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技術 射出成形機の成形サイクル終了方法

出願人 宇部興産機械株式会社
発明者 有馬祐一朗岡崎芳紀坂尾努
出願日 2016年1月21日 (4年11ヶ月経過) 出願番号 2016-009735
公開日 2017年7月27日 (3年5ヶ月経過) 公開番号 2017-128059
状態 特許登録済
技術分野 プラスチック等の射出成形
主要キーワード 補完制御 材料切れ 遮断開放 貯留容積 回転トルク値 樹脂受け 流動圧力 前進距離
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2017年7月27日)のものです。
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図面 (8)

課題

樹脂材料の供給を停止させた後、樹脂不足不良品成形されないタイミングで、成形サイクルを終了させることができる、射出成形機の成形サイクル終了方法を提供する。

解決手段

計量工程におけるスクリュ16の平均回転トルク1を算出させる平均回転トルク1算出工程と、選択された複数回の各成形サイクルの各平均回転トルク1から、これら複数回の成形サイクルにおける平均回転トルク2を算出させ、これを安定成形トルク基準値として設定させる平均回転トルク2算出工程と、平均回転トルク1を安定成形トルク基準値と比較させる平均回転トルク比較工程と、を有し、平均トルク比較工程において、平均回転トルク1が、安定成形トルク基準値から設定成形終了値に到達、あるいは、設定成形終了値を下回った成形サイクルを最終成形サイクルとして、成形サイクルを終了させる、射出成形機の成形サイクル終了方法によって達成される。

概要

背景

初めに、射出成形機射出装置において、1成形サイクル分溶融樹脂可塑化溶融状態に)させる計量工程について説明する。図1に示すように、インラインスクリュ式射出装置1においては、加熱バレル15内に回転可能に配置されたスクリュ16を、図示しないサーボモータ等の計量用駆動機構により回転させて、スクリュ16後方(図1右側)のホッパー等の材料供給部14から加熱バレル15内に供給させたペレット状(粒状)の樹脂材料14aを、スクリュ16の外周面に突出して螺旋状に連続するフライト16a間と、スクリュ16外周面と、加熱バレル15内周面とにより、加熱バレル15内に連続して形成される樹脂流路10を介してスクリュ16前方(図1左側)に流動させる間に、加熱バレル15外周面に配置される加熱手段15aからの熱エネルギ及び回転するフライト16と樹脂材料14aとの接触時や樹脂材料14a同士の接触時に生じるせん断エネルギにより加熱・可塑化(溶融状態)させる。尚、図1は、インラインスクリュ式射出装置1の計量工程開始時を示しており、スクリュ16が計量開始位置射出完了位置)にある。

樹脂材料14aはスクリュ16前方に流動され、樹脂流路10における受熱距離及び受熱時間の増加に伴って可塑化(溶融)が進行する。そして、スクリュ16前方のチェックリング18を通過する時点においてほぼ完全に可塑化され、スクリュ16先端のスクリュヘッド17前方の空間(貯留部15b)に到達する。計量工程において、加熱バレル15先端のノズル13は、図示しない金型スプルブッシュ押圧されており、また、ノズル13、あるいは、金型のいずれか一方に配置された図示しない樹脂遮断開放切換弁遮断により、貯留部15bが閉空間を形成しているため、可塑化させた樹脂材料14a(溶融樹脂)を貯留部15bに貯留させることができる。

ここで、チェックリング18は逆流防止弁であって、スクリュ16の長手方向に所定量移動可能にスクリュ16と同軸に配置された中空円筒状(リング状)の弁体である。チェックリング18自体に、これをスクリュ16に対して長手方向に移動させる駆動源は備えておらず、計量工程時に、樹脂流路10を流動させる樹脂材料14aのスクリュ16前方への流動圧力により、スクリュ16前方へ押圧させてその前進限までチェックリング18を移動させることにより、樹脂流路10を開放状態に維持させる。

一方、インラインスクリュ式射出装置1においては、スクリュ16を回転させるだけでなく、射出充填のために、図示しない射出用駆動機構により長手方向に所定の速度及び圧力で前後進させることが可能である。スクリュ16を、射出用駆動機構により前進方向(図1左側)の圧力(背圧)を付与させながら、同時に、計量用駆動機構により所定速度で回転させることにより、樹脂流路10において可塑化させた樹脂材料14aを、同背圧と略同じ圧力を維持させた状態で貯留部15bに連続して貯留させることができる。その結果、図2に示すようにスクリュ16が回転されながら後退する。このスクリュ16の後退動作中も、チェックリング18前方の貯留部15b内の樹脂材料14aの圧力と、後方の樹脂流路10内の樹脂材料14aの圧力とが略同じ圧力(≒背圧)であるため、チェックリング18はスクリュ16の前進限位置に留まり、樹脂流路10の開放状態が継続する。尚、図2は、インラインスクリュ式射出装置1の計量工程完了時を示しており、スクリュ16が計量完了位置射出開始位置)にある。

射出用駆動機構には、加熱バレル15内のスクリュ16の長手方向の位置を計測する計測手段が配置されており、1成形サイクルに要する可塑化させた樹脂材料14aの量、すなわち、1回の射出充填に必要な樹脂材料14aの量(計量樹脂量)を、計量開始位置(射出完了位置)からのスクリュ16の後退位置から算出させることが一般的である。スクリュ16の、予め設定させた位置(計量完了位置/射出開始位置)までの後退により計量工程完了と判定させてスクリュ16の回転及び材料供給部14への樹脂材料14aの供給を停止させる。そして、スクリュ16前方の樹脂遮断開放切換弁を開放させ、射出用駆動機構によりスクリュ16を所定の速度(射出速度)で前進させることにより、貯留部15bの樹脂材料14aを金型内金型キャビティに射出充填させることができる。

射出充填開始時においては、チェックリング18前方の貯留部15b内の樹脂材料14aの圧力と、同後方の樹脂流路10内の樹脂材料14aの圧力とが略同じ圧力(≒背圧)であるため、スクリュ16の前進動作に対してチェックリング18が追従できない。一方、スクリュ16の前進動作により、スクリュ16におけるチェックリング18の後退限位置に形成させた樹脂流路10の閉塞用シール面(図示せず)が前進して、チェックリング18後方端面に形成させたシール面(図示せず)に当接するため、樹脂流路10が閉塞される。また、樹脂流路10の閉塞後、スクリュ16の前進動作に伴い、貯留部15b内の樹脂材料14aの圧力が急激に上昇し、スクリュ16の前進動作の間、チェックリング18をスクリュ16後方へ押圧させる。そのため、スクリュ16の前進動作の間、貯留部15b内の樹脂材料14aの樹脂流路10への逆流が防止され、樹脂材料14bを金型キャビティ内へ射出充填させることができる。

射出充填工程が完了した後、保圧及び冷却固化時間を経て成形サイクルが完了する。図示しない型締装置では、金型を型開きさせて、樹脂成形品を金型から取り出す製品取り出し工程が行われ、インラインスクリュ式射出装置1では、図1に示すように、スクリュ16を回転させると共に、材料供給部14からの樹脂材料14aの供給が開始され、次の成形サイクルのための計量工程が開始される。

尚、直前の成形サイクルの射出充填工程において、図2に示すスクリュ16の射出開始位置(計量完了位置)から、図1に示すスクリュ16の射出完了位置(計量開始位置)まで、材料供給部14からの樹脂材料14aの供給を停止させた状態でスクリュ16を前進させている。そのため、樹脂材料14aの供給開始時には、材料供給部14直下から、計量工程時のスクリュ16の後退距離(射出充填工程時のスクリュ16の前進距離)と略同じ、スクリュ16の長手方向の距離内の樹脂流路10は、樹脂材料14aがほとんどない疎の状態(飢餓状態)である。

次に、インラインスクリュ式射出装置1を備える射出成形機において、成形サイクルを終了させる場合について、図3及び図4を参照しながら説明する。図を簡単にするために、これらの図においては、加熱バレル15内を簡易的に図示している。

先に説明した計量工程において、材料供給部14へ樹脂材料14aが供給されている場合の計量工程開始時(スクリュ16の回転開始時)の加熱バレル15内を図3に示す。加熱バレル15内の、スクリュ16(チェックリング18)前方の貯留部15bは、前の成形サイクルで可塑化された樹脂材料14aで満たされ、チェックリング18後方の樹脂流路10も、可塑化状態は異なるものの、材料供給部14直下から、計量工程時のスクリュ16の後退量S(エス)と略同じ、スクリュ16の長手方向の距離内の樹脂流路10を除いて、それ以外は樹脂材料14aで満たされた状態である。

図3に示す状態から成形サイクルを終了させる場合、まず、材料供給装置(図示せず)に材料供給停止指令発信させて、インラインスクリュ式射出装置1への樹脂材料14aの供給を停止させる。材料供給部14からの樹脂材料14aの供給を停止させても、可塑化状況は異なるものの、加熱バレル15内には多くの樹脂材料14aが保持されている。そのため、樹脂材料14aの供給を停止させた後も成形サイクルを継続させる。そのため、樹脂材料14aの供給停止後、成形サイクルが進行する毎に、図4に示すように、加熱バレル15の樹脂材料14aが漸次減少する。

ここで、計量工程において、1回の射出充填に必要な樹脂材料14aが貯留部15bに貯留されない場合、すなわち、予め設定させた位置(計量完了位置/射出開始位置)までスクリュ16が後退しない(スクリュ16の計量完了位置未達)、あるいは、後退するまでの時間が変動する場合、スクリュ16の計量完了位置未達を判定するための基準が必要となる。

そのため、スクリュ16の計量完了位置未達の判定に、スクリュ16の計量完了位置(射出開始位置)への到達に加えて、計量工程開始(スクリュ16の回転開始、あるいは、スクリュ16の後退開始)からの計量時間の監視も行わせて、設定計量時間と比較させることが一般的である。この計量時間の監視の併用により、連続する成形サイクル中、スクリュ16の計量完了位置未達が発生した場合、射出充填工程へ移行させず、成形サイクルを停止させた後、その要因追及がなされる。また、成形サイクルの停止後、射出装置(可塑化機構)内に残留する樹脂材料を可塑化させて外部に排出(パージ)させる。

尚、パージ処理(動作)には様々な方法があるが、インラインスクリュ式射出装置1では、成形サイクル終了後、まず、同射出装置を金型から離間させて、同射出装置先端のノズル13前方に樹脂受け容器等を配置させる。その後、射出完了位置(計量開始位置)にあるスクリュ16をその位置において一定速度で回転させて、同射出装置内に残留している樹脂材料14aを可塑化させながら、同樹脂受け容器等に排出(パージ)させる方法が一般的である。

上記で説明したように、樹脂成形品の成形においては、計量工程時にスクリュ16の計量完了位置未達が発生した場合には成形サイクルを停止させる。そのため、成形サイクルを終了させるために、樹脂材料14aの供給を停止させた場合においても、図4に示すように、その後の成形サイクルにおいて、加熱バレル15内の樹脂材料14aが漸次減少して、スクリュ16の計量完了位置未達が発生する状況に到れば、成形サイクルが停止されるため、計量樹脂量不足不良品が成形されることはないはずである。

しかしながら、成形サイクルを終了させるために、樹脂材料14aの供給を停止させた場合においては、スクリュ16の計量完了位置未達が発生する状況に到る前の数回の成形サイクル(スクリュ16が計量完了位置に到達する成形サイクル)においても、計量樹脂量不足の不良品が成形される。

これは、射出装置(加熱バレル15)内の樹脂材料14aの減少に起因する、主に2つの理由によるものである。すなわち、樹脂材料14aの供給を停止させた後の計量工程においては、図3及び図4に示すように、成形サイクル毎に、計量工程開始時における加熱バレル15内の樹脂材料14aは漸次減少していく。計量工程中のスクリュ16は、計量用駆動機構により所定の回転速度で等速制御されるため、加熱バレル15内の樹脂材料14aの減少に伴い、スクリュ16の所定の回転速度を維持させるための計量用駆動機構の回転トルクは減少し、これに伴って、貯留部15bに単位時間当りに流動される樹脂材料14aの容積が減少する状況が発生する。樹脂材料14aの供給が継続される通常の計量工程においてこの状況は発生しない(理由1)。

一方、計量工程中のスクリュ16は、射出用駆動機構により前進方向に付与される背圧が一定となるようにその後退動作が制御されるため、加熱バレル15内の樹脂材料14aの減少に伴い、スクリュ16に付与させる背圧を維持させるための計量用駆動機構の後退速度が減少し、これに伴って、貯留部15bに単位時間当りに流動される樹脂材料14aの容積も減少する状況が発生する。こちらも、通常の計量工程においては発生しない(理由2)。

上記のような理由1及び理由2により、成形サイクルを終了させるために、樹脂材料14aの供給を停止させた場合において、スクリュ16が計量完了位置に到達する成形サイクルであっても、貯留部15bに貯留される樹脂材料14aの容積が、通常の計量工程において貯留される容積よりも減少する状況が発生して、計量樹脂量不足の不良品が成形される。そのため、樹脂材料の供給を停止させた場合であっても、計量樹脂量不足の不良品が成形されず、射出装置内の樹脂材料の保持量を最小にさせるタイミングで、成形サイクルを終了させることができる、射出成形機の成形サイクル終了方法要望がある。

ここで、成形中の材料不足や材料切れの検出、あるいは、パージ処理(動作)時に、射出装置(可塑化機構)内の樹脂材料が無くなったことを検出するために、特許文献1の射出成形機の材料検知方法や、特許文献2のパージ動作停止方法が開示されている。

特許文献1の射出成形機の材料検知方法は、成形サイクル中、あるいは、パージ動作中に、加熱筒(加熱バレル)内における材料(樹脂材料)の有無を検知することを目的としており、スクリュ回転駆動モータの作動時に、駆動モータの負荷電流の大きさを検出し、電流検出値が予め設定した電流設定値以下となり、かつ電流設定値以下の時間が予め設定した設定時間以上継続したときに、材料不検知信号を出力するものである。

特許文献2のパージ動作の停止方法は、パージ動作を自動で行わせる場合に、可塑化装置(射出装置)内から排出される樹脂が無くなる時点を正確に検出することを目的としており、パージ動作の開始後、可塑化装置内でスクリュを所定の回転速度で回転させながらスクリュの駆動トルクを監視し、この駆動トルクが予め定められた設定値まで低下したとき、直ちにまたは所定時間経過後に、スクリュの回転を停止させるものである。

概要

樹脂材料の供給を停止させた後、樹脂量不足の不良品が成形されないタイミングで、成形サイクルを終了させることができる、射出成形機の成形サイクル終了方法を提供する。計量工程におけるスクリュ16の平均回転トルク1を算出させる平均回転トルク1算出工程と、選択された複数回の各成形サイクルの各平均回転トルク1から、これら複数回の成形サイクルにおける平均回転トルク2を算出させ、これを安定成形トルク基準値として設定させる平均回転トルク2算出工程と、平均回転トルク1を安定成形トルク基準値と比較させる平均回転トルク比較工程と、を有し、平均トルク比較工程において、平均回転トルク1が、安定成形トルク基準値から設定成形終了値に到達、あるいは、設定成形終了値を下回った成形サイクルを最終成形サイクルとして、成形サイクルを終了させる、射出成形機の成形サイクル終了方法によって達成される。

目的

本発明は、上記したような問題点に鑑みてなされたもので、具体的には、樹脂材料の供給を停止させた後、樹脂量不足の不良品が成形されず、射出装置内の樹脂材料の保持量を最小にさせるタイミングで、成形サイクルを終了させることができる、射出成形機の成形サイクル終了方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

加熱バレル内スクリュを回転させて、前記スクリュの後方から前記加熱バレル内に供給させた樹脂材料を、前記スクリュの前方に流動させる間に可塑化させる射出装置を有する射出成形機成形サイクル終了方法であって、1成形サイクルにおいて、可塑化させた前記樹脂材料を、前記射出装置の貯留部に設定量まで貯留させる計量工程における前記スクリュの平均回転トルク1を算出させる平均回転トルク1算出工程と、任意の成形サイクルから、選択された複数回の各成形サイクルにおいて前記平均回転トルク1算出工程を行わせて、求められた各前記平均回転トルク1から、前記選択された複数回の成形サイクルにおける平均回転トルク2を算出させると共に、該平均回転トルク2を安定成形トルク基準値として設定させる平均回転トルク2算出工程と、前記安定成形トルク基準値を設定させた後の、任意の1成形サイクルにおける前記平均回転トルク1を前記安定成形トルク基準値と比較させる平均回転トルク比較工程と、を有し、前記平均トルク比較工程において、前記平均回転トルク1が、前記安定成形トルク基準値から、設定成形終了値に到達、あるいは、設定成形終了値を下回った成形サイクルを最終成形サイクルとして、該最終成形サイクルにおいて成形サイクルを終了させる、射出成形機の成形サイクル終了方法。

請求項2

成形開始後の所定回数の成形サイクルにおいて、前記平均回転トルク1算出工程を行わない、請求項1に記載の射出成形機の成形サイクル終了方法。

請求項3

任意の成形サイクルから、成形サイクル毎に前記平均回転トルク1算出工程を行わせると共に、前記任意の成形サイクルから、成形サイクル毎に前記平均回転トルク2算出工程を開始させ、前記平均回転トルク比較工程において、前記平均回転トルク2算出工程により、前記安定成形トルク基準値を設定させた成形サイクルの直後の成形サイクルにおける前記平均回転トルク1を、直前の成形サイクルで設定させた前記安定成形トルク基準値と比較させる、請求項1又は請求項2に記載の射出成形機の成形サイクル終了方法。

請求項4

前記平均回転トルク2算出工程の前記選択された複数回の成形サイクルを1セットとして、前記1セット毎に前記安定成形トルク基準値を設定させると共に、前記平均回転トルク比較工程において、前記1セットの各成形サイクルの前記平均回転トルク1を、直前の前記1セットで設定させた前記安定成形トルク基準値と比較させる、請求項1又は請求項2に記載の射出成形機の成形サイクル終了方法。

請求項5

成形サイクルの一次的な停止も含む停止操作後、成形サイクルが再開される都度、前記平均回転トルク2算出工程において、前記安定成形トルク基準値を設定させる、請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の射出成形機の成形サイクル終了方法。

技術分野

0001

本発明は、加熱バレル内スクリュを回転させて、前記スクリュの後方から前記加熱バレル内に供給させた樹脂材料を、前記スクリュの前方に流動させる間に可塑化させる射出装置を有する射出成形機成形サイクル終了方法に関する。

背景技術

0002

初めに、射出成形機の射出装置において、1成形サイクル分溶融樹脂を可塑化(溶融状態に)させる計量工程について説明する。図1に示すように、インラインスクリュ式射出装置1においては、加熱バレル15内に回転可能に配置されたスクリュ16を、図示しないサーボモータ等の計量用駆動機構により回転させて、スクリュ16後方(図1右側)のホッパー等の材料供給部14から加熱バレル15内に供給させたペレット状(粒状)の樹脂材料14aを、スクリュ16の外周面に突出して螺旋状に連続するフライト16a間と、スクリュ16外周面と、加熱バレル15内周面とにより、加熱バレル15内に連続して形成される樹脂流路10を介してスクリュ16前方(図1左側)に流動させる間に、加熱バレル15外周面に配置される加熱手段15aからの熱エネルギ及び回転するフライト16と樹脂材料14aとの接触時や樹脂材料14a同士の接触時に生じるせん断エネルギにより加熱・可塑化(溶融状態)させる。尚、図1は、インラインスクリュ式射出装置1の計量工程開始時を示しており、スクリュ16が計量開始位置射出完了位置)にある。

0003

樹脂材料14aはスクリュ16前方に流動され、樹脂流路10における受熱距離及び受熱時間の増加に伴って可塑化(溶融)が進行する。そして、スクリュ16前方のチェックリング18を通過する時点においてほぼ完全に可塑化され、スクリュ16先端のスクリュヘッド17前方の空間(貯留部15b)に到達する。計量工程において、加熱バレル15先端のノズル13は、図示しない金型スプルブッシュ押圧されており、また、ノズル13、あるいは、金型のいずれか一方に配置された図示しない樹脂遮断開放切換弁遮断により、貯留部15bが閉空間を形成しているため、可塑化させた樹脂材料14a(溶融樹脂)を貯留部15bに貯留させることができる。

0004

ここで、チェックリング18は逆流防止弁であって、スクリュ16の長手方向に所定量移動可能にスクリュ16と同軸に配置された中空円筒状(リング状)の弁体である。チェックリング18自体に、これをスクリュ16に対して長手方向に移動させる駆動源は備えておらず、計量工程時に、樹脂流路10を流動させる樹脂材料14aのスクリュ16前方への流動圧力により、スクリュ16前方へ押圧させてその前進限までチェックリング18を移動させることにより、樹脂流路10を開放状態に維持させる。

0005

一方、インラインスクリュ式射出装置1においては、スクリュ16を回転させるだけでなく、射出充填のために、図示しない射出用駆動機構により長手方向に所定の速度及び圧力で前後進させることが可能である。スクリュ16を、射出用駆動機構により前進方向(図1左側)の圧力(背圧)を付与させながら、同時に、計量用駆動機構により所定速度で回転させることにより、樹脂流路10において可塑化させた樹脂材料14aを、同背圧と略同じ圧力を維持させた状態で貯留部15bに連続して貯留させることができる。その結果、図2に示すようにスクリュ16が回転されながら後退する。このスクリュ16の後退動作中も、チェックリング18前方の貯留部15b内の樹脂材料14aの圧力と、後方の樹脂流路10内の樹脂材料14aの圧力とが略同じ圧力(≒背圧)であるため、チェックリング18はスクリュ16の前進限位置に留まり、樹脂流路10の開放状態が継続する。尚、図2は、インラインスクリュ式射出装置1の計量工程完了時を示しており、スクリュ16が計量完了位置射出開始位置)にある。

0006

射出用駆動機構には、加熱バレル15内のスクリュ16の長手方向の位置を計測する計測手段が配置されており、1成形サイクルに要する可塑化させた樹脂材料14aの量、すなわち、1回の射出充填に必要な樹脂材料14aの量(計量樹脂量)を、計量開始位置(射出完了位置)からのスクリュ16の後退位置から算出させることが一般的である。スクリュ16の、予め設定させた位置(計量完了位置/射出開始位置)までの後退により計量工程完了と判定させてスクリュ16の回転及び材料供給部14への樹脂材料14aの供給を停止させる。そして、スクリュ16前方の樹脂遮断開放切換弁を開放させ、射出用駆動機構によりスクリュ16を所定の速度(射出速度)で前進させることにより、貯留部15bの樹脂材料14aを金型内金型キャビティに射出充填させることができる。

0007

射出充填開始時においては、チェックリング18前方の貯留部15b内の樹脂材料14aの圧力と、同後方の樹脂流路10内の樹脂材料14aの圧力とが略同じ圧力(≒背圧)であるため、スクリュ16の前進動作に対してチェックリング18が追従できない。一方、スクリュ16の前進動作により、スクリュ16におけるチェックリング18の後退限位置に形成させた樹脂流路10の閉塞用シール面(図示せず)が前進して、チェックリング18後方端面に形成させたシール面(図示せず)に当接するため、樹脂流路10が閉塞される。また、樹脂流路10の閉塞後、スクリュ16の前進動作に伴い、貯留部15b内の樹脂材料14aの圧力が急激に上昇し、スクリュ16の前進動作の間、チェックリング18をスクリュ16後方へ押圧させる。そのため、スクリュ16の前進動作の間、貯留部15b内の樹脂材料14aの樹脂流路10への逆流が防止され、樹脂材料14bを金型キャビティ内へ射出充填させることができる。

0008

射出充填工程が完了した後、保圧及び冷却固化時間を経て成形サイクルが完了する。図示しない型締装置では、金型を型開きさせて、樹脂成形品を金型から取り出す製品取り出し工程が行われ、インラインスクリュ式射出装置1では、図1に示すように、スクリュ16を回転させると共に、材料供給部14からの樹脂材料14aの供給が開始され、次の成形サイクルのための計量工程が開始される。

0009

尚、直前の成形サイクルの射出充填工程において、図2に示すスクリュ16の射出開始位置(計量完了位置)から、図1に示すスクリュ16の射出完了位置(計量開始位置)まで、材料供給部14からの樹脂材料14aの供給を停止させた状態でスクリュ16を前進させている。そのため、樹脂材料14aの供給開始時には、材料供給部14直下から、計量工程時のスクリュ16の後退距離(射出充填工程時のスクリュ16の前進距離)と略同じ、スクリュ16の長手方向の距離内の樹脂流路10は、樹脂材料14aがほとんどない疎の状態(飢餓状態)である。

0010

次に、インラインスクリュ式射出装置1を備える射出成形機において、成形サイクルを終了させる場合について、図3及び図4を参照しながら説明する。図を簡単にするために、これらの図においては、加熱バレル15内を簡易的に図示している。

0011

先に説明した計量工程において、材料供給部14へ樹脂材料14aが供給されている場合の計量工程開始時(スクリュ16の回転開始時)の加熱バレル15内を図3に示す。加熱バレル15内の、スクリュ16(チェックリング18)前方の貯留部15bは、前の成形サイクルで可塑化された樹脂材料14aで満たされ、チェックリング18後方の樹脂流路10も、可塑化状態は異なるものの、材料供給部14直下から、計量工程時のスクリュ16の後退量S(エス)と略同じ、スクリュ16の長手方向の距離内の樹脂流路10を除いて、それ以外は樹脂材料14aで満たされた状態である。

0012

図3に示す状態から成形サイクルを終了させる場合、まず、材料供給装置(図示せず)に材料供給停止指令発信させて、インラインスクリュ式射出装置1への樹脂材料14aの供給を停止させる。材料供給部14からの樹脂材料14aの供給を停止させても、可塑化状況は異なるものの、加熱バレル15内には多くの樹脂材料14aが保持されている。そのため、樹脂材料14aの供給を停止させた後も成形サイクルを継続させる。そのため、樹脂材料14aの供給停止後、成形サイクルが進行する毎に、図4に示すように、加熱バレル15の樹脂材料14aが漸次減少する。

0013

ここで、計量工程において、1回の射出充填に必要な樹脂材料14aが貯留部15bに貯留されない場合、すなわち、予め設定させた位置(計量完了位置/射出開始位置)までスクリュ16が後退しない(スクリュ16の計量完了位置未達)、あるいは、後退するまでの時間が変動する場合、スクリュ16の計量完了位置未達を判定するための基準が必要となる。

0014

そのため、スクリュ16の計量完了位置未達の判定に、スクリュ16の計量完了位置(射出開始位置)への到達に加えて、計量工程開始(スクリュ16の回転開始、あるいは、スクリュ16の後退開始)からの計量時間の監視も行わせて、設定計量時間と比較させることが一般的である。この計量時間の監視の併用により、連続する成形サイクル中、スクリュ16の計量完了位置未達が発生した場合、射出充填工程へ移行させず、成形サイクルを停止させた後、その要因追及がなされる。また、成形サイクルの停止後、射出装置(可塑化機構)内に残留する樹脂材料を可塑化させて外部に排出(パージ)させる。

0015

尚、パージ処理(動作)には様々な方法があるが、インラインスクリュ式射出装置1では、成形サイクル終了後、まず、同射出装置を金型から離間させて、同射出装置先端のノズル13前方に樹脂受け容器等を配置させる。その後、射出完了位置(計量開始位置)にあるスクリュ16をその位置において一定速度で回転させて、同射出装置内に残留している樹脂材料14aを可塑化させながら、同樹脂受け容器等に排出(パージ)させる方法が一般的である。

0016

上記で説明したように、樹脂成形品の成形においては、計量工程時にスクリュ16の計量完了位置未達が発生した場合には成形サイクルを停止させる。そのため、成形サイクルを終了させるために、樹脂材料14aの供給を停止させた場合においても、図4に示すように、その後の成形サイクルにおいて、加熱バレル15内の樹脂材料14aが漸次減少して、スクリュ16の計量完了位置未達が発生する状況に到れば、成形サイクルが停止されるため、計量樹脂量不足不良品が成形されることはないはずである。

0017

しかしながら、成形サイクルを終了させるために、樹脂材料14aの供給を停止させた場合においては、スクリュ16の計量完了位置未達が発生する状況に到る前の数回の成形サイクル(スクリュ16が計量完了位置に到達する成形サイクル)においても、計量樹脂量不足の不良品が成形される。

0018

これは、射出装置(加熱バレル15)内の樹脂材料14aの減少に起因する、主に2つの理由によるものである。すなわち、樹脂材料14aの供給を停止させた後の計量工程においては、図3及び図4に示すように、成形サイクル毎に、計量工程開始時における加熱バレル15内の樹脂材料14aは漸次減少していく。計量工程中のスクリュ16は、計量用駆動機構により所定の回転速度で等速制御されるため、加熱バレル15内の樹脂材料14aの減少に伴い、スクリュ16の所定の回転速度を維持させるための計量用駆動機構の回転トルクは減少し、これに伴って、貯留部15bに単位時間当りに流動される樹脂材料14aの容積が減少する状況が発生する。樹脂材料14aの供給が継続される通常の計量工程においてこの状況は発生しない(理由1)。

0019

一方、計量工程中のスクリュ16は、射出用駆動機構により前進方向に付与される背圧が一定となるようにその後退動作が制御されるため、加熱バレル15内の樹脂材料14aの減少に伴い、スクリュ16に付与させる背圧を維持させるための計量用駆動機構の後退速度が減少し、これに伴って、貯留部15bに単位時間当りに流動される樹脂材料14aの容積も減少する状況が発生する。こちらも、通常の計量工程においては発生しない(理由2)。

0020

上記のような理由1及び理由2により、成形サイクルを終了させるために、樹脂材料14aの供給を停止させた場合において、スクリュ16が計量完了位置に到達する成形サイクルであっても、貯留部15bに貯留される樹脂材料14aの容積が、通常の計量工程において貯留される容積よりも減少する状況が発生して、計量樹脂量不足の不良品が成形される。そのため、樹脂材料の供給を停止させた場合であっても、計量樹脂量不足の不良品が成形されず、射出装置内の樹脂材料の保持量を最小にさせるタイミングで、成形サイクルを終了させることができる、射出成形機の成形サイクル終了方法の要望がある。

0021

ここで、成形中の材料不足や材料切れの検出、あるいは、パージ処理(動作)時に、射出装置(可塑化機構)内の樹脂材料が無くなったことを検出するために、特許文献1の射出成形機の材料検知方法や、特許文献2のパージ動作停止方法が開示されている。

0022

特許文献1の射出成形機の材料検知方法は、成形サイクル中、あるいは、パージ動作中に、加熱筒(加熱バレル)内における材料(樹脂材料)の有無を検知することを目的としており、スクリュ回転駆動モータの作動時に、駆動モータの負荷電流の大きさを検出し、電流検出値が予め設定した電流設定値以下となり、かつ電流設定値以下の時間が予め設定した設定時間以上継続したときに、材料不検知信号を出力するものである。

0023

特許文献2のパージ動作の停止方法は、パージ動作を自動で行わせる場合に、可塑化装置(射出装置)内から排出される樹脂が無くなる時点を正確に検出することを目的としており、パージ動作の開始後、可塑化装置内でスクリュを所定の回転速度で回転させながらスクリュの駆動トルクを監視し、この駆動トルクが予め定められた設定値まで低下したとき、直ちにまたは所定時間経過後に、スクリュの回転を停止させるものである。

先行技術

0024

特開平4−334426号公報
特開2006−088557号公報

発明が解決しようとする課題

0025

射出装置内の樹脂材料が無くなったことを検出するため、特許文献1の射出成形機の材料検知方法においてはスクリュの回転駆動モータの負荷電流を検出し、特許文献2のパージ動作の停止方法においてはスクリュの駆動トルクを監視している。言い換えれば、共に、スクリュの回転トルクを監視し、同回転トルクが設定値以下になることにより、射出装置内の樹脂材料が所望する保持量(残量)に到達した状態だと判定させるものである。

0026

ここで、計量工程中やパージ動作中のスクリュにおいては、回転速度を一定に制御することが一般的である。その場合、スクリュの回転速度を一定に維持するために必要な回転トルクは一定ではなく変動する。例えば、図3に示すように、加熱バレル15(可塑化機構)内がほぼ樹脂材料14aで満たされた状態から、正常な計量状態下で計量工程を進行させた場合でも、スクリュの回転トルクは変動する。また、可塑化させた樹脂材料14aの貯留部15bにおける貯留容積の増加に伴い、スクリュ16に生じる回転トルクは変動を伴いながら変化する。更に、想定外の突発的な要因、例えば、材料供給部14からの樹脂材料14aの供給が停止されたことによる、材料供給部14直下からスクリュ16前方の樹脂流路10に保持された樹脂材料14aに、材料供給状態の変化に起因する流動不良等が発生すれば、スクリュ16に生じる回転トルクの変動や変化は大きくなっても小さくなることはない。

0027

また、パージ動作においては、正常なパージ動作状態下でパージ動作が進行した場合、射出装置内の樹脂材料の減少に伴って、スクリュに生じる回転トルクが低下する。しかしながら、パージ動作においても、スクリュを所定の回転速度で回転させる速度制御が行われるため、スクリュの回転速度を一定に維持するために必要な回転トルクは一定ではなく変動し、スクリュに生じる回転トルクは変動を伴いながら低下する。更に、想定外の突発的な要因や、射出装置内の樹脂材料の減少に対して、射出装置の加熱手段の加熱制御が維持されることによる、射出装置内の樹脂材料の可塑化状態の変化等を鑑みると、スクリュに生じる回転トルクの変動は回避し得ない(特許文献2の図2/パージ動作の開始から終了までのスクリュの駆動トルク(回転トルク)参照)。

0028

そのため、特許文献1の射出成形機の材料検知方法のように、スクリュの回転駆動モータの変動する負荷電流に対して、射出装置内の樹脂材料が所望する保持量に到達した状態の負荷電流をピンポイントで電流設定値として設定させたとしても、その電流設定値まで負荷電流が低下した状態が、負荷電流が変動により一時的にその電流設定値まで低下した状態であって、所望する保持量に到達した状態ではない可能性がある。

0029

更に、特許文献1の射出成形機の材料検知方法では、その電流設定値以下の時間が予め設定した設定時間以上継続することを検知の条件に加えている。これは、上記のような、スクリュの回転トルクの低下に伴う、回転トルクの変動や、想定外の突発的な要因等により、スクリュの回転駆動モータの負荷電流が変動により一時的にその電流設定値まで低下することによる誤検知を回避するためと推測される。しかしながら、その電流設定値まで低下した状態が維持される時間が、それら変動の要因の種類、状況及び程度により様々であるため、好適な設定時間を設定することが難しい。その結果、その電流設定値まで負荷電流が低下し、かつ電流設定値以下の時間が予め設定させた設定時間以上継続した状態であっても、射出装置内の樹脂材料が所望する保持量に到達した状態ではない可能性を解消することは困難である。

0030

このように、特許文献1の射出成形機の材料検知方法では、樹脂材料の供給を停止させた場合の、射出装置内の樹脂材料が所望する保持量に到達した状態、すなわち、樹脂量不足の不良品が成形されず、可塑化機構内の樹脂材料の保持量を最小にさせるタイミングに相当するスクリュの回転トルクを、試験成形等によりピンポイントで求め、これをその設定値としても、所望する上記状態を正確に検知できない可能性が高い。

0031

一方、特許文献2のパージ動作の停止方法においては、スクリュの回転トルクが設定値まで低下したときを、射出装置内の樹脂材料が所望する保持量に到達した状態(特許文献2の場合は射出装置内の樹脂材料が無くなった状態)とする以外に、スクリュの回転トルクの移動平均値を監視し、この移動平均値が設定値まで低下したときを、射出装置内の樹脂材料が所望する保持量に到達した状態とすることが記載されている(特許文献2の請求項2他)。

0032

ここで、移動平均値とは、「時系列データにおいて、ある一定区間毎の平均値を、その区間をずらしながら求めたものであって、移動平均値を用いてグラフを作成すると、長期的な傾向を表す滑らかな曲線が得られる」ものである(インターネットサイト「統計WEB/統計Tips/移動平均計算方法」より抜粋)。スクリュの回転トルクではなく、スクリュの回転トルクの移動平均値に対して設定値を設けることにより、特許文献2の図2に示すような、パージ動作の開始から終了までの、変動を伴うスクリュの駆動トルク(回転トルク)を、同文献の図4に示すように、ある程度まで滑らかな変動に変換させることができ、上述したような、パージ動作時においてスクリュに生じる回転トルクの低下に伴う変動による、一時的な設定値までの低下を誤検知することの回避に寄与すると思われる。

0033

しかしながら、上記のような移動平均値は、特許文献2が、スクリュの長手方向への移動がない、回転動作だけのパージ動作時のスクリュの回転トルクの変化や変動を、パージ動作の開始から終了までを1つの時系列として取り扱うことにより採用できるものである。これに対して、計量工程は、1成形サイクル中の1計量工程が1つの時系列であるから、射出装置内の樹脂材料が所望する保持量に到達した状態と判定させる場合に、特許文献2の移動平均値を採用できるのは、ある1成形サイクルの1計量工程中のスクリュの回転トルクの変化や変動に対してだけである。

0034

そこで、ある1成形サイクルの1計量工程を1時系列として移動平均化した平均回転トルクを基準に、適切な設定値を設定したとしても、その1計量工程において、想定外の突発的な要因により、その要因が生じていない場合に対して異常な回転トルクが生じていた場合、そのような異常な回転トルクを含めて、1計量工程を移動平均化した平均回転トルクは、その要因が生じていない1計量工程を移動平均化した平均回転トルクに対して所定量の差異が生じている可能性があり、基準とする平均回転トルクの信頼性が低いという問題がある。

0035

このように、特許文献2のパージ動作の停止方法に記載されている移動平均値を採用できるのは、1つの時系列である1つの計量工程中のスクリュの回転トルクの変化や変動に対してだけであり、ある1成形サイクルの1計量工程中のスクリュの回転トルクの変化や変動に対して移動平均化した平均回転トルクを基準に、適切な設定値を設定したとしても、基準とする平均回転トルクの信頼性が低いという問題がある。そのため、特許文献2のパージ動作の停止方法では、樹脂材料の供給を停止させた場合の、射出装置内の樹脂材料が所望する保持量に到達した状態、すなわち、樹脂量不足の不良品が成形されず、可塑化機構内の樹脂材料の保持量を最小にさせるタイミングに相当するスクリュの回転トルクを、試験成形等により求め、これをその設定値としても、設定値と比較させる基準である平均回転トルクの信頼性が低いため、所望する上記状態を正確に検知できない可能性がある。

0036

本発明は、上記したような問題点に鑑みてなされたもので、具体的には、樹脂材料の供給を停止させた後、樹脂量不足の不良品が成形されず、射出装置内の樹脂材料の保持量を最小にさせるタイミングで、成形サイクルを終了させることができる、射出成形機の成形サイクル終了方法を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0037

本発明の上記目的は、加熱バレル内のスクリュを回転させて、前記スクリュの後方から前記加熱バレル内に供給させた樹脂材料を、前記スクリュの前方に流動させる間に可塑化させる射出装置を有する射出成形機の成形サイクル終了方法であって、
1成形サイクルにおいて、可塑化させた前記樹脂材料を、前記射出装置の貯留部に設定量まで貯留させる計量工程における前記スクリュの平均回転トルク1を算出させる平均回転トルク1算出工程と、
任意の成形サイクルから、選択された複数回の各成形サイクルにおいて前記平均回転トルク1算出工程を行わせて、求められた各前記平均回転トルク1から、前記選択された複数回の成形サイクルにおける平均回転トルク2を算出させると共に、該平均回転トルク2を安定成形トルク基準値として設定させる平均回転トルク2算出工程と、
前記安定成形トルク基準値を設定させた後の、任意の1成形サイクルにおける前記平均回転トルク1を前記安定成形トルク基準値と比較させる平均回転トルク比較工程と、
を有し、
前記平均トルク比較工程において、前記平均回転トルク1が、前記安定成形トルク基準値から、設定成形終了値に到達、あるいは、設定成形終了値を下回った成形サイクルを最終成形サイクルとして、該最終成形サイクルにおいて成形サイクルを終了させる、射出成形機の成形サイクル終了方法によって達成される。

0038

本発明に係る、射出成形機の成形サイクル終了方法においては、成形開始後の所定回数の成形サイクルにおいて、前記平均回転トルク1算出工程を行わないことが好ましい。

0039

また、本発明に係る、射出成形機の成形サイクル終了方法においては、任意の成形サイクルから、成形サイクル毎に前記平均回転トルク1算出工程を行わせると共に、
前記任意の成形サイクルから、成形サイクル毎に前記平均回転トルク2算出工程を開始させ、
前記平均回転トルク比較工程において、前記平均回転トルク2算出工程により、前記安定成形トルク基準値を設定させた成形サイクルの直後の成形サイクルにおける前記平均回転トルク1を、直前の成形サイクルで設定させた前記安定成形トルク基準値と比較させても良い。

0040

更に、本発明に係る、射出成形機の成形サイクル終了方法においては、前記平均回転トルク2算出工程の前記選択された複数回の成形サイクルを1セットとして、前記1セット毎に前記安定成形トルク基準値を設定させると共に、前記平均回転トルク比較工程において、前記1セットの各成形サイクルの前記平均回転トルク1を、直前の前記1セットで設定させた前記安定成形トルク基準値と比較させても良い。

0041

一方、上記のような、本発明に係る、射出成形機の成形サイクル終了方法においては、成形サイクルの一次的な停止も含む停止操作後、成形サイクルが再開される都度、前記平均回転トルク2算出工程において、前記安定成形トルク基準値を設定させることが好ましい。

発明の効果

0042

本発明に係る、射出成形機の成形サイクル終了方法においては、加熱バレル内のスクリュを回転させて、前記スクリュの後方から前記加熱バレル内に供給させた樹脂材料を、前記スクリュの前方に流動させる間に可塑化させる射出装置を有する射出成形機の成形サイクル終了方法であって、
1成形サイクルにおいて、可塑化させた前記樹脂材料を、前記射出装置の貯留部に設定量まで貯留させる計量工程における前記スクリュの平均回転トルク1を算出させる平均回転トルク1算出工程と、
任意の成形サイクルから、選択された複数回の各成形サイクルにおいて前記平均回転トルク1算出工程を行わせて、求められた各前記平均回転トルク1から、前記選択された複数回の成形サイクルにおける平均回転トルク2を算出させると共に、該平均回転トルク2を安定成形トルク基準値として設定させる平均回転トルク2算出工程と、
前記安定成形トルク基準値を設定させた後の、任意の1成形サイクルにおける前記平均回転トルク1を前記安定成形トルク基準値と比較させる平均回転トルク比較工程と、
を有し、
前記平均トルク比較工程において、前記平均回転トルク1が、前記安定成形トルク基準値から、設定成形終了値に到達、あるいは、設定成形終了値を下回った成形サイクルを最終成形サイクルとして、該最終成形サイクルにおいて成形サイクルを終了させるため、樹脂材料の供給を停止させた後、樹脂量不足の不良品が成形されず、射出装置内の樹脂材料の保持量を最小にさせるタイミングで、成形サイクルを終了させることができる。

図面の簡単な説明

0043

本発明の実施例1に係る、射出成形機のインラインスクリュ式射出装置の計量工程開始時を示す概略断面図である。
本発明の実施例1に係る、射出成形機のインラインスクリュ式射出装置の計量工程完了時を示す概略断面図である。
材料供給部へ樹脂材料が供給されている、計量工程開始時の加熱バレル内を示す概略断面図である。
材料供給部への樹脂材料の供給が停止された後の、計量工程開始時の加熱バレル内を示す概略断面図である。
実施例1において、成形サイクルを終了させるための工程を説明するためのイメージ図である。
実施例1において、成形サイクルを終了させる直前の成形サイクルの計量工程におけるスクリュの平均回転トルク1他を示すグラフである。
実施例2において、成形サイクルを終了させるための工程を説明するためのイメージ図である。

0044

以下、本発明を実施するための形態について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。

0045

図5及び図6を参照しながら本発明の実施例1に係る、射出成形機の成形サイクル終了方法を説明する。実施例1に係る、射出成形機の成形サイクル終了方法は、先に、図1乃至図4を用いて説明した、インラインスクリュ式射出装置1を有する射出成形機で実施することを前提にして説明する。

0046

図5は、横軸を成形サイクル回数(N)として、実施例1において、成形サイクルを終了させるための工程を説明するためのイメージ図である。成形サイクルを開始(N=1)してから5回目までの成形サイクル(A1〜A5)をA成形サイクルとする。材料供給部14へ樹脂材料14aが供給されている場合の計量工程開始時を示す図3とは異なり、新たに成形サイクルを開始させた直後の成形サイクルA1では、スクリュ16の樹脂流路10に樹脂材料14aが全くない状態でスクリュ16を回転させ、樹脂材料14aの供給を開始させる。そのため、供給させた樹脂材料14aを、樹脂流路10を介してスクリュ16前方に流動させる間に可塑化を進行させ、貯留部15bへの貯留(計量)が開始されるまで所定の時間を要する。

0047

また、上記の成形サイクルA1も含め、冷間状態のインラインスクリュ式射出装置1の温度が、樹脂材料14aの供給開始後、加熱バレル15bやその内部のスクリュ16を含め、良品を成形するのに好適な温度に昇温され安定(サチュレート)するまでにも所定の時間を要する。インラインスクリュ式射出装置1の温度が良品を成形するのに好適な温度に昇温されるまでの間、あるいは、インラインスクリュ式射出装置1自体の受熱と放熱とがバランスして、安定(サチュレート)するまでの間、加熱手段15aや、回転するフライト16aと樹脂材料14aとの接触時や樹脂材料14a同士の接触時に生じるせん断エネルギによる熱エネルギの一部が、樹脂材料14aの可塑化ではなく、これら樹脂材料14aが直接的に接触する同射出装置の昇温に消費される。

0048

一方、成形サイクル開始前、すなわち、樹脂材料14aを供給させる前から、加熱バレル15の加熱手段15aによる加熱を開始させて、インラインスクリュ式射出装置1の温度を予め昇温させることは可能である。しかしながら、成形サイクルにおける、インラインスクリュ式射出装置1に関する受熱及び放熱を伴うサチュレートするまでの熱履歴は、先に説明したように加熱手段15aの加熱制御のみによって補完制御できるものではない。従って、樹脂材料14aの可塑化や射出充填を行わせることなく、加熱手段15aの加熱制御のみで、冷間状態のインラインスクリュ式射出装置1を、樹脂材料14aの供給開始直後の成形サイクルで良品を成形できるように、同装置を好適に昇温・サチュレートさせることは難しい。

0049

また、図示しない型締機構及び金型側でも、同様の理由で、所定の温度に昇温され安定(サチュレート)するまでにも所定の時間を要すると共に、樹脂材料14aの射出充填を行わせることなく、金型側に接続させた金型温度調整装置温調機)等の温度制御のみで、型締機構及び金型を好適に昇温・サチュレートさせることは難しい。そのため、次の成形サイクルA2以降のA成形サイクルにおいて、図3に示す状態から計量工程を開始させることができたとしても、貯留部15bの樹脂材料14aの可塑化状態、及び、金型側の温度調整が安定して、良品を成形できる成形サイクルに到達するには、所定回数の成形サイクルが必要となる。当然ながら、この良品を成形できる成形サイクルに到達するまでの成形サイクルにおいては、不良品が成形され、計量工程開始から完了までの、スクリュ16に生じる回転トルクの平均値(平均回転トルク1)は、良品を成形できる成形サイクルにおける平均回転トルク1とは、回避し得ない変動に起因する差異以上の差異が生じる。

0050

ここで、実施例1においては、1成形サイクルにおいて、可塑化させた樹脂材料14aを、貯留部15bに設定量まで貯留させる計量工程において、スクリュ16に生じる回転トルクの平均値(平均回転トルク1)を算出させる(平均回転トルク1算出工程)。加熱バレル15内への樹脂材料14aの供給を継続させている間に、平均回転トルク1算出工程において算出させる平均回転トルク1は、後述する、平均回転トルク2、及び、同平均回転トルク2を算出させて、これを安定成形トルク基準値として設定させる平均回転トルク2算出工程において、その基準となる重要な数値である。

0051

また、正常な計量状態下で計量が進行した場合でも、スクリュ16に生じる回転トルクが変動する計量工程中に、射出装置内の樹脂材料が所望する保持量に到達した状態の負荷電流をピンポイントで電流設定値として設定させる特許文献1の射出成形機の材料検知方法に対して、計量工程中のスクリュ16に生じる回転トルクを平均化して平均回転トルク1として取り扱うことで、スクリュ16の回転トルクを、同回転トルクに生じる変動の影響を減少させた安定した基準とすることができる。

0052

そのため、上記のような、良品を成形できる成形サイクルに到達する前の、成形開始後の不安定な成形サイクルにおいては、所定回数、平均回転トルク1算出工程を行わないことが好ましい。樹脂成形品やそのサイズ及び要求品質、更に、成形・射出条件によって、成形開始から、良品を成形できる成形サイクルに到達する成形サイクルの回数は様々である。そこで、平均回転トルク1算出工程を行わない所定回数を、試験成形等により好適に求めることが好ましい。実施例1では、上記所定回数を5回とし、6回目の成形サイクルB1から良品を成形できるものとする。

0053

次に、良品を成形できる6回目の成形サイクルB1から、選択された複数回の各成形サイクルにおいて上述した平均回転トルク1算出工程を行わせ、各成形サイクルの平均回転トルク1を算出させる。説明の理解を容易にするため、実施例1では、成形サイクルの選択方法及び回数を連続する5回(10回目まで)のB成形サイクルとして、各成形サイクル(B1〜B5)において、平均回転トルク1算出工程を行わせ、各成形サイクルの平均回転トルク1を算出させるものとする。そして、B成形サイクル最後の10回目の成形サイクルB5の計量工程の完了と略同時に、各成形サイクルB1〜B5において算出させた平均回転トルク1を合計して、その合計値を選択された回数5で除した平均回転トルク2を算出させる。そして、B成形サイクルで算出させた平均回転トルク2を安定成形トルク基準値として、図示しない制御装置に設定させる。このように、平均回転トルク2を算出させ、算出させた平均回転トルク2を安定成形トルク基準値として設定させるのが平均回転トルク2算出工程である。

0054

B成形サイクルの平均回転トルク2算出工程で設定させた安定成形トルク基準値をTBとする。一方、安定成形トルク基準値TBを設定させた10回目の成形サイクルの直後の11回目の成形サイクルにおける平均回転トルク1を、直前の10回目の成形サイクルで設定させた安定成形トルク基準値TBと比較させる(平均回転トルク比較工程)。

0055

また、7回目の成形サイクルから新たな平均回転トルク2算出工程を開始させ、連続する5回目の成形サイクル、すなわち、11回目の成形サイクルの計量工程の完了と略同時に、平均回転トルク2を算出させて、これを安定成形トルク基準値TCとして設定させる。この7回目から11回目までの連続する5回の成形サイクルを、便宜上、C成形サイクル(C1〜C5)と呼称する。そして、B成形サイクルと同様に、安定成形トルク基準値TCを設定させた11回目の成形サイクルの直後の12回目の成形サイクルにおける平均回転トルク1を、直前の11回目の成形サイクルで設定させた安定成形トルク基準値TCと比較させる(平均回転トルク比較工程)。

0056

更に、8回目、9回目と成形サイクル毎に新たに平均回転トルク2算出工程を開始させ、連続する5回のD成形サイクル、E成形サイクルにおいて、安定成形トルク基準値TD、TEをそれぞれ設定させる。そして、それぞれの安定成形トルク基準値を設定させた成形サイクルの直後の成形サイクルにおける平均回転トルク1を、直前の成形サイクルで設定させた安定成形トルク基準値と比較させる平均回転トルク比較工程を行わせる。

0057

このように、実施例1においては、良品を成形できる6回目の成形サイクルから、平均回転トルク1算出工程及び平均回転トルク2算出工程を開始させて、安定成形トルク基準値を設定させた後の成形サイクルにおいて、直近設定回数の成形サイクルから算出・設定させた安定成形トルク基準値と、その直後の成形サイクルにおける平均回転トルク1とを比較させる平均回転トルク比較工程を成形サイクル毎に行わせることを特徴としている。

0058

ここで、ある試験成形の、連続する成形サイクルにおいて、これまで図5を参照しながら説明したように、成形開始から5回のA成形サイクル後、6回目のB成形サイクルから、平均回転トルク1算出工程及び平均回転トルク2算出工程を開始させて、安定成形トルク基準値を設定させたときの、成形サイクルを終了させる直前の成形サイクルの、計量工程におけるスクリュ16の平均回転トルク1と、設定成形終了値の3種類の候補値図6のグラフに示す。設定成形終了値は、本発明において、最終成形サイクルを判断するための、平均回転トルク2に対する平均回転トルク1との差異である。実施例1においては、基準値としての信頼性が高い、安定成形トルク基準値(平均回転トルク2)をベースとして試験成形等でこれを求める方法を説明する。

0059

図6のグラフは、横軸が成形サイクルの回数(N)で、50回目の成形サイクル以降が示されている。縦軸は、スクリュ16の回転トルクを示しており、回転トルク値そのものではなく、スクリュ16を回転駆動させる、図示しない計量用駆動機構のサーボモータの定格回転トルクを100%とした場合の%で表示である。各成形サイクルの回数上にプロットされた四角が、その成形サイクルにおける計量工程の平均回転トルク1であり、これら四角を直線で結んだもの(実線1)が、スクリュ16の平均回転トルク1の変化を示す。回避し得ない要因等に起因すると思われる若干の変動が確認されるが、成形サイクルの50回目から58回目までは、成形サイクル毎の平均回転トルク1の差異は大きくはなく、比較的安定した値を示している。

0060

ここで、図6点線2、実線3及び一点鎖線4は、各成形サイクルにおいて設定させた安定成形トルク基準値(各成形サイクルの直近5回の成形サイクルのスクリュ16の平均回転トルク2)をベースとする設定成形終了値の3種類の候補値をプロットし、滑らかに結んだものである。それぞれの候補値を説明すると、点線2は安定成形トルク基準値を10%ダウンさせたもの(安定成形トルク基準値の90%)で、同じく、実線3は20%ダウンさせたもの(80%)で、一点鎖線4は30%ダウンさせたもの(70%)である。

0061

実施例1の試験成形においては、図6の58回目の成形サイクルの計量工程完了後に、樹脂材料14aの供給を停止させている。そのため、59回目以降の成形サイクルにおいては、成形サイクル毎にスクリュ16の平均回転トルク1が減少する。直近5回の各成形サイクルにおける平均回転トルク1から算出させた平均回転トルク2(安定成形トルク基準値)もその影響を受けるため、点線2、実線3及び一点鎖線4も成形サイクル毎に減少する。この図6の成形サイクルの場合、60回目(三角形表示)の成形サイクルの平均回転トルク比較工程において、その平均回転トルク1が、安定成形トルク基準値を20%ダウンさせた値(実線3)、すなわち、安定成形トルク基準値の80%に到達(低下)すると共に、良品が成形された最後の成形サイクルとなる結果を得た。

0062

このように、実施例1においては、連続する成形サイクルにおいて、ある成形サイクルの計量工程における、スクリュ16の平均回転トルク1が、その成形サイクル直近5回(設定回数)の平均回転トルク2の80%に到達(低下)する成形サイクル(実施例1の場合は60回目)が、樹脂材料の供給を停止させた後、樹脂量不足の不良品が成形されず、射出装置内の樹脂材料の保持量を最小にさせる条件であり、且つ、平均回転トルク2(安定成形トルク基準値)の80%が設定成形終了値であることが試験成形で確認された。従って、樹脂成形品を製造する実際の成形においても、この条件を満たす成形サイクルを最終成形サイクルとすることにより、本発明の目的を達成することができる。

0063

本発明は、平均回転トルク比較工程において、平均回転トルク1が、安定成形トルク基準値から、設定成形終了値を下回った成形サイクルを最終成形サイクルとして、成形サイクルを終了させるものである。従って、実施例1においては、設定成形終了値を安定成形トルク基準値の80%として設定させれば良い。

0064

実施例1においては、スクリュ16の平均回転トルク1に、回避し得ない要因等に起因すると思われる若干の変動が確認される。しかしながら、樹脂材料14aの供給を停止させる前の、成形サイクル毎の平均回転トルク1の差異は大きくはなく、比較的安定した値を示しており、設定成形終了値(安定成形トルク基準値の80%)に到達する程の変動はない。計量工程におけるスクリュ16の回転トルクそのものではなく、回転トルクの平均値(平均回転トルク1)を、安定成形トルク基準値と比較させるため、スクリュ16の回転トルクの変化が変動を伴っても、特許文献1の射出成形機の材料検知方法のような誤検知の可能性を低下させる。

0065

また、実施例1においては、安定成形トルク基準値(平均回転トルク2)に基づいて設定成形終了値を設定させている。安定成形トルク基準値(平均回転トルク2)は、連続する設定回数(直近5回)の成形サイクルにおける平均回転トルク1を再び平均化した値であるため、図6の実線3他に示すように、安定成形トルク基準値(平均回転トルク2)に基づく、各成形サイクルの設定成形終了値は、3候補共に、同じ成形サイクルの平均回転トルク1よりも変動が抑制される。その結果、特許文献1の射出成形機の材料検知方法のような誤検知の可能性をより低下させる。

0066

更に、ある1成形サイクルの計量工程において、想定外の突発的な要因により回転トルクの大きな変動が生じ、その成形サイクルの平均回転トルク1に変動を生じさせたとしても、複数の平均回転トルク1を平均化させる(安定成形トルク基準値/平均回転トルク2)ことにより、その変動の影響を抑制することができる。このようにして算出させる安定成形トルク基準値は、特許文献2のパージ動作の停止方法のように、ある1成形サイクルの1計量工程を1時系列として算出させた、スクリュの回転トルクの移動平均値より信頼性が高いことは明らかである。

0067

更に、実施例1においては、連続する直近5回の成形サイクルにおける平均回転トルク1から平均回転トルク2を都度算出させ、安定成形トルク基準値を都度設定させる。そのため、図6に示すように、樹脂材料14aの供給を停止させた後の平均回転トルク1の変化(低下)に、安定成形トルク基準値(平均回転トルク2)に基づく設定成形終了値がすぐに追従して変化(低下)している。このように、都度、最新の安定成形トルク基準値が設定されることにより、良品が成形される状態下でも、成形が行われる環境の温度変化や、射出成形機の温度変化等に起因して生じる可能性がある、平均回転トルク1や平均回転トルク2(安定成形トルク基準値)の変動の影響を抑制して、成形サイクルを所望するタイミング終了させることができる。

0068

このような設定成形終了値や、平均回転トルク2を算出させるための成形サイクルの選択方法や回数等は、図6で説明したように、設定成形終了値や選択方法や回数を変更させながら試験成形等を行い、樹脂量不足の不良品が成形されず、射出装置内の樹脂材料の保持量を最小にさせるタイミングを判定できる適切な設定値を求めれば良い。また、平均回転トルク1、平均回転トルク2及び上記設定終了値は、%表示ではなく回転トルク値表示あっても良い。

0069

しかしながら、本発明における安定成形トルク基準値の高い信頼性を鑑みれば、上記設定終了値は、試験成形等で求めた、樹脂量不足の不良品が成形されず、射出装置内の樹脂材料の保持量を最小にさせるタイミングを判定できる平均回転トルク1の回転トルク値そのものを設定値とするよりは、試験成形等で求めた、樹脂量不足の不良品が成形されず、射出装置内の樹脂材料の保持量を最小にさせるタイミングを判定できる平均回転トルク1を、同じく試験成形等で求めた平均回転トルク2(安定成形トルク基準値)に関連付けて、実施例1のように、上記設定終了値を同安定成形トルク基準値から低下する割合(%)を設定値とすることがより好ましい。

0070

次に、図7を参照しながら、本発明の実施例2に係る、射出成形機の成形サイクル終了方法を説明する。実施例2においても、先に説明したインラインスクリュ式射出装置1を有する射出成形機を前提にする。また、実施例2が実施例1と異なる点は、選択された成形サイクルにおける、スクリュ16の平均回転トルク2算出工程及び平均回転トルク比較工程が行われるタイミングのみである。それ以外の点については実施例1と基本的に同じため、同じ構成については、実施例1と同じ符号を使用すると共に、重複する説明は割愛する。

0071

実施例1と同様に、平均回転トルク1算出工程を行わない所定回数を5回とし、6回目の成形サイクルB1から良品を成形できるものとする。また、平均回転トルク2算出工程において、平均回転トルク2を算出させるための成形サイクルの選択方法及び回数も、実施例1と同じ連続する5回とする。

0072

良品を成形できる6回目の成形サイクルB1から、連続する5回のB成形サイクルの各成形サイクルにおいて平均回転トルク1算出工程及び平均回転トルク2算出工程を行わせ、10回目の成形サイクルB5の計量工程の完了と略同時に、平均回転トルク2を算出させ、安定成形トルク基準値TBを設定させる。

0073

そして、続く11回目の成形サイクルC1から、連続する5回のC成形サイクルの各成形サイクルにおいて平均回転トルク1算出工程及び平均回転トルク2算出工程を行わせ、15回目の成形サイクルC5の計量工程の完了と略同時に、平均回転トルク2を算出させ、安定成形トルク基準値TCを設定させる。また、C成形サイクルの各成形サイクル(C1〜C5)の平均回転トルク1を、前のB成形サイクルで設定させた安定成形トルク基準値TBと比較させる(平均回転トルク比較工程)。

0074

更に、16回目の成形サイクルD1から、連続する5回のD成形サイクルの各成形サイクルにおいて平均回転トルク1算出工程及び平均回転トルク2算出工程を行わせると共に、D成形サイクルの各成形サイクル(D1〜D5)の平均回転トルク1を、前のC成形サイクルで設定させた安定成形トルク基準値TCと比較させる。

0075

このように、実施例2においては、平均回転トルク2算出工程の選択された複数回(連続する5回)の成形サイクルを1セットとして、1セット毎に安定成形トルク基準値を設定させると共に、平均回転トルク比較工程において、1セットの各成形サイクルの平均回転トルク1を、直前の1セットで設定させた安定成形トルク基準値と比較させることを特徴としている。

0076

実施例2の形態は、実施例1の成形に対して、スクリュ16の平均回転トルク1の変動が無く、比較的平均回転トルク1が安定している成形に好適である。特に、射出装置のサイズに対して1成形サイクルに要する計量樹脂量が少なく、材料供給停止後、5回から6回程度、良品が成形できる場合に、平均回転トルク2算出工程の成形サイクルの選択回数をこれより少なく(2〜3回)することにより、実施例1よりも比較的簡易な制御で、平均回転トルク1や平均回転トルク2の変動が生じた場合でも、これを反映させることができる。尚、平均回転トルク比較工程において採用する設定成形終了値や、平均回転トルク2を算出させるための成形サイクルの選択方法及び回数等については実施例1と同様であるため説明は割愛する。

0077

本発明は、上記の実施の形態に限定されることなく色々な形で実施できる。例えば、実施例1及び実施例2においては、良品を成形できる6回目の成形サイクルB1から平均回転トルク1算出工程及び平均回転トルク2算出工程を行わせるものとしたが、成形開始後、任意の成形サイクルから、選択された複数回で平均回転トルク2算出工程を行わせた後、算出させた安定成形トルク基準値を制御装置に記憶させて、別の任意の成形サイクルから、この安定成形トルク基準値を使用して平均回転トルク比較工程を行わせても良い。

0078

また、実施例1及び実施例2においては、連続する良品を成形できる6回目の成形サイクルB1から、連続する5回の成形サイクルにおいて、平均回転トルク1算出工程及び平均回転トルク2算出工程を行わせるものとしたが、例えば、連続する10回の成形サイクルから、1回目、3回目、のように1つ飛ばしの複数回の成形サイクルが選択されても良いし、連続する50回の成形サイクルから、5回目、10回目、のように複数回飛ばしの複数回の成形サイクルが選択されても良い。このような成形サイクルの選択により、制御装置の負荷を増加させることなく、平均回転トルク2の値の安定性の確保が期待できる。

実施例

0079

一方、射出成形機の射出装置には、インラインスクリュ式射出装置とは構成が異なるプリプラ式射出装置がある。プリプラ式射出装置は、可塑化シリンダ及び射出シリンダがそのノズル側で連結された構成であって、回転するスクリュを内蔵した可塑化シリンダにより可塑化させた樹脂材料を、樹脂流路を介して可塑化シリンダ前方と連結されている射出シリンダ内の貯留部に貯留させ、計量工程完了後、射出シリンダ内で長手方向に摺動可能に配置させたプランジャを前進させて、同貯留部に貯留させた樹脂材料を金型に射出充填させるものである。樹脂材料を可塑化させる可塑化シリンダと樹脂材料を射出充填させる射出シリンダとが独立している構成が、インラインスクリュ式射出装置の構成との大きな差異である。実施例1及び実施例2において、インラインスクリュ式射出装置を有する射出成形機を前提に説明したが、プリプラ式射出装置を有する射出成形機においても、本発明の実施は可能である。

0080

1インラインスクリュ式射出装置
10樹脂流路
13ノズル
14材料供給部
14a樹脂材料
15加熱バレル
15a 加熱手段
15b貯留部
16スクリュ
16aフライト
17スクリュヘッド
18 チェックリング

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