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技術 アルミニウム合金の連続鋳造方法

出願人 昭和電工株式会社
発明者 水野鉄浩大橋嘉公水野義男山下尚也平間健太郎
出願日 2016年1月29日 (5年9ヶ月経過) 出願番号 2016-015911
公開日 2017年8月3日 (4年3ヶ月経過) 公開番号 2017-131961
状態 特許登録済
技術分野 連続鋳造
主要キーワード カーボンスリーブ カーボン溶液 材料金属 切削性向上 一次冷却後 離型位置 アルミニウム合金素材 Pb濃度
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (2)

課題

低融点元素を含有するアルミニウム合金連続鋳造において再溶融を抑制して鋳肌品質の良い鋳塊を連続鋳造する。

解決手段

Pb、Bi、Sn、Inのうちの1種以上の元素を含むアルミニウム合金Mを、金型本体20にライナー30を取り付けた連続鋳造用金型10を用いて連続鋳造する。前記ライナー30は熱伝導度が60W/(m・K)〜139W/(m・K)のカーボンからなり、内周面の表面粗さがJIS B0601 2001で規定された最大高さRzで1μm〜25μmである。

概要

背景

アルミニウム合金切削性を向上させるためにPb(融点327℃)、Bi(融点271℃)、Sn(融点232℃)、In(融点156℃)といった低融点元素を添加することがある。これらの低融点元素およびこれらの化合物合金中に分散しており、切削時の加工熱によって溶融してその部分を起点として亀裂が発生し伝播する。そして、亀裂発生と伝播を繰り返すことによって切り屑分断されて切削性が向上する。切削に供されるアルミニウム合金素材の多くは、材料金属を溶解して連続鋳造した鋳塊、あるいは鋳塊を加工した押出材圧延材である。

アルミニウム合金の連続鋳造装置では、鋳塊の焼き付きや再溶融を防ぐために金型内面自己潤滑性を有するカーボンライナーを取り付けて潤滑性を向上させることが知られている(特許文献1、2、3参照)。

特許文献1には、金型本体の内周面黒鉛製ライナーを取り付けたAl−Mg系合金連続鋳造用金型が記載されている。また、前記ライナーにはカーボン粒子有機系接着剤を含むカーボン溶液を塗布して潤滑性を持続させている。

特許文献2には、ホットトップ連続鋳造装置において、金型の内周面に離型剤を供給するディストリビューターおよびグラファイト製機能性リングを組み込むことが記載されている。

特許文献3には、横型連続鋳造鋳型において、冷却不足による凝固壁の弱体化を防ぐために、熱伝導度が151W/(m・K)以上(130Kcal/mh℃以上)のカーボンスリーブを用いることが記載されている。

概要

低融点元素を含有するアルミニウム合金の連続鋳造において再溶融を抑制して鋳肌品質の良い鋳塊を連続鋳造する。Pb、Bi、Sn、Inのうちの1種以上の元素を含むアルミニウム合金Mを、金型本体20にライナー30を取り付けた連続鋳造用金型10を用いて連続鋳造する。前記ライナー30は熱伝導度が60W/(m・K)〜139W/(m・K)のカーボンからなり、内周面の表面粗さがJIS B0601 2001で規定された最大高さRzで1μm〜25μmである。

目的

本発明は、上述した背景技術に鑑み、低融点元素を含有する特定組成のアルミニウム合金の連続鋳造において再溶融を抑制して鋳肌品質の良い鋳塊を連続鋳造する技術を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

成形孔の一端が溶湯注入口となされ他端が鋳塊の鋳出口となされた金型本体と、前記金型本体の成形孔に取り付けられたライナーとを備えるアルミニウム合金連続鋳造用金型であり、前記ライナーは、熱伝導度が60W/(m・K)〜139W/(m・K)のカーボンからなり、内周面はJISB06012001で規定された最大高さRzが1μm〜25μmであることを特徴とする連続鋳造用金型。

請求項2

前記鋳出口の周囲に冷却水噴出口が設けられている請求項1に記載の連続鋳造用金型。

請求項3

前記ライナーは冷間等方加圧法または熱間等方圧加圧法による成形品である請求項1または2に記載の連続鋳造用金型。

請求項4

前記ライナーは金型本体に焼き嵌めによって取り付けられている請求項1〜3のうちのいずれか1項に記載の連続鋳造用金型。

請求項5

Pb、Bi、Sn、Inのうちの1種以上の元素を含むアルミニウム合金を、請求項1〜4のうちのいずれか1項に記載の連続鋳造用金型を用いて連続鋳造することを特徴とするアルミニウム合金の連続鋳造方法

請求項6

前記アルミニウム合金において、Pb:0.2質量%〜2質量%、Bi:0.01質量%〜3質量%、Sn:0.01質量%〜1.5質量%、In:0.01質量%〜0.2質量%のうちの1種以上の元素を含む請求項5に記載のアルミニウム合金の連続鋳造方法。

請求項7

請求項5または6に記載のアルミニウム合金の連続鋳造方法により鋳造された鋳塊であり、鋳肌凹凸差が1.5mm以下であることを特徴とするアルミニウム合金鋳塊。

技術分野

0001

本発明は低融点元素を含むアルミニウム合金連続鋳造方法およびその関連技術に関する。

背景技術

0002

アルミニウム合金の切削性を向上させるためにPb(融点327℃)、Bi(融点271℃)、Sn(融点232℃)、In(融点156℃)といった低融点元素を添加することがある。これらの低融点元素およびこれらの化合物合金中に分散しており、切削時の加工熱によって溶融してその部分を起点として亀裂が発生し伝播する。そして、亀裂発生と伝播を繰り返すことによって切り屑分断されて切削性が向上する。切削に供されるアルミニウム合金素材の多くは、材料金属を溶解して連続鋳造した鋳塊、あるいは鋳塊を加工した押出材圧延材である。

0003

アルミニウム合金の連続鋳造装置では、鋳塊の焼き付きや再溶融を防ぐために金型内面自己潤滑性を有するカーボンライナーを取り付けて潤滑性を向上させることが知られている(特許文献1、2、3参照)。

0004

特許文献1には、金型本体の内周面黒鉛製ライナーを取り付けたAl−Mg系合金連続鋳造用金型が記載されている。また、前記ライナーにはカーボン粒子有機系接着剤を含むカーボン溶液を塗布して潤滑性を持続させている。

0005

特許文献2には、ホットトップ連続鋳造装置において、金型の内周面に離型剤を供給するディストリビューターおよびグラファイト製機能性リングを組み込むことが記載されている。

0006

特許文献3には、横型連続鋳造鋳型において、冷却不足による凝固壁の弱体化を防ぐために、熱伝導度が151W/(m・K)以上(130Kcal/mh℃以上)のカーボンスリーブを用いることが記載されている。

先行技術

0007

特開2009−39760号公報
特開2002−301547号公報
特開平11−170008号公報

発明が解決しようとする課題

0008

上述した快削性アルミニウム合金の鋳造では溶湯の凝固によってPb−Bi、Bi−Sn、Pb−Sn、In−Bi、In−Snといった低融点化合物を形成する。金型からの冷却によって鋳塊の表面が凝固しても、連続的に供給される溶湯の熱によって低融点化合物の再溶融が起こり易く、再溶融した低融点化合物が金型に付着して鋳肌キズが発生するという問題点がある。

0009

特許文献1に記載された金型はAl−Mg系合金用である。Al−Mg系合金では前記快削性アルミニウム合金のような低融点化合物が形成されないので、快削性アルミニウム合金の鋳造には適さない。特許文献2に記載された金型も低融点化合物の再溶融による鋳肌品質の低下を解消できるものではない。しかも、離型性の高い泡を形成するために気体潤滑油の混合物を形成する必要があり、ホットトップ連続鋳造装置に限定されており汎用性が乏しい。また、特許文献3に記載された熱伝導度の高いカーボンスリーブは、実施例のAl−Si共晶合金の鋳造には適しているが、低融点元素を含有するアルミニウム合金の鋳造において低融点化合物の再溶融を防ぎうるものではない。

課題を解決するための手段

0010

本発明は、上述した背景技術に鑑み、低融点元素を含有する特定組成のアルミニウム合金の連続鋳造において再溶融を抑制して鋳肌品質の良い鋳塊を連続鋳造する技術を提供する。

0011

即ち、本発明は下記[1]〜[7]に記載の構成を有する。

0012

[1]成形孔の一端が溶湯の注入口となされ他端が鋳塊の鋳出口となされた金型本体と、前記金型本体の成形孔に取り付けられたライナーとを備えるアルミニウム合金の連続鋳造用金型であり、
前記ライナーは、熱伝導度が60W/(m・K)〜139W/(m・K)のカーボンからなり、内周面はJIS B0601 2001で規定された最大高さRzが1μm〜25μmであることを特徴とする連続鋳造用金型。

0013

[2]前記鋳出口の周囲に冷却水噴出口が設けられている前項1に記載の連続鋳造用金型。

0014

[3]前記ライナーは冷間等方加圧法または熱間等方圧加圧法による成形品である前項1または2に記載の連続鋳造用金型。

0015

[4]前記ライナーは金型本体に焼き嵌めによって取り付けられている前項1〜3のうちのいずれか1項に記載の連続鋳造用金型。

0016

[5]Pb、Bi、Sn、Inのうちの1種以上の元素を含むアルミニウム合金を、前項1〜4のうちのいずれか1項に記載の連続鋳造用金型を用いて連続鋳造することを特徴とするアルミニウム合金の連続鋳造方法。

0017

[6]前記アルミニウム合金において、Pb:0.2質量%〜2質量%、Bi:0.01質量%〜3質量%、Sn:0.01質量%〜1.5質量%、In:0.01質量%〜0.2質量%のうちの1種以上の元素を含む前項5に記載のアルミニウム合金の連続鋳造方法。

0018

[7]前項5または6に記載のアルミニウム合金の連続鋳造方法により鋳造された鋳塊であり、鋳肌の凹凸差が1.5mm以下であることを特徴とするアルミニウム合金鋳塊。

発明の効果

0019

上記[1]に記載の連続鋳造用金型は、成形孔に取り付けられているライナーの熱伝導度が従来のライナーの熱伝導度よりも低いので、冷却が遅くなって鋳塊の離型位置が鋳出口側に近づく。このため、成形孔の壁面から抜熱される一次冷却時間が長くなり離型によって一次冷却能力が低下する期間が短縮される。その結果、鋳塊が十分に冷却されて鋳塊表面の再溶融が抑制され、再溶融による湯漏れや鋳肌の荒れが抑制される。しかも、ライナーの内周面の表面粗さがJIS B0601 2001で規定された最大高さRzで1μm〜25μmの平滑面で形成されているので鋳塊の滑りが良く、鋳肌の凹凸差の小さい鋳塊を連続鋳造することができる。

0020

上記[2]に記載の連続鋳造用金型によれば、鋳塊の離型位置が鋳出口側に近づくことで、冷却水の吹きつけによる二次冷却を受けるまでの時間が短縮されるので、鋳塊が十分に冷却されて鋳塊表面の再溶融が抑制される。

0021

上記[3]に記載の連続鋳造用金型はライナーが冷間等方圧加圧法または熱間等方圧加圧法による成形品であるから表面平滑性が高い。

0022

上記[4]に記載の連続鋳造用金型は、ライナーが鋳型本体に焼き嵌めによって取り付けられているので、両者間の密着性が高く熱移動が速やかに行われるとともに、周方向における冷却ムラが生じない。

0023

上記[5]に記載のアルミニウム合金の連続鋳造方法は、低融点元素であるBi、Sn、PbおよびInのうちの1種以上を含むアルミニウム合金を上記の金型を用いて連続鋳造を行う。連続鋳造用金型は、成形孔に取り付けられているライナーの熱伝導度が従来のライナーの熱伝導度よりも低いので、冷却が遅くなって鋳塊の離型位置が鋳出口側に近づく。このため、成形孔の壁面から抜熱される一次冷却時間が長くなり離型によって一次冷却能力が低下する期間が短縮される。その結果、鋳塊が十分に冷却されて鋳塊表面の低融点化合物の再溶融が抑制され、再溶融による湯漏れや鋳肌の荒れが抑制される。しかも、ライナーの内周面の表面粗さがJIS B0601 2001で規定された最大高さRzで1μm〜25μmの平滑面で形成されているので鋳塊の滑りが良く、鋳肌の凹凸差の小さい鋳塊を連続鋳造することができる。

0024

上記[6]に記載のアルミニウム合金の連続鋳造方法によれば、Pb:0.2質量%〜2質量%、Bi:0.01質量%〜3質量%、Sn:0.01質量%〜1.5質量%、In:0.01質量%〜0.2質量%のうち1種以上の元素を含むアルミニウム合金の連続鋳造において上記の効果が得られる。

0025

上記[7]に記載のアルミニウム合金鋳塊は、熱伝導度が低く表面平滑性の高いライナーが取り付けられた金型で連続鋳造された鋳塊であるたため、凹凸差が1.5mm以下という表面平滑性の高い鋳塊である。

図面の簡単な説明

0026

本発明の連続鋳造用金型を用いた連続鋳造方法を示す断面図である。

0027

[アルミニウム合金]
本発明を適用するアルミニウム合金は低融点元素であるPb、Bi、Sn、Inのうちの1種以上の元素を含む合金であり、前記低融点元素のみが添加されたアルミニウム合金または前記低融点元素以外の元素が添加されたアルミニウム合金である。

0028

前記低融点元素は切削性を向上させるために添加される元素であり、1種または任意の組み合わせで2種以上が添加されている。Pbの融点は327℃、Biの融点は271℃、Snの融点は232℃、Inの融点は156℃であり、これらの化合物、即ちPb−Bi、Bi−Sn、Pb−Sn、In−Bi、In−Snも共晶温度が183℃以下の低融点化合物である。各化合物の共晶温度は、Pb−Biが125℃、Bi−Snが139℃、Pb−Snが183℃、In−Biが72℃、In−Snが117℃である。

0029

アルミニウム合金中の各元素の好ましい濃度は以下のとおりである。Pb濃度は0.2質量%〜2質量%が好ましく、Bi濃度は0.01質量%〜3質量%が好ましく、Sn濃度は0.01質量%〜1.5質量%が好ましく、In濃度が0.01質量%〜0.2質量%が好ましい。いずれの元素においても下限値未満では切削性の向上効果が乏しく、上限値を超えると押出性または耐食性が低下するおそれがある。特に好ましい濃度は、Pb濃度が0.3質量%〜1.0質量%、Bi濃度が0.1質量%〜0.6質量%、Sn濃度が0.2質量%〜1.5質量%、In濃度が0.08質量%〜0.2質量%である。

0030

前記低融点元素のみが添加されたアルミニウム合金の残部はAlおよび不可避不純物である。

0031

前記低融点元素以外に添加される元素として、Cu、Mg、Si、Zn、Ti、Bを例示できる。これらの元素はいずれも強度向上に寄与する元素であり、1種または任意の2種以上の元素が添加される。これらのアルミニウム合金における低融点元素の濃度は上述した低融点元素のみを含有するアルミニウム合金における濃度に準じる。また、Cu、Mg、Si、Zn、Ti、Bの好ましい濃度は以下のとおりである。

0032

2000系のAl−Cu系合金において、好ましいCu濃度は3.5質量%〜6.5質量%であり、Zn濃度は0.01質量%〜1.2質量%であり、特に好ましいCu濃度は4.5質量%〜6.0質量%であり、Zn濃度は0.01質量%〜1.0質量%である。また、CuおよびZnの他に、0.01質量%〜1.0質量%のSi、0.01質量%〜2.0質量%のMg、0.01質量%〜0.1質量%のTi、0.0001質量%〜0.01質量%のBのうちのいずれか1種以上が添加されていても良い。残部はAlおよび不可避不純物である。

0033

6000系のAl−Mg−Si系合金において、好ましいMg濃度は0.3質量%〜1.5質量%であり、好ましいSi濃度は0.2質量%〜1.0質量%である。特に好ましいMg濃度は0.5質量%〜0.8質量%であり、Si濃度は0.6質量%〜0.9質量%である。また、MgおよびSiの他に、0.01質量%〜2.0質量%のCu、0.01質量%〜0.2質量%のZn、0.01質量%〜0.1質量%のTi、0.0001質量%〜0.01質量%のBのうちのいずれか1種以上が添加されていても良い。残部はAlおよび不可避不純物である。

0034

また、前記低融点元素以外に添加される元素はCu、Mg、Si、Zn、Ti、Bに限定されず、融点が327℃を超える元素を添加したアルミニウム合金も本発明の連続鋳造方法を適用できる。即ち、低融点元素としてPb:0.2質量%〜2質量%、Bi:0.01質量%〜3質量%、Sn:0.01質量%〜1.5質量%、In:0.01質量%〜0.2質量%のうちの1種以上を含み、さらに融点が327℃を超える元素を含み、残部がAlおよび不可避不純物からなるアルミニウム合金である。

0035

本発明を適用するアルミニウム合金は上述した組成の合金に限定するものではなく、Pb、Bi、Sn、Inのうちの1種以上の元素を含む全てのアルミニウム合金に適用できる。
[金型および連続鋳造方法]
図1に、本発明の連続鋳造用金型およびこの金型を用いた縦型連続鋳造装置の要部を示す。

0036

金型10は、断面円形の成形孔11の両端が開口する筒型であり、筒型の金型本体20と、金型本体20の成形孔11に内嵌めされた筒型のライナー30とにより構成されている。前記成形孔11の一端は溶湯Mの注入口12であり、他端は鋳塊Sの鋳出口13である。

0037

金型本体20は内部に冷却水Cを流通させるキャビティ21を有し、上部にキャビテイィへ21への入口22が設けられ、前記鋳出口13を囲んで噴出口23が設けられている。入口22から導入された冷却水Cは、キャビティ21内を流通して成形孔11内の溶湯Mを金型本体20および成形孔11に内嵌めされた筒型のライナー30を介し一次冷却して凝固させ、噴出口23から噴出して鋳出されてくる鋳塊Sに吹き付けられて鋳塊Sを二次冷却する。また、前記金型本体20の内周面25の鋳出口13側の一部を除く領域に、ライナー30の厚み相当の凹部26が形成されている。前記金型本体20の材料は限定されず、アルミニウム、鉄、銅等の周知金属材料を適宜用いることができる。

0038

ライナー30は、熱伝導度が60W/(m・K)〜139W/(m・K)のカーボン製であり、内周面31の表面粗さはJIS B0601 2001で規定された最大高さRzで1μm〜25μmに調整され、平滑性の高い内周面31が形成されている。前記ライナー30は金型本体20の凹部26に焼き嵌めにより嵌合され、ライナー30の内周面31と金型本体25の内周面25の下方部とが連続する曲面を形成し、この曲面が金型10の成形孔11の壁面11aを構成している。従来の金型に用いられるカーボンライナー、例えば、特許文献3に記載されているカーボンライナー(スリーブ)の熱伝導度は151W/(m・K)以上(130Kcal/mh℃以上)であり、前記ライナー30は従来よりも熱伝導度の低いカーボンからなる。

0039

アルミニウム合金の連続鋳造において、金型10の注入口12から成形孔11に注入された溶湯Mは、壁面11aから一次冷却を受けて外周面から中心へと凝固が進行し、鋳出口13に到達する前に、凝固収縮によって鋳塊Sの表面が壁面11aから離れる。鋳塊Sが壁面11aから離れて壁面11aとの間に隙間ができると、熱移動が妨げられて金型10から受ける一次冷却能力が低下する。鋳塊Sが成形孔11の壁面11aから離れる位置P(以下、「鋳塊の離型位置」と称する)は、金型10への抜熱量が大きいほど溶湯Mの冷却が早くなって注入口12に近くなり、逆に抜熱量が小さいほど冷却が遅くなって鋳出口13に近くなる。一方、成形孔11内で凝固しつつある鋳塊Sは表面に凝固壁が形成されていても中心部は高温溶融状態にあり、凝固中の鋳塊Sの表面は金型10から冷却を受けながらも中心部からの熱を受けている。このため、凝固壁の形成が不十分なままで鋳塊Sが離型すると、中心部からの熱によって鋳塊表面、特に低融点化合物が再溶融するおそれがある。

0040

上述した溶湯Mの凝固過程において、ライナー30の熱伝導度が高い程抜熱量が大きく冷却が早くなって鋳塊Sの離型位置Pが注入口12に近くなる。逆に、ライナー30の熱伝導度が低い程抜熱量が小さく冷却が遅くなって鋳塊Sの離型位置Pが鋳出口13に近くなる。本発明の金型10は、従来のカーボンライナー、例えば上記の熱伝導度が162W/(m・K)のカーボンライナーよりも熱伝導度の低いライナー30を用いているので、従来の連続鋳造よりも鋳塊Sの離型位置Pが鋳出口13側に移動する。そして、鋳塊Sの離型位置Pが鋳出口13側に移動することで、一次冷却を受ける時間が長くなり離型によって一次冷却能力が低下する期間が短縮されるので、金型10から十分な冷却を受けることができる。また、鋳塊Sの離型位置Pが鋳出口13に近くなることで噴出口23までの距離が短くなるので、離型した鋳塊Sが冷却水Cによる二次冷却を受けるまでの時間が短縮される。従って、熱伝導度の低いライナー30を用いることにより、成形孔11の壁面11aから冷却される一次冷却時間が長くなり、離型によって一次冷却能力が低下する期間が短縮され、かつ一次冷却後に二次冷却を受けるまでの時間が短縮される。その結果、鋳塊Sが十分に冷却されて低融点化合物の再溶融が抑制され、再溶融による湯漏れや鋳肌の荒れが抑制される。

0041

さらに、前記ライナー30は表面平滑性が高く、カーボン自体がもつ自己潤滑性と表面平滑性により溶湯Mや凝固壁の滑りが良く、これらの付着が抑制されて表面平滑性の高い鋳肌が得られる。

0042

上述したように、前記ライナー30は熱伝導度が60W/(m・K)〜139W/(m・K)のカーボンで構成されている。ライナー30の熱伝導度が60W/(m・K)未満のカーボンでは一次冷却による冷却が弱く凝固壁の形成が不完全となり、湯漏れによる鋳造失敗の危険があり、139W/(m・K)を超えるカーボンでは鋳塊Sの離型位置Pを鋳出口13側に移動させる効果が小さい。特に好ましい熱伝導度は80W/(m・K)〜130W/(m・K)である。また、前記ライナー30の表面は、JIS B0601 2001で規定された最大高さRzが1μm〜25μmである。最大高さRzが1μm未満では鋳造時に供給する潤滑油がライナー表面に保持されず、また研磨加工等で平滑な表面を得ようとした場合加工費用が大幅に上がってしまう。25μmを超えると上記効果が乏しい。特に好ましい表面の最大高さRzは5μm〜25μmである。

0043

前記ライナー30の製造方法は問わないが、最大高さRzが1μm〜25μmの平滑表面を得るには、冷間等方圧加圧法(CIP)による成形品または熱間等方圧加圧法(HIP)による成形品であることが好ましい。CIP成形およびHIP成形は等方加圧しているために押出成形に比べて緻密な構造となり、平滑表面が得やすいためである。

0044

また、前記ライナー30は、金型本体20とライナー30の熱膨張率の差を利用して焼き嵌めることにより金型本体20に取り付けることが好ましい。カーボンは金型本体20を構成する金属よりも熱膨張率が小さいので、常温において鋳型本体20の内径をライナー30の外径よりも小さく設定し、加熱により内径が拡大した金型本体20ライナー30を内嵌めすると、金型10の温度低下によりライナー30が金型本体20に締め付けられた状態で固定される。焼き嵌めで取り付けると金型本体20とライナー30とが密着して両者間に隙間ができないので、連続鋳造時にライナー30から金型本体20への熱移動が速やかに行われる。また、周方向の全域で金型本体20とライナー30が密着するので、周方向における冷却ムラが生じない。
[連続鋳造方法]
図1の縦型連続鋳造装置は溶湯Mの供給装置の記載を省略しているが、フロートによるDC鋳造法、ホットトップ鋳造法、気体加圧式ホットトップ鋳造法等の溶湯の供給方式は何ら限定されない。また、本発明の金型およびアルミニウム合金の連続鋳造方法は鋳造方向垂直方向に限定するものではなく、水平連続鋳造にも適用できる。本発明の金型はライナーの熱伝導度および表面粗さに特徴を有しており、どのような鋳造方式の金型にも適用できる。

0045

アルミニウム合金の連続鋳造において、鋳造温度(溶湯Mの温度)は650℃〜750℃の範囲が好ましく、鋳造速度は10mm/min〜200mm/minの範囲が好ましい。また、金型10の噴出口13噴出させる冷却水量は0.01m3/min〜0.5m3/minの範囲が好ましい。これらは凝固に影響を及ぼす条件であり、鋳造温度が750℃を超え、鋳造速度が200mm/minを超え、冷却水量が0.01m3/min未満になると、凝固が遅く成りすぎて平滑性の高い鋳肌の鋳塊鋳造が困難になる。一方、鋳造温度が650℃未満、鋳造速度が10mm/min未満、冷却水量が0.5m3/minを超えると凝固が早くなりすぎる。縦型連続鋳造装置においては、溶湯上部まで凝固が進行し平滑性の高い鋳塊鋳造が困難となり、溶湯供給装置まで凝固が進行した場合鋳塊が下降せず、支持台追従せずに鋳造失敗する可能性がある。

0046

上述した低融点元素を含有するアルミニウム合金を前記金型10を用いて連続鋳造して作製された鋳塊Sは表面平滑性が高く、鋳肌の凹凸差、即ち最も高い凸部から最も低い凹部までの距離は1.5mm以下である。

0047

図1に参照されるフロート型の縦型連続鋳造装置を用い、実施例1〜16および比較例1〜18のアルミニウム合金の連続鋳造を行った。

0048

アルミニウム合金は表1に示す4種類を用いた。これらのアルミニウム合金は、強度向上のためにSi、Cu、MgおよびZnが添加され、切削性向上のために、Bi、Sn、PbおよびInが添加された快削性アルミニウム合金である。

0049

0050

金型10は、アルミニウムからなる円筒型の金型本体20にカーボン製の円筒型ライナー30が取りつけられている。前記金型10は、成形孔11の直径が170mm、300mm、380mmの3種類である。各例で用いた金型10の成形孔11の直径は表2に示すとおりである。

0051

前記金型本体20は冷却水用のキャビティ12を有し、入口22から導入した冷却水Cによって成形孔11内の溶湯Mを一次冷却し、噴出口23から噴出させた冷却水Cで鋳出された鋳塊Sを二次冷却する構造である。また、内周面25にライナー30を内嵌めするための凹部26が形成されている。前記冷却水Cの流量は図外の制御装置によって調節される。

0052

ライナー30は、鋳造方向の長さが100mmで、内径が成形孔11の直径相当の円筒型であり、厚みは5mmである。前記ライナ30はカーボン粉をCIP成形によって押し固めた成形品であり、各ライナー30の熱伝導度は表2に示すとおりであり、内周面31が表2に記載した表面高さRzに調整されている。前記表面高さRzはJIS B0601 2001で規定された表面粗さである。

0053

実施例1〜16および比較例1〜18の各金型10は、表2に記載した金型本体20とライナー30を組み合わせ、ライナー30が金型本体20の凹部26に焼き嵌めにより取り付けられている。

0054

各金型10を図1に参照される縦型連続鋳造装置に組み込み、表1のアルミニウム合金を連続鋳造した。表2に各例の金型10とアルミニウム合金を示す。また、各例の連続鋳造条件は、表2に示す鋳造温度、鋳造速度および冷却水量とした。

0055

各例の連続鋳造について湯漏れの有無を調べた。さらに湯漏れの無かった連続鋳造については鋳塊の鋳肌の凹凸を調べ、凹凸差が1.5mm以下の鋳塊を良好(〇)、凹凸差が1.5mmを超える鋳塊を不良(×)と評価した。評価結果を表2に示す。

0056

実施例

0057

表2に示した結果より、ライナーの熱伝導度および表面粗さを規定することによって凝固壁の再溶融による湯漏れを防ぎ、平滑性の高い鋳塊を連続鋳造できることを確認した。

0058

本発明は、低融点元素を含有する快削性アルミニウム合金の連続鋳造に利用できる。

0059

10…金型
11…成形孔
12…注入口
13…鋳出口
20…金型本体
21…キャビティ
23…噴出口
30…ライナー
M…溶湯
S…鋳塊
C…冷却水

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