図面 (/)

技術 ポリオレフィン被覆鋼管及びその製造方法

出願人 新日鐵住金株式会社
発明者 吉崎信樹
出願日 2016年1月20日 (4年1ヶ月経過) 出願番号 2016-009006
公開日 2017年7月27日 (2年6ヶ月経過) 公開番号 2017-128767
状態 特許登録済
技術分野 積層体(2) 塗料、除去剤 接着剤、接着方法 金属の化成処理 その他の表面処理
主要キーワード 耐腐食試験 上層被覆 被覆端面 シリカ微粒子層 添加金属成分 粉体エポキシ 鋼管温度 リン酸金属化合物
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2017年7月27日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (5)

課題

3層ポリオレフィン被覆鋼管下地に毒性の強いクロム酸を含まない塗布型処理を施し、環境に調和し、内部応力の高い粉体エポキシプライマーを用いても冷熱サイクル特性などの密着力に優れた被覆を提供する。

解決手段

本発明のポリオレフィン重防食被覆鋼管は、鋼管1の表面に下地処理層としてリン酸鉄を主とする薄膜層2を形成し、その上にリン酸鉄を主とする粒状粒子シリカ微粒子混合層粉体エポキシ樹脂塗料含浸した密着力強化層3を形成し、粉体エポキシプライマー層4、変性ポリオレフィン接着剤層5、ポリオレフィン層6を形成した事を特徴とする3層ポリオレフィン被覆鋼管である。

概要

背景

従来、海洋構造物ラインパイプ等で長期防食性が要求される場合、長期のバリヤー防食性能を高めるために300μmを超える防食皮膜等の厚い被膜を形成する方法が採用されている。しかし、300μmを超える被膜の場合、被膜の内部応力が大きいので、鋼材表面化成処理被膜を設けて、鋼材と厚い被膜との密着性を確保する必要がある。鋼材の化成処理方法としては、従来、まず、ブラスト処理又は酸洗によってスケール除去し、その後、特開平07−195612号公報(特許文献1)に示されるように、クロム酸を含有するクロメート化成処理を施していた。このクロメート処理は、塗布して、その後乾燥するだけで鋼材とその上の防食被膜等との間に良好な密着性を提供し、耐剥離性を大幅に向上させることが出来るため、数mmの被覆厚を有するポリオレフィン被覆鋼管下地処理としても一般的である。しかしながら、クロメート化成処理被膜は環境負荷物質である6価クロムを含むことから、代替えの化成処理が望まれる。

6価クロムを含まない代表的な化成処理としてリン酸亜鉛処理がある。リン酸亜鉛処理は加温した亜鉛を含むリン酸塩処理浴中に鋼材を浸漬して、鋼材表面にリン酸亜鉛結晶析出させて化成処理被膜を形成した後、余分な成分を水洗する。このため、大径鋼管の浸漬処理設備や時間の面で難しいことと、析出したリン酸亜鉛結晶被膜が脆く、密着性に問題があった。

一方、防食被覆鋼材の製造方法として特開2003−34881号公報(特許文献2)に開示されているように、モリブデン酸アンモニウムシランカップリング剤を含有する混合水溶液を用いる化成処理が提案されている。しかしこの化成処理もやはり水洗工程が必要で、得られる化成処理被膜の防食性能は十分では無い。このため、依然として、6価クロムを含有せず、かつ水洗等の行程上の制約が無い防食性能に優れた鋼材表面の化成処理方法が要求されている。

6価のクロム酸を使用しない鋼材の化成処理が、特開2006−249459号公報(特許文献3)に記載されている。この化成処理は、鋼材表面にリン酸金属化合物に、水分散性シリカ微粒子質量比で0.3〜4.0の割合で添加した水溶液を塗布し、水洗等の工程を必要とせず、塗布と乾燥のみで処理を行うことが可能であり、クロメート処理と同等の樹脂被膜耐水密着性耐陰極剥離性を有す鋼材表面処理を提供する。

また、特開2009−209394号公報(特許文献4)にはクロムを含む化成処理層を用いない樹脂被覆鋼材の製造方法が記載されており、Al系リン酸塩、Ca系リン酸塩、Mg系リン酸塩の、Zn系リン酸塩のうち少なくとも1種のリン酸塩とV系化合物Mo系化合物、W系化合物、Y系化合物、Zr系化合物、Bi系化合物の少なくとも1種の化合物を含有する化合物、およびシリカを含有する、化成処理用水溶液が開示されている。

しかしながら、上記公報に記載される、リン酸塩、その他金属化合物とシリカの混合被膜構造から成る化成処理被膜では、上層の被膜と鋼材の密着力が十分では無く、化成処理被膜の上に塗布される被膜の内部応力によって冷熱サイクル試験では容易に端部から上層皮膜剥離が発生するという課題があった。

概要

3層ポリオレフィン被覆鋼管の下地に毒性の強いクロム酸を含まない塗布型処理を施し、環境に調和し、内部応力の高い粉体エポキシプライマーを用いても冷熱サイクル特性などの密着力に優れた被覆を提供する。本発明のポリオレフィン重防食被覆鋼管は、鋼管1の表面に下地処理層としてリン酸鉄を主とする薄膜層2を形成し、その上にリン酸鉄を主とする粒状粒子シリカ微粒子混合層粉体エポキシ樹脂塗料含浸した密着力強化層3を形成し、粉体エポキシプライマー層4、変性ポリオレフィン接着剤層5、ポリオレフィン層6を形成した事を特徴とする3層ポリオレフィン被覆鋼管である。

目的

この化成処理は、鋼材表面にリン酸金属化合物に、水分散性シリカの微粒子を質量比で0.3〜4.0の割合で添加した水溶液を塗布し、水洗等の工程を必要とせず、塗布と乾燥のみで処理を行うことが可能であり、クロメート処理と同等の樹脂被膜の耐水密着性と耐陰極剥離性を有す鋼材表面処理を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

この技術が所属する分野

(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成

ライセンス契約や譲渡などの可能性がある特許掲載中! 開放特許随時追加・更新中 詳しくはこちら

請求項1

ブラスト処理を施した鋼管の上に、順に化成処理被膜エポキシ樹脂を含むプライマー層変性ポリオレフィン接着剤層、及びポリオレフィン樹脂層を有する、ポリオレフィン被覆鋼管であって、前記化成処理被膜が、リン酸鉄を含むリン酸金属と、気相法シリカ微粒子と、リン酸と結合する金属成分とを含んでおり、前記化成処理被膜が、リン酸鉄を含むリン酸金属を含む化成処理被膜第1層と、前記プライマー層と接する、粒子状のリン酸鉄を含むリン酸金属と気相法シリカ微粒子との多孔質混合層である化成処理被膜第2層とから成る2層構造を有しており、前記化成処理被膜中の前記シリカ微粒子の量に対する前記リン酸と結合する金属成分の量が、モル比で0.2以下であり、前記多孔質混合層の空隙が、前記エポキシ樹脂を含んでいる、ポリオレフィン被覆鋼管。

請求項2

前記リン酸と結合する金属成分が、カルシウムマグネシウム亜鉛アルミから成る群より選ばれる、請求項1記載のポリオレフィン被覆鋼管。

請求項3

鋼管を40〜80℃に加熱し、リン酸と、気相法シリカ微粒子と、リン酸と結合する金属成分とを含み、pHが0.9〜2.0の化成処理液であって、前記シリカ微粒子の量に対する前記リン酸と結合する金属成分の量が、モル比で0.2以下である化成処理液を、前記鋼管表面に塗布し、乾燥して、リン酸鉄を含むリン酸金属を含む化成処理被膜第1層と、その上にある粒子状のリン酸鉄を含むリン酸金属と気相法シリカ微粒子との混合層である化成処理被膜第2層とから成る2層構造の化成処理被膜を形成し、その後、順にエポキシ樹脂を含むプライマー層、変性ポリオレフィン接着剤層、及びポリオレフィン樹脂層を形成することを特徴とするポリオレフィン被覆鋼管の製造方法。

請求項4

前記リン酸と結合する金属成分が、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、アルミから成る群より選ばれる、請求項3に記載のポリオレフィン被覆鋼管の製造方法。

技術分野

0001

本発明は、粉体エポキシ樹脂を含むプライマー層を有するポリオレフィン被覆鋼管及びその化成処理方法に関する。本発明に係る化成処理被膜は、クロムを含んでいない。また、化成処理被膜が形成された後に水洗などの洗浄が不要である。本発明のポリオレフィン被覆鋼管は、疵部や端部からの、化成処理皮膜の上にある被膜剥離が少なく、長期の防食性に優れており、特に、粉体エポキシ塗料を用いたプライマー厚膜化による被膜の内部応力増加による、被膜と鋼管との間の密着力低下を抑制する成処理被膜構造を有する。

背景技術

0002

従来、海洋構造物ラインパイプ等で長期防食性が要求される場合、長期のバリヤー防食性能を高めるために300μmを超える防食皮膜等の厚い被膜を形成する方法が採用されている。しかし、300μmを超える被膜の場合、被膜の内部応力が大きいので、鋼材表面に化成処理被膜を設けて、鋼材と厚い被膜との密着性を確保する必要がある。鋼材の化成処理方法としては、従来、まず、ブラスト処理又は酸洗によってスケール除去し、その後、特開平07−195612号公報(特許文献1)に示されるように、クロム酸を含有するクロメート化成処理を施していた。このクロメート処理は、塗布して、その後乾燥するだけで鋼材とその上の防食被膜等との間に良好な密着性を提供し、耐剥離性を大幅に向上させることが出来るため、数mmの被覆厚を有するポリオレフィン被覆鋼管の下地処理としても一般的である。しかしながら、クロメート化成処理被膜は環境負荷物質である6価クロムを含むことから、代替えの化成処理が望まれる。

0003

6価クロムを含まない代表的な化成処理としてリン酸亜鉛処理がある。リン酸亜鉛処理は加温した亜鉛を含むリン酸塩処理浴中に鋼材を浸漬して、鋼材表面にリン酸亜鉛結晶析出させて化成処理被膜を形成した後、余分な成分を水洗する。このため、大径鋼管の浸漬処理設備や時間の面で難しいことと、析出したリン酸亜鉛結晶被膜が脆く、密着性に問題があった。

0004

一方、防食被覆鋼材の製造方法として特開2003−34881号公報(特許文献2)に開示されているように、モリブデン酸アンモニウムシランカップリング剤を含有する混合水溶液を用いる化成処理が提案されている。しかしこの化成処理もやはり水洗工程が必要で、得られる化成処理被膜の防食性能は十分では無い。このため、依然として、6価クロムを含有せず、かつ水洗等の行程上の制約が無い防食性能に優れた鋼材表面の化成処理方法が要求されている。

0005

6価のクロム酸を使用しない鋼材の化成処理が、特開2006−249459号公報(特許文献3)に記載されている。この化成処理は、鋼材表面にリン酸金属化合物に、水分散性シリカ微粒子質量比で0.3〜4.0の割合で添加した水溶液を塗布し、水洗等の工程を必要とせず、塗布と乾燥のみで処理を行うことが可能であり、クロメート処理と同等の樹脂被膜耐水密着性耐陰極剥離性を有す鋼材表面処理を提供する。

0006

また、特開2009−209394号公報(特許文献4)にはクロムを含む化成処理層を用いない樹脂被覆鋼材の製造方法が記載されており、Al系リン酸塩、Ca系リン酸塩、Mg系リン酸塩の、Zn系リン酸塩のうち少なくとも1種のリン酸塩とV系化合物Mo系化合物、W系化合物、Y系化合物、Zr系化合物、Bi系化合物の少なくとも1種の化合物を含有する化合物、およびシリカを含有する、化成処理用水溶液が開示されている。

0007

しかしながら、上記公報に記載される、リン酸塩、その他金属化合物とシリカの混合被膜構造から成る化成処理被膜では、上層の被膜と鋼材の密着力が十分では無く、化成処理被膜の上に塗布される被膜の内部応力によって冷熱サイクル試験では容易に端部から上層皮膜の剥離が発生するという課題があった。

先行技術

0008

特開平07−195612号公報
特開2003−34881号公報
特開2006−249459号公報
特開2009−209394号公報

発明が解決しようとする課題

0009

本発明の目的は、粉体エポキシ樹脂塗料を用いたプライマーを有するポリオレフィン被覆鋼管において、優れた防食性と上層皮膜との密着性とを提供する、2層構造を有する化成処理皮膜を、塗布型の化成処理によって実現することである。また、腐食起因及び冷熱サイクルによる上層被覆の内部応力起因の剥離が防止されたポリオレフィン被覆鋼管を提供するものである。

課題を解決するための手段

0010

本発明者らは、化成処理被膜を、リン酸鉄を主とする薄いリン酸金属処理被膜(第1層)と、上層のプライマー層と接する粒子状のリン酸鉄を主成分とするリン酸金属とシリカ(SiO2)微粒子の混合層(第2層)との2層構造とすることで、上記課題を解決した。2層構造を有する化成処理被膜は、鋼管にpH=0.9〜2.0に調整された、リン酸とシリカ微粒子とを含む水溶液を適量塗布し、乾燥させることで、形成される。

0011

リン酸鉄被膜形成方法としては、一般的にはNaH2PO4、NH4H2PO4、酸化剤、界面活性剤を用いて、40〜70℃の温度に30〜120秒の時間浸漬する方法が用いられるが、析出反応を利用するため、pH=3以上の処理液が用いられる。これに対して本発明では、化成処理液を、鋼管に塗布する、塗布型処理を用いる。塗布型処理では反応時間が短いため、処理液のpHの考え方を変える必要があった。特にブラスト処理後鋼板表面は鉄酸化物表層の残存しており、pHが3以上では鉄との反応が十分に進行しない。このため、高い酸性(pH=0.9〜2.0)処理液が必要となる。

0012

特許文献3、4に記載される従来の析出リン酸金属とシリカを主とした単一の被膜構造では、鉄との反応性が十分で無い。また、添加成分量が多いと、気相微粒子シリカの空隙を埋めてエポキシ樹脂浸透しないために密着性が十分では無いという問題があった。同様に、リン酸を用いた反応で生成する粒状リン酸鉄とシリカの比が適切で無い場合、緻密な空隙のある多孔質の被膜構造が破壊されて密着性が低下する。本発明では、鉄との反応性と化成処理液成分とを調整してリン酸鉄を含む被膜と、樹脂が浸透して一体化する多孔質のシリカ被膜との2層構造を維持し、これらの問題を解決した。

0013

本発明の要旨は次のとおりである。
(1)ブラスト処理を施した鋼管の上に、順に化成処理被膜、エポキシ樹脂を含むプライマー層、変性ポリオレフィン接着剤層、及びポリオレフィン樹脂層を有する、ポリオレフィン被覆鋼管であって、
前記化成処理被膜が、リン酸鉄を含むリン酸金属と、気相法シリカ微粒子と、リン酸と結合する金属成分とを含んでおり、
前記化成処理被膜が、リン酸鉄を含むリン酸金属を含む化成処理被膜第1層と、前記プライマー層と接する、粒子状のリン酸鉄を含むリン酸金属と気相法シリカ微粒子との多孔質混合層である化成処理被膜第2層とから成る2層構造を有しており、
前記化成処理被膜中の前記シリカ微粒子の量に対する前記リン酸と結合する金属成分の量が、モル比で0.2以下であり、
前記多孔質混合層の空隙が、前記エポキシ樹脂を含んでいる、
ポリオレフィン被覆鋼管。
(2)鋼管を40〜80℃に加熱し、
リン酸と、気相法シリカ微粒子と、リン酸と結合する金属成分とを含み、pHが0.9〜2.0の化成処理液であって、前記シリカ微粒子の量に対する前記リン酸と結合する金属成分の量が、モル比で0.2以下である化成処理液を、前記鋼管表面に塗布し、乾燥して、
リン酸鉄を含むリン酸金属を含む化成処理被膜第1層と、その上にある粒子状のリン酸鉄を含むリン酸金属と気相法シリカ微粒子との混合層である化成処理被膜第2層とから成る2層構造の化成処理被膜を形成し、その後、順に
エポキシ樹脂を含むプライマー層、
変性ポリオレフィン接着剤層、及び
ポリオレフィン樹脂層を形成することを特徴とするポリオレフィン被覆鋼管の製造方法。

発明の効果

0014

以上述べたように、本発明によると、防食被覆を行う鋼管の化成処理液として、クロム酸を用いる必要が無く、また、化成処理後に水洗を必要とせず、塗布および乾燥のみで被膜形成が可能で、腐食起因、あるいは冷熱サイクルによる被覆の内部応力起因の剥離を防止するポリオレフィン被覆鋼管を提供するものである。

図面の簡単な説明

0015

図1は、本発明の一つの実施態様を示す有機樹脂被覆鋼管の被膜構成断面図である。
図2は、実施例2の処理条件での化成処理膜断面を示す写真である。
図3は、実施例3の処理条件での化成処理膜断面を示す写真である。
図4は、比較例4の処理条件での化成処理膜断面を示す写真である。

0016

以下、本発明につき詳細に説明を行なう。
図1は、本発明の一つの実施態様を示す有機樹脂被覆鋼管の被覆構成断面図である。本発明に使用する鋼管1としては普通鋼、あるいは高合金鋼などどのような鋼種でも適用可能である。

0017

本発明に係る、リン酸鉄を含むりん酸金属処理被膜層2及び粒子状のリン酸鉄を含むリン酸金属と気相法シリカ微粒子との混合層3を形成する化成処理を行う場合、その前に、鋼管1表面のスケール汚染物等を除去する必要があるため、サンドアルミナグリッド、あるいはショットを用いたブラスト処理を行う。化成処理被膜が形成された後、粉体エポキシ樹脂塗料を塗布してプライマー層4を形成し、変性ポリオレフィン接着剤層5,ポリオレフィン樹脂層6を順次積層する。

0018

化成処理被膜の形成には、化成処理液を鋼管に塗布して乾燥する。その場合に、化成処理液を塗布した後の水洗は必要ない。以下に本発明の2層構造を有する被膜を形成するための処理条件と、化成処理液について詳細に説明する。

0019

本発明に用いる化成処理液は、リン酸と気相法シリカ微粒子を含んでおり、さらに、リン酸と結合する金属成分を含有する。リン酸と結合する金属成分としては、例えば、カルシウムマグネシウム、亜鉛、アルミ等を挙げることができる。

0020

本発明のポリオレフィン被覆鋼管は化成処理を行う前に、鋼管表面の錆や汚れを除去するだけでなく、接着に必要な粗度を確保ために、ブラスト処理を行う。ブラスト処理に用いる研掃材としては、一般的には鋼製グリッド・ショット粒を用いる。更に清浄な表面が要求される場合には、アルミナ等のセラミック素材を用いても良い。また、サンドを用いることも出来る。ブラスト処理後の表面に、鉄粉等の汚れが付着している場合、ブラシ、吸引液体による洗浄等の処理を行うことができる。

0021

ブラスト処理後の表面に形成する化成処理被膜は、不溶性被膜を金属表面に形成する。この不溶性被膜は均一に、薄膜である必要があるが、塗布型では鋼管表面に塗布出来る液量と時間に制限があり、短時間での鋼管との反応性を上げるためには、溶液のpHを下げる必要がある。しかしながら、酸性成分が多いと水素発生が生じて均一な膜形成が難しく、また可溶性の酸が化成処理被膜中に残存して性能が低下するという課題があった。これに対して、本発明では、酸としては鉄と反応して不溶性塩を生成するリン酸を使用する。リン酸以外の酸として、塩酸硝酸硫酸の様な無機酸は鋼材との反応性を高めるが、酸性成分が残存するため、本発明の化成処理液成分としては好ましくない。

0022

反応で生じる余剰な粒状リン酸鉄を表面から除去するために、化成処理液にシリカ微粒子を添加する。鉄は酸で溶解後、リン酸と結合してリン酸鉄が生じるが、鉄溶解時に水素発生を伴う事からリン酸鉄は粒状となって塗布された化成処理被膜中に分散する。そして従来技術では、この被膜が乾燥すると、粒状リン酸鉄が積層して密着性が阻害されるという課題があった。本発明で用いる化成処理液は、適量のシリカ微粒子を含有するので、塗布された被膜中に浮遊している余剰なリン酸鉄粒子を多孔質のシリカ混合被膜中に取り込むことが出来るため、接着を阻害しない。

0023

シリカ微粒子としては、乾式法により合成した5〜50nm径の1次粒子が2次凝集した気相法のものを用いる。そうすることによりシリカ微粒子が凝集合体ブドウ状になり多孔質の混合被膜を形成し、その上のプライマー層との密着性を向上させる。気相法シリカ微粒子としては、例えば日本アエロジル社製のAEOSIL 130、AEROSIL 200、AEROSIL 200V、AEROSIL 200CF、AEROSIL 200FAD、AEROSIL 300、AEROSIL 300CF、AEROSIL 380、AEROSIL OX50、AEROSIL TT600、AEROSILMOX等を用いることができる。液層法のシリカ微粒子では多孔質の被膜が形成されず、密着性が低下する。

0024

化成処理液中、シリカ微粒子の添加量は、85%リン酸溶液1に対して0.3〜2.5の質量比で添加する。添加するシリカ微粒子の質量比が0.3未満では、生成する化成処理皮膜中のリン酸鉄粒子量の比率が高過ぎて密着性が低下する。また、シリカ微粒子の質量比が2.5以上では、化成処理皮膜中の多孔質のシリカ被膜が厚くなるために密着力が低下する。

0025

前記処理液には被膜構造を阻害しない範囲として、シリカのモル濃度に対するモル濃度比が0.2以内の範囲で、シリカ以外の成分を添加する。例えばリン酸と化合物を形成する金属元素であるカルシウム、マグネシウムなどのアルカリ土類金属、亜鉛、アルミ等の金属種を加えても良い。

0026

また、シランカップリング剤も添加することが出来るが、シランカップリング剤の分子構造中にアミノ基やイソシアネート基を有すると化成処理被膜の構造が変化するため、2−(3,4−エポキシシクロヘキシルエチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等のエポキシ基を有するシランカップリング剤が好ましい。

0027

本発明で使用する化成処理液は、鋼管との反応性を確保するため、鋼管温度を40〜80℃に調整する。本発明の化成処理被膜構造を得るには、鋼材とリン酸の反応制御、すなわち、処理液のpHと温度での反応制御が重要である。鉄は弱酸のリン酸とは、その表面で均一に反応を生じない。このため、反応生成物のリン酸鉄で鉄表面を覆って、リン酸鉄層を形成するには低pHと高い温度が必要である。鋼材とリン酸との反応性確保には40℃以上の温度が必要で、温度は高い程、反応に有利であるが、塗布型化成処理では温度を上げすぎると液膜乾燥が速くなって反応が不十分となるため、80℃以上の処理は難しい。一方で、反応が進みすぎると、粒状リン酸鉄が多層となって析出して被膜が脆くなる。処理液中のシリカ微粒子は、余剰の粒状リン酸鉄を、2層構造の化成処理被膜の2層目の被膜に取り込み、1層目の被膜のリン酸鉄の密着性低下を防止するが、取り込み量限界があるため、pHと温度によるリン酸鉄の反応性制御が重要となる。また、シリカ以外のその他の金属成分を処理液中に多く添加すると、上層に含有可能なリン酸鉄量が減少し、鉄との反応性が低い領域での処理となってしまう。特許文献3や4では、処理液中のリン酸金属の析出反応が主で、本発明の不溶性リン酸鉄被膜を鋼材表面に均一に設ける事は出来ない。また、添加金属成分が多いと、シリカ微粒子被膜が脆くなる。

0028

鋼管を上記温度の加熱後、スプレー刷毛ロール流し塗り後のしごき等の塗布方法で塗布する。この時、シリカ付着量として100〜900mg/m2の範囲で塗布する。付着量が100mg/m2未満では処理の効果が得られず、900mg/m2を超えると化成処理被膜の物理的強度が低下することにより密着力が低下する。

0029

次に、上記化成処理液を塗布して形成した化成処理被膜の上に施すエポキシ樹脂プライマー層について説明する。これまで、日本国内ではプライマー層は硬化剤アミン化合物を使用した2液の液体エポキシ樹脂が使用されてきた。エポキシ樹脂は高い耐酸素透過性機能を有するため、厚膜になるほど防食性能が向上する。しかしながら、液体エポキシ樹脂をプライマーに使用した場合、50μm程度の膜厚が一般的で、100μm以上の膜厚を確保することは難しかった。粉体エポキシ樹脂塗料をプライマーに用いると、100μm以上の膜厚を確保することが出来ることから、容易に高い防食性を確保することが出来る。このため、粉体エポキシ樹脂塗料をプライマーに用いる方法が世界標準となっており、本発明のプライマーには、紛体エポキシ樹脂塗料を用いる。粉体エポキシ樹脂塗料は主成分のビスフェノールA型ビスフェノールF型エポキシ樹脂を単独、もしくは混合し、更に多官能性フェノールノボラックハロゲン化エポキシ樹脂を組み合わせたものに、フェノール系硬化剤を組み合わせたものが一般的である。硬化速度アミン系やイミダゾール化合物ジシアンジアミド等を添加して調整する。さらに無機顔料を全体積に対して3〜30vol%の範囲で添加してもよい。無機顔料として、シリカ、酸化チタンウォラストナイトマイカタルクカオリン酸化クロム硼酸亜鉛ホウ酸亜鉛燐酸亜鉛等の顔料、もしくは亜鉛、Al等の金属粉、あるいはセラミック粉等、その他にバナジウムリン系化合物等の防錆顔料を適宜用いることができる。粉体エポキシ樹脂塗料は、国内では、日本ペイント株式会社、もしくは関西ペイント株式会社から入手できる。海外では、JOUTAN、KCC、Arsonnsisi、3M Co.,等のメーカーで鋼管被覆用として販売されている銘柄を適宜用いることができる。

0030

本発明の鋼管では、粉体エポキシ樹脂塗料を、化成処理後に160〜240℃に加熱した鋼管の外面に静電粉体塗装機を用いて塗布する。プライマー層の厚みは、通常100μm〜500μmであり、好ましくは、150μm〜400μmである。100μm未満の厚みは、未塗装部分ピンホール)が出来るために防食欠陥部となり好ましくない。また厚みが500μmを超えると、塗膜の内部応力とコストの面から好ましくない。粉体エポキシ樹脂塗料は一度溶融状態となることで、2層構造の化成被膜の2層目の多孔質のシリカ被膜に浸透して、化成処理被膜と一体化する。これにより、被覆と鋼材の高い密着性が得られる。

0031

粉体エポキシ樹脂塗料プライマーを塗布後に、変性ポリオレフィン接着剤を介してポリオレフィン樹脂被膜を積層する。変性ポリオレフィン接着剤は、ポリエチレンポリプロピレンなどの公知のポリオレフィン類無水マレイン酸変性したもの、あるいはオレフィン類と無水マレイン酸との共重合体、オレフィン類とアクリル酸エステルと、無水マレイン酸との共重合体を用いる。その後に被覆するポリオレフィン樹脂と異種のポリオレフィン樹脂を用いる(例えばポリエチレンとポリプロピレン)と、接着に問題が生じるので、同種のポリオレフィンを変性したものが好ましい。

0032

熱可塑性の変性ポリオレフィン接着剤は、ペレットで供給される場合、押出機を用いて加熱溶融した樹脂をTダイス、あるいは丸ダイスを用いて、プライマー塗布後の鋼管外面に被覆する。その他の方法としては、変性ポリオレフィン接着剤を粉砕して粉体化し、この粉体塗布する方法もある。これらの方法により、0.1〜0.4mmの接着剤層を形成する。

0033

変性ポリオレフィン接着剤層の上に被覆するポリオレフィン樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレン中密度ポリエチレン高密度ポリエチレン直鎖状低密度ポリエチレン、ポリプロピレンなどの従来公知のポリオレフィン樹脂、並びにエチレンプロピレンブロックまたはランダム共重合体ポリアミド−プロピレンブロック又はランダム共重合体等の公知のポリオレフィン共重合体を含む樹脂を挙げることができる。

0034

ポリオレフィン樹脂層には、ポリオレフィン樹脂以外の成分として、耐熱性耐候性対策として、カーボンブラック又はその他の着色顔料充填強化剤酸化防止剤紫外線吸収剤ヒンダードアミン系の耐候剤等を任意に組み合わせで添加することができる。

0035

ポリオレフィン樹脂を、変性ポリオレフィン接着剤と同様の押出し被覆方法でJIS G3469−1に規定される最小全膜厚である1.2mm以上になるように被覆する。ポリオレフィン樹脂層は厚い程、耐疵性と防食性に優れるが、厚膜になると内部応力が大きくなるため、5mm以下が望ましい。

0036

以下、本発明を実施例によって具体的に説明する。

0037

化成処理液の調製
本発明の化成処理液を、最終的な溶液のpHが0.9〜2.0となるように調整するために市販の85%リン酸を用い、シリカ微粒子として気相法で合成された日本アエロジル社製のAEROSIL 200を、添加したリン酸に対して0.3〜2.5の質量比となるように調整して化成処理液を調製した。

0038

また、シリカ微粒子に対してモル比で0.2を超えない少量の金属添加を行う場合の例として、重リン酸アルミニウム、重リン酸マグネシウム、重リン酸カルシウムを用いた。シランカップリング剤の添加を行う場合の例としては、3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシランを用いた。

0039

比較例として、りん酸に対するシリカ微粒子の質量比が0.3〜2.5の範囲外となる化成処理液、特許文献3に示される、リン酸金属化合物とシリカ微粒子からなる化成処理液を用いて比較例の化成処理を調製した。また、特許文献4に示される化成処理液の調製を試みたが、5酸化バナジウムが完全に溶解しなかったため、不溶解成分を除去した液で試験を実施した。

0040

3層ポリオレフィン被覆に用いる鋼管は200AのJISG3452の配管用炭素鋼管5.5m長を用いた。鋼管外面にIKK社製のTGD−70番のグリッドブラスト処理を行って除錆したものを用意した。鋼管を温度(50℃)に加温後、本発明の実施例1〜7(発明例)の化成処理液を刷毛で塗布して乾燥した。この時、化成処理のシリカ付着量が400〜600mg/m2となるように調整した。

0041

比較例1,2として、鋼管を温度(23℃、90℃)に加温して、表1に示す化成処理液を、実施例と同様に塗布し、乾燥した。

0042

化成処理後の鋼管を200℃に加温後、粉体エポキシ樹脂塗料プライマー(PE50−1081、Arsonsisi社製)を、目標膜厚200μmで静電粉体塗装を実施した。その後、変性ポリエチレン接着剤(ADMERNE065、三井化学社製)とポリエチレン(NOVATEC ER002S、日本ポリエチレン社製)のペレットを押出機とTダイスを用いてシート状の半溶融状態成形し、巻き付け被覆を行った。接着剤膜厚は200μm、ポリエチレン被覆は3mmになるように調整した。その後、外面水冷を行って本発明の実施例及び比較例の3層ポリオレフィン被覆鋼管を製造した。

0043

作製したポリオレフィン被覆鋼管を切断して8×15cmの試験片を作製した。防食性能を確認する方法としてエアーバブリングによって腐食を促進した50℃の3%食塩水に90日浸漬後、被覆端面からの剥離距離(mm)を測定した。剥離距離が10mm未満のものを合格とした。

0044

被膜の内部応力に対する接着力が確保されているかを確認する方法として冷熱サイクル試験を実施した。−30℃に1時間保持と60℃に1時間保持を100回繰り返した。試験後に被覆の端部から、はつり除去して接着が低下して鋼材が露出している部分の被覆端面からの剥離距離(mm)を測定し、剥離距離が10mm未満のものを合格とした。

0045

比較例及び本発明の化成処理成分を用いた結果を表1に示す。発明例のリン酸及びシリカを適正な範囲で処理した例は、耐腐食剥離性に優れると供に、冷熱サイクルで発生する内部応力に起因する剥離(応力剥離)にも優れることがわかる。一方で、比較例1〜5の本発明の処理液の組成又は鋼管の加熱温度外れる例、並びに比較例6〜9の特許文献3の化成処理液、比較例10の特許文献4の化成処理液を用いた例では、耐腐食試験又は冷熱サイクル試験での剥離が10mmを超えて大きく増加している。

0046

本発明の被膜構造として、実施例2及び実施例3の処理条件での化成処理膜断面を図2及び3に示す。鋼管表面にリン酸鉄層が形成され、シリカ微粒子層中にもリン酸鉄粒子が見られる。図中の説明で、化成処理被膜第1層は、リン酸鉄を含むリン酸金属処理被膜層であり、化成処理被膜第2層は、粒子状のリン酸鉄を含むリン酸金属と気相法シリカ微粒子との多孔質混合層である。

実施例

0047

化成処理液中のリン酸量が多く反応が過多となった比較例4の断面を図4に示す。リン酸鉄粒子が増加し、シリカの被膜構造が破壊されており、密着性能が低下する。

0048

1鋼管
2リン酸金属処理被膜
3 リン酸金属とシリカ微粒子とを含む混合層
4粉体エポキシ樹脂塗料を含むプライマー層
5変性ポリオレフィン接着剤層
6 ポリオレフィン樹脂層

ページトップへ

この技術を出願した法人

この技術を発明した人物

ページトップへ

関連する挑戦したい社会課題

関連する公募課題

該当するデータがありません

ページトップへ

技術視点だけで見ていませんか?

この技術の活用可能性がある分野

分野別動向を把握したい方- 事業化視点で見る -

(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成

ページトップへ

おススメ サービス

おススメ astavisionコンテンツ

新着 最近 公開された関連が強い技術

この 技術と関連性が強い技術

関連性が強い 技術一覧

この 技術と関連性が強い人物

関連性が強い人物一覧

この 技術と関連する社会課題

関連する挑戦したい社会課題一覧

この 技術と関連する公募課題

該当するデータがありません

astavision 新着記事

サイト情報について

本サービスは、国が公開している情報(公開特許公報、特許整理標準化データ等)を元に構成されています。出典元のデータには一部間違いやノイズがあり、情報の正確さについては保証致しかねます。また一時的に、各データの収録範囲や更新周期によって、一部の情報が正しく表示されないことがございます。当サイトの情報を元にした諸問題、不利益等について当方は何ら責任を負いかねることを予めご承知おきのほど宜しくお願い申し上げます。

主たる情報の出典

特許情報…特許整理標準化データ(XML編)、公開特許公報、特許公報、審決公報、Patent Map Guidance System データ