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技術 負極活物質、混合負極活物質材料、非水電解質二次電池、負極活物質の製造方法及び非水電解質二次電池の製造方法

出願人 信越化学工業株式会社
発明者 廣瀬貴一加茂博道古屋昌浩松野拓史
出願日 2016年1月21日 (3年7ヶ月経過) 出願番号 2016-009434
公開日 2017年7月27日 (2年0ヶ月経過) 公開番号 2017-130368
状態 特許登録済
技術分野 電池の電極及び活物質
主要キーワード 二酸化ケイ素成分 ケイ素比 カシメ機 総サイクル 長けた ケイ素化合物粒子 バルク組成 外気侵入
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2017年7月27日)のものです。
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図面 (10)

課題

二次電池負極活物質として用いた際に、放電容量、サイクル特性及び初期充放電特性を向上させることが可能な負極活物質を提供する。

解決手段

負極活物質粒子を含む負極活物質であって、前記負極活物質粒子は、ケイ素化合物(SiOx:0.5≦x<1.0)を含むケイ素化合物粒子を含有し、前記ケイ素化合物粒子は、リチウムを含有し、前記負極活物質を、対極として金属リチウムを有する二次電池の負極に用い、前記二次電池の0V定電流定電圧充電後に1.2V定電流放電を行った時に得られる放電容量が1550mAh/g以上2200mAh/g以下であることを特徴とする負極活物質。

概要

背景

近年、モバイル機器高性能化及び多機能化されてきており、これらに伴い、モバイル機器に電源として用いられる二次電池にも、小型化、軽量化及び薄型化が要求され、高容量化が求められている。

この要求に応え得る二次電池としてリチウムイオン二次電池がある。リチウムイオン二次電池の電池特性は、用いられる電極活物質などによって大きく変化する。現在実用化されている代表的なリチウムイオン二次電池では、正極活物質としてコバルト酸リチウムが用いられ、負極活物質として黒鉛が用いられているが、このように構成されたリチウムイオン二次電池の電池容量は理論容量に近づいており、今後の改良で大幅に高容量化することは難しい。

そこで、充電の際にリチウム合金化するケイ素やスズなどを負極活物質として用いて、リチウムイオン二次電池の大幅な高容量化を実現することが検討されている。但し、ケイ素やスズなどを負極活物質として用いた場合、充電及び放電に伴う膨張及び収縮度合いが大きいため、充放電に伴う膨張収縮によって活物質微粉化したり、負極集電体から脱落したりして、サイクル特性が低下するという問題がある。

これに対し、近年、サイクル特性改善のため、酸化ケイ素を用い、その表層炭素被膜を形成することで導電性を付与している(例えば特許文献1参照)。特許文献1において、炭素被膜に関するラマンスペクトルから得られるシフト値に関して、1330cm−1及び1580cm−1にブロードピークが現れるとともに、それらの強度比I1330/I1580が1.5<I1330/I1580<3となっている。

また、高い電池容量、サイクル特性の改善のため、二酸化ケイ素中に分散されたケイ素微結晶相を有する粒子を用いている(例えば、特許文献2参照)。また、過充電過放電特性を向上させるために、ケイ素と酸素原子数比を1:y(0<y<2)に制御したケイ素酸化物を用いている(例えば特許文献3参照)。また、高い電池容量、サイクル特性の改善のため、ケイ素と炭素混合電極を作製しケイ素比率を5質量%以上13質量%以下で設計している(例えば、特許文献4参照)。

概要

二次電池の負極活物質として用いた際に、放電容量、サイクル特性及び初期充放電特性を向上させることが可能な負極活物質を提供する。負極活物質粒子を含む負極活物質であって、前記負極活物質粒子は、ケイ素化合物(SiOx:0.5≦x<1.0)を含むケイ素化合物粒子を含有し、前記ケイ素化合物粒子は、リチウムを含有し、前記負極活物質を、対極として金属リチウムを有する二次電池の負極に用い、前記二次電池の0V定電流定電圧充電後に1.2V定電流放電を行った時に得られる放電容量が1550mAh/g以上2200mAh/g以下であることを特徴とする負極活物質。

目的

この問題を解決する1つの手法として、ケイ素材を主材として用いた負極からなるリチウムイオン二次電池の開発が望まれている

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

負極活物質粒子を含む負極活物質であって、前記負極活物質粒子は、ケイ素化合物(SiOx:0.5≦x<1.0)を含むケイ素化合物粒子を含有し、前記ケイ素化合物粒子は、リチウムを含有し、前記負極活物質を、対極として金属リチウムを有する二次電池の負極に用い、前記二次電池の0V定電流定電圧充電後に1.2V定電流放電を行った時に得られる放電容量が1550mAh/g以上2200mAh/g以下であることを特徴とする負極活物質。

請求項2

前記SiOxのxが0.6≦x≦0.8の範囲であることを特徴とする請求項1に記載の負極活物質。

請求項3

前記ケイ素化合物粒子は、Li2SiO3及びLi4SiO4から選ばれる1種以上を含むことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の負極活物質。

請求項4

前記負極活物質粒子は、表層部に炭素材を含むことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の負極活物質。

請求項5

前記負極活物質粒子はメジアン径が3.0μm以上12μm以下であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の負極活物質。

請求項6

請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の負極活物質と炭素活物質とを含むことを特徴とする混合負極活物質材料

請求項7

負極として、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の負極活物質又は請求項6に記載の混合負極活物質材料を含む負極を用いたものであることを特徴とする非水電解質二次電池

請求項8

ケイ素化合物粒子を含有する負極活物質粒子を含む負極活物質を製造する方法であって、酸化ケイ素ガスを発生する原料を加熱することによって酸化ケイ素ガスを発生させる工程と、前記酸化ケイ素ガスと還元性ガスを反応させる工程と、該反応により得られたものを吸着板上で固体化し、堆積することによって、ケイ素化合物(SiOx:0.5≦x<1.0)を含むケイ素化合物粒子を作製する工程と、前記ケイ素化合物粒子にリチウムを挿入する工程とを有することを特徴とする負極活物質の製造方法。

請求項9

前記還元性ガスをCOガス、H2Sガス、SO2ガス及びH2ガスから選ばれる1種以上とすることを特徴とする請求項8に記載の負極活物質の製造方法。

請求項10

ケイ素化合物粒子を含有する負極活物質粒子を含む負極活物質を製造する方法であって、ケイ素ガスを発生する原料を収容した容器と酸化ケイ素ガスを発生する原料を収容した容器とを別々に用意する工程と、前記ケイ素ガスを発生する原料を加熱することによってケイ素ガスを発生させる工程と、前記酸化ケイ素ガスを発生する原料を加熱することによって酸化ケイ素ガスを発生させる工程と、前記ケイ素ガスと前記酸化ケイ素ガスを混合して混合ガスとする工程と、該混合ガスを吸着板上で固体化し、堆積することによって、ケイ素化合物(SiOx:0.5≦x<1.0)を含むケイ素化合物粒子を作製する工程と、前記ケイ素化合物粒子にリチウムを挿入する工程とを有することを特徴とする負極活物質の製造方法。

請求項11

前記ケイ素ガスを前記酸化ケイ素ガスよりも高温とすることを特徴とする請求項10に記載の負極活物質の製造方法。

請求項12

前記酸化ケイ素ガスを発生する原料を加熱する際の加熱温度を900℃〜1700℃の温度範囲とすることを特徴とする請求項8から請求項11のいずれか1項に記載の負極活物質の製造方法。

請求項13

ケイ素化合物粒子を含有する負極活物質粒子を含む負極活物質を製造する方法であって、ケイ素を収容した容器を用意する工程と、該容器に収容したケイ素を溶融してケイ素融液とする工程と、該ケイ素融液に、酸化ケイ素ガスを発生する原料を投入することによって、ケイ素ガスと前記酸化ケイ素ガスが混合した混合ガスを発生させる工程と、該混合ガスを吸着板上で固体化し、堆積することによって、ケイ素化合物(SiOx:0.5≦x<1.0)を含むケイ素化合物粒子を作製する工程と、前記ケイ素化合物粒子にリチウムを挿入する工程とを有することを特徴とする負極活物質の製造方法。

請求項14

不活性ガスの存在下又は減圧下で前記酸化ケイ素ガスを発生させることを特徴とする請求項8から請求項13のいずれか1項に記載の負極活物質の製造方法。

請求項15

請求項8から請求項14のいずれか1項に記載の負極活物質の製造方法により、負極活物質として、前記負極活物質を、対極として金属リチウムを有する二次電池の負極に用い、前記二次電池の0V定電流定電圧充電後に1.2V定電流放電を行った時に得られる放電容量が1550mAh/g以上2200mAh/g以下であるものを製造することを特徴とする負極活物質の製造方法。

請求項16

請求項8から請求項15のいずれか1項に記載の負極活物質の製造方法によって製造した負極活物質を用いて負極を作製し、該作製した負極を用いて非水電解質二次電池を製造することを特徴とする非水電解質二次電池の製造方法。

技術分野

0001

本発明は、負極活物質混合負極活物質材料非水電解質二次電池、負極活物質の製造方法及び非水電解質二次電池の製造方法に関する。

背景技術

0002

近年、モバイル機器高性能化及び多機能化されてきており、これらに伴い、モバイル機器に電源として用いられる二次電池にも、小型化、軽量化及び薄型化が要求され、高容量化が求められている。

0003

この要求に応え得る二次電池としてリチウムイオン二次電池がある。リチウムイオン二次電池の電池特性は、用いられる電極活物質などによって大きく変化する。現在実用化されている代表的なリチウムイオン二次電池では、正極活物質としてコバルト酸リチウムが用いられ、負極活物質として黒鉛が用いられているが、このように構成されたリチウムイオン二次電池の電池容量は理論容量に近づいており、今後の改良で大幅に高容量化することは難しい。

0004

そこで、充電の際にリチウム合金化するケイ素やスズなどを負極活物質として用いて、リチウムイオン二次電池の大幅な高容量化を実現することが検討されている。但し、ケイ素やスズなどを負極活物質として用いた場合、充電及び放電に伴う膨張及び収縮度合いが大きいため、充放電に伴う膨張収縮によって活物質微粉化したり、負極集電体から脱落したりして、サイクル特性が低下するという問題がある。

0005

これに対し、近年、サイクル特性改善のため、酸化ケイ素を用い、その表層炭素被膜を形成することで導電性を付与している(例えば特許文献1参照)。特許文献1において、炭素被膜に関するラマンスペクトルから得られるシフト値に関して、1330cm−1及び1580cm−1にブロードピークが現れるとともに、それらの強度比I1330/I1580が1.5<I1330/I1580<3となっている。

0006

また、高い電池容量、サイクル特性の改善のため、二酸化ケイ素中に分散されたケイ素微結晶相を有する粒子を用いている(例えば、特許文献2参照)。また、過充電過放電特性を向上させるために、ケイ素と酸素原子数比を1:y(0<y<2)に制御したケイ素酸化物を用いている(例えば特許文献3参照)。また、高い電池容量、サイクル特性の改善のため、ケイ素と炭素混合電極を作製しケイ素比率を5質量%以上13質量%以下で設計している(例えば、特許文献4参照)。

先行技術

0007

特開2009−212074号公報
特開2009−205950号公報
特許第2997741号明細書
特開2010−092830号公報

発明が解決しようとする課題

0008

上述したように、近年、電子機器に代表される小型のモバイル機器は高性能化、多機能化がすすめられており、その主電源であるリチウムイオン二次電池は電池容量の増加が求められている。この問題を解決する1つの手法として、ケイ素材を主材として用いた負極からなるリチウムイオン二次電池の開発が望まれている。また、ケイ素材を用いたリチウムイオン二次電池は、炭素材を用いたリチウムイオン二次電池と同等に近いサイクル特性が望まれている。しかしながら、炭素材を用いたリチウムイオン二次電池と同等のサイクル定性を示す負極電極を提案するには至っていなかった。

0009

また炭素材に近いサイクル特性を有するケイ素酸化物(SiOx)はケイ素に比べ電池容量、特に放電容量(可逆容量)(mAh/g)が劣る傾向にあった。例えば、ケイ素酸化物もSi:Oの比率が約1:1の時サイクル特性が良いことは知られているが、Si:Oの比率が約1:1である(すなわち、xが約1である)ケイ素酸化物の放電容量は、ケイ素単体の放電容量(約3350mAh/g)よりもはるかに低い。この場合、このようなケイ素酸化物が酸素(特には、Liを吸蔵した後にLiを放出しない、またはし辛い二酸化ケイ素成分)を多量に含むためである。

0010

二次電池の負極活物質として用いた際に、放電容量等の電池容量及びサイクル特性を向上させることが可能であるケイ素酸化物を作製する方法としては、ケイ素酸化物中の酸素に対するケイ素の比率を上記の場合よりも高くする方法が考えられる。

0011

ここで、ケイ素酸化物は、金属ケイ素粉末二酸化ケイ素粉末とを混合し、金属ケイ素と二酸化ケイ素の接触界面から酸化ケイ素ガス(ケイ素酸化物ガス)を昇華させ、このガスを吸着板上で固体化し、堆積することによって得ることができる。この方法では、酸化ケイ素ガスは上記の接触界面からしか発生しないため、金属ケイ素と二酸化ケイ素の配合比は約1:1とすることが望まれる。この場合、作製したケイ素酸化物はxの値が1〜1.2近辺となる。従って、この方法のみでは、酸化ケイ素ガス中のケイ素比率を多くすることや、得られるケイ素酸化物中のケイ素比率を多くする(例えば、上記のxを1未満にする)ことは困難である。

0012

上記のxが1未満であるケイ素酸化物を作製する方法としては、SiO2とSiを共蒸着させてその際Siの比率を大きくする方法、Siを酸化させ、SiとSiO2のコンポジットとしてxが1未満であるケイ素酸化物を作製する方法が考えられる。しかしながら、これらの方法により、xが1未満であるケイ素酸化物を作製したとしても、これらのケイ素酸化物はLiを吸蔵した後にLiを放出しない、またはし辛い二酸化ケイ素成分を多量に含むものであり、従って、放電容量が小さいものである。

0013

また、xが1未満であるケイ素酸化物を作製する方法としては、予めxが1以上であるケイ素酸化物を作製し、その後これを後処理してxが1未満であるケイ素酸化物を作製する方法も考えられる。この後処理としては、還元性ガス雰囲気下で熱処理を行うことによってxが1以上であるケイ素酸化物を還元する方法、フッ酸溶液に浸漬することによってxが1以上であるケイ素酸化物を還元する方法が考えられる。しかしながら、このように、析出粉砕後のケイ素酸化物の粒子に、還元性ガスを用いて熱処理を行ったり、フッ酸溶液への浸漬を行ったりしたとしても、ケイ素酸化物の粒子の表層部のみが還元されるだけであり、ケイ素酸化物粒子全体の組成を変更することが難しい。従って、これらの方法を用いても放電容量が小さいものしか得られない。

0014

加えて、上記の方法で得られたケイ素酸化物はいずれも、初回充電時にケイ素酸化物の粒子中に挿入されたLiのうち脱離できなくなるLiの割合が多い、すなわち、初期充放電特性(例えば、初期効率)が低いものであった。これは、初回充電時にケイ素酸化物の粒子中に挿入されたLiの一部が、この粒子中のケイ素と反応し、安定なLi化合物を生成するためだと考えられる。

0015

本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、二次電池の負極活物質として用いた際に、放電容量、サイクル特性及び初期充放電特性を向上させることが可能な負極活物質、この負極活物質を含む混合負極活物質材料及びこの負極活物質又は混合負極活物質材料を含む負極を用いた非水電解質二次電池を提供することを目的とする。また、二次電池の負極活物質として用いた際に、放電容量、サイクル特性及び初期充放電特性を向上させることが可能な負極活物質の製造方法を提供することも目的とする。また、この負極活物質の製造方法により製造された負極活物質を用いた非水電解質二次電池の製造方法を提供することも目的とする。

課題を解決するための手段

0016

上記目的を達成するために、本発明では、負極活物質粒子を含む負極活物質であって、
前記負極活物質粒子は、ケイ素化合物(SiOx:0.5≦x<1.0)を含むケイ素化合物粒子を含有し、
前記ケイ素化合物粒子は、リチウムを含有し、
前記負極活物質を、対極として金属リチウムを有する二次電池の負極に用い、前記二次電池の0V定電流定電圧充電後に1.2V定電流放電を行った時に得られる放電容量が1550mAh/g以上2200mAh/g以下であることを特徴とする負極活物質を提供する。

0017

このような負極活物質(以下、ケイ素系活物質とも呼称する)であれば、二次電池の負極活物質として用いた際に、放電容量、サイクル特性及び初期充放電特性を向上させることが可能である。

0018

また、前記SiOxのxが0.6≦x≦0.8の範囲であることが好ましい。

0019

このような負極活物質であれば、二次電池の負極活物質として用いた際に、放電容量をより向上させることが可能である。

0020

また、前記ケイ素化合物粒子は、Li2SiO3及びLi4SiO4から選ばれる1種以上を含むことが好ましい。

0021

ケイ素化合物粒子が、Li化合物として比較的安定している上記のLiシリケートを含んでいれば、負極活物質の初期充放電特性及びサイクル特性を向上することができるとともに、電極作製時のスラリーに対する安定性がより向上する。

0022

また、前記負極活物質粒子は、表層部に炭素材を含むことが好ましい。

0023

このように、負極活物質粒子がその表層部に炭素材を含むことで、導電性の向上が得られるため、このような負極活物質粒子を含む負極活物質を二次電池の負極活物質として用いた際に、電池特性を向上させることができる。

0024

また、前記負極活物質粒子はメジアン径が3.0μm以上12μm以下であることが好ましい。

0025

メジアン径が3.0μm以上であれば、質量当たり表面積の増加により電池不可逆容量が増加することを抑制することができる。一方で、メジアン径を12μm以下とすることで、粒子が割れ難くなるため新表面が出難くなる。

0026

更に本発明では、上記本発明の負極活物質と炭素系活物質とを含むことを特徴とする混合負極活物質材料を提供する。

0027

このように、負極活物質層を形成する材料として、本発明のケイ素系活物質とともに炭素系活物質を含むことで、負極活物質層の導電性を向上させることができるとともに、充電に伴う膨張応力緩和することが可能となる。また、ケイ素系活物質を炭素系活物質に混合することで電池容量を増加させることができる。

0028

更に本発明では、負極として、上記本発明の負極活物質又は上記本発明の混合負極活物質材料を含む負極を用いたものであることを特徴とする非水電解質二次電池を提供する。

0029

このような負極活物質又は混合負極活物質材料を含む負極を用いた非水電解質二次電池であれば、放電容量が大きいものとなり、また、良好なサイクル特性及び初期充放電特性が得られる。

0030

更に本発明では、ケイ素化合物粒子を含有する負極活物質粒子を含む負極活物質を製造する方法であって、
酸化ケイ素ガスを発生する原料を加熱することによって酸化ケイ素ガスを発生させる工程と、
前記酸化ケイ素ガスと還元性ガスを反応させる工程と、
該反応により得られたものを吸着板上で固体化し、堆積することによって、ケイ素化合物(SiOx:0.5≦x<1.0)を含むケイ素化合物粒子を作製する工程と、
前記ケイ素化合物粒子にリチウムを挿入する工程と
を有することを特徴とする負極活物質の製造方法を提供する。

0031

このような負極活物質の製造方法であれば、二次電池の負極活物質として用いた際に、放電容量、サイクル特性及び初期充放電特性を向上させることが可能な負極活物質を製造することができる。

0032

この場合、前記還元性ガスをCOガス、H2Sガス、SO2ガス及びH2ガスから選ばれる1種以上とすることが好ましい。

0033

上記の還元性ガスとしては、これらのようなものを用いることができる。

0034

更に本発明では、ケイ素化合物粒子を含有する負極活物質粒子を含む負極活物質を製造する方法であって、
ケイ素ガスを発生する原料を収容した容器と酸化ケイ素ガスを発生する原料を収容した容器とを別々に用意する工程と、
前記ケイ素ガスを発生する原料を加熱することによってケイ素ガスを発生させる工程と、
前記酸化ケイ素ガスを発生する原料を加熱することによって酸化ケイ素ガスを発生させる工程と、
前記ケイ素ガスと前記酸化ケイ素ガスを混合して混合ガスとする工程と、
該混合ガスを吸着板上で固体化し、堆積することによって、ケイ素化合物(SiOx:0.5≦x<1.0)を含むケイ素化合物粒子を作製する工程と、
前記ケイ素化合物粒子にリチウムを挿入する工程と
を有することを特徴とする負極活物質の製造方法を提供する。

0035

このような負極活物質の製造方法であれば、二次電池の負極活物質として用いた際に、放電容量、サイクル特性及び初期充放電特性を向上させることが可能な負極活物質を製造することができる。特に、この方法では、ケイ素化合物中のケイ素比率をより容易に向上させることが可能であるため、より容易に放電容量の大きい負極活物質を製造できる。

0036

この場合、前記ケイ素ガスを前記酸化ケイ素ガスよりも高温とすることが好ましい。

0037

ケイ素ガスを発生する原料を収容した容器と酸化ケイ素ガスを発生する原料を収容した容器とを同一チャンバ内に配置する場合、蒸気圧の影響を考慮する必要があるため、このように、ケイ素ガスを酸化ケイ素ガスよりも高温とすることが好ましい。

0038

また、前記酸化ケイ素ガスを発生する原料を加熱する際の加熱温度を900℃〜1700℃の温度範囲とすることが好ましい。

0039

このような加熱温度で酸化ケイ素ガスを発生する原料を加熱することによって、容易に酸化ケイ素ガスを発生させることができる。

0040

更に本発明では、ケイ素化合物粒子を含有する負極活物質粒子を含む負極活物質を製造する方法であって、
ケイ素を収容した容器を用意する工程と、
該容器に収容したケイ素を溶融してケイ素融液とする工程と、
該ケイ素融液に、酸化ケイ素ガスを発生する原料を投入することによって、ケイ素ガスと前記酸化ケイ素ガスが混合した混合ガスを発生させる工程と、
該混合ガスを吸着板上で固体化し、堆積することによって、ケイ素化合物(SiOx:0.5≦x<1.0)を含むケイ素化合物粒子を作製する工程と、
前記ケイ素化合物粒子にリチウムを挿入する工程と
を有することを特徴とする負極活物質の製造方法を提供する。

0041

このような負極活物質の製造方法であれば、二次電池の負極活物質として用いた際に、放電容量、サイクル特性及び初期充放電特性を向上させることが可能な負極活物質を製造することができる。特に、この方法では、ケイ素融液内に酸化ケイ素ガスを発生する原料を投入することで工業的に1つの容器でガス発生が可能となり、生産性を向上することができる。

0042

また、不活性ガスの存在下又は減圧下で前記酸化ケイ素ガスを発生させることが好ましい。

0043

このような負極活物質の製造方法であれば、副反応等を抑制することができる。

0044

また、上記本発明の負極活物質の製造方法により、負極活物質として、前記負極活物質を、対極として金属リチウムを有する二次電池の負極に用い、前記二次電池の0V定電流定電圧充電後に1.2V定電流放電を行った時に得られる放電容量が1550mAh/g以上2200mAh/g以下であるものを製造することが好ましい。

0045

本発明の負極活物質の製造方法であれば、このような放電容量を有する負極活物質を製造することができる。

0046

更に本発明では、上記本発明の負極活物質の製造方法によって製造した負極活物質を用いて負極を作製し、該作製した負極を用いて非水電解質二次電池を製造することを特徴とする非水電解質二次電池の製造方法を提供する。

0047

この製造方法は、上記本発明の負極活物質の製造方法によって製造した負極活物質を用いることにより、放電容量が大きく、また、良好なサイクル特性及び初期充放電特性を有する非水電解質二次電池を製造することができる。

発明の効果

0048

本発明の負極活物質は、二次電池の負極活物質として用いた際に、放電容量、サイクル特性及び初期充放電特性を向上させることが可能である。また、この負極活物質を含む混合負極活物質材料及びこの負極活物質又は混合負極活物質材料を含む負極を用いた非水電解質二次電池においても同様の効果が得られる。

0049

また、本発明の負極活物質の製造方法であれば、二次電池の負極活物質として用いた際に、電池容量、サイクル特性及び初期充放電特性を向上させることが可能な負極活物質を製造することができる。

図面の簡単な説明

0050

本発明の負極活物質の製造方法の一例を示すフロー図である。
本発明の負極活物質の製造方法の別の例を示すフロー図である。
本発明の負極活物質の製造方法の別の例を示すフロー図である。
本発明の負極活物質の製造方法に用いることができる負極活物質製造装置の一例を示す概略図である。
本発明の負極活物質の製造方法に用いることができる負極活物質製造装置の別の例を示す概略図である。
本発明の負極活物質の製造方法に用いることができる負極活物質製造装置の別の例を示す概略図である。
本発明の負極活物質を含む負極の構成の一例を示す断面図である。
本発明の非水電解質二次電池の構成(ラミネートフィルム型)の一例を示す分解図である。
本発明の負極活物質の製造方法に用いることができる電気化学的Liドープ改質装置の一例を示す概略図である。

0051

以下、本発明をより詳細に説明する。

0052

上記のように、二次電池の負極活物質として用いた際に、放電容量、サイクル特性及び初期充放電特性を向上させることが可能な負極活物質が求められている。上記のように、単にSiOxのxの値を小さくするだけでは、放電容量の大きい負極活物質は得られないという問題があった。

0053

そこで、本発明者らは、二次電池の負極活物質として用いた際に、放電容量、サイクル特性及び初期充放電特性を向上させることが可能な負極活物質を得るために鋭意検討を重ね、本発明に至った。

0054

本発明の負極活物質は、負極活物質粒子を含む。そして、この負極活物質粒子は、ケイ素化合物(SiOx:0.5≦x<1.0)(以下、ケイ素酸化物とも呼称する)を含むケイ素化合物粒子(以下、ケイ素酸化物粒子とも呼称する)を含有する。このケイ素化合物粒子は、リチウムも含有する。また、この負極活物質を、対極として金属リチウムを有する二次電池の負極に用い、二次電池の0V定電流定電圧充電後に1.2V定電流放電を行った時に得られる放電容量(以下、対極Liを用いた電池評価における放電容量とも呼称する)が1550mAh/g以上2200mAh/g以下である。

0055

本発明の負極活物質は、ケイ素酸化物中のケイ素比率が向上されたものである(SiOx:0.5≦x<1.0)ため、二次電池の負極活物質として用いた際に、サイクル特性を維持しつつ、電池容量も向上できる。また、本発明の負極活物質は、ケイ素化合物粒子がリチウムを含むことで、充電時に発生する不可逆容量を低減することができ、初期充放電特性等の二次電池の電池効率を改善できる。また、本発明の負極活物質は、対極Liを用いた電池評価における放電容量(初回放電容量)が上記の範囲内であるため、この負極活物質を実際の二次電池の負極活物質として用いた際に、放電容量を向上させることが可能である。

0056

以下、本発明の実施の形態について図面を参照して具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。

0057

非水電解質二次電池用負極
まず、非水電解質二次電池用負極について説明する。図7は本発明の負極活物質を含む負極(非水電解質二次電池用負極)の構成の一例を示す断面図である。

0058

[負極の構成]
図7に示したように、負極10は、負極集電体11の上に負極活物質層12を有する構成になっている。この負極活物質層12は負極集電体11の両面、又は、片面だけに設けられていても良い。更に、本発明の負極活物質が用いられたものであれば、負極集電体11はなくてもよい。

0059

[負極集電体]
負極集電体11は、優れた導電性材料であり、かつ、機械的な強度に長けた物で構成される。負極集電体11に用いることができる導電性材料として、例えば銅(Cu)やニッケル(Ni)が挙げられる。この導電性材料は、リチウム(Li)と金属間化合物を形成しない材料であることが好ましい。

0060

[負極活物質層]
負極活物質層12は、リチウムイオンを吸蔵、放出可能な本発明の負極活物質を含んでおり、電池設計上の観点から、更に、負極結着剤バインダ)や導電助剤など他の材料を含んでいてもよい。負極活物質は負極活物質粒子を含み、負極活物質粒子はケイ素化合物(SiOx:0.5≦x<1.0)を含有するケイ素化合物粒子を含む。

0061

また、負極活物質層12は、本発明の負極活物質(ケイ素系活物質)と炭素系活物質とを含む混合負極活物質材料を含んでいても良い。これにより、負極活物質層の電気抵抗が低下するとともに、充電に伴う膨張応力を緩和することが可能となる。炭素系活物質としては、例えば、熱分解炭素類、コークス類、ガラス状炭素繊維、有機高分子化合物焼成体カーボンブラック類などを使用できる。

0062

また、上記のように本発明の負極活物質は、ケイ素化合物粒子を含み、ケイ素化合物粒子はケイ素化合物(SiOx:0.5≦x<1.0)を含有する。xが0.5未満の場合、ケイ素結合が多くなり過ぎるため、金属ケイ素と類似した劣化挙動を示す。xが1.0以上の場合、放電容量が低下する。また、サイクル特性及び活物質容量(電池容量)を考慮した場合、SiOx(ケイ素酸化物)のxは0.6≦x≦0.8の範囲であることがより望ましい。xが0.6以上であれば、ケイ素結合が多くなり過ぎないため、金属ケイ素と類似した劣化挙動を示しにくくなる。なお、本発明におけるケイ素化合物の組成は必ずしも純度100%を意味しているわけではなく、微量の不純物元素を含んでいてもよい。

0063

また、本発明の負極活物質において、ケイ素化合物粒子は、Liを含有している。より具体的には、ケイ素化合物粒子は、Li2SiO3及びLi4SiO4から選ばれる1種以上を含有していることが好ましい。このようなものは、ケイ素化合物中の、電池の充放電時のリチウムの挿入、脱離時に不安定化するSiO2成分部を予め別のリチウムシリケート改質させたものであるので、充電時に発生する不可逆容量を低減することができる。また、Li化合物として比較的安定しているこれらのLiシリケートを含んでいれば、電極作製時のスラリーに対する安定性がより向上する。

0064

また、本発明の負極活物質は、対極Liを用いた電池評価における放電容量(可逆容量)が1550mAh/g以上2200mAh/g以下である。この放電容量は、好ましくは2000mAh/g以上2200mAh/g以下である。対極Liを用いた電池評価における放電容量が1550mAh/g未満であると、この負極活物質を実際の二次電池の負極活物質として用いた際に、放電容量を向上させることができない。対極Liを用いた電池評価における放電容量が2200mAh/gを超えると、この負極活物質を実際の二次電池の負極活物質として用いた際に、サイクル特性を向上させることができない。

0065

なお、対極Liを用いた電池評価における放電容量を測定する際の0V定電流定電圧充電(0V CC/CV充電)とは、リチウムを対極とした二次電池を作製した後、0Vまで定電流電流密度:0.2mA/cm2)モードで充電し、0Vから定電圧モードになり、電流密度が0.1mA/cm2に達した後、充電終止することを意味する。次に、1.2V定電流放電とは、定電流(電流密度:0.2mA/cm2)モードで放電し、電位が1.2Vに達した後、放電終止することを意味する。

0066

本発明の負極活物質は、ケイ素酸化物のバルク中ケイ素成分比率が向上されたものであり、かつ、可逆容量が向上されたものである。また、この負極活物質を二次電池の負極活物質として用いると、サイクル特性が向上する。一方で、ケイ素単体からなる負極活物質の放電容量は約3350mAh/gであるが、この負極活物質を二次電池の負極活物質として用いると、サイクル特性が悪化する。また、上述のように、従来のxが1未満であるケイ素酸化物を含む負極活物質は放電容量が小さく、対極Liを用いた電池評価における放電容量は1550mAh/g未満であると考えられる。

0067

また、本発明の負極活物質において、負極活物質粒子は、表層部に炭素材を含んでもよい。炭素材は負極活物質粒子の表面全体に存在してもよいが、一部であってもよい。負極活物質粒子がその表層部に炭素材を含むことで、電気抵抗を低減することができ、導電性の向上が得られるため、このような負極活物質粒子を含む負極活物質を二次電池の負極活物質として用いた際に、電池特性を向上させることができる。

0068

また、負極活物質粒子のメジアン径(D50:累積体積が50%となる時の粒子径)が3.0μm以上12μm以下であることが好ましい。メジアン径が上記の範囲であれば、充放電時においてリチウムイオンの吸蔵放出がされやすくなるとともに、粒子が割れにくくなるからである。メジアン径が3.0μm以上であれば、質量当たりの表面積を小さくでき、電池不可逆容量の増加を抑制することができる。また、負極活物質粒子の比表面積が大きくなり過ぎないため、反応面積が大きくなり過ぎない。一方で、メジアン径を12μm以下とすることで、粒子が割れ難くなるため新表面が出難くなる。例えば、充放電に伴い粒子に亀裂、割れが発生し難くなる。

0069

また、負極活物質層に含まれる負極結着剤としては、例えば、高分子材料合成ゴムなどのいずれか1種類以上を用いることができる。高分子材料は、例えば、ポリフッ化ビニリデンポリイミドポリアミドイミドアラミドポリアクリル酸ポリアクリル酸リチウムカルボキシメチルセルロースなどである。合成ゴムは、例えば、スチレンブタジエン系ゴムフッ素系ゴムエチレンプロピレンジエンなどである。

0070

負極導電助剤としては、例えば、カーボンブラックアセチレンブラック、黒鉛、ケチェンブラックカーボンナノチューブカーボンナノファイバーなどの炭素材料のいずれか1種以上を用いることができる。

0071

負極活物質層は、例えば、塗布法で形成される。塗布法とは、ケイ素系活物質と上記の結着剤など、また、必要に応じて導電助剤、炭素系活物質を混合した後に、有機溶剤や水などに分散させ塗布する方法である。

0072

<負極活物質製造装置>
次に、本発明の負極活物質の製造方法に用いることができる負極活物質製造装置(負極活物質形成装置)について説明する。

0073

[第一の装置]
図4は、本発明の負極活物質の製造方法に用いることができる負極活物質製造装置の一例(以下、第一の装置とも呼称する)を示す概略図である。負極活物質製造装置40は、チャンバ41と、ヒーター42と、吸着板(析出板)43と、材料反応槽45を具備する。

0074

チャンバ41は真空引き可能な真空チャンバであることが好ましい。チャンバ41は、チャンバ41内の圧力を所定の圧力以下に排気できるように構成されていることが好ましい。

0075

ヒーター42は、チャンバ41内(特には、材料反応槽45)を加熱することができるものであればよい。加熱方式としては、抵抗加熱方式誘導加熱方式が挙げられる。

0076

吸着板43は、ケイ素化合物(ケイ素酸化物)44を吸着することができるものであればよい。吸着板43は、チャンバ41内の温度や真空度に応じて材料や形状等を変更することが望ましい。

0077

材料反応槽45は、酸化ケイ素ガスを発生する原料46を収容することができるものであればよい。材料反応槽の材質は特に限定することはないが、炭素又はセラミックが望ましく、より望ましくは炭素材である。例えば、ヒーター42の加熱方式として誘導加熱方式を用いる場合、材料反応槽45として炭素材からなる外壁を有する坩堝をチャンバ41内に用意することで、材料反応槽45を誘導加熱方式により加熱することができる。

0078

第一の装置40は、更に、還元性ガス導入配管48を具備する。還元性ガス導入配管48は、還元性ガス49を導入することができるものであればよい。還元性ガス49は蒸着流(すなわち、酸化ケイ素ガスを発生する原料46を加熱することによって発生した酸化ケイ素ガス47)に直接吹き付けることが望ましく、蒸着流内部に配管伸びていても良い。その場合、特に炭素系の配管であれば温度耐性が高く安定する。またチャンバ41内の雰囲気を還元性ガス49にさらしても良い。

0079

[第二の装置]
図5は、本発明の負極活物質の製造方法に用いることができる負極活物質製造装置の別の例(以下、第二の装置とも呼称する)を示す概略図である。負極活物質製造装置60は、負極活物質製造装置40と同様に、チャンバ61と、チャンバ61内を加熱するヒーター62と、ケイ素酸化物64を吸着する吸着板63と、酸化ケイ素ガスを発生する原料66を収容する材料反応槽65を具備する。酸化ケイ素ガスを発生する原料66を加熱することによって酸化ケイ素ガス67を発生させることができる。

0080

第二の装置60は、更に、ケイ素ガスを発生する原料69を収容する材料反応槽68を具備する。材料反応槽の材質は特に限定することはないが、炭素又はセラミックが望ましく、より望ましくは炭素材である。ケイ素ガスを発生する原料69を加熱することによってケイ素ガス70を発生させることができる。

0081

また、ケイ素ガスと酸化ケイ素ガスの混合領域72において、酸化ケイ素ガス67とケイ素ガス70を混合して2種のガスが混合した混合ガスとすることができる。

0082

図5に示すように、ケイ素ガスを発生する原料を収容する容器(材料反応槽68)と酸化ケイ素ガスを発生する原料を収容する容器(材料反応槽65)とを同一チャンバ内に配置する場合、蒸気圧の影響を考慮する必要があるため、ケイ素ガスを酸化ケイ素ガスよりも高温とすることが好ましい。従って、ヒーター62の加熱方式として誘導加熱方式を用いることが好ましい。すなわち、誘導加熱コイルを具備することが好ましい。この場合、誘導加熱方式によって、酸化ケイ素ガスとケイ素ガス発生温度を調整し、混合ガスのケイ素成分を調整することができる。

0083

[第三の装置]
図6は、本発明の負極活物質の製造方法に用いることができる負極活物質製造装置の別の例(以下、第三の装置とも呼称する)を示す概略図である。負極活物質製造装置80は、負極活物質製造装置40と同様に、チャンバ81と、チャンバ81内を加熱するヒーター82と、ケイ素酸化物84を吸着する吸着板83を具備する。

0084

第三の装置80は、更に、ケイ素融液86を収容する材料反応槽85を具備する。材料反応槽の材質は特に限定することはないが、炭素又はセラミックが望ましく、より望ましくは炭素材である。

0085

また、第三の装置80は、更に、ケイ素融液86に、酸化ケイ素ガスを発生する原料89を投入するための保持部材88を具備する。保持部材88の材質は特に限定することはないが、炭素又はセラミックが望ましく、より望ましくは炭素材である。

0086

保持部材88から、ケイ素融液86に、酸化ケイ素ガスを発生する原料89を投入することによって、ケイ素ガスと酸化ケイ素ガスが混合した混合ガス87を発生させることができる。

0087

また、ケイ素ガスと酸化ケイ素ガスの混合領域92において、酸化ケイ素ガスとケイ素ガスのより十分な混合を達成することができる。

0088

なお、第二の装置又は第三の装置に図4に示す還元性ガス導入配管48を具備することもできる。これにより、よりケイ素リッチなケイ素酸化物を作製することができる。

0089

<負極活物質の製造方法>
次に、本発明の負極活物質の製造方法について説明する。

0090

[第一の負極活物質の製造方法]
図1は、本発明の負極活物質の製造方法の一例(以下、第一の負極活物質の製造方法とも呼称する)を示すフロー図である。図1に示す第一の負極活物質の製造方法における工程a−1〜a−3は、例えば、上述の第一の装置を用いて行うことができる。

0091

まず、酸化ケイ素ガスを発生する原料を加熱することによって酸化ケイ素ガスを発生させる(図1の工程a−1)。

0092

この際、酸化ケイ素ガスを発生する原料を不活性ガスの存在下又は減圧下900℃〜1700℃の温度範囲で加熱し、酸化ケイ素ガスを発生させることが好ましい。上記手法で得られる酸化ケイ素ガスは特に1400℃以上の雰囲気で反応させることが望ましい。温度が1400℃以上であれば、還元性が良好となるためである。上限温度は特に決まっていないが、装置の構造上1700℃以下が望ましい。

0093

このとき、酸化ケイ素ガスを発生する原料としては金属ケイ素粉末と二酸化ケイ素粉末の混合物を用いることができる。金属ケイ素粉末の表面酸素及び反応炉中の微量酸素の存在を考慮すると、混合モル比が、0.8<金属ケイ素粉末/二酸化ケイ素粉末<1.3の範囲であることが望ましい。酸化ケイ素ガスはケイ素と二酸化ケイ素の接触界面より昇華するため、それぞれのバランスがより近い(すなわち、金属ケイ素と二酸化ケイ素の配合比は約1:1)方が望ましい。

0094

次に、酸化ケイ素ガスと還元性ガスを反応させる(図1の工程a−2)。酸化ケイ素ガス中に高温状態の還元性ガスとして、COガス、H2Sガス、SO2ガス及びH2ガスから選ばれる1種以上を導入し、ケイ素酸化物の酸素部を一部還元することができる。導入する還元性ガスの温度は、900℃〜1700℃の範囲とすることができる。第一の負極活物質の製造方法においては、酸化ケイ素ガス中に還元性の高いガスを入れ、炉内を高温に保ちケイ素酸化物の還元を行う。還元性のガスとしては、特に一酸化炭素ガス水素ガスが望ましい。なお、析出、粉砕後のケイ素酸化物の粒子に同様な還元性ガスを用い、熱処理を行ってもケイ素酸化物の粒子の表層部のみ還元されるだけであり、ケイ素酸化物粒子全体の組成を変更することが難しい。一方、第一の負極活物質の製造方法においては、より原子又は分子単位に分解された蒸着流に対し、還元性ガスを用いることで粒子を均一に還元することができる。

0095

次に、還元反応により得られたもの(ガス)を吸着板上で固体化し、堆積することによって、ケイ素化合物(SiOx:0.5≦x<1.0)を含むケイ素化合物粒子を作製する(図1の工程a−3)。例えば、上記の堆積物を、反応炉内温度を100℃以下に下げた状態で取出し、ボールミルジェットミルなどを用いて粉砕、粉末化を行うことによって、ケイ素化合物(SiOx:0.5≦x<1.0)を含むケイ素化合物粒子を作製する。なお、xの値は、酸化ケイ素ガスと還元性ガスの混合比を変えることで制御することができる。

0096

次に、ケイ素化合物粒子の表層部に炭素材を生成する(図1の工程a−4)。但し、この工程は必須ではない。炭素材の層を生成する方法としては、熱分解CVD法が望ましい。熱分解CVD法で炭素材の層を生成する方法の一例について以下に説明する。

0097

まず、ケイ素化合物粒子を炉内にセットする。次に、炉内に炭化水素ガス充満させ炉内温度昇温させる。分解温度は600℃〜1400℃の範囲とすることができる。分解温度は、より望ましいのは1000℃以下である。分解温度を1000℃以下にすることで、活物質粒子の意図しない不均化を抑制することが可能である。所定の温度まで炉内温度を昇温させた後に、ケイ素化合物粒子の表面に炭素材を生成する。また、炭素材の原料となる炭化水素ガスは、特に限定しないが、CnHm組成においてn≦3が望ましい。n≦3であれば、製造コストを低くでき、また、分解生成物の物性を良好にすることができる。

0098

なお、炭素量の測定は島津製作製品全有機炭素計を用いて定量することができる。

0099

次に、上記のように作製したケイ素化合物粒子に、Liを挿入する(図1の工程a−5)。

0100

ケイ素酸化物から酸素量を減少し、ケイ素リッチなケイ素酸化物を作製しても電池不可逆容量は劇的に改善されない。例えばSiOxのxが0.7であった場合、これを含む負極を用いた二次電池の初期効率(初回効率)は74%程度となり、この負極はリチウムイオン二次電池用負極として効率が低い。そこで、ケイ素酸化物粒子に予めLiドープを行い、電池として充電時に失われるLiを補てんする。

0101

Liドープ法は特に限定しないが、酸化還元法電気化学法が望ましい。ケイ素の結晶化を抑制することができるからである。

0102

電気化学的方法による改質では、特に装置構造を限定しないが、例えば、図9に示す電気化学的Liドープ改質装置30を用いて、Liを挿入することができる。電気化学的Liドープ改質装置30は、有機溶媒33で満たされた浴槽37と、浴槽37内に配置され、電源36の一方に接続された陽電極リチウム源)31と、浴槽37内に配置され、電源36の他方に接続された粉末格納容器35と、陽電極31と粉末格納容器35との間に設けられたセパレータ34とを有している。粉末格納容器35には、ケイ素化合物粒子32が格納される。

0103

浴槽37内の有機溶媒33として、炭酸エチレン炭酸プロピレン炭酸ジメチル炭酸ジエチル炭酸エチルメチル炭酸フルオロメチルメチル、炭酸ジフルオロメチルメチルなどを用いることができる。また、有機溶媒33に含まれる電解質塩として、六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)、四フッ化ホウ酸リチウム(LiBF4)などを用いることができる。

0104

陽電極31はLi箔を用いてもよく、またLi含有化合物を用いてもよい。Li含有化合物として、炭酸リチウム酸化リチウムなどが挙げられる。

0105

電気化学的Liドープ改質後には、アルコールアルカリ水弱酸、又は純水などで洗浄しても良い。

0106

また、酸化還元的方法を用いて、ケイ素化合物粒子にLiを挿入しても良い。酸化還元法による改質では、例えば、まず、エーテル溶媒にリチウムを溶解した溶液Aにケイ素化合物粒子を浸漬することで、リチウムを挿入できる。この溶液Aに更にポリフェニレン化合物及びその誘導体並びに多環芳香族化合物及びその誘導体から選ばれる1種以上を含ませても良い。リチウムの挿入後、多環芳香族化合物及びその誘導体から選ばれる1種以上を含む溶液Bにケイ素化合物粒子を浸漬することで、ケイ素化合物粒子から活性なリチウムを脱離できる。この溶液Bの溶媒は例えば、エーテル系溶媒ケトン系溶媒エステル系溶媒アルコール系溶媒アミン系溶媒、又はこれらの混合溶媒を使用できる。更に、溶液Bに浸漬した後、アルコール系溶媒、カルボン酸系溶媒、水、又はこれらの混合溶媒を含む溶液Cにケイ素化合物粒子を浸漬することで、ケイ素化合物粒子から活性なリチウムをより多く脱離できる。また、溶液Cの代わりに、溶質として分子中にキノイド構造を持つ化合物を含み、溶媒としてエーテル系溶媒、ケトン系溶媒、エステル系溶媒、又はこれらの混合溶媒を含む溶液C’を用いても良い。また、溶液B、C、C’へのケイ素化合物粒子の浸漬は繰り返し行っても良い。このようにして、リチウムの挿入後、活性なリチウムを脱離すれば、より耐水性の高い負極活物質となる。その後、アルコール、炭酸リチウムを溶解したアルカリ水、弱酸、又は純水などで洗浄しても良い。

0107

[第二の負極活物質の製造方法]
図2は、本発明の負極活物質の製造方法の別の例(以下、第二の負極活物質の製造方法とも呼称する)を示すフロー図である。図2に示す第二の負極活物質の製造方法における工程b−1〜b−5は、例えば、上述の第二の装置を用いて行うことができる。

0108

まず、ケイ素ガスを発生する原料を収容した容器と酸化ケイ素ガスを発生する原料を収容した容器とを別々に用意する(図2の工程b−1)。なお、原料の収容は、チャンバ内で行っても良いし、チャンバ外で行っても良い。

0109

次に、ケイ素ガスを発生する原料を加熱することによってケイ素ガスを発生させる(図2の工程b−2)。

0110

この際、ケイ素ガスを発生する原料を不活性ガスの存在下又は減圧下でケイ素が溶融する温度範囲(例えば、ケイ素の融点である約1420℃以上)で加熱し、ケイ素ガスを発生させることが好ましい。この場合、ケイ素ガスを発生する原料は金属ケイ素が望ましい。

0111

次に、酸化ケイ素ガスを発生する原料を加熱することによって酸化ケイ素ガスを発生させる(図2の工程b−3)。なお、図2の工程b−2と図2の工程b−3の順番は特に限定されず、同時に行っても良い。

0112

この際、酸化ケイ素ガスを発生する原料を不活性ガスの存在下又は減圧下900℃〜1700℃の温度範囲で加熱し、酸化ケイ素ガスを発生させることが好ましい。

0113

このとき、酸化ケイ素ガスを発生する原料としては金属ケイ素粉末と二酸化ケイ素粉末の混合物を用いることができる。金属ケイ素粉末の表面酸素及び反応炉中の微量酸素の存在を考慮すると、混合モル比が、0.8<金属ケイ素粉末/二酸化ケイ素粉末<1.3の範囲であることが望ましい。酸化ケイ素ガスはケイ素と二酸化ケイ素の接触界面より昇華するため、それぞれのバランスがより近い方が望ましい。

0114

第二の負極活物質の製造方法においては、ケイ素ガスは酸化ケイ素ガスと同室空間で生成しても良いし、別室空間で生成した後に混合しても良い。同室空間で生成する場合、特に蒸気圧の影響を考慮する必要がある。ケイ素ガスは酸化ケイ素ガスよりも同じ蒸気圧となる温度が100℃以上高いことから、同一チャンバ内でガス化させる場合、ケイ素ガスを酸化ケイ素ガスよりも高温にするために、ケイ素ガスを発生する原料を収容した容器を、酸化ケイ素ガスを発生する原料を収容した容器よりも高い温度で維持することが望ましい。

0115

ケイ素ガスを発生する原料を収容した容器を高い温度で維持する方法は特に限定しないが、誘導加熱法が望ましく、誘導加熱法を用いる場合、容器の材料として炭素材を用いることが材料のコンタミネーションを低減することを視野に入れても有効である。

0116

次に、ケイ素ガスと酸化ケイ素ガスを混合して混合ガスとする(図2の工程b−4)。上述のように、図5に示すケイ素ガスと酸化ケイ素ガスの混合領域72において、酸化ケイ素ガス67とケイ素ガス70を混合して2種の混合ガスとすることができる。

0117

次に、混合ガスを吸着板上で固体化し、堆積することによって、ケイ素化合物(SiOx:0.5≦x<1.0)を含むケイ素化合物粒子を作製する(図2の工程b−5)。例えば、上記の堆積物を、反応炉内温度を100℃以下に下げた状態で取出し、ボールミル、ジェットミルなどを用いて粉砕、粉末化を行うことによって、ケイ素化合物(SiOx:0.5≦x<1.0)を含むケイ素化合物粒子を作製する。なお、xの値は、ケイ素ガスと酸化ケイ素ガスの混合比を変えることで制御することができる。

0118

このように、第二の負極活物質の製造方法においては、酸化ケイ素ガスを得る手法は第一の負極活物質の製造方法と同様な手法を用いるが、ケイ素酸化物と別容器でケイ素ガスを発生させ、これを酸化ケイ素ガスと混合した後にケイ素酸化物を析出させ、ケイ素リッチなケイ素酸化物を形成することができる。

0119

なお、炭素材の生成(図2の工程b−6)及びリチウムの挿入(図2の工程b−7)の詳細については、第一の負極活物質の製造方法と同様である。

0120

[第三の負極活物質の製造方法]
図3は、本発明の負極活物質の製造方法の別の例(以下、第三の負極活物質の製造方法とも呼称する)を示すフロー図である。図3に示す第三の負極活物質の製造方法における工程c−1〜c−4は、例えば、上述の第三の装置を用いて行うことができる。

0121

まず、ケイ素を収容した容器を用意する(図3の工程c−1)。例えば、金属ケイ素を収容した容器を用意する。なお、原料の収容は、チャンバ内で行っても良いし、チャンバ外で行っても良い。

0122

次に、ケイ素を収容した容器に収容したケイ素を溶融してケイ素融液とする(図3の工程c−2)。例えば、ケイ素を収容した容器を、抵抗加熱方式又は誘導加熱方式により、ケイ素の融点である約1420℃以上に加熱することでケイ素融液を得ることができる。

0123

次に、ケイ素融液に、酸化ケイ素ガスを発生する原料を投入することによって、ケイ素ガスと酸化ケイ素ガスが混合した混合ガスを発生させる(図3の工程c−3)。この際、ケイ素融液に、酸化ケイ素ガスを発生する原料を不活性ガスの存在下又は減圧下で投入することによって、ケイ素ガスと酸化ケイ素ガスが混合した混合ガスを発生させることが好ましい。酸化ケイ素ガスを発生する原料としては金属ケイ素粉末と二酸化ケイ素粉末の混合物を用いることができる。第三の負極活物質の製造方法においては、溶融したケイ素内に金属ケイ素と二酸化ケイ素の混合造粒粒を投入することで、ケイ素ガスと酸化ケイ素ガスの混合ガスを発生させても良い。この場合、生成するケイ素化合物粒子の組成比(ケイ素と酸素の比率)を変化させる場合、投入するケイ素酸化物前駆体(酸化ケイ素ガスを発生する原料)の量や溶融坩堝の温度で制御可能であり、より簡便な仕様となる。

0124

次に、混合ガスを吸着板上で固体化し、堆積することによって、ケイ素化合物(SiOx:0.5≦x<1.0)を含むケイ素化合物粒子を作製する(図3の工程c−4)。例えば、上記の堆積物を、反応炉内温度を100℃以下に下げた状態で取出し、ボールミル、ジェットミルなどを用いて粉砕、粉末化を行うことによって、ケイ素化合物(SiOx:0.5≦x<1.0)を含むケイ素化合物粒子を作製する。

0125

なお、炭素材の生成(図3の工程c−5)及びリチウムの挿入(図3の工程c−6)の詳細については、第一の負極活物質の製造方法と同様である。

0126

上記のように、第一〜第三の負極活物質の製造方法で得られたケイ素酸化物はSiOxのxが0.5≦x<1.0の範囲である。一方で、還元性ガスやケイ素ガスを導入せずに作製したケイ素酸化物はxの値が1〜1.2近辺となる。

0127

還元法(第一の負極活物質の製造方法)又はケイ素ガス混入法(第二の負極活物質の製造方法及び第三の負極活物質の製造方法)を用いた本発明の負極活物質の製造方法で得られた負極活物質は、対極Liを用いた電池評価における放電容量が1550mAh/g以上2200mAh/g以下であることが好ましい。還元性ガスやケイ素ガスを導入せずに作製したケイ素酸化物の放電容量は1550mAh/gよりも小さくなる。酸素成分を一部除去することで、活物質の質量当たりの放電容量を増加することができる。またはケイ素成分を増加させることで活物質の質量当たりの放電容量を増加することができる。この時、ケイ素酸化物からよりケイ素に近い組成となった時、放電容量は多く得られるが、電池サイクル特性が低下する。そこで許容できる酸素量は上記範囲となり、得られる負極活物質の対極Liを用いた電池評価における放電容量は上記範囲が好ましい。

0128

<負極の製造方法>
次に、負極の製造方法について説明する。まず、上記の本発明の負極活物質の製造方法で得られたケイ素系活物質と必要に応じて炭素系活物質を混合するとともに、これらの負極活物質粒子とバインダー(負極結着剤)、導電助剤など他の材料とを混合し負極合剤としたのち、有機溶剤又は水などを加えてスラリーとする。

0129

次に、負極集電体の表面に、この負極合剤のスラリーを塗布し、乾燥させて負極活物質層を形成する。この時、必要に応じて加熱プレスなどを行っても良い。以上のようにして、負極を作製できる。

0130

<非水電解質二次電池>
次に、本発明の非水電解質二次電池について説明する。本発明の非水電解質二次電池は、本発明の負極活物質又は本発明の混合負極活物質材料を含む負極を用いたものである。ここでは具体例として、ラミネートフィルム型のリチウムイオン二次電池を例に挙げる。

0131

[ラミネートフィルム型のリチウムイオン二次電池の構成]
図8に示すラミネートフィルム型のリチウムイオン二次電池20は、主にシート状の外装部材25の内部に巻回電極体21が収納されたものである。この巻回電極体は正極、負極間にセパレータを有し、巻回されたものである。また正極、負極間にセパレータを有し積層体を収納した場合も存在する。どちらの電極体においても、正極に正極リード22が取り付けられ、負極に負極リード23が取り付けられている。電極体の最外周部は保護テープにより保護されている。

0132

正負極リードは、例えば、外装部材25の内部から外部に向かって一方向で導出されている。正極リード22は、例えば、アルミニウムなどの導電性材料により形成され、負極リード23は、例えば、ニッケル、銅などの導電性材料により形成される。

0133

外装部材25は、例えば、融着層金属層表面保護層がこの順に積層されたラミネートフィルムであり、このラミネートフィルムは融着層が巻回電極体21と対向するように、2枚のフィルムの融着層における外周縁部同士が融着、又は、接着剤などで張り合わされている。融着部は、例えばポリエチレンポリプロピレンなどのフィルムであり、金属部はアルミ箔などである。保護層は例えば、ナイロンなどである。

0134

外装部材25と正負極リードとの間には、外気侵入防止のため密着フィルム24が挿入されている。この材料は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリオレフィン樹脂である。

0135

[正極]
正極は、例えば、負極と同様に、正極集電体の両面又は片面に正極活物質層を有している。

0136

正極集電体は、例えば、アルミニウムなどの導電性材により形成されている。

0137

正極活物質層は、リチウムイオンの吸蔵放出可能な正極材のいずれか1種又は2種以上を含んでおり、設計に応じて正極結着剤正極導電助剤分散剤などの他の材料を含んでいても良い。この場合、正極結着剤、正極導電助剤に関する詳細は、例えば既に記述した負極結着剤、負極導電助剤と同様である。

0138

正極材料としては、リチウム含有化合物が望ましい。このリチウム含有化合物は、例えばリチウムと遷移金属元素からなる複合酸化物、又はリチウムと遷移金属元素を有するリン酸化合物が挙げられる。これらの正極材の中でもニッケル、鉄、マンガンコバルトの少なくとも1種以上を有する化合物が好ましい。これらの化学式として、例えば、LixM1O2あるいはLiyM2PO4で表される。式中、M1、M2は少なくとも1種以上の遷移金属元素を示す。x、yの値は電池充放電状態によって異なる値を示すが、一般的に0.05≦x≦1.10、0.05≦y≦1.10で示される。

0139

リチウムと遷移金属元素とを有する複合酸化物としては、例えば、リチウムコバルト複合酸化物(LixCoO2)、リチウムニッケル複合酸化物(LixNiO2)、リチウムニッケルコバルト複合酸化物などが挙げられる。リチウムニッケルコバルト複合酸化物としては、例えばリチウムニッケルコバルトアルミニウム複合酸化物NCA)やリチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物(NCM)などが挙げられる。リチウムと遷移金属元素とを有するリン酸化合物としては、例えば、リチウム鉄リン酸化合物(LiFePO4)あるいはリチウム鉄マンガンリン酸化合物(LiFe1−uMnuPO4(0<u<1))などが挙げられる。これらの正極材を用いれば、高い電池容量を得ることができるとともに、優れたサイクル特性も得ることができる。

0140

[負極]
負極は、上述の非水電解質二次電池用負極と同様の構成を有し、例えば、集電体の両面に負極活物質層を有している。この負極は、正極活物質剤から得られる電気容量(電池としての充電容量)に対して、負極充電容量が大きくなることが好ましい。これにより、負極上でのリチウム金属の析出を抑制することができる。

0141

正極活物質層は、正極集電体の両面の一部に設けられており、同様に負極活物質層も負極集電体の両面の一部に設けられている。この場合、例えば、負極集電体上に設けられた負極活物質層は対向する正極活物質層が存在しない領域が設けられている。これは、安定した電池設計を行うためである。

0142

上記の負極活物質層と正極活物質層とが対向しない領域では、充放電の影響をほとんど受けることが無い。そのため、負極活物質層の状態が形成直後のまま維持され、これによって負極活物質の組成など、充放電の有無に依存せずに再現性良く組成などを正確に調べることができる。

0143

[セパレータ]
セパレータは正極、負極を隔離し、両極接触に伴う電流短絡を防止しつつ、リチウムイオンを通過させるものである。このセパレータは、例えば合成樹脂、あるいはセラミックからなる多孔質膜により形成されており、2種以上の多孔質膜が積層された積層構造を有しても良い。合成樹脂として例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンなどが挙げられる。

0144

電解液
活物質層の少なくとも一部、又は、セパレータには、液状の電解質(電解液)が含浸されている。この電解液は、溶媒中に電解質塩が溶解されており、添加剤など他の材料を含んでいても良い。

0145

溶媒は、例えば、非水溶媒を用いることができる。非水溶媒としては、例えば、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、炭酸ブチレン、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、炭酸エチルメチル、炭酸メチルプロピル、1,2−ジメトキシエタン又はテトラヒドロフランなどが挙げられる。この中でも、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、炭酸エチルメチルのうちの少なくとも1種以上を用いることが望ましい。より良い特性が得られるからである。またこの場合、炭酸エチレン、炭酸プロピレンなどの高粘度溶媒と、炭酸ジメチル、炭酸エチルメチル、炭酸ジエチルなどの低粘度溶媒を組み合わせることにより、より優位な特性を得ることができる。これは、電解質塩の解離性イオン移動度が向上するためである。

0146

合金系負極を用いる場合、特に溶媒としてハロゲン化鎖状炭酸エステル又はハロゲン化環状炭酸エステルのうち少なくとも1種を含んでいることが望ましい。これにより、充放電時、特に充電時において負極活物質表面に安定な被膜が形成されるからである。ハロゲン化鎖状炭酸エステルは、ハロゲン構成元素として有する(少なくとも1つの水素がハロゲンにより置換された)鎖状炭酸エステルである。ハロゲン化環状炭酸エステルは、ハロゲンを構成元素として有する(少なくとも1つの水素がハロゲンにより置換された)環状炭酸エステルである。

0147

ハロゲンの種類は特に限定されないが、フッ素がより好ましい。他のハロゲンよりも良質な被膜を形成するからである。また、ハロゲン数は、多いほど望ましい。得られる被膜がより安定的であり、電解液の分解反応が低減されるからである。

0148

ハロゲン化鎖状炭酸エステルは、例えば、炭酸フルオロメチルメチル、炭酸ジフルオロメチルメチルなどが挙げられる。ハロゲン化環状炭酸エステルとしては、4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンあるいは4,5−ジフルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンなどが挙げられる。

0149

溶媒添加物として、不飽和炭素結合環状炭酸エステルを含んでいることが好ましい。充放電時に負極表面に安定な被膜が形成され、電解液の分解反応が抑制できるからである。不飽和炭素結合環状炭酸エステルとして、例えば炭酸ビニレン又は炭酸ビニルエチレンなどが挙げられる。

0150

また溶媒添加物として、スルトン環状スルホン酸エステル)を含んでいることが好ましい。電池の化学的安定性が向上するからである。スルトンとしては、例えばプロパンスルトンプロペンスルトンが挙げられる。

0151

さらに、溶媒は、酸無水物を含んでいることが好ましい。電解液の化学的安定性が向上するからである。酸無水物としては、例えば、プロパンジスルホン酸無水物が挙げられる。

0152

電解質塩は、例えば、リチウム塩などの軽金属塩のいずれか1種類以上含むことができる。リチウム塩として、例えば、六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)、四フッ化ホウ酸リチウム(LiBF4)などが挙げられる。

0153

電解質塩の含有量は、溶媒に対して0.5mol/kg以上2.5mol/kg以下であることが好ましい。これは、高いイオン伝導性が得られるからである。

0154

[ラミネートフィルム型のリチウムイオン二次電池の製造方法]
本発明では、上記の本発明の負極活物質の製造方法によって製造した負極活物質を用いて負極を作製し、該作製した負極を用いてリチウムイオン二次電池等の非水電解質二次電池を製造する。

0155

最初に上記した正極材を用い正極電極を作製する。まず、正極活物質と、必要に応じて正極結着剤、正極導電助剤などを混合し正極合剤としたのち、有機溶剤に分散させ正極合剤スラリーとする。続いて、ナイフロール又はダイヘッドを有するダイコーターなどのコーティング装置で正極集電体に合剤スラリーを塗布し、熱風乾燥させて正極活物質層を得る。最後に、ロールプレス機などで正極活物質層を圧縮成型する。この時、加熱しても良く、また加熱又は圧縮を複数回繰り返しても良い。

0156

次に、上記した図7の非水電解質二次電池用負極10の作製と同様の作業手順を用い、負極集電体に負極活物質層を形成し負極を作製する。

0157

正極及び負極を作製する際に、正極及び負極集電体の両面にそれぞれの活物質層を形成する。この時、どちらの電極においても両面部の活物質塗布長がずれていても良い(図7を参照)。

0158

続いて、電解液を調製する。続いて、超音波溶接などにより、図8に示すように正極集電体に正極リード22を取り付けると共に、負極集電体に負極リード23を取り付ける。続いて、正極と負極とをセパレータを介して積層、又は巻回させて巻回電極体21を作製し、その最外周部に保護テープを接着させる。次に、扁平な形状となるように巻回体成型する。続いて、折りたたんだフィルム状の外装部材25の間に巻回電極体を挟み込んだ後、熱融着法により外装部材の絶縁部同士を接着させ、一方向のみ開放状態にて、巻回電極体を封入する。続いて、正極リード、及び負極リードと外装部材の間に密着フィルムを挿入する。続いて、開放部から上記調製した電解液を所定量投入し、真空含浸を行う。含浸後、開放部を真空熱融着法により接着させる。以上のようにして、ラミネートフィルム型のリチウムイオン二次電池20を製造することができる。

0159

上記作製したラミネートフィルム型のリチウムイオン二次電池20等の本発明の非水電解質二次電池において、充放電時の負極利用率が93%以上99%以下であることが好ましい。負極利用率を93%以上の範囲とすれば、初回充電効率が低下せず、電池容量の向上を大きくできる。また、負極利用率を99%以下の範囲とすれば、Liが析出してしまうことがなく安全性を確保できる。

0160

以下、実施例及び比較例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。

0161

(実施例1−1)
以下の手順により、図8に示したラミネートフィルム型のリチウムイオン二次電池20を作製した。

0162

最初に正極を作製した。正極活物質はコバルト酸リチウム(LiCoO2)を95質量部と、正極導電助剤2.5質量部と、正極結着剤(ポリフッ化ビニリデン、PVDF)2.5質量部とを混合し正極合剤とした。続いて正極合剤を有機溶剤(N−メチル−2−ピロリドン、NMP)に分散させてペースト状のスラリーとした。続いてダイヘッドを有するコーティング装置で正極集電体の両面にスラリーを塗布し、熱風式乾燥装置で乾燥した。この時正極集電体は厚み15μmのものを用いた。最後にロールプレスで圧縮成型を行った。

0163

次に負極を作製した。最初にケイ素系活物質は以下のように作製した。

0164

図5に示す第二の装置を用いてケイ素化合物粒子を作製した。まず、ケイ素ガスを発生する原料を収容した容器と酸化ケイ素ガスを発生する原料を収容した容器とを別々に用意した(図2の工程b−1)。これらの容器としては、炭素材からなる外壁を有する坩堝を用いた。ケイ素ガスを発生する原料としては、金属ケイ素単体を用いた。酸化ケイ素ガスを発生する原料としては、金属ケイ素と二酸化ケイ素を混合した原料を用いた。これらの原料を収容した容器をそれぞれ、同一の反応炉へ設置した。この反応炉内の雰囲気は、5×10−2Paの真空度の雰囲気とした。

0165

次に、ケイ素ガスを発生する原料を加熱することによってケイ素ガスを発生させた(図2の工程b−2)。この際、加熱方式は誘導加熱方式とし、ケイ素ガスを発生する原料を収容した容器を1550℃に加熱することで、ケイ素ガスを発生する原料を加熱し、ケイ素ガスを発生させた。

0166

次に、酸化ケイ素ガスを発生する原料を加熱することによって酸化ケイ素ガスを発生させた(図2の工程b−3)。この際、加熱方式は誘導加熱方式とし、酸化ケイ素ガスを発生する原料を収容した容器を1300℃に加熱することで、酸化ケイ素ガスを発生する原料を加熱し、酸化ケイ素ガスを発生させた。

0167

次に、ケイ素ガスと酸化ケイ素ガスを混合して混合ガスとした(図2の工程b−4)。続けて、この混合ガスを吸着板上に堆積させ、十分に冷却した後、堆積物を取出しボールミルで粉砕し、粒径を調整した。これにより、ケイ素化合物(SiOx:0.5≦x<1.0)を含むケイ素化合物粒子を作製した(図2の工程b−5)。

0168

次に、熱分解CVDを行うことで炭素層被覆した(図2の工程b−6)。

0169

続いて、炭素被覆したケイ素化合物粒子に酸化還元法によりリチウムを挿入し改質した(図2の工程b−7)。まず、ケイ素化合物粒子を、リチウム片とビフェニルをテトラヒドロフラン(以下、THFとも呼称する)に溶解させた溶液(溶液A)に浸漬した。実施例1−1の溶液Aは、THF溶媒にビフェニルを1mol/Lの濃度で溶解させた後に、このTHFとビフェニルの混合液に対して10質量%の質量分のリチウム片を加えることで作製した。また、ケイ素化合物粒子を浸漬する際の溶液の温度は20℃で、浸漬時間は10時間とした。その後、ケイ素化合物粒子を濾取した。以上の処理により、ケイ素化合物粒子にリチウムを挿入した。

0170

次に、THFにナフタレンを溶解させた溶液(溶液B)に、リチウム挿入後のケイ素化合物粒子を浸漬した。実施例1−1の溶液Bは、THF溶媒にナフタレンを2mol/Lの濃度で溶解させて作製した。また、ケイ素化合物粒子を浸漬する際の溶液の温度は20℃、浸漬時間は20時間とした。その後、ケイ素化合物粒子を濾取した。

0171

次に、溶液Bに接触させた後のケイ素化合物粒子を、THFにp−ベンゾキノンを1mol/Lの濃度で溶解させた溶液(溶液C’)に浸漬した。また、ケイ素化合物粒子を浸漬する際の溶液の温度は20℃、浸漬時間は2時間とした。その後、ケイ素化合物粒子を濾取した。

0172

次に、ケイ素化合物粒子を炭酸リチウム飽和水溶液中で撹拌し、洗浄処理を行った。その後、ケイ素化合物粒子を濾取した。次に、洗浄処理後のケイ素化合物粒子を減圧下で乾燥処理した。このようにしてケイ素化合物粒子を含有する負極活物質粒子を含む負極活物質を製造した。

0173

次に、作製した負極活物質(ケイ素系活物質)、導電助剤、ポリアクリル酸を85:5:10wt%の乾燥質量比で混合した後、純水で希釈負極合剤スラリーとした。

0174

また、負極集電体としては、電解銅箔(厚さ15μm)を用いた。最後に、負極合剤のスラリーを負極集電体に塗布し真空雰囲気中で100℃×1時間の乾燥を行った。乾燥後の、負極の片面における単位面積あたりの負極活物質層の堆積量(面積密度とも称する)は2.5mg/cm2であった。

0175

次に、溶媒(4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン(FEC)、エチレンカーボネート(EC)及びジメチルカーボネートDMC))を混合したのち、電解質塩(六フッ化リン酸リチウム:LiPF6)を溶解させて電解液を調製した。この場合には、溶媒の組成を体積比でFEC:EC:DMC=10:20:70とし、電解質塩の含有量を溶媒に対して1.2mol/kgとした。

0176

次に、以下のようにして二次電池を組み立てた。最初に、正極集電体の一端にアルミリードを超音波溶接し、負極集電体にはニッケルリード溶接した。続いて、正極、セパレータ、負極、セパレータをこの順に積層し、長手方向に巻回させ巻回電極体を得た。その捲き終わり部分をPET保護テープで固定した。セパレータは多孔性ポリプロピレンを主成分とするフィルムにより多孔性ポリエチレンを主成分とするフィルムに挟まれた積層フィルム12μmを用いた。続いて、外装部材間に電極体を挟んだのち、一辺を除く外周縁部同士を熱融着し、内部に電極体を収納した。外装部材はナイロンフィルム、アルミ箔及び、ポリプロピレンフィルムが積層されたアルミラミネートフィルムを用いた。続いて、開口部から調製した電解液を注入し、真空雰囲気下で含浸した後、熱融着し封止した。

0177

以上のようにして作製した二次電池のサイクル特性及び初回充放電特性を評価した。

0178

サイクル特性については、以下のようにして調べた。最初に、電池安定化のため25℃の雰囲気下、0.2Cで1サイクル充放電を行い、1サイクル目の放電容量を測定した。続いて、総サイクル数が101サイクルとなるまで0.5C充放電を行い、その都度放電容量を測定した。101サイクル目の放電容量を2サイクル目の放電容量で割り容量維持率(以下、単に維持率ともいう)を算出した。

0179

初回充放電特性を調べる場合には、初回効率(以下では初期効率と呼ぶ場合もある)を算出した。初回効率は、初回効率(%)=(初回放電容量/初回充電容量)×100で表される式から算出した。雰囲気、温度は、サイクル特性を調べた場合と同様にした。

0180

対極Liを用いた電池評価における放電容量は、以下のようにして測定した。まず、対極Liを用いた電池評価用の二次電池として、2032型コイン電池を組み立てた。

0181

負極は、以下のようにして作製した。まず、上記のケイ素系活物質と導電助剤とポリアクリル酸を85:5:10wt%の比率で混合し、負極合剤スラリーとした。また、負極集電体としては、電解銅箔(厚さ15μm)を用いた。次に、この負極合剤スラリーを負極集電体に塗布し、90℃で乾燥した。この電極を15mm2に打ち抜き、負極とした。

0182

電解液としては、上記の実施例1−1におけるラミネートフィルム型のリチウムイオン二次電池の電解液と同様の手順で作製したものを使用した。

0183

対極としては、厚さ0.5mmの金属リチウム箔を使用した。また、セパレータとして、厚さ20μmのポリエチレンを用いた。

0184

続いて、2032型コイン電池の底ブタリチウム箔、セパレータを重ねて、電解液150mLを注液し、続けて負極、スペーサ(厚さ1.0mm)を重ねて、電解液150mLを注液し、続けてスプリング、コイン電池の上ブタの順にくみ上げ、自動コインセルカシメ機でかしめることで、2032型コイン電池を作製した。

0185

続いて、0VまでCCCV充電を行った。具体的には、0Vまで定電流(電流密度:0.2mA/cm2)モードで充電し、0Vから定電圧モードになり、電流密度が0.1mA/cm2に達した後、充電終止した。その後、1.2VまでCC放電を行った。具体的には、定電流(電流密度:0.2mA/cm2)モードで放電し、電位が1.2Vに達した後、放電終止した。この1.2V時における容量から対極Liを用いた電池評価における放電容量を算出した。

0186

(比較例1−1、1−2)
第二の装置に代えて、該第二の装置からケイ素ガスを発生する原料を収容した容器を取り除いたものを用いた(すなわち、ケイ素ガスを混合しなかった)以外は、実施例1−1と同様に負極活物質を作製した。そして、実施例1−1と同様に、電池特性を評価した。

0187

(実施例1−2〜1−5、比較例1−3、1−4)
ケイ素化合物の酸素量を表1に示すように変えたこと以外は、実施例1−1と同様に負極活物質を作製した。そして、実施例1−1と同様に、電池特性を評価した。

0188

(比較例1−5)
ケイ素化合物粒子にリチウムの挿入を行わなかったこと以外は、実施例1−3と同様に負極活物質を作製した。そして、実施例1−3と同様に、電池特性を評価した。

0189

(実施例1−6)
ケイ素化合物粒子へのリチウムの挿入量を増やした以外は、実施例1−3と同様に負極活物質を作製した。そして、実施例1−3と同様に、電池特性を評価した。なお、この場合、ケイ素化合物粒子中のグラム当たりケイ素量が減るため、対極Liを用いた電池評価における放電容量は、わずかに低下する。

0190

(実施例1−7)
ケイ素化合物粒子を作製する際の装置を、図6に示す第三の装置に代えた以外は、実施例1−1と同様に負極活物質を作製した。なお、この際、ケイ素化合物の酸素量も変化した。なお、ケイ素化合物粒子を作製する際の作製条件は以下の通りである。
ケイ素:金属ケイ素
酸化ケイ素ガスを発生する原料:金属ケイ素と二酸化ケイ素を混合した原料
容器:炭素材からなる外壁を有する坩堝
反応炉内の雰囲気:5×10−2Paの真空度の雰囲気
加熱方式:誘導加熱方式
容器の加熱温度:1550℃

0191

(実施例1−8)
ケイ素化合物の酸素量を表1に示すように変えたこと以外は、実施例1−7と同様に負極活物質を作製した。そして、実施例1−7と同様に、電池特性を評価した。

0192

0193

実施例1−1〜実施例1−6に示すように、酸化ケイ素ガス(Si/SiO2混合ガス)中にケイ素ガスを導入し、活物質中のケイ素比率を増加させることで放電容量を向上させることが可能となる。この時、誘導加熱坩堝を用い、ケイ素を収容した坩堝の温度をケイ素酸化物を収容した坩堝の温度に対して高く制御することで、酸化ケイ素ガスよりも同じ蒸気圧となる温度が100℃以上高いケイ素ガスのガスレートを制御した。

0194

ケイ素酸化物もSi:Oの比率が約1:1の時サイクル特性が良いことは知られているが、ケイ素単独が持つ容量を酸素を含むことで低下させている。ケイ素酸化物中にケイ素を多く存在することでサイクル特性が徐々に低下する傾向ではあるが、その分、放電容量が大幅に向上するため、放電容量及びサイクル特性の双方の良特性を満たすことを考えた場合、SiOxのxは、0.5≦x<1.0の範囲とする必要がある。

0195

また、実施例1−7、実施例1−8に示すように、溶融したケイ素(溶融Si)内にSi/SiO2の造粒粒を投入することで工業的に1つの坩堝でガス発生が可能となり、生産性を向上することができる。本手法を用いても所定のバルク組成を作ることが可能である。

0196

一方、ケイ素ガスを混合しなかった比較例1−1、比較例1−2では、SiOxのxを1未満とすることはできず、また、放電容量の結果も悪かった。一方で、SiOxのxが0.5未満である比較例1−3、比較例1−4では、サイクル特性が悪化した。

0197

また、酸化還元法を用い、ケイ素化合物粒子のバルク内部にLiシリケートを生成させることで初期効率が改善できることを確認した。一方、ケイ素化合物粒子にLi挿入を行わなかった比較例1−5では、初期効率が低下した。

0198

(実施例2−1)
ケイ素化合物粒子を作製する際の装置を、図4に示す第一の装置に代えた以外は、実施例1−1と同様に負極活物質を作製した。なお、この際、ケイ素化合物の酸素量も変化した。なお、ケイ素化合物粒子を作製する際の作製条件は以下の通りである。
酸化ケイ素ガスを発生する原料:金属ケイ素と二酸化ケイ素を混合した原料
容器:炭素材からなる外壁を有する坩堝
反応炉内の雰囲気:還元性ガス導入時1×10−1Pa、到達真空度5×10−2Pa
加熱方式:誘導加熱方式
容器の加熱温度:1300℃
還元性ガス:H2ガス
導入する還元性ガスの温度:1300℃

0199

(実施例2−2〜実施例2−4)
還元性ガスの種類を表2に示すように変えたこと以外は、実施例2−1と同様に負極活物質を作製した。なお、この際、ケイ素化合物の酸素量も変化した。そして、実施例2−1と同様に、電池特性を評価した。

0200

(実施例2−5)
ケイ素化合物の酸素量を表2に示すように変えた(導入する還元性ガスの量を増やした)こと以外は、実施例2−1と同様に負極活物質を作製した。そして、実施例2−1と同様に、電池特性を評価した。

0201

(実施例2−6)
図5に示す第二の装置に、更に、図4に示す還元性ガス導入配管48を具備するものを用いた以外は、実施例1−1と同様に負極活物質を作製した。そして、実施例1−1と同様に、電池特性を評価した。なお、還元性ガスとしては、H2ガスを用い、導入する還元性ガスの温度は1300℃とした。また、反応炉内の雰囲気は、還元性ガス導入時に1×10−1Paとし、到達真空度は5×10−2Paとした。

0202

0203

実施例2−1〜実施例2−6では、酸化ケイ素ガス中に還元性ガスを導入し、ケイ素酸化物の比率を変化させた。酸化ケイ素ガスの反応性はあまり高くないため、比率を大幅に変化させることはできないが、電池容量は向上した。また、直接ケイ素ガスを導入した場合に比べ、還元性ガスを導入した場合は、100サイクル目の容量維持率の結果が若干良好であった。これはケイ素ガスを導入した場合、ケイ素グレインが比較的多く存在し、ケイ素の劣化が顕著に見えているためと想定している。一方、還元性ガスを用いることでケイ素酸化物から酸素を一部除去するだけであり、ケイ素のグレイン成長が大きくないと推測される。

0204

(実施例3−1〜3−6)
ケイ素化合物粒子のメジアン径を表3のように変化させたこと以外は、実施例1−3と同様に負極活物質を作製した。そして、実施例1−3と同様に、電池特性を評価した。

0205

0206

実施例3−1〜3−6では、メジアン径を変化させることで、サイクル特性が最も安定する範囲を調査した。負極活物質粒子のメジアン径が3.0μm以上であると、比表面積の増加が抑制できるため、充放電サイクルに伴う表面反応の増加を抑制することができ、サイクル特性が向上する。一方、負極活物質粒子のメジアン径が12μm以下であると、充放電に伴い活物質が割れるのを防ぐことができ、新生面が生成しにくくなるため、副反応量が減少する。

0207

(実施例4−1)
炭素被覆を行わなかったこと以外は、実施例1−3と同様に負極活物質を作製した。そして、実施例1−3と同様に、電池特性を評価した。

0208

0209

実施例1−3のように炭素被覆を行った場合、導電パスが十分となり、サイクル特性がやや増加する傾向にあった。

実施例

0210

なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。

0211

10…負極、 11…負極集電体、 12…負極活物質層、
20…リチウム二次電池(ラミネートフィルム型)、 21…巻回電極体、
22…正極リード、 23…負極リード、 24…密着フィルム、
25…外装部材、
30…電気化学的Liドープ改質装置、 31…陽電極(リチウム源、改質源)、
32…ケイ素化合物粒子、 33…有機溶媒、 34…セパレータ、
35…粉末格納容器、 36…電源、 37…浴槽、
40、60、80…負極活物質製造装置、 41、61、81…チャンバ、
42、62、82…ヒーター、 43、63、83…吸着板(析出板)、
44、64、84…ケイ素化合物(ケイ素酸化物)、
45、65、68、85…材料反応槽、
46、66、89…酸化ケイ素ガスを発生する原料、 47、67…酸化ケイ素ガス、
48…還元性ガス導入配管、 49…還元性ガス、
69…ケイ素ガスを発生する原料、 70…ケイ素ガス、
72、92…ケイ素ガスと酸化ケイ素ガスの混合領域、
86…ケイ素融液、 87…ケイ素ガスと酸化ケイ素ガスが混合した混合ガス、
88…保持部材。

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