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課題

トリアルキルガリウム(R3Ga)の安価な調製が可能な製造方法の提供。

解決手段

NaCl、KCl等の少なくとも2種のアルカリ金属ハロゲン化物の存在下、三塩化ガリウム(GaCl3)と、メチルアルミニウムセスキクロリド(Me3Al2Cl3)、トリメチルアルミニウム(Me3Al)等のアルキルアルミニウム化合物を反応させた後、反応混合物を120〜250℃の範囲内の温度に加熱してR3Gaを蒸留分離する際、前記反応混合物中の形成されたRcGaCld型(Rは、C1〜C5−アルキル基;c、d=1又は2;c+d=3)の最も揮発性の部分アルキル化生成物沸点よりも30℃超低い温度で操作するR3Gaの製造方法。

概要

背景

R3Ga型のトリアルキル化合物の種々の調製方法は、先行技術で公知である。ガリウムジメチル水銀またはジエチル水銀との反応は、公知である。しかしながら、高級アルキル水銀熱不安定性ジアルキル水銀の高毒性、および並外れて遅い反応に起因して、このプロセスは、工業用途に適さない。

さらに、三塩化ガリウムジアルキル亜鉛との反応により、調製を行うことが可能である。しかしながら、アルキル亜鉛誘導体光感受性が高いので、この方法の有用性は、大幅に制限される。

ハロゲン化ガリウムグリニャール試薬との反応によりアルキルガリウム化合物を調製可能な方法は、同様に公知である。しかしながら、溶媒として使用されるエーテルは、一般にトリアルキルガリウム化合物との安定な付加物を形成し、これを分離するのは困難である。

さらに、三塩化ガリウムとアルキル化試薬としてのトリアルキルアルミニウム化合物とからアルキルガリウム化合物を調製可能な方法は、公知である。この方法では、1個のアルミニウムあたり1個のアルキル基のみがガリウムに移動されるので、トリアルキルアルミニウム化合物を少なくとも3倍過剰で使用しなければならない。式(1):
GaCl3+3R3Al→R3Ga+3R2AlCl (1)
を参照されたい。

それに加えて、公知の方法は、出発材料または生成される生成物を複雑な方法で精製または単離しなければならないので、通常、複数の段階で進行する。さらに、多くの場合、低収率のアルキルガリウム化合物が公知の方法により生成されるにすぎない。

先行技術から公知の方法は、成分の反応および定量的な転化率を確保するために、通常、有機溶媒の存在下で行われる。しかしながら、これによりアルキルガリウム化合物中に有機不純物を生じる可能性がある。これは、アルキルガリウム化合物の純度、ひいては有機金属化学気相堆積プロセスMOCVD)のための前駆体としてのその好適性に有意な悪影響を及ぼす。したがって、トリアルキルガリウム中のいかなる不純物も、MOCVDプロセスを用いて生成される半導体層(たとえばGaAs)の光学的および電気的な性質に有意な悪影響を及ぼすであろう。

工業的には、現在、トリメチルガリウム(TMG)は、通常、三塩化ガリウムとメチル化試薬としての過剰のトリメチルアルミニウムとから調製される。トリメチルアルミニウムの使用は、これまでは大過剰で使用しなければならなかったという欠点を有する(式(1)参照)。

かくして、(特許文献1)には、トリメチルアルミニウムを用いたトリメチルガリウムの調製方法が記載されている。

(特許文献2)にもまた、メシチレンジクロロベンゼンなどの有機溶媒中における三塩化ガリウムとトリメチルアルミニウムとの反応によるTMGの調製が開示されている。

(特許文献3)には、とくに、溶媒としてのトルエン中における化学量論量のトリエチルアミンの存在下での三塩化ガリウムとトリメチルアルミニウムとからのトリメチルガリウムの調製が記載されている。

J.J.Eischらは、塩化カリウムを添加した溶媒としてのヘキサン中またはペンタン中におけるトリエチルガリウムおよびトリイソブチルガリウムの調製方法を記載している。添加された塩化カリウム(KCl)は、生成されたジアルキルアルミニウム化合物との安定な錯体を形成することにより、この化合物による塩化ガリウムの望ましくない錯体化を防止する。塩溶融物は存在しない。得られる生成物は、一般に溶媒残留物を含有しており、さらなる工程でアルカリ金属フッ化物を用いて再蒸留により精製される(非特許文献1)。

Gainesらもまた、トリメチルアルミニウムからのトリメチルガリウムの調製、さらにはフッ化ナトリウムを用いた後続蒸留、それに続く再蒸留について言及している。TMGの収率は、約63%にすぎない(非特許文献2)。

(特許文献4)には、三塩化ガリウムとトリアルキルアルミニウム化合物またはトリアルキルアルミニウムエーテラートとの反応が記載されている。得られたトリアルキルガリウムは、蒸留により分離され、続いて精留により精製される。

(特許文献5)には、トルエン中におけるトリメチルアルミニウムと三塩化ガリウムとからのTMGの連続調製方法が記載されている。

Starowieyskiらは、過剰の塩化ナトリウムの存在下での三塩化ガリウムとジメチルアルミニウムクロリドとからのTMGの調製を記載している(非特許文献3)。この場合もまた、塩溶融物は存在しない。

(特許文献6)には、補助ベースとしてのアルカリ土類金属塩化物またはアルカリ金属塩化物の存在下でのアルキル化剤としてのアルキルアルミニウムハロゲン化物を用いたガリウムハロゲン化合物からのアルキルガリウム化合物の調製方法が記載されている。反応温度では、アルカリ土類金属塩化物およびアルカリ金属塩化物は、溶媒として使用される塩溶融物を形成する。(特許文献6)には、アルキルガリウム化合物の調製のためのアルキルアルミニウムセスキクロリド(R3Al2Cl3)の使用について言及されている。反応は、部分アルキル化生成物再循環分離器)なしで行われ、完全アルキル化生成物のトリメチルガリウムおよびトリエチルガリウムの全収率は、10〜48%である。

概要

トリアルキルガリウム(R3Ga)の安価な調製が可能な製造方法の提供。NaCl、KCl等の少なくとも2種のアルカリ金属ハロゲン化物の存在下、三塩化ガリウム(GaCl3)と、メチルアルミニウムセスキクロリド(Me3Al2Cl3)、トリメチルアルミニウム(Me3Al)等のアルキルアルミニウム化合物を反応させた後、反応混合物を120〜250℃の範囲内の温度に加熱してR3Gaを蒸留分離する際、前記反応混合物中の形成されたRcGaCld型(Rは、C1〜C5−アルキル基;c、d=1又は2;c+d=3)の最も揮発性の部分アルキル化生成物の沸点よりも30℃超低い温度で操作するR3Gaの製造方法。なし

目的

本発明の目的は、トリアルキルガリウム化合物の安価な調製を可能にする改良された方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

一般式R3Ga(式中、Rは、C1〜C5−アルキル基である)で示されるトリアルキルガリウム化合物を調製する方法であって、以下の工程、すなわち、a)補助ベースとしての少なくとも2種のアルカリ金属ハロゲン化物の存在下で三塩化ガリウム(GaCl3)とRaAlClb型(式中、Rは、C1〜C5−アルキル基であり、a=1、2、または3であり、b=0、1、または2であり、かつ和a+b=3である)のアルキルアルミニウム化合物とを反応させる工程と、b)反応混合物を120〜250℃の範囲内の温度に加熱すると同時に、形成されたトリアルキルガリウム化合物(R3Ga)を分離器を介して反応混合物から分離する工程であって、前記分離器は、前記反応混合物中の形成されたRcGaCld型(式中、Rは、C1〜C5−アルキル基であり、c、d=1または2であり、かつc+d=3である)の最も揮発性の部分アルキル化生成物沸点よりも30℃超低い、好ましくは60℃超低い温度で操作される、工程と、を含む方法。

技術分野

0001

本発明は、ガリウムトリアルキル化合物の安価で環境にやさしい調製方法に関する。本化合物は、一般式
R3Ga
(式中、Rは、C1〜C5−アルキル基、好ましくはメチルまたはエチルである)
を有する。

0002

本プロセスは、原理的には、補助ベースとしての少なくとも2種のアルカリ金属ハロゲン化物の存在下でのワンポットプロセスによる三塩化ガリウム(GaCl3)とRaAlClb型(式中、Rは、C1〜C5−アルキル基であり、a=1、2、または3であり、b=0、1、または2であり、かつ和a+b=3である)のアルキルアルミニウム化合物との反応に基づく。三塩化ガリウム(GaCl3)は、任意選択で、RcGaCld型(式中、c、d=1または2であり、かつc+d=3である)の部分アルキル化生成物との混合物で存在可能である。

0003

また、RaAlClb型のアルキルアルミニウム化合物は、化合物R2AlClとRAlCl2との混合物であるとみなしうる式(R3Al2Cl3)で示されるアルキルアルミニウムセスキクロリド包含する。特定的には、Me2AlClとMeAlCl2との1:1混合物またはEt2AlClとEtAlCl2との1:1混合物が存在する、式Me3Al2Cl3およびEt3Al2Cl3で示されるメチルアルミニウムセスキクロリドおよびエチルアルミニウムセスキクロリドが含まれる。

0004

反応混合物を規定の温度に加熱して、分離器を介して反応混合物からトリアルキルガリウム化合物を分離し、同時に、部分アルキル化生成物RcGaCldを反応混合物に再循環することが可能である。さらなる段階では、反応混合物を最高350℃に加熱して、残存するアルキル化生成物(R3Ga)および部分アルキル化生成物(RcGaCld)を分離することが可能である。高いガリウム利用率が本発明に係る方法により確保されるように、これらの化合物を再循環してさらなるバッチで出発材料として使用することが可能である。

0005

本発明は、たとえばトリメチルガリウムの調製において、より高速のプロセスを可能にする。また、安価な出発材料(たとえばメチルアルミニウムセスキクロリド)の使用を目標とすることにより、本方法を工業スケールで安価に行うことが可能になる。さらに、収率が有意に改良される。

0006

本発明に従って調製されるR3Ga型のトリアルキル化合物、とくにトリメチルガリウムおよびトリエチルガリウムは、たとえば半導体工業およびマイクロエレクトロニクス工業で広く普及しているプロセスである有機金属化学気相堆積MOCVD)のための前駆体として好適である。

背景技術

0007

R3Ga型のトリアルキル化合物の種々の調製方法は、先行技術で公知である。ガリウムとジメチル水銀またはジエチル水銀との反応は、公知である。しかしながら、高級アルキル水銀熱不安定性ジアルキル水銀の高毒性、および並外れて遅い反応に起因して、このプロセスは、工業用途に適さない。

0008

さらに、三塩化ガリウムとジアルキル亜鉛との反応により、調製を行うことが可能である。しかしながら、アルキル亜鉛誘導体光感受性が高いので、この方法の有用性は、大幅に制限される。

0009

ハロゲン化ガリウムグリニャール試薬との反応によりアルキルガリウム化合物を調製可能な方法は、同様に公知である。しかしながら、溶媒として使用されるエーテルは、一般にトリアルキルガリウム化合物との安定な付加物を形成し、これを分離するのは困難である。

0010

さらに、三塩化ガリウムとアルキル化試薬としてのトリアルキルアルミニウム化合物とからアルキルガリウム化合物を調製可能な方法は、公知である。この方法では、1個のアルミニウムあたり1個のアルキル基のみがガリウムに移動されるので、トリアルキルアルミニウム化合物を少なくとも3倍過剰で使用しなければならない。式(1):
GaCl3+3R3Al→R3Ga+3R2AlCl (1)
を参照されたい。

0011

それに加えて、公知の方法は、出発材料または生成される生成物を複雑な方法で精製または単離しなければならないので、通常、複数の段階で進行する。さらに、多くの場合、低収率のアルキルガリウム化合物が公知の方法により生成されるにすぎない。

0012

先行技術から公知の方法は、成分の反応および定量的な転化率を確保するために、通常、有機溶媒の存在下で行われる。しかしながら、これによりアルキルガリウム化合物中に有機不純物を生じる可能性がある。これは、アルキルガリウム化合物の純度、ひいては有機金属化学気相堆積プロセス(MOCVD)のための前駆体としてのその好適性に有意な悪影響を及ぼす。したがって、トリアルキルガリウム中のいかなる不純物も、MOCVDプロセスを用いて生成される半導体層(たとえばGaAs)の光学的および電気的な性質に有意な悪影響を及ぼすであろう。

0013

工業的には、現在、トリメチルガリウム(TMG)は、通常、三塩化ガリウムとメチル化試薬としての過剰のトリメチルアルミニウムとから調製される。トリメチルアルミニウムの使用は、これまでは大過剰で使用しなければならなかったという欠点を有する(式(1)参照)。

0014

かくして、(特許文献1)には、トリメチルアルミニウムを用いたトリメチルガリウムの調製方法が記載されている。

0015

(特許文献2)にもまた、メシチレンジクロロベンゼンなどの有機溶媒中における三塩化ガリウムとトリメチルアルミニウムとの反応によるTMGの調製が開示されている。

0016

(特許文献3)には、とくに、溶媒としてのトルエン中における化学量論量のトリエチルアミンの存在下での三塩化ガリウムとトリメチルアルミニウムとからのトリメチルガリウムの調製が記載されている。

0017

J.J.Eischらは、塩化カリウムを添加した溶媒としてのヘキサン中またはペンタン中におけるトリエチルガリウムおよびトリイソブチルガリウムの調製方法を記載している。添加された塩化カリウム(KCl)は、生成されたジアルキルアルミニウム化合物との安定な錯体を形成することにより、この化合物による塩化ガリウムの望ましくない錯体化を防止する。塩溶融物は存在しない。得られる生成物は、一般に溶媒残留物を含有しており、さらなる工程でアルカリ金属フッ化物を用いて再蒸留により精製される(非特許文献1)。

0018

Gainesらもまた、トリメチルアルミニウムからのトリメチルガリウムの調製、さらにはフッ化ナトリウムを用いた後続蒸留、それに続く再蒸留について言及している。TMGの収率は、約63%にすぎない(非特許文献2)。

0019

(特許文献4)には、三塩化ガリウムとトリアルキルアルミニウム化合物またはトリアルキルアルミニウムエーテラートとの反応が記載されている。得られたトリアルキルガリウムは、蒸留により分離され、続いて精留により精製される。

0020

(特許文献5)には、トルエン中におけるトリメチルアルミニウムと三塩化ガリウムとからのTMGの連続調製方法が記載されている。

0021

Starowieyskiらは、過剰の塩化ナトリウムの存在下での三塩化ガリウムとジメチルアルミニウムクロリドとからのTMGの調製を記載している(非特許文献3)。この場合もまた、塩溶融物は存在しない。

0022

(特許文献6)には、補助ベースとしてのアルカリ土類金属塩化物またはアルカリ金属塩化物の存在下でのアルキル化剤としてのアルキルアルミニウムハロゲン化物を用いたガリウムハロゲン化合物からのアルキルガリウム化合物の調製方法が記載されている。反応温度では、アルカリ土類金属塩化物およびアルカリ金属塩化物は、溶媒として使用される塩溶融物を形成する。(特許文献6)には、アルキルガリウム化合物の調製のためのアルキルアルミニウムセスキクロリド(R3Al2Cl3)の使用について言及されている。反応は、部分アルキル化生成物の再循環(分離器)なしで行われ、完全アルキル化生成物のトリメチルガリウムおよびトリエチルガリウムの全収率は、10〜48%である。

0023

米国特許出願公開第2006/0075959A1号明細書
欧州特許出願公開第1489085A1号明細書
米国特許第7,166,734号明細書
独国特許第1158977号明細書
国際公開第00/37475A1号パンフレット
独国特許第4005726号明細書

先行技術

0024

Eisch,J.J.,J.Am.Chem.Soc.,1962,84,3605−3610
Gaines,D.F.,Borlin,J.,Fody,E.P.,Inorganic Syntheses,1974,15,203−207
Starowieyski K.B.et al,Applied Organometallic Chemistry,2000,14,10,616−622

発明が解決しようとする課題

0025

したがって、本発明の目的は、トリアルキルガリウム化合物の安価な調製を可能にする改良された方法を提供することである。とくに、本方法は、トリメチルガリウムおよびトリエチルガリウムの調製に好適でなければならない。本方法は、工業的に容易に入手可能な出発材料の使用に基づくとともに、高価なガリウム出発材料およびアルキルアルミニウム化合物の使用に関連して高収率かつ高効率を確保しなければならない。

課題を解決するための手段

0026

本発明の目的は、本特許請求の範囲に記載の方法により達成される。とくに、本目的は、なかでも使用される出発物質(アルキルアルミニウム化合物、補助ベース)と分離器を用いて反応を行う特定の方法とにより特徴付けられる改良された方法により達成される。

図面の簡単な説明

0027

本発明に係る方法の概略図が与えられている。一例として、Me3Gaの調製が例示されている。

0028

本明細書で頻繁に用いられる用語を以下で簡潔に定義する。

0029

接収率(「粗収率」)とは、本発明に係る方法の工程b)後の収率のことである。

0030

「全収率」という用語は、本方法で得られるトリアルキルガリウムの全収率を意味する。

0031

「アルキル基利用率」という用語は、ガリウムに実際に移動したアルキル基の数と反応に導入されたアルキル基の数との比である。

0032

「ガリウム基準の全転化率」とは、使用されたガリウム含有出発材料の量を基準にした完全アルキル化(R3Ga)ガリウム化合物と部分アルキル化(RcGaCld)ガリウム化合物との合計量のことである。

0033

本発明は、一般式
R3Ga
(式中、Rは、C1〜C5−アルキル基である)
で示されるトリアルキルガリウム化合物の調製方法に関する。本方法は、以下の工程、すなわち、
a)補助ベースとしての少なくとも2種のアルカリ金属ハロゲン化物の存在下で三塩化ガリウム(GaCl3)とRaAlClb型(式中、Rは、C1〜C5−アルキル基であり、a=1、2、または3であり、b=0、1、または2であり、かつ和a+b=3である)のアルキルアルミニウム化合物とを反応させる工程と、
b)反応混合物を120〜250℃の範囲内の温度に加熱すると同時に分離器を介して反応混合物からトリアルキルガリウム化合物(R3Ga)を分離する工程であって、分離器は、反応混合物中の形成されたRcGaCld型(式中、Rは、C1〜C5−アルキル基であり、c、d=1または2であり、かつc+d=3である)の最も揮発性の部分アルキル化生成物の沸点よりも30℃超低い、好ましくは60℃超低い温度で操作される、工程と、
を含む。

0034

本方法は、工程c)、すなわち、
c)反応混合物を165℃〜350℃の範囲内の温度に加熱して、反応混合物から残存するトリアルキルガリウム化合物(R3Ga)および部分アルキル化生成物(RcGaCld)を分離する工程、
をさらに含みうる。

0035

この工程c)では、分離器は、通常、操作されない。しかしながら、1〜10−3mbar(10−3〜10−6bar)の範囲内の微真空高真空を適用して、反応混合物中に依然として存在する残存部分アルキル化化合物(RcGaCld)を分離することが可能である。真空では、より低い温度の使用が可能になるので、経済的かつ安価に本方法を行うことが可能である。残存するトリアルキルガリウム化合物(R3Ga)および部分アルキル化生成物(RcGaCld)のこの単離は、反応器の個別の出口を介して行うことが可能である。

0036

本発明に係る方法は、工程d)、すなわち、
d)さらなるトリアルキルガリウム化合物を生成するために、工程c)で得られたRcGaCld型の部分アルキル化生成物を工程a)の反応混合物で再使用する工程、
をさらに含みうる。

0037

特定の実施形態では、部分アルキル化生成物(RcGaCld)のみを工程a)で使用することが可能であり、三塩化ガリウム(GaCl3)の添加を省略することが可能である。

0038

本方法は、一般的には、三塩化ガリウム(GaCl3)とアルキル化試薬との反応に基づく。反応は、有利にはバッチ方式で操作される反応器内で行われる。

0039

しかしながら、出発材料(三塩化ガリウムおよびアルキルアルミニウム化合物)が断続的に導入されて生成物が連続的に分離される連続プロセスもまた、可能である。この場合、特定のフロー反応器および/またはマイクロ反応器を使用することが可能である。これに必要とされる反応器タイプおよびプロセス技術変更は、当業者に公知である。

0040

反応は、不活性ガス雰囲気アルゴンまたは窒素)中で行われる。工程b)の反応は、好ましくは大気圧(=1±0.2bar)下で行われる。しかしながら、アルキルガリウム化合物の沸点に依存して、中程度の真空(10−3barまで)を適用することも可能である。

0041

本発明は、一般式R3Gaで示されるトリアルキルガリウム化合物の調製方法を提供する。基Rは、一般的には、1〜5個の炭素原子を有するアルキル基(すなわちC1〜C5−アルキル基)である。例は、メチル基エチル基、n−プロピル基イソプロピル基n−ブチル基、イソブチル基、またはtert−ブチル基である。Rは、好ましくはメチル基またはエチル基である。

0042

アルキル化試薬として、原理的には、RaAlClb型(式中、Rは、C1〜C5−アルキル基であり、a=1、2、または3であり、b=0、1、または2であり、かつ和a+b=3である)のすべてのアルキルアルミニウム化合物を使用することが可能である。この式は、トリアルキルアルミニウム化合物(R3Al)の群、ジアルキルアルミニウム化合物(R2AlCl)の群、モノアルキルアルミニウム化合物(RAlCl2)の群、またはそれらの混合物および組合せを包含する。例は、トリメチルアルミニウム(TMA)、ジメチルアルミニウムクロリド、またはトリエチルアルミニウムである。

0043

RaAlClb型のアルキルアルミニウム化合物は、好ましくは、部分アルキル化化合物のR2AlClとRAlCl2との混合物を表す安価なアルキルアルミニウムセスキクロリド(R3Al2Cl3)よりなる群から選択される。例は、メチルアルミニウムセスキクロリド(Me3Al2Cl3)およびエチルアルミニウムセスキクロリド(Et3Al2Cl3)である。これらの出発材料は、トリメチルアルミニウムまたはトリエチルアルミニウムの調製で中間体として形成され、複雑な精製を必要としないという利点を有する。そのような生成物は、種々の製造業者から市販されている。

0044

これらのアルキル化試薬の使用は、資源を節約するより安価な製造プロセスを可能にする。驚くべきことに、たとえば、本発明に係る方法でメチル化試薬としてメチルアルミニウムセスキクロリドを使用した場合、高いアルキル基利用率および非常に良好なガリウム基準の全転化率と共にTMGの高い直接収率を達成可能であることが判明した。

0045

反応工程a)
本発明に係る方法では、アルキルアルミニウム化合物は、三塩化ガリウムに対して化学量論的等価量または過剰量で使用可能である。本特許出願で用いられる「当量」という用語は、化学量論比に対して出発材料のモル量基準のモル比を意味する。トリアルキルガリウム化合物の調製では、好ましい選択肢として、三塩化ガリウム1当量あたり1〜5当量、とくに好ましくは1〜3当量のアルキルアルミニウム化合物を使用することが挙げられる。とくに好ましい実施形態では、三塩化ガリウム1当量あたり1当量のアルキルアルミニウムセスキクロリドが使用される。

0046

反応は、少なくとも1種の補助ベースの存在下で行われる。補助ベースは、少なくとも2種のアルカリ金属ハロゲン化物、好ましくは、少なくとも2種のアルカリ金属塩化物を含む。また、好ましい選択肢として、アルカリ金属塩化物の塩化ナトリウム(NaCl)と塩化カリウム(KCl)との混合物が挙げられる。アルミニウム含有反応生成物とくにAlCl3と一緒になって、これら塩は、反応温度で液体である塩溶融物を形成する。したがって、本発明に係る方法では、追加の有機溶媒を使用しないですますことが可能である。

0047

使用されるアルカリ金属塩化物は、無水でなければならない。本発明の目的では、無水とは、<10ppm、より好ましくは<8ppm、とくに好ましくは<5ppmの水含有率のことである。>10ppmの水含有率では、二次反応を引き起こしてトリアルキルガリウム化合物の収率を低下させたりその品質を損ねたりする可能性がある。

0048

補助ベースは、とくに好ましくは、塩化ナトリウム対塩化カリウムのモル比が6:4〜8:2の範囲内、好ましくは6:3〜8:3の範囲内である塩化カリウムと塩化ナトリウムとの混合物を含む。とくに好ましい実施形態では、NaCl対KClのモル比は、7:3である。これ以降では、補助ベースを略称で「Na/KCl」として参照する。

0049

使用される補助ベースNa/KClの当量と使用されるアルキル化試薬の当量数との比は、好ましくは0.5:1〜3:1、より好ましくは0.75:1〜2.5:1である。とくに好ましい実施形態では、使用される補助ベースNa/KClの当量と使用されるメチル化試薬の当量数との比は、2:1である。

0050

補助ベースは、本質的には、アルキルアルミニウム化合物中のアルミニウム1当量あたり1当量の補助ベースが常に存在するような量で使用される。(例:アルキル化剤トリメチルアルミニウム:1当量のMe3Alあたり1当量のNa/KCl、アルキル化剤Me3Al2Cl3:1当量のMe3Al2Cl3あたり2当量のNa/KCl)。7:3の塩化ナトリウム対塩化カリウムの好ましい比で補助ベースとしてNaClおよびKClを用いる本発明に係る方法の好ましい実施形態では、反応を行ったときに形成される塩化アルミニウムが補助ベースと一緒になって、共晶塩溶融物Na/KAlCl4(AlCl3:NaCl:KClの比=50:35:15)が形成される。かくして、塩溶融物は、120℃超の温度で液体になる。これにより、本発明に係る方法の工程b)でとりわけ高い直接収率のアルキルガリウム化合物の製造が可能になる。

0051

三塩化ガリウムとアルキルアルミニウム化合物との反応は発熱的に進行するので、好ましい実施形態では、最初に、2つの出発材料の1つが補助ベースと一緒に反応器内に配置され、続いて、安全な反応を達成するために、第2の出発材料が最初に仕込まれた混合物中に温度制御下で導入される。工程a)の添加は、反応温度が使用されるアルキルアルミニウム化合物の沸点未満に維持されるように行われる(たとえば、TMAを使用する場合、反応温度は、120℃未満に維持されなければならない)。

0052

本方法の最も単純な実施形態では、固体出発材料が反応器内に取され、続いて、室温で液体であるアルキルアルミニウム化合物が制御下で添加される。三塩化ガリウムと補助ベースとの混合物へのアルキルアルミニウム化合物のこの添加は、一般的には、滴下漏斗を介して行われる。アルキルアルミニウム化合物の添加は、好ましくは、満足すべき混合および定量的な転化率を確保するために三塩化ガリウムと補助ベースとの混合物を撹拌しながら行われる。

0053

本方法の他の変形形態では、アルキルアルミニウム化合物と補助ベースとを含む混合物が最初に仕込まれ、そしてこの混合物中に三塩化ガリウムが温度制御下で導入される。反応工学的観点から液体形態での導入を制御するのはより容易であるので、添加前に三塩化ガリウム(m.p.78℃)を溶融してそれを最初に仕込まれた混合物中に液体形態で導入することが有利である。この変形形態ではまた、添加は、反応温度が使用されるアルキルアルミニウム化合物の沸点未満(すなわち<120℃)に維持されるように行われる。

0054

本方法のさらなる変形形態では、塩溶融物は、出発材料の三塩化ガリウムおよびアルキルアルミニウム化合物の添加前に補助ベースおよび塩化アルミニウムから最初に生成可能である。

0055

工程a)の反応時間は、基本的には、調製されるトリアルキルガリウム化合物のタイプ、バッチサイズ、およびプロセススケールに依存する。実験室スケールでは、0.5〜4時間の範囲内の反応時間が典型的である。他のバッチサイズでは、好適な反応時間は、実験により容易に決定可能である。

0056

反応工程b)
三塩化ガリウムとアルキル化試薬との反応後、反応混合物は、トリアルキルガリウム化合物(R3Ga)の形成および分離のために、工程b)で120℃〜250℃の範囲内、好ましくは125℃〜200℃の範囲内の温度に加熱される。

0057

本発明に係る方法では、反応器上に設置された分離器を介して反応混合物からの分離が行われ、それと同時に、分離器の適正温度プロファイルの選択により、RcGaCld型(式中、c、d=1または2であり、かつc+d=3である)の部分アルキル化生成物が反応混合物に再循環される。結果として、これらの化合物が以下に記載の式(4)に従ってさらなるアルキル化に付されることにより、トリアルキルガリウム化合物(R3Ga)の高い直接収率が達成される。

0058

この分離は、定量的ではなく、好ましくは、アルキル化を完了するために部分アルキル化生成物を反応混合物に再循環する役割を果たす。それに加えて、反応生成物(トリアルキルガリウム化合物R3Ga)が反応混合物から除去されることにより、平衡が反応生成物の方向にシフトする。

0059

本発明に係る方法は、異なる方法で反応を行う点で、とくに「分離器」を使用する点で、独国特許第4005726号明細書に開示されるアルキルガリウム化合物の調製方法とは異なる。本発明に従ってこの分離器を使用することにより、驚くべきことに、所望のトリアルキルガリウム化合物が同等の反応条件下で有意にさらに高い直接収率で得られる。

0060

かくして、たとえば、トリメチルガリウムの場合、分離器を用いたかつ等価量の出発材料(GaCl3/Me3Al2Cl3=1/1)を用いた本明細書に記載の方法により68%の直接収率が達成され、一方、同等のバッチを用いた独国特許第4005726号明細書(実施例4)の報告では、使用された三塩化ガリウムを基準にしてわずか25.6%のトリメチルガリウム収率が得られるにすぎない。独国特許第4005726号明細書の実施例4の再現試験を行ったとき、本発明者らは、トリメチルガリウム収率が21.3%であることを見いだした(比較例CE2参照)。

0061

トリメチルガリウムのこのより高い直接収率の結果として、アルキル基利用率もまた、独国特許第4005726号明細書と比較して有意に増大される。

0062

図1には、本発明に係る方法の概略図が与えられている。一例として、Me3Gaの調製が例示されている。

0063

理解を深めるために、たとえば、GaCl3とMe3Al2Cl3との反応によるトリメチルガリウムの調製に関して、本方法中に進行する反応工程を以下に例示する。原理的には、以下の反応が起こる。
GaCl3+Me3Al2Cl3+2Na/KCl→Me3Ga+2Na/KAlCl4 (2)

0064

しかしながら、反応式(2)は、反応が不正確かつ不完全に進行する形で示されているにすぎない。かくして、アルミニウムからガリウムへのすべてのメチル基の直接移動は観察できないが、その代わりに、120℃未満の温度ではジメチルガリウムクロリド(Me2GaCl)が形成される部分アルキル化(式(3)参照)のみが最初に起こる。
GaCl3+Me3Al2Cl3+2Na/KCl→Me2GaCl+Na/KMeAlCl3+Na/KAlCl4 (3)

0065

一方、モノメチル化種のメチルガリウムジクロリド(MeGaCl2)の存在は、一般的には観察されない。次いで、反応溶融物を120℃超、好ましくは125℃超の温度に加熱した場合、部分アルキル化種は、反応溶融物中に依然として存在するアルキル基によりさらにアルキル化されてトリメチルガリウムを形成する(式(4)参照)。
Me2GaCl+Na/KMeAlCl3→Me3Ga+Na/KAlCl4 (4)

0066

反応混合物のこの加熱なしでは、第2のアルキル化工程は起こらず、Me3Al2Cl3へのGaCl3の添加直後の生成物としてMe2GaClのみが単離可能であるにすぎない。

0067

また、加熱中、主にジメチルガリウムクロリドおよび形成されたごく少量のトリメチルガリウムが反応溶融物中に存在する。加熱中の支配的な高温の結果として、形成されたトリメチルガリウムは、ただちに反応溶融物から留去される。

0068

しかしながら、トリメチルガリウムの形成および遊離は、主要な部分アルキル化種のジメチルガリウムクロリドの沸点範囲(Me2GaCl、b.p.167〜168℃)が同様に位置する温度範囲内でのみ起こるので、独国特許第4005726号明細書に記載の方法では、常に、完全アルキル化生成物と部分アルキル化生成物との混合物が単離される。

0069

生成物の関数として好適な温度範囲内で操作される分離器を使用した場合にのみ、反応混合物から部分アルキル化種の同時分離を伴うことなく所望のトリアルキルガリウム化合物を単離することが可能である。反応混合物中への部分アルキル化化合物の再循環(分離器を利用して行われる)の結果として、これは、式(4)に従ってさらなるアルキル化に有利に付されるので、トリアルキルガリウム化合物の達成可能な収率は、本発明に従って分離器を使用することにより文献の方法と比較して有意に増大されうる。

0070

当業者であれば、使用されるアルキル当量の利用率もまた有意に増大されるという事実を重視するであろう。かくして、三塩化ガリウムからトリメチルガリウムを調製するために文献で公知の方法によりトリメチルアルミニウムを使用した場合には、3個のメチル基のうち1個のみがアルミニウムからガリウムに移動し、一方、本発明に係る方法では、実質的にすべてのメチル基がアルミニウムから移動しうる。したがって、本発明に係る方法によれば、高価なアルキル化試薬を節約できるので、独国特許第4005726号明細書に記載の従来の方法よりも優れた有意な改良が提供される。また、アルキル化試薬としてTMAを利用する文献から公知の方法と比較して、かなりの改良が達成される。

0071

実験室スケールでは、本方法は、撹拌機と滴下漏斗と分離器とさらなる出口とを備えた四口フラスコ内で行うことが可能である。任意選択で、プロセス工学の観点から対応するパイロットプラントに変更を加えることが可能であり、その場合、耐食性材料を使用すべきである。また、適切な変更を行って、工業生産プラント連続操作用に設計することが可能である。

0072

反応工程a)で形成されたトリアルキルガリウム化合物は、反応器内に残存する残留混合物から単離される。好ましくは、単離は、原理的には異なる沸点範囲に基づいて各成分の分離を可能にする加熱分離エレメントに相当する分離器を用いて蒸留により行われる。たとえば、実験室スケールでは、加熱充填または加熱還流冷却器を使用することが可能である。パイロットプラントスケールまたは工業生産では、それらの工業実施形態で適切に寸法決めされた分離エレメントを使用すべきである。

0073

本発明によれば、分離器は、反応混合物中の形成された最も揮発性の部分アルキル化ガリウム化合物RcGaCld(式中、c、d=1または2、かつc+d=3)の沸点よりも30℃超低い、好ましくは60℃超低い温度で操作される。

0074

さらに、分離器は、一般的には、反応混合物中の形成されたトリアルキルガリウム化合物R3Gaの沸点よりも5〜40℃高い、好ましくは10〜25℃高い温度に加熱される。

0075

トリメチルガリウム(TMG、b.p.56℃)の場合、分離器は、大気圧(=1±0.2bar)で60〜90℃の範囲内の温度、好ましくは70〜80℃の範囲内の温度に加熱される。とくに好ましくは、約70℃で操作される。この温度は、TMGの沸点よりも14℃高く、かつジメチルガリウムクロリドの沸点(b.p.167〜168℃)よりも98℃低い。分離器を利用したTMGの蒸留による単離は、好ましくは大気圧下で行われる。

0076

トリエチルガリウム(TEG、b.p.143℃)の場合、大気圧(=1±0.2bar)でプロセスを行うときは、分離器は、150〜180℃の範囲内の温度、好ましくは155〜170℃の範囲内の温度に加熱される。しかしながら、トリエチルガリウムの調製では、本発明に係る方法は、好ましくは、減圧下で工程b)が行われ、分離器の温度は、部分アルキル化生成物の低減された沸点に適合化される。したがって、ジエチルガリウムクロリドの沸点は、60〜62℃(3mbarで)である。

0077

TEGの調製では、1mbar(10−3bar)までの範囲内の減圧で100〜160℃の範囲内、好ましくは120〜150℃の範囲内の分離器温度が本発明に係る方法に有用であることが判明した。

0078

トリ(tert−ブチル)ガリウム(5mbarでb.p.69〜73℃)を調製する場合、工程b)は、同様に、好ましくは1mbar(10−3bar)までの範囲内の減圧下で行われる。

0079

反応工程c)
本発明に係る方法の工程b)のトリアルキルガリウム化合物の単離が終了した後、反応混合物は、工程c)で165℃〜350℃の範囲内の温度、好ましくは180℃〜250℃の範囲内の温度にさらに加熱されうる。この際、残存するトリアルキルガリウム化合物(R3Ga)および部分アルキル化生成物RcGaCldは、反応混合物から分離される。この単離は、好ましくは減圧を適用して、蒸留により行われる。好ましい選択肢としては、1〜10−3mbarの範囲内の微真空〜高真空を選択することが挙げられる。これにより、反応混合物からすべての揮発性化合物を実質的に完全に除去することが可能であり、補助ベースと反応で形成された塩化アルミニウムとから形成された完全無機塩溶融物が残留物として残存する。

0080

減圧により比較的低い温度の使用が可能になるので、経済的かつ安価に本方法を行うことが可能である。トリアルキルガリウム化合物(R3Ga)と部分アルキル化生成物RcGaCldとの混合物の単離は、好ましくは、反応器の個別の出口を介して行われる。

0081

反応工程d)
本方法の好ましい変形形態では、工程c)で反応混合物からの分離により単離された部分アルキル化生成物(RcGaCld)(一般的には、少量のトリアルキルガリウム化合物(R3Ga)との混合物で存在する)は、工程d)でさらなるバッチで再使用される。この際、プロセス工程a)の三塩化ガリウム(GaCl3)は、RcGaCld型の部分アルキル化生成物により完全にまたは部分的に置き換えることが可能である。

0082

高価なガリウム化合物のこの任意選択の再循環により、本発明に係る方法は、とりわけ経済的になる。さらに、たとえばTMGの場合、ガリウム利用率および全TMG収率がさらに増大されうる。

0083

本発明によれば、反応温度で液体である塩溶融物は、工程a)〜d)を行った後、残留混合物として残存する。一般的には、比較的多量の自燃性アルキル金属化合物が残留混合物中に残存することはない。これには、複雑でコストのかかる廃棄処理をしないですむという利点がある。特定的には、残留混合物は、組成Na/K[AlCl4]、Na/K[MeAlCl3]の塩様化合物およびそれらの混合物を含む。

0084

また、本発明に係る方法の個別の反応工程a)、b)、ならびに任意選択でc)およびd)は、所要により、記載順に時間的に独立して(たとえば、個別の工程間に保持時間をもたせて)複数のサブ工程で行うことが可能である。

0085

まとめ
本発明は、一般式R3Gaで示されるトリアルキルガリウム化合物の調製方法に関する。本方法は、補助ベースとしての少なくとも2種のアルカリ金属ハロゲン化物(たとえば、NaClおよびKCl)の存在下での、三塩化ガリウム(GaCl3)、任意選択で部分アルキル化生成物との混合物と、RaAlClb型(式中、R=C1〜C5−アルキル、a=1、2、または3、b=0、1、または2、かつa+b=3)のアルキルアルミニウム化合物と、の反応に基づく。好ましい選択肢としては、アルキルアルミニウムセスキクロリド(R3Al2Cl3)またはトリアルキルアルミニウム(R3Al)を使用することが挙げられる。反応混合物は、120℃〜250℃の範囲内の温度に加熱され、形成されたトリアルキルガリウム化合物は、最も揮発性の部分アルキル化生成物の沸点よりも30℃超低い温度で操作される分離器を介して分離される。

0086

この際、完全アルキル化が達成され、部分アルキル化生成物が反応混合物に再循環される。さらなる工程では、反応混合物を最高350℃に加熱して、残存する完全アルキル化生成物および部分アルキル化生成物を分離することが可能である。

0087

本方法は、高収率のトリアルキルガリウム化合物を与え、かつ高いガリウム利用率を呈し、生成物は、MOCVDプロセスのための前駆体として使用される。

0088

独国特許第4005726号明細書に記載の従来の方法と比較して、本発明に係る方法によるトリアルキルガリウム化合物(とくにTMG)の調製では、60〜90%の範囲内の非常に高い直接収率を達成することが可能である。本発明の目的では、直接収率(「粗収率」)とは、本方法の工程b)後の収率のことである。直接収率で存在するトリアルキルガリウム化合物は、一般的には、0.1〜1wt.−%のジアルキル化生成物を含有する(1H−NMRにより測定)。

0089

全収率を計算するために、本方法の工程c)で単離されたいずれのトリアルキルガリウム化合物をも含める。このようにして、99%までの全収率(TMGの場合、Ga基準)が得られる。ガリウム利用率を計算するために、得られたトリアルキルガリウム化合物および部分アルキル化化合物の収率を加算する。

0090

本発明に係る方法から得られたトリアルキルガリウム化合物は、MOCVD工業で使用するのに必要な6N純度(ガリウム基準で99.9999%の純度に対応する)を達成するために、一般的には後続工程で精密精製に付される。これは、一般的には、任意選択で複数の工程の精留および/または蒸留である。好適なさらなる精製プロセスは、文献に記載されている。

0091

トリアルキルガリウム化合物、とくに、トリメチルガリウム(TMG)、トリエチルガリウム(TEG)、またはトリ−tert−ブチルガリウムは、たとえば、GaAsで構成される半導体層を製造するために、たとえば、有機金属化学気相堆積(MOCVD)のための有機金属前駆体として使用される。それらから最終的に製造される半導体層(III/V半導体など)は、さまざまな工業用途を有する。

0092

次に、以下の実施例により本発明をより詳細に説明するが、これらの実施例は、本発明および得られた請求項の範囲を限定するものではなく、例示的なものとみなされる。

0093

一般的事項
調製されるアルキル金属化合物および合成に使用されるアルキルアルミニウム化合物は、自燃性である。したがって、作業はすべて、空気および湿気を厳密に排除して保護ガス(アルゴン、窒素)を用いて行われる。

0094

実施例1
トリメチルガリウム(TMG)の調製
117.3g(0.57mol、1当量)のメチルアルミニウムセスキクロリド(Me3Al2Cl3、Chemtura Organometallics GmbH,Bergkamen,DE)、46.6g(0.80mol、1.4当量)の無水NaCl(Merck、水含有率<5ppm)、および25.5g(0.34mol、0.6当量)の無水KCl(Merck、水含有率<5ppm)を、撹拌機と加熱可能滴下漏斗と70℃に維持された分離器とそのほかにさらなる出口とを備えた500ml四口フラスコ内の不活性ガス(アルゴン、純度6.0)下に配置する。

0095

撹拌しながら、反応混合物の温度が120℃を超えないように、100.0g(0.57mol)の溶融GaCl3(高純度MCPGroup,Tilly,BE)を90℃に加熱された滴下漏斗から添加する。GaCl3対Me3Al2Cl3の当量比は、1:1である。

0096

後続の加熱中、Me3Gaを約155℃超で単離することが可能である。分離器を介する生成物の単離の終点は、190℃>への反応内部温度の急激な上昇により同定される。69.6%の直接収率に対応する45.4gのMe3Gaが得られる。続いて、減圧(10−3mbar、オイルポンプ)を適用することにより、第2の出口を介して残存するガリウム含有化合物を反応混合物から除去する(22.4g、Me3GaとMe2GaClとの混合物)。

0097

全収率は、Me3Gaが75.1%である。したがって、Me2GaClが24.7%であることを考慮して、Ga基準の全転化率は、99.8%である。直接収率として単離された粗Me3Gaは、不純物として0.3wt.−%のMe2GaClを含有する(1H−NMRにより測定)。Me3GaとMe2GaClとの混合物は、他のバッチで再使用される(実施例2参照)。

0098

実施例2
TMGの調製(再使用による)
183.1g(1.04mol)のGaCl3、92.9g(1.59mol)の無水NaCl、50.8g(0.68mol)の無水KCl、さらには40.4g(0.3mol)のMe2GaClおよび5.5g(0.05mol)のMe3Ga(前の実験から単離された混合物)を、撹拌機と滴下漏斗と70℃に維持された分離器とそのほかにさらなる出口とを備えた500ml四口フラスコ内の不活性ガス下に配置する。

0099

撹拌しながら、反応混合物の温度が120℃を超えないように、233g(1.14mol)のMe3Al2Cl3を添加する。後続の加熱中、Me3Gaを単離する(99.3g、61.7%の直接収率に対応する)。

0100

反応温度が190℃に達したとき、分離器による生成物の単離を停止し、減圧を適用することにより第2の出口を介して残存するガリウム含有化合物(残留物)を残留混合物から単離する(70.0g、Me3GaとMe2GaClとの混合物)。

0101

全収率は、Me3Gaが64.0%である。Me2GaClが35.8%であることを考慮して、全転化率(Ga基準)は、99.8%である。

0102

直接収率から単離された粗製物Me3Gaは、0.8wt.−%のMe2GaClを含有する(1H−NMRにより測定)。Me3GaとMe2GaClとの単離された混合物は、記載の手順と類似の方法でさらなるパスで再循環される。

0103

実施例3
TMGの調製(当量比=1:3)
45.0g(0.26mol)のGaCl3、62.7g(1.07mol、4.2当量)の無水NaCl、および34.3g(0.46mol、1.8当量)の無水KClを、撹拌機と滴下漏斗と70℃に維持された分離器とを備えた500ml四口フラスコ内のアルゴン下に配置する。

0104

撹拌しながら、反応混合物の温度が120℃を超えないように、162.8g(0.79mol、3当量)のMe3Al2Cl3を添加する。後続の加熱中、Me3Gaを単離する(26.6g、88%の直接収率のMe3Gaに対応する)。

0105

分離器による生成物の単離が完了した後、減圧を適用することにより第2の出口を介して残存するガリウム含有化合物を残留混合物から除去する(6.9g)。

0106

合計で、99.0%のMe3Gaおよび0.9%のMe2GaClが単離され、全転化率(Ga基準)は99.9%である。単離された粗製物Me3Gaは、0.7wt.−%のMe2GaClおよび1.4wt.−%のMe2AlClを含有する(1H−NMRにより測定)。

0107

実施例4
トリエチルガリウム(TEG)の調製
68.9g(0.39mol)のGaCl3、の32.0g(0.55mol、1.4当量)無水NaCl、および17.5g(0.23mol、0.6当量)の無水KClを、撹拌機と滴下漏斗と130℃に維持された分離器とを備えた500ml四口フラスコ内のアルゴン下に配置する。

0108

撹拌しながら、反応混合物の温度が120℃を超えないように、120.2g(0.47mol、1.2当量)のエチルアルミニウムセスキクロリド(Et3Al2Cl3)を添加する。続いて、300mbarの減圧を適用しながら反応混合物を加熱することにより、Et3Gaを単離する(46.6g、直接収率75.9%)。分離器を介する生成物の単離が完了した後、高真空(10−3mbar)下で第2の出口を介して残存するガリウム含有化合物を反応混合物から除去する(14.6g、Et3GaとEt2GaClとの混合物)。

0109

合計では、80.9%のEt3Gaおよび19%のEt2GaClが単離され、全収率(Ga基準)は99.9%である。単離された粗Et3Gaは、2.6wt.−%のEt2GaClを含有する(1H−NMRにより測定)。

0110

実施例5
TMGの調製(当量比=1:1.5)
170g(0.97mol)のGaCl3、118.5g(2.03mol、2.1当量)の無水NaCl、および64.9g(0.87mol、0.9当量)の無水KClを、撹拌機と滴下漏斗と70℃に維持された分離器とを備えた500ml四口フラスコ内のアルゴン下に配置する。

0111

撹拌しながら、反応混合物の温度が120℃を超えないように、289.1g(1.45mol、1.5当量)のMe3Al2Cl3を添加する。後続の加熱中、Me3Gaを単離する(97.8g、直接収率87%)。続いて、減圧を適用することにより第2の出口を介して残存するガリウム含有化合物を残留混合物から除去する(14.8g、Me3GaとMe2GaClとの混合物)。

0112

合計では、99.6%のGa利用率に対応する95.6%のMe3Gaおよび4%のMe2GaClが単離される。単離された粗製物Me3Gaは、不純物として<0.7wt.−%のMe2GaClを含有する(1H−NMR)。

0113

実施例6
TMGの調製(メチル化試薬としてMe3Alを使用)
150g(0.85mol)のGaCl3、34.9g(0.60mol、0.7当量)の無水NaCl、および19.1g(0.26mol、0.3当量)の無水KClを、撹拌機と滴下漏斗と70℃に維持された分離器とを備えた500ml四口フラスコ内のアルゴン下に配置する。

0114

撹拌しながら、反応混合物の温度が120℃を超えないように、62.9g(0.85mol、1当量)のMe3Al(Sigma Aldrich)を添加する。後続の加熱中、Me3Gaを単離する(68.3g、直接収率69.6%)。続いて、減圧を適用することにより第2の出口を介して残留ガリウム含有化合物を残留混合物から除去する(34.5g、Me3GaとMe2GaClとの混合物)。

0115

合計では、96.9%のGa利用率に対応する71.3%のMe3Gaおよび25.6%のMe2GaClが単離される。単離された粗製物Me3Gaは、不純物として<0.2wt.−%のMe2GaClを含有する(1H−NMR)。

0116

比較例CE1
分離器を使用しないTMGの調製
20.0g(0.11mol)のGaCl3、9.49g(0.16mmol、1.4当量)の無水NaCl、および5.16g(0.07mol、0.6当量)の無水KClを、撹拌機と滴下漏斗とを備えた100ml三口フラスコ内のアルゴン下に配置する。撹拌しながら、反応混合物の温度が120℃を超えないように、23.1g(0.11mol、1当量)のMe3Al2Cl3を添加する。GaCl3対Me3Al2Cl3の当量比は、1:1である(実施例1参照)。

0117

続いて、反応混合物を180℃に加熱し、Me3GaとMe2GaClとの11.28gの生成物混合物を留去する。180℃で2時間後、減圧(10−3mbar、オイルポンプ)を適用することにより、残留ガリウム含有化合物を反応混合物から除去する(2.16g、Me2GaCl)。第1の画分として得られた生成物混合物を高真空中で低温蒸留により分離する。9.61gのMe3Gaおよび1.67gのMe2GaClが得られる。分離されたMe3Gaは、依然として9.8wt.−%のMe2GaClを含有する(1H−NMRにより測定)。依然として存在するMe2GaCl不純物を考慮して、全収率は、Me3Gaが65.1%である。したがって、Me2GaClが32.3%であることを考慮して、Ga基準の全転化率は、97.4%である。

実施例

0118

比較例CE2
(独国特許第4005726号明細書の実施例4に係るTMG)
撹拌機と熱電対と滴下漏斗とを備えた500ml四口フラスコにGaCl3(50.0g、0.28mol)を仕込み、滴下漏斗を介してメチルアルミニウムセスキクロリド(58.3g、0.28mol、1当量)を滴下する。反応混合物を室温に冷却した後、フラスコグローブボックスに移動して、無水NaCl(23.2g、0.40mol、1.4当量)および無水KCl(12.7g、0.17mol、0、6当量)を添加する。滴下漏斗をコールドトラップが装着されたクライゼンヘッド交換する。この装置をグローブボックスから取り出し、一定した撹拌下で反応混合物を350℃に徐々に加熱する。100〜120℃の温度で、反応混合物が液体になり、155〜160℃で、透明液体が留去し始めて氷冷コールドトラップ中に捕集される。室温で部分的に固体の全量36.9gの捕集された生成物は、21.3%のMe3Gaと78.7%のMe2GaClとを含有するMe3GaとMe2GaClとの混合物としてNMRにより同定される。

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