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技術 金属硫酸塩化合物に含まれるチオン酸の定量方法

出願人 住友金属鉱山株式会社
発明者 淵本幸宏
出願日 2016年12月27日 (4年8ヶ月経過) 出願番号 2016-253699
公開日 2017年7月27日 (4年1ヶ月経過) 公開番号 2017-129574
状態 特許登録済
技術分野 化学的手段による非生物材料の調査、分析
主要キーワード 所定イオン 抽出材 パラローズアニリン 吸光光度測定 コンディショニング液 次亜硫酸 イオンクロマトグラフィー法 脱酸素水
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図面 (5)

課題

金属硫酸塩化合物に含まれるチオ硫酸イオンおよび亜硫酸イオンの少なくとも一方を精度よく定量する。

解決手段

金属硫酸塩化合物に含まれるチオン酸としてのチオ硫酸イオンおよび亜硫酸イオンの両方または一方を定量するチオン酸の定量方法であって、測定対象である金属硫酸塩化合物と溶媒とを含む試料溶液を準備する準備工程と、試料溶液に誘導体化剤を添加し、金属硫酸塩化合物に由来するチオ硫酸イオンおよび亜硫酸イオンと反応させることにより、チオ硫酸誘導体および亜硫酸誘導体を生成する誘導体化工程と、誘導体の種類に応じて異なる吸着性能を示す固相カラムを用いて試料溶液を固相抽出することにより、チオ硫酸誘導体および亜硫酸誘導体を種類毎にそれぞれ分離する分離工程と、分離したチオ硫酸誘導体および亜硫酸誘導体から、チオ硫酸イオンおよび亜硫酸イオンの両方または一方を定量する測定工程と、を有することを特徴とする、金属硫酸塩化合物に含まれるチオン酸の定量方法が提供される。

概要

背景

例えば硫酸ニッケル(NiSO4)などの金属硫酸塩化合物は、メッキ電池材料触媒など様々な用途で用いられている。

一般に、金属硫酸塩化合物には、亜硫酸次亜硫酸チオン酸塩などの硫黄化合物不純物として混入している。硫黄化合物は酸化により最終的には硫酸となってしまうため、金属硫酸塩化合物において、不純物である硫黄化合物の含有量を把握することは重要となっている。

不純物の定量方法としては、例えば、金属硫酸塩化合物を溶解させ、それに含まれる水溶性の硫黄化合物をチオ硫酸イオン亜硫酸イオンとし、吸光光度法により定量する方法が知られている。例えば、チオ硫酸イオンの定量方法としては、チオ硫酸イオンとヨウ素との反応を利用する間接法や、チオシアン酸イオンとの反応に基づくチオシアン酸鉄(III)により定量する方法、水銀αジフェニルカルバゾンの退色を利用する方法などが知られている。亜硫酸イオンの定量方法としては、パラローズアニリンホルマリンで発色させる方法、水銀(II)一亜硫酸錯体形成に基づく方法などが知られている。

また例えば、容量法として、既知量のヨウ素を添加した後にチオ硫酸ナトリウム溶液逆滴定する方法が知られている。

また例えば、同時定量法として、イオンクロマトグラフィー法によりチオ硫酸イオンおよび亜硫酸イオン等の硫黄化合物を分離定量する方法が知られている。

しかしながら、上記方法には、それぞれ以下のような問題がある。
すなわち、吸光光度法の場合、チオ硫酸イオンや亜硫酸イオンなどのチオン酸は、溶媒溶存する酸素によって酸化されて硫酸イオンに変化するといったように、化学的に不安定であるため、特定のイオンに着目して、その濃度を精度よく定量することが困難となっている。
定量法の場合、硫化物イオン、亜硫酸イオンおよびチオ硫酸イオンは、チオン酸の混合物として定量されてしまうため、イオンの種類ごとに分別して定量することが困難となっている。これらを分別して定量するには、マスキング等の前処理が必要となり、工程が複雑となる。
同時定量法としてイオンクロマトグラフィー法を適用した場合、イオンの種類ごとに分離して定量できるが、この方法は、金属硫酸塩化合物のような高塩濃度試料に適用することができない。

一方、海水などの環境水中に含まれるチオ硫酸イオンおよび亜硫酸イオンを定量する方法として、ジチオピリジン誘導体を用いた方法が提案されている(例えば、非特許文献1を参照)。具体的には、まず、ジチオピリジン誘導体として2,2´−ジチオビス(5−ニトロピリジン)(DTNP)を環境水中に添加する。これにより、環境水に含まれるチオ硫酸イオンや亜硫酸イオンを誘導体化処理し、それぞれの誘導体を生成する。そして、生成された誘導体を、テトラブチルアンモニウム硫酸水素塩(TBAHS)で処理したC18結合型シリカゲル充填した固相カラム捕集している。捕集物は良溶媒を用いて固相カラムから溶離後、それぞれの化合物をグラジエント溶出法による高速液体クロマトグラフィーで分離し、紫外吸収により光度定量している。

概要

金属硫酸塩化合物に含まれるチオ硫酸イオンおよび亜硫酸イオンの少なくとも一方を精度よく定量する。金属硫酸塩化合物に含まれるチオン酸としてのチオ硫酸イオンおよび亜硫酸イオンの両方または一方を定量するチオン酸の定量方法であって、測定対象である金属硫酸塩化合物と溶媒とを含む試料溶液を準備する準備工程と、試料溶液に誘導体化剤を添加し、金属硫酸塩化合物に由来するチオ硫酸イオンおよび亜硫酸イオンと反応させることにより、チオ硫酸誘導体および亜硫酸誘導体を生成する誘導体化工程と、誘導体の種類に応じて異なる吸着性能を示す固相カラムを用いて試料溶液を固相抽出することにより、チオ硫酸誘導体および亜硫酸誘導体を種類毎にそれぞれ分離する分離工程と、分離したチオ硫酸誘導体および亜硫酸誘導体から、チオ硫酸イオンおよび亜硫酸イオンの両方または一方を定量する測定工程と、を有することを特徴とする、金属硫酸塩化合物に含まれるチオン酸の定量方法が提供される。

目的

本発明は、上記の状況に鑑みてなされたものであり、金属硫酸塩化合物に含まれるチオン酸としてチオ硫酸イオンおよび亜硫酸イオンの少なくとも一方を精度よく定量する方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
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請求項1

金属硫酸塩化合物に含まれるチオン酸としてのチオ硫酸イオンおよび亜硫酸イオンの両方または一方を定量するチオン酸の定量方法であって、測定対象である金属硫酸塩化合物と溶媒とを含む試料溶液を準備する準備工程と、前記試料溶液に誘導体化剤を添加し、前記金属硫酸塩化合物に由来する前記チオ硫酸イオンおよび前記亜硫酸イオンと反応させることにより、チオ硫酸誘導体および亜硫酸誘導体を生成する誘導体化工程と、誘導体の種類に応じて異なる吸着性能を示す固相カラムを用いて前記試料溶液を固相抽出することにより、前記チオ硫酸誘導体および前記亜硫酸誘導体を種類毎にそれぞれ分離する分離工程と、分離した前記チオ硫酸誘導体および前記亜硫酸誘導体から、前記チオ硫酸イオンおよび前記亜硫酸イオンの両方または一方を定量する測定工程と、を有する、金属硫酸塩化合物に含まれるチオン酸の定量方法。

請求項2

前記分離工程では、前記試料溶液を、極性溶媒を含むコンディショニング液で処理された第1の固相カラムに導入して固相抽出する、請求項1に記載の金属硫酸塩化合物に含まれるチオン酸の定量方法。

請求項3

前記測定工程では、前記第1の固相カラムに吸着する前記チオ硫酸誘導体を溶離させ、前記チオ硫酸イオンの濃度を吸光光度法により測定する、請求項2に記載の金属硫酸塩化合物に含まれるチオン酸の定量方法。

請求項4

前記準備工程と前記誘導体化工程との間に、前記試料溶液にpH緩衝液を添加し、前記試料溶液のpHを4以上7以下の範囲内に調整するpH調整工程を有する、請求項2又は3に記載の金属硫酸塩化合物に含まれるチオン酸の定量方法。

請求項5

前記分離工程は、前記試料溶液を、極性溶媒を含むコンディショニング液で処理された第1の固相カラムに導入して固相抽出する第1の分離工程と、前記第1の分離工程後の前記試料溶液を、極性溶媒および第4級アンモニウム塩を含むコンディショニング液で処理された第2の固相カラムに導入して固相抽出する第2の分離工程と、を有する、請求項1に記載の金属硫酸塩化合物に含まれるチオン酸の定量方法。

請求項6

前記測定工程では、前記第2の固相カラムに吸着する前記亜硫酸誘導体を溶離させ、前記亜硫酸イオンの濃度を吸光光度法により測定する、請求項5に記載の金属硫酸塩化合物に含まれるチオン酸の定量方法。

請求項7

前記準備工程と前記誘導体化工程との間に、前記試料溶液にpH緩衝液を添加し、前記試料溶液のpHを6以上の範囲内に調整するpH調整工程を有する、請求項5又は6に記載の金属硫酸塩化合物に含まれるチオン酸の定量方法。

請求項8

前記誘導体化剤がジチオピリジン誘導体である、請求項1〜7のいずれかに記載の金属硫酸塩化合物に含まれるチオン酸の定量方法。

請求項9

前記準備工程では、前記溶媒として脱酸素水を用いる、請求項1〜8のいずれかに記載の金属硫酸塩化合物に含まれるチオン酸の定量方法。

請求項10

前記第4級アンモニウム塩がテトラブチルアンモニウム硫酸水素塩である、請求項5に記載の金属硫酸塩化合物に含まれるチオン酸の定量方法。

請求項11

前記第2の固相カラムを処理する前記コンディショニング液は前記第4級アンモニウム塩を濃度0.1mM以上50mM以下の範囲で含む、請求項5に記載の金属硫酸塩化合物に含まれるチオン酸の定量方法。

請求項12

前記固相カラムは、シリカゲル充填された逆相系カラムである、請求項1に記載の金属硫酸塩化合物に含まれるチオン酸の定量方法。

技術分野

0001

本発明は、金属硫酸塩化合物に含まれるチオン酸の定量方法に関し、特に、チオン酸として、チオ硫酸イオンおよび亜硫酸イオンの少なくとも一方を定量する方法に関する。

背景技術

0002

例えば硫酸ニッケル(NiSO4)などの金属硫酸塩化合物は、メッキ電池材料触媒など様々な用途で用いられている。

0003

一般に、金属硫酸塩化合物には、亜硫酸次亜硫酸、チオン酸塩などの硫黄化合物不純物として混入している。硫黄化合物は酸化により最終的には硫酸となってしまうため、金属硫酸塩化合物において、不純物である硫黄化合物の含有量を把握することは重要となっている。

0004

不純物の定量方法としては、例えば、金属硫酸塩化合物を溶解させ、それに含まれる水溶性の硫黄化合物をチオ硫酸イオンや亜硫酸イオンとし、吸光光度法により定量する方法が知られている。例えば、チオ硫酸イオンの定量方法としては、チオ硫酸イオンとヨウ素との反応を利用する間接法や、チオシアン酸イオンとの反応に基づくチオシアン酸鉄(III)により定量する方法、水銀αジフェニルカルバゾンの退色を利用する方法などが知られている。亜硫酸イオンの定量方法としては、パラローズアニリンホルマリンで発色させる方法、水銀(II)一亜硫酸錯体形成に基づく方法などが知られている。

0005

また例えば、容量法として、既知量のヨウ素を添加した後にチオ硫酸ナトリウム溶液逆滴定する方法が知られている。

0006

また例えば、同時定量法として、イオンクロマトグラフィー法によりチオ硫酸イオンおよび亜硫酸イオン等の硫黄化合物を分離定量する方法が知られている。

0007

しかしながら、上記方法には、それぞれ以下のような問題がある。
すなわち、吸光光度法の場合、チオ硫酸イオンや亜硫酸イオンなどのチオン酸は、溶媒溶存する酸素によって酸化されて硫酸イオンに変化するといったように、化学的に不安定であるため、特定のイオンに着目して、その濃度を精度よく定量することが困難となっている。
定量法の場合、硫化物イオン、亜硫酸イオンおよびチオ硫酸イオンは、チオン酸の混合物として定量されてしまうため、イオンの種類ごとに分別して定量することが困難となっている。これらを分別して定量するには、マスキング等の前処理が必要となり、工程が複雑となる。
同時定量法としてイオンクロマトグラフィー法を適用した場合、イオンの種類ごとに分離して定量できるが、この方法は、金属硫酸塩化合物のような高塩濃度試料に適用することができない。

0008

一方、海水などの環境水中に含まれるチオ硫酸イオンおよび亜硫酸イオンを定量する方法として、ジチオピリジン誘導体を用いた方法が提案されている(例えば、非特許文献1を参照)。具体的には、まず、ジチオピリジン誘導体として2,2´−ジチオビス(5−ニトロピリジン)(DTNP)を環境水中に添加する。これにより、環境水に含まれるチオ硫酸イオンや亜硫酸イオンを誘導体化処理し、それぞれの誘導体を生成する。そして、生成された誘導体を、テトラブチルアンモニウム硫酸水素塩(TBAHS)で処理したC18結合型シリカゲル充填した固相カラム捕集している。捕集物は良溶媒を用いて固相カラムから溶離後、それぞれの化合物をグラジエント溶出法による高速液体クロマトグラフィーで分離し、紫外吸収により光度定量している。

先行技術

0009

A.Valravamurthy, K.Mopper: Environ. Sci. Technol., 24, 333 (1990)

発明が解決しようとする課題

0010

しかしながら、非特許文献1に示す方法は、チオン酸を種類ごとに分別して定量するには、最終的にクロマトグラフィー法を行う必要があるため、チオン酸以外に高濃度夾雑物(金属硫酸塩)を含む金属硫酸塩化合物に適用することができない。

0011

本発明は、上記の状況に鑑みてなされたものであり、金属硫酸塩化合物に含まれるチオン酸としてチオ硫酸イオンおよび亜硫酸イオンの少なくとも一方を精度よく定量する方法を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0012

本発明者らは、金属硫酸塩化合物に含まれるチオ硫酸イオンおよび亜硫酸イオンをそれぞれ誘導体化して誘導体を生成した後、誘導体の種類に応じて異なる吸着性能を示す固相カラムを用いて固相抽出することによって、高濃度の金属塩から誘導体を種類ごとに分離し、特定のイオンを分別して定量できることが可能となり、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させるに至った。

0013

すなわち、本発明の第1の態様は、
金属硫酸塩化合物に含まれるチオン酸としてのチオ硫酸イオンおよび亜硫酸イオンの少なくとも一方を定量するチオン酸の定量方法であって、
測定対象である金属硫酸塩化合物と溶媒とを含む試料溶液を準備する準備工程と、
前記試料溶液に誘導体化剤を添加し、前記金属硫酸塩化合物に由来する前記チオ硫酸イオンおよび前記亜硫酸イオンと反応させることにより、チオ硫酸誘導体および亜硫酸誘導体を生成する誘導体化工程と、
誘導体の種類に応じて異なる吸着性能を示す固相カラムを用いて前記試料溶液を固相抽出することにより、前記チオ硫酸誘導体および前記亜硫酸誘導体を種類毎にそれぞれ分離する分離工程と、
分離した前記チオ硫酸誘導体および前記亜硫酸誘導体から、前記チオ硫酸イオンおよび前記亜硫酸イオンの少なくとも一方を定量する測定工程と、を有する、金属硫酸塩化合物に含まれるチオン酸の定量方法が提供される。

0014

本発明の第2の態様は、第1の態様のチオン酸の定量方法において、
前記分離工程では、前記試料溶液を、極性溶媒を含むコンディショニング液で処理された第1の固相カラムに導入して固相抽出する。

0015

本発明の第3の態様は、第2の態様のチオン酸の定量方法において、
前記測定工程では、前記第1の固相カラムに吸着する前記チオ硫酸誘導体を溶離させ、前記チオ硫酸イオンの濃度を吸光光度法により測定する。

0016

本発明の第4の態様は、第2又は第3の態様のチオン酸の定量方法において、
前記準備工程と前記誘導体化工程との間に、前記試料溶液にpH緩衝液を添加し、前記試料溶液のpHを4以上7以下の範囲内に調整するpH調整工程を有する。

0017

本発明の第5の態様は、第1の態様のチオン酸の定量方法において、
前記分離工程は、
前記試料溶液を、極性溶媒を含むコンディショニング液で処理された第1の固相カラムに導入して固相抽出する第1の分離工程と、
前記第1の分離工程後の前記試料溶液を、極性溶媒および第4級アンモニウム塩を含むコンディショニング液で処理された第2の固相カラムに導入して固相抽出する第2の分離工程と、を有する。

0018

本発明の第6の態様は、第5の態様のチオン酸の定量方法において、
前記測定工程では、前記第2の固相カラムに吸着する前記亜硫酸誘導体を溶離させ、前記亜硫酸イオンの濃度を吸光光度法により測定する。

0019

本発明の第7の態様は、第5又は第6の態様のチオン酸の定量方法において、
前記準備工程と前記誘導体化工程との間に、前記試料溶液にpH緩衝液を添加し、前記試料溶液のpHを6以上の範囲内に調整するpH調整工程を有する。

0020

本発明の第8の態様は、第1〜第7の態様のいずれかのチオン酸の定量方法において、
前記誘導体化剤がジチオピリジン誘導体である。

0021

本発明の第9の態様は、第1〜第8の態様のいずれかのチオン酸の定量方法において、
前記準備工程では、前記溶媒として脱酸素水を用いる。

0022

本発明の第10の態様は、第5の態様のチオン酸の定量方法において、
前記第4級アンモニウム塩がテトラブチルアンモニウム硫酸水素塩である。

0023

本発明の第11の態様は、第5の態様のチオン酸の定量方法において、
前記第2の固相カラムを処理する前記コンディショニング液は前記第4級アンモニウム塩を濃度0.1mM以上50mM以下の範囲で含む。

0024

本発明の第12の態様は、第1の態様のチオン酸の定量方法において、
前記固相カラムは、シリカゲルが充填された逆相系カラムである。

発明の効果

0025

本発明によれば、金属硫酸塩化合物に含まれるチオン酸としてチオ硫酸イオンおよび亜硫酸イオンの少なくとも一方を精度よく定量することができる。

図面の簡単な説明

0026

図1は、本発明の第1の実施形態に係るチオン酸の定量方法のフローチャートを示す図である。
図2は、本発明の第2の実施形態に係るチオン酸の定量方法のフローチャートを示す図である。
図3は、チオ硫酸イオンの誘導体化反応を説明するための図である。
図4は、亜硫酸イオンの誘導体化反応を説明するための図である。

0027

以下、本発明を、図面に示す実施形態に基づき、以下の順序で詳細に説明する。
1.第1の実施形態
1−1.準備工程
1−2.pH調整工程
1−3.誘導体化工程
1−4.分離工程
1−5.測定工程
1−6.第1の実施形態の効果
2.第2の実施形態

0028

[1.第1の実施形態]
以下、本発明の第1の実施形態に係る、金属硫酸塩化合物に含まれるチオン酸の定量方法について説明をする。本実施形態では、チオン酸のうち、チオ硫酸イオンを定量する場合を例として、図1を参照しながら説明する。図1は、本発明の第1の実施形態に係るチオン酸の定量方法のフローチャートを示す図である。
なお、本明細書において、金属硫酸塩化合物とは、金属硫酸塩に不純物として硫黄系化合物が混入したものである。チオン酸とは、金属硫酸塩化合物に含有される不純物に由来するイオンであって、チオ硫酸イオンや亜硫酸イオン等を示す。

0029

<1−1.準備工程>
まず、試料溶液を準備する。試料溶液は、例えば、測定対象である金属硫酸塩化合物を溶媒に溶解して得ることができる。金属硫酸塩化合物としては、例えば硫酸ニッケル(NiSO4)を用いることができる。溶媒としては、金属硫酸塩を溶解できるものであればよく、例えば水を用いることができる。試料溶液には、金属硫酸塩化合物に由来する成分が含有され、例えば、多量の金属イオンNiイオンなど)および硫酸イオンとともに、不純物に由来するチオン酸として、例えば、極微量のチオ硫酸イオンおよび亜硫酸イオンが含有されることになる。

0030

準備工程において、試料溶液でのチオン酸の酸化を抑制する観点からは、溶存酸素を低減または除去した純水(脱酸素水)を用いることが好ましい。試料溶液で酸化が進むと、チオ硫酸イオンや亜硫酸イオンが硫酸イオンになり、定量対象である成分量が変動し、精度よく定量することが困難となる。この点、溶媒として脱酸素水を用いることにより、チオン酸の酸化を抑制できるので、定量対象である成分量の変動を少なくして精度よく定量することが可能となる。

0031

<1−2.pH調整工程>
続いて、試料溶液のpHを調整する。ここでのpH調整の目的は、後述の誘導体化工程にて、所定イオンの誘導体化反応を効率的に進めるためである。本実施形態では、チオ硫酸イオンを定量対象としているため、チオ硫酸イオンの誘導体化反応を効率的に進められるように、試料溶液のpHを4〜7の範囲内に固定する。

0032

pHの調整方法は、特に限定されないが、試料溶液にpH緩衝液を添加することが好ましい。pH緩衝液によれば、試料溶液のpHを所定の範囲内に保つことができる。pH緩衝液としては、例えば、弱酸である酢酸と、その塩である酢酸ナトリウムとからなる酢酸性緩衝液を用いることができる。

0033

なお、必要に応じて、pH調整とともに、試料溶液に溶媒を添加して容量を調整してもよい。

0034

<1−3.誘導体化工程>
続いて、pHを調整した試料溶液に誘導体化剤を添加する。これにより、試料溶液に含有されるチオ硫酸イオンおよび亜硫酸イオンと誘導体化剤とを反応させ、チオ硫酸誘導体と亜硫酸誘導体とを生成させる。本実施形態では、試料溶液のpHを4〜7としているため、イオンの中でもチオ硫酸イオンを効率的に誘導体化することができる。誘導体化によれば、チオ硫酸イオンや亜硫酸イオンを化学的に安定な誘導体とすることで、これらイオンが定量の最中に酸化してしまうことを抑制し、定量対象の成分量の変動を抑制することができる。

0035

誘導体化剤は、ジスルフィド基を有し、求核剤であるチオ硫酸イオン(S2O32−)や亜硫酸イオン(SO32−)と反応することで誘導体を生成するものであり、ジチオピリジン誘導体を用いることが好ましい。例えば、2,2’−ジチオビス(5−ニトロピリジン)(以下、DTNPともいう)を用いることができる。各イオンのDTNPとの誘導体化反応は、図3および図4に示す反応となる。図3に示すように、チオ硫酸イオン(S2O32−)は、DTNPとの反応により、チオ硫酸—DTNP誘導体化合物(チオ硫酸誘導体)を生成する。一方、図4に示すように、亜硫酸イオン(SO32−)は、DTNPとの反応により、亜硫酸−DTNP誘導体化合物(亜硫酸誘導体)を生成する。

0036

なお、誘導体化剤は、試料溶液に含有されるチオ硫酸イオンや亜硫酸イオンのすべてを誘導体化させる観点から、これらのイオンに対して過剰量となるように添加するとよい。誘導体化剤の添加方法は、特に限定されないが、例えばメタノール(MeOH)に溶解させて試料溶液に添加するとよい。

0037

<1−4.分離工程>
続いて、誘導体の種類に応じて異なる吸着性能を示す固相カラムを用いて、試料溶液を固相抽出する。本実施形態では、チオ硫酸イオンを定量対象としているため、チオ硫酸誘導体を選択的に吸着するように処理された固相カラムを用いる。

0038

ここで、固相カラムの処理(コンディショニング)について説明する。
固相カラムは、固相抽出材を有しており、固相抽出材に導入される試料溶液から所定のイオンや化合物を選択的に吸着するように構成されている。本実施形態では、固相抽出材に、試料溶液を導入する前に、極性溶媒を含むコンディショニング液をあらかじめ通過させることにより、逆相系の固相カラムとし、チオ硫酸誘導体が吸着するように構成している。固相カラムとしては、特に限定されないが、例えば固相抽出材としてC18結合型シリカゲルが充填された固相カラムを用いることができる。コンディショニング液の有機溶媒としては、例えば、メタノールやエタノールアセトニトリルなど、逆相クロマトグラフィーで一般に用いられる溶媒を用いることができる。なお、以下では、有機溶媒で処理された固相カラムを第1の固相カラムとして説明する。

0039

第1の固相カラムに試料溶液を導入して通過させることにより、試料溶液に含まれるチオ硫酸誘導体を第1の固相カラムに吸着させる。つまり、多量の金属イオンや硫酸イオンを含む試料溶液から、チオン酸のうち、チオ硫酸イオンをチオ硫酸誘導体として選択的に分離することができる。なお、第1の固相カラムは、必要に応じて、分離後クリーンアップを行ってもよい。例えば、純水もしくは希薄酢酸緩衝液などを第1の固相カラムを通過させるとよい。

0040

<1−5.測定工程>
続いて、第1の固相カラムに吸着するチオ硫酸誘導体を溶離させ、チオ硫酸イオンの濃度を測定する。具体的には、第1の固相カラムに溶離液を導入し、吸着するチオ硫酸誘導体を溶離させ、チオ硫酸イオンを含む溶出液を得る。続いて、この溶出液について、吸光光度計によりλ=320nmでの吸光度を測定する。そして、測定した吸光度を、予め作成したチオ硫酸イオンの濃度と吸光度との相関を示す検量線と照らし合わせることにより、溶出液に含まれるチオ硫酸イオンの濃度を測定する。これにより、測定対象である金属硫酸塩化合物に含まれるチオ硫酸イオンの濃度を定量することができる。

0041

イオン濃度の測定は、例えば高速液体クロマトグラフィー(HPLC)やガスクロマトグラフィーGC)などで行ってもよいが、簡易に、かつ精度よく測定する観点からは吸光光度測定が好ましい。

0042

チオ硫酸イオン濃度の測定工程で用いる検量線は、試料溶液に溶解する金属硫酸塩と同等の組成を有し、かつ定量対象となるチオ硫酸イオンを含有していないか、もしくは含有濃度が既知である検量線溶液を用いて作成することが好ましい。

0043

なお、溶離液としては、吸着した成分を好適に溶離できるものであれば特に限定されず、例えば、20%メタノール溶液などを用いるとよい。

0044

<1−6.第1の実施形態の効果>
本実施形態によれば、以下に示す1つ又は複数の効果を奏する。

0045

本実施形態によれば、金属硫酸塩化合物を溶媒に溶解した試料溶液に誘導体化剤を添加し、試料溶液に含まれるチオ硫酸イオンおよび亜硫酸イオンを誘導体化して、それぞれの誘導体を生成している。その後、例えばメタノールを含むコンディショニング液で処理された第1の固相カラムに試料溶液を導入して通過させている。これにより、第1の固相カラムにチオ硫酸誘導体を吸着させて分離している。すなわち、本実施形態によれば、金属イオンや硫酸イオンなどを多量に含む試料溶液から、極微量に混入するチオ硫酸イオンをチオ硫酸誘導体として分離することができる。

0046

また、本実施形態によれば、第1の固相カラムに吸着するチオ硫酸誘導体を溶離させ、その溶出液に含まれるチオ硫酸イオンの濃度を吸光光度法により測定することで、金属硫酸塩化合物に含まれるチオ硫酸イオン濃度を測定することができる。しかも、チオ硫酸イオンを誘導体化しているので、試料溶液中での酸化を抑制し、その濃度を精度よく測定することができる。

0047

また、本実施形態では、準備工程と誘導体化工程との間に、試料溶液のpHを調整するpH調整工程を設け、試料溶液のpHを4〜7の範囲内に調整している。これにより、試料溶液に含まれるイオンのうち、チオ硫酸イオンを好適に誘導体化させることができる。その結果、チオ硫酸イオンの濃度を精度よく測定することが可能となる。

0048

また、pH調整工程では、試料溶液にpH緩衝液を添加し、試料溶液のpHを所定の範囲内に保つことにより、誘導体化工程における誘導体化反応を好適に進めることができる。これにより、チオ硫酸イオン濃度を精度よく定量することができる。

0049

また、金属硫酸塩化合物を溶解させる溶媒として脱酸素水を用いている。これにより、試料溶液に含有されるチオ硫酸イオンの酸化を抑制し、その濃度を精度よく測定することができる。

0050

[2.第2の実施形態]
上述の第1の実施形態では、金属硫酸塩化合物に含まれるチオ硫酸イオンを定量する場合を例として説明したが、本発明は、金属硫酸塩化合物に含まれる亜硫酸イオンを定量することもできる。以下では、亜硫酸イオンを定量する場合を例として図2を参照しながら説明する。図2は、本発明の第2の実施形態に係るチオン酸の定量方法のフローチャートを示す図である。

0051

まず、第1の実施形態と同様に、測定対象である金属硫酸塩化合物(NiSO4)を溶媒(例えば、水)に溶解し、試料溶液を得る。

0052

続いて、pH調整工程にて試料溶液のpHを調整する。本実施形態では、詳細を後述するように、コンディショニングの異なる2種類の固相カラムを連結し、前段の固相カラムにてチオ硫酸誘導体を吸着させた後、後段の固相カラムにて亜硫酸誘導体を吸着させることにより、チオ硫酸イオンおよび亜硫酸イオンを分離する。そのため、pH調整工程では、誘導体化工程において、チオ硫酸イオンおよび亜硫酸イオンを誘導体化できるように、それぞれのイオンを好適に誘導体化できるpHに調整することが好ましい。具体的には、好適なpHの範囲としては、チオ硫酸イオンが4〜7の範囲内であり、亜硫酸イオンが6以上であるので、試料溶液のpHを6〜7の範囲内に調整する。pHの調整方法は、上述したように、pH緩衝液として、例えば酢酸性緩衝液を用いることが好ましい。

0053

なお、必要に応じて、pH調整とともに、試料溶液に溶媒を添加して容量を調整してもよい。

0054

続いて、pHを調整した試料溶液に誘導体化剤を添加する。これにより、試料溶液に含有されるチオ硫酸イオンおよび亜硫酸イオンと誘導体化剤とを反応させ、チオ硫酸誘導体と亜硫酸誘導体とを生成させる。本実施形態では、試料溶液のpHを6〜7としているため、チオ硫酸イオンおよび亜硫酸イオンのそれぞれを効率的に誘導体化することができる。チオ硫酸イオンや亜硫酸イオンは誘導体化させることにより、化学的に安定となるため、定量中での酸化とともに成分量の変動を抑制することができる。

0055

続いて、誘導体の種類に応じて異なる吸着性能を示す固相カラムを用いて、試料溶液を固相抽出する。本実施形態では、図2に示すように、コンディショニングの異なる2種類の固相カラム(第1の固相カラムと第2の固相カラム)を連結し、試料溶液を固相抽出する。

0056

ここで、第1の固相カラムおよび第2の固相カラムのそれぞれの処理(コンディショニング)について説明する。

0057

第1の固相カラムは、上述したように、試料溶液の導入前にあらかじめ、固相抽出材に、有機溶媒(例えば、メタノール)を含むコンディショニング液を通過させて処理されており、チオ硫酸誘導体が吸着するように構成されている。

0058

第2の固相カラムは、試料溶液の導入前にあらかじめ、固相抽出材に、有機溶媒および第4級アンモニウム塩を含むコンディショニング液を通過させて処理されている。これにより、逆相系カラムとして構成され、チオ硫酸誘導体および亜硫酸誘導体の両方が吸着するように構成されている。
第2の固相カラムには、第1の固相カラムと同様に、例えば固相抽出材としてC18結合型シリカゲルが充填された固相カラムを用いることができる。コンディショニング液に含まれる有機溶媒としては、第1の固相カラムと同様に、例えば、メタノールやエタノール、アセトニトリルなど、逆相クロマトグラフィーで一般に用いられる溶媒を用いることができる。第4級アンモニウム塩は、相間移動触媒として機能するものであり、例えば、テトラブチルアンモニウム硫酸水素塩(以下、TBAHSともいう)を用いることができる。TBAHSの濃度は、誘導体を良好に吸着させる観点からは0.1mM以上とすることが好ましく、1.0mM以上とすることがより好ましい。一方、上限値は特に限定されないが、濃度を50mMより上げても吸着性能に大きな違いがないことから、50mM以下とすることが好ましい。第2の固相カラムのコンディショニング液としては、例えば、メタノールと10mMのTBAHSとの混合溶液を用いることができる。

0059

本実施形態では、チオ硫酸誘導体および亜硫酸誘導体をそれぞれ分離させるため、第1の固相カラムを前段に、第2の固相カラムを後段に配置して連結している。連結した固相カラムに試料溶液を導入して通過させることにより、まず、前段の第1の固相カラムにて、チオ硫酸誘導体を吸着させて固相抽出する。続いて、チオ硫酸誘導体が取り除かれた試料溶液を後段の第2の固相カラムに導入することにより、第2の固相カラムにて、試料溶液に残る亜硫酸誘導体を吸着させて固相抽出する。すなわち、多量の金属イオンや硫酸イオンを含む試料溶液から、チオ硫酸イオンをチオ硫酸誘導体として、亜硫酸イオンを亜硫酸誘導体として、それぞれ分離することができる。

0060

続いて、連結した固相カラムを分離し、第2の固相カラムを取り出す。なお、第2の固相カラムには、必要に応じて、分離工程の後にクリーンアップを行ってもよい。クリーンアップは、例えば、20%のメタノールと7.5MのTBAHSとの混合溶液を第2の固相カラムに通過させるとよい。

0061

続いて、分離した第2の固相カラムに溶離液を導入し、吸着する亜硫酸誘導体を溶離させる。これにより、亜硫酸イオンを含む溶出液を得る。続いて、この溶出液について、吸光光度計によりλ=320nmでの吸光度を測定する。そして、測定した吸光度を、予め作成した亜硫酸イオンの濃度と吸光度との相関を示す検量線と照らし合わせることにより、溶出液に含まれる亜硫酸イオンの濃度を測定する。

0062

亜硫酸イオン濃度の測定工程で用いる検量線は、試料溶液に溶解する金属硫酸塩と同等の組成を有し、かつ定量対象となる亜硫酸イオンを含有していないか、もしくは含有濃度が既知である検量線溶液を用いて作成することが好ましい。

0063

なお、溶離液としては、吸着した成分を好適に溶離できるものであれば特に限定されず、例えば、40%メタノールと7.5MのTBAHSとの混合溶液などを用いるとよい。また、イオン濃度の測定は、吸光光度測定に限定されず、HLPCやGCで行ってもよい。

0064

本実施形態によれば、金属硫酸塩化合物を溶媒に溶解した試料溶液に誘導体化剤を添加し、試料溶液に含まれるチオ硫酸イオンおよび亜硫酸イオンを誘導体化して、それぞれの誘導体を生成している。その後、メタノールなどの極性溶媒を含むコンディショニング液で処理された第1の固相カラムを前段として、メタノールなどの極性溶媒およびTBAHSなどの第4級アンモニウム塩を含むコンディショニング液で処理された第2の固相カラムを後段として連結し、連結させた固相カラムに試料溶液を導入して通過させている。これにより、第1の固相カラムにチオ硫酸誘導体を吸着させて分離し、第2の固相カラムに亜硫酸誘導体を吸着させて分離している。すなわち、金属イオンや硫酸イオンなどを多量に含む試料溶液から、極微量に混入するチオ硫酸イオンをチオ硫酸誘導体として、亜硫酸イオンを亜硫酸誘導体として、それぞれ分離することができる。

0065

また、本実施形態によれば、第2の固相カラムに吸着する亜硫酸誘導体を溶離させ、その溶出液に含まれる亜硫酸イオン濃度を吸光光度法により測定することで、金属硫酸塩化合物に含まれる亜硫酸イオン濃度を測定することができる。これにより、クロマトグラフィーでは測定が困難な、高濃度の金属塩を含む試料溶液について、亜硫酸イオンの濃度を選択的に測定することができる。しかも、亜硫酸イオンを誘導体化しているので、試料溶液中での酸化を抑制し、濃度を精度よく測定することができる。

0066

さらに、本実施形態によれば、第1の固相カラムに吸着するチオ硫酸誘導体を溶離させ、その濃度を測定することにより、チオ硫酸イオン濃度も測定することができる。したがって、本実施形態によれば、チオ硫酸イオンおよび亜硫酸イオンをそれぞれ、異なる誘導体として分離し、それぞれの濃度を測定することにより、チオ硫酸イオン濃度および亜硫酸イオン濃度を同時に定量することができる。

0067

なお、本実施形態では、試料溶液のpHを6〜7に調整してチオ硫酸イオンおよび亜硫酸イオンの両方を誘導体化し、これらを同時に定量しているが、亜硫酸イオンのみを定量する場合であれば、試料溶液のpHを7以上に調整して定量してもよい。

0068

以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明は、上述した実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々に改変することができる。

0069

以下、本発明をさらに詳細な実施例に基づき説明するが、本発明は、これら実施例に限定されない。

0070

(実施例1)
溶媒である脱酸素水に10μgのチオ硫酸イオン及び亜硫酸イオンを添加して溶解させ、夾雑物(金属硫酸塩)を含まない試料溶液(以下、サンプル1とする)を得た。
また、脱酸素水に、金属硫酸塩試料であるJIS特級グレードの硫酸ニッケル・六水和物と、10μgのチオ硫酸イオン又は亜硫酸イオンとを添加して溶解させ、夾雑物を含む試料溶液(以下、サンプル2とする)を得た。

0071

各サンプルに酢酸−酢酸ナトリウム緩衝液を添加してpHを6〜7に調整した。その後、各サンプルにジチオピリジン誘導体としてDTNPを添加し、チオ硫酸−DTNP誘導体化合物(チオ硫酸誘導体)と亜硫酸—DTNP誘導体化合物(亜硫酸誘導体)を生成した。続いて、下記条件でコンディショニングした第1の固相カラムおよび第2の固相カラムを用いて、各サンプルからチオ硫酸イオンおよび亜硫酸イオンを分離した。なお、第1の固相カラムは、C18結合型シリカゲルを充填した固相カラムにメタノールを導入して通過させてコンディショニングを行った。第2の固相カラムは、C18結合型シリカゲルを充填した固相カラムに、メタノールと10mMのTBAHSとの混合溶液を導入して通過させてコンディショニングを行った。

0072

続いて、第1および第2の固相カラムから、それぞれに吸着する誘導体を溶離させ、チオ硫酸イオンおよび亜硫酸イオンの各濃度を吸光光度計により測定した。

0073

本実施例では、チオ硫酸イオンおよび亜硫酸イオンの各濃度の測定精度を、添加した既知量のチオ硫酸イオンおよび亜硫酸イオンに対する、第1および第2の固相カラムにて回収される各イオン量の割合、すなわち回収率、により評価した。その評価結果を下記表1に示す。

0074

0075

表1に示すように、夾雑物(金属硫酸塩)を含まないサンプル1では、添加した既知量のチオ硫酸イオンおよび亜硫酸イオンが、回収率100〜105%もしくは98%〜102%で回収されていることが確認された。
また、夾雑物(金属硫酸塩)を含むサンプル2では、サンプル1と同様に、チオ硫酸イオンおよび亜硫酸イオンを高い回収率で回収できることが確認された。
このことから、夾雑物の濃度に関わらず、試料溶液からチオ硫酸イオンおよび亜硫酸イオンを精度よく測定できることが確認された。

0076

(実施例2)
実試料として、工業試薬グレードの硫酸ニッケル・六水和物を用いた。妥当性評価のため、10μgのチオ硫酸イオンもしくは亜硫酸イオンを添加した後に、脱酸素水を用いて試料を溶解し、試料溶液としてサンプルA〜Eを調製した。これらサンプルA〜Eについて、実施例1と同様に処理し、吸光光度計を用いて定量を行った。

0077

表2は、実施例2によって分析を行った結果である。

0078

0079

得られたチオ硫酸イオンおよび亜硫酸イオンの定量値から、サンプルAにはチオ硫酸イオンは定量下限未満であるが、サンプルBには3ppm程度含有することが明らかとなった。亜硫酸イオンは、いずれの試料も含有されていないことが明らかとなった。なお、表2には記載していないが、サンプルC〜EについてもサンプルAと同様の結果となることが確認された。

実施例

0080

以上のように、金属硫酸塩化合物に含まれるチオ硫酸イオンおよび亜硫酸イオンをそれぞれ誘導体化し、その誘導体を、誘導体の種類に応じて異なる吸着性能を示す固相カラムを用いて固相抽出することにより、チオ硫酸イオンおよび亜硫酸イオンを分別して定量できることが分かった。

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