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課題

脂肪酸生合成経路によって奇数炭素原子を含有する直鎖を有する脂肪酸誘導体を生成するために操作された組換え微生物細胞並びに前記組換え微生物細胞を使用して奇数鎖脂肪酸誘導体を作製する方法及び前記方法によって生成された奇数鎖脂肪酸誘導体を含む組成物の提供。

解決手段

増加した量のプロピオニル−CoAを生成するために有効な酵素活性を有するポリペプチドと、基質としてプロピオニル−CoAを利用するβ−ケトアシル−ACP合成酵素活性を有するポリペプチドと、脂肪酸誘導体酵素活性を有するポリペプチドと、を夫々コードするポリヌクレオチドを有する組換え生細胞であって、前記ポリヌクレオチドを発現する為に有効な条件下で培養したとき、奇数鎖脂肪酸誘導体を含む脂肪酸誘導体組成物を生成し、脂肪酸誘導体組成物における脂肪酸誘導体の10%以上が奇数鎖脂肪酸誘導体である、組換え微生物細胞。

概要

背景

原油は、広範な炭化水素を含有する非常に複雑な混合物である。原油は、精油所において様々な化学的プロセスを経て多種多様燃料および化学物質に変換される。原油は、輸送燃料供給源ならびに石油化学製品を製造する原料の供給源である。石油化学製品は、プラスチック樹脂、繊維、エラストマー医薬品、潤滑剤およびゲルなどの専門的な化学物質を作製するために使用される。

最も重要な輸送燃料、すなわち、ガソリンディーゼルおよびジェット燃料は、最適なエンジン性能に合わせて調製された独特の炭化水素の様々な混合物を含有する。例えば、ガソリンは、一般的に炭素原子が約4個から12個の範囲の直鎖、分枝鎖および芳香族炭化水素を含み、一方ディーゼルは主に、炭素原子が約9個から23個の範囲の直鎖炭化水素を含む。ディーゼル燃料品質は、セタン価動粘度酸化的安定性および曇り点などのパラメータによって評価される(Knothe G.,Fuel Process Technol.86:1059−1070(2005)(非特許文献1))。これらのパラメータは、とりわけ炭化水素鎖の長さならびに炭化水素の枝分かれの程度または飽和度に影響を受ける。

微生物が生成する脂肪酸誘導体は、遺伝子操作によって特別に調製することができる。代謝操作によって、微生物株は、例えば、燃料基準または他の商業的に関連した製品規格合致するか、または上回るように最適化させることができる脂肪酸誘導体の様々な混合物を生成することが可能である。微生物種は、通常石油から得られる化学物質または前駆体分子を生成するように操作することができる。場合によっては、暫定的に効率よく適合させるか、または代用するために、既存の製品製品プロファイル、例えば、既存の石油由来の燃料もしくは化学製品の製品プロファイルを模倣することが望ましい。本明細書で記載した組換え細胞および方法は、例えば、炭化水素をベースにした燃料および化学物質の構造および機能を正確に制御する手段として、奇数偶数の長さの鎖の比が様々な脂肪酸誘導体の微生物による生成を実証する。

探索、抽出、長距離輸送または十分な精製を必要とせず、石油の加工に付随する環境被害問題を回避できる対費用効果の高い石油製品代替物が必要とされている。同様の理由で、通常石油から得られる化学物質の代替源が必要とされている。再生可能エネルギー源からの高品質のバイオ燃料燃料代替物および化学物質の効率的で対費用効果の高い生成方法も必要とされている。

所望する鎖長(例えば、奇数の炭素を有する鎖)を有する脂肪酸前駆体分子およびそれらから作製された脂肪酸誘導体を生成するように操作された組換え微生物細胞、これらの組換え微生物細胞を使用して所望するアシル鎖長および所望する奇数:偶数の長さの鎖の比を有する脂肪酸誘導体を含む組成物を生成する方法ならびにこれらの方法によって生成される組成物が、これらの必要性を解決する。

概要

脂肪酸生合成経路によって奇数の炭素原子を含有する直鎖を有する脂肪酸誘導体を生成するために操作された組換え微生物細胞並びに前記組換え微生物細胞を使用して奇数鎖脂肪酸誘導体を作製する方法及び前記方法によって生成された奇数鎖脂肪酸誘導体を含む組成物の提供。増加した量のプロピオニル−CoAを生成するために有効な酵素活性を有するポリペプチドと、基質としてプロピオニル−CoAを利用するβ−ケトアシル−ACP合成酵素活性を有するポリペプチドと、脂肪酸誘導体酵素活性を有するポリペプチドと、を夫々コードするポリヌクレオチドを有する組換え生細胞であって、前記ポリヌクレオチドを発現する為に有効な条件下で培養したとき、奇数鎖脂肪酸誘導体を含む脂肪酸誘導体組成物を生成し、脂肪酸誘導体組成物における脂肪酸誘導体の10%以上が奇数鎖脂肪酸誘導体である、組換え微生物細胞。なし

目的

本発明は、奇数鎖長脂肪酸誘導体を生成する新規の組換え微生物細胞およびこのような新規の組換え微生物細胞を含む細胞培養物を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
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請求項1

(a)増加した量のプロピオニル−CoAを生成するために有効な酵素活性欠如しているか、または量が低下している親微生物細胞において生成するプロピオニル−CoAの量に対して、組換え微生物細胞において増加した量のプロピオニル−CoAを生成するために有効な前記酵素活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドであって、前記ポリペプチドが組換え微生物細胞にとって外来性であるか、または前記ポリヌクレオチドの発現が親微生物細胞におけるポリヌクレオチドの発現と比較して組換え微生物細胞においてモジュレートされているポリヌクレオチド、(b)基質としてプロピオニル−CoAを利用するβ−ケトアシル−ACP合成酵素活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、および(c)脂肪酸誘導体酵素活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、を含む組換え微生物細胞であって、組換え微生物細胞が、炭素源の存在下で、(a)、(b)および(c)によるポリヌクレオチドを発現するために有効な条件下で培養したとき、奇数鎖脂肪酸誘導体を含む脂肪酸誘導体組成物を生成し、脂肪酸誘導体組成物における脂肪酸誘導体の少なくとも10%が奇数鎖脂肪酸誘導体である、組換え微生物細胞。

請求項2

脂肪酸誘導体組成物における脂肪酸誘導体の少なくとも20%が奇数鎖脂肪酸誘導体である、請求項1に記載の組換え微生物細胞。

請求項3

奇数鎖脂肪酸誘導体を少なくとも100mg/L生成する、請求項1に記載の組換え微生物細胞。

請求項4

(a)による少なくとも1種のポリヌクレオチドの発現が、組換え微生物細胞におけるポリヌクレオチドの過剰発現によってモジュレートされる、請求項1に記載の組換え微生物細胞。

請求項5

(a)によるポリヌクレオチドが、(i)アスパルトキナーゼ活性ホモセリン脱水素酵素活性、ホモセリンキナーゼ活性、スレオニン合成酵素活性およびスレオニンデアミナーゼ活性を有するポリペプチドをコードする1種または複数のポリヌクレオチド;(ii)(R)−シトラマル酸合成酵素活性、イソプロピルリンゴ酸イソメラーゼ活性およびベータ−イソプロピルリンゴ酸脱水素酵素活性を有するポリペプチドをコードする1種または複数のポリヌクレオチド;ならびに(iii)メチルマロニル−CoAムターゼ活性、メチルマロニル−CoAデカルボキシラーゼ活性およびメチルマロニル−CoAカルボキシトランスフェラーゼ活性を有するポリペプチドをコードする1種または複数のポリヌクレオチド、からなる群から選択される、請求項1に記載の組換え微生物細胞。

請求項6

(i)による1種または複数のポリヌクレオチドおよび(ii)による1種または複数のポリヌクレオチドを含む、請求項5に記載の組換え微生物細胞。

請求項7

基質としてプロピオニル−CoAを利用するβ−ケトアシル−ACP合成酵素活性を有するポリペプチドが組換え微生物細胞にとって外来性であり、組換え微生物細胞にとって内在性であるβ−ケトアシル−ACP合成酵素活性を有するポリペプチドの発現が減衰している、請求項1に記載の組換え微生物細胞。

請求項8

脂肪酸誘導体酵素活性がチオエステラーゼ活性を含み、組換え微生物細胞が奇数鎖脂肪酸を含む脂肪酸組成物を生成し、組成物中の脂肪酸の少なくとも10%が奇数鎖脂肪酸である、請求項1に記載の組換え微生物細胞。

請求項9

脂肪酸誘導体酵素活性がエステル合成酵素活性を含み、組換え微生物細胞が奇数鎖脂肪エステルを含む脂肪エステル組成物を生成し、組成物中の脂肪エステルの少なくとも10%が奇数鎖脂肪エステルである、請求項1に記載の組換え微生物細胞。

請求項10

脂肪酸誘導体酵素活性が脂肪アルデヒド生合成活性を含み、組換え微生物細胞が奇数鎖脂肪アルデヒドを含む脂肪アルデヒド組成物を生成し、組成物中の脂肪アルデヒドの少なくとも10%が奇数鎖脂肪アルデヒドである、請求項1に記載の組換え微生物細胞。

請求項11

脂肪酸誘導体酵素活性が脂肪アルコール生合成活性を含み、組換え微生物細胞が奇数鎖脂肪アルコールを含む脂肪アルコール組成物を生成し、組成物中の脂肪アルコールの少なくとも10%が奇数鎖脂肪アルコールである、請求項1に記載の組換え微生物細胞。

請求項12

脂肪酸誘導体酵素活性が炭化水素生合成活性を含み、組換え微生物細胞が偶数鎖炭化水素を含む炭化水素組成物を生成し、組成物中の炭化水素の少なくとも10%が偶数鎖炭化水素である、請求項1に記載の組換え微生物細胞。

請求項13

請求項1に記載の組換え微生物細胞を含む細胞培養物

請求項14

奇数鎖脂肪酸誘導体を含む脂肪酸誘導体組成物の作製方法であって、請求項1に記載の組換え微生物細胞を得ること、炭素源を含有する培養培地中で、(a)、(b)および(c)によるポリヌクレオチドを発現し、奇数鎖脂肪酸誘導体を含む脂肪酸誘導体組成物を生成するために有効な条件下で組換え微生物細胞を培養することであって、組成物中の脂肪酸誘導体の少なくとも10%が奇数鎖脂肪酸誘導体であること、および任意に、培養培地から奇数鎖脂肪酸誘導体組成物回収すること、を含む方法。

請求項15

組換え微生物細胞が、(1)チオエステラーゼ活性を有するポリペプチド;(2)デカルボキシラーゼ活性を有するポリペプチド;(3)カルボン酸レダクターゼ活性を有するポリペプチド;(4)アルコール脱水素酵素活性を有するポリペプチド(EC1.1.1.1);(5)アルデヒドデカルニラゼ活性を有するポリペプチド(EC4.1.99.5);(6)アシル−CoAレダクターゼ活性を有するポリペプチド(EC1.2.1.50);(7)アシル−ACPレダクターゼ活性を有するポリペプチド;(8)エステル合成酵素活性を有するポリペプチド(EC3.1.1.67);(9)OleA活性を有するポリペプチド;および(10)OleCDまたはOleBCD活性を有するポリペプチド、からなる群から選択される脂肪酸誘導体酵素活性を有するポリペプチドをコードする1種または複数のポリヌクレオチドを発現し、組換え微生物細胞が、奇数鎖脂肪酸、奇数鎖脂肪エステル、奇数鎖脂肪アルデヒド、奇数鎖脂肪アルコール、偶数鎖アルカン、偶数鎖アルケン、偶数鎖末端オレフィン、偶数鎖内部オレフィンまたはさらに偶数鎖ケトンの1種または複数を含む組成物を生成する、請求項14に記載の方法。

請求項16

親微生物細胞によって生成されるよりも高い力価または高い割合の奇数鎖脂肪酸誘導体を生成する組換え微生物細胞の作製方法であって、基質としてプロピオニル−CoAを利用するβ−ケトアシル−ACP合成酵素活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドおよび脂肪酸誘導体酵素活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む親微生物細胞を得ること、および同じ条件下で培養したとき、親微生物細胞によって生成されるプロピオニル−CoAの量よりも多量のプロピオニル−CoAを生成する、または生成することができる組換え微生物細胞を得るために親微生物細胞を操作すること、を含み、組換え微生物細胞が炭素源の存在下で、ポリヌクレオチドを発現するために有効な条件下で培養したとき、同じ条件下で培養した親微生物細胞によって生成される奇数鎖脂肪酸誘導体の力価または割合に対してより高い力価または高い割合の奇数鎖脂肪酸誘導体を生成する方法。

請求項17

親微生物細胞を操作する工程が、(a)アスパルトキナーゼ活性、ホモセリン脱水素酵素活性、ホモセリンキナーゼ活性、スレオニン合成酵素活性およびスレオニンデアミナーゼ活性を有するポリペプチド;(b)(R)−シトラマル酸合成酵素活性、イソプロピルリンゴ酸イソメラーゼ活性およびベータ−イソプロピルリンゴ酸脱水素酵素活性を有するポリペプチド;ならびに(c)メチルマロニル−CoAムターゼ活性、メチルマロニル−CoAデカルボキシラーゼ活性またはメチルマロニル−CoAカルボキシトランスフェラーゼ活性のどちらかおよび適宜メチルマロニル−CoAエピメラーゼ活性を有するポリペプチド、からなる群から選択されるポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを発現するために親微生物細胞を操作することを含み、(a)、(b)または(c)による少なくとも1種のポリペプチドが親微生物細胞に対して外来性であるか、または(a)、(b)または(c)による少なくとも1種のポリヌクレオチドの発現が、親微生物細胞におけるポリヌクレオチドの発現と比較して、組換え微生物細胞においてモジュレートされている、請求項16に記載の方法。

請求項18

組換え微生物細胞が、基質としてプロピオニル−CoAを利用するβ−ケトアシル−ACP合成酵素活性を有するポリペプチドをコードする外来性ポリヌクレオチドを発現するように操作されており、β−ケトアシル−ACP合成酵素活性を有するポリペプチドをコードする内在性ポリヌクレオチドの発現が減衰している、請求項16に記載の方法。

請求項19

微生物細胞によって生成される奇数鎖脂肪酸誘導体の力価または割合を増加させる方法であって、脂肪酸誘導体を生成する親微生物細胞を得ること、および同じ条件下で培養したとき、親微生物細胞によって生成されるプロピオニル−CoAの量よりも多量のプロピオニル−CoAを生成する、または生成することができる組換え微生物細胞を得るために親微生物細胞を操作すること、を含み、組換え微生物細胞が、炭素源の存在下で、組換え微生物細胞においてプロピオニル−CoAおよび脂肪酸誘導体を生成するために有効な条件下で培養したとき、同じ条件下で培養した親微生物細胞によって生成される奇数鎖脂肪酸誘導体の力価または割合に対してより高い力価または高い割合の奇数鎖脂肪酸誘導体を生成する方法。

請求項20

請求項14に記載の方法によって生成される脂肪酸誘導体組成物。

技術分野

0001

関連出願の相互参照
本出願は、特にその全体が参照により本明細書に組み込まれる2011年9月14日出願の米国特許出願第13/232,927号および2010年9月15日出願の米国特許仮出願第61/383,086号の一部継続出願であり、それらの優先権利益を主張する。

0002

電子提出資料の参照による組み込み
本出願は、EFS−WebによってASCII形式提出され、その全体が参照により本明細書に組み込まれる配列表を含む。2012年3月7日に作成された前記ASCIIコピーはLS0033PC.txtと称し、350,776バイトの大きさである。

背景技術

0003

原油は、広範な炭化水素を含有する非常に複雑な混合物である。原油は、精油所において様々な化学的プロセスを経て多種多様燃料および化学物質に変換される。原油は、輸送燃料供給源ならびに石油化学製品を製造する原料の供給源である。石油化学製品は、プラスチック樹脂、繊維、エラストマー医薬品、潤滑剤およびゲルなどの専門的な化学物質を作製するために使用される。

0004

最も重要な輸送燃料、すなわち、ガソリンディーゼルおよびジェット燃料は、最適なエンジン性能に合わせて調製された独特の炭化水素の様々な混合物を含有する。例えば、ガソリンは、一般的に炭素原子が約4個から12個の範囲の直鎖、分枝鎖および芳香族炭化水素を含み、一方ディーゼルは主に、炭素原子が約9個から23個の範囲の直鎖炭化水素を含む。ディーゼル燃料品質は、セタン価動粘度酸化的安定性および曇り点などのパラメータによって評価される(Knothe G.,Fuel Process Technol.86:1059−1070(2005)(非特許文献1))。これらのパラメータは、とりわけ炭化水素鎖の長さならびに炭化水素の枝分かれの程度または飽和度に影響を受ける。

0005

微生物が生成する脂肪酸誘導体は、遺伝子操作によって特別に調製することができる。代謝操作によって、微生物株は、例えば、燃料基準または他の商業的に関連した製品規格合致するか、または上回るように最適化させることができる脂肪酸誘導体の様々な混合物を生成することが可能である。微生物種は、通常石油から得られる化学物質または前駆体分子を生成するように操作することができる。場合によっては、暫定的に効率よく適合させるか、または代用するために、既存の製品製品プロファイル、例えば、既存の石油由来の燃料もしくは化学製品の製品プロファイルを模倣することが望ましい。本明細書で記載した組換え細胞および方法は、例えば、炭化水素をベースにした燃料および化学物質の構造および機能を正確に制御する手段として、奇数偶数の長さの鎖の比が様々な脂肪酸誘導体の微生物による生成を実証する。

0006

探索、抽出、長距離輸送または十分な精製を必要とせず、石油の加工に付随する環境被害問題を回避できる対費用効果の高い石油製品代替物が必要とされている。同様の理由で、通常石油から得られる化学物質の代替源が必要とされている。再生可能エネルギー源からの高品質のバイオ燃料燃料代替物および化学物質の効率的で対費用効果の高い生成方法も必要とされている。

0007

所望する鎖長(例えば、奇数の炭素を有する鎖)を有する脂肪酸前駆体分子およびそれらから作製された脂肪酸誘導体を生成するように操作された組換え微生物細胞、これらの組換え微生物細胞を使用して所望するアシル鎖長および所望する奇数:偶数の長さの鎖の比を有する脂肪酸誘導体を含む組成物を生成する方法ならびにこれらの方法によって生成される組成物が、これらの必要性を解決する。

発明が解決しようとする課題

0008

本発明は、奇数鎖長脂肪酸誘導体を生成する新規の組換え微生物細胞およびこのような新規の組換え微生物細胞を含む細胞培養物を提供する。本発明はまた、本発明の組換え微生物細胞の培養を含む奇数鎖長脂肪酸誘導体を含む組成物の作製方法、このような方法によって作製された組成物およびさらなる調査によって明らかとなった他の特性(feature)を提供する。

課題を解決するための手段

0009

第1の態様では、本発明は、プロピオニル−CoAの生成を増加させるために有効な酵素活性欠如しているか、または量が低下している親微生物細胞におけるプロピオニル−CoAの生成に対して、細胞においてプロピオニル−CoAの生成を増加させるために有効な前記酵素活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む組換え微生物細胞であって、細胞を炭素源の存在下で、ポリヌクレオチドを発現するために有効な条件下で培養したとき、奇数鎖脂肪酸誘導体を含む脂肪酸誘導体組成物を生成する組換え微生物細胞を提供する。組換え微生物細胞は、(a)増加した量のプロピオニル−CoAを生成するために有効な酵素活性を欠如しているか、または量が低下している親微生物細胞において生成するプロピオニル−CoAの量に対して、組換え微生物細胞において増加した量のプロピオニル−CoAを生成するために有効な前記酵素活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドであり、ポリペプチドが組換え微生物細胞にとって外来性であるか、またはポリヌクレオチドの発現が親微生物細胞におけるポリヌクレオチドの発現と比較して組換え微生物細胞においてモジュレートされているポリヌクレオチド、(b)基質としてプロピオニル−CoAを利用するβ−ケトアシル−ACP合成酵素(「FabH」)活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドおよび(c)脂肪酸誘導体酵素活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含み、組換え微生物細胞は、炭素源の存在下で、(a)、(b)および(c)によるポリヌクレオチドを発現するために有効な条件下で培養したとき、奇数鎖脂肪酸誘導体を含む脂肪酸誘導体組成物を生成する。いくつかの実施形態では、(a)による少なくとも1種のポリヌクレオチドの発現は、ポリヌクレオチドの外来性プロモーターへの操作可能な連結などによるポリヌクレオチドの過剰発現によってモジュレートされている。

0010

いくつかの実施形態では、第1の態様の微生物細胞によって生成される組成物における脂肪酸誘導体の少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%または少なくとも90%が奇数鎖脂肪酸誘導体である。いくつかの実施形態では、組換え微生物細胞は、炭素源を含有する培養培地中で、(a)、(b)および(c)によるポリヌクレオチドを発現するために有効な条件下で培養したとき、少なくとも50mg/L、少なくとも75mg/L、少なくとも100mg/L、少なくとも200mg/L、少なくとも500mg/L、少なくとも1000mg/L、少なくとも2000mg/L、少なくとも5000mg/Lまたは少なくとも10000mg/Lの奇数鎖脂肪酸誘導体を生成する。

0011

いくつかの実施形態では、(a)による組換え微生物細胞において増加した量のプロピオニル−CoAを生成するために有効な酵素活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドが、(i)アスパルトキナーゼ活性ホモセリン脱水素酵素活性、ホモセリンキナーゼ活性、スレオニン合成酵素活性またはスレオニンデアミナーゼ活性を有するポリペプチドをコードする1種または複数のポリヌクレオチド、(ii)(R)−シトラマル酸合成酵素活性、イソプロピルリンゴ酸イソメラーゼ活性またはベータ−イソプロピルリンゴ酸脱水素酵素活性を有するポリペプチドをコードする1種または複数のポリヌクレオチドおよび(iii)メチルマロニル−CoAムターゼ活性、メチルマロニル−CoAデカルボキシラーゼ活性、メチルマロニル−CoAカルボキシルトランスフェラーゼ活性またはメチルマロニル−CoAエピメラーゼ活性を有するポリペプチドをコードする1種または複数のポリヌクレオチドから選択される。いくつかの実施形態では、微生物細胞は、(i)による1種または複数のポリヌクレオチドおよび(ii)による1種または複数のポリヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、微生物細胞は、(i)および/または(ii)による1種または複数のポリヌクレオチドおよび(iii)による1種または複数のポリヌクレオチドを含む。

0012

いくつかの実施形態では、基質としてプロピオニル−CoAを利用するβ−ケトアシル−ACP合成酵素活性を有するポリペプチドは組換え微生物細胞にとって外来性である。さらに特定の実施形態では、組換え微生物細胞にとって内在性のβ−ケトアシル−ACP合成酵素活性を有するポリペプチドの発現は減衰している。

0013

脂肪酸誘導体酵素活性は、内在性(「天然」)であっても外来性であってもよい。いくつかの実施形態では、脂肪酸誘導体酵素活性にはチオエステラーゼ活性が含まれ、組換え微生物細胞によって生成される脂肪酸誘導体組成物には奇数鎖脂肪酸および偶数鎖脂肪酸が含まれる。いくつかの実施形態では、組成物における脂肪酸の少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%または少なくとも90%が奇数鎖脂肪酸である。いくつかの実施形態では、組換え微生物細胞は、炭素源を含有する培養培地中で、ポリヌクレオチドを発現するために有効な条件下で培養したとき、少なくとも50mg/L、少なくとも75mg/L、少なくとも100mg/L、少なくとも200mg/L、少なくとも500mg/L、少なくとも1000mg/L、少なくとも2000mg/L、少なくとも5000mg/Lまたは少なくとも10000mg/Lの奇数鎖脂肪酸を生成する。

0014

第1の態様のいくつかの実施形態では、脂肪酸誘導体酵素活性にはエステル合成酵素活性が含まれ、組換え微生物によって生成される脂肪酸誘導体組成物には奇数鎖脂肪エステルおよび偶数鎖脂肪エステルが含まれる。いくつかの実施形態では、組成物における脂肪エステルの少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%または少なくとも90%が奇数鎖脂肪エステルである。いくつかの実施形態では、組換え微生物細胞は、炭素源を含有する培養培地中で、ポリヌクレオチドを発現するために有効な条件下で培養したとき、少なくとも50mg/L、少なくとも75mg/L、少なくとも100mg/L、少なくとも200mg/L、少なくとも500mg/L、少なくとも1000mg/L、少なくとも2000mg/L、少なくとも5000mg/Lまたは少なくとも10000mg/Lの奇数鎖脂肪エステルを生成する。

0015

第1の態様のいくつかの実施形態では、脂肪酸誘導体酵素活性には脂肪アルデヒド生合成活性が含まれ、組換え微生物細胞によって生成される脂肪酸誘導体組成物には奇数鎖脂肪アルデヒドおよび偶数鎖脂肪アルデヒドが含まれる。いくつかの実施形態では、組成物における脂肪アルデヒドの少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%または少なくとも90%が奇数鎖脂肪アルデヒドである。いくつかの実施形態では、組換え微生物細胞は、炭素源を含有する培養培地中で、ポリヌクレオチドを発現するために有効な条件下で培養したとき、少なくとも50mg/L、少なくとも75mg/L、少なくとも100mg/L、少なくとも200mg/L、少なくとも500mg/L、少なくとも1000mg/L、少なくとも2000mg/L、少なくとも5000mg/Lまたは少なくとも10000mg/Lの奇数鎖脂肪アルデヒドを生成する。

0016

第1の態様のいくつかの実施形態では、脂肪酸誘導体酵素活性には脂肪アルコール生合成活性が含まれ、組換え微生物細胞によって生成される脂肪酸誘導体組成物には奇数鎖脂肪アルコールおよび偶数鎖脂肪アルコールが含まれる。いくつかの実施形態では、組成物における脂肪アルコールの少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%または少なくとも90%が奇数鎖脂肪アルコールである。いくつかの実施形態では、組換え微生物細胞は、炭素源を含有する培養培地中で、ポリヌクレオチドを発現するために有効な条件下で培養したとき、少なくとも50mg/L、少なくとも75mg/L、少なくとも100mg/L、少なくとも200mg/L、少なくとも500mg/L、少なくとも1000mg/L、少なくとも2000mg/L、少なくとも5000mg/Lまたは少なくとも10000mg/Lの奇数鎖脂肪アルコールを生成する。

0017

第1の態様のいくつかの実施形態では、脂肪酸誘導体酵素活性には炭化水素生合成活性が含まれ、組換え微生物細胞によって生成される脂肪酸誘導体組成物は、アルカン組成物、アルケン組成物、末端オレフィン組成物、内部オレフィン組成物またはケトン組成物などの炭化水素組成物であり、この炭化水素組成物には奇数鎖炭化水素および偶数鎖炭化水素が含まれる。いくつかの実施形態では、組成物における炭化水素の少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%または少なくとも90%が偶数鎖炭化水素である。いくつかの実施形態では、組換え微生物細胞は、炭素源を含有する培養培地中で、ポリヌクレオチドを発現するために有効な条件下で培養したとき、少なくとも50mg/L、少なくとも75mg/L、少なくとも100mg/L、少なくとも200mg/L、少なくとも500mg/L、少なくとも1000mg/L、少なくとも2000mg/L、少なくとも5000mg/Lまたは少なくとも10000mg/Lの偶数鎖炭化水素を生成する。

0018

様々な実施形態では、炭素源には、糖などの炭水化物、例えば、単糖二糖オリゴ糖または多糖が含まれる。いくつかの実施形態では、炭素源はセルロース加水分解物などのバイオマスから得られる。

0019

様々な実施形態では、親(例えば、宿主)微生物細胞は、糸状菌藻類酵母または細菌などの原核細胞である。様々な好ましい実施形態では、宿主細胞細菌細胞である。より好ましい実施形態では、宿主細胞はE.コリ(E.coli)細胞またはバチルス(Bacillus)細胞である。

0020

偶数鎖脂肪酸誘導体および奇数鎖脂肪酸誘導体を作製するための経路の例をそれぞれ図1Aおよび1Bに示す。図2および3は、奇数鎖脂肪酸誘導体生成を増加させるためにプロピオニル−CoAを通る代謝流を対象とした様々なアプローチの全体像であり、図2は、中間体α−ケト酪酸を通る経路の例を示しており、図3は中間体メチルマロニル−CoAを通る経路の例を示している。

0021

一実施形態では、第1の態様による組換え微生物細胞は、基質としてプロピオニル−CoAを利用するβ−ケトアシル−ACP合成酵素活性、好ましくはEC2.3.1.180として分類されるβ−ケトアシル−ACP合成酵素III活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む。一実施形態では、β−ケトアシル−ACP合成酵素活性を有するポリペプチドはfabH遺伝子によってコードされる。一実施形態では、β−ケトアシル−ACP合成酵素活性を有するポリペプチドは、親微生物細胞にとって内在性である。別の実施形態では、β−ケトアシル−ACP合成酵素活性を有するポリペプチドは、親微生物細胞にとって外来性である。別の実施形態では、β−ケトアシル−ACP合成酵素活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの発現は、組換え微生物細胞においてモジュレートされている。場合によっては、ポリヌクレオチドの発現は、ポリヌクレオチドが組換え微生物細胞において過剰発現するように、ポリヌクレオチドを外来性プロモーターに操作可能に連結することによってモジュレートされる。別の実施形態では、β−ケトアシル−ACP合成酵素活性を有するポリペプチドは、基質としてプロピオニル−CoAを利用し、インビトロ(in vitro)またはインビボ(in vivo)において、好ましくはインビボにおいて、奇数鎖アシル−ACPを形成するためにプロピオニル−CoAとマロニル−ACPの縮合触媒するβ−ケトアシル−ACP合成酵素活性を有する、配列番号1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、146、147、148もしくは149から選択される配列またはそれらの変異体または断片を含む。別の実施形態では、基質としてプロピオニル−CoAを利用するβ−ケトアシル−ACP合成酵素活性を有するポリペプチドは、配列番号14〜19から選択される1種または複数の配列モチーフを含み、インビトロまたはインビボにおいて、好ましくはインビボにおいて、奇数鎖アシル−ACPを形成するためにプロピオニル−CoAとマロニル−ACPの縮合を触媒する。

0022

一実施形態では、第1の態様による組換え微生物細胞は、β−ケトアシル−ACP合成酵素活性を有するポリペプチドをコードする内在性ポリヌクレオチド配列(例えば、内在性fabH遺伝子)を含むが、組換え微生物細胞におけるこのような内在性ポリヌクレオチド配列の発現は減衰している。いくつかの実施形態では、内在性ポリヌクレオチドの発現は、組換え微生物細胞における内在性ポリヌクレオチドの配列の全てまたは一部の欠失によって減衰している。減衰した内在性β−ケトアシル−ACP合成酵素遺伝子を含むこのような組換え微生物細胞はさらに、基質としてプロピオニル−CoAを利用するβ−ケトアシル−ACP合成酵素活性を有する外来性ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列を含むことが好ましい。

0023

一実施形態では、第1の態様による組換え微生物細胞は、EC2.7.2.4として分類されるアスパルトキナーゼ活性(図2、経路(A))を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、アスパルトキナーゼ活性を有するポリペプチドは、thrA、dapGまたはhom3遺伝子によってコードされる。一実施形態では、アスパルトキナーゼ活性を有するポリペプチドは親微生物細胞にとって内在性であるか、または親微生物細胞にとって外来性である。別の実施形態では、アスパルトキナーゼ活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの発現は、組換え微生物細胞においてモジュレートされている。場合によっては、ポリヌクレオチドの発現は、ポリヌクレオチドが組換え微生物細胞において過剰発現するように、ポリヌクレオチドを外来性プロモーターに操作可能に連結することによって調節される。別の実施形態では、アスパルトキナーゼ活性を有するポリペプチドは、アスパルトキナーゼ活性を有し、インビトロまたはインビボにおいて、好ましくはインビボにおいて、アスパラギン酸からアスパルチルリン酸への変換を触媒する、配列番号20、21、22、23、24から選択される配列またはそれらの変異体または断片を含む。

0024

一実施形態では、第1の態様による組換え微生物細胞は、EC1.1.1.3として分類されるホモセリン脱水素酵素活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、ホモセリン脱水素酵素活性を有するポリペプチドは、thrA、homまたはhom6遺伝子によってコードされる。一実施形態では、ホモセリン脱水素酵素活性を有するポリペプチドは親微生物細胞にとって内在性であるか、または親微生物細胞にとって外来性である。別の実施形態では、ホモセリン脱水素酵素活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの発現は、組換え微生物細胞において調節されている。場合によっては、ポリヌクレオチドの発現は、ポリヌクレオチドが組換え微生物細胞において過剰発現するように、ポリヌクレオチドを外来性プロモーターに操作可能に連結することによってモジュレートされる。別の実施形態では、ホモセリン脱水素酵素活性を有するポリペプチドは、ホモセリン脱水素酵素活性を有し、インビトロまたはインビボにおいて、好ましくはインビボにおいて、アスパラギン酸セミアルデヒドからホモセリンへの変換を触媒する、配列番号20、21、25、26、27から選択される配列またはそれらの変異体または断片を含む。

0025

特定の実施形態では、第1の態様による組換え微生物細胞は、アスパルトキナーゼおよびホモセリン脱水素酵素活性の両方を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む。一実施形態では、アスパルトキナーゼおよびホモセリン脱水素酵素活性を有するポリペプチドは親微生物細胞にとって内在性であるか、または親微生物細胞にとって外来性である。別の実施形態では、アスパルトキナーゼおよびホモセリン脱水素酵素活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの発現は、組換え微生物細胞においてモジュレートされている。場合によっては、ポリヌクレオチドの発現は、ポリヌクレオチドが組換え微生物細胞において過剰発現するように、ポリヌクレオチドを外来性プロモーターに操作可能に連結することによってモジュレートされる。一実施形態では、アスパルトキナーゼおよびホモセリン脱水素酵素活性を有するポリペプチドは、インビトロまたはインビボにおいて、好ましくはインビボにおいて、アスパラギン酸からアスパラチルリン酸への変換およびアスパラギン酸セミアルデヒドからホモセリンへの変換を触媒する、配列番号20または配列番号21などのそれらの変異体または断片を含む。

0026

一実施形態では、第1の態様による組換え微生物細胞は、EC2.7.1.39として分類されるホモセリンキナーゼ活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、ホモセリンキナーゼ活性を有するポリペプチドは、thrB遺伝子またはthrI遺伝子によってコードされる。一実施形態では、ホモセリンキナーゼ活性を有するポリペプチドは親微生物細胞にとって内在性であるか、または親微生物細胞にとって外来性である。別の実施形態では、ホモセリンキナーゼ活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの発現は、組換え微生物細胞においてモジュレートされている。場合によっては、ポリヌクレオチドの発現は、ポリヌクレオチドが組換え微生物細胞において過剰発現するように、ポリヌクレオチドを外来性プロモーターに操作可能に連結することによってモジュレートされる。別の実施形態では、ホモセリンキナーゼ活性を有するポリペプチドは、ホモセリンキナーゼ活性を有し、インビトロまたはインビボにおいて、好ましくはインビボにおいて、ホモセリンからO−ホスホ−L−ホモセリンへの変換を触媒する、配列番号28、29、30、31から選択される配列またはそれらの変異体または断片を含む。

0027

一実施形態では、第1の態様による組換え微生物細胞は、EC4.2.3.1として分類されるスレオニン合成酵素活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む。一実施形態では、スレオニン合成酵素活性を有するポリペプチドは、thrC遺伝子によってコードされる。一実施形態では、スレオニン合成酵素活性を有するポリペプチドは、親微生物細胞にとって内在性であるか、または親微生物細胞にとって外来性である。別の実施形態では、スレオニン合成酵素活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの発現は、組換え微生物細胞においてモジュレートされている。場合によっては、ポリヌクレオチドの発現は、ポリヌクレオチドが組換え微生物細胞において過剰発現するように、ポリヌクレオチドを外来性プロモーターに操作可能に連結することによってモジュレートされる。別の実施形態では、スレオニン合成酵素活性を有するポリペプチドは、スレオニン合成酵素活性を有し、インビトロまたはインビボにおいて、好ましくはインビボにおいて、O−ホスホ−L−ホモセリンからスレオニンへの変換を触媒する、配列番号32、33、34から選択される配列またはそれらの変異体または断片を含む。

0028

一実施形態では、第1の態様による組換え微生物細胞は、EC4.3.1.19として分類されるスレオニンデアミナーゼ活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、スレオニンデアミナーゼ活性を有するポリペプチドは、tdcB遺伝子またはilvA遺伝子によってコードされる。一実施形態では、スレオニンデアミナーゼ活性を有するポリペプチドは親微生物細胞にとって内在性であるか、または親微生物細胞にとって外来性である。別の実施形態では、スレオニンデアミナーゼ活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの発現は、組換え微生物細胞においてモジュレートされている。場合によっては、ポリヌクレオチドの発現は、ポリヌクレオチドが組換え微生物細胞において過剰発現するように、ポリヌクレオチドを外来性プロモーターに操作可能に連結することによってモジュレートされる。別の実施形態では、スレオニンデアミナーゼ活性を有するポリペプチドは、スレオニンデアミナーゼ活性を有し、インビトロまたはインビボにおいて、好ましくはインビボにおいて、スレオニンから2−ケト酪酸への変換を触媒する、配列番号35、36、37、38、39から選択される配列またはそれらの変異体または断片を含む。

0029

一実施形態では、第1の態様による組換え微生物細胞は、EC2.3.1.182として分類される(R)−シトラマル酸合成酵素活性(図2、経路(B))を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む。一実施形態では、(R)−シトラマル酸合成酵素活性を有するポリペプチドはcimA遺伝子によってコードされる。一実施形態では、(R)−シトラマル酸合成酵素活性を有するポリペプチドは親微生物細胞にとって内在性であるか、または親微生物細胞にとって外来性である。別の実施形態では、(R)−シトラマル酸合成酵素活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの発現は、組換え微生物細胞においてモジュレートされている。場合によっては、ポリヌクレオチドの発現は、ポリヌクレオチドが組換え微生物細胞において過剰発現するように、ポリヌクレオチドを外来性プロモーターに操作可能に連結することによってモジュレートされる。別の実施形態では、(R)−シトラマル酸合成酵素活性を有するポリペプチドは、(R)−シトラマル酸合成酵素活性を有し、インビトロまたはインビボにおいて、好ましくはインビボにおいて、アセチル−CoAおよびピルビン酸から(R)−シトラマル酸への反応を触媒する、配列番号40、41、42、43から選択される配列またはそれらの変異体または断片を含む。

0030

一実施形態では、第1の態様による組換え微生物細胞は、EC4.2.1.33として分類されるイソプロピルリンゴ酸イソメラーゼ活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む。一実施形態では、イソプロピルリンゴ酸イソメラーゼ活性を有するポリペプチドは、leuCD遺伝子によってコードされる大サブユニットおよび小サブユニットを含む。一実施形態では、イソプロピルリンゴ酸イソメラーゼ活性を有するポリペプチドは親微生物細胞にとって内在性であるか、または親微生物細胞にとって外来性である。別の実施形態では、イソプロピルリンゴ酸イソメラーゼ活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの発現は、組換え微生物細胞においてモジュレートされている。場合によっては、ポリヌクレオチドの発現は、ポリヌクレオチドが組換え微生物細胞において過剰発現するように、ポリヌクレオチドを外来性プロモーターに操作可能に連結することによってモジュレートされる。別の実施形態では、イソプロピルリンゴ酸イソメラーゼ活性を有するポリペプチドは大サブユニットおよび小サブユニットを含む。他の実施形態では、イソプロピルリンゴ酸イソメラーゼ活性を有するポリペプチドは、イソプロピルリンゴ酸イソメラーゼ活性を有し、インビトロまたはインビボにおいて、好ましくはインビボにおいて、(R)−シトラマル酸からシトラコン酸およびシトラコン酸からベータ−メチル−D−リンゴ酸への変換を触媒する、配列番号44および46から選択される大サブユニット配列および配列番号45および47から選択される小サブユニット配列またはそれらの変異体または断片を含む。

0031

一実施形態では、第1の態様による組換え微生物細胞は、EC1.1.1.85として分類されるベータ−イソプロピルリンゴ酸脱水素酵素活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、ベータ−イソプロピルリンゴ酸脱水素酵素活性を有するポリペプチドは、leuB遺伝子またはleu2遺伝子によってコードされる。一実施形態では、ベータ−イソプロピルリンゴ酸脱水素酵素活性を有するポリペプチドは、親微生物細胞にとって内在性であるか、または親微生物細胞にとって外来性である。別の実施形態では、ベータ−イソプロピルリンゴ酸脱水素酵素活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの発現は、組換え微生物細胞においてモジュレートされている。場合によっては、ポリヌクレオチドの発現は、ポリヌクレオチドが組換え微生物細胞において過剰発現するように、ポリヌクレオチドを外来性プロモーターに操作可能に連結することによってモジュレートされる。別の実施形態では、ベータ−イソプロピルリンゴ酸脱水素酵素活性を有するポリペプチドは、ベータ−イソプロピルリンゴ酸脱水素酵素活性を有し、インビトロまたはインビボにおいて、好ましくはインビボにおいて、ベータ−メチル−D−リンゴ酸から2−ケト酪酸への変換を触媒する、配列番号48、49、50から選択される配列またはそれらの変異体または断片を含む。

0032

一実施形態では、第1の態様による組換え微生物細胞は、EC5.4.99.2として分類されるメチルマロニル−CoAムターゼ活性(図3)を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、メチルマロニル−CoAムターゼ活性を有するポリペプチドは、scpA(sbmとしても知られている)遺伝子によってコードされる。一実施形態では、メチルマロニル−CoAムターゼ活性を有するポリペプチドは、親微生物細胞にとって内在性であるか、または親微生物細胞にとって外来性である。別の実施形態では、メチルマロニル−CoAムターゼ活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの発現は、組換え微生物細胞においてモジュレートされている。場合によっては、ポリヌクレオチドの発現は、ポリヌクレオチドが組換え微生物細胞において過剰発現するように、ポリヌクレオチドを外来性プロモーターに操作可能に連結することによってモジュレートされる。別の実施形態では、メチルマロニル−CoAムターゼ活性を有するポリペプチドは、メチルマロニル−CoAムターゼ活性を有し、インビトロまたはインビボにおいて、好ましくはインビボにおいて、スクシニル−CoAからメチルマロニル−CoAへの変換を触媒する、配列番号51、52、53、54,55、56、57、58から選択される配列またはそれらの変異体または断片を含む。

0033

一実施形態では、第1の態様による組換え微生物細胞は、EC4.1.1.41として分類されるメチルマロニル−CoAデカルボキシラーゼ活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、メチルマロニル−CoAデカルボキシラーゼ活性を有するポリペプチドは、scpB(ygfGとしても知られている)遺伝子によってコードされる。一実施形態では、メチルマロニル−CoAデカルボキシラーゼ活性を有するポリペプチドは、親微生物細胞にとって内在性であるか、または親微生物細胞にとって外来性である。別の実施形態では、メチルマロニル−CoAデカルボキシラーゼを有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの発現は、組換え微生物細胞においてモジュレートされている。場合によっては、ポリヌクレオチドの発現は、ポリヌクレオチドが組換え微生物細胞において過剰発現するように、ポリヌクレオチドを外来性プロモーターに操作可能に連結することによってモジュレートされる。別の実施形態では、メチルマロニル−CoAデカルボキシラーゼ活性を有するポリペプチドは、メチルマロニル−CoAデカルボキシラーゼ活性を有し、インビトロまたはインビボにおいて、好ましくはインビボにおいて、メチルマロニル−CoAからプロピオニル−CoAへの変換を触媒する、配列番号59、60、61から選択される配列またはそれらの変異体または断片を含む。

0034

一実施形態では、第1の態様による組換え微生物細胞は、EC2.1.3.1として分類されるメチルマロニル−CoAカルボキシルトランスフェラーゼ活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む。一実施形態では、メチルマロニル−CoAカルボキシルトランスフェラーゼ活性を有するポリペプチドは、親微生物細胞にとって内在性であるか、または親微生物細胞にとって外来性である。別の実施形態では、メチルマロニル−CoAカルボキシルトランスフェラーゼ活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの発現は、組換え微生物細胞においてモジュレートされている。場合によっては、ポリヌクレオチドの発現は、ポリヌクレオチドが組換え微生物細胞において過剰発現するように、ポリヌクレオチドを外来性プロモーターに操作可能に連結することによってモジュレートされる。別の実施形態では、メチルマロニル−CoAカルボキシルトランスフェラーゼ活性を有するポリペプチドは、メチルマロニル−CoAカルボキシルトランスフェラーゼ活性を有し、インビトロまたはインビボにおいて、好ましくはインビボにおいて、メチルマロニル−CoAからプロピオニル−CoAへの変換を触媒する、配列番号62の配列またはその変異体または断片を含む。

0035

一実施形態では、第1の態様による組換え微生物細胞は、EC5.1.99.1として分類されるメチルマロニル−CoAエピメラーゼ活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む。一実施形態では、メチルマロニル−CoAエピメラーゼ活性を有するポリペプチドは、親微生物細胞にとって内在性であるか、または親微生物細胞にとって外来性である。別の実施形態では、メチルマロニル−CoAエピメラーゼ活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの発現は、組換え微生物細胞においてモジュレートされている。場合によっては、ポリヌクレオチドの発現は、ポリヌクレオチドが組換え微生物細胞において過剰発現するように、ポリヌクレオチドを外来性プロモーターに操作可能に連結することによってモジュレートされる。別の実施形態では、メチルマロニル−CoAエピメラーゼ活性を有するポリペプチドは、メチルマロニル−CoAエピメラーゼ活性を有し、インビトロまたはインビボにおいて、好ましくはインビボにおいて、(R)−メチルマロニル−CoAから(S)−メチルマロニル−CoAへの変換を触媒する配列番号63の配列またはその変異体または断片を含む。

0036

一実施形態では、第1の態様による組換え微生物細胞は、プロピオニル−CoA::スクシニル−CoAトランスフェラーゼ活性を有するポリペプチドをコードする内在性ポリヌクレオチド配列(例えば、内在性scpC遺伝子(ygfHとしても知られている))を含み、組換え微生物細胞におけるこのような内在性ポリヌクレオチドの発現は減衰している。いくつかの実施形態では、内在性ポリヌクレオチドの発現は、組換え微生物細胞における内在性ポリヌクレオチドの配列の全てまたは一部の欠失によって減衰している。

0037

一実施形態では、第1の態様による組換え微生物細胞は、アシル−CoA脱水素酵素活性を有するポリペプチドをコードする内在性ポリヌクレオチド配列(例えば、内在性fadE遺伝子)を含み、組換え微生物細胞におけるこのような内在性ポリヌクレオチド配列の発現は減衰していてもよく、または減衰していなくてもよい。

0038

他の実施形態では、第1の態様による組換え微生物細胞は、脂肪酸誘導体酵素活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含み、組換え微生物細胞は、炭素源の存在下で培養したとき、奇数鎖脂肪酸誘導体を含む脂肪酸誘導体組成物を生成する。

0039

様々な実施形態では、脂肪酸誘導体酵素活性には、チオエステラーゼ活性、エステル合成酵素活性、脂肪アルデヒド生合成活性、脂肪アルコール生合成活性、ケトン生合成活性および/または炭化水素生合成活性が含まれる。いくつかの実施形態では、組換え微生物細胞は、2種以上のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドであって、各ポリペプチドが脂肪酸誘導体酵素活性を有するポリヌクレオチドを含む。さらに特定の実施形態では、組換え微生物細胞は、(1)チオエステラーゼ活性を有するポリペプチド、(2)デカルボキシラーゼ活性を有するポリペプチド、(3)カルボン酸レダクターゼ活性を有するポリペプチド、(4)アルコール脱水素酵素活性を有するポリペプチド(EC1.1.1.1)、(5)アルデヒドデカルニラゼ活性を有するポリペプチド(EC 4.1.99.5)、(6)アシル−CoA−レダクターゼ活性を有するポリペプチド(EC1.2.1.50)、(7)アシル−ACPレダクターゼ活性を有するポリペプチド、(8)エステル合成酵素活性を有するポリペプチド(EC3.1.1.67)、(9)OleA活性を有するポリペプチド、または(10)OleCDもしくはOleBCD活性を有するポリペプチドから選択される脂肪酸誘導体酵素活性を有する1種または複数のポリペプチドを発現するかまたは過剰発現し、組換え微生物細胞は、奇数鎖脂肪酸、奇数鎖脂肪エステル、奇数鎖ワックスエステル、奇数鎖脂肪アルデヒド、奇数鎖脂肪アルコール、偶数鎖アルカン、偶数鎖アルケン、偶数鎖内部オレフィン、偶数鎖末端オレフィンまたは偶数鎖ケトンを含む組成物を生成する。

0040

一実施形態では、脂肪酸誘導体酵素活性は、チオエステラーゼ活性を含み、組換え微生物細胞を含む培養物は、炭素源の存在下で培養したとき、奇数鎖脂肪酸を含む脂肪酸組成物を生成する。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、EC3.1.1.5、EC3.1.2.−またはEC3.1.2.14に分類されるチオエステラーゼ活性を有する。いくつかの実施形態では、チオエステラーゼ活性を有するポリペプチドは、tesA、tesB、fatAまたはfatB遺伝子によってコードされる。いくつかの実施形態では、チオエステラーゼ活性を有するポリペプチドは親微生物細胞にとって内在性であるか、または親微生物細胞にとって外来性である。別の実施形態では、チオエステラーゼ活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの発現は、組換え微生物細胞においてモジュレートされている。場合によっては、ポリヌクレオチドの発現は、ポリヌクレオチドが組換え微生物細胞において過剰発現するように、ポリヌクレオチドを外来性プロモーターに操作可能に連結することによってモジュレートされる。別の実施形態では、チオエステラーゼ活性を有するポリペプチドは、チオエステラーゼ活性を有し、インビトロまたはインビボにおいて、好ましくはインビボにおいて、奇数鎖アシル−ACPの奇数鎖脂肪酸への加水分解を触媒するかまたは奇数鎖アシル−ACPの奇数鎖脂肪エステルへの加アルコール分解を触媒する、配列番号64、65、66、67、68、69、70、71および72から選択される配列またはそれらの変種または断片を含む。いくつかの実施形態では、チオエステラーゼ活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む第1の態様による組換え微生物細胞は、炭素源の存在下で培養したとき、炭素源を含有する培養培地中でポリヌクレオチドを発現するために有効な条件下で培養したとき、少なくとも50mg/L、少なくとも75mg/L、少なくとも100mg/L、少なくとも200mg/L、少なくとも500mg/L、少なくとも1000mg/Lまたは少なくとも2000mg/Lの奇数鎖脂肪酸を生成する。いくつかの実施形態では、チオエステラーゼ活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む第1の態様による組換え微生物細胞は、奇数鎖脂肪酸および偶数鎖脂肪酸を含む脂肪酸組成物を生成する。いくつかの実施形態では、組成物における脂肪酸の少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%または少なくとも90%が奇数鎖脂肪酸である。

0041

本発明は、第1の態様による組換え微生物細胞を含む細胞培養物を含む。

0042

第2の態様では、本発明は、組換え微生物細胞における奇数鎖脂肪酸誘導体(または奇数鎖脂肪酸誘導体を含む脂肪酸誘導体組成物)の生成方法であって、細胞内におけるプロピオニル−CoAの生成を増加させるために有効な酵素活性を有する組換えポリペプチドを細胞内で発現させることと、炭素源の存在下で組換えポリペプチドを発現し、奇数鎖脂肪酸誘導体を生成するために有効な条件下で細胞を培養することとを含む方法を含む。

0043

一実施形態では、奇数鎖脂肪酸誘導体を含む脂肪酸誘導体組成物の作製方法は、第1の態様による組換え微生物細胞を得ることと、炭素源を含有する培養培地中で、(a)、(b)および(c)によるポリヌクレオチドを発現し、奇数鎖脂肪酸誘導体を含む脂肪酸誘導体組成物を生成するために有効な条件下で細胞を培養することと、適宜培養培地から組成物を回収することとを含む。

0044

いくつかの実施形態では、第2の態様による方法によって生成される脂肪酸誘導体組成物は、奇数鎖脂肪酸誘導体および偶数鎖脂肪酸誘導体を含み、組成物中の脂肪酸誘導体の少なくとも5重量%、少なくとも6重量%、少なくとも8重量%、少なくとも10重量%、少なくとも20重量%、少なくとも30重量%、少なくとも40重量%、少なくとも50重量%、少なくとも60重量%、少なくとも70重量%、少なくとも80重量%または少なくとも90重量%が奇数鎖脂肪酸誘導体である。いくつかの実施形態では、脂肪酸誘導体組成物は、奇数鎖脂肪酸誘導体を少なくとも50mg/L、少なくとも75mg/L、少なくとも100mg/L、少なくとも200mg/L、少なくとも500mg/L、少なくとも1000mg/L、少なくとも2000mg/L、少なくとも5000mg/L、少なくとも10000mg/Lまたは少なくとも20000mg/Lの量(例えば、力価)で含む。

0045

第2の態様の様々な実施形態では、脂肪酸誘導体酵素活性には、チオエステラーゼ活性、エステル合成酵素活性、脂肪アルデヒド生合成活性、脂肪アルコール生合成活性、ケトン生合成活性および/または炭化水素生合成活性が含まれる。いくつかの実施形態では、組換え微生物細胞は、2種以上のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドであって、各ポリペプチドが脂肪酸誘導体酵素活性を有するポリヌクレオチドを含む。さらに特定の実施形態では、組換え微生物細胞は、(1)チオエステラーゼ活性を有するポリペプチド、(2)デカルボキシラーゼ活性を有するポリペプチド、(3)カルボン酸レダクターゼ活性を有するポリペプチド、(4)アルコール脱水素酵素活性を有するポリペプチド(EC1.1.1.1)、(5)アルデヒドデカルボニラーゼ活性を有するポリペプチド(EC4.1.99.5)、(6)アシル−CoA−レダクターゼ活性を有するポリペプチド(EC1.2.1.50)、(7)アシル−ACPレダクターゼ活性を有するポリペプチド、(8)エステル合成酵素活性を有するポリペプチド(EC3.1.1.67)、(9)OleA活性を有するポリペプチド、または(10)OleCDもしくはOleBCD活性を有するポリペプチドから選択される脂肪酸誘導体酵素活性を有する1種または複数のポリペプチドを発現するかまたは過剰発現し、組換え微生物細胞は、1種または複数の奇数鎖脂肪酸、奇数鎖脂肪エステル、奇数鎖ワックスエステル、奇数鎖脂肪アルデヒド、奇数鎖脂肪アルコール、偶数鎖アルカン、偶数鎖アルケン、偶数鎖内部オレフィン、偶数鎖末端オレフィンおよび偶数鎖ケトンを含む組成物を生成する。

0046

本発明は、第2の態様による方法によって生成される奇数鎖脂肪酸誘導体を含む脂肪酸誘導体組成物を含む。

0047

第3の態様では、本発明は、親微生物細胞よりも高い力価または高い割合の奇数鎖脂肪酸誘導体を生成する組換え微生物細胞の作製方法であって、脂肪酸誘導体酵素活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む親微生物細胞を得ることと、同じ条件下で培養したとき、親微生物細胞によって生成されるプロピオニル−CoAの量よりも多量のプロピオニル−CoAを生成する、または生成することができる組換え微生物細胞を得るために親微生物細胞を操作することとを含み、組換え微生物細胞が、炭素源の存在下で、組換え微生物細胞においてプロピオニル−CoAおよび脂肪酸誘導体を生成するために有効な条件下で培養したとき、同じ条件下で培養した親微生物細胞によって生成される奇数鎖脂肪酸誘導体の力価または割合に対して、より高い力価または高い割合の奇数鎖脂肪酸誘導体を生成する方法を含む。

0048

第4の態様では、本発明は、微生物細胞によって生成される奇数鎖脂肪酸誘導体の力価または割合を増加させる方法であって、脂肪酸誘導体を生成することができる親微生物細胞を得ることと、同じ条件下で培養したとき、親微生物細胞によって生成されるプロピオニル−CoAの量よりも多量のプロピオニル−CoAを生成する、または生成することができる組換え微生物細胞を得るために親微生物細胞を操作することとを含み、組換え微生物細胞が、炭素源の存在下で、組換え微生物細胞においてプロピオニル−CoAおよび脂肪酸誘導体を生成するために有効な条件下で培養したとき、同じ条件下で培養した親微生物細胞によって生成される奇数鎖脂肪酸誘導体の力価または割合に対して、より高い力価またはより高い割合の奇数鎖脂肪酸誘導体を生成する方法を含む。

0049

第3または第4の態様によるいくつかの実施形態では、親微生物細胞を操作する工程は、(a)アスパルトキナーゼ活性、ホモセリン脱水素酵素活性、ホモセリンキナーゼ活性、スレオニン合成酵素活性およびスレオニンデアミナーゼ活性を有する1種または複数のポリペプチド、(b)(R)−シトラマル酸合成酵素活性、イソプロピルリンゴ酸イソメラーゼ活性およびベータ−イソプロピルリンゴ酸脱水素酵素活性を有する1種または複数のポリペプチド、ならびに(c)メチルマロニル−CoAムターゼ活性、メチルマロニル−CoAデカルボキシラーゼ活性、メチルマロニル−CoAカルボキシルトランスフェラーゼ活性およびメチルマロニル−CoAエピメラーゼ活性を有する1種または複数のポリペプチドから選択されるポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを発現するために細胞を操作することを含み、(a)、(b)または(c)による少なくとも1種のポリペプチドが親微生物細胞にとって外来性であるか、または(a)、(b)または(c)による少なくとも1種のポリヌクレオチドの発現が、親微生物細胞におけるポリヌクレオチドの発現と比較して、組換え微生物細胞においてモジュレートされている。いくつかの実施形態では、少なくとも1種のポリヌクレオチドの発現は、ポリヌクレオチドの外来性プロモーターへの操作可能な連結などによるポリヌクレオチドの過剰発現によってモジュレートされる。いくつかの実施形態では、操作された細胞は、(a)による1種または複数のポリペプチドおよび(b)による1種または複数のポリペプチドを発現する。

0050

第3または第4の態様によるいくつかの実施形態では、親微生物細胞は、基質としてプロピオニル−CoAを利用するβ−ケトアシル−ACP合成酵素活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、組換え微生物細胞は、基質としてプロピオニル−CoAを利用するβ−ケトアシル−ACP合成酵素活性を有するポリペプチドをコードする外来性ポリヌクレオチドを発現するか、または内在性ポリヌクレオチドを過剰発現するために操作される。いくつかの実施形態では、組換え微生物細胞は、基質としてプロピオニル−CoAを利用するβ−ケトアシル−ACP合成酵素活性を有するポリペプチドをコードする外来性ポリヌクレオチドを発現するように操作されており、β−ケトアシル−ACP合成酵素活性を有するポリペプチドをコードする内在性ポリヌクレオチドの発現は減衰している。いくつかの実施形態では、β−ケトアシル−ACP合成酵素を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、内在性ポリヌクレオチドの改変された、突然変異型または変異型の形態あり、改変されていない内在性ポリヌクレオチドに対して、基質としてのプロピオニル−CoAに対する増強された親和性または活性で選択されている。改変された突然変異体または変異体ポリヌクレオチドを生成するための数多くの方法は当技術分野では周知で、その例を本明細書で以下に記載する。

0051

[本発明1001]
(a)プロピオニル−CoAを生成するために有効な酵素活性を欠如しているか、または量が低下している親微生物細胞において生成されるプロピオニル−CoAの量に対して、増加した量のプロピオニル−CoAを組換え微生物細胞において生成するために有効な前記酵素活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドであって、前記ポリペプチドが組換え微生物細胞にとって外来性であるか、または前記ポリヌクレオチドの発現が親微生物細胞におけるポリヌクレオチドの発現と比較して組換え微生物細胞においてモジュレートされているポリヌクレオチド、
(b)基質としてプロピオニル−CoAを利用するβ−ケトアシル−ACP合成酵素活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、および
(c)脂肪酸誘導体酵素活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、
を含む組換え微生物細胞であって、
組換え微生物細胞が、炭素源の存在下で、(a)、(b)および(c)によるポリヌクレオチドを発現するために有効な条件下で培養したとき、奇数鎖脂肪酸誘導体を含む脂肪酸誘導体組成物を生成し、
前記脂肪酸誘導体組成物における脂肪酸誘導体の少なくとも10%が奇数鎖脂肪酸誘導体である、組換え微生物細胞。
[本発明1002]
脂肪酸誘導体組成物における脂肪酸誘導体の少なくとも20%が奇数鎖脂肪酸誘導体である、本発明1001の組換え微生物細胞。
[本発明1003]
奇数鎖脂肪酸誘導体を少なくとも100mg/L生成する、本発明1001の組換え微生物細胞。
[本発明1004]
(a)による少なくとも1種のポリヌクレオチドの発現が、組換え微生物細胞におけるポリヌクレオチドの過剰発現によってモジュレートされる、本発明1001の組換え微生物細胞。
[本発明1005]
(a)によるポリヌクレオチドが、
(i)アスパルトキナーゼ活性、ホモセリン脱水素酵素活性、ホモセリンキナーゼ活性、スレオニン合成酵素活性およびスレオニンデアミナーゼ活性を有するポリペプチドをコードする1種または複数のポリヌクレオチド;
(ii)(R)−シトラマル酸合成酵素活性、イソプロピルリンゴ酸イソメラーゼ活性およびベータ−イソプロピルリンゴ酸脱水素酵素活性を有するポリペプチドをコードする1種または複数のポリヌクレオチド;ならびに
(iii)メチルマロニル−CoAムターゼ活性、メチルマロニル−CoAデカルボキシラーゼ活性およびメチルマロニル−CoAカルボキシルトランスフェラーゼ活性を有するポリペプチドをコードする1種または複数のポリヌクレオチド、
からなる群から選択される、本発明1001の組換え微生物細胞。
[本発明1006]
(i)による1種または複数のポリヌクレオチドおよび(ii)による1種または複数のポリヌクレオチドを含む、本発明1005の組換え微生物細胞。
[本発明1007]
基質としてプロピオニル−CoAを利用するβ−ケトアシル−ACP合成酵素活性を有するポリペプチドが組換え微生物細胞にとって外来性であり、組換え微生物細胞にとって内在性であるβ−ケトアシル−ACP合成酵素活性を有するポリペプチドの発現が減衰している、本発明1001の組換え微生物細胞。
[本発明1008]
脂肪酸誘導体酵素活性がチオエステラーゼ活性を含み、組換え微生物細胞が奇数鎖脂肪酸を含む脂肪酸組成物を生成し、組成物中の脂肪酸の少なくとも10%が奇数鎖脂肪酸である、本発明1001の組換え微生物細胞。
[本発明1009]
脂肪酸誘導体酵素活性がエステル合成酵素活性を含み、組換え微生物細胞が奇数鎖脂肪エステルを含む脂肪エステル組成物を生成し、組成物中の脂肪エステルの少なくとも10%が奇数鎖脂肪エステルである、本発明1001の組換え微生物細胞。
[本発明1010]
脂肪酸誘導体酵素活性が脂肪アルデヒド生合成活性を含み、組換え微生物細胞が奇数鎖脂肪アルデヒドを含む脂肪アルデヒド組成物を生成し、組成物中の脂肪アルデヒドの少なくとも10%が奇数鎖脂肪アルデヒドである、本発明1001の組換え微生物細胞。
[本発明1011]
脂肪酸誘導体酵素活性が脂肪アルコール生合成活性を含み、組換え微生物細胞が奇数鎖脂肪アルコールを含む脂肪アルコール組成物を生成し、組成物中の脂肪アルコールの少なくとも10%が奇数鎖脂肪アルコールである、本発明1001の組換え微生物細胞。
[本発明1012]
脂肪酸誘導体酵素活性が炭化水素生合成活性を含み、組換え微生物細胞が偶数鎖炭化水素を含む炭化水素組成物を生成し、組成物中の炭化水素の少なくとも10%が偶数鎖炭化水素である、本発明1001の組換え微生物細胞。
[本発明1013]
本発明1001の組換え微生物細胞を含む細胞培養物。
[本発明1014]
奇数鎖脂肪酸誘導体を含む脂肪酸誘導体組成物の作製方法であって、
本発明1001の組換え微生物細胞を得ること、
炭素源を含有する培養培地中で、(a)、(b)および(c)によるポリヌクレオチドを発現し、奇数鎖脂肪酸誘導体を含む脂肪酸誘導体組成物を生成するために有効な条件下で組換え微生物細胞を培養することであって、組成物中の脂肪酸誘導体の少なくとも10%が奇数鎖脂肪酸誘導体であること、および
任意に、培養培地から奇数鎖脂肪酸誘導体組成物を回収すること、
を含む方法。
[本発明1015]
組換え微生物細胞が、
(1)チオエステラーゼ活性を有するポリペプチド;
(2)デカルボキシラーゼ活性を有するポリペプチド;
(3)カルボン酸レダクターゼ活性を有するポリペプチド;
(4)アルコール脱水素酵素活性を有するポリペプチド(EC1.1.1.1);
(5)アルデヒドデカルボニラーゼ活性を有するポリペプチド(EC4.1.99.5);
(6)アシル−CoA−レダクターゼ活性を有するポリペプチド(EC1.2.1.50);
(7)アシル−ACPレダクターゼ活性を有するポリペプチド;
(8)エステル合成酵素活性を有するポリペプチド(EC3.1.1.67);
(9)OleA活性を有するポリペプチド;および
(10)OleCDまたはOleBCD活性を有するポリペプチド、
からなる群から選択される脂肪酸誘導体酵素活性を有するポリペプチドをコードする1種または複数のポリヌクレオチドを発現し、
組換え微生物細胞が、奇数鎖脂肪酸、奇数鎖脂肪エステル、奇数鎖脂肪アルデヒド、奇数鎖脂肪アルコール、偶数鎖アルカン、偶数鎖アルケン、偶数鎖末端オレフィン、偶数鎖内部オレフィンまたは偶数鎖ケトンの1種または複数を含む組成物を生成する、本発明1014の方法。
[本発明1016]
親微生物細胞によって生成されるよりも高い力価または高い割合の奇数鎖脂肪酸誘導体を生成する組換え微生物細胞の作製方法であって、
基質としてプロピオニル−CoAを利用するβ−ケトアシル−ACP合成酵素活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドおよび脂肪酸誘導体酵素活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む親微生物細胞を得ること、および
同じ条件下で培養したとき、親微生物細胞によって生成されるプロピオニル−CoAの量よりも多量のプロピオニル−CoAを生成する、または生成することができる組換え微生物細胞を得るために親微生物細胞を操作すること、を含み、
組換え微生物細胞が炭素源の存在下で、ポリヌクレオチドを発現するために有効な条件下で培養したとき、同じ条件下で培養した親微生物細胞によって生成される奇数鎖脂肪酸誘導体の力価または割合に対してより高い力価または高い割合の奇数鎖脂肪酸誘導体を生成する方法。
[本発明1017]
親微生物細胞を操作する工程が、
(a)アスパルトキナーゼ活性、ホモセリン脱水素酵素活性、ホモセリンキナーゼ活性、スレオニン合成酵素活性およびスレオニンデアミナーゼ活性を有するポリペプチド;
(b)(R)−シトラマル酸合成酵素活性、イソプロピルリンゴ酸イソメラーゼ活性およびベータ−イソプロピルリンゴ酸脱水素酵素活性を有するポリペプチド;ならびに
(c)メチルマロニル−CoAムターゼ活性、メチルマロニル−CoAデカルボキシラーゼ活性またはメチルマロニル−CoAカルボキシルトランスフェラーゼ活性のどちらかおよび適宜メチルマロニル−CoAエピメラーゼ活性を有するポリペプチド、
からなる群から選択されるポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを発現するために親微生物細胞を操作することを含み、
(a)、(b)または(c)による少なくとも1種のポリペプチドが親微生物細胞に対して外来性であるか、または(a)、(b)または(c)による少なくとも1種のポリヌクレオチドの発現が、親微生物細胞におけるポリヌクレオチドの発現と比較して、組換え微生物細胞においてモジュレートされている、本発明1016の方法。
[本発明1018]
組換え微生物細胞が、基質としてプロピオニル−CoAを利用するβ−ケトアシル−ACP合成酵素活性を有するポリペプチドをコードする外来性ポリヌクレオチドを発現するように操作されており、β−ケトアシル−ACP合成酵素活性を有するポリペプチドをコードする内在性ポリヌクレオチドの発現が減衰している、本発明1016の方法。
[本発明1019]
微生物細胞によって生成される奇数鎖脂肪酸誘導体の力価または割合を増加させる方法であって、
脂肪酸誘導体を生成する親微生物細胞を得ること、および
同じ条件下で培養したとき、親微生物細胞によって生成されるプロピオニル−CoAの量よりも多量のプロピオニル−CoAを生成する、または生成することができる組換え微生物細胞を得るために親微生物細胞を操作すること、を含み、
組換え微生物細胞が、炭素源の存在下で、組換え微生物細胞においてプロピオニル−CoAおよび脂肪酸誘導体を生成するために有効な条件下で培養したとき、同じ条件下で培養した親微生物細胞によって生成される奇数鎖脂肪酸誘導体の力価または割合に対してより高い力価または高い割合の奇数鎖脂肪酸誘導体を生成する方法。
[本発明1020]
本発明1014の方法によって生成される脂肪酸誘導体組成物。
本発明のこれらおよび他の目的および特性は、添付の図面と併せて以下の詳細な説明を読むとより完全に明らかとなろう。

図面の簡単な説明

0052

図1Aおよび1Bは、異なるアシル−CoA「プライマー分子を供給したときの脂肪酸生合成経路の中間体および生成物の例を比較する。図1Aは、2炭素プライマーアセチル−CoAを利用する反応経路の例を示しており、この経路で偶数鎖長のβ−ケトアシル−ACP中間体アセトアセチル−ACPが生成され、偶数鎖(ec)−アシル−ACP中間体およびそれから生成される偶数鎖脂肪酸誘導体が導かれる。図1Bは、3炭素プライマープロピオニル−CoAを利用する反応経路を示しており、この経路で奇数鎖長のβ−ケトアシル−ACP中間体3−オキソレリル−ACPが生成され、奇数鎖(oc)−アシル−ACP中間体およびそれらから生成される奇数鎖脂肪酸誘導体が導かれる。
図2は、本明細書で記載したようなスレオニン生合成経路(経路(A))およびシトラマル酸生合成経路(経路(B))による、中間体α−ケト酪酸を介したプロピオニル−CoAの生成増加のための経路の例を示す。
図3は、本明細書で記載したようなメチルマロニル−CoA生合成経路(経路(C))を介したプロピオニル−CoAの生成増加のための経路の一例を示す。

0053

本明細書で記載した特定の組成物および方法はもちろん変化することがあるので、本発明は、それらだけに限定はされない。本明細書で使用した用語は、特定の実施形態を説明する目的のためのものにすぎず、本発明の範囲を制限するものではないことも理解されたい。

0054

受託番号:本記載を通じて配列受託番号は、米国の国立衛生研究所によって管理されているNCBI(国立バイオテクノロジー情報センター)によって提供されるデータベースから(本明細書では、「NCBI受託番号」あるいは「GenBank受託番号」と識別される)、スイスバイオインフォマテクス研究所によって提供されるUniProt知識データベース(UniProtKB)およびSwiss−Protデータベースから(本明細書では「UniProtKB受託番号」と識別される)得られた。特に明確に指示されていなければ、NCBI/GenBank受託番号によって識別された配列は、バージョン番号1である(すなわち、配列のバージョン番号は「受託番号1」である)。本明細書で提供されたNCBIおよびUniProtKB受託番号は、2011年8月2日時点で最新であった。

0055

酵素分類(EC)番号:EC番号は、国際生化学および分子生物学連合(IUBMB)の命名委員会によって確立され、その記述ワールドワイドウェブのIUBMB酵素命名ウェブサイト利用可能である。EC番号は、触媒する反応に応じて酵素を分類する。本明細書で参考にしたEC番号は、一部を東京大学によって支援されているKyoto Encyclopedia of Genes and Genomicsによって維持されているKEGGリガンドデータベースから得られる。特に指示がなければ、EC番号は、2011年8月2日時点のKEGGデータベースに提供されている通りである。

0056

特に定義しなければ、本明細書で使用した技術的および科学的用語は全て、本発明が属する当分野の技術者によって通常理解されるものと同じ意味を有する。本明細書で記載したものと類似または同等のいかなる材料および方法も、本発明の実施または試験において使用することができるが、好ましい組成物および方法をここで記載する。

0057

定義
本明細書では、「脂肪酸」という用語は、式R−(C=O)−OHを有するカルボン酸を指し、式中、Rは長さが炭素原子約4個と約36個の間、より一般的には長さが炭素原子約4個と約22個の間であってもよい炭素鎖を表す。脂肪酸は、飽和しているか、または不飽和であってもよい。不飽和の場合、Rは1個または複数の不飽和点を有していてもよく、すなわち、Rはモノ不飽和またはポリ不飽和であってもよい。Rは、直鎖(本明細書ではまた「直線状鎖(linear chain)」と称する)または分枝鎖であってもよい。「脂肪酸」という用語は、1種または複数の異なる脂肪酸誘導体または脂肪酸誘導体の混合物を含むことができる「脂肪酸誘導体」を指すために本明細書では使用してもよい。

0058

本明細書で使用される場合、「奇数鎖脂肪酸」(「oc−FA」と略す)は、カルボニル炭素を含めて、奇数の炭素原子を含有する直鎖状炭素鎖を有する脂肪酸分子を指す。oc−FAの非限定的例には、飽和oc−FAであるトリデカン酸(C13:0)、ペンタデカン酸(C15:0)およびヘプタデカン酸(C17:0)および不飽和(すなわちモノ不飽和)oc−FAであるヘプタデカン酸(C17:1)が含まれる。

0059

本明細書で使用される場合、「β−ケトアシル−ACP」という用語は、図1Aおよび1Bで示した経路の部分(D)によって表されるようなベータケトアシル−ACP合成酵素活性(例えば、EC2.3.1.180)を有する酵素によって触媒されるアシル−CoAプライマー分子とマロニル−ACPとの縮合生成物を指す。アシル−CoAプライマー分子は、図1Aで示したアセチル−CoAなどの偶数の炭素原子を含有するアシル基を有していてもよく、この場合、得られたβ−ケトアシル−ACP中間体はアセトセチル−ACPで、これは偶数鎖(ec−)β−ケトアシル−ACPである。アシル−CoAプライマー分子は、図1Bで表したようなプロピオニル−CoAなどの奇数の炭素原子を含有するアシル基を有していてもよく、この場合、得られたβ−ケトアシル−ACP中間体は3−オキソバレリル−ACPで、これは奇数鎖(oc−)β−ケトアシル−ACPである。β−ケトアシル−ACP中間体は、図1Aおよび1Bの(E)部に表した脂肪酸合成酵素(FAS)サイクル入り一巡伸長反応を受け(すなわち、ケト還元脱水およびエノイル還元)、アシル鎖に2個の炭素単位を付加し、その後さらに伸長サイクルを行い、それぞれのサイクルは、別のマロニル−ACP分子との縮合、ケト還元、脱水およびエノイル還元が関与しており、したがってアシル−ACPのアシル鎖は伸長サイクル1回当たり2個の炭素単位が伸長される。

0060

「アシル−ACP」は一般的に、β−ケトアシル−ACP中間体の1回または複数のFAS触媒伸長による生成物を指す。アシル−ACPは、アルキル鎖のカルボニル炭素とアシル運搬タンパク質(ACP)の4’−ホスホパンチオニル部分のスルフヒドリル基との間で形成されたアシルチオエステルであり、直鎖状炭素鎖の場合、通常、式CH3−(CH2)n−C(=O)−s−ACPを有し、式中、nは偶数(例えば、「偶数鎖アシル−ACP」または「ec−アシル−ACP」で、例えば、アセチル−CoAがプライマー分子のとき生成される、図1A参照)または奇数(例えば、「奇数鎖アシル−ACP」または「oc−アシル−ACP」で、例えば、プロピオニル−CoAがプライマー分子のとき生成される、図1B参照)であってもよい。

0061

特に記載がなければ、「脂肪酸誘導体」(略して「FA誘導体」)は、少なくとも一部が組換え微生物細胞の脂肪酸生合成経路によって作製されたいかなる生成物も含むものとする。脂肪酸誘導体はまた、少なくとも一部がアシル−ACP中間体などの脂肪酸経路中間体によって作製されたいかなる生成物も含む。本明細書で記載した脂肪酸生合成経路は、脂肪酸誘導体を生成するために操作することができる脂肪酸誘導体酵素を含むことができ、場合によっては、例えば、所望する数の炭素原子を含有する炭素鎖を有する脂肪酸誘導体の組成物または奇数の炭素鎖を含有する誘導体の所望する割合などを有する脂肪酸誘導体の組成物などの、所望する炭素鎖特性を有する脂肪酸誘導体を生成するために、さらに酵素を発現させることができる。脂肪酸誘導体は、限定はしないが、脂肪酸、脂肪アルデヒド、脂肪アルコール、脂肪エステル(ワックスなど)、炭化水素(アルカンおよびアルケンなど(末端オレフィンおよび内部オレフィンを含む))およびケトンを含む。

0062

「奇数鎖脂肪酸誘導体」(略して「oc−FA誘導体」)という用語は、上記で定義したように、oc−アシル−ACPと1種または複数の脂肪酸誘導体酵素との反応の生成物を指す。脂肪酸誘導体がそれ自体oc−FA誘導体またはoc−アシル−ACPの脱カルボニル化または脱カルボキシル化の生成物でなければ、すなわち、得られたoc−FA誘導体が偶数の炭素原子を有する場合でなければ、例えば、脂肪酸誘導体がoc−脂肪アルデヒドの脱カルボニル化によって生成したec−アルカンまたはec−アルケン、oc−脂肪酸の脱カルボキシル化によって生成したec末端オレフィン、oc−アシル−ACPの脱カルボキシル化によって生成したec−ケトンもしくはec−内部オレフィンなどであるときでなければ、同様にして得られた脂肪酸誘導体生成物は、奇数の炭素原子を含有する直鎖状炭素鎖を有する。oc−FA誘導体またはoc−アシル−ACP前駆体分子のこのような偶数鎖長生成物は、偶数の炭素原子を含有する直鎖状鎖を有するけれども、それでも「oc−FA誘導体」の定義に入ると見なされるものと理解されたい。

0063

「内在性」ポリペプチドとは、組換え細胞が操作された(または「得られた」)親微生物細胞(「宿主細胞」とも称する)のゲノムによってコードされるポリペプチドを指す。

0064

「外来性」ポリペプチドとは、親微生物細胞のゲノムによってコードされていないポリペプチドを指す。変異体(すなわち、突然変異体)ポリペプチドは、外来性ポリペプチドの一例である。

0065

ポリヌクレオチド配列が内在性ポリペプチドをコードする本発明の実施形態では、場合によっては内在性ポリペプチドは過剰発現している。本明細書で使用される場合、「過剰発現」とは、同じ条件下で対応する親細胞(例えば、野生型細胞)において通常生成されるよりも高い濃度で、細胞においてポリヌクレオチドまたはポリペプチドを生成すること、あるいは生成を引き起こすことを意味する。ポリヌクレオチドまたはポリペプチドが、同じ条件下で同種の非組換え微生物細胞(例えば、親微生物細胞)における濃度と比較して、組換え微生物細胞においてより高い濃度で存在するとき、ポリヌクレオチドまたはポリペプチドは組換え微生物細胞において「過剰発現」することができる。過剰発現は、当技術分野で公知の任意の適切な手段によって実現することができる。

0066

いくつかの実施形態では、組換え微生物細胞における内在性ポリペプチドの過剰発現は、外来性調節要素の使用によって実現することができる。「外来性調節要素」という用語は一般的に、宿主細胞の外から生じる調節要素(例えば、発現制御配列または化合物)を指す。しかし、ある種の実施形態では、「外来性調節要素」(例えば、「外来性プロモーター」)という用語は、組換え細胞において内在性ポリペプチドの発現を制御するためにその機能が複製されているかまたは奪われている宿主細胞から得られた調節要素を指し得る。例えば、宿主細胞がE.コリ細胞の場合、ポリペプチドは内在性ポリペプチドであり、組換え細胞における内在性ポリペプチドの発現は別のE.コリ遺伝子から得られたプロモーターによって制御され得る。いくつかの実施形態では、内在性ポリペプチドの発現および/または活性のレベルの増加を引き起こす外来性調節要素は、低分子などの化合物である。

0067

いくつかの実施形態では、内在性ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド(例えば、内在性ポリヌクレオチド)の発現を制御する外来性調節要素は、組換え組み込みによって内在性ポリヌクレオチドを宿主細胞のゲノムに操作可能に連結される発現制御配列である。ある種の実施形態では、発現制御配列は、当技術分野で公知の方法を使用して相同組換えによって宿主細胞染色体に組み込まれる(例えば、Datsenko et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 97(12):
6640−6645 (2000))。

0068

発現制御配列は、当技術分野では公知で、例えば、宿主細胞におけるポリヌクレオチド配列の発現をもたらすプロモーター、エンハンサーポリアデニル化シグナル転写ターミネーターリボソーム内部進入部位(IRES)などを含む。発現制御配列は、転写に関与した細胞タンパク質と特異的に相互作用する(Maniatis et al., Science 236: 1237−1245 (1987))。発現制御配列の例は、例えば、Goeddel, Gene Expression Technology: Methodsin Enzymology, Vol. 185, Academic Press, San Diego, Calif. (1990)に記載されている。

0069

本発明の方法では、発現制御配列は、ポリヌクレオチド配列に操作可能に連結する。「操作可能に連結した」とは、適切な分子(例えば、転写活性化タンパク質)が発現制御配列(複数可)に結合したとき、遺伝子発現を可能にするような様式でポリヌクレオチド配列および発現制御配列(複数可)が接続することを意味する。操作可能に連結したプロモーターは、転写および翻訳の方向の観点から選択されるポリヌクレオチド配列の上流に位置する。操作可能に連結したエンハンサーは、選択されるポリヌクレオチドの上流、内部または下流に位置することができる。選択マーカー精製部分標的タンパク質などをコードする核酸配列などのさらなる核酸配列は、さらなる核酸配列がポリヌクレオチド配列と一緒に発現するように、ポリヌクレオチド配列に操作可能に連結することができる。

0070

いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチド配列は、ポリヌクレオチド配列に操作可能に連結したプロモーターを含む組換えベクターによって組換え細胞に与えられる。ある種の実施形態では、プロモーターは、発生調節された、細胞内小器官特異的、組織特異的、誘導性、構成的または細胞特異的プロモーターである。

0071

本明細書で使用される場合、「ベクター」という用語は、連結した別の核酸、すなわちポリヌクレオチド配列を輸送することができる核酸分子を指す。有用なベクターの1種は、エピソーム(すなわち、染色体外での複製が可能な核酸)である。有用なベクターは、連結した核酸の自己複製および/または発現を可能にするベクターである。操作可能に連結した遺伝子の発現を対象とすることができるベクターは、本明細書では「発現ベクター」と称する。一般的に、組換えDNA技術で有用な発現ベクターは、ベクター形態で染色体に結合しない環状2本鎖DNAループを通常指す「プラスミド」の形態であることが多い。プラスミドはベクターの最も一般的に使用される形態であるので、本明細書では、「プラスミド」および「ベクター」という用語は同義に使用される。しかし、同等の機能を果たし、今後当技術分野で公知になる発現ベクターのこのような他の形態も含まれる。

0072

いくつかの実施形態では、組換えベクターは、(a)ポリヌクレオチド配列に操作可能に連結した発現制御配列、(b)ポリヌクレオチド配列に操作可能に連結した選択マーカー、(c)ポリヌクレオチド配列に操作可能に連結したマーカー配列、(d)ポリヌクレオチド配列に操作可能に連結した精製部分、(e)ポリヌクレオチド配列に操作可能に連結した分泌配列、および(f)ポリヌクレオチド配列に操作可能に連結した標的配列からなる群から選択される少なくとも1種の配列を含む。

0073

本明細書で記載した発現ベクターは、宿主細胞におけるポリヌクレオチド配列の発現に適切な形態の本明細書で記載したポリヌクレオチド配列を含む。当業者であれば、発現ベクターの設計は、形質転換する宿主細胞の選択、所望するポリペプチドの発現レベルなどの要因に左右され得ることなどを理解するだろう。本明細書で記載した発現ベクターは、本明細書で記載したポリヌクレオチド配列によってコードされる融合ポリペプチドを含むポリペプチドを生成するために宿主細胞に導入することができる。

0074

原核細胞、例えば、E.コリにおけるポリペプチドをコードする遺伝子の発現は、融合または非融合ポリペプチドのどちらかの発現を対象とする構成的または誘導性プロモーターを含有するベクターで実施することが多い。融合ベクターは、ベクター内でコードされるポリペプチドに、通常組換えポリペプチドのアミノまたはカルボキシ末端にいくつかのアミノ酸を付加する。このような融合ベクターは通常、以下の3つの目的の1つまたは複数に役立つ:(1)組換えポリペプチドの発現の増加、(2)組換えポリペプチドの溶解性の増加および(3)アフィニティ精製においてリガンドとして作用することによる組換えポリペプチドの精製の補助。しばしば、融合発現ベクターでは、タンパク質分解切断部位を融合部分および組換えポリペプチドの接合部に導入する。これによって、融合ポリペプチドの精製後、融合部分から組換えポリペプチドを分離することが可能になる。このような酵素および同族認識配列の例には、第Xa因子トロンビンおよびエンテロキナーゼが含まれる。融合発現ベクターの例には、pGEX(Pharmacia Biotech, Inc., Piscataway, NJ; Smith et al., Gene, 67: 31−40 (1988))、pMAL(New England Biolabs, Beverly, MA)およびpRITS(Pharmacia Biotech, Inc., Piscataway, N.J.)が含まれ、それぞれ標的組換えポリペプチドにグルタチオンS−トランスフェラーゼ(GST)、マルトースE結合タンパク質またはプロテインAを融合させる。

0075

ベクターは、従来の形質転換または遺伝子導入技術によって原核細胞または真核細胞に導入することができる。本明細書で使用される場合、「形質転換」および「遺伝子導入」という用語は、リン酸カルシウムまたは塩化カルシウム共沈殿法、DEAEデキストランによる遺伝子導入、リポフェクションまたはエレクトロポレーションを含む、外来性核酸(例えば、DNA)を宿主細胞に導入するための当技術分野で確認された様々な技術を指す。宿主細胞を形質転換または遺伝子導入するために適切な方法は、例えば、Sambrook et al.(上記)に見出すことができる。

0076

細菌細胞の安定した形質転換のために、使用する発現ベクターおよび形質転換技術に応じて、細胞の小画分のみを取り出し、発現ベクターを複製することが知られている。これらの形質転換体を同定し選択するために、選択可能なマーカー(例えば、抗生物質に対する耐性)をコードする遺伝子を目的の遺伝子と一緒に宿主細胞に導入することができる。選択可能なマーカーには、限定はしないが、アンピシリンカナマイシンクラムフェニコールまたはテトラサイクリンなどの薬物に対する耐性を付与するマーカーが含まれる。選択可能なマーカーをコードする核酸は、本明細書で記載したポリペプチドをコードするベクターと同じベクターで、宿主細胞に導入することができるか、または別のベクターで導入することができる。導入した核酸で安定して形質転換され、組換え細胞を生じる宿主細胞は、適切な選択薬の存在下での増殖によって同定することができる。

0077

同様に、ほ乳類細胞の安定した遺伝子導入のために、使用する発現ベクターおよび遺伝子導入技術に応じて、細胞の小画分のみが外来DNAをそのゲノムに組み込むことができることが知られている。これらの組み込み体を同定し選択するために、選択可能なマーカー(例えば、抗生物質に対する耐性)をコードする遺伝子を目的の遺伝子と一緒に宿主細胞に導入することができる。好ましい選択可能なマーカーには、G418、ハイグロマイシンおよびメトトレキセートなどの薬物に対する耐性を付与するマーカーが含まれる。選択可能なマーカーをコードする核酸は、本明細書で記載したポリペプチドをコードするベクターと同じベクターで、宿主細胞に導入することができるか、または別のベクターで導入することができる。導入した核酸で安定して遺伝子導入され、組換え細胞を生じる宿主細胞は、適切な選択薬の存在下での増殖によって同定することができる。

0078

本明細書で使用される場合、「遺伝子ノックアウト」とは、インタクトなタンパク質の機能を低下させるかまたは排除するために、標的タンパク質をコードする遺伝子を改変または不活性化する手順を指す。遺伝子の不活性化は、UV照射による突然変異誘発またはN−メチル−N’−ニトロ−N−ニトロソグアニジンによる処理、部位特異的突然変異誘発、相同組換え、挿入欠失変異または「Red−driven integration」(Datsenko et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 97:6640−45, 2000)などの一般的方法によって実施することができる。例えば、一実施形態では、得られた組換え細胞において相同組換え事象を選択することが可能であるように、コンストラクトを親細胞に導入する。当業者であれば、コンストラクトで相同組換え事象を受けた遺伝子導入(すなわち、組換え)細胞を効率よく選択するために、ポジティブおよびネガティブ選択遺伝子の両方を含むノックアウトコンストラクトを容易に設計することができるだろう。親細胞の変化は、例えば、シングルもしくはダブルクロスオーバー組換えによって、変化を含有するDNA配列野生型(すなわち、内在性)DNA配列を置換することによって得ることができる。形質転換体(すなわち、組換え細胞)の便利な選択のために、この変化は、例えば、抗生物質耐性マーカーをコードするDNA配列または宿主細胞の可能性のある栄養要求性補完する遺伝子であってもよい。突然変異には、限定はしないが、欠失挿入突然変異が含まれる。組換え細胞におけるこのような変化の一例には、ある遺伝子から通常生成される生成物が機能型で生成されないような遺伝子破壊、すなわち、遺伝子の混乱が含まれる。これは、完全な欠失、選択マーカーの欠失もしくは挿入、選択マーカーの挿入、フレームシフト突然変異インフレーム欠失または中途終止を引き起こす点突然変異によって行われ得る。場合によっては、遺伝子の全mRNAが存在しない。他の状況では、生じるmRNAの量は変動する。

0079

「内在性ポリペプチドの発現レベルの増加」という表現は、内在性ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列の過剰発現を引き起こすか、または内在性ポリペプチド配列の過剰発現を引き起こすことを意味する。過剰発現の程度は、約1.5倍以上、約2倍以上、約3倍以上、約5倍以上、約10倍以上、約20倍以上、約50倍以上、約100倍以上またはそれらの任意の範囲であってもよい。

0080

「内在性ポリペプチドの活性レベルの増加」という表現は、内在性ポリペプチドの生化学的または生物学的機能(例えば、酵素活性)を増強することを意味する。活性増強の程度は、約10%以上、約20%以上、約50%以上、約75%以上、約100%以上、約200%以上、約500%以上、約1000%以上またはそれらの任意の範囲であってもよい。

0081

「前記ポリヌクレオチド配列の発現は野生型ポリヌクレオチド配列に対して改変されている」という表現は、本明細書で使用される場合、内在性ポリヌクレオチド配列の発現および/または活性のレベルの増加または減少を意味する。いくつかの実施形態では、内在性ポリヌクレオチドの発現を制御する外来性調節要素は、組換え組み込みによって内在性ポリヌクレオチドを宿主細胞のゲノムに操作可能に連結される発現制御配列である。いくつかの実施形態では、発現制御配列は、当技術分野で公知の方法を使用して相同組換えによって宿主細胞染色体に組み込まれる。

0082

本明細書で使用される場合、「前記ポリヌクレオチド配列(複数可)を発現するために有効な条件下で」という表現は、組換え細胞が所望する脂肪酸誘導体を生成することを可能にする任意の条件を意味する。適切な条件には、例えば、発酵条件が含まれる。発酵条件には、温度範囲通気レベルおよび培地組成などの多くのパラメータを含めることができる。これらの条件はそれぞれ、個々におよび組み合わせて、宿主細胞の増殖を可能にする。培養培地例には、ブロスまたはゲルが含まれる。一般的に、培地には、組換え細胞が直接代謝することができる炭素源が含まれる。発酵とは、本発明の組換え微生物細胞などの生成宿主による炭素源の使用を意味する。発酵は、好気性嫌気性またはそれらの変種(微好気性など)であってもよい。当業者によって理解されるように、組換え微生物細胞が炭素源をoc−アシル−ACPまたは所望するoc−FA誘導体(例えば、oc−脂肪酸、oc−脂肪エステル、oc−脂肪アルデヒド、oc−脂肪アルコール、ec−アルカン、ec−アルケンまたはec−ケトン)に処理できる条件は、一部には、特定の微生物に基づいて変化するだろう。いくつかの実施形態では、このプロセスは好気性環境で生じる。いくつかの実施形態では、このプロセスは嫌気性環境で生じる。いくつかの実施形態では、このプロセスは微好気性環境で生じる。

0083

本明細書で使用される場合、「炭素源」という用語は、原核細胞または単純な真核細胞の増殖のための炭素の供給源としての使用に適切な基質または化合物を指す。炭素源は、限定はしないが、ポリマー、炭水化物(例えば、単糖類二糖類オリゴ糖類および多糖類などの糖類)、酸、アルコール、アルデヒド、ケトン、アミノ酸、ペプチドおよび気体(例えば、COおよびCO2)を含む様々な形態であってもよい。炭素源の例には、限定はしないが、グルコースフルクトースマンノースガラクトースキシロースおよびアラビノースなどの単糖類、スクロース、マルトース、セロビオースおよびツラノースなどの二糖類、フルクトオリゴ糖およびガラクトオリゴ糖などのオリゴ糖類、デンプンセルロースペクチンおよびキシランなどの多糖類、ヘミセルロースメチルセルロースおよびカルボキシメチルセルロースナトリウムなどのセルロース物質および変異体、飽和または不飽和脂肪酸コハク酸乳酸および酢酸エタノールメタノールおよびグリセロールなどのアルコールまたはそれらの混合物が含まれる。炭素源は、グルコースなどの光合成の生成物であってもよい。ある種の好ましい実施形態では、炭素源はバイオマスから得られる。別の好ましい実施形態では、炭素源にはスクロースが含まれる。別の好ましい実施形態では、炭素源にはグルコースが含まれる。

0084

本明細書で使用される場合、「バイオマス」という用語は、炭素源が得られる任意の生物学的材料を指す。いくつかの実施形態では、バイオマスは生物変換に適した炭素源に処理される。他の実施形態では、バイオマスはさらに炭素源に処理する必要はない。炭素源は、バイオ燃料に変換することができる。バイオマス源の例は、トウモロコシサトウキビまたはアメリカクサキビなどの植物質または植生である。別のバイオマス源の例は、動物質などの代謝廃棄物(例えば、牛糞肥料)である。バイオマス源のさらなる例には、藻類および他の海洋性植物が含まれる。バイオマスにはまた、限定はしないが、発酵廃棄物エンシレージワラ、木材、下水ゴミセルロース性都市廃棄物および残飯を含む工業、農業林業および家庭からの廃棄物が含まれる。「バイオマス」という用語はまた、炭水化物(例えば、単糖類、二糖類または多糖類)などの炭素源を指す。

0085

条件が生成物の生成またはポリペプチドの発現を可能にするために十分であるかどうかを決定するために、組換え微生物細胞を、例えば、約4、8、12、24、36、48、72時間またはそれ以上培養してもよい。培養中および/または後に、試料採取し、その条件が生成または発現を可能にするかどうかを決定するために分析することができる。例えば、組換え微生物細胞が増殖した試料または培地中の組換え微生物細胞の所望する生成物の存在を試験することができる。奇数鎖脂肪酸誘導体(例えば、oc−脂肪酸、oc−脂肪エステル、oc−脂肪アルデヒド、oc−脂肪アルコールまたはec−炭化水素)などの所望する生成物の存在を試験するとき、限定はしないが、ガスクロマトグラフィーGC)、質量分析(MS)、薄層クロマトグラフィーTLC)、高速液体クロマトグラフィーHPLC)、液体クロマトグラフィー(LC)、水素炎イオン化検出器付きGC(GC−FID)、GC−MSおよびLC−MSなどのアッセイを使用することができる。ポリペプチドの発現を試験するとき、限定はしないが、ウェスタンブロットおよびドットブロットなどの技術を使用してもよい。

0086

本明細書で使用される場合、「微生物」という用語は、古細菌、細菌および真核生物ドメイン原核および真核微生物種を意味し、後者には酵母および糸状菌、原生動物、藻類および高等原生動物が含まれる。「微生物(microbe)」および「微生物細胞(microbial cell)」(すなわち、微生物の細胞)は「微生物(microorganism)」と同義に使用され、顕微鏡を用いてのみ見ることができる細胞または小生物を指す。

0087

いくつかの実施形態では、宿主細胞(例えば、親細胞)は微生物細胞である。いくつかの実施形態では、宿主細胞は、エシェリキア(Escherichia)、バチルス、ラクトバチルス(Lactobacillus)、パンテア(Pantoea)、ザイモモナス(Zymomonas)、ロドコッカス(Rhodococcus)、シュードモナス(Pseudomonas)、アスペルギルス(Aspergillus)、トリコデルマ(Trichoderma)、ニューロスポラ(Neurospora)、フザリウム(Fusarium)、ヒューミコーラ(Humicola)、リゾムコール(Rhizomucor)、クリベロマイセス(Kluyveromyces)、ピキア(Pichia)、ムコール(Mucor)、ミセリオフトラ(Myceliophtora)、ペニシリウム(Penicillium)、ファネロカエテ(Phanerochaete)、プレウロタス(Pleurotus)、トラメテス(Trametes)、クリソスポリウム(Chrysosporium)、サッカロミセス(Saccharomyces)、ステノトロホモナス(Stenotrophamonas)、シゾサッカロミセス(Schizosaccharomyces)、ヤロウイア(Yarrowia)、ストレプトマイセス(Streptomyces)、シネココッカス(Synechococcus)、クロレラ(Chlorella)またはプロトテカ(Prototheca)属から選択される微生物細胞である。

0088

他の実施形態では、宿主細胞は、バチルス・レンタス(Bacillus lentus)細胞、バチルス・ブレビス(Bacillus brevis)細胞、バチルス・ステアロサーモフィラス(Bacillus stearothermophilus)細胞、バチルス・リケニフォミス(Bacillus lichenoformis)細胞、バチルス・アルカロフィラス(Bacillus alkalophilus)細胞、バチルス・コアギュランス(Bacillus coagulans)細胞、バチルス・サーキュランス(Bacillus circulans)細胞、バチルス・プミルス(Bacillus pumilis)細胞、バチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)細胞、バチルス・クラウジ(Bacillus
clausii)細胞、バチルス・メガテリウム(Bacillus megaterium)細胞、バチルス・ズブチリス(Bacillus subtilis)細胞またはバチルス・アミロリクエファシエンス(Bacillus amyloliquefaciens)細胞である。

0089

他の実施形態では、宿主細胞は、トリコデルマ・コニンギ(Trichoderma koningii)細胞、トリコデルマ・ビリデ(Trichoderma viride)細胞、トリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei)細胞、トリコデルマ・ロンギブキアタム(Trichoderma longibrachiatum)細胞、アスペルギルス・アワモリ(Aspergillus awamori)細胞、アスペルギルス・フミガータス(Aspergillus fumigates)細胞、アスペルギルス・フェチダス(Aspergillus foetidus)細胞、アスペルギルス・ニディランス(Aspergillus nidulans)細胞、アスペルギルス・ニガ−(Aspergillus niger)細胞、アスペルギルス・オリゼ(Aspergillus oryzae)細胞、ヒューミコラインソレンス(Humicola insolens)細胞、ヒューミコラ・ラヌギノサ(Humicola lanuginose)細胞、ロドコッカス・オパクス(Rhodococcus opacus)細胞、リゾムコール・ミエヘイ(Rhizomucor miehei)細胞またはムコール・ミエヘイ(Mucor michei)細胞である。

0090

さらに他の実施形態では、宿主細胞はストレプトマイセス・リビダンス(Streptomyces lividans)細胞またはストレプトマイセス・ムリヌス(Streptomyces murinus)細胞である。

0091

さらに他の実施形態では、宿主細胞はアクチノマイセス(Actinomycetes)細胞である。

0092

いくつかの実施形態では、宿主細胞はサッカロマイセスセレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)細胞である。

0093

さらに他の実施形態では、宿主細胞は、CHO細胞、COS細胞VERO細胞BHK細胞HeLa細胞、Cvl細胞、MDCK細胞、293細胞、3T3細胞またはPC12細胞である。

0094

いくつかの実施形態では、宿主細胞は、真核植物、藻類、ラン藻緑色硫黄細菌、緑色非硫黄細菌紅色硫黄細菌紅色非硫黄細菌、好極限性細菌、酵母、真菌、それらの操作された生物または合成生物の細胞である。いくつかの実施形態では、宿主細胞は光依存性であるかまたは炭素を固定する。いくつかの実施形態では、宿主細胞は独立栄養活性を有する。いくつかの実施形態では、宿主細胞は、光の存在下などにおいて光独立栄養活性を有する。いくつかの実施形態では、宿主細胞は、光の非存在下において従属栄養性または混合栄養性である。

0095

ある種の実施形態では、宿主細胞はアラビドプシスタリアナ(Avabidopsis thaliana)、パニカムウィルツム(Panicum virgatum)、ミスカンサスギガンテス(Miscanthus giganteus)、ジー・メイズ(Zea mays)、ボツリオコッカスブラウニー(Botryococcuse braunii)、クラミドモナスレインハルディ(Chlamydomonas reinhardtii)、ドナリエナ・サリナ(Dunaliela salina)、シネココッカス種PCC7002、シネココッカス種PCC7942、シネコシスティス(Synechocystis)種PCC6803、サーモシネココッカス・エロガタス(Thermosynechococcus elongates)BP−1、クロロビウム・テピダム(Chlorobium tepidum)、クロロフレクサスオウランティアカス(Chlorojlexus auranticus)、クロマチウム・ビノサム(Chromatiumm vinosum)、ロドスピリラムラブラム(Rhodospirillum rubrum)、ロドバクターカプスラータ(Rhodobacter capsulatus)、ロドシュードモナス・パルストリス(Rhodopseudomonas palusris)、クロストリジウム・リュングダーリイ(Clostridium ljungdahlii)、クロストリジウム・サーモセラム(Clostridiuthermocellum)、ペニシリウム・クリソゲナム(Penicillium chrysogenum)、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)、サッカロマイセス・セレビシエ、シゾサッカロマイセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)、シュードモナス・フルオレセンス(Pseudomonas jluorescens)、パンテア・シトレア(Pantoea citrea)またはザイモモナス・モビリス(Zymomonas mobilis)の細胞である。ある種の実施形態では、宿主細胞は、クロレラ・フスカ(Chlorella fusca)、クロレラ・プロトセコイデス(Chlorella protothecoides)、クロレラ・ピレノイドサ(Chlorella pyrenoidosa)、クロレラ・ケスレリ(Chlorella kessleri)、クロレラ・ブルガリス(Chlorella vulgaris)、クロレラ・サッカロフィラ(Chlorella saccharophila)、クロレラ・ソロキニアナ(Chlorella sorokiniana)、クロレラ・エリプソイディア(Chlorella ellipsoidea)、プロトテカ・スタグノラ(Prototheca stagnora)、プロトテカ・ポロトリセンシズ(Prototheca portoricensis)、プロトテカ・モリフォルミス(Prototheca moriformis)、プロトテカ・ウィッカハミイ(Prototheca wickerhamii)またはプロトテカ・ゾフィ(Prototheca zopfii)の細胞である。

0096

いくつかの実施形態では、宿主細胞は細菌細胞である。いくつかの実施形態では、宿主細胞はグラム陽性細菌細胞である。いくつかの実施形態では、宿主細胞はグラム陰性細菌細胞である。

0097

いくつかの実施形態では、宿主細胞はE.コリ細胞である。いくつかの実施形態では、E.コリ細胞は、B株、C株、K株またはW株E.コリ細胞である。

0098

本発明のある種の実施形態では、宿主細胞は輸送タンパク質を発現(または過剰発現)するために操作されている。輸送タンパク質は、ポリペプチドおよび有機化合物(例えば、脂肪酸またはそれらの誘導体)を宿主細胞の外に運び出すことができる。

0099

本明細書で使用される場合、「代謝的に操作された」または「代謝操作」という用語は、例えば、本明細書で記載したような組換え微生物細胞などの組換え細胞におけるoc−β−ケトアシル−ACP、oc−アシル−ACPまたはoc−脂肪酸誘導体などの所望する代謝物を生成するための合理的な経路設計ならびに生合成遺伝子オペロンに関連する遺伝子に対応するポリヌクレオチドおよびこのようなポリヌクレオチドの制御要素アセンブリーを含む。「代謝操作」はさらに、所望する経路に導く中間体と競合する競合代謝経路の低下、破壊またはノックアウトを含む遺伝子操作および適切な培養条件を使用した転写、翻訳、タンパク質安定性およびタンパク質機能の調節および最適化による代謝流の最適化を含むことができる。「生合成遺伝子」は、宿主細胞にとって内在性(天然)であってもよく(すなわち、宿主細胞から改変されていない遺伝子)、あるいは宿主細胞にとって外来性であることによってかまたは組換え細胞における突然変異誘発、組換えおよび/または外来性(異種)発現制御配列との関連によって改変されることによって、宿主細胞にとって外来性(異種)であってもよい。生合成遺伝子は、「生合成ポリペプチド」または「生合成酵素」をコードする。

0100

「生合成経路」という用語はまた「代謝経路」とも呼ばれ、1化学種を別の化学種に変換する生合成酵素によって触媒される一連生化学反応を指す。本明細書で使用される場合、「脂肪酸生合成経路」(または、より簡単に、「脂肪酸経路」)という用語は、脂肪酸誘導体(例えば、脂肪酸、脂肪エステル、脂肪アルデヒド、脂肪アルコール、アルカン、アルケン、ケトンなど)を生成する一連の生化学反応を指す。脂肪酸経路には、本明細書で記載したように、脂肪酸誘導体を生成するために操作することができ、いくつかの実施形態では、所望する炭素鎖特性を有する脂肪酸誘導体を生成するためにさらなる酵素と一緒に発現することができる脂肪酸経路生合成酵素(すなわち、「脂肪酸経路酵素」)が含まれる。例えば、本明細書で記載した「奇数鎖脂肪酸生合成経路」(すなわち、「oc−FA経路」)には、oc−脂肪酸誘導体を生成するために十分な酵素が含まれる。

0101

「組換え微生物細胞」という用語は、選択した「親微生物細胞」(すなわち、宿主細胞)に遺伝物質を導入し、それによって親微生物細胞の細胞生理機能および生化学的機能を改変または変化させることによって、遺伝的に改変した(すなわち、操作された)微生物細胞(すなわち、微生物)を指す。遺伝物質の導入によって、組換え微生物細胞は親微生物細胞と比較して新たな、または改善された特性、例えば、新たな細胞内代謝物または既存の細胞内代謝物をより多量に生成する能力などを獲得する。本明細書で提供する組換え微生物細胞は、例えば、適切な炭素源からoc−アシル−ACP中間体またはoc−脂肪酸誘導体を生成するための経路に関与する複数の生合成酵素(例えば、oc−FA経路酵素などの脂肪酸経路酵素)を発現する。親微生物細胞に導入された遺伝物質は、oc−脂肪酸誘導体の生成のための生合成経路(すなわち、生合成酵素)に関与する1種または複数の酵素をコードする遺伝子(複数可)または遺伝子の一部を含有していてもよく、代わりにまたはさらに、プロモーター配列などのこのような生合成酵素をコードする遺伝子の発現および/または発現の調節のためのさらなる要素を含んでいてもよい。したがって、本明細書で記載した組換え微生物細胞は、本明細書で記載したoc−脂肪酸(oc−FA)生合成経路に関与する生合成酵素を発現または過剰発現するように遺伝的に操作されている。

0102

「組換え微生物細胞」および「組換え微生物」という用語は、特定の組換え微生物細胞/微生物を指すだけでなく、このような細胞の後代または可能性のある後代も指すことを理解されたい。

0103

組換え微生物細胞は、親微生物細胞に導入された遺伝物質を含むことの代わりに、あるいは、それに加えて、親微生物細胞の細胞生理学的機能および生化学的機能を変化させる遺伝子またはポリヌクレオチドの低下、破壊、欠失または「ノックアウト」を含んでいてもよい。遺伝子またはポリヌクレオチドの低下、破壊、欠失または「ノックアウト」(遺伝子またはポリヌクレオチドの「減衰」としても知られている)があっても、組換え微生物細胞は、親微生物細胞と比較して新たなまたは改善された特性(例えば、新たな、またはより多量の細胞内代謝物を生成する能力、所望する経路による代謝物の流れを改善する能力、および/または望ましくない副生成物の生成を低下させる能力)を獲得する。

0104

奇数鎖脂肪酸誘導体を生成するための組換え微生物細胞の操作
多くの微生物細胞は通常、直鎖状脂肪族鎖が主に偶数の炭素原子を含有する直鎖脂肪酸を生成し、奇数の炭素原子を含有する直鎖状脂肪族鎖を有する脂肪酸の生成量は一般的に比較的少ない。E.コリなどのこのような微生物細胞によって生成される直鎖状奇数鎖脂肪酸(oc−FA)および他の直鎖状奇数鎖脂肪酸誘導体(oc−FA誘導体)の量が比較的少ないのは、場合によってはこのような細胞中に存在するプロピオニル−CoAが低レベルなためであり得る。このような細胞は主に、脂肪酸生合成にプライマー分子としてアセチル−CoAを利用して脂肪酸の大部分をもたらし、このような細胞によって生成される他の脂肪酸誘導体は直鎖状偶数鎖脂肪酸(ec−FA)および他の直鎖状偶数鎖脂肪酸誘導体(ec−FA誘導体)である。

0105

本発明は、親微生物によって生成されるプロピオニル−CoAと比較して増加した量のプロピオニル−CoAを生成するように微生物を操作することによって、操作された微生物が親微生物によって生成されるoc−FA誘導体の量と比較してより多量(力価)のoc−FA誘導体を生成し、かつ/または親微生物によって生成される脂肪酸誘導体組成物におけるoc−FA誘導体の割合と比較して高い割合のoc−FA誘導体を有する脂肪酸誘導体組成物を生成するという発見に一部基づいている。

0106

最終的な目的は、工業規模での炭素源からの開始した(例えば、炭水化物またはバイオマスなど)、環境的に信頼のおける対費用効果の高い、oc−FA誘導体を含む脂肪酸誘導体の生成方法を実現することなので、微生物によって生成されるoc−FA誘導体分子の収量の改善および/または微生物によって生成される脂肪酸誘導体分子の組成の最適化(偶数鎖生成物に対する奇数鎖生成物の割合の増加などによって)が所望される。したがって、奇数鎖脂肪酸生成をもたらす経路を通る代謝流を増加させるために、様々な経路の中間体を過剰生成する戦略を検討した。糖などの開始物質からプロピオニル−CoAへ、奇数鎖アシル−ACP(oc−アシル−ACP)中間体を通り、oc−FA誘導体生成物への代謝流を目指す経路は、工業的に有用な微生物において操作することができる。

0107

一態様では、本発明は、組換え微生物細胞を炭素源の存在下で、ポリヌクレオチドを発現するために有効な条件下で培養したとき、プロピオニル−CoAの生合成に関与する、および/またはoc−アシル−ACP中間体の生合成に関与する酵素活性を有するポリペプチド(例えば、酵素)をコードする1種または複数のポリヌクレオチドを含む組換え微生物細胞を含む。いくつかの実施形態では、組換え微生物細胞はさらに、脂肪酸誘導体酵素活性を有するポリペプチドをそれぞれコードする1種または複数のポリヌクレオチドを含み、組換え微生物細胞は、炭素源の存在下で、ポリヌクレオチドを発現するために十分な条件下で培養したとき、奇数鎖脂肪酸誘導体を生成する。本発明はまた、本発明の組換え微生物細胞を培養することを含む奇数鎖長脂肪酸誘導体を含む組成物の作製方法を含む。本発明はまた、微生物細胞によって生成されるプロピオニル−CoAの量を増加させる方法および微生物細胞によって生成される奇数鎖脂肪酸誘導体の量または割合を増加させる方法およびさらなる検討によって明らかな他の特性を含む。

0108

組換え微生物細胞は、糸状菌、藻類、酵母または細菌などの原核細胞(例えば、E.コリまたはバチルス種)であってもよい。

0109

一般的に、奇数鎖脂肪酸誘導体[奇数鎖脂肪酸、奇数鎖脂肪エステル(奇数鎖脂肪酸メチルエステル(oc−FAME)、奇数鎖脂肪酸エチルエステル(oc−FAEE)および奇数鎖ワックスエステルを含む)、奇数鎖脂肪アルデヒド、奇数鎖脂肪アルコールおよび奇数鎖前駆体の脱カルボニル化もしくは脱カルボキシル化による、偶数鎖アルカン、偶数鎖アルケン、偶数鎖末端オレフィン、偶数鎖内部オレフィンおよび偶数鎖ケトンなどの偶数鎖炭化水素]は、本発明の組換え微生物細胞において図1Bで示した奇数鎖脂肪酸生合成経路(「oc−FA経路」)を介して生成することができる。

0110

奇数鎖脂肪酸誘導体を生成するために、組換え微生物細胞は、脂肪アシル鎖伸長プロセスを開始するための「プライマー」としてプロピオニル−CoAを利用する。図1Bに示したように、脂肪アシル伸長プロセスは、最初に、図1Bの工程(D)に示したように、最初の奇数鎖β−ケトアシル−ACP中間体(例えば、3−オキソバレリル−ACP)を形成するために、β−ケトアシルACP合成酵素活性を有する酵素(例えば、β−ケトアシルACP合成酵素III酵素)によって触媒される奇数鎖長プライマー分子プロピオニル−CoAとマロニル−ACP分子の縮合を必要とする。奇数鎖β−ケトアシル−ACP中間体は、最初の奇数鎖アシル−ACP中間体を形成するために、脂肪酸合成酵素(FAS)複合体によってβ炭素でのケト還元、脱水およびエノイル還元を受け、図1Bの工程(E)に示したように、奇数炭素鎖長(「oc−アシル−ACP」)の増加したアシル−ACP中間体を形成するために、マロニル−ACPとの縮合、ケト還元、脱水およびエオニル還元のサイクルをさらに受けて、サイクル当たり2個の炭素単位を追加する。oc−アシル−ACP中間体は、図1Bの工程(F)に示したように、1種または複数の脂肪酸誘導体酵素と反応し、奇数鎖脂肪酸誘導体(oc−FA誘導体)生成物を生じる。これは、比較的低レベルのプロピオニル−CoAを生成する細胞(例えば、野生型E.コリ細胞など)におけるプロセスとは対照的である。このような細胞は、偶数の炭素原子を有する直鎖脂肪酸を主に生成し、奇数の炭素原子を有する直鎖脂肪酸は低量または微量である。図1Aに示したように、偶数鎖長プライマー分子アセチル−CoAは最初に、図1Aの工程(D)に示したように、偶数鎖β−ケトアシル−ACP中間体(例えば、アセトアセチル−ACP)を形成するためにマロニル−ACP分子と縮合し、今度は図1Aの工程(E)に示したように偶数炭素鎖長(「ec−アシル−ACP」)の増加したアシル−ACP中間体を形成するために、同様に、ケト還元、脱水、エオニル還元およびさらなるマロニル−ACP分子との縮合のFAS触媒サイクルを受け、同様にサイクル当たり2個の炭素単位を追加する。ec−アシル−ACP中間体は、図1Aの工程(F)に示したように、1種または複数の脂肪酸誘導体酵素と反応し、偶数鎖脂肪酸誘導体を生じる。

0111

プロピオニル−CoA「プライマー」分子は、いくつかの方法によって本発明の組換え微生物細胞のoc−FA生合成経路に供給することができる。微生物細胞におけるプロピオニル−CoAの生成を増加させる方法には、限定しないが、以下が含まれる。

0112

プロピオニル−CoAは、親微生物細胞の天然の生合成機構によって生成することができる(例えば、親微生物細胞に対して内在性の酵素によって)。親微生物細胞において生成されるプロピオニル−CoAの量の増加を所望するならば、プロピオニル−CoAの生成に寄与する親微生物細胞に対して内在性の1種または複数の酵素を組換え微生物細胞において過剰発現させることができる。

0113

プロピオニル−CoAは、図2に示したように、中間体α−ケトブチレートを通る代謝流の進路を変える内在性酵素を過剰発現させる、および/または外来性酵素を発現させるように細胞を操作することによって生成することができる。このような経路の操作で使用するための非限定的な酵素の例を以下の表1および表2に挙げる。

0114

プロピオニル−CoAは、図3に示したように、中間体メチルマロニル−CoAを通るスクシニル−CoAからの代謝流の進路を変える内在性酵素を過剰発現させる、および/または外来性酵素を発現させるように細胞を操作することによって生成することができる。このような経路の操作で使用するための非限定的な酵素の例を以下の表3に挙げる。

0115

アプローチ例において、プロピオニル−CoAは、中間体マロン酸セミアルデヒドおよび3−ヒドロキシプロピオン酸を通るマロニル−CoAからの代謝流の進路を変える内在性酵素を過剰発現させる、および/または外来性酵素を発現させるように細胞を操作することによって生成することができる。このような経路の操作で使用するための非限定的な酵素の例は、例えば、米国特許出願公開第US20110201068A1号に挙げられている。

0116

別のアプローチにおいて、プロピオニル−CoAは、中間体ラクトイルCoAおよびアクリロイル−CoAを通るD−ラクテートからの代謝流の進路を変える内在性酵素を過剰発現させる、および/または外来性酵素を発現させるように細胞を操作することによって生成することができる。このような経路の操作で使用するための非限定的な酵素の例は、例えば、米国特許出願公開第US20110201068A1号に挙げられている。

0117

前述のように、奇数鎖伸長プロセスの開始には、oc−β−ケトアシル−ACP中間体を形成するためにプロピオニル−CoAとマロニル−ACP分子との縮合が必要である。この工程は、図1Bの(D)部に表したように、組換え微生物細胞において、基質としてプロピオニル−CoAを利用するβ−ケトアシル−ACP合成酵素活性、好ましくはβ−ケトアシル−ACP合成酵素III活性を有する酵素によって(例えば、EC2.3.1.180)触媒される。酵素は、組換え微生物細胞にとって内在性であってもよく、または組換え微生物細胞にとって外来性であってもよい。

0118

一実施形態では、基質としてプロピオニル−CoAを利用するβ−ケトアシル−ACP合成酵素活性を有する親微生物細胞にとって内在性のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、組換え微生物細胞において発現するか、または過剰発現する。別の実施形態では、親微生物細胞に対して外来性である、基質としてプロピオニル−CoAを利用するβ−ケトアシル−ACP合成酵素活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、組換え微生物細胞において発現する。

0119

oc−FA経路(図1B)の工程(D)において生成されるoc−β−ケトアシル−ACP中間体は、例えば、II型FAS複合体などの脂肪酸合成酵素(FAS)複合体によって触媒されるベータ炭素でのケト還元、脱水およびエノイル還元、マロニル−ACP分子とのさらなる縮合の連続的サイクルによる伸長を受けることができ、それによって図1Bの工程(E)によって表されるoc−アシル−ACP中間体の長い奇数炭素鎖に2個の炭素単位が追加される。一実施形態では、組換え微生物細胞にとって天然な内在性FAS複合体は、マロニル−ACPとの縮合/ケト還元/脱水/エノイル還元のサイクルを触媒して、oc−アシル−ACP中間体を生成する。

0120

奇数鎖脂肪酸誘導体(oc−脂肪酸、oc−脂肪エステル、oc−脂肪アルデヒド、oc−脂肪アルコール、ec−ケトンおよびec−炭化水素)は、以下に詳細を記載するように、oc−アシル−ACP中間体から生成することができる。したがって、いくつかの実施形態では、組換え微生物細胞はさらに、それぞれ脂肪酸誘導体酵素活性を有するペプチドをコードする1種または複数のポリヌクレオチド配列、例えば、チオエステラーゼ(例えば、TesA)、デカルボキシラーゼ、カルボン酸レダクターゼ(CAR、例えば、CarA、CarBまたはFadD9)、アルコール脱水素酵素アルデヒドレダクターゼ、アルデヒドデカルボニラーゼ(ADC)、脂肪アルコール形成アシル−CoAレダクターゼ(FAR)、アシルACPレダクターゼ(AAR)、エステル合成酵素、アシル−CoAレダクターゼ(ACR1)、OleA、OleCDまたはOleBCDを含み、組換え微生物細胞を炭素源の存在下でポリヌクレオチドを発現するために有効な条件下で培養したとき、微生物細胞は、oc−脂肪酸、oc−脂肪エステル(oc−脂肪酸メチルエステル、oc−脂肪酸エチルエステル、oc−ワックスエステルなど)oc−脂肪アルデヒド、oc−脂肪アルコール、ec−ケトンまたはec−炭化水素(ec−アルカン、ec−アルケン、ec−末端オレフィンまたはec−内部オレフィンなど)を含む組成物を生成する。本発明はまた、本発明の組換え微生物細胞を培養することを含むoc−脂肪酸誘導体の生成方法を含む。

0121

増加した量のプロピオニル−CoAを生成させるための微生物細胞の操作
一態様では、本発明には、微生物細胞によって生成される奇数鎖脂肪酸誘導体の量を増加させる方法が含まれ、増加した量のプロピオニル−CoAを生成させるために親微生物細胞を操作することが含まれる。増加した量のプロピオニル−CoAを生成させるための親微生物細胞の操作は、例えば、(a)アスパルトキナーゼ活性、ホモセリン脱水素酵素、ホモセリンキナーゼ活性、スレオニン合成酵素活性およびスレオニンデアミナーゼ活性を有するポリペプチド、(b)(R)−シトラマル酸合成酵素活性、イソプロピルリンゴ酸イソメラーゼ活性およびベータ−イソプロピルリンゴ酸脱水素酵素活性を有するポリペプチド、または(c)メチルマロニル−CoAムターゼ活性を有するポリペプチドならびにメチルマロニル−CoAデカルボキシラーゼ活性およびメチルマロニルカルボキシルトランスフェラーゼ活性を有する1種または複数のポリペプチドならびに適宜メチルマロニルエピメラーゼ活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを発現するために細胞を操作することによって実現することができ、少なくとも1種のポリペプチドが組換え微生物細胞にとって外来性であるか、または少なくとも1種のポリヌクレオチドの発現が、親微生物細胞おけるポリヌクレオチドの発現と比較して組換え微生物細胞においてモジュレートされており、組換え微生物細胞は、炭素源の存在下でポリヌクレオチドを発現するために有効な条件下で培養したとき、同条件下で培養した親微生物細胞によって生成されるプロピオニル−CoAの量に対してより多量のプロピオニル−CoAを生成する。

0122

いくつかの実施形態では、(a)によるポリヌクレオチドによってコードされる少なくとも1種のポリペプチドは、外来性ポリペプチドである(例えば、親微生物細胞以外の生物から生じるポリペプチドまたは親微生物細胞にとって天然のポリペプチドの変異体)。場合によって、(a)によるポリヌクレオチドによってコードされる少なくとも1種のポリペプチドは、内在性ポリペプチドであり(すなわち、親微生物細胞にとって天然のポリペプチド)、内在性ポリペプチドは組換え微生物細胞において過剰発現する。

0123

いくつかの実施形態では、(b)によるポリヌクレオチドによってコードされる少なくとも1種のポリペプチドは、外来性ポリペプチドである。場合によって、(b)によるポリヌクレオチドによってコードされる少なくとも1種のポリペプチドは、内在性ポリペプチドであり、内在性ポリペプチドは組換え微生物細胞において過剰発現する。

0124

いくつかの実施形態では、組換え微生物細胞は、(a)による1種または複数のポリヌクレオチドおよび(b)による1種または複数のポリヌクレオチドを含む。場合によって、(a)または(b)によるポリヌクレオチドによってコードされる少なくとも1種のポリペプチドは、外来性ポリペプチドである。場合によって、(a)または(b)によるポリヌクレオチドによってコードされる少なくとも1種のポリペプチドは、内在性ポリペプチドであり、内在性ポリペプチドは組換え微生物細胞において過剰発現する。

0125

いくつかの実施形態では、(c)によるポリヌクレオチドによってコードされる少なくとも1種のポリペプチドは、外来性ポリペプチドである。場合によって、(c)によるポリヌクレオチドによってコードされる少なくとも1種のポリペプチドは、内在性ポリペプチドであり、内在性ポリペプチドは組換え微生物細胞において過剰発現する。

0126

親(例えば、非操作)微生物細胞と比較してプロピオニル−CoAを通る代謝流が増加した組換え微生物細胞を得るために親微生物細胞を操作することによって、操作された微生物細胞は、親微生物細胞によって生成されるoc−FA誘導体の量と比較してより多量(力価)のoc−FA誘導体を生成し、かつ/または親微生物細胞によって生成される脂肪酸誘導体組成物におけるoc−FA誘導体の割合と比較してより高い割合のoc−FA誘導体を有する脂肪酸誘導体組成物を生成する。

0127

したがって、別の態様では、本発明は、微生物細胞によって生成される奇数鎖脂肪酸誘導体の量または割合を増加させる方法であって、同じ条件下で培養した親微生物細胞によって生成されるプロピオニル−CoAの量に対してより多量のプロピオニル−CoAを生成する、またはより多量を生成することができる組換え微生物細胞を得るために親微生物細胞を操作することを含み、組換え微生物細胞および親微生物細胞をそれぞれ炭素源の存在下で、組換え微生物細胞におけるプロピオニル−CoAのレベルを親微生物細胞と比較して増加させるために有効な同一の条件下で培養したとき、組換え微生物細胞の培養が親微生物細胞によって生成される奇数鎖脂肪酸誘導体の量または割合に対してより多量またはより高い割合の奇数鎖脂肪酸誘導体を生成する方法を含む。いくつかの実施形態では、組換え微生物細胞は、以下により詳細に記載するような経路(a)、(b)および(c)の1種または複数によるポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含み、少なくとも1種のコードされたポリペプチドが組換え微生物細胞にとって外来性であるか、または少なくとも1種のポリヌクレオチドの発現が親微生物細胞におけるポリヌクレオチドの発現と比較して組換え微生物細胞においてモジュレートされている。いくつかの実施形態では、組換え微生物細胞は、脂肪酸誘導体酵素活性を有するポリペプチドをコードする少なくとも1種のポリペプチドを含む。いくつかの実施形態では、組換え微生物細胞は、基質としてプロピオニル−CoAを利用するβ−ケトアシル−ACP合成酵素活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む。

0128

組換え微生物細胞におけるプロピオニル−CoA生成の増加に有用な代謝経路の例を以下に記載する。組換え細胞においてプロピオニル−CoA生成を増加させるためのこれらの経路の例は、本発明の範囲を限定するものではなく、細胞におけるプロピオニル−CoA生成を増加させ、かつ/またはプロピオニル−CoA中間体を通る細胞における代謝流を増加させる任意の適切な代謝経路が本発明の組換え微生物細胞、組成物および方法で使用するために適切であることを理解されたい。プロピオニル−CoA生成を増加させ、かつ/またはプロピオニル−CoA中間体を通る代謝流を増加させる代謝経路は、したがって、本発明の組換え微生物細胞、組成物および方法における使用に適切である。

0129

α−ケト酪酸中間体を介するプロピオニル−CoAの生成
様々なアミノ酸生合成経路の操作が、微生物細胞におけるそれらの様々なアミノ酸の生成を増加させるために示されてきた(Guillouet S., et al., Appl. Environ. Microbiol. 65:3100−3107 (1999); Lee K.H., et al., Mol. Syst. Biol.
3:149 (2007))。アミノ酸生合成経路が、E.コリにおける短鎖分枝アルコールの生成において使用されてきた(Atsumi S. and Liao J.C., Appl. Environ. Microbiol. 74(24): 7802−7808 (2008); Cann A.F. and Liao J.C., Appl Microbiol Biotechnol. 81(1):89−98(2008); Zhang K., et al., Proc. Natl. Acad. Sci.USA. 105(52):20653−20658(2008))。

0130

ある種のアミノ酸生合成代謝物の流れの進路を中間体α−ケト酪酸(アルファ−ケト酪酸、2−ケト酪酸、2−ケトブタノエート、2−オキソ酪酸および2−オキソブタノエートとしても知られている)の生成に向けることによって、プロピオニル−CoA生成の増加が引き起こされる。したがって、一実施形態では、本発明は、組換え微生物細胞を炭素源の存在下で、ポリヌクレオチドを発現するために十分な条件下で培養したとき、炭素源(例えば、糖などの炭水化物)からα−ケト酪酸への変換に関与する1種または複数の酵素(すなわち、「oc−FA経路酵素」)をコードするポリヌクレオチドを含む組換え微生物細胞を含む。α−ケト酪酸分子は、oc−FA経路による直鎖状奇数鎖脂肪酸誘導体の生成におけるプライマーとして役立つプロピオニル−CoAの微生物生成における中間体である(図1B)。

0131

ピルビン酸脱水素酵素複合体(PDC)は、細菌においてプロピオニル−CoAを生成するためにα−ケト酪酸の酸化的脱カルボキシル化を触媒する(Danchin, A.
et al., Mol. Gen. Genet. 193: 473 −478 (1984); Bisswanger, H., J. Biol .Chem. 256:815−822 (1981))。ピルビン酸脱水素酵素複合体は、3種類の活性:ピルビン酸デカルボキシラーゼ(E1)、ジヒドロリポイルトランスアセチラーゼ(E2)およびジヒドロリポイル脱水素酵素(E3)を含有する多酵素複合体である。ピルビン酸以外のα−ケト酸基質を利用する類似の触媒様式を使用する他の適切なケト酸脱水素酵素複合体も存在する。TCAサイクルα−ケトグルタル酸脱水素酵素複合体が一例である。一実施形態では、宿主細胞にとって内在性のピルビン酸脱水素酵素複合体(すなわち、親細胞にとって天然のピルビン酸脱水素酵素複合体)が、α−ケト酪酸からプロピオニル−CoAへの変換を触媒するために利用される。他の実施形態では、ピルビン酸デカルボキシラーゼ、ジヒドロリポイルトランスアセチラーゼおよび/またはジヒドロリポイル脱水素酵素活性を有する1種または複数のPDC複合体ポリペプチドをコードする遺伝子が、組換え微生物細胞において過剰発現する。α−ケト酪酸からプロピオニル−CoAへの変換を触媒する他の酵素または酵素複合体は、α−ケト酪酸からプロピオニル−CoAへの代謝流をさらに増加させるために組換え微生物細胞において発現または過剰発現することができる。

0132

α−ケト酪酸からプロピオニル−CoAへの変換はまた、α−ケト酪酸からプロピオン酸への変換およびプロピオン酸からプロピオニル−CoAへの活性化によって実現することができる。α−ケト酪酸からプロピオン酸への変換は、poxB遺伝子によってコードされるE.コリピルビン酸オキシダーゼなどのピルビン酸オキシダーゼ(EC.1.2.3.3)によって触媒され得る(Grabau and Cronan, Nucleic AcidsRes. 14(13): 5449−5460 (1986))。天然のE.コリPoxB酵素は、α−ケト酪酸およびピルビン酸と反応し、ピルビン酸に選択性を示すが、Chang and Cronan(Biochem J. 352:717−724 (2000))は、α−ケト酪酸に対して完全な活性を保持し、ピルビン酸に対する活性が低下しているPoxB突然変異体酵素について記載した。プロピオン酸からプロピオニル−CoAへの活性化は、アセチル−CoA合成酵素などのアシル−CoA合成酵素によって触媒することができる(Doi et al., J. Chem
Soc. 23: 1696 (1986))。酵母アセチル−CoA合成酵素は、プロピオン酸からプロピオニル−CoAへの活性化を触媒することが示された(Patel
and Walt, J. Biol. Chem. 262: 7132 (1987))。プロピオン酸はまた、酢酸キナーゼ(ackA)およびホスホトランスアセチラーゼ(pta)の作用によってプロピオニル−CoAに活性化され得る。

0133

親微生物細胞に対して内在性の1種または複数の酵素は、組換え微生物細胞において操作されたoc−FA生合成経路の酵素と基質を競合することがあるか、または中間体(例えば、α−ケト酪酸)を分解するかそうでなければoc−FA生合成経路から進路を変えさせることがあり、このような望ましくない内在性酵素をコードする遺伝子は、組換え微生物細胞による奇数鎖脂肪酸誘導体の生成を増加させるために減衰させることができる。例えば、E.コリにおいて、AHAS I(例えば、ilvBN遺伝子によってコードされる)、AHAS II(例えば、ilvGM遺伝子によってコードされる)およびAHAS III(例えば、ilvIH遺伝子によってコードされる)などの内在性アセトヒドロキシ酸合成酵素(AHAS)複合体は、α−ケト酪酸からα−アセト−α−ヒドロキシ酪酸への変換を触媒し、したがって、代謝流の進路をプロピオニル−CoAから変えさせ、oc−FA生成を低下させることがある。したがって、1種または複数の内在性AHAS遺伝子の発現を欠如させるか、またはそうでなければ低下させることによって、組換え微生物細胞における生合成をよりプロピオニル−CoAに向かわせ、最終的により奇数鎖脂肪酸生成に向かわせることができる。oc−FA生合成経路酵素と競合し得る他の内在性酵素には、α−アセト−α−ヒドロキシ酪酸から2,3−ジヒドロキシ−3−メチル吉草酸への変換を触媒するアセトヒドロキシ酸イソメロレダクターゼ活性を備えた酵素(例えば、ilvC遺伝子によってコードされる)および2,3−ジヒドロキシ−3−メチル吉草酸から2−ケト−3−メチル吉草酸への変換を触媒するジヒドロキシ酸脱水酵素活性を備えた酵素(例えば、ilvD遺伝子によってコードされる)が含まれ、これらの遺伝子の1種または複数の発現を欠如させるかまたはそうでなければ低下させることによって、組換え微生物細胞における生合成をよりプロピオニル−CoAに向かわせ、最終的により奇数鎖脂肪酸生成に向かわせることができる。

0134

以下の経路例のいずれかまたは両方は、一般的なα−ケト酪酸中間体を通る代謝流を増加させて、細胞内でのプロピオニル−CoA生成の増加を引き起こすために、組換え微生物細胞において操作することができる。これらの経路例を図2に示し、以下により詳細に記載する。

0135

経路A(スレオニン中間体)
図2の経路(A)に表される一般的なα−ケト酪酸中間体を導く第1の経路には、スレオニン生合成酵素による中間体スレオニンの生成、それに続くスレオニン脱水酵素活性を備えた酵素によって触媒されるスレオニンからα−ケト酪酸への脱アミノ化が関与する。

0136

経路(A)において、スレオニンへの代謝流の増加は、アスパラギン酸からアスパルチルリン酸への変換を触媒するアスパラギン酸キナーゼ活性(例えば、EC2.7.2.4;アスパルトキナーゼ活性とも称される)、アスパルチルリン酸からアスパラギン酸セミアルデヒドへの変換を触媒するアスパラギン酸−セミアルデヒド脱水素酵素活性(例えば、EC1.2.1.11)、アスパラギン酸セミアルデヒドからホモセリンへの変換を触媒するホモセリン脱水素酵素活性(例えば、EC1.1.1.3)、ホモセリンからO−ホスホ−L−ホモセリンへの変換を触媒するホモセリンキナーゼ活性(例えば、EC2.7.1.39)およびO−ホスホ−L−ホモセリンからスレオニンへの変換を触媒するスレオニン合成酵素活性(例えば、EC4.2.3.1)を有する酵素を含む、スレオニン生合成に関与する酵素をコードするポリヌクレオチドを発現することによって実現することができる。スレオニン中間体を通る代謝流を増加させるために、上記に挙げた活性全てが組換え微生物細胞において操作される必要はなく、場合によっては、親微生物細胞において既に存在する活性(例えば、親微生物細胞において天然の遺伝子によって生成される活性を有するポリペプチド)は上記に挙げた工程を触媒するために十分であろう。一実施形態では、組換え微生物細胞は、アスパラギン酸キナーゼ活性を有するポリペプチドであって、アスパラギン酸からアスパルチルリン酸への変換を触媒するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、アスパラギン酸セミアルデヒド脱水素酵素活性を有するポリペプチドであって、アスパルチルリン酸からアスパラギン酸セミアルデヒドへの変換を触媒するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、ホモセリン脱水素酵素活性を有するポリペプチドであって、アスパラギン酸セミアルデヒドからホモセリンへの変換を触媒するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、ホモセリンキナーゼ活性を有するポリペプチドであって、ホモセリンからO−ホスホ−L−ホモセリンの変換を触媒するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、スレオニン合成酵素活性を有するポリペプチドであって、O−ホスホ−L−ホモセリンからスレオニンへの変換を触媒するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドから選択される1種または複数のポリヌクレオチドを組換えによって発現するために操作され、組換え微生物細胞は、親微生物細胞と比較して経路中間体スレオニンを通る代謝流が増加している。場合によっては、組換えによって発現したポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドは、同じ条件下で培養したとき、親微生物細胞における濃度と比較してより高い濃度で組換え微生物細胞中に存在する、すなわち、このポリペプチドは組換え細胞において「過剰発現」する。例えば、組換え発現したポリヌクレオチドは、同じ条件下で培養したとき、親微生物細胞において通常発現するよりも高い濃度で組換え微生物細胞においてポリヌクレオチドを発現するプロモーターに操作可能に連結することができる。一実施形態では、アスパラギン酸キナーゼおよびホモセリン脱水素酵素活性を有する二官能性ThrAをコードするE.コリthrA遺伝子を使用する。別の実施形態では、アスパラギン酸キナーゼおよびホモセリン脱水素酵素活性を有し、親ThrA酵素に対してフィードバック阻害が低下した変異体酵素をコードする突然変異体E.コリthrA遺伝子を使用する(ThrA*と称する;Ogawa−Miyata,Y., et al., Biosci. Biotechnol. Biochem. 65:1149−1154 (2001); Lee J.−H., et al., J. Bacteriol. 185: 5442−5451 (2003))。

0137

スレオニンは、スレオニンデアミナーゼ活性(例えば、EC4.3.1.19;スレオニンアンモニアリアーゼ活性としても知られており、以前はEC4.2.1.16、スレオニン脱水酵素として分類された)を有する酵素によってα−ケト酪酸に脱アミノ化することができる。一実施形態では、親微生物細胞に既に存在する(すなわち、内在性)スレオニンデアミナーゼ活性は、スレオニンからα−ケト酪酸への変換を触媒するために十分である。別の実施形態では、組換え微生物細胞は、スレオニンデアミナーゼ活性を有するポリペプチドであって、スレオニンからα−ケト酪酸への変換を触媒するポリペプチドを組換えによって発現するように操作する。いくつかの実施形態では、スレオニンデアミナーゼ活性を有するポリペプチドは組換え微生物細胞において過剰発現する。

0138

経路(A)の操作に使用するための酵素およびこのような酵素をコードするポリヌクレオチドの非限定的な例を表1に挙げる。

0139

0140

例えば、上記のEC番号によって分類されるポリペプチドについては、いずれもワールドワイドウェブで利用可能な関連のあるデータベース[KEGGデータベース(東京大学)、PROTEINまたはGENEデータベース(Entrezデータベース;NCBI)、UNIPROTKBまたはENZYMEデータベース(ExPASy;スイスバイオインフォマティクス研究所)およびBRENDAデータベース(The Comprehensive Enzyme Information System;Technical University of Braunschweig)]を検索することによって、ポリペプチドをさらに同定することができる。例えば、アスパルトキナーゼポリペプチドはさらに、EC2.7.2.4に分類されたポリペプチドを検索することによって同定することができ、ホモセリン脱水素酵素ポリペプチドはさらに、EC1.1.1.3に分類されたポリペプチドを検索することによって同定することができ、ホモセリンキナーゼポリペプチドはさらに、EC2.7.1.39に分類されたポリペプチドを検索することによって同定することができ、スレオニン合成酵素ポリペプチドはさらに、EC4.2.3.1に分類されたポリペプチドを検索することによって同定することができ、スレオニンデアミナーゼポリペプチドはさらに、EC4.3.1.19に分類されたポリペプチドを検索することによって同定することができる。

0141

いくつかの実施形態では、親脂肪酸経路ポリペプチド(例えば、表1で記載した、またはEC番号によってもしくはポリペプチドの例に対する相同性によって同定されたポリペプチド)をコードするポリヌクレオチドは、上記の酵素活性(例えば、アスパルトキナーゼ活性、ホモセリン脱水素酵素活性、ホモセリンキナーゼ活性、スレオニン合成酵素活性、スレオニンデアミナーゼ活性)および親ポリペプチドの特性と比較して改善された特性を有する変異体ポリペプチドを生成する当技術分野で周知の方法を使用して改変され、この特性は、例えば、組換え微生物細胞を培養する条件下での触媒活性の増加または安定性の改善、細胞代謝物による、または培養培地成分などによる阻害の低下(例えば、フィードバック阻害の低下)などの操作する微生物細胞および/または経路により適合している。

0142

経路B(シトラマル酸中間体)
図2の経路(B)に表されるように、一般的なα−ケト酪酸中間体を導く第2の経路には、シトラマル酸合成酵素活性を有する酵素を介した中間体シトラマル酸(2−メチルリンゴ酸としても知られている)の生成およびイソプロピルリンゴ酸イソメラーゼおよびアルコール脱水素酵素活性を有する酵素の作用によるシトラマル酸からα−ケト酪酸への変換が関与する。

0143

アセチル−CoAとピルビン酸との反応を触媒して(R)−シトラマル酸を形成するシトラマル酸合成酵素活性(例えば、EC2.3.1.182)は、M.ヤンナスキイ(配列番号40)またはL.インテロガンス(配列番号42)のCimAなどのCimAポリペプチドをコードする、メタコックス・ヤンナスキイ(Methanococcus jannaschi)またはレプトスピラ・インテロガンス(Leptospira interrogans)などの細菌のcimA遺伝子の発現によって供給することができる(Howell, D.M. et al., J. Bacteriol. 181(1):331−3 (1999); Xu, H., et al., J. Bacteriol. 186:5400−5409(2004))。あるいは、例えば、Atsumi S. and Liao J.C. (Appl. Environ. Microbiol. 74(24): 7802−7808 (2008))によって記載されたCimA変異体、好ましくはcimA3.7遺伝子によってコードされたCimA3.7変異体(配列番号41)などの組換え微生物細胞における触媒活性または安定性が改善された、および/またはフィードバック阻害が低下したCimA変異体をコードする改変されたcimA核酸配列を使用することができる。あるいは、レプトスピラ・インテロガンスCimA変異体(配列番号43)を使用することができる。まず(R)−シトラマル酸からシトラコン酸へ、次にベータ−メチル−D−リンゴ酸への変換を触媒するイソプロピルリンゴ酸イソメラーゼ活性(EC4.2.1.33、イソプロピルリンゴ酸脱水酵素とも称する)は、例えば、E.コリまたはB.ズブチリスleuCD遺伝子によってコードされるヘテロ二量体タンパク質の発現によってもたらすことができる。ベータ−メチル−D−リンゴ酸から2−ケト酪酸(すなわちα−ケト酪酸)への変換を触媒するアルコール脱水素酵素活性(EC1.1.1.85、ベータ−イソプロピルリンゴ酸脱水素酵素)は、例えば、E.コリまたはB.ズブチリスleuB遺伝子または酵母leu2遺伝子の発現によってもたらすことができる。脂肪酸経路酵素およびoc−FA経路の経路(B)の操作に使用するためのこのような酵素をコードするポリヌクレオチドの非限定的な例を表2に挙げる。

0144

0145

例えば、上記のEC番号によって分類されるポリペプチドについては、いずれもワールドワイドウェブで利用可能な関連のあるデータベース[KEGGデータベース(東京大学)、PROTEINまたはGENEデータベース(Entrezデータベース;NCBI)、UNIPROTKBまたはENZYMEデータベース(ExPASy;スイスバイオインフォマティクス研究所)およびBRENDAデータベース(The Comprehensive Enzyme Information System;Technical University of Braunschweig)]を検索することによって、ポリペプチドをさらに同定することができる。例えば、(R)−シトラマル酸合成酵素ポリペプチドはさらに、EC2.3.1.182に分類されたポリペプチドを検索することによって同定することができ、イソプロピルリンゴ酸イソメラーゼポリペプチドはさらに、EC4.2.1.33に分類されたポリペプチドを検索することによって同定することができ、ベータ−イソプロピルリンゴ酸脱水素酵素ポリペプチドはさらに、EC1.1.1.85に分類されたポリペプチドを検索することによって同定することができる。

0146

いくつかの実施形態では、親脂肪酸経路ポリペプチド(例えば、表2で記載した、またはEC番号によってもしくはポリペプチドの例に対する相同性によって同定されたポリペプチド)をコードするポリヌクレオチドは、上記の酵素活性(例えば、(R)−シトラマル酸合成酵素活性、イソプロピルリンゴ酸イソメラーゼ活性、ベータ−イソプロピルリンゴ酸脱水素酵素活性)および親ポリペプチドの特性と比較して改善された特性を有する変異体ポリペプチドを生成する当技術分野で周知の方法を使用して改変され、この特性は、親ポリペプチドの特性と比較して、例えば、組換え微生物細胞を培養する条件下での触媒活性の増加または安定性の改善、細胞代謝物による、または培養培地成分などによる阻害の低下(例えば、フィードバック阻害の低下)などの操作する微生物細胞および/または経路により適合している。

0147

メチルマロニル−CoAを介するプロピオニル−CoAの生成
経路C(メチルマロニル−CoA中間体)
以下の経路例は、メチルマロニル−CoA中間体を通る代謝流を増加させて、細胞内でのプロピオニル−CoA生成の増加を引き起こすために組換え微生物細胞において操作することができる。この経路例を図3に示し、以下により詳細に記載する。

0148

代謝流をメチルマロニル−CoAに向けることによって、プロピオニル−CoA生成の増加を引き起こすことができる。したがって、一実施形態では、本発明は、組換え微生物細胞を炭素源の存在下で、ポリヌクレオチドを発現するために十分な条件下で培養したとき、炭素源(例えば、糖などの炭水化物)からスクシニル−CoAおよびメチルマロニル−CoAへの変換に関与するものをコードするポリヌクレオチドを含む組換え微生物細胞を含む。スクシニル−CoAおよびメチルマロニル−CoAは、oc−FA経路による直鎖状奇数鎖脂肪酸誘導体の生成におけるプライマーとして役立つプロピオニル−CoAの微生物生成における中間体である(図1B)。

0149

図3に示したようなプロピオニル−CoAに導く経路(本明細書では「経路(C)」とも称する)には、メチルマロニル−CoAムターゼ活性を有する酵素を介したスクシニル−CoAからメチルマロニル−CoAへの変換ならびにメチルマロニル−CoAデカルボキシラーゼ活性を有する酵素の作用および/またはメチルマロニル−CoAカルボキシルトランスフェラーゼ活性を有する酵素の作用によるメチルマロニル−CoAからプロピオニル−CoAへの変換が関与する。場合によっては、使用した特定のメチルマロニル−CoAデカルボキシラーゼまたはメチルマロニル−CoAカルボキシルトランスフェラーゼによって利用されるメチルマロニル−CoAの立体異性体に応じて、メチルマロニル−CoAエピメラーゼ活性を有する酵素は、(R)−および(S)−メチルマロニル−CoAを相互変換するために利用してもよい。

0150

スクシニル−CoAは、細胞TCAサイクルによってこの経路に提供することができる。場合によっては、フマル酸からコハク酸への流れは、例えば、内在性frd(フマル酸レダクターゼ)またはコハク酸もしくはスクシニル−CoAの生成に関与する他の遺伝子(複数可)の過剰発現によって増加し得る。スクシニル−CoAからメチルマロニル−CoAへの変換は、メチルマロニル−CoAムターゼ活性(例えば、EC5.4.99.2)を有する酵素によって触媒され得る。このような活性は、外来性scpA(sbmとしても知られている)遺伝子の発現によって、または内在性scpA遺伝子の過剰発現によって、組換え微生物細胞に供給することができる。sbm遺伝子の一例は、メチルマロニル−CoAムターゼ活性を有するSbmポリペプチド(受託番号NP_417392、配列番号51)をコードするE.コリの遺伝子を含む(Haller, T. et al., Biochemistry 39:4622−4629 (2000))。あるいは、例えば、α−サブユニットまたは「大サブユニット」(MutB、受託番号YP_003687736)およびベータ−サブユニットまたは「小サブユニット」(MutA、受託番号CAA33089)を含むプロピオニバクテリウムフロイデンライヒ亜種シャーマニ(Propionibacterium freundenreichii subsp.shermanii)のメチルマロニル−CoAムターゼを使用することができる。スクシニル−CoAからメチルマロニル−CoAへの変換を触媒するポリペプチドの非限定的例を以下の表3に挙げる。

0151

一実施形態では、メチルマロニル−CoAからプロピオニル−CoAへの変換は、メチルマロニル−CoAのプロピオニル−CoAへの脱カルボキシル化を触媒するメチルマロニル−CoAデカルボキシラーゼ活性(例えば、EC4.1.1.41)を有するポリペプチドによって触媒され得る。このような活性は、外来性scpB(ygfGとしても知られている)遺伝子の発現によって、または内在性scpB遺伝子の過剰発現によって、組換え微生物細胞に供給することができる。メチルマロニル−CoAデカルボキシラーゼポリペプチドの例には、例えば、E.コリscpB遺伝子によってコードされるメチルマロニル−CoAデカルボキシラーゼポリペプチド(Haller et al.、上記)またはサルモネラエンテリカ(Salmonella enterica)もしくはエルシニアエンテロコリティカ(Yersinia enterocolitica)によってコードされるメチルマロニル−CoAデカルボキシラーゼポリペプチドが含まれる。別の実施形態では、メチルマロニル−CoAからプロピオニル−CoAへの変換は、例えば、P.フロイデンライヒ亜種シャーマニ(mmdA、NBCI受託番号Q8GBW6.3)のメチルマロニル−CoAカルボキシルトランスフェラーゼなどのメチルマロニル−CoAカルボキシルトランスフェラーゼ活性(例えば、EC2.1.3.1)を有するポリペプチドによって触媒され得る。メチルマロニル−CoAデカルボキシラーゼによって、またはメチルマロニル−CoAカルボキシルトランスフェラーゼによって利用されるメチルマロニル−CoAの立体異性体に応じて、例えば、バチルス・ズブチリス(yqjC;Haller et al., Biochemistry 39:4622−4629 (2000))またはプロピオニバクテリウム・フロイデンライヒ亜種シャーマニ(NCBI受託番号YP_003688018)のメチルマロニル−CoAエピメラーゼなどのメチルマロニル−CoAエピメラーゼ活性(例えば、EC5.1.99.1)を有するポリペプチドによって触媒され得る(R)−メチルマロニル−CoAと(S)−メチルマロニル−CoAとの間の変換が所望されることがある。

0152

親微生物細胞に対して内在性の1種または複数の酵素は、組換え微生物細胞において操作されたoc−FA生合成経路の酵素と基質を競合することがあるか、または中間体を分解するかそうでなければoc−FA生合成経路から進路を変えさせることがあり、このような望ましくない内在性酵素をコードする遺伝子は、組換え微生物細胞による奇数鎖脂肪酸誘導体の生成を増加させるために減衰させることができる。例えば、E.コリにおいて、E.コリscpC(ygfHとしても知られている)遺伝子によってコードされる内在性プロピオニル−CoA:スクシニル−CoAトランスフェラーゼ(NCBI受託番号NP_417395)は、プロピオニル−CoAからスクシニル−CoAへの変換を触媒し、したがって、プロピオニル−CoAからの代謝流の進路を変え、oc−FA生成を低下させ得る。したがって、scpC(ygfH)遺伝子の発現を欠如させるか、そうでなければ低下させることは、組換え微生物細胞における生合成をよりプロピオニル−CoAに向かわせ、最終的により奇数鎖脂肪酸生成に向かわせることができる。

0153

oc−FA経路の経路(C)の操作に使用するための脂肪酸経路酵素およびスクシニル−CoAからメチルマロニル−CoAへの変換およびメチルマロニル−CoAからプロピオニル−CoAへの変換を触媒するこのような酵素をコードするポリヌクレオチドの非限定的な例を表3に挙げる。

0154

0155

例えば、上記のEC番号によって分類されるポリペプチドについては、いずれもワールドワイドウェブで利用可能な関連のあるデータベース[KEGGデータベース(東京大学)、PROTEINまたはGENEデータベース(Entrezデータベース;NCBI)、UNIPROTKBまたはENZYMEデータベース(ExPASy;スイスバイオインフォマティクス研究所)およびBRENDAデータベース(The Comprehensive Enzyme Information System;Technical University of Braunschweig)]を検索することによって、ポリペプチドをさらに同定することができる。例えば、メチルマロニル−CoAムターゼポリペプチドはさらに、EC5.4.99.2に分類されたポリペプチドを検索することによって同定することができ、メチルマロニル−CoAデカルボキシラーゼポリペプチドはさらに、EC4.1.1.41に分類されたポリペプチドを検索することによって同定することができ、メチルマロニル−CoAカルボキシルトランスフェラーゼポリペプチドはさらに、EC2.1.3.1に分類されたポリペプチドを検索することによって同定することができ、メチルマロニル−CoAエピメラーゼポリペプチドはさらに、EC5.1.99.1に分類されたポリペプチドを検索することによって同定することができる。

0156

いくつかの実施形態では、親脂肪酸経路ポリペプチド(例えば、表3で記載した、またはEC番号によってもしくはポリペプチドの例に対する相同性によって同定されたポリペプチド)をコードするポリヌクレオチドは、上記の酵素活性(例えば、メチルマロニル−CoAムターゼ活性、メチルマロニル−CoAデカルボキシラーゼ活性、メチルマロニル−CoAエピメラーゼ活性、メチルマロニル−CoAカルボキシルトランスフェラーゼ活性)および親ポリペプチドの特性と比較して改善された特性を有する変異体ポリペプチドを生成する当技術分野で周知の方法を使用して改変され、この特性は、例えば、組換え微生物細胞を培養する条件下での触媒活性の増加または安定性の改善、細胞代謝物による、または培養培地成分などによる阻害の低下(例えば、フィードバック阻害の低下)などの操作する微生物細胞および/または経路により適合している。

0157

oc−FA誘導体の増加した量を生成させるための微生物細胞の操作
プロピオニル−CoAからoc−β−ケトアシル−ACP
前述したように、プロピオニル−CoAは、oc−FA誘導体の生成におけるその後のFAS触媒伸長工程のプライマーとして役立つ。このプロセスの開始には、oc−β−ケトアシル−ACP中間体3−オキソバレリル−ACPを形成するためにプロピオニル−CoAとマロニル−ACP分子との縮合が必要である(図1B)。この開始工程は、図1Bの工程(D)に表されるように、組換え微生物細胞において、基質としてプロピオニル−CoAを利用するβ−ケトアシル−ACP合成酵素活性を有する酵素[例えば、III型β−ケトアシル−ACP合成酵素(例えば、EC2.3.1.180)]によって触媒される。

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