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技術 自動分析装置及びその散乱光測定光学系評価用標準液

出願人 株式会社日立ハイテクノロジーズ
発明者 足立作一郎飯島昌彦風間佑斗
出願日 2016年1月22日 (4年11ヶ月経過) 出願番号 2016-010786
公開日 2017年7月27日 (3年5ヶ月経過) 公開番号 2017-129532
状態 特許登録済
技術分野 光学的測定セル 自動分析、そのための試料等の取扱い 光学的手段による材料の調査、分析
主要キーワード 調整用溶液 各測定回路 濁度標準液 ポイント目 ピーク位置近傍 複数角 散乱光測定装置 ノイズ割合
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (18)

課題

自動分析装置に組み込まれた散乱光測定光学系を調整する。

課題手段

散乱光測定光学系評価用標準液として、不溶性担体透過率が10%〜50%の範囲となる濃度で含有した標準液を用いて、散乱光検出器の出力が予め定めた値となるように光源の光量を調整する。

概要

背景

血清や尿等の検体試薬とを混合した反応液光源からの光を照射し、特定波長における透過光量の変化から吸光度を算出し、ランベルトベールの法則に従い測定物質の濃度を定量する自動分析装置が広く用いられている(特許文献1)。

自動分析装置で測定される反応としては、主に基質酵素の反応による呈色反応と、抗原と抗体の免疫凝集反応の2種類がある。前者の反応を用いた分析生化学分析と呼ばれ、検査項目として酵素、脂質、窒素化合物などがある。後者の反応を用いた分析は免疫分析と呼ばれ、検査項目の中には、微量タンパクCRP)や腫瘍マーカーホルモン、血中薬物などがある。免疫分析の検査項目の中には、低濃度領域における高感度な検出が要求される検査項目や、その定量値臨床診断に対して重要な検査項目が存在する。これらの検査項目では、表面に抗体を感作(結合)させたラテックス粒子増感剤として用いたラテックス免疫比濁法などが用いられる。ラテックス免疫比濁法では、検体内の測定物質を介して試薬に含まれるラテックス粒子同士が凝集凝集塊を生成する。

自動分析装置上では検体と試薬を混合した反応液に光を照射し、散乱されずに透過した透過光量の変化を測定し、検体内に存在する測定物質濃度を定量する。光量変化は測定物質の濃度が高いほど大きくなる。近年は免疫分析項目の測定ニーズが増加しており、免疫分析項目での性能向上が求められている。そのため透過光の光量変化ではなく、より大きな光量変化を捉えやすい散乱光の光量変化を用いて高感度に濃度を定量する方法などが用いられている(特許文献2)。

概要

自動分析装置に組み込まれた散乱光測定光学系を調整する。散乱光測定光学系評価用標準液として、不溶性担体透過率が10%〜50%の範囲となる濃度で含有した標準液を用いて、散乱光検出器の出力が予め定めた値となるように光源の光量を調整する。

目的

これにより装置間で散乱光量のばらつきを持っていたとしても検体内の測定物質濃度を正確に定量することができるが、装置状態を管理し異常を検知するためには、どの装置、どのセルにおいても同じ散乱体は同じ散乱光量を示すことが望まれていた

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

光源と、反応液を収容するセルと、前記光源から前記セルに照射され当該セル内の反応液によって散乱された光を検出する検出器とを有する自動分析装置散乱光測定光学評価用標準液であって、前記セルに分注されたとき透過率が10%〜50%の範囲となる濃度で不溶性担体を含有する標準液。

請求項2

前記セルに分注されたとき透過率が18%〜40%の範囲となる濃度で前記不溶性担体を含有する請求項1記載の標準液。

請求項3

前記セルに分注されたとき透過率が22.4%〜31.6%の範囲となる濃度で前記不溶性担体を含有する請求項1記載の標準液。

請求項4

前記セルは光路長が5mmであり、光路長5mmにおいて透過率が10%〜50%の範囲となる濃度で前記不溶性担体を含有する請求項1記載の標準液。

請求項5

溶媒比重が前記不溶性担体の比重の±25%以内である請求項1記載の標準液。

請求項6

前記不溶性担体は粒径が250〜350nmのラテックス粒子である請求項1記載の標準液。

請求項7

溶媒がグリセリンを15〜25重量%含有するグリセリン水溶液である請求項6記載の標準液。

請求項8

界面活性剤を含む請求項7記載の標準液。

請求項9

光源と、反応液を収容するセルと、前記光源から前記セルに照射され当該セル内の反応液によって散乱された光を検出する検出器とを有する自動分析装置の前記光源の光量を調整する方法であって、前記セルに請求項1記載の標準液を分注する工程と、前記標準液が分注された前記セルに前記光源から光照射し、当該セル内の前記標準液によって散乱された光を前記検出器で検出する工程と、前記検出器の出力が予め定められた値となるように前記光源の光量を調整する工程と、を有する方法。

請求項10

請求項1記載の標準液の代わりに請求項6記載の標準液を用いる請求項9記載の方法。

請求項11

請求項1記載の標準液の代わりに請求項7記載の標準液を用いる請求項9記載の方法。

請求項12

請求項1記載の標準液の代わりに請求項8記載の標準液を用いる請求項9記載の方法。

請求項13

試料を収容する試料カップが配置される試料ディスクと、試薬を収容する試薬ボトルが配置される試薬ディスクと、試料と試薬を混合した反応液を収容するセルが配置される反応ディスクと、前記試料カップから前記セルに試料を分注する試料分注機構と、前記試薬ボトルから前記セルに試薬を分注する試薬分注機構と、光源と、前記光源から前記セル中の反応液に照射された光の散乱光量を測定する散乱光検出器と、を有する自動分析装置において、調整モードを有し、前記調整モードでは、前記セルに前記反応液に代えて不溶性担体を透過率が10%〜50%の範囲となる濃度で含有する標準液を収容し、前記散乱光検出器の出力が予め定めた値となるように前記光源の光量を調整する、自動分析装置。

請求項14

前記標準液は、溶媒がグリセリンを15〜25重量%含有するグリセリン水溶液であり、界面活性剤を含み、前記不溶性担体は粒径が250〜350nmのラテックス粒子である請求項13記載の自動分析装置。

請求項15

前記光源はLEDであり、前記光源の光量調整が前記LEDの駆動電流調整である請求項13記載の自動分析装置。

技術分野

0001

本発明は、血液や尿等の試料に含まれる成分量を分析する自動分析装置、自動分析装置の散乱光測定光学評価用標準液、それを用いた自動分析装置の調整方法に関する。

背景技術

0002

血清や尿等の検体試薬とを混合した反応液光源からの光を照射し、特定波長における透過光量の変化から吸光度を算出し、ランベルトベールの法則に従い測定物質の濃度を定量する自動分析装置が広く用いられている(特許文献1)。

0003

自動分析装置で測定される反応としては、主に基質酵素の反応による呈色反応と、抗原と抗体の免疫凝集反応の2種類がある。前者の反応を用いた分析は生化学分析と呼ばれ、検査項目として酵素、脂質、窒素化合物などがある。後者の反応を用いた分析は免疫分析と呼ばれ、検査項目の中には、微量タンパクCRP)や腫瘍マーカーホルモン、血中薬物などがある。免疫分析の検査項目の中には、低濃度領域における高感度な検出が要求される検査項目や、その定量値臨床診断に対して重要な検査項目が存在する。これらの検査項目では、表面に抗体を感作(結合)させたラテックス粒子増感剤として用いたラテックス免疫比濁法などが用いられる。ラテックス免疫比濁法では、検体内の測定物質を介して試薬に含まれるラテックス粒子同士が凝集凝集塊を生成する。

0004

自動分析装置上では検体と試薬を混合した反応液に光を照射し、散乱されずに透過した透過光量の変化を測定し、検体内に存在する測定物質濃度を定量する。光量変化は測定物質の濃度が高いほど大きくなる。近年は免疫分析項目の測定ニーズが増加しており、免疫分析項目での性能向上が求められている。そのため透過光の光量変化ではなく、より大きな光量変化を捉えやすい散乱光の光量変化を用いて高感度に濃度を定量する方法などが用いられている(特許文献2)。

先行技術

0005

U.S. Patent 4,451,433
特許第5318206号公報

発明が解決しようとする課題

0006

自動分析装置では、多数のセル円周上に配置し、それぞれのセル内で検体と試薬を反応させ検体内の測定物質濃度を定量する。未知の濃度の測定物質を測定する前に、予め既知の濃度の測定物質を測定し、測定物質濃度と光量変化との関係を調べたキャリブレーションカーブを作成する。これにより装置間で散乱光量のばらつきを持っていたとしても検体内の測定物質濃度を正確に定量することができるが、装置状態を管理し異常を検知するためには、どの装置、どのセルにおいても同じ散乱体は同じ散乱光量を示すことが望まれていた。例えば特開2014−119425号公報においては散乱光量をセルごとに補正することが行われていた。

0007

しかし、その自動分析装置上においてばらつきを評価するための好適な散乱体は知られていなかった。市販の散乱体としてはオパール拡散板結晶化ガラステフロン系材料を用いた固体散乱体がある。これらは固体であるため自動分析装置上で通常の分析動作を用いての反応液位置への設置が困難であるといった問題があった。また、固体散乱体は個体ごとのばらつきが大きいという問題があった。そのため液体の散乱体が望まれていた。

0008

濁度計等に用いられている濁度標準液は、液体散乱体であることから通常の分析動作を用いた反応液位置への設置は容易であり、その点有用である。しかし、例えば濁度計標準液100度では粒径0.5μm,1.0μm,2.0μm,5.0μm,10.0μmなど大きな粒子が混合されており、自動分析装置用ラテックス試薬として使用されている粒径0.3μm程度の粒子が混合されていないこと、長時間放置すると粒子が沈降すること、自動分析装置上の試薬は冷蔵保存が一般的であり、セルに分注した際に恒温槽(37℃一定)により昇温されて溶存酸素発泡し、セルの壁面に気泡が発生しやすいこと、といった課題があった。このように、自動分析装置用ラテックス試薬の反応による光量変化を測定するための、光散乱光度計の光学系評価用散乱体(標準液)は公知でなかった。

課題を解決するための手段

0009

本発明では、光源と、反応液を収容するセルと、光源からセルに照射され当該セル内の反応液によって散乱された光を検出する検出器とを有する自動分析装置の散乱光測定光学系評価用の標準液として、セルに分注されたとき透過率が10%〜50%の範囲となる濃度で不溶性担体を含有した標準液を用いる。標準液は、セルに分注されたとき透過率が18%〜40%の範囲となる濃度で不溶性担体を含有するとより好ましく、セルに分注されたとき透過率が22.4%〜31.6%の範囲となる濃度で不溶性担体を含有すると更に好ましい。セルの光路長は例えば5mmとすることができ、不溶性担体は粒径が250〜350nmのラテックス粒子とすることができる。

発明の効果

0010

本発明によると、標準液の濃度の誤差の影響を低減して光源や検出器を含む散乱光測定光学系全体を評価することができる。これにより信頼性の高い散乱光測定装置を臨床サイドに提供することが可能となる。
上記した以外の、課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。

図面の簡単な説明

0011

光散乱光度計の構成例を示す模式図。
ラテックス溶液の散乱光量の吸光度依存性を表す実験結果を示す図。
散乱光量の吸光度依存性傾向の説明図。
光路長ごとの溶液の透過率と溶液の吸光度の関係を示す図。
ラテックス溶液の散乱光量の吸光度依存性の実験結果と計算結果の比較図。
光路長5mmセルで測定した場合の溶液の吸光度と透過率の関係を示す図。
自動分析装置の全体構成例を示す概略図。
吸光度測定部の構成例を示す模式図。
散乱光測定部の構成例を示す模式図。
吸光光度計にて濁度標準液を測定したデータを示す図。
散乱光度計にて濁度標準液を測定したデータを示す図。
市販ラテックス試薬の散乱光の揺らぎの吸光度依存性を示す図。
光学系評価用の標準液を吸光度測定部にて測定した結果を示す図。
光学系評価用の標準液を散乱光測定部にて測定した結果を示す図。
光量調整用LED光調整画面の例を示す模式図。
装置間における測定値のばらつきの評価結果を示す図。
ラテックス粒子の粒径と散乱光受光器の出力の関係を示す図。

実施例

0012

以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。

0013

図1は、散乱光の光量を測定する光散乱光度計の構成例を示す模式図である。散乱光測定用の光源41からの光42を、恒温流体15で温調されたセル8の中の溶液7に照射する。透過光44を透過光受光器46にて受光するとともに、20°方向の散乱光43を散乱光受光器45で受光する。

0014

図2は、溶液7にラテックス溶液を用い、濃度を変化させて散乱光量を測定した実験結果を示す図である。溶液7を入れるセル8には光路長5mmのセルを用いた。ただし、本明細書中では溶液の吸光度はすべて光路長10mmで測定した場合の吸光度に換算する。例えばある溶液の透過率が光路長5mmセルにおいて10%であったとしても、溶液の吸光度の表記は光路長10mmで測定した場合に換算するため、2.0absとして表記する。ラテックス溶液に含有させるラテックス粒子には粒径100nm,200nm,300nm,400nmの粒子を用いた。図2から、どの粒径においても1.15abs近辺で散乱光量が最大になり、そのときには粒子の濃度(吸光度)が変化しても散乱光量が大きく変化しないことがわかる。

0015

図3は、散乱光量の粒子濃度依存性の考え方を示した説明図である。粒子の数(吸光度)に比例して発生する散乱光(理想散乱光強度)は増加するが、散乱光は他の粒子により更に散乱され、溶液の透過率分のみが透過し受光器に受光される。ある方向の散乱光受光器にて測定される理想の散乱光強度をIideal,溶液の透過率をTとすると、受光される散乱光Is(θ)は式1にて表される。

0016

[式1]

0017

ここでは多重散乱を考えず、単純に一回散乱した散乱光のみが受光されると考える。溶液中の粒子の単位体積あたりの数密度をn、照射光が照射され計測される溶液の体積をV、粒子一つが受ける光のエネルギーに対してθ方向に散乱する効率をi(θ)、散乱光の受光効率立体角分)をEr、反応液への照射光量をI0とすると、Iidealは、式2にて表される。

0018

[式2]

0019

一方透過率Tは、散乱光受光器までの溶液中の光路長をLs,溶液の吸光度をAとして以下の式3で表される。

0020

[式3]

0021

式2と式3から、式1は式4のように表される。

0022

[式4]

0023

式4を微分し、傾きが0であり散乱光量が最大となる溶液の吸光度A1を求めると、A1は式5で表される。

0024

[式5]

0025

式5より、多重散乱の影響を考えなければ、例えば光路長5mmの場合は、吸光度0.8686absにおいて散乱光量が最大になると算出される。散乱光受光器までの溶液中の光路長は、直進する光に対して角度をもつため光路長(セルの光路長)よりも若干長くなるが、ここでは無視しセルの光路長と同じとした。また、上記計算では散乱光量が最大となる溶液の吸光度を算出したが、この吸光度は透過率で考えると1/e(≒透過率36.8%)と算出できる。

0026

図4は、セルの光路長10mm,5mm,3mmそれぞれにおける、透過率(%)と溶液の吸光度(光路長10mm換算)の関係を示す図である。透過率36.8%となる溶液の吸光度は溶液を通過する光路長に依存するため、セルの光路長が変われば、極大を示す溶液の吸光度は変わるが、透過率36.8%において極大を示す計算結果は変わらない。たとえば散乱光の受光角度が20°でなく90°であっても溶液を通過する光路長が5mmであれば0.8686absにおいて散乱光量が最大となる傾向は同じである。

0027

図5は、図2において粒径300nmの実験結果と計算結果を比較して示したグラフである。ただし、縦軸は、希釈系列No.1のプロットにおいて実験結果(実測)と計算結果の散乱光量が一致するように規格化した。

0028

図5における実験結果と計算結果の乖離分は多重散乱の影響と考えられる。ピーク位置は計算値の0.8686absより1.15absと吸光度にして1.3倍ほどずれている。図2及び図5より実測ではラテックス粒径に関わらず、概ね1.15abs近傍、すなわち1.0〜1.3absの範囲でピークをもつことが分かった。図2より0.8〜1.5abs程度であれば散乱光量にほぼ濃度依存性がなく、さらに高濃度側は濃度依存性が少ないため、実用的には0.6〜2.0abs程度であれば濃度依存性が少なく使用することができると考えられる。

0029

図6は、光路長5mmのセルにおける溶液の吸光度と透過率の関係を示す図である。吸光度は光路長5mmのセルで測定し、光路長10mm換算での吸光度を示している。図6から、上述の吸光度を透過率に換算すると実用的には透過率10%〜50%の範囲で測定できれば良く、精度を良くするには透過率18%〜40%で測定できれば良く、さらに高精度には透過率22.4%から31.6%となるような溶液濃度で測定することで、散乱光量の濃度依存性が少なく安定した測定が可能になる。

0030

次に、溶液の散乱光を測定し、その時間変化に基づいて検体中の測定物質の濃度を定量する自動分析装置の具体例について説明する。図7は、本実施例に係る自動分析装置の全体構成例を示す概略図である。

0031

本実施例に係る自動分析装置は、試料ディスク3、試薬ディスク6、反応ディスク9の3種類のディスクと、これらのディスク間で試料や試薬を移動させる分注機構10,11、これらを制御する制御回路23、反応液の吸光度を測定する吸光度測定回路24、反応液からの散乱光を測定する散乱光測定回路25、各測定回路で測定されたデータを処理するデータ処理部26、データ処理部26とのインターフェースである入力部27及び出力部28、散乱光光源の光量を調整できる散乱用光源駆動回路29を備える。なお、データ処理部26は、データ格納部2601と解析部2602を有する。データ格納部2601には、制御データ、測定データ、データ解析に用いるデータ、解析結果データ等が格納される。入力部27及び出力部28は、データ格納部2601との間でデータを入出力する。図7の例では、入力部27がキーボードの場合を表しているが、タッチパネルテンキーその他の入力装置でも良い。

0032

試料ディスク3の円周上には、試料1の収容容器である試料カップ2が複数配置される。試料1は例えば血液である。試薬ディスク6の円周上には、試薬4の収容容器である試薬ボトル5が複数配置される。反応ディスク9の円周上には、試料1と試薬4を混合させた反応液7の収容容器であるセル8が複数配置される。試料分注機構10は、試料カップ2からセル8に試料1を一定量移動させる際に使用する機構である。試料分注機構10は、例えば溶液を吐出又は吸引するノズルと、ノズルを所定位置位置決め及び搬送するロボット、溶液をノズルから吐出又はノズルに吸引するポンプで構成される。試薬分注機構11は、試薬ボトル5からセル8に試薬4を一定量移動させる際に使用する機構である。試薬分注機構11も、例えば溶液を吐出又は吸引するノズルと、ノズルを所定位置に位置決め及び搬送するロボット、溶液をノズルから吐出又はノズルに吸引するポンプで構成される。攪拌部12は、セル8内で、試料1と試薬4を攪拌し混合させる機構部である。洗浄部14は、分析処理が終了したセル8から反応液7を排出し、その後、セル8を洗浄する機構部である。洗浄終了後のセル8には、再び、試料分注機構10から次の試料1が分注され、試薬分注機構11から新しい試薬4が分注され、別の反応処理に使用される。反応ディスク9において、セル8は、温度及び流量が制御された恒温槽内の恒温流体15に浸漬されている。このため、セル8及びその中の反応液7は、反応ディスク9による移動中も、その温度は一定に保たれる。本実施例の場合、恒温流体15として水を使用し、その温度は制御回路23により37±0.1℃に温度調整される。勿論、恒温流体15として使用する媒体や温度は一例である。反応ディスク9の円周上の一部には、吸光度測定部13と散乱光測定部16が配置される。吸光度測定部13は吸光光度計、散乱光測定部16は散乱光度計とも称する。

0033

図8は、吸光度測定部13の構成例を示す模式図である。図8に示す吸光度測定部13は、ハロゲンランプ光源31から射出された光をセル8に照射し、セル8を透過した光32を回折格子33で分光し、フォトダイオードアレイ34で受光する構造を有している。フォトダイオードアレイ34で受光する波長は一例として、340nm,405nm,450nm,480nm,505nm,546nm,570nm,600nm,660nm,700nm,750nm,800nmである。これら受光器による受光信号は、吸光度測定回路24を通じ、データ処理部26のデータ格納部2601に送信される。ここで、吸光度測定回路24は、一定期間毎に各波長域の受光信号を取得し、取得された光量値をデータ処理部26に出力する。

0034

図9は、散乱光測定部16の構成例を示す模式図である。本実施例の場合、光源41には、例えばLED光源ユニットを使用する。LED光源ユニットから射出された照射光42はその光路上に位置するセル8に照射され、セル8を透過した透過光44が透過光受光器46において受光される。照射光の波長には、例えば700nmを使用する。本実施例では、光源41としてLED光源ユニットを使用したが、レーザ光源キセノンランプ、ハロゲンランプ等を用いても良い。

0035

散乱光測定部16は、照射光42又は透過光44の光軸に対し、空気中において角度20°だけ離れた方向の散乱光43aを散乱光受光器45aで受光する。また、散乱光測定部16は、照射光42又は透過光44の光軸に対し、空気中において角度30°だけ離れた方向の散乱光43bを散乱光受光器45bで受光する。散乱光受光器45a,45bは、例えばフォトダイオードで構成する。これら散乱光受光器45a,45bの受光信号は、散乱光測定回路25を通じ、データ処理部26のデータ格納部2601に送信される。散乱光測定回路25も、一定期間毎に受光角度が異なる2つの受光信号を取得し、取得された光量値をデータ処理部26に出力する。

0036

散乱光受光器45a,45bは、反応ディスク9の回転によるセル8の移動方向に対して概ね垂直である面内に配置される。ここでは、受光角度の基準位置(散乱の起点)を、セル8内を通過する光の光路の中央部に設定している。

0037

図9では、受光角度20°と30°にそれぞれ対応するように散乱光受光器45a及び45bを配置する場合について説明したが、受光器を内部に多数保持する単体リニアアレイを配置し、複数角度の散乱光を一度に受光する構成であってもよい。リニアアレイを用いることにより、受光角度の選択肢を広げることができる。また、受光器でなく、ファイバレンズなどの光学系を配置し、別位置に配置された散乱光受光器に光を導いても良い。また散乱光受光器が一つであっても良い。

0038

検体(試料)1に含まれる測定物質濃度の定量は、次の手順により行われる。まず、制御回路23は、洗浄部14を駆動し、セル8を洗浄する。次に、制御回路23は、試料分注機構10を駆動し、試料カップ2内の試料1をセル8に一定量分注する。次に、制御回路23は、試薬分注機構11を駆動し、試薬ボトル5内の試薬4をセル8に一定量分注する。各溶液の分注時、制御回路23は、それぞれに対応する駆動部により、試料ディスク3、試薬ディスク6、反応ディスク9を回転駆動させる。この際、試料カップ2、試薬ボトル5、セル8は、それぞれに対応する分注機構の駆動タイミングに応じ、所定の分注位置に位置決めされる。続いて、制御回路23は、攪拌部12を制御して、セル8内に分注された試料1と試薬4とを攪拌し、反応液7を生成する。反応ディスク9の回転により、反応液7を収容するセル8は、吸光度測定部13が配置された測定位置と散乱光測定部16が配置された測定位置をそれぞれ通過する。セル8が測定位置を通過するたび、その中の反応液7からの透過光又は散乱光は、それぞれ対応する吸光度測定部13又は散乱光測定部16によって測定される。本実施例の場合、各測定時間は約10分である。吸光度測定部13及び散乱光測定部16による測定データはデータ格納部2601に順次出力され、反応過程データとして蓄積される。

0039

この反応過程データの蓄積の間、必要であれば、別の試薬4を試薬分注機構11によりセル8に追加で分注し、攪拌部12により攪拌し、さらに一定時間測定する。これにより、一定の時間間隔で取得された反応過程データが、データ格納部2601に格納される。

0040

濃度定量はユーザーが予め選択した散乱光受光器45a又は散乱光受光器45bのどちらかの散乱角度でのデータ格納部2601に蓄積された反応過程データから算出される。どちらの散乱角度の散乱光受光器を用いるかは測定項目ごとに指定される。

0041

図10は、検体・試薬として濁度標準液100度の溶液を自動分析装置に設置し、装置上の分析動作によりセル位置において吸光度測定部13にて測定したデータを示す図である。濁度標準液100度の組成は粒径0.5μm,1.0μm,2.0,μm,5.0μm,10.0μmの粒子の混合であり、溶液の吸光度は0.22abs程度である。なお、この溶液の光路長5mmセルでの透過率は77.6%となる。図10横軸に示す測光ポイントは反応過程データが測定された順番を表しており、1ポイント目から34ポイント目までで約10分間である。図10の縦軸は吸光度測定回路24で測定された吸光度を示している。また、図11は、同じ溶液を散乱光測定部16にて測定した結果を示す図である。図11の縦軸は散乱光測定回路25で測定された散乱光量を示している。

0042

図10図11ともに20個のセルに対する測定を重ね書きしているが、一つの測定において時間が経つにつれて測定値が増加しドリフトしているものが見られる。これはセル壁面に付着した気泡が成長し、散乱光量が増大したためと考えられる。また、図11の散乱光測定の結果から測定値のゆらぎを、測光ポイント20〜34までの測定データの標準偏差(N)を平均値(B)で割ったものを反応過程ノイズ割合(N/B)として算出すると、N/Bは0.17%であった。反応過程内ノイズ割合(N/B)は低いほうが高精度に測光でき、再現性が向上するため好ましい。

0043

本実施例の自動分析装置において、生理食塩水を検体として市販ラテックス試薬を混合し、反応させない状態で散乱光測定部16にて測光した反応過程データのノイズ割合N/B(%)を算出した。図12は、横軸を吸光度にしてプロットしたデータを示す図である。図12からベース吸光度、すなわち反応前の吸光度が大きくなるほどN/Bが低減していることがわかった。吸光度0.6abs〜2.0abs程度であればN/Bは0.04%以下であり、測定値の揺らぎが少なく高精度に測光できることがわかった。これらは固定ノイズ成分が、濃度が高くなることにより減少する効果とともに、散乱光量の濃度依存性が少ない図2における散乱光のピーク位置近傍においては、対流などによる測定体積内の粒子の濃度むらの影響が少ないことを示唆しており、測定値の揺らぎが最小になったと考えられる。

0044

そこで自動分析装置の散乱光測定光学系評価用の標準液として本実施例では、不溶性担体として粒径300nmのラテックス粒子を含む、吸光度1.13absのラテックス溶液を用いた。不溶性担体である比重1.05のラテックス粒子を分散させる溶媒には、比重調整用溶液として比重1.26のグリセリンを20重量%含有したグリセリン水溶液を用いた。比重調整用溶液は、不溶性担体を分散させる溶媒の比重を不溶性担体の比重に概ね一致するようにするためのものである。溶媒の比重を不溶性担体の比重に対して例えば±25%以内として両者の比重をほぼ一致させることによって、標準液中での不溶性担体の沈降を防止することができる。具体的にはラテックス粒子を分散させる溶媒として15〜25重量%のグリセリンを含有する水溶液を用いても、ラテックス粒子の原料であるポリスチレンと比重を概ね一致させることができ、ラテックス粒子の沈降抑制効果が得られる。また、界面活性剤としてTritonX-100を0.5%混合させた。標準液に界面活性剤を混合することにより、セル壁面の濡れ性を向上させ、セルに溶液を分注した後の気泡の成長による光量変化を抑制でき、安定した散乱光測光が可能となる。

0045

図13は、この散乱光測定光学系評価用の標準液をセル8に分注して吸光度測定部13にて測定した結果を示す図である。また、図14は、この散乱光測定光学系評価用の標準液をセル8に分注して散乱光測定部16にて測定した結果を示す図である。どちらにおいても標準液に界面活性剤を混合させたため、セル壁面に気泡が付着して成長することが無く、測定値にドリフトは見られない。また、測光ポイント20〜34までの測定データから求められるN/Bは0.03%と低く抑えられていることがわかった。これにより本実施例の標準液を用いると、不溶性担体粒子の濃度むらの影響なく、高精度に光学系を評価できることがわかる。なお、図13及び図14において最初の数点の測定ポイントにみられる出力変動は、分注及び攪拌に起因して生じた出力変動である。

0046

標準液に含有されるラテックス粒子等の不溶性担体の濃度は、セルに分注されたとき吸光度0.6〜2.0absの濃度あるいは透過率が10%〜50%の範囲となる濃度であればよく、より好ましくは吸光度0.8〜1.5absの濃度あるいは透過率が18%〜40%の範囲となる濃度で、更に好ましくは吸光度1.0〜1.3absの濃度あるいは透過率が22.4%〜31.6%の範囲となる濃度で不溶性担体を含有するとよい。また、ラテックス粒子の粒径は250〜350nmとするのが好ましい。

0047

図15は、出力部28に表示される光量調整用のLED光量調整画面の例を示す模式図である。本実施例の自動分析装置は通常の分析モードに加えて光源光量調整モードを有し、調整モードを選択したとき図15に示したLED光量調整画面が表示される。

0048

光源光量調整モードでは、自動分析装置の反応液を収容するセルに散乱光測定光学系評価用の標準液、すなわちセルに分注されたとき吸光度0.6〜2.0absとなる濃度あるいは透過率が10%〜50%の範囲となる濃度で不溶性担体を含有する標準液を分注し、標準液が分注されたセルに光源から光照射し、当該セル内の標準液によって散乱された光を散乱光検出器で検出し、散乱光検出器の出力が予め定められた値となるように光源の光量を調整する。

0049

本実施例のLED光量調整画面には、散乱光測定部16の透過光受光器46及び散乱光受光器45a,45bで受光した光量に対して回路上の固定値であるベースカウント(光量が0のときの値)6667を足した値がデジタル表示される。ここでは粒径300nm、濃度1.13absの評価用ラテックス溶液を測定した場合に散乱角20°におけるADC回路出力値が14000±100になるように散乱用光源駆動回路29のLED駆動電流値を調整した。LED駆動電流値の調整はソフト上で装置画面から自動で行うことでも達成でき、その場合は変更が容易であるメリットがある。

0050

図16は、本実施例で用いたのと同じ構造の3台の自動分析装置において光源の光量調整を行う前と後での散乱角20°及び30°における散乱光量の値を示す図である。光源光量調整前には乖離率((MAX−MIN)/MIN×100(%))が18%程度ありばらついていたが、光量調整により乖離率を6%程度に抑制することができた。光量調整には20°の散乱光受光器を用いて出力値が±2%以下になるように調整した。受光角度ごとに設置した受光器の感度ばらつき等があるため、完全には一致しないが、光量ばらつきを低減することができた。このように、本実施例の標準液を用いて自動分析装置の出荷時や光源交換時に光源として用いるLEDの光量調整を行うことにより、出荷時や光源交換時の装置間差を低減することができる。

0051

また、上記実施例では不溶性担体として粒径300nmのラテックス粒子を用いたが、粒径250nmから350nmの粒子を用いれば、自動分析装置上で測定するラテックス試薬と粒径が一致し、散乱光量も一致しやすいので好ましい。

0052

なお、粒径の違いによる散乱光量の違いを予め測定しておき、粒径と散乱光量の関係を把握しておけば、粒径が微小に変化するラテックス粒子のロット間差においても補正により対応することができる。図17は、ラテックス粒子の粒径と散乱光受光器からの信号のADC出力値の関係を示す図である。ラテックス粒子の粒径が310nmの場合にLED駆動電流を変化させADC出力値を14385に合わせれば、粒径300nmのときにADC出力値14000にあわせるのと同じことがわかる。また本実施例ではLED駆動電流を調整し装置間差をなくしたが、回路のアンプ倍率等を補正することで装置間差を無くすことも可能である。

0053

なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。

0054

2試料カップ
3試料ディスク
5試薬ボトル
6試薬ディスク
8セル
9反応ディスク
13吸光度測定部
16散乱光測定部
26データ処理部

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