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技術 レーダ装置及び物標追尾方法

出願人 古野電気株式会社
発明者 藤岡大輔
出願日 2016年1月22日 (5年11ヶ月経過) 出願番号 2016-010579
公開日 2017年7月27日 (4年5ヶ月経過) 公開番号 2017-129520
状態 特許登録済
技術分野 交通制御システム レーダ方式及びその細部
主要キーワード レーダ制御装置 パルスペア 複数スキャン 追尾判定 相対速 ドップラ速度 スイープメモリ 代表位置
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (6)

課題

TT機能を有するレーダ装置において、衝突可能性が高い物標のみを簡単な処理で抽出し、当該物標を自動的に追尾する構成を提供する。

解決手段

レーダ装置1は、接近速度算出部24と、追尾判定部26と、追尾処理部27と、表示制御部22と、を備える。前記接近速度算出部24は、レーダアンテナ11が送受信した電磁波の位相変化に基づいて、反射波が得られた物標の電磁波の送信方向の速度成分である接近速度を算出する。前記追尾判定部26は、前記物標の前記接近速度に基づいて、当該物標の追尾するか否かを判定する。追尾処理部27は、追尾判定部26が追尾すると判定した物標を自動的に追尾する。表示制御部22は、追尾処理部27による追尾結果レーダ映像とともに表示する。

概要

背景

従来から、レーダアンテナが受信したエコー信号に基づいて、物標追尾するTT(Target Tracking)機能を有するレーダ装置が知られている。TT機能とは、過去のレーダ映像推移に基づいて自船周囲に存在する物標の位置の推移を検出する機能である。このTT機能により、例えば自衝突の可能性がある物標を、所定のシンボルを付記して表示することができる。

特許文献1は、TT機能を有するレーダ装置を開示する。特許文献1のレーダ装置は、自船の後方に所定の領域を設定し、追尾中の物標がこの領域内に位置したときに物標の追尾を停止する。

特許文献2は、過去の物標データを記憶し、この過去の物標データを遡って用いることで、ユーザに指定された特定の物標の現在の速度ベクトルを算出する。

特許文献3は、自船への衝突可能性があると判定された物標について自動的に追尾を開始するレーダ装置を開示する。特許文献3のレーダ装置は、物標までの距離、物標の速度、CPA(Closest Point of Approach)等に基づいて衝突可能性を判定する。このうち物標の速度については、スキャン毎に得られる物標の位置の変化に基づいて、当該物標の速度を求めている。

概要

TT機能を有するレーダ装置において、衝突可能性が高い物標のみを簡単な処理で抽出し、当該物標を自動的に追尾する構成を提供する。レーダ装置1は、接近速度算出部24と、追尾判定部26と、追尾処理部27と、表示制御部22と、を備える。前記接近速度算出部24は、レーダアンテナ11が送受信した電磁波の位相変化に基づいて、反射波が得られた物標の電磁波の送信方向の速度成分である接近速度を算出する。前記追尾判定部26は、前記物標の前記接近速度に基づいて、当該物標の追尾するか否かを判定する。追尾処理部27は、追尾判定部26が追尾すると判定した物標を自動的に追尾する。表示制御部22は、追尾処理部27による追尾結果をレーダ映像とともに表示する。

目的

本発明は以上の事情に鑑みてされたものであり、その主要な目的は、TT機能を有するレーダ装置において、衝突可能性が高い物標のみを簡単な処理で抽出し、当該物標を自動的に追尾する構成を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

レーダアンテナ送受信した電磁波の位相変化又は周波数変化に基づいて、反射波が得られた物標の前記電磁波の送信方向の速度成分である接近速度を算出する接近速度算出部と、前記物標の前記接近速度に基づいて、当該物標を追尾するか否かを判定する追尾判定部と、前記追尾判定部が追尾すると判定した前記物標を自動的に追尾する追尾処理部と、前記追尾処理部による追尾結果レーダ映像とともに表示する表示制御部と、を備えることを特徴とするレーダ装置

請求項2

請求項1に記載のレーダ装置であって、前記追尾判定部は、1スキャンで算出された前記接近速度に基づいて、前記物標を追尾するか否かを判定することを特徴とするレーダ装置。

請求項3

請求項1に記載のレーダ装置であって、複数スキャンで算出された複数の前記接近速度を前記物標毎に記憶する記憶部を更に備え、前記追尾判定部は、1スキャンで算出された前記接近速度に基づいて、追尾候補となる前記物標を抽出する第1抽出部と、前記第1抽出部が抽出した前記物標のみについて、複数スキャンで算出された複数の前記接近速度に基づいて、前記物標を追尾するか否かを判定する第2抽出部と、を備えることを特徴とするレーダ装置。

請求項4

請求項3に記載のレーダ装置であって、前記第2抽出部は、複数スキャンで得られたレーダエコーについて、同一の前記物標に基づくレーダエコーを特定する特定処理を行い、当該特定処理では、少なくとも前記接近速度を用いて、同一の前記物標に基づくレーダエコーを特定することを特徴とするレーダ装置。

請求項5

請求項1から4までの何れか一項に記載のレーダ装置であって、前記接近速度は、前記電磁波の送信方向における前記物標の速度成分であることを特徴とするレーダ装置。

請求項6

請求項1から4までの何れか一項に記載のレーダ装置であって、前記接近速度は、前記電磁波の送信方向における自装置に対する前記物標の相対速度であることを特徴とするレーダ装置。

請求項7

請求項1から6までの何れか一項に記載のレーダ装置であって、前記物標の代表位置を定める代表点を検出する代表点検出部を備え、前記追尾判定部は、前記レーダアンテナが1スキャンで受信した、前記物標からの複数の前記電磁波毎に算出された複数の前記接近速度に基づいて、当該物標を追尾するか否かを判定することを特徴とするレーダ装置。

請求項8

レーダアンテナが送受信した電磁波の位相変化又は周波数変化に基づいて、反射波が得られた物標の前記電磁波の送信方向の速度成分である接近速度を算出する接近速度算出工程と、前記物標の前記接近速度に基づいて、当該物標を追尾するか否かを判定する追尾判定工程と、前記追尾判定工程で追尾すると判定した前記物標を自動的に追尾する追尾処理工程と、前記追尾処理工程による追尾結果をレーダ映像とともに表示する表示制御工程と、を含むことを特徴とする物標追尾方法

請求項9

請求項8に記載の物標追尾方法であって、前記追尾判定工程では、1スキャンで算出された前記接近速度に基づいて、前記物標を追尾するか否かを判定することを特徴とする物標追尾方法。

請求項10

請求項8に記載の物標追尾方法であって、複数スキャンで算出された複数の前記接近速度を前記物標毎に記憶する記憶工程を更に含み、前記追尾判定工程では、1スキャンで算出された前記接近速度に基づいて、追尾候補となる前記物標を抽出する第1抽出処理と、前記第1抽出処理で抽出した前記物標のみについて、複数スキャンで算出された複数の前記接近速度に基づいて、前記物標を追尾するか否かを判定する第2抽出処理と、を行うことを特徴とする物標追尾方法。

技術分野

0001

本発明は、主として、物標追尾する機能を有し、物標を追尾するか否かを判定するレーダ装置に関する。

背景技術

0002

従来から、レーダアンテナが受信したエコー信号に基づいて、物標を追尾するTT(Target Tracking)機能を有するレーダ装置が知られている。TT機能とは、過去のレーダ映像推移に基づいて自船周囲に存在する物標の位置の推移を検出する機能である。このTT機能により、例えば自衝突の可能性がある物標を、所定のシンボルを付記して表示することができる。

0003

特許文献1は、TT機能を有するレーダ装置を開示する。特許文献1のレーダ装置は、自船の後方に所定の領域を設定し、追尾中の物標がこの領域内に位置したときに物標の追尾を停止する。

0004

特許文献2は、過去の物標データを記憶し、この過去の物標データを遡って用いることで、ユーザに指定された特定の物標の現在の速度ベクトルを算出する。

0005

特許文献3は、自船への衝突可能性があると判定された物標について自動的に追尾を開始するレーダ装置を開示する。特許文献3のレーダ装置は、物標までの距離、物標の速度、CPA(Closest Point of Approach)等に基づいて衝突可能性を判定する。このうち物標の速度については、スキャン毎に得られる物標の位置の変化に基づいて、当該物標の速度を求めている。

先行技術

0006

特開2004−309246号公報
特開2000−304853号公報
特開2014−235040号公報

発明が解決しようとする課題

0007

特許文献3では、物標の速度に基づいて追尾を開始するか否かを判定している。しかし、特許文献3では、物標の速度の向きを考慮していないため、自船に近づいている物標も自船から遠ざかっている物標も同様に扱われる。また、特許文献2及び3では、物標の位置変化を用いて物標の速度を算出しているため、前回スキャンと今回のスキャンとの間で、同じ物標に基づくレーダエコーを特定する必要があるため、処理量が多くなる。

0008

本発明は以上の事情に鑑みてされたものであり、その主要な目的は、TT機能を有するレーダ装置において、衝突可能性が高い物標のみを簡単な処理で抽出し、当該物標を自動的に追尾する構成を提供することにある。

課題を解決するための手段及び効果

0009

本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段とその効果を説明する。

0010

本発明の観点によれば、以下の構成のレーダ装置が提供される。即ち、このレーダ装置は、接近速度算出部と、追尾判定部と、追尾処理部と、表示制御部と、を備える。前記接近速度算出部は、レーダアンテナが送受信した電磁波の位相変化又は周波数変化に基づいて、反射波が得られた物標の前記電磁波の送信方向の速度成分である接近速度を算出する。前記追尾判定部は、前記物標の前記接近速度に基づいて、当該物標を追尾するか否かを判定する。前記追尾処理部は、前記追尾判定部が追尾すると判定した前記物標を自動的に追尾する。前記表示制御部は、前記追尾処理部による追尾結果をレーダ映像とともに表示する。

0011

これにより、物標が自装置に向かう速度である接近速度に基づいて物標を追尾するか否かを判定できるので、自装置(詳細には自装置を搭載した移動体等)への衝突可能性が高い物標を自動的に追尾することができる。また、特許文献2及び3のように物標の位置変化を用いて接近速度を算出する場合は、前回のスキャンと今回のスキャンとの間で、同じ物標に基づくレーダエコーを特定する必要があるため、処理量が多くなる。この点、電磁波の位相変化又は周波数変化を用いて接近速度を算出することにより、特許文献2及び3のようなレーダエコーの特定処理を行うことなく、1スキャンで物標の接近速度を算出できるため、接近速度の算出に掛かる処理量を低減することができる。

0012

前記のレーダ装置においては、前記追尾判定部は、1スキャンで算出された前記接近速度に基づいて、前記物標を追尾するか否かを判定することが好ましい。

0013

これにより、特許文献2及び3と異なり、1スキャンで物標の接近速度を算出できるので、物標を追尾するか否かの判定を素早く行うことができる。

0014

前記のレーダ装置においては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、複数スキャンで算出された複数の前記接近速度を前記物標毎に記憶する記憶部を更に備える。前記追尾判定部は、第1抽出部と、第2抽出部と、を備える。前記第1抽出部は、1スキャンで算出された前記接近速度に基づいて、追尾候補となる前記物標を抽出する。前記第2抽出部は、前記第1抽出部が抽出した前記物標のみについて、複数スキャンで算出された複数の前記接近速度に基づいて、前記物標を追尾するか否かを判定する。

0015

これにより、第2抽出部では複数の接近速度に基づいて判定を行うため、同じ物標に基づくレーダエコーを特定する必要があり、処理量が多くなる。この点、上記の構成では、第1抽出部が抽出した物標のみについて第2抽出部が判定を行うため、処理量を大幅に低減することができる。

0016

前記のレーダ装置においては、前記第2抽出部は、複数スキャンで得られたレーダエコーについて、同一の前記物標に基づくレーダエコーを特定する特定処理を行い、当該特定処理では、少なくとも前記接近速度を用いて、同一の前記物標に基づくレーダエコーを特定することが好ましい。

0017

これにより、接近速度算出部が求めた接近速度を、追尾の判定だけでなく、レーダエコーの特定にも用いることができる。

0018

前記のレーダ装置においては、前記接近速度は、前記電磁波の送信方向における前記物標の速度成分であることが好ましい。

0019

これにより、移動していない物標(即ち航路ブイ等)を検出できるので、移動していない物標が追尾されることを防止できる。

0020

前記のレーダ装置においては、前記接近速度は、前記電磁波の送信方向における自装置に対する前記物標の相対速度であることが好ましい。

0021

これにより、物標が自装置に近づく速度を正確に検出できるので、自装置への衝突可能性が高い物標のみを選択して追尾することができる。

0022

前記のレーダ装置においては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、このレーダ装置は、前記物標の代表位置を定める代表点を検出する代表点検出部を備える。前記追尾判定部は、前記レーダアンテナが1スキャンで受信した、前記物標からの複数の前記電磁波毎に算出された複数の前記接近速度に基づいて、当該物標を追尾するか否かを判定する。

0023

これにより、複数の接近速度に基づいて判定を行うため、判定の精度を向上させることができる。

図面の簡単な説明

0024

本発明の一実施形態に係るレーダ装置のブロック図。
表示部に表示されるレーダ映像の例を示す図。
ドップラ相対速度VX1,VY1,VZ1を説明する図。
ドップラ絶対速度VX2-0,VY2-0,VZ1-0を説明する図。
物標の代表点を模式的に示す図。

実施例

0025

次に、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。図1は、本発明の一実施形態に係るレーダ装置1のブロック図である。

0026

図1に示す本実施形態のレーダ装置1は、船舶に搭載され、主として他船等の物標の探知に用いられる。レーダ装置1は、半導体で構成された図略の発振器によって外部へ送信するパルス状の電磁波を生成する。レーダ装置1は、レーダアンテナ11を水平面内で回転させながら電磁波の送受信を行うことにより、自装置(自船)の周囲を探知する。レーダアンテナ11は、水平面内で回転しながら、電波の送受信を繰り返し行うように構成されている。以上の構成で、水平面内を、自船を中心として360°にわたってスキャンすることができる。

0027

なお、レーダアンテナ11を回転させない構成のレーダ装置を用いても良い。例えば、全周方向アンテナ素子を有する構成のレーダ装置や、前方等の特定の方向のみを探知するレーダ装置等は、レーダアンテナを回転させる必要がない。また、レーダアンテナ11は、電波の送受信を1つのアンテナで行うものの他、送信用受信用のアンテナをそれぞれ持つものであっても良い。

0028

図1に示すように、レーダ装置1は、アンテナユニット10と、レーダ制御装置20と、を備える。

0029

アンテナユニット10は、自船の所定の位置(例えばマスト)に取り付けられている。アンテナユニット10は、レーダアンテナ11と、送受信部12と、を備える。

0030

レーダアンテナ11は、鋭い指向性を持ったパルス状の電磁波を送信可能であるとともに、自装置の周囲にある物標からの反射波を受信する。なお、以下の説明では、電磁波を送信してから次の電磁波を送信するまでの動作を「スイープ」と呼び、電磁波の送受信を行いながらレーダアンテナ11を1回転させる動作を「スキャン」と呼ぶことがある。

0031

送受信部12は、レーダアンテナ11が受信した信号を処理して、処理後のデータ(以下、受信データ)をレーダ制御装置20へ出力する。受信データには、レーダエコーの位置及び振幅を示す情報が含まれる。送受信部12が行う処理としては、例えば、増幅処理周波数ダウンコンバート処理、A/D変換等がある。

0032

レーダ制御装置20は、スイープメモリ21と、表示制御部22と、表示部23と、接近速度算出部24と、代表点検出部25と、追尾判定部26と、追尾処理部27と、接近速度記憶部(記憶部)28と、を備える。表示制御部22、接近速度算出部24、代表点検出部25、追尾判定部26、及び追尾処理部27は、レーダ装置1が備える図示しないFPGA、ASIC、又はCPU等の演算処理部により実現される。

0033

スイープメモリ21は、受信データを1スイープ分リアルタイムで記憶することができるバッファメモリである。スイープメモリ21には、1スイープの間に得られた受信データが、時系列順で記憶されている。

0034

表示制御部22は、スイープメモリに記憶された受信データに公知の信号処理を行うことにより、レーダ映像を作成することができる。具体的には、表示制御部22は、レーダアンテナ11が電磁波を送信したタイミングと、電磁波を受信したタイミングとの時間差に基づいて、物標までの距離を算出する。また、表示制御部22は、電磁波を受信したときのレーダアンテナ11の向き(電磁波の送受信方向)によって、物標が存在する方向を取得する。以上のようにして、表示制御部22は、自船の周囲の物標の位置を示すレーダ映像を生成して表示するための制御を行う(表示制御工程)。

0035

表示部23は、液晶ディスプレイ等で構成されており、表示制御部22が生成した映像を表示する。図2には、レーダ映像の一例が示されている。レーダ映像について簡単に説明すると、同心円状の中心が自船の位置を示しており、多数のレーダエコー42が表示されている。また、一部のレーダエコー42には、TTシンボル43が示されている。TTシンボル43は、後述の追尾処理部27が追尾を行っている物標のレーダエコー42を示している。

0036

接近速度算出部24は、レーダアンテナ11が送受信した電磁波の位相変化に基づいてドップラ処理を行うことにより、反射波が得られた物標の接近速度を算出する(接近速度算出工程)。接近速度とは、電磁波の送信方向における物標の速度成分であって、物標を追尾するか否かの判断で用いられる速度である。本実施形態では、「物標の速度」は、「物標の絶対速度」を意味する。接近速度は、スカラー量であり、例えば自船に近づく速度を正とし、自船から離れる速度を負とする(逆であっても良い)。接近速度算出部24は、ドップラ処理部24aと、ドップラ絶対速度算出部24bと、を備える。

0037

ドップラ処理部24aは、パルスドップラ(パルスペア)法によってドップラ周波数を求め、このドップラ周波数に基づいて物標のドップラ速度を算出する。具体的には、ドップラ処理部24aは、連続する複数のスイープで同一の物標から得られた反射波について、最初のスイープにおける反射波の搬送波と、次のスイープにおける反射波の搬送波と、の間の位相変化を求める。そして、この位相変化に基づいて、複数の点のそれぞれでのドップラ周波数を算出する。ドップラ処理部24aは、このドップラ周波数に基づいて、ドップラ相対速度を算出する。

0038

ドップラ相対速度とは、電磁波の送信方向における自装置に対する物標の相対速度である。ドップラ周波数は、物標と自船の相対速度に基づいて発生するため、ドップラ周波数のみからは、ドップラ相対速度が算出される。一般的には、単にドップラ速度と称した場合は、ドップラ相対速度を示す。

0039

ドップラ絶対速度算出部24bは、ドップラ処理部24aが求めたドップラ相対速度に基づいて、ドップラ絶対速度を算出する。ここで、レーダ制御装置20には、外部の船速計2から自船の船速が入力されている。そのため、ドップラ相対速度と、自船の船速と、に基づいて、ドップラ絶対速度(電磁波の送信方向における物標の絶対速度)を算出することができる。なお、ドップラ相対速度及びドップラ絶対速度はスカラー量であり、接近速度と同様に正負が設定されている。

0040

以下、ドップラ相対速度とドップラ絶対速度について、図3及び図4を参照して説明する。図3は、ドップラ絶対速度を説明する図である。図4は、ドップラ相対速度を説明する図である。

0041

図3に示すように、他船X、他船Y、及び航路ブイZが自船の周囲に存在する状況を考える。自船のドップラ処理部24aが求めた、他船Xのドップラ相対速度をVX1とし、他船Yのドップラ相対速度をVY1とし、航路ブイZのドップラ相対速度をVZ1とする。ドップラ相対速度は、電波の送信方向における自船に対する物標の速度成分であり、換言すると自船(自装置)と対象の物標とを結ぶ直線の方向における自船に対する当該物標の速度成分である。なお、航路ブイは、基本的には移動しないが、自船が移動しているため、自船に対する相対速度は0ではない。

0042

次に、自船、他船X、他船Y、及び航路ブイZの絶対速度及びドップラ絶対速度を考える。図4に示すように、自船、他船X、他船Y、及び航路ブイZの絶対速度を、それぞれV2、VX2、VY2、及びVZ2とする。なお、航路ブイZは海に固定されているため、VZ2は0又は0近傍となる。また、他船Xが存在する方向における自船の絶対速度V2の速度成分をV2-X、他船Yが存在する方向における自船の絶対速度V2の速度成分をV2-Y、航路ブイZが存在する方向における自船の絶対速度V2の速度成分をV2-Zとする。また、自船が存在する方向における他船Xの絶対速度VX2の速度成分をV2x-0とする。同様に、自船が存在する方向における他船Yの絶対速度VY2の速度成分をVY2-0とする。ここで、V2x-0及びVY2-0は、電磁波の送信方向の速度成分であるため、ドップラ絶対速度である。

0043

一般的な相対速度と絶対速度の関係から、「ドップラ相対速度=ドップラ絶対速度−物標が存在する方向における自船の絶対速度」が成り立つ。従って、「ドップラ絶対速度=ドップラ相対速度+物標が存在する方向における自船の絶対速度」が成り立つ。ドップラ絶対速度算出部24bは、この式に基づいて、ドップラ絶対速度を算出する。接近速度算出部24は、受信データに、接近速度(ドップラ絶対速度)の情報を付加して、代表点検出部25へ出力する。

0044

代表点検出部25は、電磁波を送受信することで得られたレーダエコーから物標の代表位置を定める代表点を検出する。即ち、レーダエコーは水平方向に大きさを有するため、各種演算を行う場合の物標の位置を定めるために代表点が設定される。具体的には、代表点検出部25は、受信データに基づいて、図5に示す基準点と、レーダエコーの奥行き(距離方向の長さ)と、レーダエコーの幅(方位方向の長さ)と、を検出する。これにより、受信データがどの物標に基づいて得られたものかを特定することができる。そして、代表点検出部25は、基準点、奥行き、及び幅に基づいて、レーダエコーの中心(本実施形態では代表点)を求める。なお、本実施形態では、レーダエコーの中心を代表点とするが、それ以外を代表点としても良い。代表点検出部25は、受信データに、どの物標に基づくかという情報を付加して、追尾判定部26へ出力する。

0045

追尾判定部26は、接近速度算出部24が求めた物標の接近速度に基づいて、当該物標を追尾するか否かを判定する(追尾判定工程)。ここで、図5に示すように、1スキャンで1つの物標から3つ以上の反射波が返ってきた場合、1つの物標から複数の接近速度が算出される。この場合は、反射波毎(電磁波毎)に算出された複数の接近速度に基づいて、当該物標の接近速度が求められる。本実施形態では、複数の接近速度の平均を取った値を、該当する物標の接近速度とする。

0046

追尾判定部26は、第1抽出部31と、第2抽出部32と、を備える。

0047

第1抽出部31は、探知された物標について、第1抽出条件を満たす物標(追尾候補となる物標)を抽出する。第1抽出条件は、1スキャンで算出された物標の接近速度が所定の閾値(>0)以上であることである。即ち、接近速度が正で大きくなるほど、自船へ近づく速度が速くなるため、衝突の危険性が高くなる。従って、閾値としては、正の値が設定されている。特に、本実施形態では、接近速度としてドップラ絶対速度を用いているため、航路ブイの接近速度を0又は0近傍にできるので、航路ブイが抽出されることを防止できる。また、第1抽出部31は、新たな受信データが入力される毎に、レーダエコーについて、第1抽出処理を行う。

0048

第2抽出部32は、第1抽出部31が抽出した物標のみについて、複数スキャンで算出された複数の前記接近速度に基づいて、第2抽出条件を満たすか否かを判定する(第2抽出処理)。本実施形態の第2抽出条件は、接近速度がn回以上連続して前記閾値(>0)以上であることである。第2抽出部32は、特定部32aと、演算部32bと、を備える。

0049

ここで、接近速度記憶部28には、第2抽出部32から出力された情報に基づいて、前回のスキャンで検出されたレーダエコーに関する情報が記憶されている。具体的には、レーダエコーの位置、大きさ、接近速度に加え、連続して閾値以上となった回数が記憶されている。

0050

特定部32aは、複数スキャンで得られたレーダエコーについて、同一の物標に基づくレーダエコーを特定する。具体的には、特定部32aには、今回のスキャンで検出されたレーダエコーが、第1抽出部31から入力されている。また、特定部32aは、前回のスキャンで検出されたレーダエコーの位置、大きさ、接近速度等を接近速度記憶部28から読み出す。

0051

特定部32aは、位置、大きさ、及び接近速度に基づいて、第1抽出部31で抽出されたレーダエコーが、接近速度記憶部28から読み出した何れのレーダエコーに対応するかを特定する(同一の物標に基づくレーダエコーを特定する)。特定部32aは、第1抽出部31で抽出されたレーダエコーについて、対応するレーダエコーが接近速度記憶部28に記憶されていない場合、閾値を超えた回数を1回として、演算部32bへ出力する。特定部32aは、第1抽出部31で抽出されたレーダエコーについて、対応するレーダエコーが接近速度記憶部28に記憶されている場合、閾値を超えた回数を1つ増やして演算部32bへ出力する。

0052

演算部32bは、接近速度が閾値以上となった回数がn回以上となった物標については、当該物標の追尾の開始を指示する信号(追尾開始信号)を生成して、追尾処理部27へ出力する。演算部32bは、接近速度が閾値以上となった回数がn回未満の物標については、物標に関する情報を接近速度記憶部28に記憶する(記憶工程)。ここで、前回のスキャンで接近速度が閾値以上であって、今回のスキャンで検出されなかった物標については、演算部32bに送られないため、接近速度記憶部28から削除されることとなる。

0053

以上の処理を継続して行うことにより、接近速度が閾値を超えた回数がn回の物標を抽出して、追尾の開始を指示することができる。

0054

追尾処理部27は、追尾判定部26から出力された追尾開始信号で特定された物標のみを自動的に追尾して、当該追尾結果を出力する(追尾処理工程)。特定された物標を追尾する機能は、TT(Target Tracking)機能と呼ばれる。TT機能は公知であるので詳細な説明は省略するが、電磁波を送受信することで得られた受信データに基づいて、物標の位置を自動的に捕捉するとともに、時間推移に基づいて当該物標の移動を追尾することにより速度ベクトルを推定するものである。追尾処理部27で得られた追尾結果は、表示制御部22に出力され、レーダ映像とともに追尾結果が表示部23に表示される。

0055

特定部32aが行う特定処理は、従来から行われてきたが、処理量が非常に多い。なぜなら、例えばレーダエコーが約1000点の物標を検出している場合、今回のスキャンで検出された1000点の物標と、前回のスキャンで検出された1000点の物標と、の対応関係を特定する必要がある。特許文献2及び3では、物標の位置変化に基づいて物標の速度を検出しているため、約1000点同士の対応関係を特定する処理を行う必要がある。この点、本実施形態では、1スキャンで速度を算出できる。例えば、接近速度が閾値を超えた物標(第1抽出部31が抽出した物標)が約10点である場合、約10点の物標同士の対応関係を特定すれば良いため、処理量を大幅に低減することができる。

0056

以上に説明したように、本実施形態のレーダ装置1は、接近速度算出部24と、追尾判定部26と、追尾処理部27と、表示制御部22と、を備える。前記接近速度算出部24は、レーダアンテナ11が送受信した電磁波の位相変化に基づいて、反射波が得られた物標の電磁波の送信方向の速度成分である接近速度を算出する。前記追尾判定部26は、前記物標の前記接近速度に基づいて、当該物標の追尾するか否かを判定する。追尾処理部27は、追尾判定部26が追尾すると判定した物標を自動的に追尾する。表示制御部22は、追尾処理部27による追尾結果をレーダ映像とともに表示する。

0057

これにより、物標が自装置に向かう速度である接近速度に基づいて追尾するか否かを判定できるので、自装置(詳細には自装置を搭載した移動体等)への衝突可能性が高い物標を自動的に追尾することができる。また、特許文献2及び3のようなレーダエコーの特定処理を行うことなく、1スキャンで物標の接近速度を算出できるため、接近速度の算出に掛かる処理量を低減することができる。

0058

以上に本発明の好適な実施の形態を説明したが、上記の構成は例えば以下のように変更することができる。

0059

上記実施形態では、追尾判定部26で追尾すると判定された物標のみを自動的に追尾する構成であるが、それに代えて、追尾判定部26が特定した物標だけでなく、別の処理により特定された物標も自動的に追尾する構成であっても良い。更には、追尾処理部27は、ユーザが指示した物標を追尾する機能を有していても良いし、ユーザの指示に応じて物標の追尾を解除する機能を有していても良い。なお、ユーザの指示に応じて物標の追尾を解除した場合、その後に、追尾を解除した物標が再び自動的に追尾されることを防ぐため、ユーザから追尾が解除された旨を物標と対応付けて記憶しておいても良い。

0060

上記実施形態では、第1抽出部31と第2抽出部32により2段階の抽出処理を行うが、抽出処理が1段階であっても良い。例えば、1スキャンで得られた物標の接近速度が閾値以上であることを条件として、当該物標の追尾を開始しても良い。また、抽出処理が3段階以上であっても良い。

0061

上記実施形態では、第1抽出条件と第2抽出条件の閾値が同じであるが、異なっていても良い。また、第2抽出条件は、連続して閾値以上であることが必要としているが、複数スキャンで算出された接近速度の平均値が閾値以上の場合に追尾を開始しても良い。

0062

なお、本実施形態の第1抽出条件及び第2抽出条件は、物標の接近速度のみであるが、その他の条件を追加しても良い。例えば、第1抽出条件及び第2抽出条件の少なくとも一方において、接近速度に関する条件に加え、自船から物標までの距離が所定以下であるという条件を追加しても良い。また、自船から物標までの距離の条件に加えて又は代えて、物標の大きさに関する条件(物標の大きさが閾値以上又は閾値以下、あるいはその両方)を追加しても良い。

0063

上記実施形態では、接近速度として、ドップラ絶対速度を用いているが、ドップラ相対速度を用いても良い。この場合、航路ブイを追尾してしまう可能性もあるが、他船と自船が実際に近づく速度に基づいて追尾を開始する物標を抽出できる。

0064

上記実施形態では、レーダ制御装置20を構成する各部は、1つの筐体内に配置されているが、少なくとも1つが物理的に離れた位置に配置されていても良い。例えば、レーダアンテナ11の近傍のギアボックス内に、スイープメモリ21〜接近速度記憶部28のうち少なくとも何れかが配置されていても良い。

0065

上記実施形態では、パルスドップラ法によってドップラ周波数を求め、このドップラ周波数に基づいて物標のドップラ速度を算出するものとした。しかしながら、ドップラ速度の算出方法はこれに限るものではなく、例えばこれに代えて、送受信した電磁波の周波数変化に基づいてドップラ速度を算出しても良い。また、ドップラ周波数を算出せずに1スイープで得られたエコーのみにより直接的にドップラ速度を算出しても良い。

0066

本発明のレーダ装置が搭載される移動体は船舶に限られず、例えば、航空機自動車等に搭載される構成であっても良い。

0067

1レーダ装置
10アンテナユニット
11レーダアンテナ
24接近速度算出部
25代表点検出部
26追尾判定部
27追尾処理部
28 接近速度記憶部(記憶部)
31 第1抽出部
32 第2抽出部

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