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技術 有機溶媒の下でイオン交換樹脂を用いる5−ヒドロキシメチル−2−フルフラールまたはそのアルキルエーテル誘導体の製造方法

出願人 エスケーケミカルズカンパニーリミテッドコリアインスティテュートオブインダストリアルテクノロジー
発明者 チョ,ジンクキム,サンヨンチョ,ジェフンキム,ボラジュ,ポール
出願日 2017年4月5日 (3年1ヶ月経過) 出願番号 2017-074905
公開日 2017年7月27日 (2年9ヶ月経過) 公開番号 2017-128600
状態 特許登録済
技術分野 フラン系化合物
主要キーワード 固定イオン 線形構造 多糖類物質 温室ガス 高分子基体 工程費用 イオン排除カラム 反対符号
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図面 (6)

課題

本発明は、有機溶媒の下でイオン交換樹脂を用いるフラン化合物の製造方法に関する。

解決手段

本発明のフラン系化合物の製造方法において、アルドース六炭糖化合物から有機溶媒の下で陰イオン交換樹脂および陽イオン交換樹脂を用いてフラン系化合物を製造する。これにより、陰イオン/陽イオン交換樹脂を触媒として同時に又は連続的に使用することにより、バイオマスから得られるアルドース型六炭糖化合物を、高価の試薬を使用することなく、5−ヒドロキシメチル−2−フルフラール(HMF)またはそのエーテル誘導体たる5−アルコキシメチル−2−フルフラール(AMF)に製造することができる。また、有機溶媒の選択が制限的ではなく、不均一触媒が使用できるため分離精製が容易であり、化学的に安定なAMFを直接製造することができ、アルドース型六炭糖化合物の転換率に優れるうえ、六炭糖化合物を高濃度で使用することができる。

概要

背景

限られた埋蔵量石油資源持続的な減少、および新興開発途上国の成長に伴う石油需要急増は、市場需給不均衡を誘発して高油価時代をもたらしている。しかも、石油の無分別な使用により発生する不可逆温室ガスは、深刻な環境問題、たとえば地球温暖化などを引き起こしている。

既に、世界各国は、再生および持続使用が可能なバイオマスを用いて石油資源を代替するための多くの努力を注いでおり、バイオエタノールバイオディーゼルなどのバイオ燃料、および乳酸プロパンジオールなどのバイオプラスチック単量体などを産業的に生産して輸送用燃料または石油化学物質を代替している。

このような努力の一環として、最近脚光を浴びている物質がバイオマス由来フラン化合物たる5−ヒドロキシメチル−2−フルフラール(5-hydroxymethyl-2-furfural、HMF)とそのアルキルエーテル誘導体たる5−アルコキシメチル−2−フルフラール(5-alkoxymethyl-2-furfural、AMF)である。

HMFとAMFは酸化過程を介して2,5−フランジカルボン酸(2,5-furan dicarboxylic acid、FDCA)に転換できるが、FDCAは飲料、食品容器などに広く用いられているPET(Poly(ethylene terephthalate))の単量体たるテレフタル酸(terephthalic acid、TPA)の代替物質として知られている。PETはエチレングリコール(ethylene glycol、EG)とテレフタル酸(TPA)を単量体として用いて縮合重合を介して得るが、現在バイオマス基盤のPETを製造するために、エチレングリコール(EG)単量体はバイオエタノール基盤のバイオエチレンから産業的生産が行われているが、テレフタル酸(TPA)は未だバイオマスから得られない状況である。

また、AMFは、次世代バイオマス燃料として知られているが、ガソリン級以上のエネルギー密度を持っており、バイオエタノールとは異なり吸湿性が弱いため、長期保管および腐食の問題がない。それだけでなく、酵素転換工程を介して生産されるバイオエタノールは工程上で1当量六炭糖から2当量の二酸化炭素が必然的に排出される(C6H10O6→2CH3CH2OH+2CO2↑)が、AMFは炭素損失のない完全なカーボンニュートラル型工程で生産可能である。

5−ヒドロキシメチル−2−フルフラール(5-hydroxymethyl-2-furfural、HMF)および5−アルコキシメチル−2−フルフラール(5-alkoxymethyl-2-furfural、AMF)は、バイオマス内に存在する炭水化物成分のうち糖分、澱粉繊維素寒天紅藻類)のように六炭糖からなる多糖類物質から転換できる。具体的に、糖分、澱粉、繊維素、寒天(紅藻類)のように六炭糖からなる多糖類物質は、加水分解による糖化過程(saccharification)を介してフルクトースグルコースガラクトースなどの単糖類物質に転換され、このように転換された単糖類物質から脱水反応条件の下で3当量の水分子が除去されると、HMFまたはAMFが生成される。

フルクトース、グルコース、ガラクトースなどの単糖類の六炭糖化合物は、ケトース(ketose)とアルドース(aldose)の2種の構造異性体が存在する。ケトースとアルドースはカルボニル基の位置によって区分することができるが、ケトースはC2位置にカルボニル基が存在するケトン化合物であり、アルドースはC1位置にカルボニル基が存在するアルデヒド化合物である。

また、六炭糖化合物はpH条件によって線形構造環状構造との間で平衡をなして存在するが、この際、ケトースは5員環構造をなし、アルドースは6員環構造をなす。

したがって、単糖類の六炭糖化合物から、5員環構造を持つフラン系化合物たるHMFとAMFを得るとき、アルドースよりケトースが一層転換されやすいと知られている。よって、HMFまたはAMFを生産するために、ケトースであるフルクトースを出発物質として用いることが一般的である。

ところが、自然界に存在する六炭糖化合物は大部分がグルコースまたはガラクトースなどのアルドースであり、フルクトースなどのケトースは糖分、牛乳などに制限的に存在する。酵素転換を介してグルコースをフルクトースに添加する方法が知られており、高濃度果糖という形態で大量生産されて食品添加物などに用いられているが、グルコースを直接使用することに比べて別途工程費用がかかるうえ、高濃度の果糖内にも依然として約50%程度のグルコースが存在する。

したがって、自然界において最も富む六炭糖化合物たるグルコースなどのアルドースから直接HMFとAMFを得ようとする研究が現在行われている。

アルドースから直接HMFとAMFを得るためには、アルドースをケトースに転換する異性化反応条件が求められる。現在まで知られている最も代表的な方法は、イミダゾリウム形態のイオン性液体溶媒の下でCr(II)またはCr(III)触媒を使用する(Science 2007; 316; 1597-1600)。ところが、この発明で使用したイオン性液体は、高価の溶媒であるため、産業的な大量生産工程に適用するには経済性に問題点がある。

別の方法としては、二相系(Biphasic system)を用いて生成されるフラン系化合物を実時間で抽出して転換率極大化する方法がある(Science, 2006; 312; 1933-1937)。ところが、この方法は、別の異性化反応条件を提供しないため、アルドースよりはケトースたるフルクトースに主に効果的であり、反応中に二相系を保つためには溶媒の選択が制限的であり、不均一触媒を使用し難いという欠点がある。また、前記2つの方法とも、得られるフラン系生成物はHMFに局限されるという問題点がある。また、HMFはAMFに比べて不安定な化合物であって、反応混合物から回収する過程中に一部が分解されるという問題点がある。

国際特許出願WO2007/104514は、AMFを得るための方法として、六炭糖化合物をアルコール溶媒の下で固体酸触媒を用いて転換する方法を開示する。ところが、この方法も、二相系転換方法と同様に別途の異性化反応条件を提供しないため、ケトースたるフルクトースに主に効果的な方法である。また、反応条件基質たる六炭糖化合物の濃度が約1%(wt/V)程度と低いため、生産および回収工程上で費用増加を誘発するという問題点がある。

概要

本発明は、有機溶媒の下でイオン交換樹脂を用いるフラン系化合物の製造方法に関する。 本発明のフラン系化合物の製造方法において、アルドース型六炭糖化合物から有機溶媒の下で陰イオン交換樹脂および陽イオン交換樹脂を用いてフラン系化合物を製造する。これにより、陰イオン/陽イオン交換樹脂を触媒として同時に又は連続的に使用することにより、バイオマスから得られるアルドース型六炭糖化合物を、高価の試薬を使用することなく、5−ヒドロキシメチル−2−フルフラール(HMF)またはそのエーテル誘導体たる5−アルコキシメチル−2−フルフラール(AMF)に製造することができる。また、有機溶媒の選択が制限的ではなく、不均一触媒が使用できるため分離精製が容易であり、化学的に安定なAMFを直接製造することができ、アルドース型六炭糖化合物の転換率に優れるうえ、六炭糖化合物を高濃度で使用することができる。なし

目的

本発明の目的は、水溶液ではなく有機溶媒の下で陰イオン交換樹脂と陽イオン交換樹脂を同時に又は連続的に使用することにより、高価な試薬を使用せず、分離精製が容易であり、化学的に安定なAMFを直接製造することができる、アルドース型六炭糖化合物からの5−ヒドロキシメチル−2−フルフラール(HMF)またはそのエーテル誘導体たる5−アルコキシメチル−2−フルフラール(AMF)の製造方法を提供する

効果

実績

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請求項1

アルドース六炭糖化合物から有機溶媒の下で陰イオン交換樹脂および陽イオン交換樹脂を用いてフラン系化合物を製造する、フラン系化合物の製造方法。

請求項2

前記フラン系化合物の製造方法は、アルドース型六炭糖化合物を陰イオン交換樹脂を用いて異性化反応させてケトース型六炭糖化合物を製造する段階(段階1)と、前記ケトース型六炭糖化合物を陽イオン交換樹脂を用いて脱水化反応させてフラン系化合物を製造する段階(段階2)とを含んでなる、請求項1に記載のフラン系化合物の製造方法。

請求項3

前記陰イオン交換樹脂と前記陽イオン交換樹脂を、同時に又は連続的に使用することを特徴とする、請求項1に記載のフラン系化合物の製造方法。

請求項4

前記アルドース型六炭糖化合物は、アルドース型グルコース;アルドース型ガラクトース;またはアルドース型グルコースまたはアルドース型ガラクトースを含む糖化合物;であることを特徴とする、請求項1に記載のフラン系化合物の製造方法。

請求項5

前記アルドース型グルコースまたはアルドース型ガラクトースを含む糖化合物は、アミロースセルロースまたはアガロースであることを特徴とする、請求項4に記載のフラン系化合物の製造方法。

請求項6

前記フラン系化合物は、5−ヒドロキシメチル−2−フルフラール(HMF)または5−アルコキシメチル−2−フルフラール(AMF)であることを特徴とする、請求項1に記載のフラン系化合物の製造方法。

請求項7

前記5−アルコキシメチル−2−フルフラール(AMF)のアルコキシ基は、C1〜C5であることを特徴とする、請求項6に記載のフラン系化合物の製造方法。

請求項8

前記陰イオン交換樹脂は、ポリスチレン基盤ビーズ樹脂であって、末端に第4級アンモニウムまたは第3級アミン官能基を有し、中心イオン重炭酸またはアルミン酸置換されて交換樹脂周辺のpHが12〜13を示す塩基性陰イオン交換樹脂であることを特徴とする、請求項1に記載のフラン系化合物の製造方法。

請求項9

前記陽イオン交換樹脂は、ポリスチレン基盤のビーズ型樹脂であって、末端にスルホン酸官能基を有し、中心イオンがプロトンで置換されてpKaが1〜2を示す酸性陽イオン交換樹脂であることを特徴とする、請求項1に記載のフラン系化合物の製造方法。

請求項10

前記有機溶媒は、非プロトン性極性溶媒であることを特徴とする、請求項1に記載のフラン系化合物の製造方法。

請求項11

前記非プロトン性極性溶媒は、ジオキサンテトラヒドロフラン(THF)、アセトンジメチルスルホキシドDMSO)、ジメチルホルムアミドDMF)および1−メチル2−ピロリドン(NMP)のいずれか1種であることを特徴とする、請求項10に記載のフラン系化合物の製造方法。

請求項12

前記有機溶媒は、プロトン性極性溶媒であることを特徴とする、請求項1に記載のフラン系化合物の製造方法。

請求項13

前記プロトン性極性溶媒は、アルコール溶媒であることを特徴とする、請求項12に記載のフラン系化合物の製造方法。

請求項14

前記プロトン性極性溶媒は、エタノールn−ブタノールおよびイソプロパノールのいずれか1種であることを特徴とする、請求項12に記載のフラン系化合物の製造方法。

請求項15

前記アルドース型六炭糖化合物は、有機溶媒との混合溶液において1%〜30%(wt/V)の濃度であることを特徴とする、請求項1に記載のフラン系化合物の製造方法。

請求項16

前記陰イオン交換樹脂は、アルドース型六炭糖化合物100重量部に対して50〜300重量部であることを特徴とする、請求項1に記載のフラン系化合物の製造方法。

請求項17

前記フラン系化合物の製造方法における反応温度は、50℃〜200℃であることを特徴とする、請求項1に記載のフラン系化合物の製造方法。

技術分野

0001

本発明は、有機溶媒の下でイオン交換樹脂を用いてフラン化合物を製造する方法に係り、より詳しくは、陰イオン交換樹脂陽イオン交換樹脂を同時に又は連続的に用いて、バイオマスから得られるアルドース六炭糖化合物から5−ヒドロキシメチル−2−フルフラール(HMF)またはそのエーテル誘導体たる5−アルコキシメチル−2−フルフラール(AMF)を製造する方法に関する。

背景技術

0002

限られた埋蔵量石油資源持続的な減少、および新興開発途上国の成長に伴う石油需要急増は、市場需給不均衡を誘発して高油価時代をもたらしている。しかも、石油の無分別な使用により発生する不可逆温室ガスは、深刻な環境問題、たとえば地球温暖化などを引き起こしている。

0003

既に、世界各国は、再生および持続使用が可能なバイオマスを用いて石油資源を代替するための多くの努力を注いでおり、バイオエタノールバイオディーゼルなどのバイオ燃料、および乳酸プロパンジオールなどのバイオプラスチック単量体などを産業的に生産して輸送用燃料または石油化学物質を代替している。

0004

このような努力の一環として、最近脚光を浴びている物質がバイオマス由来フラン系化合物たる5−ヒドロキシメチル−2−フルフラール(5-hydroxymethyl-2-furfural、HMF)とそのアルキルエーテル誘導体たる5−アルコキシメチル−2−フルフラール(5-alkoxymethyl-2-furfural、AMF)である。

0005

HMFとAMFは酸化過程を介して2,5−フランジカルボン酸(2,5-furan dicarboxylic acid、FDCA)に転換できるが、FDCAは飲料、食品容器などに広く用いられているPET(Poly(ethylene terephthalate))の単量体たるテレフタル酸(terephthalic acid、TPA)の代替物質として知られている。PETはエチレングリコール(ethylene glycol、EG)とテレフタル酸(TPA)を単量体として用いて縮合重合を介して得るが、現在バイオマス基盤のPETを製造するために、エチレングリコール(EG)単量体はバイオエタノール基盤のバイオエチレンから産業的生産が行われているが、テレフタル酸(TPA)は未だバイオマスから得られない状況である。

0006

また、AMFは、次世代バイオマス燃料として知られているが、ガソリン級以上のエネルギー密度を持っており、バイオエタノールとは異なり吸湿性が弱いため、長期保管および腐食の問題がない。それだけでなく、酵素転換工程を介して生産されるバイオエタノールは工程上で1当量の六炭糖から2当量の二酸化炭素が必然的に排出される(C6H10O6→2CH3CH2OH+2CO2↑)が、AMFは炭素損失のない完全なカーボンニュートラル型工程で生産可能である。

0007

5−ヒドロキシメチル−2−フルフラール(5-hydroxymethyl-2-furfural、HMF)および5−アルコキシメチル−2−フルフラール(5-alkoxymethyl-2-furfural、AMF)は、バイオマス内に存在する炭水化物成分のうち糖分、澱粉繊維素寒天紅藻類)のように六炭糖からなる多糖類物質から転換できる。具体的に、糖分、澱粉、繊維素、寒天(紅藻類)のように六炭糖からなる多糖類物質は、加水分解による糖化過程(saccharification)を介してフルクトースグルコースガラクトースなどの単糖類物質に転換され、このように転換された単糖類物質から脱水反応条件の下で3当量の水分子が除去されると、HMFまたはAMFが生成される。

0008

フルクトース、グルコース、ガラクトースなどの単糖類の六炭糖化合物は、ケトース(ketose)とアルドース(aldose)の2種の構造異性体が存在する。ケトースとアルドースはカルボニル基の位置によって区分することができるが、ケトースはC2位置にカルボニル基が存在するケトン化合物であり、アルドースはC1位置にカルボニル基が存在するアルデヒド化合物である。

0009

また、六炭糖化合物はpH条件によって線形構造環状構造との間で平衡をなして存在するが、この際、ケトースは5員環構造をなし、アルドースは6員環構造をなす。

0010

したがって、単糖類の六炭糖化合物から、5員環構造を持つフラン系化合物たるHMFとAMFを得るとき、アルドースよりケトースが一層転換されやすいと知られている。よって、HMFまたはAMFを生産するために、ケトースであるフルクトースを出発物質として用いることが一般的である。

0011

ところが、自然界に存在する六炭糖化合物は大部分がグルコースまたはガラクトースなどのアルドースであり、フルクトースなどのケトースは糖分、牛乳などに制限的に存在する。酵素転換を介してグルコースをフルクトースに添加する方法が知られており、高濃度果糖という形態で大量生産されて食品添加物などに用いられているが、グルコースを直接使用することに比べて別途工程費用がかかるうえ、高濃度の果糖内にも依然として約50%程度のグルコースが存在する。

0012

したがって、自然界において最も富む六炭糖化合物たるグルコースなどのアルドースから直接HMFとAMFを得ようとする研究が現在行われている。

0013

アルドースから直接HMFとAMFを得るためには、アルドースをケトースに転換する異性化反応条件が求められる。現在まで知られている最も代表的な方法は、イミダゾリウム形態のイオン性液体溶媒の下でCr(II)またはCr(III)触媒を使用する(Science 2007; 316; 1597-1600)。ところが、この発明で使用したイオン性液体は、高価の溶媒であるため、産業的な大量生産工程に適用するには経済性に問題点がある。

0014

別の方法としては、二相系(Biphasic system)を用いて生成されるフラン系化合物を実時間で抽出して転換率極大化する方法がある(Science, 2006; 312; 1933-1937)。ところが、この方法は、別の異性化反応条件を提供しないため、アルドースよりはケトースたるフルクトースに主に効果的であり、反応中に二相系を保つためには溶媒の選択が制限的であり、不均一触媒を使用し難いという欠点がある。また、前記2つの方法とも、得られるフラン系生成物はHMFに局限されるという問題点がある。また、HMFはAMFに比べて不安定な化合物であって、反応混合物から回収する過程中に一部が分解されるという問題点がある。

0015

国際特許出願WO2007/104514は、AMFを得るための方法として、六炭糖化合物をアルコール溶媒の下で固体酸触媒を用いて転換する方法を開示する。ところが、この方法も、二相系転換方法と同様に別途の異性化反応条件を提供しないため、ケトースたるフルクトースに主に効果的な方法である。また、反応条件基質たる六炭糖化合物の濃度が約1%(wt/V)程度と低いため、生産および回収工程上で費用増加を誘発するという問題点がある。

発明が解決しようとする課題

0016

本発明の目的は、水溶液ではなく有機溶媒の下で陰イオン交換樹脂と陽イオン交換樹脂を同時に又は連続的に使用することにより、高価な試薬を使用せず、分離精製が容易であり、化学的に安定なAMFを直接製造することができる、アルドース型六炭糖化合物からの5−ヒドロキシメチル−2−フルフラール(HMF)またはそのエーテル誘導体たる5−アルコキシメチル−2−フルフラール(AMF)の製造方法を提供することにある。

課題を解決するための手段

0017

上記目的を達成するために、本発明に係るフラン系化合物の製造方法は、アルドース型六炭糖化合物から有機溶媒の下で陰イオン交換樹脂および陽イオン交換樹脂を用いてフラン系化合物を製造する。

0018

前記フラン系化合物の製造方法は、アルドース型六炭糖化合物を陰イオン交換樹脂を用いて異性化反応させてケトース型六炭糖化合物を製造する段階(段階1)と、前記ケトース型六炭糖化合物を陽イオン交換樹脂を用いて脱水化反応させてフラン系化合物を製造する段階(段階2)とを含むことができる。

0019

前記陰イオン交換樹脂と陽イオン交換樹脂は同時に又は連続的に使用することができる。

0020

前記アルドース型六炭糖化合物は、アルドース型グルコース;アルドース型ガラクトース;またはアルドース型グルコースまたはアルドース型ガラクトースを含む糖化合物;であってもよい。

0021

前記アルドース型グルコースまたはアルドース型ガラクトースを含む糖化合物は、アミロースセルロースまたはアガロースであってもよい。

0022

前記フラン系化合物は、5−ヒドロキシメチル−2−フルフラール(HMF)または5−アルコキシメチル−2−フルフラール(AMF)であってもよい。

0023

前記5−アルコキシメチル−2−フルフラール(AMF)のアルコキシ基はC1〜C5であってもよい。

0024

前記陰イオン交換樹脂は、ポリスチレン基盤のビーズ樹脂であって、末端に第4級アンモニウムまたは第3級アミン官能基を有しており、中心イオン重炭酸またはアルミン酸置換されて交換樹脂周辺のpHが12〜13を示す塩基性陰イオン交換樹脂であってもよい。

0025

前記陽イオン交換樹脂は、ポリスチレン基盤のビーズ型樹脂であって、末端にスルホン酸官能基を有しており、中心イオンがプロトンで置換されてpKaが1〜2を示す酸性陽イオン交換樹脂であってもよい。

0026

前記有機溶媒は非プロトン性極性溶媒であってもよい。

0027

前記非プロトン性極性溶媒は、ジオキサンテトラヒドロフラン(THF)、アセトンジメチルスルホキシドDMSO)、ジメチルホルムアミドDMF)および1−メチル2−ピロリドン(NMP)のいずれか1種であってもよい。

0028

前記有機溶媒はプロトン性極性溶媒であってもよい。

0029

前記プロトン性極性溶媒はアルコール溶媒であってもよい。

0030

前記プロトン性極性溶媒はエタノールn−ブタノールおよびイソプロパノールのいずれか1種であってもよい。

0031

前記アルドース型六炭糖化合物は有機溶媒との混合溶液において1%〜30%(wt/V)の濃度であってもよい。

0032

前記陰イオン交換樹脂はアルドース型六炭糖化合物100重量部に対して50〜300重量部であってもよい。

0033

前記フラン系化合物の製造方法は反応温度が50℃〜200℃であってもよい。

発明の効果

0034

本発明の製造方法によって、陰イオン/陽イオン交換樹脂を触媒として同時に又は連続的に使用することにより、バイオマスから得られるアルドース型六炭糖化合物を、高価の試薬を使用することなく、5−ヒドロキシメチル−2−フルフラール(HMF)またはそのアルキルエーテル誘導体たる5−アルコキシメチル−2−フルフラール(AMF)を製造することができる。

0035

また、本発明は、有機溶媒の選択が制限的ではなく、不均一触媒が使用できるため分離精製が容易であり、化学的に安定なAMFを直接製造することができる。その上、アルドース型六炭糖化合物の転換率に優れるうえ、六炭糖化合物を10倍以上の高濃度で使用することができる。

図面の簡単な説明

0036

本発明の実施例1〜8の陰イオン交換樹脂の洗浄溶液によるフルクトース収率を比較して示す。

0037

本発明の実施例9〜16の陰イオン交換樹脂/グルコースの重量比によるフルクトース収率を比較して示す。

0038

本発明の実施例17〜24の反応時間によるフルクトース収率を比較して示す。

0039

本発明の実施例25〜28の反応容器溶媒によるフルクトース収率を比較して示す。

0040

本発明の実施例29〜32の陰イオン交換樹脂の種類によるフルクトース収率を比較して示す。

0041

本発明の実施例56のHMFおよびEMFへの転換反応における時間経過に伴う生成物収率の変化を分析して示す。

0042

以下、本発明のイオン交換樹脂を用いる5−ヒドロキシメチル−2−フルフラールまたはそのアルキルエーテル誘導体の製造方法について説明する。

0043

前記5−ヒドロキシメチル−2−フルフラール(HMF)またはそのアルキルエーテル誘導体たる5−アルコキシメチル−2−フルフラール(AMF)の化学式を下記化学式1で表す。

0044

0045

本発明のフラン系化合物の製造方法は、アルドース型六炭糖化合物を有機溶媒の下で陰イオン交換樹脂および陽イオン交換樹脂を用いてフラン系化合物を製造する。

0046

詳しくは、本発明の5−ヒドロキシメチル−2−フルフラールおよびその誘導体を製造する方法は、アルドース型六炭糖化合物を陰イオン交換樹脂を用いて異性化反応させてケトース型六炭糖化合物を製造する段階(段階1)と、前記ケトース型六炭糖化合物を陽イオン交換樹脂を用いて脱水化反応させてフラン系化合物を製造する段階(段階2)とを含む。

0047

前記段階1は、アルドース型六炭糖化合物を陰イオン交換樹脂を用いて異性化反応を介してケトース型六炭糖化合物に転換する段階である。

0048

六炭糖化合物には、ケトースとアルドースの2種の構造異性体が存在する。
本発明で使用される用語「アルドース型六炭糖化合物」は、1モル当たり1個のアルデヒドを含む単糖類たるアルドースであって、6個の炭素を有する糖を意味する。本発明で使用される用語「ケトース型六炭糖化合物」は、1モル当たり1個のケトンを含む単糖類たるケトースであって、6個の炭素を有する糖を意味する。

0049

ケトースとアルドースは下記化学式2に示すようにカルボニル基の位置によって区分することができるが、ケトースはC2位置にカルボニル基が存在するケトン化合物であり、アルドースはC1位置にカルボニル基が存在するアルデヒド化合物である。

0050

0051

また、六炭糖化合物は、pH条件によって線形構造と環状構造との間で平衡をなして存在するが、この際、化学式2のように、ケトースは5員環構造をなし、アルドースは6員環構造をなす。

0052

したがって、単糖類の六炭糖化合物から5員環構造のフラン系化合物たるHMFとAMFを得るとき、アルドースよりケトースが一層転換されやすいから、HMFとAMFを生産するためにケトース型を出発物質として用いることが好ましい。このために、前記段階1の反応によって、自然界に存在する六炭糖化合物の大部分の形態たるアルドース型をケトース型に高収率で転換することができる。

0053

前記段階1の反応において、前記アルドース型六炭糖化合物は、アルドース型グルコース;アルドース型ガラクトース;またはアルドース型グルコースまたはアルドース型ガラクトースを含む糖化合物;であってもよい。また、アルドース型グルコースまたはアルドース型ガラクトースを含む糖化合物はアミロース、セルロースまたはアガロースであることが好ましい。

0054

本発明で使用される用語「イオン交換樹脂」は、微細な3次元網目構造高分子基体イオン交換基を結合させたものであり、高分子基体に固定させた固定イオン反対符号溶液中で溶出可能な対イオンからなる。イオン交換樹脂は、交換基の種類によって陽イオン交換樹脂と陰イオン交換樹脂に大別され、それぞれ不溶性高分子酸高分子塩基といえる。

0055

イオン交換樹脂の種類には陰イオン交換樹脂と陽イオン交換樹脂があり、陰イオン交換の種類には強塩基性陽イオン交換樹脂1型2型(第4級アンモニウム)、弱塩基性陰イオン交換樹脂(第1級〜第3級アミン)があり、陽イオン交換樹脂の種類には強酸性陽イオン交換樹脂弱酸性陽イオン交換樹脂がある。

0056

イオン交換樹脂の大部分は、微細な3次元網目構造を有する高分子基体にイオン交換基を導入したものであり、原料モノマースチレン)と2官能以上の架橋剤(ジビニルベンゼン:DVB)との共重合によって合成され、DVB%を架橋度と呼ぶ。過酸化ベンゾイルを触媒として、モノマー不溶媒質(大部分は水)中でPVAなどの有機懸濁安定剤または炭酸カルシウムなどの無機懸濁安定剤を用いて懸濁重合による20〜50メッシュの粒状の共重合体を得ることができる。

0057

強酸性陽イオン交換樹脂は、前記で製造したビーズ(beads)を濃硫酸クロロスルホン酸などを用いてスルホン化させる。弱酸性陽イオン交換樹脂は、−COOH基を有するものが大部分であり、アクリル酸エステルメタクリル酸エステルとDVBの共重合ポリマーの加水分解によって合成される。

0058

強塩基性陰イオン交換樹脂1型は、スチレンとDVBの共重合体ビーズを、AlCl3、SnCl4、ZnCl2などのルイス酸を触媒として、クロロメチルエーテルクロロメチル化し、これをトリメチルアミンなどの第3級アミンで4級化させて製造する。強塩基性陰イオン交換樹脂2型は、共重合体ビーズをクロロメチル化させた後、ジメチルエタノールアミンで4級化させる。弱塩基性陰イオン交換樹脂は、クロロメチル化させたビーズを第1級アミン、第2級アミンにアミノ化する。また、DVBとアクリレート共重合物をアミンでアミド化して製造する。

0059

本発明では、陰イオン交換樹脂としては産業的に広く用いられるポリスチレン基盤のビーズ型樹脂を使用した。この際、陰イオン交換樹脂の末端は重炭酸塩またはアルミン酸塩の形態にして異性化反応のための塩基性条件(pH12〜13)を造成した。

0060

また、陽イオン交換樹脂としては、産業的に広く用いられるポリスチレン基盤のビーズ型樹脂を使用した。この際、陽イオン交換樹脂の末端は3N塩酸水溶液を用いてプロトン(proton)を置換させ、末端にプロトンが導入された陽イオン交換樹脂のpKa値を約1に調節した。これにより、脱水反応のための酸性条件を造成した。

0061

前記段階1の反応において、陰イオン交換樹脂は、下記化学式3のようにポリスチレン基盤のビーズ型樹脂であって、末端に第4級アンモニウムまたは第3級アミン官能基を持っており、対イオン(counter ion)は重炭酸(bicarbonate)またはアルミン酸(aluminate)で置換されて弱塩基性を帯びることを特徴とする。このために、陰イオン交換樹脂は、使用前に、重炭酸ナトリウムまたはアルミン酸ナトリウム飽和溶液で十分に洗浄しなければならない。

0062

0063

化学式3のような構造で製造された陰イオン交換樹脂をもって、アルドース型六炭糖化合物たるグルコースの異性化反応を行ったとき、30〜50%の転換率と70〜90%の選択度でケトース型六炭糖化合物たるフルクトースに転換される。
陰イオン交換樹脂がアルドース型六炭糖化合物たるグルコースをケトース型六炭糖化合物たるフルクトースに転換させる過程は、陰イオン交換樹脂の周辺で塩基条件が形成されるとき、下記化学式4のようにアルドース末端のアルデヒド基内の電子が隣接の炭素原子に移りながら(delocalized)ケトースで異性化反応が行われるものと思われる。

0064

0065

前記段階2は、ケトース型六炭糖化合物を、陽イオン交換樹脂を用いて脱水反応を介してHMFまたはAMFなどのフラン系化合物に転換する段階である。

0066

前記段階2の反応において、前記フラン系化合物は5−ヒドロキシメチル−2−フルフラール(HMF)または5−アルコキシメチル−2−フルフラール(AMF)であり、5−アルコキシメチル−2−フルフラール(AMF)におけるアルコキシ基はC1〜C5であることが好ましい。

0067

前記段階2の反応において、陽イオン交換樹脂は、下記化学式5のようにポリスチレン基盤のビーズ型樹脂であって、末端にスルホン酸官能基を持っており、対イオンがプロトンで置換されて強酸性を帯びることを特徴とする。このために、陽イオン交換樹脂は、使用前に、塩酸水溶液などで十分に洗浄しなければならない。

0068

0069

陽イオン交換樹脂がケトース型六炭糖化合物を脱水反応によってフラン系化合物に変換する過程を、下記化学式6に示した。下記化学式6に示すように、アルドースからケトースに転換された六炭糖化合物は、陽イオン交換樹脂周辺の酸性条件で環化反応と共に3分子の水が抜けながらフルフラール化合物が生成される(この際、環化反応が起こっていない状態で脱水化反応が行われるという主張もある−Acyclic intermediate mechanism)。

0070

0071

本発明は、アルドース型六炭糖化合物を異性化反応を介してケトース型六炭糖化合物に転換する役割を果たす陰イオン交換樹脂と、生成されたケトース型六炭糖化合物を脱水反応を介してHMFまたはAMFなどのフラン系化合物に転換する役割を果たす陽イオン交換樹脂を連続的に又は同時に用いることができる。

0072

本発明において、有機溶媒は、親水性である六炭糖化合物の溶解度を考慮するとき、極性溶媒の使用が可能であり、特にジオキサン(dioxane)、テトラヒドロフラン(THF、tetrahydrofuran)、アセトン(acetone)、DMSO(Dimethyl sulfoxide)、DMF(Dimethylformamide)、NMP(N-methyl-2-pyrrolidone)などの非プロトン性極性溶媒を使用する場合、最終生成物からHMFを得ることができ、エタノール、n−ブタノール、イソプロパノールなどのプロトン性極性溶媒を使用する場合、最終生成物としてHMFとAMFを得ることができる。

0073

特に、アルコール(CnH2n+1OH)溶媒を使用する場合、AMFの生産収率が高く、エタノール、n−ブタノール、イソプロパノールなどを使用することが好ましい。

0074

また、反応の際に、有機溶媒に対する出発物質たる六炭糖化合物の濃度は、有機溶媒との混合溶液の1%〜30%(wt/V)であることを特徴とし、より好ましくは10〜20%(wt/V)であることを特徴とする。六炭糖化合物の濃度が1%未満になると、生産性が低下するうえ、有機溶媒の除去のための費用が上昇するという問題点があり、六炭糖化合物の濃度が30%を超過すると、反応性に劣るという問題点がある。

0075

また、反応の際に使用される陰イオン交換樹脂の重量比は、アルドース型六炭糖化合物100重量部に対して50〜300重量部であることを特徴とし、より好ましくは100〜200重量部であることを特徴とする。陰イオン交換樹脂の重量比が50重量部未満になると、転換速度が遅くなるという問題点があり、陰イオン交換樹脂の重量比が300重量部を超過すると、副産物の生成が増加し、経済性に劣るという問題点がある。

0076

また、反応温度は50℃〜200℃であることを特徴とし、さらに好ましくは70℃〜150℃であることを特徴とする。反応温度が50℃未満になると、反応速度が遅くなるという問題があり、反応温度が200℃を超えると、副産物の生成が増加するという問題がある。

0077

以下、本発明の好適な実施例を挙げて説明する。

0078

[実施例]
実施例1〜51(段階1)

0079

チューブ型反応器内にグルコースを100mgずつ入れ、重炭酸ナトリウム(NaHCO3)またはアルミン酸ナトリウム(NaAlO4)飽和水溶液で洗浄した陰イオン交換樹脂(Amberlite IRA−400、Amberlite IRA−900、Amberlite IRA−743、Amberlyst A−26)を各反応器内に50〜300mg(陰イオン交換樹脂/グルコース(AER/Glu)の重量比=0.5〜3)ずつ入れた。

0080

各反応器に3mLの有機溶媒(DMSO、DMF、エタノール、ジオキサン、イソプロパノール)を入れ、80〜100℃で所定の時間攪拌した。反応終結の後、それぞれの反応器を室温に減温し、HPLC等級蒸留水希釈した後、HPLC分析を行ってフルクトースの転換収率を測定した。試料高性能液体クロマトグラフィー(Agilent 1200series)の下でイオン排除カラム(Bio−Rad Aminex HPX−87H 300×7.8mm)によって分離し、RI検出器で測定して転換収率を求めた。

0081

実施例1〜実施例51に適用される陰イオン交換樹脂、(AER/Glu)の重量比、有機溶媒、反応時間、反応温度およびフルクトースの収率は、下記表1に示すとおりである。

0082

0083

実験例1:陰イオン交換樹脂の洗浄溶液によるフルクトース収率の比較
実施例1〜実施例8における反応終結の後、それぞれの反応器を室温に減温し、HPLC等級の蒸留水で希釈した後、HPLC分析を行って収率を測定した。試料は、高性能液体クロマトグラフィー(Agilent 1200 series)上でイオン排除カラム(Bio−Rad Aminex HPX−87H 300×7.8mm)によって分離し、RID検出器で測定して収率を求めた。

0084

実施例1〜実施例8の陰イオン交換樹脂の洗浄溶液によるフルクトース収率を比較して図1に示した。

0085

図1によれば、重炭酸ナトリウムで洗浄した陰イオン交換樹脂は種類を問わず20〜30%の収率でフルクトースが生成されることを確認することができた。一方、アルミン酸ナトリウムで洗浄したゲルタイプのAmberlite A−26を使用した場合、すなわち、実施例2では38%の優れた収率でフルクトースが生成されたが、網目タイプのAmberlite IRA0−400とIRA−900の場合、すなわち、実施例3〜6ではフルクトースへの異性化効果が微弱であった。また、第3級アミン官能基を持っているAmberlite IRA−743の場合、すなわち、実施例6および7では洗浄溶液の種類を問わず同様のフルクトース転換収率を示したが、これはAmberlite IRA−743が塩基性溶液による洗浄の後に遊離アミン(free amine)として存在して対イオンの効果がないためであると見做される。

0086

実験例2:陰イオン交換樹脂/グルコース(AER/Glu)の重量比によるフルクトース収率の比較
実施例9〜12(10分間反応、Amberlite A−26)、実施例13〜16(30分間反応、Amberlite A−26)、実施例33〜36(10分間反応、Amberlite IRA−743)における反応の後、試料を採取してHPLC等級の蒸留水で希釈した後、HPLC分析を行って収率を測定した。

0087

分析の結果、グルコースの重量に対して陰イオン交換樹脂の重量が2倍(AER/Glu=2)であるとき、実施例11(25%)、実施例15(34%)および実施例35(18%)で最も高いフルクトース収率を示した。

0088

ここで、実施例9〜16の陰イオン交換樹脂/グルコースの重量比によるフルクトース収率を図2に示した。図2によれば、前記重量比が2のときに最高の転換収率を示し、反応は30分を経過するまで行い続けることを確認することができた。

0089

実験例3:陰イオン交換樹脂との反応時間によるフルクトース収率の比較
実施例17〜20(Amberlite A−26)、実施例21〜24(Amberlite IRA−743)における反応の後、試料を採取してHPLC等級の蒸留水で希釈した後、HPLC分析を行って収率を測定し、その分析結果を図3に示した。

0090

図3によれば、Amberlite A−26を使用する場合は10分内に最高収率たる約20%まで到達したが、Amberlite IRA−743を使用する場合は最高収率に到達するためには30分以上がかかることを確認することができた。ところが、最高収率はAmberlite IRA−743を使用した方がさらに優れるものと確認された。

0091

また、Amberlite A−26を使用する場合、120分以上反応を持続したときにフルクトース収率が30%以上を示し、実施例29で16時間反応させたときに49%までフルクトース収率を増加させることができたが、褐色の副産物が樹脂上に吸着されることを確認することができた。

0092

実験例4:反応有機溶媒によるフルクトース収率の比較
実施例25〜28での反応の後、試料を採取してHPLC分析を行い、反応有機溶媒によるグルコースの転換率、フルクトースの選択度および収率を分析して図4に示した。

0093

図4によれば、Amberlite IRA−900、反応有機溶媒としての水およびDMSOを使用したとき、フルクトースの選択度は90%以上と優れたが、グルコースの転換率は16時間後にもそれぞれ26%、15%と良くないことを確認することができた。ところが、プロトン性極性溶媒であるエタノールを使用したとき、グルコースに対する溶解度が低いにも拘らず、45%以上の優れた収率でフルクトースを得ることができることを確認した。

0094

このように、エタノール(b.p.78℃)を反応有機溶媒として使用する場合、DMSO(b.p.189℃)またはDMF(b.p.153℃)より低い沸点を持つため、除去が一層容易であるうえ、次世代バイオ燃料として知られたEMF(5-ethoxymethyl-2-furfural)を直接得ることができるという利点がある。

0095

それだけでなく、エタノール以外の他の極性溶媒であるジオキサンとイソプロパノールの下でAmberlite IRA−743陰イオン交換樹脂をグルコースの2倍の重量で使用して80℃で反応を行った実施例44および45の場合、フルクトースの収率は3時間内にそれぞれ53%と41%に達する比較的良い結果を確認した。

0096

これに対し、反応温度を50℃に降温した実施例46〜48の場合、有機溶媒の種類を問わず、フルクトースの収率は1〜3%と非常に低いことを確認することができた。

0097

実験例5:陰イオン交換樹脂によるフルクトース収率の比較
実施例29〜32での反応の後、試料を採取してHPLC分析を行い、グルコース転換率、フルクトース選択度およびフルクトース収率を分析して図5に示した。

0098

図5によれば、陰イオン交換樹脂としてAmberlite A−26を使用した実施例29、および陰イオン交換樹脂としてAmberite IRA−900を使用した実施例31の場合、49%の優れた収率でフルクトースが生成されることを確認することができた。Amberlite A−26を使用した実施例29の場合、グルコースの転換率が67%と優れるが、フルクトースの選択度が73%と低かった。これに対し、Amberlite IRA−900を使用した実施例31の場合、グルコースの転換率が49%とAmberlite A−26の使用時より低かったが、フルクトースの選択度がほぼ100%に近いことを確認することができた。

0099

一方、実施例1、3、5および7の反応の後、試料を採取してHPLC分析を行ってフルクトースの収率を測定した。この際、前記表1に示すように、Amberlyst A−26を使用した実施例1およびAmberlite IRA−743を使用した実施例7でフルクトース収率が28%、26%と最も高かった。但し、実施例1はフルクトース収率が高いが、副産物が共に生成された。

0100

特に、Amberlite IRA−743を使用した実施例43の場合、陰イオン交換樹脂をグルコース重量の2倍とし、エタノールの存在下に80℃で反応を行ったとき、フルクトースの転換収率は3時間内に57%に達することを確認することができた。

0101

実施例52〜56(段階1および段階2の連続遂行
チューブラタイプの反応器内にグルコースおよび陰イオン交換樹脂Amberlite IRA−743を入れて一定の時間反応(段階1)させた後、連続して陽イオン交換樹脂Amberlylst 15を入れて所定の温度および時間条件で反応(段階2)させた。この際、以前段階で使用されたイオン交換樹脂を濾過によって除去した後、新しいイオン交換樹脂を投入した。陰イオン/陽イオン交換樹脂を交互に使用した。
実施例52〜56の詳細な反応条件は、下記表2に示すとおりである。

0102

0103

実施例57〜62(段階1および段階2の同時遂行)
チューブラタイプの反応器内にグルコース、重炭酸ナトリウム飽和溶液で洗浄した陰イオン交換樹脂Amberlite IRA−743、および陽イオン交換樹脂Amberlylst 15を同時に入れて有機溶媒(DMSO、DMF、エタノール、n−ブタノール)の下で所定の温度および時間条件で反応させた。
実施例57〜62の詳細な反応条件は、下記表3に示すとおりである。

0104

0105

比較例1:陰イオン交換樹脂を使用していない場合
チューブラタイプの反応器内にグルコース(100mg)、およびプロトンで置換された陽イオン交換樹脂Amberlyst 15(100mg)を入れ、有機溶媒としてDMSOを3mL入れた後、陰イオン交換樹脂のない条件の下に100℃で5時間攪拌した。反応終結の後、HPLC分析の結果、前記反応条件の下でフラン系化合物たるHMFが生成されないことを確認することができた。

0106

実験例6:グルコースからHMFおよびEMFへの転換反応における時間経過に伴う生成物収率の変化の分析
実施例56によって、グルコースを入れてエタノール有機溶媒の下で陰イオン交換樹脂Amberlite IRA−743と陽イオン交換樹脂Amberlyst 15を1時間ずつ80℃と100℃で交互に使用して時間別に生成物の変化様相を分析し、その結果を図6に示した。

0107

図6によれば、陰イオン交換樹脂が使用されるときにグルコースからフルクトースへの異性化反応が行われてフルクトース生成収率が増加し、陽イオン交換樹脂が使用されるときにフルクトース生成収率が減少し、HMFとEMFが生成されることを確認することができた。

0108

前記実験例1〜6によれば、本発明のHMFまたはAMFなどのフラン系化合物の製造方法は、主に食糧資源を含む、限られた供給源のみから得ることが可能なケトース型六炭糖化合物だけでなく、自然界において最も富むアルドース型六炭糖化合物もHMFまたはAMFなどのフラン系化合物に転換することができるという利点があることを確認することができる。また、アルドース型六炭糖化合物をフラン系化合物に転換するために開発されたイオン性液体と金属触媒を用いる既存の方法と比較して、高価の試薬を使用しないため、産業的な量産を考慮するときに生産費用が節減できることが分かる。

0109

一方、既存の二相系を用いる六炭糖化合物のフラン系化合物転換方法と比較して、有機溶媒の選択が制限的ではなく、不均一触媒が使用できるため分離精製が容易であるという利点がある。また、プロトン性極性溶媒を用いて、HMFだけでなく、高エネルギー密度を有するバイオ燃料として使用が可能であり、化学的に安定なAMFを直接製造することができる。

0110

すなわち、陽イオン交換樹脂のみを用いる既存の方法と比較するとき、陰イオン交換樹脂による異性化反応を用いるケトース型六炭糖化合物への変換を促進することができるため、アルドース型六炭糖化合物の転換率に優れるうえ、六炭糖化合物を10倍以上の高濃度で使用することができることが分かる。

実施例

0111

以上、本発明の好適な実施例を挙げて詳細に説明したが、本発明は、前記実施例に限定されず、本発明の技術的思想の範囲内において、当該分野における通常の知識を有する者によって様々な変形が可能である。

0112

本発明の製造方法によって、陰イオン/陽イオン交換樹脂を触媒として同時に又は連続的に使用することにより、バイオマスから得られるアルドース型六炭糖化合物を、高価の試薬を使用することなく、5−ヒドロキシメチル−2−フルフラール(HMF)またはそのアルキルエーテル誘導体たる5−アルコキシメチル−2−フルフラール(AMF)に製造することができる。

0113

また、本発明は、有機溶媒の選択が制限的ではなく、不均一触媒が使用できるため分離精製が容易であり、化学的に安定なAMFを直接製造することができる。その上、アルドース型六炭糖化合物の転換率に優れるうえ、六炭糖化合物を10倍以上の高濃度で使用することができる。

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