の恒温槽中で6時間撹拌した後、反応液からカーボンブラックの親水化処理物を濾別し、紫外線吸光光度計により濾液中のヒドロキシル基量を測定する。このようにして測定した値をカーボンブラックの親水化処理物の窒素吸着比表面積(N2SA(m2/g))で除した値を、カーボンブラックの単位表面積当たりに形成されたヒドロキシル基量(μeq/m2)とする。
なお、カーボンブラックの親水化処理物の窒素吸着比表面積(N2SA(m2/g))は、ASTMD6556に規定された方法に準拠して測定される。
0038
本発明に係るインクジェットプリンター用黒色顔料において、カーボンブラックの親水化処理物は、上記カーボンブラックを親水化処理することにより作製することができる。
0039
カーボンブラックの親水化処理方法は、特に制限されず、例えば、次亜塩素酸塩、亜塩素酸塩、塩素酸塩、過硫酸塩、過硼酸塩、過炭酸塩等のアルカリ金属塩やアンモニウム塩等の酸化剤水溶液中にカーボンブラックを添加して酸化する方法を挙げることができる。
また、カーボンブラックの親水化処理方法としては、過酸化水素、オゾン、オゾン水あるいはM2O2(Mはアルカリ金属)、重クロム酸塩、過マンガン酸塩等で処理する方法を挙げることができる。
さらに、カーボンブラックの親水化処理方法としては、ジアゾカップリング処理を実行する方法等を挙げることができ、例えば、p−ニトロ安息香酸を亜硝酸でアゾ化し、それをカーボンブラックの表面にアゾ化して結合させる方法を挙げることができる。
その他、カーボンブラックの親水化処理方法としては、カーボンブラックを界面活性剤で処理したり、カーボンブラックの表面に高分子をマイクロカプセル化して水中に分散させる方法等を挙げることができる。
カーボンブラックの親水化処理方法は、得られる親水化処理物を水性媒体中に良好に分散させ得るものであればいずれの親水化方法であってもよい。
0040
本発明によれば、水性媒体中で優れた分散性および保存安定性を発揮するとともに、一回のみの印字で電子写真と同等以上の優れた黒色度を発揮するインクジェットプリンター用黒色顔料を提供することができる。
0041
次に、本発明に係るインクジェットプリンター用黒色顔料水性分散体について説明する。
本発明に係るインクジェットプリンター用黒色顔料水性分散体は、本発明に係るインクジェットプリンター用黒色顔料を含むことを特徴とするものである。
0042
本発明に係るインクジェットプリンター用黒色顔料水性分散体は、少なくとも、本発明に係るインクジェットプリンター用黒色顔料と、水性媒体とを含むものである。
0043
本発明に係るインクジェットプリンター用黒色顔料の詳細は、上述したとおりである。
また、水性媒体としては、水や、水を主成分としさらに水溶性有機溶剤を含むものを挙げることができ、水のみからなるものが好ましい。
水性媒体を構成する水としては、イオン交換水(脱イオン水)や蒸留水等の精製水が挙げられる。
0044
本発明に係るインクジェットプリンター用黒色顔料水性分散体は、本発明に係るインクジェットプリンター用黒色顔料を水性媒体中に分散してなるものである。
0045
本発明に係るインクジェットプリンター用黒色顔料を水性媒体中に分散処理する方法は、特に制限されないが、分散機により行うことが好ましい。
0046
分散機としては、高圧ホモジナイザー、サンドミル、ダイノーミル、ボールミル、ペイントシェーカー、超音波分散機、高圧の室内にてキャビテーション効果で分散する分散機等を挙げることができる。また、通常の撹拌羽を用いた攪拌機や、高速の分散機、乳化機等によって分散処理を施してもよい。
0047
本発明に係るインクジェットプリンター用黒色顔料水性分散体は、インクジェットプリンター用黒色顔料の含有量(固形分濃度)が、4〜10質量%であることが好ましく、5〜9質量%であることがより好ましく、6〜8質量%であることがさらに好ましい。
0048
本発明に係るインクジェットプリンター用黒色顔料水性分散体を用いてインクジェットインクを調製する場合、インクジェットプリンター用黒色顔料水性分散体に加える添加剤としては、湿潤剤、防腐剤、防黴剤、防錆剤、pH調整剤、浸透剤、定着剤、消泡剤等を挙げることができる。
0049
湿潤剤としては、各種水溶性有機溶剤を挙げることができ、具体的には、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−へキサンジオール、グリセリン、1,2,6−へキサントリオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、1,2,4−ブタントリオ−ル、1,2,3−ブタントリオール、ペトリオール等の多価アルコ−ル類、エチレングリコールモノエチルエ−テル、エチレングリコ−ルモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールアルキルエーテル類、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル等の多価アルコールアリールエ−テル類、N−メチル−2−ピロリドン、N−ヒドロキシエチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、1,3−ジメチルイミダゾリジノン、ε−カプロラクタム等の含窒素複素環化合物、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン等のアミン類、ジメチルスルホキシド、スルホラン、チオジエタノ−ル等の含硫黄化合物類、プロピレンカーボネート、炭酸エチレン、γ−ブチロラクトン等から選ばれる一種以上を挙げることができる。
これらの水溶性有機溶剤は、水とともに単独もしくは複数混合して用いることができる。
0050
防腐剤、防黴剤としては、デヒドロ酢酸ナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウム、イソチアゾリン系化合物、安息香酸ナトリウム、ペンタクロロフェノールナトリウム、プロキセルXL−2等から選ばれる一種以上を挙げることができる。
0051
防錆剤としては、例えば、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウム、チオジグリコール酸アンモン、ジイソプロピルアンモニウムニトライト、四硝酸ペンタエリスリトール、ジシクロヘキシルアンモニウムニトライト、ベンゾトリアゾール等から選ばれる一種以上を挙げることができる。
0052
pH調整剤としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属元素の水酸化物、水酸化アンモニウム、第4級アンモニウム水酸化物、第4級ホスホニウム水酸化物、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属の炭酸塩、ジエタノールアミン、トリエタノ−ルアミン等のアミン類、硼酸、塩酸、硝酸、硫酸、酢酸等から選ばれる一種以上を挙げることができる。
0053
浸透剤としては、低臭気性かつ低蒸気圧の多価アルコールアルキルエーテルを使用することが好ましく、多価アルコールアルキルエーテルの中でも、紙などの被記録材へのインク浸透速度を効果的に速めることにより、被記録材上でインクの速乾性を向上させ、遅乾性に起因するブリーディングを防止し、かつ浸透にともなう滲みを起こしにくいものを選択して使用することが好ましい。このような多価アルコールアルキルエーテルの具体例としては、例えば、ジエチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールブチルエーテル、ジエチレングリコールイソブチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールプロピルエーテル、ジプロピレングリコールイソプロピルエーテル、ジプロピレングリコールブチルエーテル、トリエチレングリコールメチルエーテル、トリエチレングリコールブチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエーテル、トリプロピレングリコールブチルエーテル等から選ばれる一種以上を挙げることができる。
0054
インクジェットインクを調製する場合、例えば、攪拌容器中に、攪拌しながら、インクジェットプリンター用黒色顔料水性分散体を加えつつ、さらに湿潤剤、防腐剤、防黴剤、防錆剤、pH調整剤、浸透剤、定着剤、消泡剤等の添加剤や、公知任意の水溶性樹脂、水に分散したワックス、樹脂エマルション等を添加して、攪拌し、必要に応じて水、水溶性有機溶媒で粘度を調整して、公知任意の濾過方法により濾過することにより製造することができる。
0055
上記インクジェットプリンター用黒色顔料水性分散体を用いてインクジェットインクを調製する場合、カーボンブラック親水化処理物の濃度、即ち分散体中におけるカーボンブラック親水化処理物の質量割合は適宜選択することができ、通常は4〜10質量%程度であることが好ましい。
0056
本発明に係るインクジェットプリンター用黒色顔料水性分散体は、本発明に係るインクジェットプリンター用黒色顔料を含むものであることから、水性媒体中で優れた分散性および保存安定性を発揮するとともに、一回のみの印字で電子写真と同等以上の優れた黒色度を発揮するインクジェットインクを提供することができる。
0057
以下に本発明の内容を具体的な例を挙げて説明する。ただし、本発明はこれら実施例の内容に限定されるものではない。
0058
(実施例1)
表1に示す、窒素吸着比表面積(N2SA)、DBP吸油量、24M4DBP吸収量、ΔDBP(DBP吸油量−24M4DBP吸収量)、着色力(Tint)、アグリゲートのモード径Dst、アグリゲートのモード径の半値幅ΔDst、ΔDst/Dstを各々有するカーボンブラックを用い、過硫酸ソーダ水溶液により親水化処理を施した。
具体的には、表1に示す物性を有するカーボンブラック1、000gに対し、そのカーボンブラックの単位表面積当たりの過硫酸ソーダ水溶液濃度が、150nmol/L/m2になるように調整しつつ、過硫酸ソーダ水溶液と撹拌槽中で接触させ、撹拌翼を70rpmで回転させて撹拌しつつ、室温から昇温速度1.5℃/分で90℃まで昇温し5時間保持した後、降温速度1.5℃/分で室温まで冷却することにより親水化処理を施した。
上記親水化処理したカーボンブラックは、旭化成ケミカルズ(株)製AHV−3010(分画分子量50,000)を用いて還元塩を除去した後、pHが9.0になるまで水酸化ナトリウムを添加し、100℃で3時間処理することにより中和剤を固定させて、カーボンブラックの親水化処理物のスラリー(固形分濃度3質量%)を得た。
次いで、遠心分離機(三菱化工機(株)製型式SJ−30G)に対し兵神装備(株)のヘイシンモーノポンプ(2NE20PM)を用いて上記カーボンブラックの親水化処理物のスラリー(固形分濃度3質量%)を4L/分間通液し、粗大粒子、未反応カーボンブラック、グリッドなどを除去した後、再度上記と同様な限外ろ過膜で電気伝導率が0.3mS/cmまで精製し、最後に、同じ限外濾過膜を用いて、カーボンブラック濃度が15質量%まで濃縮処理を施すことにより、目的とするインクジェットプリンター用黒色顔料水分散体を得た(水素含有表面官能基量3.8μeq/m2)。
0059
得られたインクジェットプリンター用黒色顔料水分散体において、以下の方法により、粘度、平均粒径Dupa50%、累積度数90%の粒径Dupa90%、pH、表面張力、電気伝導率および濾過性を求めた。
また、粘度、平均粒径Dupa50%、累積度数90%の粒径Dupa90%、pH、表面張力および電気伝導率については、初期値とともに、得られたインクジェットプリンター用黒色顔料水分散体を70℃で2週間保存したときの、1週間経過後の値と2週間経過後の値を各々測定した。結果を表2に示す。
0061
(粒径)
レーザー回折・散乱方式粒子径分布測定装置マイクロトラック社製UPA150を用い、散乱光の周波数変調度合から得られるアグロメレート粒径の累積度数分布曲線において、累積度数50%の粒径(平均粒径)Dupa50%、累積度数90%の粒径Dupa90%を測定した。
0062
(pH)
ガラス電極式水素イオン濃度計(東亜電波工業(株)製、pHメーター、HM−30G)の電極をインクジェットプリンター用黒色顔料水分散体に浸漬し、25℃におけるインクジェットプリンター用黒色顔料水分散体のpHを測定した。
0063
(表面張力)
自動表面張力計(協和界面科学(株)製CBVP−Z)を使用して、25℃の測定温度にて、純水の表面張力を測定してから、インクジェットプリンター用黒色顔料水分散体の表面張力を測定した。
0065
(濾過性)
直径47mm、孔径5μmのメンブレンフィルター(アドバンテック(株)製)
および直径25mm、孔径0.8μmのメンブレンフィルター(アドバンテック(株)製)を使用して、アスピレーターの減圧下、サンプル量100gのインクジェットプリンター用黒色顔料水分散体を全量通過させたときのろ過時間を測定した。
0066
<インクジェットインクの調製>
得られたインクジェットプリンター用黒色顔料水分散体を固形分濃度(カーボンブラックの親水化処理物濃度)が6質量%になるように混合するとともに、グリセリン14質量%、ジエチレングリコールモノブチルエーテル5質量%、アセチレングリコール(オレフィンE1010)1質量%、ベンゾトリアゾール0.02質量%、防腐剤(ロンザ社製プロキセルXL−2)0.03質量%、トリエタノールアミン0.80質量%、精製水73.15質量%となるように撹拌、混合することにより、インクジェットインクを調製した。
得られたインクジェットインクを用い、以下の方法により印字濃度および沈殿残渣率を測定した。結果を表3に示す。
0067
(印字濃度)
セイコーエプソン(株)製EM−930Cを所定のインクカートリッジに注入し、5種類の紙種((1)XEROX4200、(2)Fuji XEROX P、(3)Hammermill Copy Plus、(4)EPSON両面上質普通紙(再生紙)、(5)EPSON写真用紙ライト(薄手光沢))に対し、「はやい」モード、「きれい」モードで各々印字し、印字後のO.D.値を反射型光学濃度計(米国X−Rite社製504)にて測定したときの平均値を求めた。
なお、上記「はやい」モードは1回のみ印字するモードであり、上記「きれい」モードは複数回印字するモードに対応する。結果を表3に示す。
0068
(沈殿残渣率)
上記方法で得られたインクジェットインクを20,000Gの重力加速度で30分間遠心分離処理を行った後の沈殿残渣質量(M1)と、遠心分離処理前のカーボンブラックの質量(M0)に基づいて、(M1/M0)×100により求められる沈殿残渣率(質量%)を算出した。結果を表3に示す。
上記沈殿残渣率値が低いほど分散安定性が良好であることを示す。
0069
(実施例2)
表1に示す物性を有するカーボンブラックを用いた以外は、実施例1と同様にして水素含有表面官能基量3.2μeq/m2のインクジェットインクジェットプリンター用黒色顔料を含むインクジェットプリンター用黒色顔料水分散体を調製し、得られたインクジェットプリンター用黒色顔料水分散体において、実施例1と同様にして、粘度、平均粒径Dupa50%、累積度数90%の粒径Dupa90%、pH、表面張力、電気伝導率および濾過性を求めた。結果を表2に示す。
また、得られたインクジェットプリンター用黒色顔料水分散体を用い、実施例1と同様にしてインクジェットインクを調製した。
得られたインクジェットインクを用い、実施例1と同様の方法により印字濃度および沈殿残渣率を測定した。結果を表3に示す。
0070
(比較例1〜比較例4)
表1に示す物性を有するカーボンブラックを用いた以外は、実施例1と同様にしてインクジェットプリンター用黒色顔料水分散体を調製し、得られたインクジェットプリンター用黒色顔料水分散体において、実施例1と同様にして、粘度、平均粒径Dupa50%、累積度数90%の粒径Dupa90%、pH、表面張力、電気伝導率および濾過性を求めた。結果を表2に示す(比較例3および比較例4で得られたインクジェットプリンター用黒色顔料水性分散体は、孔径0.8μmのメンブレンフィルターを用いた場合に長時間を要し所定時間内に濾過し得なかったことから、表2へのデータの記載を割愛する)。
また、得られたインクジェットプリンター用黒色顔料水分散体を用い、実施例1と同様にしてインクジェットインクを調製した。
得られたインクジェットインクを用い、実施例1と同様の方法により印字濃度および沈殿残渣率を測定した。結果を表3に示す。
0071
0072
0073
0074
表1〜表3より、実施例1〜実施例2で得られたインクジェットプリンター用黒色顔料水性分散体は、親水化処理前の窒素吸着比表面積(N2SA)、DBP吸油量、24M4DBP吸収量、DBP吸油量−24M4DBP吸収量で表わされる差(ΔDBP)、着色力(Tint)、アグリゲートのモード径の半値幅ΔDst/アグリゲートのモード径Dstで表わされる比が特定の範囲内にあるカーボンブラックを含むものであることから、水性媒体中で粘度、Dupa50%、Dupa90%、pH、電気伝導率が2週間にわたってほとんど変化せず、濾過性にも優れることから、優れた分散性および保存安定性を発揮し得るとともに、係る黒色顔料水性分散体を用いて調製されたインクジェットインクの印字濃度が一回のみの印字(「はやい」モード)でも、複数回印字(「きれい」モード)と殆ど変らず一回のみの印字で電子写真と同等以上の優れた黒色度を発揮し得ることが分かり、このために優れた特性を有するインクジェットインクを提供し得ることが分かる。
0075
一方、表1〜表3より、比較例1で得られたインクジェットプリンター用黒色顔料水性分散体は、親水化処理前の窒素吸着比表面積(N2SA)が所定範囲外であるカーボンブラックを含むものであることから、係る黒色顔料水性分散体から得られるインクジェットインクの印字濃度が、一回のみの印字(「はやい」モード)、複数回印字(「きれい」モード)共に低く、電子写真の印字濃度に到達していないものであった。
0076
また、表1〜表3より、比較例2で得られたインクジェットプリンター用黒色顔料水性分散体は、親水化処理前の窒素吸着比表面積(N2SA)、親水化処理前のDBP吸油量−24M4DBP吸収量で表わされる差(ΔDBP)および着色力(Tint)が所定範囲外であるカーボンブラックを含むものであることから、粘度が非常に高く、また、係る黒色顔料水性分散体から得られるインクジェットインクの印字濃度が、一回のみの印字(「はやい」モード)、複数回印字(「きれい」モード)共に低く、電子写真の印字濃度に到達していないものであった。
0077
さらに、表1〜表3に示すように、比較例3で得られたインクジェットプリンター用黒色顔料水性分散体は、親水化処理前のDBP吸油量−24M4DBP吸収量で表わされる差(ΔDBP)が所定範囲外であるカーボンブラックを含むものであることから、孔径0.8μmのメンブレンフィルターを用いた場合に長時間を要し所定時間内に濾過し得ないものであり、分散性に劣るものであることが分かる。
0078
表1〜表3に示すように、比較例4で得られたインクジェットプリンター用黒色顔料水性分散体は、親水化処理前の窒素吸着比表面積(N2SA)、DBP吸油量、24M4DBP吸収量、DBP吸油量−24M4DBP吸収量で表わされる差(ΔDBP)および着色力(Tint)がいずれも所定の範囲外であるカーボンブラックを含むものであることから、孔径0.8μmのメンブレンフィルターを用いた場合に長時間を要し所定時間内に濾過し得ない濾過性に劣るものであり、また、係る黒色顔料水性分散体から得られるインクジェットインクの沈澱残渣率が非常に高いことから、分散安定性に劣り、実用に供し得ないものであることが分かる。
実施例
0079
表1〜表3に示すように、比較例5で得られたインクジェットプリンター用黒色顔料水性分散体は、親水化処理前のDBP吸油量、24M4DBP吸収量およびDBP吸油量−24M4DBP吸収量で表わされる差(ΔDBP)がいずれも所定の範囲外であるカーボンブラックを含むものであることから、カーボンブラックの粒子径が小さ過ぎ、係る黒色顔料水性分散体から得られるインクジェットインクの印字濃度が、一回のみの印字(「はやい」モード)および複数回印字(「きれい」モード)共に非常に低く、電子写真の印字濃度に到達していないものであり、実用に供し得ないものであることが分かる。
0080
本発明によれば、水性媒体中で優れた分散性および保存安定性を発揮するとともに、一回のみの印字で電子写真と同等以上の優れた黒色度を発揮するインクジェットプリンター用黒色顔料およびインクジェットプリンター用黒色顔料水性分散体を提供することができる。
技術視点だけで見ていませんか?
この技術の活用可能性がある分野
分野別動向を把握したい方- 事業化視点で見る -
(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成