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技術 炭素繊維強化・改質ポリプロピレン系樹脂の射出成形方法

出願人 エフテックス有限会社株式会社中屋敷技研
発明者 藤巻隆唐島昭夫工藤真明掛端康成高村智美赤坂幸介
出願日 2016年1月26日 (6年1ヶ月経過) 出願番号 2016-024098
公開日 2017年8月3日 (4年6ヶ月経過) 公開番号 2017-132239
状態 特許登録済
技術分野 プラスチック等の射出成形 強化プラスチック材料 高分子物質の処理方法 プラスチック等の成形材料の処理、取扱一般
主要キーワード 寸法測定法 切抜く 最優先候補 航空機機体 炭素繊維強化複合材 熱可塑性複合材 ラジエーターコア 摺動ストローク
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課題

ポリプロピレン樹脂は、比重0.90と軽く成形加工性に優れており、炭素繊維強化によって一層の高強度化が期待され、またその軽量化とリサイクル性も期待されている。鉄やコンクリートよりも耐食性である特徴も生かして、海洋土木資材高層建築資材鉄道車両資材、自動車用資材およびその他先端材料としての用途が拡大することが期待される。しかしながら、炭素繊維が高価であり、無極性ポリプロピレンとの密着性が不良のため、大量採用に至っていない。

解決手段

ポリプロピレン系樹脂反応押出法マレイン酸化合物有機過酸化物高速度に改質し、他方ラージトウ方式で大量生産される安価な炭素繊維チョップ混練りした。その際に、繊維長が半分残存する押出機を使用し、両原料からペレット化を経ずに直接に射出成形体とした。高速度成形によるコストダウンと長い繊維の残存による機械的物性の改善が実現した。

概要

背景

従来、ポリプロピレン樹脂は、五大汎用熱可塑性樹脂一種としてその成形加工性の良さと軽量性機械的強度剛性等に優れた物性を有し、繊維、フィルムプラスチックス等として広範囲に使用されている。特に、プラスチックス分野では、成形品ボトルシート容器日用品、自動車内装材およびバンパー機械部品電気電子材料建材土木材、各種工業用品等に広く活用されている。
また、ポリプロピレン樹脂は、更にガラス繊維または炭素繊維を混合して熱可塑性複合材にする事に依り、機械的強度や耐熱性等の諸特性が改善され、一層高級な用途に使用されて来ている。特に、ガラス繊維が安価であるので、これで強化された複合材が大量に使用されている。一方、炭素繊維は高強度であるがあまりにも高価格であるために用途が限定されており、ABS樹脂との複合材として特殊用途に少量にしか使用されて来なかった。
近年、土木・建築、自動車産業新幹線車両業、宇宙航空産業、リニヤーモーターカー等の先端産業分野に於いては、構成材料の機械的強度の改善による一層の軽量化・省エネルギー化をはじめ、耐食性電気特性、耐熱性、放熱性等の一層の性能改善が求められている。

本発明者らは、先の先行発明として特許文献1および特許文献2に示される様に、ポリエステル樹脂末端カルボキシル基を保有する中分子量体反応押出法を採用し、エポキシ樹脂結合剤鎖延長剤とも称す)および触媒に依り、ポリエステル同士を反応させて数分以下の短時間で高分子量化する高生産性を実現し、コンパクトで安価な設備を使用する反応押出法による製造法を提供した。また、本発明者らは、特許文献3に示される様に、ポリエチレンテレフタレート(PETと略称)に回収炭素繊維・6mm長の15および30重量%をエポキシ樹脂系結合剤(鎖延長剤)および触媒の存在下に二軸押出機で反応押出法にて反応させて、回収炭素繊維強化改質ぺっと樹脂とし、それらの機械的強度を引張強度で約2倍から2.4倍および曲げ弾性率で約4倍から6.8倍に大幅改善している。また、本発明者は、特許文献4では、ラージトウ(Large Tow:LTと略称)のPAN系レーヨン原糸とした安価な炭素繊維チョップ(6mm長、米国ZOLTEK社製、50,000本束:50K−LT)を使用し、同様にして炭素繊維強化・改質ぺっと樹脂とし、15%および30%含有物の機械的強度を引張強度で約3倍から4倍および曲げ弾性率で約6倍から10倍に一層大幅に改善している。
これらの先行発明により、カルボキシル基を含有する熱可塑性樹脂と炭素繊維とは、極めて密着性が良くて機械的強度が大幅に改善出来ることが実証された。しかしながら、耐衝撃強度の改善は不充分であった。その原因は、従来の押出装置では、炭素繊維チョップ(6mm長)とペット樹脂の加熱、混練物として製造されたペレットにおいて、その繊維長か約0.3mm長に激減したからであった。また一方、ぺっと樹脂は、その比重1.35がポリプロピレンの比重0.90に比べると約4割も大きく重いので、高強度ではあるが軽量化には必ずしも適しないことが指摘された。

ポリプロピレンについては、表面処理されたガラス繊維とは親和性が高いのでガラス繊維強化ポリプロピレンが以前から使用されて来た。しかしながら、ガラス繊維強化ポリプロピレンをペレットにする際に押出装置のスクリューで繊維長が1/10程度(3mm長チョップが0.3mmの残存長)にまで破砕・短縮される。従って、本来期待された機械的物性が得られなかった。
それを改善したのが特許文献5に示される様に、ガラス繊維の長繊維の束(束捲体100個から100本)をクロスヘッドダイに通して引きながら溶融したポリプロピレンで含浸被覆して、冷却後に所定の長さのペレットに裁断する方法を発明した。これにより、約3−20mm長の繊維を含むペレットが得られ、それら機械的物性が改善された(Long Fiber Thermoplastics:LFT法)。
炭素繊維強化ポリプロピレンについても、特許文献6に示される様に同様なクロスヘッドダイ方式にて炭素繊維の長繊維の束(ピッチ系12,00本束、PAN系12,00本束)をクロスヘッドダイに通して引きながら溶融したポリプロピレンで含浸・被覆して、冷却後に所定の長さのペレットに裁断(ピッチ系ペレット11mm長、PAN系ペレッ8mm長)した。得られたペレットの射出成形体残存繊維長は、0.53mm−2.45mmにまで改善され、機械的物性も改善され、特にシャルビー衝撃強さが7.1−20KJ/m2にまで改善されている。
他方、特許文献7によれば、ガラス繊維の破断が少ない特定のスクリューを使用し、ガラス繊維とポリプロピレンを直接に押出装置に供給し、ペレットにせずに、射出成形体を製造出来る装置を発明した。ガラス繊維のチョップ長 8、9、12mmの40%含有物をスクリュー径60mmの押出機で、射出成形体を製造した。ガラス繊維のチョップ長8、9、12mmに対して、成形体の残存繊維長は、夫々約4.3、4.8、6.4mmにまで保持された。炭素繊維の実施例は無い。

概要

ポリプロピレン樹脂は、比重0.90と軽く成形加工性に優れており、炭素繊維強化によって一層の高強度化が期待され、またその軽量化とリサイクル性も期待されている。鉄やコンクリートよりも耐食性である特徴も生かして、海洋土木資材高層建築資材鉄道車両資材、自動車用資材およびその他先端材料としての用途が拡大することが期待される。しかしながら、炭素繊維が高価であり、無極性のポリプロピレンとの密着性が不良のため、大量採用に至っていない。ポリプロピレン系樹脂を反応押出法でマレイン酸化合物有機過酸化物高速度に改質し、他方ラージトウ方式で大量生産される安価な炭素繊維チョップと混練りした。その際に、繊維長が半分残存する押出機を使用し、両原料からペレット化を経ずに直接に射出成形体とした。高速度成形によるコストダウンと長い繊維の残存による機械的物性の改善が実現した。なし

目的

本発明は、軽量化、高強度、リサイクル可能の炭素繊維強化・改質ポリプロピレン系樹脂の射出成形体を製造するに際し、繊維と改質ポリプロピレン系樹脂とを直接的に加熱、溶融混練して繊維の切断を抑えて射出成形体を製造する方法を提供する

効果

実績

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請求項1

(A)ポリプロピレン系樹脂100重量部、(B)ポリプロピレン粉体樹脂1−20重量部、(C)有機不飽和酸化合物0.1〜3重量部、(D)有機過酸化物0.01〜0.50重量部、(E)展着剤0.01〜1重量部から構成される混合物を、反応押出法によりポリプロピレンの融点以上の温度で反応させてJIS−K7210法に準拠したMFR(230℃、荷重2.16Kg)を10〜40g/10分とした改質ポリプロピレン炭素繊維チョップとを、繊維の切断の少ないスクリューを保持する押出装置を使用して加熱混合させて成形することを特徴とする炭素繊維強化改質ポリプロピレン樹脂射出成形体の製造方法。

請求項2

前記の炭素繊維(F)が、フィラメント数50,000本以上、比重1.5−2.2、繊維径7−18μm、引張強度580−4,200MPa、引張弾性率35−250GPa、伸び0.3−3パーセント炭素含有率95%以上を有し、ラージトウから高速度に製造された長さ0.1−20mmの炭素繊維チョップを含有することを特徴とする請求項1に記載の炭素繊維強化・改質ポリプロピレン樹脂の射出成形体の製造方法。

請求項3

炭素繊維チョップの残存繊維長が1/2−1/3存在することの出来る繊維が切断されることが少ないスクリューを保持する押出装置を使用して改質ポリプロピレン樹脂を200−260℃で加熱混合させながら直接的に成形加工することを特徴とする請求項1に記載の炭素繊維強化・改質ポリプロピレン樹脂の射出成形体の製造方法。

技術分野

0001

本発明は、軽量化、高強度、リサイクル可能の炭素繊維強化改質ポリプロピレン系樹脂射出成形体を製造するに際し、繊維と改質ポリプロピレン系樹脂とを直接的に加熱、溶融混練して繊維の切断を抑えて射出成形体を製造する方法を提供することに関する。

背景技術

0002

従来、ポリプロピレン樹脂は、五大汎用熱可塑性樹脂一種としてその成形加工性の良さと軽量性機械的強度剛性等に優れた物性を有し、繊維、フィルムプラスチックス等として広範囲に使用されている。特に、プラスチックス分野では、成形品ボトルシート容器日用品、自動車内装材およびバンパー機械部品電気電子材料建材土木材、各種工業用品等に広く活用されている。
また、ポリプロピレン樹脂は、更にガラス繊維または炭素繊維を混合して熱可塑性複合材にする事に依り、機械的強度や耐熱性等の諸特性が改善され、一層高級な用途に使用されて来ている。特に、ガラス繊維が安価であるので、これで強化された複合材が大量に使用されている。一方、炭素繊維は高強度であるがあまりにも高価格であるために用途が限定されており、ABS樹脂との複合材として特殊用途に少量にしか使用されて来なかった。
近年、土木・建築、自動車産業新幹線車両業、宇宙航空産業、リニヤーモーターカー等の先端産業分野に於いては、構成材料の機械的強度の改善による一層の軽量化・省エネルギー化をはじめ、耐食性電気特性、耐熱性、放熱性等の一層の性能改善が求められている。

0003

本発明者らは、先の先行発明として特許文献1および特許文献2に示される様に、ポリエステル樹脂末端カルボキシル基を保有する中分子量体反応押出法を採用し、エポキシ樹脂結合剤鎖延長剤とも称す)および触媒に依り、ポリエステル同士を反応させて数分以下の短時間で高分子量化する高生産性を実現し、コンパクトで安価な設備を使用する反応押出法による製造法を提供した。また、本発明者らは、特許文献3に示される様に、ポリエチレンテレフタレート(PETと略称)に回収炭素繊維・6mm長の15および30重量%をエポキシ樹脂系結合剤(鎖延長剤)および触媒の存在下に二軸押出機で反応押出法にて反応させて、回収炭素繊維強化・改質ぺっと樹脂とし、それらの機械的強度を引張強度で約2倍から2.4倍および曲げ弾性率で約4倍から6.8倍に大幅改善している。また、本発明者は、特許文献4では、ラージトウ(Large Tow:LTと略称)のPAN系レーヨン原糸とした安価な炭素繊維チョップ(6mm長、米国ZOLTEK社製、50,000本束:50K−LT)を使用し、同様にして炭素繊維強化・改質ぺっと樹脂とし、15%および30%含有物の機械的強度を引張強度で約3倍から4倍および曲げ弾性率で約6倍から10倍に一層大幅に改善している。
これらの先行発明により、カルボキシル基を含有する熱可塑性樹脂と炭素繊維とは、極めて密着性が良くて機械的強度が大幅に改善出来ることが実証された。しかしながら、耐衝撃強度の改善は不充分であった。その原因は、従来の押出装置では、炭素繊維チョップ(6mm長)とペット樹脂の加熱、混練物として製造されたペレットにおいて、その繊維長か約0.3mm長に激減したからであった。また一方、ぺっと樹脂は、その比重1.35がポリプロピレンの比重0.90に比べると約4割も大きく重いので、高強度ではあるが軽量化には必ずしも適しないことが指摘された。

0004

ポリプロピレンについては、表面処理されたガラス繊維とは親和性が高いのでガラス繊維強化ポリプロピレンが以前から使用されて来た。しかしながら、ガラス繊維強化ポリプロピレンをペレットにする際に押出装置のスクリューで繊維長が1/10程度(3mm長チョップが0.3mmの残存長)にまで破砕・短縮される。従って、本来期待された機械的物性が得られなかった。
それを改善したのが特許文献5に示される様に、ガラス繊維の長繊維の束(束捲体100個から100本)をクロスヘッドダイに通して引きながら溶融したポリプロピレンで含浸被覆して、冷却後に所定の長さのペレットに裁断する方法を発明した。これにより、約3−20mm長の繊維を含むペレットが得られ、それら機械的物性が改善された(Long Fiber Thermoplastics:LFT法)。
炭素繊維強化ポリプロピレンについても、特許文献6に示される様に同様なクロスヘッドダイ方式にて炭素繊維の長繊維の束(ピッチ系12,00本束、PAN系12,00本束)をクロスヘッドダイに通して引きながら溶融したポリプロピレンで含浸・被覆して、冷却後に所定の長さのペレットに裁断(ピッチ系ペレット11mm長、PAN系ペレッ8mm長)した。得られたペレットの射出成形体の残存繊維長は、0.53mm−2.45mmにまで改善され、機械的物性も改善され、特にシャルビー衝撃強さが7.1−20KJ/m2にまで改善されている。
他方、特許文献7によれば、ガラス繊維の破断が少ない特定のスクリューを使用し、ガラス繊維とポリプロピレンを直接に押出装置に供給し、ペレットにせずに、射出成形体を製造出来る装置を発明した。ガラス繊維のチョップ長 8、9、12mmの40%含有物をスクリュー径60mmの押出機で、射出成形体を製造した。ガラス繊維のチョップ長8、9、12mmに対して、成形体の残存繊維長は、夫々約4.3、4.8、6.4mmにまで保持された。炭素繊維の実施例は無い。

先行技術

0005

第3503952号公告国際公開WO2009/004745 A1特開2015−007212号特開2015−157939号特開 平6−114832号特開2014−051587号第4272502号公告

発明が解決しようとする課題

0006

土木・建築、自動車産業、新幹線車両業、リニヤーモーターカー等の先端産業分野に於ける構成材料の機械的強度の改善による一層の軽量化・省エネルギー化をはじめ、耐食性、電導性、耐熱性、放熱性等の一層の性能改善をすることが求められている。本発明は、強度の不足している合成木材強度改善による住宅屋外構造物高層建築軽量化資材沿岸高速道路の高強度・耐食資材海洋構築物の耐食・高強度資材などの耐食資材、特に、自動車用途等の用途開発を目的とする。
炭素繊維強化ポリプロピレンは、ガラス繊維強化ポリプロピレンよりも強度が強くて軽いので、この開発を目的とする。しかしながら、ポリプロピレンはペット樹脂やナイロンの様な各種の官能基を持つ極性樹脂とは全く異なり、無極性樹脂であるので、炭素繊維との密着性、親和性、混合性が極めて悪い。これらの特性は、上記のクロスヘッドダイ方式ペレットでも解決できない。

課題を解決しようとするための手段

0007

本発明は、軽量で強度の改善された炭素繊維強化・改質ポリプロピレン樹脂の射出成形体をペレット化の工程を経ずに直接製造する方法(Direct Chopped Fiber reinforced Thermoplastics:DCFT)を提供することを目的とする。即ち、本発明は、ポリプロピレン(A)および(B)、改質剤(C)および(D)、展着剤(E)を加熱混合して反応押出させることに依り、炭素繊維に親和性の高い改質ポリプロピレン樹脂を製造する。次いで、それと炭素繊維チョップ(F)とを破断が少ないスクリューを使用した押出装置に供給し、ペレットにせずに、直接的に射出成形体を製造する方法を提供するものである。

0008

本発明は、更に詳しくは下記の製造方法を提供するものである。
本発明は、第1に(A)ポリプロピレン系樹脂100重量部、(B)ポリプロピレン系粉体樹脂1−2 0重量部、(C)有機不飽和酸化合物0.1〜3重量部、(D)有機過酸化物0.01〜0.50重量部、(E)展着剤0.01〜1重量部から構成される混合物を、反応押出法によりポリプロピレンの融点以上の温度で反応させてJIS−K7210法に準拠したMFR(230℃、荷重2.16Kg)を10〜40g/10分とした改質ポリプロピレンと炭素繊維チョップとを、繊維の切断の少ないスクリューを保持する押出装置を使用して加熱混合させて成形することを特徴とする炭素繊維強化・改質ポリプロピレン樹脂の射出成形体の製造方法を提供するものである。

0009

本発明は、第2に前記の炭素繊維(F)が、フィラメント数50,000本以上、比重1.5−2.2、繊維径7−18μm、引張強度580−4,200MPa、引張弾性率35−250GPa、伸び0.3−3パーセント炭素含有率95%以上を有し、ラージトウから高速度に製造された長さ0.1−20mmの炭素繊維チョップを含有することを特徴とする請求項1に記載の炭素繊維強化・改質ポリプロピレン樹脂の射出成形体の製造方法を提供するものである。

0010

本発明は、第3に炭素繊維チョップの残存繊維長が1/2−1/3存在することの出来る、繊維が切断されることが少ないスクリューを保持する押出装置を使用して改質ポリプロピレン樹脂と230−260℃で加熱混合させながら直接的に成形加工することを特徴とする炭素繊維強化・改質ポリプロピレン樹脂の射出成形体の製造方法を提供するものである。

発明の効果

0011

本発明によれば、炭素繊維との密着性が画期的に改善された改質ポリプロピレン系樹脂と大量生産コストダウンが進行しているラージトウ方式の炭素繊維(ZOLTEKチョップ)とを繊維の切断が少ない押出装置から直接に射出成形体が得られる。この高速度成形と大量生産方式(DCLT法)により、射出成形体の大幅コストダウンが可能となった。更に、炭素繊維の残存繊維長が3−6mm程度に保たれるので、この射出成形体の機械的物性が改善された。
一方、従来法は炭素繊維チョップをサイドフィード方式の押出装置で改質ポリプロピレン系樹脂と加熱混練して炭素繊維強化改質ポリプロピレン樹脂のペレット製造し、そのペレットを射出成形装置で射出成形体を製造していた。このペレットの段階で残存繊維長が、通常0.3mm程度に低下するので機械的物性、特に衝撃強度の改善が不充分であった。
本発明によるこの射出成形体は、軽量で、高強度で、リサイクルも可能であるので、更なる改善にもより将来の自動車用途の巨大市場に使用されるものと期待される。耐食性、耐熱性、伝熱性導電性耐油性耐候性等の諸物性にも優れる。

0012

以下、本発明について詳細に説明する。
[(A)成分のポリプロピレン系樹脂]
本発明における主原料としての(A)成分のポリプロピレン系樹脂は、ポリプロピレン・ホモポリマー、ポリプロピレン・エチレンブロックコポリマー、ポリプロピレン・エチレンランダムコポリマー、ポリプロピレン・エチレンスーパーランダムコポリマーまたはそれらの回収された成形品の再循環物を使用する事ができる。強度の大きい炭素繊維強化複合材望む場合は、ポリプロピレン・ホモポリマーを選択する。耐衝撃強度の大きい炭素繊維強化複合材を望む場合は、ポリプロピレン・エチレンブロックコポリマーを選択する。本発明においては、D成分の有機過酸化物の触媒作用により、分子切断による分子量低下が起るので、主原料としては分子量が大きくMIの小さいグレードを選択することが好ましい。即ち、JIS−K7210法に準拠したMI(230℃、荷重2.16Kg)が0.5〜10g/10分であることが好ましい。中空成形グレードが好ましい、主原料につき、その配合量は、100重量部とする。

0013

[(B)成分のポリプロピレン系粉体樹脂]
(B)成分は、微量の(C)成分の有機不飽和酸化合物0.1〜3重量部および(D)成分の有機過酸化物0.01〜0.50重量部を均一分散させる助材としての役割を持つ。ポリプロピレン・ホモポリマー、ポリプロピレン・エチレンブロックコポリマー、ポリプロピレン・エチレンランダムコポリマー、ポリプロピレン・エチレンスーパーランダムコポリマーまたはそれらの回収された成形品の再循環物を粉体状態で使用する事ができる。MIも、0.5〜10g/10分であることが好ましい。助材につき、その配合量は、1−2 0重量部とする。

0014

[(C)成分の有機不飽和酸化合物]
(C)成分は、無水マレイン酸およびその誘導体を使用できるが、無水マレイン酸であることが好ましい。その役割は、(D)成分の有機過酸化物がポリプロピレンを攻撃して分子鎖ラジカルを発生させた時に反応して、ポリプロピレンにカルボキシル基を賦与して止まり、本来無極性のポリプロピレンを改質ことにある。その配合量は、0.1〜3重量部であり、0.2〜1重量部が好ましい。0.1重量部以下では、ポリプロピレン系樹脂の改質効果が不充分である。3重量部を越えると反応押出時に未反応物残留すると共に揮発して人体への障害を引き起こす恐れがあるからである。

0015

[(D)成分の有機過酸化物]
(D)成分の有機過酸化物は、樹脂のメルトフロー改質剤マレイン化剤およびグラフト化剤として多種類の物、例えば日油(株)のパーヘキサシリーズ(HC、C、22、25Bなど)、パーブチル・シリーズ(C、D、Pなど)、パークミル・シリーズ(Dなど)が使用できる。また、有機過酸化物の保管安全対策のために、効力が40%のマスターバッチをより好適に使用することができる。市販品のジクミルジパーオキサイト(Aldrich製)を好適に使用することができる。
配合量は、0.01〜0.50重量部である。0.01重量部以下では、ポリプロピレン系樹脂の改質効果が不充分である。0.50重量部以上では、ポリプロピレン系樹脂の低分子量化が過剰に進行してしまう。

0016

[(E)成分の展着剤]
(E)成分の展着剤の役割は、微量の(C)成分の有機不飽和酸化合物の微粉0.1〜3重量部および(D)成分の有機過酸化物の微粉0.01〜0.50重量部を(B)成分のポリプロピレン系粉体樹脂の表面に均一付着させる役割を持つ。流動パラフィンが好適である。パラフィンオイル石油ワックスなども使用できる。配合量は、0.01〜1重量部である。

0017

[(F)成分の炭素繊維]
本発明における(F)成分の炭素繊維は、高強度の工業製品を使用する事が好ましい。最優先候補としては、米国ZOLTEK社のラージトウ(Large Tow:フィラメント数50,000本/束)を高速焼成して量産できる安価な炭素繊維チョップ(米国・ZOLTEK社のLT−レーヨン系炭素繊維「Panex35」6mm長)が特に好ましい。第2優先としては、東レ(株)の航空機機体用の高性能PAN系炭素繊維トレカ」T500、T600、T700シリーズも使用できる。また、産業用途カットファイバーのT008シリーズ、T010シリーズ、TS12−006(カット長3−12mm)も原料として使用できる。しかしながら、このPAN系炭素繊維(Regular Tow:フィラメント数 12,000−24,000本/束)は高性能ではあるが高価すぎるので、その製造法に依り将来のコストダウンが困難である。一方、「トレカ」ミルドファイバーMLDシリーズ(繊維長30−150μm)なども原料として使用できるが、複合材の強度は小さい。他方、一般的にこれらの炭素繊維工業製品は、カルボキシル基の含有量が比較的多く存在する。
第3優先として、(株)クレハおよび大阪ガスケミカル(株)のピッチ系炭素繊維の工業製品も使用することが出来る。これらは比較的に官能基の含有量が多いが、強度がかなり小さい。成形品の強度に等方性の利点を持つので、精密成形分野では、好ましく使用できる。
代表的な工業製品の炭素繊維の仕様を、ガラス繊維と比較して表1に示した。炭素繊維は、大量生産でコストダウン出来れば、安価なガラス繊維に比べても軽量化、高強度、リサイクル性の長所が大いに発揮出来るものと想定できる。

0018

0019

[(G)成分の結合剤]
本発明の(G)成分の結合剤は、重量平均分子量が1,000〜300,000であることが好ましく、該分子内に2〜100個のエポキシ基を含有する高分子型多官能エポキシ化合物を単独または2種類以上の混合体として使用することができる。高分子量骨格を形成する樹脂にエポキシ環を含むグリシジル基ペンダント状吊下げたものや分子内にエポキシ基を含むものの市販品、例えば、日油(株)の「マープルーフ」シリーズ、BASFジャパン(株)の「ジョンクリルADR」シリーズを使用することができる。
(G)成分の多官能エポキシ化合物の配合量は、(A)成分のポリエステル100重量部に対して0.1〜5重量部である。それは、((B)成分の増粘効果のある炭素繊維の種類と添加量に依っても大幅に異なる。一般的には、0.1重量部未満では分子量と溶融粘度の増加効果が不充分のため、成形加工性も不充分で成形品の基本物性機械的特性が劣ることになる。2重量部を越えると逆に成形加工性が悪化し、樹脂の黄変・着色とゲルフィッシュアイ(FE)が副生したりする。

0020

[(H)成分の結合反応触媒
本発明における(H)成分としての結合反応触媒は、(1)アルカリ金属有機酸塩炭酸塩および炭酸水素塩、(2)アルカリ土類金属の有機酸塩、炭酸塩および炭酸水素塩からなる群から選ばれた少なくとも一種類以上を含有する触媒である。有機酸塩としては、カルボン酸塩酢酸塩等が使用できるが、カルボン酸塩の中で特にステアリン酸塩が好ましい。カルボン酸金属塩を形成する金属としては、リチウムナトリウムおよびカリウムのようなアルカリ金属;マグネシウムカルシウムストロンチウムおよびバリウムのようなアルカリ土類金属を使用できる。
この結合反応触媒としてのカルボン酸塩の配合量は(A)成分のポリプロピレン100重量部に対して0.01〜1重量部である。特に、0.1〜0.5重量部であることが好ましい。0.01重量部未満では触媒効果が小さく、共重合反応が未達となって分子量が充分増大しないことがある。1重量部を超えると局部反応によるゲル生成加水分解の促進による溶融粘度の急上昇による押出成形機内のトラブルなどを惹起させる。

0021

[射出成形装置および射出成形方法
次に、本発明に使用出来る射出成形装置の一例に付いて説明する。特許文献7には、繊維と熱可塑性樹脂を加熱、混練、溶融して繊維含有可塑化樹脂射出成形する装置、方法および残存繊維長等が詳細に記載されている。射出スクリューフライト頂部を直径の0.2−0.4倍の範囲に形成し、その頂部における先端側に1mm以下の段差をその径方向に形成し、その先端に設置したチェックリング摺動ストロークを5−20mmとした射出スクリューを使用するとしている。ポリプロピレンとガラス繊維40%の射出成形例では、ガラス繊維のチョップ長8、9、12mmに対して、成形体の残存繊維長は、夫々約4.3、4.8、6.4mmにまで保持されている。
射出成形装置としては、三菱重工プラスチックテクノロジー(株)の混練・射出成形装置「ダイレクトLFTシステム」を搭載した「emIIシリーズ電動射出成型機」を使用する事ができる。本来、ガラス繊維用に開発されたシステムではあるが、本発明の炭素繊維チョップにも適用することができる。

0022

本発明の高強度・軽量の炭素繊維チョップ強化改質ペット樹脂の射出成形体の用途例としては、近未来の自動車分野が適用可能である。例えば、バックドアインナーパネルラジエーターコアサポートインストルメントパネルなど、あるいは電気自動車用バッテリートレーおよびカバーフェンダールーフなどにも適用することができる。電気自動車を軽量化し、電池の搭載量をその分増加させて、電気自動車の弱点である航続距離延ばすことができる。

実施例

0023

次に本発明を実施例に基づいて詳細に説明する。本発明のポリプロピレンおよび炭素繊維強化・改質ポリプロピレン樹脂についての評価方法は以下の通りである。
(1)メルトインデックス(MI)の測定法
JIS K7210(ISO 1133、ASTMD 1238)の条件に従い、温度230℃、荷重2.16kgの条件で測定した。但し、樹脂は予め80℃×2時間、熱風乾燥または真空乾燥したものを使用した。または、メーカーカタログ値を採用した。
(2)比重の測定法
JIS K7112のA法(水中置換法)に従い、樹脂ペレットまたは成形体の小片についてアルコール液体として測定した。または、JIS K7222の寸法測定法でも測定した。
(3)ペレットの機械的強度の測定法
▲1▼試作ペレットが1Kg以下の少量の場合は小型試験片を作成して実施した。
例えば、住友重機械工業(株)製の射出成形機SE18DUZ(型締め圧18トン、スクリュー径16mm)を使用し、成形温度270℃、金型温度35℃、冷却時間15−20秒の条件で成形した。
試験片の形状:引張試験片JIS K7162 5A型(厚み2mm)
曲げ試験片短冊型 80mm×10mm(厚み4mm)
▲2▼試作ペレットが多量の場合(3Kg以上)は多目的試験片を作成して実施した。
試験片の形状:ISO 20753、JIS K7139 A1型
全長さ120mm、厚み4mm、チャック部幅20mm、くびれ部幅10mm、
同その長さ80mm(Zランナー方式
引張試験:引張強度は、試験速度2mm/分にて実施し、3−5点の平均値で評価した。ヤング率は、最大荷重の25%と75%の直線回帰により算出した(JIS K7073ほか)。
曲げ試験曲げ強度は、3点曲げを試験速度5mm/分にて実施し、3−5点の平均値で評価した。
曲げ弾性率は、最大荷重の25%と75%の直線回帰により算出した(JIS K7074ほか)。
(4)射出成形体の機械的強度の測定法
ペレットの射出成形体の機械的強度の測定法に準じて、成形体の各箇所を切抜いて実施した。
(5)炭素繊維の残存繊維長の測定法
射出成形体から約3gの見本切抜く硫酸によりこの見本から樹脂を溶解除去して、炭素繊維を取り出す。その繊維の一部(約500本)から重量平均繊維長を求める。計算式は、特開2006−274061号[0044−0045]を参照する。

比較例1

0024

[改質ポリプロピレン系樹脂(以下PPと略称)P1、P2、P3およびP4の製造例]
[製造例1]改質PPのP1; A成分としてポリプロピレン・ホモポリマーのペレット(中空グレード、MI0.5:曲げ弾性率1.8GPa、シャルピー衝撃強度9.0KJ/m2)100重量部、B成分としてポリプロピレン・粉体サンアロマー(株)製、MI 0.3)20重量部、C成分として無水マレイン酸(試薬1級)1重量部、D成分としてジクミルパーオキサイド(ALDLICH社製)0.100重量部、E成分として流動パラフィン0.2重量部を使用した。
まず、ポリプロピレン・粉体Bをタンブラー投入し、ついで流動パラフィンEを追加して5分間攪拌してから微粉砕したジクミルパーオキサイドDを入れて更に5分間攪拌した。次いで、やはり微粉砕した無水マレイン酸Cを入れて更に5分間攪拌した。最後に、ポリプロピレン・ホモポリマーのペレットAを投入し、10分間攪拌することにより、均一混合した。
機械(株)製の単軸押出機(口径65mm、L/D30、改造・1ベント式、改造・圧縮式スクリュー)を使用し、この押出機の7ブロックから成るシリンダーダイス設定温度を170−280℃とした。前記のA、B、C、DおよびE成分の混合組成物原料供給ホッパーに投入し、容量式計量フィーダーで計量しながら押出して反応押出を行うことにより、改質ポリプロピレン樹脂P1の製造を実施した。樹脂温度244℃、樹脂圧力10MPaであった。
ストランドを口径3mmの斜め下方向のノズルから水中に連続的に押出し、回転カッターで切断して半透明白色樹脂ペレットP1約20Kgを製造した。金型出口から水盤中へのストランドはなり状であり溶融張力が非常に低下していた。そのペレット形状は、円柱状で直径約2.5mm×長さ約3mmであった。

0025

[製造例2]改質PPのP2; A成分のポリプロピレン・ホモポリマーのペレット、B成分のポリプロピレン・粉体、C成分の無水マレイン酸およびE成分の流動パラフィンは、同一物で同一比率であるが、D成分のジクミルパーオキサイドの比率のみを0.050重量部と半減させて、製造例1と同様条件にて改質ポリプロピレン樹脂P2の製造を実施した。樹脂温度241℃、樹脂圧力16MPaであった。ストランドを口径3mmの斜め下方向のノズルから水中に連続的に押出し、回転カッターで切断して半透明白色樹脂ペレットP2約20Kgを製造した。金型出口から水盤中へのストランドはほぼ直線状であり溶融張力がかなり保持されていた。そのペレット形状は、円柱状で直径約2.5mm×長さ約3mmであった。

0026

[製造例3]改質PPのP3; A成分のポリプロピレン・ホモポリマーのペレット、B成分のポリプロピレン・粉体、およびE成分の流動パラフィンは、同一物で同一比率であるが、C成分の無水マレイン酸の比率を2重量部に倍増させ、またD成分のジクミルパーオキサイドの比率を0.075重量部と製造例1および2の中間とし、製造例1と同様条件にて改質ポリプロピレン樹脂P3の製造を実施した。樹脂温度238℃、樹脂圧力14MPaであった。ストランドを口径3mmの斜め下方向のノズルから水中に連続的に押出し、回転カッターで切断して半透明白色樹脂ペレットP3約20Kgを製造した。金型出口から水盤中へのストランドはやや弓なり状であり溶融張力がかなり低下したが、水冷されたストランドは未改質のポリプロピレンとは異なり、無水マレイン酸の倍増添加で保水性が著しく改善された。そのペレット形状は、円柱状で直径約2.5mm×長さ約3mmであった。

0027

[製造例4]改質PPのP4; A成分としてポリプロピレン・ブロックコポリマーのペレット(中空グレード、MI0.7:曲げ弾性率1.1GPa、シャルピー衝撃強度91 KJ/m2)100重量部、B成分としてポリプロピレン・粉体(サンアロマー(株)製、MI 0.3)20重量部、C成分として無水マレイン酸(試薬1級)2重量部、D成分としてジクミルパーオキサイド0.075重量部、E成分として流動パラフィン0.2重量部を使用した。
製造例1と同様条件にて改質ポリプロピレン樹脂P4の製造を実施した。樹脂温度238℃、樹脂圧力16MPaであった。ストランドを口径3mmの斜め下方向のノズルから水中に連続的に押出し、回転カッターで切断して半透明白色樹脂ペレットP4約20Kgを製造した。金型出口から水盤中へのストランドはやや弓なり状であり溶融張力がかなり低下したが、水冷されたストランドは未改質のポリプロピレンとは異なり、無水マレイン酸の倍増添加に依り保水性が著しく改善された。そのペレット形状は、円柱状で直径約2.5mm×長さ約3mmであった。

0028

[改質PPのP1−P4にZOLTEK製炭素繊維チョップ(6mm長)の30%をサイドフィード方式で混合した短繊維ペレットNZP1−4の製造と物性評価
この旧来法では、炭素繊維チョップ(6mm長)を使用しても、残存繊維長が0.3mmの短繊維ペレットしか製造できない。
[製造例5−8]短繊維ペレットNZP1−4;日立造船(株)製の同方向2軸押出機(口径35mm、L/D30:サイドフィーダー付きに改造)を使用し、この押出機の8ブロックから成るシリンダ−とダイスの設定温度を150−260℃およびスクリュー回転数150rpmとした。容量式計量フィーダーを使用し、第1ホッパーから改質ポリプロピレン系樹脂ペレットP1−P4をそれぞれのケースで押出し、また第2ホッパーからZOLTEK炭素繊維チョップを炭素繊維の含有量が30%になる速度で連続的にサイドフィードした。
ストランドを口径3mmの斜め下方向のノズルから水中に連続的に押出し、回転カッタ‐で切断して黒色樹脂ペレットをそれぞれのケース約5Kgを製造した。金型出口から水盤中へのストランドはほぼ直線状であり溶融張力が増加していた。その形状は、円柱状で直径約3.4mm×長さ約6mmであった。また、短繊維ペレットNZP1−4のMFR(230℃、荷重2.16Kg)は、1.1−4.8g/10分であった。いずれも、押出成形に適している。
[射出成形片の成形例]この炭素繊維強化・改質ペット樹脂の黒色ペレットNZP1−4を80℃2時間熱風乾燥し、日精樹脂工業(株)製のハイブリッド式射出成形機FNZ140(型締め圧140トン、スクリュー径40mm)を使用し、成形温度230℃、金型温度67−68℃、射出圧力30−40MPa、射出速度160mm/s、スクリュー回転数80rpmおよび冷却時間15秒の条件にて、下記の射出成形体を成形した。
多目的試験片の形状:ISO 7139、JIS K7139 A1型
全長さ120mm、厚み4mm、チャック部の幅20mm、くびれ部の幅10mm、
同その長さ80mm(Zランナー方式)

0029

これらのZOITEK炭素繊維(CF30%)強化・改質ペット樹脂ペレット4種は、バリの副生が少くて良好な射出成型性を示した。試験片の表面は平滑であった。引張速度2mm/分および曲げ速度5mm/分での機械的強度の試験等を実施した。このペレットの物性値を表4に示した。
本製造例4件は、ZOLTEK30%のサイドフィード方式であり、射出成形片は炭素繊維が整列しやすいため、機械的強度が比較的大きく観測された。
製造例5のNZP1は、更に高い最高の機械的強度値を実証した。即ち、NZP1の引張強度94MPaは、比較例3のブレンドの2.4倍、比較例2のポリプロピレン・ホモポリマーの3.1倍である。また、曲げ弾性率15.8GPaは、比較例3のブレンドの1.1倍、比較例2のポリプロピレン・ホモポリマーの13.2倍である。また、その他のNZP2、NZP3およびNZP4も、比較例3のブレンドと比較例2のポリプロピレン・ホモポリマーに比べて優れた物性を示した。

0030

比較例2

0031

ポリプロピレン・ホモポリマーのカタログ値を使用している。

比較例3

0032

比較例1の製造例5−8とほぼ同じ操作にて、サイドフィード方式でZOLTEK炭素繊維(30%)とポリプロピレン・ホモポリマーのブレンドを製造した。但し、ポリプロピレン・ホモポリマー(MI1.5)とポリプロピレン・ホモポリマー(MI 30:ノバテック)の等量混合ペレットを使用した。また、ほぼ同じ操作にて、射出試験片を作製し、機械的評価等の試験を実施した。

0033

[改質ポリプロピレン系樹脂P5の製造例]
[製造例9]改質PPのP5; A成分としてポリプロピレン・ホモポリマーのペレット(中空グレード、MI0.5:曲げ弾性率1.8GPa、シャルピー衝撃強度9.0KJ/m2)90重量部、B成分としてポリプロピレン・粉体(サンアロマー(株)製、MI 0.3)10重量部、C成分として無水マレイン酸(試薬1級)0.50重量部、D成分としてジクミルパーオキサイド(日油製)0.075重量部(40%含有マスターバッチ0.1875重量部)、E成分として流動パラフィン0.2重量部を使用した。
まず、ポリプロピレン・粉体をタンブラーに投入し、ついで流動パラフィンEを追加して5分間攪拌してから粉体ジクミルパーオキサイドMBを入れて更に5分間攪拌した。次いで、微粉砕した無水マレイン酸Cを入れて更に5分間攪拌した。最後に、ポリプロピレン・ホモポリマーのペレットAを投入し、10分間攪拌することにより、均一混合した。
東芝機械(株)製の単軸押出機(口径65mm、L/D 30、改造・1ベント式、改造・圧縮式スクリュー)を使用し、この押出機の7ブロックから成るシリンダ−とダイスの設定温度を170−280℃とした。前記のA、B、C、DおよびE成分の混合組成物を原料供給ホッパーに投入し、容量式計量フィーダーで計量しながら押出して反応押出を行うことにより、改質ポリプロピレン樹脂P5の製造を実施した。樹脂温度245℃、樹脂圧力約10MPaであった。
ストランドを口径3mmの斜め下方向のノズルから水中に連続的に押出し、回転カッターで切断して半透明白色樹脂ペレットP5約200Kgを製造した。金型出口から水盤中へのストランドは弓なり状であり溶融張力がやや低下していた。ペレットのMFRは20−26g/10で、射出成形に適していた。また、そのペレット形状は、円柱状で直径約2.5mm×長さ約3mmであった。
[DCFT法による射出成形体の製造例]
三菱重工プラスチック(株)製の射出成型機1300emIIを使用し、シリンダ−とダイスの温度を220−220℃に設定し、ZOLTEK炭素繊維(米国・ZOLTEK社のLT−レーヨン系炭素繊維「Panex35」)6mm長チョップ20重量部と改質ポリプロピレン系樹脂P5の80重量部とを加熱混練し、金型温度65℃にて、50cm角×3mm厚の平板を射出成形した。炭素繊維の残存繊維長として2−3mm長を確認することが出来た。

0034

0035

本発明の高強度・軽量の炭素繊維チョップ強化改質ペット樹脂の射出成形体の用途例としては、近未来の巨大市場の自動車分野が適用可能である。例えば、バックドア・インナーパネル、ラジエーターコアサポート、インストルメントパネルなど、あるいは電気自動車用のバッテリートレーおよびカバー、フェンダー、ルーフなどにも適用することができる。電気自動車を軽量化し、電池の搭載量をその分増加させて、電気自動車の弱点である航続距離を延ばすことができる。
本発明は、更に土木・建築資材の用途を対象とする。また、電波吸収性、導電性、耐熱性、放熱性等の一層の性能改善ができるので、この機能性材料分野の利用可能性も大きい。

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