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技術 硫黄含有酸化グラフェン又は硫黄含有グラフェン及びその製造方法

出願人 株式会社ダイセル
発明者 西尾直高大塚喜弘堤聖晴仁科勇太
出願日 2016年1月20日 (4年9ヶ月経過) 出願番号 2016-008543
公開日 2017年7月27日 (3年3ヶ月経過) 公開番号 2017-128472
状態 特許登録済
技術分野 炭素・炭素化合物
主要キーワード 顕微ラマン分光 酸素原子含有量 電気化学的還元法 液中プラズマ 有機硫黄含有化合物 グラフェン分散液 人工グラファイト 熱還元法
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重要な関連分野

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図面 (3)

課題

硫黄原子化学結合してドープされ、かつ導電性も高い硫黄含有酸グラフェン又は硫黄含有グラフェンを提供することにある。

解決手段

酸化グラフェン及び硫黄含有化合物を含むスラリー液中プラズマ処理することにより、酸化グラフェンに硫黄原子が化学結合してドープされ、かつ導電性も高い硫黄含有グラフェンを調製する。さらに、硫黄原子がドープした酸化グラフェンをさらに還元し、酸化グラフェン又はグラフェンに硫黄原子が化学結合してドープされ、かつ導電性も高い硫黄含有部分酸化グラフェン又は硫黄含有グラフェンを調製してもよい。これらの硫黄含有(部分)酸化グラフェン又は硫黄含有グラフェンにおいて、硫黄原子の原子割合は、酸化グラフェン又はグラフェンを構成する炭素原子に対して1〜30%程度である。

概要

背景

グラフェンは、ベンゼン環が平面状(又は2次元状)に連なった構造を有しており、その構造に由来して、機械的特性電気的特性熱的特性などの種々の特性が優れているため、電気デバイスなどの様々な分野への利用が検討されている。一方、グラフェンは溶媒に対して均一に分散させることが困難であるため、部分的に酸化され、溶媒に対する分散性を改善して利用されることが多い。しかし、酸化グラフェンは、絶縁性であるため、導電性を必要とされる用途では、還元してグラフェンに戻して利用されている。また、近年、キャパシタ二次電池電極材料センサー構成部材では、高度な電気特性が要求されており、高い理論容量を有する硫黄などの原子をドープした炭素材料も求められている。

WO2013/089026号パンフレット(特許文献1)には、金属原子と、窒素原子ホウ素原子硫黄原子及びリン原子から選択される少なくとも一種非金属原子とがドープされているグラフェンからなり、CuKα線を用いてX線回折測定して得られる回折強度曲線における(002)面のピーク強度に対する不活性金属化合物及び金属結晶に由来する最大のピーク強度比が0.1以下である炭素系材料が開示されている。この文献の実施例では、酸化グラフェンに、塩化鉄及びペンタエチレンヘキサミン担持させた後、アルゴンガス雰囲気下、900℃で加熱することにより、酸化グラフェンを還元し、窒素及び鉄をドープしている。

しかし、この文献の方法では、700℃以上の高温での焼成が必要となる。さらに、窒素以外の原子をドープする方法については記載されていない。

特開2013−139377号公報(特許文献2)には、グラフェン分散液を提供する第一ステップと、硫黄源化合物を前記グラフェン分散液に溶解して混合液を形成する第二ステップと、前記混合液に反応物を添加して、酸化還元反応によって、前記グラフェンの表面に硫黄単体を生成し、硫黄−グラフェン複合材料を形成する第三ステップと、硫黄−グラフェン複合材料を混合液から分離させる第四ステップとを含む硫黄−グラフェン複合材料の製造方法が開示されている。

しかし、この文献の方法で得られた複合材料では、硫黄単体をグラフェン表面析出させて担持しているため、表面がナノレベルで不均一であり、成形過程などにおいて担持状態も変化する。

特開2011−126742号公報(特許文献3)には、分散媒中に酸化黒鉛が分散してなる第一分散液中の前記酸化黒鉛を薄片化し、薄片化酸化黒鉛が分散してなる第二分散液を製造する工程と、第二分散液に液中プラズマ照射処理を施して薄片化酸化黒鉛を還元する工程とを含む薄片化黒鉛分散液の製造方法が開示されている。

しかし、この方法では、還元により酸化黒鉛の導電性は向上するものの、十分ではない。さらに、この文献には、硫黄原子のドープについて記載されていない。

概要

硫黄原子が化学結合してドープされ、かつ導電性も高い硫黄含有酸化グラフェン又は硫黄含有グラフェンを提供することにある。酸化グラフェン及び硫黄含有化合物を含むスラリーを液中プラズマ処理することにより、酸化グラフェンに硫黄原子が化学結合してドープされ、かつ導電性も高い硫黄含有グラフェンを調製する。さらに、硫黄原子がドープした酸化グラフェンをさらに還元し、酸化グラフェン又はグラフェンに硫黄原子が化学結合してドープされ、かつ導電性も高い硫黄含有部分酸化グラフェン又は硫黄含有グラフェンを調製してもよい。これらの硫黄含有(部分)酸化グラフェン又は硫黄含有グラフェンにおいて、硫黄原子の原子割合は、酸化グラフェン又はグラフェンを構成する炭素原子に対して1〜30%程度である。なし

目的

特開2013−139377号公報(特許文献2)には、グラフェン分散液を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

酸化グラフェン硫黄原子がドープした硫黄含有酸グラフェンであって、前記硫黄原子が、前記酸化グラフェンを構成する炭素原子化学結合している硫黄含有酸化グラフェン。

請求項2

硫黄原子の原子割合が、酸化グラフェンを構成する炭素原子に対して1〜30%である請求項1記載の硫黄含有酸化グラフェン。

請求項3

表面抵抗が107Ω/□以下である請求項1又は2記載の硫黄含有酸化グラフェン。

請求項4

表面抵抗が50Ω/□以下の導電性グラフェンである請求項1〜3のいずれかに記載の硫黄含有酸化グラフェン。

請求項5

酸化グラフェン及び硫黄含有化合物を含むスラリー液中プラズマ処理して酸化グラフェンに硫黄原子をドープするドープ工程を含む請求項1〜4のいずれかに記載の硫黄含有酸化グラフェンの製造方法。

請求項6

硫黄含有化合物が低分子硫黄含有化合物である請求項5記載の製造方法。

請求項7

スラリーが水を含む請求項5又は6記載の製造方法。

請求項8

硫黄原子がドープした酸化グラフェンを還元する還元工程をさらに含む請求項5〜7のいずれかに記載の製造方法。

請求項9

還元工程において、不活性ガス雰囲気下、硫黄原子がドープした酸化グラフェンを加熱して還元する請求項8記載の製造方法。

請求項10

グラフェンに硫黄原子がドープした硫黄含有グラフェンであって、前記硫黄原子が、前記グラフェンを構成する炭素原子と化学結合している硫黄含有グラフェン。

請求項11

酸化グラフェン及び硫黄含有化合物を含むスラリーを液中プラズマ処理して酸化グラフェンに硫黄原子をドープするドープ工程及び硫黄原子がドープした酸化グラフェンを還元する還元工程を含む請求項10記載の硫黄含有グラフェンの製造方法。

技術分野

0001

本発明は、酸化グラフェン又はグラフェン硫黄原子がドープされた硫黄含有酸化グラフェン又は硫黄含有グラフェン及びその製造方法に関する。

背景技術

0002

グラフェンは、ベンゼン環が平面状(又は2次元状)に連なった構造を有しており、その構造に由来して、機械的特性電気的特性熱的特性などの種々の特性が優れているため、電気デバイスなどの様々な分野への利用が検討されている。一方、グラフェンは溶媒に対して均一に分散させることが困難であるため、部分的に酸化され、溶媒に対する分散性を改善して利用されることが多い。しかし、酸化グラフェンは、絶縁性であるため、導電性を必要とされる用途では、還元してグラフェンに戻して利用されている。また、近年、キャパシタ二次電池電極材料センサー構成部材では、高度な電気特性が要求されており、高い理論容量を有する硫黄などの原子をドープした炭素材料も求められている。

0003

WO2013/089026号パンフレット(特許文献1)には、金属原子と、窒素原子ホウ素原子、硫黄原子及びリン原子から選択される少なくとも一種非金属原子とがドープされているグラフェンからなり、CuKα線を用いてX線回折測定して得られる回折強度曲線における(002)面のピーク強度に対する不活性金属化合物及び金属結晶に由来する最大のピーク強度比が0.1以下である炭素系材料が開示されている。この文献の実施例では、酸化グラフェンに、塩化鉄及びペンタエチレンヘキサミン担持させた後、アルゴンガス雰囲気下、900℃で加熱することにより、酸化グラフェンを還元し、窒素及び鉄をドープしている。

0004

しかし、この文献の方法では、700℃以上の高温での焼成が必要となる。さらに、窒素以外の原子をドープする方法については記載されていない。

0005

特開2013−139377号公報(特許文献2)には、グラフェン分散液を提供する第一ステップと、硫黄源化合物を前記グラフェン分散液に溶解して混合液を形成する第二ステップと、前記混合液に反応物を添加して、酸化還元反応によって、前記グラフェンの表面に硫黄単体を生成し、硫黄−グラフェン複合材料を形成する第三ステップと、硫黄−グラフェン複合材料を混合液から分離させる第四ステップとを含む硫黄−グラフェン複合材料の製造方法が開示されている。

0006

しかし、この文献の方法で得られた複合材料では、硫黄単体をグラフェン表面析出させて担持しているため、表面がナノレベルで不均一であり、成形過程などにおいて担持状態も変化する。

0007

特開2011−126742号公報(特許文献3)には、分散媒中に酸化黒鉛が分散してなる第一分散液中の前記酸化黒鉛を薄片化し、薄片化酸化黒鉛が分散してなる第二分散液を製造する工程と、第二分散液に液中プラズマ照射処理を施して薄片化酸化黒鉛を還元する工程とを含む薄片化黒鉛分散液の製造方法が開示されている。

0008

しかし、この方法では、還元により酸化黒鉛の導電性は向上するものの、十分ではない。さらに、この文献には、硫黄原子のドープについて記載されていない。

先行技術

0009

WO2013/089026号パンフレット(請求項1、段落[0068]、実施例)
特開2013−139377号公報(請求項1)
特開2011−126742号公報(請求項1)

発明が解決しようとする課題

0010

従って、本発明の目的は、硫黄原子が化学結合した状態でドープされ、かつ導電性も高い酸化グラフェン又はグラフェン及びその製造方法を提供することにある。

0011

本発明の他の目的は、低温で簡便に硫黄原子を酸化グラフェンの表面に均一にドープできる方法を提供することにある。

0012

本発明のさらに他の目的は、硫黄原子の脱離を抑制でき、長期間に亘り導電性を維持できる酸化グラフェン又はグラフェン及びその製造方法を提供することにある。

課題を解決するための手段

0013

本発明者らは、前記課題を達成するため鋭意検討した結果、酸化グラフェン及び硫黄含有化合物を含むスラリーを液中プラズマ処理することにより、酸化グラフェンに硫黄原子が化学結合(C−S−C結合、C−SOX−C結合(式中、Xは1又は2である))した状態でドープされ、かつ導電性も高い硫黄含有酸化グラフェンが得られ、さらに還元処理することにより、導電性を向上できることを見出し、本発明を完成した。

0014

すなわち、本発明の硫黄含有酸化グラフェンは、酸化グラフェンに硫黄原子がドープした硫黄含有酸化グラフェンであって、前記硫黄原子は、前記酸化グラフェンを構成する炭素原子と化学結合している。前記硫黄原子の原子割合は、前記酸化グラフェンを構成する炭素原子に対して1〜30%程度である。本発明の硫黄含有酸化グラフェンは、表面抵抗が107Ω/□以下であってもよく、特に、表面抵抗が50Ω/□以下の導電性グラフェンであってもよい。

0015

本発明には、酸化グラフェン及び硫黄含有化合物を含むスラリーを液中プラズマ処理して酸化グラフェンに硫黄原子をドープするドープ工程を含む前記硫黄含有酸化グラフェンの製造方法も含まれる。前記硫黄含有化合物は低分子硫黄含有化合物であってもよい。前記スラリーは水を含んでいてもよい。本発明の製造方法は、硫黄原子がドープした酸化グラフェンを還元する還元工程をさらに含んでいてもよい。前記還元工程において、不活性ガス雰囲気下、硫黄原子がドープした酸化グラフェンを加熱して還元してもよい。

0016

また、本発明には、グラフェンに硫黄原子がドープした硫黄含有グラフェンであって、前記硫黄原子が、前記グラフェンを構成する炭素原子と化学結合している硫黄含有グラフェンも含まれる。さらに、本発明には、酸化グラフェン及び硫黄含有化合物を含むスラリーを液中プラズマ処理して酸化グラフェンに硫黄原子をドープするドープ工程及び硫黄原子がドープした酸化グラフェンを還元する還元工程を含む前記硫黄含有グラフェンの製造方法も含まれる。

発明の効果

0017

本発明では、酸化グラフェン及び硫黄含有化合物を含むスラリーを液中プラズマ処理して硫黄含有酸化グラフェンを製造しているため、酸化グラフェンに硫黄原子が化学結合(C−S−C結合、C−SOX−C結合)してドープでき、導電性も向上できる。この方法によると、低温で簡便に硫黄原子を酸化グラフェンの表面に均一にドープできる。さらに、得られた硫黄含有酸化グラフェンを還元することにより、部分的に還元された硫黄含有酸化グラフェン(硫黄含有部分酸化グラフェン)又は硫黄含有グラフェン(以下「硫黄含有(酸化)グラフェン又は導電性グラフェン」と称することもある)を調製でき、さらに導電性を向上できる。これらの硫黄含有(酸化)グラフェンでは、硫黄原子の脱離も抑制でき、長期間に亘り導電性を維持できる。特に、これらの硫黄含有(酸化)グラフェンは、硫黄の導入により、キャパシタや二次電池の電極材料、センサーの構成部材として有効に利用できる。

図面の簡単な説明

0018

図1は、比較例1で得られた導電性グラフェンのXPSナロスペクトルである。
図2は、実施例1で得られた導電性グラフェンのXPSナロースペクトルである。
図3は、実施例2で得られた導電性グラフェンのXPSナロースペクトルである。

0019

[硫黄含有酸化グラフェン]
本発明の硫黄含有酸化グラフェンは、酸化グラフェンを含む。酸化グラフェンは、天然又は人工グラファイトを酸化し、単層又は多層剥離させ、単層酸化グラフェン又は多層酸化グラフェンの形態で調製できる。

0020

グラファイトの酸化は、慣用の方法、例えば、水性媒体中、酸化剤を用いて行うことができる。酸化剤としては、慣用の酸化剤、例えば、硫酸、過マンガン酸塩(過マンガン酸カリウムなど)、クロム酸又は重クロム酸塩重クロム酸ナトリウムなど)、硝酸塩硝酸ナトリウムなど)、過酸化物過酸化水素など)、過硫酸塩過硫酸アンモニウムなど)、有機過酸(過蟻酸過酢酸過安息香酸など)などが例示できる。これらの酸化剤は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。

0021

水性溶媒は、水単独、水と水溶性溶媒との混合溶媒であってもよく、水溶性溶媒としては、例えば、メタノールエタノールイソプロパノールなどのアルコール類アセトンなどのケトン類ジオキサンテトラヒドロフランなどのエーテル類セロソルブ類、セロソルブアセテート類、カルビトール類、カルビトールアセテート類、ニトリル類アセトニトリルなど)、アミド類(N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなど)などが例示できる。なお、水性溶媒は、水を主成分(例えば、水含有量50〜100重量%程度)とする溶媒であってもよい。

0022

これらの酸化剤のうち、酸化能の高い酸化剤、例えば、過マンガン酸塩、過硫酸塩などを用いる場合が多い。

0023

酸化剤の使用量は、グラファイトの酸化度に応じて選択でき、例えば、グラファイトの炭素原子1モルに対して、0.5〜5モル、好ましくは0.7〜2モル、さらに好ましくは0.9〜1.5モル(例えば、1〜1.2モル)程度であってもよい。

0024

酸化反応は、酸化剤の存在下、グラファイトが分散した水性媒体中、例えば20〜100℃、好ましくは30〜75℃、さらに好ましくは40〜60℃程度の温度で行うことができる。なお、反応は撹拌下で行うことができ、通常、大気又は空気中、必要であれば、不活性雰囲気中で行ってもよい。

0025

酸化反応の後、生成した水性分散液超音波処理して単層又は多層に剥離させ、単層酸化グラフェン又は多層酸化グラフェンを調製できる。なお、必要であれば、遠心分離により、単層酸化グラフェンを多層酸化グラフェン(2層酸化グラフェン、3層酸化グラフェンなどの多層酸化グラフェン)と分離してもよい。

0026

前記酸化反応により、酸化グラフェンには、カルボニル基ホルミル基ヒドロキシル基カルボキシル基エポキシ基などの酸素含有官能基が生成してもよい。

0027

本発明の硫黄含有酸化グラフェンにおいて、酸化グラフェンは、後述するように、還元処理により部分的に還元されたグラフェン(部分酸化グラフェン)であってもよい。酸化グラフェンを還元することにより、導電性をさらに向上でき、導電性グラフェンを調製できる。

0028

本発明の硫黄含有酸化グラフェンにおいて、酸化グラフェンには、硫黄原子がドープされている。特に、本発明の硫黄含有酸化グラフェンにおいて、硫黄原子は、前記酸化グラフェンを構成する炭素原子と化学結合又は共有結合(C−S−C結合、C−SOX−C結合)しているため、前記酸化グラフェンの表面に均一に硫黄原子をドープでき、導電性を向上できるとともに、硫黄原子の脱離も抑制できる。

0029

[硫黄含有グラフェン]
本発明の硫黄含有グラフェンは、還元処理により完全に還元されており、グラフェンに硫黄原子がドープされている。硫黄含有グラフェンにおいても、硫黄原子は、前記グラフェンを構成する炭素原子と化学結合又は共有結合(C−S−C結合、C−SOX−C結合)しているため、前記グラフェンの表面に均一に硫黄原子をドープでき、導電性を向上できるとともに、硫黄原子の脱離も抑制できる。

0030

[硫黄含有(酸化)グラフェンの特性]
本発明の硫黄含有酸化グラフェンのうち、還元処理されていない硫黄含有酸化グラフェンにおいて、硫黄原子の原子割合は、酸化グラフェンを構成する炭素原子に対して1〜15%であってもよく、例えば1.5〜10%、好ましくは2〜5%、さらに好ましくは3〜5%程度である。硫黄原子の割合が少なすぎると、導電性が低下する虞があり、多すぎると、製造が困難となる虞がある。

0031

還元処理された硫黄含有(酸化)グラフェン(導電性グラフェン)において、硫黄原子の原子割合は、酸化グラフェン(又はグラフェン)を構成する炭素原子に対して1〜30%であってもよく、例えば2〜25%、好ましくは3〜20%、さらに好ましくは3.5〜15%(特に4〜10%)程度である。硫黄原子の割合が少なすぎると、導電性が低下する虞があり、多すぎると、製造が困難となる虞がある。

0032

なお、本発明では、硫黄原子の割合は、X線光電子分光法(XPS:X-ray Photoelectron Spectroscopy)や元素分析(CHNO)により測定された硫黄元素含有量で規定される。

0033

本発明の硫黄含有(酸化)グラフェンは、硫黄原子がドープされていればよく、還元処理されていない硫黄含有酸化グラフェンであってもよいが、導電性を向上できる点から、還元処理された硫黄含有(酸化)グラフェンが好ましい。還元処理されていない硫黄含有(酸化)グラフェンの酸化度は70重量%以下であればよく、例えば1〜60重量%(例えば5〜60重量%)、好ましくは1〜40重量%、さらに好ましくは1〜30重量%程度である。酸化度が大きすぎると、導電性が低下する虞がある。

0034

本発明の硫黄含有(酸化)グラフェンの表面抵抗は1×107Ω/□以下(例えば5Ω/□〜1×107Ω/□)であり、特に還元処理されていない硫黄含有酸化グラフェンの表面抵抗は1×106Ω/□以下(例えば5Ω/□〜1×106Ω/□)であってもよく、例えば1×105Ω/□以下、好ましくは5×104Ω/□以下、さらに好ましくは1×104Ω/□以下(特に5×103Ω/□以下)であってもよい。

0035

還元処理された硫黄含有(酸化)グラフェンの表面抵抗は50Ω/□以下であってもよく、例えば1〜40Ω/□、好ましくは2〜30Ω/□、さらに好ましくは3〜20Ω/□(特に5〜10Ω/□)程度であってもよい。

0036

硫黄含有(酸化)グラフェンの厚みは、ナノメータサイズ、例えば1〜100nm、好ましくは1.5〜50nm(例えば1.8〜30nm)、さらに好ましくは1.5〜10nm(例えば1.8〜5nm)程度であってもよく、原子1層の厚み又は複数層(例えば2〜10層、特に2〜5層程度)の厚みを有していてもよい。硫黄含有(酸化)グラフェンは、炭素原子1個の厚みを有する単層構造であってもよく、複数の単層硫黄含有(酸化)グラフェンが所定の間隔で重なり合った多層(例えば2〜10層、好ましくは2〜5層)構造であってもよい。

0037

硫黄含有(酸化)グラフェンの面方向の平均径は、0.1〜1000μm程度の範囲から選択してもよく、例えば1〜500μm(例えば5〜300μm)、好ましくは5〜100μm(例えば10〜100μm)程度であり、5〜50μm(例えば10〜30μm)程度であってもよい。なお、硫黄含有(酸化)グラフェンの厚みの測定には、電子顕微鏡顕微ラマン分光器、原子間力顕微鏡などが利用でき、硫黄含有(酸化)グラフェンの平均径の測定には、電子顕微鏡、光学顕微鏡などが利用できる。なお、異形の硫黄含有(酸化)グラフェンにおいて、平均径は、各導電性グラフェンについて長軸径と短軸径との平均値を算出し、100個程度の導電性グラフェンの平均値について加算平均することにより算出できる。

0038

[硫黄含有(酸化)グラフェンの製造方法]
本発明の硫黄含有酸化グラフェンは、酸化グラフェン及び硫黄含有化合物を含むスラリーを液中プラズマ(ソリューションプラズマ)処理して酸化グラフェンに硫黄原子をドープするドープ工程を経て得られる。

0039

ドープ工程において、硫黄含有化合物としては、高分子化合物であってもよいが、硫黄原子のドープのし易さの点から、低分子化合物が好ましい。

0040

低分子硫黄含有化合物としては、例えば、無機硫黄含有化合物(硫酸、硫化水素二酸化硫黄など)、有機硫黄含有化合物メタンチオールなどのチオール類ジメチルスルフィドメチオニンなどのスルフィド類メルカプト酢酸などのメルカプトカルボン酸メタンスルホン酸などのアルカンスルホン酸トルエンスルホン酸などのアリールスルホン酸ジメチルスルホキシドなどのアルキルスルホキシド類チオ尿素などのチオ尿素類など)などが挙げられる。これらの低分子硫黄含有化合物は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。

0041

これらの低分子硫黄含有化合物のうち、取り扱い性などの点から、アルキルスルホキシド類が好ましい。アルキルスルホキシド類としては、例えば、ジメチルスルホキシド(DMSO)、メチルエチルスルホキシドジエチルスルホキシドなどのジC1−4アルキルスルホキシドなどが挙げられる。これらのアルキルスルホキシド類のうち、硫黄含量が多く、硫黄をドープし易い点から、DMSOなどのジC1−2アルキルスルホキシド(特にDMSO)が特に好ましい。

0042

硫黄含有化合物の割合は、酸化グラフェン1重量部に対して1重量部以上(例えば1〜1000重量部)であってもよく、例えば5〜500重量部、好ましくは10〜300重量部、さらに好ましくは15〜100重量部(特に20〜50重量部)程度である。硫黄含有化合物の割合が少なすぎると、酸化グラフェンにドープできる硫黄原子の割合が低下する虞がある。

0043

スラリーに含まれる溶媒の割合は、硫黄含有化合物100重量部に対して10重量部以上(例えば10〜10000重量部)であってもよく、例えば100〜5000重量部、好ましくは150〜1000重量部、さらに好ましくは200〜800重量部(特に300〜500重量部)程度である。溶媒の割合が少なすぎると、酸化グラフェンにドープできる硫黄原子の割合が低下する虞がある。

0044

溶媒は、水、有機溶媒のいずれでもよいが、硫黄原子のドープのし易さ、取り扱い性などの点から、水性媒体(例えば、前述のグラファイトの酸化工程で例示された水性媒体など)が好ましく、水が特に好ましい。スラリーは、酸化グラフェンの調製過程で得られた水性分散液であってもよい。

0045

酸化グラフェンの割合は、スラリー全体に対して0.01重量%以上であればよく、例えば0.01〜10重量%、好ましくは0.1〜5重量%、さらに好ましくは0.3〜3重量%(特に0.5〜1重量%)程度である。酸化グラフェンの割合が少なすぎると、生産性が低下する虞がある。

0046

スラリーの液中プラズマ処理としては、慣用の液中プラズマ法(ソリューションプラズマ法)に基づく処理を利用でき、グロー放電によって液体中の気泡の中にプラズマを発生できる方法であれば特に限定ないが、通常、液中パルスプラズマ電源装置から高電圧パルス出力電極印加し、電極付近沸騰した気泡内に液体の沸点以下のプラズマを発生させ、液体からラジカル種を生成する方法を利用できる。液中プラズマ法としては、例えば、特開2014−152095号公報に記載の方法を利用できる。

0047

液中プラズマ法は、市販の液中プラズマ装置を用いることができ、端子間距離端子印加電圧周波数パルス幅などを調整することにより、硫黄原子のドープ率を調整できる。これらの条件は、硫黄含有化合物の種類や割合などに応じて適宜選択できるが、端子間距離は、例えば0.1〜1mm、好ましくは0.15〜0.5mm、さらに好ましくは0.2〜0.4mm程度であってもよい。端子間印加電圧は、端子間に印加されるプラズマが発生する前の電圧で、例えば2000〜10000V、好ましくは3000〜9000V、さらに好ましくは4000〜8000V程度である。周波数は、例えば1〜30kHz、好ましくは10〜30kHz、さらに好ましくは20〜30kHz程度である。パルス幅は、例えば0.1〜4μs、好ましくは0.5〜4μs、さらに好ましくは1〜4μs程度である。処理時間は1分以上(例えば5〜180分)であってもよく、通常10分以上(例えば10〜240分)程度であるが、好ましくは20分以上(例えば20〜180分)、さらに好ましくは60分以上(例えば60〜120分)程度あってもよい。

0048

このようにして生成した硫黄含有酸化グラフェン(硫黄原子がドープした酸化グラフェン)は、分離精製(例えば、洗浄、遠心分離など)により、回収できる。

0049

ドープ工程を経て得られた硫黄含有酸化グラフェンは、さらに還元工程に供して導電性を向上させ、導電性グラフェン(硫黄含有部分酸化グラフェン又は硫黄含有グラフェン)を調製してもよい。

0050

還元工程では、得られた硫黄含有酸化グラフェンに水性媒体(特に水)を添加してスラリーを調製し、キャストした後、乾燥した薄膜を還元処理に供してもよい。スラリーの濃度は、例えば0.1〜10重量%(特に1〜5重量%)程度であってもよい。乾燥は、例えば35〜60℃(特に40〜50℃)程度の温度で加熱してもよく、さらに真空下で加熱してもよい。

0051

還元工程において、還元方法としては、公知の還元方法、例えば、熱還元法光還元法、還元剤ヒドラジン水和物など)を用いる方法、電気化学的還元法などを利用できる。これらの還元方法のうち、熱還元法、光還元法などが汎用され、簡便性などの点から、熱還元法が好ましい。熱還元法では、窒素ガスアルゴンガスなどの不活性ガス雰囲気下、100℃以上温度、例えば100〜300℃、好ましくは120〜280℃、さらに好ましくは150〜250℃(特に180〜220℃)程度の温度で加熱して還元してもよい。

0052

以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。なお、実施例及び比較例で得られた導電性グラフェンを以下の項目で評価した。

0053

[硫黄原子の含有量及び結合状態酸素原子含有量
実施例及び比較例で得られた硫黄含有酸化グラフェンの硫黄原子の含有量及び結合状態、酸素原子の含有量については、以下の測定装置を用いて、以下の測定条件で測定した。

0054

測定装置:Physical Ecectronics PHI 5800ESCA System(アルバックファイ社製)
測定条件:Al Monochrolated 7mm filament Kα線絞り800μmφ、X線出力350W。

0055

[表面抵抗]
評価用サンプルをロレスターGP((株)三菱アナリテック製)を用いて測定した。プローブとしては薄膜測定用PSPを用いた。

0056

比較例1
(液中プラズマ処理)
イオン交換水20gを、1重量%酸化グラフェンスラリー((株)NISHINA materials製「RapGO−10」)80gと混合攪拌し、液中パルスプラズマ装置((株)製作所製「MPPHV04」)を用いて、表1に示す条件で液中プラズマ処理を行った。反応後の温度は61℃であった。

0057

精製スラリーの調製)
得られたプラズマ処理溶液を、遠心分離機日立工機(株)製「CR22N」)を用いて10,000Gで5分間遠心処理を行った後、上澄みを除去した。沈殿物にイオン交換水を添加して、再度、遠心処理した。この操作を3回繰り返し、精製スラリーを得た。

0058

(評価用サンプル作成(還元前/後))
精製スラリーを約2重量%になるように稀釈し、ガラス基板にキャストし、ホットプレートを用いて45℃で1時間乾燥させた。乾燥後、真空乾燥機を用いて40℃で12時間乾燥させた後、さらに窒素雰囲気下で室温から200℃まで1時間かけて昇温し、還元サンプルを得た。

0059

実施例1
イオン交換水の代わりに、同量のDMSO((株)和光純薬製)を用いて液中プラズマ処理(反応後の温度71℃)する以外は比較例1と同様にして還元サンプルを得た。

0060

実施例2
反応時間を30分から90分に変更して液中プラズマ処理(反応後の温度84℃)する以外は実施例1と同様にして還元サンプルを得た。

0061

実施例及び比較例で得られた還元前/後のサンプルを評価した結果を表1に示す。

0062

0063

表1の結果から明らかなように、比較例に比べて、実施例のサンプルは、硫黄ドープ量が多く、導電性も高い。

0064

さらに、図1〜3に、比較例1及び実施例1〜2で得られた酸化グラフェン(還元前)のXPSナロースペクトルを示し、さらに表2〜4に、それぞれの酸化グラフェン(還元前)について、このスペクトルから算出した原子割合及びS含有量を示すが、実施例1及び2のサンプルでは、C−S−C結合、C−SOX−C結合の増加が確認できた。

0065

0066

実施例

0067

0068

本発明の硫黄含有(酸化)グラフェンは、導電材料などのエレクトロニクス材料リチウムイオン二次電池やキャパシタなどの電極材料(例えば、スーパーキャパシタ燃料電池用電解質や電極など)、センサー構成部材、導電性断熱体電磁場シールド材料プリンター用導電ロール超伝導電流リードなどの種々の分野に利用できる。

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