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技術 複合材料及びこれが用いられる硫酸分解器、水素製造装置

出願人 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構日揮プラントイノベーション株式会社
発明者 井岡郁夫岩月仁栗木良郎
出願日 2016年1月21日 (4年10ヶ月経過) 出願番号 2016-009684
公開日 2017年7月27日 (3年4ヶ月経過) 公開番号 2017-128771
状態 特許登録済
技術分野 溶射または鋳込みによる被覆 水素、水、水素化物 その他の表面処理
主要キーワード 腐食率 散乱画像 圧力容器用 Si組成 シリカガラス層 シリコン添加 延靱性 Mo系合金
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2017年7月27日)のものです。
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図面 (5)

課題

高い成形性、構造材料としての好ましい特性、及び硫酸に対する高い耐食性を有する材料が求められた。

解決手段

基材10としては、ステンレス鋼等と比べて硫酸に対する耐食性の高いNi基耐食合金であるハステロイ登録商標)C276が用いられる。中間層11、表面層12、封止層13は、この基材10の最表面に薄く形成されるため、基材10の形状は、この複合材料1を用いて構成される部品の形状とされる。中間層11におけるSi濃度は基材10におけるSi濃度よりも高く、表面層12のSi濃度は中間層11のSi濃度よりも更に高い。中間層11、表面層12は、基材10の上に形成されたSi溶射層と基材10との間の合金化によって形成される。

概要

背景

各種の装置には、取り扱われる気体液体温度環境等に応じて、様々な材料が用いられており、一般的には、この装置内の環境下において、充分に高い耐食性耐熱性が要求されると同時に、製造装置部品として所望の形状や大きさとすることが可能であること(高い成型性)が要求される。また、構造材料として、機械的強度が高いことや、クラック入りにくいこと等も要求される。

例えば、特許文献1に記載されるような熱化学水素製造プロセスにおいては、容器内で濃硫酸沸騰させ水蒸気三酸化硫黄ガスに分解する硫酸分解器が使用される。こうした硫酸分解器においては、濃度が50〜99%の濃硫酸が温度120〜330℃で扱われる。

構造材料として好ましい特性を具備し、広く用いられているステンレス鋼(SUS316L等)は、こうした環境下での耐食性は低い。また、これよりも耐食性の高いNi合金Ni含有率が50%以上の合金、例えばUNS N10276等)でさえも、こうした環境下における耐食性は不充分である。

こうした環境下で耐食性のある材料としては、例えば、SiCやSiN等を主体とするセラミックス材料が知られている。非特許文献1には、Siを多量(14wt.%以上)に添加した鋳鉄が、特許文献2には、Siをこれよりも少なく4〜8wt.%程度添加したステンレス鋼が、こうした環境下で使用できることが記載されている。

概要

高い成形性、構造材料としての好ましい特性、及び硫酸に対する高い耐食性を有する材料が求められた。基材10としては、ステンレス鋼等と比べて硫酸に対する耐食性の高いNi基耐食合金であるハステロイ登録商標)C276が用いられる。中間層11、表面層12、封止層13は、この基材10の最表面に薄く形成されるため、基材10の形状は、この複合材料1を用いて構成される部品の形状とされる。中間層11におけるSi濃度は基材10におけるSi濃度よりも高く、表面層12のSi濃度は中間層11のSi濃度よりも更に高い。中間層11、表面層12は、基材10の上に形成されたSi溶射層と基材10との間の合金化によって形成される。

目的

本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであり、上記問題点を解決する発明を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

ニッケル基合金又は鉄合金で構成された基材と、前記基材の組成に対してシリコンが20wt.%を超えて添加され前記基材の上に形成された表面層と、前記基材と前記表面層との間に形成され、厚さが50〜400μmの範囲であり前記基材の組成に対してシリコンが5〜20wt.%の範囲で添加された中間層と、を具備することを特徴とする複合材料

請求項2

前記基材におけるシリコン濃度は0.08wt.%以下であることを特徴とする請求項1に記載の複合材料。

請求項3

前記表面層におけるシリコン添加量は50wt.%以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の複合材料。

請求項4

前記表面層の上にシリカガラス層が形成されたことを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の複合材料。

請求項5

前記表面層には亀裂が形成され、前記亀裂に前記シリカガラス層が侵入していることを特徴とする請求項4に記載の複合材料。

請求項6

前記基材はハステロイC276(登録商標)で構成されたことを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の複合材料。

請求項7

47wt.%の濃度の120℃沸騰硫酸中における腐食速度が0.5mm以下であることを特徴とする請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載の複合材料。

請求項8

硫酸を沸騰させて分解する硫酸分解器であって、請求項1から請求項7までのいずれか1項に記載の複合材料が前記硫酸と接する箇所に使用されたことを特徴とする硫酸分解器。

請求項9

請求項8に記載の硫酸分解器が使用されたことを特徴とする水素製造装置

技術分野

0001

本発明は、合金基材として用いた複合材料、あるいはこの複合材料が構造材料として用いられる硫酸分解器水素製造装置に関する。

背景技術

0002

各種の装置には、取り扱われる気体液体温度環境等に応じて、様々な材料が用いられており、一般的には、この装置内の環境下において、充分に高い耐食性耐熱性が要求されると同時に、製造装置部品として所望の形状や大きさとすることが可能であること(高い成型性)が要求される。また、構造材料として、機械的強度が高いことや、クラック入りにくいこと等も要求される。

0003

例えば、特許文献1に記載されるような熱化学水素製造プロセスにおいては、容器内で濃硫酸沸騰させ水蒸気三酸化硫黄ガスに分解する硫酸分解器が使用される。こうした硫酸分解器においては、濃度が50〜99%の濃硫酸が温度120〜330℃で扱われる。

0004

構造材料として好ましい特性を具備し、広く用いられているステンレス鋼(SUS316L等)は、こうした環境下での耐食性は低い。また、これよりも耐食性の高いNi合金Ni含有率が50%以上の合金、例えばUNS N10276等)でさえも、こうした環境下における耐食性は不充分である。

0005

こうした環境下で耐食性のある材料としては、例えば、SiCやSiN等を主体とするセラミックス材料が知られている。非特許文献1には、Siを多量(14wt.%以上)に添加した鋳鉄が、特許文献2には、Siをこれよりも少なく4〜8wt.%程度添加したステンレス鋼が、こうした環境下で使用できることが記載されている。

0006

特開2006−335602号公報
特開平5−245659号公報

先行技術

0007

硫酸沸騰環境におけるFe−Si合金耐食」、井岡郁夫、小貫薫、二川正敏、木良郎、名越正泰、中島隼人、清水三郎、材料、第46巻、9号、1041頁(1997年)

発明が解決しようとする課題

0008

上記のような耐食性の高いセラミックス材料を用いる場合には、その加工が容易ではないために、これを部品の形状にして焼結することが必要となった。このため、こうしたセラミックス材料は複雑な形状をした部品や大型の部品等には適さなかった。

0009

非特許文献1に記載のSi添加鋳鉄も加工性が低いために、これを鋳造して成形することが必要である上に、このSi添加鋳鉄は凝固収縮が大きいために鋳造も困難であった。このため、この材料もやはりは複雑な形状をした部品や大型の部品等には適さなかった。更に、上記のセラミックス材料やSi添加鋳鉄は、延靱性が低いためにクラックが発生しやすく、構造材料としては不適となる場合が多かった。このため、実際には、極めて限定された種類の部品に対してのみ、これらの材料を使用することができた。

0010

また、例えば特許文献2に記載の鋼材におけるSiの添加量は4.0〜8.0wt.%とされ、その特性はSiの添加量に依存して変化する。Siの添加量が低いほど鋳造性や延靱性は高まる一方で耐食性は低下し、Siの添加量が高いほど鋳造性や延靱性は低下する一方で耐食性は向上した。このため、特許文献2に記載の鋼材においては、構造材料として好ましい特性と耐食性とを両立することは困難であった。

0011

更に、特許文献1に記載の熱化学水素製造プロセスにおいては、プロセスを高圧力下で行うことによって、水素生成効率を高めることができるが、この場合には濃硫酸の沸点が上昇するため、使用される温度は更に高くなる。例えば、98%濃硫酸の大気圧での沸点は330℃であるが、10気圧におけるその沸点は440℃にも達する。こうした高温の条件下では、特許文献2に記載の鋼材においては、Si添加量を8.0wt.%として耐食性を高めた場合においても、その耐食性は不充分であった。

0012

このため、高い成形性、構造材量としての好ましい特性、及び硫酸に対する高い耐食性を有する材料が求められた。

0013

本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであり、上記問題点を解決する発明を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0014

本発明は、上記課題を解決すべく、以下に掲げる構成とした。
本発明の複合材料は、ニッケル基合金又は鉄合金で構成された基材と、前記基材の組成に対してシリコンが20wt.%を超えて添加され前記基材の上に形成された表面層と、前記基材と前記表面層との間に形成され、厚さが50〜400μmの範囲であり前記基材の組成に対してシリコンが5〜20wt.%の範囲で添加された中間層と、を具備することを特徴とする。
本発明の複合材料において、前記基材におけるシリコン濃度は0.08wt.%以下であることを特徴とする。
本発明の複合材料において、前記表面層におけるシリコン添加量は50wt.%以下であることを特徴とする。
本発明の複合材料は、前記表面層の上にシリカガラス層が形成されたことを特徴とする。
本発明の複合材料において、前記表面層には亀裂が形成され、前記亀裂に前記シリカガラス層が侵入していることを特徴とする。
本発明の複合材料において、前記基材はハステロイC276(登録商標)で構成されたことを特徴とする。
本発明の複合材料は、47wt.%の濃度の120℃沸騰硫酸中における腐食速度が0.5mm以下であることを特徴とする。
本発明の硫酸分解器は、硫酸を沸騰させて分解する硫酸分解器であって、前記複合材料が前記硫酸と接する箇所に使用されたことを特徴とする。
本発明の水素製造装置は、前記硫酸分解器が使用されたことを特徴とする。

発明の効果

0015

本発明は以上のように構成されているので、高い成形性、構造材料としての好ましい特性、及び硫酸に対する高い耐食性を有する材料を得ることができる。

図面の簡単な説明

0016

本発明の実施の形態に係る複合材料の構成を示す断面図である。
本発明の実施の形態に係る複合材料の製造方法を示すフローチャートである。
電子顕微鏡による、本発明の実施の形態に係る複合材料の実施例の後方電子散乱画像(a)、Siの特性X線画像(b)である。
本発明の実施の形態に係る複合材料の実施例と比較例における濃硫酸に対する腐食率を測定した結果である。

実施例

0017

以下、本発明の実施の形態に係る複合材料について説明する。図1は、この複合材料1の構造を示す断面図である。この複合材料1は、厚い基材10の上にSiを含む合金層である中間層11、表面層12が順次形成され、表面層12の上に薄く封止層13が形成された積層構造をとる。また、図2は、この複合材料1の製造方法を示すフローチャートである。

0018

図1における基材10としては、ステンレス鋼等と比べて硫酸に対する耐食性の高いNi基耐食合金であるハステロイ(登録商標)C276(組成Ni:57wt.%、Mo:16wt.%、Cr:15wt.%、Fe:6wt.%、W:4wt.%)が用いられる。基材10はこの複合材料1の主体となり、基材10の厚さは、その上の中間層11、表面層12、封止層13の積層構造よりも充分厚く、例えば8mm程度とされる。中間層11、表面層12、封止層13は、この基材10の最表面に薄く形成されるため、基材10の形状は、この複合材料1を用いて構成される部品の形状とされる。基材10の成形は、鋳造、鍛造等によって行われる。また、この複合材料1はこうした積層構造をとり、その主体となる基材10の強度分担率は中間層11、表面層12、封止層13よりも高いため、複合材料1の機械的強度は主に基材10で定まる。また、基材10におけるSi濃度は0.08wt.%以下であるのに対し、中間層11におけるSi濃度は基材10におけるSi濃度よりも高く、表面層12のSi濃度は中間層11のSi濃度よりも更に高い。中間層11、表面層12は、後述するように、基材10の上に形成されたSi溶射層と基材10との間の合金化によって形成される。

0019

図2に示された製造方法を適用することによって、この基材10の表面に、中間層11、表面層12、封止層13が形成される。以下に、この製造方法について説明する。ここでは、この基材10に対してSi層(Si溶射層)が繰り返し形成される。このため、まず、基材10に対するSi溶射層の密着性を高めるための予備処理工程(S1)として、アルミナ粉末等を用いたブラスト処理が基材10に対して行われる。ただし、基材10の表面状態に応じて、この工程は省略することができる。

0020

その後、第1溶射工程(S2)として、Si溶射層を基材10の上に形成する。この工程は、例えば大気プラズマ溶射法によってSi粉末溶融させて基材10に吹き付けることによって行われる。この場合のSi溶射層の厚さは、中間層11、表面層12の厚さが後述する範囲となるように設定される。第1溶射工程(S2)の直後においては、基材10の上にSi組成がほぼ100%となるSi溶射層が形成され、Si溶射層と基材10との間にはSi溶射層と比べて無視できる程度の厚さで、Siと基材10を構成する材料(ハステロイC276)の合金層が形成される。

0021

その後、第1溶融工程(S3)として、基材10の表面に形成されたSi溶射層にYAGレーザー光照射する。これによって、Si溶射層及び基材10の再表面が溶融し、これらが合金化することによって、Siを含む合金層(Si合金層)が基材10の表面に形成される。

0022

次に、第2溶射工程(S4)として、Si溶射層をこのSi合金層の上に再度形成する。この工程は、前記の第1溶射工程(S2)と同様に行われる。この場合のSi溶射層の厚さは、中間層11、表面層12の厚さが後述する範囲となるように設定される。この工程の直後には、最表面は再びSi組成がほぼ100%の Si溶射層となる。

0023

その後、第2溶融工程(S5)として、再びYAGレーザー光を照射し、第2溶射工程(S4)において形成されたSi溶射層を再び溶融させる。この工程は、前記の第1溶融工程(S3)と同様に行われる。これによって、基材10の上の最表面は新たなSi合金層となる。この際、下層のSi合金層の一部も溶融しその上のSi溶射層からSiが拡散するため、下層のSi合金層の組成も第1溶融工程(S3))直後のものから変化する。

0024

その結果、図1に示されるように、この複合材料1においては、第1溶射工程(S2)及び第1溶融工程(S3)に対応して形成されたSi合金層である中間層11、第2溶射工程(S4)及び第2溶融工程(S5)に対応して形成されたSi合金層である表面層12、の2種類の合金層が基材10の上に順次形成される。中間層11は、第1溶融工程(S3)後に形成されたSi合金層がその後の第2溶射工程(S4)、第2溶融工程(S5)によって変化したものとなる。Si組成は、最表面で最も高く、基材10側に向かうに従って低くなり、基材10で実質的にとなり、少なくとも基材10における中間層11から離れた箇所ではSi濃度は元のハステロイC276のレベル(0.08wt.%以下)となる。

0025

ここで、中間層11におけるSi濃度は5〜20wt.%の範囲、表面層12におけるSi濃度は20wt.%を超えるように設定される。中間層11、表面層12におけるSi以外の組成は、基材10を構成するハステロイC276の組成と略同一である。また、中間層11、表面層12の厚さは、それぞれ50〜200μmとなるように調整される。第1溶射工程(S2)、第2溶射工程(S4)において形成されるSi溶射層の厚さ、第1溶融工程(S3)、第2溶融工程(S5)における温度(YAGレーザ照射条件)は、中間層11、表面層12が上記のように形成されるように設定される。

0026

最後に、封止工程(S6)として、表面層12の上に、シリカガラスで構成された封止層13を形成する。封止工程は、例えば無機封孔剤(SiO2)を塗布後、硬化することによって行われる。ただし、封止工程(S6)における温度は前記の第1溶融工程(S3)、第2溶融工程(S5)における温度よりも低いため、封止工程(S6)が中間層11、表面層12の組成、厚さに及ぼす影響は無視できる程度である。

0027

図3には、実際に上記の製造方法によって製造された構造に対する電子線顕微鏡後方散乱電子画像(a)、Siの特性X線画像(b)である。ここで、封止工程(S6)は行われていないが、前記の通り、封止工程(S6)は中間層11、表面層12の厚さやSi濃度に大きな影響を与えない。この結果より、上記の製造方法によって、Siが実質的に含まれない基材10、Siを含む中間層11、Siを中間層11よりも多く含む表面層12の3つの層が明確に分離されて形成されることが明らかである。また、図3(b)より、Si組成がこれらの層の境界で急峻に変化していることが確認できる、あるいは、このようにSi組成が急峻に変動する箇所をこれらの層の境界として認識することができる。

0028

ここで、非特許文献1、特許文献2に記載の通り、Si添加合金においては
Si組成が高いほど耐食性が高くなる。このため、図1の構成においては、表面層12の耐食性は特に高くなる。一方、前記の通り、Si組成が高いほどクラック(亀裂)は発生しやすくなる。このため、実際には上記の製造時において、基材10との間の熱膨張係数の違いに起因して中間層11、表面層12にはクラックが発生しやすい。このため、図1に示されるように、表面層12、中間層11にはクラックSが発生し、図3においても、クラックが存在することが確認できる。しかしながら、上記のような積層構造をとることにより、少なくともこのクラックSが部品の主体となる基材10にまで進展することは抑制される。

0029

また、表面層12におけるクラックSは、封止層13によって封止される。これによってクラックSの内部から腐食が進展することが抑制されると同時に、複合材料1が補強される。このため、封止工程(S6)における封止層13の形成方法としては、被覆性の良好な方法を用いることが好ましい。ただし、第2溶融工程(S5)後において表面層12にクラックSが発生していない場合には、封止層13(封止工程(S6))は不要である。

0030

なお、表面層12には特に高い耐食性が要求されるためにSi濃度が高く設定されるが、Si濃度が高いほど表面層12にクラックSが発生しやすくなるため、表面層12のSi濃度は50wt.%以下とすることが特に好ましい。また、中間層11は、Si濃度が高く耐食性の高い表面層12と基材10との間の緩衝層となるため、中間層11が50μmよりも薄いと、表面層12と基材10との間の熱膨張係数の差により、やはり表面層12にクラックSが発生しやすくなる。一方、中間層11が400μmよりも厚いと、複合材料1の機械的強度分担率における基材10の寄与が小さくなるため、構造材料としては不適となる。

0031

また、中間層11、表面層12の厚さは共に基材10よりも充分に薄く、かつ基材10の機械的強度分担率は中間層11、表面層12よりも高く、かつクラックSが基材10に侵入することは抑制される。このため、複合材料1全体の機械的特性にクラックSの存在が影響を及ぼすことは抑制される。このため、この複合材料1の機械的特性は、実際には基材10で定まる。

0032

また、この複合材料1を用いて部品を製造する場合には、基材10に対して成形を行った後で、図2に示された製造方法を適用すればよい。例えば上記のハステロイC276のようなニッケル基合金に対しては鋳造や熱間鍛造が可能であるため、基材10の成形は、少なくとも特許文献2に記載されたようなSiが添加された鋼材と比べると、容易である。このため、この複合材料1を用いて、複雑な形状の部品や大型の部品を製造することもできる。また、同様に高い耐食性をもつ金属材料である白金等と比べて安価である。

0033

実際に上記の複合材料1を製造し、濃硫酸に対する耐食性を比較例(比較例1〜比較例3)と共に調べた。ここで、耐食性として、(1)47%の濃硫酸の120℃沸騰時、(2)95%濃硫酸の300℃沸騰時、の2種類の条件下における腐食率(mm/年)を測定した。試験時間は24時間とした。比較例1としては基材10を構成する材料として用いられたハステロイC276自身を、比較例2としては硫酸に対する高い耐食性をもつ金属であるTaを用いた。また、比較例3としては、図1における封止層13を具備しない構造であり、表面層12のSi濃度が14wt.%と上記の範囲よりも低いものを用いた。ここで、表面層12の厚さは100μm、中間層11の厚さは100μmでそのSi組成は11.2wt.%とした。一方、実施例1としては、比較例3と同様の構造を具備するが、表面層12のSi濃度が47wt.%と上記の範囲内とされた。実施例2においては、図1に示されたように、シリカガラスで構成された封止層(シリカガラス層)13が実施例1の構造に対して更に形成されている。

0034

図4は、比較例1〜3、実施例1、2における腐食率を測定した結果を示す。ここで、比較例1(ハステロイC276)は、条件(1)下では3.4mm/年の腐食率であったが、より厳しい条件(2)下においては短時間でエッチングされたため、条件(2)における結果は記載されていない。比較例3は、条件(2)下においては0.1mm/年と高い耐食性を示すが、条件(1)下では5.3mm/年の腐食率であった。比較例2(Ta)は、条件(1)下では腐食率が0.1mm/年と高い耐食性を示すが、条件(2)下での腐食率は9mm/年と大きくなった。

0035

これに対して、実施例1、2では、共に条件(1)下では0.5mm/年以下、条件(2)下では0.1mm/年以下と、充分に高い耐食性が得られた。すなわち、実施例1、2においては、濃硫酸に対して300℃以上の温度でも充分に高い耐食性が得られた。

0036

このため、上記の複合材料1を、濃硫酸の使用される環境下で好ましく用いることができる。例えば、特許文献1に記載されるような、熱硫酸の反応を利用して水素を製造する工程(ISプロセス)を行う水素製造装置で用いられる硫酸分解器において、熱硫酸(沸騰硫酸)と直接接する部分の部品材料として上記の複合材料1を用いることができる。これによって、この部分の耐久性を高め、部品交換頻度を大きく減少させることができる。

0037

上記の構成において、基材10を構成する材料としては、構造材料としての好ましい特性(高い機械的強度、延靱性等)を具備する金属材料を用いることが好ましく、更に、それ自身でも硫酸に対する耐食性の高いことが特に好ましい。このため、上記の例では、ステンレス鋼よりも耐食性が高いNi基耐食合金であるハステロイC276が用いられたが、これに近い組成を具備するNi基合金Ni含有量が50%以上である合金)も用いることができる。例えば、Siを実質的に含有しないNi基合金として、他のハステロイ(登録商標)C系(Ni−Fe−Cr系合金)、同G系(Ni−Cr−Mo系合金)、アロイ20(Ni−Cr系合金)等も用いることができる。また、Siが添加されたハステロイD系(Ni−Si系合金)も用いることができる。この場合には、中間層11におけるSi濃度の下限は、基材10におけるSi濃度となる。

0038

また、Ni基合金と比べると耐食性が若干劣るため適用温度は室温〜150℃程度と上記のNi基合金を用いた場合(300℃以上)よりも低くなるが、構造材料としてはより好ましい特性を具備する鉄合金である機械構造用鋼SCM材等)や圧力容器用鋼(SBV鋼、SCMV鋼等)を基材10として用いることができる。

0039

このように、基材10を構成する材料としては、構造材料として好ましい特性をもつNi基合金、鉄合金を用いることができる。この上に上記のような中間層11、表面層12を形成することにより、硫酸に対して耐食性の高い複合材料1を得ることができる。基材10を構成する材料は、耐食性の要求される温度に応じて上記のように選択することができる。このため、この複合材料1が使用される装置に応じて、基材10を構成する材料を選択することができる。

0040

1複合材料
10基材
11 中間層
12表面層
13封止層
S クラック

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